(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882034
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】免震構造物用の外部足場
(51)【国際特許分類】
E04G 1/24 20060101AFI20210524BHJP
E04G 1/14 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
E04G1/24 301Z
E04G1/14 301A
E04G1/14 301C
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-66332(P2017-66332)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-168587(P2018-168587A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 紀博
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 史信
(72)【発明者】
【氏名】中橋 千宜
(72)【発明者】
【氏名】平野 秀和
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩之
【審査官】
油原 博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−004571(JP,A)
【文献】
特開2012−188849(JP,A)
【文献】
特開2010−185211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/14、1/24、5/04
E04G 23/02
E04H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免震層を有する免震構造物用の外部足場であって、
地盤又は前記免震構造物の前記免震層よりも下層の下部構造に支持され、水平方向に延在する支持面を上面に有しかつ前記免震構造物に沿って所定の長さ及び所定の幅をもって延在する支持板を備えた下層部と、
前記支持板によって支持された複数対の柱部材、及び前記柱部材の上部に直接又は間接に支持された踏板を有する上層部と、
前記上層部を前記免震構造物の前記免震層よりも上層の上部構造に連結する壁つなぎとを備え、
前記柱部材の下端部が、水平方向の少なくとも一方向に摺動又は転動可能な脚部を介して前記支持板に支持され、
前記一方向に於ける両端部に配置された2つの前記柱部材の下端部の間隔が、当該2つの前記柱部材の前記上部の間隔よりも小さいことを特徴とする免震構造物用の外部足場。
【請求項2】
前記一方向は、幅方向であり、
対をなす前記柱部材は、構造物側に設けられた構造物側柱部材及び反構造物側に設けられた反構造物側柱部材からなり、
前記構造物側柱部材及び前記反構造物側柱部材の下端部が少なくとも幅方向を含む水平方向に摺動又は転動可能な前記脚部を介して前記支持板に支持され、
前記構造物側柱部材及び前記反構造物側柱部材の前記下端部の間隔が、当該両柱部材の前記上部の間隔よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の免震構造物用の外部足場。
【請求項3】
前記構造物側柱部材の前記下端部から前記両柱部材間の前記上部に於ける中心までの幅方向の距離が、前記反構造物側柱部材の前記下端部から前記両柱部材間の前記上部に於ける中心との幅方向の距離よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の免震構造物用の外部足場。
【請求項4】
前記脚部の前記幅方向に於ける摺動又は転動可能範囲は、反構造物側への摺動又は転動可能距離が、構造物側への摺動又は転動可能距離よりも長くなるように設定されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の免震構造物用の外部足場。
【請求項5】
前記下層部は、水平方向に延在する支持面を上面に有し、前記免震構造物に沿って前記支持板の幅よりも大きな所定の幅をもって延在し、かつ前記支持板を水平方向に摺動可能に下方から支持する副支持板を更に有することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の免震構造物用の外部足場。
【請求項6】
前記下層部は、前記副支持板の下面に当接するゴムシートを更に有することを特徴とする請求項5に記載の免震構造物用の外部足場。
【請求項7】
前記支持板は、その周縁部の少なくとも一部に立設されて前記脚部を係止可能な第1ストッパを有し、
前記副支持板は、その周縁部の少なくとも一部に立設されて前記支持板を係止可能な第2ストッパを有することを特徴とする請求項6に記載の免震構造物用の外部足場。
【請求項8】
前記免震構造物は、中間階に前記免震層を有し、
前記下層部は、前記壁つなぎによって前記下部構造に連結され、
前記支持板は、前記免震層に整合する高さに設けられたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の免震構造物用の外部足場。
【請求項9】
前記壁つなぎは、前記免震構造物に沿った水平方向に所定の間隔で配置され、前記支持板と前記上層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板との間、前記上層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板と前記上層部に於いて前記支持板から2段目の前記踏板との間、前記支持板と前記下層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板との間、及び、前記下層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板と前記下層部に於いて前記支持板から2段目の前記踏板との間に、それぞれ少なくとも1列ずつ配置されたことを特徴とする請求項8に記載の免震構造物用の外部足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、免震構造物用の外部足場に関する。
【背景技術】
【0002】
免震層を有する免震構造物では、地盤に固定されて免震層よりも下層に位置する下部構造が、免震層よりも上層の上部構造に対して水平方向に所定の範囲で移動可能である。よって、地震時には、下部構造及び上部構造間に相対的な水平変位が生じるため、免震構造物用の外部足場に於いても、下層及び上層間で相対的に水平方向に変位可能とし、この変位に追従することが望まれる。
【0003】
特許文献1には、建物基礎と建物本体との間に免震層が設けられた免震構造物用の外部足場であって、地面に固定されたH型鋼上に設けられたすべり支承材が、建物本体に固定された鋼板を摺動可能に支持し、その鋼板上に足場が設けられた外部足場が開示されている。地震時には、鋼板がすべり支承材上を摺動することによって、外部足場が建物基礎と建物本体との間の相対的な水平変位に追従できる。
【0004】
特許文献2には、建物の中間階に免震層が設けられた免震構造物用の外部足場であって、足場の上層を、建物の上層に取り付けたブラケット上に設けた外部足場や、各階層の脚部にすべり支承を有する治具を設けた外部足場が開示されている。前者は、外部足場の上層と下層とが互いに独立していることによって、後者は、外部足場の各層における脚部がその下層に対して水平方向に摺動可能であることによって、外部足場が、地震時の免震構造物の上層と下層との間の相対的な水平変位に追従できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−4571号公報
【特許文献2】特開2012−188849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の外部足場は、鋼板を設置するのに比較的広いスペースが必要であり、障害物がある場所や、中間階免震の場合のようにスペースが狭い場所に適用することが困難であった。また、特許文献2に記載のブラケットを用いる外部足場は、ブラケットを固定するために建物に孔を設ける必要があり、足場撤去後にその孔を埋める等の補修及び補強が必要であった。また、特許文献2に記載のすべり支承を用いる外部足場では、すべり支承の可動範囲が小さいため、全体として所望の水平変位幅を得るべく、足場の複数の階層にすべり支承を設ける必要があった。また、このすべり支承が特殊な構造であるため、鋼材を加工して製造するのに手間がかかり、コスト増加の原因となっていた。
【0007】
このような問題を鑑み、本発明は、比較的狭いスペースに1層で所望の変位量を確保できる免震構造物用の外部足場を提供することを目的とする。なお、少なくとも幾つかの実施形態では、上記の目的に加えて、足場撤去後の補修及び補強の負担を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る外部足場(1,41)は、免震層(2)を有する免震構造物(3)用の外部足場であって、地盤又は前記免震構造物の前記免震層よりも下層の下部構造(5)に支持され、水平方向に延在する支持面を上面に有しかつ前記免震構造物に沿って所定の幅をもって延在する支持板(20,43)を備えた下層部(18,42)と、前記支持板によって支持された複数対の柱部材(24,25)、及び前記柱部材の上部に直接又は間接に支持された踏板(12)を有する上層部(19)と、前記上層部を前記免震構造物の前記免震層よりも上層の上部構造(6)に連結する壁つなぎ(34)とを備え、前記柱部材の下端部が、水平方向の少なくとも一方向に摺動又は転動可能な脚部(26)を介して前記支持板に支持され、前記一方向に於ける両端部に配置された2つの前記柱部材の下端部の間隔が、当該2つの前記柱部材の前記上部の間隔よりも小さいことを特徴とする。前記一方向は、幅方向であり、対をなす前記柱部材は、構造物側に設けられた構造物側柱部材(24)及び反構造物側に設けられた反構造物側柱部材(25)からなり、前記構造物側柱部材及び前記反構造物側柱部材の下端部が少なくとも幅方向を含む水平方向に摺動又は転動可能な前記脚部を介して前記支持板に支持され、前記構造物側柱部材及び前記反構造物側柱部材の前記下端部の間隔が、当該両柱部材の前記上部の間隔よりも小さいことが好ましい。また、前記免震構造物は、中間階に前記免震層を有し、前記下層部は、前記壁つなぎによって前記下部構造に連結され、前記支持板は、前記免震層に整合する高さに設けられることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、所定の方向に於ける両端部に配置された2つの柱部材の下端部の間隔が、その上部の間隔よりも小さいため、所定の方向の長さが制限される場合であっても、所定の方向の変位可能範囲を大きくすることができる。特に、この方向を幅方向とすると、構造物側柱部材及び反構造物側柱部材の下端部の間隔が、両柱部材の上部の幅よりも小さいため、脚部の幅を小さくでき、幅の狭い支持板であっても幅方向の変位可能範囲を大きくすることができる。また、外部足場の上層部の自重は、下層部に支持される。そのため、上層部と免震構造物の上部構造との間に、外部足場の撤去後に大きな補修又は補強を要する強固な結合は不要となる。
【0010】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る外部足場は、上記構成に於いて、前記構造物側柱部材の前記下端部から前記両柱部材間の前記上部に於ける中心までの幅方向の距離が、前記反構造物側柱部材の前記下端部から前記両柱部材間の前記上部に於ける中心との幅方向の距離よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、幅方向に於いて、上層部の重心が、両柱部材の下端部間の中心よりも構造物側に位置するため、上層部が反構造物側よりも構造物側に倒れやすい。そのため、想定以上の規模の地震が発生しても、外部足場が反構造物側に倒れることを抑制できる。
【0012】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る外部足場は、上記構成の何れかに於いて、前記脚部の前記幅方向に於ける摺動又は転動可能範囲は、反構造物側への摺動又は転動可能距離が、構造物側への摺動又は転動可能距離よりも長くなるように設定されたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、脚部が支持板の反構造物側に逸脱するよりも構造物側に逸脱しやすいため、想定以上の規模の地震が発生しても、外部足場が反構造物側に倒れることを抑制できる。
【0014】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る外部足場は、上記構成の何れかに於いて、前記下層部は、水平方向に延在する支持面を上面に有し、前記免震構造物に沿って前記支持板の幅よりも大きな所定の幅をもって延在し、かつ前記支持板(43)を水平方向に摺動可能に下方から支持する副支持板(44)を更に有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、脚部と支持板との間、及び、支持板と副支持板との間の両方で水平変位が可能であるため、何らかの原因でどちらか一方に於いて水平変位が妨げられても、他方に於いて水平変位が可能である。そのため、地震時に上層部と下層部との間で水平変位が生じないというおそれを低減できる。
【0016】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る外部足場は、上記構成に於いて、前記下層部は、前記副支持板の下面に当接するゴムシート(45)を更に有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、副支持板が摩擦係数の高いゴムシートによって支持されて、両者の間の摩擦力が高くなるため、副支持板を下層部の本体に定着させるためのボルト等の定着具、すなわち、副支持板の上面の平滑性を妨げる部材の量を減らすことができる。副支持板の上面の平滑性が良好になるため、支持板と副支持板との間の摩擦力を低減できる。
【0018】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る外部足場は、上記構成に於いて、前記支持板は、その周縁部の少なくとも一部に立設されて前記脚部を係止可能な第1ストッパ(46)を有し、前記副支持板は、その周縁部の少なくとも一部に立設されて前記支持板を係止可能な第2ストッパ(47)を有することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1ストッパ及び第2ストッパを設けることにより、上層部が、支持板及び副支持板から逸脱して倒壊するおそれを低減することができる。
【0020】
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る外部足場は、上記構成の内、中間階免震構造物用の外部足場に於いて、前記壁つなぎは、前記免震構造物に沿った水平方向に所定の間隔で配置され、前記支持板と前記上層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板との間、前記上層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板と前記上層部に於いて前記支持板から2段目の前記踏板との間、前記支持板と前記下層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板との間、及び、前記下層部に於いて前記支持板から1段目の前記踏板と前記下層部に於いて前記支持板から2段目の前記踏板との間に、それぞれ少なくとも1列ずつ配置されたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、免震構造物と外部足場とに於いて、下部構造と下層部との幅方向の結合、及び上部構造と上層部との幅方向の結合が強固となり、それぞれ、地震時に一体となって移動するため、下層部及び上層部が傾き難くなる。そのため、支持板と脚部との間の摩擦力が増大した場合や、脚部が支持板の輪郭を超えて水平移動した場合であっても、上層部が倒壊又は崩壊するおそれを大きく低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、比較的狭いスペースに1層で所望の変位幅を確保できる免震構造用の外部足場を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】実施形態の変形例に係る外部足場の拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1及び
図2は、実施形態に係る外部足場1の正面図及び側面図である。外部足場1は、中間階に免震層2を備えた免震構造物である建物3に適用される。
【0025】
免震層2は、積層ゴム支承等の免震装置4を有する。建物3の免震層2よりも下層の下部構造5は、免震装置4を介して免震層2よりも上層の上部構造6を支持しているため、下部構造5は、上部構造6に対して水平方向に所定の範囲で変位可能である。そのため、地震時には、下部構造5及び上部構造6は、相対的に水平方向に変位する。下部構造5及び上部構造6は、それぞれ、柱7、大梁8、床スラブ9及び外壁10等を有する。免震装置4は、下部構造5の柱7の上端と上部構造6の柱7の下端との間に配置される。
【0026】
外部足場1は、一般的な枠組足場と同様に、建枠11、建枠11に支持された踏板12、及び手摺り13等を備え、ブレース14、根がらみ15、下桟16及び頭つなぎ17等で補強されている。
【0027】
本実施形態に係る外部足場1は、下層部18と上層部19とを備え、下層部18は、免震層2に整合する高さに於いて、上層部19を水平方向に移動可能に支持する。
【0028】
下層部18の頂部には、上層部19を支持する支持板20と、支持板20を支持する床組21とが設けられている。支持板20は、その主面が水平方向に延在する鋼板からなり、建物3の外壁10に沿って所定の幅をもって延在し、免震装置4と概ね整合する高さに位置する。床組21は、下層部18の頂部側に配置された建枠11aに支持された1対の大引材22と、1対の大引材22間の上側に架け渡されて支持板20を支持する複数の根太材23とを有する。1対の大引材22は、建物3の外壁10に沿って延在し、幅方向(建物3に対する近接離間方向)に互いに離間している。複数の根太材23は、幅方向に沿って延在し、建物3の外壁10に沿う方向に於いて互いに等間隔に配置される。例えば、角形パイプを、1対の大引材22及び複数の根太材23として使用できる。
【0029】
上層部19の底部側に配置された建枠11bは、構造物側に配置された構造物側柱部材24と、反構造物側に配置された反構造物側柱部材25とを有し、両者が対をなしている。複数の建枠11bが、建物3の外壁10に沿って配置されており、各々の建枠11bの構造物側柱部材24と反構造物側柱部材25が幅方向に整合している。構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25の下端部が、脚部26を介して支持板20に支持されている。
【0030】
脚部26は、構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25の下端部に固定される架台27と、架台27に固定されて支持板20の上面を転動するボールベアリング28を有する。架台27は、H型鋼29,30を組み合わせることにより構成される。建物3の外壁10に沿って配置される2本のH型鋼29の一方が複数の構造物側柱部材24を支持し、他方が複数の反構造物側柱部材25を支持する。2本のH型鋼29の下面には、それぞれ複数のボールベアリング28が固定される。2本のH型鋼29間の下側に、複数のH型鋼30を架け渡して、架台27を安定させることが好ましい。複数のH型鋼30の下面は、支持板20から離間している。構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25の下端部には、ジャッキベース31が設けられており、ジャッキベース31の敷盤32が、H型鋼29の上フランジに載置される。ブルマン等の固定金具33が敷盤32及びH型鋼29の上フランジを挟持することにより、構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25が架台27に固定される。ボールベアリング28が、支持板20を転動することにより、下層部18と上層部19とが相対的に水平方向に変位する。また、ボールベアリング28の幅方向における転動可能範囲は、反構造物側への変位幅が構造物側への変位幅よりも大きいことが好ましい。なお、ボールベアリング28の代わりに、ローラーベアリング等の他の転動部材や、支持板20を摺動する摺動部材を用いてもよい。
【0031】
反構造物側柱部材25は、全体が鉛直方向に沿って延在する。一方、構造物側柱部材24は、踏板12が配置される上部では鉛直方向に沿って延在するが、それよりも下方では、下方に向かうにつれて反構造物側柱部材25に近接するように傾斜している。従って、構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25の下端部の間隔が、その上部の間隔よりも小さくなっている。換言すると、脚部26の幅方向の長さが、上部に於ける構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25間の幅方向の距離よりも短くなっている。なお、構造物側柱部材24が傾斜ではなく、湾曲又は屈折することにより、構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25の下端部の間隔が狭くなっていてもよい。
【0032】
また、構造物側柱部材24の傾斜によって、構造物側柱部材24の下端部から両柱部材24,25間の上部に於ける中心までの幅方向の距離が、反構造物側柱部材25の下端部から両柱部材24,25間の上部に於ける中心との幅方向の距離よりも小さくなっている。すなわち、幅方向に於いて、両柱部材24,25の下端部の中心が、上層部19の重心よりも反構造物側に位置する。そのため、上層部19は、反構造物側よりも構造物側に傾き易くなっている。なお、反構造物側柱部材25の下部が、構造物側柱部材24に向かって傾斜、湾曲又は屈折していてもよいが、このような重心の位置関係を満たしていることが好ましい。
【0033】
また、壁つなぎ34は、非免震構造物用の外部足場に設置されるものよりも多く設けられ、地震時に、下層部18及び上層部19が、それぞれ建物3の下部構造5及び上部構造6と一体に揺れるようにすることが好ましい。例えば、建物3に沿った水平方向については、壁つなぎ34は法令の基準を満たす所定の間隔(8m以下)で配置され、高さ方向については、支持板20と上層部19に於いて支持板20から1段目の踏板12との間、上層部19に於いて支持板20から1段目の踏板12と上層部に於いて支持板20から2段目の踏板12との間、支持板20と下層部18に於いて支持板20から1段目の踏板12との間、及び、下層部18に於いて支持板20から1段目の踏板12と下層部18に於いて支持板20から2段目の踏板12との間に、それぞれ少なくとも1列ずつ配置されることが好ましい。なお、支持板20と支持板20に最も近接する踏板12との間隔は、1.5〜2m程度である。このように間隔を設定することにより、下層部18及び上層部19がそれぞれ傾き難くなり、支持板20とボールベアリング28との間の摩擦力が増大した場合や、ボールベアリング28が支持板20の輪郭を超えて水平移動した場合であっても、上層部19が倒壊又は崩壊するおそれを大きく低減することができる。
【0034】
外部足場1の作用効果について説明する。
【0035】
支持板20は、外部足場1の高さ方向の中間に設置されるため、幅方向の設置スペースが小さい。そこで、脚部26の幅方向の長さを、上部に於ける構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25間の幅方向の距離よりも短くすることによって、幅方向のスペースが限定される支持板20であっても、脚部26は、支持板20に対して幅方向に大きく変位することができる。従って、支持板20と脚部26による水平変位可能な層間部を免震層2と同じ高さに1つ設けるだけで十分な変位幅を確保でき、免震層2と異なる高さにも水平変位可能な層間部を設ける場合に比べて、外部足場1が建物3と一体となって水平変位して安定する。
【0036】
また、想定以上の規模の地震が発生した場合であっても、外部足場1が反構造物側に倒れて周囲に損害を与えることは回避するべきである。そこで、ボールベアリング28の幅方向における転動可能範囲を、反構造物側への変位幅が構造物側への変位幅よりも大きくすれば、反構造物側に転倒するおそれを低減できる。幅方向に於ける上層部19の重心が、構造物側柱部材24及び反構造物側柱部材25間の中心や、脚部26の幅方向の中心よりも建物3側に位置することによって、上層部19が反構造物側よりも構造物側に倒れやすくなる。このように構成することによって、支持板20の設置スペースに制限があり、支持板20を十分大きくできなくとも、外部足場1が、反構造物側に向かって倒壊することを抑制できる。また、構造物側に倒れたとき、建物3に支持されることになるため、外部足場1の倒壊を抑制できる。
【0037】
また、支持板20及びこれを支持する床組21、並びに脚部26は、市場で容易に入手可能な汎用部品を用いて組み立てることができる。そのため、外部足場1の材料コスト及び組み立てコストの増加を抑えることができる。
【0038】
また、外部足場1から建物3に対して大きな鉛直方向荷重が加わらないため、外部足場1を建物3に固定する手段は壁つなぎ34等で十分であり、外部足場1の撤去後に大幅な補修又は補強工事を要するような固定手段を用いる必要がない。
【0039】
次に、
図3を参照して、上記実施形態の変形例に係る外部足場41について説明する。なお、説明に当たって、上記実施形態と同様の構造及び作用を示す構成は、同じ符号を付し、その説明を省略する。変形例に係る外部足場41は、下層部42に於いて、支持板43が副支持板44に摺動可能に支持されている点等で上記実施形態と異なる。
【0040】
下層部42は、床組21の上面に固定されたゴムシート45と、ゴムシート45の上に載置された副支持板44と、副支持板44の上面に摺動可能に支持されて、ボールベアリング28を転動可能に支持する支持板43とを有する。支持板43は、平面視で副支持板44よりも小さな輪郭を有する。支持板43は、周縁部に立設された第1ストッパ46を有し、ボールベアリング28の水平方向への移動を規制する。副支持板44は、周縁部に立設された第2ストッパ47を有し、支持板43の水平方向への移動を規制する。第1ストッパ46及び第2ストッパ47は、それぞれ支持板43及び副支持板44の周縁部の全体に設けられても、一部に設けられてもよい。
【0041】
副支持板44が摩擦係数の高いゴムシート45によって支持されて、両者の間の摩擦力が高くなるため、副支持板44を床組21に定着させるためのボルト等の定着具(図示せず)、すなわち、副支持板44の上面の平滑性を妨げる部材の量を減らすことができ、支持板43と副支持板44との間の摩擦力を低減できる。また、ボールベアリング28と支持板43との間で水平変位が可能であり、かつ、支持板43と副支持板44との間でも水平変位が可能であるため、どちらか一方に於いて両部材間の摩擦力が高くなり、水平変位が妨げられても、他方に於いて水平変位が生じる。そのため、地震時に上層部19と下層部42との間で水平変位が生じないというおそれを低減できる。また、第1ストッパ46及び第2ストッパ47を設けることにより、上層部19が、支持板43及び副支持板44から逸脱して倒壊するおそれを低減することができる。
【0042】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。本発明は、枠組足場だけでなく、単管足場等の他の足場に適用することもできる。また、本発明は、中間階に免震層を有する構造物だけでなく、基礎と構造物本体との間に免震層を有する構造物にも適用でき、特に、構造物から敷地境界までの距離が近い場合や、障害物がある場合のように、支持板の設置スペースが限定される場合に好適である。また、幅方向に加えて、又は幅方向に代えて、他の方向、例えば免震構造物に沿った方向の両端部に配置される2つ柱部材の下端部の間隔をその上部の間隔よりも小さくしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1,41:外部足場
2:免震層
3:建物(免震構造物)
4:免震装置
5:下部構造
6:上部構造
11:建枠
12:踏板
18,42:下層部
19:上層部
20,43:支持板
24:構造物側柱部材
25:反構造物側柱部材
26:脚部
34:壁つなぎ
44:副支持板
45:ゴムシート
46:第1ストッパ
47:第2ストッパ