(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インスリン分泌ペプチドが、インスリン分泌ペプチドのN-末端ヒスチジン残基がデス-アミノ-ヒスチジル、N-ジメチル-ヒスチジル、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル、4-イミダゾアセチル及びベータ-カルボキシイミダゾプロピオニルで構成される群から選択されるものに置換されたインスリン分泌ペプチド誘導体である、 請求項1に記載の薬学的組成物。
前記インスリン分泌ペプチドが、天然型エクセンディン-4、エクセンディン-4のN-末端アミン基が除去されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がヒドロキシル基に置換されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がジメチル基に修飾されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の最初のアミノ酸(ヒスチジン)のアルファ炭素を除去(deletion)したエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がセリンに置換されたエクセンディン-4誘導体、及びエクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がアルギニンに置換されたエクセンディン-4誘導体で構成される群から選択されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
前記生体適合性物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体からなる群から選択される、請求項7に記載の薬学的組成物。
前記免疫グロブリンFc領域が、ジスルフィド結合を形成することができる部位が除去されるか、天然型FcからN-末端の一部のアミノ酸が除去されるか、天然型FcのN-末端にメチオニン残基が付加されるか、補体結合部位が削除されるかまたはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去された、天然型Fcの誘導体である、請求項11に記載の薬学的組成物。
前記代謝症候群が、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
前記生体適合性物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体からなる群から選択される、請求項28に記載の分離された結合体。
前記分離されたペプチドが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic- glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、脂肪酸、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して生体適合性物質と連結されることを特徴とする、請求項28に記載の分離された結合体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、グルカゴン誘導体及び一つ以上の代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質を含むことを特徴とする、代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、新規なグルカゴン誘導体を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記グルカゴン誘導体をコードする分離されたポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたはベクターを含む分離された細胞を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、グルカゴン誘導体と生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、分離された結合体を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記グルカゴン誘導体または分離された結合体を含む組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記グルカゴン誘導体または分離された結合体を含む低血糖または代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、低血糖または代謝症候群を予防または治療する方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記グルカゴン誘導体または分離された結合体、または前記組成物を低血糖または代謝症候群の予防または治療用薬剤(または薬学的組成物)の製造に用いる用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明を具現する一つの態様は、グルカゴン誘導体及び一つ以上の代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質を含むことを特徴とする、代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物である。
より具体的には、本発明を具現する一つの態様は、i)下記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチド、及びii)一つ以上の代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質を含むことを特徴とする、代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物である:
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式(1)、配列番号45)
前記一般式(1)において、
X1は、ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、N-ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2は、アルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン、Sar(N-methylglycine)、セリンまたはD-セリンであり;
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X13は、チロシンまたはシステインであり;
X14は、ロイシンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはシステインであるか、不存在であり;
X17は、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであるか、不存在であり;
X18は、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X19は、アラニン、アルギニン、セリン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X20は、リジン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン酸、リジン、アルギニン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはシステインであるか、不存在であり;
X21は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X23は、イソロイシン、バリンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X24は、バリン、アルギニン、アラニン、システイン、グルタミン酸、リジン、グルタミン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはロイシンであるか、不存在であり;
X27は、イソロイシン、バリン、アラニン、リジン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X28は、グルタミン、リジン、アスパラギンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X29は、リジン、アラニン、グリシンまたはトレオニンであるか、不存在であり;
X30は、システインであるか、不存在であってもよい。
(但し、前記一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号1と同一である場合は除く)。
【0009】
他の具体例として、
前記一般式(1)において、
X1は、ヒスチジン、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2は、セリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X13は、チロシンまたはシステインであり;
X14は、ロイシンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17は、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであり;
X18は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンまたはシステインであり;
X19は、アラニンまたはシステインであり;
X20は、グルタミン、アスパラギン酸、リジンまたはシステインであり;
X21は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリンまたはシステインであり;
X23は、イソロイシン、バリンまたはアルギニンであり;
X24は、バリン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、リジン、グルタミンまたはロイシンであり;
X27は、イソロイシン、バリン、アラニン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニンであり;
X28は、グルタミン、リジン、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29は、トレオニンであり;
X30は、システインであるか、不存在であることを特徴とする。
【0010】
他の具体例として、前記一般式(1)において、
X1は、ヒスチジン、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2は、セリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X13は、チロシンまたはシステインであり;
X14は、ロイシンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17は、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであり;
X18は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンまたはシステインであり;
X19は、アラニンまたはシステインであり;
X20は、グルタミン、アスパラギン酸またはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X23は、バリンであり;
X24は、バリンまたはグルタミンであり;
X27は、イソロイシンまたはメチオニンであり;
X28は、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29は、トレオニンであり;
X30は、システインであるか、不存在であることを特徴とする。
【0011】
他の具体例として、前記一般式(1)において、
X1がチロシンであり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7は、トレオニンであり;
X10は、チロシンであり;
X12は、リジンであり;
X13は、チロシンであり;
X14は、ロイシンであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17は、リジンまたはアルギニンであり;
X18は、アルギニンであり;
X19は、アラニンであり;
X20は、グルタミン、システインまたはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸、システイン、バリンまたはグルタミン酸であり;
X23は、バリンであり;
X24は、バリンまたはアルギニンであり;
X27は、メチオニンであり;
X28は、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29は、トレオニンであり;
X30は、不存在であることを特徴とする。
【0012】
他の具体例として、前記ペプチドは下記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドであることを特徴とする。
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式(2)、配列番号46)
前記一般式(2)において、
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸またはセリンであり;
X17は、リジンまたはアルギニンであり;
X20は、グルタミンまたはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24は、バリンまたはグルタミンであり;
X30は、システインであるか、 不存在である。
ここで、前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチド中で、配列番号14、19、20、25、27、31、及び33に該当するペプチドは除いてもよい。
【0013】
他の具体例として、前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドは、天然型グルカゴンのpIと異なるpI、例えばpI6.5以下、またはpI7.0以上であることを特徴とする。
他の具体例として、 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドにおいて、一般式(1)のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸ペアのいずれか一つ以上のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されることを特徴とする。
他の具体例として、 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドにおいて、X12とX16のアミノ酸ペアまたはX16とX20のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されることを特徴とする。
他の具体例として、X10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸ペアのいずれか一つ以上のアミノ酸ペアが環(例えば、ラクタム環)を形成することを特徴とする。
【0014】
他の具体例として、前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドのC-末端がアミド化されたことを特徴とする。
他の具体例として、前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドは、グルカゴン受容体を活性化させることができるグルカゴン誘導体であることを特徴とする。
他の具体例として、前記ペプチドは、配列番号2〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
他の具体例として、前記ペプチドは、配列番号2〜13、15、17、20〜24、26〜30、及び32〜44からなる群から選択されることを特徴とする。
他の具体例として、前記ペプチドは、配列番号12または20のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
他の具体例として、前記代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質はインスリン分泌ペプチド、GLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニスト、レプチン(Leptin)受容体アゴニスト、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、MCH(Melanin-concentrating hormone)受容体アンタゴニスト、Y2/4受容体アゴニスト、MC3/4(Melanocortin 3/4)受容体アゴニスト、胃/膵臓リパーゼ(gastric/pancreatic lipase)阻害剤、5HT2c(5-hydroxytryptamine receptor 2C、G protein-coupled)アゴニスト、β3A受容体アゴニスト、アミリン(Amylin)受容体アゴニスト、グレリン(Ghrelin)アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpha)アゴニスト、PPARδ(peroxisome proliferator-activated receptor delta)アゴニスト、FXR(farnesoid X receptor)アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシルラーゼ抑制剤(acetyl-CoA carboxylase inhibitor)、ペプチドYY、CCK(Cholecystokinin)、ゼニン(Xenin)、グリセンチン(glicentin)、オベスタチン(obestatin)、セクレチン(secretin)、ネスファチン(nesfatin)、インスリン(insulin)及びGIP(glucose-dependent insulinotropic peptide)で構成される群から選択されをことを特徴とする。
【0015】
他の具体例として、前記インスリン分泌ペプチドは、GLP-1、エクセンディン-3、エクセンディン-4、これらのアゴニスト(agonist)、誘導体(derivative)、断片(fragment)、変異体(variant)及びこれらの組み合わせで構成される群から選択されるものであることを特徴とする。
他の具体例として、前記インスリン分泌ペプチドは、インスリン分泌ペプチドのN-末端ヒスチジン残基がデス-アミノ-ヒスチジル、N-ジメチル-ヒスチジル、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル、4-イミダゾアセチル及びベータ-カルボキシイミダゾプロピオニルで構成される群から選択されるものに置換されたインスリン分泌ペプチド誘導体であることを特徴とする。
他の具体例として、前記インスリン分泌ペプチドは、天然型エクセンディン-4、エクセンディン-4のN-末端アミン基が除去されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がヒドロキシル基に置換されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がジメチル基に修飾されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の最初のアミノ酸(ヒスチジン)のアルファ炭素を除去(deletion)したエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がセリンに置換されたエクセンディン-4誘導体、及びエクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がアルギニンに置換されたエクセンディン-4誘導体で構成される群から選択されるものであることを特徴とする。
【0016】
他の具体例として、前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドは、生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、持続型結合体の形態であり、前記インスリン分泌ペプチドは、生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、持続型結合体の形態であることを特徴とする。
他の具体例として、前記生体適合性物質は、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体からなる群から選択されることを特徴とする。
他の具体例として、前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドとインスリン分泌ペプチドはそれぞれ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、脂肪酸、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して生体適合性物質と連結されることを特徴とする。
他の具体例として、前記生体適合性物質は、FcRn結合物質であり、前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチド及びインスリン分泌ペプチドは、それぞれペプチドリンカーまたはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチド性リンカーを介して生体適合性物質に連結されたことを特徴とする。
他の具体例として、前記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドであることを特徴とする。
他の具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は、非糖鎖化されたことを特徴とする。
【0017】
他の具体例として、 前記免疫グロブリンFc領域は、
(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;
(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;
(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;
(d)CH2ドメインとCH3ドメイン;
(e)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、及びCH4ドメインのうち1つまたは2つ以上のドメインと免疫グロブリンのヒンジ領域またはヒンジ領域の一部との組み合わせ;及び
(f)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体で構成される群から選択されるものであることを特徴とする。
他の具体例として、前記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドは、二量体形態(dimeric form)であることを特徴とする。
他の具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は、ジスルフィド結合を形成することができる部位が除去されるか、天然型FcからN-末端の一部のアミノ酸が除去されるか、天然型FcのN-末端にメチオニン残基が付加されるか、補体結合部位が削除されるかまたはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去された、天然型Fcの誘導体であることを特徴とする。
他の具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMで構成される群から選択される免疫グロブリンから由来するFc領域であることを特徴とする。
他の具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域であることを特徴とする。
他の具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域であることを特徴とする。
他の具体例として、前記非ペプチド性リンカーは、一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドのシステイン残基に連結されることを特徴とする。
他の具体例として、前記非ペプチド性リンカーの両末端が、それぞれ生体適合性物質と一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドまたはインスリン分泌ペプチドのアミン基またはチオール基(thiol group)に結合することを特徴とする。
他の具体例として、前記代謝症候群は、耐糖症障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択されることを特徴とする。
【0018】
本発明を具現する別の態様は、新規なグルカゴン誘導体である。
一つの具体例として、 前記誘導体は、下記一般式(2)のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであることを特徴とする:
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式(2)、配列番号46)
前記一般式(2)において、
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸またはセリンであり;
X17は、リジンまたはアルギニンであり;
X20は、グルタミンまたはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24は、バリンまたはグルタミンであり;
X30は、システインであるか、不存在である。
ここで、前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドの中で、配列番号14、19、20、25、27、31及び33に該当するペプチドは除いてもよい。
【0019】
他の具体例として、前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドは、一般式(2)のX16とX20のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されることを特徴とする。
他の具体例として、前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドのC-末端がアミド化されたことを特徴とする。
他の具体例として、前記ペプチドは、グルカゴン受容体を活性化させることができるグルカゴン誘導体であることを特徴とする。
他の具体例として、前記ペプチドは、配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
他の具体例として、前記ペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明を具現するまた別の態様は、前記グルカゴン誘導体をコードする分離されたポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたはベクターを含む分離された細胞である。
本発明を具現するまた別の態様は、グルカゴン誘導体と生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、分離された結合体である。
一つの具体例として、前記生体適合性物質は、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体からなる群から選択されることを特徴とする。
他の具体例として、前記分離されたペプチドは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic- glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、脂肪酸、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して生体適合性物質と連結されることを特徴とする。
【0021】
他の具体例として、
前記生体適合性物質は、FcRn結合物質であり、
前記分離されたペプチドは、ペプチドリンカーまたはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチド性リンカーを介して生体適合性物質に連結されたことを特徴とする。
他の具体例として、前記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドであることを特徴とする。
本発明を具現するまた別の態様は、前記グルカゴン誘導体または分離された結合体を含む組成物である。
一つの具体例として、前記組成物は、低血糖または代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物であることを特徴とする。
本発明を具現するまた別の態様は、前記組成物を投与する段階を含む、低血糖または代謝症候群を予防または治療する方法である。
本発明を具現するまた別の態様は、前記グルカゴン誘導体または分離された結合体、または前記組成物を、低血糖または代謝症候群の予防または治療用薬剤(または薬学的組成物)の製造に用いる用途である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るグルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンに比べて改善された物性を示すなどでの使用時に、患者の順応度を高めることで低血糖の治療薬として有用に用いることができ、また、低血糖及び肥満、糖尿病、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholicsteatohepatitis、NASH)をはじめとする代謝症候群(metabolic syndrome)の予防または治療に有用に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を具現するための具体的な内容を説明すると、次の通りである。一方、本願で開示される各説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用することができる。つまり、本願で開示された様々な要素のすべての組み合わせが本発明の範囲に属する。また、下記記述される具体的な記述によって、本発明の範囲が制限されることはない。
本明細書全般を通じて、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなく、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Sar(N-methylglycine)などの他のアミノ酸に対して一般的に許可される3文字コードが使用される。また、本明細書で略語で言及されたアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法に基づいて記載された。
アラニンA アルギニンR
アスパラギンN アスパラギン酸D
システインC グルタミン酸E
グルタミンQ グリシンG
ヒスチジンH イソロイシンI
ロイシンL リジンK
メチオニンM フェニルアラニンF
プロリンP セリンS
スレオニンT トリプトファンW
チロシンY バリンV
【0025】
本発明を具現する一つの態様は、グルカゴン誘導体、及び一つ以上の代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質を含むことを特徴とする、組成物を提供する。より具体的には、前記グルカゴン誘導体及び一つ以上の代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質を含む代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物を提供する。
本発明に係るグルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンと比較してアミノ酸配列に一つ以上の差があるペプチド、天然型グルカゴン配列を改質(modification)を介して変形させたペプチド、天然型グルカゴンのようにグルカゴン受容体を活性化させることができる天然型グルカゴンの模倣体を含む。
このようなグルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンに対して変化されたpIを有して改善された物性を示すものであってもよい。また、前記グルカゴン誘導体は、グルカゴン受容体を活性化させる活性を維持しながら、溶解度が改善されたものであってもよいが、これに制限されない。
また、前記グルカゴン誘導体は、非自然に発生する(non-naturally occurring)ものであってもよい。
一方、天然型グルカゴンは、以下のアミノ酸配列を有してもよい:
His-Ser-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Tyr-Ser-Lys-Tyr-Leu-Asp-Ser-Arg-Arg-Ala-Gln-Asp-Phe-Val-Gln-Trp-Leu-Met-Asn-Thr(配列番号1)
【0026】
本発明において、用語「pI(isoelectric point)」は、ポリペプチドまたはペプチドのような分子の全体順荷電(net charge)がゼロ(0)である場合のpH値を意味する。様々な荷電された官能基が存在するポリペプチドの場合、pIでこれら荷電の合計はゼロである。pIより高いpHでポリペプチドの全体純荷電は、陰性になり、pIより低いpH値でポリペプチドの全体純荷電は陽性になる。
pIは、ポリアクリルアミド、デンプンまたはアガロースで構成される固定されたpH勾配ゲル上で等電点電気泳動によって、または、例えばExPASyサーバーでpI/MWツール(http://expasy.org/tools/pi_tool.html; Gasteiger et al., 2003)を用いてアミノ酸配列からpIを推定することにより、決定することができる。
本発明において、用語「変化されたpI」は、天然グルカゴンのアミノ酸配列で一部の配列が負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基に置換されて、天然グルカゴンのpIとは異なる、すなわち、より減少したり増加したpIを有することを意味する。このように変化されたpIを有するペプチドは、グルカゴン誘導体として中性pHで改善された溶解度及び高い安定性を示すことができる。
より具体的に、前記グルカゴン誘導体は、天然型グルカゴンのpI値(6.8)ではない変化されたpI値を有するものであってもよく、より具体的には6.8未満、具体的には6.7以下、より具体的には6.5以下であるpI値、また、具体的に6.8超過、7以上、より具体的には7.5以上であってもよいが、これに制限されず、天然型グルカゴンと異なるpI値を有すれば、本発明の範囲に含まれる。特に、天然型グルカゴンと異なるpI値を有することにより、天然型グルカゴンに比べて中性pHで改善された溶解度を示すことにより、凝集(aggregation)される程度が低い場合には、本発明の範囲に特に含まれる。
より具体的に、4〜6.5及び/または7〜9.5、より具体的には7.5〜9.5、更により具体的には8.0〜9.3のpI値を有するものであってもよいが、これに制限されない。この場合、天然型グルカゴンに比べて高いか低いpIを有するため、中性pHで天然型グルカゴンに比べて改善された溶解度及び高い安定性を示すことができる。
【0027】
具体的に、天然型グルカゴンの誘導体は、天然型グルカゴンの一部のアミノ酸が置換(substitution)、追加(addition)、削除(deletion)及び修飾(modification)のいずれかの方法またはこれらの方法の組み合わせを介して変形させてもよい。
これらの方法の組み合わせで製造されるグルカゴンの誘導体の例として、天然型グルカゴンとアミノ酸配列が一つ以上異なり、N-末端アミノ酸残基に脱アミノ化(deamination)された、グルカゴン受容体に対する活性化機能を有するペプチドなどがあるが、これに制限されず、誘導体の製造のためのいくつかの方法の組み合わせで、本発明に適用される天然型グルカゴンの誘導体を製造することができる。
また、天然型グルカゴンの誘導体の製造のためのこれらの変形は、L-型またはD-型アミノ酸、及び/または非天然型アミノ酸を用いた変形;及び/または天然型配列を改質、例えば、側鎖官能基の変形、分子内の共有結合、例えば、側鎖間の環の形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化などのように改質することにより、変形するものをすべて含む。
また、天然型グルカゴンのアミノ及び/またはカルボキシ末端に一つまたはそれ以上のアミノ酸が追加されたものをすべて含む。
前記置換または追加されたアミノ酸は、ヒトタンパク質で通常に観察される20個のアミノ酸だけでなく、非定型または非自然発生アミノ酸を用いてもよい。非定型アミノ酸の商業源はSigma-Aldrich、ChemPepとGenzyme pharmaceuticalsが含まれる。これらのアミノ酸が含まれたペプチドと定型的なペプチド配列は、商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican peptide companyやBachem、または韓国のAnygenを通じて合成及び購入可能である。
【0028】
グルカゴンは、約7のpIを有して生理学的pH(pH4〜8)の溶液中で不溶性であり、中性pHで沈殿される傾向がある。pH3以下の水溶液中で、グルカゴンは、初期には溶解されるが、1時間以内にゲル形成のため沈殿される。ゲル化されたグルカゴンは、主にβ-シートフィブリルからなり、このように沈殿したグルカゴンはゲルが注射針や静脈に投与された場合、血管を詰まらせるので注射剤として用いるのに適していない。沈殿過程を遅延させるために、酸(pH2〜4)剤形を用いるのが通常であるが、これにより、短時間に相対的に無凝集状態でグルカゴンを維持することができる。しかし、グルカゴンのフィブリル形成が低いpHで非常に迅速に行われるため、このような酸性製剤は、調製後すぐに注射されるべきである。
そこで、本発明では、天然グルカゴンのpIを負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基の置換によって変化させて延長された作用プロファイルを有するグルカゴン誘導体を開発した。本発明のグルカゴン誘導体は、天然グルカゴンに比べて変化されたpIを有することにより、中性pHで改善された溶解度及び/または安定性を示すことを特徴とする。
一つの具体的な態様としては、前記グルカゴン誘導体は、下記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドであってもよい。
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式(1)、配列番号45)
前記一般式(1)において、
X1は、ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、N-ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropIonyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropIonyl)、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2は、アルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン、Sar(N-methylglycine)、セリンまたはD-セリンであり;
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X13は、チロシンまたはシステインであり;
X14は、ロイシンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはシステインであるか、不存在であり;
X17は、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであるか、不存在であり;
X18は、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X19は、アラニン、アルギニン、セリン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X20は、リジン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン酸、リジン、アルギニン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはシステインであるか、不存在であり;
X21は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X23は、イソロイシン、バリンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X24は、バリン、アルギニン、アラニン、システイン、グルタミン酸、リジン、グルタミン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはロイシンであるか、不存在であり;
X27は、イソロイシン、バリン、アラニン、リジン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X28は、グルタミン、リジン、アスパラギンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X29は、リジン、アラニン、グリシンまたはトレオニンであるか、不存在であり;
X30は、システインであるか、不存在であってもよい。
(但し、前記一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号1と同一である場合は除く)。
ここで、一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列、特に配列番号13、15、36、及び38〜43のいずれかのアミノ酸配列と同一である場合には、一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドの範囲から除外される場合も存在することがあるが、これに制限されない。
【0029】
より具体的には、
前記一般式(1)において、
X1は、ヒスチジン、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2は、セリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X13は、チロシンまたはシステインであり;
X14は、ロイシンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17は、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであり;
X18は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンまたはシステインであり;
X19は、アラニンまたはシステインであり;
X20は、グルタミン、アスパラギン酸、リジンまたはシステインであり;
X21は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリンまたはシステインであり;
X23は、イソロイシン、バリンまたはアルギニンであり;
X24は、バリン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、リジン、グルタミンまたはロイシンであり;
X27は、イソロイシン、バリン、アラニン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニンであり;
X28は、グルタミン、リジン、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29は、トレオニンであり;
X30は、システインであるか、不存在であってもよい。(一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号1と同一である場合は除外する)。
その例として、前記ペプチドは、配列番号2〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むこと、具体的に配列番号2〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須的に)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
また、本願で「特定配列番号で構成されるペプチド」と記載されている場合でも、該当配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一、または相応する活性を有する場合であれば、該当配列番号のアミノ酸配列前後の無意味な配列追加または自然に発生しうる突然変異、またはその潜在性突然変異(sIlent mutation)を除くことではなく、このような配列を追加、または突然変異を有する場合でも、本願の範囲内に属することは自明である。
【0030】
一方、別の態様では、前記一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列、特に配列番号13、15、36、及び38〜43のいずれかのアミノ酸配列と同一である場合には、一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドの範囲から除外される場合も存在することがあるが、これに制限されない。以上の内容は、本発明の他の具体例または別の態様にも適用することができるが、これに制限されるものではない。
具体的には、前記一般式(1)において、
X1は、ヒスチジン、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2は、セリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X13は、チロシンまたはシステインであり;
X14は、ロイシンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17は、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであり;
X18は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンまたはシステインであり;
X19は、アラニンまたはシステインであり;
X20は、グルタミン、アスパラギン酸またはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X23は、バリンであり;
X24は、バリンまたはグルタミンであり;
X27は、イソロイシンまたはメチオニンであり;
X28は、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29は、トレオニンであり;
X30は、システインであるか、不存在であってもよい(一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号1と同一である場合は除外する)。
その例として、前記ペプチドは、配列番号2〜13、15、17、20〜24、26〜30、及び32〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的に配列番号2〜13、15、17、20〜24、26〜30、及び32〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須的に)構成されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0031】
具体的には、前記一般式(1)において、
X1がチロシンであり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7は、トレオニンであり;
X10は、チロシンであり;
X12は、リジンであり;
X13は、チロシンであり;
X14は、ロイシンであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17は、リジンまたはアルギニンであり;
X18は、アルギニンであり;
X19は、アラニンであり;
X20は、グルタミン、システインまたはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸、システイン、バリンまたはグルタミン酸であり;
X23は、バリンであり;
X24は、バリンまたはアルギニンであり;
X27は、メチオニンであり;
X28は、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29は、トレオニンであり;
X30は不存在であってもよい。
その例として、前記ペプチドは、配列番号14、16、18、19、25、及び31からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的に配列番号14、16、18、19、25、及び31からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須的に)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0032】
より具体的に、前記ペプチドは、下記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドであってもよい:
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式(2)、配列番号46) 前記一般式(2)において、
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸またはセリンであり;
X17は、リジンまたはアルギニンであり;
X20は、グルタミンまたはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24は、バリンまたはグルタミンであり;
X30は、システインであるか、不存在であってもよい。
ここで、前記一般式(
2)のアミノ酸配列が配列番号14、19、20、25、27、31、及び33のいずれか一つと同一である場合は除いてもよい。に該当するペプチドはしかし、これに制限されるものではない。
その例として、前記ペプチドは、配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、具体的に配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須的に)構成されたものであってもよいが、これに制限されない。より具体的には、前記ペプチドは、配列番号12または20のアミノ酸配列を含むか、該当アミノ酸配列で(必須的に)構成されたことを特徴とする。しかし、これに制限されるものではない。
【0033】
また、前記一般式(1)または前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドにおいて、一般式(1)または前記一般式(2)のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸ペアのいずれか一つ以上のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されるものであってもよいが、これに制限されない。
より具体的には、前記一般式(1)または一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドは、X12とX16のアミノ酸ペアまたはX16とX20のアミノ酸ペアが、それぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されたものであってもよいが、これに限定されない。
より具体的に、X10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸ペアのいずれか一つ以上のアミノ酸ペアが、環(例えば、ラクタム環)を形成するものであってもよいが、これに制限されない。
【0034】
一方、前記ペプチドは、生体内のタンパク質切断酵素から保護し、安定性を増加させるために、ペプチドのアミノ末端及びカルボキシ末端を変形したり、複数の有機団で保護することができ、その例としてC-末端がアミド化されたものであってもよい。
また、本発明のペプチドは、その長さに応じて、この分野でよく知られている方法、例えば、自動ペプチド合成機によって合成してもよく、遺伝子操作技術によって生産してもよい。
具体的に、本発明のペプチドは、標準合成方法、組み換え発現システム、または任意の他の当該分野の方法により製造してもよい。したがって、本発明に係るグルカゴン誘導体は、例えば、下記を含む方法を含む多数の方法で合成されてもよい:
(a)ペプチドを固体相または液体相方法の手段として、段階的にまたは断片組み立てによって合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;または
(b)ペプチドをエンコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;または
(c)ペプチドをエンコードする核酸作製物の無細胞試験管内発現を行い、発現生成物を回収する方法;または
(a)、(b)及び(c)の任意の組み合わせでペプチドの断片を収得し、続いて断片を連結させてペプチドを収得して、当該ペプチドを回収する方法。
より具体的な例として、遺伝子操作を介して、融合パートナー及びグルカゴン誘導体を含む融合タンパク質をコードする融合遺伝子を製造して、これを宿主細胞に形質転換させた後、融合タンパク質の形態で発現し、タンパク質分解酵素または化合物を用いて融合タンパク質からグルカゴン誘導体を切断、分離して、目的とするグルカゴン誘導体を生成することができる。このため、例えばFactor Xaやエンテロキナーゼのようなタンパク質分解酵素、CNBrまたはヒドロキシアミンのような化合物によって切断することができるアミノ酸残基をコードするDNA配列を融合パートナーとグルカゴン誘導体をコードするポリヌクレオチドの間に挿入することができる。
【0035】
具体的な実施態様では、本発明のペプチドは、天然グルカゴンに比べて変化されたpIを有することを確認した(表1参照)。したがって、本発明のペプチドは、中性pHで改善された溶解度及び高い安定性を有するため、低血糖の治療薬として使用する時、患者順応度を高めることができ、他の抗肥満治療剤との併用投与に適して低血糖及び肥満の予防または治療に有用に用いることができる。
そこで、本発明のペプチドは、代謝症候群またはその関連疾患に対して魅力的な治療的選択を提供することができる。
例えば、本発明のペプチドは、インスリンに対する主な対応調節ホルモンとして、糖尿病患者の重度の低血糖を治療するのに有用に用いることができる。
また、本発明のペプチドは、体重増加を予防するか、体重減少を促進するか、過体重を減らすか、病的肥満を含む肥満(例えば、食欲、摂食、食品摂取、カロリーの摂取量及び/またはエネルギー消費の調節によって)だけでなく、肥満関連炎症、肥満関連胆嚢疾患及び肥満が誘導された睡眠無呼吸を含むが、これに制限されない関連疾患及び健康状態を治療するための薬剤として用いることができる。本発明のペプチドはまた、肥満以外の代謝症候群、すなわち耐糖症障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中、低血糖などの関連疾患の治療に用いられる。しかし、これら病態において、本発明に係るペプチドの効果は、前述した体重関連効果を通じて全体的にまたは部分的に媒介されることができるか、これと独立であってもよい。
【0036】
本発明の併用投与または組成物に含まれる前記代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質の例として、インスリン分泌ペプチド、GLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニスト、レプチン(Leptin)受容体アゴニスト、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、MCH(Melanin-concentrating hormone)受容体アンタゴニスト、Y2/4受容体アゴニスト、MC3/4(Melanocortin 3/4)受容体アゴニスト、胃/膵臓リパーゼ(gastric/pancreatic lipase)阻害剤、5HT2c(5-hydroxytryptamine receptor 2C、G protein-coupled)アゴニスト、β3A受容体アゴニスト、アミリン(Amylin)受容体アゴニスト、グレリン(Ghrelin)アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpHa)アゴニスト、PPARδ(peroxisome proliferator-activated receptor delta)アゴニスト、FXR(farnesoid X receptor)アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシルラーゼ抑制剤(acetyl-CoA carboxylase inhibitor)、ペプチドYY、CCK(Cholecystokinin)、ゼニン(Xenin)、グリセンチン(glicentin)、オベスタチン(obestatin)、セクレチン(secretin)、ネスファチン(nesfatin)、インスリン(insulin)及びGIP(glucose-dependent insulinotropicpeptide )が挙げられるが、これに制限されない。また、肥満の治療に効果的な薬物と肝臓の炎症及び繊維化症(fibrosis)を抑制する薬物はすべて含まれてもよい。
具体的に、前記インスリン分泌ペプチドは、GLP-1、エクセンディン-3、エクセンディン-4、これらのアゴニスト(agonist)、誘導体(derivative)、断片(fragment)、変異体(variant)及びこれらの組み合わせで構成される群から選択されるものであってもよい。
より具体的に、前記インスリン分泌ペプチドは、インスリン分泌ペプチドのN-末端ヒスチジン残基がデス-アミノ-ヒスチジル、N-ジメチル-ヒスチジル、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル、4-イミダゾアセチル及びベータ-カルボキシイミダゾプロピオニルで構成される群から選択されるものに置換されたインスリン分泌ペプチド誘導体であってもよいが、これに制限されない。
さらに具体的に、前記インスリン分泌ペプチドは、天然型エクセンディン-4、エクセンディン-4のN-末端アミン基が除去されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がヒドロキシル基に置換されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がジメチル基に修飾されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の最初のアミノ酸(ヒスチジン)のアルファ炭素を除去(deletion)したエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がセリンに置換されたエクセンディン-4誘導体、及びエクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がアルギニンに置換されたエクセンディン-4誘導体で構成される群から選択されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0037】
一方、このようなインスリン分泌ペプチドまたはその持続型結合体の形態の例として、特許文献1に記載された専門の本願に参考資料として含まれるが、これに制限されない。
より具体的な態様として、グルカゴン誘導体、例えば前記一般式(1)または(2)のアミノ酸配列を含むペプチドは、生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、持続型結合体の形態であってもよいが、これに制限されない。前記生体適合性物質はキャリアと混用してもよい。
また、前記インスリン分泌ペプチドも、生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、持続型結合体の形態であってもよいが、これに制限されない。
本発明の具体的な実施形態で、前記結合体は、効果の持続性がキャリアが結合されてない天然型グルカゴンまたはグルカゴン誘導体に比べて増加する。本発明では、これらのタンパク質結合体を指して、「持続型結合体」と称する。
前記生体適合性物質の例として、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体が挙げられるが、これに制限されない。例えば、本発明のペプチド内の一つ以上のアミノ酸側鎖は、生体内で可溶性及び/または半減期を増加させて/させたり、生体利用率を増加させるために、このような生体適合性物質に接合することができる。このような変形は、治療学的タンパク質及びペプチドの消去(clearance)を減少させることが知られている。
【0038】
これらの生体適合性物質は、水溶性(両親媒性または親水性)、無毒性及び薬学的に不活性であることが適しており、その例としてPEG、PEGの同種重合体または共重合体、PEGのモノメチル置換された重合体(mPEG)、またはポリリジン、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸のようなポリアミノ酸が含まれるが、これに制限されない。
このように変形されたグルカゴン誘導体が天然グルカゴンより優れた治療学的効果を示すだろうということは、当業者にとって周知の事実である。したがって、前記のようなグルカゴン誘導体の変異体も本発明のグルカゴン誘導体の範囲に含まれる。
より具体的な態様としては、前記グルカゴン誘導体、例えば、一般式(1)又は(2)のアミノ酸配列を含むペプチド及びインスリン分泌ペプチドは、それぞれポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic- glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、脂肪酸、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して生体適合性物質と連結されたものであってもよいが、これに制限されない。
より具体的な態様としては、前記生体適合性物質は、FcRn結合物質であり、前記グルカゴン誘導体、例えば一般式(1)または(2)のアミノ酸配列を含むペプチド及びインスリン分泌ペプチドは、それぞれペプチドリンカー、または非ペプチド性リンカーを介して生体適合性物質に連結されたものであってもよいが、これに制限されない。
具体例として、前記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドであってもよい。
【0039】
本発明で、「非ペプチド性リンカー」は、繰り返し単位が2つ以上連結された生体適合性重合体を含む。前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく、任意の共有結合を介して相互に連結される。前記非ペプチド性リンカーは、本発明の持続型結合体の一部分をなす一構成であってもよい。
本発明で、前記非ペプチド性リンカーは、非ペプチド性重合体と混用して使用してもよい。
また、一つの具体的な実施形態では、前記結合体は、両方の末端に免疫グロブリンFc領域及びタンパク質薬物と結合することができる反応基を含む非ペプチド性リンカーを介して共有結合的に連結されたものであってもよい。
特にこれに制限されないが、前記非ペプチド性リンカーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)及びPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子;脂質重合体;キチン類;ヒアルロン酸;多糖類及びこれらの組み合わせで構成される群から選択されるものであってもよい。より具体的な実施形態では、前記以外のペプチド性重合体は、ポリエチレングリコールであってもよいが、これに制限されない。また、当該分野で既に知られているこれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造することができる誘導体も、本発明の範囲に含まれる。
本発明で使用することができる非ペプチド性リンカーは、生体内のタンパク質分解酵素に抵抗性のある重合体であれば、制限なく使用することができる。非ペプチド性重合体の分子量は、1〜100kDaの範囲、具体的に1〜20kDaの範囲であるが、これに制限されない。また、前記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドと結合される本発明の非ペプチド性リンカーは、一種類の重合体だけでなく、異なる種類の重合体の組み合わせが使用されてもよい。
【0040】
一つの具体的な実施形態では、前記非ペプチド性リンカーの両末端はそれぞれ免疫グロブリンFc領域及びグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチドのアミン基またはチオール基に結合することができる。
具体的には、前記非ペプチド性重合体は、両方の末端にそれぞれ免疫グロブリンFc断片及びグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチドと結合することができる反応基、具体的には、グルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチド、または免疫グロブリンFc断片のN-末端またはリジンに位置するアミン基、またはシステインのチオール基と結合することができる反応基を含んでもよいが、これに制限されない。
また、免疫グロブリンFc領域及びグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチドと結合することができる、前記非ペプチド性重合体の反応基はアルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体で構成される群から選択されてもよいが、これに制限されない。
前記で、アルデヒド基として、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基を例として挙げられるが、これに制限されない。
前記で、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジルバレルエート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオンエート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチルまたはスクシンイミジルカルボネートが用いられるが、これに制限されない。
また、アルデヒド結合による還元性アルキル化により生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものよりはるかに安定的である。アルデヒド反応基は、低いpHでN-末端に選択的に反応し、高いpH、例えばpH9.0の条件では、リジン残基と共有結合を形成することができる。
【0041】
また、前記両端の反応基は、互いに同一または互いに相異してもよく、例えば、一方の末端にはマレイミド基、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、またはブチルアルデヒド基を有してもよい。しかし、非ペプチド性リンカーの各末端に免疫グロブリンFc領域とグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチドが結合することができれば、特にこれに制限されない。
例えば、前記非ペプチド性リンカーの一方の末端には、反応基としてマレイミド基を含み、もう一方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基などを含んでもよい。
両端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として利用する場合には、公知の化学反応によって、前記ヒドロキシ基を前記様々な反応基に活性化するか、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを用いて、本発明の持続型タンパク質結合体を製造することができる。
一つの具体的な実施形態では、前記非ペプチド性重合体は、グルカゴン誘導体のシステイン残基、より具体的にはシステインの-SH基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
具体的な態様としては、前記結合体は、配列番号12又は20のアミノ酸配列を含むペプチドと免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性重合体を介して連結されたものであり、ここで非ペプチド性重合体は、配列番号12のアミノ酸配列で30番目に位置するシステイン残基または配列番号20のアミノ酸配列で17番目に位置するシステイン残基に連結されたものであってもよい。しかし、これに制限されるものではない。
もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを用いる場合、マレイミド基はグルカゴン誘導体の-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基は、免疫グロブリンFcの-NH
2基と還元的アルキル化反応を介して連結することができるが、これに制限されず、これは一つの例に該当する。
【0042】
本発明で、「免疫グロブリンFc領域」は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除いた、重鎖不変領域2(CH2)及び/または重鎖不変領域3(CH3)の部分を含む部位を意味する。前記免疫グロブリンFc領域は、本発明のタンパク質結合体の一部分をなす一構成であってもよい。
これらの免疫グロブリンFc領域は、重鎖不変領域にヒンジ(hinge)部分を含んでもよいが、これに制限されるものではない。また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等であるか、向上された効果を有する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域のみを除き、一部または全体の重鎖不変領域1(CH1)及び/または軽鎖不変領域1(CL1)を含む拡張されたFc領域であってもよい。また、CH2及び/またはCH3に該当する非常に長い、一部のアミノ酸配列が除去された領域であってもよい。
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、及びCH4ドメインのうち一つまたは二つ以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(またはヒンジ領域の一部)との組み合わせ、6)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体であってもよい。しかし、これに制限されるものではない。
また、1つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は、二量体形態(dimeric form)であってもよく、二量体の形態の一つのFc領域にグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチド分子が共有結合的に連結されてもよく、この時、前記免疫グロブリンFcとグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチドは、非ペプチド性重合体によって互いに連結されてもよい。一方、二量体の形態の一つのFc領域にグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチド二分子が対称的に結合することも可能である。この時、前記免疫グロブリンFcとグルカゴン誘導体またはインスリン分泌ペプチドは、非ペプチド性リンカーによって互いに連結されてもよい。しかし、前記記述された例に制限されるものではない。
【0043】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的または保存的置換またはこれらの組み合わせによって異なる配列を有することを意味する。
例えば、IgG Fcの場合の結合に重要であると知られている214〜238、297〜299、318〜322または327〜331番のアミノ酸残基が変形のために適した部位として用いられてもよい。
また、ジスルフィド結合を形成しうる部位が除去されるか、天然型FcからN-末端のいくつかのアミノ酸が除去されるか、又は天然型FcのN-末端にメチオニン残基が付加されることもあるなど、様々な種類の誘導体が可能である。また、エフェクター機能をなくすために、補体結合部位、例えばC1q結合部位が除去されることもあり、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されることもある。これらの免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、特許文献2及び特許文献3などに開示されている。
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドでのアミノ酸交換は、当該分野で知られている(非特許文献2)。最も一般的に起こる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/PHe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(posphorylation)、硫化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(Glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)及びアミド化(amidation)などで修飾(modification)されることもある。
【0044】
前述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどの構造的安定性を増大させたものであってもよい。
さらに、このようなFc領域は、ヒト、牛、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、またはモルモットピックなどの動物の生体内で分離した天然型から得られてもよく、形質転換された動物細胞または微生物から得られた組み換え型、またはその誘導体であってもよい。ここで、天然型から獲得する方法は、全体の免疫グロブリンをヒトまたは動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理して獲得する方法であってもよい。パパインを処理する場合には、Fab及びFcで切断され、ペプシンを処理する場合には、pF’c及びF(ab)2で切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)などを用いて、FcまたはpF’cを分離することができる。より具体的な実施形態では、ヒト由来のFc領域を微生物から収得した組み換え型免疫グロブリンFc領域である。
また、免疫グロブリンFc領域は、天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖または糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減または除去には化学的方法、酵素学的方法及び微生物を用いた遺伝工学的方法のような通常の方法が用いられてもよい。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は、補体(C1q)との結合力が著しく低下し、抗体依存性細胞毒性または補体依存性細胞毒性が減少または除去されるため、生体内での不要な免疫反応を誘発しない。この点で、薬物のキャリアとしての本来の目的により合致する形態は、糖鎖が除去されたり、または非糖鎖化された免疫グロブリンFc領域といえる。
本発明では、「糖鎖の除去(Deglycosylation)」は、酵素で糖を除去したFc領域をいい、非糖鎖化(Aglycosylation)は原核動物、より具体的な実施形態では、大腸菌で生産して糖鎖化されてないFc領域を意味する。
一方、免疫グロブリンFc領域は、ヒトまたは牛、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットピックなどの動物由来であってもよく、より具体的な実施形態では、ヒト由来である。
【0045】
また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはこれらの組み合わせ(combination)またはこれらの混成(hybrid)によるFc領域であってもよい。より具体的な実施形態では、ヒトの血液に最も豊富なIgGまたはIgM由来であり、より具体的な実施形態では、リガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが知られているIgG由来である。さらに具体的な実施形態では、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態では、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域であるが、これに制限されるものではない。
一方、本発明で「組み合わせ(combination)」とは、二量体または多量体を形成するとき、同じ由来の短鎖免疫グロブリンFc領域を暗号化するポリペプチドが異なる由来の短鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。つまり、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgE Fc断片からなる群から選択された2つ以上の断片から二量体または多量体の製造が可能である。
本発明の前記組成物は、低血糖または代謝症候群の予防または治療に用いられてもよい。
本発明において、用語「予防」は、前記ペプチドまたは組成物の投与により低血糖または代謝症候群の発症を抑制または遅延させる全ての行為を意味し、「治療」は、前記ペプチドまたは組成物の投与により低血糖または代謝症候群の症状が好転したり、有利になるすべての行為を意味する。
本発明において、用語「投与」は、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は特に制限されないが、前記組成物が生体内標的に到達することができる任意の一般的な経路を介して投与されてもよく、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与などになってもよい。
【0046】
本発明において、用語「代謝症候群(metabolic syndrome)」は、慢性的な代謝障害により起こる様々な疾患が単独または複合的に起こる症状をいい、特に代謝症候群に該当する疾患としては、耐糖症傷害、高コレステロール血症、脂質異常症 (dyslipidemia)、肥満、糖尿病、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中などがあるが、これに制限されない。
本発明において、用語「肥満」は、体内に脂肪組織が過度な状態で、身体肥満指数(体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値)が25以上であれば、肥満と定義される。肥満は長年にわたってエネルギー消費量に比べて栄養素を過剰に摂取した場合のエネルギーの不均衡によって誘発されることが通常である。肥満は、身体全体に影響を与える代謝疾患であり、糖尿病及び高脂血症にかかる可能性が高くなり、性機能障害、関節炎、心血管系疾患の発症リスクが大きくなり、場合によってがんの発生とも関連がある。
前記糖尿病は、急性症状として、「低血糖」を示すことがある。
本発明において、用語「低血糖」は、糖尿病の急性症状の一つであって、血中糖量が正常よりも低い状態をいうもので、一般的に血糖値が50mg/dl以下であるときをいう。低血糖が生じる一般的な原因は、経口血糖降下剤やインスリンを使用する人がいつもより飲食摂取量が少なかったり、活動量や運動量が超過した場合である。他にも飲酒や一部の血糖値を下げる薬物の使用、重度の身体的疾患、副腎皮質ホルモンやグルカゴンなどのホルモン不足、インスリン生成膵臓腫瘍、インスリンに対する自己免疫疾患がある場合、胃切除術の患者、遺伝性炭水化物代謝酵素異常の疾患などによっても、低血糖が発生しうる。
低血糖の症状は、元気がなく、体の震えがあり、蒼白、冷や汗、めまい、興奮、不安、胸のドキドキ、空腹感、頭痛、疲労感などを含む。低血糖が長く続く場合は、痙攣や発作を有することがあり、ショック状態がもたらされ、意識を失うこともある。
【0047】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでもよい。本発明において、用語「薬学的に許容可能な」とは、治療効果を示すことができるほどの十分な量と副作用を起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合または同時使用される薬物などの医学分野でよく知られている要素に応じて、当業者によって容易に決定してもよい。
本発明のペプチドを含む薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。前記担体は、特にこれに制限されないが、経口投与の際には、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いてもよく、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混用して用いてもよく、局所投与用の場合は、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを用いてもよい。
本発明の組成物の剤形は、前述したような薬学的に許容可能な担体と混用して多様に製造してもよい。例えば、経口投与の際には、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、サスペンション、シロップ、ウェーハなどの形態で製造してもよく、注射剤の場合には、単位投薬アンプルまたは多数回投薬形態で製造してもよい。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放型製剤などで剤形化してもよい。
一方、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシア、アルギン酸、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムまたは鉱物油などが用いられてもよい。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0048】
また、本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形を有してもよい。
また、前記組成物は、薬学的分野で通常の方法によって、患者の身体内投与に適した単位投与型の製剤、好ましくは、ペプチド医薬品の投与に有用な製剤形態で剤形化して、当業界で通常使用される投与方法を用いて、経口、または皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内または直腸経路を含む非経口投与経路によって投与されてもよいが、これに制限されるものではない。
また、前記ペプチドは、生理食塩水または有機溶媒のような薬剤として許可されたいくつかの伝達体(carrier)と混用して用いてもよく、安定性や吸水性を増加させるためにグルコース、スクロースまたはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)またはグルタチオンのような抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質または他の安定化剤(stabilizers)などが薬剤として用いられてもよい。
本発明の薬学的組成物の投与量と回数は治療疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重、及び疾患の重症度などのいくつかの関連因子と一緒に、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与されてもよく、複数の投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて、有効成分の含量を異にしてもよい。具体的に、本発明のペプチドの好ましい全容量は、一日に患者の体重1kg当たり約0.0001μg〜500mgであってもよい。しかし、前記ペプチドの容量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌や排泄率などのさまざまな要因を考慮して、患者の有効投与量が決定されるので、このような点を考慮すると、当分野の通常の知識を有する者であれば、前記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定することができるはずである。本発明に係る薬学的組成物は、本発明の効果を示す限り、その剤形、投与経路及び投与方法に特に制限されない。
【0049】
本発明の薬学的組成物は、生体内の持続性及び力価に優れるため、本発明の薬学的製剤の投与回数及び頻度を著しく減少させることができる。
特に、本発明の薬学的組成物は、天然グルカゴンに比べて変化したpIを有するグルカゴン誘導体を有効成分として含むため、中性pHで改善された溶解度及び高い安定性を示すことになり、低血糖または肥満の治療のための安定したグルカゴン剤形の製造に有用に用いられる。
本発明を具現する別の態様は、新規なグルカゴン誘導体を提供する。
前記グルカゴン誘導体については、先に説明したとおりである。
より具体的には、前記誘導体は、下記一般式(2)のアミノ酸配列を含む分離されたペプチドであることを特徴とする。
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式(2)、配列番号46)
前記一般式(2)において、
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸またはセリンであり;
X17は、リジンまたはアルギニンであり;
X20は、グルタミンまたはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24は、バリンまたはグルタミンであり;
X30は、システインであるか、不存在である。
ここで、前記一般式(2)のアミノ酸配列が配列番号14、19、20、25、27、31、及び33のいずれか一つと同一である場合は除いてもよい。
より具体的に、前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドは、一般式(2)のX16とX20のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換され、X16とX20のアミノ酸ペアが環(例えば、ラクタム環)を形成したものであってもよいが、これに制限されない。
また、前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドのC-末端がアミド化されたものであってもよいが、これに制限されない。
また、前記ペプチドは、グルカゴン受容体を活性化させることができるグルカゴン誘導体であってもよいが、これに制限されない。
より具体的に、前記ペプチドは、配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0050】
本発明を具現する別の態様は、前記グルカゴン誘導体をコードする分離されたポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたはベクターを含む分離された細胞を提供する。
前記グルカゴン誘導体については、先に説明したとおりである。
また、前記グルカゴン誘導体をコードする分離されたポリヌクレオチドは、その配列と75%以上、具体的には85%以上、より具体的には90%以上、さらに具体的には95%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を発明の範囲に含む。
用語「相同性」とは、野生型(wild type)アミノ酸配列及び野生型核酸配列との類似度を示すためのものであり、相同性の比較は、肉眼または購入が容易な比較プログラムを使用して実行する。市販されるコンピュータプログラムは、2つ以上の配列間の相同性の割合(%)で計算することができる。相同性(%)は、隣接する配列について計算することができる。
本発明において、用語「組み換えベクター」は、適切な宿主内で目的ペプチド、例えばグルカゴン誘導体を発現させることができるように、目的ペプチド、例えばグルカゴン誘導体が適切な調節配列に作動可能に連結されたDNA製造物を意味する。
前記調節配列は、転写を開始することができるプロモーター、このような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含む。組み換えベクターは、適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能することができ、ゲノムそのものに統合されうる。
【0051】
本発明で用いられる組み換えベクターは、宿主細胞内で複製可能なものであれば、特に制限されず、当業界に知られている任意のベクターを用いて作製してもよい。通常に用いられるベクターの例としては、天然の状態であるか、組み換えされた状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージが挙げられる。本発明で使用可能なベクターは、特に制限されるものではなく、公知の発現ベクターを使用してもよい。
前記組み換えベクターは、本発明のグルカゴン誘導体を生産するために宿主細胞を形質転換させるのに使用される。また、本発明の一部である、このような形質転換細胞は、本発明の核酸断片及びベクターの増殖に使用されたり、本発明のグルカゴン誘導体の組み換え生産に用いられた培養された細胞または細胞株であってもよい。
本発明において、用語「形質転換」は、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターを宿主細胞内に導入して宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドがコードするタンパク質が発現できるようにすることを意味する。形質転換されたポリヌクレオチドが宿主細胞内で発現されることがある限り、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、染色体以外に位置するかとは関係なく、両方を含む。
また、前記ポリヌクレオチドは、標的タンパク質をコードするDNAとRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば、どのような形態で導入されるものであっても構わない。例えば、前記ポリヌクレオチドは、それ自体で発現されるが、必要なすべての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入されてもよい。前記発現カセットは、通常、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結シグナル、リボソーム結合部位、及び翻訳終結シグナルを含んでもよい。前記発現カセットは、それ自体の複製が可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞での発現に必要な配列と作動可能に連結されたものであってもよいが、これに制限されない。
また、前記の用語「作動可能に連結された」という本発明の目的とするペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を開始及び媒介するようにするプロモーター配列と、前記遺伝子配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0052】
本発明に適した宿主は、本発明のポリヌクレオチドを発現するようにする限り、特に制限されない。本発明に用いられる宿主の特定の例としては、大腸菌(E. coli)のようなエシェリキア(Escherichia)属細菌;バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)のようなバチルス(Bacillus)属細菌;シュードモナス・プチダ (Pseudomonas putida)のようなシュードモナス(Pseudomonas)属細菌; ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)のような酵母;スポドプテラ・フルギペルダ(Sf9)のような昆虫細胞;とCHO、COS、BSCなどの動物細胞がある。
本発明を具現する別の態様は、グルカゴン誘導体と生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、分離された結合体を提供する。前記結合体は、持続型結合体であってもよい。
前記グルカゴン誘導体及び生体適合性物質、そして結合体の構成については、先に記述したところ、すべてに適用される。
具体的には、 前記生体適合性物質は、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体からなる群から選択されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0053】
また、前記分離されたペプチドは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic- Glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、脂肪酸、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して生体適合性物質と連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
また、前記生体適合性物質は、FcRn結合物質であり、前記分離されたペプチドは、ペプチドリンカーまたはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic-Glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチド性リンカーを介して生体適合性物質に連結されたものであってもよいが、これに制限されない。
また、前記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドであってもよいが、これに制限されない。
【0054】
本発明を具現するまた別の態様は、前記グルカゴン誘導体または分離された結合体を含む組成物である。
前記グルカゴン誘導体または分離された結合体については、先に説明したとおりである。
具体的に、前記組成物は低血糖または代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物であってもよいが、これに制限されない。薬学的組成物については、先に説明したとおりである。
また、前記組成物を下記記述された一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドを含有する組成物であってもよい。
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式(2)、配列番号46) 前記一般式(2)において、
X7は、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10は、チロシンまたはシステインであり;
X12は、リジンまたはシステインであり;
X15は、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16は、グルタミン酸またはセリンであり;
X17は、リジンまたはアルギニンであり;
X20は、グルタミンまたはリジンであり;
X21は、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24は、バリンまたはグルタミンであり;
X30は、システインであるか、不存在である。
特にこれに制限されないが、前記一般式(
2)のアミノ酸配列が配列番号14、19、20、25、27、31、及び33と同じである場合は除いてもよい。
【0055】
本発明を具現する別の態様は、前記組成物を個体に投与する段階を含む、低血糖または代謝症候群を予防または治療する方法を提供する。
前記組成物、低血糖、代謝症候群、予防、及び治療については、先に説明したとおりである。
本発明で、前記の個体は、低血糖または代謝症候群(metabolic syndrome)が疑われる個体であって、前記低血糖または代謝症候群(metabolic syndrome)の疑いのある個体は、該当疾患が発症したか、または発症しうるヒトを含むマウス、家畜などを含む哺乳動物を意味するが、本発明のグルカゴン誘導体またはこれを含む組成物で治療可能な個体は、制限なく含まれる。また、本発明のグルカゴン誘導体を含む薬学的組成物を低血糖または肥満の疑いのある個体に投与することにより、個体を効率的に治療することができる。低血糖または肥満については、先に説明したとおりである。
本発明の方法は、ペプチドを含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含んでもよい。適切な総1日使用量は、正しい医学的判断の範囲内で処置医によって決定されてもよく、1回または数回に分けて投与してもよい。しかし、本発明の目的上、特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によっては、他の製剤が使用されるかどうかを含め、具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路、及び組成物の分泌率、治療期間、具体的な組成物と一緒に使用されたり、同時に使用される薬物をはじめとする、様々な因子と医薬分野によく知られている同様の因子に応じて異なって適用することが望ましい。
本発明を具現するまた別の態様は、前記グルカゴン誘導体または分離された結合体、または前記組成物を、低血糖または代謝症候群の予防または治療用薬剤(または薬学的組成物)の製造に使用する用途を提供する。
前記グルカゴン誘導体、分離された結合体、前記組成物、低血糖、及び代謝症候群については、先に説明したとおりである。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0056】
実施例1:グルカゴンに対してcAMP反応を示す細胞株の生産
ヒトグルカゴン受容体の遺伝子のcDNA(OriGene Technologies、Inc. USA)でORFに該当する部分を鋳型とし、EcoRI切断部位とXhoI切断部位をそれぞれ含む下記配列番号47及び48の正方向及び逆方向プライマーを用いたPCRを行った。
この際、PCR反応は、95℃で60秒の変性、55℃で60秒のアニーリング、及び68℃で30秒の伸長過程を30回繰り返し行った。これから増幅されたPCR産物を1.0%アガロースゲルで電気泳動した後、450bpサイズのバンドを溶出して収得した。
正方向プライマー(配列番号47):5'-CAGCGACACCGACCGTCCCCCCGTACTTAAGGCC-3 '
逆方向 プライマー(配列番号48):5'-CTAACCGACTCTCGGGGAAGACTGAGCTCGCC-3 '
前記PCR産物を公知の動物細胞発現ベクターであるx0GC/dhfrにクローニングして、組み換えベクターx0GC/GCGRを製造した。
前記製造した組み換えベクターx0GC/GCGRを、10%FBS含有DMEM/F12培地で培養したCHO DG44細胞にリポフェクミンを用いて形質転換し、1mg/mL G418及び10nMメトトレキサートを含む選別培地で選別培養した。これから、制限希釈法でモノクローナル細胞株を選別し、この中でグルカゴンに対して優れた濃度依存的cAMP反応を示す細胞株を最終的に選別した。
【0057】
実施例2:グルカゴン誘導体の合成
改善された物性を有するグルカゴン誘導体を開発するために、配列番号1の天然グルカゴンのアミノ酸配列を負電荷及び正電荷を帯びたアミノ酸残基に置換して下記表1のようなグルカゴン誘導体を合成した。ここで、記載された相対的なインビトロ活性は、下記実施例4に記載された方法で測定した。
【0058】
表1 グルカゴン天然型及びグルカゴン誘導体のアミノ酸配列
前記表1に記載された配列でXと表記されたアミノ酸は非天然型アミノ酸であるアミノイソ酪酸(Aib)を、アミノ酸記号の下線は環を形成することを、そして「-」は、該当の位置にアミノ酸残基がないことを意味する。
【0059】
実施例3:グルカゴン誘導体のpI測定
前記実施例2で合成されたグルカゴン誘導体の改善された物性を確認するために、ExPASyサーバーでpI/Mwツール( http://expasy.org/tools/pi_tool.html; Gasteiger et al., 2003)を使用して、アミノ酸配列からpIを推算した。
前記表1に示すように、配列番号1の天然グルカゴンが6.8のpIを有するのに対し、本発明に係る一部のグルカゴン誘導体は、約4〜6の範囲のpIを有した。これらのグルカゴン誘導体は、天然グルカゴンに比べて低いか、高いpIを有するため、中性pHなどの天然型グルカゴンに比べて改善された溶解度及び高い安定性を示すことができる。
このような本発明に係るグルカゴン誘導体は、低血糖の治療薬として使用時、患者順応度を高めることができ、他の抗肥満治療剤または糖尿治療剤と併用投与に適し、低血糖及び肥満、糖尿病、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、脂質異常症、冠動脈性心臓病をはじめとする代謝症候群(metabolic syndrome)治療剤として有用に使える。
【0060】
実施例4:グルカゴン誘導体のcAMP活性の測定
実施例1で製造されたヒトグルカゴン受容体を有する細胞株における実施例2で合成されたグルカゴン誘導体の活性を測定した。具体的に、前記形質転換された細胞株を、1週間に3回、または4回継代培養した後、384-ウェルプレートに、各ウェル当り6x10
3個の継代培養された細胞株を分注して24時間培養した。前記培養された細胞に0.5mM IBMX(3-isobutyl-1-methylxanthine)、0.1%BSA(Bovineserumalbumin)、5mM HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)を含むHBSS(Hank's Balanced Salt Solution)緩衝液に天然型グルカゴンは200nMであり、グルカゴン誘導体は1600nMでそれぞれ懸濁させた後、4倍ずつ10回連続的に希釈し、これをcAMPアッセイキット(LANCE cAMP 384 kit、PerkinElmer)に適用して、前記細胞に添加した後、蛍光値を測定した。測定後、最も高い蛍光値を100%に選定した後、そこからグルカゴン誘導体のEC
50値を算出した後、天然型グルカゴンと相互比較した。その結果を前記表1に示した。
【0061】
実施例5:グルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcを含む結合体の製造(配列番号12、20 - 免疫グロブリンFc領域結合体)
両末端にそれぞれマレイミド基及びアルデヒド基を有する10kDaのPEG、すなわちマレイミド-PEG-アルデヒド(10kDa、NOF、日本)をグルカゴン誘導体(配列番号12、20)のシステイン残基にPEG化させるために、グルカゴン誘導体とマレイミド-PEG-アルデヒドのモル比を1:1〜5、タンパク質の濃度を3〜10mg/mlにして低温で1〜3時間反応させた。この際、反応は50mM Tris緩衝液(pH7.5)に20〜60%イソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をSP sepharose HP(GE healthcare、米国)に適用してシステインにモノPEG化されたグルカゴン誘導体を精製した。
次に、前記精製されたモノPEG化されたグルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcをモル比が1:2〜10、タンパク質の濃度を10〜50mg/mlにして4〜8℃で12〜18時間反応させた。反応液は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に還元剤である10〜50mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムと10〜20%イソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をButyl sepharose FF精製カラム(GE healthcare、米国)とSource ISO精製カラム(GE healthcare、米国)に適用して、グルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcを含む結合体を精製した。
製造後、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィーで分析した純度は95%以上であった。
ここで、配列番号12のグルカゴン誘導体及び免疫グロブリンFcがPEGを介して連結された結合体を、「配列番号12のグルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcを含む結合体」または「配列番号12、持続型誘導体」と命名し、これらは本願で混用されて使用される。
ここで、配列番号20のグルカゴン誘導体及び免疫グロブリンFcがPEGを介して連結された結合体を、「配列番号20のグルカゴン誘導体と免疫グロブリンFcを含む結合体」または「配列番号20、持続型誘導体」と命名し、これらは本願で混用されて使用される。
【0062】
実施例6:エクセンディン-4誘導体及び免疫グロブリンFcを含む結合体の製造
N-末端のヒスチジンのアルファ炭素が削除されたイミダゾアセチルエクセンディン-4(CAエクセンディン-4、AP、米国)を用いて、両末端にプロピオンアルデヒド基を有する3.4kDaのPEG、すなわち3.4K PropionALD(2)PEGをCAエクセンディン-4のLysと反応させた後、2つのLys異性体ピークのうち反応が多くてN-末端異性体と明確に区分される最も後方の異性体ピーク(Lys27位置異性体)を用いて、カップリングを行った。
ペプチドと免疫グロブリンFcのモル比を1:8、全体タンパク質濃度を60mg/mlにして、4℃で20時間反応した。反応液は、100mM K-P pH6.0であり、還元剤である20mM SCBを添加した。カップリング反応液は、2つの精製カラムを経て精製された。まず、カップリング反応に関与しない多量の免疫グロブリンFcを除去するためにSOURCE Q(XK-16mL、アマシャムバイオサイエンス)を用いた。20mM Tris(pH7.5)で1M NaClを使用して塩勾配を与えると、相対的に結合力が弱い免疫グロブリンFcがまず溶出され、続いてエクセンディン-4免疫グロブリンFcが溶出される。一次精製を介して、ある程度の免疫グロブリンFcが除去されるが、イオン交換カラムで免疫グロブリンFcとエクセンディン-4免疫グロブリンFcの結合力の差が大きくないため、完全に分離されはしなかった。したがって、2つの物質の疎水性(Hydrophobicity)の差を利用して、二次精製を行った。 SOURCE ISO(HR16ml、アマシャムバイオサイエンス)に20mM Tris(pH7.5)及び1.5Mの硫酸アンモニウムを用いて、一次精製された試料を結合させた後、徐々に硫酸アンモニウム濃度を下げながら試料を溶出させた。HICカラムへの結合力が弱い免疫グロブリンFcがまず溶出され、結合力が強いエクセンディン-4免疫グロブリンFc試料が後で溶出された。これらの疎水性の差が大きく、イオン交換カラムよりもはるかに分離が容易であった。
カラム:SOURCE Q(XK 16ml、アマシャムバイオサイエンス)
流速:2.0ml/分
勾配:A0 - > 25%70分B(A:20mMトリスpH7.5、B:A + 1M NaCl)
カラム:SOURCE ISO(HR 16ml、アマシャムバイオサイエンス)
流速:7.0ml/分
勾配:B 100 - > 0%60分B( :20mMトリスpH7.5、B:A + 1.5M硫酸アンモニウム)
前記のように製造された、エクセンディン-4誘導体と免疫グロブリンFc領域がPEGを介して連結された結合体を「持続型エクセンディン-4誘導体」と命名した。これは持続型エクセンディン誘導体と混用されて使用される。
【0063】
実験例1:高脂肪食餌で誘導された肥満ラットにおける体重減少の効果
肥満動物モデルとして広く用いられる高脂肪食餌誘導肥満ラットをこの研究のために使用した。ラットの体重は、投与前に、約600gであった。研究期間中にラットは個別に収容され、水に自由に接近できるようにした。光は6AMから6PMまでオフにした。
高脂肪の食事が供給された試験群は、群1:賦形剤(3日に1回注射)対照群、群2:実施例6の持続型エクセンディン誘導体3.3nmol/kg(3日に1回注射)、群3:配列番号12持続型誘導体1.6nmol/kg(3日に1回注射)、群4:配列番号12持続型誘導体3.3nmol/kg (3日に1回注射)、群5:配列番号12持続型誘導体6.6nmol/kg(3日に1回注射)、群6:実施例6の持続型エクセンディン誘導体3.3nmol/kg+配列番号12持続型誘導体1.6nmol/kg(各3日に1回注射)、群7:実施例6の持続型エクセンディン誘導体3.3nmol/kg+配列番号12持続型誘導体3.3nmol/kg(各3日に1回注射)、群8:実施例6の持続型エクセンディン誘導体3.3nmol/kg+配列番号12持続型誘導体6.6nmol/kg(各3日に1回注射)、群9:群4とペアリングして供給、群10:群7とペアリングして供給;がある。実験は15日目に終了し、実験が行われる間、3日単位で各群に該当するラットの体重変化を測定した。実験が終了した後、剖検を通じて腸間膜脂肪量と肝臓の重量を測定した。統計処理は、1元ANOVAを使用して賦形剤群(対照群)及び試験群間を比較した。
体重変化を測定した結果、
図1で確認できるように、持続型エクセンディン誘導体と配列番号12持続型誘導体の各単独投与群では投与開始前に比べて-8%と-7%から‐22%の体重減少をそれぞれ示した反面、持続型エクセンディン誘導体と配列番号12持続型誘導体の併用投与時には、体重減少効果が-22%から-35%とさらに増加することが確認された。
また、配列番号12持続型誘導体の単独投与群と持続型エクセンディン誘導体と配列番号12持続型誘導体の併用投与群のペアリングした供給群との体重減少効果を比較するとき、体重減少の効果が-11%と-17%程度の違いを示し、グルカゴン誘導体の単独または併用投与時に食餌摂取以外の作用によっても体重減少の効果が現われたことが分かった。
すなわち、本発明のグルカゴン持続型誘導体は、食欲の減少に加えて、減量において別の役割をすることが確認できた。
また、腸間膜脂肪量と肝臓の重量を測定した結果、
図2及び
図3で確認できるように、持続型エクセンディン誘導体と配列番号12持続型誘導体の併用投与時、賦形剤投与群との比較において体内の脂肪が有意に減少し、肝臓の重量も減少する結果が確認された。一方、肝臓重量の増減は、一般的に肝臓にある脂肪の増減によるもので、前記肝臓重量の減少効果は、肝臓の脂肪が減少した効果で、肥満、糖尿病、非アルコール脂肪肝炎などの代謝症候群の治療効果を測定する方法として肝臓脂肪の減少を測定してもよい。
【0064】
実験例2:高脂肪食餌で誘導された肥満マウスにおける体重減少の効果
肥満動物モデルとして広く用いられる高脂肪食餌誘導肥満マウスを、この研究のために使用した。マウスの体重は、投与前に、約55gであった。研究期間中にマウスは7匹ずつ収容され、水に自由に接近できるようにした。光は6PMから6AMまでオフにした。
高脂肪の食事の供給された試験群は、群1:賦形剤(2日に1回注射)-対照群、群2:実施例6の持続型エクセンディン誘導体4.3nmol/kg(2日に1回注射)、群3:配列番号20持続型誘導体4.4nmol/kg(2日に1回注射)、群4:配列番号20持続型誘導体8.8nmol/kg(2日に1回注射)、群5:実施例6の持続型エクセンディン誘導体4.3nmol/kg+配列番号20持続型誘導体4.4nmol/kg(各2日に1回注射)、群6:実施例6の持続型エクセンディン誘導体2.1nmol/kg+配列番号20持続型誘導体6.6nmol/kg(各2日に1回注射)、群7:実施例6の持続型エクセンディン誘導体0.8nmol/kg+配列番号20持続型誘導体8.0nmol/kg(各2日に1回注射);がある。実験は22日目に終了し、実験が行われる間、2日単位で各群に該当するマウスの体重変化を測定した。実験が終了した後、剖検を経て肝臓の重量を測定した。
体重の変化を測定した結果、
図4で確認できるように、配列番号20持続型誘導体(8.8nmol/kgで、2日に1回投与)は、各単独群でも投与開始前に比べて-25%と-29%の体重減少をそれぞれ示すことが確認され、その効果は持続型エクセンディン誘導体と併用投与時より大きくなることが分かる。持続型エクセンディン誘導体と配列番号20持続型誘導体の1:1、1:3、1:10の割合で併用投与時には、体重減少の効果が-50%以上であり、さらに増加することが確認された。また、配列番号20持続型誘導体と持続型エクセンディン誘導体の比率に応じて体重減少の効果は大きく変わらなかったが、食欲の減少は、持続型エクセンディン誘導体の割合が高いほど大きいことから、本発明のグルカゴン持続型誘導体は、食欲の減少に加えて、体重減少において別の役割をすることを確認できた。
また、血液中の総コレステロール量を測定した結果、
図5で確認できるように同様の体重減少の効果を示した持続型エクセンディン誘導体(4.4nmol/kg、2日に1回投与)と配列番号20持続型誘導体(8.8nmol/kg、2日に1回投与)の各群で-35%と-71%のコレステロールの減少を示した。これから、本発明のグルカゴン持続型誘導体は、減量の効果に加えて、血中コレステロールの減少における別の役割をすることを確認できた。統計処理は、1元ANOVAを使用して賦形剤群(対照群)と試験群間を比較した。
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解するべきである。本発明の範囲は、前記の詳細な説明ではなく、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. i)下記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチド、及びii)1つ以上の代謝症候群に対する治療的活性を有する化合物または物質を含むことを特徴とする、代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物:
X1-X2-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-X21-F-X23-X24-W-L-X27-X28-X29-X30(一般式(1)、配列番号45)
前記一般式(1)において、
X1が、ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジル(desamino-histidyl)、N-ジメチル-ヒスチジル(N-dimethyl-histidyl)、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル(beta-hydroxy imidazopropionyl)、4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)、ベータ-カルボキシイミダゾプロピオニル(beta-carboxy imidazopropionyl)、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2が、アルファ-メチル-グルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)、Aib(aminoisobutyric acid)、D-アラニン、グリシン、Sar(N-methylglycine)、セリンまたはD-セリンであり;
X7が、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10が、チロシンまたはシステインであり;
X12が、リジンまたはシステインであり;
X13が、チロシンまたはシステインであり;
X14が、ロイシンまたはシステインであり;
X15が、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステインであり;
X16が、グルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはシステインであるか、不存在であり;
X17が、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであるか、不存在であり;
X18が、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X19が、アラニン、アルギニン、セリン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X20が、リジン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン酸、リジン、アルギニン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはシステインであるか、不存在であり;
X21が、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリンまたはシステインであるか、不存在であり;
X23が、イソロイシン、バリンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X24が、バリン、アルギニン、アラニン、システイン、グルタミン酸、リジン、グルタミン、アルファ-メチル-グルタミン酸またはロイシンであるか、不存在であり;
X27が、イソロイシン、バリン、アラニン、リジン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X28が、グルタミン、リジン、アスパラギンまたはアルギニンであるか、不存在であり;
X29が、リジン、アラニン、グリシンまたはトレオニンであるか、不存在であり;
X30が、システインであるか、不存在であってもよい。
(但し、前記一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号1と同一である場合は除く)
2. 前記一般式(1)において、
X1が、ヒスチジン、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2が、セリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7が、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10が、チロシンまたはシステインであり;
X12が、リジンまたはシステインであり;
X13が、チロシンまたはシステインであり;
X14が、ロイシンまたはシステインであり;
X15が、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16が、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17が、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであり;
X18が、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンまたはシステインであり;
X19が、アラニンまたはシステインであり;
X20が、グルタミン、アスパラギン酸、リジンまたはシステインであり;
X21が、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、バリンまたはシステインであり;
X23が、イソロイシン、バリンまたはアルギニンであり;
X24が、バリン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、リジン、グルタミンまたはロイシンであり;
X27が、イソロイシン、バリン、アラニン、メチオニン、グルタミンまたはアルギニンであり;
X28が、グルタミン、リジン、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29が、トレオニンであり;
X30が、システインであるか、不存在である、上記1に記載の薬学的組成物。
3. 前記一般式(1)において、
X1が、ヒスチジン、トリプトファンまたはチロシンであるか、不存在であり;
X2が、セリンまたはAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7が、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10が、チロシンまたはシステインであり;
X12が、リジンまたはシステインであり;
X13が、チロシンまたはシステインであり;
X14が、ロイシンまたはシステインであり;
X15が、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16が、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17が、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、セリン、システインまたはバリンであり;
X18が、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンまたはシステインであり;
X19が、アラニンまたはシステインであり;
X20が、グルタミン、アスパラギン酸またはリジンであり;
X21が、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X23が、バリンであり;
X24が、バリンまたはグルタミンであり;
X27が、イソロイシンまたはメチオニンであり;
X28が、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29が、トレオニンであり;
X30が、システインであるか、不存在である、上記1に記載の薬学的組成物。
4. 前記一般式(1)において、
X1がチロシンであり;
X2がAib(aminoisobutyric acid)であり;
X7が、トレオニンであり;
X10が、チロシンであり;
X12が、リジンであり;
X13が、チロシンであり;
X14が、ロイシンであり;
X15が、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16が、グルタミン酸、セリンまたはシステインであり;
X17が、リジンまたはアルギニンであり;
X18が、アルギニンであり;
X19が、アラニンであり;
X20が、グルタミン、システインまたはリジンであり;
X21が、アスパラギン酸、システイン、バリンまたはグルタミン酸であり;
X23が、バリンであり;
X24が、バリンまたはアルギニンであり;
X27が、メチオニンであり;
X28が、アスパラギンまたはアルギニンであり;
X29が、トレオニンであり;
X30が、不存在である、上記1に記載の薬学的組成物。
5. 前記ペプチドが、下記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドである、薬学的組成物:
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式(2)、配列番号46) 前記一般式(2)において、
X7が、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10が、チロシンまたはシステインであり;
X12が、リジンまたはシステインであり;
X15が、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16が、グルタミン酸またはセリンであり;
X17が、リジンまたはアルギニンであり;
X20が、グルタミンまたはリジンであり;
X21が、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24が、バリンまたはグルタミンであり;
X30が、システインであるか、 不存在である、上記1に記載の薬学的組成物。
6. 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドが、天然型グルカゴンのpIである6.8と異なるpIを有する、上記1に記載の薬学的組成物。
7. 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドにおいて、一般式(1)のX10とX14、X12とX16、X16とX20、X17とX21、X20とX24、及びX24とX28のアミノ酸ペアのいずれか一つ以上のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されたものである、上記1に記載の薬学的組成物。
8. 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドにおいて、X12とX16のアミノ酸ペアまたはX16とX20のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換されたものである、 上記7に記載の薬学的組成物。
9. 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドのC-末端が、アミド化された、上記1に記載の薬学的組成物。
10. 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドが、グルカゴン受容体を活性化させることができるグルカゴン誘導体である、 上記1に記載の薬学的組成物。
11. 前記ペプチドが、配列番号2〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記1に記載の薬学的組成物。
12. 前記ペプチドが、配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記5に記載の薬学的組成物。
13. 前記ペプチドが、配列番号12もしくは20のアミノ酸配列を含む、上記1に記載の薬学的組成物。
14. 前記代謝症候群の治療的活性を有する化合物または物質が、インスリン分泌ペプチド、GLP-1(glucagon like peptide-1)受容体アゴニスト、レプチン(Leptin)受容体アゴニスト、DPP-IV(dipeptidyl peptidase-IV)阻害剤、Y5受容体アンタゴニスト、MCH(Melanin-concentrating hormone)受容体アンタゴニスト、Y2/4受容体アゴニスト、MC3/4(Melanocortin 3/4)受容体アゴニスト、胃/膵臓リパーゼ(gastric/pancreatic lipase)阻害剤、5HT2c(5-hydroxytryptamine receptor 2C、G protein-coupled)アゴニスト、β3A受容体アゴニスト、アミリン(Amylin)受容体アゴニスト、グレリン(Ghrelin)アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpha)アゴニスト、PPARδ(peroxisome proliferator-activated receptor delta)アゴニスト、FXR(farnesoid X receptor)アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシルラーゼ抑制剤(acetyl-CoA carboxylase inhibitor)、ペプチドYY、CCK(Cholecystokinin)、ゼニン(Xenin)、グリセンチン(glicentin)、オベスタチン(obestatin)、セクレチン(secretin)、ネスファチン(nesfatin)、インスリン(insulin)及びGIP(glucose-dependent insulinotropic peptide )で構成される群から選択されるものである、上記1に記載の薬学的組成物。
15. 前記インスリン分泌ペプチドが、GLP-1、エクセンディン-3、エクセンディン-4、これらのアゴニスト(agonist)、誘導体(derivative)、断片(fragment)、変異体(variant)及びこれらの組み合わせで構成される群から選択されるものである、 上記14に記載の薬学的組成物。
16. 前記インスリン分泌ペプチドが、インスリン分泌ペプチドのN-末端ヒスチジン残基がデス-アミノ-ヒスチジル、N-ジメチル-ヒスチジル、ベータ-ヒドロキシイミダゾプロピオニル、4-イミダゾアセチル及びベータ-カルボキシイミダゾプロピオニルで構成される群から選択されるものに置換されたインスリン分泌ペプチド誘導体である、 上記15に記載の薬学的組成物。
17. 前記インスリン分泌ペプチドが、天然型エクセンディン-4、エクセンディン-4のN-末端アミン基が除去されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がヒドロキシル基に置換されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4のN-末端アミン基がジメチル基に修飾されたエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の最初のアミノ酸(ヒスチジン)のアルファ炭素を除去(deletion)したエクセンディン-4誘導体、エクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がセリンに置換されたエクセンディン-4誘導体、及びエクセンディン-4の12番目のアミノ酸(リジン)がアルギニンに置換されたエクセンディン-4誘導体で構成される群から選択されるものである、上記15に記載の薬学的組成物。
18. 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドが、生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、持続型結合体の形態であり、
前記インスリン分泌ペプチドが、生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、持続型結合体の形態である、上記14に記載の薬学的組成物。
19. 前記生体適合性物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体からなる群から選択される、上記18に記載の薬学的組成物。
20. 前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドとインスリン分泌ペプチドが、それぞれポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、脂肪酸、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して生体適合性物質と連結される、上記18に記載の薬学的組成物。
21. 前記生体適合性物質が、FcRn結合物質であり、
前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチド及びインスリン分泌ペプチドが、それぞれペプチドリンカーまたはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチド性リンカーを介して生体適合性物質に連結された、上記18に記載の薬学的組成物。
22. 前記FcRn結合物質が、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドである、 上記21に記載の薬学的組成物。
23. 前記免疫グロブリンFc領域が、非糖鎖化された、上記22に記載の薬学的組成物。
24. 前記免疫グロブリンFc領域が、
(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;
(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;
(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;
(d)CH2ドメインとCH3ドメイン;
(e)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、及びCH4ドメイン
のうち1つまたは2つ以上のドメインと免疫グロブリンのヒンジ領域または前記ヒンジ領域の一部との組み合わせ;及び
(f)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体で構成される群から選択されるものである、上記22に記載の薬学的組成物。
25. 前記免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドが、二量体形態(dimeric form)である、上記22に記載の薬学的組成物。
26. 前記免疫グロブリンFc領域が、ジスルフィド結合を形成することができる部位が除去されるか、天然型FcからN-末端の一部のアミノ酸が除去されるか、天然型FcのN-末端にメチオニン残基が付加されるか、補体結合部位が削除されるかまたはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去された、天然型Fcの誘導体である、上記22に記載の薬学的組成物。
27. 前記免疫グロブリンFc領域が、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMで構成される群から選択される免疫グロブリンから由来するFc領域である、上記22に記載の薬学的組成物。
28. 前記免疫グロブリンFc領域が、IgG4 Fc領域である、上記27に記載の薬学的組成物。
29. 前記免疫グロブリンFc領域が、ヒトIgG4由来の非糖鎖化されたFc領域である、上記22に記載の薬学的組成物。
30. 前記非ペプチド性リンカーが、一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドのシステイン残基に連結される、 上記21に記載の薬学的組成物。
31. 前記非ペプチド性リンカーの両末端が、それぞれ生体適合性物質と、一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチドまたはインスリン分泌ペプチドのアミン基またはチオール基(thiol group)に連結される、上記21に記載の薬学的組成物。
32. 前記代謝症候群が、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿病、高血圧、非アルコール脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis、NASH)、脂質異常症による動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)、及び脳卒中からなる群から選択される、上記1に記載の薬学的組成物。
33. 下記一般式(2)のアミノ酸配列を含む分離されたペプチド:
Y-Aib-QGTF-X7-SD-X10-S-X12-Y-L-X15-X16-X17-R-A-X20-X21-F-V-X24-W-L-M-N-T-X30(一般式(2)、配列番号46) 前記一般式(2)において、
X7が、トレオニン、バリンまたはシステインであり;
X10が、チロシンまたはシステインであり;
X12が、リジンまたはシステインであり;
X15が、アスパラギン酸またはシステインであり;
X16が、グルタミン酸またはセリンであり;
X17が、リジンまたはアルギニンであり;
X20が、グルタミンまたはリジンであり;
X21が、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり;
X24が、バリンまたはグルタミンであり;
X30が、システインであるか、不存在である。
(但し、前記一般式(1)のアミノ酸配列が配列番号14、19、20、25、27、31、及び33のいずれか一つと同一である場合は除く)
34. 前記一般式(2)のアミノ酸配列を含むペプチドにおいて、一般式(2)のX12とX16のアミノ酸ペアがそれぞれ環を形成することができるグルタミン酸またはリジンに置換される、上記33に記載のペプチド。
35. 前記ペプチドのC-末端がアミド化された、上記33に記載のペプチド。
36. 前記ペプチドが、グルカゴン受容体を活性化させることができるグルカゴン誘導体である、上記33に記載のペプチド。
37.前記ペプチドが、配列番号12、13、15、及び36〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記33に記載のペプチド。
38. 上記33〜上記37のいずれか一項に記載の分離されたペプチドをコードする、分離されたポリヌクレオチド。
39. 上記38に記載の分離されたポリヌクレオチドを含む、ベクター。
40. 上記33に記載の分離されたペプチドと生体内の半減期を増加させる生体適合性物質が連結された、分離された結合体。
41. 前記生体適合性物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定アミノ酸配列の繰り返し単位の重合体、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、生体内の結合組織またはその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン(transferrin)、糖類(saccharide)、及び高分子重合体からなる群から選択される、上記40に記載の分離された結合体。
42. 前記分離されたペプチドが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic- glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、脂肪酸、高分子重合体、低分子化合物、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーを介して生体適合性物質と連結されることを特徴とする、上記40に記載の分離された結合体。
43. 前記生体適合性物質が、FcRn結合物質であり、
前記一般式(1)のアミノ酸配列を含むペプチド及びインスリン分泌ペプチドが、それぞれペプチドリンカーまたはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール-プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(polylactic acid)またはPLGA(polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチド性リンカーを介して生体適合性物質に連結された、上記40に記載の分離された結合体。
44. 前記FcRn結合物質が、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドである、 上記43に記載の分離された結合体。
45.上記33に記載の分離されたペプチドまたは上記40に記載の分離された結合体を含む、組成物。
46. 低血糖または代謝症候群の治療または予防用薬学的組成物である、上記45に記載の組成物。
47. 上記1に記載の組成物を、それを必要とする個体に投与する段階を含む、代謝症候群の治療方法。
48. 上記33に記載の分離されたペプチド、上記40に記載の分離された結合体、または上記46に記載の組成物を、それを必要とする個体に投与する段階を含む、低血糖または代謝症候群の治療方法。