特許第6882334号(P6882334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882334プラグ接触子組立体の係合検査用のプラグ接触子組立体及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882334
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】プラグ接触子組立体の係合検査用のプラグ接触子組立体及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20210524BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H01R13/64
   H01R13/639 Z
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-554769(P2018-554769)
(86)(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公表番号】特表2019-514182(P2019-514182A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】DE2017100228
(87)【国際公開番号】WO2017182020
(87)【国際公開日】20171026
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】102016107169.2
(32)【優先日】2016年4月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505404172
【氏名又は名称】エルニ プロダクション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ラッペーン
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−127982(JP,U)
【文献】 実開平03−016676(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ接触子組立体であって、
第1のハウジング(11)内に配置された複数の第1のプラグ接触子(12,14)であって、その少なくとも一つはそれ以外の長い接触子(12)より短い検査用接触子(14)として形成されている第1のプラグ接触子を有するプラグ接触子帯状体(10)と、
第2のハウジング(21)内に配置された複数の第2のプラグ接触子(22)であって、その少なくとも一つは検査用接触子(14)と電気的に接触するように構成されている第2のプラグ接触子を有するプラグコネクタ(20)と、を備え、
前記第1のハウジング(11)は少なくとも一つの第1の係合要素(31)を有し、前記第2のハウジング(21)は少なくとも一つの第2の係合要素(32)を有し、前記第1の係合要素(31)と前記第2の係合要素(32)とは前記長い接触子(12)が前記第2のプラグ接触子(22)と完全に接触すると互いに係合するように構成されているプラグ接触子組立体において、
前記第1の係合要素(31)と前記第2の係合要素(32)とが係合するとき、前記第1の係合要素(32)は差し込み方向(S)に遊びを許し、前記第2の係合要素(32)は前記差し込み方向(S)及び該差し込み方向(S)の反対方向に動くことができ、
前記第2のハウジング(21)が前記第1の係合要素(31)と係合可能な第3の係合要素(33)を有し、前記該第3の係合要素(33)が前記第1の係合要素(31)と係合することにより、前記検査用接触子(14)と前記第2のプラグ接触子(22)とが完全に接触した状態で、前記第2のハウジング(21)が前記第1のハウジング(11)に固定されるように、前記第3の係合要素(33)は前記差し込み方向(S)の反対方向で前記第2の係合要素(32)から離間して配置され
前記第1のハウジング(11)の互いに向き合う側壁に配置された2つの前記第1の係合要素(31)と、前記第2のハウジング(21)の互いに向き合う側壁に配置された2つの前記第2の係合要素及び前記第3の係合要素(32,33)とが設けられている、ことを特徴とするプラグ接触子組立体。
【請求項2】
少なくとも一つの前記第1の係合要素は係合孔(31)であり、少なくとも一つの前記第2の係合要素(32)と少なくとも一つの前記第3の係合要素(33)は係合孔(31)に適合された係合突出部であることを特徴とする請求項に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項3】
前記第3の係合要素(33)は前記係合孔(31)を定める壁に可能な限り遊びなく係合していることを特徴とする請求項に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項4】
前記プラグ接触子帯状体(10)は正確に1つの検査用接触子(14)を具備していることを特徴とする請求項1に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項5】
前記検査用接触子(14)は前記プラグ接触子帯状体(10)の中央に配置されていることを特徴とする請求項に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項6】
残っているすべての前記長い接触子(12)は同じ長さであることを特徴とする請求項又はに記載のプラグ接触子組立体。
【請求項7】
前記第2のプラグ接触子(22)はすべて同じ長さであることを特徴とする請求項1に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項8】
前記検査用接触子(14)は、少なくとも一つの前記第1の係合要素(31)が少なくとも一つの前記第2の係合要素(32)と係合していないときは、第2のプラグ接触子(22)と電気的に接触しないように短く形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項9】
第1の係合点、第2の係合点及び第3の係合点を有し、少なくとも一つの前記第1の係合要素(31)は3つすべての係合点で少なくとも一つの前記第2の係合要素(32)と係合し、前記第1の係合点では第2のプラグ接触子(22)は検査用接触子(14)と電気的に接触せず、前記第2の係合点では少なくとも一つの第2のプラグ接触子(22)は検査用接触子(14)と電気的に接触し、前記第3の係合点ではすべての第1のプラグ接触子(12,14)と第2のプラグ接触子(22)は互いに接触して、両ハウジング(11,21)が互いに固定されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項10】
前記第1のプラグ接触子(12,14)はブレード接触要素であり、前記第2のプラグ接触子(22)はスプリング接触要素であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のプラグ接触子組立体。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載のプラグ接触子組立体の少なくとも一つの前記第1の係合要素(31)と、少なくとも一つの前記第2の係合要素及び前記第3の係合要素(32,33)との係合を検査する方法であって、
検査用接触子(14)に通電すること、
前記検査用接触子(14)と第2のプラグ接触子(22)との間に電流が流れているか検査すること、及び
電流が流れていることが検出されたときに、係合が生じていることを認識すること、を含む方法。
【請求項12】
請求項1〜10の何れか一項に記載のプラグ接触子組立体の少なくとも一つの前記第1の係合要素(31)と、少なくとも一つの前記第2の係合要素及び前記第3の係合要素(32,33)との係合を検査する方法であって、
検査用接触子(14)と電気的に接触するために構成されている第2のプラグ接触子(22)に通電すること、
前記検査用接触子(14)と第2のプラグ接触子(22)との間に電流が流れているか検査すること、及び
電流が検出されたときに、係合が生じていることを認識すること、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のハウジング内に配置された複数の第1のプラグ接触子を備えるプラグ接触子帯状体と、第2のハウジング内に配置された複数の第2のプラグ接触子を備えるプラグコネクタと、を備えるプラグ接触子組立体に関する。本発明は、プラグ接触子帯状体の少なくとも一つの係合要素とプラグコネクタの少なくとも一つの係合要素との係合を検査するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車においては、プラグコネクタが差し込まれるプラグ接触子帯状体を備えるプラグ接触子組立体による電気的接続が広い範囲で行われている。自動車の運転中、そのようなプラグ接続には著しい負荷、例えば揺動負荷、振動負荷及びこれに類する負荷がかかる。これらの負荷により、プラグコネクタがプラグ接触子帯状体から抜け出して、電気的接触が失われることがある。これを防ぐために、プラグ接触子帯状体とプラグコネクタのハウジングは係合要素を備えている。プラグコネクタを組み立てる際にこれらの係合要素は互いに係合して、プラグ接触子帯状体とプラグコネクタとの間に自動車内で発生する負荷によって外れない接続を生み出す。
【0003】
組み立てエラーによりプラグコネクタがプラグ接触子帯状体に対していわゆる半差し込みの状態になることがある。この場合、プラグ接触子帯状体のプラグ接触子とプラグコネクタのプラグ接触子との間に電気的接触は生み出されるが、係合要素の係合は行われない。自動車内ではプラグ接触子組立体が立体的に密に配置されているのでそのような半差し込みは原則として視覚的に認識できない。プラグ接触子帯状体とプラグコネクタとの間の電流を測定しても半差し込みは検出され得ない。なぜならプラグコネクタとプラグ接触子帯状体との間には電気的接触があり、所望された完全差し込みと区別できないからである。自動車の運転中、最初にプラグコネクタとプラグ接触子帯状体との間の電気的接触の喪失が発生することがあり、次にこれが自動車の車載故障診断装置(OBD)によって認識されるが、これは整備工場でないと除去できない。そこでそのような半差し込みを検査できるようにするために、少なくとも一つのプラグ接触子を、いわゆる検査用接触子としてそれ以外のプラグ接触子より短く形成することが提案された。この検査用接触子は、プラグコネクタとプラグ接触子帯状体との間に完全な差し込み、即ち完全差し込みが行われた場合に、プラグコネクタ内の対応するプラグ接触子とのみ電気的に接触する。この完全差し込みを長期にわたっても保証するために、そのような完全差し込みが行われたら互いに係合している第1の係合要素と第2の係合要素が設けられている。そのようなプラグ接触子組立体は、例えば特許文献1に記載されている。そこでは適切な差し込みは、プラグ接触子帯状体内の検査用接触子又は対応するプラグ接触子から、相手部材、即ちプラグコネクタ若しくはプラグ接触子帯状体の相応に対応する接触子への通電が検出され得るか検査することによって確認される。電流の流れを検出することができて初めて、差し込みが適切であると判断できる。
【0004】
これらのプラグ接触子組立体の長手方向遊びは約0.9mm〜1.00mmである。差し込みの開始時に、即ち最大長手方向遊びを利用し尽くすと、プラグコネクタとプラグ接触子帯状体は第1の係合要素と第2の係合要素によって互いに係合しており、すべてのプラグ接触子は導電接触しているが、検査用接触子は接触していない。長手方向遊びは、検査用接触子を形成するブレード接触要素とスプリング接触要素の公差を補償するために必要である。組み立て中にプラグコネクタはプラグ接触子帯状体に押し込まれる。その際にプラグコネクタがプラグ接触子帯状体の底部まで押し込まれることが必要である。この場合にはすべてのプラグ接触子及び検査用接触子も電気的に正しく接触している。電気的に「正しく接触している」とは、本明細書では両接触要素、例えばブレード接触要素とスプリング接触要素の先端が単に偶然触れることではなく、例えばブレード接触要素がスプリング接触要素内に完全に押し込まれることによる完全な接触と理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0314949(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、組み立て中に例えばプラグコネクタに続いているケーブルが引っ張られるか又はこれに類する理由で、プラグコネクタがプラグ接触子帯状体から長手方向遊びの内部で再び少し抜け出るケースが生じることがある。このケースは、特にプラグコネクタが適切に差し込まれた後でも発生することがある。その際にプラグコネクタがプラグ接触子帯状体から長手方向遊びが完全に利用し尽くされる程度に抜け出ると、プラグコネクタの検査用接触子が対応するプラグ接触子帯状体のプラグ接触子と導電接続されなくなるというケースが生じる。この場合には上述した不具合が警告されるが、これはいわゆる製造中の見せかけのエラーと呼ばれる。「見せかけのエラー」と呼ばれるのは、本当は全くエラーではないからである。というのは検査用接触子を除いてプラグ接触子、即ちこの場合には有効接触子がすべて正しく接触しているからである。しかしながら、組み立て中にこれはエラーとして確認される。それゆえそのようなエラーは格別不都合で不利である。なぜならプラグ接触子組立体を目視しても、係合要素は互いに係合しているので差し込みは適切であると認識されるからである。そのような接触エラーは組み立ての際に格別不都合である。なぜなら組み立て工程中に接触エラーが警告されて、組み立て工程を遅らせるからである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それゆえ、本発明によるプラグ接触子組立体では、第2のハウジングは第1の係合要素と係合可能な第3の係合要素を具備しており、第3の係合要素が第1の係合要素と係合することにより、第1のプラグ接触子と第2のプラグ接触子が完全に接触した状態で第2のハウジング部分が第1のハウジング部分にほぼ遊びなく固定されるように、第3の係合要素は差し込み方向で第2の係合要素から離間して配置されているようにした。
【0008】
この第3の係合要素は第1の係合要素とも同様に係合可能であり、この係合によって、第1のプラグ接触子と第2のプラグ接触子が完全に接触した状態で第2のハウジング部分が第1のハウジング部分内に可能な限り遊びなく固定されることが可能となり、それによって組み立て工程中に検査用接触子が対応するプラグ接触子と確実に接触することが確保され、検査用接触子の非接触を招き得る前述の遊びに基づくエラーメッセージが避けられる。さらに、例えば自動車の運転中に第2のハウジング部分が第1のハウジング部分から抜け出ること、従ってプラグコネクタがプラグ接触子帯状体から抜け出ることが効果的に防がれる。さらにまた、この第3の係合要素により、プラグコネクタが完全にプラグ接触子帯状体内に差し込まれており、その状態に留まることが確保される。このようにすることによってプラグコネクタの「差し直し」は必要なくなる。そのような差し直しは、例えば先行技術により知られているプラグコネクタでは、検査用接触子で電流の遮断が確認されたら常に必要である。この場合、不具合があるか否かをチェックする最初の簡単な方法は、プラグコネクタを再度しっかりプラグ接触子帯状体内に押し入れることであるが、これは組み立て中に組立工によって行われなければならない。特に組み立てるべきプラグコネクタの数が非常に多い場合は、そのような追加の組み立て作業は非常に不利となり得る。本発明による解決によって、第3の係合要素が第1の係合要素に突入係合すると、プラグ接触子の完全な差し込みが生じること、そして第1のハウジングと第2のハウジングが揺動負荷及び他の機械的負荷によってもプラグ接触子の接触不良を招かないように互いに接続されるようにすることが可能となる。
【0009】
第1の実施例において、第1のハウジングの互いに向き合う側壁に配置されたそれぞれ2つの第1の係合要素と、第2のハウジングの互いに向き合う側壁に配置されたそれぞれ2つの第2の係合要素及び第3の係合要素が設けられている。このように互いに向き合う側壁に係合要素を形成することにより、プラグコネクタがプラグ接触子帯状体に平行かつ均等に差し込まれ、ひいてはプラグ接触子の完全な接触が確保される。
【0010】
全く原理的に、係合要素は種々異なる仕方で形成できる。有利な構成に従い、少なくとも一つの第1の係合要素は係合孔であり、少なくとも一つの第2の係合要素と少なくとも一つの第3の係合要素は係合孔に適合された係合突出部であるようにした。係合要素の構成は簡単に作製でき、それと同時に両ハウジング部分の互いの非常に良好な係合を可能にする。
【0011】
その際に、第3の係合要素は係合孔を定める壁に予荷重を発揮して係合しているようにした。この予荷重により、プラグコネクタとプラグ接触子帯状体の両ハウジング部分を機械的負荷、特に揺動負荷に耐えるように互いに固定することが達成される。
【0012】
全く原理的に、特に非常に多くのプラグ接触子を有する非常に長いプラグ接触子帯状体で2個以上の検査用接触子が設けられることがあり得よう。有利な実施形態は、正確に1つの検査用接触子を設けている。1個の検査用接触子だけでも適切な差し込みがチェックされ得る。その場合、それ以外のプラグ接触子は他の目的のために提供されてよい。
【0013】
好ましくは、この検査用接触子がプラグ接触子帯状体の中央に配置されているようにした。このように配置されていることによっても、プラグコネクタがプラグ接触子帯状体に均一に、即ち特に傾くことなく又は斜めではなく平行に差し込まれたか確認される。この場合のみ電流の遮断は生じない。
【0014】
検査用接触子は、既に上述したように、プラグ接触子帯状体内の他のプラグ接触子より長さが短い。これに対してそれ以外のプラグ接触子は実質的に長さが同じである。
【0015】
その際に検査用接触子は、少なくとも一つの第1の係合要素が少なくとも一つの第2の係合要素と係合していないときは、第2のプラグ接触子と電気的に接触しないように短く形成されている。そうすることによってプラグが適切に差し込まれたか確認される。プラグ接触子組立体は有利には3つの係合点、即ち第1の係合点と、第2の係合点と、第3の係合点を具備している。少なくとも一つの第1の係合要素は3つすべての係合点で少なくとも一つの第2の係合要素と係合しており、その際に第1の係合点は、第2のプラグ接触子が検査用接触子と電気的に接触しないように選択されている。第2の係合点では少なくとも一つの第2のプラグ接触子が検査用接触子と電気的に接触し、第3の係合点ではすべての第1のプラグ接触子と第2のプラグ接触子が互いに接触して、両ハウジング部分が互いに固定されている。従って第2の係合点は、通常適切な差し込みを表わす係合点である。第3の係合点は第2の係合点に等しいが、ここではすべてのプラグ接触子が互いに接触していること、及び両ハウジング部分がほぼ遊びなく固定されていることが絶対的に確保されている。
【0016】
本発明によるプラグ接触子組立体をこのように実施することにより、少なくとも一つの係合要素と少なくとも一つの第2の係合要素及び少なくとも一つの第3の係合要素との係合を検査するための2つの方法が可能になる。それによりプラグ接触子帯状体が所望通りにプラグコネクタと係合しているか、それとも係合していない半差しの状態で、さらに揺動負荷又は他の機械的負荷が原因で外れる恐れがあるか区別できる。
【0017】
本発明による方法の実施形態において、少なくとも一つの第1の係合要素と少なくとも一つの第2の係合要素及び第3の係合要素との係合は、検査用接触子に通電することによって検査され、また、検査用接触子と第2のプラグ接触子との間に電流が流れているか検査される。そのような電流の流れが検出されたときに、係合が生じていることが認識される。この場合、検査用接触子に通電するか、又は検査用接触子と電気的に接触するように構成された第2のプラグ接触子に通電できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、差し込まれていない状態における本発明によるプラグ接触子組立体の概念図と、プラグ接触子若しくは検査用接触子の部分拡大図を示す。
図2図2は、図1に図示されたプラグ接触子組立体の差し込まれた状態と、係合要素の部分拡大図を示す。
図3図3は、図1図2に図示されたプラグ接触子組立体の完全に係合した状態と、係合要素の部分拡大図を示す。
図4a図4aは、図2の線A−Aに沿った断面図を示す。
図4b図4bは、図2の線B−Bに沿った断面図と検査用接触子の部分拡大図を示す。
図4c図4cは、図3の線C−Cに沿った断面図と、差し込まれた状態における検査用接触子の部分拡大図を示す。
図4d図4dは、図3の線D−Dに沿った断面図と、差し込まれた状態における検査用接触子の部分拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図2及び図3には、それぞれ種々異なって差し込まれた状態におけるプラグ接触子組立体が図示されている。プラグ接触子組立体は、互いに差し込むことができるプラグ接触子帯状体10とプラグコネクタ20とを備えている。プラグ接触子帯状体10は第1のハウジング11を有し、プラグコネクタ20は第2のハウジング21を有している。第1のハウジング11内には実質的に同じ長さの多数の第1のプラグ接触子12が、それ自体公知のように1列又は複数列に並置されている。図1の部分拡大図から明らかなように、第1のプラグ接触子14は長さΔだけ短く形成されている。この短く形成されたプラグ接触子14は検査用接触子である。すべてのプラグ接触子はそれらの差し込み側と反対に向けられた(図示されていない)基板に向けられていない側に接続ピン15を具備している。第2のハウジング21内には公知のスプリング接触要素が同様に1列又は複数列に並置されており、これらのスプリング接触要素はブレード接触子12,14に適合されている。そのようなスプリング接触子22は図4a〜4dに図示されている。プラグコネクタ20がプラグ接触子帯状体10内に互いに差し込まれた状態で、すべてのブレード接触子12,14はすべてのスプリング接触子22と電気的に接触している。適切な接触が生じているか確認するために、検査用接触子14、又は代替として検査用接触子14と対応するブレード接触子に通電して、検査用接触子14から対応するスプリング接触子22へ、又は反対に対応するスプリング接触子22から検査用接触子14へ電流が流れているか検査される。電流が流れている場合は、適切な差し込みが生じていると判断できる。電流が流れていない場合は、検査用接触子14と、これに対応するスプリング接触子22の形をした第2のプラグ接触子との接触は中断している。この場合には半差し込み又は不適切な差し込みが生じていると判断できる。そのような不適切な差し込み又は半差し込みも、第1の係合点と呼ぶことができる。第2の係合点において、完全な差し込みが達成される。この場合には第2の係合要素32は第1の係合要素31と係合している。第2の係合要素32は図2図3の部分拡大図に見られるように、例えば係合突出部であることができ、対応する係合孔31内に配置されている。その際に第2の係合要素32は、プラグ接触子帯状体10に配置されているウェブ35の、係合孔31を定める壁に係合している。このことは図2の部分拡大図に断面図で図示されている。このとき係合孔31は差し込み方向Sにある遊びを許すようになっている。これは係合孔31が差し込み方向Sに、第2の係合要素32、即ち係合突出部が差し込み方向S及び反対方向に動くことを可能にする長さを有することによって達成される。遊びの長さは0.9mm〜1.0mmである。これは検査用接触子と関連した差し込み作業中の機能手順によるものである。最初に、第1の係合要素と第2の係合要素との係合が行われる。この係合は、すべての有効接触子、即ちすべてのプラグ接触子12が確実に係合しているが、短い検査用接触子14は係合していないようにするために、最終位置(完全に差し込まれた状態)から上記量、即ち0、9mm〜1.0mm手前で行われなければならない。この差し込み位置では検査用接触子14はプラグコネクタ20内の対応するスプリング接触子22、即ちスプリング接触子と決して接触してはならない。次に、組み立て中にプラグコネクタ20は完全にプラグ接触子帯状体10に押し込まれる。プラグコネクタ20がプラグ接触子帯状体10の底部まで、即ちいわば停止するまで完全に押し込まれると、すべてのプラグ接触子12及び検査用接触子14も相応に対応するスプリング接触子22と導電接続している、即ち電気的に接触している。このとき組み立て中にプラグコネクタ及び/又はプラグコネクタに続いているケーブルが引っ張られて、プラグコネクタ20がプラグ接触子帯状体10から少し抜け出るという所望されないケースが発生することがある。そのため最初は適切に差し込まれた後でもこのように脱け出ることがある。プラグコネクタ20をプラグ接触子帯状体10に組み付けている間に、係合要素32は係合孔31内に係合するが、検査用接触子14と相応に対応するスプリング接触子22が互いに導電接続するほどプラグコネクタ20が深く差し込まれていないというケースも発生することがある。この差し込みは組み立て中に異常として確認されて警告される。これは見せかけのエラーであるが、そのように呼ばれるのはプラグ接触子帯状体10とプラグコネクタ20のプラグ接触子12は−検査用接触子14を除き−正しく接触しているからである。しかしながら、組み立て中に検査用接触子14の非接触はエラーとして認識される。この場合に、組立工は相応の圧力を加えてプラグコネクタ20をプラグ接触子帯状体10に再び完全に押し入れなければならない。特に、例えば自動車内に取り付けられる場合のように、そのようなプラグ接触子組立体の数が非常に多い場合は、そのような「差し直し」は時間がかかり、ベルトコンベアにおける自動車の組み立てにとって望ましくない。
【0020】
これを避けるために本発明は、第3の係合要素33をもう1つの係合突出部の形で設けている。完全に差し込まれた状態で、即ちプラグコネクタ20が完全にプラグ接触子帯状体10の底部まで差し込まれて、すべてのプラグ接触子12,14,22が互いに導電接続していると、第3の係合要素33は係合孔31、即ち第1の係合要素に突入係合して開口部31を定めるウェブ35の壁に係合し、その結果として両ハウジング部分11,21は可能な限り遊びなく互いに固定されている。この状態iは図3、特に部分拡大図に図示されている。
【0021】
従って、第3の係合要素33は完全差し込みの状態、即ち第3の係合点で固定することを可能にする。第3の係合点が図2に図示されている第2の係合点と異なるのは、プラグ接触子組立体が完全に差し込まれていることが組み立て中に確保されている点であり、これは差し込まれた検査用接触子14を確認することによって検出される。その際に両ハウジング部分は、揺動負荷又は他の機械的負荷、例えば振動負荷又はこれに類する負荷によってもプラグコネクタ20がプラグ接触子帯状体10から抜け出ることができないように互いに固定されている。
【0022】
適切な差し込みは、検査用接触子14又はこれと対応するプラグコネクタ20内のスプリング接触子22に通電することによって検査できる。その際に、検査用接触子14と対応するプラグ接触子22との間に電流が流れているか検査される。電流が流れていない場合は、適切な差し込みが生じていない。
【0023】
これにより、本発明によるプラグ接触子組立体を、例えば半差し込み又は不適切な差し込みがあるか自動的に検査することが可能になる。そのようなことが認識されたら、半差し込み又は不適切な差し込みは組み立て工程中でも修正できる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d