特許第6881960号(P6881960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881960
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】パンツ型着用物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/496 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   A61F13/496 100
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-232362(P2016-232362)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-88945(P2018-88945A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 昂平
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072577(JP,A)
【文献】 特開平07−213553(JP,A)
【文献】 特開2009−131539(JP,A)
【文献】 特開平07−227407(JP,A)
【文献】 特開2009−148465(JP,A)
【文献】 特開2010−220783(JP,A)
【文献】 特開2015−016294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/496
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用時に着用者の腹側に配される腹側部と背側に配される背側部とを有し、腹側部の両側部と背側部の両側部とが接合されていることによって一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前記腹側部と前記背側部とが融着した融着部を有し、且つ該サイドシール部におけるシート間に接合強度低減剤が配されており、
前記接合強度低減剤は、前記サイドシール部の幅方向において、該サイドシール部の外側部分に内側部分より多く配されており
前記サイドシール部は、該サイドシール部を構成するシートが、ポリプロピレン製のスパンボンド不織布であり、
前記スパンボンド不織布に、熱圧着部が散点状に形成されており、前記熱圧着部どうし間の最短距離が6.0mm以下である、パンツ型着用物品。
【請求項2】
前記融着部は、前記サイドシール部の長手方向に間欠的に形成されている、請求項1に記載のパンツ型着用物品。
【請求項3】
前記融着部は、前記サイドシール部の長手方向に沿う長さより該サイドシール部の幅方向に沿う長さが長い形状である、請求項2に記載のパンツ型着用物品。
【請求項4】
前記サイドシール部は、前記幅方向の外側部分に、前記接合強度低減剤が配されている剤配置部を有し、前記幅方向の内側部分に、前記接合強度低減剤が配されていないか又は前記接合強度低減剤が前記剤配置部より低坪量に配されている剤非配置部を有している、請求項1〜3の何れか1項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項5】
前記サイドシール部の長手方向における前記融着部の配置ピッチが、前記サイドシール部の幅方向における前記剤非配置部の長さより長く、且つ該幅方向における前記融着部の長さより短い、請求項4に記載のパンツ型着用物品。
【請求項6】
前記サイドシール部は、サイドシール部を構成するシートの積層枚数が複数である多数層領域と、該多数層領域よりもシートの枚数が少ない少数層領域とを有しており、
前記多数層領域は、前記少数層領域よりも前記サイドシール部の幅方向における前記融着部の長さが短い、請求項1〜の何れか1項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項7】
前記サイドシール部は、サイドシール部を構成するシートの積層枚数が複数である多数層領域と、該多数層領域よりもシートの枚数が少ない少数層領域とを有しており、
前記多数層領域は、前記少数層領域よりも前記接合強度低減剤の量が多い、請求項1〜の何れか1項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項8】
前記サイドシール部は、前記ウエスト開口部側の端部におけるシール強度が0N超18N以下である、請求項1〜の何れか1項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項9】
前記接合強度低減剤がホットメルト接着剤である、請求項1〜の何れか1項に記載のパンツ型着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパンツ型着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着用時に着用者の腹側に配される腹側部と背側に配される背側部とを有し、腹側部の両側部と背側部の両側部とが接合されていることによって一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品が知られている。また、種々の観点から、サイドシール部における接合パターン等が検討されたパンツ型の着用物品が提案されている。
例えば、特許文献1には、前身頃の両側部と後身頃の両側部とが溶着接合されてサイドシール部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、前記サイドシール部における少なくとも縦方向の一部に、四層以下の不織布からなるとともにその少なくとも前後面をなす各不織布が易伸長領域を有しており、少なくとも前記易伸長領域における幅方向全体、幅方向の一部、又は幅方向内側隣接部が、易伸長不織布の内面に塗布されたホットメルト接着剤層により難伸長化されている、ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつが記載されている。特許文献1によれば、サイドシール部の素材が伸び難くなっているため力がしっかりとサイドシール部に加わり、意図せぬ方向に引き裂かれることなくサイドシール部を剥がすことができる。
【0003】
また、本出願人は、先に、腹側部及び背側部における外装体に、幅方向に延びる複数の弾性部材が配置されており、該腹側部の両側縁部と該背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせて接合して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型着用物品であって、前記弾性部材は、前記外層シートと前記内層シートの間において接着剤によってこれらのシートに固定されており、前記接着剤による前記弾性部材の固定は、該弾性部材の両端域において行われ、前記接着剤を施した領域が、前記サイドシール部の幅方向における外方寄りの側縁よりも、内方に位置しており、前記両端域間の部位においては、前記弾性部材は前記外層シート及び前記内層シートと非接合状態になっている、パンツ型着用物品を提案した(特許文献2)。このパンツ型着用物品によれば、サイドシール部は超音波を用いた接合により形成されているため、硬い肌触りになることが効果的に防止される。
【0004】
さらに、本出願人は、先に、外装体における縦方向Xの一端部側の前記側部域及び他端部側の前記側部域は、複数枚のシートの積層構造からなるとともに、積層された該シートの枚数が異なる複数の部位が、該側部域の縦方向Xに沿って配列して構成されており、複数の前記部位においては、積層されたシートの枚数に応じた量のシール熱低減剤が該シート間に配されており、かつ前記サイドシール部における、対向する前記側部域間には、前記シール熱低減剤が配されていないパンツ型使い捨ておむつを提案した(特許文献3)。このパンツ型使い捨ておむつによれば、装着中のサイドシール部の破れや部分的な剥がれ等が生じず、かつ脱着時に引き剥がし易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−202052号公報
【特許文献2】特開2013−146549号公報
【特許文献3】特許第5086055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パンツ型着用物品は、着用時にはサイドシール部の接合部分の剥がれ防止が求められている一方、使用後の脱衣時にはサイドシール部の引き裂きが容易であることが求められている。しかし、特許文献1〜3に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ等は、サイドシール部の着用時における剥がれ防止と、使用後の脱衣時における引き裂き容易性との両立に改善の余地がある。
【0007】
本発明の課題は、従来技術が有する課題を解決し得るパンツ型着用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用時に着用者の腹側に配される腹側部と背側に配される背側部とを有し、腹側部の両側部と背側部の両側部とが接合されていることによって一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、前記サイドシール部は、前記腹側部と前記背側部とが融着した融着部を有し、且つ該サイドシール部におけるシート間に接合強度低減剤が配されており、前記接合強度低減剤は、前記サイドシール部の幅方向における外側部分に内側部分より多く配されている、パンツ型着用物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパンツ型着用物品によれば、着用時におけるサイドシール部の剥がれを防止できるとともに、使用後の脱衣時におけるサイドシール部の引き裂きも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの使用状態(着用状態)を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態を示す平面図である。
図3図3(a)は、本発明に係るサイドシール部を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)のサイドシール部の一部の拡大図である。
図4図4(a)は、図2のY1−Y1線断面図、図4(b)は、図2のY2−Y2線断面図、図4(c)は、サイドシール部の拡大図である。
図5図5(a)は、パンツ型着用物品のサイドシール部を形成するためのシール装置を用いてシール工程を行う様子を示す模式断面図であり、図5(b)は、図5(a)の一部を拡大して示す模式拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のパンツ型吸収性物品をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)は、図1に示すように、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとを有し、腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とが接合されていることによって一対のサイドシール部8,8、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成されている。
おむつ1は、内層シート62と外層シート61とから構成される外装体6を備え、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと、背側に配される背側部Bと、これらの間に位置する股下部Cとを有している。股下部Cは、腹側部Aと背側部Bとの間に位置し、着用時には着用者の股間部に配される。また、おむつ1は、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有している。また、図1及び図3に示すように、一対のサイドシール部8,8は、腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とが融着した融着部81を有している。より具体的には、一対のサイドシール部8,8は、腹側部Aの両側部6a,6aと、背側部Bの両側部6b,6bとを互いに重ね合わせた重合部7,7を、縦方向Xに沿う複数個所を、加熱及び加圧することによって形成されている。
【0012】
本実施形態のおむつ1は、図1図2に示すように、腹側部Aから股下部Cを通って背側部Bに向かう方向に延びる縦方向中心線CLに対して左右対称である。従って、以下の説明では、主に、図1及び図2における左側の構成について説明するが、右側の構成も左右対称である以外は同様である。また、おむつ1は、図2に示すように展開且つ伸長状態において、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有している。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、パンツ型着用物品の両側部に存する接合部(サイドシール部8)を引き裂いて、パンツ型着用物品を展開状態とし、その展開状態のパンツ型着用物品を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0013】
本実施形態のおむつ1は、図2に示すように、外装体6の肌対向面側に、吸収体4を含む吸収性本体5が固定されている。
外装体6は、吸収性本体5の周縁部の外方全域に亘って延出している。外装体6は、図2に示すように、その両側縁が、縦方向Xの中央部において、それぞれ内方に向かって凸の円弧状に湾曲しており、縦方向Xの中央部が括れた形状を有している。また、外装体6は、図1及び図2に示すように、外層シート61と、内層シート62とを備えている。
外装体6を構成する外層シート61は、おむつの非肌対向面を形成し、内層シート62は、外層シート61の肌対向面側に配されている。そして、それらの外層シート61及び内層シート62が、それぞれ縦方向Xにおける吸収性本体5の端部より外方部分において内層シート62側に折り返されており、外層シートの折り返し部分61a,61b及び内層シートの折り返し部分62a,62bを有している。
【0014】
本明細書において、「肌対向面」は、着用物品又はその構成部材(例えば外装体)における、着用物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、着用物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。
【0015】
外装体6は、外層シート61及び内層シート62間に配設固定された、複数本のウエスト弾性部材63、複数本のレッグ弾性部材64及び複数本の胴回り部弾性部材65を有している。
複数本のウエスト弾性部材63は、図1に示すように、腹側部A及び背側部Bそれぞれのウエスト開口部WOの周縁部に設けられている。各胴回り部弾性部材65は、伸長状態で、おむつ1の横方向Yに沿って配設固定されている。おむつ1の横方向Yは、着用時における着用者のウエスト周りないし胴回りの周方向と同方向である。複数本のレッグ弾性部材64は、図2に示すように、レッグ開口部LOの周縁部に設けられており、各レッグ弾性部材64は、伸長状態で、レッグ開口部LOの周方向に沿って配設固定されている。複数本の胴回り部弾性部材65は、図2に示すように、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおいて、ウエスト弾性部材63の配置部位と股下部Cの端部との間に配されている。胴回り部弾性部材65は、前記中心線CLの左右両側に分割された状態で、それぞれおむつ1の幅方向に沿って配設固定されている。
【0016】
外層シート61を構成するシート材は、ウエスト開口部WOの周縁端Weにおいて、内層シート62側に折り返されて、外層シートの折り返し部分61a,61bを形成している。
腹側部Aにおける外層シートの折り返し部分61aは、図2に示すように、その縦方向Xの端縁が、吸収性本体5の縦方向Xの腹側部A側の端縁よりも股下部C寄りの位置まで延びている。同様に、背側部Bにおける外層シートの折り返し部分61bも、図2に示すように、その縦方向Xの端縁が、吸収性本体5の縦方向Xの背側部B側の端縁よりも股下部C寄りの位置まで延びている。
内層シート62を構成するシート材も、ウエスト開口部WOの周縁端Weにおいて、外層シート61と一体的に、内層シート62側に折り返されて、内層シートの折り返し部分62a,62bを形成している。
【0017】
本実施形態のおむつ1においては、サイドシール部8,8におけるシート間に接合強度低減剤66が配されている。より具体的には、図4(a)に示すように、腹側部Aにおいて内層シートの折り返していない部分62cと外層シートの折り返していない部分61cとの間、及び内層シートの折り返し部分62aと外層シートの折り返し部分61aとの間に接合強度低減剤66が配されている。同様に、図4(b)に示すように、背側部Bにおいて内層シートの折り返していない部分62dと外層シートの折り返していない部分61dとの間、及び内層シートの折り返し部分62bと外層シートの折り返し部分61bとの間に接合強度低減剤66が配されている。このように、接合強度低減剤66は腹側部A及び背側部Bのそれぞれを構成するシート間のいずれかに配されていれば良い。例えば、腹側部A又は背側部Bを構成するシートの折り返し部分どうしの間、腹側部A又は背側部Bを構成するシートの折り返していない部分どうしの間、及び腹側部A又は背側部Bを構成するシートの折り返し部分と折り返していない部分との間の何れかに、接合強度低減剤66が配されていれば良い。
【0018】
接合強度低減剤66は、サイドシール部8の幅方向8Yにおいて、サイドシール部8の外側部分8bに内側部分8aより多く配されている。より具体的には、接合強度低減剤66は、図3(a)及び(b)に示すように、サイドシール部8の幅方向8Yにおいて、サイドシール部8の外側部分8bに偏って配されている。また、接合強度低減剤66は、サイドシール部8の長手方向8Xの略全域に亘って配されている。本発明において、接合強度低減剤66は、サイドシール部8の幅方向8Yにおける外側部分8bに、該サイドシール部8の幅方向8Yにおける内側部分8aより多く配されていればよく、サイドシール部8の内側部分8aから外側部分8bにかけて、接合強度低減剤66の量が連続的に増加するように配されていても良い。サイドシール部8は、その幅内に、接合強度低減剤66が配されている外側部分8bと、接合強度低減剤66が配されていない内側部分8aとを有していても良いし、サイドシール部8の幅内に、接合強度低減剤66が配されている外側部分8bと、接合強度低減剤66が配されているが、外側部分8bに比して接合強度低減剤66の坪量が低い内側部分8aとを有していても良い。
サイドシール部8の幅方向8Yにおいて、内側部分は、パンツ型着用物品の着用時に、外側部分と比較したときに、該外側部分よりも着用者の肌に近い側に位置する部分であり、外側部分は、内側部分と比較したときに、該内側部分よりも、着用者の肌から遠い側に位置する部分である。サイドシール部8の長手方向8Xは、サイドシール部8が延びる方向であり、通常、パンツ型着用物品の縦方向Xに沿う方向である。サイドシール部8の幅方向8Yは、サイドシール部8の長手方向8Xに直交する方向であり、通常、パンツ型着用物品の横方向Yに沿う方向である。
【0019】
パンツ型着用物品の着用中には、サイドシール部8に、パンツ型着用物品の横方向Yにおける内方から外方に向かって、サイドシール部8を腹側部A側と背側部B側とに引き剥がす力が加わる。従来のパンツ型着用物品は、この引き剥がす力によって、サイドシール部8が剥がれることがあった。そのため、サイドシール部8は、着用時に加わる引き剥がす力に耐え得る強度を有することが求められている。
他方、使用後の脱衣時には、サイドシール部8を引き裂いて、パンツ型着用物品を脱衣することが行われている。そのため、パンツ型着用物品のサイドシール部8は、容易に引き裂くことができることも求められている。しかしながら、サイドシール部に、パンツ型着用物品の着用時における引き剥がす力に耐え得る強度を担保すると、パンツ型着用物品の脱衣時に大きな引き裂き力を要することになり、脱衣時におけるサイドシール部8の引き裂きが困難になる。
【0020】
上記の課題に対し、本発明に係るサイドシール部は、腹側部Aと背側部Bとが融着した融着部81を有し、且つ該サイドシール部8,8におけるシート間に接合強度低減剤66が配されており、さらに、接合強度低減剤66は、サイドシール部8の幅方向8Yにおいて、該サイドシール部8,8の外側部分8bに内側部分8aより多く配されているため、パンツ型着用物品の脱衣時にサイドシール部8を容易に引き裂くことができる。
通常、サイドシール部8の長手方向8Xの上方且つ幅方向8Yの外側の端部から、長手方向8Xの下方且つ幅方向8Yの内側に向かった斜め方向(以下、引き裂き方向ともいう)に剥離界面が存在する。つまり、サイドシール部8の幅方向8Yにおける外側部分8bは、剥離界面と重なっている。本発明に斯かる前記外側部分8bは、前記内側部分8aよりも接合強度低減剤66が多く配されていることにより〔図3(b)参照〕、該外側部分8bの接合強度(以下、シール強度ともいう)が内側部分8aに比して低いため、剥離界面全体としての接合強度を低減することができる。その結果、サイドシール部8を引き裂く際、その引き裂きに要する力(以下、引き裂き力ともいう)も低減することができるため、サイドシール部8,8の引き裂きを容易に行うことができる。
他方、本発明のパンツ型着用物品におけるサイドシール部8は、その内側部分8aに接合強度低減剤が配されていないか、外側部分8bより接合強度低減剤が少なく配されていることによって、内側部分8aの接合強度を高くすることができ、パンツ型着用物品の着用時においてサイドシール部8,8を引き剥がす力に耐えることができ、サイドシール部が剥がれることを防止することができる。
【0021】
また、従来のパンツ型着用物品においては、サイドシール部8を引き裂いていく際、引き裂き力が、幅方向8Yにおける融着部の内側部分8a側の端部にまで及ぶと、引き裂き方向がさらに幅方向8Yの内方に延びて、外装体6を横方向Yの内方に引き裂いてしまう場合があり、パンツ型着用物品の脱衣操作がさらに困難になることがあった。
これに対して、本発明のパンツ型着用物品においては、サイドシール部8,8の外側部分8bに接合強度低減剤66が内側部分8aより多く配されていることにより、サイドシール部8,8における外側部分8bの接合強度が内側部分8aより低くなっている。これにより、剥離界面上の外側にある、接合強度低減剤66が多く存在している、シール強度が低い部位が優先的に剥離して、全体のシール強度を緩和するような働きをすることで、外装体6が内方に引き裂かれる強度よりも低い強度でシールが剥離するようになるため、外装体6を横方向Yの内方に引き裂いてしまうことを防ぐこともできる。
【0022】
サイドシール部8,8における融着部81は、サイドシール部8,8の全域に1個形成されていても良く、図3(a)及び(b)に示すように複数個形成されていても良い。また、融着部81の形成パターンは特に制限されず、例えば、ベタ塗り状、ストライプ状、又は格子状に形成することができる。
【0023】
融着部81は、図3(a)及び(b)に示すように、サイドシール部8,8の長手方向8Xに沿う長さLより該サイドシール部8,8の幅方向8Yに沿う長さW1が長い形状であることが好ましい。斯かる構成により、パンツ型着用物品の着用時において、サイドシール部8を引き剥がす力に対抗し得る強度をより向上させることができ、且つ脱衣時におけるサイドシール部8の引き裂きをより容易に行うことができる。
上記の効果をより確実に奏させるため、融着部81は以下の寸法であることが好ましい。以下において「長手方向8X」及び「幅方向8Y」は、サイドシール部8,8の長手方向8X及び幅方向8Yを示す。
【0024】
融着部81の幅方向8Yに沿う長さW1は、該融着部81の長手方向8Xに沿う長さLに対して、好ましくは100%以上、より好ましくは400%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは800%以下であり、また好ましくは100%以上1000%以下、より好ましくは400%以上800%以下である。
また、融着部81の幅方向8Yに沿う長さW1は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは4mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上4mm以下である。
また、融着部81の長手方向8Xに沿う長さLは、好ましくは0.1m以上、より好ましくは0.3mm以上であり、また好ましくは2mm以下、より好ましくは0.6mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上2mm以下、より好ましくは0.3mm以上0.6mm以下である。
【0025】
本発明のサイドシール部8,8は、該サイドシール部8,8の長手方向8Xに連続に形成されていても良く、非連続に形成されていても良い。
本実施形態のサイドシール部8,8は、複数の融着部81が、サイドシール部8,8の長手方向8Xに沿って非連続に形成されており、融着部81間に間隔を有している。斯かる構成により、パンツ型着用物品の着用時におけるサイドシール部8,8の接合強度を向上させることができる。このように、融着部81は、サイドシール部8,8の長手方向8Xに間欠的に形成されていることが好ましい。
上記の効果をより確実に奏させるため、サイドシール部8,8の長手方向8Xに隣り合う融着部81どうしの間隔D〔図3(b)参照〕は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは4mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上4mm以下である。
【0026】
脱衣時におけるサイドシール部8の引き裂きをより容易に行う観点から、サイドシール部8,8は、前記幅方向8Yの外側部分8bに、接合強度低減剤66が配されている剤配置部84を有し、前記幅方向8Yの内側部分8aに、接合強度低減剤66が配されていないか又は接合強度低減剤66が剤配置部84より低坪量に配されている剤非配置部83を有していることが好ましい。接合強度低減剤66が配されている又は配されていないとは、サイドシール部8,8の厚み方向において接合強度低減剤66と重なる又は重ならないことを意味する。
このような形態として、図3(a)及び(b)に示すように、サイドシール部8の幅方向8Yの外側部分8bに、接合強度低減剤66が配されている剤配置部84を有し、幅方向8Yの内側部分8aに、接合強度低減剤66が配されていない剤非配置部83を有するものが挙げられる。また、サイドシール部8の幅方向8Yに亘って接合強度低減剤が配されているものであって、サイドシール部8の幅方向8Yにおける内側部分8aに、接合強度低減剤66が、剤配置部84より低坪量に配されている剤非配置部83を有するものが挙げられる。後者の形態として、さらに接合強度低減剤66が内側部分8aから外側部分8bにかけて非連続的又は連続的に変化しているものが挙げられる。このように、サイドシール部8の幅方向8Yに亘って接合強度低減剤66が配されている場合、剤配置部84と、剤非配置部83とは、接合強度低減剤66の坪量によって区別される。具体的には、剤配置部84における接合強度低減剤66の坪量に対して、接合強度低減剤66の坪量が50%以下である部分が剤非配置部83である。
【0027】
剤配置部84における接合強度低減剤66の坪量は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは20g/m以上であり、また好ましくは100g/m以下、より好ましくは60g/m以下であり、また好ましくは1g/m以上100g/m以下、より好ましくは20g/m以上60g/m以下である。
また、剤非配置部83における接合強度低減剤66の坪量は、好ましくは0g/m以上、より好ましくは5g/m以上であり、また好ましくは50g/m以下、より好ましくは30g/m以下であり、また好ましくは0g/m以上50g/m以下、より好ましくは5g/m以上30g/m以下である。
【0028】
パンツ型着用物品の着用時におけるサイドシール部8の剥がれ防止と、脱衣時におけるサイドシール部8の引き裂きの容易性とをより確実に両立する観点から、サイドシール部8,8の長手方向8Xにおける融着部81の配置ピッチP〔図3(b)参照〕が、サイドシール部8,8の幅方向8Yにおける剤非配置部83の長さW2〔図3(b)参照〕よりも長く、且つ該幅方向8Yにおける融着部81の長さW1よりも短いことが好ましい。融着部81の配置ピッチPは、図3(b)に示すように、サイドシール部8,8の長手方向8Xにおける融着部81の下端81B1から、該融着部81と縦方向Xに隣り合う別の融着部81の下端81B2までの長さPである。上記と同様の観点から、融着部81の配置ピッチPは、以下の範囲であることが好ましい。
【0029】
融着部81の配置ピッチP〔図3(b)参照〕が、幅方向8Yにおける融着部81の長さW1に対して、好ましくは0%超、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下であり、また好ましくは0%超100%以下、より好ましくは50%以上90%以下である。
融着部81の配置ピッチPは、幅方向8Yにおける剤非配置部83の長さW2に対して、好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは400%以下であり、また好ましくは100%以上1000%以下、より好ましくは150%以上400%以下である。
融着部81の配置ピッチPは、幅方向8Yにおける剤配置部84の長さW3に対して、好ましくは0%超、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは400%以下であり、また好ましくは0%超1000%以下、より好ましくは80%以上400%以下である。
融着部81の配置ピッチPは、長手方向8Xに隣り合う融着部81どうしの間隔Dに対して、好ましくは0%超、より好ましくは100%以上であり、また好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下であり、また好ましくは0%超200%以下、より好ましくは100%以上150%以下である。
融着部81の配置ピッチPは、好ましくは0mm超、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは4mm以下であり、また好ましくは0mm超10mm以下、より好ましくは1mm超4mm以下である。
【0030】
脱衣時におけるサイドシール部8の引き裂きをより容易に行う観点から、サイドシール部8,8の幅方向8Yにおける剤非配置部83の長さW2は、以下の範囲であることが好ましい。
幅方向8Yにおける剤非配置部83の長さW2は、融着部81の長さW1に対して、好ましくは0%超、より好ましくは25%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは75%以下であり、また好ましくは0%超100%以下、より好ましくは25%以上75%以下である。
幅方向8Yにおける剤非配置部83の長さW2は、剤配置部84の長さW3に対して、好ましくは0%超、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは120%以下であり、また好ましくは0%超1000%以下、より好ましくは80%以上120%以下である。
幅方向8Yにおける剤非配置部83の長さW2は、好ましくは0mm超、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは9mm以下、より好ましくは3mm以下であり、また好ましくは0mm超9mm以下、より好ましくは1mm以上3mm以下である。
【0031】
上記と同様の観点から、幅方向8Yにおける剤配置部84の長さW3は、融着部81の長さW1に対して、好ましくは0%超、より好ましくは25%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは75%以下であり、また好ましくは0%以上100%以下、より好ましくは25%以上75%以下である。
また、幅方向8Yにおける剤配置部84の長さW3は、好ましくは0mm超、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは9mm以下、より好ましくは5mm以下であり、また好ましくは0mm以上9mm以下、より好ましくは1mm以上5mm以下である。
【0032】
サイドシール部8,8は、腹側部Aの両側部を構成するシートと背側部Bの両側部を構成するシートとが重なった重合部7が融着して形成されている。本実施形態のサイドシール部8は、図4(a)及び(b)に示すように、内層シート62の折り返していない部分62c,62d、外層シートの折り返していない部分61c,61d、内層シート62の折り返し部分62a,62b、及び外層シートの折り返し部分61a,61bが積層された、シートの積層枚数が8枚の領域T1と、外層シートの折り返していない部分61c,61d及び内層シートの折り返していない部分62c,62dが積層された、シートの積層枚数が4枚の領域T2とを有している。また、図4(c)に示すように、横方向Yにおける、シートの積層枚数が8枚の領域T1の融着部81の長さW1aは、シートの積層枚数が4枚の領域T2における融着部81の長さW1bよりも短い。斯かる構成により、サイドシール部8の強度をより適度なものにすることができ、パンツ型着用物品の脱衣時におけるサイドシール部8の引き裂きをより容易に行うことができる。このように、サイドシール部8,8は、該サイドシール部8,8を構成するシートが複数枚積層した多数層領域T1と、該多数層領域T1よりもシートの枚数が少ない少数層領域T2とを有しており、多数層領域T1は、少数層領域T2よりもサイドシール部8,8の幅方向8Yにおける融着部81の長さが短いことが好ましい。
【0033】
上記の効果をより確実に奏させるため、幅方向8Yにおける多数層領域T1の融着部81の長さW1a〔図4(b)参照〕は、少数層領域T2の融着部81の長さW1b〔図4(b)参照〕に対して、好ましくは0%超、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは70%以下であり、また好ましくは0%超100%以下、より好ましくは50%以上70%以下である。
また、幅方向8Yにおける多数層領域T1の融着部81の長さW1aは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上3mm以下である。
また、幅方向8Yにおける少数層領域T2の融着部81の長さW1bは、好ましくは2mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下であり、また好ましくは2mm以上5mm以下、より好ましくは2.5mm以上4mm以下である。
【0034】
接合強度低減剤66は、サイドシール部8,8を構成するシートの枚数に応じてその量を調節することが好ましい。具体的には、積層されたシートの枚数が多い部位ほど、接合強度低減剤66の量を多くすることが好ましい。例えば、サイドシール部8,8を形成するシール工程において、多数層領域T1は相対的に高圧が加わり、それに起因して相対的に多量の熱が付与される。この多数層領域T1に、接合強度低減剤66を多く配することにより、多数層領域T1に付与される熱をより低減することができる。
【0035】
上記と同様の観点から、多数層領域T1は、少数層領域T2より接合強度低減剤66の量が多いことが好ましい。接合強度低減剤66の量は、サイドシール部8の単位面積中に含まれる接合強度低減剤66の量(g/m)である。多数層領域T1又は少数層領域T2に、接合強度低減剤が配されているシート間が複数ある場合、接合強度低減剤66の量は、複数のシート間に存する接合強度低減剤66の合計量である。多数層領域T1及び少数層領域T2の各領域を腹側部A側と背側部B側とに分けて考えたときにも、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、多数層領域T1は、少数層領域T2より接合強度低減剤66の量が多いことがより好ましい。
【0036】
また、多数層領域T1における接合強度低減剤66の量と、少数層領域T2における接合強度低減剤66の量との差は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上あり、また好ましくは99g/m以下、より好ましくは30g/m以下であり、また好ましくは1g/m以上99g/m以下、より好ましくは3g/m以上30g/m以下である。
多数層領域T1における接合強度低減剤66の量は、少数層領域T2における接合強度低減剤66の量に対して、好ましくは120%以上、より好ましくは200%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは500%以下であり、また好ましくは120%以上1000%以下、より好ましくは200%以上500%以下である。
また、多数層領域T1における接合強度低減剤66の量は、好ましくは3g/m以上、より好ましくは6g/m以上であり、また好ましくは100g/m以下、より好ましくは30g/m以下であり、また好ましくは3g/m以上100g/m以下、より好ましくは6g/m以上30g/m以下である。
また、少数層領域T2における接合強度低減剤66の量は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上であり、また好ましくは60g/m以下、より好ましくは20g/m以下であり、また好ましくは1g/m以上60g/m以下、より好ましくは3g/m以上20g/m以下である。
【0037】
パンツ型着用物品の脱衣時におけるサイドシール部8,8の引き裂きをより容易にする観点から、サイドシール部8,8は、ウエスト開口部WO側の端部72におけるシール強度が18N以下であることが好ましい。ウエスト開口部WO側の端部72は、サイドシール部8,8のウエスト開口部の周縁端Weから縦方向Xの下端側に向かって、15mmまでの部分である。また、ウエスト開口部WO側の端部72におけるシール強度は、好ましくは18N以下、より好ましくは10N以下、さらに好ましくは8N以下である。
【0038】
<シール強度の測定方法>
22℃65%RH環境下にて、各弾性部材の収縮によって形成されたギャザーが消失する程度まで緊張させたパンツ型着用物品を、図1に示す中心線CLに沿って切断して、横方向Yに半分になったパンツ型着用物品の測定片を切り出す。この切り出された測定片の中心にサイドシール部8が位置する。この測定片を、横方向Yが引張方向となるように、引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)の上部チャック及び下部チャックに取り付ける。この際、ウエスト開口部WOの周縁端Weから縦方向Xに15mmまでの部分を両チャックで把持し、サイドシール部8が両チャック間の中心に位置するように取付ける。また、両チャック間は35mmとする。そして、下部チャックの位置を固定したまま、上部チャックを10mm/minの速度で上昇させる。上部チャックの上昇が進むにつれて、サイドシール部8が縦方向Xに破断していき、腹側部Aの側部と背側部Bの側部とに分離していく。このサイドシール部8が破断した部分の長さがに40mmになるまで破断強度を測定し、その最大値を求める。この測定を5回繰り返し、その平均値を縦方向Xにおけるサイドシール部8のウエスト開口部WO側の端部72のシール強度とする。
【0039】
重合部7の融着方法としては、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等が用いられる。おむつ1においては、サイドシール部8の形成に、図5(a)、(b)に示す装置700が用いられている。装置700は、図5(a)、(b)に示すように、シールブロック710とアンビルブロック750とを有しており、おむつ1の連続体100にヒートエンボスを行うことにより、サイドシール部8を形成する。
シールブロック710及びアンビルブロック750は、装置700の備える制御部(不図示)によってそれぞれ加熱温度が制御されている。シールブロック710のシール面には、図3(a)、(b)に示すサイドシール部8の形状に対応するように形成された凸部(不図示)が設けられており、おむつのサイドシール部Sにシールパターンの模様を形成する。
【0040】
装置700は、図5(a)、(b)に示すように、シールブロック710と、表面がフラットなアンビルブロック750との間に、帯状のおむつ1の連続体100を通し、腹側部Aの側部と背側部Bの側部とを重ね合わせた重合部7の位置でエンボスすることにより、サイドシール部8を形成する。シールブロック710は融着部81を形成する凸部を有しており、この凸部は、帯状のおむつ1の連続体100の流れ方向Qと直交する方向と、図3(a)、(b)に示すサイドシール部8の長手方向8Xとが対応するように形成されている。シールブロック710及びアンビルブロック750間において、おむつ1の連続体100をエンボス加工することにより、一対のシール部が形成される。この一対のシール部8’8’は、切り離し工程においておむつ1の連続体100を切断位置Pcで切り離した後、おむつ1のサイドシール部8,8となる。
【0041】
おむつ1の連続体100は、サイドシール部8,8を構成するシート間に接合強度低減剤を配置した後に上記の重合部7の融着を行う。接合強度低減剤66は、図4(a)、(b)に示すように、サイドシール部8,8を構成するシート間に配置される。また、接合強度低減剤66は、図5(a)、(b)に示す剤配置領域Eに存在するように配置される。剤配置領域Eは、おむつ1の連続体100が切り離し工程において切断される切断位置Pcを含み、ヒートシールにより一対のシール部が形成されるシール領域S’,S’及びそれらの間に位置する中央領域Gを跨ぐ領域である。また、ヒートシールが施されるヒートシール領域HTは、図5(a)に示すように、切断位置Pcの両側に位置する2つのシール領域S’,S’及び中央領域Gを含む領域である。また、ヒートシール領域HTは、剤配置領域Eに隣接する剤非配置領域Fを含む。剤非配置領域Fは、接合強度低減剤66が配されていない領域であり、ヒートシールが施される領域である。剤配置領域Eは、サイドシール部8における剤配置部84となる領域であり、剤非配置領域Fは、剤非配置部83となる領域である。
上記のように接合強度低減剤66を剤配置領域Eに配することにより、図5(b)に示すように、剤配置領域Eにおいては、ヒートシールによって付与される熱Nが接合強度低減剤66によって低減されて、接合強度を低下させることができる。一方、接合強度低減剤66が配されていない剤非配置領域Fにおいては、ヒートシールによって付与される熱Nは低減されず、接合強度は低下しない。
【0042】
接合強度低減剤66を配置する方法は、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができるが、コーターガンを用いて接合強度低減剤66を塗工する方法が好ましい。斯かる方法により、接合強度低減剤66の塗工面積、坪量を調整することで、接合強度の調節を容易に行うことができる。
【0043】
接合強度低減剤66としては、サイドシール部8,8の形成の際に付与される熱の一部を低減させることができる物質を特に制限なく用いることができる。このような物質として、例えばホットメルト接着剤、ポリウレタン系素剤、石油系樹脂等が挙げられる。
シール工程において発生する熱の低減に加え、シートどうしを接合する観点から、接合強度低減剤66としてホットメルト接着剤が好ましく用いられる。パンツ型着用物品の製造工程において、通常、ホットメルト接着剤の塗布温度は、サイドシール部8,8を形成するためのヒートシール温度よりも低い。また、ホットメルト接着剤は、通常、少ない塗布量で薄く塗布される。そのため、ホットメルト接着剤はシートに塗布された時点で直ぐに冷め、ヒートシール位置では、更に冷めていることが考えられる。以上の点から、ホットメルト接着剤を接合強度低減剤66として用いると、ヒートシールによってサイドシール部8を形成するシール工程において発生する熱を低減することができる。
【0044】
サイドシール部8,8を構成するシートは、通常用いられる材料を特に制限なく用いることができるが、不織布であることが好ましい。脱衣時におけるサイドシール部8,8の引き裂きをより容易とする観点から、サイドシール部8,8を構成するシートは、スパンボンド不織布であることが好ましく、さらに、ポリプロピレン製のスパンボンド不織布であることがより好ましい。ポリプロピレンとしては、α−オレフィン等が挙げられる。また、例えば、ポリプロピレン単体のホモPP繊維のみから形成された不織布シート、少量のエチレン等がプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれたランダムPP繊維のみから形成された不織布シート、ホモPP樹脂又はランダムPP樹脂を50%以上含むが、ホモPP樹脂又はランダムPP樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂等)を混合した芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維から形成された不織布シート、ホモPP繊維又はランダムPP繊維を50%以上含むが、ホモPP繊維又はランダムPP繊維以外の繊維(例えばレーヨン繊維、コットン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維等)を混綿した繊維から形成された不織布シート等が挙げられる。
ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれか1種以上を好ましくは1質量%以上100質量%以下、より好ましくは50質量%以上99質量%以下含んだ樹脂であることが好ましい。また、これらのコポリマーやホモポリマーを混合してもよいし、他の樹脂を混合してもよい。また、プロピレン成分をベースとしたランダムコポリマーとしてエチレンやα−オレフィンと共重合したエチレンプロピレン共重合体樹脂が挙げられる。
【0045】
スパンボンド不織布はその強度を上げるため、エンボス部が設けられることがある。脱衣時におけるサイドシール部8,8の引き裂きをより容易とする観点から、サイドシール部8,8を構成するシートとして用いられるスパンボンド不織布には、熱圧着部が散点状に形成されていることが好ましい。また、スパンボンド不織布に形成される熱圧着部どうし間の最短距離は、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。
【0046】
本実施形態のおむつ1は、図2に示すように、液透過性の表面シート2と、液不透過性又は撥水性の裏面シート3と、両シート2,3間に介在する吸収体4とを有する実質的に縦長の吸収性本体5を備えている。
【0047】
吸収性本体5は、図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及び両シート2、3間に介在された液保持性の吸収体4を有しており、実質的に縦長である。吸収性本体5は、図2に示すように、外装体6の背側部Bから腹側部Aに亘って配設されており、吸収性本体5の縦方向X両端部は、外装体6の縦方向X両端部よりも縦方向X内方に後退した位置にある。吸収性本体5は、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外装体6の内層シート62に接合されている。
【0048】
吸収性本体5の縦方向X両側部には、図2に示すように、液抵抗性又は撥水性の素材で且つ通気性の素材から構成された側方カフス51,51が設けられている。各側方カフス51の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材52が縦方向Xに伸長した状態で配設固定されている。側方カフス51は、おむつの着用時に自由端部側が起立し、吸収性本体5の幅方向(X方向)への排泄物の流出を阻止することができる。側方カフス51形成用シートは、吸収性本体5の幅方向(X方向)外方側の所定幅の部分が、非肌当接面側に巻き込まれて、固定されている。
【0049】
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、側方カフス51形成用シートとしては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体4としては、パルプ等の繊維材料の繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを担持させたものを、ティッシュペーパーや透水性の不織布等の被覆材で包んでなるもの等を用いることができる。側方カフス51形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
【0050】
側方カフス形成用の弾性部材52、ウエスト弾性部材63、レッグ弾性部材64、胴回り部弾性部材65としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる伸縮性の材料等を用いることができる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態であるおむつ1について主として説明したが、本発明のパンツ型吸収性物品は、上述のおむつ1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0052】
本発明のパンツ型吸収性物品は、パンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型(ショーツ型も含む)の生理用ナプキン等の他のパンツ型吸収性物品であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【0053】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下のパンツ型着用物品を開示する。
<1>
着用時に着用者の腹側に配される腹側部と背側に配される背側部とを有し、腹側部の両側部と背側部の両側部とが接合されていることによって一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前記腹側部と前記背側部とが融着した融着部を有し、且つ該サイドシール部におけるシート間に接合強度低減剤が配されており、
前記接合強度低減剤は、前記サイドシール部の幅方向において、該サイドシール部の外側部分に内側部分より多く配されている、パンツ型着用物品。
【0054】
<2>
前記接合強度低減剤は、前記サイドシール部の幅方向において、前記サイドシール部の前記外側部分に偏って配されている、前記<1>に記載のパンツ型着用物品。
<3>
前記接合強度低減剤は、前記サイドシール部の長手方向の略全域に亘って配されている、前記<1>又は<2>に記載のパンツ型着用物品。
<4>
前記サイドシール部は、その幅内に、前記接合強度低減剤が配されている前記外側部分と、前記接合強度低減剤が配されていない前記内側部分とを有している、前記<1>〜<3>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<5>
前記融着部は、前記サイドシール部の長手方向に間欠的に形成されている、前記<1>〜<4>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<6>
前記融着部は、前記サイドシール部の長手方向に沿う長さより該サイドシール部の幅方向に沿う長さが長い形状である、前記<5>に記載のパンツ型着用物品。
<7>
前記サイドシール部の幅方向における前記融着部の長さは、前記サイドシール部の長手方向における該融着部の長さに対して、好ましくは100%以上、より好ましくは400%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは800%以下である、前記<1>〜<6>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<8>
前記サイドシール部の幅方向における前記融着部の長さは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは4mm以下である、前記<1>〜<7>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<9>
前記サイドシール部の長手方向における前記融着部の長さは、好ましくは0.1m以上、より好ましくは0.3mm以上であり、また好ましくは2mm以下、より好ましくは0.6mm以下である、前記<1>〜<8>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<10>
前記サイドシール部の長手方向に隣り合う前記融着部どうしの間隔は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは4mm以下である、前記<1>〜<9>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
【0055】
<11>
前記サイドシール部は、前記幅方向の外側部分に、前記接合強度低減剤が配されている剤配置部を有し、前記幅方向の内側部分に、前記接合強度低減剤が配されていないか又は前記接合強度低減剤が前記剤配置部より低坪量に配されている剤非配置部を有している、前記<1>〜<10>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<12>
前記剤配置部における前記接合強度低減剤の坪量は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは20g/m以上であり、また好ましくは100g/m以下、より好ましくは60g/m以下である、前記<11>に記載のパンツ型着用物品。
<13>
前記剤非配置部における前記接合強度低減剤の坪量は、好ましくは0g/m以上、より好ましくは5g/m以上であり、また好ましくは50g/m以下、より好ましくは30g/m以下である、前記<11>又は<12>に記載のパンツ型着用物品。
<14>
前記サイドシール部の幅方向における前記剤非配置部の長さは、前記サイドシール部の幅方向における前記融着部の長さに対して、好ましくは0%超、より好ましくは25%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは75%以下である、前記<11>〜<13>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<15>
前記サイドシール部の幅方向における前記剤非配置部の長さは、前記サイドシール部の幅方向における前記剤配置部の長さに対して、好ましくは0%超、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは120%以下である、前記<11>〜<14>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<16>
前記サイドシール部の幅方向における記剤非配置部の長さは、好ましくは0mm超、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは9mm以下、より好ましくは3mm以下である、前記<11>〜<15>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<17>
前記サイドシール部の幅方向における前記剤配置部の長さは、前記サイドシール部の幅方向における前記融着部の長さに対して、好ましくは0%超、より好ましくは25%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは75%以下である、前記<11>〜<16>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<18>
前記サイドシール部の幅方向における前記剤配置部の長さは、好ましくは0mm超、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは9mm以下、より好ましくは5mm以下である、前記<11>〜<17>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<19>
前記サイドシール部の長手方向における前記融着部の配置ピッチが、前記サイドシール部の幅方向における前記剤非配置部の長さより長く、且つ該幅方向における前記融着部の長さより短い、前記<11>〜<18>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<20>
前記融着部の配置ピッチが、前記サイドシール部の幅方向における前記融着部の長さに対して、好ましくは0%超、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下である、前記<19>に記載のパンツ型着用物品。
【0056】
<21>
前記融着部の配置ピッチは、前記サイドシール部の幅方向における前記剤非配置部の長さに対して、好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは400%以下である、前記<19>又は<20>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<22>
前記融着部の配置ピッチは、前記サイドシール部の幅方向における前記剤配置部の長さに対して、好ましくは0%超、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは400%以下である、前記<19>〜<21>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<23>
前記融着部の配置ピッチは、前記サイドシール部の長手方向に隣り合う前記融着部どうしの間隔に対して、好ましくは0%超、より好ましくは100%以上であり、また好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下である、前記<19>〜<22>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<24>
前記融着部の配置ピッチは、好ましくは0mm超、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは4mm以下である、前記<19>〜<23>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<25>
前記サイドシール部は、該サイドシール部を構成するシートが、ポリプロピレン製のスパンボンド不織布である、前記<1>〜<24>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<26>
前記スパンボンド不織布に、熱圧着部が散点状に形成されており、前記熱圧着部どうし間の最短距離が6.0mm以下である、前記<25>に記載のパンツ型着用物品。
<27>
前記スパンボンド不織布に形成される熱圧着部どうし間の最短距離は、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である、前記<1>〜<26>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<28>
前記サイドシール部は、サイドシール部を構成するシートの積層枚数が複数である多数層領域と、該多数層領域よりもシートの枚数が少ない少数層領域とを有しており、
前記多数層領域は、前記少数層領域よりも前記サイドシール部の幅方向における前記融着部の長さが短い、前記<1>〜<27>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<29>
前記サイドシール部の幅方向における前記多数層領域の前記融着部の長さは、前記サイドシール部の幅方向における前記少数層領域の前記融着部の長さに対して、好ましくは0%超、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは70%以下である、前記<28>に記載のパンツ型着用物品。
<30>
前記サイドシール部の幅方向における前記多数層領域の前記融着部の長さは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である、前記<28>又は<29>に記載のパンツ型着用物品。
【0057】
<31>
前記サイドシール部の幅方向における前記少数層領域の前記融着部の長さは、好ましくは2mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である、前記<28>〜<30>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<32>
前記サイドシール部は、サイドシール部を構成するシートの積層枚数が複数である多数層領域と、該多数層領域よりもシートの枚数が少ない少数層領域とを有しており、
前記多数層領域は、前記少数層領域よりも前記接合強度低減剤の量が多い、前記<1>〜<31>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<33>
前記多数層領域における前記接合強度低減剤の量と、前記少数層領域における前記接合強度低減剤の量との差は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上あり、また好ましくは99g/m以下、より好ましくは30g/m以下である、前記<1>〜<32>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<34>
前記多数層領域における前記接合強度低減剤の量は、前記少数層領域における前記接合強度低減剤の量に対して、好ましくは120%以上、より好ましくは200%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは500%以下である、前記<1>〜<33>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<35>
前記多数層領域における前記接合強度低減剤の量は、好ましくは3g/m以上、より好ましくは6g/m以上であり、また好ましくは100g/m以下、より好ましくは30g/m以下である、前記<1>〜<34>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<36>
前記少数層領域における前記接合強度低減剤の量は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上であり、また好ましくは60g/m以下、より好ましくは20g/m以下である、前記<1>〜<35>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<37>
前記サイドシール部は、前記ウエスト開口部側の端部におけるシール強度が18N以下である、前記<1>〜<36>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<38>
前記サイドシール部は、前記ウエスト開口部側の端部におけるシール強度は、好ましくは18N以下、より好ましくは10N以下、さらに好ましくは8N以下である、前記<1>〜<37>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<39>
前記接合強度低減剤がホットメルト接着剤である、前記<1>〜<38>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<40>
前記吸収性物品は、内層シートと外層シートとから構成される外装体を備えており、前記外層シートを構成するシート材は、前記ウエスト開口部の周縁端において、前記内層シート側に折り返されて、前記外層シートの折り返し部分を形成している、前記<1>〜<39>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
【0058】
<41>
前記腹側部における前記外層シートの折り返し部分は、その縦方向の端縁が、前記吸収性本体の縦方向の腹側部側の端縁よりも股下部寄りの位置まで延びている、前記<40>に記載のパンツ型着用物品。
<42>
前記背側部における前記外層シートの折り返し部分は、その縦方向の端縁が、前記吸収性本体の縦方向の前記背側部側の端縁よりも前記股下部寄りの位置まで延びている、前記<40>又は<41>に記載のパンツ型着用物品。
<43>
前記内層シートを構成するシート材は、前記ウエスト開口部の周縁端において、前記外層シートと一体的に、前記内層シート側に折り返されて、前記内層シートの折り返し部分を形成している、前記<40>〜<42>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<44>
前記腹側部において前記内層シートの折り返していない部分と前記外層シートの折り返していない部分との間、及び前記内層シートの折り返し部分と前記外層シートの折り返し部分との間には、前記接合強度低減剤が配されている、前記<40>〜<43>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<45>
前記背側部において前記内層シートの折り返していない部分と前記外層シートの折り返していない部分との間、及び前記内層シートの折り返し部分と前記外層シートの折り返し部分との間に前記接合強度低減剤が配されている、前記<40>〜<44>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
【符号の説明】
【0059】
1 パンツ型使い捨ておむつ(パンツ型着用物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 吸収性本体
51 側方カフス
52 側方カフス形成用の弾性部材
6 外装体
6a 腹側部の側部
6b 背側部の側部
61 外層シート
61a,61b 折り返し部分
62 内層シート
62a,62b 折り返し部分
63 ウエスト弾性部材
64 レッグ弾性部材
65 胴回り部弾性部材
66 接合強度低減剤
7 重合部
72 ウエスト開口部側の端部
T1 多数層領域
T2 少数層領域
8 サイドシール部
81 融着部
83 剤非配置部
84 剤配置部
図1
図2
図3
図4
図5