(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
i)少なくとも1つのジカルボン酸ジメチルスズ塩、ii)少なくとも1つのゲル化第三級アミン触媒、およびiii)少なくとも1つの有機カルボン酸の組み合わせを含む、ポリウレタンポリマーを製造するための触媒組成物であって、
前記少なくとも1つのジカルボン酸ジメチルスズ塩が、ジメチルスズジアセテート、ジメチルスズジプロピオネート、ジメチルスズジブタノエート、ジメチルスズジペンタノエート、ジメチルスズジヘキサノエート、ジメチルスズジヘプタノエート、ジメチルスズジオクタノエート、ジメチルスズジノナノエート、ジメチルスズジデカノエート、ジメチルスズジウンデカノエート、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジミリステート、ジメチルスズジパルミテート、ジメチルスズジステアレート、ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズジネオペンタノエート、ジメチルスズジネオヘキサノエート、ジメチルスズジネオヘプタノエート、ジメチルスズジネオオクタノエート、ジメチルスズジネオノナノエート、ジメチルスズジネオデカノエート、ジメチルスズジネオウンデカノエート、ジメチルスズジネオドデカノエート、ジメチルスズジネオテトラデカノエート、ジメチルスズジネオヘキサデカノエート、ジメチルスズジネオオクタデカノエートおよびこれらの混合物からなる群から選択され、かつ
前記少なくとも1つの有機カルボン酸が、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシエチルエステル、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシエチルオキシエチルエステル、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシエチル−ポリ(エチレンオキシド)エステル、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシプロピルエステル、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルエステル、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシプロピル−ポリ(プロピレンオキシド)エステルおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される、前記触媒組成物。
【背景技術】
【0002】
本発明は、有機カルボン酸、例えば有機芳香族カルボン酸およびアルキル/アルケニル有機ジカルボン酸を、ゲル化触媒、例えばジカルボン酸ジメチルスズ塩、ジメチルスズメルカプチド塩および第三級アミン触媒のうち少なくとも1つと組み合わせて使用すると得られる遅効性触媒を使用してポリウレタンフォームを含むポリウレタンポリマーを製造するための組成物、プロセス、およびそれにより生成するフォームに関する。
【0003】
ポリウレタンフォームは、自動車、住宅およびその他の産業で幅広く知られており、また使用されている。そのようなフォームは、ポリイソシアネートとポリオールとを様々な添加剤の存在下で反応させることによって製造される。したがって、水とポリイソシアネートとの反応により生成するCO
2を用いて発泡が実施される水発泡フォームの製造がますます重要になってきた。一般的に、第三級アミン触媒は、発泡(水とポリイソシアネートとが反応してCO
2が生じる)およびゲル化(ポリオールとイソシアネートとの反応)の反応を加速させるために使用される。発泡またはゲル化のどちらかを選択的に促進する第三級アミン触媒の能力は、特定のポリウレタンフォームを製造するための触媒を選択する上で重要な考慮すべき点である。触媒が発泡反応を高度に促進すると、多くのCO
2が、イソシアネートとポリオールとの十分な反応が起こる前に発生し、CO
2は、調製物中から泡として放たれ、それにより重合塊が崩壊し、低品質のフォームがもたらされるだろう。それとは対照的に、触媒がゲル化反応を強く促進すると、かなりの割合のCO
2が、重合が著しい程度で起こった後に発生するだろう。この場合も、低品質のフォームが製造され、これは、今度は、高密度、過収縮、破裂したもしくははっきりと画定されていない気泡、またはその他の不所望な特徴を有するであろう。一般的に、第三級アミン触媒は、悪臭性かつ攻撃的であり、多くが、その低い分子量を理由に高揮発性である。フォーム処理の間における第三級アミンの放出は、著しい安全性の問題および毒性問題をもたらす可能性があり、一般的に、消費者製品からの残留アミンの放出は望ましいことではない。他方で、低蒸気圧の高分子量アミン触媒は、その低いN/C比率を理由に、非常に高い触媒使用量を必要とすると見込まれており、それにより製造コストが非常に高くなる。
【0004】
一般的に、反応の間にウレタンへと化学的に結合することができる官能基を含有する第三級アミン触媒は、最終製品からの第三級アミンの放出を制限するだろうと認知されてきた。当産業で使用される非漏出性(non−fugitive)第三級アミン触媒の幾つかの代表的な特許は、以下のものである。
【0005】
米国特許第4,007,140号明細書(U.S. Pat. No.4,007,140)は、ポリウレタンを製造するための低臭性触媒としてのN,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)尿素の使用を開示している。また、この特許は、ポリウレタンフォームを製造するための触媒としてのN−(3−ジメチルアミノプロピル)ホルムアミドの使用を記載している。
【0006】
ビス(ジメチルアミノ)エチルエーテルと構造的に関係する、市販で入手可能な現在の反応性発泡触媒は、米国特許第4,338,408号明細書(U.S. Pat. Nos.4,338,408)および米国特許第4,433,170号明細書(U.S. Pat. Nos.4,433,170)に記載されている。特に、2−[N−ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノールは、ビス(ジメチルアミノ)エチルエーテルほど効果的ではないものの、効果的な発泡触媒である。
【0007】
また、米国特許第5,508,314号明細書(U.S. Pat Nos.5,508,314)、米国特許第5,559,161号明細書(U.S. Pat Nos.5,559,161)および米国特許第5,633,293号明細書(U.S. Pat Nos.5,633,293)は、第二級アルコールを含有するアミン触媒が好ましいことに言及している。なぜなら、これらの触媒は、活性水素−イソシアネート反応の促進と、自らのイソシアネートとの反応性との間で望ましい均衡を示すからである。また、これらは、第一級アルコールを含有するアミン触媒がイソシアネートと迅速に反応し、それ故に、高い使用水準が必要とされることを教示している。
【0008】
米国特許第5,859,079号明細書(U.S. Pat.5,859,079)は、流動性、空気流および破砕耐力(force to crush)を体系的に制御すべく変更可能な比率でN,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)尿素および3−ジメチルアミノプロピル尿素を含むポリウレタン触媒組成物を記載している。
【0009】
米国特許第第6,114,403号明細書(U.S. Pat 6,114,403)は、流動性、%での連続気泡含量および硬質ポリウレタンフォームのためのk係数を体系的に制御すべく変更可能な比率でN,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)尿素および3−ジメチルアミノプロピル尿素を含むポリウレタン触媒組成物を特許請求している。
【0010】
米国特許第6,201,033号明細書(U.S. Pat. 6,201,033)は、水発泡軟質ポリウレタンフォームを製造するための反応性触媒組成物を特許請求している。この触媒組成物は、第三級アミノアルキル尿素および/またはビス(第三級アミノアルキル)尿素を、第三級アミンゲル化触媒または第三級アミン発泡触媒のどちらかとの組み合わせで含む。
【0011】
米国特許第6,232,356号明細書(U.S. Pat. 6,232,356)は、水発泡軟質ポリウレタンフォームを製造するための反応性触媒組成物を特許請求している。この触媒組成物は、第三級アミノアルキル尿素および/またはビス(第三級アミノアルキル)尿素を、ゲル化触媒または発泡触媒のいずれかとの組み合わせで含む。そのような触媒組成物の使用によって、ポリウレタンフォームの物理的特性が改善される。
【0012】
米国特許第6,858,654号明細書(U.S. Pat. 6,858,654)は、ポリウレタン発泡反応を触媒するための触媒組成物に関し、この組成物は、生成するポリウレタンフォームが低水準の揮発性材料および/または悪臭性材料を有するように選択されるゲル化触媒および発泡触媒を含む。
【0013】
国際公開第2004113410号(WO2004113410)は、イソシアネート反応性基を含有する少なくとも1つの第三級アミン分子と、少なくとも1つの第四級アンモニウムアルコキシド部分および少なくとも1つの第三級アミン基を含有する少なくとも1つの化合物とのブレンドに基づく触媒組成物を記載しており、後者の化合物は、部分的にまたは完全に、少なくとも1つの酸性化合物により中和されている。
【0014】
米国特許第7,666,919号明細書(U.S. Pat Nos.7,666,919)および米国特許第7,615,580号明細書(U.S. Pat Nos.7,615,580)は、非排出型触媒をエステルアルコールまたはカルバメートの存在下で使用してポリウレタンを製造する方法を特許請求している。製造されるフォームは、湿潤老化による劣化に対する改善を示した。しかしながら、これらの添加剤の使用は、市場の仕様に従った物理的特性を改善するのに十分な影響を与えるためには、高い使用水準(1.0pphp以上)を必要とする。
【0015】
少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する第三級アミン触媒を使用して製造されたフォームは、アミン排出の問題を克服することができたが、加水分解に対するその化学的な耐性およびフォーム物品の機械的性能を犠牲として払った。さらに、非遅効性第三級アミン触媒を用いて製造されたフォームは、成形された軟質適用物において、より高い水準の作業屑を発生させ得る。なぜなら、膨張する発泡塊は、重合プロセスの間の高い粘度上昇率により引き起こされる低い流動性を理由に、適切に鋳型に充填することができないからである。また、これは、エラストマー状ポリウレタンポリマー材料を鋳型に充填する適用についても当てはまる。当技術を使用し、メタンジイソシアネート(MDI)を用いて製造されたフォームは、従来技術で記載される従来のイソシアネート反応性第三級アミン触媒を用いる性能要件を満たすことができない。トルエンジイソシアネート(TDI)を用いて製造されたフォームは、従来技術における上記の標準的な手順を用いる最小限の性能要件を全く満たすことができなかった。TDIの場合、湿潤老化されたフォームは、非常に低い機械的特性を有し、それ故、製造される物品は、その見込み寿命が短いために、如何なる実践的な使用にも適していない。米国特許第7,666,919号明細書(U.S. Patents7,666,919)および米国特許第7,615,580号明細書(U.S. Patents7,615,580)は、この問題に対処するための方法を記載しているが、経済性が好ましくない。なぜなら、物理的特性を大きく改善するためには、必要とされる添加剤の量があまりに多いからである。
【0016】
本明細書に、先で確認した特許および特許出願の開示内容を参照により組み込む。
【0017】
したがって、ポリウレタン産業において、イソシアネート反応性基を含有する触媒を用いて製造されたポリウレタン製品の物理的特性を改善することができる遅効性ゲル化触媒が必要とされる一方で、作業屑を最小限に削減するために鋳型の充填操作を改善する必要がある。また、エラストマー用途について、エラストマー材料の硬化を損なうことなく重合プロセスの開始時に十分な遅延をもたらすことができる触媒を提供する必要がある。
【0018】
発明の概要
本発明は、以下のような組成物およびプロセスを提供することによって、従来の実践に係る問題を解決する:a)フォーム製造者が少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有するアミン触媒を使用する際に、軟質に成形されたフォーム中でより多くのTDIを使用することを可能にする組成物およびプロセス;b)本発明の遅効性ゲル化触媒の使用を除いて、大きな処理条件の修正を必要としない組成物およびプロセス;c)広範囲の調製物の最適化を必要としない組成物およびプロセス;d)組成物の遅効性特性を理由に作業屑を削減する組成物およびプロセス;e)取り扱いが容易な化学薬品を使用する組成物およびプロセス;f)周囲環境で、および後の湿潤老化で測定した物理的特性が優れている最終製品を製造した組成物およびプロセス;g)エラストマー材料を製造するために触媒を使用する際に、ポリウレタンポリマーの硬化を改善する組成物およびプロセス、h)他の利点のなかでも、鋳型による生産性を犠牲にしないという利点が追加された高品質のエラストマー材料を提供する組成物およびプロセス。
【0019】
本発明によるプロセスを、ポリウレタン材料を製造するための従来の設備を使用して実施することができる。本発明は、遅効性ゲル化触媒を使用して、ポリウレタンポリマーおよびポリウレタンフォームを製造するための組成物を提供する。本発明のゲル化触媒を、以下のものを混合することによって得ることができる:1)少なくとも1つのジカルボン酸ジメチルスズ塩、2)少なくとも1つのゲル化第三級アミン触媒、特に少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つのゲル化第三級アミン触媒、および3)少なくとも1つの有機芳香族カルボン酸および/または少なくとも1つのアルキル/アルケニルもしくは置換アルキル/アルケニル有機ジカルボン酸を含む少なくとも1つの有機カルボン酸。本発明の一態様は、少なくとも1つのイソシアネート化合物、少なくとも1つのポリオール化合物、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つのポリウレタンフォーム安定化剤および少なくとも1つの本発明のゲル化触媒組成物を接触させることによってポリウレタンフォームを製造する方法を包含する。
【0020】
本発明は、VDA−278の試験法に従って、アミン排出の少ないまたはアミン排出のないポリウレタンフォームを製造するための組成物およびプロセスを提供することによって、従来の組成物およびプロセスに係る問題を解決することができる。特に、本発明は、非漏出性第三級アミン触媒の性能を改善するための遅効性触媒組成物の使用を開示しており、よって、フォームは、周囲環境および後の高温湿潤老化(例えばVolkswagen法PV3410に従って測定)に曝される際に、改善された特性を有する。例えば、本発明の遅効性触媒を使用することで、フォームの湿潤老化による劣化を最小限に抑えることができ、それにより、発泡製品は、鍵となる物理的特性を維持することが可能になる。
【0021】
本発明の一態様は、以下のものの組み合わせを含むポリウレタンフォームを製造するための触媒組成物に関する:i)少なくとも1つのジカルボン酸ジメチルスズ塩および/または少なくとも1つのジメチルスズメルカプチド塩、ii)少なくとも1つのゲル化第三級アミン触媒、および3)少なくとも1つの有機カルボン酸。
【0022】
本発明の別の態様は、少なくとも1つのゲル化第三級アミン触媒が少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する、先の態様に関する。
【0023】
本発明の別の態様は、少なくとも1つのカルボン酸が、有機芳香族カルボン酸およびアルキル/アルケニルまたは置換アルキル/アルケニル有機ジカルボン酸から成る群より選択される少なくとも1つの構成要素を含む、先の態様のいずれか1つに関する。
【0024】
本発明のさらなる態様は、少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つのイソシアネートとを、先の触媒のいずれか1つが存在する間に接触させる工程を含む、ポリウレタンポリマーおよびポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0025】
本発明の別の態様は、先の方法に従って製造されるポリウレタンポリマーおよびポリウレタンフォームに関する。
【0026】
本発明のさらなる態様は、Volkswagen法PV3410に従って測定される湿潤老化に合格するフォームに関する。
【0027】
本発明の様々な態様を、単独または互いに組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施例5に従って製造されたフォームに関する硬化プロファイルである。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、本発明の遅効性ゲル化触媒組成物を使用することによってポリウレタン材料を製造するための組成物および方法に関する。また、本発明は、非漏出性第三級アミン触媒の性能を改善するための本発明の遅効性触媒組成物に関し、よって、フォーム製品は、周囲環境後および高温湿潤老化後に、改善された特性を有する。本発明の遅効性触媒の使用は例えば、ポリウレタン軟質成形フォームのフォーム湿潤老化による劣化を最小限に抑えることができ、それにより、発泡製品が、鍵となる物理的特性(例えばVolkswagen法PV3410に従って測定された特性)を維持することが可能になる。
【0030】
本発明の軟質成形フォームは、物理的特性が優れていることを特徴としており、通常、約28〜約80kg/m
3の範囲にある目的密度(ASTM3574−A)、約40〜約120L/Mの範囲にある空気流(ASTM3574−G)、約150〜約600Nの範囲にあるILD(負荷重たわみ法ASTM3574−B1)、約2.5〜約3.5の範囲、好ましくは約3である支持係数(ASTM3574−B1)および約40〜約80%の範囲にある弾性率(ASTM3574−H)を有する。本発明の一態様において、望ましいフォームは、引張強度/HA引張強度/伸び率/HA伸び率=DIN53571を約80〜約200%の範囲で、50%の圧縮永久ひずみ率=ASTM D3574−Dを約1〜約20%の範囲で、HA圧縮永久ひずみ率=ASTM D3574−J1およびJ2を約5〜約15%の範囲で、かつ引裂強度=ASTM D3574−Fを約150〜約400の範囲で有する。以下で、下記表は、軟質成形フォームについて鍵となる物理的特性に関する望ましい値、ならびに標準的な条件および測定法を要約している。
【表1】
【0031】
また、本発明は、鋳型による生産性と、酸でブロックされた第三級アミン触媒の使用から生成される完成品の硬化とを犠牲にすることなく、ポリウレタンエラストマーの製造の間により良好な充填成形を可能にすることができる。
【0032】
本発明の遅効性ゲル化触媒は、以下のものを含む:1)少なくとも1つのジカルボン酸ジメチルスズ塩および/または少なくとも1つのジメチルスズメルカプチド塩、2)少なくとも1つのゲル化第三級アミン触媒、特に少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つのゲル化第三級アミン触媒、および3)少なくとも1つの有機カルボン酸、ここでカルボン酸は、少なくとも1つの有機芳香族カルボン酸および/または少なくとも1つのアルキル/アルケニルもしくは置換アルキル/アルケニル有機ジカルボン酸を含むことができる。如何なる理論または説明によって束縛されることを望むものではないが、酸が少なくとも一部のアミンをプロトン化することができる一方で、酸およびアミンが本発明の触媒中に存在すると考えられている。
【0033】
遅効性ゲル化触媒を製造するために使用可能なジカルボン酸ジメチルスズ塩の例は、ジメチルスズジアセテート、ジメチルスズジプロピオネート、ジメチルスズジブタノエート、ジメチルスズジペンタノエート、ジメチルスズジヘキサノエート、ジメチルスズジヘプタノエート、ジメチルスズジオクタノエート、ジメチルスズジノナノエート、ジメチルスズジデカノエート、ジメチルスズジウンデカノエート、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジミリステート、ジメチルスズジパルミテート、ジメチルスズジステアレート、ジメチルスズジオレエート、相応するネオ酸誘導体(これは、ジメチルスズジネオペンタノエート、ジメチルスズジネオヘキサノエート、ジメチルスズジネオヘプタノエート、ジメチルスズジネオオクタノエート、ジメチルスズジネオノナノエート、ジメチルスズジネオデカノエート、ジメチルスズジネオウンデカノエート、ジメチルスズジネオドデカノエート、ジメチルスズジネオウンデカノエート、ジメチルスズジネオドデカノエート、ジメチルスズジネオテトラデカノエート、ジメチルスズジネオヘキサデカノエート、ジメチルスズジネオオクタデカノエートを含む)、これらの混合物およびその他の類似した塩(これは、不飽和および多価不飽和の脂肪酸誘導体を含む)の群から選択される少なくとも1つの構成要素を含むことができる。ジメチルスズメルカプチド塩の例は、ジメチルスズジラウリルメルカプチド、ジメチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(オクチルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ブチルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(プロピルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(エチルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(メチルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ペンチルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ヘキシルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ヘプチルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ノニルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(デシルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ウンデシルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ドデシルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(パルミトレイルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(オレイルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(リノレイルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ドコサヘキサノイルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(カプリルメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(カプリンメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ミリスチンメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(パルミチンメルカプトアセテート)、ジメチルスズビス(ステアリンメルカプトアセテート)などから成る群より選択される少なくとも1つの構成要素を含む。スズ塩の量は、約0.01pphp〜約10pphp、約0.01pphp〜約5pphp、幾つかの場合では、約0.01pphp〜約2pphpの範囲にあってよく、ここでpphpは、ポリオール100部あたりの部数を表す。
【0034】
遅効性ゲル化触媒組成物を製造するために使用することができる第三級アミンゲル化触媒の例は、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N,N−ビス(3−ジエチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチルエタノールアミン、N,N−ジエチルアミノエチル−N’−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−メチルエタノールアミン、N,N−ジエチルアミノプロピル−N’−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−エチルエタノールアミン、N,N−ジエチルアミノプロピル−N’−エチルエタノールアミン、Ν,Ν,Ν’−トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、Ν,Ν,Ν’−トリエチルアミノプロピルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、Ν,Ν−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−2−ヒドロキシ(プロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N−ジエチル−N’,N’−2−ヒドロキシ(プロピル)−1,3−プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N−メチル−N’−ヒドロキシエチル−ピペラジン、ビス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン、ビス(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)アミン、Ν,Ν−ジメチルアミノプロピル尿素、Ν,Ν−ジエチルアミノプロピル尿素、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)尿素、N,N’−ビス(3−ジエチルアミノプロピル)尿素;ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール)、N−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾールおよびN−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−ヒドロキシメチル−トリエチレンジアミンまたはこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1つの構成要素を含むことができる。
【0035】
さらに、またはあるいは、一実施形態において、遅効性ゲル化触媒は、発泡触媒成分である2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノール、N,N−ジメチルアミノエチル−N’−メチル−N’−エタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテルまたはこれらの組み合わせと併せて使用される。一実施形態において、遅効性ゲル化触媒を製造するために使用される第三級アミン触媒は、高揮発性であり、イソシアネート反応性ではない。例えば、一実施形態において、遅効性ゲル化触媒の第三級アミン触媒成分は、揮発性ゲル化触媒であり、かつジアゾビシクロオクタン遅効性ゲル化触媒であるか、またはこれを含み、また(トリエチレンジアミン)、1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ−5−エン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ジメチルアミノシクロヘキシルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)−N−メチルアミン、1,2−ジメチルアミノイミダゾール、1−メチルアミノイミダゾール、N−メチルジシクロヘキシルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンまたはこれらの組み合わせである。
【0036】
さらに、またはあるいは、一実施形態において、遅効性ゲル化触媒の第三級アミン触媒成分は、揮発性発泡触媒と併せて使用されてよく、かつビスジメチルアミノエチルエーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘプタメチルテトラエチレンペンタミンおよび関連組成物、高級完全メチル化ポリアミン、2−[N−(ジメチルアミノエトキシエチル)−N−メチルアミノ]エタノールおよび関連構造体、アルコキシル化ポリアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテル、イミダゾール−ホウ素組成物もしくはこれらの組み合わせであるか、またはこれらを含む。
【0037】
第三級アミンゲル化触媒の量は、約0.01pphp〜約20pphp、約0.05pphp〜約10pphp、幾つかの場合では、約0.1pphp〜約5pphpの範囲にあり得る。発泡触媒の量は、約0〜約10pphp、0.01pphp〜5pphpおよび0.05pphp〜2pphpの範囲にあり得る。
【0038】
遅効性ゲル化触媒組成物を製造するために使用することができる有機カルボン酸の例は、二酸、三酸およびポリ酸のうち少なくとも1つを含むことができ、これらは、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸を含む。その他の酸は、イソシアネートと反応してポリウレタンポリマー中で固定化されたカルボン酸を与えることができる官能基を含有するカルボン酸を含む。そのような酸の例は、グリコール酸、グルコン酸、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシエチルエステル(1モルのフタル酸と1モルのエチレングリコールとの縮合によって製造される)、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシエチルオキシエチルエステル(1モルのフタル酸と1モルのジエチレングリコールとの縮合によって製造される)、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシエチル−ポリ(エチレンオキシド)エステル(1モルのフタル酸と1モルのポリエチレングリコール、例えばPEG−200との縮合によって製造される)、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシプロピルエステル(1モルのフタル酸と1モルのプロピレングリコールとの縮合によって製造される)、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルエステル(1モルのフタル酸と1モルのジプロピレングリコールとの縮合によって製造される)、フタル酸−モノ−2−ヒドロキシプロピル−ポリ(プロピレンオキシド)エステル(1モルのフタル酸と1モルのポリプロピレングリコール、例えばPPG−200との縮合によって製造される)、もしくはこれらの組み合わせ、またはイソシアネート反応性基を含有する任意のその他の酸を含む。酸の量は、約0.01pphp〜約30pphp、約0.05pphp〜約20pphp、幾つかの場合では、約0.1pphp〜約10pphpの範囲にあり得る。
【0039】
本発明の触媒を、まず酸とアミンとを混合することによって得ることができる。その後、この混合物を室温に冷却し、この混合物にスズ触媒を添加する。
【0040】
本発明のプロセスの一態様は、自動車での適用に適したポリウレタンフォームクッションの製造に関し、このプロセスでは、触媒を32oz(951mL)のプラスチックコップ内にある約302gのプレミックス(表1に記載)に添加した。この調製物を、直径2in(5.1cm)の撹拌パドルを備えるオーバーヘッドスターラーを使用して、約6,000RPMで約10秒間、混合した。
【表2】
【0041】
1分子量が大きく、官能性が高く、かつ第一級ヒドロキシル含量が高い、キャップされた高官能性ポリエーテルポリオール、ベースポリオールの分子量が約5500のもの(Dow Chemical Company、Midland、Mlから入手可能)。
【0042】
2共重合したスチレンおよびアクリロニトリルを含有するグラフト化したポリエーテルポリオール、ベースポリオールの分子量が約4800のもの(Dow Chemical Company、Midland、Mlから入手可能)。
【0043】
3シリコーン界面活性剤は、Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能である。
【0044】
4アミン触媒は、Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能である。
【0045】
トルエンジイソシアネートを、約100のNCO指数を有するフォームを製造するのに十分な量で添加した。この調製物を、同じスターラーを使用して、約6,000RPMで約6秒間、よく混合した。この混合物を70℃に予熱した鋳型に注型し、離型時間は4分であった。パッドフォームを鋳型から取り出し、手で粉砕し、秤量し、75%のパッド厚で機械により粉砕した。フォームをCTH条件下で48時間にわたり貯蔵し、それから裁断および試験を行った。ポリウレタンフォームの物理的特性を、周囲環境条件下で、および湿潤老化後に測定した。
【0046】
ポリウレタンエラストマー材料を評価するために使用した調製物を表2に示す。イソシアネートを除く全成分を、高速スターラーを用いて3600rpmでまとめてブレンドした。その後、このブレンドを40℃で24時間にわたり貯蔵した。また、40℃で使用する前に、MDIを24時間にわたり貯蔵した。様々な触媒組成物の硬化プロファイルを、硬化監視装置(Format Messtechnik)によって監視した。ショア硬さを、ショアA型硬度計を用いて特定した。硬化およびポットライフの時間を、誘電分極における変化を測定するCMD(硬化監視装置)を用いて特定した。
【表3】
【0047】
ポリオール
軟質ポリウレタンは、有機イソシアネート化合物とポリオールヒドロキシル基との重合反応から製造される。本発明における使用に適したポリオールは、ポリエーテルポリオールを含む。ポリエーテルポリオールは、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、例えばポリ(エチレンオキシド)ポリマーおよびポリ(プロピレンオキシド)ポリマー、ならびに多価化合物(これは、ジオールおよびトリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパンおよび類似した低分子量ポリオールを含む)から誘導された末端ヒドロキシル基を有するコポリマーを含む。
【0048】
本発明の一態様において、単一の高分子量ポリエーテルポリオールを使用することができる。あるいは、高分子量ポリエーテルポリオールの混合物、例えば二官能性材料と三官能性材料との混合物および/または異なる分子量もしくは異なる化学組成の材料の混合物を使用することができる。そのような二官能性材料および三官能性材料は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、グリセリン系ポリエーテルトリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン系ポリエーテルトリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびその他の類似した化合物または混合物を含むが、これらに限定されることはない。
【0049】
ポリアルキレンエーテルポリオールに加えて、ポリマーポリオールは、本発明における使用にも適している。ポリマーポリオールは、フォームの変形抵抗を向上させるため、例えばフォームの耐荷重特性を改善するために、ポリウレタンフォーム中で使用される。ポリマーポリオールの例は、グラフトポリオールを含むか、またはポリ尿素で変性されたポリオールを含むが、これらに限定されることはない。グラフトポリオールは、ビニルモノマーがグラフト共重合されているトリオールを含む。適切なビニルモノマーは、例えばスチレンまたはアクリロニトリルを含む。ポリ尿素で変性されたポリオールは、ポリオールの存在下におけるジアミンとジイソシアネートとの反応により形成されるポリ尿素分散体を含有するポリオールである。ポリ尿素で変性されたポリオールの変形形態は、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールであり、これは、ポリオールにおいてイソシアネートとアルカノールアミンとをin situで反応させることによって形成される。耐荷重要件に応じて、ポリマーポリオールは、約20〜約80質量パーセントの合計ポリオール含量を含むことができる。また、適切なベースポリオールは、国際公開第03/016373号(WO03/016373A1)、国際公開第01/58976号(WO01/58976A1)、国際公開第04/060956号(WO04/060956A1)、国際公開第03/016372号(WO03/016372A1)および国際公開第03/055930号(WO03/055930A1)に示され、かつ記載されており、本明細書では、これらをそれぞれ、その全体について参照により組み込む。適切なベースポリオールは、ポリエーテルポリオールを含むが、これに限定されることはない。一実施形態において、ポリエーテルポリオールは、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、および/または多価化合物(例えばジオールおよびトリオール)から誘導された末端ヒドロキシル基を有するコポリマーである。一実施形態において、ベースポリオールは、約4,500〜約6,000の分子量を有するトリオールおよび/または約2,000〜約4,000の分子量を有するジオールであるか、またはこれらを含む。一実施形態において、用いられるジオールおよびトリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、その他の適切な低分子量ポリオールまたはこれらの組み合わせである。一実施形態において、ベースポリオールは、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシ末端アミン、ヒドロキシル末端ポリアミンもしくはこれらの組み合わせであるか、またはこれらを含む。一実施形態において、ベースポリオールは、ポリアルキレンカーボネート系ポリオール、ホスフェート系ポリオールもしくはこれらの組み合わせであるか、またはこれらを含む。一般的に、ポリオールの量は、発泡性組成物の約20pphp〜約100pphpの範囲にあり得る(単一のポリオール)。
【0050】
一実施形態において、ベースポリオールは、単一の高分子量ポリエーテルポリオールである。別の実施形態において、ベースポリオールは、異なる分子量または異なる化学組成をそれぞれ有する高分子量ポリエーテルポリオールの混合物である。この実施形態において、ベースポリオールは、二官能性材料および三官能性材料、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール系ポリエーテルトリオール、トリメチロールプロパン系ポリエーテルトリオール、その他の類似したエステル不含化合物もしくは混合物、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。一実施形態において、ベースポリオールは、エチレンオキシド(例えば約75%超が第一級ヒドロキシル基)によって、約10%〜約20%のキャッピング範囲でエンドキャップされている。
【0051】
さらに、またはあるいは、一実施形態において、ポリオール成分は、コポリマーポリオールを含む。コポリマーポリオールは、合計ポリオール含量の約50質量%までを形成する(合計ポリオール含量は、ポリウレタン組成物中のベースポリオール、コポリマーポリオールおよび任意のその他のポリオールの量を基準とする)。コポリマーポリオールは、ポリウレタン組成物により形成されたポリウレタンフォームを、ポリウレタンフォームの変形抵抗を向上させることによって改善し、それにより、ポリウレタン組成物により形成されたポリウレタンフォームの耐荷重特性が向上する。一実施形態において、コポリマーポリオールは、グラフトポリオール、ポリ尿素で変性されたポリオールもしくはこれらの組み合わせであるか、またはこれらを含む。グラフトポリオールは、任意の適切なグラフトポリオールである。一実施形態において、グラフトポリオールは、ビニルモノマー(例えばスチレンおよびアクリロニトリル)を適切な開始ポリオールと共重合することによって製造される。一実施形態において、開始ポリオールは、エチレンオキシドでエンドキャップされた、グリセロールで始まるトリオール(例えば、約80%〜約85%が第一級ヒドロキシル基)であるか、またはこれを含む。この実施形態において、グラフトポリオールは、開始ポリオール、ビニルモノマーのホモポリマーおよび開始ポリオール(変質されていないもの)にグラフトされたコポリマーを含む。一実施形態において、グラフトポリマーは、約5質量%〜約45質量%の濃度のスチレンまたはアクリロニトリルを含む。一実施形態において、ポリ尿素で変性されたポリオールは、開始ポリオールの存在下におけるジアミンとジイソシアネートとの反応により形成される。この実施形態において、ポリ尿素で変性されたポリオールは、ポリ尿素分散体を含む。一実施形態において、ポリ尿素で変性されたポリオールは、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、例えば開始ポリオール中でのイソシアネート117とアルカノールアミンとの反応からin situで形成されたものであるか、またはこれを含む。
【0052】
本発明の一態様において、ポリオールは、ポリブタジエンポリオールを含む。ヒドロキシル末端ポリブタジエン(HTBD)は、OH官能基をポリマー鎖の各端部に有するブタジエンのオリゴマーまたはポリマーである。
【0053】
本発明により使用することができるその他の適切なポリオールは、天然油ポリオール、または再生可能な天然資源、例えば野菜油から得られるポリオールを含む。安価かつ再生可能な資源からのポリウレタンフォームの製造において有用なポリオールは、化石燃料およびその他の非持続的な資源の減少を最小限に抑えるのに望ましい可能性がある。天然油は、飽和および不飽和脂肪酸のトリグリセリドから成る。一つの天然油ポリオールは、ひまし油、つまりリシノール酸の天然トリグリセリドであり、これは一般的に、特定の制限、例えば低いヒドロキシル含量を有するものの、ポリウレタンフォームを製造するために使用されている。その他の天然油は、ポリウレタンポリマーの製造において有用にするためには、化学的に変性して、十分なヒドロキシル含量を導入する必要がある。天然油または脂肪を有用なポリオールに変性しようとする際に考慮され得る化学反応性の高い部位が2つある:1)不飽和部位(二重結合)および2)エステル官能基。油または脂肪の中に存在する不飽和部位を、エポキシ化を経由しヒドロキシル化して、引き続き開環またはヒドロホルミル化して、引き続き水素化することができる。あるいは、エステル交換を利用して、OH基を天然油および脂肪に導入することもできる。エポキシ化経路を使用して天然ポリオールを製造するための化学的プロセスは、エポキシ化された天然油、開環酸触媒および開環体を必要とする反応混合物を含む。エポキシ化された天然油は、エポキシ化された植物系油(エポキシ化された野菜油)およびエポキシ化された動物脂肪を含む。エポキシ化された天然油は、完全にまたは部分的にエポキシ化されてよく、これらの油は、大豆油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、キャノーラ油、ごま油、ヤシ油、なたね油、きり油、綿実油、サフラワー油、落花生油、亜麻仁油およびこれらの組み合わせを含む。動物脂肪は、魚、牛脂および豚脂を含む。これらの天然油は、脂肪酸のトリグリセリドであり、これは、C12〜C24の様々な鎖長で飽和化または不飽和化されていてよい。これらの酸は、1)飽和したラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびリグノセリン酸、2)モノ不飽和のパルミトレイン酸、オレイン酸、3)多価不飽和のリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸であってよい。部分的にまたは完全にエポキシ化された天然油は、過酸を適切な反応条件下で反応させると製造することができる。油をエポキシ化する際に用いられる過酸の例は、国際公開第2006/116456号(WO2006/116456A1)で記載された。これを本明細書において、参照により組み込む。アルコールと、水と、1つまたは複数の求核性基を有するその他の化合物とを有するエポキシ化された油の開環が利用され得る。反応条件に応じて、エポキシ化された油のオリゴマー化も起こり得る。開環によって、ポリウレタン生成物の製造のために使用可能な天然油ポリオールをもたらすことができる。ヒドロホルミル化/水素化のプロセスにおいて、油を、適切な触媒(一般的にコバルトまたはロジウム)の存在下において、水素/一酸化炭素混合物を満たした反応器内でヒドロホルミル化して、アルデヒドを形成し、これをコバルトまたはニッケル触媒の存在下で水素化して、ポリオールを形成する。あるいは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のベースまたは塩をエステル交換触媒として使用して、適切なポリヒドロキシル含有物質を用いたエステル交換により、天然油および脂肪からのポリオールを製造することができる。任意の天然油、または代替的に、任意の部分的に水素化された油をエステル交換プロセスにおいて使用することができる。油の例は、大豆、コーン、綿実、落花生、ひまし、ひまわり、キャノーラ、なたね、サフラワー、魚、アザラシ(seal)、ヤシ、牛脂、オリーブ油または任意のブレンドを含むが、これらに限定されることはない。任意の多官能性ヒドロキシル化合物、例えばラクトーゼ、マルトーゼ、ラフィノース、スクロース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールまたは任意の組み合わせを使用することができる。
【0054】
その他の適切なポリオールは、アミンポリエーテルポリオール、例えばマンニッヒポリオールを含む。マンニッヒポリオールは、1)カルボニル化合物、2)第一級もしくは第二級アミンおよび3)有機化合物と、エノール化できる酸性水素、例えばフェノール、ケトン、しかし最も一般的には、フェノールおよび置換フェノールとの縮合反応によって得られる。マンニッヒ塩基は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとのアルコキシル化反応のための開始剤として使用することができ、マンニッヒポリオールと呼ばれるポリエーテルポリオールを含有するアミンを生成する。また、マンニッヒポリオールは、系の反応性を向上させるために、スプレーフォーム調製物においても使用される。一般的なマンニッヒポリオールは、一般的に、ヒドロキシル含有アミン、例えばジエタノールアミン、エタノールアミンなどの存在下で、フェノールとホルムアルデヒドとを縮合することによって製造される。
【0055】
連続気泡軟質成形フォームには、一般的に、主要なまたは「ベースとなる」ポリエーテルポリオールが使用される。ポリエーテルポリオールは、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、例えばポリ(エチレンオキシド)ポリマーおよびポリ(プロピレンオキシド)ポリマー、ならびに多価化合物(これは、ジオールおよびトリオールを含む)から誘導された末端ヒドロキシル基を有するコポリマーを含む。これらのポリオールは、約2〜約8、約2〜約6、一般的には約2〜約4の官能基を有することができる。また、ポリオールは、約10〜約900、一般的には約15〜約600、より一般的には約20〜約50のヒドロキシル価を有することもできる。また、軟質成形フォームには、一般的に15〜50の範囲にあるOH価を有するフォーム組成物における総ポリオール含量の一部として、コポリマーポリオールを使用することもできる。MWは、一般的に1200〜8000、より一般的には2000〜6000の範囲にあり、%での固体フォームは、10%〜60%である。低密度の連続気泡スプレーフォームには、一般的に、1500〜6000の平均MWおよび15〜50のOH価を有するポリエーテルポリオールが使用される。ポリオール量は、pphpで定義される。先に定義した4種類のポリオールが存在する:約100pphp(ポリオールだけ)〜約10pphpの範囲で使用することができる標準的なポリオールまたはポリエーテルポリオール。コポリマーポリオール(CPP)を、約0〜約80pphpの範囲で使用することができる。NOP(天然油ポリオール)は、約0〜約40pphpで存在することができる。最終的に、マンニッヒポリオールは、その他のポリオールと組み合わせて、0pphp〜80pphp、約0pphp〜約50pphp、幾つかの場合では、約0pphp〜約20pphpの範囲で使用される。
【0056】
また、ポリエステルポリオールを使用することもでき、これは、ジカルボン酸を過剰のジオールと反応させると製造されるものを含む。非限定的な例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどと反応するアジピン酸またはフタル酸もしくは無水フタル酸を含む。
【0057】
最も一般的なポリエステルポリオールは、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸から製造される。これらの酸を、様々な分子量のポリオール開始剤、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタントリオールなどによってエステル化することで、様々な物理的特性、分子量および分子構造を有するポリエステルポリオールを生成することができるが、これらは全て、その加水分解安定性が低いことを特徴としている。
【0058】
本発明において有用なポリオールは、ラクトンと過剰なジオールとを、例えばカプロラクトンとプロピレングリコールとを反応させることによって製造することができる。さらなる態様において、活性水素含有化合物、例えばポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール、ならびにこれらの組み合わせは、本発明において有用である。
【0059】
所定の調製物におけるポリオールの量は、pphp(ポリオール100部あたりの部数)で表されており、定義によると、所定の調製物におけるポリオールの合計量は、100pphpである。
【0060】
OH価は、約15〜約50、約10〜約600、幾つかの場合では、約5〜約1800の範囲にあり得る。ポリオールの官能基は、約2〜約3、約1.8〜約4、幾つかの場合では、1.5〜約10の範囲にあり得る。
【0061】
発泡剤
ポリウレタンフォームは、イソシアネートと発泡剤との反応から製造され、重合の間に、ポリウレタンマトリックス中で空隙を発生させる。発泡剤は例えば、発熱重合反応の間に気化する低沸点の不活性化合物を含む。一般的に、そのような発泡剤は、重合反応の間には分解または反応しない不活性化合物である。一般的に、反応の発熱は、発泡剤を気化させるのに十分であり、それからこの発泡剤は、ポリウレタンマトリックス中に捕捉され、空隙または気泡の形成をもたらす。発泡剤の気化を促進するために、任意で、さらなる熱を反応の間に加えることができる。そのような発泡剤の例は、クロロフルオロカーボン、水素含有フルオロカーボン、水素含有クロロフルオロカーボン、水素含有クロロフルオロオレフィン、水素含有フルオロオレフィン、クロロフルオロオレフィン、クロロオレフィン、フルオロオレフィン、アセトンおよび低沸点炭化水素、例えばシクロペンタン、イソペンタン、n−ペンタンおよびこれらの混合物を含むが、これらに限定されることはない。その他の適切な発泡剤は、イソシアネート化合物と反応して気体を発生させる化合物を含む。この種の最も広く使用されている発泡剤は水であり、水はイソシアネートと反応して二酸化炭素を発生させる。気体が発生すると、これはポリウレタンマトリックス中に閉じ込められ、空隙または気泡を形成する。適切な量は、約0pphp〜約80pphp、約0〜約60pphp、約0pphp〜約10pphp、約0pphp〜約5pphp、または任意の適切な組み合わせ、部分的組み合わせ、これらの間の範囲もしくは部分範囲を含むが、これらに限定されることはない。水発泡性である実施形態では、イソシアネート成分が反応し、それにより二酸化炭素を形成する。
【0062】
任意の添加剤
一態様において、本発明は、少なくとも1つのイソシアネート化合物、少なくとも1つのポリオール化合物、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの第三級アミン触媒組成物、少なくとも1つの遅効性ゲル化触媒、および任意で少なくとも1つの補助成分を反応させる工程を含む、ポリウレタンフォームを製造する方法を包含する。別の態様において、本発明は、少なくとも1つのイソシアネート化合物と、少なくとも1つの活性水素含有化合物と、任意で少なくとも1つの補助成分との間の反応を触媒するための方法を提供する。
【0063】
補助成分の例は、気泡安定化剤、架橋剤、鎖延長剤、顔料、フィラー、難燃剤、ゲル化助触媒、発泡助触媒、遷移金属触媒または任意のこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。
【0064】
適切な気泡安定化剤(一部または全ての界面活性剤成分を形成する)は、シリコーン界面活性剤、アニオン性界面活性剤またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。一実施形態において、気泡安定化剤は、任意のアシル基を欠いており、また、シリコーン界面活性剤、例えばポリアルキルシロキサン、ポリオキシアルキレンポリオールで変性されたジメチルポリシロキサン、アルキレングリコールで変性されたジメチルポリシロキサンまたはこれらの組み合わせである。一実施形態において、シリコーン界面活性剤は、アシル基を含む。一実施形態において、気泡安定化剤は、アニオン性界面活性剤、例えば脂肪酸の塩、硫酸エステルの塩、リン酸エステルの塩、スルホン酸の塩またはこれらの組み合わせである。一実施形態において、プレミックスおよび/またはポリウレタン組成物は、気泡安定化剤を適切な所定量で含む。適切な所定量は、約0.1pphp〜約20pphp、0.1pphp〜約10pphp、0.1pphp〜約5pphpまたは任意の適切な組み合わせ、部分的組み合わせ、これらの間の範囲もしくは部分範囲を含むが、これらに限定されることはない。
【0065】
適切な架橋剤(一部または全ての架橋成分を形成する)は、少なくとも2つの部分、例えばヒドロキシル基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、イソシアネート基と反応するその他の活性水素含有基またはこれらの組み合わせを含有する低分子量化合物を含むが、これに限定されることはない。一実施形態において、架橋剤は、多価アルコール(例えば三価アルコール、例えばグリセロールまたはトリメチロールプロパン)、ポリアミンまたはこれらの組み合わせである。架橋剤がポリアミンである一実施形態において、架橋剤は、ジエチルトルエンジアミン、クロロジアミノベンゼン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、1,6−ヘキサンジアミンまたはこれらの組み合わせである。架橋剤がジアミンである一実施形態において、架橋剤は、12個以下の炭素原子、7個の炭素原子または7個未満の炭素原子を含む。一実施形態において、(複数の)架橋剤、例えば低分子量架橋剤をポリオール成分とブレンドすることで、硬度が強化され、より迅速な離型が促進される。一実施形態において、(複数の)架橋剤の量および/または濃度が、増加または減少し、それにより、硬度がそれぞれ、増加または減少する。一般的に、架橋剤の量は、発泡性組成物の約0pphp〜約20pphpの範囲にある。
【0066】
一実施形態において、プレミックスはさらに、発泡成分(例えば約0.12pphp)、遷移金属触媒またはこれらの組み合わせに加えて、鎖延長剤、顔料、フィラー、難燃剤、ウレタンゲル化助触媒、ウレタン発泡助触媒(例えばビスジメチルアミノエチルエーテル)を含む。以下でさらに記載されるように、幾つかの実施形態において、プレミックスはさらなる成分を含み、これらは、任意の適切な手順を通して、および/またはプロセスの任意の適切な部分で、例えばプレミックスの一部として添加される。
【0067】
適切な鎖延長剤は、ヒドロキシル官能基またはアミノ官能基を有する化合物、例えばグリコール、アミン、ジオール、水またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。一実施形態において、鎖延長剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、エトキシル化されたヒドロキノン、1,4−シクロヘキサンジオール、N−メチルエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、4−アミノシクロヘキサノール、1,2−ジアミノエタン、2,4−トルエンジアミンまたはこれらの組み合わせである。一般的に、鎖延長剤の量は、発泡性組成物の約0pphp〜約20pphpの範囲にある。
【0068】
適切な顔料は、有機顔料、無機顔料またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。この顔料は、着色(例えばある色の度合いに一致させること)、隠蔽(例えば黄変を隠蔽すること)またはこれらの組み合わせを可能にする。顔料が有機顔料である一実施形態において、顔料は、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン、カーボンブラックまたはこれらの組み合わせである。顔料が無機顔料である一実施形態において、顔料は、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロムまたはこれらの組み合わせである。一般的に、顔料の量は、発泡性組成物の約0pphp〜約20pphpの範囲にある。
【0069】
適切なフィラーは、ポリウレタンフォームの密度および耐荷重特性を向上させる。一実施形態において、フィラーは、硫酸バリウム、炭酸カルシウムまたはこれらの組み合わせである。一般的に、フィラーの量は、発泡性組成物の約0pphp〜約20pphpの範囲にあり得る。
【0070】
適切な難燃剤は、ポリウレタンフォームの燃焼性を低減させる。一実施形態において、難燃剤は、塩素化リン酸エステル、塩素化パラフィン、メラミン粉末またはこれらの組み合わせである。一実施形態において、プレミックスおよび/またはポリウレタン組成物は、難燃剤を適切な量で含む。適切な量は、約0pphp〜約20pphp、約0pphp〜約10pphp、約0pphp〜約5pphp、約1pphp〜約20pphp、約1pphp〜約10pphp、約1pphp〜約5pphp、または任意の適切な組み合わせ、部分的組み合わせ、これらの間の範囲もしくは部分範囲を含むが、これらに限定されることはない。
【0071】
ポリウレタン材料
本発明に従って製造されるポリウレタン材料は、当技術分野に記載されるように、任意の適切な有機イソシアネート化合物と任意の適切なポリオール化合物との反応によって製造される。有機イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含むが、これらに限定されることはない。本発明の一態様において、ポリウレタンフォームを製造するために、2,4−TDI、2,6−TDIまたはこれらの任意の混合物が使用される。その他の適切なイソシアネート化合物は、市販で「粗MDI」として知られ、Dow Chemical CompanyによりPAPIという商品名で販売されているジイソシアネートの混合物であり、これは、約60%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートをその他の異性体および類似体である高級ポリイソシアネートと一緒に含有する。これらのイソシアネート化合物の「プレポリマー」も適切であり、これは、部分的に予め反応させた、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとの混合物を含む。
【0072】
イソシアネート反応性官能基を含有する第三級アミン触媒である従来の第三級アミン非漏出性触媒を使用して製造されるポリウレタンフォームは、これまでの漏出性触媒を用いて製造されたフォームと比較して、湿潤老化後に低い物理特性を有する。したがって、なかでも第一級/第二級アミン基、アミド、尿素、イミダゾールからの任意のN−Hイソシアネート反応性官能基、または任意の種類のアルコールからの任意のOH官能基を含有する任意の第三級アミン触媒(環状または脂環式)を用いて製造されたフォームは、一般的に、湿潤老化後の物理特性が低いことを特徴とする。本発明のプロセスによるポリウレタンフォーム生成物は、周囲環境での物理特性が優れていることを特徴とする。以下の表5、6および7に示されるように、本発明のプロセスにより得られるフォームの湿潤老化後の物理特性は、このプロセスを使用すると改善される。本発明のプロセスには、遅効性ゲル化触媒を使用し、これを、ポリオール、水、界面活性剤、発泡剤、架橋剤およびその他の添加剤を含有する予めブレンドされた材料と組み合わせるか、または混合することができる。
【0073】
本発明の一態様に従って製造されたポリウレタンフォームは、約70〜約115のイソシアネート指数を有し、以下の成分を質量で含む。
【表4】
【0074】
本明細書において、「イソシアネート指数(isocyanate index)」という用語(一般的にNCO指数とも称される)は、イソシアネートの当量数を活性水素の合計当量数で割り、100を掛けたものとして定義される。NCO指数は、以下の式で表される:NCO指数=[NCO/(OH+NH)]
*100。
【0075】
本発明を、軟質ポリウレタンフォームを製造するために有用なものとして記載したが、本発明は、その他の半軟質ポリウレタン材料のなかでも、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン被覆、ポリウレタン複合材、ポリウレタンシーリング材を製造するために用いることもできる。一般的に、軟質フォームには、フォーム組成物における総ポリオール含量の一部として、ポリマーポリオールを、約4000〜5000の重量平均分子量(Mw)および約28〜35のヒドロキシル価(OH#)の従来のトリオールと一緒に使用する。半軟質成形フォームは、自動車分野における多くの適用のために利用されてきた。主な適用は、計器盤および内装品である。2つの主な成分は、ベースポリオールおよびコポリマーポリオール(CPP)である。ベースポリオールは、約70〜100pphpの水準で利用される。ベースポリオールの分子量は、トリオールについては、約4500〜約6000の範囲にあり、ジオールについては、約2000〜約4000の範囲にある。エチレンオキシドでキャップされたポリエーテルポリオールを、ベースポリオールとして、多くのポリエステルポリオールと交換した。第一級ヒドロキシル含量は、通常約75質量%超であり、キャッピング範囲は、一般的に約10〜20質量%である。その他の主な成分は、コポリマーポリオール(CPP)であり、これは、約20質量%までの水準で使用される。ベースポリオールおよびCPPを低分子量の架橋剤とブレンドすると、硬度が強化され、離型がより迅速に促進される。架橋剤の水準は、最終的な部品の硬度要件に応じて変わる。水の水準は、約3〜約6ポンドのフリーライズ密度を与えるように選択される。また、硬化サイクルの間にフォームの内部圧力を低減し、それにより圧力放出空隙および「型割り線」を低減するために、連続気泡剤(Cell openers)を半軟質フォームにおいて利用することもできる。ビニルスキンの品質に応じて、接着促進剤を添加して、ポリウレタンフォームとビニルスキンとの接着性を改善することができる。非排出型触媒は、一般的に従来のアミン触媒により観察されるビニルスキンの変色を低減することができる。なぜなら、これらは、イソシアネートと反応して、ポリウレタンポリマーと共有結合を形成することができるからである。
【0076】
以下の例は、本発明の特定の態様を説明するために提示されるのであって、添付された請求項の範囲を制限することはない。
【0077】
実施例1
反応性第三級アミン触媒を用いて製造されたフォームと、非反応性第三級アミン触媒を用いて製造されたフォームとの物理的特性の比較。
【0078】
フォームパッドを製造するために、触媒を32oz(951mL)の紙コップ内にある約302gのプレミックス(表5に記載)に添加した。この調製物を、直径2in(5.1cm)の撹拌パドルを備えるオーバーヘッドスターラーを使用して、約6,000RPMで約10秒間、混合した。
【表5】
【0079】
1分子量が大きく、官能性が高く、かつ第一級ヒドロキシル含量が高い、キャップされた高官能性ポリエーテルポリオール、ベースポリオールの分子量が約5500のもの(Dow Chemical Company、Midland、Mlから入手可能)。
2共重合したスチレンおよびアクリロニトリルを含有するグラフト化したポリエーテルポリオール、ベースポリオールの分子量が約4800のもの(Dow Chemical Company、Midland、Mlから入手可能)。
3シリコーン界面活性剤は、Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能である。
4DABCO(登録商標)33LVは、市販ではAir Products and Chemicals,Inc.から入手可能な、DPGにトリエチレンジアミンを入れた33%の溶液である。
5BDMAPAU=N,N’−ビス(3−ジエチルアミノプロピル)尿素;
6DABCO(登録商標)BL11は、市販ではAir Products and Chemicals, Inc.から入手可能な、DPGにビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを入れた70%の溶液である。
7AP−TMAEEは、N,N,N’−トリメチル−N’−3−アミノプロピル−ビス(アミノエチル)エーテルである。
8DEOAはジエタノールアミンである。
【0080】
トルエンジイソシアネートを、約100のNCO指数を有するフォームを製造するのに十分な量で添加した。この調製物を、同じスターラーを使用して、約6,000RPMで約6秒間、よく混合した。この混合物を70℃に予熱した鋳型に注型し、離型時間は4分であった。パッドフォームを鋳型から取り出し、手で粉砕し、秤量し、75%のパッド厚で機械により粉砕した。フォームを一定の温度および湿度下で、DIN50014−23/50−1標準仕様に従って48時間にわたり貯蔵し、それから裁断および試験を行った。ポリウレタンフォームの物理的特性を、周囲環境条件下で、および湿潤老化後に測定した。一般的に、本発明によって、所望の結果が達成される。以下の表は、得られた結果の幾つかを示す。
【表6】
【0081】
どちらの触媒パッケージについても、周囲環境条件で測定される物理的特性は、比較的類似していた。しかしながら、湿潤老化条件下において、非排出型触媒AP−TMAEEおよびBDMAPAUを含有する触媒の組み合わせは、HA引張強度、HA伸び率、HA負荷損およびHA圧縮永久ひずみ率(これらは全て、機械的健全性における著しい損失を反映する)について測定された値から明らかであるように、広範囲の劣化を示した。
【0082】
実施例2
イソシアネート反応性第三級アミン触媒を用いて製造されたフォームと、イソシアネート反応性第三級アミンをジカルボン酸ジメチルスズ塩と混合して製造したゲル化触媒を用いて製造されたフォームとの物理的特性の比較。
【0083】
発泡触媒としての0.30pphpのAP−TMAEEを含有する触媒ブレンドと、0.15pphpのBDMAPAUおよび0.05pphpのDMTND(ジメチルスズジネオデカノエート塩)を混合することで製造したゲル化触媒を含有する触媒ブレンドとを使用し、実施例1と同じ手順を用いてフォームパッドを製造した。
【表7】
【0084】
この結果は、カルボン酸ジメチルスズ塩とゲル化第三級アミン触媒BDMAPAUとを混合することで得られるゲル化触媒を使用すると、フォームの特性が改善されることを示した。特に、引張強さ、伸び率、湿潤老化後の引張強度および湿潤老化後の圧縮永久ひずみ率の改善が著しく、これらは、上記の表に示されるように観察される。
【0085】
実施例3
イソシアネート反応性第三級アミンとジカルボン酸ジメチルスズ塩とをカルボン酸の存在下で混合して製造したゲル化触媒を用いて製造したフォームの物理的特性。
【0086】
以下のものを含有する触媒ブレンドを使用し、実施例1と同じ手順を用いて3つのフォームパッドを製造した:a)0.30pphpのゲル化触媒BDMAPAUと0.30pphpの発泡触媒AP−TMAEEとを合すると得られる第三級アミン触媒の混合物;b)0.15pphpの触媒BDMAPAUと、0.05のDMTND(ジメチルスズジネオデカノエート)と、0.30pphpの発泡触媒AP−TMAEEとを合すると得られるゲル化触媒;c)0.15pphpの触媒BDMAPAUと、0.05のDMTNDと、0.30pphpの発泡触媒AP−TMAEEと、1モルの無水フタル酸および1モルのポリエチレングリコールPEG−200の縮合により生成される1.0pphpのフタル酸−モノ−[2−ヒドロキシプロピル−ポリ(エチレンオキシド)]エステル(PA−PEG200)とを混合することで得られる遅効性ゲル化触媒。PEG−200と無水フタル酸との縮合は、1.2モルのPEG−200を約100℃に加熱することで実施することができ、固体が溶解するまで1.0モルの無水フタル酸を添加し、溶液を室温に冷却すると、PA−PEG−200が生成する。
【表8】
【0087】
この結果は、カルボン酸PA−PEG200を、DMTNDとBDMAPAUとを混合することで得られるゲル化触媒混合物と組み合わせて使用すると、フォームの特性がさらに改善されることを示した。
【0088】
実施例4
第三級アミン触媒を用いて製造したフォームと、第三級アミンをジカルボン酸ジメチルスズ塩と有機ジカルボン酸の存在下で混合すると製造されるゲル化触媒を用いて製造したフォームとの物理的特性の比較。
【0089】
以下のものを含有する触媒ブレンドを使用し、実施例1と同じ手順を用いて3つのフォームパッドを製造した:a)0.30pphpのゲル化触媒BDMAPAU、0.30pphpの発泡触媒AP−TMAEE;b)0.15pphpの触媒BDMAPAUと、0.05のDMTNDと、0.30pphpの発泡触媒AP−TMAEEとを混合することで得られるゲル化触媒;c)0.15pphpの触媒BDMAPAUと、0.05のDMTNDと、0.30pphpの発泡触媒AP−TMAEEと、0.05pphpのアジピン酸とを混合することで得られる遅効性ゲル化触媒。
【表9】
【0090】
この結果は、有機ジカルボン酸アジピン酸を、スズおよび第三級アミン触媒の両方を含有するゲル化触媒混合物と組み合わせて使用すると、フォームの特性がさらに改善されることを示した。
【0091】
実施例5
ジメチルスズ化合物と併せた第三級アミンカルボン酸錯体を用いて製造したエラストマー状ポリウレタンポリマーの硬化プロファイルの比較。
【0092】
この実施例は、ジメチルスズ化合物との組み合わせでの第三級アミンによって、硬化プロファイルおよびポットライフの時間が改善されることを説明している。評価のために用いた調製物は、表9に記されている。イソシアネートを除く全成分を、高速スターラーを用いて3600rpmでまとめてブレンドした。その後、このブレンドを40℃で24時間にわたり貯蔵した。また、40℃での利用の前に、MDIも24時間にわたり貯蔵した。ジメチルスズ化合物との組み合わせで使用されるアミン/カルボン酸組成物は、表9に示されている。様々な触媒組成物の硬化プロファイルを、硬化監視装置(Format Messtechnik)によって監視した。表10に示される触媒1、2および3により触媒された反応混合物の時間対誘電分極のプロットである
図1を参照する。
図1は、BDMAPAU(N,N’−ビス(3−ジエチルアミノプロピル)尿素)とジメチルスズジネオデカノエート(市販では、DowからMetatin(登録商標)1230として入手可能)とを組み合わせることで、比較的迅速な硬化がもたらされることを示す。ショア硬さを、ショアA型硬度計を用いて特定した。本発明の触媒によって、約50〜約80のショアA型硬度計による硬さを有する硬化ポリウレタンを製造することができる。硬化およびポットライフの時間を、硬化監視装置(Format Messtechnik)を用いて特定した。
【表10】
【表11】
【0093】
本発明を、特定の態様または実施形態を参照して記載したが、その一方で、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、かつ等価物をそれらの要素に対して置換することができると理解するであろう。さらに、本発明の実質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示内容に適合すべく多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良のやり方として開示されている特定の実施形態に制限されず、それでいて本発明は、添付された請求項の範囲内にある実施形態を全て含むものであろうと意図される。