特許第6881972号(P6881972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6881972
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】電気接触子及び電気部品用ソケット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20210524BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20210524BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20210524BHJP
【FI】
   G01R1/067 C
   G01R1/073 D
   G01R31/26 J
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-253017(P2016-253017)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-105743(P2018-105743A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(72)【発明者】
【氏名】砂子田 智
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/138388(WO,A2)
【文献】 特開2014−085207(JP,A)
【文献】 特開2002−357622(JP,A)
【文献】 特開2012−207994(JP,A)
【文献】 特表2015−520851(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0261851(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第1498617(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品の端子に接触する接触部を有し、
該接触部は、その先端部が平面視略円形状に形成され、該先端部における中心から放射状に複数の第1谷状部が形成され、該第1谷状部同士の間における前記先端部の略円形状の周囲に複数の凸部が設けられており、
該凸部は、その山の先端が枝分かれして複数の突起部が形成されており、
該複数の突起部が前記端子に接触することで、前記電気部品と電気的に接続されるように構成されていることを特徴とする電気接触子。
【請求項2】
前記凸部の山の先端に2つの前記突起部が形成されており、
該突起部同士の間に前記第1谷状部より谷の底が浅い位置にある第2谷状部を有していることを特徴とする請求項1に記載の電気接触子。
【請求項3】
1つの前記凸部の山の先端に形成された2つの前記突起部は、その山の高さがそれぞれ異なるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気接触子。
【請求項4】
配線基板上に配置され、電気部品が収容される収容部を有するソケット本体と、
該ソケット本体に配設されて前記電気部品に設けられた端子に接触する請求項1乃至3の何れか1つに記載の電気接触子とを有することを特徴とする電気部品用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置(以下「ICパッケージ」という)等の電気部品に電気的に接続される電気接触子、及び、この電気接触子が配設された電気部品用ソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気接触子としては、電気部品用ソケットとしてのICソケットに設けられたコンタクトピンが知られている。このICソケットは、配線基板上に配置されると共に、検査対象であるICパッケージが収容されるようになっており、このICパッケージの端子と、配線基板の電極とが、そのコンタクトピンを介して電気的に接続されて、導通試験等の試験を行うようになっている。
【0003】
そのようなコンタクトピンには、球状端子等の端子を有するICパッケージと接触するようになっているものがある。そして、そのようなコンタクトピンとしては、ICパッケージの球状端子と接触する接触部が複数の突起部を有する略王冠形状に形成されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−241353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、前記した特許文献1のようなコンタクトピンでは、略王冠形状の接触部における複数の突起部の先端で球状端子を突き刺すようにして、コンタクトピンの接触部とICパッケージの球状端子とを接触させる構成のものがある。しかしながら、このようなコンタクトピンにおいて、突き刺して接触した球状端子に大きな傷を付けてしまい、ICパッケージを実際に使用する際に不具合を生じさせる虞があった。また、接触部を深く突き刺すことで当該接触部が壊れ易くなって、コンタクトピンの耐久性に問題が生じる虞もあった。
【0006】
そこで、この発明は、複数の突起部が端子に接触することで電気部品(ICパッケージ)と電気的に接続する構成の電気接触子(コンタクトピン)及び電気部品用ソケット(ICソケット)において、電気部品の端子に大きな傷を付ける不具合を防止することができると共に、電気接触子の耐久性を向上させることができる電気接触子及び電気部品用ソケットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、電気部品の端子に接触する接触部を有し、該接触部は、その先端部が平面視略円形状に形成され、該先端部における中心から放射状に複数の第1谷状部が形成され、該第1谷状部同士の間における前記先端部の略円形状の周囲に複数の凸部が設けられており、該凸部は、その山の先端が枝分かれして複数の突起部が形成されており、該複数の突起部が前記端子に接触することで、前記電気部品と電気的に接続されるように構成されている電気接触子としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え前記凸部の山の先端に2つの前記突起部が形成されており、該突起部同士の間に前記第1谷状部より谷の底が浅い位置にある第2谷状部を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、1つの前記凸部の山の先端に形成された2つの前記突起部は、その山の高さがそれぞれ異なるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、配線基板上に配置され、電気部品が収容される収容部を有するソケット本体と、該ソケット本体に配設されて前記電気部品に設けられた端子に接触する請求項1乃至3の何れか一つに記載の電気接触子とを有する電気部品用ソケットとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、電気接触子の接触部が、複数の突起部が形成された複数の凸部を有しているため、端子を細かい突起部で突き刺して電気的に接続させることができ、その結果、電気部品の端子に大きな傷を付ける不具合を防止することができると共に、電気接触子の耐久性を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、凸部の山の先端に、深さの浅い第2谷状部を挟んで2つの突起部が形成されている構成であるため、一つの凸部に対して簡単に2つの突起部を形成することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、1つの凸部の先端部に形成された2つの突起部の高さがそれぞれ異なるようにされているため、始めは高さの高い方の突起部が端子に接触し、その高さの高い方の突起部が摩耗してきたときには、高さの低い方の突起部が端子に接触して、電気的な接続を持続させることができ、長期の接触安定性を確保することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れか一つに記載の電気接触子を有しているため、電気接触子の接触部が、複数の突起部が形成された複数の凸部を有し、端子を細かい突起部で突き刺して電気的に接続させることができ、その結果、電気部品の端子に大きな傷を付ける不具合を防止することができると共に、電気接触子の耐久性を向上させることができる電気部品用ソケットとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態1に係るICソケットの平面図である。
図2】同実施の形態1に係るICソケットにICパッケージを収容するところを示す正面図である。
図3図1のA−A断面図である。
図4図3のB部拡大断面図にICパッケージを収容した状態を示す図である。
図5図4の状態からICパッケージを下方に押し込んだ状態を示す拡大断面図である。
図6】同実施の形態1に係るICソケットにおけるコンタクトピンの拡大図である。
図7】同実施の形態1に係るICソケットにおけるコンタクトピンの配設状態を示す拡大断面図である。
図8】同実施の形態1に係るコンタクトピンを示す拡大断面図である。
図9】同実施の形態1に係るコンタクトピンの変形例を示す拡大断面図である。
図10】同実施の形態1に係るコンタクトピンの接触部の拡大斜視図である。
図11】同実施の形態1で使用するICパッケージの正面図である。
図12】同実施の形態1で使用するICパッケージの底面図である。
図13】この発明の実施の形態2に係るコンタクトピンの接触部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1図12には、この発明の実施の形態1を示す。
【0017】
この実施の形態の「電気部品用ソケット」としてのICソケット10は、図1及び図2に示すように、配線基板1上に固定され、上部に「電気部品」としてのICパッケージ2が収容されて、配線基板1の電極(図示省略)とICパッケージ2の「端子」としての半田ボール2aとを電気的に接続させるように構成されており、例えばICパッケージ2に対するバーンイン試験及び信頼性試験等の導通試験の試験装置などに用いられるものである。
【0018】
まず、この実施の形態のICパッケージ2について、図11及び図12を用いて説明する。この実施の形態のICパッケージ2は、図11及び図12に示すように、平面視略方形状のパッケージ本体2bを有しており、このパッケージ本体2bの下面に複数の球状の半田ボール2aがマトリックス状に設けられている。
【0019】
次に、この実施の形態のICソケット10について、図1図10を用いて説明する。この実施の形態のICソケット10は、ソケット本体14の上に、枠形状のガイド部材13が組み付けられた構成となっている。また、ソケット本体14には、上側プレート11と下側プレート12とを有している。
【0020】
また、このようなソケット本体14には、縦方向に貫通して配設された複数の「電気接触子」としてのコンタクトピン15を備えており、これら複数のコンタクトピン15がソケット本体14にマトリックス状に配置されている。また、ソケット本体14は上側プレート11と下側プレート12とが固定螺子(図示省略)により固定された状態で、位置決めピン(図示省略)により配線基板1上に位置決めされている。また、ガイド部材13の枠形状の内側には、ICパッケージ2を案内するために内側下方に傾斜するように形成されたガイド部13aが設けられている。
【0021】
そして、ソケット本体14における上側プレート11の上部が、ガイド部材13のガイド部13aによって上方から案内されたICパッケージ2を収容する収容部14aを構成している。
【0022】
この実施の形態では、ICパッケージ2の半田ボール2aの配置ピッチと、半田ボール2aに電気的に接続される配線基板1の電極の配置ピッチとは同一となっており、コンタクトピン15の配置ピッチはこれらの配置ピッチと同一となっている。
【0023】
各コンタクトピン15は、図6図8に示すように、長手方向の軸線Lに沿って、先端に配線基板1の電極と電気的に接触する第1接触部21を有する第1プランジャ20と、先端にICパッケージ2の半田ボール2aと電気的に接触する「接触部」としての第2接触部31を有する第2プランジャ30と、この第1プランジャ20と第2プランジャ30との間に連続する筒状部材40を有しており、この筒状部材40の内部に第1プランジャ20と第2プランジャ30とを軸線Lに沿って互いに離間する方向に付勢するコイルスプリング50が収容されている。
【0024】
筒状部材40は、導電性を有する材質で構成されており、図6図8に示すように、下側プレート12に設けられた下側上部貫通孔12aと、上側プレート11に設けられた上側上部貫通孔11aと上側下部貫通孔11bとに挿入されて、貫通孔11a,11b,12a内部を摺動可能に構成されている。また、筒状部材40の外側の一部には拡径部42が形成されている。この拡径部42は、上側下部貫通孔11b内に挿通されて当該上側下部貫通孔11b内を軸線Lに沿った方向(上下方向)に摺動可能となっている。また、上側上部貫通孔11aと下側上部貫通孔12aは拡径部42が挿通できないが他の筒状部材40の部位は挿通可能な幅に形成されている。これにより、上側下部貫通孔11bの上端と下端がストッパとなって、拡径部42が上側下部貫通孔11b内のみを摺動可能に構成されている。
【0025】
第1プランジャ20は、例えばパラジウム合金等で形成され、先端に配線基板1の電極と接触する先細り形状かつコンタクトピン15の長手方向の軸線L上の1箇所が突出する第1接触部21が設けられた第1突出部22と、第1突出部22より太い第1挿入部23とを備えている。このうち、第1挿入部23は、筒状部材40内に摺動可能に接触した状態で収容されており、筒状部材40の下端部に形成された第1係止部41により第1プランジャ20の突出方向(下方向)の移動が規制されている。
【0026】
また、第1挿入部23の端部には、コイルスプリング50を係止する第1受け部24が、略平面形状に一体形成されている。また、第1突出部22は、下側プレート12の下側下部貫通孔12bに摺動可能に挿通されている。そして、第1突出部22の先端に凸曲面形状に形成された第1接触部21が、図7(b)に示すように、配線基板1の電極に接触することで、配線基板1と電気的に接続されるようになっている。
【0027】
第2プランジャ30は、例えばパラジウム合金等で形成され、図8に示すように、先端にICパッケージ2の半田ボール2aと接触する所定形状の第2接触部31(形状については後述する)が設けられた第2突出部32と、第2突出部32より細い細径部39と、第2突出部32と同径に形成された第2挿入部33とが連続して一体に形成されている。また、第2突出部32における軸線L方向の途中位置にフランジ状部32aを備えている。このうち、フランジ状部32aを筒状部材40の上端部44に上方から当接させ、細径部39を筒状部材40の上端部44付近で細径にかしめて形成された嵌合部43で嵌合することで、第2プランジャ30は筒状部材40に軸線L方向(上下方向)の移動が規制された状態で保持されている。
【0028】
なお、第2プランジャ30を筒状部材40に軸線L方向(上下方向)の移動を規制した状態で保持する構成としては、図9に示すように、第2プランジャ30に細径部39を有しておらず、代わりに第2突出部32と同径に形成された第2挿入部33との間に太径部39aを有している構成でも良い。このときには、フランジ状部32aを筒状部材40の上端部44に上方から当接させ、太径部39aのすぐ上方で筒状部材40を細径に絞った縮径部43aを形成して太径部39aを縮径部43aに下方から当接させることで、第2プランジャ30を筒状部材40に保持するように構成される。
【0029】
また、第2挿入部33の端部には、コイルスプリング50を係止する第2受け部34が、略平面形状に形成されている。また、第2突出部32は、そのフランジ状部32aより上部が上側プレート11から突出し、第2接触部31が、収容部14aに収容されたICパッケージ2の半田ボール2aに当接可能に構成されている。
【0030】
また、第2プランジャ30の第2接触部31は、図7(c)に示すように、半田ボール2aの一定範囲に接触して、ICパッケージ2とICソケット10を電気的に接続するようになっている。この第2接触部31は、図10に示すように、複数(ここでは8つ)の突起部35を有する形状に形成されている。
【0031】
この実施の形態では、図10に示すように、第2接触部31の半田ボール2aに接触する先端部31aにおける半田ボール2aと対向する先端面の中心31bの平面視略円形の周囲に、山形に形成された凸部38が略等間隔に複数(ここでは4つ)配置されている。また、この凸部38は内周側から外周側に向かって突出高さが高くなるようになっており、その外周側の山の先端が複数(ここでは2つ)に分かれて複数(ここでは2つ)の尖った略同形状の突起部35を形成している。
【0032】
そして、これら複数の突起部35が半田ボール2aに突き刺さるように接触することで、ICパッケージ2とICソケット10が電気的に接続されるように構成されている。
【0033】
また、このような突起部35同士の間は、第1谷状部36と第2谷状部37が交互に設けられている。この実施の形態では、略等間隔に設けられた4つの凸部38同士の間に第1谷状部36が設けられており、4つの凸部38の先端に形成された2つの突起部35同士の間に第2谷状部37が設けられている。
【0034】
また、この実施の形態の第1谷状部36と第2谷状部37は、その第1谷底部36aと第2谷底部37aが双方とも断面視略V字状に形成されている。また、直線状の2本の第1谷底部36aが第2接触部31の中心31bで交差するように形成されている。また、第2谷状部37は、第2接触部31における軸線Lと直交する面(略水平面)で第2接触部31の先端からの深さが第1谷状部36より浅い面上を中心31bから所定長さ外周側に向かった箇所から外周側まで直線状に形成されている。
【0035】
すなわち、この実施の形態における第1谷底部36aが第2接触部31の先端から深い位置、第2谷底部37aが第2接触部31の先端から浅い位置に形成されて、谷底部36a,37a同士が段差を有する構成となっている。
【0036】
また、2つの突起部35から第2接触部31の中心31bに向かう途中までは、滑らかに傾斜して下降していく第1峰状部35aが形成されている。また、第1峰状部35aの中心31b側の端部から第2接触部31の中心31bまでは、滑らかに傾斜して下降していく第2峰状部35bが形成されている。
【0037】
第1峰状部35aはそれぞれの突起部35に1つずつ計8つ形成されており、第2接触部31の中心31bに向かう途中で2つの第1峰状部35aが接続されるようになっている。また、第2峰状部35bは、2つの第1峰状部35aが接続された箇所から第2接触部31の中心31bまで形成されており、2つの突起部35に対して1つずつ計4つの第2峰状部35bが形成されており、その傾斜角度は、第1峰状部35aよりも角度が大きくなるように形成されている。
【0038】
次に、このような第2接触部31を備えた第2プランジャ30を有するコンタクトピン15の製造方法について、図8図10を用いて説明する。
【0039】
まず、筒形状で外側の一部に拡径部42が形成された筒状部材40を形成し、所定形状のコイルスプリング50を形成する。このときの筒状部材40には、第1係止部41と嵌合部43は形成されておらず、軸線L方向に同径の筒形状が形成されているものとなっている。
【0040】
また、第1接触部21が設けられた第1突出部22を有し、第1受け部24が設けられていて第1突出部22より太い第1挿入部23を有する第1プランジャ20を形成する。
【0041】
また、第2プランジャ30に第2接触部131を形成するに際しては、所定形状の金属棒状部材(図示省略)の先端部に対して加工を行う。これにより、図10に示すような8つの突起部35を有する第2接触部31が形成される。また、金属棒状部材にフランジ状部32aを形成する加工を行う。
【0042】
それから、切削や押圧等により細径部39を形成すると共に、金属棒状部材Kを所定の長さで切断する等の加工を行い、第2プランジャ30を形成する。
【0043】
その後、筒状部材40の下方から第1プランジャ20の第1挿入部23を挿入後、筒状部材40の下端をかしめる等により、第1挿入部23より細径かつ第1突出部22より太径の第1係止部41を形成し、筒状部材40に第1プランジャ20を軸線L方向に摺動可能に保持する。
【0044】
次に、筒状部材40の上方から第2プランジャ30の第2挿入部33を挿入し、フランジ状部32aを筒状部材40の上端部44に上方から当接させる。それから、第2プランジャ30の細径部39に対応する位置の筒状部材40をかしめる等により絞り、筒状部材40に嵌合部43を形成する。これにより、フランジ状部32aと細径部39が上端部44と嵌合部43で軸線L方向に移動しないように保持された状態とし、コンタクトピン15を形成する。
【0045】
なお、第2プランジャ30を筒状部材40に軸線L方向(上下方向)の移動を規制した状態で保持する構成として、図9に示すように、第2プランジャ30に細径部39を有しておらず、代わりに第2突出部32と同径に形成された第2挿入部33との間に太径部39aを有している構成とする場合には、製造方法を次のように一部変更して行う。
【0046】
すなわち、第2プランジャ30を形成する際に、加工において、金属棒状部材にフランジ状部32a及び太径部39aを形成する。
【0047】
また、筒状部材40の上方から第2プランジャ30の第2挿入部33を挿入し、フランジ状部32aを筒状部材40の上端部44に上方から当接させた後、第2プランジャ30の太径部39aのすぐ上方に対応する位置の筒状部材40をかしめる等により絞り、筒状部材40に縮径部43aを形成する。これにより、フランジ状部32aと太径部39aが上端部44と縮径部43aで軸線L方向に移動しないように保持された状態とし、コンタクトピン15を形成する。
【0048】
次に、このような第2接触部31が形成された第2プランジャ30を有するコンタクトピン15を備えたICソケット10の作用について説明する。
【0049】
このICソケット10を使用する際には、複数のコンタクトピン15をそれぞれソケット本体14に装着し、図7(a)に示すように、第1プランジャ20の第1接触部21を下方に突出させると共に、第2プランジャ30の第2接触部31を上方に突出させた状態で配置する。そして、このICソケット10を配線基板1に位置決め固定し、図7(b)に示すように、第1プランジャ20の第1接触部21を配線基板1の電極に接触させる。このとき、筒状部材40内でコイルスプリング50が第1プランジャ20の第1挿入部23の第1受け部24により圧縮され、その結果、筒状部材40の拡径部42が上側下部貫通孔11bの上端に押し付けられた状態となる。
【0050】
その後、図4に示すように、ICパッケージ2を収容部14aに収容して、半田ボール2aを第2接触部31に接触させる。その状態で押圧治具(図示省略)等を下降させてICパッケージ2を下方に押圧すると、第2プランジャ30の第2接触部31における8つの突起部35が半田ボール2aにより押圧され、図5及び図7(c)に示すように、第2プランジャ30が下方に押し込まれる。そして、このように第1プランジャ20及び第2プランジャ30によってコイルスプリング50を圧縮することで、当該コイルスプリング50で第1プランジャ20の第1接触部21と第2プランジャ30の第2接触部31とを互いに離間する方向に付勢して配線基板1の電極とICパッケージ2の半田ボール2aに適切な接圧を持って接触させて電気的に接続させた状態で、ICパッケージ2のバーンイン試験等の導通試験を実施する。
【0051】
このように、半田ボール2aに対して第2接触部31の複数の凸部38に形成された複数の突起部35を突き刺すように当接させて、ICパッケージ2とコンタクトピン15との電気的な接続を行うようになっていることで、第2接触部31が半田ボール2aに深く突き刺さることなく、半田ボール2aに大きな傷を付ける不具合を防止することができる。また、突起部35が深く突き刺さらないため、コンタクトピン15が壊れ難くなり、コンタクトピン15の耐久性を向上させることができる。
【0052】
また、この実施の形態のコンタクトピン15によれば、半田ボール2aに当接する突起部35が8つ設けられていることで、従来のような4つの突起部を有するコンタクトピンよりも、半田ボール2aを安定した状態で接触させることができる。
[発明の実施の形態2]
図13には、この発明の実施の形態2を示す。なお、この発明の実施の形態は、以下に説明する事項以外については前記した実施の形態1と同様であるので、前記した実施の形態1と異なる事項以外は同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
この実施の形態は、前記した実施の形態1におけるコンタクトピン15の第2プランジャ30の第2接触部31を、図13に示すような先端形状の異なる第2接触部131に変更したものである。以下、この実施の形態における第2接触部131について説明する。
【0054】
この実施の形態の第2接触部131は、図13に示すように、前記した実施の形態1と同様の複数(ここでは8つ)の突起部135を有する形状に形成されているが、その形状が異なっている。
【0055】
この実施の形態では、図13に示すように、1つの凸部138の山の先端に形成された2つの突起部135の山の高さが異なるようになっており、一方の突起部135cが他方の突起部135dより山の高さが高くなるように構成されている。
【0056】
次に、このような第2接触部131が形成された第2プランジャ30を有するコンタクトピン15を備えたICソケット10の作用について説明する。なお、前記した実施の形態1と同様の記載は、説明を省略する。
【0057】
この実施の形態のコンタクトピン15によれば、1つの凸部138の先端部131aに形成された2つの突起部135c,135dの高さがそれぞれ異なるようにされているため、始めは高さの高い方の突起部135cが半田ボール2aに接触し、その高さの高い方の突起部135cが摩耗してきたときには、高さの低い方の突起部135dが半田ボール2aに接触して、電気的な接続を持続させることができ、長期の接触安定性を確保することができる。
【0058】
なお、前記した実施の形態1,2では、第2接触部31,131において突起部35,135が8つ設けられていたが、本発明はこれに限るものではなく、半田ボールを安定的に支持することができれば、突起部が8つでなくても良く、7つ以下や9つ以上であっても良い。
【0059】
また、前記した実施の形態1,2では、第2接触部31,131において凸部38,138が等間隔に4つ設けられていたが、本発明はこれに限るものではなく、半田ボールを安定的に支持することができれば、凸部が等間隔に設けられていなくても良く、また、その数も4つではなく、3つや5つ以上であっても良い。
【0060】
さらに、1つの凸部に対して突起部が2つでなく3つ以上形成されるようになっていても良い。
【0061】
またさらに、突起部、凸部、谷状部等の形状は、前記した実施の形態1,2のものに限らず、他の形状に形成されていても良い。
【0062】
また、前記した実施の形態1,2では、第1谷状部36と第2谷状部37は、その第1谷底部36aと第2谷底部37aが断面視略V字状に形成されていたが、これに限るものではなく、例えば、第1谷底部と第2谷底部の少なくとも一方が平面状の帯状に形成されていても良い。
【0063】
このように谷状部の谷底部が平面状の帯状に形成されていると、半田ボールと接触して半田ボールから剥がれ落ちたクズが谷状部の谷底部に落ちても取り出し易いため、当該クズが谷底部に詰まってしまって取り出し難くなる不具合を防止することができる。
【0064】
また、凸部同士の間の第1谷状部の外周側や、突起部同士の間の第2谷状部の外周側に、これらを塞ぐ所定高さの外壁部が設けられていても良い。この外壁部は、第2接触部と一体に形成されていても良いし、第2接触部とは別体が第2接触部の外周側から係止されるようになっていても良い。なお、外壁部の高さは、突起部が突出してその作用を発揮できる程度の高さに形成されていれば良い。
【0065】
このように谷状部に外壁部を有していると、半田ボールと接触して半田ボールから剥がれ落ちたクズが谷底部を通ってコンタクトピンから落ちて外部に漏れて、ICソケットや配線基板等に飛散して悪影響を与える不具合を防止することができる。
【0066】
なお、本発明の「電気接触子」は、前記した実施の形態1,2のような構造のコンタクトピンに限るものではなく、他の構造のものにも適用できる。また、前記した実施の形態1,2では、本発明の「電気部品用ソケット」をカバー等がなく上面が開放されたタイプのICソケットに適用したが、これに限るものではなく、カバー等を有するICソケットや、ICソケット以外の他の装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 配線基板
2 ICパッケージ(電気部品)
2a 半田ボール(端子)
10 ICソケット(電気部品用ソケット)
14 ソケット本体
15 コンタクトピン(電気接触子)
20 第1プランジャ
21 第1接触部
30 第2プランジャ
31,131 第2接触部(接触部)
31a,131a 先端部
31b 中心
35,135,135c,135d 突起部
36 第1谷状部
37 第2谷状部
38,138 凸部
40 筒状部材
50 コイルスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13