特許第6882180号(P6882180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882180神経抑制性ケタミンおよびノルケタミン化合物、その誘導体ならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882180
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】神経抑制性ケタミンおよびノルケタミン化合物、その誘導体ならびに方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 225/20 20060101AFI20210524BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C07C225/20CSP
   A61K31/135
   A61P25/02
   A61P25/22
   A61P25/24
   A61P25/28
【請求項の数】36
【全頁数】101
(21)【出願番号】特願2017-543308(P2017-543308)
(86)(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公表番号】特表2018-501299(P2018-501299A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】US2015059113
(87)【国際公開番号】WO2016073653
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2018年11月2日
(31)【優先権主張番号】62/074,645
(32)【優先日】2014年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516055077
【氏名又は名称】アモーサ セラピューティックス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AMORSA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100158872
【弁理士】
【氏名又は名称】牛山 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ニヴォロジキン, アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ランドロー, ネルソン
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2011年,Vol.21, No.19,p.5719-5721
【文献】 European Journal of Pharmacology,1997年,Vol.333, No.1,p.99-104
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1986年,Vol.29, No.11,p.2396-2399
【文献】 Journal of Pharmaceutical Sciences,1985年,Vol.74, No.4,p.486-488
【文献】 British Journal of Clinical Pharmacology,2012年,Vol.74, No.2,p.304-314
【文献】 Journal of Analytical Toxicology,2009年,Vol.33, No.6,p.310-321
【文献】 Advances in Drug Research,1985年,Vol.14,p.1-40
【文献】 Drug News & Perspectives,2010年,Vol.23, No.6,p.398-404
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 225/00−225/36
A61K 31/00−31/80
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13及びX14は、各々独立して水素及び重水素から成る群より選択され、
、X、X、X、X、X10、X11、X12の少なくとも1つは重水素である]
で表される化合物と、当該化合物の重水素である位置の1つ以上に水素原子を有するアイソトポローグとの、実質的に純粋な、同位体濃縮された混合物であって、
重水素であることが指定された何れの位置もそれぞれ少なくとも45%の重水素取り込みを有する、
混合物又はその薬学的に許容される塩
【請求項2】
重水素であることが指定された何れの位置もそれぞれ少なくとも52.5%の重水素取り込みを有する、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
重水素であることが指定された何れの位置もそれぞれ少なくとも90%の重水素取り込みを有する、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
、X、X及びXの各々が重水素である、請求項1〜3の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
、X、X及びXの各々が水素である、請求項1〜3の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
、X、X、X、X、X10、X11及びX12の各々が重水素である、請求項1〜5の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
及びXが何れも重水素である、請求項1〜5の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
、X、X、X10、X11及びX12の各々が水素である、請求項7に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
13及びX14が何れも重水素である、請求項1〜8の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
13及びX14が何れも水素である、請求項1〜8の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
化合物が、表A及びBの化合物から選択される、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項12】
化合物が、
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
(a)請求項1〜14の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩、及び
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有してなる、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜14の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩を含有してなる、経口投与用に製剤化された錠剤組成物。
【請求項17】
N−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体活性を阻害するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
疾患又は症状を処置するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
疾患又は症状を処置するための、請求項16に記載の経口投与錠剤組成物。
【請求項20】
前記疾患又は症状が、レボドパ誘発性ジスキネジア、認知症、耳鳴、うつ病、疼痛、アルツハイマー病から生じる若しくはアルツハイマー病に関連する激越、情動調節障害、自閉症、延髄機能、不安、アルツハイマー病、統合失調症、糖尿病性ニューロパシー、自殺傾向、又は心的外傷後ストレス障害(PTSD)である、請求項19に記載の経口投与錠剤組成物。
【請求項21】
前記疾患又は症状が、精神障害又は心的障害である、請求項19に記載の経口投与錠剤組成物。
【請求項22】
ケタミン処置が適応され得るような疾患、障害又は症状を有すると診断された、又はこれに罹患している若しくは罹患しやすい被験体を処置するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、
(a)請求項1〜14の何れか一項に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩、及び
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有してなる、医薬組成物。
【請求項23】
ケタミン処置が適応され得る、考慮され得る又は推奨され得るような疾患、障害又は症状を有すると診断された、又はこれに罹患している若しくは罹患しやすい被験体を処置するために前記被験体に経口投与するための経口放出調節医薬組成物であって、前記経口放出調節医薬組成物が、
(a)請求項1〜14の何れか一項に記載の混合物又はそれらの薬学的に許容される塩、及び
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有し、これにより、前記放出調節医薬組成物の前記被験体への経口投与後に、前記医薬組成物からの前記薬剤の放出期間中に前記被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクが起こらないように、前記放出調節医薬組成物からの前記薬剤の一定な放出が維持される、
経口放出調節医薬組成物。
【請求項24】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
化合物が
である構造を有する化合物である、請求項1に記載の混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
疼痛に罹患しているまたは罹患しやすい被験体に投与するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項31】
うつ病に罹患しているまたは罹患しやすい被験体に投与するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項32】
治療抵抗性うつ病(TRD)に罹患しているまたは罹患しやすい被験体に投与するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項33】
強迫性障害(OCD)に罹患しているまたは罹患しやすい被験体に投与するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項34】
双極性障害に罹患しているまたは罹患しやすい被検体に投与するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項35】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患しているまたは罹患しやすい被検体に投与するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項36】
レボドパ誘発性ジスキネジア、認知症、耳鳴、うつ病、疼痛、アルツハイマー病から生じるまたはアルツハイマー病に関連する激越、情動調節障害、自閉症、延髄機能、不安、アルツハイマー病、統合失調症、糖尿病性ニューロパシー、自殺傾向、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、治療抵抗性うつ病(TRD)、大うつ病性障害、全般性不安障害、神経因性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、気分障害、物質誘発性精神病、大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、双極性うつ病(BDep)、または強迫性障害(OCD)に罹患しているまたは罹患しやすい被験体を治療するための医薬組成物であって、




、及び
から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を含んでなる医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年11月4日に出願された米国特許出願第62/074,645号の優先権を主張するものであり、前記出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ケタミンは、全身麻酔の導入および維持に関してFDAによって承認されている非選択的N−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストである。ケタミンはまた、他の症状を処置する、例えば様々な種類の疼痛(Correll,2003)、うつ病(Zarate,2012)、急性脳損傷および脳卒中(Hertle,2012)、てんかん(Synowiec,2013)、アルコール依存、アルツハイマー病、喘息および他の障害を軽減するのに有効であることも示されている。
【0003】
疼痛の処置に関するケタミンの経口投与の有効性は多くの研究者によって確認されており、最近総説された(Blonk,2010)。ほとんどの場合、ケタミンは、市販の注射用製剤(水中1%または10%ケタミン)から調製され、しばしば味を隠すために果汁またはシロップと混合した経口溶液として使用された。ケタミンの固体剤形も数例で報告されている。特に、Yanagihara et al.(Yanagihara 1999,2003)は、ヒトにおいて経口投与したシロップ製剤と類似の薬物動態を備えた、乾式および湿式造粒によるケタミンの経口錠剤の調製を報告した。さらに、総重量1gでケタミン含有量25mgのゼラチンベースのロゼンジとしてのケタミンの経口および舌下製剤もChong(Chong,2009)によって調製されている。
【0004】
経口投与した場合、ケタミンはN−脱メチル化による初回通過肝代謝を受け、活性代謝産物ノルケタミンに変換される。ケタミンの排出半減期は2〜3時間、ノルケタミンについては4時間と推定されている。その結果、経口投与したケタミンの治療濃度域は比較的短く、所望の治療効果を達成するには1日当たり複数回の薬剤の投与、例えば1日3〜5回の経口投与が必要となる。
【0005】
さらに、ケタミンの固体剤形は、短時間でさえも、ケタミン濃度の神経学的に有害なスパイクを伴わずに治療有効用量を提供することができないために一貫して制限されてきた。実際に、薬剤の最適有効血漿濃度(10〜300ng/ml)を超えると、より顕著な副作用、例えば鎮静、幻覚、めまいおよび/または悪心などをもたらし、これらは直接の影響を与えるだけでなく、治療のコンプライアンスにも影響を及ぼし得る。
【0006】
最適治療指数を達成するために、より長期間にわたって全身で薬剤の安定なレベルを維持するのに最も有効な投与経路は持続注入によるものであると思われる(Correll,2004)。そのような投与は、投与方法の直接の力価制御を提供し、例えばケタミンの精神異常発現性の毒性血漿濃度スパイクから生じる、神経学的副作用の存在を排除することを可能にする。しかし、持続注入の工程は、患者の管理ならびに処置の費用という点で大きな課題を提示し、集中治療室(ICU)以外で投与することが困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Correll,2003
【非特許文献2】Zarate,2012
【非特許文献3】Hertle,2012
【非特許文献4】Synowiec,2013
【非特許文献5】Blonk,2010
【非特許文献6】Yanagihara 1999,2003
【非特許文献7】Chong,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、ケタミン持続注入の結果を再現し、神経学的毒性(例えば精神異常発現毒性)血漿濃度をもたらさず、疼痛、うつ病、外傷性脳損傷、脳卒中、てんかん、アルコール依存またはアルツハイマー病などの症状のケタミン処置において同定されたギャップに対処する、効率的でより簡便であり、制御可能なケタミン製剤の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ケタミン療法に関連する上記の不都合および難点を克服するものであり、(i)疼痛、うつ病、不安、外傷性脳損傷、脳卒中、片頭痛、てんかん、統合失調症、喘息、心的外傷後障害、双極性障害、アルコール依存、アルツハイマー病、自殺傾向、自閉症、糖尿病性ニューロパシー、耳鳴、レボドパ誘発性ジスキネジア、情動調節障害、延髄機能等を含む、ケタミン処置が考慮され得る、適応され得る、試みられ得るまたは推奨され得るような疾患、障害もしくは症状を有すると診断された、これに罹患しているもしくは罹患しやすい被験体の処置、(ii)前記疾患、障害または症状の予防ならびに/または(iii)前記疾患、障害もしくは症状の管理のための、新規の単離されたおよび/または実質的に純粋な、同位体濃縮された神経抑制性ノルケタミン化合物の発見、これを用いて製剤化された新規医薬組成物ならびにその使用方法を対象とする。
【0010】
本発明に従って、新規の単離されたおよび/または実質的に純粋な、同位体濃縮された神経抑制性ノルケタミン化合物は、経口(即時放出および放出調節)、非経口、局所、直腸、膣、鼻内、吸入または薬液投与に適した医薬組成物、例えば丸剤のような経口剤形(例えば錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、ロゼンジ、カシェ剤、ジェルキャップ、キャップ、ペレット、ボーラス、香錠、口腔内崩壊錠、舌下錠およびバッカル錠)、薄膜、粉末、顆粒、結晶、溶液、シロップ、乳剤および懸濁液、局所投与剤形、例えばペースト、クリーム、軟膏、ジェル、液体、スプレー、スキンパッチ、経皮パッチ、香膏、軟膏剤およびインプラント、眼用および耳用剤形、例えば点滴剤、懸濁液、乳剤、クリームおよびジェル、膣リングおよびインサート、坐剤、吸入剤形、例えばエアロゾル、吸入器、ネブライザおよび気化器、ならびに非経口剤形、例えば皮内(ID)、筋肉内(IM)、骨内(IO)、腹腔内(IP)、静脈内(IV)、仙骨硬膜外、髄腔内(ITH)、皮下(SC)等の剤形に製剤化され得る。
【0011】
同様に本発明に従って、新規の単離されたおよび/または実質的に純粋な、同位体濃縮された神経抑制性ノルケタミン化合物ならびにこれを用いて製剤化された新規医薬組成物は、(i)ケタミンの適応がFDAで承認された適応であるかもしくはFDA未承認の適応であるかにかかわらず、ケタミン処置が考慮され得る、試みられ得る、適応され得るもしくは推奨され得る任意の適応症に関して被験体を処置する、ならびに/または(ii)例えば疼痛、うつ病、不安、外傷性脳損傷、脳卒中、片頭痛、てんかん、統合失調症、喘息、心的外傷後障害、双極性障害、アルコール依存、アルツハイマー病、自殺傾向、自閉症、糖尿病性ニューロパシー、耳鳴、レボドパ誘発性ジスキネジア、情動調節障害、延髄機能等に関わる任意の疾患、障害または症状の処置、予防および/もしくは管理を含むがこれらに限定されない、ケタミン処置が考慮され得る、試みられ得る、適応され得るもしくは推奨され得る任意の疾患、障害または症状を予防するおよび/もしくは管理するのに適する。
【0012】
本発明はまた、経口ケタミンの既存の組成物と比較して、改善された治療および安全性プロフィールを提供するために、経口放出調節錠剤製剤などの経口投与用の新規の経口放出調節神経抑制性ケタミン(NAKET)および/または神経抑制性ノルケタミン(NANKET)医薬製剤の発見、ならびにその使用方法も対象とする。これに関して、新規経口神経抑制性ケタミン(NAKET)および/または神経抑制性ノルケタミン(NANKET)医薬製剤は、経口投与事象後に被験体において、放出期間にわたって新規経口医薬製剤からのNAKET化合物、例えばケタミンおよび/もしくは式IIの任意の化合物、ならびに/またはNANKET化合物、例えばノルケタミン、式I、(I−A)、(I−B)の任意の化合物および/もしくは表A〜Dに記載されている化合物のいずれかの治療有効量の一定な放出を保証するように独自に設計されている。極めて驚くべきことに、本発明の新規の経口放出調節神経抑制性ケタミン(NAKET)および/または神経抑制性ノルケタミン(NANKET)医薬製剤は、例えば幻覚、めまいおよび悪心などの鎮静および/または精神異常発現作用の副作用を誘導し得るケタミンおよび/またはノルケタミン血漿濃度の神経学的毒性スパイクを引き起こすことなく、本発明によって企図されるこの治療効果を達成する。
【0013】
加えて、本発明は、本発明の製剤および方法における使用のための新規誘導体を提供する。特定の実施形態では、本発明は、NAKET化合物および/またはNANKET化合物の経口医薬製剤を提供する。ある具体的な実施形態では、本発明の経口放出調節医薬製剤および投与方法は、単回経口投与事象後に約12時間以上、例えば約24時間以上、約36時間以上、またはさらに約48時間以上の放出期間にわたって被験体へのNAKET化合物および/またはNANKET化合物の独自の安定した投与を提供し、ケタミンおよびノルケタミンを含むNAKET化合物および/またはNANKET化合物による被験体の安全で治療的に有効な経口処置を提供する。
【0014】
したがって、本発明の1つの態様では、本発明は、式I:
【0015】
【化1】
【0016】
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびにX、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
の化合物またはその塩を提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、式I、(I−A)、(I−B)の化合物および/または表A〜Dに記載されている化合物のいずれかを含有する新規医薬製剤を提供する。
【0018】
さらに別の態様では、本発明は、ノルケタミン、式I、(I−A)、(I−B)の任意の化合物および/または表A〜Dに記載されている化合物のいずれかを含む、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物の治療有効量を含有する、経口投与可能な放出調節医薬組成物、例えば放出調節単層錠剤組成物、例えばマトリックス組成物と共に製剤化された放出調節単層錠剤を提供する。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、本発明は、式II:
【0020】
【化2】
【0021】
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびにX、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16の少なくとも1つは重水素である]
によって表される、ケタミンを含む神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物を含有する新規医薬製剤を提供する。
【0022】
本発明の別の態様では、本発明は、ケタミンおよび/または式IIの任意の化合物を含む、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物の治療有効量を含有する、経口投与可能な放出調節医薬組成物、例えば放出調節単層錠剤組成物、例えばマトリックス組成物と共に製剤化された放出調節単層錠剤を提供する。
【0023】
新規の単離されたおよび/または実質的に純粋な、同位体濃縮された神経抑制性ノルケタミン化合物と同様に、ノルケタミン、式I、(I−A)、(I−B)の任意の化合物および/または表A〜Dに記載されている化合物のいずれかを含む、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物および/または神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物を用いて製剤化された新規の経口放出調節医薬組成物は、(1)ケタミンの適応がFDAで承認された適応であるかもしくはFDA未承認の適応であるかにかかわらず、ケタミン処置が考慮され得る、試みられ得る、適応され得るもしくは推奨され得る任意の適応症に関して被験体を処置する、ならびに/または(2)ケタミン処置が考慮され得る、試みられ得る、適応され得るもしくは推奨され得るような任意の疾患、障害または症状を予防するおよび/もしくは管理するのに適する。したがって、別の独自の態様では、本発明は、本明細書で述べる、ケタミンおよび式IIの任意の化合物を含む神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物ならびに/またはノルケタミン、式I、(I−A)、(I−B)の任意の化合物および表A〜Dに記載されている化合物のいずれかを含む神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物の治療有効量を用いて製剤化された本発明の経口放出調節医薬組成物、例えば経口放出調節単層錠剤組成物を、それを必要とする被験体に、(1)経口投与事象後に被験体においてケタミンおよび/もしくはノルケタミン血漿濃度の神経学的毒性スパイクを引き起こすことなく被験体が有効に処置される、ならびに/または(2)疼痛、うつ病、不安、外傷性脳損傷、脳卒中、片頭痛、てんかん、統合失調症、喘息、心的外傷後障害、双極性障害、アルコール依存、アルツハイマー病、自殺傾向、自閉症、糖尿病性ニューロパシー、耳鳴、レボドパ誘発性ジスキネジア、情動調節障害、延髄機能等などのケタミン処置が考慮され得る、試みられ得る、適応され得るもしくは推奨され得るような疾患、障害および/もしくは症状が、経口投与事象後に被験体においてケタミンおよび/またはノルケタミン血漿濃度の神経学的毒性スパイクを引き起こすことなく有効に処置される、予防されるおよび/または管理されるように投与する段階を含む、被験体を処置する方法を提供する。
【0024】
上記を考慮して、ここで、本発明が、ケタミン持続注入療法を再現し、例えば疼痛、うつ病、不安、外傷性脳損傷、脳卒中、片頭痛、てんかん、統合失調症、喘息、心的外傷後障害、双極性障害、アルコール依存、アルツハイマー病、自殺傾向、自閉症、糖尿病性ニューロパシー、耳鳴、レボドパ誘発性ジスキネジア、情動調節障害、延髄機能等に関わる任意の疾患、障害または症状の処置、予防および/または管理を含むがこれらに限定されない、ケタミン処置が考慮され得る、試みられ得る、適応され得るまたは推奨され得る疾患、障害および/または症状の処置、予防および/または管理における治療的恩恵を提供することができる、現在のケタミン療法に対する安全で有効な代替法を処方医師に提供することにより、現在のケタミン処置に比べて有意の利点をもたらすことがケタミン分野の当業者に容易に明らかになるはずである。
【0025】
極めて驚くべきことに、本発明の新規の経口放出調節NAKETおよび/またはNANKET医薬製剤ならびに方法は、疾患、障害または症状を有効に処置、予防および/または管理するために、ケタミンおよび/またはノルケタミン血漿濃度の神経学的毒性スパイクを引き起こすことなく、経口投与事象後に薬剤放出期間を通して、経口放出調節NAKETおよび/またはNANKET医薬組成物から治療的に有効なケタミンおよび/またはノルケタミン血漿濃度、例えば約10〜300ng/ml未満のケタミン血漿濃度を戦略的に達成し、維持することにより、この重要で必要とされる治療目的を達成する。
【0026】
すなわち、本発明は以下の(1)から(204)に関する。
(1)式(I):
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素であり、ならびに
、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
の実質的に純粋な、同位体濃縮された化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(2)X、X、XおよびXの各々が水素である、前記(1)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(3)X、X、X、X、X、X10、X11およびX12が重水素である、前記(1)又は(2)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(4)X13およびX14がどちらも重水素であるか、またはX13およびX14がどちらも水素である、前記(1)から(3)のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(5)XおよびXがどちらも重水素である、前記(1)又は(2)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(6)X、X、X、X10、X11およびX12が各々水素である、前記(5)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(7)X、X、X、X10、X11およびX12の少なくとも1つが重水素である、前記(1)又は(2)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(8)X13およびX14がどちらも重水素であるか、またはX13およびX14がどちらも水素である、前記(5)から(7)のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(9)表AおよびBの化合物から選択される、前記(1)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(10)
である構造を有する、前記(1)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(11)前記化合物がS鏡像異性体である、前記(1)から(10)のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(12)式(I)の前記化合物が、存在する式(I)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%の純度である、前記(1)から(11)のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(13)重水素を有するとして選択される式(I)の前記化合物における任意の位置が、独立して少なくとも45%の最小重水素取り込みを有する、前記(1)から(11)のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(14)重水素を有するとして選択される式(I)の前記化合物における任意の位置が、独立して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の最小重水素取り込みを有する、前記(13)に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(15)式(I):
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
に従う同位体濃縮された化合物の薬学的に許容される塩。
(16)X、X、XおよびXの各々が水素である、前記(15)に記載の薬学的に許容される塩。
(17)X、X、X、X、X、X10、X11およびX12が重水素である、前記(15)又は(16)に記載の薬学的に許容される塩。
(18)XおよびXが重水素である、前記(15)又は(16)に記載の薬学的に許容される塩。
(19)X13およびX14がどちらも重水素であるか、またはX13およびX14がどちらも水素である、前記(15)から(18)のいずれかに記載の薬学的に許容される塩。
(20)式(I)に従う前記化合物が、表AおよびBの化合物から選択される、前記(15)に記載の薬学的に許容される塩。
(21)式(I)の前記化合物が、
である構造を有する、前記(15)に記載の薬学的に許容される塩。
(22)前記化合物がS鏡像異性体である、前記(15)から(21)のいずれかに記載の薬学的に許容される塩。
(23)式(I)の前記化合物が、存在する式(I)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%の純度である、前記(15)から(21)のいずれかに記載の薬学的に許容される塩。
(24)重水素を有するとして選択される式(I)の前記化合物における任意の位置が、独立して少なくとも45%の最小重水素取り込みを有する、前記(15)から(21)のいずれかに記載の薬学的に許容される塩。
(25)重水素を有するとして選択される式(I)の前記化合物における任意の位置が、独立して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の最小重水素取り込みを有する、前記(24)に記載の薬学的に許容される塩。
(26)前記薬学的に許容される塩が塩酸塩である、前記(15)から(25)のいずれかに記載の薬学的に許容される塩。
(27)前記(1)から(14)のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または前記(15)から(26)のいずれかに記載の式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を含有する製剤。
(28)式(I)の前記化合物が、存在する式(I)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%の純度である、前記(27)に記載の製剤。
(29)重水素を有するとして選択される式(I)の前記化合物における任意の位置が、独立して、その重水素において少なくとも45%の最小重水素取り込みを有する、前記(26)又は(27)に記載の製剤。
(30)前記化合物の他のアイソトポローグを実質的に含まない、前記(27)から(29)のいずれかに記載の製剤。
(31)(a)前記(1)から(14)のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または前記(15)から(26)のいずれかに記載の式(I)の化合物の薬学的に許容される塩;および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する医薬組成物。
(32)式(I)の前記化合物が、存在する式(I)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%の純度である、前記(31)に記載の医薬組成物。
(33)重水素を有するとして選択される式(I)の前記化合物における任意の位置が、少なくとも45%の最小重水素取り込みを有する、前記(31)又は(32)に記載の医薬組成物。
(34)重水素を有するとして選択される式(I)の前記化合物における任意の位置が、独立して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の最小重水素取り込みを有する、前記(33)に記載の医薬組成物。
(35)式(I)の前記化合物の他のアイソトポローグを実質的に含まない、前記(31)から(34)のいずれかに記載の医薬組成物。
(36)経口、静脈内、鼻内もしくは直腸投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された、前記(31)から(35)のいずれかに記載の医薬組成物。
(37)神経抑制性ノルケタミン(NANKET)を含有する、経口投与用に製剤化された錠剤組成物。
(38)前記錠剤組成物が単層である、前記(37)に記載の錠剤組成物。
(39)S−ノルケタミンを含有する、前記(37)又は(38)に記載の錠剤組成物。
(40)前記(1)から(14)のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または前記(15)から(26)のいずれかに記載の式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を含有する、前記(37)又は(38)に記載の錠剤組成物。
(41)神経抑制性ケタミン(NAKET)を含有する、経口投与用に製剤化された錠剤組成物。
(42)前記錠剤組成物が単層である、前記(41)に記載の錠剤組成物。
(43)S−ケタミンを含有する、前記(41)又は(42)に記載の錠剤組成物。
(44)式(II)
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16の少なくとも1つは重水素である]
の化合物またはその塩を含有する、前記(41)又は(42)に記載の錠剤組成物。
(45)X、X、X、X、X、X10、X11およびX12が重水素である、前記(44)に記載の錠剤組成物またはその塩。
(46)X14、X15およびX16が重水素である、前記(44)に記載の錠剤組成物、またはその塩。
(47)X、X、X、X、X、X10、X11およびX12が重水素であり、ならびにX14、X15およびX16が重水素である、前記(44)に記載の錠剤組成物またはその塩。
(48)X、X、X、X、X、X10、X11およびX12が重水素であり、X13が重水素であり、ならびにX14、X15およびX16が重水素である、前記(44)に記載の錠剤組成物またはその塩。
(49)式(II)の化合物がS鏡像異性体である、前記(44)から(48)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(50)前記組成物が最大持続放出のために製剤化されている、前記(37)から(49)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(51)前記組成物が、(i)水不溶性で電荷中性の非イオン性マトリックス、および(ii)1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、の組合せを含有する、前記(37)から(50)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(52)前記非イオン性マトリックスが、単独のまたはデンプン、ろう、中性ガム、ポリメタクリレート、PVA、PVA/PVP混合物およびこれらの混合物から成る群より選択される成分と混合することによって強化された、HPMCなどのセルロース系ポリマーから選択される、前記(51)に記載の錠剤組成物。
(53)前記セルロース系ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、前記(52)に記載の錠剤組成物。
(54)1つ以上の負に荷電した基を担持する前記ポリマーが、ポリアクリル酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリメタクリル酸カルボキシレート、陽イオン交換樹脂、粘土、ゼオライト、ヒアルロン酸、アニオンガム、これらの塩およびこれらの混合物から成る群より選択される、前記(51)又は(52)に記載の錠剤組成物。
(55)前記アニオンガムが、天然に存在する物質および半合成物質から成る群より選択される、前記(54)に記載の錠剤組成物。
(56)前記天然に存在する物質が、アルギン酸、ペクチン、キサンタンガム、カラゲナン、ローカストビーンガム、アラビアゴム、カラヤゴム、グアーガムおよびトラガカントゴムから成る群より選択される、前記(55)に記載の錠剤組成物。
(57)前記半合成物質が、カルボキシメチルキチンおよびセルロースガムから成る群より選択される、前記(55)に記載の錠剤組成物。
(58)N−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体活性を阻害する方法であって、前記NMDA受容体を、前記(1)から(14)のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または前記(15)から(26)のいずれかに記載の式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む方法。
(59)被験体において疾患または症状を処置する方法であって、前記(37)から(50)のいずれかに記載の経口投与錠剤組成物を前記被験体に投与する段階を含む方法。
(60)被験体において疾患または症状を処置する方法であって、前記(1)から(14)のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または前記(15)から(26)のいずれかに記載の式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の有効量を前記被験体に投与する段階を含む方法。
(61)前記疾患または症状が、レボドパ誘発性ジスキネジア、認知症、耳鳴、うつ病、疼痛、アルツハイマー病から生じるまたはアルツハイマー病に関連する激越、情動調節障害、自閉症、延髄機能、不安、アルツハイマー病、統合失調症、糖尿病性ニューロパシー、自殺傾向、心的外傷後ストレス障害(PTSD)である、前記(59)又は(60)に記載の方法。
(62)前記疾患または症状が、アルツハイマー型認知症、治療抵抗性うつ病(TRD)、大うつ病性障害、双極性うつ病、全般性不安障害、神経因性疼痛、急性疼痛または慢性疼痛である、前記(61)に記載の方法。
(63)前記疾患または症状が精神障害または心的障害である。前記(59)又は(60)に記載の方法。
(64)前記疾患または症状が、統合失調症、気分障害、物質誘発性精神病、大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、双極性うつ病(BDep)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、自殺念慮、不安、強迫性障害(OCD)または治療抵抗性うつ病(TRD)である、前記(63)に記載の方法。
(65)前記疾患または症状が心的外傷後ストレス障害(PTSD)である、前記(64)に記載の方法。
(66)前記疾患または症状が治療抵抗性うつ病(TRD)である、前記(64)に記載の方法。
(67)単離された、同位体濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩。
(68)単離された、重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩。
(69)前記化合物が、以下の構造:
を有する、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(70)前記化合物が、以下の構造:
を有する、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(71)前記化合物が、以下の構造:
を有する、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(72)前記化合物が、以下の構造:
を有する、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(73)前記化合物が、以下の構造:
を有する、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(74)前記化合物が、式I−Aの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(75)前記化合物またはその任意の塩が、式I−Bの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(76)前記化合物が、表A〜Dにおいて同定されるものから成る化合物の群より選択される、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(77)前記化合物が、以下の構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素であり、ならびに
、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する、前記(68)に記載の単離された重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(78)同位体濃縮された神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物。
(79)重水素濃縮された神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物。
(80)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(81)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(82)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(83)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(84)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(85)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Aの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(86)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Bの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(87)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、表A〜Dにおいて同定されるものから成る化合物の群より選択される、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(88)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素であり、ならびに
、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する、前記(79)に記載の合成組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(89)ケタミン処置が適応され得るような疾患、障害または症状を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するための医薬組成物であって、ここで前記被験体が前記処置を必要としており、前記医薬組成物が、
(a)前記疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するための有効量の重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する、医薬組成物。
(90)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(91)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(92)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(93)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(94)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
を有する、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(95)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Aの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(96)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Bの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(97)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、表A〜Dにおいて同定されるものから成る化合物の群より選択される、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(98)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素であり、ならびに
、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(89)に記載の医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩。
(99)前記疾患、障害または症状が、疼痛、うつ病、不安、外傷性脳損傷、脳卒中、片頭痛、てんかん、統合失調症、喘息、心的外傷後障害、双極性障害、アルコール依存、アルツハイマー病、自殺傾向、自閉症、糖尿病性ニューロパシー、耳鳴、レボドパ誘発性ジスキネジア、情動調節障害、延髄機能等から成る群より選択される、前記(89)から(98)のいずれかに記載の医薬組成物。
(100)前記疾患、障害または症状が疼痛である、前記(89)から(98)のいずれかに記載の医薬組成物。
(101)前記疼痛が、癌疼痛、難治性癌疼痛、術後疼痛、整形外科的疼痛、背痛、神経因性疼痛、歯痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経性疼痛、複合局所疼痛症候群(CRPS)、整形外科的疼痛、背痛、坐骨神経痛、鎌状赤血球疼痛、関節炎、自己免疫疾患、難治性膀胱痛、帯状疱疹痛、ヘルペス痛、腹痛および片頭痛疼痛から成る群より選択される、前記(100)に記載の医薬組成物。
(102)前記医薬組成物が経口剤形である、前記(89)から(101)のいずれかに記載の医薬組成物。
(103)前記経口剤形が錠剤である、前記(102)に記載の医薬組成物。
(104)前記経口剤形がカプレットである、前記(102)に記載の医薬組成物。
(105)前記経口剤形がカプセルである、前記(102)に記載の医薬組成物。
(106)前記経口剤形がジェルキャップである、前記(102)に記載の医薬組成物。
(107)前記医薬組成物が、丸剤、局所、眼用、耳用、膣インサート、坐剤、吸入および非経口剤形から成る群より選択される剤形である、前記(89)から(101)のいずれかに記載の医薬組成物。
(108)前記医薬組成物が、前記被験体への投与事象後に前記医薬組成物からの前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物の薬剤放出期間を通して、前記被験体の血漿濃度中に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)の治療有効量を送達する、前記(89)から(107)のいずれかに記載の医薬組成物。
(109)前記医薬組成物が、前記被験体への前記医薬組成物の投与後に、前記医薬組成物からの前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の放出期間中、前記被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクを誘発しない前記(89)から(108)のいずれかに記載の医薬組成物。
(110)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩が、ノルケタミンの機能活性とほぼ等しい機能活性を有する、前記(89)から(109)のいずれかに記載の医薬組成物。
(111)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩が、投与事象後に前記被験体においてノルケタミンのインビボ半減期を上回るインビボ半減期を有する、前記(89)から(110)のいずれかに記載の医薬組成物。
(112)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩が、専門的化学合成工程によって生成される、前記(89)から(111)のいずれかに記載の医薬組成物。
(113)ケタミン処置が適応され得るような疾患、障害または症状を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するための方法であって、ここで前記被験体が前記処置を必要としており、前記方法が、
前記疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するための有効量で重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を前記被験体に投与すること
を含む、方法。
(114)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(113)に記載の方法。
(115)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(113)に記載の方法。
(116)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(113)に記載の方法。
(117)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(113)に記載の方法。
(118)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(113)に記載の方法。
(119)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Aの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群またはその薬学的に許容される塩から選択される、前記(113)に記載の方法。
(120)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Bの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群またはその薬学的に許容される塩から選択される、前記(113)に記載の方法。
(121)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、表A〜Dにおいて同定されるものから成る化合物の群またはその任意の薬学的に許容される塩から選択される、前記(113)に記載の方法。
(122)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素であり、ならびに
、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群またはその薬学的に許容される塩から選択される、前記(113)に記載の方法。
(123)前記疾患、障害または症状の処置、予防または管理における治療的恩恵を提供するために前記被験体においてN−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体を有効に阻害する段階をさらに含む、前記(113)に記載の方法。
(124)前記疾患、障害または症状が、疼痛、うつ病、不安、外傷性脳損傷、脳卒中、片頭痛、てんかん、統合失調症、喘息、心的外傷後障害、双極性障害、アルコール依存、アルツハイマー病、自殺傾向、自閉症、糖尿病性ニューロパシー、耳鳴、レボドパ誘発性ジスキネジア、情動調節障害、延髄機能等から成る群より選択される、前記(113)から(123)のいずれかに記載の方法。
(125)前記疾患、障害または症状が疼痛である、前記(113)から(123)のいずれかに記載の方法。
(126)前記疼痛が、癌疼痛、難治性癌疼痛、術後疼痛、整形外科的疼痛、背痛、神経因性疼痛、歯痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経性疼痛、複合局所疼痛症候群(CRPS)、整形外科的疼痛、背痛、坐骨神経痛、鎌状赤血球疼痛、関節炎、自己免疫疾患、難治性膀胱痛、帯状疱疹痛、ヘルペス痛、腹痛および片頭痛疼痛から成る群より選択される、前記(125)に記載の方法。
(127)前記投与が、重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される賦形剤を用いて製剤化された医薬組成物を前記被験体に投与することを含む、前記(113)から(126)のいずれかに記載の方法。
(128)前記医薬組成物が経口剤形である、前記(127)に記載の方法。
(129)前記経口剤形が錠剤である、前記(128)に記載の方法。
(130)前記経口剤形がカプレットである、前記(128)に記載の方法。
(131)前記経口剤形がカプセルである、前記(128)に記載の方法。
(132)前記経口剤形がジェルキャップである、前記(124)に記載の方法。
(133)前記医薬組成物が、丸剤、局所、眼用、耳用、膣インサート、坐剤、吸入および非経口剤形から成る群より選択される剤形である、前記(127)に記載の方法。
(134)前記方法が、前記被験体への投与事象後に前記医薬組成物からの前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物の薬剤放出期間を通して、前記被験体の血漿濃度に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を送達する、さらなる段階を含む、前記(113)から(133)のいずれかに記載の方法。
(135)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩が、ノルケタミンの機能活性とほぼ等しい機能活性を有する、前記(113)から(134)のいずれかに記載の方法。
(136)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩が、投与事象後に前記被験体においてノルケタミンのインビボ半減期を上回るインビボ半減期を有する、前記(113)から(135)のいずれかに記載の方法。
(137)前記投与段階が、前記被験体への前記投与後に前記医薬組成物から前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効濃度を安定して放出する、段階をさらに含む、前記(127)から(133)のいずれかに記載の方法。
(138)前記の安定した放出段階が、前記医薬組成物からの前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の放出期間中、前記被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクを引き起こすことなく、前記被験体への前記投与後に前記医薬組成物からの前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効濃度を安定して放出することをさらに含む、前記(137)に記載の方法。
(139)前記投与段階が、前記被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクを引き起こすことなく、前記被験体に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、前記(113)から(135)のいずれかに記載の方法。
(140)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩が、専門的化学合成工程によって生成される、前記(113)から(138)のいずれかに記載の方法。
(141)前記投与段階が、前記被験体に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を1日1回投与することを含む、前記(113)から(126)のいずれかに記載の方法。
(142)前記投与段階が、前記被験体に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を1日2回投与することを含む、前記(113)から(126)のいずれかに記載の方法。
(143)前記投与段階が、前記被験体に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を1日3回投与することを含む、前記(113)から(126)のいずれかに記載の方法。
(144)前記投与段階が、前記被験体に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を1日4回投与することを含む、前記(113)から(126)のいずれかに記載の方法。
(145)前記投与段階が、前記被験体に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を1日1回夜に投与することを含む、前記(113)から(126)のいずれかに記載の方法。
(146)前記投与段階が、前記被験体に前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を必要に応じて投与することを含む、前記(113)から(126)のいずれかに記載の方法。
(147)前記投与段階が、前記被験体に前記医薬組成物を1日1回投与することを含む、前記(127)から(139)のいずれかに記載の方法。
(148)前記投与段階が、前記被験体に前記医薬組成物を1日2回投与することを含む、前記(127)から(139)のいずれかに記載の方法。
(149)前記投与段階が、前記被験体に前記医薬組成物を1日3回投与することを含む、前記(127)から(139)のいずれかに記載の方法。
(150)前記投与段階が、前記被験体に前記医薬組成物を1日4回投与することを含む、前記(127)から(139)のいずれかに記載の方法。
(151)前記投与段階が、前記被験体に前記医薬組成物を1日1回夜に投与することを含む、前記(127)から(139)のいずれかに記載の方法。
(152)前記投与段階が、前記被験体に前記医薬組成物を必要に応じて投与することを含む、前記(127)から(139)のいずれかに記載の方法。
(153)ケタミン処置が適応され得る、考慮され得るまたは推奨され得るような疾患、障害または症状を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するために前記被験体に経口投与するための経口放出調節医薬組成物であって、ここで前記被験体が前記経口放出調節医薬組成物での処置を必要としており、前記経口放出調節医薬組成物が、
(a)前記被験体における前記疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するための有効量の、ケタミン、重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、ノルケタミンおよび/または重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩から成る群より選択される薬剤、ならびに
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有し、これにより、前記放出調節医薬組成物の前記被験体への経口投与後に、前記医薬組成物からの前記薬剤の放出期間中に前記被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクが起こらないように、前記放出調節医薬組成物からの前記薬剤の一定な放出が維持される、
経口放出調節医薬組成物。
(154)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(155)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(156)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(157)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(158)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容される塩を有する、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(159)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Aの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群またはその薬学的に許容される塩から選択される、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(160)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、式I−Bの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群またはその薬学的に許容される塩から選択される、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(161)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、表A〜Dにおいて同定されるものから成る化合物の群またはその薬学的に許容される塩から選択される、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(162)前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物が、以下の構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素であり、ならびに
、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群またはその薬学的に許容される塩から選択される、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(163)前記重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物が、式IIの構造:
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびに
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16の少なくとも1つは重水素である]
を有する化合物の群から選択される、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(164)前記疾患、障害または症状が、疼痛、うつ病、不安、外傷性脳損傷、脳卒中、片頭痛、てんかん、統合失調症、喘息、心的外傷後障害、双極性障害、アルコール依存、アルツハイマー病、自殺傾向、自閉症、糖尿病性ニューロパシー、耳鳴、レボドパ誘発性ジスキネジア、情動調節障害、延髄機能等から成る群より選択される、前記(153)から(163)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(165)前記疾患、障害または症状が疼痛である、前記(153)から(164)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(166)前記疼痛が、癌疼痛、難治性癌疼痛、術後疼痛、整形外科的疼痛、背痛、神経因性疼痛、歯痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経性疼痛、複合局所疼痛症候群(CRPS)、整形外科的疼痛、背痛、坐骨神経痛、鎌状赤血球疼痛、関節炎、自己免疫疾患、難治性膀胱痛、帯状疱疹痛、ヘルペス痛、腹痛および片頭痛疼痛から成る群より選択される、前記(165)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(167)前記経口放出調節医薬組成物が錠剤剤形である、前記(153)から(166)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(168)前記錠剤が単層錠剤である、前記(167)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(169)前記経口放出調節医薬組成物がカプレット剤形である、前記(153)から(166)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(170)前記カプレットが単層カプレットである、前記(169)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(171)前記経口放出調節医薬組成物がカプセル剤形である、前記(153)から(166)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(172)前記経口放出調節医薬組成物が丸剤剤形である、前記(153)から(166)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(173)前記経口放出調節医薬組成物が、前記被験体への投与事象後に前記経口放出調節医薬組成物からの前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の薬剤放出期間を通して前記被験体の血漿濃度中に重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)の治療有効量を送達して、前記被験体のN−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体を有効に阻害する、前記(153)から(172)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(174)前記経口放出調節医薬組成物が、前記被験体への投与事象後に前記経口放出調節医薬組成物から前記薬剤の治療有効量を送達して、前記被験体のN−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体を有効に阻害する、前記(153)から(173)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(175)前記経口放出調節医薬組成物が、前記被験体への投与事象後に前記医薬組成物から前記薬剤の治療有効量を送達する、前記(153)から(173)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(176)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約8時間にわたり、および前記薬剤が、前記8時間の放出期間中、約50%から約100%の範囲で前記経口放出調節医薬組成物から放出される、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(177)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約10時間にわたり、および前記薬剤が、前記10時間の放出期間中、約50%から約100%の範囲で前記経口放出調節医薬組成物から放出される、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(178)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約12時間にわたり、および前記薬剤が、前記12時間の放出期間中、約50%から約100%の範囲で前記経口放出調節医薬組成物から放出される、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(179)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約24時間にわたり、および前記薬剤が、前記24時間の放出期間中、約50%から約100%の範囲で前記経口放出調節医薬組成物から放出される、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(180)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約36時間にわたり、および前記薬剤が、前記36時間の放出期間中、約50%から約100%の範囲で前記経口放出調節医薬組成物から放出される、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(181)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約48時間にわたり、および前記薬剤が、前記48時間の放出期間中、約50%から約100%の範囲で前記経口放出調節医薬組成物から放出される、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(182)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約8時間にわたる、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(183)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約92%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(182)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(184)前記薬剤の放出期間が、前記被験体への投与事象後少なくとも約10時間にわたる、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(185)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約49%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(184)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(186)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約56%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(184)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(187)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約65%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(184)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(188)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約72%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(184)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(189)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約92.5%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(184)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(190)前記薬剤の放出期間が少なくとも12時間にわたる、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(191)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約90%から約100%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(190)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(192)前記薬剤の放出期間が少なくとも約24時間にわたる、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(193)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約62%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(192)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(194)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約78%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(192)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(195)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約82%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(192)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(196)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約92%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(192)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(197)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約95%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(192)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(198)前記薬剤の放出期間が少なくとも約36時間にわたる、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(199)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約100%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(198)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(200)前記薬剤の放出期間が少なくとも約48時間にわたる、前記(153)から(175)のいずれかに記載の経口放出調節医薬組成物。
(201)前記薬剤がケタミンであり、および前記ケタミンの約100%が前記被験体への投与事象後の放出期間中に放出される、前記(200)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(202)前記経口放出調節医薬組成物が、KTM−1、KTM−2、KTM−3、KTM−4、KTM−5、KTM−6、KTM−7、KTM−8、KTM−9、KTM−10、KTM−11、KTM−12、KTM−13、KTM−14、KTM−15およびKTM−16から成る経口放出調節医薬組成物の群より選択される、前記(153)に記載の経口放出調節医薬組成物。
(203)ケタミン処置が適応され得る、考慮され得るまたは推奨され得るような疾患、障害または症状を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するために前記被験体に経口投与するための経口放出調節医薬組成物であって、ここで前記被験体が前記経口放出調節医薬組成物での処置を必要としており、前記経口放出調節医薬組成物が、
(a)前記被験体における前記疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するための、前記被験体の体重kg当たり約0.01〜約10mgの範囲の量のケタミン、重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、ノルケタミンおよび/または重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有し、これにより、前記経口放出調節医薬組成物の前記被験体への経口投与後に、前記経口放出調節医薬組成物からの前記ケタミン、前記重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、前記ノルケタミンおよび/または前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の放出期間中に前記被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクが起こらないように、前記経口放出調節医薬組成物からの前記ケタミン、前記重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、前記ノルケタミンおよび/または前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の一定な放出が維持される、
経口放出調節医薬組成物。
(204)ケタミン処置が適応され得る、考慮され得るまたは推奨され得るような疾患、障害または症状を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するために前記被験体に経口投与するための経口放出調節医薬組成物であって、ここで前記被験体が前記経口放出調節医薬組成物での処置を必要としており、前記経口放出調節医薬組成物が、
(a)前記被験体における前記疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するための、前記被験体の体重kg当たり約0.1〜約5mgの範囲の量のケタミン、重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、ノルケタミンおよび/または重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有し、これにより、前記経口放出調節医薬組成物の前記被験体への経口投与後に、前記経口放出調節医薬組成物からの前記ケタミン、前記重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、前記ノルケタミンおよび/または前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の放出期間中に前記被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクが起こらないように、前記経口放出調節医薬組成物からの前記ケタミン、前記重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、前記ノルケタミンおよび/または前記重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩の一定な放出が維持される、
経口放出調節医薬組成物。
本発明の前記および他の目的、利点および特徴、ならびにこれらを達成する方法は、本
発明の実施形態を説明する、付属の図面および実施例と合わせた本発明の以下の詳細な説
明の考察後により容易に明らかになる。

【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、ポリアクリル酸を含む場合と含まない場合のHPMCマトリックスからのケタミンの放出プロフィールのグラフ表示である(組成物KTM−1からKTM−3)。
図2図2は、ラクトースを含む場合と含まない場合のKollidonマトリックスからのケタミンの放出プロフィールのグラフ表示である(組成物KTM−4およびKTM−11)。
図3図3は、ポリアクリル酸を含む場合と含まない場合の脂質マトリックスからのケタミンの放出プロフィールのグラフ表示である(組成物KTM−9およびKTM−12)。
図4図4は、2つの異なる分子量のPEOマトリックスからのケタミンの放出プロフィールのグラフ表示である。
図5図5は、KTM−2錠剤投与後のビーグル犬の血中のケタミン濃度対時間のグラフ表示である。
図6図6は、ノルケタミンおよび重水素化ノルケタミン化合物11および12の半減期を比較するラット肝ホモジネート代謝アッセイに関する。
図7図7は、ノルケタミンおよびビス重水素化ノルケタミン化合物11のラットにおける薬物動態(PK)データに関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
疼痛もしくはうつ病などの症状の処置、または片頭痛(例えば前兆を伴う)、難治性喘息、アルコール依存、てんかん、脳損傷および/もしくは脳卒中における使用についてのケタミンの市場は、主としてその濃度を超えると重篤な神経学的副作用が生じる、特定の血漿濃度を超過した場合の結果に起因して、大部分が注射または持続注入投与に集中している。ケタミンの錠剤またはカプセル製剤は、1日当たり複数回の薬剤の経口投与を必要とする、経口投与したケタミンの比較的短い治療濃度域、およびケタミンの精神異常発現毒性血漿濃度を超える可能性が増大することに起因して、概して商業的には成功していない。また持続放出製剤は基本的にすべての薬剤に関して一般的に考慮されてきたが、この製剤の実現には発明的な寄与が必要とされ、ケタミンに関しては未だ達成されていない。そのような証拠は、依然として大きな商業的需要が市場に存在することから明らかである。
【0029】
これに関して、最近の専門家は、長年にわたって研究され、予測可能なケタミンの性質を治療薬として利用することを探求する一方で、24時間の治療的に有効な血漿濃度プロフィールに関してケタミンの静脈内注入に代わるものを希求している。しかしながら、別々に製剤化された外層の放出の後にコア物質の遅延放出を提供するデキストロメトルファンまたはアマンタジンなどの他のNMDA受容体アンタゴニストの複雑な層状錠剤でさえも、12時間より長い期間にわたってNMDA受容体アンタゴニストの放出を達成することはできていない。
【0030】
確認として、効率的な制御放出のための当分野で公知の不活性医薬成分のうちいくつかの一般的なマトリックスが試験されたが、24時間の放出プロフィールを達成することはできなかった。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとデンプンから成る放出制御マトリックスを用いると、ケタミンの完全放出が約12時間で観察された。さらに、20%程度のCompritol ATO888(ベヘン酸グリセリル、Gattesfosse)を含有する脂質ベースのマトリックスでは、ケタミンを4〜6時間以上保持することはできなかった。
【0031】
しかしながら、ケタミン持続注入に類似するが、患者のケアにはより好都合な1日1回適用で治療有効薬剤濃度を維持するために、ケタミンおよび/またはノルケタミン血漿濃度のスパイクをもたらさない方法で、ケタミンおよび/またはノルケタミン放出を12〜24時間に近づけるべきである。そこで、本発明は、ケタミンおよび/またはノルケタミン血漿濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを引き起こすことなく、経口放出調節医薬組成物からのケタミンおよび/またはノルケタミンの治療有効濃度の一定な放出を保証する、経口放出調節神経抑制性ケタミン(NAKET)製剤および/または経口放出調節神経抑制性ノルケタミン(NANKET)製剤、処置の方法および投与方法を提供する。
【0032】
特に、本発明は、ケタミンを含むNAKET化合物の経口放出調節製剤、例えば単層錠剤製剤を提供する。ある具体的な実施形態では、経口放出調節NAKET製剤および投与方法は、単回投与事象後に、例えば1個の丸剤または複数の丸剤にかかわらず、指定量の製剤の経口投与後に、12時間以上、例えば24時間以上、例えば36時間まで、被験体へのNAKETの一定な投与を提供する。
【0033】
別の特定の態様では、本発明は、ノルケタミンを含むNANKET化合物の経口放出調節製剤、例えば単層錠剤製剤を提供する。ある具体的な実施形態では、経口放出調節NANKET製剤および投与方法は、単回投与事象後に、例えば1個の丸剤または複数の丸剤にかかわらず、指定量の経口放出製剤の経口投与後に、12時間以上、例えば24時間以上、例えば36時間まで、被験体へのNANKETの安定した投与を提供する。ある実施形態では、しかしながら、不正使用防止などのこれらのNAKETおよび/またはNANKET放出調節製剤の特定の利点を達成するために、この治療濃度域の低減は望ましいと考えられる。
【0034】
化合物、方法および医薬組成物/製剤を含む本発明を、便宜のために、下記に示す以下の定義を参照して説明する。特に指定がない限り、本明細書で使用される下記の用語は次のように定義される:
【0035】
I.定義
本明細書で使用される場合、「1つの(a、an)」、「その(the)」という用語および本発明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)使用される同様の用語は、本明細書で特に指示されない限りまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。
【0036】
「および/または」という語は、本明細書では項目の組合せを述べる「および」ならびに選択形態の項目を述べる「または」という表現を表す簡便な表記法である。例えば、「ケタミンおよび/またはノルケタミン」は、(1)ケタミンおよびノルケタミン(すなわち両方)、ならびに(2)ケタミンまたはノルケタミン(すなわちいずれか一方)の簡便な表記である。
【0037】
本発明の化合物に言及する場合の「化合物」という用語は、分子の構成原子の間で同位体変化が存在し得ることを除き、同一化学構造を有する分子の収集物または集団を指す。したがって、指示される重水素原子を含む特定の化学構造によって表される化合物が、その構造内の指定されている重水素位置の1つ以上に水素原子を有するより少量のアイソトポローグも含むことは当業者に明らかである。本発明の化合物中のそのようなアイソトポローグの相対量は、化合物を作製するのに使用される重水素化試薬の同位体純度および化合物を調製するのに使用される様々な合成段階における重水素の取り込みの効率を含む、多くの因子に依存する。しかしながら、上述したように全体としてそのようなアイソトポローグの相対量は、好ましくは化合物の約49.9%未満である。他の実施形態では、全体としてそのようなアイソトポローグの相対量は、化合物の約47.5%未満、約40%未満、約32.5%未満、約25%未満、約17.5%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満または約0.5%未満である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「同位体濃縮された」とは、1つ以上の重原子同位体(例えば重水素)に関して合成的に濃縮されている化合物を指す。同位体濃縮は100%有効ではないため、より低い状態の濃縮である化合物の不純物が存在することがあり、これらはより低い質量を有する。同様に、過剰濃縮(望ましくない濃縮)のためおよび天然の同位体存在率のために、より大きな質量の不純物が存在し得る。
【0039】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光心もしくはキラル中心)または二重結合を有する;鏡像異性体、ラセミ化合物、ジアステレオマー、互変異成体、幾何異性体、絶対立体化学の観点から、(R)または(S)異性体として定義され得る立体異性体、および個々の異性体は、本発明の範囲に包含される。本発明の化合物は、あまりに不安定で合成および/または単離できないことが当分野で公知の化合物を含まない。本発明は、ラセミおよび光学的に純粋な形態の化合物を含むことが意図されている。光学活性な(R)および(S)異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製し得るか、または従来の技術を用いて分割し得る。本明細書で述べる化合物がオレフィン結合または幾何不斉の他の中心を含む場合、および特に指定がない限り、化合物はEおよびZの両方の幾何異性体を含むことが意図されている。
【0040】
特に明記されない限り、本明細書で示す構造は、構造のすべての立体化学形態、すなわち各々の不斉中心についてのRおよびS立体配置を包含することも意図されている。それゆえ、本発明の化合物の単一立体化学異性体ならびに鏡像異性体およびジアステレオマー混合物は本発明の範囲内である。
【0041】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の値についての許容される誤差の範囲を意味し、これは、一部にはその値がどのようにして測定または決定されるかに依存する。ある実施形態では、本明細書で使用される「約」は、特定の用語のプラスまたはマイナス20%までを意味することが当業者に理解される。さらなる実施形態では、本明細書で使用される「約」は、特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味することが当業者に理解される。
【0042】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、その化合物が最初に形成されたときに存在する他の化合物または生物学的および/もしくは化学的物質から取り出されているまたはそれらを含まないことを意味する。「単離された」という用語は、天然源から単離された化合物ならびに化学合成された化合物を包含する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」という用語は、標準的な分析方法、例えば薄層クロマトグラフィ(TLC)、ゲル電気泳動、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)および質量分析法(MS)によって決定される、容易に検出可能な不純物を含まないと思われるほど十分に均一であること、またはさらなる精製によっても物質の物理的および化学的性質または生物学的および薬理学的性質、例えば酵素活性および生物学的活性が検出可能には変化しない程度に十分に純粋であることを意味する。ある実施形態では、「実質的に純粋な」とは、分子の少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上が、標準的な分析方法によって決定される、ラセミ混合物またはその単一立体異性体を含む単一化合物である、分子の収集物を指す。
【0044】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で述べる化合物上で認められる特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を包含することを意図されている。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性形態を、ニートまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで、十分な量の所望の塩基と接触させることによって塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、そのような化合物の中性形態を、ニートまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで、十分な量の所望の酸と接触させることによって酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸等のような無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等のような比較的非毒性の有機酸から誘導される塩が含まれる。アルギン酸塩等のようなアミノ酸の塩およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等のような有機酸の塩も含まれる(例えばBerge et al.,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19参照)。本発明の一部の特定の化合物は、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする塩基性官能基と酸性官能基の両方を含有する。
【0045】
したがって、本発明の化合物は、薬学的に許容される酸との塩などの塩として存在し得る。本発明はそのような塩を包含する。そのような塩の非限定的な例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩(例えば(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩またはラセミ混合物を含むこれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、およびグルタミン酸などのアミノ酸との塩、および第四級アンモニウム塩(例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチル等)が含まれる。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製し得る。
【0046】
化合物の中性形態は、好ましくは塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を従来の方法で単離することによって再生される。化合物の親形態は、特定の物理的性質、例えば極性溶媒中の溶解度において様々な塩形態と異なり得る。
【0047】
塩形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書で述べる化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物である。本明細書で述べる化合物のプロドラッグは、投与後にインビボで変換され得る。加えて、プロドラッグは、エクスビボ環境で化学的または生化学的方法によって、例えば適切な酵素または化学試薬と接触させた場合、本発明の化合物に変換され得る。
【0048】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲に包含される。本発明の特定の化合物は、多結晶形態または非晶質形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本発明によって企図される用途に関して等価であり、本発明の範囲内であることが意図されている。
【0049】
「薬学的に許容される賦形剤」および「薬学的に許容される担体」とは、被験体への活性物質の投与および被験体による活性物質の吸収を助ける物質を指し、患者に有意の有害毒性作用を引き起こすことなく本発明の組成物中に含有され得る。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例には、水、NaCl、通常生理食塩溶液、乳酸加リンガー液、通常スクロース、通常グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、着香剤、塩溶液(例えばリンガー液)、アルコール、油、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトース、アミロースまたはデンプン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよび染料等が含まれる。そのような調製物は無菌であり得、所望する場合は、本発明の化合物と有害に反応しない、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤および/または芳香剤等のような助剤と混合し得る。当業者は、他の医薬賦形剤が本発明において有用であることを認識する。
【0050】
「調製物」という用語は、他の担体と共にまたは他の担体なしで活性成分が担体によって取り囲まれており、したがって担体と会合しているカプセルを提供する、封入材料を担体として有する活性化合物の製剤を包含することが意図されている。同様に、カシェ剤およびロゼンジも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤およびロゼンジは、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0051】
「接触させること」は、その明白な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば生体分子または細胞を含む化合物)が反応する、相互作用するまたは物理的に接触するのに十分なほど近接させる工程を指す。しかし、生じる反応産物は、添加された試薬間の反応から直接生成され得るか、または反応混合物中で生成され得る、添加された試薬からの1つ以上の中間体から生成され得ることは理解されるべきである。
【0052】
「接触させること」という用語は、2つの種を反応させる、相互作用させるまたは物理的に触れ合わせることを含んでよく、前記2つの種は、本明細書で述べる化合物およびタンパク質または酵素であり得る。一部の実施形態では、接触させることは、本明細書で述べる化合物をシグナル伝達経路に関与するタンパク質または酵素と相互作用させることを包含する。
【0053】
本明細書で定義されるように、タンパク質に関連して「活性化」、「活性化する」、「活性化すること」等の用語は、最初の不活性状態または失活状態から生物学的に活性な誘導体へのタンパク質の変換を指す。前記用語は、活性化、または疾患において低下したシグナル伝達もしくは酵素活性もしくはタンパク質の量を活性化する、感作するもしくは上方調節することを指す。
【0054】
本明細書で定義されるように、タンパク質−阻害剤相互作用に関連して「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」等の用語は、阻害剤の不在下でのタンパク質の活性または機能と比較して、タンパク質の活性または機能に負の影響を及ぼす(例えば低下させる)ことを意味する。実施形態では、阻害は、阻害剤の不在下でのタンパク質の濃度またはレベルと比較して、タンパク質の濃度またはレベルに負の影響を及ぼす(例えば低下させる)ことを意味する。実施形態では、阻害とは、疾患または疾患の症候の軽減を指す。実施形態では、阻害とは、特定のタンパク質標的の活性の低下を指す。したがって、阻害は、少なくとも一部には、部分的または完全に刺激をブロックする、活性化を低下させる、防止するもしくは遅延させる、またはシグナル伝達もしくは酵素活性もしくはタンパク質の量を不活性化する、脱感作するもしくは下方調節することを含む。実施形態では、阻害は、直接の相互作用(例えば阻害剤が標的タンパク質に結合する)から生じる標的タンパク質の活性の低下を指す。実施形態では、阻害は、間接的な相互作用(例えば阻害剤が、標的タンパク質を活性化するタンパク質に結合し、それにより標的タンパク質の活性化を防止する)から生じる標的タンパク質の活性の低下を指す。
【0055】
「ケタミン」という用語は、本明細書において単独で使用される場合、当分野で広く認められており、分子:(R,S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(メチルアミノ)シクロヘキサノン、または
【0056】
【化3】
【0057】
についての一般名である。
【0058】
ケタミンは、非常に水に溶けやすく(例えば水への塩酸ケタミンの溶解度は約200mg/mlである)、それゆえポリマーマトリックスから迅速に放出される強い傾向を有する周知の薬剤である。「ケタミン」という用語は、ラセミ的に濃縮された形態および鏡像異性的に濃縮された形態、例えば鏡像異性的に純粋な形態の両方を包含することが意図されている。ある実施形態では、ケタミンはラセミケタミンである。ある実施形態では、ケタミンは、1つの鏡像異性体が鏡像異性的に濃縮されている。特定の実施形態では、ケタミンは、S−鏡像異性体が濃縮されている。特定の実施形態では、ケタミンは、R−鏡像異性体が濃縮されている。
【0059】
「ノルケタミン」という用語は、本明細書において単独で使用される場合、当分野で広く認められており、分子:(R,S)−2−(2−クロロフェニル)−2−(アミノ)シクロヘキサノン、または
【0060】
【化4】
【0061】
についての一般名である。
【0062】
ノルケタミンは、ケタミンの脱メチル化の代謝産物であり、多くの人々に、活性であり、ケタミンと類似の、しかしいくぶんより緩やかなクリアランスを示すとみなされている;そのような活性は、しかしながら、ケタミンと比較して有意に低い(およそ3分の1)ことが示されている。「ノルケタミン」という用語は、ラセミ的に濃縮された形態および鏡像異性的に濃縮された形態、例えば鏡像異性的に純粋な形態の両方を包含することが意図されている。ある実施形態では、ノルケタミンはラセミケタミンである。ある実施形態では、ノルケタミンは、1つの鏡像異性体が鏡像異性的に濃縮されている。特定の実施形態では、ノルケタミンは、S−鏡像異性体が濃縮されている。特定の実施形態では、ノルケタミンは、R−鏡像異性体が濃縮されている。
【0063】
本明細書で使用される場合、「最大持続放出」という語は、放出期間を最大値まで増大させるように製剤化された本発明の特定の製剤についての放出ウィンドウを表し、これは、最終的には消化管がすべての薬剤を食物と共に自然に排泄する時間によって制限される。
【0064】
「不正使用防止」という語は、製剤を使用して、静脈内使用のための抽出またはフリーベース使用のために破砕することを介して製剤の薬剤部分を乱用することをより困難にし、それゆえ薬剤の乱用の危険性を低減する、薬剤製剤の態様を表すことが当分野で広く認められている。
【0065】
本明細書で使用される場合、「一定な」という用語は、分子濃度、例えばケタミン濃度の安定なレベルまたは定常状態レベルを表す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「合成」または「合成的に」という用語は、天然には存在せず、人工的に、例えば化学合成によって生成される、本明細書で述べる化合物または組成物を指す。本明細書で述べる「合成」化合物または組成物は、インビボで生成された化合物または投与された化合物または作用物質の代謝産物を含まない。
【0067】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は「製剤」という用語と等価である。
【0068】
本明細書で使用される場合、「投与事象」という語は、短い時間ウィンドウ内、例えば10分未満に、1個以上の丸剤の形態で所与の用量を被験体に投与することを表す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「放出期間」という語は、神経抑制性ケタミンがマトリックスから放出されてケタミンおよびノルケタミンの血漿濃度を提供する時間ウィンドウを表す。放出期間の開始時間は、被験体への経口投与の時点からと定義され、これは胃への流入および胃の酵素および酸による初期溶解とほぼ等しいとみなされる。
【0070】
本明細書で使用される場合、および特に指定がない限り、「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、疾患、障害もしくは症状の、または疾患、障害もしくは症状に関連する1つ以上の症候の、根絶または改善を指す。ある実施形態では、これらの用語は、疾患、障害または症状を有する患者への本発明の製剤の投与から生じる、そのような疾患、障害または症状の進行または悪化を最小限に抑えることを指す。一部の実施形態では、前記用語は、特定の疾患、障害または症状の症候の発症後に、本明細書で提供される製剤を投与することを指す。「処置する」、「処置すること」、「処置」等の用語は、本明細書で使用される場合、被験体、例えば哺乳動物の疾患、障害または症状の処置を包含し、(i)疾患、障害または症状を抑制すること、すなわちその進行を部分的または完全に停止させること、(ii)疾患、障害もしくは症状を軽減すること、すなわち、疾患、障害もしくは症状の症候の後退を生じさせること、または疾患、障害もしくは症状の症候を改善すること、および(iii)疾患、障害または症状の逆転または後退、好ましくは疾患、障害または症状の除去または治癒、の少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」、「処置」等の用語は、哺乳動物、例えば霊長動物、例えばヒトにおける疾患、障害または症状の処置を包含し、上記(i)、(ii)および(iii)の少なくとも1つを含む。当分野で公知のように、年齢、体重、全般的健康、性別、食習慣、投与の時間、薬物相互作用および症状の重症度についての調整が必要であり得るが、本明細書で述べる本発明に基づき、当業者による通常の実験で確認できる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「被験体」および「患者」という用語は交換可能に用いられる。「被験体」および「患者」という用語は、動物(例えばニワトリ、ウズラもしくはシチメンチョウなどの鳥類)または非霊長動物(例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌおよびマウス)ならびに霊長動物(例えばサル、チンパンジーおよびヒト)を含む哺乳動物を指す。特定の実施形態では、被験体はヒトである。
【0072】
本明細書で使用される場合、および特に指定がない限り、「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、疾患、障害もしくは症状またはその1つ以上の症候の発症、再発または拡大の予防を指す。ある実施形態では、これらの用語は、症候の発症前に、特に本明細書で示される疾患、障害または症状の危険性がある患者に、他の付加的な活性化合物と共にまたは単独で、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを指す。これらの用語は、特定の疾患、障害または症状の症候の抑制または軽減を包含する。疾患、障害または症状の家族歴を有する被験体は、特に、特定の実施形態において予防レジメンの候補である。加えて、再発症候の既往がある被験体も、予防の潜在的な候補である。これに関して、「予防する」、「予防すること」および/または「予防」という用語は、「予防的処置」という用語と交換可能に使用し得る。ある実施形態では、予防は、本発明の神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えばケタミン、ノルケタミン、式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の予防有効量の投与によって達成される。
【0073】
本明細書で使用される場合、および特に指定がない限り、活性物質、例えば神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の「治療有効量」または「有効量」は、疾患、障害もしくは症状の処置もしくは管理において治療的恩恵をもたらす、または疾患、障害もしくは症状に関連する1つ以上の症候を遅延させるもしくは最小限に抑えるのに十分な量である。神経抑制性ケタミン(NAKET)の治療有効量は、疾患、障害または症状の処置または管理において治療的恩恵をもたらす、単独でのまたは他の治療法もしくは化合物(例えばNANKET)と併用した、神経抑制性ケタミン(NAKET)の量を意味する。同様に、本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、疾患、障害または症状の処置または管理において治療的恩恵をもたらす、単独でのまたは他の治療法もしくは化合物(例えばNANKET)と併用した、本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)の量を意味する。「治療有効量」という用語は、全体的な治療を改善する、疾患、障害もしくは症状の症候もしくは原因を低減するもしくは回避する、または別の治療薬の治療効果を増強する量を包含し得る。そのような処置を必要とする特定の患者についての治療有効量は、様々な因子、例えば処置される症状、患者の全般的な健康、投与方法、副作用の重症度等を考慮することによって決定できる。本明細書で述べる任意の化合物に関して、治療有効量は、最初に細胞培養アッセイから決定することができる。標的濃度は、本明細書で述べる方法または当分野で公知の方法を用いて測定される、本明細書で述べる方法を達成することができる活性化合物の濃度である。当分野で周知のように、ヒトにおける使用のための治療有効量は動物モデルから決定することもできる。例えばヒトについての用量は、動物において有効であると認められている濃度を達成するように策定できる。ヒトにおける投与量は、上述したように、化合物の有効性を観測し、投与量を増減することによって調整できる。上述した方法および他の方法に基づきヒトにおいて最大効果を達成するように用量を調整することは、十分に当業者の能力範囲内である。
【0074】
本明細書で使用される場合、および特に指定がない限り、「管理する」、「管理すること」および「管理」という用語は交換可能に用いられ、疾患、障害もしくは症状またはその1つ以上の症候の進行、拡大または悪化を防止するまたは遅らせることを指す。しばしば、被験体が予防薬および/または治療薬から得る有益な作用は、疾患、障害または症状の治癒をもたらさない。これに関して、「管理する」、「管理すること」および/または「管理」という用語は、特定の疾患、障害または症状を罹患したことがある被験体を、前記疾患、障害または症状の再発を防止するまたは最小限に抑えることを目的として処置することを包含する。
【0075】
本明細書で使用される場合、および特に指定がない限り、活性物質、例えば神経抑制性ケタミン(NAKET)の「予防有効量」は、疾患、障害または症状を予防するまたはその再発を防止するのに十分な量である。神経抑制性ケタミン(NAKET)の予防有効量は、疾患の予防において予防的恩恵を提供する、単独でのまたは別の作用物質(例えばNANKET)と併用した、神経抑制性ケタミン(NAKET)の量を意味する。「予防有効量」という用語は、全体的な予防を改善するまたは別の予防薬の予防効果を増強する量を包含し得る。同様に、本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の予防有効量は、疾患の防止において予防的恩恵をもたらす、単独でのまたは他の治療法もしくは化合物(例えばNANKET)と併用した、本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)の量を意味する。
【0076】
「神経学的毒性スパイク」という語は、本明細書では、鎮静および/または精神異常発現作用、例えば幻覚、めまいおよび悪心の副作用を生じさせる、被験体への投与事象後のケタミンおよび/またはノルケタミン血漿濃度のスパイクを表すために使用され、前記副作用は、直接の影響を与えるだけでなく、治療のコンプライアンスにも悪影響を及ぼし得る。特に、ケタミンの副作用は、300ng/Lを超える血中濃度レベルでより顕著になり得る。
【0077】
「患者」または「被験体」または「それを必要とする被験体」とは、単離されたおよび/または実質的に純粋な、同位体濃縮神経抑制性ノルケタミン化合物ならびにこれを用いて製剤化された医薬組成物、または本明細書で提供される新規経口放出調節NAKETもしくはNANKET医薬組成物の投与によって処置することができる疾患、障害または症状と診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい生物または動物を指す。非限定的な例には、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、雌ウシ、シカおよび他の非哺乳動物が含まれる。一部の実施形態では、患者はヒトである。
【0078】
投与量は、患者の必要条件および用いられる化合物に依存して異なり得る。本発明に関連して、患者に投与される用量は、患者において経時的に有益な治療応答を生じさせるのに十分であるべきである。用量の大きさは、何らかの有害副作用の存在、性質および程度によっても決定される。特定の状況についての適切な投与量の決定は医師の技術範囲内である。一般に、処置は、化合物の最適用量未満のより低い投与量で開始される。その後、状況下で最適の効果が達成されるまで少しずつ投与量を増加する。投与量および投与間隔は、処置される特定の臨床適応症に有効な投与化合物のレベルを提供するように個別に調整することができる。これは、個体の疾患状態の重症度に相応する治療レジメンを提供する。
【0079】
II.本発明の化合物
ケタミンの周知の使用、およびケタミンを、例えば既存の経口製剤に比べて神経学的有害作用が減少している、経口放出調節神経抑制性ケタミン(NAKET)医薬製剤を提供するように経口製剤化し得るという本明細書で述べる発見を考慮すると、本発明の方法およびNAKET製剤は、ケタミンまたはその特定の誘導体を含有し得る。さらにケタミン、ケタミン誘導体およびNAKETを提供するための本明細書で述べるその製剤に関するこの集合的理解に基づき、本発明はまた、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)としての単独でのまたは他の作用物質(例えばNAKETを含む)と組み合わせた投与のためのノルケタミンの使用も提供し、特定のノルケタミン誘導体はこれらのNANKET製剤での投与に好都合であると考える。
【0080】
したがって、本発明は、ケタミンおよび/もしくはノルケタミンまたはその誘導体、ならびに本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有し得る本発明の方法および製剤を提供する。ある実施形態では、ケタミンまたはノルケタミン、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩は、本明細書で述べる製剤に有意の影響を及ぼさない、または本明細書で述べる所望の治療効果、すなわちケタミンまたはノルケタミン誘導体の血漿濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを引き起こすことなく経口放出調節医薬組成物からのケタミン/ノルケタミン誘導体の治療有効濃度(例えば適応症に基づく)の同様の一定な放出を達成するケタミン/ノルケタミンの能力に有意の影響を及ぼさない、任意の方法で誘導体化し得る。
【0081】
本発明のある実施形態では、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩は、1つの鏡像異性体が鏡像異性的に濃縮されている、例えば鏡像異性的に純粋である。具体的な実施形態では、ケタミンおよび/またはノルケタミン、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩は、S−鏡像異性体(例えば式(I)、(I−A)および(I−B)のいずれかにおいて「*」のマークが付いた炭素はS立体配置を有する)、例えばS−ノルケタミンが濃縮されている。
【0082】
A.重水素化誘導体
本発明の特定の実施形態では、誘導体は重水素化誘導体であり得る。例えば、ケタミンまたはノルケタミンを1個の重水素原子で重水素化し得る。ある実施形態では、ケタミンまたはノルケタミンを2個の重水素原子で重水素化し得る。ある実施形態では、ケタミンまたはノルケタミンを3個の重水素原子で重水素化し得る。ある実施形態では、ケタミンまたはノルケタミンを3個より多い重水素原子で重水素化し得る。
【0083】
本発明の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されない原子、例えば重水素は、特に明記されない限りその原子の任意の安定同位体であることが意図されている。特に明記されない限り、ある位置が「H」または「水素」と具体的に指定されている場合、その位置は、その天然の存在率の同位体組成で水素を有すると理解される。合成化合物では、合成に使用された化学物質の起源に依存して天然同位体存在率の多少の変動が生じることが認識される。したがって、特定の化合物の調製物は、本質的に少量の重水素化および/または13C含有アイソトポローグを含有する。そのような天然に豊富な安定水素および炭素同位体の濃度は、この変動にもかかわらず、本発明の化合物の安定同位体置換の程度に比べて低く、重要ではない。例えばWada E et al.,Seikagaku 1994,66:15;Ganes L Z et al.,Comp Biochem Physiol Mol Integr Physiol 1998,119:725参照。本発明の化合物において、特定の位置が重水素を有すると指定されている場合、その位置の重水素の存在率は、約0.015%という重水素の天然存在率より実質的に大きいことが理解される。重水素を有すると指定されている位置は、典型的には前記化合物において重水素と指定されている各原子について少なくとも3000(重水素取り込み45%)の最小同位体濃縮係数を有する。
【0084】
本明細書で使用される「同位体濃縮係数」という用語は、特定の同位体の同位体存在率と天然存在率との比率を意味する。ある実施形態では、本発明の化合物は、各々の指定されている重水素原子について少なくとも約3500(各々の指定されている重水素原子の52.5%の取り込み)、少なくとも約4000(60%の重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取り込み)、少なくとも約5000(75%の重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素取り込み)、少なくとも約6000(90%の重水素取り込み)、少なくとも約6333.3(95%の重水素取り込み)、少なくとも約6466.7(97%の重水素取り込み)、少なくとも約6600(99%の重水素取り込み)、または少なくとも約6633.3(99.5%の重水素取り込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0085】
ある実施形態では、本発明の化合物のいずれかにおいて重水素と指定されていない各々の原子は、その天然同位体存在率で存在する。
【0086】
i.重水素化ノルケタミンおよび関連化合物
本開示および洞察を考慮すると、重水素化ノルケタミンは、これらの種の代謝的酸化速度の低下をもたらす、速度論的重水素同位体効果に起因して臨床適用のために特に魅力的である。ノルケタミンのそのようなインビボ代謝変換はCYP酵素によって媒介され、かなりの割合が、脱水素反応、ヒドロキシル化およびヒドロキシル化誘導体のグルクロン酸抱合によって分子のシクロヘキサノン部分で起こる。しかしながら、一部の代謝産物はアリール環の水素化によって生じる。一般に、重水素同位体効果は、本発明の製剤と共に、本明細書で述べる方法における使用のために非常に好都合な治療法を提供する。
【0087】
1つの態様では、本発明は、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0088】
1つの態様では、本発明は、精製された神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0089】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、同位体濃縮された神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0090】
1つの態様では、本発明は、本明細書で述べる、精製同位体濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0091】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する製剤を特徴とする。
【0092】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する組成物を特徴とする。
【0093】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物の薬学的に許容される塩またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0094】
別の態様では、本発明は、単離された神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0095】
別の態様では、本発明は、同位体濃縮された(例えば重水素濃縮された)神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0096】
別の態様では、本発明は、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物を特徴とする。
【0097】
別の態様では、本発明は、同位体濃縮された(例えば重水素濃縮された)神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物を特徴とする。
【0098】
別の態様では、本発明は、疾患、障害または症状(例えばケタミン処置が適応され得るもの)を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するための医薬組成物を特徴とし、ここで前記被験体は処置を必要としており、前記医薬組成物は、
(a)本明細書で述べる、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する。
【0099】
さらに別の態様では、本発明は、
(a)本明細書で述べる、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する医薬組成物を特徴とする。
【0100】
別の態様では、本発明は、疾患、障害または症状(例えばケタミン処置が適応され得るもの)を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置する方法であって、疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するために有効量の本明細書で述べる神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む方法を特徴とする。
【0101】
1つの態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0102】
1つの態様では、本発明は、精製された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0103】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、同位体濃縮された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0104】
1つの態様では、本発明は、本明細書で述べる、精製され、同位体濃縮された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0105】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する製剤を特徴とする。
【0106】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する組成物を特徴とする。
【0107】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0108】
別の態様では、本発明は、単離された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0109】
別の態様では、本発明は、同位体濃縮された(例えば重水素濃縮された)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0110】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物を特徴とする。
【0111】
別の態様では、本発明は、同位体濃縮された(例えば重水素濃縮された)式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物を特徴とする。
【0112】
別の態様では、本発明は、疾患、障害または症状(例えばケタミン処置が適応され得るもの)を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するための医薬組成物を特徴とし、ここで前記被験体は処置を必要としており、前記医薬組成物は、
(c)本明細書で述べる、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(d)薬学的に許容される賦形剤
を含有する。
【0113】
さらに別の態様では、本発明は、
(c)本明細書で述べる、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(d)薬学的に許容される賦形剤
を含有する医薬組成物を特徴とする。
【0114】
別の態様では、本発明は、疾患、障害または症状(例えばケタミン処置が適応され得るもの)を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置する方法であって、疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するために有効量の本明細書で述べる式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む方法を特徴とする。
【0115】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、以下の構造:
【0116】
【化5】
【0117】
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびにX、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0118】
式(I)のある実施形態では、X、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である。
【0119】
式(I)のある実施形態では、X、X、X、X、X、X10、X11およびX12の少なくとも1つは重水素である。
【0120】
式(I)のある実施形態では、X、X、X、X、X、X10、X11およびX12は重水素である。さらなる実施形態では、X13およびX14は重水素である。
【0121】
式(I)のある実施形態では、XおよびXは重水素であり、XおよびXは重水素であり、XおよびX10は重水素であり、ならびに/またはX11およびX12は重水素である。
【0122】
式(I)のある実施形態では、XおよびXは重水素である。式(I)のある実施形態では、XおよびXは水素であり、XおよびX10は水素であり、ならびに/またはX11およびX12は水素である。さらなる実施形態では、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の各々は水素である。
【0123】
式(I)のある実施形態では、X、X、X、Xは重水素である。
【0124】
式(I)のある実施形態では、X、X、X、Xは水素である。
【0125】
式(I)のある実施形態では、X、X、X、Xは重水素である。
【0126】
式(I)のある実施形態では、X、X、XおよびXは水素である。
【0127】
式(I)のある実施形態では、X13およびX14は重水素である。
【0128】
式(I)のある実施形態では、X13およびX14は水素である。
【0129】
式(I)のある実施形態では、式(I)の化合物は単離されていてもよい。
【0130】
式(I)のある実施形態では、式(I)の化合物は精製されていてもよい。
【0131】
したがって、本発明は、非重水素化類似体に比べて重水素化誘導体が濃縮されている組成物を提供する。
【0132】
ある実施形態では、式(I)の化合物は単離されているかまたは精製されており、例えば、式(I)の化合物は、存在する式(I)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%(例えば少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上)の純度で存在する。したがって、特定の実施形態では、式(I)の化合物を含有する組成物は化合物のアイソトポローグの分布を含み、ただしアイソトポローグの少なくとも約50重量%は言及される化合物である。さらなる実施形態では、重量でアイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上が言及される化合物である。
【0133】
ある実施形態では、重水素であると指定されている式(I)の化合物における任意の位置は、式(I)の化合物の指定されている位置において少なくとも約45%(例えば少なくとも約52.5%、少なくとも約60%、少なくとも約67.5%、少なくとも約75%、少なくとも約82.5%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%)の最小重水素取り込みを有する。したがって、特定の実施形態では、式(I)の化合物を含有する組成物は化合物のアイソトポローグの分布を含み、ただしアイソトポローグの少なくとも約45%は指定されている位置にDを含む。さらなる実施形態では、アイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上が指定されている位置にDを含む。
【0134】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、化合物の他のアイソトポローグを「実質的に含まない」。例えば、約50%未満、約25%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満または約0.5%未満の他のアイソトポローグが存在する。
【0135】
「アイソトポローグ」という用語は、1つ以上の位置における同位体組成、例えばH対Dを除き、本発明の特定の化合物と同じ化学構造および化学式を有する種を指す。したがってアイソトポローグは、その同位体組成において本発明の特定の化合物と異なる。
【0136】
1つの態様では、本発明は、式(I−A)もしくは(I−B)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0137】
1つの態様では、本発明は、精製された式(I−A)もしくは(I−B)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0138】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、同位体濃縮された式(I−A)もしくは(I−B)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0139】
1つの態様では、本発明は、本明細書で述べる、精製され、同位体濃縮された式(I−A)もしくは(I−B)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0140】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(I−A)もしくは(I−B)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する製剤を特徴とする。
【0141】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(I−A)もしくは(I−B)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する組成物を特徴とする。
【0142】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(I−A)もしくは(I−B)の化合物の薬学的に許容される塩またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0143】
さらに別の態様では、本発明は、
(a)本明細書で述べる、式(I−A)もしくは(I−B)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する医薬組成物を特徴とする。
【0144】
本発明のある実施形態では、式(I−A)の化合物は、以下の構造:
【0145】
【化6】
【0146】
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびにX、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0147】
式(I−A)のある実施形態では、X、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である。
【0148】
式(I−A)のある実施形態では、X、X、X、X、X10、X11およびX12の少なくとも1つは重水素である。
【0149】
式(I−A)のある実施形態では、X、X、X、X、X10、X11およびX12は重水素である。さらなる実施形態では、X13およびX14は重水素である。
【0150】
式(I−A)のある実施形態では、Xは重水素であり、XおよびXは重水素であり、XおよびX10は重水素であり、ならびに/またはX11およびX12は重水素である。
【0151】
式(I−A)のある実施形態では、Xは重水素である。式(I)のある実施形態では、XおよびXは水素であり、XおよびX10は水素であり、ならびに/またはX11およびX12は水素である。さらなる実施形態では、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の各々は水素である。
【0152】
式(I−A)のある実施形態では、X、XおよびXは重水素である。
【0153】
式(I−A)のある実施形態では、X、XおよびXは水素である。
【0154】
本発明のある実施形態では、式(I−B)の化合物は、以下の構造:
【0155】
【化7】
【0156】
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびにX、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である]
またはその薬学的に許容される塩を有する。
【0157】
式(I−B)のある実施形態では、X、X、XおよびXの各々が重水素である場合、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の少なくとも1つは重水素である。
【0158】
式(I−B)のある実施形態では、X、X、X、X10、X11およびX12の少なくとも1つは重水素である。
【0159】
式(I−B)のある実施形態では、X、X、X、X10、X11およびX12は重水素である。さらなる実施形態では、X13およびX14は重水素である。
【0160】
式(I−B)のある実施形態では、Xは重水素であり、Xは重水素であり、XおよびX10は重水素であり、ならびに/またはX11およびX12は重水素である。
【0161】
式(I−B)のある実施形態では、Xは重水素である。式(I)のある実施形態では、Xは水素であり、XおよびX10は水素であり、ならびに/またはX11およびX12は水素である。さらなる実施形態では、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の各々は水素である。
【0162】
式(I−B)のある実施形態では、XおよびXは重水素である。
【0163】
式(I−B)のある実施形態では、XおよびXは水素である。
【0164】
式(I−A)および/または(I−B)のある実施形態では、X、X、X、Xは重水素である。
【0165】
式(I−A)および/または(I−B)のある実施形態では、X、X、X、Xは水素である。
【0166】
式(I−A)および/または(I−B)のある実施形態では、X13およびX14は重水素である。
【0167】
式(I−A)および/または(I−B)のある実施形態では、X13およびX14は水素である。
【0168】
ある実施形態では、式(I−A)および/または(I−B)の化合物は単離されていてもよい。
【0169】
ある実施形態では、式(I−A)および/または(I−B)の化合物は精製されていてもよい。
【0170】
したがって、本発明は、非重水素化類似体に比べて重水素化誘導体が濃縮されている組成物を提供する。
【0171】
ある実施形態では、式(I−A)および/または(I−B)の化合物は単離されているかまたは精製されている。例えば、式(I−A)の化合物は、存在する式(I−A)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%(例えば少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上)の純度で存在し、または式(I−B)の化合物は、存在する式(I−B)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%(例えば少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上)の純度で存在する。したがって、特定の実施形態では、式(I−A)および/または(I−B)の化合物を含有する組成物は化合物のアイソトポローグの分布を含み、ただしアイソトポローグの少なくとも約50重量%は言及される化合物である。一部の実施形態では、重量でアイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上は式(I−A)の言及される化合物である。他の実施形態では、重量でアイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上は式(I−B)の言及される化合物である。
【0172】
ある実施形態では、重水素であると指定されている式(I−A)の化合物における任意の位置は、式(I−A)の化合物の指定されている位置において少なくとも約45%(例えば少なくとも約52.5%、少なくとも約60%、少なくとも約67.5%、少なくとも約75%、少なくとも約82.5%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%以上)の最小重水素取り込みを有する。したがって、特定の実施形態では、式(I−A)の化合物を含有する組成物は化合物のアイソトポローグの分布を含み、ただしアイソトポローグの少なくとも約45%は指定されている位置にDを含む。さらなる実施形態では、アイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上が指定されている位置にDを含む。
【0173】
ある実施形態では、重水素であると指定されている式(I−B)の化合物における任意の位置は、式(I−B)の化合物の指定されている位置において少なくとも約45%(例えば少なくとも約52.5%、少なくとも約60%、少なくとも約67.5%、少なくとも約75%、少なくとも約82.5%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%以上)の最小重水素取り込みを有する。したがって、特定の実施形態では、式(I−B)の化合物を含有する組成物は化合物のアイソトポローグの分布を含み、ただしアイソトポローグの少なくとも約45%は指定されている位置にDを含む。さらなる実施形態では、アイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上が指定されている位置にDを含む。
【0174】
ある実施形態では、式(I−A)および/または(I−B)の化合物は、化合物の他のアイソトポローグを「実質的に含まない」。例えば、約50%未満、約25%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満または約0.5%未満の他のアイソトポローグが存在する。
【0175】
式I、(I−A)および(I−B)に従う例示的な化合物を以下の表A〜Dに示す。
【0176】
【化8】
【0177】
【化9】
【0178】
【化10-1】
【0179】
【化10-2】
【0180】
【化11-1】
【0181】
【化11-2】
【0182】
ii.重水素化ケタミン
1つの態様では、本発明は、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0183】
1つの態様では、本発明は、精製された神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0184】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、同位体濃縮された神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0185】
1つの態様では、本発明は、本明細書で述べる、精製され、同位体濃縮された神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0186】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する製剤を特徴とする。
【0187】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する組成物を特徴とする。
【0188】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物の薬学的に許容される塩またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0189】
別の態様では、本発明は、単離された神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0190】
別の態様では、本発明は、同位体濃縮された(例えば重水素濃縮された)神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0191】
別の態様では、本発明は、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物を特徴とする。
【0192】
別の態様では、本発明は、同位体濃縮された(例えば重水素濃縮された)神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する合成組成物を特徴とする。
【0193】
別の態様では、本発明は、疾患、障害または症状(例えばケタミン処置が適応され得るもの)を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するための医薬組成物を特徴とし、ここで前記被験体は処置を必要としており、前記医薬組成物は、
(a)本明細書で述べる、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する。
【0194】
さらに別の態様では、本発明は、
(a)本明細書で述べる、神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する医薬組成物を特徴とする。
【0195】
別の態様では、本発明は、疾患、障害または症状(例えばケタミン処置が適応され得るもの)を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置する方法であって、疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するために有効量の本明細書で述べる神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物またはその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む方法を特徴とする。
【0196】
1つの態様では、本発明は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を徴とする。
【0197】
1つの態様では、本発明は、精製された式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0198】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、同位体濃縮された式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0199】
1つの態様では、本発明は、本明細書で述べる、精製され、同位体濃縮された式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0200】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する製剤を特徴とする。
【0201】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する組成物を特徴とする。
【0202】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べる、式(II)の化合物の薬学的に許容される塩またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
【0203】
さらに別の態様では、本発明は、
(a)本明細書で述べる、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有する医薬組成物を特徴とする。
【0204】
本発明のある実施形態では、式(II)の化合物は、以下の構造:
【0205】
【化12】
【0206】
[式中、
、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16は、各々独立して水素および重水素から成る群より選択され、ならびにX、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15およびX16の少なくとも1つは重水素である]
を有する。
【0207】
式(II)のある実施形態では、X、X、X、X、X、X10、X11およびX12は重水素である。
【0208】
式(II)のある実施形態では、X14、X15およびX16は重水素である。式(II)のある実施形態では、X14、X15およびX16は水素である。
【0209】
式(II)のある実施形態では、X13は水素である。式(II)のある実施形態では、X13は重水素である。
【0210】
式(II)のある実施形態では、X、X、X、X、X、X10、X11およびX12は重水素であり、ならびにX14、X15およびX16は重水素である。
【0211】
式(II)のある実施形態では、X、X、X、X、X、X10、X11およびX12は重水素であり、X13は重水素であり、ならびにX14、X15およびX16は重水素である。
【0212】
式(II)のある実施形態では、XおよびXは重水素であり、XおよびXは重水素であり、XおよびX10は重水素であり、ならびに/またはX11およびX12は重水素である。
【0213】
式(II)のある実施形態では、XおよびXは重水素である。式(II)のある実施形態では、XおよびXは水素であり、XおよびX10は水素であり、ならびに/またはX11およびX12は水素である。さらなる実施形態では、X、X、X、X10、X11、X12、X13およびX14の各々は水素である。
【0214】
式(II)のある実施形態では、X、X、X、Xは重水素である。
【0215】
式(II)のある実施形態では、X、X、X、Xは水素である。
【0216】
式(II)のある実施形態では、X、X、X、Xは重水素である。
【0217】
式(II)のある実施形態では、X、X、XおよびXは水素である。
【0218】
式(II)のある実施形態では、X13およびX14は重水素である。
【0219】
式(II)のある実施形態では、X13およびX14は水素である。
【0220】
式(II)のある実施形態では、式(II)の化合物は単離されていてもよい。
【0221】
式(II)のある実施形態では、式(II)の化合物は精製されていてもよい。
【0222】
したがって、本発明は、非重水素化類似体に比べて重水素化誘導体が濃縮されている組成物を提供する。
【0223】
ある実施形態では、式(II)の化合物は単離されているかまたは精製されており、例えば、式(II)の化合物は、存在する式(II)のアイソトポローグの総量の少なくとも50重量%(例えば少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上)の純度で存在する。したがって、特定の実施形態では、式(II)の化合物を含有する組成物は化合物のアイソトポローグの分布を含み、ただしアイソトポローグの少なくとも約50重量%は言及される化合物である。さらなる実施形態では、重量でアイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上が言及される化合物である。
【0224】
ある実施形態では、Dを有すると指定されている式(II)の化合物における任意の位置は、式(II)の化合物の指定されている位置において少なくとも約45%(例えば少なくとも約52.5%、少なくとも約60%、少なくとも約67.5%、少なくとも約75%、少なくとも約82.5%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%以上)の最小重水素取り込みを有する。したがって、特定の実施形態では、式(II)の化合物を含有する組成物は化合物のアイソトポローグの分布を含み、ただしアイソトポローグの少なくとも約45%は指定されている位置にDを含む。さらなる実施形態では、アイソトポローグの少なくとも約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%または約99.9%以上が指定されている位置にDを含む。
【0225】
ある実施形態では、式(II)の化合物は、化合物の他のアイソトポローグを「実質的に含まず」、例えば、約50%未満、約25%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満または約0.5%未満の他のアイソトポローグが存在する。
【0226】
III.本発明の製剤
ある実施形態では、本発明は、例えば既存の経口製剤または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)に比べて神経学的有害作用が減少している、神経抑制性ケタミン(NAKET)またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物、例えば経口投与用に製剤化された丸剤(例えば錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、ロゼンジ、カシェ剤、ジェルキャップ、キャップ、ペレット、ボーラス、香錠、口腔内崩壊錠、舌下錠およびバッカル錠)などの、経口投与用に製剤化された医薬組成物、例えば単層錠剤組成物を提供する。明確にするため、本発明で用いられる「神経抑制性ケタミン(NAKET)」は、ケタミンおよび/またはケタミン誘導体の血漿濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを伴わずに経口医薬組成物からのケタミンおよび/またはケタミン誘導体の治療有効濃度の一定な放出を保証するように製剤化された、ケタミンまたは同様に作用するように設計されたケタミン誘導体である。ケタミン血漿濃度のそのようなスパイクは、幻覚、めまいおよび悪心を含むがこれらに限定されない重篤な精神異常発現性副作用を有することが十分に実証されており、これらの副作用は直接の影響を与えるだけでなく、治療のコンプライアンスにも影響を及ぼし得る。これに関して、本発明は、例えばケタミンを含む神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物の長期の一定な放出のために発見された最適マトリックスを含有し、鎮静および精神異常発現性副作用が減少している、経口投与のための新規で独創的な製剤を提供する。
【0227】
ある実施形態では、本発明は、例えば既存の経口製剤または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えばケタミン、ノルケタミン、式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)に比べて神経学的有害作用が減少している、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物、例えば経口投与用の丸剤(例えば錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、ロゼンジ、カシェ剤、ジェルキャップ、キャップ、ペレット、ボーラス、香錠、口腔内崩壊錠、舌下錠およびバッカル錠)などの、経口投与用に製剤化された医薬組成物、例えば単層錠剤組成物を提供する。明確にするため、本発明で用いられる「神経抑制性ノルケタミン(NANKET)」は、ノルケタミンおよび/またはノルケタミン誘導体の血漿濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを伴わずに経口医薬組成物からのノルケタミンおよび/またはノルケタミン誘導体の治療有効濃度の一定な放出を保証するように製剤化された、ノルケタミンまたは同様に作用するように設計されたノルケタミン誘導体である。
【0228】
ある実施形態では、神経抑制性ケタミンは、精神異常発現抑制性ケタミン(PAKET)であり、ここで神経学的毒性スパイクは、幻覚、めまいおよび悪心を含むがこれらに限定されない、精神異常発現毒性スパイクである。
【0229】
ある実施形態では、神経抑制性ケタミンは、精神異常発現抑制性ノルケタミン(PANKET)であり、ここで神経学的毒性スパイクは、幻覚、めまいおよび悪心を含むがこれらに限定されない、精神異常発現毒性スパイクである。
【0230】
ある実施形態では、医薬組成物(例えば単層錠剤組成物などの経口投与用に製剤化された錠剤組成物)は、本明細書で述べる化合物のいずれか(例えばケタミン、ノルケタミン、式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0231】
本発明のある実施形態では、錠剤組成物は、持続放出、好ましくは最大持続放出に適合された放出調節錠剤である。
【0232】
本発明のある実施形態では、錠剤組成物は不正使用防止に適合されている。特定の実施形態では、錠剤組成物は、HPMCと組み合わせて、例えば約2,000〜約7,000KDaの分子量の、ポリエチレンオキシド(PEO)を含有する。特定の実施形態では、錠剤組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG8Kをさらに含有し得る。特定の実施形態では、錠剤組成物は、1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、例えばポリアクリル酸をさらに含有し得る。具体的な実施形態では、PEOを含有する錠剤組成物は、さらに加熱/アニーリング、例えば押出条件に供される。
【0233】
本発明のある実施形態では、NAKETは、(i)水不溶性で電荷中性の非イオン性マトリックス、(ii)1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、および(iii)ケタミンまたはケタミン誘導体、の組合せを含有する。
【0234】
本発明のある実施形態では、NANKETは、(i)水不溶性で電荷中性の非イオン性マトリックス、(ii)1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、および(iii)ノルケタミンまたはノルケタミン誘導体、の組合せを含有する。
【0235】
本発明のある実施形態では、医薬組成物は、(i)水不溶性で電荷中性の非イオン性マトリックス、(ii)1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、ならびに(iii)本明細書で述べる化合物のいずれか(例えばケタミン、ノルケタミン、式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩、の組合せを含有する。
【0236】
本発明のある実施形態では、1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマーは、ポリアクリル酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリメタクリル酸カルボキシレート、陽イオン交換樹脂、粘土、ゼオライト、ヒアルロン酸、アニオンガム、これらの塩およびこれらの混合物から成る群より選択される。特定の実施形態では、アニオンガムは、天然に存在する物質および半合成物質から成る群より選択される。具体的な実施形態では、天然に存在する物質は、アルギン酸、ペクチン、キサンタンガム、カラゲナン、ローカストビーンガム、アラビアゴム、カラヤゴム、グアーガムおよびトラガカントゴムから成る群より選択される。別の具体的な実施形態では、半合成物質は、カルボキシメチルキチンおよびセルロースガムから成る群より選択される。
【0237】
さらに、理論に拘束されることを望むものではないが、ある実施形態では、1つ以上の負に荷電した基、例えば本明細書で述べる酸性ポリマーにおけるような酸性の部分を担持するポリマーの役割は、驚くべきことに、マトリックス中のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の有意の保持を提供する。特定の実施形態では、この負の電荷は、例えばpKaに起因するおよび特定のpH条件下でのまたは静電相互作用/負電荷の形成を介したプロトンの放出に基づき、インサイチューで生成し得る。さらに注目すべきは、酸性ポリマーは、胃の中で関連のプロトン化した酸となる対応する弱酸の塩であってもよく、このプロトン化した酸は、理論に拘束されることを望むものではないが、電荷を中和し、マトリックスと、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩との相互作用を低減し得る。加えて、放出マトリックスは、適切な固体剤形の調製に役立つ他の不活性医薬成分、例えば充填剤、崩壊剤、流動改善剤、潤滑剤、着色剤、味覚マスキング剤などでさらに補完され得る。
【0238】
本発明のある実施形態では、錠剤組成物は不正使用防止に適合されている。特定の実施形態では、錠剤組成物は、例えば約2,000〜約7,000KDaの分子量の、ポリエチレンオキシド(PEO)を含有する。具体的な実施形態では、PEOを含有する錠剤組成物は、さらに加熱/アニーリング、例えば押出に供される。
【0239】
本発明のある実施形態では、非イオン性マトリックスは、単独のまたはデンプン、ろう、中性ガム、ポリメタクリレート、PVA、PVA/PVP混合物およびこれらの混合物から成る群より選択される成分と混合することによって強化された、HPMCなどのセルロース系ポリマーから選択される。
【0240】
本発明のある実施形態では、セルロース系ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。具体的な実施形態では、錠剤組成物は、約20〜60重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約10〜30重量%のデンプンまたはこれらの任意の組合せを含有する。
【0241】
ある実施形態では、医薬組成物は直腸または膣投与用に製剤化される。
【0242】
ある実施形態では、医薬組成物は、エアロゾル、吸入器、ネブライザおよび気化器のような、鼻内または吸入投与用に製剤化される。
【0243】
ある実施形態では、医薬組成物は口内投与用に製剤化される。
【0244】
ある実施形態では、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、骨内、仙骨硬膜外、髄腔内または腹腔内投与などの非経口投与用に製剤化される。
【0245】
ある実施形態では、医薬組成物は、注入による投与用に製剤化される。
【0246】
ある実施形態では、医薬組成物は、舌下、口腔内崩壊性またはバッカル投与用に製剤化される。
【0247】
ある実施形態では、医薬組成物は、眼投与または耳投与用に製剤化される。
【0248】
ある実施形態では、医薬組成物は、ペースト、クリーム、軟膏、ジェル、液体、スプレー、スキンパッチ、経皮パッチ、香膏、軟膏剤およびインプラントのような局所投与用に製剤化される。
【0249】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤、カプレット、ジェルキャップ、キャップもしくはカプセル組成物)、直腸、膣、鼻内、吸入、耳、眼、局所、舌下、口腔内崩壊、バッカル、非経口、静脈内、皮下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、疼痛の処置のために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は、癌疼痛、例えば難治性癌疼痛である。本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は術後疼痛である。本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は整形外科的疼痛である。本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は背痛である。本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は神経因性疼痛である。本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は歯痛である。本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は、オピオイド耐性患者における慢性疼痛である。
【0250】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、うつ病の処置のために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0251】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、脳損傷の処置のために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0252】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、脳卒中の処置のために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0253】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、例えば前兆を伴う、片頭痛における使用のために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0254】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、難治性喘息における使用のために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0255】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、アルコール依存を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0256】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0257】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、うつ病(例えば治療抵抗性うつ病(TRD)または双極性うつ病)を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0258】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、大うつ病性障害(MDD)を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0259】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、不安(例えば全般性不安障害)を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0260】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、統合失調症を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0261】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、双極性障害を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0262】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、自殺傾向または自殺念慮を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0263】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、自閉症を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0264】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、糖尿病性ニューロパシーを処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0265】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、神経因性疼痛を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0266】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、急性疼痛(例えば急性外傷痛)を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0267】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、慢性疼痛を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0268】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、レボドパ誘発性ジスキネジアを処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0269】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、情動調節障害または延髄機能を処置するまたは調節するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0270】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、アルツハイマー病またはアルツハイマー病に関連する症状(例えばアルツハイマー型認知症もしくはアルツハイマー性激越)を処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0271】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、耳鳴りを処置するのに使用するために治療上有効な量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0272】
本発明のある実施形態では、医薬組成物(例えば、経口(例えば口腔内投与または錠剤組成物)、直腸、鼻内、静脈内、舌下または筋肉内投与用に製剤化された、または注入による投与用に製剤化された医薬組成物)は、約12〜24時間にわたって、例えば約24時間にわたって約0.05〜2mg/kg/時の割合でマトリックスから放出される、一定量のケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0273】
本発明のある実施形態では、神経抑制性ケタミンは、血漿中で約10〜500ng/mlの範囲のケタミン(もしくはケタミン誘導体)およびその代謝産物であるノルケタミン(もしくは対応する代謝ノルケタミン誘導体)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の合わせた濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。特定の実施形態では、神経抑制性ケタミンは、血漿中で約10〜300ng/mlの範囲のケタミン(もしくはケタミン誘導体)およびその代謝産物であるノルケタミン(もしくは対応する代謝ノルケタミン誘導体)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の合わせた濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。特定の実施形態では、神経抑制性ケタミンは、血漿中で約10〜100ng/mlまたは約50〜100ng/mlの範囲のケタミン(もしくはケタミン誘導体)およびその代謝産物であるノルケタミン(もしくは対応する代謝ノルケタミン誘導体)の合わせた濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。特定の実施形態では、神経抑制性ケタミンは、血漿中で約10〜20ng/mlの範囲のケタミン(もしくはケタミン誘導体)およびその代謝産物であるノルケタミン(もしくは対応する代謝ノルケタミン誘導体)の合わせた濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。
【0274】
本発明のある実施形態では、神経抑制性ノルケタミン(もしくはノルケタミン誘導体)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩は、約10〜500ng/mlの範囲の血漿中濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。特定の実施形態では、神経抑制性ノルケタミン(もしくはノルケタミン誘導体)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩は、約10〜300ng/mlの範囲の血漿中濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。特定の実施形態では、神経抑制性ノルケタミン(もしくはノルケタミン誘導体)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩は、約10〜100ng/mlの範囲の血漿中濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。特定の実施形態では、神経抑制性ノルケタミン(もしくはノルケタミン誘導体)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩は、約10〜20ng/mlの範囲の血漿中濃度を達成し、放出期間中この濃度を維持する。
【0275】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、4時間を超える。
【0276】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約8時間を超える。
【0277】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約12時間を超える。
【0278】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約16時間を超える。
【0279】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約20時間を超える。
【0280】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約24時間を超える(または約24時間である)。
【0281】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約28時間を超える(または約28時間である)。
【0282】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約32時間を超える(または約32時間である)。
【0283】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約36時間を超える(または約36時間である)。
【0284】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約48時間未満である。
【0285】
本発明のある実施形態では、本発明の製剤中のNAKETまたはNANKET、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩の放出期間は、約36時間未満である。
【0286】
本発明のある実施形態では、本発明の錠剤組成物は、1日2回(BID)、1日3回(TID)または1日4回(QID)適用として使用される。
【0287】
本発明のある実施形態では、本発明の錠剤組成物は、1日1回(QD)適用として使用される。
【0288】
本発明のある実施形態では、本発明の錠剤組成物は、毎夜(QHS)適用として使用される。
【0289】
本発明のある実施形態では、本発明の錠剤組成物は、必要に応じた(PRN)適用として使用される。
【0290】
本発明のある実施形態では、経口医薬組成物は強化されている。特定の実施形態では、投与効率のために、製剤は、本発明によって記述されていない比較経口錠剤と同じ効果を達成する処置のためにより少ないケタミン、ノルケタミンまたはその誘導体を使用することができる。
【0291】
本発明のある実施形態では、適切な単一単位用量を提供する経口投与事象は、1個の丸剤または複数の丸剤を含み得る。
【0292】
加えて、胃の中の酸性環境から錠剤を保護し、長期間の放出を維持するために、ある特定の実施形態では、様々な種類の腸溶剤皮を使用し得る。
【0293】
本発明のある実施形態では、放出調節製剤を生成するため、例えばマトリックスからの薬剤の一定な放出を保証し、早期放出時点での濃度の急上昇を回避するために、単層錠剤またはカプレットを不活性医薬成分の保護層で被覆する。
【0294】
本発明の別の実施形態は、放出調節製剤としてのケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の製剤であって、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の血漿濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを伴わずに、そのような経口放出調節製剤からのケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の治療有効濃度の一定な放出を保証する製剤を提供する。この製剤は、浸透圧制御放出医薬組成物、例えば錠剤、カプレットまたは顆粒に製剤化された、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する。これらの製剤では、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩(例えば本明細書で述べる他の錠剤製剤によって定義される)を含有する単一コア層が、薬剤送達開口部を有するまたは有さない半透膜によって取り囲まれている。理論に拘束されることを望むものではないが、これらのシステムは活性物質の制御送達のために水の浸透圧を利用するので、送達速度は胃腸の状態とは無関係であると予想される。本発明の新規で独創的な態様と組み合わせて、浸透非対称膜技術またはAMT(例えば制御された相分離によって生成される不溶性の非対称微多孔膜で被覆された単層錠剤、カプレットまたは顆粒を対象とする技術)を用いて、本明細書で述べる処置の方法およびキットにおいて有用な製剤を生成し得る。
【0295】
本発明のある実施形態では、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩は、ケタミン/ノルケタミンの対イオンが、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩に関する本明細書で述べる製剤、または本明細書で述べる所望の治療効果、すなわちケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを伴わずに、錠剤、カプレット、カプセル、ジェルキャップ、キャップまたは顆粒などの経口医薬組成物から治療有効濃度(例えば適応症に基づく)の同様の一定な放出を達成する、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の能力に有意の影響を及ぼさないように、その薬学的に許容される塩として、例えば塩酸ケタミン、アスパラギン酸ケタミン、コハク酸ケタミン等として製剤化され得る。例示的な塩としては、この範囲内で、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸またはリン酸などの無機酸との塩、ならびにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸などの有機酸との塩、ならびに当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸との塩が含まれ得るが、これらに限定されない。さらなる例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、亜鉛等のような無機カチオンとの塩、およびアンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、リシン、アルギニン、N−メチルグルカミン、プロカイン等のような薬学的に許容されるアミンとで形成される塩が含まれ得る。具体的な実施形態では、薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0296】
本発明の別の実施形態は、神経抑制性ケタミン(NAKET)および/または神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本明細書で述べる製剤のいずれか1つの医薬組成物、例えば丸剤のような経口投与される医薬組成物、ならびに、例えば本明細書で述べるような、疼痛などの疾患、障害または症状の処置、予防または管理における使用のための取扱説明書を含む、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置するためのキットを提供する。
【0297】
本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は、癌疼痛、例えば難治性癌疼痛である。
【0298】
本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は術後疼痛である。
【0299】
本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は整形外科的疼痛である。
【0300】
本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は背痛である。
【0301】
本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は神経因性疼痛である。
【0302】
本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は歯痛である。
【0303】
本発明の特定の実施形態では、処置される疼痛は、オピオイド耐性患者における慢性疼痛である。
【0304】
本発明の別の実施形態は、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本発明の製剤のいずれか1つの医薬組成物、例えば丸剤のような経口投与される錠剤医薬組成物、ならびに脳損傷の処置における使用のための取扱説明書を含む、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置するためのキットを提供する。
【0305】
本発明の別の実施形態は、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本発明の製剤のいずれか1つの医薬組成物、例えば丸剤のような経口投与される錠剤医薬組成物、ならびにうつ病の処置における使用のための取扱説明書を含む、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置するためのキットを提供する。
【0306】
本発明の別の実施形態は、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本発明の製剤の医薬組成物、例えば丸剤のような経口投与される錠剤医薬組成物、ならびに、例えば前兆を伴う、片頭痛の処置における使用のための取扱説明書を含む、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置するためのキットを提供する。
【0307】
本発明の別の実施形態は、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本発明の医薬組成物、例えば丸剤のような経口投与される錠剤医薬組成物、ならびに難治性喘息の処置における使用のための取扱説明書を含む、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置するためのキットを提供する。
【0308】
本発明の別の実施形態は、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本発明の製剤のいずれか1つの医薬組成物、例えば丸剤のような経口投与される錠剤医薬組成物、ならびに脳卒中の処置における使用のための取扱説明書を含む、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置するためのキットを提供する。
【0309】
本発明の別の実施形態は、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本発明の製剤のいずれか1つの医薬組成物、例えば丸剤のような経口投与される錠剤医薬組成物、ならびにアルコール依存の処置における使用のための取扱説明書を含む、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置するためのキットを提供する。
【0310】
実施形態では、本発明は、ケタミン処置が適応され得る、考慮され得るまたは推奨され得るような疾患、障害または症状を有すると診断された、これに罹患しているまたは罹患しやすい被験体を処置するために被験体に経口投与するための経口放出調節医薬組成物を特徴とし、ここで被験体は、前記経口放出調節医薬組成物での処置を必要としており、前記経口放出調節医薬組成物は、
(a)被験体における疾患、障害または症状を処置する、予防するおよび/または管理するための有効量の、ケタミン、重水素濃縮神経抑制性ケタミン(NAKET)化合物、ノルケタミン、および/または重水素濃縮神経抑制性ノルケタミン(NANKET)化合物またはその薬学的に許容される塩から成る群より選択される薬剤、ならびに
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含有し、これにより、放出調節医薬組成物の被験体への経口投与後に、前記医薬組成物からの前記薬剤の放出期間中に被験体の血漿中で神経学的毒性スパイクが起こらないように、放出調節医薬組成物からの前記薬剤の一定な放出が維持される。
【0311】
前記キットのある実施形態では、使用のための取扱説明書は、医薬組成物の包装の内蔵成分を構成する。
【0312】
A.本発明の一般的な錠剤製剤
本発明の製剤は、錠剤、カプセル、カプレット、ジェルキャップおよびキャップ組成物などの経口投与される医薬組成物を含有し、これらは、被覆されていない錠剤または被覆錠剤、カプレットおよびキャップ(フィルムコート錠、糖衣錠および胃耐性/腸溶性錠剤を含む)を包含し得る。経口使用のための経口医薬組成物は、薬学的に許容される不活性賦形剤、例えば希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、粉体流動改善剤、湿潤剤、甘味剤、着香剤、着色剤および防腐剤と混合された、活性成分、例えばケタミンおよび/またはノルケタミン、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含み得る。さらに、本発明の経口医薬組成物は、例えば粉末または顆粒の単回または複数回圧縮を伴う乾式造粒によって得られる、経口投与を意図した固体剤形である。ある実施形態では、経口医薬組成物は、湿式造粒技術を用いることによって入手し得る。ある実施形態では、経口医薬組成物は、成形、加熱/アニーリングまたは押出技術によって入手し得る。
【0313】
ある実施形態では、経口錠剤は直円柱の固体であり、その端部表面は平坦または凸面であり、その縁は面取りされていてもよい。特定の実施形態では、表面は凸面である。加えて、表面は、線もしくは割線(刻み目)、記号または他の刻印を有していてもよい。
【0314】
ある実施形態では、割線は、1錠より少ない用量を提供するために錠剤の正確な再分割を可能にすることを意図されている。本発明のある実施形態では、錠剤組成物は、1つ以上の賦形剤、例えば希釈剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、胃腸管内での剤形および活性成分の挙動を調節することができる物質、適切な国または地方当局によって認可された着色物質および香味物質を含有する。そのような賦形剤を使用する場合、これらが活性成分の安定性、溶解速度、バイオアベイラビリティ、安全性および有効性に悪影響を及ぼさないことが保証される必要がある;剤形の成分のいずれかの間に配合禁忌があってはならない。
【0315】
被覆錠剤は、天然または合成樹脂、ポリマー、ガム、充填剤、糖類、可塑剤、ポリオール、ろう、適切な国または地方当局によって認可された着色物質および香味物質などの物質の混合物の1つ以上の層で被覆された錠剤である。そのような被覆物質はいかなる活性成分も含有せず、例えばケタミン、ノルケタミン、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有しない。錠剤は、マトリックスからのバースト放出、空気、湿気もしくは光から活性成分を保護すること、不愉快な味および臭いをマスクすること、または外観を改善することなどの様々な理由で被覆され得る。被覆に使用される物質は、溶液または懸濁液として適用され得る。
【0316】
ある実施形態では、経口医薬組成物、例えば錠剤の製造工程は、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practices)(GMP)の要件を満たす。ある実施形態では、経口医薬組成物の製造において以下から選択される1つ以上の措置が講じられる:賦形剤との混合が、均一性を確保する方法で実施されることを保証する;経口医薬組成物が、その後の処理、例えば被覆、保存および配給の際の崩壊または破壊を回避する適切な機械的強度を有することを保証する;活性成分の分解を最小限に抑える;微生物汚染の危険性を最小限に抑える;交差汚染の危険性を最小限に抑える。加えて、1錠より少ない用量を提供するために再分割が意図されている割線入り錠剤(割線または刻印を有する錠剤)の製造においては、患者が意図された用量を摂取するように、必要に応じて、再分割された部分の質量または含量の均一性に関して割線の有効性を保証する措置が講じられる。
【0317】
一般に適切な用量は、1日につき受容者の体重キログラム当たり約0.01〜約10mgの範囲、好ましくは1日につき体重キログラム当たり約0.1〜約5mgの範囲である。製剤および投与の技術に関するさらなる詳細は、学術文献および特許文献で十分に説明されており、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,Maack Publishing Co,Easton Pa.(「Remington’s」)の最新版参照。医薬組成物が許容される担体中に製剤化された後、製剤を適切な容器に入れ、適応症状の処置のためのラベルを貼付することができる。NAKETまたはNANKET製剤、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する製剤の投与のために、そのようなラベルは、例えば投与の量、頻度、方法、処置レジメンおよび適応症に関する指示を含む。
【0318】
B.モノグラフの順守
ある実施形態では、本発明の製剤は、連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food,Drug and Cosmetic Act)を順守するために特定の産業で認められているモノグラフに適合する。特に、本発明の製剤は、そのすべてが関連するモノグラフによって確立された目視検査、質量分析の均一性、含量分析の均一性、および/または溶解/崩壊分析に適合し、その下で許容されるとみなされる。
【0319】
ある実施形態では、製造全体を通して、特定の手順は適切な工程内管理を実施することによって検証され、監視される。工程内管理は、生産の各段階の有効性を保証するように設計される。錠剤生産の間の工程内管理には、最終的に潤滑化された混合物の水分含量、顆粒の大きさ、最終混合物の流動および、該当する場合は、被覆前の錠剤コアの質量の均一性が含まれ得る。錠剤生産中の工程内管理には、最終剤形の寸法(厚さ、直径)、質量の均一性、硬度および/または破砕力、摩損度、崩壊または溶解速度(例えば放出調節錠剤に関して)も含まれ得る。これらの特性のいくつかを実証するのに使用し得る適切な試験方法は当分野で公知である。
【0320】
ある実施形態では、包装は、輸送の間の光、湿気および損傷から、錠剤を含む医薬組成物を適切に保護するのに十分であり得るかまたは十分であることが求められる。
【0321】
さらなる実施形態では、市販の製剤(例えばキット)は、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準(GMP)の下で確立されたラベル表示必要条件に適合する。そのようなラベルは以下を含む:
(1)医薬品の名称;
(2)活性成分の名称、可能な限り国際的一般名(International Nonproprietary Names)(INN)を使用すべきである;
(3)各錠剤中の活性成分の量および容器内の錠剤の数;
(4)製造者によって割り当てられたバッチ(ロット)番号;
(5)有効期限および、必要な場合は、製造日;
(6)必要に応じて任意の特別な保存条件または取扱上の注意;
(7)必要に応じて使用のための指示、警告および使用上の注意;
(8)製造者または製品の上市責任者の名称および住所;
(9)使用のための指示が1錠未満の用量を提供するための再分割を含む割線入り錠剤については、ラベルは、直ちに服用されないまたは投与されない再分割された部分についての保存条件および使用期限も含むべきである。
【0322】
ある実施形態では、医薬組成物、例えば錠剤は、その完全性を失うことなく、包装および輸送を含む取り扱いに耐えることができる。
【0323】
IV.本発明の方法
本発明の製剤は、本発明の方法、例えば本発明の処置の方法において使用し得る。このように、本発明は、例えば疼痛の処置のための、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する、本発明の製剤または組成物(例えば医薬組成物)の使用方法に関する。このように、ある実施形態では、本発明は、本明細書で述べる、本発明の製剤の経口投与を含む、難治性癌疼痛、神経性疼痛、術後疼痛、複合局所疼痛症候群(CRPS)、例えば前兆を伴う、片頭痛を含むがこれらに限定されない様々な種類の疼痛、ならびにうつ病、アルコール依存、難治性喘息、てんかん、急性脳損傷および脳卒中、アルツハイマー病および他の障害を含む他の症状の管理を提供する。ある実施形態では、本発明の製剤の使用は、単独療法として用いられ得る。ある実施形態では、本発明の製剤の使用は、補助/併用療法として用いられ得る。
【0324】
ある実施形態では、本発明は、癌疼痛、例えば難治性癌疼痛;神経因性疼痛;オピオイド誘発性痛覚過敏およびオピオイド関連耐性;神経性疼痛;術後疼痛;複合局所疼痛症候群(CRPS);ショック;四肢の切断;重症の化学的または熱による熱傷;捻挫、靱帯裂傷、骨折、創傷および他の組織損傷;歯科の手術、治療および疾患;陣痛および分娩;理学療法の期間中;放射線障害;後天性免疫不全症候群(AIDS);硬膜外(または硬膜上)線維症;整形外科的疼痛;背痛;背部手術の失敗および椎弓切除術の失敗;坐骨神経痛;有痛性鎌状赤血球発症;関節炎;自己免疫疾患;難治性膀胱痛;特定のウイルスに関連する疼痛、例えば帯状疱疹痛またはヘルペス痛;急性悪心、例えば悪心を引き起こし得る疼痛または重篤な悪心を伴うことが多い腹痛;例えば前兆を伴う、片頭痛、を含むがこれらに限定されない様々な種類の疼痛;ならびにうつ病(例えば急性うつ病または慢性うつ病)、疼痛を伴ううつ病、アルコール依存、急性激越、難治性喘息、急性喘息(例えば無関係な疼痛状態が喘息を誘発し得る)、てんかん、急性脳損傷および脳卒中、アルツハイマー病および他の障害を含む他の症状の管理を提供する。加えて、本発明はこれらの種類の疼痛または症状のあらゆる組み合わせを処置/管理する。
【0325】
ある実施形態では、処置/管理される疼痛は、急性突出痛または慢性疼痛状態で起こり得るワインドアップ現象に関連する疼痛である。
【0326】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される疼痛は、癌疼痛、例えば難治性癌疼痛である。
【0327】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される疼痛は術後疼痛である。
【0328】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される疼痛は整形外科的疼痛である。
【0329】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される疼痛は背痛である。
【0330】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される疼痛は神経因性疼痛である。
【0331】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される疼痛は歯痛である。
【0332】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される症状はうつ病である。
【0333】
本発明の特定の実施形態では、処置/管理される疼痛は、オピオイド耐性患者における慢性疼痛である。
【0334】
実施形態では、本発明は、NMDA活性を調節することによって疾患または症状を処置する方法に関し、この方法は、本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)に従う化合物、またはその薬学的に許容される塩、または表A〜Dに記載されているもしくはNAKETもしくはNANKETを含有する化合物のいずれか)の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む。実施形態では、疾患または症状は、レボドパ誘発性ジスキネジア;認知症(例えばアルツハイマー型認知症)、耳鳴、治療抵抗性うつ病(TRD)、大うつ病性障害、神経因性疼痛、アルツハイマー病から生じるまたはアルツハイマー病に関連する激越、情動調節障害、自閉症、延髄機能、全般性不安障害、アルツハイマー病、統合失調症、糖尿病性ニューロパシー、急性疼痛、うつ病、双極性うつ病、自殺傾向、神経因性疼痛または心的外傷後ストレス障害(PTSD)から選択される。実施形態では、疾患または症状は、精神障害または心的障害(例えば統合失調症、気分障害、物質誘発性精神病、大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、双極性うつ病(BDep)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、自殺念慮、不安、強迫性障害(OCD)および治療抵抗性うつ病(TRD))である。他の実施形態では、疾患または症状は、神経学的障害(例えばハンチントン病(HD)、アルツハイマー病(AD)または全身性エリテマトーデス(SLE))である。
【0335】
例えば、1つの実施形態では、本発明は、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩で被験体を処置する方法であって、被験体が処置されるように、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する本発明の経口投与錠剤組成物、例えばマトリックス組成物を被験体に投与する段階を含む方法を提供する。
【0336】
投与する医師は、処置される障害または症状の1つ以上の症候の観察に基づき、NAKET、NANKET、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の投与の量およびタイミングを調整することによって予防的または治療的な処置の方法を提供することができる。
【0337】
別の実施形態では、本発明は、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の連続的な経口投与の方法であって、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を、神経学的毒性スパイク、例えば血漿ケタミン濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを伴わずに、放出期間全体にわたって経口錠剤からのケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の治療有効濃度の一定な放出を提供する錠剤、例えば単層錠剤に製剤化して、神経抑制性ケタミン(NAKET)、神経抑制性ノルケタミン(NANKET)、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の錠剤組成物、例えば単層錠剤組成物を生成する段階、ならびにNAKET、NANKET、および/または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩が、被験体にケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の持続的な治療有効濃度を提供するように、前記錠剤組成物を被験体に経口投与する段階を含む方法を提供する。
【0338】
本発明のある実施形態では、被験体は哺乳動物である。
【0339】
本発明のある実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0340】
別の実施形態では、本発明は、血漿ケタミン濃度の神経学的毒性スパイク、例えば鎮静または精神異常発現毒性スパイクを伴わずに、経口錠剤からのケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の治療有効濃度の一定な放出を保証するように、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を製剤化する方法を提供する。特定の実施形態では、この方法は、(i)水不溶性で電荷中性の非イオン性マトリックス、(ii)1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、および(iii)ケタミンまたはその誘導体、を組み合わせて、神経抑制性ケタミンの経口投与錠剤組成物、例えば単層のものを生成する段階を含む。特定の実施形態では、この方法は、(i)水不溶性で電荷中性の非イオン性マトリックス、(ii)1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、および(iii)ノルケタミンまたはその誘導体、を組み合わせて、神経抑制性ノルケタミンの経口投与錠剤組成物、例えば単層のものを生成する段階を含む。特定の実施形態では、前記方法は、(i)水不溶性で電荷中性の非イオン性マトリックス、(ii)1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、ならびに(iii)本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩、を組み合わせて、神経抑制性経口投与錠剤組成物、例えば単層錠剤を生成する段階を含む。別の特定の実施形態では、前記方法は、(i)HPMCを伴う、例えば約2,000〜約7,000KDaの分子量の、ポリエチレンオキシド(PEO)、および(ii)ケタミンまたはその誘導体、を組み合わせて、神経抑制性ケタミンの経口投与錠剤組成物、例えば単層のものを生成する段階を含む。別の特定の実施形態では、前記方法は、(i)HPMCを伴う、例えば約2,000〜約7,000KDaの分子量の、ポリエチレンオキシド(PEO)、および(ii)ノルケタミンまたはその誘導体、を組み合わせて、神経抑制性ノルケタミンの経口投与錠剤組成物、例えば単層のものを生成する段階を含む。前記方法が、HPMCを伴うポリエチレンオキシド(PEO)とケタミンを組み合わせる段階を含む具体的な実施形態では、錠剤組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG8K、1つ以上の負に荷電した基を担持するポリマー、例えばポリアクリル酸をさらに含有してよく、および/または加熱/アニーリング、例えば押出条件にさらに供されてもよい。別の特定の実施形態では、前記方法は、(i)HPMCを伴う、例えば約2,000〜約7,000KDaの分子量の、ポリエチレンオキシド(PEO)、ならびに(ii)本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩、を組み合わせて、神経抑制性経口投与錠剤組成物、例えば単層のものを生成する段階を含む。
【0341】
ある実施形態では、本発明の製剤は、他の活性治療薬、例えば疼痛を軽減するオピオイドと組み合わせて投与し得る。特定の実施態様では、本発明の製剤は、患者を処置するのに必要なオピオイドの量を低減するのに役立つ。
【0342】
ある実施形態では、本発明の製剤は、他の活性治療薬と組み合わせて投与されない。
【0343】
ある実施形態では、本発明の製剤は、ケタミンの別の製剤、例えばケタミンの速放性製剤と組み合わせて投与し得る。
【0344】
別の実施形態では、本発明は、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の血漿濃度の鎮静または精神異常発現毒性スパイクを伴わずに、経口錠剤からのケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の治療有効濃度の一定な放出を保証するように、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を製剤化する方法を提供する。この方法は、浸透圧制御放出錠剤中の、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩の製剤を含む。これらの製剤では、ケタミン、ノルケタミン、またはその誘導体、または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)、またはその薬学的に許容される塩を含有する単一コア層が、薬剤送達開口部を有するまたは有さない半透膜によって取り囲まれている。ある実施形態では、本発明の新規で独創的な医薬組成物(例えばNAKETもしくはNANKET錠剤製剤または本明細書で述べる化合物のいずれか(例えば式(I)、(I−A)、(I−B)および(II)のいずれか1つに従う化合物、または表A〜Dもしくは本明細書で提供される実施例のいずれかに記載されている化合物のいずれか)またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物)と、浸透非対称膜技術またはAMT(例えば制御された相分離によって生成される不溶性の非対称微多孔膜で被覆された単層錠剤を対象とする技術)との組合せを用いて、本明細書で述べる方法およびキットにおいて有用な製剤を生成し得る。
【実施例】
【0345】
本発明を以下の実施例によって説明するが、これらはいかなる意味でも限定を意図しない。
【実施例1】
【0346】
HPMCおよびデンプンに基づくマトリックスを使用した放出制御ケタミン錠剤の製剤
1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)Methocel KM100CRおよびアルファ化デンプンStarch 1500の組合せに基づく放出制御マトリックスを使用して乾式造粒による。Methocel、Starch 1500、ケタミンおよびCab−o−Sil(コロイド状二酸化ケイ素)を粗く混合し、40メッシュのふるいに通して凝塊を粉砕した。次に微結晶セルロースを添加し、混合物を100mlのチューブブレンダーにおいて200rev/分で15分間混合した。ケタミン錠剤KTM−1の完全な組成を表1に示す。
【0347】
混合後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに3分間混合した。ケタミン20mgを含有する200mgの凸形状錠剤を、TDP打錠機と9mm金型を用いて圧縮した。8kNの圧縮力を適用することにより、13〜15kPの範囲の硬度の錠剤を製造した。錠剤の溶解を、1×PBS緩衝液、pH=6.8を浸漬媒質として用いて、II型溶解装置(パドル)(Distek Premiere 5100 Dissolution System,Distek Inc.,North Brunswick,USA)において100rpm、37℃で実施した。1バッチ当たり3錠を試験した。
【0348】
所定の時間間隔で、試料1mlを抜き出し(戻さない)、ろ過して、検定した。放出されたケタミンの量を、Agilent 1100装置および210nmでの紫外検出を用いてHPLCによって測定した。70%酢酸アンモニウム(10mM)と30%アセトニトリルの混合物を移動相とし、流速1.5ml/分、カラム温度40℃を用いて、20μlの試料容量をZorbax SB−Phenylカラム、4.6×150mm、5ミクロンに注入した。既知濃度のケタミンの溶液を用いて放出された薬剤の量を計算した。
【0349】
前記方法は、0.001〜0.5mg/mlの濃度範囲内で直線的であった。薬剤放出は、浸漬媒質のpHとは無関係であった。pH1および6.8での放出は類似のプロフィールを示した。10時間の時点で、約92.5%のケタミンが放出された(図1)。
【0350】
【表1】
【実施例2】
【0351】
HPMCおよびポリアクリレートを使用した神経抑制性ケタミン錠剤の製剤
実施例1で述べた一般的手順に従い、乾式造粒によってケタミンを錠剤形態に製剤化した。表1に示す対照製剤KTM−1を、合計含量が16.7%および9.1%になるようにポリアクリル酸、Carbopol 974 NF(Noveon)を添加することによって補完し、組成物KTM−2およびKTM−3をそれぞれ作製した(表1参照)。
【0352】
その結果、この添加は驚くほど劇的な放出の減速をもたらした(図1)。KTM−1と比較して、10時間の時点でKTM−2は49%の薬剤しか放出されないことを示し、24時間目で62%のケタミンが放出された。
【0353】
さらに、KTM−3におけるCarbopol(すなわちポリアクリル酸)のレベルの約9%への低減は、1日1回のケタミン適用のために、24時間のウィンドウに厳密に適合する放出プロフィールをもたらした。24時間目で放出された薬剤の量は約82%であった。組成物KTM−3は、インビボでの放出速度の典型的な加速を考慮した開発のために検討された。
【実施例3】
【0354】
Kollidon SRを用いた36時間の神経抑制性ケタミン錠剤試料の製剤
薬剤を保持するためのポリマーマトリックスとケタミンの付加的なインサイチューでの静電相互作用の潜在的可能性に基づき、ポリビニルアセテート/ポビドンベースのポリマー(Kollidon(登録商標)SR)を選択した。Kollidon SRは、0.8%のラウリル硫酸ナトリウムおよび0.2%のコロイド状シリカで安定化された、物理的混合物中の80%のポリビニルアセテートおよび19%のポビドンから成る。Kollidon SRは良好な圧縮率を有し、典型的には溶解媒質(pHおよび塩/イオン含量)と無関係な薬剤放出プロフィールを示す。
【0355】
ケタミン20mgを含有する200mg錠剤を、実施例2と同様のプロトコルを用いて、Kollidon SRと微結晶セルロースの混合物を使用して製剤KTM−11を生成した。錠剤組成を表2に示す。この錠剤は、15〜20kPの範囲の良好な硬度を示し、10時間目で56%および24時間目で78%の薬剤を放出し、完全な放出は36時間から48時間の間の時点であると予想された(図2)。
【0356】
約10%ラクトースの添加(製剤KTM−4)はより迅速な放出をもたらし、10時間で約72%および24時間で約95%の薬剤が放出された。
【0357】
【表2】
【実施例4】
【0358】
ベヘン酸グリセリルを使用した神経抑制性ケタミンの親油性マトリックス錠剤製剤
ベヘン酸グリセリル(Compritol(登録商標)、888 ATO、Gattefosse)は、持続放出錠剤の製造において親油性マトリックス形成剤として使用し得る、グリセロールの疎水性脂肪酸エステルである。圧縮した場合、ベヘン酸グリセリルは不溶性ネットワーク構造を形成し、溶解液が徐々に浸透して、その後マトリックスチャネルおよび孔を通して拡散制御された薬剤放出が起こることを可能にする。HPMCなどの膨潤性ポリマーを利用し、拡散と浸食の機構に依存する親水性マトリックス系と異なり、不溶性マトリックス系からの薬剤放出は、水浸透の速度および範囲ならびにマトリックスに包埋された薬剤の水溶解度に依存する。
【0359】
Compritol(20%)、第二リン酸カルシウムおよびラクトースの混合物を使用して、ケタミン20mgを含有する200mg錠剤を生成した(製剤KTM−9)。この錠剤は、6〜7kPの範囲の比較的低い硬度を示し、8時間で約92%の薬剤を放出する。約10%のポリアクリル酸の添加(製剤KTM−12)は、放出の遅延をもたらし、10時間で約65%および24時間の時点で約92%の放出をもたらす。
【実施例5】
【0360】
PEOベースのマトリックスを使用した制御放出ケタミン錠剤の製剤
ポリエチレンオキシド(PEO)は、徐放性固体剤形の公知の成分である。PEOは、HPMCと同様の製剤機能特性を示すことが明らかにされている。PEOベースの製剤は、乾式造粒ならびに溶融押出によって製造することができ、活性医薬成分の固体分散体を生成する。熱可塑性ポリマーとして、PEOは、80〜100℃の範囲のガラス転移温度を有し(分子量に依存する;徐放性製剤に使用されるグレードは、M平均分子量が典型的には900〜7,000KDa内である)、押出工程の間に溶融して、薬剤を可溶化することができる。
【0361】
ケタミン20mgを含有する220mg錠剤を、HPMCと組み合わせて、2つの異なるグレードのPEO(分子量約2,000および約7,000KDa)の混合物を使用して乾式造粒によって生成した(それぞれ製剤KTM−13、14)。放出特性を、組成物および工程における以下の付加的な変数を変更して検討した。(i)PEOの分子量、(ii)放出を減速させる潜在的可能性として本明細書で述べる、典型的な酸性成分としてのポリアクリル酸の添加(製剤KTM−15)、(iii)高分子量PEG 8Kの添加(製剤KTM−16)、(iv)押出によって達成される機械的特性を模倣するための120℃の炉で20分間の錠剤のアニーリング(製剤KTM−15a)。
【0362】
錠剤KTM−13〜KTM−16の完全な組成を表3に示す。
【0363】
錠剤は、15〜20kPの範囲の比較的高い硬度を示し、これがアニーリング後には30〜35kPに増大して、破砕耐性の改善によって可能となる不正使用防止特性を獲得したことを示唆した。上記の変数のいずれを変更しても放出特性の差別化はほとんど認められず、約12時間で約90〜100%の放出が達成された。
【0364】
【表3】
【実施例6】
【0365】
本発明の神経抑制性ケタミン錠剤製剤のインビボ性能
本明細書で述べるKTM−2製剤の薬物動態をビーグル犬で試験した。特に、製剤KTM−2の1錠を、投与前の12時間絶食させておいた雄性1匹と雌性1匹のイヌに水10mlと共に経口投与した。
【0366】
血液試料を0、0.5、1、2、4、8および24時間の時点で採取した。Sigma−Aldrichから購入したケタミンおよびノルケタミンの関連分析標準を用いて、Nettoa et al.(Biomed.Chromatogr.,2011)によって記述されている一般的な手順に従ってLC/MS/MS法(Agilent 1200/AB SCIEX 4000 QTRAP計測装置)を使用して、血漿中のケタミンおよびノルケタミンを定量化した。
【0367】
イヌは薬剤を良好に耐容し、生理的または行動的副作用は観察されなかった。この試験は、24時間にわたって維持されるマトリックスからの薬剤の一定な放出を示し、ケタミン/ノルケタミンの総濃度は治療的に適切なレベル内であり、濃度スパイクは検出されなかった。合わせたケタミン/ノルケタミン血漿濃度(2匹のイヌにおける)対時間のグラフを図5に示す。
【0368】
この実験は、良好なインビトロ−インビボ相関関係を確認し、例えばヒト臨床試験に適する、本発明の製剤の開発および調製に関連して本明細書で概説した一般的経路を実証する。
【実施例7】
【0369】
重水素化ノルケタミンのエナンチオ選択的合成
【0370】
【化13】
【0371】
非重水素化物質に関してBierman et al.,2011によって記述された反応順序に従って合成を実施する(スキーム1)。出発物質の2−クロロフェニル−1−シクロヘキセン−d10、1は、市販のシクロヘキサノール−d10(CDN Isotopes)の脱水によって得られるシクロヘキセン−d12から調製する。最初の段階では、2−クロロフェニル−1−シクロヘキセンを、シャープレス不斉合成(Kolb,1994)を用いてヒドロキニン1,4−フタラジンジイルジエーテルで修飾した四酸化オスミウムによってジヒドロキシル化し、n−ヘキサンからの結晶化後に(−)−(1S,2S)−1−(2−クロロフェニル)シクロヘキサン−1,2−ジオール、2を収率90%および85%eeで得る。2番目の段階では、化合物2をリッター変換(Senanayake et al.,1996)によって95%eeおよび収率79%で(−)−(1S,2S)−1−アミノ−1−(2−クロロフェニル)シクロヘキサン−2−オール、3に変換する。3番目の段階では、3の改変ジョーンズ酸化(Yang et al.,1985)によって(S)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)シクロヘキサノン((+)−S−ノルケタミン)、4(Parcell,1981)を得る。キラル純度は、キラルHPLCによって測定されるee99%である。遊離S−ノルケタミン塩基の比旋光度は、[a]D+3.2°(c=2、EtOH)であると測定される。NMRおよび質量分析法は生成物の同一性を確認する。
【実施例8】
【0372】
重水素化ノルケタミンの非立体選択的合成
【0373】
【化14】
【0374】
Parcell,1981によって記述された一般的反応順序に従って合成を実施した(スキーム2)。最初の段階では、o−クロロベンゾニトリルを臭化シクロペンチルマグネシウム(市販のシクロペンタン−d10の臭素化によって臭化シクロペンタン−d、6を生成し、次にグリニャール反応に供することよって得られる)と反応させ、重水素化1−クロロフェニル−シクロペンチルケトン、7を生成して、次いでケトンをα臭素化して8を得、その後アンモニアと反応させてα−ヒドロキシイミン 1−ヒドロキシシクロペンチル−(1−クロロフェニル)−ケトン−N−メチルイミン、9を形成する。9の環拡大を伴う熱転位は、70%の全体的収率でラセミノルケタミン10をもたらす。NMRおよび質量分析法は生成物の同一性を確認した。
【実施例9】
【0375】
重水素交換による重水素化ノルケタミンの合成
【0376】
【化15】
【0377】
カルボニル基に隣接するメチレン基の水素原子は、容易にプロトン交換を受けることが公知である。その結果として、ノルケタミンにおける重水素交換を、NaOD(0.1M)の存在下に80℃にて重水溶液(0.01M)中で加熱し、プロトンNMRによって反応を追跡することにより、検討し得る。反応の進行は、カルボニルメチレン基に対応する約2.3ppmの多重線の変化によって追跡される。30分で、2個の陽子の喪失と一致するシグナル積分強度の低下と共に微細構造の単純化が観察される。80〜90℃で24時間加熱した後、重水素化の程度は70〜80%である。24時間を越える長い反応時間は収率の上昇をもたらさず、分解不純物を蓄積させた。最適化条件では、アルコール画分が混合物の40〜90%を構成する、重水素化メタノールまたはエタノールと重水の混合物中で重水素交換を実施する。これらの条件下では、室温でさえも水素−重水素交換が非常に迅速かつ完全に認められる−塩基の添加の直後に記録されたプロトンNMRスペクトルは、標的プロトンの完全な消失およびスペクトルの残りの部分の保存を示す。塩基性反応混合物のクロロホルム抽出により、溶媒の蒸発後に定量的収率で重水素化ノルケタミン、11を得る(スキーム3)。重水素化ノルケタミンは、中性および酸性pHで水素交換に対して安定である。溶液を少量の水、塩酸または酢酸でインサイチューにて処理したとき、重水素化クロロホルム中の11のNMRスペクトルには変化を認めなかった。
【0378】
選択的手順では、ノルケタミン塩酸塩(20mg)を5mlのスクリューキャップバイアルに入れ、磁気撹拌しながらCDOD 1ml中に溶解した。この溶液に、DO(0.2ml)を添加し、次いで重水(0.1ml)中の40%NaODを添加した。反応混合物を周囲温度で10分間撹拌し、減圧下で蒸発乾固させた。残留物をDO(1ml)で処理し、酢酸エチル3×2mlで抽出した。酢酸エチル抽出物をNaSOで乾燥した後、溶媒を蒸発させ、18mg(90%)の重水素化ノルケタミン11を白色固体として得た。H NMR(CDCl)d7.7(dd,J=7.8,1.7Hz,1H),7.4−7.3(m,2H),7.3−7.2(m,1H),2.8−2.7(m,1H),2.1−2.0(m,1H),1.9−1.7(m,3H),1.7−1.6(m,1H).LC/MS,m/z 224(M+1)。
【実施例10】
【0379】
シクロヘキサノン−dを使用したノルケタミン10の非立体選択的合成
ブロモクロロベンゼンから出発し、THF中でグリニャール試薬に変換して、市販のシクロヘキサノン−d(CDN isotopes)と反応させて1−(2−クロロフェニル)シクロヘキサノールを得る、Sulake et al.(2011)によって報告されたスキームを用いて、重水素化ノルケタミン化合物11の選択的合成を実施する。ベンゼン中、p−TSAでシクロヘキサノールを脱水し、1−(2−クロロフェニル)シクロヘキセンを定量的収率で得て、次いでそれをm−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)でエポキシ化し、1−(2−クロロフェニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタンを生成する。HBrでのエポキシドの位置選択的開環によってブロモヒドロキシ中間体を得、その後DCM中、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)で酸化して、関連ケト化合物を生成する。アジド基で臭化物を求核交換し、シュタウディンガー条件を用いてアジドを還元することにより、全体的収率60%でノルケタミン化合物11を得る。
【実施例11】
【0380】
インビトロでの重水素化ノルケタミンの代謝活性
重水素化ノルケタミン11および12は以下の構造を有する。
【0381】
【化16】
【0382】
重水素化ノルケタミン11(2μM溶液10μl)を、ラット肝ミクロソーム100mg、NADPH再生系(1mM NADP、1単位/mlのイソクエン酸デヒドロゲナーゼ、5mMイソクエン酸、5mM塩化マグネシウム)および25mMリン酸緩衝液(pH7.4)から成る媒質200μl中でインキュベートした。アセトニトリル300μlを添加することによって種々の時点(0〜60分)で反応を終了させる。代謝産物の分析のため、沈殿した塩とタンパク質を遠心分離機にかけ、残留溶液を水300μlで希釈して、LC/MS(ABS Sciex 4000 QTRAP LC/MS/MS質量分析計と接続したAgilent 1200システム)に注入した。
【0383】
ノルケタミンの代謝変換は、シクロヘキシル基およびアリール基の異なる位置でのヒドロキシル化ならびにデヒドロノルケタミンへの脱水素反応に関連する多数の生成物を生じ、そのうちの一部はインビボでグルクロニドとして排泄される。ノルケタミンの代謝安定性は、主要ピークの消失速度を評価することによって推定し得る。
【0384】
非重水素化ノルケタミンと比較して、化合物11に関して半減期の約80%の増大を観察した。フェニル環に重水素置換を有する四重水素化ノルケタミン、化合物12の半減期は、非重水素化ノルケタミンと同様であることが認められた。データを図6に示す。集合的な速度論的重水素同位体効果(重水素化類似体対非重水素化類似体についての反応速度低下)は、完全重水素化シクロヘキサノン物質に関して、>100%で、より実質的であると予想される。
【実施例12】
【0385】
インビボでの重水素化ノルケタミンの薬物動態
重水素化ノルケタミンの薬物動態をラットで検討する。外科的に挿入した頸静脈カテーテルを有する3匹のWistar雌性ラット群(200〜250g)(Charles River,Andover,MA)を12時間絶食させ、その後、各々0.8mg/kgのノルケタミンおよび重水素化ノルケタミン化合物11溶液の混合物を尾静脈への注射によって与える。0、15、30、60分ならびに2、4、6、8および24時間の時点で血液を採取し、得られた血漿を、LC/MS分析(定量限界:各分析物について約1ng/ml)を用いてノルケタミンおよび重水素化ノルケタミン化合物11に関して同時に分析する。実験データを図7に示す。最終半減期を、WinNonLinソフトウェアパッケージを用いてデータ点に適合させることによって計算する。ノルケタミンについての最終半減期T1/2は2.07時間、ビス重水素化化合物11については2.83時間であると認められ、約40%の増大は、化合物11での重水素置換によってもたらされる有意により緩やかな代謝変換を示唆する。
【0386】
速度論的重水素同位体効果に関連するヒドロキシル化生成物への代謝的酸化に起因するノルケタミンのより緩やかな排泄と一致した、完全重水素化化合物10についての最終半減期の3時間を越えるさらなる延長が予想される。
【実施例13】
【0387】
重水素化ノルケタミンのNMDA受容体活性
NMDA受容体活性が重水素置換によって変化しないことを確認するため、培養ラット海馬ニューロンにおけるパッチクランプ法によって重水素化化合物10に対する電気生理学的機能応答を測定した。文献データの範囲内である2.2μMのIC50で受容体阻害を示すラセミケタミンを標準品として使用する。ノルケタミンは、やはりこれまでに報告されたデータと一致して、14.7μMのIC50を有するより弱い阻害剤である。ビス重水素化ノルケタミン化合物11は、このアッセイにおいて、非重水素化ノルケタミンに非常に近い25.9μMのIC50を有する。
【0388】
完全重水素化化合物10は、ビス重水素化ノルケタミン化合物10および非重水素化ノルケタミンと同様の濃度範囲で完全な機能活性を有すると予想される。
【0389】
参考文献
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【0390】
参照による組込み
本明細書で引用されるすべての特許、公開特許出願および他の開示の全内容は、参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる。
【0391】
等価物
当業者は、本明細書で述べる特定の手順に対する数多くの等価物を認識するまたは日常的な実験だけを用いて確認することができる。そのような等価物は本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲に包含される。さらに、本明細書で提供されるいかなる数字または文字による範囲も、それらの範囲の上限値および下限値の両方を包含することが意図されている。加えて、いかなるリスト化またはグループ分けも、少なくとも1つの実施形態において、独立した実施形態(例えば特定の疼痛適応症など)を列挙することの省略法または簡便な方法を表すことが意図されている;そこで、リストの各成員は別個の実施形態とみなされるべきである。
図1
図2
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図7