特許第6882293号(P6882293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882293可剥性及び非可剥性ヒートシールを有するパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882293
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】可剥性及び非可剥性ヒートシールを有するパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/60 20060101AFI20210524BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20210524BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20210524BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B65D75/60
   B32B27/32 E
   B65D30/02
   B65D65/40 D
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-530007(P2018-530007)
(86)(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公表番号】特表2019-500284(P2019-500284A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】US2016066084
(87)【国際公開番号】WO2017106075
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年11月29日
(31)【優先権主張番号】62/268,033
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア・ヘルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・ビルゲン
【審査官】 杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0239796(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/100386(WO,A1)
【文献】 特開2004−269053(JP,A)
【文献】 特表2013−542269(JP,A)
【文献】 特表2015−501238(JP,A)
【文献】 特表2018−523590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 27/00−33/38
B65D 65/40
B65D 67/00−79/02
B32B 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージであって
(A)延伸ポリプロピレン(OPP)を含む外面と、
(B)3層の副層を含む内層と
を備え、
前記3層の副層は、
(a)プロピレン系プラストマーまたはエラストマー(PBPE)を含む第1の副層と、
(b)ポリオレフィンを含む第2の副層と、
(c)PBPE/LDPEブレンドを含む第3の副層であって、前記ブレンドは、前記ブレンドの重量基準の重量パーセントにおいて、
(1)30〜80重量%のプロピレン系プラストマーまたはエラストマー(PBPE)、及び
(2)20〜70重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)
を含む、前記第3の副層と
を備え、
前記パッケージの内面は、前記内層の前記第3の副層の表面であり、
前記パッケージが、
(C)ヒートシールにおいて、前記内面の2つの部分を接合することによって形成される可剥性端部シールであって、前記ヒートシールが、1〜4ポンド/インチ(lb/in)(4.48〜17.9ニュートン(N)/25.4ミリメートル(mm))のシール強度を有する、前記可剥性端部シールと、
(D)ヒートシールにおいて、前記内面の部分を前記外面の部分と接合することによって形成されるラップシールであって、前記ヒートシールが、(≧)15lb/インチ(67.2N/25.4mm)以上のシール強度を有する、前記ラップシールと
をさらに含む、前記パッケージ。
【請求項2】
前記OPPが、(i)一軸延伸キャストポリプロピレン(cPP)または(ii)二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
層をさらに含み、前記パッケージの前記外面が、前記外層の表面であ、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
少なくとも1層の中間層をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記PBPE/LDPEブレンドが、
(1)少なくとも50%のPBPEと、
(2)50%未満のLDPEと
を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記PBPE/LDPEブレンドが、ASTM D792に従って測定された0.890〜0.915g/cmの密度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記PBPEが、ASTM D−1238(230℃/2.16kg)に従って測定された0.1〜25g/10分のMFRを有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記PBPEが、1〜30重量%の範囲の結晶化度(少なくとも2〜50ジュール/グラム未満の融解熱)を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記PBPEが、エチレンから誘導された1〜40重量%のマー単位を含む、請求項1
のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項10】
パウチの形態における請求項1〜のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項11】
タイ層である少なくとも1層の中間層をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記PBPE/LDPEブレンドが、
(1)75%のPBPEと、
(2)25%のLDPEと
を含み、
前記PBPE/LDPEブレンドが、ASTM D792に従って測定された0.890〜0.915g/cmの密度、及びASTM D−1238(190℃/2.16Kg)に従って測定された3.0〜4.0g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージングに関する。一態様において、本発明は、ヒートシールを有するパッケージ、例えば、パウチに関し、また、別の態様において、本発明は、可剥性及び非可剥性ヒートシールの両方を有するパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシール可能な可剥性フィルムは、一般に、1つ以上のポリマー樹脂から作製される。ヒートシール可能な可剥性フィルムの得られる特性は、フィルムを形成するために使用される樹脂のタイプに大きく依存する。例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)及びエチレンメチルアクリレート(EMA)コポリマーは、優れたヒートシーリング性を提供する。しかしながら、これらのコポリマーで製造されたシールは、通常、フィルムに損傷を与えることなく分離を達成することができない、すなわち、シールが「ハードシール」であるようなものである。この課題を軽減するために、ポリブチレンをEVAポリマーと混合させて、ヒートシール可能な可剥性フィルムを製造する、すなわち、シールは、「フランジブルシール」である。フィルムの剥離性が改善されるが、このブレンドは、良好なホットタック強度が不足し、可剥性フィルムは、EVAの存在に起因するいくらかの不快臭を有する。ポリブチレンを使用することに加えて、いくつかのイオノマー、例えば、SURLYN(登録商標)イオノマー樹脂(エチレン及びメタアクリル酸のコポリマー)をEVAと混合して、ヒートシール可能な可剥性フィルムを製造する。フィルムは、可剥性であるが、それは、フィルムの分離時に、糸引きまたは「エンジェルヘアー」を引き起こす。さらに、イオノマーは、一般的に高価であり、その上いくらかの臭いを有することがある。
【0003】
延伸ポリプロピレン(OPP)ラミネートは、フィンシールまたはラップシール(パウチの筒状を形成するために)及び端部シール(両端でパウチを閉じるために)によって、パッキング、例えば、パウチを形成するために一般に使用される。ラップシールは、構造の内部(内)層(すなわち、シーラント層)及び構造の外部(外)面を重ね合わせて、それらをヒートシーリングすることによって形成される。フィンシールは、典型的に、バッグの後部中央において、構造の内部(シーラント)面を合わせて、それら自体に対してシールする。ラップシールは、フィンシールと比較して、折り目を作成する必要がないため、材料の節減を提供する。
【0004】
エラストマー及びプラストマーなどのポリプロピレン(PP)系フィルムに対して強いシーラントは、高気密シールを提供するが、剥離シール属性が不足する。
【0005】
WO2014/100386は、複数区画パウチフォーマットであるが、すべての場合で2つのシーラント層面をシーリングすることによるプロピレン系プラストマーまたはエラストマー(PBPE)樹脂の剥離シール(フランジブルシール)及びロックアップシール(ハードシール)の組み合わせを教示している。それは、フィンシールを有するパッケージングフォーマットを教示している。
【0006】
パッケージング産業に対する継続的な関心は、(消費者利便のための)可剥性端部シール及び(取り扱い及び輸送中の気密シーリングのための)非可剥性ラップシールの両方を有するパッケージである。このようなパッケージは、延伸PP系ラミネートにおいて使用される典型的なシーラントにとって難題である。パウチフォーマットにおけるこのようなシーラント、例えば、PBPEは、一般に、端部シール及びラップシールのための非可剥性シールを提供する。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態において、本発明は、
(A)延伸ポリプロピレン(OPP)を含む外面と、
(B)ブレンドであって、ブレンドの重量基準の重量パーセントにおいて、
(1)30〜80重量%のプロピレン系プラストマーまたはエラストマー(PBPE)、及び
(2)20〜70重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)、のブレンドを含む内面と、を含むパッケージであり、
パッケージが、
(C)ヒートシールにおいて、内面の2つの部分を接合することによって形成される可剥性端部シールであって、ヒートシールが、1〜4ポンド/インチ(lb/in)(4.48〜17.9ニュートン(N)/25.4ミリメートル(mm))のシール強度を有する、可剥性端部シールと、
(D)ヒートシールにおいて、前記内面の部分を前記外面の部分と接合することによって形成されるラップシールであって、前記ヒートシールが、(≧)15lb/インチ(67.2N/25.4mm)以上のシール強度を有する、ラップシールと、をさらに含む。
【0008】
一実施形態において、パッケージは、パウチである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】フィンシールの形成を例証する一連の3つの図面である。
図2】ラップシールの形成を例証する一連の3つの図面である。
図3】T形状及びI形状の引張力を例証する図面である。
図4】発明構造及び比較構造のT形状の引張ヒートシール強度を報告するグラフである。
図5】発明構造及び比較構造のI形状の引張ヒートシール強度を報告するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
反対の記述、文脈からの暗示、または当技術分野においての慣例がない限り、すべての部及び百分率は重量基準であり、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。米国特許実務のために、参照されるあらゆる特許、特許出願もしくは刊行物の内容は、その全体が参照により組み込まれ(または、その相当する米国版が、同じように参照により組み込まれる)、特に、定義の開示(本開示において具体的に示されるいかなる定義とも矛盾しない程度に)、及び当技術分野における一般知識に関して参照により組み込まれる。
【0011】
本開示の数値範囲は、下限値及び/または上限値、及びそれらの値を含むすべての値を含む。明確な値(例えば、1〜10、または3〜5、または6など)を含有する範囲については、任意の2つの明確な値の間のあらゆる部分範囲も含まれる(例えば、1〜2、2〜6、5〜7、3〜7、5〜6など、または、3〜4.5、もしくは5.5など)。
【0012】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、同じであることが特に開示されているかどうかにかかわらず、あらゆる追加の構成成分、ステップ、または手順の存在を排除することを意図しない。あらゆる疑念を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用により請求されるすべての組成物は、反対の記述がない限り、重合による、または別の方法によるかにかかわらず、あらゆる追加の添加剤、補助剤、または化合物を含んでもよい。対照的に、「から本質的になる」という用語は、あらゆる後続の詳説の範囲から、あらゆる他の構成成分、ステップ、または手順を除外し、実施可能性にとって必須でないものを除く。「からなる」という用語は、明確に詳述されないかまたは列挙されない、あらゆる構成成分、ステップ、もしくは手順を除く。
【0013】
特に明記しない限り、「または」という用語は、個々及び任意の組み合わせにおいて列挙された要素を指す。
【0014】
単数の使用は、複数の使用を含み、その逆もまた同様である。
【0015】
「ヒートシール可能なフィルム構造」などの用語は、ヒートシーリング手順に供されるときに、ヒートシールを形成するフィルム構造を意味する。ヒートシーリング手順は、開位置から閉位置まで移動するホットメタルシーリングジョーを含む。閉位置において、ホットメタルジョーは、所定のシーリング圧力、及び所定のシーリング温度でフィルムの最外層としばらくの間直接接触する(ドウェルタイム)。ドウェルタイムの間、熱は、フィルムの最外層を通じて伝達され、反対側の内側シール層を溶融かつ融着してヒートシールを形成する。一般に、最外層は、シール層よりも高い溶融温度を有する。このため、シール層は溶融されシールを形成するが、フィルムの最外層は、溶融せず、シーリングジョーに、粘着しない、または実質的に粘着しない。シーリングジョーバーに対する表面処理は、フィルムに対する粘着性効果をさらに低減するために適用されてもよい。シーリングジョーの再開後、フィルムは、室温に冷却される。ヒートシーリング手順を使用して、例えば、バッグ、パウチ、サッシェ、及びスタンドアップパウチなどの所望の形状にフィルムを形成することができる。
【0016】
実施形態において、ホットメタルジョーは、形成、充填、及びシール装置の構成要素である。
【0017】
ヒートシールは、フランジブルシールまたはハードシールであることができる。「フランジブルシール」は、フィルムを破壊することなく手で分離可能(または剥離可能)であるヒートシールである。「ハードシール」は、フィルムを破壊することなく手で分離不可能であるヒートシールである。一般に、フランジブルシールは、シールに対して指圧または手の圧力を印加することによって分離可能または開放可能となるように設計される。ハードシールは、シールに対して指圧または手の圧力を印加することによって無傷で残存するように設計される。ヒートシール強度は、ASTM F88−94に従って測定される。
【0018】
「ホットタック強度」などの用語は、シールが作製された直後、及びシールが周囲温度に冷却される前のフレキシブルウェブの熱可塑性表面の間に形成されるヒートシールの強度を意味する。形成−充填の動作において、パッケージのシール領域は、まだ熱い間に頻繁に破壊的な力に供される。ホットシールがこれらの力に対して不適切な耐性を有する場合、パッケージングプロセスの間に破損が生じる場合がある。ホットシール強度としても既知であるホットタック強度は、この品質が不可欠である商業的用途における、材料のその実行能力について特性化して、等級付けする手段である。ホットタック強度は、ASTM F1921/F1921M−12e1に従って測定することができる。
【0019】
「パウチ」、「パッケージングパウチ」などの用語は、シールされたプラスチック容器を意味する。パウチは、典型的に、非常にフレキシブルであるが、いくつかは、充填されたときに、自立するように設計される。パウチは、典型的に、プラスチックラミネートフィルムから形成されて、一般の形状では管状である。管状の長手方向または細長い側面は、フィルムをその長手方向軸に沿ってそれ自体上へ曲げること、及びその長手方向縁部をフィンまたはラップシールに接合することによって形成される。管状は、典型的に、その交差軸または横軸に沿って2つの端部シールを形成することによって「閉じられる」。パウチは、限定されないが、食品、飲料、医薬品、産業的な必需品などを含む多種多様な商品、典型的には、液体、及び易流動性固体をパッケージングするために使用される。
【0020】
「プロピレン系プラストマー」などの用語は、プロピレンから誘導された少なくとも50重量パーセント(重量%)のマー単位を含み、かつ0.8801〜0.9000g/cmの密度を有するポリマーを意味する。典型的には、ポリマーの残りのマー単位は、エチレン及び/またはC4−12アルファ−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどを含む。
【0021】
「プロピレン系エラストマー」などの用語は、プロピレンから誘導された少なくとも50重量%のマー単位を含み、かつ0.8601〜0.8800g/cmの密度を有するポリマーを意味する。典型的には、ポリマーの残りのマー単位は、エチレン及び/またはC4−12アルファ−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどを含む。
【0022】
「マー」、「マー単位」などの用語は、典型的に、ポリマーが作製されるモノマー類から誘導されたポリマーの繰り返し単位を意味する。ポリエチレンについてのマー単位は、エチレン(CH=CH)から誘導される−CH−CH−であり、ポリプロピレンについてのマー単位は、プロピレン(CH=CH−CH)から誘導される−CH−CH−(CH)である。
【0023】
ヒートシール
フィン及びラップシール
ヒートシール可能な可剥性フィルム(「可剥性シール」としても既知)は、例えば、食品または医療装置を含む容器を一時的に閉じるために、大規模に用いられる。使用中、消費者は、可剥性フィルムを引き剥がす。剥離性は、一般に、パッケージを開放する過程で2つのうちのいずれかの完全性を損なうことなく、2つの材料または基材を分離する能力を指す。消費者受容を得るために、ヒートシール可能な可剥性フィルムと関連する多くの特性が所望される。例えば、「可剥性」特性に加えて、フィルムは、容器またはバッグの漏れ止めクロージャも提供しなければならない。
【0024】
パッケージをシールするために、ヒートシーリングが一般に使用される。自動パッケージングラインにおいて形成される典型的なパウチまたはバッグは、上部シール、下部シール、及び後部シールを有する。典型的には、(典型的に、パウチの後部中央で)パウチの筒状を形成するために使用されるシールは、フィンシールまたはラップシールである。
【0025】
図1に示すように、フィンシールは、典型的には、バッグの後部中央において、フィルムの内面を合わせて、それ自体に対してシールするときに形成される。フィンシール(シーラント対シーラント)は、(外面の組成物(例えば、OPP)が固有のシール特性を有しないとき)より高いシール強度を達成する利点を有するが、ラップシールに比べて、より多く(単位当たりおよそ4%多くの面積)のパッケージング領域を必要とし、これにより、より高価である。
【0026】
図2に示すように、ラップシールは、典型的には、再度、バッグの後部中央において、フィルムの内面が、フィルムの反対面または外面に対してシールするときに形成される。ラップシール(シーラント対スキン)は、フィンシールよりも少ないパッキング領域を有する利点を有するが、シール強度は、フィンシールに比べて乏しい。
【0027】
端部シール
端部シールは、フィルムの内面の2つの部分、典型的には、端部部分を合わせて、互いに対してシールするときに形成される。端部シールは、パッケージ、例えば、パウチの上下端部に位置し、それらは、典型的に、フィンまたはラップシールに対して垂直である。
【0028】
測定
シールを引き離すために必要な力は、「シール強度」(「ヒートシール強度」としても既知)と呼ばれている。本開示の目的のために、シール強度は、ASTM F88−94に従って測定される。ホットタック強度の測定とは異なり、シール強度は、周囲条件で測定される。図3は、消費者によって取り扱われるときに、端部シール及びラップシールを有するパウチが受ける典型的な力を例証する。パウチの端部(ここでは、「上部」)シールについてのシール強度は、T形状の引張力(90°の角度でパッケージの上部の両端を引っ張ることによって)によって測定され、これは、消費者が彼/彼女の手でパッケージを開放するのに及ぼす力を擬態する。
【0029】
ラップ(ここでは、「後部」)シールについてのシール強度は、I形状の引張力(180°の角度でパッケージの両側を引っ張ることによって)によって測定され、これは、パッケージがその取り扱い及び輸送の間に受ける力を擬態する。
【0030】
このため、シールの所望のシール強度は、特定のエンドユーザ用途及びパッケージの設計に従って変化する。T剥離シール強度は、個々の製造業者要件に従って一般に特定される。フレキシブルパッケージング用途、例えば、シリアルのライナー、スナック食品パッケージ、クラッカーチューブ、及びケーキミックスライナについて、所望のT形状シール強度は、一般に、1〜4lb/インチ(4.48〜17.9N/25.4mm)、または1〜3lb/インチ(4.48〜13.4N/25.4mm)、または1〜1.5lb/インチ(4.48〜6.7N/25.4mm)の範囲である。I剥離ヒートシール試験は、ラップシールを分離するための現実のラップシール力をシミュレーションする。パッケージの気密シールを保証するためには、典型的に、強いシールが望ましい。このようなシールは、様々な名前のなかでも、ロックアップシールとして既知である。これらのシールは、一般に、少なくとも5lb/インチ(22.4N/25.4mm)、または10lb/インチ(44.8N/25.4mm)、または15lb/インチ(67.2N/25.4mm)のI形状シール強度を有する。
【0031】
パッケージ
本発明のパッケージは、サイズ、形状、組成、及び構成において幅広く変化することができる。種々の構成としては、パウチ(自立形パウチを含む)及びサッシェが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、パッケージは、ラミネートフィルムから構成されたパウチである。ラミネートフィルムは、少なくとも外面(ラミネーション基材としても既知であり、それは、一般に、延伸ポリプロピレンなどの延伸材料に基づき、または場合によっては、延伸もしくは非延伸ポリエチレン基材を使用することができる)及び内面を含む(一般に、ヒートシール可能な層を含有するシーラントフィルムとしても既知である。これは、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、またはこれらのコポリマーを含む材料に基づくモノまたは共押出構造であり得る)。ラミネートフィルムは、少なくとも2層の層を含み、各層は、フィルムまたはコーティングである。ラミネートフィルムは、1層以上の中間層、すなわち、外層と内層との間の層を含むことができ、これは、フィルムまたはコーティングのいずれかであり得る(その後者は、一般に、一種の液体接着剤または溶融ポリマー、例えば、ポリエチレンであり、外層及び内層を結合する)。各層、すなわち、外部、中間、及び内部は、2層以上の副層を含むことができる。
【0032】
外層
パッケージの外層は、一軸延伸キャストポリプロピレン(cPP)及び二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)を含むOPPを含む。いずれのものも、透明、裏印刷もしくは直接印刷、コーティング、着色、及び/または金属化フィルムであり得る。典型的には、外層は、単一シートのOPPフィルムを含み、すなわち、単一シートは、いかなる副層も含まない。このため、外層の両面は、OPPを含む、またはOPPから本質的になる、またはOPPからなる。本発明の実施において使用されるOPPは、既知の材料であり、市販されている。
【0033】
内層
パッケージの内層は、その表面のうちの1つ、すなわち、少なくともパッケージの内部に開放され、外層の表面のうちの1つ(ヒートシールの一部として以外)または中間層の表面のうちの1つのいずれかと接触しない表面として、ブレンドの重量基準の重量パーセントにおいて、(1)少なくとも50%、または60%、または70%、または80%、または90%のプロピレン系プラストマーまたはエラストマー(PBPE)、及び(2)50%未満、または40%、または30%、または20%、または10%の低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンドを含む。一実施形態において、内層は、少なくとも70重量パーセント(wt%)のPBPE及び30重量%を超えないLDPEを含むブレンドを含む単一シートのフィルム、またはそのブレンドから本質的になる単一シートのフィルム、またはそのブレンドからなる単一シートのフィルムを含む。ブレンドは、限定されないが、スリップ剤、粘着防止剤、抗酸化剤などを含む1つ以上の添加剤を含むことができる。存在する場合、これらの添加剤は、ブレンド、すなわち、PBPE、LDPE、及び添加剤の総重量基準で、既知の量、例えば、全体で通常10重量%未満、または5重量%、または3重量%、または2重量%で使用される。
【0034】
一実施形態において、内層は、2層以上の副層を含み、その一方の副層(すなわち、パッケージの内部に開放された表面を有する副層)は、PBPE/LDPEブレンドを含み、またはPBPE/LDPEブレンドから本質的になり、またはPBPE/LDPEブレンドからなり、他方の層のそれぞれは、それらのいずれもパッケージの内部に開放された表面を有さず、PBPE/LDPEブレンド以外のポリマー材料を含む。このような他のポリマー材料としては、ポリオレフィン(好ましい)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、各副層は、フィルムであり、内層自体は、共押出フィルムであり、各副層は、それが隣接する副層と接合して接触する。
【0035】
一実施形態において、内層は、3層の副層を含む共押出フィルムであり、第1の副層は、PBPE(例えば、VERSIFY(商標)2000)を含み、またはPBPEから本質的になり、またはPBPEからなり、第2の副層は、ポリオレフィン(好ましくは、ポリエチレン、より好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE))を含み、またはポリオレフィンから本質的になり、またはポリオレフィンからなり、第3の副層は、PBPE/LDPEブレンドを含み、またはPBPE/LDPEブレンドから本質的になり、またはPBPE/LDPEブレンドからなる。副層は、第1の副層の一方の表面(下面)が、第2の副層の一方の表面(上面)と接触し、第2の副層の他方の表面(下面)が、第3の副層の一方の表面(上面)と接触するように配置される。このため、第1の副層の上面は、外層の下面または中間層の下面のすべてもしくは一部のいずれかと接合するように利用可能である。このため、第3の副層の下面は、ヒートシールにおいて外層の上面の一部と接合するように利用可能であり、また、第3の副層の下面の残りは、パッケージの内面として機能するように利用可能である。
【0036】
PBPE
一実施形態において、PBPEは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有することを特徴とする。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」は、配列が0.85超、または0.90超、または0.92超、または0.93超の13C NMRによって測定されるアイソタクチックトライアド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアドは、当技術分野において既知であり、例えば、USP5,504,172及びWO2000/01745に記載されており、これらは、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖中のトライアド単位に関するアイソタクチック配列に言及する。
【0037】
PBPEは、ASTM D−1238(230℃/2.16kg)に従って測定された0.1〜25g/10分(min)の範囲のメルトフローレート(MFR)を有する。例えば、MFRは、下限の0.1、0.2、または0.5から上限の25、15、10、8、または5g/10分にすることができる。例えば、PBPEがプロピレン/エチレンコポリマーであるとき、それは、0.1〜10g/10分、または代替例において、0.2〜10g/10分の範囲のMFRを有してもよい。
【0038】
PBPEは、少なくとも1〜30重量(少なくとも2〜50ジュール/グラム(J/g)未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有する。例えば、結晶化度は、下限の1、2.5、または3重量(それぞれ、少なくとも2、4、または5J/g)から上限の30、24、15、または7重量(それぞれ、50、40、24.8、または11J/g未満)であることができる。例えば、PBPEがプロピレン/エチレンコポリマーであるとき、それは、少なくとも1〜24、15、7、または5重量%(それぞれ、少なくとも2〜40、24.8、11、または8.3J/g未満)の範囲の結晶化度を有してもよい。結晶化度は、WO2014/100386に記載されるDSC法によって測定される。
【0039】
プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレンから誘導された単位、ならびにエチレンコモノマー及び任意選択で、C4−C10α−オレフィンから誘導されたポリマー単位を含む。例示的なコモノマーは、C及びC〜C10のα−オレフィン、例えば、C、C、C、Csα−オレフィンである(エチレンは、本開示においてα−オレフィンとみなされる)。
【0040】
一実施形態において、PBPEは、1〜40重量%のエチレンコモノマーを含む。例えば、コモノマー含有量は、下限の1、3、4、5、7、または9重量%から上限の40、35、30、27、20、15、12、または9重量%であることができる。例えば、プロピレン/エチレンコポリマーは、1〜35重量%、または代替例において、1〜30、3〜27、3〜20、もしくは3〜15重量%のエチレンコモノマーを含む。
【0041】
実施形態において、PBPEは、ISO 1183に従って測定された0.8601g/cm、または0.8701g/cm〜0.9000g/cm、または0.8900g/cmの密度を有する。
【0042】
実施形態において、PBPEは、3.5以下、代替例において、3.0以下、または別の代替例において、1.8〜3.0の数平均分子量(Mw/Mn)で割った重量平均分子量として定義される分子量分布(MWD)を有する。WO2014/100386に記載されるように、従来のゲル透過クロマトグラフィ(GPC)測定を使用して、Mw、Mn、及びMw/Mnを決定する。
【0043】
このようなPBPEタイプのポリマーは、USP6,960,635及び6,525,157にさらに記載されている。このようなPBPEは、VERSIFYの商標でThe Dow Chemical Companyから、またはVISTAMAXXの商標でExxonMobil Chemical Companyから市販されている。
【0044】
実施形態において、PBPEは、(A)プロピレンから誘導された60〜100未満、80〜99、または85〜99重量の単位、及び(B)エチレン及び任意選択で、1つ以上のC4−12アルファ−オレフィンから誘導されたゼロ超〜40、または1〜20、4〜16、または4〜15重量の単位を含み、かつ平均少なくとも0.001、少なくとも0.005、または少なくとも0.01の長鎖分岐/1000全炭素を含有するものとしてさらに特徴付けられ、長鎖分岐という用語は、短鎖分岐超の少なくとも1つの炭素の鎖長を指し、短鎖分岐は、コモノマー中の炭素の数未満の2つの炭素の鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、長さが少なくとも7つの炭素の長鎖分岐を有する主鎖を有するが、これらの主鎖は、長さが6つの炭素のみの短鎖分岐も有する。プロピレン/エチレンコポリマーインターポリマーにおける長鎖分岐の最大数は、3長鎖分枝/1000の全炭素を超えない。
【0045】
実施形態において、PBPEコポリマーは、WO2014/100386に記載されるDSC法によって測定された55℃〜146℃の溶融温度(Tm)を有する。
【0046】
好適なプロピレン/エチレンコポリマーの非限定的な例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY 2000である。
【0047】
LDPE
一実施形態において、本発明の実施に使用されるLDPEは、ASTM 1238(190℃/2.16kg)に従って測定された0.2g/10分、または0.5g/10分〜10g/10分、または20g/10分、または50g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0048】
一実施形態において、LDPEは、ASTM D792に従って測定された0.915g/cm〜0.925g/cc、または0.930g/cm、0.935g/cm、または0.940g/cmの比重を有する。
【0049】
実施形態において、LDPEは、オートクレーブ高圧重合プロセス、管状高圧重合プロセス、またはそれらの組み合わせで作製される。さらなる実施形態において、LDPEは、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを排除する。
【0050】
PBPE/LDPEブレンド
一実施形態において、PBPE/LDPEブレンドは、30重量%〜80重量%のPBPE及び20重量%〜70重量%のLDPEを含む。重量パーセントは、ブレンド、すなわち、PBPE、LDPE、及び他の任意のブレンド構成要素、例えば、添加剤の総重量に基づく。
【0051】
実施形態において、PBPE/LDPEブレンドは、少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%のPBPE及び50重量%未満、または40重量%未満、または30重量%であるが、少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも20重量%のLDPEを含む。PBPE/LDPEブレンドは、ASTM D792に従って測定された0.890g/cm〜0.915g/cmの比重及びASTM D1238(190℃/2.16kg)に従って測定された1.0g/10分〜2.0g/10分のメルトインデックスをさらに有する。
【0052】
一実施形態において、PBPE/LDPEブレンドは、75重量%のPBPE及び25重量%のLDPEを含む。75/25ブレンドは、0.89g/cm〜0.90g/cmの比重及び3.0g/10分〜4.0g/10のメルトインデックスをさらに有する。さらなる実施形態において、75/25ブレンドは、0.895g/cmの比重及び3.8g/10分のメルトインデックスを有する。
【0053】
中間層
本発明の一実施形態において、パッケージは、1層以上の中間層を含むことができる。これらの層は、種々の機能のいずれか、例えば、外層と内層との間のタイとして、外層及び内層の一方または両方と別の中間層との間のタイとして、水分及び/または酸素に対するバリア層として、物理的強度をパッケージに提供する手段などとして機能することができ、これらの層は、単一シートのフィルムもしくは2層以上の副層を含み、または単一シートのフィルムもしくは2層以上の副層から本質的になり、または単一シートのフィルムもしくは2層以上の副層からなる。中間層の例としては、バリアフィルム、例えば、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(SARAN(商標)フィルム)、ポリアミド、アルミ箔など、接着剤フィルムまたはコーティング、例えば、PBPE、ポリアクリレート、ポリエチレン、接着剤(溶剤系、水性、及び無溶剤)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
層厚
ラミネートフィルムの厚さ、ならびにラミネートフィルムの種々の層及び副層(存在する場合)の厚さは、幅広く変化することができる。典型的には、ラミネートフィルム、すなわち、パッケージが形成されるフィルムの厚さは、0.3〜6.0mil(8〜152μm)、より典型的には、0.8〜4.0mil(20〜100μm)、さらにより典型的には、1.0〜3.0mil(25〜76μm)である。
【0055】
外層の厚さは、典型的には、0.3〜3.0mil(8〜76μm)、より典型的には、0.4〜2.0mil(10〜50μm)、さらにより典型的には、0.5〜1.2mil(12〜30μm)である。
【0056】
内層の厚さは、典型的には、0.4〜4mil(10〜100μm)、より典型的には、0.5〜3.0mil(12〜76μm)、さらにより典型的には、0.8〜2.0mil(20〜50μm)である。
【0057】
任意の個々の中間層の厚さは、典型的には、0.3〜3.0mil(8〜76μm)、より典型的には、0.4〜2.0mil(10〜50μm)、さらにより典型的には、0.5〜1.2mil(12〜30μm)である。
【0058】
任意の特定の層の任意の特定の副層の厚さは、とりわけ、副層の組成及び目的によって変化する。
【0059】
ラミネートフィルムを形成するための手順
ラミネートフィルムは、押出コーティング/ラミネーションまたは接着剤ラミネーションのいずれかによって調製することができる。
【0060】
押出コーティング/ラミネーション
押出コーティングまたはラミネーションは、パッケージング材料を製造するための技法である。キャストフィルムと同様に、押出コーティングは、フラットダイ技法である。フィルムは、例えば、USP4,339,507に記載されるプロセスに従って、単層または共押出品のいずれかの形態で、基材上へ押出コーティングすることができる。複数の押出機を利用する、または数回、種々の基材を押出コーティングシステムに通過させることによって、バリア、靭性、または改善されたホットタックまたはヒートシール性であるかどうかにかかわらず、いくつかの種類の性能属性をそれぞれ提供する複数のポリマー層をもたらすことができる。多層/多基材システムのためのいくつかの典型的な最終使用用途は、スナック、乾燥食品、液体、またはチーズパッケージ用である。他の最終使用用途としては、ペットフード、スナック、チップス、冷凍食品、肉、ホットドッグ、及び多数の他の用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
接着剤ラミネーション
以下は、接着剤ラミネーションを形成するための手順の例証である。既知の厚さ(例えば、48ミクロン)外部フィルム(ラミネーション基材)は、溶剤系(もしくは無溶剤)または水性接着剤が約0.5〜3ポンド/リームのコーティング重量で20〜50%の固体で塗布されるコーティングデッキを通過する。接着剤が塗布された後、ウェブを(必要に応じて)乾燥させるためにオーブンを通じて移動させ、その後、少なくとも加熱されたスチールロール及びゴムロールを含むラミネータに移動させる(他の構成も、存在してもよい)。コーティングされた外部フィルムの裏側は、ホットスチールロールと接触する。一方、内部フィルムは、約38〜42ダインに処理されたコロナである。コロナ処理されたフィルムの側面は、それがゴムロールと加熱されたスチールロールとの間に入り、2つの基材が合わせられるので、外部基材の接着剤側面と接触する。得られたラミネート構造は、巻き戻しシステムに巻き付けられ、このように最終的なラミネートを形成する。
【0062】
パッケージを形成するための手順
フレキシブルフィルムを使用して、所与の内容物を保護するためのパッケージングを形成する。フレキシブルフィルムを有するパッケージを製造する複数の方法が存在する。例えば、垂直フォームフィルシール(VFFS)は、フレキシブルフィルムのフラットシートが縦のシール(ラップまたはフィンシール)によって筒状に変えられて、その後、(一般に)上部及び下部シールによってパウチに変化させるプロセスである。VFFSプロセスにおいて、パッケージは、垂直面上をシールされ、その後、下部及び上部水平シールが形成される。Bilgen,M.,Van Dun,J.,Insuring Seal Integrity and Broad Operating Window,TAPPI,Place Conference(2012)を参照のこと。
【0063】
水平フォームフィルシール(HFFS)パッケージングプロセスは、VFFSプロセスと非常に類似している。HFFSプロセスは、パッケージ端部が横から横に切られる水平面上の摺動によるパッケージシーリングを伴う。
【0064】
パッケージ使用
本発明のパッケージによって格納するのに好適な内容物の非限定的な例としては、食料品(飲料、スープ、チーズ、穀類)、液体、シャンプー、油、ワックス、緩和剤、ローション剤、保湿剤、薬剤、ペースト、界面活性剤、ゲル、接着剤、懸濁液、溶液、酵素、石鹸、化粧品、リニメント剤、流動性微粒子、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0065】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例証する。
【実施例】
【0066】
発明構造
本発明の構造は、以下の層からなった:
(1)透明かつ裏印刷されたBOPPの外層、
(2)タイ層は、
(a)0.888g/cm(ISO 1183)の密度、2.0g/10分のMFR(230℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有するプロピレンエチレンコポリマー(プラストマー)であり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のVERSIFY(商標)2000からなる第1の副層(30重量%)、
(b)0.921g/cm(ASTM D792)の比重、6.0g/10分のMI(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有する直鎖状低密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のDOWLEX(商標)2035からなる第2の副層(40重量%)、及び
(c)0.938g/cm(ISO 1183)の密度、11.0g/10分のMFR(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有するエチレンアクリル酸コポリマーであり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のPRIMACOR(商標)3440からなる第3の副層(30重量%)、のブレンドを含む3−副層共押出コーティングウェブであり、
(3)金属化BOPP
(4)3−副層の共押出内(シーラント)層であって、
(d)100%のVERSIFY(商標)2000からなる第1の副層(27.5の重量%)、
(e)0.920g/cm(ASTM D792)の比重、8.0g/10分のMI(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有する低密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のLDPE 722からなる第2の副層(27.5重量%)、及び
(f)0.895g/cm(ASTM D792)の密度、3.80g/10分のMI(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)、または8.50g/10分のMFR(230℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有する約75%のPBPE及び約25%のLDPEの100%の溶融混練ポリエチレン樹脂からなる第3の副層(45重量%)、からなる3−副層の共押出内(シーラント)層。
【0067】
タイ層は、16ポンド/リームの総率で、透明なBOPP及び金属化BOPPの一方または両方に適用される。
【0068】
厚さは、
外層は、1.2mil(30μm)であり、
タイ層は、16lb/リームであり、
金属化OPP層は、0.7mil(18μm)であり、
内層は、1.1mil(28μm)である。
【0069】
内層の副層の厚さは、
第1の副層(VERSIFY(商標)2000)−0.3mil(8μm)、
第2の副層(LDPE 722)−0.3mil(8μm)、及び
第3の副層(PBPE/LDPEブレンド)−0.5mil(12μm)である。
【0070】
本発明の構造の層は、外層の一方の(下部)表面が、タイ層の一方の(上部)表面と接触し、タイ層の他方の(下部)表面が、金属化OPP層の一方の(上部)表面と接触し、金属化OPP層の他方の(下部)表面が、内層の一方の(上部)表面と接触するように配置される。内層の副層は、第1の副層の一方(下部)が、第2の副層の一方(上部)と接触し、第2の副層の他方(下面)が、第3の副層の一方(上面)と接触するように配置される。第1の副層の上面は、金属化OPP層の下面と接触する(VERSIFY(商標)2000プラストマーは、OPPポリマーに良好に接着する)。第3の副層(PBPE/LDPEブレンド)の下面は、構造の下面でもあり、このため、それは、可剥性端部シールを形成することができる。それは、非可剥性ラップシールを形成するために外層(OPP)の上面と接合することもできる。
【0071】
比較構造
比較構造は、以下の層からなった:
(1)OPPの外層、
(2)タイ層は、
(a)0.888g/cm(ISO 1183)の密度、2.0g/10分のMFR(230℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有するプロピレンエチレンコポリマー(プラストマー)であり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のVERSIFY(商標)2000からなる第1の副層(30重量%)、
(b)0.921g/cm(ASTM D792)の比重、6.0g/10分のMI(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有する直鎖状低密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のDOWLEX(商標)2035からなる第2の副層(40重量%)、及び
(c)0.938g/cm(ISO 1183)の密度、11.0g/10分のMFR(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有するエチレンアクリル酸コポリマーであり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のPRIMACOR(商標)3440からなる第3の副層(30重量%)、のブレンドを含む3層の副層共押出コーティングウェブであり、
(3)金属化BOPP、
(4)3−副層の共押出内(シーラント)層であって、
(d)100%のVERSIFY(商標)2000からなる第1の副層(27.5の重量%)、
(e)0.9135g/cm(ASTM D792)の密度、1.9g/10分のMI(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有する約30%のPBPE及び約70%のLDPEの100%の溶融混練ポリエチレン樹脂からなる第2の副層(27.5重量%)、及び
(f)0.904g/cm(ASTM D792)の比重、7.5.0g/10分のMI(190℃/2.16kg)(ASTM D1238)を有するエチレン−アルファ−オレフィンコポリマーであり、The Dow Chemical Companyから入手可能な100%のAFFINITY PT 1450G1からなる第3の副層(45重量%)、からなる3−副層の共押出内(シーラント)層。
【0072】
タイ層は、16ポンド/リームの総率で、透明なBOPP及び金属化BOPPの一方または両方に適用される
【0073】
厚さは、
外層は、1.2mil(30μm)であり、
タイ層は、16lb/リームであり、
金属化OPP層は、0.7mil(18μm)であり、
内層は、1.1mil(28μm)である。
【0074】
内層の副層の厚さは、
第1の副層(VERSIFY(商標)2000)−0.3mil(8μm)、
第2の副層(XUS−56703.03)−0.3mil(8μm)、及び
第3の副層(AFFINITY PT 1450G1)−0.5mil(12μm)である。
【0075】
AFFINITY PT 1450G1(第3の副層)は、非可剥性ラップシールを提供するために使用されるが、それは、可剥性端部シールとして作用しないため、層間剥離を介して剥離シールを提供する意図で、第2の副層において、異なる製剤が使用された。この異なる製剤は、低ネックイン押出性能のための溶融強度も提供する。
【0076】
本発明の構造の層は、外層の一方の(下部)表面が、タイ層の一方の(上部)表面と接触し、タイ層の他方の(下部)表面が、金属化OPP層の一方の(上部)表面と接触し、金属化OPP層の他方の(下部)表面が、内層の一方の(上部)表面と接触するように配置される。内層の副層は、第1の副層の一方(下部)が、第2の副層の一方(上部)と接触し、第2の副層の他方(下面)が、第3の副層の一方(上面)と接触するように配置される。第1の副層の上面は、金属化OPP層の下面と接触する(VERSIFY(商標)2000プラストマーは、OPPポリマーに良好に接着する)。第3の副層(AFFINITY PT 1450G1)の下面は、構造の下面でもあり、このため、それは、非可剥性ラップシールを形成するために外層(OPP)の上面と接合することができる。比較構造は、非可剥性ラップシール及び非可剥性端部シールを提供する。
【0077】
発明構造及び比較構造のための調製方法
押出コーティング/ラミネーションを使用して、本発明の試料及び比較試料を製作する。押出コーティング機器は、以下のものを含んだ:
【0078】
【表1】
【0079】
結果及び考察
T形状ヒートシール強度測定(90°の角度でシールの2つの端部を引っ張ることによって測定される)を使用して、パウチ上の端部シールの剥離力を測定する。4ポンド/インチ以下は、容易な剥離機能を保証するのに望ましいヒートシール強度である。図4に示されるデータは、発明構造(819544)が可剥性シールを提供することを示す。一方、比較構造(819545)は、可剥性ではない。
【0080】
I形状(オーバーラップ)ヒートシール強度測定(180°の角度でシールの2つの端部を引っ張ることによって測定される)を使用して、パウチ上のラップシールの剥離力を測定する。15ポンド/インチヒートシール強度は、良好なシール完全性を保証するのに望ましい。図5に提供されたデータは、発明構造(863269)が15lb/インチ超のラップシール強度を提供することを示す。一方、比較構造(863271)は、15lb/インチ未満の剥離強度を示す。

図1
図2
図3
図4
図5