(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
現状の技術水準では、高い透明性と耐衝撃性の組み合わせを有するポリプロピレンポリマーの選択は、ランダムコポリマー(RCP)、インパクトコポリマー(ICP)、またはポリプロピレン(PP)と混和性であるかもしくは同様の屈折率を有するかのいずれかであるエラストマーを用いて耐衝撃性を改良したものに限定される。エラストマー改質剤の衝撃効率は、その結晶性、及び個々のエラストマードメインのPPマトリックスへの分散に直接関係する。従来、ポリプロピレンへのエラストマーの分散は、溶融混合プロセス、及びポリプロピレンとの相溶性という課題を抱えている。有意な改善は、透明な冷凍庫用容器及び他の低温用途に使用するための透明性及び衝撃要件を満たすことができるエラストマー改質剤を開発することであろう。今まで、エラストマーの添加は、ポリプロピレンの弾性率及び透明度を著しく低下させていた。透明なエラストマー材料を得るためには、典型的には、光の可視波長の散乱を回避するためにゴムドメインサイズを根本的に縮小するのではなく、材料の屈折率整合が必要である。
【0007】
本開示の組成物は、ポリプロピレンとブレンドしたときに、エラストマー相のドメインサイズを減少させるための相溶化溶液を提供する。以下にさらに論じるように、これらの新規組成物は、古典的なブレンド及び最新技術のブレンドで達成可能な形態よりも微細な形態を有する、より広い範囲の熱力学的に安定な組成物を提供する。これらの新規組成物は、エラストマー相の改良された分散及び形態安定化に効果的であり、それによってポリプロピレンのための高効率衝撃改質剤をもたらし、高透明度、高弾性率、及び高靱性をも可能にする。
【0008】
上に示されるように、ポリプロピレンにエチレン系エラストマーをブレンドする場合には、透明性が課題となることがある。例えば、特定のエラストマーは、ポリプロピレンの弾性率及び透明度を著しく低下させる。このように、透明な組成物を得るために、材料の屈折率の調整が提案されている。しかし、ポリプロピレンを含むエラストマーの屈折率の調整だけに頼る手法では、プラストマー(0.900g/cm
3を超える密度を有するプラストマーなど)の使用に制約があり、具体的には低温での衝撃特性が弱くなるという不都合もある。したがって、非屈折率適合エラストマーとポリプロピレンとの相溶化による粒子サイジングに依存する新しい相溶化の手法が提案されているが、これは、0.850g/cm
3〜0.910cm
3(例えば、0.850g/cm
3〜0.890cm
3、0.850g/cm
3〜0.885g/cm
3、及び/または0.850g/cm
3〜0.875g/cm
3)の密度を有するエラストマーの用途の拡大を許容し、また、低温(すなわち、比較的低温のガラス転移温度)で比較的良好な衝撃特性を有する。
【0009】
実施形態によれば、冷凍庫用容器などの高い透明度の低温で使用する容器を形成する組成物を形成するためのプロピレンポリマーベースと共に使用するための改質剤が提案されている。この改質剤は、高い透明度(すなわち、90%を超える透明度)の容器を形成しながら、低温(すなわち、0℃未満)での靭性を高めることができる。この改質剤に関して、エラストマー改質剤の衝撃効率は、この改質剤の結晶化度、及び、個々のエラストマードメインのポリプロピレンマトリックスへの分散に直接的に関係する。さらに、従来、ポリプロピレンに対するエラストマーの分散は、例えば、溶融混合プロセス及び相溶性の観点から課題とされて得る。したがって、実施形態は、低温での靱性を高める耐衝撃性付与剤、良好な溶融混合を可能にするための高溶融流動性付与剤、及び非屈折率適合性エラストマーを組み合わせる、改質剤に関する。例えば、この改質剤は、(例えば、ペレット形態の)単一成分として予めブレンドされた形態で提供され、冷凍庫用容器などの容器を形成するために少なくともプロピレンポリマーベースを使用する既存のプロセスに添加し得る。当業者によって理解されるであろうように、この改質剤は、プロピレンポリマーベースに別個の成分として添加され得る。
【0010】
用語
本開示における数値範囲は近似値であり、したがって、別段の指示のない限り、その範囲外の値を含み得る。数値範囲は、1単位の増分で、下限値から上限値までの全ての値を含むが、但し、任意のより低い値と任意のより高い値との間に少なくとも2単位の隔たりが存在するものとする。化学化合物に関して使用される場合、明示的に別段の指示のない限り、単数は全ての異性体を含むものとし、その逆もまた同様である。
【0011】
本明細書における元素周期表への全ての言及は、CRC Press、Inc.、2003年によって出版され、著作権によって保護されている元素周期表を指すものとする。また、単数または複数の基へのあらゆる言及は、基の番号付けのためのIUPACシステムを用いてこの元素周期表に反映される単数または複数の基であるものとする。別段の記載のない限り、文脈から黙示されない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは重量に基づくものである。米国特許実務の目的のために、本明細書において参照されるいかなる特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に、合成技術、定義(本明細書に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度まで)及び当該技術分野における一般知識の開示に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(またはその相当する米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0012】
「組成物」及び同類の用語は、2つ以上の成分の混合物またはブレンドを意味する。例えば、1つの組成物は、プロピレン系ポリマーとブロック複合体との組み合わせである。
【0013】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、及び同類の用語は、2つ以上のポリマーのブレンドを意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、または混和性でなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離されても、または相分離されなくてもよい。そのようなブレンドは、透過型電子分光法、光散乱、X線散乱、及び、技術分野で周知の他の方法で決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、または含有しなくてもよい。
【0014】
「ポリマー」は、同じまたは異なる種類のモノマーの重合によって調製される化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、通常、1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すために使用されるホモポリマーという用語、ならびに後に定義されるようなインターポリマー及びコポリマーという用語を包含する。ポリマーという用語はまた、すべての形態のインターポリマー、例えば、ランダム、ブロック、均質、不均一などを包含する。
【0015】
「インターポリマー」及び「コポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。これらの総称は、古典的コポリマー、すなわち、2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーと、例えば、ターポリマー、テトラポリマー等の2つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーとの両方を含む。「エチレン/α−オレフィンコポリマー」及び「プロピレン/α−オレフィンコポリマー」という用語は、下記のようなインターポリマーを示す。
【0016】
「エチレンから誘導された単位」、「エチレン含量」、及び同類の用語は、エチレンモノマーの重合から形成されたポリマーの単位を意味する。「α−オレフィンから誘導された単位」、「アルファ−オレフィン含量」、「α−オレフィン含量」、及び同類の用語は、特定のα−オレフィンモノマー、具体的には、C
3−10α−オレフィンのうちの少なくとも1つの重合から形成されたポリマーの単位を意味する。「プロピレンから誘導された単位」、「プロピレン含量」、及び同類の用語は、プロピレンモノマーの重合から形成されたポリマーの単位を意味する。
【0017】
「プロピレン系ポリマー」及び同類の用語は、プロピレンから誘導された単位とも称される、大部分の重量パーセントが重合されたプロピレンモノマー(重合可能なモノマーの総重量に基づいて)を含み、任意で、プロピレン系インターポリマーを形成するように、プロピレン(C
2及びC
4−10αオレフィンから選択される少なくとも1つ等)とは異なる少なくとも1つの重合コモノマーを含むポリマーを意味する。例えば、プロピレン系ポリマーが、コポリマーである場合、プロピレン含量は、コポリマーの総重量に基づいて、50重量%を超える。
【0018】
「エチレン系ポリマー」及び同類の用語は、エチレンから誘導された単位とも称される、大部分の重量パーセントが重合されたエチレンモノマー(重合可能なモノマーの総重量に基づいて)を含み、任意で、エチレン系インターポリマーを形成するように、エチレン(C
3−10αオレフィンから選択される少なくとも1つ等)とは異なる少なくとも1つの重合コモノマーを含み得るポリマーを意味する。例えば、エチレン系ポリマーが、コポリマーである場合、エチレンの量は、コポリマーに対する総重量に基づいて、50重量%を超える。
【0019】
「ポリエチレン」という用語は、エチレンのホモポリマー、及びエチレンが少なくとも50モルパーセントを占める、エチレンと1モルのC
3−8α−オレフィンとのコポリマーを含む。「ポリプロピレン」という用語は、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等のプロピレンのホモポリマー、及びプロピレンが少なくとも50モルパーセントを占める、プロピレンと1つ以上のC
2,4−8α−オレフィンとのコポリマーを含む。好ましくは、ポリマー中の少なくとも1つのブロックまたはセグメント(結晶性ブロック)の複数の重合モノマー単位は、好ましくは少なくとも90モルパーセント、より好ましくは少なくとも93モルパーセント、最も好ましくは少なくとも95モルパーセントのプロピレンを含む。主として異なるα−オレフィン、例えば4−メチル−1−ペンテンから製造されるポリマーも同様に命名される。
【0020】
「ランダムコポリマーポリプロピレン」(RCP)及び同類の用語は、アルファ−オレフィンモノマーから誘導された単位が、交互パターン、周期的パターン、またはブロックパターンでポリマー鎖を横切って分布するのではなく、ポリマー鎖を横切ってランダムに分布するプロピレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを意味する。対照的に、「均質なプロピレン系インターポリマー」及び同類の用語は、アルファ−オレフィンモノマーから誘導された単位が、バルクポリマーのポリマー鎖にわたってほぼ均一に分布している、プロピレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを意味する。
【0021】
「耐衝撃性が改良されたプロピレン系コポリマー」及び同類の用語は、添加された耐衝撃性改良剤を用いない、同じ温度での前記所与の組成物の衝撃強度と比較して、室温以下での組成物の衝撃強度が維持または増加されるように、耐衝撃性が改良されたプロピレン系ポリマー組成物のことを意味する。
【0022】
「ブロック複合体」(BC)という用語は、10モル%〜90モル%のエチレン含量を有するエチレン系ポリマー(EP)、90モル%を超えるアルファ−オレフィン含量を有するアルファ−オレフィン系ポリマー(AOP)、及びエチレンブロック(EB)とアルファ−オレフィンブロック(AOB)とを有するブロックコポリマーを含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、ブロック複合体のエチレン系ポリマーと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ−オレフィンブロックは、ブロック複合体のアルファ−オレフィン系ポリマーと同じ組成である。エチレン系ポリマー及びアルファ−オレフィン系ポリマーの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。ある特定の実施形態において、アルファ−オレフィンはプロピレンである。さらなる実施形態において、AOB及びEBは、iPP−EPジブロックコポリマーであってもよい。
【0023】
「特定のブロック複合体(SBC)」という用語は、69モル%〜90モル%のエチレン含量を有するエチレン系ポリマー(EP)、61モル%〜90モル%のアルファ−オレフィン含量を有するアルファ−オレフィン系ポリマー(AOP)、及びエチレンブロック(EB)とアルファ−オレフィンブロック(AOB)とを有するブロックコポリマーを含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、特定のブロック複合体のエチレン系ポリマーと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ−オレフィンブロックは、特定のブロック複合体のアルファ−オレフィン系ポリマーと同じ組成である。エチレン系ポリマー及びアルファ−オレフィン系ポリマーの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。ある特定の実施形態において、アルファ−オレフィンはプロピレンである。ある特定の実施形態において、AOB及びEBは、iPP−EPジブロックコポリマーであってもよい。さらなる実施形態において、AOB及びEBは、PE/EP(プロピレン−エチレン及びエチレン−プロピレン)ジブロックコポリマーであってもよい。
【0024】
「結晶性ブロック複合体」(CBC)という用語は、90モル%を超えるエチレン含量を有する結晶性エチレン系ポリマー(CEP)、90モル%を超えるアルファ−オレフィン含量を有する結晶性アルファ−オレフィン系ポリマー(CAOP)、及び結晶性エチレンブロック(CEB)と結晶性アルファ−オレフィンブロック(CAOB)とを有するブロックコポリマーを含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのCEBは、結晶性ブロック複合体のCEBと同じ組成であり、ブロックコポリマーのCAOBは、結晶性ブロック複合体のCAOPと同じ組成である。CEP及びCAOPの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。例示的な実施形態において、アルファ−オレフィンはプロピレンである。さらなる実施形態において、CAOB及びCEBは、iPP−EP(アイソタクチックポリプロピレン及びエチレンプロピレン)ジブロックコポリマーであってもよい。
【0025】
「ブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」とは、線状に結合された2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンデント様式またはグラフトされた様式ではなく、重合した官能性(例えば、重合したプロピレン官能性)に関して、末端から末端に結合(共有結合)した化学的に区別される単位を含むポリマーを意味する。ブロックコポリマーは、異なるタイプの配列に共有結合した同じモノマーユニットの配列(「ブロック」)を含む。これらのブロックは、A−Bなどのジブロック及びA−B−Aトリブロック構造など、様々な方法で接続することができ、式中、Aは、1つのブロックを表し、Bは、異なるブロックを表している。マルチブロックコポリマーにおいて、A及びBは、数多くの異なる方法で連結されており、かつ、複数回にわたって反復し得る。これは、異なるタイプの追加のブロックを、さらに含み得る。マルチブロックコポリマーは、線状マルチブロック、マルチブロックスターポリマー(すべてのブロックが、同じ原子もしくは化学成分に結合している)、または、Bブロックが一端でA骨格に結合された櫛状ポリマーであり得る。ブロックコポリマーは、直鎖または分岐状であり得る。このブロックコポリマーに関して、ブロックは、そこに組み込まれたコモノマーの量が異なっていてもよい。ブロックはまた、コモノマーの種類、密度、結晶化度の量、そのような組成物のポリマーに起因する微結晶サイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、位置規則性もしくは位置不規則性、長鎖分岐もしくはハイパー分岐を含む分岐の量、均一性、及び/または、任意の他の化学的または物理的特性において異なり得る。ブロックコポリマーは、ポリマー多分散性(PDIもしくはMw/Mn)の独特な分布、ブロック長さ分布、及び/または、例えば、触媒(複数可)と組み合わせたシャトリング剤(複数可)の効果に起因する、ブロック数の分布によって特徴付けられる。
【0026】
「結晶性」という用語は、示差走査熱量計(DSC)または等価の技術によって決定される、一次転移または結晶融点(Tm)を持つポリマーまたはポリマーブロックを指す。この用語は、「半結晶性」という用語と互換的に使用し得る。
【0027】
「結晶化性」という用語は、得られるポリマーが結晶性であるように重合し得るモノマーを指す。結晶性エチレンポリマーは、典型的には、0.89g/cc〜0.97g/ccの密度及び75℃〜140℃の融点を有するが、これらに限定されない。結晶性プロピレンポリマーは、0.88g/cc〜0.91g/ccの密度、及び、100℃〜170℃の融点を有し得るが、これらに限定されない。
【0028】
「非結晶性」という用語は、示差走査熱量計(DSC)または等価の技術によって決定される結晶融点を欠くポリマーを指す。
【0029】
「イソタクチック」という用語は、
13C−NMR分析によって決定される、少なくとも70パーセントのイソタクチックペンタッドを有するポリマー反復単位として定義される。「高度にイソタクチック」とは、少なくとも90パーセントのイソタクチックペンタッドを有するポリマーとして定義される。
【0030】
ブロック複合体
ある特定の実施形態において、組成物の改質剤は、改質剤の総重量に基づいて10重量%〜50重量%(例えば、15重量%〜50重量%、15重量%〜40重量%等)のブロック複合体を含む。例示的な実施形態において、ブロック複合体は、ブロック複合体の総重量に基づいて25重量%〜70重量%(例えば、25重量%〜60重量%、25重量%〜55重量%、及び30重量%〜50重量%)の総エチレン含量を有し得る。ブロック複合体の総重量の残りは、少なくとも1つのC
3−10アルファ−オレフィンから誘導された単位によって占められてもよい。例えば、ブロック複合体の総重量の残りは、プロピレンから誘導された単位によって占められてもよい。
【0031】
例示的な実施形態において、ブロック複合体は、10モル%〜90モル%のエチレン含量を有するエチレン系ポリマー(EP)(軟質コポリマー)、90モル%を超えるアルファ−オレフィン含量を有するアルファ−オレフィン系ポリマー(AOP)、及びエチレンブロック/セグメント(EB)とアルファ−オレフィンブロック/セグメント(AOB)とを有するブロックコポリマーを含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、ブロック複合体のエチレン系ポリマーと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ−オレフィンブロックは、ブロック複合体のアルファ−オレフィン系ポリマーと同じ組成である。エチレン系ポリマー及びアルファ−オレフィン系ポリマーの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。
【0032】
さらなる実施形態において、ブロック複合体は、10重量%超〜95重量%未満のエチレン含量を有するEP、90重量%超〜最大100重量%までのプロピレン含量を有するAOP、及びEB(すなわち、軟質ブロック)とAOB(すなわち、硬質ブロック)とを有するブロックコポリマー(例えば、ジブロック)を含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのAOBは、ブロック複合体のAOPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのEBは、ブロック複合体のEPと同じ組成である。EP及びAOPの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。
【0033】
例示的な実施形態において、硬質ブロックは、重合したアルファ−オレフィン単位(例えば、プロピレン)の高結晶性ブロックを指す。硬質ブロックにおいて、モノマー(すなわち、プロピレン)は、90重量%を超える量で存在し得る。硬質ブロックの残りは、10重量%未満の量のコモノマー(例えば、エチレン)であってもよい。例示的な実施形態において、硬質ブロックは、iPP(アイソタクチック)ホモポリマーブロック、または10重量%未満のエチレンを含むiPPコポリマーブロック等の、全てまたは実質的に全てのプロピレン単位を含む。例示的な実施形態において、軟質ブロックは、重合したエチレン単位の非結晶性、実質的に非結晶性、またはエラストマーのブロックを指す。軟質ブロックにおいて、モノマー(すなわち、エチレン)は、20重量%超〜100重量%以下(例えば、40重量%〜99重量%、45重量%〜90重量%、及び/または50重量%〜80重量%)の量で存在し得る。軟質ブロックの残りは、コモノマー(例えば、プロピレン)であってもよい。
【0034】
例示的な実施形態によれば、ブロック複合体は、30〜70重量%の硬質ブロック及び30〜70重量%の軟質ブロックを有するブロックコポリマーを含む。換言すれば、ブロック複合体は、ブロックコポリマーの重量に基づいて、30〜70重量%の硬質ブロック及び30〜70重量%の軟質ブロックを有するブロックコポリマーを含む。
【0035】
例示的な実施形態によれば、ブロック複合体のブロックコポリマーは、式(EP)−(iPP)を有し、式中、EPは、重合されたエチレン及びプロピレンモノマー単位の軟質ブロック(例えば、50〜80重量%のエチレン及び残りのプロピレン)を表し、iPPは、アイソタクチックプロピレンホモポリマーまたはアイソタクチックプロピレンコポリマー(例えば、10重量%未満のエチレン及び残りのプロピレン)の硬質ブロックを表す。
【0036】
ブロック複合体は、0.5重量%〜95.0重量%のEP、0.5〜95.0重量%のiPP、及び5.0重量%〜99.0重量%のブロックコポリマーを含み得る。重量パーセントは、ブロック複合体の総重量に基づく。EP、iPP、及びブロックコポリマーの重量パーセントの合計は100%に等しい。ブロックコポリマーの相対量の例示的な測定値は、後にさらに論じるように、ブロック複合体指数(BCI)と称される。ブロック複合体のBCIは、0超〜1.0未満である。
【0037】
いくつかの実施形態において、ブロック複合体は、1超〜20以下の微細構造指数を有し得る。微細構造指数は、ブロックコポリマーとランダムコポリマーとを区別するために溶媒勾配相互作用クロマトグラフィー(SGIC)分離を用いた推定値である。具体的には、微細構造指数の推定は、2つの画分、すなわち、より高いランダムコポリマー含有画分とより高いブロックコポリマー含有画分とを区別することに依存し、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーは、本質的に同一の化学組成を有する。初期溶出画分(すなわち、第1の画分)は、ランダムコポリマーと相関し、後期溶出成分(すなわち、第2の画分)は、ブロックコポリマーと相関する。微細構造指数の計算については後述する。
【0038】
ブロック複合体は、10,000g/モル〜2,500,00g/モル、35,000g/モル〜1,000,000g/モル、50,000g/モル〜300,000g/モル、及び/または50,000g/モル〜200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、Mwは、20kg/モル〜1,000kg/モル、50kg/モル〜500kg/モル、及び/または80kg/モル〜200kg/モルであってもよい。ブロック複合体の分子量分布(Mw/Mn)または多分散性は、5未満、1〜5、及び/または1.5〜4であり得る。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ポリマー技術分野において周知であり、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0039】
ブロック複合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238(230℃、2.16kg)に準拠して測定される0.1g/10分〜1,000g/10分であってもよい。例えば、ブロック複合体のメルトフローレートは、1g/10分〜50g/10分、1g/10分〜25g/10分、及び/または1g/10分〜10g/10分であってもよい。
【0040】
ブロック複合体の密度は、0.850〜0.900g/ccであってもよい。例示的な実施形態において、ブロック複合体の密度は、0.860〜0.895、0.865〜0.895、及び/または0.865〜0.890g/ccである。密度は、ASTM D792に準拠して測定される。
【0041】
ブロック複合体は、90℃を超える(例えば、100℃を超える)第2のピークTmを有し得る。例示的な実施形態によれば、ブロック複合体は、100℃〜150℃の範囲の第2のピークTmを示す。
【0042】
特定のブロック複合体
ある特定の実施形態において、組成物の改質剤は、改質剤の総重量に基づいて10重量%〜50重量%(例えば、15重量%〜40重量%)の特定のブロック複合体を含む。例示的な実施形態において、特定のブロック複合体は、特定のブロック複合体の総重量に基づいて30重量%〜70重量%の総エチレン含量を有し得る。特定のブロック複合体の総重量の残りは、少なくとも1つのC
3−10アルファ−オレフィンから誘導された単位によって占められてもよい。例えば、特定のブロック複合体の総重量の残りは、プロピレンから誘導された単位によって占められてもよい。
【0043】
特定のブロック複合体(SBC)は、エチレン系ポリマー(EP)(軟質コポリマー)、アルファ−オレフィン系ポリマー(AOP)(硬質コポリマー)、及びエチレンブロック/セグメント(EB)(軟質ブロック)とアルファ−オレフィンブロック/セグメント(AOB)(硬質ブロック)とを有するブロックコポリマーを含み、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、特定のブロック複合体のエチレン系ポリマーと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ−オレフィンブロックは、特定のブロック複合体のアルファ−オレフィン系ポリマーと同じ組成である。エチレン系ポリマー及びアルファ−オレフィン系ポリマーの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。特定のブロック複合体において、アルファ−オレフィンは、C
3−10α−オレフィンの群から選択される少なくとも1つである(例えば、プロピレン及び/またはブチレンであってもよい)。
【0044】
特定のブロック複合体のアルファ−オレフィン系ポリマー及びアルファ−オレフィンブロックは、61モル%〜90モル%のアルファ−オレフィン含量を有し得る。残りは、コモノマーとしてC
2−C
4−10α−オレフィンの群から選択される少なくとも1つによって本質的に占められてもよい。例えば、エチレン含量が10モル%〜39モル%になるように、残りはエチレンから誘導された単位によって本質的に占められてもよい。別の言い方をすれば、アルファ−オレフィン系ポリマー及びアルファ−オレフィンブロックは、70重量%〜93重量%のアルファ−オレフィン含量(プロピレン含量等)を有し得る。
【0045】
特定のブロック複合体のブロックコポリマーのエチレン系ポリマー及びエチレンブロックは、69モル%〜90モル%のエチレン含量を有し得る。例えば、コモノマー含量が10モル%〜31モル%になるように、残りは、コモノマーとしてC
3−10α−オレフィンの群から選択される少なくとも1つによって本質的に占められてもよい。別の言い方をすれば、ブロックコポリマーのエチレン系ポリマー及びエチレンブロックのエチレン含量は、70重量%〜93重量%であってもよい。
【0046】
例示的な実施形態において、特定のブロック複合体中のブロックコポリマーのアルファ−オレフィン系ポリマー及びアルファ−オレフィンブロックは、プロピレンを含む。例えば、プロピレン含量は、61モル%〜90モル%である。ブロックコポリマーののアルファ−オレフィン系ポリマー及びのアルファ−オレフィンブロックは、コモノマーとしてエチレンをさらに含んでもよい。さらに、ブロックコポリマーのエチレン系ポリマー及びエチレンブロックは、コモノマーとしてプロピレンを含んでもよいエチレン系ポリマー及びアルファ−オレフィン系ポリマーの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。
【0047】
例示的な実施形態によれば、特定のブロック複合体は、30〜70重量%の硬質ブロック及び30〜70重量%の軟質ブロックを有するブロックコポリマーを含む。換言すれば、特定のブロック複合体は、ブロックコポリマーの重量に基づいて、30〜70重量%の硬質ブロック及び30〜70重量%の軟質ブロックを有するブロックコポリマーを含む。
【0048】
特定のブロック複合体は、0.5重量%〜95.0重量%のEP、0.5重量%〜95.0重量%のAOP、及び5.0重量%〜99.0重量%のブロックコポリマーを含み得る。例えば、特定のブロック複合体は、5.0重量%〜80.0重量%のEP、5.0重量%〜80.0重量%のAOP、及び20.0重量%〜90.0重量%のブロックコポリマーを含み得る。重量パーセントは、ブロック複合体の総重量に基づく。EP、AOP、及びブロックコポリマーの重量パーセントの合計は100%に等しい。ブロックコポリマーの相対量の例示的な測定値は、改質剤ブロック複合体指数(MBCI)と称される。MBCIは、ブロック複合体中の未結合のポリプロピレンを単離するためのHTLC分離(例えば、キシレン分離ではない)に基づいており、方法論及び仮定は、後述するようにCBCIの計算に類似している。特定のブロック複合体のMBCIは、0超〜1.0未満である。
【0049】
特定のブロック複合体は、10,000g/モル〜2,500,00g/モル、35,000g/モル〜1,000,000g/モル、50,000g/モル〜300,000g/モル、及び/または50,000g/モル〜200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、Mwは、20kg/モル〜1,000kg/モル、50kg/モル〜500kg/モル、及び/または80kg/モル〜200kg/モルであってもよい。特定のブロック複合体の分子量分布(Mw/Mn)または多分散性は、5未満、1〜5、及び/または1.5〜4であり得る。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ポリマー技術分野において周知であり、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0050】
特定のブロック複合体のMFR(メルトフローレート)は、0.1〜1000g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)、1〜500g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)、1〜100g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)、3〜50g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)、及び/または5〜20g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)であってもよい。
【0051】
ASTM D792に準拠して、特定のブロック複合体の密度は、0.850〜0.900g/ccであってもよい。例示的な実施形態において、特定のブロック複合体の密度は、0.860〜0.900、0.865〜0.890、及び/または0.870〜0.890g/ccであってもよい。
【0052】
特定のブロック複合体は、60℃を超える、70℃を超える、及び/または80℃を超える第2のピークTmを有し得る。
【0053】
結晶性ブロック複合体
ある特定の実施形態において、組成物の改質剤は、改質剤の総重量に基づいて10重量%〜50重量%(例えば、15重量%〜40重量%)の結晶性ブロック複合体を含む。例示的な実施形態において、結晶性ブロック複合体は、結晶性ブロック複合体の総重量に基づいて40重量%〜70重量%の総エチレン含量を有し得る。結晶性ブロック複合体の総重量の残りは、少なくとも1つのC
3−10アルファ−オレフィンから誘導された単位によって占められてもよい。例えば、結晶性ブロック複合体の総重量の残りの部分は、プロピレンから誘導された単位によって占められてもよい。
【0054】
結晶性ブロック複合体(CBC)は、結晶性エチレン系ポリマー(CEP)、結晶性アルファ−オレフィン系ポリマー(CAOP)、及び結晶性エチレンブロック/セグメント(CEB)と結晶性アルファ−オレインブロック/セグメント(CAOB)とを含むブロックコポリマーを有するポリマー指し、ブロックコポリマーのCEBは、結晶性ブロック複合体のCEBと同じ組成であり、ブロックコポリマーのCAOBは、結晶性ブロック複合体のCAOPと同じ組成である。さらに、CEP及びCAOPの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。
【0055】
結晶性ブロック複合体(CBC)は、結晶性エチレン系ポリマー(CEP)、結晶性アルファ−オレフィン系ポリマー(CAOP)、及び結晶性エチレンブロック(CEB)と結晶性アルファ−オレインブロック(CAOB)とを有するブロックコポリマーを含み、CEBはCEPと同じ組成であり、CAOBはCAOPと同じ組成である。結晶性ブロック複合体において、アルファ−オレフィンは、C
3−10αオレフィンの群から選択される少なくとも1つである(例えば、プロピレン及び/またはブチレンであってもよい)。CAOP及びCAOBは、90モル%を超えるアルファ−オレフィン含量を有し得る。CEP及びCEBは、90モル%を超えるエチレンから誘導された単位(すなわち、エチレン含量)を含み、任意の残りは、コモノマーとしてC
3−10αオレフィンの群から選択される少なくとも1つ(10モル%未満、7モル%未満、5モル%未満、3モル%未満等の量)であってもよい。
【0056】
例示的な実施形態において、CAOP及びCAOBは、プロピレン、例えば、90モル%を超えるプロピレンから誘導された単位を含み、任意の残りは、エチレン及び/またはコモノマーとしてC
4−10α−オレフィンの群から選択される少なくとも1つ(10モル%未満、7モル%未満、5モル%未満、4モル%未満、4モル%未満等の量)であってもよい。CEP及びCEBは、エチレン、例えば、90モル%を超えるエチレンから誘導された単位を含み、任意の残りは、プロピレン及び/またはコモノマーとしてC
4−10α−オレフィンの群から選択される少なくとも1つ(10モル%未満、7モル%未満、5モル%未満、4モル%未満、4モル%未満等の量)であってもよい。CEP及びCAOPの量の間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロックの間の組成分割と本質的に同じである。CEB及びCAOBは、硬質(結晶性)セグメント/ブロックと称され得る。
【0057】
例示的な実施形態において、CAOBは、C
3−10αオレフィンの1つであるモノマーから誘導された単位が、90モル%を超える、93モル%を超える、95モル%を超える、及び/または96モル%を超える量で存在する、重合したアルファ−オレフィン単位の高結晶性ブロックを指す。換言すれば、CAOB中のコモノマー含量は、10モル%未満、7モル%未満、5モル%未満、及び/または4モル%未満である。プロピレン結晶化度を有するCAOBは、80℃以上、100℃以上、115℃以上、及び/または120℃以上の対応する融点を有し得る。いくつかの実施形態において、CAOBは、全てまたは実質的に全てのプロピレン単位を含む。CEBは、コモノマー含量(プロピレン等)が10モル%以下、0モル%〜10モル%、0モル%〜7モル%、及び/または0モル%〜5モル%である重合したエチレン単位のブロックを指す。別の言い方をすれば、CEBは、少なくとも90モル%のエチレン、90モル%を超えるエチレン、93モル%を超えるエチレン、及び/または95モル%を超えるエチレンから誘導される。そのようなCEBは、75℃以上、90℃以上、及び/または100℃以上であり得る対応する融点を有する。
【0058】
例示的な実施形態において、CAOBは、C
3−10αオレフィンの1つであるモノマーが少なくとも88重量%及び/または少なくとも90重量%の量で存在する、重合したアルファ−オレフィン単位の高結晶性ブロックを指してもよい。換言すれば、CAOBのコモノマー含量は10重量%未満である。CEBは、コモノマー含量(プロピレン等)が10重量%以下である重合したエチレン単位のブロックを指してもよい。
【0059】
結晶性ブロック複合体は、0.5重量%〜95.0重量%のCEP、0.5重量%〜95.0重量%のCAOP、及び5.0重量%〜99.0重量%の結晶性ブロックコポリマーを含み得る。例えば、結晶性ブロック複合体は、5.0重量%〜80.0重量%のCEP、5.0重量%〜80.0重量%のCAOP、及び20.0重量%〜90.0重量%の結晶性ブロックコポリマーを含み得る。重量パーセントは、結晶性ブロック複合体の総重量に基づく。CEP、CAOP、及び結晶性ブロックコポリマーの重量パーセントの合計は100%に等しい。結晶性ブロックコポリマーの相対量の例示的な測定値は、結晶性ブロック複合体指数(CBCI)と称される。結晶性ブロック複合体のCBCIは、0超〜1.0未満である。例えば、CBCIは、0.20〜0.99、0.30〜0.99、0.40〜0.99、0.40〜0.90、0.40〜0.85、及び/または0.50〜0.80である。
【0060】
結晶性ブロック複合体は、(例えば、第1のピーク及び第2のピークの両方について)90℃を超えるTm、(例えば、第1のピーク及び第2のピークの両方について)100℃を超えるTm、及び/または(例えば、第1のピーク及び第2のピークの少なくとも一方について)120℃を超えるTmを有し得る。例えば、Tmは、100℃〜250℃、110℃〜220℃、及び/または115℃〜220℃の範囲である。例示的な実施形態によれば、結晶性ブロック複合体は、100℃〜130℃(例えば、100℃〜120℃、100℃〜110℃等)の範囲の第2のピークTm、及び110℃〜150℃(例えば、110℃〜140℃、115℃〜130℃、115℃〜125℃等)の第1ピークTmを示し、第2ピークTmは第1ピークTmより小さい。
【0061】
結晶性ブロック複合体は、10,000g/モル〜2,500,000g/モル、35,000g/モル〜1,000,000g/モル、50,000g/モル〜300,000g/モル、及び/または50,000g/モル〜200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、Mwは、20kg/モル〜1000kg/モル、50kg/モル〜500kg/モル、及び/または80kg/モル〜125kg/モルであってもよい。結晶性ブロック複合体の分子量分布(Mw/Mn)または多分散性は、5未満、1〜5、及び/または1.5〜4であり得る。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ポリマー技術分野において周知であり、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0062】
結晶性ブロック複合体のMFR(メルトフローレート)は、0.1〜1000dg/分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)、1〜500g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)、3〜30g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)、及び/または5〜11g/10分(ASTM D1238、230℃/2.16kg)であってもよい。
【0063】
ASTM D792に準拠して、結晶性ブロック複合体の密度は、0.850〜0.920g/cc(例えば、0.875〜0.920g/cc及び/または0.890〜0.910g/cc)であってもよい。
【0064】
BC、SBC、及びCBCの重合
ブロック複合体、特定のブロック複合体、及び結晶性ブロック複合体(「複合体」)は、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド、及び逐次的モノマーの添加を介して調製されるブロックコポリマーと区別され得る。複合体は、同等量のコモノマーのより高い融点、BCI、MBCI、CBCI、及び微細構造指数等の特徴によってランダムコポリマーと区別され得、BCI、MBCI、CBCI、及び微細構造指数、より良好な引張強さ、改善された破壊強さ、より微細な形態改善された光学特性、及び/または低温での大きい衝撃強度等の特徴によって物理的ブレンドと区別され得、分子量分布、レオロジー、剪断流動化、レオロジー比、及びブロック多分散性が存在することによって逐次的モノマー添加によって調製されるブロックコポリマーと区別され得る。例えば、複合体は、線状に結合された別個の領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を有するブロックコポリマーを含む。ブロックは、例えば、ポリエチレン(PE)対ポリプロピレン(PP)等の結晶性の種類において異なる。ブロックコポリマーは、直鎖または分岐状であり得る。連続プロセスにおいて生成される場合、複合体は、1.7〜15(例えば、1.8〜10、1.8〜5、及び/または1.8〜3.5)のPDIを有し得る。バッチまたは半バッチプロセスにおいて生成される場合、複合体は、1.0〜2.9(例えば、1.3〜2.5、1.4〜2.0、及び/または1.4〜1.8)のPDIを有し得る。例示的な複合体は、例えば、米国特許第8,716,400号、同第8,802,774号、及び同第8,822,598号に記載されており、これらは、例えば、それらを作製するためのプロセス及びそれらを分析する方法に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
ブロック複合体は、最も可能性のあるブロック長の分布を有するブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは、2つまたは3つのブロックまたはセグメントを含み得る。複合体のポリマーを製造するプロセスにおいて、ポリマー鎖の寿命を延ばす手段として実質的に鎖シャトリング剤で終結されたポリマーの形態で、栓流の条件下にて操作される、複数の反応器の少なくとも第1の反応器、もしくは複数に区画された反応器の第1のゾーンで、ポリマー鎖の実質的な部分を排出し、ポリマー鎖が異なる重合条件を次の反応器または重合区画で経験するように、ポリマー鎖の寿命を延ばす手段として鎖シャトリングが使用される。それぞれの反応器またはゾーンにおける異なる重合条件は、異なるモノマー、コモノマー、または、モノマー/コモノマー比、異なる重合温度、種々のモノマーの圧力または分圧、異なる触媒、異なるモノマー勾配、または、識別可能なポリマーセグメントの形成を招くあらゆる他の差異の使用を含む。したがって、ポリマーの少なくとも一部は、分子内に配置された2つ、3つ、またはそれ以上、好ましくは2つまたは3つの分化したポリマーセグメントを含む。
【0066】
複合体は、例えば、付加重合可能なモノマーまたはモノマーの混合物を、付加重合条件下で、付加重合触媒、共触媒、及び鎖シャトリング剤のうちの少なくとも1つを含む組成物に接触させることを含むプロセスによって調製される。このプロセスは、定常状態の重合条件下で動作する2つ以上の反応器内、または栓流重合条件下で動作する反応器の2つ以上のゾーン内で、区別されたプロセス条件下での成長ポリマー鎖の少なくとも幾つかの形成によって特徴付けられる。
【0067】
複合体を製造する上で有用な好適な方法は、例えば、米国特許第8,053,529号、第8,686,087号、及び、第8,716,400号に見出され得る。重合は、連続重合、例えば、触媒成分、モノマー、及び、任意で、溶媒、アジュバント、スカベンジャー、及び/または、重合助剤が、1つ以上の反応器またはゾーンに連続的に供給され、ポリマー生成物がそこから連続的に除去される連続溶液重合として実施することができ得る。この文脈で使用される「連続」及び「連続的に」という用語の範囲内では、反応物質の間欠的な添加、及び、小さな規則的または不規則な間隔での生成物の除去が存在し、時間の経過と共に、全体のプロセスは実質的に連続的である。さらに、第1の反応器またはゾーン、第1の反応器の出口または出口の少し手前、第1の反応器またはゾーンと第2のまたは任意の後続の反応器またはゾーンとの間、または、単独で第2のまたは任意の後続の反応器またはゾーンを含む、重合中のあらゆる時点で、鎖シャトリング剤は添加され得る。例示的な鎖シャトリング剤、触媒、及び、共触媒は、例えば、米国特許第7,951,882号に開示されているものである。例えば、ジアルキル亜鉛化合物である鎖シャトリング剤が使用され得る。
【0068】
触媒は、必要な金属錯体または複数の錯体を、重合が行われる溶媒または最終反応混合物に適した希釈剤に添加することによって、均一な組成物として調製され得る。所望の共触媒または活性化剤、及び、任意で、シャトリング剤は、触媒と、重合すべきモノマー、及び、あらゆる追加の反応希釈剤とを組み合わせる前、同時、または、組み合わせる後のいずれかに、触媒組成物と組み合わされ得る。
【0069】
モノマー、温度、圧力における差異、または他の、直列に接続された少なくとも2つの反応器またはゾーンの間での重合条件の他の差異に起因して、同じ分子内で、コモノマー含有量、結晶化度、密度、立体規則性、位置規則性、または、他の化学的もしくは物理的相違など異なる組成のポリマーセグメントが、異なる反応器またはゾーンに形成される。各セグメントまたはブロックのサイズは、連続ポリマー反応条件によって決定され、好ましくは、ポリマーサイズの最も可能性の高い分布である。一連の各反応器は、高圧、溶液、スラリー、または気相重合条件下で操作することができる。
【0070】
以下の例示的なプロセスでは、連続的または実質的に連続的な重合条件を用いることができる。多重ゾーン重合では、すべてのゾーンは、溶液、スラリー、または気相などは同じタイプの重合であるが、異なるプロセス条件で操作する。溶液重合プロセスの場合、使用される重合条件下でポリマーが可溶性である液体希釈剤での触媒成分の均質な分散液を使用することが望ましい。高圧プロセスは、100℃〜400℃の温度、及び500バール(50MPa)を超える圧力で実施され得る。スラリープロセスは、不活性炭化水素希釈剤、及び0℃〜最大でポリマーが不活性重合媒体にて実質的に可溶性になる直近の温度、を使用し得る。例示的なスラリー重合における温度は30℃からであり、かつ圧力は大気圧(100kPa)〜500psi(3.4MPa)の範囲である。
【0071】
実施態様の範囲の限定を意図するものではないが、そのような重合プロセスを実施するための1つの手段は以下の通りである。溶液重合条件下で操作される1つ以上の十分に撹拌されたタンクまたはループ反応器において、重合すべきモノマーは、反応器の一部分において、あらゆる溶媒または希釈剤と共に連続的に導入される。反応器は、あらゆる溶媒または希釈剤及び溶解したポリマーと共に、実質的にモノマーからなる比較的に均質な液相を含む。例示的な溶媒として、C
4−10炭化水素またはそれらの混合物、具体的には、ヘキサンまたはアルカンの混合物などのアルカン類、ならびに、重合に使用される1つ以上のモノマーがある。助触媒、及び、任意で、鎖シャトリング剤を伴う触媒が、反応器液相またはそのリサイクル部分に、最低でも1箇所で、連続的または間欠的に導入される。
【0072】
反応器の温度及び圧力は、溶媒/モノマー比、触媒添加速度、ならびに、冷却または加熱コイル、ジャケット、または、その両方の使用によって調整され得る。重合速度は、触媒添加速度によって制御される。ポリマー生成物での所定のモノマーの含有量は、反応器でのモノマーの比の影響を受け、このことは、これらの成分それぞれの反応器への供給速度を操作することによって制御される。ポリマー生成物の分子量は、任意で、温度、モノマー濃度などの他の重合変数、または、前述した鎖シャトリング剤、または、水素などの連鎖停止剤を制御することによって制御される。第1の反応器で調製された反応混合物が、ポリマー成長を実質的に停止させることなく第2の反応器に排出されるように、任意で、導管または他の移送手段によって、反応器の排出口に第2の反応器が接続される。第1及び第2の反応器の間で、少なくとも1つのプロセス条件の差異が確立される。例えば、2つ以上のモノマーのコポリマーの形成における使用は、差異は、1つ以上のコモノマーの有無、または、コモノマー濃度の差異である。一連の第2の反応器と同様に各々配置されている追加の反応器も、提供され得る。一連の反応器での最後の反応器から排出する際に、流出物を、触媒失活剤、例えば、水、水蒸気、もしくはアルコールなどと、またはカップリング剤と接触させる。得られたポリマー生成物は、残留モノマーまたは希釈剤などの反応混合物の揮発性成分を減圧下で蒸発分離し、かつ必要に応じて、液化押出機などの装置でさらに液化することによって回収される。
【0073】
あるいは、前述した重合は、モノマー、触媒、シャトリング剤、異なるゾーンまたはその領域の間で確立された温度や他の勾配を用い、任意で、触媒及び/または鎖シャトリング剤の添加を伴い、かつ断熱的または非断熱的重合条件下で操作される栓流反応器において実施され得る。
【0074】
第1のポリオレフィンコポリマー
ある特定の実施形態において、本開示の組成物は、20重量%〜90重量%(例えば、25重量%〜85重量%)の第1のポリオレフィンコポリマーを含む。実施形態において、第1のポリオレフィンコポリマーは、エチレン及びC
3〜C
10アルファ−オレフィンの少なくとも1つから誘導されるか、またはプロピレンならびにC
2及びC
4〜C
10アルファ−オレフィンの少なくとも1つから誘導される。例えば、ポリオレフィンコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブチレンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、及び/またはエチレン−オクテンコポリマーであってもよい。実施形態において、第1のポリオレフィンコポリマーは、ASTM D1238に準拠して、190℃/2.16kgで0.5g/10分〜1500g/10分(例えば、0.5g/10分〜100g/10分、0.5g/10分〜50g/10分、0.5g/10分〜30g/10分、1.0g/10分〜25g/10分、及び/または1.0g/10分〜15g/10分)のメルトインデックスを有する。第1のポリオレフィンコポリマーは、密度が0.850g/cc〜0.910g/cc、好ましくは0.850g/cc〜0.885g/cc、より好ましくは0.850g/cc〜0.875g/ccになるように、ASTM D792に準拠する比較的低い密度を有する。
【0075】
第1のポリオレフィンコポリマーは、例えば、−30℃未満、−40℃未満、及び/または−50℃未満の低いガラス転移温度を有し得る。
【0076】
第1のポリオレフィンコポリマーは、例えば、150,000g/モル以下、80,000g/モル以下、及び/または50,000g/モル以下の重量平均分子量(Mw)を有し得る。重量平均分子量(Mw)は、30,000g/モル以上、50,000g/モル以上、及び/または100,000g/モル以上であってもよい。
【0077】
第1のポリオレフィンコポリマーは、5未満、好ましくは4未満、より好ましくは3未満のMw/Mnを有し得る。
【0078】
第1のポリオレフィンコポリマーは、例えば、−30℃未満、−40℃未満、及び/または−50℃未満の低いガラス転移温度を有し得る。
【0079】
ある特定の実施形態において、第1のポリオレフィンコポリマーは、20℃〜90℃の融点を有し得る。
【0080】
ある特定の実施形態において、第1のポリオレフィンコポリマーは、ポリプロピレンと屈折率不整合なエラストマーである(すなわち、ポリプロピレンと屈折率が整合しない)。ある特定の実施形態において、第1ポリオレフィンコポリマーは、2.0未満(例えば、1.75未満、1.50未満、及び/または1.49未満)の屈折率を有する。ある特定の実施形態において、第1のポリオレフィンコポリマーは、アルファ−オレフィンコモノマー含量が高く、比較的低い密度を有する。
【0081】
第2のポリオレフィンコポリマー
ある特定の実施形態において、本開示の組成物は、30重量%〜70重量%(例えば、35重量%〜50重量%及び/または40重量%〜50重量%)の第2のポリオレフィンコポリマーを含む。実施形態において、第2のポリオレフィンコポリマーは、エチレン及びC
3〜C
10アルファ−オレフィンの少なくとも1つから誘導されるか、またはプロピレンならびにC
2及びC
4〜C
10アルファ−オレフィンの少なくとも1つから誘導される高メルトフローのコポリマーである。例えば、第2のポリオレフィンコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブチレンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、及び/またはエチレン−オクテンコポリマーであってもよい。
【0082】
第2のポリオレフィンコポリマーは、ASTM D1238に準拠して、190℃/2.16kgでメルトインデックスが100g/10分〜2000g/10分になるように、比較的高いメルトインデックスを有する。例えば、メルトインデックスは、100g/10分〜1500g/10分、200g/10分〜1200g/10分、300g/10分〜700g/10分、及び/または400g/10分〜600g/10分であってもよい。第2のポリオレフィンコポリマーは、密度が0.855g/cc〜0.900g/c、好ましくは0.860g/cc〜0.885g/cc、より好ましくは0.860g/cc〜0.875g/ccになるように、ASTM D792に準拠する比較的低い密度を有する。
【0083】
第2のポリオレフィンコポリマーは、例えば、−30℃未満、−40℃未満、及び/または−50℃未満の低いガラス転移温度を有し得る。ガラス転移温度(T
g)は、−80℃より高くてもよい。ブルックフィールド粘度(350°F/177℃で)は、1,000cP〜25,000cP(例えば、3,000cP〜20,000cP、5,000cP〜20,000cP、10,000cP〜20,000cP、及び/または、15,000cP〜20,000cP)であり得る。
【0084】
第2のポリオレフィンコポリマーは、40,000g/モル以下、30,000g/モル以下、及び/または、25,000g/モル以下などの低い重量平均分子量(MW)を有し得る。重量平均分子量(MW)は、5000g/モル以上、7000g/モル以上、及び/または10,000g/モル以上であり得る。
【0085】
第2のポリオレフィンコポリマーは、5未満、好ましくは4未満、好ましくは3未満のMw/Mnを有し得る。
【0086】
ある特定の実施形態において、第2のポリオレフィンコポリマーは、20〜50重量%のコモノマー含量(例えば、オクテン、プロピレン、ブテン、またはヘキサンコモノマー)を有する。
【0087】
ある特定の実施形態において、第2のポリオレフィンコポリマーは、0℃〜90℃の融点を有し得る。
【0088】
ある特定の実施形態において、第2のポリオレフィンコポリマーは、ポリプロピレンと屈折率不整合なエラストマーである(すなわち、ポリプロピレンと屈折率が整合しない)。ある特定の実施形態において、第2のポリオレフィンコポリマーは、2.0未満(例えば、1.75未満、1.50未満、及び/または1.49未満)の屈折率を有する。
【0089】
プロピレンポリマーベース
組成物は、60重量%〜90重量%のプロピレンポリマーベースを含み、これは、230℃/2.16kgでのASTM D1238に従って、2g/10分〜100g/10分(例えば、10g/10分〜80g/10分、20g/10分〜60g/10分、30g/10分〜50g/10分、及び/または35g/10分〜45g/10分)のメルトフローレートを有する。プロピレンポリマーベースは、230℃/2.16kgでのASTM D1238に従って、2g/10分〜100g/10分のメルトフローレートを有する1つ以上のポリプロピレン系ポリマーを含み得る。例示的な実施形態において、組成物は、本質的に改質剤、及びプロピレンポリマーベースからなり得る。プロピレンポリマーベースは、ランダムコポリマーポリプロピレンの総重量に基づいて、0.5重量%〜5.0重量%のエチレン含有量を有するランダムコポリマーポリプロピレンを含み得る。プロピレンポリマーベースは、プロピレンポリマーベースの総重量に基づいて、95重量%〜100重量%のランダムコポリマーポリプロピレンを含み得る。
【0090】
プロピレンポリマーベースは、0.870g/cm
3〜0.910g/cm
3(例えば、0.880g/cm
3〜0.905g/cm
3、0.885g/cm
3〜0.905g/cm
3、及び/または0.890g/cm
3〜0.905g/cm
3)の、ASTM D792−00、Method13に準拠する密度を有し得る。プロピレンポリマーベースは、不均質ポリプロピレンまたは均質ポリプロピレンからなってもよい。
【0091】
プロピレンポリマーベースは、プロピレンホモポリマー、プロピレン系インターポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン(RCPP)、インパクトコポリマーポリプロピレン(例えば、少なくとも1つのエラストマー耐衝撃性改良剤で改良されたホモポリマープロピレン)(ICPP)、ハイインパクトポリプロピレン(HIPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS−PP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、またはそれらの組み合わせであってもよい。例示的な実施形態において、プロピレンポリマーベースはホモポリマーポリプロピレンのアイソタクチック形態であり得るが、他の形態のポリプロピレン(例えば、シンジオタクチックまたはアタクチック)が使用されてもよい。
【0092】
プロピレンポリマーベースは、複合体に関して上述したように、連鎖移動剤を使用せずに形成される。プロピレンと重合するための例示的なコモノマーは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ユニデセン、1−ドデセン、ならびに4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、及びスチレンを含む。例示的なコモノマーは、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンを含む。例示的なプロピレン系インターポリマーは、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1−ヘキセン、プロピレン/エチレン/1−オクテン、プロピレン/スチレン、及びプロピレン/エチレン/スチレンを含む。任意で、プロピレンポリマーベースは、ジエンまたはトリエン等の少なくとも2つの二重結合を有するモノマーを含む。
【0093】
種々のポリプロピレンポリマーの例示的考察は、Modern Plastics Encyclopedia/89,midOctober1988Issue,Volume65,Number11,pp.86−92に記載されており、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなプロピレン系ポリマーの例として、VERSIFY(商標)(The Dow Chemical Companyから入手可能)、Vistamaxx(商標)(Exxon Mobilから入手可能)、INSPIRE(商標)(Braskemから入手可能)、及びPro−Fax(LyondellBasellから入手可能)が挙げられる。
【0094】
例示的な実施形態において、プロピレンポリマーベースは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有することを特徴とするプロピレン−アルファ−オレフィンコポリマーであってもよい。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」は、配列が、0.85を超える、代替として0.90を超える、別の代替として0.92を超える、別の代替として0.93を超える
13C NMRによって測定されるアイソタクチックトライアド(mm)を有することを意味する。
【0095】
プロピレンポリマーベースはLCBを含み得る。例えば、プロピレンポリマーベースは、少なくとも平均0.001、少なくとも平均0.005、及び/または少なくとも平均0.01の長鎖分岐/総炭素1000を含んでもよい。用語「長鎖分枝」は、本明細書で使用される場合、短鎖分枝より少なくとも1炭素多い鎖長を指し、短鎖分枝は、本明細書でプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーに関して使用される場合、コモノマー中の炭素の数より2炭素少ない鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、長さが少なくとも7炭素の長鎖分岐を有する骨格を有するが、これらの骨格は長さがわずか6炭素の短鎖分岐も有する。
【0096】
プロピレンポリマーベースは、内部に清澄剤、及び/または、核形成剤を含み得る。例えば、清澄剤、及び/または、核形成剤は、溶融状態でポリプロピレン鎖が結晶化し、凝集する方法を変え得る。これらの薬剤は、結晶化温度の開始を増加させ得る。清澄剤(または清澄剤)は、通常、有機非ポリマー分子である。清澄化は、一般に、核形成剤としても作用し得るが、核形成剤は必ずしも清澄剤である必要はない。例示的な清澄剤は、ジベンジリデンソルビトールの化学的誘導体であり、ポリプロピレン樹脂の処理ウィンドウ内で溶融温度を有する。核形成剤は、一般に、平均粒径が小さく、かつ、融点が高い無機材料である。有核樹脂が押出機中で溶融されるとき、核形成剤は、典型的には固体のままであり、ポリプロピレン球晶がその周囲で形成され得る部位を提供し得る。例示的な核形成剤は、安息香酸の化学誘導体である。例えば、核形成剤は、安息香酸ナトリウム、カオリン、及び/またはタルクであり得る。
【0097】
組成物は、(例えば、周囲温度よりも低く、及び/または0℃未満)の低温機械的を必要とする用途のための耐久性のある容器の製造に使用され得る。容器は、食品及び飲料消費市場での使用に好適であり得る。衝撃、透明度、及び、弾性率の改善されたバランスから恩恵を受けることができる例示的な容器に基づいた用途は、低温機械的特性のための食品包装(例えば、アイスクリーム容器及び穿刺抵抗袋)、飲料用ボトル、ならびに透明で丈夫な荷袋を含む。
【0098】
組成物
実施形態によれば、本開示は、少なくともプロピレンポリマーベース及び改質剤を含む透明度が高く、低い温度で使用する容器を形成するための組成物、及びその組成物を用いて形成された容器/フィルムを対象とする。
【0099】
組成物は、組成物の総重量を基準として、10重量%〜40重量%の改質剤を含む。改質剤の複合体(ブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶性ブロック複合体)、第1のポリオレフィンコポリマー、及び任意で第2のポリオレフィンコポリマーは、組成物がポリプロピレン中に微細分散した改質剤を含むように、改質剤がプロピレンポリマーベースとブレンドされる前に乾燥ブレンドまたは予備ブレンドされてもよい。別の例示的な実施形態において、改質剤ブレンドの成分は、改質剤ブレンド成分と共にプロピレンポリマーベースを、一工程で、押出機に供給して改質プロピレンを形成することによって、物品の調製の際に個々に添加し得る。別の例示的な実施形態において、改質プロピレンは、改質剤ブレンドの個々の成分のすべてをプロピレンポリマーベースと共に溶融ブレンドし、次に、すぐに供給できる改質プロピレンをペレット化することによって、調製され得る。次いで、ペレット化された改質プロピレンは、例えば、射出成形によって物品のためのプロセスへと直接供給され得る。
【0100】
改質剤は、10重量%〜50重量%のブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶性ブロック複合体を含む。改質剤は、20重量%〜90重量%の比較的低い密度を有する第1のポリオレフィンコポリマーをさらに含む。改質剤は、任意で、30重量%〜70重量%の、高いメルトフロー及び比較的低い密度を有する第2のポリオレフィンコポリマーを含んでもよい。
【0101】
組成物に関して、この理論に拘束されることを望むものではないが、プロピレンポリマーベース(例えば、ポリプロピレンホモポリマーなど)と、連続ポリプロピレン相を有するブロックコポリマーとのブレンドは、単純なポリプロピレン/エラストマーブレンドと比較して、相対的に小さく、かつ離散したゴムドメインをもたらすであろう。ゴムのドメインサイズが、可視光の波長(400〜700nm)よりも小さい場合、光の散乱が少なくなり、かつポリマー/得られた物品は、透明度を維持するであろう。さらに、ブロックコポリマーは、プロピレンポリマーベースが、一般的な冷凍庫内の温度のような低温下で、改善された靱性を伴って耐衝撃性を改質されたと考えられ得るように、ゴムを相溶化する。したがって、得られる組成物は、改善された耐衝撃性改質を有しつつ、ポリプロピレンホモポリマーで実現される光透過率と同様の光透過率を提供するであろう。例えば、改質剤は、ポリプロピレンに対して容易に相溶性及び分散性であり、ポリプロピレンにおいて透明なままであり、かつ冷凍庫内の温度で十分な衝撃強さを提供する物品を形成するのに適合された組成物をもたらす、特徴を有し得る。
【0102】
ポリマーブレンドは、押出成形(例えば、シート押出成形及びプロファイル押出成形)、鋳造(例えば、射出成形、回転成形、及びブロー成形)、ならびに、インフレーションフィルム及びキャストフィルムプロセス等の既知のポリマープロセスで容器を調製するために使用されてもよい。例えば、一般に、押出は、ポリマーが、融解及び圧縮され、最終的にダイを通して押し出される高温高圧の領域を通ってスクリューに沿って連続的に推進されるプロセスである。押出機は、単軸押出機、多軸押出機、ディスク押出機、またはラム押出機であってもよい。ダイは、フィルムダイ、インフレーションフィルムダイ、シートダイ、パイプダイ、配管ダイ、またはプロファイル押出ダイであってもよい。射出成形は、様々な用途のための様々なプラスチック部品を製造するために使用される。典型的に、射出成形は、ポリマーが、融解され、高圧で所望の形状の逆である鋳型へ射出されて、所望の形状及び大きさの部品を形成するプロセスである。鋳型は、鋼及びアルミニウム等の金属から作製することができる。成形は、一般に、ポリマーが融解され、所望の形状の逆である鋳型へ導かれて、所望の形状及び大きさの部品を形成するプロセスである。成形は、無加圧または圧力利用鋳造であり得る。例示的な実施形態において、容器は、射出成形を用いて調製される。
【0103】
改質剤とプロピレンポリマーベースとのポリマーブレンドを形成する温度は、プロピレンポリマーベースの溶融温度より高くてもよい。例えば、均一な溶融ブレンドを形成するために、温度は、150℃〜250℃、及び/または、200℃〜225℃であり得る。改質剤を形成するための温度は、予めブレンドした場合、150℃〜200℃であり得る。例えば、改質剤を予めブレンドするための温度は、改質剤とプロピレンポリマーベースとのポリマーブレンドを形成するための温度よりも低くてもよい。改質剤とプロピレンポリマーベースとのポリマーブレンドは、(ポリプロピレンでの従来の改質剤と比較して)比較的低い粘度のブレンドを有し得、さらに低い温度で動作し得、さらに短いサイクル時間で動作し得、及び/または透明度と衝撃特性とのバランスが改善された均質なブレンドを提供し得る。
【0104】
本開示の組成物は、任意で、1つ以上の添加剤及び/または充填剤を含むことができる。添加剤及び/または充填剤の非限定的な例として、可塑剤、熱安定剤、光安定剤(例えば、UV光安定剤及び吸収剤)、酸化防止剤、スリップ剤、プロセス助剤、光学増白剤、帯電防止剤、潤滑剤、触媒、レオロジー調整剤、殺生物剤、腐食防止剤、脱水剤、有機溶剤、着色剤(例えば、顔料及び染料)、界面活性剤、離型添加剤、鉱油、ブロッキング防止剤、核剤、難燃剤、強化充填剤(例えば、ガラス、繊維、傷防止添加剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー等)、加工助剤、金属繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、ポリマー繊維、カオリン、ガラス、セラミック、炭素/高分子ミクロスフェア、シリカ、マイカ、炭素繊維、粘土、ヘンプ繊維、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0105】
本発明の組成物は、冷凍庫用容器として使用することができるが、これに限定されない。衝撃、透明度、及び、弾性率の改善されたバランスから恩恵を受けることができる他の用途には、装飾フィルム、包装フィルム、レトルト食品包装、射出延伸ブロー成形ボトル、BOPPフィルム、熱成形トレイ及びカップ、玩具用クリアパッケージ、窓フィルム及び窓ガラス、天窓、光ファイバー、保護フィルム、セキュリティーフィルム、グラフィックアート、看板、光学用ディフューザー、照明管理、光及び色強化フィルム、模造金属塗料及び外観、低温シーラント、結束具、ストレッチフード、自動車内装用透明計器盤、自動車ヘッドライトカバー、眼鏡及びコーティング、光起電力膜、剛性チューブ、カーテン用剛性クリアロッド、温室フィルム、ランプガード、水差し、飲料用グラス、ビールジョッキ、キッチン及び/または浴室の蛇口のハンドルまたはカバーが挙げられる。
【0106】
種々の実施形態において、本開示は、当業者に既知の方法によって作製される本開示の組成物から作製される物品またはフィルムを提供する。
【0107】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(i)ASTM D1708に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで3000psi〜4000psi(例えば、3000psi〜3750psi及び/または3000psi〜3500psi)の引張割線弾性率(10%)を有する。
【0108】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(ii)ASTM D1708に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満、1.6mm以下、及び/または0.75mm以下)のフィルム厚さで、1000psi〜2500psi(例えば、1400〜2100psi、1400psi〜2000psi、1400psi〜1800psi、及び/または1400psi〜1700psi)の引張割線弾性率(2%)を有する。
【0109】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(iii)ASTM D1708に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満、1.6mm以下、及び/または0.75mm以下)のフィルム厚さで、2500psi〜4000psi(例えば、2600psi〜3800psi、2600psi〜3600psi、及び/または2600psi〜3500psiの破断時の引張応力を有する。
【0110】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(iv)ASTM D1708に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満、1.6mm以下、及び/または0.75mm以下)のフィルム厚さで、250%〜500%(例えば、280%〜500%、300%〜500%、325%〜500%、350%〜500%、及び/または370%〜500%)の破断時の平均ひずみを有する。
【0111】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(v)ASTM D1746に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満、1.6mm以下、及び/または0.75mm以下)のフィルム厚さで、70%を超える(例えば、72%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、及び/または99%以上)の透明度を有する。
【0112】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(vi)ASTM D1746に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満、1.6mm以下、及び/または0.75mm以下)のフィルム厚さで、60%未満のヘイズ(例えば、57%以下、55%以下、53以下%、50%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、及び/または8%以下)のヘイズを有する。
【0113】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(vii)ASTM D1746に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満、1.6mm以下、及び/または0.75mm以下)のフィルム厚さで、65%以上の透過率(例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、及び/または89%以上)の透過率を有する。
【0114】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(viii)ISO 179に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで、23℃で3kJ/m
2以上(5kj/m
2以上、10kj/m
2以上、15kj/m
2以上、20kj/m
2以上、25kj/m
2以上、30kj/m
2以上、35kj/m
2以上、40kj/m
2以上、45kj/m
2以上、50kj/m
2以上、及び/または51kj/m
2以上)の平均シャルピー衝撃値を有する。
【0115】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(ix)ASTM D256に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで、23℃で5kJ/m
2以上(例えば、10kJ/m
2以上、15kJ/m
2以上、20kJ/m
2以上、及び/または25kJ/m
2以上)の平均アイゾット衝撃値を有する。
【0116】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(x)ASTM D256に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで、10℃で4kJ/m
2以上(例えば、6kJ/m
2、7kJ/m
2、及び/または9kJ/m
2以上)の平均アイゾット衝撃値を有する。
【0117】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(xi)ASTM D256に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで、0℃で4kJ/m
2以上(例えば、6kJ/m
2以上、8kJ/m
2以上、10kJ/m
2以上、15kJ/m
2以上、20kJ/m
2以上、及び/または25kJ/m
2以上)の平均アイゾット衝撃値を有する。
【0118】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(xii)ASTM D256に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで、−10℃で3kJ/m
2以上(例えば、5kJ/m
2以上、6kJ/m
2以上、及び/または7kJ/m
2以上)の平均アイゾット衝撃値を有する。
【0119】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(xiii)ASTM D256に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで、−20℃で3kJ/m
2以上(例えば、5kJ/m
2以上、6kJ/m
2以上、8kJ/m
2以上、10kJ/m
2以上、及び/または11kJ/m
2以上)の平均アイゾット衝撃値を有する。
【0120】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(xiv)ASTM D256に準拠して、3.0mm未満(例えば、2.0mm未満及び/または1.6mm以下)のフィルム厚さで、−30℃で3kJ/m
2以上(例えば、4kJ/m
2以上及び/または5kJ/m
2以上)の平均アイゾット衝撃値を有する。
【0121】
種々の実施形態において、本開示の組成物から形成されるフィルムは、(xv)ポリプロピレンマトリックス(すなわち、本発明の組成物のプロピレンポリマーベース)において、100nm〜700nm(例えば、100nm〜600nm、100nm〜500nm、200nm〜500nm、200nm〜400nm、200nm〜300nm、及び/または500nm未満)のエラストマー/ゴムドメインサイズを有する。
【0122】
種々の実施形態において、本開示の組成物は、上記の特性(i)〜(xv)の1つ、いくつか、または全てを有することができる。
【実施例】
【0123】
試験方法
密度は、ASTM D792に従って測定する。結果は、ガンマ(g)/立方センチメートル、または、g/cm
3で報告する。
【0124】
メルトインデックス(I2)は、ASTM D−1238(190℃;2.16kg)に従って測定する。結果は、グラム/10分で報告する。
【0125】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238(230℃;2.16kg)に従って測定する。結果は、グラム/10分で報告する。
【0126】
引張割線弾性率(2%)、引張割線弾性率(10%)、破断時の引張応力、及び破断時の平均ひずみを含む引張特性は、ASTM D1708に準拠して測定される。
【0127】
透明度パーセント、ヘイズパーセント、及び透過率パーセントは、ASTM D1746で定められているBYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。
【0128】
23℃、10℃、0℃、−10℃、−20℃、及び−30℃を含むアイゾット衝撃値は、それぞれの例において指示された厚さでASTM D256に準拠して測定される。サンプルは、射出成形によって調製される。
【0129】
シャルピー衝撃は、シャルピー衝撃特性の決定のためのISO 179に基づいている。風損及び摩擦損失が自動的に決定された後、試験片によって吸収された衝撃エネルギーを計算する。成形したプラークから10個の試験片をダイカットする。試験片は、長さ約80mm、幅10mmである。
【0130】
示差走査熱量計(DSC)は、TA InstrumentsのUniversal V3.7A解析ソフトウェアを使用するTA Instruments Q100 DSC V9.8 Build 296で実施する。サンプルを迅速に230℃にまで加熱し、3分間等温保持して、いかなる以前の加熱履歴も消去する。次いで、サンプルを10℃/分の速度で−90℃にまで冷却し、−90℃で3分間保持する。第1の冷却曲線及び第2の加熱曲線を記録する。結晶化度パーセントは、第2の加熱曲線から決定した融解熱(Hf)を、PEの場合、292J/g(PPの場合、165J/g)の理論的融解熱で除し、この数に100を乗じて算出する(例えば、結晶化度%=(Hf/292J/g)×100(PEの場合))。
【0131】
具体的には、断りのない限り,各ポリマーの融点(Tm)を第2の熱曲線(ピークTm)から決定し、結晶化温度(Tc)を第1の冷却曲線(ピークTc)から決定する。DSCに関して、直線ベースラインに関する最大フローレートでの温度を、融点として使用する。直線ベースラインを、(ガラス転移温度を超える)溶融開始から溶融ピークの終了までで構築する。
【0132】
高温液体クロマトグラフィー:高温液体クロマトグラフィー実験法測定は、公開された方法(Lee,D.;Miller,M.D.;Meunier,D.M.;Lyons,J.W.;Bonner,J.M.;Pell,R.J.;Shan,C.L.P.;Huang,T.J.Chromatogr.A2011,1218,7173)に若干の変更を加えた方法に従って行われるHTLC実験である。2つのShimadzu(Columbia,MD,USA)LC−20ADポンプを使用して、デカン及びトリクロロベンゼン(TCB)のそれぞれを送達する。各ポンプを、10:1の固定流動分割器(部品番号:620−PO20−HS、Analytical Scientific Instruments Inc.,CA,USA)に接続する。分割器は、製造者によると、H
2Oにおいて、0.1mL/分で1500psiの圧力低下を有する。両方のポンプの流量を、0.115mL/分に設定する。分割後、デカン及びTCBの両方について、収集された溶媒を30分超で秤量することによって決定される微流量は、0.01mL/分である。収集された溶出液の体積を、室温での溶媒の質量及び密度によって決定する。分離のために、微流量をHTLCカラムに送達する。主流を、溶媒リザーバに送り戻す。50μL混合機(Shimadzu)を分割器の後に接続して、Shimadzuポンプからの溶媒を混合する。次いで、混合された溶媒をWaters(Milford,MA,USA)GPCV2000のオーブン内の注入器に送達する。Hypercarb(商標)カラム(2.1×100mm、5μm粒径)を、注入器と10口VICI弁(Houston,TX,USA)との間に接続する。弁は、2つの60μLのサンプルループを備える。弁を使用して、溶出液を第1の寸法(D1)HTLCカラムから第2の寸法(D2)SECカラムへと連続的にサンプリングする。Waters GPCV2000のポンプ及びPLgel Rapid(商標)−Mカラム(10×100mm、5μm粒径)を、D2サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)のためにVICI弁に接続する。接続には、文献(Brun,Y.;Foster,P.J.Sep.Sci.2010,33,3501)に記載される対称的な構成を使用する。濃度、組成、及び分子量を測定するために、二重角光散乱検出器(PD2040、Agilent,Santa Clara,CA,USA)及びIR5推測吸収検出器を、SECカラムの後に接続する。
【0133】
HTLCのための分離:バイアルを160℃で2時間、穏やかに振盪することによって、約30mgを8mLのデカンに溶解する。デカンは、ラジカルスカベンジャーとして400ppmのBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を含有する。次いで、サンプルバイアルを、注入のため、GPCV2000のオートサンプラーに移動する。オートサンプラー、注入器、Hypercarbカラム及びPLgelカラムの両方、10口VICI弁、ならびにLS検出器及びIR5検出器の両方の温度を、分離を行っている間、140℃に維持する。
【0134】
注入前の初期条件は、以下の通りである。HTLCカラムの流量は、0.01mL/分である。D1 Hypercarbカラム内の溶媒組成は、100%デカンである。SECカラムの流量は、室温で、2.51mL/分である。D2 PLgelカラムでの溶媒組成は、100%TCBである。D2 SECカラムでの溶媒組成は、分離を行っている間、変化しない。
【0135】
311μLアリコートのサンプル溶液を、HTLCカラム内に注入する。注入は、以下に記載する勾配を引き起こす。
0〜10分まで、100%デカン/0%TCB、
10〜651分まで、TCBは、0%TCBから80%TCBまで直線的に増加する。
注入はまた、15°角度(LS15)での光散乱シグナル、ならびに、EZChrom(商標)クロマトグラフィーデータシステム(Agilent)を用いる、IR5検出器からの「尺度」シグナル及び「メチル」シグナル(IR尺度及びIRメチル)の収集も引き起こす。検出器からのアナログシグナルは、SS420Xアナログ−デジタル変換器を通してデジタルシグナルに変換される。収集周波数は、10Hzである。注入はまた、10口VICI弁の切り換えも引き起こす。弁の切り換えは、SS420X変換器からのリレーシグナルによって制御される。弁は、3分毎に切り換えられる。クロマトグラムは、0〜651分まで収集される。各クロマトグラムは、651/3=217SECクロマトグラムからなる。
【0136】
勾配分離後、0.2mLのTCB及び0.3mLのデカンを使用して、次の分離のためにHTLCカラムを洗浄し、再平衡化する。この工程の流量は、0.2mL/分であり、混合機に接続されたShimadzu LC−20ABポンプによって送達される。
【0137】
HTLCのためのデータ分析:651分間の未加工のクロマトグラムをまず展開し、217SECクロマトグラムをもたらす。各クロマトグラムは、2D溶出体積の単位で0〜7.53mLである。次いで、積分限界を設定し、SECクロマトグラムは、スパイク除去、ベースライン補正、及び、平滑化を受ける。このプロセスは、従来のSECにおける複数SECクロマトグラムのバッチ分析と同様である。ピークの左側(積分上限)及び右側(積分下限)の両方がゼロとしてベースラインにあることを確実にするために、すべてのSECクロマトグラムの合計を検査する。そうでなければ、積分限界を調節して、プロセスを反復する。
【0138】
1〜217の各SECクロマトグラムnは、HTLCクロマトグラムにおいてX−Y対をもたらし、式中、nは、分数である。
X
n=溶出容量(mL)=D1流速×n×t
切り換え
式中、t
切り換え=3分は、10口VICI弁の切り換え時間である。
【0139】
【数1】
【0140】
上記の方程式は、例として、IR
尺度シグナルを使用する。得られたHTLCクロマトグラムは、溶出体積の関数としての、別個のポリマー成分の濃度を示す。正規化IR
尺度HTLCクロマトグラムを例えば
図9に示し、YはdW/dVによって表わされ、これは、溶出体積に関する正規化重量分率を意味する。
【0141】
データのX−Y対もまた、IRメチルシグナル及びLS15シグナルから得られる。IR
メチル/IR
尺度の比率を使用して、較正後の組成を計算する。LS15/IR
尺度の比率を使用して、較正後の重量平均分子量(Mw)を計算する。
【0142】
較正は、Leeら(同書)の手順に従う。高密度ポリエチレン(HDPE)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、ならびに、20.0、28.0、50.0、86.6、92.0、及び95.8重量%Pのプロピレン含有量を有するエチレン−プロピレンコポリマーを、IRメチル/IR尺度較正のための標準物質として使用する。標準物質の組成を、NMRによって決定する。標準物質を、IR5検出器を有するSECによって送液する。標準物質の得られたIR
メチル/IR
尺度の比率を、それらの組成の関数としてプロットし、較正曲線を得る。
【0143】
HDPE基準を、ルーチンLS15較正に使用する。基準のM
wを、GPCによって、LS検出器及びRI(屈折率)検出器を用いて、104.2kg/モルとして事前に決定する。GPCは、GPCにおける標準物質としてNBS1475を使用する。この標準物質は、NISTによる52.0kg/モルの認証値を有する。7〜10mgの標準物質を、160℃の8mLのデカンに溶解させる。溶液を、100%TCBにてHTLCカラムに注入する。ポリマーを、0.01mL/分での一定100%TCB下で溶出させる。したがって、ポリマーのピークは、HTLCカラム空隙体積で出現する。較正定数Ωを、総LS15シグナル(A
LS15)及び総IR
尺度シグナル(A
IR、尺度)から決定する。
【0144】
【数2】
【0145】
次いで、実験LS15/IR
尺度比率を、Ωを通してM
wに変換する。
【0146】
透過型電子顕微鏡(TEM)は、形態決定のためのものである。比較のために、射出成形されたプラークの中央平面に沿った領域を切り離してトリムした。切片をコアに集め、機械方向と平行に切断できるように、ブロックをトリムした。トリムされたサンプルは、エラストマー相の汚損を防止するために、−60℃で、ブロックから切片を除去することによって、染色前に低温研磨された。低温研磨したブロックを、周囲温度で3時間、2%四酸化ルテニウム水溶液の蒸気相で染色した。染色溶液は、0.2グラムの塩化ルテニウム(III)水和物(RuCl
3×H
2O)をネジ式の蓋付ガラスビンに秤量し、5.25%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液10mlを広口瓶に加えて調製した。サンプルを、両面テープを有するスライドガラスを用いてガラス瓶に入れた。ブロックを染色溶液の約1インチ上に吊り下げるためにスライドを瓶に入れた。Leica EM UC7ミクロトームのダイヤモンドナイフを用いて、周囲温度で、厚さ約90ナノメートルの切片を収集し、観察のため400メッシュの未使用TEMグリッドの上に置いた。
【0147】
画像回収−画像は、100kVの加速電圧で動作するJEOL JEM−1230で収集し、Gatan−791及び794デジタルカメラに収集する。
【0148】
キシレン可溶性分別分析:秤量した樹脂を、還流条件下で、2時間、200mlのo−キシレンに溶解して使用して実施する。次いで、溶液を温度制御された水浴にて25℃に冷却して、キシレン不溶性(XI)画分を結晶化させる。溶液が冷却され、不溶性画分が溶液から析出したら、キシレン不溶性画分からのキシレン可溶性(XS)画分の分離を、濾紙を通す濾過によって行う。残りのo−キシレン溶液を、濾液から蒸発させる。XS及びXI画分の両方を、真空オーブンで、100℃で、60分間乾燥させ、次いで、計量する。
【0149】
13C核磁気共鳴(NMR)は、以下を含む。
【0150】
サンプル調製:クロムアセチルアセトナート(弛緩剤)にて0.025Mのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物の約2.7gを、10mmのNMR管内の0.21gのサンプルに添加することによってサンプルを調製する。サンプルを、溶解し、管及びその内容物を、150℃にまで加熱して均質化する。
【0151】
データ取得パラメータ:データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを具備したBruker400MHzスペクトロメーターを使用して収集する。データは、データファイルあたり320回の過渡信号、7.3秒のパルス繰り返し遅延(6秒の遅延+1.3秒の収集時間)、90度のフリップ角、及び、125℃のサンプル温度での逆ゲーテッドデカップリングを使用して取得する。すべての測定は、ロックしたモードにある非回転サンプルで行われる。加熱した(130℃)NMRサンプル交換装置に挿入する直前にサンプルを均質化し、そして、データを取得する前に、15分間、プローブにて熱平衡する。
【0152】
複合ポリマー中のコモノマー含量は、任意の適切な技術を用いて測定することができ、核磁気共鳴(NMR)分光法に基づく技術が好ましい。
【0153】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC):ゲル浸透クロマトグラフィーは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220計器のいずれかからなるシステムである。カラム及び回転区画は、140℃で動作させる。3つのPolymer Laboratories 10−micron Mixed−Bカラムを使用する。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50mlの溶媒に0.1グラムのポリマーの濃度で調製する。サンプルは、160℃で2時間、軽く攪拌することによって調製する。使用される射出体積は、100μlであり、流量は、1.0ml/分である。
【0154】
GPCカラムセットの較正を、個々の分子量の間で少なくとも10の分離を有する6つの「カクテル」混合物に配列した、580〜8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭分子量分布ポリスチレン標準物を用いて行う。標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準物を、1,000,000以上の分子量に関しては50mlの溶媒に0.025g、1,000,000未満の分子量に関しては50mlの溶媒に0.05gで調製する。ポリスチレン標準物を、30分間緩慢に攪拌しながら80℃で溶解させる。最高分子量成分を減少させて、劣化を最小限にするために、狭い標準物の混合物を最初に実行する。ポリスチレン標準物ピーク分子量を、以下の等式(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に説明される)を使用してポリエチレン分子量に変換する:M
ポリプロピレン=0.645(M
ポリスチレン)。
【0155】
ポリプロピレン等価分子量計算を、Viscotek TriSECソフトウェアVersion3.0を使用して行う。
【0156】
CEF:コモノマー分布分析は、IR−4検出器(PolymerChar、Spain)及び二角度光散乱検出器モデル2040(Precision Detectors、現在のAgilent Technologies)を装備した結晶化溶出分画(CEF)(PolymerChar、Spain)(Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71−79(2007))により行う。IR−4またはIR−5検出器が使用される。50X4.6mmの10または20ミクロンガードカラム(PolymerLab、現在のAgilent Technologies)を、検出器オーブン内のIR−4検出器またはIR−5検出器の少し手前に設置する。オルトジクロロベンゼン(ODCB、99%無水グレード)及び2,5−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(「BHT」、カタログ番号B1378−500G、バッチ番号098K0686)をSigma−Aldrichから入手する。ODCBは使用前に蒸留する。シリカゲル40(粒径0.2〜0.5mm、カタログ番号10181−3)もEMD Chemicalsから入手する。使用前に、シリカゲルを160℃の真空オーブンで約2時間乾燥させる。800mgのBHT及び5gのシリカゲルを2リットルのODCBに加える。ODCBは、シリカゲルを充填した1つまたは複数のカラムを通過させることによっても乾燥させることができる。N2パージ能力を有するオートサンプラーを装備したCEF機器の場合、シリカゲル40を2つの300×7.5mmのGPCサイズのステンレススチールカラムに充填し、そのシリカゲル40カラムをCEF機器のポンプの入口に設置してODCBを乾燥させる:BHTは移動相に添加されない。この「BHT及びシリカゲルを含有するODCB」またはシリカゲル40で乾燥させたODCBは、これより「ODCB」と称される。このODBCを、使用前に乾燥窒素(N2)で1時間スパージする。乾燥窒素は、窒素を<90psigでCaCO
3及び5Å分子篩を通過させることによって得られるものである。結果として生じた窒素は、約−73℃の露点を有するべきである。サンプル調製は、160℃で2時間振とうさせながら、4mg/mlのオートサンプラー(別途特性されない限り)を用いて行う。注入体積は300μlである。CEFの温度プロファイルは、3℃/分で110℃から30℃までの結晶化、30℃で5分間の熱平衡(2分に設定された可溶性画分溶出時間を含む)、3℃/分で30℃から140℃までの溶出である。結晶化中の流量は0.052ml/分である。冷却工程中の流量は0.052mL/分である。溶出中の流量は0.50ml/分である。データは、1データ点/秒で収集される。CEFカラムには、米国特許第8,372,931号に従って、1/8インチステンレス管を用いて125μm±6%(MO−SCI Specialty Products)のガラスビーズが充填されている。カラム外径(OD)は1/8インチである。この方法を繰り返すのに必要な臨界パラメータは、カラムの内径(ID)及びカラム長さ(L)を含む。ID及びLの選択は、直径125μmのガラスビーズを充填したときに液体内部体積が2.1〜2.3mLになるようにしなければならない。Lが152cmの場合、IDは0.206cmでなければならず、壁厚さは0.056cmでなければならない。ガラスビーズの直径が125μmであり、内部液体体積が2.1〜2.3mLである限り、L及びIDに異なる値を使用することができる。カラム温度較正は、ODCB中でNIST標準参照物質線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とエイコサン(2mg/ml)との混合物を用いて行う。CEF温度較正は、4つのステップからなる:(1)測定されたエイコサンのピーク溶出温度から30.00℃を差し引いた温度オフセットとして定義される遅延体積を計算するステップ。(2)溶出温度の温度オフセットをCEF生温度データから差し引くステップ。この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量等の実験条件の関数であることに留意されたい。(3)NIST線状ポリエチレン1475aが101.0℃のピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、溶出温度を30.00℃〜140.00℃の範囲にわたって変化させる直線較正線を作成するステップ。(4)30℃で等温測定された可溶性画分について、3℃/分の溶出加熱速度を用いて溶出温度を直線的に外挿するステップ。報告された溶出ピーク温度は、観察されたコモノマー含量較正曲線が、米国特許第8,372,931号において以前に報告されたものと一致するように得られる。
【0157】
ブロック複合体、指定されたブロック複合体、及び結晶ブロック複合体の調製
ブロック複合体(BC)及び指定されたブロック複合体(SBC)サンプルは、2つの反応器に同時に供給される触媒を用いて製造する。
【0158】
BC及びSBCサンプルの各々は、(i)エチレン−プロピレンポリマーと、(ii)アイソタクチックプロピレンポリマーと、(iii)エチレン−プロピレンポリマーと同じ組成を有するエチレン−プロピレン軟質ブロック、及びアイソタクチックプロピレンポリマーと同じ組成であるアイソタクチックポリプロピレン硬質ブロックを含むブロックコポリマーと、を含む。ブロックコポリマーに関して、エチレン−プロピレン軟質ブロックが第1の反応器で生成され、アイソタクチックプロピレン硬質ブロックが第2の反応器で生成される。BCのブロックコポリマーでの軟質ブロックと硬質ブロックとの間での分割割合は、約50/50である。SBCのブロックコポリマーでの軟質ブロックと硬質ブロックとの間での分割割合は、約50/50である。
【0159】
BC及びSBCサンプルを、直列に接続された2つの連続撹拌槽型反応器(CSTR)を使用して、かつ両方の反応器に同時に供給される触媒を使用して調製する。軟質ブロックは、第1の反応器で生成され、硬質ブロックは、第2の反応器で生成される。各反応器は、液圧的に満杯であり、定常状態条件で動作するように設定される。具体的には、BC及びSBCを、以下の表1にまとめられるプロセス条件に従って、モノマー、触媒、共触媒−1、共触媒−2、及び(鎖シャトリング剤としての)SAを流すことによって調製する。2つのポート注入装置を使用して、触媒、共触媒−1、共触媒−2、及びSA(シャトリング剤)−1を別々に反応器に供給する。BC及びSBCの調製に対して、触媒は、([[レル−2’,2’’’−[(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ−κO)]ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)−5−メチル[1,1’−ビフェニル]−2−オラト−κO]](2−)]ジメチル−ハフニウム)である。共触媒−1は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩のメチルジ(C
14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物であり、それは、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)の反応によって調製され、使用される。共触媒−2は、米国特許第6,395,671号の実施例16に従って調製される、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C
14−18アルキルジメチルアンモニウム塩である。SAは、Akzo Nobel Chemicals製の1〜3モル%の修飾メチルアルモキサン(MMAO−3A)を含有してもよいジエチル亜鉛(DEZ)の溶液である。反応器を出る際に、水及び/または添加剤をポリマー溶液に注入してもよい。
【0160】
BC及びSBCサンプルを生成するためのプロセス条件は、以下の通りである。
【0161】
【表1】
【0162】
BCおよびSBCサンプルの特性を、以下の表2に示す。
【0163】
【表2】
【0164】
CBCサンプルは、BC及びSBCサンプルについて上述したのと同様の方法を用いて、直列の二重反応器で合成される。CBCサンプルは、(i)エチレン−プロピレンポリマー、(ii)アイソタクチックポリプロピレンポリマー、及び(iii)エチレン−プロピレンポリマーと同じ組成を有するエチレン−プロピレンブロックと、アイソタクチックポリプロピレンポリマーと同じ組成を有するアイソタクチックポリプロピレンブロックとを含むブロックコポリマーを含む。CBCのブロックコポリマー中のEPブロックとiPPブロックとの間の分割は約50/50である。CBCサンプルの測定された特性を以下の表3に示す。
【0165】
【表3】
【0166】
ブロック複合体指数の計算
ブロック複合体指数(BCI)という用語は、ブロックコポリマーの重量パーセンテージを100%で除したもの(すなわち、重量分率)に等しくなるように本明細書において定義される。BCIの値は0〜最大1.0までの範囲であり得、1.0は100%のブロックコポリマーに等しく、ゼロは従来のブレンドまたはランダムコポリマー等の材料に相当する。別の言い方をすれば、不溶性画分の場合、BCIは1.0であり、可溶性画分の場合、BCIにはゼロの値が割り当てられる。以下は、ブロック複合体指数を推定するための説明である。
【0167】
ブロック複合体指数の推定は、不溶性画分が、ポリマーが単純にiPPホモポリマーとEPコポリマーとのブレンドであった場合には存在しなかったであろうかなりの量のエチレンを含有することを示すことに基づく。この「余分なエチレン」を説明するために、物質収支計算を行って、キシレン不溶性画分及び可溶性画分の量、ならびに画分の各々に存在するエチレンの重量%からブロック複合体指数を推定することができる。
【0168】
式1による各画分からのエチレンの重量%の総和によって、(ポリマー中の)エチレンの全重量%がもたらされる。この物質収支式は、2成分ブレンド中の各成分の量を定量化するために使用することもでき、または3成分もしくはn成分のブレンドに拡張することもできる。
【0169】
【数3】
【0170】
式2〜4を適用して、不溶性画分中に存在する軟質ブロック(余分なエチレンの供給源を提供する)の量を計算する。式2の左辺に不溶性画分のC
2の重量%を代入することにより、式3及び式4を用いてiPP硬質の重量%及びEP軟質の重量%を計算することができる。EP軟質中のエチレンの重量%は、キシレン可溶性画分におけるエチレンの重量%に等しくなるように設定されることに留意されたい。iPPブロック中のエチレンの重量%は、ゼロに設定されるか、またはそのDSC融点もしくは他の組成測定値から別途知られている場合、その値を代わりに挿入することができる。
【0171】
【数4】
【0172】
不溶性画分中に存在する「付加的な」エチレンを説明した後、不溶性画分中にEPコポリマーを存在させるための唯一の方法として、EPポリマー鎖がiPPポリマーブロックに結合されなければならない(さもなければ、それはキシレン可溶性画分中に抽出されたであろう)。したがって、iPPブロックが結晶化すると、EPブロックの可溶化が妨げられる。
【0173】
ブロック複合体指数を推定するには、各ブロックの相対量が考慮されなければならない。これを概算するために、EP軟質とiPP軟質との間の比が使用される。EP軟質ポリマーとiPP硬質ポリマーとの比は、ポリマー中で測定される全エチレンの物質収支から式2を用いて計算することができる。あるいは、重合中のモノマー及びコモノマー消費量の物質収支から推定することもできる。iPP硬質の重量分率及びEP軟質の重量分率は、、式2を用いて計算され、iPP硬質はエチレンを含有しないと仮定するEP軟質のエチレンの重量%は、キシレン可溶性画分中に存在するエチレンの量である。
【0174】
BCについて対応するBCIの計算を以下の表4に示す。
【0175】
【表4】
【0176】
改良されたブロック複合体指数及び結晶性ブロック複合体指数
CBCI及びMBCIは、ジブロック中のCEB/EB対CAOB/AOBの比がブロック複合体全体におけるエチレン対アルファ−オレフィンの比と同じであるという仮定の下に、結晶性及び特定のブロック複合体中のブロックコポリマーの量の推定値を提供する。この仮定は、本明細書に記載される鎖シャトリング触媒を介したジブロックの形成に関する個々の触媒反応速度論及び重合機構の理解に基づいて、統計的なオレフィンブロックコポリマーに有効である。このCBCI及びMBCI分析は、単離されたPPの量が、ポリマーがプロピレンホモポリマー(この例ではCAOP/AOP)とポリエチレン(この例ではCEP/EP)との単純なブレンドであった場合よりも少ないことを示している。結果として、ポリエチレン画分は、ポリマーが単純にポリプロピレンとポリエチレンとのブレンドであった場合には存在しなかったであろうかなりの量のプロピレンを含有する。この「余分なプロピレン」を説明するために、物質収支計算を行って、ポリプロピレン及びポリエチレン画分の量、ならびにHTLCによって分離された画分の各々に存在するプロピレンの重量%からCBCI/MBCIを推定することができる。
【0177】
CBC及びSBCについて対応する計算を以下の表5に示す。
【0178】
【表5】
【0179】
上記の表5を参照すると、CBCI/MBCIは、以下の式1に従って、ポリマー中の各成分からのプロピレンの重量%の総和を最初に決定することにより測定され、それによって(ポリマー全体の)プロピレン/C3の全重量%がもたらされる。この物質収支式を用いて、ブロックコポリマー中に存在するPP及びPEの量を定量化することができる。この物質収支式は、2成分ブレンド中のPP及びPEの量を定量化するために使用することもでき、または3成分もしくはn成分のブレンドに拡張することもできる。CBC及びSBCの場合、PPまたはPEの全体量は、ブロックコポリマーならびに未結合PP及びPEポリマー中に存在するブロック内に含まれる。
【0180】
重量%C3
Overall=w
PP(重量%C3
PP)+w
PE(重量%C3
PE) 式1
式中、
w
pp=ポリマー中のPPの重量分率
w
PE=ポリマー中のPEの重量分率
重量%C3
PP=PP成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセント
重量%C3
PE=PE成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセント
【0181】
プロピレン(C3)の全重量%は、C
13NMR、またはポリマー全体に存在するC3の合計量を表す他の何らかの組成測定から測定されることに留意されたい。PPブロック中のプロピレンの重量%(重量%C3
PP)は、100に設定される(該当する場合)か、または、そのDSC融点、NMR測定、もしくは他の組成推定値から別途知られている場合、その値を代わりに挿入することができる。同様に、PEブロック中のプロピレンの重量%(重量%C3
PE)は、100に設定される(適用可能な場合)か、またはそのDSC融点、NMR測定値、、もしくは他の組成推定値から別途知られている場合、その値を代わりに挿入することができる。
【0182】
結晶性ブロック複合体及び/または特定のブロック複合体中のPEに対するPPの比の計算:式1に基づいて、ポリマー中に存在するPPの全重量分率は、ポリマー中で測定された全C3の物質収支から式2を用いて計算することができる、あるいは、重合中のモノマー及びコモノマー消費量の物質収支から推定することもできる。全体として、これは、未結合成分中に存在するかまたはブロックコポリマー中に存在するかにかかわらず、ポリマー中に存在するPP及びPEの量を表す。従来のブレンドの場合、PPの重量分率及びPEの重量分率は、存在するPP及びPEポリマーの個々の量に対応する。結晶性ブロック複合体及び特定のブロック複合体の場合、PEに対するPPの重量分率の比も、この統計的なブロックコポリマー中に存在するPPとPEとの間の平均ブロック比に対応すると考えられる。
【0183】
【数5】
【0184】
式中、
w
PP=ポリマー全体に存在するPPの重量分率
重量%C3
PP=PP成分またはブロック中のプロピレンの重量%
重量%C3
PE=PE成分またはブロック中のプロピレンの重量%
【0185】
結晶性ブロック複合体及び/または特定のブロック複合体中のブロックコポリマー(ジブロック)の量を推定するために、式3〜5を適用して、HTLC分析によって測定された単離されたPPの量を用いてジブロックコポリマー中に存在するポリプロピレンの量を決定する。HTLC分析において最初に単離または分離された量は、「未結合PP」を表し、その組成は、ジブロックコポリマー中に存在するPPブロックを表す。式3の左辺にポリマー全体のC3の全重量%を代入し、式3の右辺に(HTLCから単離された)PPの重量分率及び(HTLCによって分離された)PEの重量分率を代入することにより、式4及び5を用いてPE画分におけるC3の重量%を計算することができる。PE画分は、未結合PPから分離された画分として説明され、ジブロック及び未結合PEを含有する。単離されたPPの組成は、前述のPPブロック中のプロピレンの重量%と同じであると考えられる。
【0186】
【数6】
【0187】
【数7】
【0188】
式中、
w
PPisolated=HTLCから単離されたPPの重量分率
w
PE−fraction=ジブロック及び未結合PEを含有する、HTLCから分離されたPEの重量分率
重量%C3
PP=PP中のプロピレンの重量%:これは、PPブロック中及び未結合PP中に存在するプロピレンと同量でもある
重量%C3
PE−fraction=HTLCによって分離されたPE画分におけるプロピレンの重量%
重量%C3
Overall=ポリマー全体におけるプロピレンの全重量%
【0189】
HTLCからのポリエチレン画分におけるC3重量%の量は、「未結合のポリエチレン」中に存在する量を上回るブロックコポリマー画分中に存在するプロピレンの量を表す。ポリエチレン画分中に存在する「付加的な」プロピレンを説明するために、この画分中にPPを存在させるための唯一の方法は、PPポリマー鎖をPEポリマー鎖に結合させることである(さもなければ、それはHTLCによって分離されたPP画分とともに単離されたであろう)。したがって、PE画分が分離されるまで、PEブロックはPEブロックに吸着されたままである。
【0190】
ジブロック中に存在するPPの量は、式6を用いて計算される。
【0191】
【数8】
【0192】
式中、
重量%C3
PE−fraction=HTLCによって分離されたPE画分におけるプロピレンの重量%(式4)
重量%C3
PP=PP成分またはブロック中のプロピレンの重量%(前に定義した)
重量%C3
PE=PE成分またはブロック中のプロピレンの重量%(前に定義した)
w
PP−diblock=HTLCによってPE画分とともに分離されたジブロックにおけるPPの重量分率
【0193】
このPE画分中に存在するジブロックの量は、PEブロックに対するPPブロックの比が、ポリマー全体に存在するPEに対するPPの全体比と同じであると仮定することによって推定することができる。例えば、PEに対するPPの全体比がポリマー全体において1:1である場合、ジブロック中のPEに対するPPの比もまた1:1であると考えられる。したがって、PE画分中に存在するジブロックの重量分率は、ジブロックにおけるPPの重量分率(w
PP−diblock)に2を乗じたものである。これを計算するもう1つの方法は、ジブロックにおけるPPの重量分率(w
PP−diblock)をポリマー全体におけるPPの重量分率で除すことによる(式2)。
【0194】
ポリマー全体に存在するジブロックの量をさらに推定するためには、PE画分中のジブロックの推定量に、HTLCから測定されたPE画分の重量画分を乗じる。結晶性ブロック複合体指数または改良されたブロック複合体指数を推定するために、ジブロックコポリマーの量が式7.1または7.2によってそれぞれ決定される。CBCI及びMBCIを推定するために、式6を用いて計算されたPE画分におけるジブロックの重量分率を、(式2で計算した)PPの全重量分率で除し、次いでPE画分の重量分率を乗じる。CBCI及び/またはMBCIの値は、0〜1.0の範囲であり得、1.0は100%ジブロックに等しく、ゼロは従来のブレンドまたはランダムコポリマー等の材料に相当する。
【0195】
【数9】
【0196】
式中、
w
PP−diblock=HTLCによってPE画分とともに分離されたジブロックにおけるPPの重量分率(式6)
w
PP:ポリマー中のPPの重量分率
w
PE−fraction=ジブロック及び未結合PEを含有する、HTLCから分離されたPEの重量分率(式5)
【0197】
改質剤の調製
改質剤は、ブロック複合体、特定のブロック複合体、結晶性ブロック複合体、第1のポリオレフィンコポリマー、及び/または第2のポリオレフィンコポリマーのブレンドである。具体的には、主に使用される材料は以下の通りである。
【0198】
[表]
【0199】
実施例及び比較例の調製
主に使用される材料は以下の通りである。
【0200】
[表]
【0201】
実施例1〜5及び比較例A〜Cは、以下の表6の処方に従って調製される。比較例(特に比較例A)は最新技術の代表例である。これらの例の各々に、0.2重量%のAO(酸化防止剤)が含まれ得る。
【0202】
【表6】
【0203】
具体的には、実施例及び比較例は、KraussMaffei KM110−390射出成形機における乾燥ブレンド及び射出成形によって調製される。デュアルバタフライ型を使用してサンプル(7.4mm×7.4mmの正方形)を作製し、アイゾット衝撃、シャルピー衝撃、及び引張試験に使用する試験片を厚さ1.6mm及び0.75mmのプラークにダイカットする。
【0204】
プラーク試験片厚さ1.60mmでの実施例1〜5及び比較例A〜Cの特性を、以下の表7に示すように評価する。
【0205】
【表7】
【0206】
試験片厚さ0.75mmでの実施例1〜5及び比較例A〜Cの特性を、以下の表8に示すように評価する。これに関して、0.75mmの試験片厚さは、アイゾット衝撃及びシャルピー衝撃のデータには薄すぎることに留意されたい。
【0207】
【表8】
【0208】
少なくとも表7に見られるように、実施例の本発明の配合物は驚くほど透明である。さらに、図に示すように、TEM顕微鏡写真は、ポリオレフィンエラストマーの分散及び分解が、ブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶性ブロック複合体との相溶化ブレンドに最も適していることを示している。実際に、0.2μmで示された顕微鏡写真は、相溶化されたブレンドの最短寸法が200〜300nmの範囲にあるサイズのドメインを示す:これらのブレンドは、特に、屈折率不整合エラストマーを含有するために、目に見えて透明であり、低いヘイズを有する。これと比較して、比較例は、最短寸法が500nmを超えるサイズのはるかに大きなドメインを示す。例えば、従来技術の代表例である比較例A及び比較例Cは、いくつかの実施例と比較して、透明度が低く、より高いヘイズを有するが、これは、屈折率整合または屈折率不整合エラストマーを部分的に含有するブレンドの場合に予想されることである。
【0209】
さらに、少なくとも表7に見られるように、ブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶性ブロック複合体と相溶性である多くの実施例の本発明の配合物は、驚くべきことに高い衝撃強度を示す(低温を含む)。
【0210】
さらなる実施例は、改質剤6〜11、13及び15に関して調製される。具体的には、実施例6〜13及び比較例Dは、以下の表9の配合に従って調製される。これらの例の各々に、0.2重量%のAO(酸化防止剤)が含まれ得る。
【0211】
【表9】
【0212】
具体的には、実施例及び比較例は、KraussMaffei KM110−390射出成形機における乾燥ブレンド及び射出成形によって調製される。デュアルバタフライ型を使用してサンプル(7.4mm×7.4mmの正方形)を作製し、アイゾット衝撃、シャルピー衝撃、及び引張試験に使用する試験片を厚さ1.6mm及び0.75mmのプラークにダイカットする。
【0213】
プラーク試験片厚さ1.60mmでの実施例6〜13及び比較例Dの特性を、以下の表10に示すように評価する。
【0214】
【表10】
【0215】
試験片厚さ0.75mmでの実施例6〜13及び比較例Dの特性を、以下の表11に示すように評価する。これに関して、0.75mmの試験片厚さは、アイゾット衝撃及びシャルピー衝撃のデータには薄すぎることに留意されたい。
【0216】
【表11】
【0217】
少なくとも表10及び11に見られるように、実施例の本発明の配合物は、驚くほど透明であり、驚くべきことに高い衝撃強度を示す(低温を含む)。したがって、ブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶性ブロック複合体と相溶性である本開示の新規配合物は、驚くべきことに、従来技術では見られなかった高透明度の低温で使用する容器を提供する。
本発明は次の実施態様を含む。
[請求項1]
周囲温度よりも低い温度で使用する容器を形成するための組成物であって、前記組成物が、
10重量%〜40重量%の改質剤であって、
(a)前記改質剤の総重量に基づいて、10重量%〜50重量%のブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶性ブロック複合体と、
(b)前記改質剤の総重量に基づいて、20重量%〜90重量%の第1のポリオレフィンコポリマーであって、エチレン及びC3〜C10アルファ−オレフィンのうちの少なくとも1つから誘導され、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に準拠して0.5g/10分〜1500g/10分のメルトインデックス、及び0.850g/cm3〜0.910g/cm3の密度を有する、第1のポリオレフィンコポリマーと、
(c)任意で、前記改質剤の総重量に基づいて、30重量%〜70重量%の第2のポリオレフィンコポリマーであって、エチレン及びC3〜C10アルファ−オレフィンのうちの少なくとも1つから誘導され、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に準拠して100g/10分〜1500g/10分のメルトインデックス、及び0.860g/cm3〜0.900g/cm3の密度を有する、第2のポリオレフィンコポリマーと、を含む、改質剤と、
ASTM D1238(230℃/2.16kg)に準拠して2g/10分〜100g/10分のメルトフローレートを有する60重量%〜90重量%のプロピレンポリマーベースと、を含む、組成物。
[請求項2]
前記プロピレンポリマーベースは、ランダムコポリマーポリプロピレンの総重量に基づいて、0.5重量%〜5.0重量%のエチレン含量を有するランダムコポリマーポリプロピレンを含む、請求項1に記載の組成物。
[請求項3]
前記改質剤は、ブロック複合体を含み、前記ブロック複合体は、ASTM D1238(230℃/2.16kg)に準拠して2g/10分〜100g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の組成物。
[請求項4]
前記改質剤は、特定のブロック複合体を含み、前記特定のブロック複合体は、ASTM D1238(230℃/2.16kg)に準拠して8g/10分〜100g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の組成物。
[請求項5]
前記改質剤は、前記結晶性ブロック複合体を含み、前記結晶性ブロック複合体は、ASTM D1238(230℃/2.16kg)に準拠して2g/10分〜100g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の組成物。
[請求項6]
3.0mm未満のフィルム厚さで、ASTM D1746に準拠して90%以上の透明度を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物から形成されるフィルム。
[請求項7]
3.0mm未満のフィルム厚さで、ASTM D1746に準拠して55%以下のヘイズを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物から形成されるフィルム。
[請求項8]
3.0mm未満のフィルム厚さで、ASTM D1746に準拠して65%以上の透過率を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物から形成されるフィルム。
[請求項9]
3.0mm未満のフィルム厚さで、ASTM D256に準拠して0℃で4kJ/m2以上の平均アイゾット衝撃値を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物から形成されるフィルム。
[請求項10]
3.0mm未満のフィルム厚さで、ASTM D256に準拠して−10℃で3kJ/m2以上の平均アイゾット衝撃値を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物から形成されるフィルム。
[請求項11]
3.0mm未満のフィルム厚さで、ASTM D256に準拠して−20℃で3kJ/m2以上の平均アイゾット衝撃値を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物から形成されるフィルム。
[請求項12]
3.0mm未満のフィルム厚さで、ASTM D256に準拠して−30℃で3kJ/m2以上の平均アイゾット衝撃値を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物から形成されるフィルム。
[請求項13]
前記プロピレンポリマーベース中に500nm未満のサイズのエラストマードメインを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物から形成されたフィルム。
[請求項14]
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物から製造される、物品。