(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つまたは複数の態様によれば、バイオソリッドから水を分離するための方法は、汚泥またはバイオソリッドを二酸化塩素で処理して、前処理されたバイオソリッドを形成すること、および前処理されたバイオソリッドに電気浸透を施して、前処理されたバイオソリッドから水を分離することを含んでいてよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、汚泥またはバイオソリッドを二酸化塩素で処理して、前処理されたバイオソリッドを形成することは、B級の前処理されたバイオソリッドをもたらす。
【0005】
1つまたは複数の態様によれば、動電学的濃縮装置は、前処理されたバイオソリッドを受け入れるための導入口と導入口から延びる導管を含む上部部分を含んでいてもよい。動電学的濃縮装置はまた、フィルター材料に囲まれた第1の電極を有する第1の電極コンパートメント(第1の電極およびフィルター材料は、第1のろ液排水空間を画定する)およびフィルター材料に対して遠位にある第2の電極を有する第2の電極コンパートメント(第2の電極およびフィルター材料は、第2のろ液排水空間を画定し、第2の電極コンパートメントは、第1のコンパートメントから離間しており、かつ第1のコンパートメントを囲んでいる)を含む、上部部分の下に位置する下部部分を含んでいてもよい。動電学的脱水または濃縮装置は、下部部分の下に位置する、脱水または濃縮された前処理されたバイオソリッドの排出口、ならびに第1の排水空間および第2の排水空間の少なくとも一方に流体接続しているろ液排出口をさらに含んでいてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、動電学的脱水または濃縮装置は、第1の電極および第2の電極の少なくとも一方に接続された外壁をさらに含む。いくつかの実施形態では、外壁は非導電性材料でできている。いくつかの実施形態では、外壁はPVCでできている。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の電極および第2の電極は、グラファイト、導電性炭素繊維、または両方の組合せでできてきる。
【0008】
いくつかの実施形態では、動電学的脱水または濃縮装置は、第1の電極および第2の電極に接続された電源をさらに含む。
【0009】
1つまたは複数の態様によれば、廃棄物処理システムは、都市汚泥またはバイオソリッドの供給源、および都市汚泥またはバイオソリッドの供給源に流体接続され、かつ供給源の下流にあり、都市汚泥から前処理されたバイオソリッドを生成するように構成されている二酸化塩素処理ユニットを含む。廃棄物処理システムは、二酸化塩素処理ユニットの下流に位置する動電学的脱水または濃縮装置も含む。動電学的脱水または濃縮装置は、第1のおよび第2の電極コンパートメント、ならびに第1のおよび第2の電極コンパートメントの下に位置する脱水または濃縮された前処理されたバイオソリッドの排出口を含んでいてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、動電学的脱水または濃縮装置は、前処理されたバイオソリッドを受け入れるための導入口をさらに含んでいてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、動電学的脱水または濃縮装置は、第1の排水空間および第2の排水空間の少なくとも一方に接続しているろ液排出口をさらに含んでいてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の電極コンパートメントは、フィルター材料に囲まれた第1の電極を含む。いくつかの実施形態では、第1の電極およびフィルター材料は、第1のろ液排水空間を画定する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第2の電極コンパートメントは、フィルター材料に対して遠位にある第2の電極を含む。いくつかの実施形態では、第2の電極およびフィルター材料は、第2のろ液排水空間を画定する。いくつかの実施形態では、第2の電極コンパートメントは、第1の電極コンパートメントから離間している。
【0014】
いくつかの実施形態では、動電学的濃縮装置は、第1の排水空間および第2の排水空間の少なくとも一方に接続しているろ液排出口をさらに含む。
【0015】
これらの例示的な態様および実施形態のさらに他の態様、実施形態、および利点について、以下に詳細に説明する。本明細書に開示された任意の実施形態は、本明細書で開示される目的、目標、およびニーズの少なくとも1つと一致する任意の方法で任意の他の実施形態と組み合わせることができ、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「代替の実施形態」、「種々の実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、実施形態に基づいて説明された特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すものである。本明細書でのこのような用語の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照するわけではない。
【0016】
いくつかの例示的な特徴および実施例を、添付の図面を参照して後述する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の利益を考慮して、図に示されている寸法、大きさ、構成要素、および図形は、例示目的のためのものであることが当業者には認識されるであろう。他の寸法、表示、特徴、および構成要素はまた、説明の範囲から逸脱することなく本明細書に開示された実施形態に含まれ得る。
【0019】
本開示は、都市バイオソリッドの動電学的脱水のための方法、および装置を含むシステムに関する。特に、本発明は、都市バイオソリッドの特性を改変して、材料の導電性を高め、電気浸透流を増大させるために、ならびにプラグフロー、または連続操作を可能にする濃縮または脱水の目的で水の除去をもたらすための機械的メカニズムを提供するために、二酸化塩素を使用する方法に関する。
【0020】
廃水処理は、一般に多段階プロセスである。都市廃水処理の初期段階は、廃水から栄養素を除去することである。この除去は、通常生物学的プロセスによって達成され、生物学的汚泥が細胞集団の堆積によって生じる。病原体を減少させるかまたは物質を安定化させるために処理した後、この生物学的汚泥は、バイオソリッドと呼ばれる。都市バイオソリッドは、最終処分の前に水量を減少させるために濃縮または脱水してもよい。用語「濃縮されたは、一般に汚泥またはバイオソリッドの含水量の減少を示すために使用される。用語「脱水された」は、一般に「濃縮」によって達成されるよりも大きい含水量の減少を示すために使用される。しかしながら、濃縮されたまたは脱水されたと呼ばれるバイオソリッド中の含水量の割合の範囲がある程度重なり得る。濃縮は一般に、汚泥またはバイオソリッドの液体画分が減少し、固体画分が15%まで増加するプロセスを意味するが、脱水は一般に、固体画分が15%以上に増加するプロセスを意味する。
【0021】
脱水されたバイオソリッドは、肥料または土壌改良剤として使用することができる。バイオソリッドは、時々有益に再利用されず、衛生的埋立地に処分される。バイオソリッドは、肥料として価値がある窒素、リンおよび他の栄養素を含有し、かつ燃料としての潜在的価値もあるので、輸送コストを削減し、栄養価を濃縮し、材料を燃料として利用するのに必要とされるエネルギー量を削減するために、最終処分の前に処理されたバイオソリッドを脱水する必要がある。
【0022】
通常の機械的脱水方法は、脱水を容易にするためにポリマーを添加する必要があり、通常固形物全体の16〜25%の範囲内にある脱水された材料を生成する。ポリマー添加は、バイオソリッドの処理および処分のコストのおおよそ30%を占め得る。脱水装置の例は、ベルトプレス、スクリュープレスおよび遠心分離機である。プレートおよびフレームプレスなどの他の脱水装置は、バイオソリッドからより多くの水を除去できるが、多くの場合処理量、または処理能力がより低い。
【0023】
従来の機械的脱水技術の主要な欠点の1つは、水分除去の速度が汚泥の水力学的透過率に依存することである。汚泥が圧縮されると、気孔率が減少し、脱水の速度が減少する。
【0024】
動電学的脱水は、伝統的に、部分的には材料の導電率が低いために、都市バイオソリッドに使用するのにあまり適していないと考えられてきた。
【0025】
都市バイオソリッドには4タイプの水がある。第1のタイプの水は自由水であり、これは粒子と結合していない。自由水は、バイオソリッド中の水の最大部分(70〜75%)に相当する。第2のタイプの水は、間隙水または毛管水であり、これは汚泥フロック間の毛細管力によって結合している、または間隙空間内に閉じ込められている。別のタイプの水は、水素結合によって固体粒子表面にしっかりと保持されている表面水または隣接水である。最後に、細胞内水は粒子構造内の化学結合水である。
【0026】
伝統的な(機械的な)脱水方法は、主として自由水およびある程度の間隙水を除去するためにポリマーの添加を必要とする。動電学的脱水は、ポリマー添加を必要とせず、汚泥を通る電場を誘発し、電気浸透現象を引き起こす。電気浸透脱水のメカニズムは、主として印加された電場と汚泥粒子の表面に近い液体中に存在するイオンの電荷密度との間の相互作用に基づいている。
【0027】
本開示の一実施形態によれば、方法は、動電学的脱水を促進する液体バイオソリッドの特性を改変するために提供されている。方法は、汚泥を二酸化塩素で処理して、前処理されたバイオソリッドを形成すること;および前処理されたバイオソリッドに電気浸透を施して、前処理されたバイオソリッドから水を分離することを含んでいてよい。この材料の濃縮または脱水のいずれかのための連続的な(プラグフロー)操作を可能にする、この方法を実施するための装置が提供されている。この方法は、バイオソリッド中の間隙水および隣接水に加えて自由水の除去を向上させる。方法は、静水頭または低圧ポンプによって与えられ得る圧力によって補助されている。
【0028】
本開示の一実施形態によれば、動電学的脱水または濃縮装置を提供している。装置は、上部部分および下部部分を含んでいてよい。上部部分は、前処理されたバイオソリッドを受け入れるための導入口と導入口から延びる導管を含んでいてもよい。上部部分は、静圧頭を与えることができる。下部部分は、上部部分の下に位置していてよく、フィルター材料に囲まれた第1の電極を有する第1の電極コンパートメントを含んでいてよく、第1の電極とフィルター材料の間の空間は第1のろ液排水空間を画定する。下部部分は、第2のフィルター材料を囲んでいる第2の電極を有する第2の電極コンパートメントをさらに含んでいてよく、第2の電極とフィルター材料の間の空間は第2のろ液排水空間を画定する。第2の電極コンパートメントは、第1のコンパートメントから離間しており、かつ第1のコンパートメントを囲んでいてよい。装置は、下部部分の下に位置する脱水または濃縮された前処理されたバイオソリッドの排出口、ならびに第1の排水空間および第2の排水空間に流体接続しているろ液排出口をさらに含んでいてもよい。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、材料の特性を改変して電気浸透を促進するための二酸化塩素の使用を含む、都市バイオソリッドを濃縮または脱水するためのシステムを提供しており、プロセスを実施するために装置を提供している。廃棄物処理システムは、都市汚泥またはバイオソリッドの供給源、都市汚泥の供給源に流体接続され、かつ供給源の下流にあり、都市汚泥から前処理されたバイオソリッドを生成するように構成されている二酸化塩素処理ユニット;および二酸化塩素処理ユニットの下流に位置する、上記の動電学的脱水または濃縮装置を含んでいてもよい。
【0030】
開示された方法、装置、およびシステムは、優れた性能を提供し、資本コスト、維持コストおよび運転コストが極めて低く、連続的な濃縮または脱水プロセスを提供する。
【0031】
本開示の範囲を特定の物理的または化学的理論に限定することなく、動電学的濃縮または脱水を向上させるための二酸化塩素の使用は、2つの主要なメカニズム:1)バイオソリッドのフロキュレーションを引き起こして、沈降の向上および固体からの自由水の分離を最初に可能にすることによって;ならびに2)バイオソリッドの特性を改変して電気浸透を促進することによって、作用する。パイロットスケールで行なった試験は、B級病原体減少基準に対する二次汚泥の殺菌に典型的な適用量で、490μScm
−1と高い二次汚泥の導電率を示した。
【0032】
この方法は、それだけには限らないが、
1.有機物質およびBTU値の維持−−消化されていない二次下水汚泥は、60〜80%の範囲の高い有機物含量を有する。生物学的安定化(消化)後、有機物含量は、大幅に減少する(例えば、有機含量は好気性消化後DSの60〜70%、嫌気性消化後DSの40〜50%である)。消化は、汚泥の発熱量を、生汚泥における約17.5MJ/kg DSから消化された汚泥における約10.5MJ/kg DSまで減少させる;
2.B級(EPA)標準に対する二次汚泥の殺菌;ならびに
3.材料の取り扱いが容易になる臭気の低減
を含めた、現在の方法と比較していくつかの重要な利点を示す。
【0033】
本方法は、凝集した汚泥粒子にそれらの結合能力を超える力を及ぼし、したがって許容可能なレベルまで脱水または濃縮するために極めて大量のポリマーを必要とする、通常の機械的脱水方法の制限を回避する。
【0034】
オゾン、O
2(湿式酸化)および過酸化水素/第一鉄イオン(古典的なフェントン酸化)などの他の化学的酸化技術は、悪影響を及ぼす。例えば、オゾンは、汚泥の脱水性に悪影響を及ぼす。細胞溶解によって放出されるタンパク質は、汚泥の脱水に悪影響を及ぼし、不安定な微小粒子は、汚泥のろ過に影響を与える可能性があり、液体の浸透が低減したより密集したろ過層をもたらす。処理した汚泥の脱水性は、オゾン量の増加とともに低下する。したがってより高いポリマー量が、汚泥のフロキュレーションに必要とされる。これは二酸化塩素には当てはまらない。
【0035】
開示された機械的装置は、水(ろ液)が装置から連続的に除去される条件を作ることによって、液体バイオソリッドの連続的な濃縮または脱水をもたらす。水分除去の主要なメカニズムは、装置の第1の部分における部分的に凝集した汚泥からの自由水の単純な分離である。物質は、装置を通過するにつれて、固形物全体の含有量が徐々に多くなり、電流をバイオソリッドに流して電気浸透を引き起こす。ろ液は、陽極と陰極の間にコンダクタンスをもたらす。
【0036】
プラグフロー状態では、濃縮されたまたは脱水されたバイオソリッドが装置から除去される速度により、バイオソリッドが濃縮または脱水される程度が決定される。この速度は、濃縮を目的として調整可能なバルブを用いて制御する。バイオソリッドの脱水では、装置の下部部分におけるより高い%固形物全体(<14%)を有するバイオソリッドは、バルブ、または装置からの排出量を制限するためのプラグとして働くことができ、この場合、装置からの排出は、充填速度によって調節される。装置は、ろ液および濃縮されたまたは脱水されたバイオソリッドの除去と等しい速度で加えられる二酸化塩素処理したバイオソリッドで連続的に充填されている。脱水に対する濃縮のための装置の操作の唯一の違いは、前処理された汚泥の装置の下部部分内での滞留時間であり、したがって物質から除去された水の量である。
【0037】
濃縮または脱水のいずれかに使用される場合、陽極および陰極の上の汚泥のカラムは、物質に加えられる圧力をもたらして脱水プロセスをさらに補助し、処理量を増大させる。このカラムは、沈降および汚泥からの自由水の除去も可能にし、電極間のより高い電場強度を可能にし得る一貫した低い汚泥導入速度をもたらす。この汚泥の静圧頭としての使用は、より多くの水を除去することにより、最終汚泥ケーキの固形物全体の含有量を増加させることに好ましい効果がある。
【0038】
少なくとも一実施形態によれば、同時に液体の粘度を低下させ、汚泥のフロキュレーションを増加させながら、液体の誘電率を増加させるのに十分な量の二酸化塩素に二次汚泥をさらすためのプロセスを提供している。この結果、沈降が改善され、連続プロセスにおいてろ液と濃縮または脱水されたバイオソリッドの両方の除去を可能にする。他の実施形態は、本明細書に記載されている。
【0039】
図1は、脱水または濃縮装置5の実施形態の平面図を示す。
図2は、
図1の断面線2−2に沿った装置の断面図を示す。上部部分または頭部部分10は、陽極40および/または陰極30において織物膜50と汚泥の間に設けられた排水空間90によって汚泥から自由水が除去されて汚泥の沈降が可能になる装置の上部部分である。汚泥または前処理されたバイオソリッドは、導入口11を通って入り、導管または管12に沿って流れる。
【0040】
下部部分または分離部分20は、より濃い汚泥が沈降する装置5の下部部分である。単に分離した水を陽極および陰極の周りのフィルター材料に通過させることによって装置のこの部分で自由水が除去されるが、徐々により多くの水が除去されるような装置のこの段階での水除去の主要なメカニズムは、陰極30または陽極40における織物膜50と汚泥の間の空間90への電気浸透流である。
【0041】
図示した実施形態では、陰極30は、装置の外壁25に挿入および固定されているグラファイト「スリーブ」から構成される電極であってよい。いくつかの実施形態では、外壁25は、非導電性材料でできている。例えば、いくつかの実施形態では、外壁25は、PVC管または類似の材料からなる。管25は、エポキシまたは類似の材料28で陰極30に接続することができる。
図1〜2に示した実施形態は、外壁に沿って陰極を示すが、代替の実施形態では、陽極を代わりに外壁に沿って置いてもよい。陽極40は、同様にグラファイトロッドからなり、
図1〜2に示した実施形態に従って下部部分の中央に配置できるが、あるいは他の場所に配置してもよい。示した実施形態に使用した材料はグラファイトであるが、導電性炭素繊維グラファイト含浸ロッドまたは管を含む異なる適当な材料を電極に使用することができる。第2のグラファイト電極の周りにPVC「スリーブ」を使用することは、圧力下で変形しないように陰極に強度を与えるだけでなく、優れた導電特性を有する低コスト材料であるという利点ももたらす。
【0042】
いくつかの実施形態では、陽極40は、内側の電極であり、陰極30は、外側の電極である。フィルター材料50(織物膜)は、陰極30の内側に、および/または陽極40の外側の周りに巻かれている。フィルター材料50と陽極40または陰極30の間のろ液排水空間90は、水が汚泥からこの間隙空間90に移ることができるように設けられている。排水空間90は、ろ液の流れを妨げることなく通路に構造的支持をもたらすために、プラスチック、織物または類似のメッシュタイプの材料から形成することができる。陰極30、フィルター材料50、およびろ液排水空間90が一緒になって、陰極コンパートメント27を形成する。陽極40、フィルター材料50、およびろ液排水空間90が一緒になって、陽極コンパートメント29を形成する。いくつかの実施形態では、陰極30は、フィルター材料に対して遠位にある。DC電源(連続またはパルス)への接続60は、陽極40および陰極30に電力を与える。
【0043】
陰極コンパートメント27と陽極コンパートメント29の間の空間は、バイオソリッド通路95を形成する。装置5の吐き口または排出口70は底部にあり、装置5を濃縮装置として使用すべき場合には調整可能なバルブ75を含んでいてよく、または装置を脱水に使用すべき場合には単純な開口部を含んでいてよく、この場合、汚泥ケーキは、脱水されていないまたは濃縮されていない汚泥が装置5を自由に通過するのを防止する「プラグ」をもたらす。脱水するために操作しているとき、バルブ75は、単純な「フラップ」または同様に機能する構造であってもよく、操作の開始時に閉じたままであってよい。バイオソリッドを所望の脱水の程度まで濃縮した後、バルブ75、またはフラップは開けてもよく、上方からの追加供給の圧力によって動かされて、脱水された「プラグ」がシステム中を移動するにつれて、システムが連続的に作動して脱水されたバイオソリッドが生成され得る。
【0044】
ろ液排出口80は、陽極および陰極コンパートメント27および29からの排水空間90に流体接続されている。排水を装置の上部部分20のレベルまで送って、ろ液が間隙空間90内に残るようにし、それによって汚泥を介して陽極30と陰極40の間に導電性がもたらされる。
【0045】
本システムおよびプロセスの操作において、二酸化塩素は、凝集剤として機能し得る。得られたバイオソリッド液体は、沈降性の実質的な増加を示し、固形物を保持しながら水がフィルター材料または織物膜を自由に通過できる非常に小さなフロックを形成する。二酸化塩素もバイオソリッドの導電率を改変して電気浸透流を促進する。電気浸透は、動電学的脱水における主要な因子であり、電極を介して汚泥セグメントに電場が印加されたときに起こる。電気二重層の正味の電荷は、得られたクーロン力によって移動するように誘導される。得られたフローは、電気浸透流と呼ばれ、以下の式によって定義される:
【0046】
【数1】
[式中、
V:水量(m3)
t;時間(s)
εo:真空の誘電体誘電率(8.854×10−12 CV−1m−1)
εr:液体の誘電率f
ζ:汚泥のゼータ電位(V)
E:プラグ全体の電場強度(Vm−1)
A:断面積(m2)
η:液体の粘度(kgm−1s−1))]。
【0047】
二酸化塩素の添加は、液体の誘電率を増加させ、汚泥のゼータ電位を増加させ得る。二酸化塩素添加はまた、汚泥の粘度を低下させる。単一の化学添加剤の添加に起因するこれらの要因は、電気浸透流の著しい増大をもたらす。
【0048】
二酸化塩素は、現場で生成して、都市汚泥のための消毒薬として使用することもできる。十分なレベルの二酸化塩素に十分な時間暴露すると、廃水バイオソリッド流中の細菌の総レベルは、糞便性大腸菌濃度が2×10
6CFUまたはMPN/グラム 乾燥重量固形分未満の、B級バイオソリッドとしての土壌還元のために許容できるレベルまで低減される。
【0049】
二酸化塩素で処理した後、本システムおよびプロセスでは、前処理された液体バイオソリッドは、電流がバイオソリッドを通過することを可能にする装置に導入される。装置は、電極と脱水すべき汚泥との間のコンダクタンスの手段としてろ液を用いて陽極から陰極に電流を流す。この方法は、陽極の汚泥が乾燥するのを防止し、電気的接触を減少させ、抵抗を増加させる。
【0050】
都市汚泥の動電学的脱水を利用するための主要な障害は、バッチプロセスとしての操作に必要とされる時間/空間、都市汚泥の低い導電率(脱水を行なうためには電流を増加させる必要がある)および既存の動電学的脱水プロセスの比較的低い処理量である。現在開示されている方法および装置は、これらの障害を克服する。二酸化塩素の使用は、導電率を改善し、電気浸透を促進し、プロセスを操作するのに必要なエネルギーを低減する。陽極と陰極の間のコンダクタンスの手段としてろ液を使用しながら、部分的に凝集したバイオソリッドから自由水を分離および除去すると、プロセスの効率が著しく改善する。
【0051】
プロセスの連続操作は、装置からの固体排出速度を変えることによって、水分除去の程度を制御することを可能にする。これは、ベルトフィルタープレスなどの他の機械的脱水装置の複雑さなしに達成される。
【0052】
二酸化塩素を単独で、バイオソリッドを生成するために都市汚泥に添加すると、フロキュレーションが増加する。このフロキュレーションの増加は、バイオソリッド中に軽いフロックが形成されるのに実質的に十分であり、制御された条件下での自由水の放出を可能にする。機械設計によって、これらの条件がもたらされ、ポリマーを添加しないで自由水の除去が可能になり、同時に陽極と陰極の間のコンダクタンスの手段がもたらされる。
【0053】
2.5kPaほど低くても、圧力を加えることによって、部分的に凝集した汚泥から除去された水の量の増加および改善された電場強度のために、システムによって処理できるバイオソリッドの体積が増加する。少量の圧力をシステムに加えると、より高い電流密度、したがってより効率的な操作がもたらされる。
【0054】
機械設計は、グラファイト材料を変形させる(クラッキング)ことなく、装置を加圧できるように、グラファイトなどの導電性材料を円形の支持面(管)に固定する方法を含む。この方法では、グラファイトは、陽極および陰極の両方として使用でき、ユニットの効率を高める。
【0055】
未処理の汚泥のゼータ電位は通常負であるので、電気浸透流の方向は、陽極から陰極である(汚泥粒子が陽極に向かって移動する)。電気浸透流が陽極から陰極に移動するので、水分勾配がろ過ケーキの内部で増加する。したがって、大きな不飽和気孔が陽極側に現れるが、密集した湿ったケーキが陰極で形成される。陰極における負電荷は、負に帯電した汚泥粒子と反発して、フィルター材料の目詰まりを防止し、特にケーキ密度がより低い装置の上部部分においてろ液のより急速な除去を可能にする。二酸化塩素の前処理は、しかしながら、中性またはわずかに正のゼータ電位を汚泥に付与する。これによって両方向でより等しいフローが可能になり、物質が脱水する速度が実質的に増加する。
【0056】
電気伝導率は、動電学的脱水性能に影響を与える。低い導電率(例えば、一桁の導電率測定)は、通常二次都市汚泥で指摘される。二酸化塩素の添加は、廃棄物活性化汚泥の電気伝導率を高めることができる。75mg/Lの二酸化塩素適用量で試験すると、490μScm
−1の導電率が得られる。導電率が高すぎる場合、粒子の電気二重層および粒子のゼータ電位の低下、したがって電気浸透の減少を引き起こす可能性がある。この負の効果は、しかしながら、バイオソリッドに二酸化塩素を添加することによって生じる上記導電率で通常起こることが指摘されている。これらおよび他の実施形態の機能および利点は、以下の非限定的な実施例からより完全に理解されるであろう。実施例は、本質的に例示的であるように意図されており、本明細書で論じている実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【実施例】
【0057】
上記のプロセスの有効性を決定するために、前処理されたバイオソリッドの供給源からろ液の除去速度を定量するために実験装置を配置した。
図1および
図2に示すように、長さ2フィートの装置を作成した。第1(内側)の電極は、グラファイトロッドで構成されていた。第2の電極は、6”直径のグラファイト管であった。第1の電極は、プラスチック織物メッシュで包み、次いで織物膜内に封入して、水が汚泥からろ液を通って陽極に流れることを可能にした。第2の電極は、PVC管の24”セクションの内部に置き、所定の位置にエポキシ化した。プラスチック織物メッシュ材料を第2の電極の内部に巻いて、ろ液を捕集するための排水空間を形成し、織物膜を織物膜の内部に巻いた。二酸化塩素で処理した二次バイオソリッドを装置の上部セクションに加え、24Vの電圧および3Aの電流を電源から装置に加えた。試験に使用した電流は連続的であったが、パルス状であってもよい。装置の上部部分は、フィルター材料および電極を含有する装置の下部部分に導入する前に汚泥を沈降させ、フロックを形成させるために、長さ3フィートの透明なPVC管であった。上部部分の直径は4インチであった。下部部分の直径は、6インチであった。
【0058】
前処理されたバイオソリッド供給物は、二酸化塩素を75ppm含み、固形物全体の組成が0.5%〜1.2%であった。上部部分からの頭部圧力は、カラムが充填された高さに応じて、約1.3psi〜2.17psiであった。毎分0.23ガロン(gpm)、または1日当たり360ガロン(gpd)のろ液除去速度が観察された。表1は、混合物の濃縮の割合を示し、これは開始時に固体画分1%で始まり、6分後に固形物6.48%を達成した。
【0059】
【表1】
表1は、開示された装置が、濃縮されたバイオソリッドを得ることができることを示す。
【0060】
データの裏付けのない例
プロセスおよび装置の経済的実現可能性を判断するために、上記実施例で得られた値を、フルサイズの水処理プラントのスケールに外挿した。上記実施例に記載されているように、毎分0.23ガロン(gpm)または1日当たり360ガロン(gpd)のろ液除去速度が観察された。これらの数値は、水処理プラントの通常の操作に拡大される。1日当たり百万ガロン(mgd)の流量に対して、プラント(通常2%の廃棄率と想定する)は、約13gpm、または18,720gpdを廃棄しなければならない。この廃棄物流は、一般に固形物全体(ts)の約1%である。したがって、このスケールに合わせるためには、試験の2フィート装置が約52個必要となる。あるいは、高さ10フィートの装置10個を使用でき、嫌気性ダイジェスターに供給する前に約6%(mgd当たり)まで濃縮する。装置10個の設置面積は、約18”×36”になる。
【0061】
【表2】
【0062】
約6%バイオソリッドへの濃縮を達成するために、2フィート装置の運転コストを表2で計算している。24時間/日稼働する24”試験ユニットでは、電気コスト0.19ドルが発生する。濃縮では、0.19ドルに装置52個を掛けると、mgd当たり9.88ドルと等しくなり、これは伝統的な方法における通常のポリマーコスト単独よりも実質的に少ない。濃縮に関し10ポンド/乾燥トンと想定すると、ポリマーコストは約12ドル/mgdとなる。
【0063】
このデータの裏付けのない例は、水処理プラントの要件に拡大して、開示された方法および装置を使用する経済的実現可能性を実証している。
【0064】
本明細書で使用される言い回しおよび専門用語は、説明のためのものであり、制限するものと見なされるべきではない。本明細書では、用語「複数」は、2つ以上の項目または構成要素を指す。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、および「含む(involving)」は、書面による説明であろうと、特許請求の範囲などであろうと、非制限用語であり、すなわち、「を含むが、それだけには限定されない(including but not limited to)」を意味する。したがって、このような用語の使用は、それ以降に示される項目およびその同等物、ならびに追加の項目を包含することを意図している。移行句「からなる(consisting of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」だけが、それぞれ、請求項に対して制限的または半制限的な移行句である。請求要素を修飾するための特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用は、それ自体、1つの請求要素の別の順序に優る優先順位、先行、または順序、あるいは方法の行為が実行される時間的な順序を暗示しておらず、単に特定の名称を有する1つの請求要素を、(序数用語の使用を別にすれば)同じ名称を有する別の要素から区別し、請求要素を区別するための標識として使用している。
【0065】
少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を上述したが、種々の変更、修正、および改良が、当業者に容易に見出されることを理解すべきである。任意の実施形態に記載された任意の特徴は、任意の他の実施形態の任意の特徴に含まれるか、またはその代わりに用いることができる。このような変更、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図され、かつ本発明の範囲内であることが意図される。したがって、前述した説明および図面は、単なる一例である。