(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882048
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】電気接続箱及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20210524BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-86221(P2017-86221)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-186624(P2018-186624A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 達彦
(72)【発明者】
【氏名】垣見 孝明
【審査官】
鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−140241(JP,A)
【文献】
特開2013−063016(JP,A)
【文献】
特開2006−149165(JP,A)
【文献】
特開2011−160626(JP,A)
【文献】
特開2015−061326(JP,A)
【文献】
特開2010−279191(JP,A)
【文献】
米国特許第05643693(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/04
3/08
3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が組み付けられる箱本体と、
筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、
前記筒部は、
前記箱本体に設けられた筒部本体と、
前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、
前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有し、
前記第1曲げ支持部は、前記筒部の軸方向に沿って形成され、
前記可動片は、前記第1曲げ支持部で前記配索材側に曲げられることで、前記筒部の周方向に沿って前記配索材に追従することを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
電子部品が組み付けられる箱本体と、
筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、
前記筒部は、
前記箱本体に設けられた筒部本体と、
前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、
前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、
前記箱本体に前記筒部本体の少なくとも一部を、前記周方向とは異なる方向であって前記配索材側に曲げ可能に支持する第2曲げ支持部と、
を有することを特徴とする電気接続箱。
【請求項3】
電子部品が組み付けられる箱本体と、
筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、
前記筒部は、
前記箱本体に設けられた筒部本体と、
前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、
前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有し、
前記可動片は、第1可動片と第2可動片とを有し、前記第1可動片に前記第2可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第3曲げ支持部を備えることを特徴とする電気接続箱。
【請求項4】
前記筒部は、当該筒部の軸方向から見た形状が湾曲状に形成され前記筒部本体の一部を構成し前記配索材の周面の一方側を支持する第1部材と、前記筒部の軸方向から見た形状が湾曲状に形成され前記筒部本体の残りの部分を構成し前記可動片を有し前記配索材の周面の他方側を支持する第2部材と、が組み合わされることにより形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
導電性の配索材と、
前記配索材に電気的に接続される電気接続箱と、
前記電気接続箱から前記配索材に渡って巻き回される巻き付け部材とを備え、
前記電気接続箱は、
電子部品が組み付けられる箱本体と、
筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、
前記巻き付け部材は、前記筒部から前記配索材に渡って巻き回されており、
前記筒部は、
前記箱本体に設けられた筒部本体と、
前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、
前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有し、
前記第1曲げ支持部は、前記筒部の軸方向に沿って形成され、
前記可動片は、前記第1曲げ支持部で前記配索材側に曲げられることで、前記筒部の周方向に沿って前記配索材に追従することを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項6】
導電性の配索材と、
前記配索材に電気的に接続される電気接続箱と、
前記電気接続箱から前記配索材に渡って巻き回される巻き付け部材とを備え、
前記電気接続箱は、
電子部品が組み付けられる箱本体と、
筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、
前記巻き付け部材は、前記筒部から前記配索材に渡って巻き回されており、
前記筒部は、
前記箱本体に設けられた筒部本体と、
前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、
前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、
前記箱本体に前記筒部本体の少なくとも一部を、前記周方向とは異なる方向であって前記配索材側に曲げ可能に支持する第2曲げ支持部と、
を有することを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項7】
導電性の配索材と、
前記配索材に電気的に接続される電気接続箱と、
前記電気接続箱から前記配索材に渡って巻き回される巻き付け部材とを備え、
前記電気接続箱は、
電子部品が組み付けられる箱本体と、
筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、
前記巻き付け部材は、前記筒部から前記配索材に渡って巻き回されており、
前記筒部は、
前記箱本体に設けられた筒部本体と、
前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、
前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有し、
前記可動片は、第1可動片と第2可動片とを有し、前記第1可動片に前記第2可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第3曲げ支持部を備えることを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネス等の接続処理用部品や、ヒューズ、リレー、電子制御ユニット等の電子部品を集約して収容する電気接続箱(ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックス等とも呼ばれる)が知られている。このような電気接続箱は、例えば、箱本体から外側に突出して設けられ、電子部品に接続される配索材を支持する筒状の筒部が設けられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−29431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電気接続箱は、外側に突出して設けられた筒部が可動片を備え、配索材の径サイズに応じて可動片を可動させることにより配索材を支持しているが、配索材と筒部の内側との間に隙間が生じる場合があり、この点で更なる改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配索材を適切に支持することができる電気接続箱及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、電子部品が組み付けられる箱本体と、筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、前記筒部は、前記箱本体に設けられた筒部本体と、前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有
し、前記第1曲げ支持部は、前記筒部の軸方向に沿って形成され、前記可動片は、前記第1曲げ支持部で前記配索材側に曲げられることで、前記筒部の周方向に沿って前記配索材に追従することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る電気接続箱は、電子部品が組み付けられる箱本体と、筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、前記筒部は、前記箱本体に設けられた筒部本体と、前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、前記箱本体に前記筒部本体の少なくとも一部を、前記周方向とは異なる方向であって前記配索材側に曲げ可能に支持する第2曲げ支持部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電気接続箱は、電子部品が組み付けられる箱本体と、筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、前記筒部は、前記箱本体に設けられた筒部本体と、前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有し、前記可動片は、第1可動片と第2可動片とを有し、前記第1可動片に前記第2可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第3曲げ支持部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記電気接続箱において、前記筒部は、当該筒部の軸方向から見た形状が湾曲状に形成され前記筒部本体の一部を構成し前記配索材の周面の一方側を支持する第1部材と、前記筒部の軸方向から見た形状が湾曲状に形成され前記筒部本体の残りの部分を構成し前記可動片を有し前記配索材の周面の他方側を支持する第2部材と、が組み合わされることにより形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性の配索材と、前記配索材に電気的に接続される電気接続箱と、前記電気接続箱から前記配索材に渡って巻き回される巻き付け部材とを備え、前記電気接続箱は、電子部品が組み付けられる箱本体と、筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、前記巻き付け部材は、前記筒部から前記配索材に渡って巻き回されており、前記筒部は、前記箱本体に設けられた筒部本体と、前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有
し、前記第1曲げ支持部は、前記筒部の軸方向に沿って形成され、前記可動片は、前記第1曲げ支持部で前記配索材側に曲げられることで、前記筒部の周方向に沿って前記配索材に追従することを特徴とする。
本発明に係るワイヤハーネスは、導電性の配索材と、前記配索材に電気的に接続される電気接続箱と、前記電気接続箱から前記配索材に渡って巻き回される巻き付け部材とを備え、前記電気接続箱は、電子部品が組み付けられる箱本体と、筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、前記巻き付け部材は、前記筒部から前記配索材に渡って巻き回されており、前記筒部は、前記箱本体に設けられた筒部本体と、前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、前記箱本体に前記筒部本体の少なくとも一部を、前記周方向とは異なる方向であって前記配索材側に曲げ可能に支持する第2曲げ支持部と、を有することを特徴とする。
本発明に係るワイヤハーネスは、導電性の配索材と、前記配索材に電気的に接続される電気接続箱と、前記電気接続箱から前記配索材に渡って巻き回される巻き付け部材とを備え、前記電気接続箱は、電子部品が組み付けられる箱本体と、筒状に形成されており、前記箱本体から外側に突出して設けられ、前記電子部品に電気的に接続される配索材を支持する筒部と、を備え、前記巻き付け部材は、前記筒部から前記配索材に渡って巻き回されており、前記筒部は、前記箱本体に設けられた筒部本体と、前記筒部本体に対し可動とされる可動片と、前記筒部本体に前記可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部と、を有し、前記可動片は、第1可動片と第2可動片とを有し、前記第1可動片に前記第2可動片を前記筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第3曲げ支持部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスは、筒部本体に対し可動とされる可動片と、筒部本体に可動片を筒部の周方向に沿って曲げ可能に支持する第1曲げ支持部とを備える。この構成により、電気接続箱及びワイヤハーネスは、可動片を第1曲げ支持部で筒部の周方向に沿って配索材側に曲げることができるので、配索材を適切に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電気接続箱の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る電気接続箱の構成例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る第2半筒部の構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る筒部の機能例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る電線の固定例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る筒部の構成例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る第2半筒部の構成例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る筒部の機能例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
実施形態1に係る電気接続箱1及びワイヤハーネス100について説明する。ここで、X方向は、本実施形態1における電気接続箱1の幅方向である。Y方向は、本実施形態1における電気接続箱1の厚さ方向であり、幅方向と直交する方向である。Y1方向は、手前方向である。Y2方向は、奥行き方向である。Z方向は、本実施形態1における電気接続箱1の上下方向であり、幅方向および厚さ方向と直交する方向である。また、Z方向は、本実施形態1における電気接続箱1の筐体部材の積層方向である。Z1方向は、上方向である。Z2方向は、下方向である。
【0015】
本実施形態1における電気接続箱1は、自動車等の車両に搭載されて、バッテリなどの電源から供給される電力を各種の電子部品200等を介して、車両に搭載される各種の電子機器に分配するものである。電気接続箱1は、ワイヤハーネス100に組み込まれ、配索材としての電線W等の接続処理用部品を構成するコネクタ、ヒューズ、リレー、分岐部、電子制御ユニット等の電子部品200を集約して内部に収容するものである。本実施形態1における電気接続箱1は、車両のエンジンルームなど、外部環境に曝される場所に設置され、バッテリなどの電源と、車両内に搭載される各種電子機器との間に接続されている。なお、電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックスなどとも呼ばれる場合があるが、本実施形態1ではこれらを総称して電気接続箱と呼ぶ。電気接続箱1は、
図1に示すように、複数の筐体部材から構成される箱本体としての筐体10を備えている。本実施形態1における電気接続箱1は、筐体10の外側に設けられた車両取り付け部を車両側の取り付けパネルなどと接触させ、ボルトなどの締結部材によって車両取り付け部と車両側の取り付けパネルとを締結させることで、車両に設置される。電気接続箱1は、上下方向(Z方向)が鉛直方向と一致する、あるいは鉛直方向と任意の角度になるように、車両に設置されている。
【0016】
筐体10は、
図2に示すように、絶縁性の合成樹脂等の材料によって箱型形状に形成され、内部に形成された内部空間部10aに電子部品200を収容するものである。ここで、電子部品200の少なくとも一部は、筐体10に形成された挿入孔12から内部空間部10aに挿入された電線Wが接続されている。筐体10は、ボックス本体13と、アッパーカバー14と、ロアカバー15とを備え、下方側からロアカバー15、ボックス本体13、アッパーカバー14の順番に複数の層(3層)が積層された構造、すなわち複数の筐体部材に分割された構造となっている。
【0017】
ボックス本体13は、筐体10の一部である。ボックス本体13は、設置状態において、上下方向から見た場合に、外周形状が略矩形状に形成されている。ボックス本体13は、内部空間部13aを有する。この内部空間部13aは、筐体10の内部空間部10aの一部である。ボックス本体13は、設置状態において、下方側端部に下方開口部13bが、上方側端部に上方開口部13cが形成される。ボックス本体13は、下方開口部13bと上方開口部13cとが上下方向において内部空間部13aを介して連通する中空形状に形成される。本実施形態1に係るボックス本体13は、内部空間部13aが複数の区画に分割されており、区画された空間部にヒューズボックスなどの電子部品200が収容されたボックスや電子部品200が直接、挿入され保持される。
【0018】
アッパーカバー14は、筐体10の一部である。アッパーカバー14は、設置状態において、ボックス本体13の上方側に位置し、且つ、ボックス本体13の上方開口部13cを閉塞するものである。アッパーカバー14は、上下方向から見た場合に、外周形状がボックス本体13の外周形状と同一(略同一も含む)の略矩形状に形成されている。アッパーカバー14は、内部空間部14aを有する。この内部空間部14aは、筐体10の内部空間部10aの一部である。アッパーカバー14は、下方側端部に下方開口部14bが形成される。アッパーカバー14は、内部空間部14aと下方開口部14bとが連通する蓋状に形成される。アッパーカバー14は、ボックス本体13に対して組み付けた状態において、下方開口部14bを、ボックス本体13の上方開口部13cと上下方向に対向させた状態で、アッパーカバー14の側面に設けられた係止機構14cによりボックス本体13に係止される。
【0019】
ロアカバー15は、筐体10の一部である。ロアカバー15は、設置状態において、ボックス本体13の下方側に位置し、且つ、ボックス本体13の下方開口部13bを閉塞するものである。ロアカバー15は、上下方向から見た場合に、外周形状がボックス本体13の外周形状と同一(略同一も含む)の略矩形状に形成されている。ロアカバー15は、内部空間部15aを有する。内部空間部15aは、筐体10の内部空間部10aの一部である。従って、筐体10の内部空間部10aは、ボックス本体13の内部空間部13a、アッパーカバー14の内部空間部14a、及び、ロアカバー15の内部空間部15aによって構成されることとなる。ロアカバー15は、上方側端部に上方開口部15bが形成される。ロアカバー15は、内部空間部15aと上方開口部15bとが連通する皿状(トレイ状)に形成される。ロアカバー15は、ボックス本体13に対して組み付けた状態において、上方開口部15bを、ボックス本体13の下方開口部13bと上下方向に対向させた状態で、ロアカバー15の側面に設けられた係止機構15cによりボックス本体13に係止される。
【0020】
そして、電気接続箱1は、ボックス本体13とロアカバー15とが組み付けられた状態で、電線Wを支持する筒部20を形成する。筒部20は、筐体10に一体成形されているが、これに限定されず、別体成形でもよい。筒部20は、筒状に形成されており、筐体10の挿入孔12から外側に突出して設けられている。つまり、筒部20は、挿入孔12の縁部から筐体10の外側に延在して形成されている。筒部20は、その内側に電線Wが挿通され当該電線Wの外周を支持する。筒部20の開口部20aの径は、例えば、支持する電線Wの最大径と同等である。筒部20は、ボックス本体13に設けられた半筒状の第1部材としての第1半筒部21と、ロアカバー15に設けられた半筒状の第2部材としての第2半筒部22とが組み合わされることにより筒形状に形成されている。筒部20は、筒部本体23と、この筒部本体23に可動自在に設けられた後述の可動片22eとを備えている。第1半筒部21は、筒部本体23の一部を構成し、第2半筒部22は、筒部本体23の残りの部分を構成し、且つ、可動片22eを有している。
【0021】
第1半筒部21は、ボックス本体13のZ2方向側、つまりボックス本体13の下方開口部13b側に設けられ、ボックス本体13の外側にY1方向に沿って突出している。第1半筒部21は、筒部20の軸方向(Y方向)から見た形状が湾曲状に形成されている。第1半筒部21は、その内側がZ2方向(電線W側)を向いている。第1半筒部21は、筒部20の軸方向(Y方向)から見た場合に、当該第1半筒部21の内側のボックス本体13の壁部が電線Wを挿入可能に開口され、開口された部分が挿入孔12の一部を構成している。第1半筒部21は、その外周面に当該第1半筒部21の周方向に沿って補強用のリブ21aが設けられている。第1半筒部21は、挿入された電線Wの周面の一方側(Z1方向側)を支持する。
【0022】
第2半筒部22は、ロアカバー15のZ1方向側、つまりロアカバー15の上方開口部15b側に設けられ、ロアカバー15の外側にY1方向に沿って突出している。第2半筒部22は、筒部20の軸方向から見た形状が湾曲状に形成されている。第2半筒部22は、その内側がZ1方向(電線W側)を向いている。第2半筒部22は、筒部20の軸方向から見た場合に、当該第2半筒部22の内側のロアカバー15の壁部が電線Wを挿入可能に開口され、開口された部分が挿入孔12の一部を構成している。第2半筒部22は、挿入された電線Wの周面の他方側(Z2方向側)を支持する。
【0023】
第2半筒部22は、
図3に示すように、補強用のリブ22aと、半筒部本体22bと、第2曲げ支持部としての本体曲げ支持部(以下、「本体支持部」という。)22cと、第1曲げ支持部としての可動片曲げ支持部(以下、「片支持部」という。)22dと、可動片22eとを備えている。補強用のリブ22aは、第2半筒部22の周方向に沿って半筒部本体22b及び可動片22eの外周面に設けられ、半筒部本体22b及び可動片22eを補強している。半筒部本体22bは、筒部本体23の一部を構成し、ロアカバー15に連結され、電線Wを支持する部材である。半筒部本体22bは、延在方向の一方側(Y2方向側)が本体支持部22cを介してロアカバー15に連結されている。
【0024】
本体支持部22cは、半筒部本体22bとロアカバー15との連結部に設けられている。本体支持部22cは、半筒部本体22bをロアカバー15に支持する支持部である。本体支持部22cは、筒部20の周方向Pとは異なる方向であって電線W側に曲げ可能に、半筒部本体22bをロアカバー15に支持する。つまり、本体支持部22cは、ロアカバー15に半筒部本体22bを曲げ可能に支持する支点である。本体支持部22cは、湾曲状且つ板状に形成されたバネ板部22fを有している。このバネ板部22fは、ロアカバー15と半筒部本体22bとを連結している。バネ板部22fは、筐体10が車両に設置された状態で、外力が加えられることにより半筒部本体22bをZ1方向に曲げる。
【0025】
片支持部22dは、
図3に示すように、半筒部本体22bに可動片22eを筒部20の周方向Pに沿って曲げ可能に支持する支持部である。つまり、片支持部22dは、筒部20の周方向Pに沿って、可動片22eを半筒部本体22bに曲げ可能に支持する支点である。片支持部22dは、半筒部本体22bと可動片22eとを連結する連結部に設けられている。片支持部22dは、筒部20の軸方向(Y方向)に沿って溝部22g(スリット)が形成されている。片支持部22dは、例えば、溝部22gが第2半筒部22の内側に設けられている。なお、溝部22gは、第2半筒部22の外側に設けられてもよいし、内側と外側の両方に設けられてもよい。この溝部22gにより、片支持部22dは、第2半筒部22の溝部22g以外の部分より薄く形成された肉薄部を形成している。
【0026】
可動片22eは、半筒部本体22bに連結され電線Wを支持する部材である。可動片22eは、片支持部22dを介して半筒部本体22bの延在方向の他方側、つまりY1方向の先端部側に連結されている。可動片22eは、例えば、半筒部本体22bの先端部側から筒部20の軸方向に交差する交差方向(X方向)の一方側に延在し、筒部20の周方向Pに沿って湾曲して形成されている。可動片22eは、片支持部22dで筒部20の周方向Pに沿って電線W側に曲がる。
【0027】
次に、本実施形態1に係る電気接続箱1の組立て手順について説明する。まず、作業員は、ボックス本体13の内部空間部13aに収容するサブブロックに電線Wをそれぞれ組み付け、サブハーネスを作製する。次に、作業員は、ボックス本体13の下方側から上記サブハーネスごと上記サブブロックを内部空間部13aに挿入し、ボックス本体13のブロック取り付け部材などと嵌合して固定させる。このとき、電線Wがボックス本体13の第1半筒部21に位置している。次に、作業員は、ボックス本体13の上方側から各サブブロックに対し電子部品200を搭載し、電子部品200と電線Wとを電気的に接続する。次に、作業員は、ロアカバー15をボックス本体13の下方側に位置させ、ロアカバー15を、ボックス本体13に対し下方側から上方側に向かって挿入する。このとき、ボックス本体13の第1半筒部21とロアカバー15の第2半筒部22とにより筒部20が形成され、電線Wが当該筒部20に挿入された状態となる。次に、作業員は、筒部20に挿入された電線Wに対し、本体支持部22cで第2半筒部22の半筒部本体22bをZ1方向に曲げて半筒部本体22bの内側を電線Wの外周面に当接させる。次に、作業員は、半筒部本体22bを電線Wの外周面に当接させた状態で、さらに、片支持部22dで可動片22eを筒部20の周方向Pに曲げて可動片22eを電線Wの外周面に当接させる(
図4参照)。次に、作業員は、筒部20の外側から結束バンド(図示せず)を巻きつけて結束し、結束バンドを覆うように筒部20から電線Wに渡って巻き付け部材としてのテープ30を巻き回し、筒部20と電線Wとの隙間を塞ぐ(
図5参照)。次に、作業員は、アッパーカバー14をボックス本体13の上方側に位置させ、アッパーカバー14を、ボックス本体13に対し上方側から下方側に向かって装着し、電気接続箱1及びワイヤハーネス100の組立てを完了する。
【0028】
以上のように、実施形態1に係る電気接続箱1及びワイヤハーネス100は、筐体10と、筒部20とを備えている。筐体10は、電子部品200が組み付けられる。筒部20は、筒状に形成されており、筐体10から外側に突出して設けられ、電子部品200に電気的に接続される電線Wを支持する。筒部20は、筒部本体23と、可動片22eと、片支持部22dとを有する。可動片22eは、筒部本体23に対し可動とされる。片支持部22dは、筒部本体23に可動片22eを筒部20の周方向Pに沿って曲げ可能に支持する。
【0029】
この構成により、電気接続箱1及びワイヤハーネス100は、筒部20により電線Wを支持するので、電気接続箱1の内外に配索される電線Wを位置決めすることができる。また、電気接続箱1及びワイヤハーネス100は、可動片22eを片支持部22dで電線W側に曲げることができるので、可動片22eを筒部20の周方向Pに沿って電線Wに追従させることができる。この追従により、電気接続箱1及びワイヤハーネス100は、電線Wと筒部20との間にX方向(幅方向)の隙間がある場合、可動片22eにより当該隙間を埋めることができ、電線Wとの仕様の差分を吸収することができる。この構成により、電気接続箱1及びワイヤハーネス100は、電線Wと筒部20とが密接な状態で結束バンド及びテープ30によって電線Wが筒部20から挿出する部分を固定することができる。この固定により、電気接続箱1及びワイヤハーネス100は、筒部20の開口部20aから液体や微塵が入り込むことを抑制することができるので防水性及び防塵性を向上できる。この結果、電気接続箱1及びワイヤハーネス100は、筒部20により電線Wを適切に支持することができる。
【0030】
上記電気接続箱1において、筒部20は、筐体10に筒部本体23の少なくとも一部を、筒部20の周方向Pとは異なる方向であって電線W側に曲げ可能に支持する本体支持部22cを備える。例えば、本体支持部22cは、筒部20の周方向Pとは異なる方向であって電線W側に第2半筒部22の半筒部本体22bを曲げる。例えば、本体支持部22cは、筒部20の周方向Pとは異なるZ1方向に第2半筒部22の半筒部本体22bを曲げる。
【0031】
この構成により、電気接続箱1は、半筒部本体22bを本体支持部22cで電線W側に曲げることができるので、電線Wと筒部20との間にZ方向(積層方向)の隙間がある場合、半筒部本体22bにより当該隙間を埋めることができる。この構成により、電気接続箱1は、X方向だけでなくさらにZ方向からも電線Wと筒部20との隙間を埋めることができるので、電線Wと筒部20とがより密接な状態で結束バンド及びテープ30によって電線Wが筒部20から挿出する部分をより強固に固定することができる。この固定により、電気接続箱1は、筒部20の開口部20aから液体や微塵が入り込むことをより抑制することができるので防水性及び防塵性をさらに向上できる。
【0032】
上記電気接続箱1において、筒部20は、第1半筒部21と第2半筒部22とが組み合わされることにより形成されている。第1半筒部21は、当該筒部20の軸方向から見た形状が湾曲状に形成され、筒部本体23の一部を構成し、電線Wの周面の一方側を支持する。第2半筒部22は、筒部20の軸方向から見た形状が湾曲状に形成され、筒部本体23の残りの部分を構成し、可動片22eを有し、電線Wの周面の他方側を支持する。この構成により、電気接続箱1は、第1半筒部21と第2半筒部22とを組み合わせることにより、電線Wを筒部20の内側に挿通させることができ、電線Wの組み付け性を向上できる。
【0033】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係る電気接続箱1Aについて説明する。なお、実施形態2は、実施形態1と同一の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施形態2は、可動片22nが第3曲げ支持部22mを有する点で実施形態1と異なる。実施形態2に係る電気接続箱1Aは、
図6及び
図7に示すように、ボックス本体13とロアカバー15Aとが組み付けられた状態で、電線Wを支持する筒部20Aを形成する。筒部20Aは、ボックス本体13に設けられた半筒状の第1部材としての第1半筒部21と、ロアカバー15Aに設けられた半筒状の第2部材としての第2半筒部22Aとが組み合わされることにより筒形状に形成されている。
【0034】
第2半筒部22Aは、筒部20Aの軸方向から見た形状が湾曲状に形成されている。第2半筒部22Aは、その外周面に当該第2半筒部22Aの周方向に沿って補強用のリブ22hが設けられている。第2半筒部22Aは、筒部20Aの軸方向から見た場合に、当該第2半筒部22Aの内側のロアカバー15Aの壁部が電線Wを挿入可能に開口され、開口された部分が挿入孔12の一部を構成している。第2半筒部22Aは、挿入孔12に挿入された電線Wの周面の他方側(Z2方向側)を支持する。
【0035】
第2半筒部22Aは、半筒部本体22iと、本体支持部22jと、第1曲げ支持部としての片支持部22kと、可動片22nとを備えている。半筒部本体22iは、ロアカバー15Aに連結され電線Wを支持する部材である。半筒部本体22iは、延在方向の一方側(Y2方向側)が本体支持部22jを介してロアカバー15Aに連結されている。本体支持部22jは、半筒部本体22iとロアカバー15Aとの連結部に設けられ、半筒部本体22iをZ1方向に曲げ可能に支持する。
【0036】
片支持部22kは、半筒部本体22iと可動片22nとを連結する連結部に設けられている。片支持部22kは、筒部20Aの軸方向(Y方向)に沿って溝部22q(スリット)が形成されている。片支持部22kは、溝部22qが第2半筒部22Aの外側に設けられている。なお、溝部22qは、第2半筒部22Aの内側に設けられてもよいし、内側と外側の両方に設けられてもよい。この溝部22qにより、片支持部22kは、第2半筒部22Aの溝部22q以外の部分より薄く形成された肉薄部を形成している。
【0037】
可動片22nは、半筒部本体22iに連結され電線Wを支持する部材である。可動片22nは、片支持部22kを介して半筒部本体22iの延在方向の他方側、つまりY1方向の先端部側に連結されている。可動片22nは、半筒部本体22iの先端部側から筒部20Aの軸方向に交差する交差方向(X方向)の一方側に延在し、板状に形成されている。可動片22nは、第1可動片としての基端片22tと、第2可動片としての先端片22rとを備えている。また、可動片22nは、筒部20Aの周方向Pに沿って曲げ可能に、基端片22tに先端片22rを支持する第3曲げ支持部22mを備えている。第3曲げ支持部22mは、筒部20Aの周方向Pに沿って、先端片22rを基端片22tに曲げ可能に支持する支点である。第3曲げ支持部22mは、可動片本体22pの略中央に設けられている。第3曲げ支持部22mは、筒部20Aの軸方向(Y方向)に沿って溝部22q(スリット)が形成されている。この溝部22qにより、第3曲げ支持部22mは、第2半筒部22Aの溝部22q以外の部分より薄く形成された肉薄部を形成している。本実施形態2では、第3曲げ支持部22mは、1カ所に設けられているが、1カ所に限定されず、2カ所以上であってもよい。可動片22nは、可動片本体22pが片支持部22kで筒部20Aの周方向Pに沿って電線W側に曲がり、さらに、先端片22rが第3曲げ支持部22mで筒部20Aの周方向Pに沿って電線W側に曲がる。この構成により、可動片22nは、2段階に電線W側に曲がる。
【0038】
本実施形態2に係る電気接続箱1Aの組立て手順において、作業員は、ロアカバー15Aをボックス本体13に組み付けた後、筒部20Aに挿入された電線Wに対し、本体支持部22jで第2半筒部22Aの半筒部本体22iをZ1方向に曲げて半筒部本体22iの内側を電線Wの外周面に当接させる。次に、作業員は、半筒部本体22iを電線Wの外周面に当接させた状態で、さらに、片支持部22k及び第3曲げ支持部22mで可動片22nを筒部20Aの周方向Pに2段階で曲げて可動片22nを電線Wの外周面に当接させる(
図8参照)。次に、作業員は、筒部20Aの外側から結束バンド(図示せず)を巻きつけて結束し、結束バンドを覆うように筒部20Aから電線Wに渡ってテープ(図示せず)を巻きつけ、筒部20Aと電線Wとの隙間を塞ぐ。次に、作業員は、アッパーカバー14をボックス本体13の上方側に位置させ、アッパーカバー14を、ボックス本体13に対し上方側から下方側に向かって装着し、電気接続箱1A及びワイヤハーネス100Aの組立てを完了する。
【0039】
以上のように、実施形態2に係る電気接続箱1Aは、可動片22nは、基端片22tと先端片22rとを有し、基端片22tに先端片22rを筒部20Aの周方向Pに沿って曲げ可能に支持する第3曲げ支持部22mを備える。この構成により、電気接続箱1Aは、可動片本体22pを片支持部22kで電線W側に曲げることに加え、さらに、先端片22rを第3曲げ支持部22mで電線W側に曲げることができる。この構成により、電気接続箱1Aは、可動片22nを筒部20Aの周方向Pに沿って2段階に曲げることができ、可動片22nを電線Wに対しより一層追従させることができる。この構成により、電気接続箱1Aは、電線Wと筒部20Aとの間にX方向(幅方向)の隙間がある場合、可動片22nにより当該隙間をより一層埋めることができる。
【符号の説明】
【0040】
1、1A 電気接続箱
10 筐体(箱本体)
20、20A 筒部
21 第1半筒部(第1部材)
22、22A 第2半筒部(第2部材)
22d、22k 片支持部(第1曲げ支持部)
22c、22j 本体支持部(第2曲げ支持部)
22m 第3曲げ支持部
22e、22n 可動片
22t 基端片(第1可動片)
22r 先端片(第2可動片)
23 筒部本体
30 テープ(巻き付け部材)
100、100A ワイヤハーネス
200 電子部品
W 電線(配索材)