【発明が解決しようとする課題】
【0003】
トルクコンバーターは、従来、インペラーホイール3を備え、当該インペラーホイール3は、リアクター5を介してタービンホイール4を流体力学的に駆動することができる。
【0004】
インペラーホイール3はクランクシャフト1に連結され、タービンホイール4は案内ワッシャ6に連結される。
【0005】
圧縮ばねタイプの第1のグループの弾性部材7a、7bが、トランスミッション入力シャフト2に連結された中央ハブ8と案内ワッシャ6との間に設けられている。第1のグループの弾性部材7a、7bは位相整合部材9を介して直列に配置され、前記位相整合部材9が前記案内ワッシャ6に対して及び前記ハブ8に対して相対的に移動可能となっており、前記弾性部材7a、7bは互いに同調して変形される。
【0006】
第2のグループの弾性部材7cは、案内ワッシャ6と中央ハブ8との間において第1のグループの弾性部材7a、7bと平行にいくらかの間隙とともに設けられつつ、弾性部材7cは、限られた角度範囲において、とりわけ中央ハブ8に対する案内ワッシャ6の角度移動の終わりにおいて、アクティブであるように適合される。ハブ8に対する案内ワッシャ6の角度移動又はαで言及される角度シフトは、上記弾性部材7a、7bによって形成される減衰手段を介してトルクが伝達されない休止位置(α=0)に対して定められる。
【0007】
トルクコンバーターは更に、インペラーホイール3及びタービンホイール4から何の作用もなしに、クランクシャフト1から案内ワッシャ6に所定の動作フェーズでトルクを伝達するように適合されたクラッチ手段10を備える。
【0008】
第2グループの弾性部材7cは、角度運動の終わりにおいて、すなわちハブ8に対する案内ワッシャ6のかなりの角度オフセット(又はその逆)に関し、減衰手段の剛性を高めることを可能にする。
【0009】
角度シフトαに応じて装置を介して伝達されるMトルクを定める関数M=f(α)の表現が、(角度シフトαの小さい値に関して)傾きの第1の直線部Kaと、(角度シフトαの大きい値に関して)傾きのより重要な第2の直線部Kbと、を含むことが分かる。Ka及びKbは、それぞれ角度移動の始まり及び終わりにおける装置の角度剛性である。K1が第1のグループの各ペアの第1のバネの累積された剛性を定め、K2が第1のグループの各ペアの第2のバネの累積された剛性を定め、K3が第2のグループのバネの累積された剛性を定める場合、Ka=(K1.K2)/(K1+K2)となり、Kb=Ka+K3となる。
【0010】
曲線の第1の部分と第2の部分との間の傾きの変わり目は、減衰手段を用いて得られるフィルタリング(filtration)の質に影響を及ぼしうるトルクコンバーターの作動の際の振動及び顕著なヒステリシスを生成しうる。
【0011】
本発明は、とりわけ、この問題に対するシンプル、効率的及び費用効果の高い解決を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、それは動力車両用の流体力学的トルク連結装置を提供し、当該流体力学的トルク連結装置は、以下を備える。
− クランクシャフトに連結されることが意図されたトルク入力要素、
− トルク入力要素に回転可能に連結されたインペラーホイール、
− インペラーホイールがタービンホイールを流体力学的に駆動するように適合されたタービンホイール、
− トランスミッション入力シャフトに連結されることが意図されたトルク出力要素、
− 減衰手段、
− トルク入力要素及びトルク出力要素を係合位置において減衰手段を介して回転で連結し、トルク入力要素及びトルク出力要素を係合解除位置において回転で連結解除することができるように適合されたクラッチ手段であって、減衰手段は、クラッチ手段の係合位置においてトルク出力要素に対するトルク入力要素の回転に抗するように作用するように適合され、減衰手段は、トルク出力要素又はクラッチ手段とともにそれぞれ回転する少なくとも1つの弾性ブレードを含み、支持部材がクラッチ手段又はトルク出力要素のそれぞれによって支持され、ブレードが前記支持部材によって弾性的に維持されて支持され、前記弾性ブレードは、係合位置においてトルク出力要素に対するトルク入力要素の回転時に曲がるように適合され、流体力学的トルク連結装置は、トルク出力要素とともに回転する少なくとも1つの半径方向内側フランジと、前記内側フランジの周りにおいて旋回するように設けられ前記内側フランジの周りで回転するように案内される少なくとも1つの半径方向外側フランジと、を更に備え、弾性ブレードは、内側フランジ、外側フランジのそれぞれとともに回転し、支持部材は、外側フランジ、内側フランジのそれぞれに接続されている。
【0013】
そのような減衰手段は、傾きを崩すことなく、特徴的な漸進的な曲線を与える。したがって、本発明は、作動時に発生する振動を低減することを可能にし、高品質のフィルタリングを提供する。
【0014】
また、そのような流体力学的トルク連結装置は、取り付けが容易で、ある程度安価である。
【0015】
「半径」及び「軸」という用語は、流体力学的トルク連結装置に対して定められ、それはタービンホイールの又はインペラーホイールの回転軸であることに留意されたい。
【0016】
流体力学的トルク連結手段は、流体力学的トルク連結手段がインペラーホイール、タービンホイール及びリアクターを備える場合にはトルクコンバーターであってもよいし、流体力学的トルク連結手段がリアクターを有していない場合には流体力学的連結装置であってもよい。
【0017】
インペラーホイールは、例えば、リアクターを介し、タービンホイールを流体力学的に駆動するように適合されている。
【0018】
流体力学的トルク連結装置は、トルク出力要素とともに回転する2つの半径方向内側フランジと、前記内側フランジの周りを旋回するように設けられ前記内側フランジの周りを回転するように案内される2つの半径方向外側フランジとを含み、弾性ブレードは、内側フランジ間及び/又は外側フランジ間において軸方向に設けられたスペースに設けられ、支持部材は、外側フランジ、内側フランジのそれぞれの間に軸方向に設けられたスペースに設けられてもよい。
【0019】
2つの内側フランジ及び2つの外側フランジの存在は、内側フランジの周りの外側フランジの案内を容易にすること、作動中の半径方向応力をより良く引き継ぐこと、又は依然として弾性ブレード及び支持部材を、片持ちの取り付けを避けるように、対向するフランジの各々に固定することができることを可能にする。
【0020】
更に、内側フランジ及び外側フランジは、ベアリングを形成するように互いに当接するように適合された同心の円筒状の案内リムを備えてもよい。
【0021】
代替の実施形態として、外側フランジは、例えば、ボールベアリングなどの転がり軸受を介して内側フランジの周りを旋回するように設けられてもよい。
【0022】
各内側フランジは、外側フランジに対して内側に全体的に配置され、各外側フランジは、内側フランジに対して内側に全体的に配置されてもよい。換言すれば、内側フランジ及び外側フランジは、全体的に重なり合うゾーンを有しない。
【0023】
更に、タービンホイールは、トルク出力要素に及び内側フランジに回転で連結されてもよい。
【0024】
更に、クラッチ手段は、外側フランジに回転で連結された少なくとも1つのピストンを備え、ピストンは、それがトルク入力要素に回転で連結される係合位置と、それがトルク入力要素から回転で連結解除される係合解除位置との間で移動可能であってもよい。
【0025】
そしてピストンは、流体力学的トルク連結装置の他の要素とは独立して、軸方向に移動することができる。
【0026】
この場合、外側フランジは、外側フランジ、ピストンのそれぞれに接続されぴったり合った態様で協働する少なくとも1つの突出部を介してピストンに回転で連結され、少なくとも1つの凹部は、ピストン、外側フランジのそれぞれに接続され、突出部及び凹部は、ピストン及び外側フランジの回転連結を保証しつつ、外側フランジに対してピストンの軸方向運動を可能にしてもよい。
【0027】
代替の実施形態として、外側フランジは、軸方向に弾性的に変形可能な少なくとも一つの部材を介してピストンに接続され、ピストンの及び外側フランジの回転連結を提供しつつ、外側フランジに対するピストンの軸方向運動を可能にしてもよい。
【0028】
外側フランジの半径方向の内側の周縁部は少なくとも1つのラグを含み、軸方向に弾性的に変形可能な部材が前記ラグに固定されてもよい。
【0029】
更に、トルク出力要素は、中央ハブを備えていてもよい。タービンホイール及び/又は減衰手段は、それに直接的に接続されてもよい。
【0030】
更に、流体力学的トルク連結装置はリアクターを備え、インペラーホイールがリアクターを介してタービンホイールを流体力学的に駆動するように適合されてもよい。したがって流体力学的トルク連結装置は、流体力学的トルクコンバーターを形成する。
【0031】
流体力学的トルク連結装置は、以下の特徴の1つ以上を含んでいてもよい。
− 支持部材は、例えば、ニードルベアリングなどの転がり軸受を介して、例えば、軸の周りを旋回するように設けられたローラーなどの、少なくとも1つの回転体を含む。
− 支持部材は、外側フランジの半径方向外周に取り付けられ、
− インペラーホイールはカバーに回転で連結され、インペラーホイール、タービンホイール及び/又は減衰手段は少なくとも部分的に収容される。
− トルク入力要素は前記カバーを備え、
− 弾性ブレードは、係合位置において、休止位置とは異なるトルク出力要素とトルク入力要素との間で相対的な角度位置において、支持部材が弾性ブレードに曲げ応力を作用させて支持部材に弾性ブレードの交差反応力をもたらすように設計され、そのような反応力は、トルク入力要素及びトルク出力要素を相対休止位置に向けて後退させる傾向がある周方向成分を有する。
− 弾性ブレードは、係合位置において、休止位置とは異なるトルク出力要素とトルク入力要素との間の相対的な角度位置において、支持部材が弾性ブレードに曲げ応力を作用させて支持部材に弾性ブレードの交差反応力をもたらすように設計され、そのような反応力は、トルク入力要素及びトルク出力要素を相対休止位置に向けて後退させる傾向がある周方向成分を有する。
− 係合位置において、トルク出力要素に対するトルク入力要素の角度変位は20°より大きく、好ましくは40°より大きい。
− 弾性ブレードは、半径方向内側ストランドを有する弾性部及び固定部を含み、半径方向外側ストランドと、弓のように曲がった又は曲がった部分とが、内側ストランド及び外側ストランドを接続する。
− 減衰手段は、少なくとも2つの弾性リーフを含み、各弾性ブレードは、係合位置においてトルク出力要素又はトルク入力要素とともにそれぞれ回転し、各ブレードは、係合位置においてトルク入力要素又はトルク出力要素にそれぞれ回転で連結される支持要素と関連づけられ、各ブレードは前記適合する支持要素によって弾性的に維持されて支持され、各弾性ブレードは係合位置においてトルク出力要素に対するトルク入力要素の回転時に曲がるように適合されている。
【0032】
本発明は、添付の図面を参照しつつ、非限定的な例として与えられる以下の説明を読むことにより、よりよく理解され、本発明の他の詳細、特徴及び利点が明らかになるであろう。