特許第6882249号(P6882249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882249
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ロボット用操作装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   B25J9/22 A
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-223868(P2018-223868)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2020-82312(P2020-82312A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 一隆
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−277470(JP,A)
【文献】 特開2015−182142(JP,A)
【文献】 特開2005−231010(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/029966(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3188939(JP,U)
【文献】 特開2007−089634(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0055019(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102017202717(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外表面を少なくとも一部に有するロボットのダイレクトティーチングの際に作業者により操作される操作ユニットと、
該操作ユニットへの操作情報を前記ロボットの制御装置に通信する通信部と、
前記操作ユニットを、前記ロボットの前記外表面に着脱可能に取り付ける取付手段とを備え、
前記操作ユニットが、前記ロボットの前記外表面と前記操作ユニットとの間に回り止め手段を備え
前記回り止め手段は、前記操作ユニットが前記取付手段により前記外表面に取り付けられたときに、前記外表面と前記操作ユニットとの間の摩擦を増大させる滑り止め部であるロボット用操作装置。
【請求項2】
円筒状の外表面を少なくとも一部に有するロボットのダイレクトティーチングの際に作業者により操作される操作ユニットと、
該操作ユニットへの操作情報を前記ロボットの制御装置に通信する通信部と、
前記操作ユニットを、前記ロボットの前記外表面に着脱可能に取り付ける取付手段とを備え、
前記操作ユニットが、前記ロボットの前記外表面と前記操作ユニットとの間に回り止め手段を備え
前記取付手段が、前記ロボットのアームに巻き付けられて固定されるベルトであるロボット用操作装置。
【請求項3】
前記回り止め手段は、前記操作ユニットが前記取付手段により前記外表面に取り付けられたときに、前記外表面と前記操作ユニットとの間の摩擦を増大させる滑り止め部である請求項に記載のロボット用操作装置。
【請求項4】
前記操作ユニットが、前記ロボットの前記外表面と3か所以上において同時に接触する支持部を備え、前記滑り止め部が、各前記支持部に設けられている請求項1または請求項3に記載のロボット用操作装置。
【請求項5】
支持部が、4か所以上の点状接触部を備える請求項に記載のロボット用操作装置。
【請求項6】
前記支持部が、2本の平行な直線の一の前記直線に沿って接触する線状接触部と、他の前記直線上に配置された2か所以上の点状接触部とを備える請求項に記載のロボット用操作装置。
【請求項7】
前記点状接触部が、前記操作ユニットの裏面に設けられた球体状の突起である請求項または請求項に記載のロボット用操作装置。
【請求項8】
前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面である請求項に記載のロボット用操作装置。
【請求項9】
前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面に設けられた円柱状の突起である請求項に記載のロボット用操作装置。
【請求項10】
前記支持部が、2本の直線に沿って接触する2本の線状接触部を備える請求項に記載のロボット用操作装置。
【請求項11】
一方の前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面である請求項10に記載のロボット用操作装置。
【請求項12】
少なくとも一方の前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面に設けられた円柱状の突起である請求項10または請求項11に記載のロボット用操作装置。
【請求項13】
前記取付手段が、巻き付け周長を調節可能である請求項に記載のロボット用操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット用操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイレクトティーチングを行うためのタッチパネルモニタをアームに着脱可能に取り付けたロボットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このロボットは、ダイレクトティーチングに際して作業者が力を加えるアーム近傍にタッチパネルモニタを取り付けて、ダイレクトティーチング作業をロボットの近くで行うことを可能にし、アームの姿勢によりタッチパネルモニタが見えにくい場合に、アームからタッチパネルモニタを取り外して使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−182142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、タッチパネルモニタをどのようにアームに取り付けるのかについて何ら開示していない。すなわち、ロボットは、作業者等との接触の際に作業者に与えるダメージを低減するために外面を曲面により構成している。また、ロボットの各部の曲率は異なるため、平板状のタッチパネルモニタを安定的に着脱可能に取り付けることは容易ではない。
本発明は、ロボットアームの外表面の任意の位置に安定的に着脱可能に取り付けることができ、ダイレクトティーチの際にのみ、ロボットアームの外表面上に取付けて使用し、ダイレクトティーチィングを行わない通常稼働時には、ロボットアームの外表面から、取り外すことで、ロボットアーム外表面を表面にエッジのない滑らかな表面を保ち、周辺機器への干渉リスクや、作業者に接触した際の負傷リスクを低減させるロボット用操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、円筒状の外表面を少なくとも一部に有するロボットのダイレクトティーチングの際に作業者により操作される操作ユニットと、該操作ユニットへの操作情報を前記ロボットの制御装置に通信する通信部と、前記操作ユニットを、前記ロボットの前記外表面に着脱可能に取り付ける取付手段とを備え、前記操作ユニットが、前記ロボットの前記外表面と前記操作ユニットとの間に回り止め手段を備えるロボット用操作装置である。
【0006】
本態様によれば、取付手段によって、操作ユニットをロボットの任意の外表面に取り付けると、操作ユニットに備えられた回り止め手段により、操作ユニットをアームの長手方向および周方向のいずれにも安定させることができる。これにより、特に協働ロボットにおいては、協働作業者との接触力を最小とするために、アーム外周が円筒形状となっているのが望ましく、更に協働ロボットでダイレクトティーチングが行われる頻度が高いことから、特に効果の高いものとなる。
【0007】
ダイレクトティーチングの際には、作業者がロボットアームを直接手で持って誘導しつつ、誘導している手の指を使って、操作ユニットのボタンを同時に押し続けるなどの作業も要求されるため、操作ユニット上のボタンを押して偏荷重を掛けた時の不動の安定性は重要なものとなる。
【0008】
これにより、操作ユニットをロボットの任意の外表面に安定して取り付けることができ、操作のために操作ユニットに力を加えても操作ユニットがガタガタ動いてしまう不都合の発生を防止して、操作を容易にすることができる。また、操作ユニットとロボットの外表面とを回り止め手段によって回り止めする方法によれば、曲率の異なるロボットの円筒状の外表面に対しても安定的に取り付けて、操作性のよい位置を選択することができる。
【0009】
ロボットのダイレクトティーチングの際に作業者により操作ユニットが操作されると、操作情報が通信部によってロボットの制御装置に通信され、制御装置において教示プログラムが生成される。操作ユニットをロボットの円筒状の外表面に取り付けてダイレクトティーチングを行うので、作業者は両手でロボットを操作しながらダイレクトティーチングを行うことができる。
【0010】
上記態様の一実施形態においては、前記回り止め手段は、前記操作ユニットが前記取付手段により前記外表面に取り付けられたときに、前記外表面と前記操作ユニットとの間の摩擦を増大させる滑り止め部であ
この構成により、操作ユニットに備えられた滑り止め部が、ロボットの円筒状の外表面と接触させられる。すなわち、ロボットのアーム等の円筒状の外表面に、滑り止め部を接触させてロボットの外表面と操作ユニットとの間の摩擦を増大させることにより、操作ユニットをアームの長手方向および周方向のいずれにも安定させることができる。
【0011】
また、上記態様においては、前記操作ユニットが、前記ロボットの前記外表面と3か所以上において同時に接触する支持部を備え、前記滑り止め部が、各前記支持部に設けられていてもよい。
【0012】
また、上記態様においては、前記支持部が、4か所以上の点状接触部を備えていてもよい。
この構成により、操作ユニットに設けられた4か所以上の点状接触部を同時にロボットの円筒状の外表面に接触させることにより、操作ユニットをロボットの外表面に安定して取り付けることができ、曲率の異なるロボットの円筒状の外表面に対しても安定的に取り付けることができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記支持部が、2本の平行な直線の一の前記直線に沿って接触する線状接触部と、他の前記直線上に配置された2か所以上の点状接触部とを備えていてもよい。
この構成により、操作ユニットに設けられた1つの線状接触部と2点以上の点状接触部を同時にロボットの円筒状の外表面に接触させることにより、操作ユニットをロボットの外表面に安定して取り付けることができ、曲率の異なるロボットの円筒状の外表面に対しても安定的に取り付けることができる。
【0014】
また、上記態様においては、前記点状接触部が、前記操作ユニットの裏面に設けられた球体状の突起であってもよい。
この構成により、曲率の異なるロボットの円筒状の外表面に対して球体状の突起を容易に接触させて、操作ユニットを安定的に取り付けることができる。球状体の突起は、硬い金属または樹脂で構成してもよいし、ゴム等の弾性体で構成してもよい。
【0015】
また、上記態様においては、前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面であってもよい。
この構成により、平板状の操作ユニットの裏面をロボットの円筒面状の外表面に接触させるだけで、操作ユニットとロボットの円筒状の外表面とを線接触させることができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面に設けられた円柱状の突起であってもよい。
この構成により、操作ユニットの裏面に設けられた円柱状の突起をロボットの円筒面状の外表面の長さ方向に配置して接触させることにより、突起とロボットの円筒状の外表面とを線接触させることができる。
【0017】
また、上記態様においては、前記支持部が、2本の直線に沿って接触する2本の線状接触部を備えていてもよい。
この構成により、ロボットの円筒面状の外表面の周方向に間隔をあけた位置に2本の線状接触部を配置することにより、各線状接触部を外表面の長さ方向に配置して同時に線接触させることができる。
【0018】
また、上記態様においては、一方の前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面であってもよい。
この構成により、一方の線状接触部については、操作ユニットの裏面をロボットの円筒面状の外表面に接触させるだけで、操作ユニットとロボットの外表面とを線接触させることができる。
【0019】
また、上記態様においては、少なくとも一方の前記線状接触部が前記操作ユニットの裏面に設けられた円柱状の突起であってもよい。
この構成により、操作ユニットの裏面に設けられた円柱状の突起をロボットの円筒面状の外表面の長さ方向に配置して接触させることにより、突起とロボットの外表面とを線接触させることができる。
【0020】
上記態様の他の実施形態においては、前記取付手段が、前記ロボットのアームに巻き付けられて固定されるベルトであ
この構成により、ロボットのアームに特別な取付構造を設けなくても、操作ユニットに設けられたベルトをアームに巻き付けて簡易に着脱可能に取り付けることができる。
【0021】
また、上記態様においては、前記取付手段が、巻き付け周長を調節可能であってもよい。
この構成により、ベルトの巻き付け周長を調節して、周長の異なるアームの任意の位置に着脱可能に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロボットの外表面の任意の位置に安定的に着脱可能に取り付けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るロボット用操作装置を示す斜視図である。
図2図1のロボット用操作装置をアームに取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図1のロボット用操作装置を手首に取り付けた状態を示す斜視図である。
図4図2のロボット用操作装置をアームの長手軸方向に見た図である。
図5図1のロボット用操作装置の操作ユニットの裏面を示す斜視図である。
図6図5の操作ユニットに設けられた突起の変形例を示す斜視図である。
図7図5の操作ユニットに設けられた突起の他の変形例を示す斜視図である。
図8図4のロボット用操作装置の変形例をアームの長手軸方向に見た図である。
図9図8のロボット用操作装置の操作ユニットの裏面を示す斜視図である。
図10図9の操作ユニットに設けられた突起の変形例を示す斜視図である。
図11図4のロボット用操作装置の他の変形例をアームの長手軸方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係るロボット用操作装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るロボット用操作装置1は、図1に示されるように、平板状の操作ユニット2と、操作ユニット2を協働ロボット(ロボット)100の外表面に取り付けるための取付手段3とを備えている。操作ユニット2には、協働ロボット100のダイレクトティーチングの際に作業者により操作される複数のボタン21と、ボタン21に割り当てられた操作情報を外部に通信する図示しない通信部とが設けられている。
【0025】
例えば、操作ユニット2のボタン21としては、押下されることによりダイレクトティーチングを有効にするボタン、教示点の座標を記憶するためのボタン、ロボットの先端に取り付けたツールの動作を教示するためのボタン等が挙げられる。ボタン21の数および割り当てられる操作情報は任意である。また、ボタン21の使用目的に応じて、ボタン21の形状または色を変更する等を実施し、作業者の操作性向上を図ってもよい。
【0026】
通信部は、無線あるいは有線のいずれの方式によって操作情報を通信してもよい。
有線の場合には、ロボット100のアーム110内に通信ケーブルが予め通されており、アーム110の一部の防塵・防滴用の蓋を取り外すと、通信ケーブルを引き出して操作ユニット2と接続したり、防塵・防滴用の蓋を取り外すと、中継コネクタが現れ、通信部から引き出される中継コネクタを接続したりすること等が考えられる。あるいは、ロボット100のアーム110の外這わしで、制御装置と操作ユニット2を直接接続しても良い。
【0027】
取付手段3は、例えば、柔軟なベルトである。図1に示されるように、操作ユニット2を挟んで両側に延び、両端部に、例えば、面ファスナのような固定手段31を備えている。
図2に示されるように、操作ユニット2を協働ロボット100のアーム110の外表面に配置し、取付手段3であるベルトをアーム110に巻き付けて固定手段31である面ファスナで固定することにより、操作ユニット2をアーム110の任意の位置に着脱可能に取り付けることができる。
【0028】
固定手段31としては、面ファスナに代えて、ベルト3の一端に、長さ方向に間隔をあけて設けたいずれかの孔にベルト3の他端に設けたバックルのピンを差し込んで固定する方式のものでもよいし、他の任意の方式のものを採用してもよい。面ファスナによれば連続的に、バックルによれば段階的にベルト3を巻き付ける周長を調節することができる。
【0029】
本実施形態に係る協働ロボット用操作装置1においては、操作ユニット2の裏面2aに、図4および図5に示される接触部(支持部)22を備えている。接触部22は、例えば、図5に示されるように、操作ユニット2の幅方向および長さ方向の両方に間隔をあけて配置された4個の突起(点状接触部)23を備えている。各突起23は、同一の半径を有する半球体状に形成されている。
すなわち、これらの突起23は、幅方向に間隔をあけて平行に配置される2本の直線A1,A2上に、それぞれ2個ずつ直線A1,A2の長さ方向に間隔をあけて配置されている。
また、操作ユニット2は、接触部22の表面を被覆するゴム(滑り止め部、回り止め手段:図示略)を備えている。
【0030】
このように構成された本実施形態に係る協働ロボット用操作装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る協働ロボット用操作装置1を用いて協働ロボット100のダイレクトティーチングを行うには、図1に示される協働ロボット用操作装置1を、例えば、図2に示されるように、協働ロボット100のアーム110に取り付ける。
【0031】
このとき、操作ユニット2の裏面2aをアーム110の外表面に接触させて、操作ユニット2に設けられているベルト3をアーム110の周方向に巻き付ける。そして、ベルト3の両端に設けられている固定手段31である面ファスナどうしを貼り付けることにより、操作ユニット2の裏面2aに設けられている4つの突起23を同時にアーム110の外表面に密着させた状態で、操作ユニット2を取り付けることができる。
固定手段31の大きさを十分に広く確保しておくことにより、取り付けるアーム110の太さが異なっても、取り付けることができる。
【0032】
4つの突起23は、間隔をあけて平行に配置される直線A1,A2上に2個ずつ配置されているので、その直線A1,A2を、アーム110の長手軸に平行に配置することにより、円筒面状のアーム110の外表面に、同時に突起23を接触させることができる。すなわち、図4に二点鎖線で示されるように、アーム110の曲率が異なっていても、4つの突起23を同時に接触させることができる。
【0033】
これにより、図4に矢印で示すように、突起23間の任意の位置に操作ユニット2に対して負う圧力を加えても、押圧力の力点を挟んで両側の2つの突起23によって支持されるので、操作ユニット2をアーム110の周方向にガタつかせることなく、安定的に操作することができる。アーム110の長手方向についても同様である。
【0034】
また、本実施形態においては、突起23が球体状に形成されているので、曲率の異なる全てのアーム110の外表面に対して、突起23の接触点を適応させて、突起23をアーム110の外表面の法線方向に点接触させることができる。これにより、操作ユニット2をより安定させた状態に支持し、より安定的な操作を行うことができる。
また、接触部22の突起23の表面が、滑り止め部であるゴムによって被覆されているため、ロボット100の外表面と操作ユニット2との間の摩擦を増大させ、操作ユニット2をアーム110の長手方向および周方向のいずれにも安定させることができる。
【0035】
協働ロボット用操作装置1が協働ロボット100のアーム110に取り付けられた状態で、作業者が、操作ユニット2に設けられているダイレクトティーチングを有効にするボタン21を押下することにより、ダイレクトティーチングの開始信号が通信部により制御装置に送られて、ダイレクトティーチングが開始される。
【0036】
作業者は、ダイレクトティーチングを有効にするボタン21を押下したままの状態で、両手で協働ロボット100のアーム110に力を加えて、協働ロボット100を動作させ、所望の位置で教示用のボタン21を押すことにより、その時点での協働ロボット100の座標が教示点の座標として記録される。また、必要に応じて、ツールの動作を指令するボタン21を押すことにより、ツールの制御信号が制御装置におくられて記憶される。このようにして、ダイレクトティーチングを行うことができる。
【0037】
この場合において、本実施形態に係る協働ロボット用操作装置1によれば、取り付けるアーム110の曲率を問わないので、ダイレクトティーチングを有効にするボタン21を押下したままアーム110に力を加えるのに最も適した位置に協働ロボット用操作装置1を取り付けることができる。そして、任意の位置に取り付けても、操作ユニット2を常に安定的にアーム110に固定することができ、操作を容易にすることができる。
【0038】
アーム110側に取付構造を設けないので、操作ユニット2の取付位置を自由に選択することができる。協働ロボット100の姿勢によって操作ユニット2が操作し難くなる位置に配置する必要がなく、ダイレクトティーチングの間中にわたって操作しやすい任意の位置に配置することができる。また、やむを得ず操作し難い位置に固定されてしまった場合には、その都度、取付位置を変更して操作することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、取り付けるアーム110の外表面の曲率が異なっても4つの突起23を同時にアーム110の外表面に接触させることができる。したがって、図2に示されるように、太い円筒状のアーム110に巻き付ける場合であっても、あるいは、図3に示されるように、アーム110よりも細い手首120の先端部に巻き付ける場合であっても、操作ユニット2を安定的に固定することができる。
【0040】
また、本実施形態においては、4つの突起23を球体状に形成したので、円筒状の外表面のみならず、球面状の外表面にも適応させて同時に点接触させることができる。
なお、本実施形態においては、4つの突起23を協働ロボット100の外表面に点接触させる場合について例示したが、突起23の形状は球体状でなくてもよい。また、一方の直線上に配列される2つの突起23に代えて、図6に示されるように、直線に沿う方向に延びる円柱状の突起(線状接触部)24を採用してもよいし、図7に示されるように、2本の直線A1,A2上にそれぞれ配列された2つの突起23をそれぞれ円柱状の突起24に代えてもよい。
【0041】
図6および図7に示されるように、球体状の突起23を円柱状の突起24に置き換えても、図4に示される関係はそのまま成立し、操作ユニット2を安定的に固定することができるという利点がある。
また、円柱状の突起24により線接触させることに代えて、図8に示されるように、平板状の操作ユニット2の平面状の裏面(線状接触部)2aをアーム110の外表面に線接触させてもよい。
【0042】
すなわち、図9に示されるように、図6の円柱状の突起24を削除して、裏面2aの二点鎖線で示される位置に線接触させてもよいし、図10に示されるように、図7の一方の円柱状の突起24を削除して、裏面2aの二点鎖線で示される位置に線接触させてもよい。
この場合においても、図8に示されるように、取り付けるアーム110の曲率が異なっても、アーム110の表面を操作ユニット2の裏面2aに線接触させ、操作ユニット2を安定的に固定することができる。
【0043】
また、4個の突起23によって平行な直線上に2個ずつ間隔をあけて配置される4個の接点において突起23と協働ロボット100の外表面とを同時に接触させる場合について例示したが、これに代えて、同一直線上に配置されるのであれば、接点は3個以上設けてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、操作ユニット2にはボタン21が複数配置されている場合を例示したが、タッチパネルモニタによって、操作ボタンその他の情報を表示させることにしてもよい。また、操作ユニット2上に、タッチパネルではない表示装置を備えていてもよい。
また、ベルト3によって協働ロボット100の任意の外表面に巻き付ける場合の他、作業者が自分自身の腕に巻き付けて使用してもよい。
【0045】
また、矩形平板状の操作ユニット2を例示したが、円板状であってもよいし、他の任意の形状をしていてもよい。また、操作ユニット2自体が湾曲可能な形態を有し、協働ロボット100の表面の曲率に合わせて湾曲させられることにより、操作ユニット2の裏面2aと協働ロボット100の外表面とを面接触させることにしてもよい。
【0046】
また、操作ユニット2の裏面2aまたは裏面2aに設けた突起23を協働ロボット100の外表面に直接接触させる場合を例示したが、これに代えて、ベルト3またはその他の部材を介在させて間接的に接触させてもよい。
また、ロボット用操作装置1として、協働ロボット100の外表面に取り付けるものを例示したが、協働ロボット100に限られるものではなく、他の形式のロボットに用いられてもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、滑り止め部として、接触部22を被覆するものを例示したが、これに代えて、接触部22に取り付けられるものを採用してもよい。
また、滑り止め部としてゴムを例示したが、摩擦を増大させることができるならば他の部材を採用してもよい。また、滑り止め部として、接触部22の表面の少なくとも一部を加工して摩擦を増大させるものを採用してもよい。
【0048】
この場合、滑り止め部は、作業者が操作ユニット2に設けられているボタン21を押下しても協働ロボット用操作装置1が回転しない、すなわち、ボタン21の押下により加わるアーム110の長手方向および周方向のアーム110の外表面に沿って滑って回転する力よりも摩擦力が大きいものを採用することが好ましい。
【0049】
また、本実施形態においては、支持部として、4つの突起23表面を被覆するゴム(滑り止め部)を協働ロボット100の外表面に点接触させる場合について例示したが、図11に示されるように、協働ロボット100の外表面に面接触させてもよい。
この場合、突起23は、表面を協働ロボット100のアーム110の外表面に合わせて加工したものを採用してもよいし、突起23を弾性を有する素材で構成し、ベルト3を巻き付けて弾性変形することによりアーム110に面接触するものを採用してもよい。滑り止め部25は、操作ユニット2の裏面2aかつ各突起23の間に設けられ、表面を凹凸加工することによって摩擦がより増大させられている。
【符号の説明】
【0050】
1 ロボット用操作装置
2 操作ユニット
2a 裏面(線状接触部)
3 取付手段(ベルト)
22 接触部(支持部)
23 突起(点状接触部)
24 突起(線状接触部)
25 滑り止め部(回り止め手段)
100 協働ロボット(ロボット)
110 アーム
A1,A2 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11