(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882322
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】低温液体の蒸発から生じるガスを処理し、ガスエンジンに加圧ガスを供給するシステム
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20210524BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20210524BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
B63B25/16 D
B63H21/38 C
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-549821(P2018-549821)
(86)(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公表番号】特表2019-510943(P2019-510943A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】FR2017050669
(87)【国際公開番号】WO2017162984
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2019年9月26日
(31)【優先権主張番号】1652504
(32)【優先日】2016年3月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】599067318
【氏名又は名称】クライオスター・ソシエテ・パール・アクシオンス・サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】ラゴ,マティアス
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−505784(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/037400(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0148771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
B63B25/16
B63H21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液体の蒸発から由来するガスを処理し、加圧されたガスをガスエンジンに供給するためのシステムであって、
前記システムは、一方で、上流から下流に、圧縮手段(11,12,13)を備えた再液化ユニット(10)と、第1熱交換器(17)と、膨張手段(30)と、を有し、
他方で、上流から下流に、前記液体を加圧するためのポンプ(48)と高圧蒸発手段(61)とを有する、加圧ガス供給ラインを有し、
前記加圧ガス供給ラインは、前記蒸発手段(61)の上流に、供給ライン(56)の加圧された液体と、前記第1熱交換器(17)の下流であり且つ前記膨張手段(30)の上流の前記再液化ユニット(10)のライン(22)との間に、第2熱交換器(60)を提供するためのバイパス(57)を有する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載されたシステムにおいて、
前記バイパス(57)は、前記第2交換器(60)の下流に冷却システムを供給する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載されたシステムにおいて、
前記第2交換器(60)の下流に、直列に取り付けられる第3熱交換器(70)を有する、システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたシステムにおいて、
前記第2交換器(60)に並列に取り付けられる第3熱交換器(70)を有する、システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記バイパス(57)は、前記第2交換器(60)に加えて、一又は複数の交換器にその再液化の前に冷却ガスを供給する、システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記膨張手段(30)の下流に、前記拡張された流体において液相から気相を分離するドラム(40)を有し、
ラインが、前記低温液体の蒸発から由来するガスと混合するために、前記気相を収集ベッセルに導入し、
前記バイパス(57)が、前記収集ベッセル(2)への導入の前に前記気相を冷却するための熱交換器(80dd´)を提供する、システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記再液化ユニットは、前記圧縮手段(11,12,13)の下流に、第2膨張手段(14)を有するループへのバイパスを有し、
前記ループは、前記ループによって迂回されない回路におけるガスの一部とは反対方向に前記第1熱交換器(17)を通過した後に、前記圧縮手段(11,12,13)の上流の回路に再結合する、システム。
【請求項8】
請求項7に記載されたシステムにおいて、
前記圧縮手段は、各々が圧縮ホイールを備えるいくつかの圧縮段階(11,12,13)を有し、
前記第2膨張手段は、膨張タービン(14)を有し、
各圧縮ホイール及び膨張タービン(14)は、同一の機械的トランスミッション(15)と関連付けられる、システム。
【請求項9】
請求項3又は4に従属する請求項7又は8に記載されたシステムにおいて、
前記供給ライン(56)から迂回した加圧された液体と、前記圧縮手段(11,12,13)と前記第2膨張手段(14)との間のガスと、の間に前記第3熱交換器(70)を有する、システム。
【請求項10】
ガスエンジンによって推進される船であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載された、低温液体の蒸発から由来するガスを処理し、加圧されたガスをガスエンジンに供給するためのシステムを有する、船。
【請求項11】
低温液体の蒸発から由来するガスの流れを処理し、高圧のガスを供給するための方法であって、
前記ガスの流れは、最初に圧縮され、続いて、膨張される前に第1熱交換器(17)において少なくとも部分的に冷却され且つ凝縮され、
前記高圧ガスの供給は、低温液体を加圧して蒸発させることによって提供され、
その圧縮の後、加圧された液体の流れは、液体の流れの第1部分と、液体の流れの第2部分に分離され、
前記液体の流れの第1部分は、前記凝縮したガスの膨張の前に第2交換器(60)において圧縮され且つ凝縮したガスを冷却するために使用され、
前記液体の流れの第2部分は、圧縮されたガスを冷却した後の前記液体の流れの第1部分を受け、前記液体の流れの全てが続いて蒸発される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載された方法において、
前記圧縮されたガスの、重さで半分以上が、前記第2交換器(60)で冷却される前に凝縮される、方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載された方法において、
前記加圧された液体の流れは、凝縮される前のガスを冷却するためにも使用される、方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載された方法において、
前記圧縮されたガスの一部は、膨張タービン(14)内で膨張されるために前記第1交換器内でタップされ、
前記膨張されたガスは、前記圧縮されたガスを冷却し、その凝縮を誘発するために逆方向に前記第1交換器(17)内に導入される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温液体の蒸発から生じるガスを処理し、ガスエンジンに加圧ガスを供給するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、特に低温液体の海上運送、より具体的には液化天然ガス(LNG)の海上運送である。しかしながら、以降提案されるシステム及び方法は、陸上設置にも適用可能であり得る。
【0003】
液化天然ガスの場合を考慮すると、後者は、周囲圧力において、−163度(又はこれ未満)の温度を示す。LNGの海上運送において、後者は、船、メタンタンカのタンクに配置される。これらのタンクは断熱されているが、熱漏れが存在し、外部環境は、タンクに収容された液体に熱を加える。したがって、液体は再加熱されて蒸発する。メタンタンカのタンクのサイズで仮定すると、断熱状条件及び外部条件に基づいて、1時間あたり数トンのガスが蒸発し得る。
【0004】
安全上の理由で、船のタンク内に蒸発したガスを維持しておくことはできない。タンク内の圧力は危険なほどに増加することになる。したがって、蒸発したガスをタンクから逃すことが不可欠である。規制により、このガス(もしそれが天然ガスなら)を大気にそのまま放出することが防止される。それは燃やさなければならない。
【0005】
蒸発したこのガスを失うことを避けるために、一方では、ガスを輸送する船に搭載されたエンジンの燃料として使用することが、他方では、ガスを再液化して、ガスが生じたタンクにそれを戻すことも、既知の実務である。
【0006】
蒸発したガスを再液化するために、このガスを冷却して、液相に戻ることができる温度及び圧力条件にガスを再び戻すことが既知の実務である。この冷却の提供は、例えば、窒素等の冷媒のループを有する冷蔵回路での熱交換によって大抵行われる。
【0007】
さらに一部のメタンタンカは、それらの推進力を保証するために、輸送する天然ガスを燃料として使用する。天然ガスで作動するエンジンはいくつかのタイプがある。本発明は、より具体的には、高圧で気相の天然ガスが供給されるものに関する。メタンタンカを推進するエンジンに供給するために、ガスは、メタンタンカに搭載されて配置された液化天然ガスのタンクからポンプで汲み上げられ、続いてエンジンに供給できるようにするために蒸発される前にポンプを使用して加圧される。
【0008】
文献EP2746707は、いくつかの圧縮段階でコンプレッサにおいて圧縮された、典型的に外航船に搭載されて配置された、液化天然ガス貯蔵タンクから蒸発する天然ガスに焦点を当てている。圧縮された天然ガスの流れの少なくとも一部は、液化のために、ブレイトンサイクルにより典型的に作動する、液化装置に送られる。最終段階から来る圧縮された天然ガスの温度は、熱交換器を通過することにより、0度未満の値に低下される。第1圧縮段階は低温圧縮機としてここでは作動し、低温圧縮された結果の天然ガスは、圧縮段階からの流れの必要な冷却を進めるために、熱交換器において使用される。熱交換器を通る通路の下流において、低温圧縮された天然ガスは、圧縮機の残りの段階を循環する。必要に応じて、圧縮された天然ガスの一部は、外航船のエンジンに供給するための燃料としての役割を果たす。異なる実施形態(§[0026])では、部分的に圧縮された液体を備える液化の前の気体状態における圧縮ガスを、エンジン又はタービンで使用されて拡張される前に、冷却することができる。
【0009】
ブレイトンサイクルにおける窒素、又は冷蔵されることになる流体とは異なる他の任意の冷蔵ガスを使用した冷蔵ループの存在は、冷媒のための特定の設備機器を提供することを含む。したがって、例えば、窒素を使用する冷蔵回路が船(又は他の場所)に搭載されて設けられたとき、低温領域にて使用できるように窒素処理(精製)ユニットが必要になる。窒素の循環を調整するために、特定のタンク、バルブ、及び他の装置を提供する必要もある。
【0010】
メタンタンカのエンジンに供給する天然ガスが船のタンクから直接取り出されるとき、気相のガスの消費が制限されるので、液化において高い効率を有することが好ましい。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、蒸発したガスを液化し且つガスをエンジンに高圧で供給することができる最適化されたシステムを提供することである。好ましくは、提案されるシステムは、再液化されるガスの割合に関して、回収される液体の量を最適化することができる。有利には、提案されるシステムは、メタンタンカ等の船に搭載して使用することができる。好ましくは、システムは、異なる種類の流体を備えた二つの分離した回路を有することを避けるために、窒素等の冷媒の使用をすることなく作動する。提案される溶液もまた、従来技術の溶液を生成するよりも高価でないことが好ましい。
【0012】
この目的で、本発明は、低温液体の蒸発から由来するガスを処理し、加圧されたガスをガスエンジンに供給するためのシステムであって、システムは、一方で、上流から下流に、圧縮手段を備えた再液化ユニットと、第1熱交換器と、膨張手段と、を有し、他方で、上流から下流に液体を加圧するためのポンプと高圧蒸発手段とを有する加圧ガス供給ラインを有する。
【0013】
本発明によれば、加圧ガス供給ラインは、蒸発手段の上流に、供給ラインの圧縮された液体と第1熱交換器の下流であり且つ膨張手段の上流の再液化ユニット(10)のラインとの間の第2熱交換器を供給するためのバイパスを有する。
【0014】
提案される溶液は、蒸発したガスの再液化と、例えばMEGIエンジンであるエンジンに供給するための加圧ガスの生成との間の相乗効果を生成することができる。実際、一方ではガスを冷却する必要があり、他方では液体が蒸発する前に液体を再加熱する必要がある。提案される第2交換器は、したがって、再液化ユニットの(冷却における)必要性と高圧ガス供給ラインの(加熱における)必要性の両方を制限することができる。新規の態様において、ここでは、凝縮したガスを「最終冷却」することが提案される。実際には、第1交換器の後、圧縮されたガスは、凝縮するために十分に冷却され、圧力下でほとんど液相である。この加圧された液体は、実質的に大気圧にある(空気の進入を避けるために少し高い)タンク内に再導入され得るように、膨張されなければならない。この膨張において、凝縮されたガスの一部が再蒸発される。凝縮されたガスを膨張前に冷却することで、それは液相になり、このガスは最終冷却され、再蒸発する凝縮されたガスの一部を、膨張において、制限することができる。
【0015】
エンジンに供給するために蒸発されることが意図された加圧液体の流れから生じる冷却源の使用をさらに最適化するために、第2交換器の下流で、バイパスが冷却システムを供給する。例えば、それは、第2交換器に直列且つ下流に取り付けられた第3交換器及び/又は第2交換器に並列に取り付けられる熱交換器であり得る。
【0016】
上述したシステムにおいて、第2交換器に加えて、ガスの再液化前にガスを冷却するための一又は複数の交換器を供給するバイパスを提供することができる。
上述したようなシステムの特定の変形は、膨張手段の下流に、膨張した流体における液相から気相を分離するドラムと;収集ベッセルに気相を導入して低温液体の蒸発から由来するガスと混合するためのラインと、収集ベッセルに導入する前にガス相を冷却するための熱交換器を供給するためのバイパスと、を提供する。
【0017】
上述したシステムは、液化される流体と同じ流体を冷媒として使用する再液化ユニットに特によく適している。この有利な変形において、上記ユニットは、したがって、例えば、その圧縮手段の下流に、第2膨張手段を有するループへのバイパスを有し、ループは、ループによって迂回されない回路内のガスの少量に対して反対方向において第1熱交換器を通過した後、圧縮手段の上流の回路に再接合する。この実施形態において、好ましくは、圧縮手段が圧縮ホイールを各々備えたいくつかの圧縮段階を有し、第2膨張手段が膨張タービンを有し、各圧縮ホイール及び膨張タービンが全く同一の機械的トランスミッションに関連付けらせる。随意に、その様な再液化ユニットを備えたシステムであって、供給ラインから迂回された加圧液体と、圧縮手段及び第2膨張手段間のガスと、の間の第3熱交換器をさらに有するシステムを提供することもできる。この第3交換器は、交換を増加させて、したがってシステムを最適化することができる。上述したように、第1変形実施形態によれば、第3交換器は第2交換器に並行に取り付けられ得、他の代替的な変形実施形態によれば、第3交換器は第2交換器に直列に取り付けられ得る。
【0018】
本発明は、ガスエンジンによって推進される船、特にメタンタンカにも関連し、低温液体の蒸発から由来するガスを処理し、上述したようにガスエンジンに加圧ガスを供給するためのシステムを有することを特徴とする。
【0019】
最後に、本発明は、低温液体の蒸発から由来するガスの流れを処理し、高圧におけるガスエンジンを供給するための方法であって、ガスの流れが、最初に、膨張される前に第1熱交換器内で圧縮され続いて少なくとも部分的に冷却され且つ凝縮され、高圧でのガスの供給が、低温液体を加圧しその後蒸発させることにより提供される、方法において、
その圧縮の後、加圧された液体流れが液体流れの第1部分と液体流れの第2部分に分離され、液体流れの第1部分は、凝縮したガスの膨張の前に第2交換器内で圧縮され且つ凝縮したガスを冷却するために使用され、液体流れの第2部分は、後者が圧縮されたガスを冷却した後に、液体流れの第1部分を受け取り、液体流れの全てが蒸発されることを特徴とする方法を提案する。
【0020】
この方法において、圧縮されたガスの重量で有利には半分以上、好ましくは少なくとも90%が、第2交換器内で冷却される前に凝縮されることが提供される。
再液化において効率を上昇させるために、有利には加圧された液体流れが、凝縮される前にガスを冷却するのに使用されることができる。
【0021】
上述した方法において、有利には、圧縮されたガスの一部が膨張タービンにおいて膨張されるために第1交換器内でタップされ、膨張されたガスは、圧縮されたガスを冷却し、その凝縮を誘発するために逆方向に第1交換器内に導入されることができる。このようにして、再液化される流体は、冷媒としても使用され、再液化を許容するために他の流体を使用する冷蔵回路を提供する必要が無い。
【0022】
本発明の詳細及び利点は、添付の概略図を参照しながら、以下の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【
図2】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【
図3】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【
図4】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【
図5】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【
図6】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【
図7】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【
図8】
図1から
図8は、いくつかの変形による、液化するために回収されたガスの一部を処理するためのシステム及びガスエンジンへの高圧ガス供給ラインを備えた、蒸発しているガスをタンクから回収するためのシステムに関連付けられた低温液体のタンクの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付された図の各々において、タンク1が示される。以下の図を通じて、メタンタンカ型の外航船に搭載される他の類似したいくつかのタンク中の液化天然ガス(又はLNG)のタンクが仮定される。
【0025】
以下の説明における数値は、単に例示であり且つ限定されない数値例によって与えられる。それらは、船に搭載されるLNGの処置に適合されるが、特にガスの性質が変化する場合、変わり得る。
【0026】
タンク1は、大気圧に近い圧力におけるLNGの通常の貯蔵温度に相当する、−163℃ほどの温度でLNGを貯蔵する。この温度はもちろん、天然ガスの組成及び貯蔵条件に依存する。タンク1周囲の雰囲気は、LNGの温度よりも非常に高い温度にあるので、タンク1がとても良好に熱的に絶縁されているにしても、カロリーが、温まって蒸発する液体に加えられる。蒸発されるガスの体積は、相当する液体の体積よりも非常に大きいので、タンク1内の圧力は、したがって、時間と共に増加する傾向があり、カロリーは液体に追加される。
【0027】
過度に高い圧力に到達することを避けるために、蒸発されるガスは、蒸発されるときにタンク1(及び船の他のタンク)から引き抜かれ、いくつかのタンクと接続された収集ベッセル2内に配置される。以下の記載においては、蒸発されるガスは、それが液化されるときであっても、“ガス”と称される。したがって、エンジンに供給するためにタンクから得られる液体状のLNGと区別される。
【0028】
図示のシステムにおいては、蒸発されるガスを(例えば電気を生成するために)船に搭載されるエネルギー源として使用し、過剰ガスを再液化することができる。ここでの目的は、蒸発されるガスの浪費を避けることであり、したがって船上で使用するか、液相に戻し、タンク1内に戻すことである。さらに、船のタンクから取り出された液体LNGから、高圧ガスをMEGIエンジン型のガスエンジンに供給するためのラインが提供される。
【0029】
船上で使用されるために、タンクから蒸発したガスは、まずは圧縮されなければならない。この圧縮は、図示されるように複数段階であり得る、第1圧縮ユニット3で行われる。例示であり且つ限定されない数値例によって、このユニットは、収集ベッセル2内に収集されたガスの圧力を、大気圧とほぼ等しい圧力から、15から20bar(1bar=10
5Pa)ほどの圧力に上昇させる。
【0030】
この第1圧縮段階の後、ガスは、その圧力を大いに変更することなく冷却する中間冷却器4内を通過する。その圧縮で加熱されているガスは、中間冷却器の出力において40から45℃ほどの温度にある(これらの値は、例示的な態様において与えられ、特に天然ガスに適用される)。十分に圧縮され冷却されたガスは、続いて、ダクト5によって船に搭載された発電機に、気相で送られ得る。
【0031】
船の発電機におけるガス必要性は、船に搭載された全てのタンクにおける蒸発によるガスの“生成”よりもしばしば低い。発電機で使用されないガスは、再液化ユニット10に送られる。
【0032】
再液化ユニット10は、その入力において、特にダクト5におけるガスの圧力を制御することが意図されたバルブ6と、後述される主回路及びループを有する。
主回路は、ガス(気相であり、数barからおよそ50Bar−限定されない値−ほどの圧力)から、タンク1に戻すことができる液相のガスを得ることができる。
【0033】
タンクに戻される液相のガスを得る方法は従来型である。それは、ガスを圧縮し、凝縮するために冷却し、タンク内に広まっている圧力に戻すために膨張させることを含む。このように行うことは、低温学の分野で典型的である。
【0034】
したがって、主回路には、第一に、参照符号11,12,13が付された3つの連続的な段階を有する多段式コンプレッサがある。各段階は、圧縮ホイールによって形成され、3つの圧縮ホイールは、シャフトとピニオンを備えた同一のトランスミッション15によって駆動される。図中の圧縮段階間の線は、それらの間の機械的連結部を表す。
図1の実施形態において、多段式コンプレッサに到達するガスは、このコンプレッサの第2段階12に到達する。システム次第で、図面の他の図に示されるように、コンプレッサの第1又は第3(又はより一般的にはn段階)に、完全に均等に到達し得る。
【0035】
この第2圧縮の後、ガスは、中間冷却器16内を通過する。その圧力は、数十Bar、例えばおよそ50Barであり、その温度は、再び40−45℃ほどである。
十分に圧縮されたガスは、続いて第1多流交換器17において冷却されて凝縮される。ガスは、第1交換器17において第1方向に循環する。(第1方向に対して)反対方向に循環してそれを冷却するために使用される流体は、後述される。
【0036】
第1交換器17の出力において、−110℃から−120℃ほどの温度に冷却された圧縮されたガスは、大部分(ほとんど全部)が液相であり、数十Bar(例えば、およそ50Bar)ほどの圧力のままで、断熱ダクト22によって膨張バルブ30に送られる。
【0037】
膨張バルブ30を通る凝縮されたガスの膨張は、液相のメタンリッチなガスと気相の窒素リッチなガスを提供する。この液相と気相の分離は、ドラム40内で行われ、ドラム40内の圧力は数Bar、例えば3から5Barの間ほどである。
【0038】
ドラム40の気相におけるガスは、好ましくは収集ベッセル2に戻される。このようにして、発電機における燃料として使用されるか、再液化ユニット10に戻すことができる。このガスは冷たいので、第1交換器17における圧縮されたガスを冷却して凝縮するために使用され得る。したがって、ガスを収集ベッセル2に戻す前に、第1交換器17において反対方向に循環させることができる。
【0039】
様々な理由のため、特に移行期間においてドラム40の気相のガスが収集ベッセル2に再循環されることができない場合、フレア又は燃焼ユニットに送ることができる。一連のバルブ31,32は、リンクダクト35によって収集ベッセル2に、又は燃焼ユニット(図示せず)に、ドラム40からの気相のガスをそれぞれ送ることを制御する。
【0040】
ドラム40の底部で回収された液相のガスは、その限りで、タンク1に戻されることが意図される。運転条件に応じて、液相のガスは、直接(バルブ33によって制御される通路)、又はポンプ41を使用して(バルブ34によって制御される通路)、タンク1に送られ得る。
【0041】
ドラム40から由来する液相のガスの直接又はポンプ41を介するタンク1への戻りは、バルブ54、例えばストップバルブを備えた断熱ダクト36を通じて行われる。
再液化ユニット10においては、多段式コンプレッサ(段階11,12,13)内で圧縮されたガスの冷却を保証することが重要である。この冷却は、例えばブレイトンサイクルによって作動する独特な熱力学的機械を使用し、冷媒として窒素を使用して、通常行われている。再液化ユニット10において、第1交換器17内のガスを冷却し凝縮するそのような冷却器を使用することができる。しかしながら、上記で言及されたように、冷媒として天然ガスを使用する冷却ループを備えた再液化ユニットを提供することが、ここで提案される。このループは、多段式コンプレッサ(段階11,12,13)の下流のガスの流れを、先述した主回路に相当する第1流れ又は主流と、第2流れ又は迂回流れに分離するバイパスダクト18から始まる。
【0042】
バイパスダクト18は、好ましくは第1交換器17において主回路とつなげられる。バイパスダクト18に入り込む気相のガスは、高圧(所与の数値例でおよそ50bar)であり、40℃と−110℃の間の中間温度にある。
【0043】
バイパスダクト18を通じて得られたガスは、膨張タービン14によって形成される膨張手段において膨張される。図示の好ましい実施形態では、膨張タービン14は、再液化ユニット10の多段式コンプレッサの段階11,12,13に相当する3つの圧縮ホイールと機械的に連結される。シャフト及びピニオンによるトランスミッション15は、膨張タービン14と、多段式コンプレッサの圧縮ホイールとを連結する。このトランスミッション15は、図面では、膨張タービン14を段階11,12,13に連結する線によって示される。
【0044】
ガスは、例えば、再液化ユニット10に入り込む圧力レベルに相当する圧力レベル、即ちおよそ15から20barに膨張される。温度は、−120℃より下がる。このガス(気相)の流れは、最初はバイパスダクト18の下流に配置された部分19に、続いてバイパスダクト18の上流の第1交換器17における主回路の部分において、主回路の加圧されたガスを冷却して凝縮するために反対方向に第1交換器17に送られる。第1交換器17の出力において、膨張したガスは、40℃ほどの温度に戻り、リターンダクト21によって多段式コンプレッサの上流の再液化ユニットの主回路に気相で再注入され得る。
【0045】
したがって、液化されるガスと同じガスを、冷却用ガスとして使用する開冷却ループが生成される。
上述したように、図示のシステムは、ガスエンジン、例えばMEGI型のエンジン(図示せず)に(高い)圧力でガスを供給するラインを有する。この供給ラインは、タンク1から始まる。低温液体(LNG)をダクト51に供給して高圧ポンプ48に導く水中ポンプ50によって、最初に供給される。高圧液体は、続いて、ダクト56によって蒸発器61に運ばれ、供給ダクト62によってMEGI型のエンジンに供給することができる高圧での蒸気(気相の天然ガス)を生成するために、例えば、スチームとの熱交換を生成する。
【0046】
ダクト56上のバイパス57の存在が図に見られる。バイパス57は、未だ液相の加圧液体を、再液化ユニット10の主回路における第1交換器17から出る凝縮物を最終冷却することを意図している第2交換器60に供給する。
図1に示される実施形態において、この第2交換器60は、一方、MEGIエンジン(等)を供給しバイパス57によって迂回されるダクト56内の加圧液体と、他方、第1交換器17及び膨張バルブ30との間の断熱ダクト22内に配置される凝縮物と、の間での熱の交換を生成するために提供される。
【0047】
単に例示的な限定しない数値例として、バイパス57において迂回される液体は、第2交換器60の上流でおよそ−150℃であり、そこから例えば−140℃(まだ液相)まで戻る。断熱ダクト22において、第1交換器17から出る凝縮されたガスは、その限りで、例えば−120℃から−135℃である。
【0048】
図1の実施形態において、ダクト56及びバイパス57内の流れの調整が、バイパス57の上流のダクト56に配置されるバルブ55と、バイパス57に組み込まれた他のバルブ59(第2交換器60の下流に図示されるが、当業者はこのバルブ59は第2交換器60の上流に同等に配置され得ることを理解するだろう)によって提供される。マニュアル又は自動制御の、バルブ58が、バイパス57をダクト56に連結する2点間に設けられる。
【0049】
最後に、
図1(及び後続する図)における断熱ダクト36とダクト51の間のバルブ53を備えた分岐52に留意する。この分岐52は、再液化ユニット10から直接、ダクト51に、したがって、タンク1に戻ることなく高圧ポンプ48に直接液体を通過させることができる。したがって、水頭損失及び熱損失を明らかに制限することができる。
【0050】
図2は、互いに完全に独立した二つの変形を備えた
図1のシステムの変形実施形態を示す。まず、既に説明したように、第1圧縮ユニット3で圧縮されたガスを再液化ユニットの多段式コンプレッサの第1段階11に注入することができる。続いて、第2熱交換器60での少し異なる調整を実行することができる。バイパス57(
図1)における流量を変更することで交換器における交換を調節する代わりに、断熱ダクト22内の交換器を通過する流量をここでは変えることができる。したがって、
図2の実施形態では、第2交換器60を通過する断熱ダクト22内を循環する流れ(気相と液相の混合だが、ほぼ液相)を0%から100%とすることができる。これを行うために、バイパスダクト66が、第2交換器60を短絡する。三方バルブ65が、第2交換器60を通過する断熱ダクト22の流れと、バイパスダクト66を通過する流れを調整するために、第2交換器60の上流に設けられる。他の調整手段が想像され得る(例えば、バイパス57において、バイパスダクトの上流のバルブと、バイパスダクトにおける及び/又は第2交換器を含む回路の分岐におけるバルブを備える等)。この実施形態において、第2交換器60をMEGIモータ供給ライン(ダクト56)から分離することもできる。この目的で、
図2の実施形態は、単に、マニュアル又は制御コントロールの、バルブ64a及び64bをそれぞれ備えたバイパス57の各分岐、第2交換器60の上流の分岐及び下流の分岐を提供する。
【0051】
図3の変形実施形態において、第1交換器17の構造を簡素化することができる(この簡素化は、発明の他の変形実施形態にも提案され得る)。ここではドラム40と収集ベッセル2との間のリンクダクト35は第1交換器17をもはや通過せず、その構造が簡素化される。第2交換器60において生成される交換のおかげで、より簡易的な構造と、それによる一層低いコスト価格の第1交換器17を備えた再液化ユニット10において、蒸発したガスの良好な再液化を得ることができる。
【0052】
この
図3の実施形態において、バイパス57における流れの他の調整が提案される。この変形では、エンジン供給ライン(図示せず)のダクト56の、バイパス57とつながる2点間に配置される。
【0053】
図4において、収集ベッセル2によってタンク1から回収された蒸発した全てのガスがまず第1圧縮ユニット3を通過し、その後、再液化ユニット10を通過することができる。
【0054】
図5及び
図6は、再液化ユニット10の冷蔵開ループ内に入る気相のガスを冷却するための第3熱交換器70を実行する実施形態を示す。交換は、ライン56内の液体と、バイパスダクト18内で既に部分的に冷却された気相の圧縮されたガスとの間で行われる。
【0055】
図5の実施形態において、第3交換器70は第2交換器60と並列に設けられ、一方で
図6の実施形態では、第3交換器70は第2交換器60(の下流)と直列に設けられる。
図7は、4つの熱交換器80a−dが、気相のガスを液化する前に冷却するために再液化ユニット10の主回路の異なる点に設けられる実施形態を提示する。交換器80aは、ここでは、多段式圧縮機の第1段階11で圧縮されたガスが、このコンプレッサの第2段階12に入る前に冷却することが意図される。交換器80bは、同様に、第2段階12と第3段階13との間に配置される。他の交換器80cは、多段式コンプレッサの下流であって、中間冷却器16の前又は後、且つ第1交換器17の前に配置される。最後に、ここでは、収集ベッセル2に戻るガスを冷却するために、熱交換器80dをリンクダクト35に配置することが提案される。
【0056】
この実施形態は、高圧で低温液体を供給する交換器の様々な可能性及び位置の例示(であり限定されないもの)である。交換器は、4つであり得、又はこれより多く若しくは少なくてもよい。これらは好ましくは図示のように並列に取り付けられ、交換器80nは第2熱交換器60に直列に設けられる交換システムを形成する。他の組立(直列又は並列)が推測され得る。同様に、交換器を開ループ冷却回路に設けることもできる。
【0057】
最後に、
図8は、ダクト56内の加圧された液体(液相にある)が船に搭載された冷却システム90内の他の要素を冷却するために部分的に使用され得ることを示すために添付される。冷却システム90に使用される液体は、ダクト56からバイパス57に入る液体が再液化ユニット10においてほとんど使用されるように、好ましくは第2交換器60の下流に配置される。冷却システムは、例えば、空調、産業用冷却器、又は他のそのようなユニットであり得る。
【0058】
異なる実施形態で提案される変形は、本発明による他の実施形態を生成するために様々な方法で組み合され得るが、図示されない。
ここで提案されるシステムは、例えば、MEGI型のエンジンを供給するために、再液化ユニットと高圧ガス供給部との協働を提供する。これらの二つのサブシステムの間で相乗効果が生成され、一方がガスを液化する必要がある冷気を有し、他方が高圧で液体を蒸発させるエネルギーを要する。提案されるシステムは、再液化ユニットの効率性を増加させることができる、即ち、蒸発したガスの再液化を生成するために供給されることになる冷気に関して必要性を制限し、且つ同時にエンジン(高圧のガスで作動するMEGIエンジン又は他のシステム)に供給する高圧ガスを得る必要エネルギーを制限するために、再液化される蒸発したガスの割合を増加させることができる。
【0059】
ここで提案されるシステムは、二つの異なる温度、膨張タービンの出力においておよそ−120℃の温度と、膨張バルブの出力においておよそ−160℃の温度と、における冷気の生成で冷却されるガスに相当する冷却ガスの開ループを有する再液化ユニットに特に適している。
【0060】
システムは、船に搭載されて配置され且つ蒸発したガスが供給されるエンジンとは独立している。異なるガスを備えた2つの異なる型のエンジンを有することができ、一つは高圧供給ラインによって供給されるガスであり、他方は第1圧縮ユニットによって圧縮される蒸発したガスによって供給されるガスである。システムは、また、液化を生成するために、他の任意の外部冷却源の、蒸発したガスからの独立を可能にする。
【0061】
高圧ガス供給ラインに生成されるバイパスにおいて、冷却生成物は、再液化ユニットの搭載に適用され得、且つ広範囲にわたって調整され得る。
提案されたシステムは、窒素処理ユニット等を要さない。その構造は、再液化され、液化され、またエンジン(等)のための燃料として機能する、ガスと同一の種類の冷蔵ガスの使用により簡素化される。
【0062】
明らかに、本発明は、限定されない例によって上述されたシステム及び方法の実施形態に限定されないが、以下の特許請求の範囲の範囲内で当業者の理解できる領域で全ての変形実施形態に関連する。