特許第6882298号(P6882298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882298脂肪物質およびオキシアルキレン化界面活性剤を含む、ケラチン物質を処理するための酸化性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882298
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】脂肪物質およびオキシアルキレン化界面活性剤を含む、ケラチン物質を処理するための酸化性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20210524BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20210524BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20210524BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A61K8/92
   A61K8/39
   A61K8/86
   A61K8/22
   A61K8/31
   A61K8/19
   A61K8/41
   A61Q5/10
   A61Q5/08
【請求項の数】19
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-531332(P2018-531332)
(86)(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公表番号】特表2018-537494(P2018-537494A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】EP2016081710
(87)【国際公開番号】WO2017103260
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】1562818
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1562832
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・アガシュ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・プレ
(72)【発明者】
【氏名】レイラ・エルクエ
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/095395(WO,A1)
【文献】 特表2006−506343(JP,A)
【文献】 特開2000−239132(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/007915(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/091334(WO,A1)
【文献】 特開2004−217672(JP,A)
【文献】 特開2003−055174(JP,A)
【文献】 特開2008−001628(JP,A)
【文献】 特開2001−010936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質を処理するための組成物であって、化粧料として許容される媒体中において、
− 前記組成物の全重量に対して10重量%以上の含量の少なくとも1種の脂肪物質、
2〜8個の範囲の数のOE単位を含む少なくとも1種のオキシエチレン化OE)非イオン性界面活性剤、
10〜50個OE単位を含む少なくとも1種のオキシエチレン化OE)非イオン性界面活性剤、および
− 少なくとも1種の化学的酸化剤
を含み、
2〜8個の範囲の数のOE単位を含むオキシエチレン化非イオン性界面活性剤の量の、10〜50個OE単位を含むオキシエチレン化非イオン性界面活性剤の量に対する重量比が、2〜5の範囲であり、
2〜8個の範囲の数のOE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤および10〜50個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤が、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択され
前記組成物は、染料を含まない、組成物。
【請求項2】
10〜50個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤および2〜8個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤が、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のC12〜C22のオキシエチレン化脂肪アルコールから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
10〜50個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤および2〜8個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤が、C14〜C20のオキシエチレン化脂肪アルコールから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
10〜50個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤が、ステアレス−20であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
2〜8個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤が、ステアレス−2であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
10〜50個OE基を含むオキシエチレン化非イオン性界面活性剤の含量が、前記組成物の全重量に対して0.1重量%〜20重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中における、2〜8個OE単位を含むオキシエチレン化非イオン性界面活性剤の含量が、前記組成物の全重量に対して0.5重量%〜15重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中における、10〜50個オキシエチレン基を含むオキシエチレン化非イオン性界面活性剤の含量が、前記組成物の全重量に対して0.1重量%〜15重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択される、10〜50個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤と、2〜8個OE単位を含む前記オキシエチレン化非イオン性界面活性剤との組合せが、前記組成物の唯一の界面活性剤系を構成することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記脂肪物質が、25℃の温度および大気圧で液状である化合物または油から選択されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記脂肪物質が、C〜C16炭化水素、17個以上の炭素原子を含む炭化水素、動物由来の非シリコーン油、植物もしくは合成由来のトリグリセリド、脂肪アルコール、ならびに脂肪酸、および/もしくは脂肪アルコールエステル、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記脂肪物質が、17個以上の炭素原子を含有する、鉱物質または合成由来の直鎖状または分岐状の炭化水素から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
脂肪物質の含量が、前記組成物の全重量に対して20重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記酸化剤が、過酸化水素である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記過酸化水素が、前記組成物の重量に対して1重量%〜50重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ケラチン物質を処理するためのプロセスであって、前記ケラチン物質に対して、請求項1〜15のいずれか一項に記載の酸化性組成物を適用することを含む、プロセス。
【請求項17】
ケラチン物質を染色および/または明色化するためのプロセスであって、前記ケラチン物質に対して、
a)少なくとも1種の組成物Aであって、
− 少なくとも1種のアルカリ性薬剤、
− 任意選択的に、少なくとも1種の着色剤
を含む、組成物A、
b)少なくとも1種の、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物
を混合することによって得られる染色および/または明色化組成物を適用することを含む、プロセス。
【請求項18】
前記アルカリ性薬剤が、水性アンモニア、アルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、アルカノールアミン、オキシエチレン化および/もしくはオキシプロピレン化エチレンジアミン、アミノ酸、ならびに式(II)
【化1】
(式(II)中、Wは、任意選択的に1種もしくは複数のヒドロキシル基もしくはC〜Cアルキルラジカルで置換され、および/または任意選択的に1個もしくは複数のヘテロ原子、もしくはNRで中断されている二価のC〜Cアルキレンラジカルであり、R、R、R、R、およびRは、同一であってもまたは異なっていてもよく、水素原子、またはC〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、もしくはC〜Cアミノアルキルラジカルを表す)
の化合物から選択される有機アミン、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
組成物Aが、酸化染料前駆体および直接染料、ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の着色剤を含むことを特徴とする、請求項17または18に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための組成物であって、化粧料として許容される媒体中において、10重量%以上の含量の脂肪物質と、所定の比率における、1〜9個の範囲の数のオキシアルキレン単位を含むオキシアルキレン化(OA)、好ましくはオキシエチレン化(OE)非イオン性界面活性剤および少なくとも10個のオキシアルキレン単位を含むオキシアルキレン化(OA)、好ましくはオキシエチレン化(OE)非イオン性界面活性剤と、化学的酸化剤とを含む、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料では、酸化性組成物は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を染色、脱色、およびパーマネントで髪を整えるかまたはリシェープする分野で使用される。
【0003】
したがって、毛髪の酸化染色では、酸化性組成物がそれ自体無色の酸化染料(塩基およびカプラー)と混合されて、着色した化合物を生成し、酸化的縮合のプロセスで着色する。酸化性組成物は、着色しているある種の直接染料との混合物として毛髪を直接染色及び着色して、毛髪に明色化効果(lightening effect)を有する着色を得るためにも使用される。ケラチン繊維を染色するために慣用されている酸化剤としては、過酸化水素または加水分解によって過酸化水素を発生させ得る化合物、例えば、過酸化尿素を挙げることができる。過酸塩、例えば過ホウ酸塩または過硫酸塩を使用し得る。過酸化水素がより特に好ましい。
【0004】
毛髪の脱色では、脱色組成物は、1種または複数の酸化剤を含む。これらの酸化剤の中で最も頻繁に使用されるのは、過酸化水素または加水分解によって過酸化水素を発生させ得る化合物、例えば、過酸化尿素、または過酸塩、例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、および過硫酸塩であり、過酸化水素および過硫酸塩が特に好ましい。
【0005】
これらの組成物は、アルカリ性薬剤(アミンまたは水性アンモニア)を含む水性組成物であり得、その使用時に水性の過酸化水素組成物を用いて希釈される。
【0006】
これらの組成物は、アルカリ性の化合物(アミンおよび/またはアルカリ性シリケート)を含む無水の製品と、過酸化剤、例えば、過硫酸、過ホウ酸または過炭酸塩のアンモニウムまたはアルカリ金属塩とから形成され得、その使用時に水性の過酸化水素組成物を用いて希釈される。
【0007】
毛髪をパーマネントでリシェープすることは、第1のステップにおいて、適切な還元剤を含む組成物を使用してケラチンの−S−S−ジスルフィド結合(シスチン)を開かせ(還元ステップ)、次いで、そのようにして処理した頭髪を濯ぎ、第2のステップにおいて、予め張力状態においた(カーラーおよびその他)毛髪に対して酸化性組成物を適用することにより、ジスルフィド結合を再構築させ(酸化ステップ、固定ステップとも呼ばれる)、最終的に毛髪に所望の形状を与える。したがって、この技法により、好みを問わず毛髪にウェーブを与えたり、またはウェーブを弛めるかもしくは直線にしたりすることが可能となる。上述のものなど、化学的な処理によって毛髪に与えられた新しい形状は、一時的なリシェープ、例えば、ヘアセッティングなどの単純な標準的な方法と異なり、かなり長続きし、特に水またはシャンプーを用いた洗髪にも耐える。
【0008】
その固定ステップを実施するのに必要とされる酸化性組成物は、通常、過酸化水素水溶液をベースとする組成物である。特に明色化または脱色の点でさらにより有効であり、かつ可能な限りケラチン繊維の一体性を守り、前記繊維に可能な限りの化粧的性質を与えるような組成物が求められている。
【0009】
これを実施するために、エマルションの形態の油リッチな酸化性組成物が提案されたが、油含量を高くするとエマルションを不安定化させる原因になり得る。
【0010】
さらに、化粧料の分野では、毛髪のコンディショニングを改良すること、すなわち、髪の手触りの滑らかさおよび柔らかさの性質を改良することが常に求められている。
【0011】
得られる組成物は、また、良好な混合性と、適用性能、特に良好なレオロジー的性質とを有し、それらが適用されるときに顔面を、頭皮上に、または処理することが提案される領域を越えて流れ落ちることがあってはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ケラチン物質、特にケラチン繊維、例えば毛髪の化粧特性を改良し得、かつ経時的に安定である新規な酸化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明によって達成され、その主題の1つは、ケラチン物質、特に毛髪を処理するための組成物であって、化粧料として許容される媒体中において、
− その組成物の全重量に対して10重量%以上の含量の、好ましくは液状である少なくとも1種の脂肪物質、
− 1〜9個の範囲の数のOA単位、好ましくはOE単位を含む少なくとも1種のオキシアルキレン化(OA)、好ましくはオキシエチレン化(OE)非イオン性界面活性剤、
− 少なくとも10個のOA単位、好ましくはOE単位を含む少なくとも1種のオキシアルキレン化(OA)、好ましくはオキシエチレン化(OE)非イオン性界面活性剤、および
− 少なくとも1種の化学的酸化剤、好ましくは過酸化水素
を含み、1〜9個の範囲の数のOA単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の量の、少なくとも10個のOA単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の量に対する重量比が1よりも大きく、
1〜9個の範囲の数のOA単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤および少なくとも10個のOA単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択される、組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、「化学的酸化剤」という用語は、大気酸素以外の酸化剤を意味する。
【0015】
本発明による組成物がケラチン繊維を染色するために使用される場合、良好な、特に強く、活気があり、色が鮮やかで染めむらの少ない染色性が得られ、それによりグレーの毛髪の良好な被覆が可能となり、ケラチン繊維の化粧特性を損なうことなく、毛髪が受ける可能性がある各種の攻撃因子、例えば、シャンプー、光、汗、およびパーマネントのリシェープ操作に対する良好な抵抗性を示す。
【0016】
本発明による組成物がケラチン物質、特に皮膚またはケラチン繊維の脱色または明色化に使用される場合、それは、それらを劣化させるかまたはそれらの化粧特性を損なうことなくケラチン物質に良好な明色化効果をもたらす。
【0017】
本発明による組成物がパーマネントでケラチン繊維をリシェープするのに使用される場合、それは、それらを劣化させるかまたはそれらの化粧特性を損なうことなくこれらの繊維の満足のいくパーマネントリシェーピングをもたらす。
【0018】
さらに、本発明による組成物は、経時的に、特に例えば約45℃のような高温での保存時に良好な安定性を示す。
【0019】
本発明の主題は、また、この酸化性組成物を使用する、ケラチン物質、特にケラチン繊維を処理するため、特にケラチン物質、特にケラチン繊維を染色、脱色(もしくは明色化)、またはパーマネントでリシェーピングするためのプロセスである。
【0020】
本発明の別の主題は、ケラチン物質、特にケラチン繊維を処理するため、特にケラチン物質、特にケラチン繊維を染色、脱色(もしくは明色化)、またはパーマネントでリシェーピングするための酸化性組成物の使用である。
【0021】
以下の本文では、特に断らない限り、表示した範囲の両端も本発明に含まれる。
【0022】
「少なくとも1種」という用語は、「1種または複数」を意味する。
【0023】
オキシアルキレン化界面活性剤
本発明による組成物は、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択される、1〜9個の数のOA単位を含む少なくとも1種のオキシアルキレン化(OA)非イオン性界面活性剤と、少なくとも10個のOA単位を含む少なくとも1種のオキシアルキレン化(OA)非イオン性界面活性剤とを含む。
【0024】
本発明の組成物では、1〜9個の範囲の数のOA単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の量の、少なくとも10個のOA単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の量に対する重量比は、1よりも大きく、好ましくは1.2以上、さらにより良好には1.5以上、なおもさらにより良好には2以上である。
【0025】
この重量比は、例えば1.2〜15、さらにより良好には1.5〜10、なおもさらにより良好には2〜5の範囲であり得る。
【0026】
好ましくは、少なくとも10個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤および1〜9個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状、好ましくは直鎖状のC12〜C22、さらにより良好にはC14〜C20のオキシエチレン化脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール、オレオセチルアルコール、ベヘニルアルコール、セテアリルアルコール、およびステアリルアルコール、ならびにそれらの混合物、より好ましくはステアリルアルコールから選択される。
【0027】
好ましくは、少なくとも10個のOE単位を含むオキシエチレン化非イオン性界面活性剤および1〜9個のOE単位を含むオキシエチレン化非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化された飽和または不飽和、直鎖状または分岐状、好ましくは直鎖状のC〜C30、好ましくはC12〜C22、より好ましくはC14〜C20の脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール、オレオセチルアルコール、ベヘニルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、ならびにそれらの混合物、より好ましくはステアリルアルコールから選択される。
【0028】
好ましくは、1〜9個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤として、2〜8個、好ましくは2〜4個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤、例えば、エチレンオキシドとステアリルアルコールとの付加反応生成物、例えば、ステアリルアルコール2OE(CTFA名称:ステアレス−2)を使用するのが好ましい。
【0029】
本発明で使用される、少なくとも10個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤は、特に10〜50個、好ましくは15〜30個、さらにより良好には15〜25個の範囲の数のオキシアルキレン基、好ましくはオキシエチレン基を含み得、例えば、エチレンオキシドとステアリルアルコールとの付加反応生成物、例えば、ステアリルアルコール20OE(CTFA名称:ステアレス−20)である。
【0030】
本発明による組成物中における、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択される、1〜9個のオキシアルキレン単位、好ましくはオキシエチレン単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤の含量は、その組成物の全重量に対して0.5重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%、さらにより良好には2重量%〜6重量%の範囲であり得る。
【0031】
本発明による組成物中における、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択される、少なくとも10個のオキシアルキレン基、好ましくはオキシエチレン基を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤の含量は、その組成物の全重量に対して0.1重量%〜15重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、さらにより良好には1重量%〜5重量%の範囲であり得る。
【0032】
その組成物中における、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択されるオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤を合計量は、その組成物の全重量に対して1重量%〜25重量%、好ましくは2重量%〜15重量%、さらにより良好には3重量%〜7重量%の範囲であり得る。
【0033】
1つの実施形態では、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択される、少なくとも10個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤と、1〜9個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤との組合せは、その組成物の主な界面活性剤系を構成する。
【0034】
「主な界面活性剤系」という用語は、それが存在しないと安定した組成物を形成することができない系を意味する。
【0035】
「安定した」という用語は、オーブン中に45℃で2ヶ月間入れた後、室温に戻したときに相分離を示さない組成物を指す。
【0036】
特定の実施形態では、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状のオキシエチレン化C〜C30脂肪アルコールから選択される、少なくとも10個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤と、1〜9個のOA単位、好ましくはOE単位を含むオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤とを組合せは、その組成物の唯一の界面活性剤系を構成する。
【0037】
「唯一の」という用語は、可能性のあるいかなる追加の界面活性剤系も1%以下、好ましくは0.5%以下の量で存在することを意味する。より好ましくは、「唯一の」という用語は、他のいかなる界面活性剤系も存在しないことを表す。
【0038】
特定の実施形態では、その組成物は、少なくとも10個のOA単位、好ましくはOE単位を含む単一のオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤と、1〜9個のOA単位、好ましくはOE単位を含む単一のオキシアルキレン化、好ましくはオキシエチレン化非イオン性界面活性剤とを唯一の界面活性剤系として含む。
【0039】
脂肪物質
本発明による組成物は、1種または複数の脂肪物質も含み、それらは、好ましくは液状(または油)である。
【0040】
「脂肪物質」という用語は、常温(25℃)および大気圧(760mmHg)で水中に不溶性である(溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、さらにより優先的には0.1%未満である)有機化合物を意味する。それらは、その構造中において、少なくとも6個の炭素原子または少なくとも2個のシロキサン基のシーケンスを含む少なくとも1個の炭化水素ベースの鎖を担持する。加えて、その脂肪物質は、一般的に、同じ温度および圧力条件下で有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液状石油ゼリー、またはデカメチルシクロペンタシロキサンなどに可溶性である。
【0041】
「油」という用語は、室温(25℃)および大気圧(760mmHgまたは1.013×10Pa)で液状である「脂肪物質」を意味する。
【0042】
「非シリコーン油」という用語は、ケイ素(Si)原子を含有しない油を意味し、および「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含有する油を意味する。
【0043】
より特に、脂肪物質は、以下のものから選択される:C〜C16炭化水素、17個以上の炭素原子を含有する炭化水素、動物由来の非シリコーン油、植物もしくは合成由来のトリグリセリド、フルオロ油、脂肪アルコール、非塩化脂肪酸、トリグリセリド以外の脂肪酸エステルおよび/または脂肪アルコールエステル、固体の脂肪アルコール以外および固体の合成エステル以外の非シリコーン系ワックス、およびシリコーン、ならびにそれらの混合物。
【0044】
本発明の目的のために、脂肪アルコール、エステルおよび酸は、より特に、任意選択的に特に1個または複数のヒドロキシル基(特に1〜4個)を用いて置換される、6〜30個の炭素原子を含む少なくとも1種の直鎖状または分岐状、飽和または不飽和の炭化水素ベースの基を担持することが想起される。それらが不飽和である場合、それらの化合物は、1〜3個の共役または非共役の炭素−炭素二重結合を含み得る。
【0045】
17個以上の炭素原子を含有する、鉱物質または合成由来の直鎖状または分岐状の炭化水素は、好ましくは、流動パラフィン、液状石油ゼリー、ポリデセン、および水素化ポリイソブテン、例えば、Parleam(登録商標)、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0046】
〜C16低級アルカンに関して、それらは、直鎖状もしくは分岐状であるか、または可能であれば環状である。
【0047】
例として以下のものが挙げられる:ヘキサン、シクロヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、またはイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン、イソデカンもしくはイソドデカン、およびそれらの混合物。
【0048】
動物由来の炭化水素ベースの油としては、ペルヒドロスクアレンが挙げられる。
【0049】
植物または合成由来のトリグリセリドは、好ましくは、以下のものから選択される:6〜30個の炭素原子を含有する液状の脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド、あるいは代替的に、より特に植物油、例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、インゲンマメ油、グレープシード油、ゴマ油、ハシバミ油、アンズ油、マカダミア油、アララ油(arara oil)、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シアバター油中に存在するもの、または合成のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されているもの、もしくはDynamit Nobel社からMiglyol(登録商標)810、812、および818の名称で販売されているもの、ならびにそれらの混合物。
【0050】
フルオロ油は、以下のものから選択することができる:BNFL Fluorochemicals社からFlutec(登録商標)PC1およびFlutec(登録商標)PC3の名称で販売されているペルフルオロメチルシクロペンタン、およびペルフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン;ペルフルオロ−1,2−ジメチルシクロブタン;ペルフルオロアルカン、例えば、3M社からPF5050(登録商標)およびPF5060(登録商標)の名称で販売されているドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサン、あるいは代替的に、Atochem社からForalkyl(登録商標)の名称で販売されているブロモペルフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタンおよびノナフルオロエトキシイソブタン;ペルフルオロモルホリン誘導体、例えば、3M社からPF5052(登録商標)の名称で販売されている4−トリフルオロメチルペルフルオロモルホリン。
【0051】
本発明で使用するのに適した脂肪アルコールは、より特に、8〜30個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状、飽和または不飽和のアルコールから選択される。その例として以下のものが挙げられる:セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール、リノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、およびリノレイルアルコール、ならびにそれらの混合物。
【0052】
本発明に関連して使用することが可能な脂肪酸は、より特に、6〜30個の炭素原子、特に9〜30個の炭素原子を含有する飽和または不飽和カルボン酸から選択される。それらは、有利には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびイソステアリン酸から選択される。これらの脂肪酸は、本発明の組成物では、石鹸を生じないようにするため、有機塩基または鉱物質塩基を用いて塩化されていない。
【0053】
先に挙げたトリグリセリド以外の脂肪酸エステルおよび/または脂肪アルコールエステル、ならびに植物性ワックスに関して、特に飽和または不飽和の直鎖状のC〜C26または分岐状のC〜C26脂肪族のモノ酸またはポリ酸と、飽和または不飽和の直鎖状のC〜C26または分岐状のC〜C26脂肪族のモノアルコールまたはポリアルコールとのエステルが挙げられ、それらのエステルの合計炭素数は、6以上、より有利には10以上である。
【0054】
モノエステルの例として以下のものを挙げることができる:ジヒドロアビエチルベヘネート;オクチルドデシルベヘネート;イソセチルベヘネート;セチルラクテート;C12〜C15アルキルラクテート;イソステアリルラクテート;ラウリルラクテート;リノレイルラクテート;オレイルラクテート;(イソ)ステアリルオクタノエート;イソセチルオクタノエート;オクチルオクタノエート;セチルオクタノエート;デシルオレエート;イソセチルイソステアレート;イソセチルラウレート;イソセチルステアレート;イソデシルオクタノエート;イソデシルオレエート;イソノニルイソノナエ−ト;イソステアリルパルミテート;メチルアセチルリシノレエート;ミリスチルステアレート;オクチルイソノナエ−ト;2−エチルヘキシルイソノナエ−ト;オクチルパルミテート;オクチルペラルゴネート;オクチルステアレート;オクチルドデシルエルケート;オレイルエルケート;エチルおよびイソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルデシルパルミテート、アルキルミリステート、例えば、イソプロピル、ブチル、セチル、2−オクチルドデシル、ミリスチルまたはステアリルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート;ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルラウレート、ならびにそれらの混合物。
【0055】
この変形形態に関連して、C〜C22ジカルボン酸またはトリカルボン酸と、C〜C22アルコールとのエステル、ならびにモノ−、ジ−またはトリカルボン酸と、C〜C26ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−ヒドロキシアルコールとのエステルも使用し得る。
【0056】
具体的には以下のものを挙げることができる:ジエチルセバケート;ジイソプロピルセバケート;ジイソプロピルアジペート;ジ−n−プロピルアジペート;ジオクチルアジペート;ジイソステアリルアジペート;ジオクチルマレエート;グリセリルウンデシレネート;オクチルドデシルステアロイルステアレート;ペンタエリスリチルモノレシノレエート;ペンタエリスリチルテトライソナノエート;ペンタエリスリチルテトラペラルゴネート;ペンタエリスリチルテトライソステアレート;ペンタエリスリチルテトラオクタノエート;プロピレングリコールジカプリレート;プロピレングリコールジカプレート;トリデシルエルケート;トリイソプロピルサイトレート;トリイソステアリルサイトレート;グリセリルトリラクテート;グリセリルトリオクタノエート;トリオクチルドデシルサイトレート;トリオレイスサイトレート;プロピレングリコールジオクタノエート;ネオペンチルグリコールジヘプタノエート;ジエチレングリコールジイソノナノエート;およびポリエチレングリコールジステアレート、ならびにそれらの混合物。
【0057】
上述のエステルの中では、以下のものを使用するのが好ましい:エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチル、またはステアリルパルミテート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルデシルパルミテート、アルキルミリステート、例えば、イソプロピル、ブチル、セチル、または2−オクチルドデシルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート;ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルラウレート、イソノニルイソノナエ−ト、およびセチルオクタノエート、ならびにそれらの混合物。
【0058】
その組成物は、C〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の脂肪エステル、糖エステルおよびジエステルも含み得る。「糖」という用語は、酸素を担持する炭化水素ベースの化合物であって、アルデヒドまたはケトン官能基の存在または非存在下で数個のアルコール官能基を担持し、かつ少なくとも4個の炭素原子を含む化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖類、少糖類または多糖類であり得る。
【0059】
好適な糖類の例として以下のものが挙げられる:スクロース(すなわちサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、およびラクトース、ならびにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えば、メチル誘導体、例えばメチルグルコース。
【0060】
脂肪酸の糖類エステルは、特に、前述の糖類と、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和C〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸とのエステルまたはエステル混合物を含む群から選択することができる。それらが不飽和である場合、それらの化合物は、1〜3個の共役または非共役の炭素−炭素二重結合を含み得る。
【0061】
この変形形態によるエステルは、モノ−、ジ−、トリ−、およびテトラ−エステル、ポリエステル、ならびにそれらの混合物から選択され得る。
【0062】
これらのエステルは、例えば、以下のものであり得る:オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート、およびアラキドネート、またはそれらの混合物、例えば、具体的には、オレオパルミテート、オレオステアレート、およびパルミトステアレートの混合エステル。
【0063】
より特に、モノエステルおよびジエステル、特にスクロース、グルコースまたはメチルグルコースのモノオレエートもしくはジオレエート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレエート、リノレネート、またはオレオステアレートが使用される。
【0064】
例を挙げれば、AmercholからGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品があり、これは、メチルグルコースジオレエートである。
【0065】
糖と脂肪酸とのエステルまたはエステルの混合物の例として、例えば以下のものが挙げられる:
− Crodesta社からF160、F140、F110、F90、F70、およびSL40の名称で販売されている、それぞれ73%のモノエステルならびに27%のジエステルおよびトリエステルから、61%のモノエステルならびに39%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルから、52%のモノエステルならびに48%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルから、45%のモノエステルならびに55%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルから、39%のモノエステルならびに61%のジエステル、トリエステルおよびテトラエステルからのスクロースパルミトステアレート、ならびにスクロースモノラウレートである製品;
− Ryoto Sugar Estersの名称で販売されている製品、例えば品番B370は、20%のモノエステルと80%のジ−トリエステル−ポリエステルとから製造されたスクロースベヘネートに対応する;
− Goldschmidt社からTegosoft(登録商標)PSEの名称で販売されているスクロースモノ−ジパルミト−ステアレート。
【0066】
固体の脂肪アルコールおよび固体の合成エステル以外の非シリコーン系ワックスは、具体的には以下のものから選択される:カルナウバワックス、カンデリラワックス、エスパルトワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、植物性ワックス、例えば、オリーブツリーワックス、ライスワックス、水素化ホホバワックス、もしくはアブソリュートフラワーワックス、例えば、Bertin社(仏国)から販売されているクロスグリブロッサムエッセンシャルワックス、または動物性ワックス、例えば、蜜蝋もしくは変性蜜蝋(セラベリナ)。本発明で使用することが可能な他のワックスまたはワックス様原料物質としては、具体的には、海洋性ワックス、例えば、Sophim社から参照番号M82として販売されているワックス、ポリエチレンワックス(または一般的にはポリオレフィンワックス)が挙げられる。
【0067】
その脂肪物質は、C2〜C3オキシアルキレン単位を含まない。それらがグリセロール単位を含まないのが好ましい。より特に、その脂肪物質は、脂肪酸以外のものである。
【0068】
より特に、その脂肪物質は、室温および大気圧で液状またはペースト状である化合物から選択される。
【0069】
好ましくは、その脂肪物質は、25℃の温度および大気圧で液状である化合物または油である。
【0070】
1つの好ましい変形形態では、その脂肪物質がシリコーンベースではない。
【0071】
その脂肪物質は、以下のものから選択するのが好ましい:C〜C16炭化水素、17個以上の炭素原子を含む炭化水素、動物由来の非シリコーン油、植物もしくは合成由来のトリグリセリド、脂肪アルコール、脂肪酸、および/または脂肪アルコールエステル、あるいはそれらの混合物。
【0072】
好ましくは、その脂肪物質は、17個以上の炭素原子を含有する、鉱物質もしくは合成由来の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素、またはそれらの混合物、例えば、液状石油ゼリーから選択される。
【0073】
本発明による組成物は、その組成物の全重量に対して少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、さらにより良好には少なくとも30重量%、さらにより優先的には少なくとも40重量%の脂肪物質、好ましくは油を含む。
【0074】
その脂肪物質は、本発明による組成物の全重量に対して、一般的には10重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜70重量%、さらにより優先的には25重量%〜60重量%、さらにより良好には35重量%〜65重量%を表す。
【0075】
化学的酸化剤
本発明の組成物は、1種または複数の化学的酸化剤を含む。「化学的酸化剤」という用語は、大気酸素以外の酸化剤を意味する。
【0076】
より特に、その化学的酸化剤は、以下のものから選択される:過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩、過酸化物塩、例えば過硫酸塩または過ホウ酸塩、過酸およびその前駆体、ならびにアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過炭酸塩。
【0077】
その酸化剤は、有利には、過酸化水素であれる。
【0078】
化学的酸化剤の濃度は、その組成物の重量に対して、より特に0.1重量%〜50重量%、さらにより優先的には3重量%〜20重量%、さらにより良好には5重量%〜15重量%の範囲であり得る。
【0079】
特定の実施形態では、本発明による組成物は、染料または過酸塩を含まない。
【0080】
本発明による組成物は、好ましくは、化粧料として許容される媒体を含む。本発明の目的では、「化粧料として許容される媒体」という用語は、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪と適合性のある媒体を意味する。
【0081】
本発明による組成物の化粧料として許容される媒体としては、一般的に、水および/または1種もしくは複数の水溶性の有機溶媒が挙げられる。水溶性の有機溶媒の例として以下のものが挙げられる:C〜Cの低級アルカノール、例えば、エタノールおよびイソプロパノール;芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコールまたはフェノキシエタノール;ポリオールまたはポリオールエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル、モノエチル、およびモノブチルエーテル、プロピレングリコールまたはそれらのエーテル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびまたジエチレングリコールアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルもしくはモノブチルエーテル、または代替的にグリセロール;ならびにそれらの混合物。
【0082】
それらの溶媒は、その酸化性組成物の全重量に対して、好ましくはおよそ0.1重量%〜35重量%、さらにより優先的にはおよそ1重量%〜40重量%の比率で存在する。
【0083】
本発明による組成物は、化粧料において慣用される追加の化合物をさらに含み得る。それらの化合物は、特に増粘または安定化のためのポリマー、非シリコーン系のコンディショニング用ポリマー、特にカチオン性の非シリコーン系ポリマー、キレート剤、および芳香剤から選択され得る。
【0084】
1つの実施形態では、その組成物は、次の構造(I):
H−(O−CH−CH−(O−CH(CH)−CH−(O−CH−CHa’−OH
(式中、aおよびa’は、2〜150の範囲であり、bは、1〜100の範囲(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのトリブロック)である)
のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの重縮合物を含む。上記の化学構造において、aおよびa’が10〜130の範囲であり、およびbが20〜80の範囲であるのが好ましく、aおよびa’が50〜130の範囲であり、およびbが30〜80の範囲であるのがさらにより良好であり、aおよびa’が80〜130の範囲であり、およびbが40〜80の範囲であるのがなおもさらにより良好である。特定の実施形態では、aとa’とが同じである。
【0085】
本発明の組成物において有用なエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの重縮合物は、好ましくは250〜19,000の範囲、さらにより良好には1200〜15,000の範囲、特に1500〜10,000の範囲、なおもさらにより良好には1500〜5000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0086】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの重縮合物は、有利には、蒸留水中において10g/lで20℃以上、好ましくは60℃以上の曇り点を有する。曇り点は、規格ISO 1065に従って測定する。
【0087】
本発明で使用することが可能なエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの重縮合物としては、以下のものを挙げることができる:Croda社からSynperonicの名称、例えばSynperonic(登録商標)PE/F32(INCI名称:ポロキサマー108)、Synperonic(登録商標)PE/F108(INCI名称:ポロキサマー338)、Synperonic(登録商標)PE/L44(INCI名称:ポロキサマー124)、Synperonic(登録商標)PE/L42(INCI名称:ポロキサマー122)、Synperonic(登録商標)PE/F127(INCI名称:ポロキサマー407)、Synperonic(登録商標)PE/F88(INCI名称:ポロキサマー238)、Synperonic(登録商標)PE/L64(INCI名称:ポロキサマー184)、Synperonic(登録商標)PE/F88(INCI名称:ポロキサマー238)、Synperonic(登録商標)PE/F87(INCI名称:ポロキサマー237)として販売されているか、またはBASF社からLutrol(登録商標)F68(INCI名称:ポロキサマー188)として販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのトリブロック重縮合物。
【0088】
本発明の1つの実施形態では、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの重縮合物の量は、その組成物の全重量に対して、好ましくは0.001重量%〜20重量%、さらにより優先的には0.01重量%〜10重量%、さらにより良好には0.015重量%〜5重量%の範囲である[Ex.G中で0.02g%]。
【0089】
別の実施形態では、本発明による組成物は、増粘のためのポリマーを含まない。
【0090】
言うまでもなく、当業者であれば、これらの任意選択的な成分の追加の化合物の選択を考慮して、本発明による組成物に本質的に伴う有利な性質が、想定される添加によって悪影響を受けないかまたは実質的に受けないようにし得るであろう。
【0091】
本発明による組成物は、各種の形態、例えば、クリーム、ジェル、乳液、ローション、もしくはムースの形態、またはケラチン物質、特にケラチン繊維、および特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するのに適した他の各種の形態とすることができる。それがクリームまたは乳液であるのが好ましい。
【0092】
本発明による酸化性組成物のpHは、一般的には1.5〜4.5、好ましくは2〜3.5の範囲である。それは、酸性化剤、例えば、塩酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、クエン酸もしくはリン酸を添加するか、またはアルカリ性薬剤が存在する場合、酸性化剤を添加することによって調節することができる。
【0093】
本発明の別の主題は、ケラチン物質、特にケラチン繊維を処理するためのプロセスであって、ケラチン繊維に対して、先に定義されたような酸化性組成物を適用することを含む、プロセスである。
【0094】
本発明による酸化性組成物は、例えば、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を染色するためのプロセスで使用することができる。
【0095】
本発明におけるケラチン繊維を染色するためのプロセスでは、ケラチン繊維を染色するための支持体中に1種もしくは複数の直接染料および/または1種もしくは複数の酸化染料と、先に定義されたような酸化性組成物とを含む、染料組成物を使用する。
【0096】
このプロセスに従えば、その染料組成物がケラチン繊維に適用され、中間の濯ぎありまたはなしで同時または順次に適用される本発明による酸化性組成物を使用して、酸性、中性またはアルカリ性のpHで発色が起こる。
【0097】
本発明による染色プロセスの特に好ましい実施形態では、使用時にその染料組成物を本発明による酸化性組成物と混合する。そのようにして得られた混合物を次いでケラチン繊維に適用して、およそ3〜50分、好ましくはおよそ5〜30分間放置し、その後、それらの繊維を濯ぎ、シャンプーで洗浄し、再び濯いで乾燥させる。
【0098】
その直接染料は、直接染色において慣用される直接染料から選択され得る。例えば、これらの直接染料は、ニトロベンゼン染料、アゾ直接染料、メチン直接染料、キノン直接染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、ヨードアミン直接染料、および天然直接染料から選択される。これらの直接染料は、非イオン性、アニオン性、またはカチオン性の性質を有し得る。
【0099】
ベンゼンベースの直接染料の中では、例えば、以下のものを挙げることができる:1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、1−アミノ−2−ニトロ−4−(β−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1−アミノ−2−ニトロ−4−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)−2−ニトロベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−2−ニトロ−4−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−2−ニトロ−4−アミノベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−2−ニトロ−4−(エチル)(β−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、1−アミノ−3−メチル−4−β−ヒドロキシエチルアミノ−6−ニトロベンゼン、1−アミノ−2−ニトロ−4−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−クロロベンゼン、1,2−ジアミノ−4−ニトロベンゼン、1−アミノ−2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−ニトロベンゼン、1,2−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)−4−ニトロベンゼン、1−アミノ−2−[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−5−ニトロベンゼン、1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−ニトロベンゼン、1−ヒドロキシ−2−アミノ−4−ニトロベンゼン、1−ヒドロキシ−3−ニトロ−4−アミノベンゼン、1−ヒドロキシ−2−アミノ−4,6−ジニトロベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルオキシ−2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−ニトロベンゼン、1−メトキシ−2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−ニトロベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルオキシ−3−メチルアミノ−4−ニトロベンゼン、1−β,γ−ジヒドロキシプロピルオキシ−3−メチルアミノ−4−ニトロベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−4−β,γ−ジヒドロキシプロピルオキシ−2−ニトロベンゼン、1−β,γ−ジヒドロキシプロピル−アミノ−4−トリフルオロメチル−2−ニトロベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−4−トリフルオロメチル−2−ニトロベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−3−メチル−2−ニトロベンゼン、1−β−アミノエチルアミノ−5−メトキシ−2−ニトロベンゼン、1−ヒドロキシ−2−クロロ−6−エチルアミノ−4−ニトロベンゼン、1−ヒドロキシ−2−クロロ−6−アミノ−4−ニトロベンゼン、1−ヒドロキシ−6−[ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロベンゼン、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−2−ニトロベンゼン、および1−ヒドロキシ−4−β−ヒドロキシエチルアミノ−3−ニトロベンゼン。
【0100】
アゾ直接染料の中では、以下の特許出願に記載されているカチオン性アゾ染料を挙げることができる:国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、欧州特許第0714954号明細書、仏国特許第2822696号明細書、仏国特許第2825702号明細書、仏国特許第2825625号明細書、仏国特許第2822698号明細書、仏国特許第2822693号明細書、仏国特許第2822694号明細書、仏国特許第2829926号明細書、仏国特許第2807650号明細書、国際公開第02/078660号パンフレット、国際公開第02/100834号パンフレット、国際公開第02/100369号パンフレット、および仏国特許第2844269号明細書(これらの内容は、本発明の一体的な部分を構成する)。
【0101】
それらの化合物の中では、最も特に以下のものを挙げることができる:1,3−ジメチル−2−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ]−1H−イミダゾリウムクロリド、1,3−ジメチル−2−[(4−アミノフェニル)アゾ]−1H−イミダゾリウムクロリド、および1−メチル−4−[(メチルフェニルヒドラゾノ)メチル]ピリジニウムメチルスルフェート。
【0102】
アゾ直接染料の中では、Colour Index International 3rd editionに記載されている以下の染料を挙げることができる:Disperse Red 17、Acid Yellow 9、Acid Black 1、Basic Red 22、Basic Red 76、Basic Yellow 57、Basic Brown 16、Acid Yellow 36、Acid Orange 7、Acid Red 33、Acid Red 35、Basic Brown 17、Acid Yellow 23、Acid Orange 24、Disperse Black 9。
【0103】
以下のものも挙げられる:1−(4’−アミノジフェニルアゾ)−2−メチル−4−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、および4−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェニルアゾ)−1−ナフタレンスルホン酸。
【0104】
キノン直接染料の中では、以下の染料を挙げることができる:Disperse Red 15、Solvent Violet 13、Acid Violet 43、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Blue 1、Disperse Violet 8、Disperse Blue 3、Disperse Red 11、Acid Blue 62、Disperse Blue 7、Basic Blue 22、Disperse Violet 15、Basic Blue 99、ならびに以下の化合物:1−N−メチルモルホリニウムプロピルアミノ−4−ヒドロキシアントラキノン、1−アミノプロピルアミノ−4−メチルアミノアントラキノン、1−アミノプロピルアミノアントラキノン、5−β−ヒドロキシエチル−1,4−ジアミノアントラキノン、2−アミノエチルアミノアントラキノン、1,4−ビス(β,γ−ジヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン。
【0105】
アジン染料の中では、以下の化合物を挙げることができる:Basic Blue 17、Basic Red 2。
【0106】
トリアリールメタン染料の中では、以下の化合物を挙げることができる:Basic Green 1、Acid Blue 9、Basic Violet 3、Basic Violet 14、Basic Blue 7、Acid Violet 49、Basic Blue 26、Acid Blue 7。
【0107】
ヨードアミン染料の中では、以下の化合物を挙げることができる:2−β−ヒドロキシエチンアミノ−5−[ビス(β−4’−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリノ−1,4−ベンゾキノン、2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−(2’−メトキシ−4’−アミノ)アニリノ−1,4−ベンゾキノン、3−N−(2’−クロロ−4’−ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ−6−メトキシ−1,4−ベンゾキノンイミン、3−N−(3’−クロロ−4’−メチルアミノ)フェニルウレイド−6−メチル−1,4−ベンゾキノンイミン、および3−[4’−N−(エチルカルバミルメチル)アミノ]フェニルウレイド−6−メチル−1,4−ベンゾキノンイミン。
【0108】
本発明で使用することが可能な天然直接染料の中では、以下のものを挙げることができる:ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、およびオルセイン。これらの天然染料を含む抽出物または浸出液、特にヘンナ染料ベースの湿布(poultice)または抽出物を使用することも可能である。
【0109】
その直接染料は、染料組成物中において、その組成物の全重量に対して、一般的にはおよそ0.001重量%〜20重量%、さらにより優先的にはおよそ0.005重量%〜10重量%の量で存在する。
【0110】
酸化染料は、染色の分野で慣用される酸化塩基(oxidation base)およびカプラーから選択され得る。
【0111】
酸化塩基の例として以下のものが挙げられる:パラ−フェニレンジアミン、二重塩基(double base)、パラ−アミノフェノール、オルト−アミノフェノール、および複素環式塩基、ならびにそれらの付加塩。
【0112】
パラ−フェニレンジアミン類の中では、例えば、以下のものを挙げることができる:パラ−フェニレンジアミン、パラ−トルエンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジプロピル−パラ−フェニレンジアミン、4−アミノ−N,N−ジエチル−3−メチルアニリン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルアニリン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−クロロアニリン、2−β−ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−フルオロ−パラ−フェニレンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−ヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−3−メチル−パラ−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(4’−アミノフェニル)−パラ−フェニレンジアミン、N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2−β−アセチルアミノエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−メトキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、4−アミノフェニルピロリジン、2−チエニル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−アミノトルエン、および3−ヒドロキシ−1−(4’−アミノフェニル)ピロリジン、ならびにそれらの酸との付加塩。
【0113】
上述のパラ−フェニレンジアミン類の中では、以下のものが特に好ましい:パラ−フェニレンジアミン、パラ−トルエンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミン、および2−β−アセチルアミノエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、ならびにそれらの酸との付加塩。
【0114】
二重塩基の中では、以下のものを例として挙げることができる:ビス(フェニル)アルキレンジアミン、およびビス−パラ−アミノフェノール。
【0115】
ビス(フェニル)アルキレンジアミン類の中では、例として以下のものが挙げられる:N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)−1,3−ジアミノプロパノール、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(4−メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(エチル)−N,N’−ビス(4’−アミノ−3’−メチルフェニル)エチレンジアミン、および1,8−ビス(2,5−ジアミノフェノキシ)−3,6−ジオキサオクタン、ならびにそれらの酸との付加塩。
【0116】
パラ−アミノフェノールの中では、例として、例えば以下のものが挙げられる:パラ−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−アミノ−3−フルオロフェノール、4−アミノ−3−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−メチルフェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−メトキシメチルフェノール、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール、4−アミノ−2−(β−ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、および4−アミノ−2−フルオロフェノール、ならびにそれらの酸との付加塩。
【0117】
オルト−アミノフェノールの中では、例として以下のものが挙げられる:2−アミノフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール、および5−アセトアミド−2−アミノフェノール、ならびにそれらの酸との付加塩。
【0118】
複素環式塩基の中では、以下のものが例として挙げられる:ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、およびピラゾール誘導体。
【0119】
ピリジン誘導体の中では、例えば、英国特許第1026978号明細書および英国特許第1153196号明細書に記載されている化合物、例えば2,5−ジアミノピリジン、2−(4−メトキシフェニル)アミノ−3−アミノピリジン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン、2−(β−メトキシエチル)アミノ−3−アミノ−6−メトキシピリジン、および3,4−ジアミノピリジン、ならびにそれらの酸との付加塩を挙げることができる。
【0120】
本発明において有用な他のピリジン酸化塩基は、例えば、仏国特許第2801308号明細書に記載されている、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン酸化塩基またはその付加塩である。その例として以下のものが挙げられる:ピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、2−アセチルアミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、2−(モルホリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−カルボン酸、2−メトキシピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)メタノール、2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−5−イル)エタノール、2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)エタノール、(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−2−イル)メタノール、3,6−ジアミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン、3,4−ジアミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3,7−ジアミン、7−(モルホリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3,5−ジアミン、5−(モルホリン−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−5−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−オール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−4−オール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−オール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−7−オール、および2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)オキシ]エタノール、ならびにそれらの酸または塩基との付加塩。
【0121】
ピリミジン誘導体の中では、例えば独国特許第2359399号明細書;特開88−169571号公報;特開平05−63124号公報;欧州特許第0770375号明細書、または国際公開第96/15765号パンフレットに記載されている化合物、例えば2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジヒドロキシ−5,6−ジアミノピリミジン、および2,5,6−トリアミノピリミジンを挙げることができる。ピラゾロピリミジン誘導体としては、仏国特許出願第A−2750048号明細書に記載のもの、例えば、以下のものを挙げることができる:ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン、2,5−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,5−ジアミン、2,7−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,5−ジアミン、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−オール、2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルアミノ)エタノール、2−(7−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イルアミノ)エタノール、2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2−[(7−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、5,6−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン、2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン、2,5,N7,N7−テトラメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3,7−ジアミン、および3−アミノ−5−メチル−7−イミダゾリルプロピルアミノピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、ならびにそれらの酸との付加塩ならびに互変異性が存在する場合にはそれらの互変異性の形態。
【0122】
ピラゾール誘導体の例として、独国特許第3843892号明細書および独国特許第4133957号明細書、ならびに国際公開第94/08969号パンフレット、国際公開第94/08970号パンフレット、仏国特許出願第A−2733749号明細書、および独国特許第19543988号明細書に記載されている化合物、例えば、以下のものが挙げられる:4,5−ジアミノ−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4−ジアミノピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(4’−クロロベンジル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1,3−ジメチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−フェニルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−メチル−3−フェニルピラゾール、4−アミノ−1,3−ジメチル−5−ヒドラジノピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジアミノ−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−tert−ブチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−tert−ブチル−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−(4’−メトキシフェニル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−ヒドロキシメチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−イソプロピルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−イソプロピルピラゾール、4−アミノ−5−(2’−アミノエチル)アミノ−1,3−ジメチルピラゾール、3,4,5−トリアミノピラゾール、1−メチル−3,4,5−トリアミノピラゾール、3,5−ジアミノ−1−メチル−4−メチルアミノピラゾール、および3,5−ジアミノ−4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−1−メチルピラゾール、ならびにそれらの酸との付加塩。
【0123】
同様に言及され得るピラゾール誘導体は、ジアミノ−N,N−ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に仏国特許第2886136号明細書に記載されているようなもの、例えば、以下の化合物およびそれらの付加塩を含む。
【0124】
それらの化合物の中では、以下のものが好ましい:
2,3−ジアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、
2−アミノ−3−エチルアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、
2−アミノ−3−イソプロピルアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、
2−アミノ−3−(ピロリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、
4,5−ジアミノ−1,2−ジメチル−1,2−ジヒドロピラゾル−3−オン、
4,5−ジアミノ−1,2−ジエチル−1,2−ジヒドロピラゾル−3−オン、
4,5−ジアミノ−1,2−ジ(2−ヒドロキシエチル)−1,2−ジヒドロピラゾル−3−オン、
2−アミノ−3−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、
2−アミノ−3−ジメチルアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、
2,3−ジアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H,6H−ピリダジノ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、
4−アミノ−1,2−ジエチル−5−(ピロリジン−1−イル)−1,2−ジヒドロピラゾル−3−オン、
4−アミノ−5−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−1,2−ジエチル−1,2−ジヒドロピラゾル−3−オン、
2,3−ジアミノ−6−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン。
【0125】
好適に使用できるであろう複素環式塩基としては、以下のものが挙げられる:4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)ピラゾール、2,3−ジアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾル−1−オン、および2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)オキシ]エタノール、および/またはそれらの付加塩または溶媒和物。
【0126】
その酸化塩基は、染料組成物中において、その組成物の全重量に対して、一般的にはおよそ0.001重量%〜10重量%、好ましくはおよそ0.005重量%〜6重量%の量で存在する。
【0127】
カプラーの例として以下のものが挙げられる:メタ−フェニレンジアミン、メタ−アミノフェノール、メタ−ジフェノール、ナフタレンベースのカプラーおよび複素環式カプラー、ならびにそれらの付加塩。
【0128】
特に以下のものを挙げることができる:2−メチル−5−アミノフェノール、5−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルフェノール、6−クロロ−2−メチル−5−アミノフェノール、3−アミノフェノール、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、4−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,4−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2−アミノ−4−(β−ヒドロキシエチルアミノ)−1−メトキシベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、3−ウレイドアニリン、3−ウレイド−1−ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、α−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、6−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシ−N−メチルインドール、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、6−ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン、1−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、および2,6−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、ならびにそれらの酸との付加塩。
【0129】
そのカプラーは、染料組成物中において、その組成物の全重量に対して、一般的にはおよそ0.001重量%〜10重量%、好ましくはおよそ0.005重量%〜6重量%の量で存在する。
【0130】
一般的には、本発明に関連して使用することが可能な酸化塩基およびカプラーの付加塩は、特に酸との付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシレート、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、および酢酸塩、ならびに塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン、またはアルカノールアミンとの付加塩から選択される。
【0131】
本発明による酸化性組成物は、ケラチン物質、特に皮膚またはケラチン繊維、特にケラチン繊維、例えば毛髪を脱色または明色化するためのプロセスでも使用され得る。
【0132】
本発明における脱色プロセスは、ケラチン物質、特に皮膚またはケラチン繊維に、好ましくは、使用時に混合した直後のアルカリ性媒体中の過酸化水素水溶液を含む脱色組成物を適用するステップを含む。通常、本発明における脱色プロセスの第2のステップは、ケラチン物質、特にケラチン繊維を濯ぐステップである。
【0133】
ケラチン物質、特にケラチン繊維に適用する脱色組成物は、本発明による酸化性組成物を、好ましくは1種または複数のアルカリ性薬剤を含む水性または非水性組成物と混合することによって得ることができる。その非水性組成物は、粉体状またはペースト状であり得、いずれに場合にも1種または複数の過酸化塩、特に1種または複数の過硫酸塩を含むのが好ましい。そのペースト形態の非水性組成物は、1種または複数の不活性な有機液体も含み得る。
【0134】
特に、本発明の主題は、ケラチン物質、特にケラチン繊維、より特に毛髪を染色および/または明色化するためのプロセスであって、それらのケラチン物質に対して、
− 少なくとも1種の組成物Aであって、
− 少なくとも1種のアルカリ性薬剤、
− 任意選択的に、少なくとも1種の着色剤
を含む少なくとも1種の組成物A、
− 少なくとも1種の、先に定義された酸化性組成物(組成物Bと呼ばれる)
を混合することによって得られる染色および/または明色化組成物を適用することを含む、プロセスである。
【0135】
その着色剤は、先に説明した直接染料および/または酸化染料から選択され得る。
【0136】
塩基性化剤は、鉱物質、有機物またはそれらのハイブリッド物であり得る。
【0137】
鉱物質の塩基性化剤は、好ましくは、以下のものから選択される:アンモニア、アルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、および重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、またはそれらの混合物。
【0138】
有機の塩基性化剤は、好ましくは、25℃でのpKが12未満、好ましくは10未満、さらに有利には6未満である有機アミンから選択される。それは、最も塩基性が高い官能基に対応するpKに関係することに注意されたい。加えて、その有機アミンは、11個以上の炭素原子を含むいかなるアルキルまたはアルケニル脂肪鎖も含まない。
【0139】
有機の塩基性化剤は、例えば、以下のものから選択される:アルカノールアミン、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エチレンジアミン、アミノ酸、および次の式(II):
【化1】
(式(II)中、Wは、任意選択的に、1種または複数のヒドロキシル基またはC〜Cアルキルラジカルで置換され、かつ/または任意選択的に1個または複数のヘテロ原子、例えばOまたはNRで中断されている二価のC〜Cアルキレンラジカルであり、R、R、R、R、およびRは、同一であってもまたは異なっていてもよく、水素原子、またはC〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、もしくはC〜Cアミノアルキルラジカルを表す)
を有する化合物。
【0140】
式(II)のアミンの例として1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、スペルミン、およびスペルミジンを挙げることができる。
【0141】
「アルカノールアミン」という用語は、一級、二級または三級アミン官能基、ならびに1個または複数のヒドロキシルラジカルを担持する、1個または複数の直鎖状または分岐状のC〜Cアルキル基を含む有機アミンを意味する。
【0142】
1〜3個の同一であるかまたは異なるC〜Cヒドロキシアルキルラジカルを含む、アルカノールアミン、例えば、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、またはトリアルカノールアミンから選択される有機アミンが本発明を実施するのに特に好適である。
【0143】
このタイプの化合物としては、以下のものを挙げることができる:モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−ジメチルアミノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、およびトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン。
【0144】
より特に、使用可能なアミノ酸は、それらのL体、D体、またはラセミ体形態の天然または合成由来のものであり得、より特に、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸およびリン酸官能基から選択される少なくとも1個の酸官能基を有する。そのアミノ酸は、中性またはイオン形態であり得る。
【0145】
本発明で使用可能なアミノ酸としては、特に以下のものを挙げることができる:アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N−フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン。
【0146】
そのアミノ酸が、任意選択的に環中またはウレイド官能基中に含まれる追加のアミン官能基を含む塩基性アミノ酸であれば有利である。
【0147】
そのような塩基性アミノ酸は、好ましくは、次の式(III):
【化2】
(式(III)中、Rは、イミダゾリル、好ましくは4−イミダゾリル;−(CHNH;−(CHNH;−(CH−NH−C(O)−NH;および
【化3】
から選択される基を表す)
に対応するものから選択される。
【0148】
式(III)に対応する化合物は、ヒスチジン、リシン、アルギニン、オルニチン、およびシトルリンである。
【0149】
その有機アミンは、複素環式タイプの有機アミンからも選択され得る。アミノ酸において既に述べたヒスチジンの他に特にピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、およびベンズイミダゾールも挙げることができる。
【0150】
その有機アミンは、アミノ酸ジペプチドからも選択され得る。本発明で使用することが可能なアミノ酸ジペプチドとしては、特にカルノシン、アンセリン、およびバレニンを挙げることができる。
【0151】
その有機アミンは、グアニジン官能基を含む化合物からも選択され得る。本発明で使用され得るこのタイプのアミンとしては、アミノ酸において既に述べたアルギニンの他に特に以下のものを挙げることができる:クレアチン、クレアチニン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1−ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、N−アミジノアラニン、3−グアニジノプロピオン酸、4−グアニジノ酪酸、および2−([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン−1−スルホン酸。
【0152】
ハイブリッド化合物としては、先に述べたアミンと、酸、例えば炭酸または塩酸との塩を挙げることができる。
【0153】
グアニジンの炭酸塩またはモノエタノールアミンの塩酸塩が特に使用可能である。
【0154】
本発明の組成物A中に存在する塩基性化剤を、以下のものから選択するのが好ましい:アルカノールアミン、中性もしくはイオン形態のアミノ酸、特に塩基性アミノ酸、好ましくは式(III)を有するものに対応するもの。その塩基性化剤を、モノエタノールアミン(MEA)および中性もしくはイオン形態の塩基性アミノ酸から選択するのがさらにより好ましい。
【0155】
本発明における組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%の範囲の塩基性化剤の含量を有するのが有利である。
【0156】
特定の実施形態では、組成物Aまたは本発明におけるプロセスおいて使用される最終の組成物は、塩基性化剤としてアンモニアまたはその塩を含まない。
【0157】
本発明の別の主題は、先に定義された酸化性組成物を使用する、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をパーマネントでリシェーピングするためのプロセスである。
【0158】
このプロセスでは、還元性組成物が、処理すべきケラチン繊維に適用され、そのケラチン繊維は、その還元性組成物を適用する前、その間、およびその後に機械的張力下に置かれ、その繊維が任意選択的に濯がれ、本発明の酸化性組成物が、任意選択的に濯がれた繊維に適用され、次いでその繊維が任意選択的に再度濯がれる。
【0159】
このプロセスの第1のステップは、毛髪に対して還元性組成物を適用することを含む。この適用は、髪の一房ずつまたは頭部全体に対して実施する。
【0160】
その還元性組成物は、少なくとも1種の還元剤を含み、それは、特にチオグリコール酸、システイン、システアミン、グリセリルチオグリコレート、およびチオ乳酸、またはチオ乳酸もしくはチオグリコール酸の塩から選択することができる。
【0161】
その毛髪に所望される最終形状(例えば、カール)に対応する形状になるように、毛髪を張力下に置くための通常のステップは、任意の手段、特に機械的な手段で実施することができ、その機械的な手段は、毛髪を張力下に保持するために適切な自体公知の手段、例えばローラー、カーラー、櫛などである。
【0162】
毛髪は、外的手段を用いずに単に指で形作られ得る。
【0163】
次の任意選択的な濯ぎステップを実施する前に、その還元性組成物を適用した頭髪を、通常、数分間、一般的に5分〜1時間、好ましくは10〜30分間放置して、それにより、その還元剤が毛髪に対して正常に作用するのに十分な時間を与えるようにするべきである。この待機状態は、35℃〜45℃の範囲で実施するのが好ましく、その間、ボンネット(bonnet)を用いて毛髪を保護するのも好ましい。
【0164】
第2の任意選択的な濯ぎステップでは、水性組成物を用いて、還元性組成物を含浸させた毛髪を完全に濯ぐ。
【0165】
次いで、第3のステップにおいて、そのように濯いだ毛髪に対して、その毛髪に与えられた新しい形状を固定する目的で、本発明による酸化性組成物を適用する。
【0166】
次いで、還元性組成物の適用と同様に、その酸化性組成物を適用した頭髪を、通常、数分間、一般的に3〜30分間、好ましくは5〜15分間続けて放置状態、すなわち待機状態に置く。
【0167】
外的手段により、毛髪に対する張力を保持する場合、それらの手段(ローラー、カーラーなど)は、固定ステップ前または後に頭髪から外し得る。
【0168】
最後に、本発明におけるプロセスの最終ステップ(これも任意選択的なステップである)では、一般的には水を用いて、酸化性組成物を含浸させた毛髪を完全に濯ぐ。
【0169】
本発明の主題は、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための、先に定義された酸化性組成物の使用でもある。
【0170】
本発明の主題は、特に、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための、先に定義された酸化性組成物の使用である。
【0171】
本発明の主題は、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を脱色または明色化するための、先に定義された酸化性組成物の使用でもある。
【0172】
本発明の主題は、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をパーマネントでリシェープするための、先に定義された酸化性組成物の使用でもある。
【0173】
以下に続く実施例は、本発明を説明するものであるが、本質的に限定的ではない。
【実施例】
【0174】
実施例1
次の組成物を調製する。
【0175】
【表1】
【0176】
それらを45℃で2ヶ月間保存して、それらの安定性を目視で評価する。
【0177】
2OEのオキシエチレン化非イオン性界面活性剤/20OEのオキシエチレン化非イオン性界面活性剤を重量比1で含む組成物Cは、安定ではなく、配合物を安定化させてから数日で45℃において相分離が起こる。
【0178】
本発明による組成物A、B、D、E、FおよびGは、45℃で2ヶ月経過後でも安定である。
【0179】
実施例2
次の組成物を調製する(特に断らない限り、量は製品のg%で表す)。
【0180】
【表2】
【0181】
【表3】
【0182】
【表4】
【0183】
使用時に以下のものを共に混合する:
− 1重量部の配合物A2および2重量部の配合物B2(本発明)
− 1重量部の配合物A1および2重量部の配合物B1(比較例)。
【0184】
10gのそれぞれの混合物(pH=9.9±0.1)を、1gの栗色の天然しみのある毛房(TD4)に適用する。リーブオン時間は、33℃に温度調節したホットプレート上での50分である。
【0185】
リーブオン時間経過後、それぞれの毛房を濯ぎ、iNOA POSTシャンプーを用いて洗浄し、かつフード下において60℃で乾燥させる。
【0186】
毛房の明色化は、Minolta Spectrophotometer CM2600D測色計を使用してCIE L系で評価する。
【0187】
このL系では、3つのパラメーターがそれぞれ明度(L)、緑/赤色座標軸(a)、青/黄色座標軸(b)を表す。
【0188】
未処理(対照)および処理後の、90%グレーの天然の毛髪の毛房間の色彩の変化を、次式に従った(ΔEab)によって定義する。
【数1】
この式において、L、aおよびbは、染色の後の毛髪の毛房についての測定値を表し、L、aおよびbは、染色していない元の毛髪の毛房についての測定値を表す。ΔEの値が大きいほど明色化が良好である。
【0189】
【表5】
【0190】
下の表に見られるように、本発明による混合物A2+B2は、比較例の混合物A1+B1よりも明色化が良好である。さらに、本発明の組成物に含まれる水酸化アンモニウムが44%少ないため、発生する強烈なアンモニア臭も減っている。
【0191】
実施例3
次の組成物を調製した。
【0192】
【表6】
【0193】
先に説明した酸化剤B2を使用する。
【0194】
使用時に1重量部の配合物A3を2重量部の配合物B2と混合する。
【0195】
10gのその混合物(pH=9.8)を、1gの淡栗色の天然しみのある毛房(TD8)に適用する。リーブオン時間は、33℃に温度調節したホットプレート上での50分である。
【0196】
リーブオン時間経過後、それぞれの毛房を濯ぎ、iNOA POSTシャンプーを用いて洗浄し、かつフード下において60℃で乾燥させる。
【0197】
毛房の着色は、Minolta Spectrophotometer CM2600D測色計を使用してCIE L系で評価する。
【0198】
明るいゴールデンブロンドの色が得られる。
【0199】
【表7】