特許第6882294号(P6882294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882294ロータ回転軸が水平なトンネル風力タービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882294
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ロータ回転軸が水平なトンネル風力タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/04 20060101AFI20210524BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   F03D1/04 B
   F03D1/06 A
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-530477(P2018-530477)
(86)(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公表番号】特表2018-525571(P2018-525571A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】PL2016000090
(87)【国際公開番号】WO2017034426
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】P.413664
(32)【優先日】2015年8月25日
(33)【優先権主張国】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】518063414
【氏名又は名称】スタスズール ロマン
【氏名又は名称原語表記】STASZOR, Roman
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】スタスズール ロマン
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−002351(JP,A)
【文献】 特開2001−055969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/04
F03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平ロータ回転軸を有するトンネル風力タービンであって、
回転体の形態のディフューザ(1)であって、前記ディフューザの壁は、前記壁の軸方向断面において、凹凸状の航空力学的プロファイルの形状を有し、突出部(17)が流入する空気に向けられ、垂直回転軸の風向ベアリングセット(6)によってタービンマスト上に支持される、ディフューザ(1)と、
ブレード(7)を有するロータ(2)であって、
前記ブレード(7)の下端が前記ディフューザ(1)と同軸となるようにハブ(3)に接続され、
前記ロータは、前記ハブ(3)とともに取り付けられたベアリングであり、これにより、
前記ブレード(7)は、前記ディフューザ(1)のスロート(R)面内で回転し、
前記ハブ(3)は、リブ(5)によって前記ディフューザ(1)と接続されるナセル(4)の空気力学的プロファイルと一致する輪郭を有するものである、ロータ(2)と、を備え、
前記ブレード(7)の前記下端が、前記ブレード(7)の前記下端および前記ハブ(3)に取り付けられたコネクタ(8)の高さによって決定される下側間隙(z2)の寸法だけ、前記ハブ(3)の表面から離れて配置され、前記ブレード(7)の上端と前記スロート(R)の表面との間の上側間隙(z1)および前記下側間隙(z2)の寸法は、前記スロート(R)の半径の0.5〜15%の範囲の寸法を有し、
前記上側間隙(z1)が前記ブレード(7)の前記上端、および、前記ディフューザ(1)の円周凹部(10)内で回転する回転リング(9)に固定された前記コネクタ(8)の高さによって決定され、前記上側間隙の内面が前記スロート(R)の形状を有し、
前記ディフューザ(1)の前記円周凹部(10)は、前記ディフューザ(1)の軸の方向に開いたC字形断面のものであり、前記ディフューザ(1)および風方向の前記ベアリングセット(6)の下側モジュール(14)の航空力学的プロファイルを決定する複合コーティング(12、13)が取り付けられている円形支持フレーム(11)によって形成され、
電流発生器(16)が、前記支持フレーム(11)内に組み込まれており、前記回転リング(9)の外周には固定磁石が取り付けられており、前記支持フレーム(11)には誘導コイルが固定されていることを特徴とする、
トンネル風力タービン。
【請求項2】
前記上側間隙(z1)および前記下側間隙(z2)の寸法の、前記プロファイルの前記ブレード(7)の端部の対応する翼弦(c1、c2)の長さに対する比が0.20〜2.5の範囲の値を有することを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記ブレード(7)の各々が、円形の断面を有し、半径方向において前記ブレード(7)の前記下端の前記プロファイルの端部の近くに固定される2つのコネクタ(8)によって前記ハブ(3)に取り付けられることを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項4】
前記ブレード(7)の各々が、円形の断面(d)を有し、半径方向において前記ブレード(7)の前記下端の前記プロファイルの前記上端および前記下端の近くに固定される2つのコネクタ(8)によって前記回転リング(9)および前記ハブ(3)に取り付けられることを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項5】
前記ナセル(4)の側面が、前記ディフューザ(1)の内面プロファイルの断面の鏡面反射である形状を有し、前記断面の端部はディフューザ軸(O−O)に平行な直線(l)と、前記ディフューザ(1)の前記突出部(17)の進行の前点を通って導かれる線との交点、および、前記ディフューザ(1)の開放部分の内面の点(l)によって決定されることを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項6】
前記スロート(R)の平面上のすべてのブレード(7)の軸方向投影の面積の、前記スロート(R
【請求項7】
入口孔(R)の面積の、前記スロート(R)を通る流れの活性領域に対する比は、1.0〜1.6、の範囲の値を有することを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項8】
入口孔(R)の面積の、出口孔(R)の面積に対する比は、0.5〜0.9の範囲の値を有することを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項9】
前記ディフューザ(1)の長さ(L)の、前記スロート(R)の直径に対する比は、0.3〜1.1の範囲の値を有することを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項10】
前記ディフューザ(1)の前記長さ(L)の、前記出口孔(R)の直径に対する比は、0.1〜0.9の範囲の値を有し、一方、前記ディフューザ(1)の前記長さ(L)は、前記入口孔(R)の直径に対しては、0.2〜1.0の範囲の値を有することを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項11】
前記タービンが前記ナセル(4)内に組み込まれた発電機(15)を有し、前記発電機の前記ロータが前記ロータ(2)の前記ハブ(3)から駆動されることを特徴とする
請求項1に記載のタービン。
【請求項12】
前記ディフューザ(1)、前記ディフューザの支持フレーム(11)、航空力学的プロファイルのコーティング(12、13)、前記回転リング(9)および前記電流発生器(16)の要素は、標準的なコンテナで輸送することを可能にする最大寸法を有する円周区画に分割され、前記区画は、締結具(18)によって、前記タービンの必要な作動形状に相互接続されることによって組み立てられる
請求項11に記載のタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、空気の運動エネルギーを回転機械エネルギーに変換し、次に電流発生器において電気エネルギーに変換される、ロータ回転軸が水平な単段ディフューザ風力タービンである。
【背景技術】
【0002】
トンネル風力タービンの開発は、主に、空気の遠心力運動エネルギーの損失の排除、および、ディフューザのスロートに組み込まれたロータを通じて流れる空気の速度をさらに増加させることによってそれを回復する可能性から生じる。ロータ回転軸が水平な単段ディフューザ風力タービンの数多くのさまざまなソリューションがあり、その設計はロータで覆われた領域からの高出力係数[W/m]を確保することである。この条件は、スロート内の空気流の量を加速して増加させることであり、これは、鈍角をできるだけ広く保ちながら、ディフューザを通る層流の空気流を比較的維持することを必要とする。ディフューザを通って流れる空気の流れの安定化を支援し、ディフューザの出口にある鈍角ゾーンおよびナセルの後ろの壁からの空気流の分離を防止するためにスワールを利用するソリューションを有する多くの風力タービンが知られている。
【0003】
トンネルタービンの現代的なソリューションにおいては風力エネルギーを最大限に使用していることに起因して、ブレードの上端とスロートの表面との間に許容可能に使用される小さな間隙があり、ハブとの接続には実質的に間隙がない。上側間隙の寸法を選択する際には、組み立ておよび設置条件、遠心力によって負荷をかけられたブレードの伸び、およびハブベアリングの許容摩耗による半径方向の「振れ」のみを考慮に入れる。実際にはスロート半径の0.05%を超えない、このような小さな間隙で発生する空気のスワールのエネルギーは無視できるほど小さく、ディフューザの負圧発散部分におけるロータ後方の空気流に対するその影響は無視できるほど小さい。
【0004】
とりわけ、国際公開第2009063599号、国際公開第2010005289号、国際公開第2014134032号および特開2003278635号において提示されている、トンネルタービンのソリューションが知られており、垂直方向外向きにオフセットされたフランジが存在し、その後方で、フランジの縁部に沿って、ディフューザの軸に垂直な平面内に存在する軸を有する、負圧および周方向のスワールが存在する。また、ディフューザのスロートの平面内にロータが配置されている特開2006152854号において提示されているソリューションが知られており、その壁は断面内に航空力学的プロファイルを有している。出口の近くのディフューザの壁の内面には、ディフューザと、その後端の軸に吸引ノズルを配置されているナセルとを接続するリブを通じて導通されるチャネルを介して接続された多数のノズルが穿孔されている。ナセルの後方に存在する負圧により、ディフューザの開放端部ゾーンの孔を通って空気が吸い込まれ、流れる空気の壁の近くの層が気流安定化効果によってディフューザ壁に吸引されるという好ましい結果が得られる。
【0005】
上記とは別に、米国特許第4720640号明細書によって提示されているタービンのソリューションも知られており、これは、回転体の形態の不動ディフューザを含み、その壁は凹凸形状を有し、その突出部は流入する空気に向けられている。ディフューザのスロート面に配置されたブレードを備えたロータが存在し、ブレードは、その下端でディフューザと同軸に取り付けられたハブベアリングと接続されている。ハブの輪郭は、ナセルの空気力学的プロファイルと一致する。ブレードの上端は、ディフューザのリング凹部に位置する回転リングと接続され、リングの内面は、ディフューザのスロートゾーンを形成する。当該記載は、タービンの2つの可能な実施形態、すなわち、ディフューザのリング凹部内に組み込まれた電流発生器によるものと、ナセル内に組み込まれた発電機によるものであり、そのロータがロータハブの側から駆動されるものとを提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009063599号
【特許文献2】国際公開第2010005289号
【特許文献3】国際公開第2014134032号
【特許文献4】特開2003278635号
【特許文献5】特開2006152854号
【特許文献6】米国特許第4720640号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によって解決される技術的問題は、流れの全抵抗を減少させ、タービンを通って流れる空気の体積の流れを増加させるために、スワールの好ましい衝撃を強めることによって、ディフューザ風力タービンの効率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるタービンは、上記のソリューションと同様に、回転体の形態の不動ディフューザを有し、その壁は、その軸方向断面において、凹凸状の航空力学的プロファイルの形状を有し、その突出部が流入する空気に向けられ、風向ベアリングセットによってタービンマスト上に支持される。
【0009】
ディフューザのスロート面にはベアリングが取り付けられたブレードロータがあり、そのブレードの下端はディフューザと同軸に取り付けられたハブベアリングと接続されている。ハブは、リブによってディフューザと接続されるナセルの流線型プロファイルと一致する輪郭を有する。本発明の本質は、ブレードの下端が、ブレードの下端およびハブに固定されたコネクタの高さによって決定される下側間隙の寸法だけ、ハブ面から離れて配置されることにある。この場合、ブレードの上端とスロートの表面との間の上側間隙および下側間隙の寸法は、スロート半径の0.5〜15%、好ましくは3〜8%の範囲の寸法を有する。
【0010】
上側間隙がブレードの上端、および、ディフューザの円周凹部内で回転する回転リングに固定されたコネクタの高さによって決定され、その内面がスロートの形状を有するタービンのソリューションが好ましい。
【0011】
上記の両方のソリューションでは、上側間隙および下側間隙の寸法の、ブレードの端部のプロファイルの対応する翼弦の長さに対する比が0.20〜2.5、好ましくは0.6〜1.2の範囲の値を有することが好ましい。
【0012】
回転リングのないタービンにおいては、各ブレードが、円形の断面を有し、半径方向においてブレードの下端のプロファイルの端部の近くに固定される2つのコネクタによってハブに取り付けられることが好ましい。
【0013】
回転リングを有するタービンにおいては、各ブレードが、円形の断面を有し、半径方向においてブレードの上端および下端のプロファイルの端部の近くに固定される2つのコネクタによって回転リングおよびハブに取り付けられることが好ましい。
【0014】
ナセルの側面が、ディフューザの内面プロファイルの断面の鏡面反射である形状を有することも好ましく、断面の端部はディフューザ軸に平行な直線と、ディフューザ突出部進行の前点を通って導かれる線との交点、および、この線とディフューザの開放部分のプロファイルとの交点によって決定される。
【0015】
別の好ましい実施形態では、スロート面上のブレードの軸方向投影の面積の、スロートを通る流れの活性領域に対する比は、0.02〜0.30、好ましくは0.10〜0.15の範囲の値を有する。
【0016】
スロートを通る流れの入口孔面積の、活性領域に対する比が1.0〜1.6、好ましくは1.20〜1.30の範囲の値を有し、出口孔面積に対して、比は、0.5〜0.9、最も好ましくは0.65〜0.75の範囲の値を有することも好ましい。
【0017】
本発明は、その鈍角を決定するディフューザの特定の幾何学的関係が維持されるとき、最適な効果を達成する。ディフューザの長さの、スロートの直径に対する比は、0.3〜1.1、好ましくは0.6〜0.8の範囲の値を有し、出口孔の直径に対して0.1〜0.9の範囲の値、好ましくは0.4〜0.6の範囲の値を有し、一方、入口孔の直径に対して、0.2〜1.0、好ましくは0.5〜0.7の範囲の値を有するべきである。
【0018】
回転リングを有するタービンの実施形態では、円周凹部が、ロータ回転軸の方向に開いたC字形断面を有し、主題のディフューザおよび風向ベアリングセットの下側モジュールの航空力学的プロファイルを決定する複合コーティングが取り付けられている円形支持フレームによって形成されることが好ましい。
【0019】
回転リングのないタービンの実施形態における電流発生器は、ナセル内に内蔵された発電機であり、そのロータはロータハブから駆動され、一方で、回転リングを備えたタービンでは、電流発生器は支持フレーム内に内蔵されており、回転リングの外周に固定磁石が取り付けられており、誘導コイルが支持フレームに固定されている。
【0020】
本発明に従って作成される高出力タービンでは、全体的な寸法が大きい要素、すなわち、ディフューザ、その支持フレーム、航空力学的プロファイルのコーティング、回転リングおよび電流発生器の要素は、標準的なコンテナで輸送することを可能にする最大寸法を有する円周区画に分割され、区画は作業場所で必要な作業形状に相互接続される。
【0021】
ディフューザおよびナセルの壁層における本発明によるタービンのソリューションは、ディフューザの軸に本質的に平行な軸を有するスワール構造および相当のエネルギーを生成すると同時に、垂直軸を有するスワール構造を最小化する。本発明によって引き起こされるスワールの影響は圧力変化を生じさせ、ディフューザとナセルの両方の表面からの空気ジェットの散逸を防止する。この現象は、表示されている間隙のサイズおよび寸法関係が使用されている場合に有効である。流れ抵抗は、好ましくは、ディフューザとナセルの鏡像のような形状によって得られる流れの円周対称性によって最小化される。
【0022】
本発明は、図面に示されるタービンの例示的な実施形態の説明を通して完全に理解可能であり、その特定の図は以下のものを提示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】上半分に、ロータブレードの両端がコネクタによって回転リングおよびナセルハブと接続された実施形態を示し、下半分に、回転リングのない実施形態で、ロータブレードがコネクタによってハブのみと接続された実施形態を示す、空気入口側から見たタービンの正面図である。
図2図1のA−A線を通る軸断面図である。
図3図2の図面の詳細Bを示す図である。
図4図3のC−C線を通る断面図である。
図5図2の図面の詳細Dを示す図である。
図6図5のE−E線を通る断面図である。
図7】ディフューザの特徴的な寸法がマーキングされている、ディフューザおよびナセルを通る軸断面図である。
図8】回転リングを備えたタービン支持フレームの正面図である。
図9図8の図面の詳細Fの斜視図である。
図10図8の図面の詳細Gの斜視図である。
図11】ディフューザ内の回転リングおよび電流発生器を備えたタービンの要素の「分解」斜視図である。
図12】回転リングを有する例示的な実施形態を試験している間に得られるデータによる、タービンの機械的出力に対する上側間隙と下側間隙の相対的大きさの影響のグラフ図である。
図13】回転リングを備えた例示的な実施形態について作成されている、タービンの機械的出力に対する、上側間隙および下側間隙の、ブレード端部の翼弦の対応する長さに対する比の影響のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明によるトンネルタービンは、公知のソリューションと同様に、ディフューザ1と、ディフューザ1のスロートRの前に3つの半径方向リブ5によって同軸に固定されたナセル4内のハブ3を取り付けられたロータ2とを有する。ディフューザ1は、回転体の形態を有し、その壁は軸方向断面において凸凹状の航空力学的プロファイルの形状を有する。ディフューザ1の航空力学的プロファイルは、その突出部が流入する空気の方に向けられている。側部の外壁の下側の点にあるディフューザ1は、タービンを垂直回転軸の風の向きと整列させるためのベアリングセット6の座部を有し、それによって、タービンが、図面では見えないマスト上に支持されている。例えば11枚のブレード7を有するロータ2は、ディフューザ1のスロートRの平面内で回転する。
【0025】
図1は、ロータ1の設計によって異なる、本発明によるタービンの2つの基本的な任意選択の実施形態を示す。図1の上半分に示された実施形態では、ブレード7の上端はスペーサコネクタ8によって、ディフューザの凹部10内に位置する回転リング9と接続されており、その内側領域はディフューザ1のスロートRのプロファイルの形状を有する。一方、図1の下半分の実施形態では、ブレード7の上端は自由である。両方の実施形態において、ブレード7の下端は、スペーサコネクタ8によって、ナセル4の空気力学的プロファイルと一致する輪郭を有するハブ3と接続されている。ブレード7の上端とディフューザ1のスロートRの表面との間には、回転リング9を備えた実施形態ではコネクタ8の長さによって決定される上側間隙z1が存在する。ブレード7の下端は、ブレード7の下端およびハブ3に取り付けられたコネクタ8の長さの下側間隙z2の寸法だけ、ハブ3の表面から離れて配置される。上側間隙z1および下側間隙z2の寸法は同じであっても異なってもよいが、それらの値は常にスロートRの半径の0.5〜15%の範囲にあるべきである。プロトタイプの実施形態では、この関係は、以下のタービンの典型的な寸法で3.2%に達する。
上側間隙z1、下側間隙z2 z1=z2=50mm
ブレードの上端の翼弦の長さc1=50mm
ブレードの下端の翼弦の長さc2=66mm
ディフューザスロート半径R=1530mm
入口孔半径R=1700mm
出口孔半径R=2026mm
ナセル半径R=165mm
ディフューザ長さL=2170mm
ナセル長さL=1360mm
ブレード11枚の軸方向投影の表面×25240mm=277641mm
【0026】
上側間隙z1および下側間隙z2の寸法の、プロファイルのブレード7の端部上の翼弦c1およびc2の対応する長さ7に対する比もまた、本発明によるタービンにおけるスワールの構造の効率にとって不可欠である。それらの値は0.20〜2.5の範囲でなければならず、本例示的実施形態では、z1=z2の場合、それぞれ7および1.0になる。両方の実施形態において、ロータ2のブレード7は、半径方向において、かつブレード7の下端のプロファイルの端部近くで、それらの軸によって円形断面の2つのコネクタ8を介してハブ3に固定される。回転リング9を有する実施形態では、ブレード7の上端も、同じ2つのスタッドコネクタ8によって回転リング9に接続される。ディフューザ1を通る流れの円周対称化も本発明にとって重要である。これは、ディフューザ1の内面プロファイルの断面の鏡面反射に従ってナセル4を成形する結果として達成されており、断面の端部は、ディフューザの軸O−Oに平行な直線1と、ディフューザの突出部17の進行の前点を通って導かれる線との交点、および、ディフューザの開放部分の内面の点lによって決定される。始動されたスワールシステムの影響の高い効率は、試験されたタービンにおいて次のような適切な寸法関係を維持しながら達成されている。
ナセルチョークを考慮に入れた、スロートRの平面上へのブレード7の軸方向投影の、スロートRを通る流れの活性領域に対する比は0.12の値を有し、
入口孔Rの面積の、スロートRを通る流れの活性領域に対する比は1.22の値を有し、
入口孔Rの面積と出口孔Rの面積との比は0.7であり、
ディフューザ1の長さLの、スロートRの直径に対する比は0.7の値を有し、
ディフューザ1の長さLの、出口孔Rの直径に対する比は0.53の値を有し、
ディフューザ1の長さLの、入口孔Rの直径に対する比は0.64の値を有する。航空力学的プロファイルの翼弦とディフューザ軸O−Oとの間に含まれるものとしての試験ディフューザ1の寸法から、鈍角9°がもたらされる。
【0027】
さらに、回転リング9のディフューザ1の円周凹部10は、ディフューザ軸O−Oの方向に開いたC字形断面のものであり、ディフューザ1および風方向のベアリングセット6の下側モジュール14の航空力学的プロファイルを決定する複合コーティング、すなわち、前方コーティング12および後方コーティング13が取り付けられている円形支持フレーム11によって形成される。回転リング9を有しないものであっても、また回転リング9を有するものであっても、タービンの実施形態では、電流発生器は、ロータ2のハブ3からロータを駆動されるナセル4に組み込まれた発電機15であってもよい。一方、回転リング9を備えた実施形態では、電流発生器16は、支持フレーム11に組み込まれていることが好ましく、回転リング9の外周には固定磁石が取り付けられており、支持フレーム11には誘導コイルが固定されている。ディフューザ1内の電流発生器16とナセル4内の発電機15とを備えたタービンの実施形態も可能である。
【0028】
高出力タービンの相当な寸法およびその結果生じる輸送問題に起因して、ディフューザ1、その支持フレーム11、航空力学的プロファイルのコーティング12,13,14、回転リング9および電流発生器16の要素は、標準的なコンテナ内での輸送を可能にする最大寸法の円周区画に分割される。作動位置において、それらは、締結具18によってタービンの必要な作動形状に相互接続されることによって組み立てられる。
【0029】
回転リング9を備えた本実施形態の試作タービンは、空気力学的トンネルで試験された。5m/sの風速では、本発明の記載されている実施形態によるタービンは、下側間隙を有せず、z2=0、小さい上側間隙z1=6mmを有し、スロートR≦1530mmの半径の0.39%を構成する同じディフューザおよびロータを有するタービンPの出力に対して機械的出力Pの有意な増加を示した。図12のグラフは、出力の増加を示しています。上側間隙z1および下側間隙z2の寸法の、ブレードの端部の翼弦c1およびc2の対応する長さに対する比の、機械的出力の増加に対する影響の試験結果が、図13のグラフに示されている。両方のグラフは、はるかにより安定して減少した空気流抵抗の効果によってスワールを始動する本発明の特徴を有するタービンの出力の増加を裏付けている。
【0030】
当該技術分野の専門家である設計者にとっては、本発明の本質的な特徴、すなわち、好ましいスワールシステムを生成する、寸法的に指定された上側間隙z1および下側間隙z2を含むタービンのソリューションが明らかであり、タービンの設計は、ブレード7の前進角の変更機構が補足されており、この機構はナセルに組み込まれている。
【符号の説明】
【0031】
1 ディフューザ
2 ロータ
3 ハブ
4 ナセル
5 リブ
6 ベアリングセット
7 ブレード
8 コネクタ
9 回転リング
10 凹部
11 支持フレーム
12 プロファイルの前方コーティング
13 プロファイルの後方コーティング
14 ベアリングセットを有する下側モジュール
15 発電機
16 電流発生器
17 航空力学的プロファイル突出部
18 締結具
z1 上側間隙
z2 下側間隙
c1 ブレードの上端の翼弦の長さ
c2 ブレードの下端の翼弦の長さ
O−O ディフューザ軸
Rt ディフューザスロート半径
Ri 入口孔半径
Rh ナセルハブ半径
Ro 出口孔半径
ディフューザ長さ
ナセル長さ
突出部進行の前点を通って導かれるディフューザ軸に平行な直線
直線lとディフューザプロファイルの内面との交点
本発明の例示的な実施形態によるタービンの機械的出力
z1=6mmかつz2=0mmの同じディフューザを有するタービンの機械的出力
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
図11
図12
図13