特許第6882336号(P6882336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヨンチャン ケミカル カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6882336反射防止コーティング液組成物及びこれを用いた反射防止コーティング膜
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882336
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】反射防止コーティング液組成物及びこれを用いた反射防止コーティング膜
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/04 20060101AFI20210524BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20210524BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20210524BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20210524BHJP
   C03C 17/30 20060101ALI20210524BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20210524BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210524BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20210524BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20210524BHJP
【FI】
   C09D183/04
   C09D7/20
   C09D7/61
   C09D7/65
   C03C17/30 A
   B32B7/023
   B32B27/00 101
   G02B1/111
   H01L31/04 560
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-555096(P2018-555096)
(86)(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公表番号】特表2019-508568(P2019-508568A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】KR2017000546
(87)【国際公開番号】WO2017126859
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2018年7月11日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0006083
(32)【優先日】2016年1月18日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516210942
【氏名又は名称】ヨンチャン ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOUNG CHANG CHEMICAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハム キョンクッ
【審査官】 川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−255582(JP,A)
【文献】 特表2013−511740(JP,A)
【文献】 特開平07−140302(JP,A)
【文献】 特開2015−174972(JP,A)
【文献】 特開2012−173428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、
水溶性有機溶媒、
及び水を含むことを特徴とする、反射防止コーティング液組成物であり、
前記反射防止コーティング液組成物は、組成物の総重量に対して、下記化学式1で表される化合物5乃至30重量%、及び水溶性有機溶媒54乃至86重量%、酸触媒0.5乃至1重量%及び非イオン界面活性剤として、オキシプロピレン−オキシエチレンブロックコポリマー1乃至3重量%を含有し、残部が水からなることを特徴とする、反射防止コーティング液組成物。
【化1】

(式中、Xは、15であり、Rは、CHであり、Rは、OCHであり、Rは、CHであり、Rは、 CHである。)
【請求項2】
前記水溶性有機溶媒が、メチルアルコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ペンチルアルコール、イソブチルアルコール、ブチルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ノニルアルコール、ウンデシルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止コーティング液組成物。
【請求項3】
前記酸触媒が、硫酸、塩酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸、酢酸、クロム酸カリウム、亜硝酸、過塩素酸、リン酸、及び酢酸よりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項に記載の反射防止コーティング液組成物。
【請求項4】
前記反射防止コーティング液組成物が太陽電池モジュールガラス用であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止コーティング液組成物。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の反射防止コーティング液組成物が太陽電池モジュールガラスの少なくとも一面にコーティングされた後、硬化して製造された反射防止コーティング膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止コーティング液組成物及びこれを用いた反射防止コーティング膜に関する。
【背景技術】
【0002】
人類のエネルギー使用が幾何級数的に増加するにつれて使用エネルギーの生産に対する要求も同時に増えている。エネルギーを生産する様々な方法の中で現在最も多くの部分を占めているのが原子力発電所であるが、皮肉なことに、核発電設備の使用のリスク及び廃棄物が環境に及ぼす影響への懸念が一番大きいのが現実である。これに比べ、太陽光は、環境汚染や使用のリスクなしで地球にかなりのエネルギーを与えているが、人類はそのエネルギーの大部分を活用していない。
【0003】
最近、従来のエネルギー資源の枯渇が予想されながら、これらを代替する代替エネルギーへの関心が高まっている。その中でも、太陽電池は、半導体素子を利用して太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変化させる次世代電池として脚光を浴びている。
【0004】
太陽電池の最も基本的な構造は、PN接合(PN junction)からなるダイオード形態であって、光吸収層の材料によって結晶質(単結晶、多結晶)基板(Wafer)型太陽電池と薄膜型(非晶質、多結晶)太陽電池に区分することができる。
【0005】
太陽電池は、一般に、シリコン、ガリウム−ヒ素、銅−インジウム−セレン化系(CIS系)化合物、銅−インジウム−ガリウム−セレン化系(CIGS系)化合物、CdTe化合物などの太陽電池素子を上部透明保護材と下部基板保護材で保護し、太陽電池素子と保護材を接着シートで固定することにより製造される太陽電池モジュールを含む。
【0006】
前記太陽電池モジュールにおいて、上部透明保護材は、通常、ガラス、すなわちカバーガラスを使用するが、ガラスは太陽光を反射するので、太陽電池モジュールの発電効率が低下するおそれがある。これにより、太陽電池モジュールに反射防止コーティング液組成物を用いて反射防止膜を適用しようとする試みがあった。このような反射防止膜は、低屈折層を形成することにより、反射率が低く、透過率が高く、しかも耐久性を向上させることができる特性が求められる。
【0007】
一方、一定のパターンが刻まれたガラスを太陽電池モジュールの最外郭に位置させると、パターンのないガラスを使用した場合に比べて、太陽電池モジュールに入る太陽光を増加させることができる。最近では、パターンのあるガラス表面の反対面に反射防止コーティング膜を形成させて、太陽電池モジュールに入る太陽光の量をさらに増加させようとする技術が開発されており、反射防止コーティング膜を使用する場合、反射防止コーティング膜を使用しない場合に比べて約3%程度の透過率の向上を期待することができる。
【0008】
しかし、透過率の高い反射防止コーティング膜は、耐久性が良くないため初期透過率の維持が難しく、これに対し、耐久性が良好な反射防止コーティング膜は、透過率が良くない傾向がある。
【0009】
したがって、屈折率を低くして透過率を向上させるのみならず、耐摩耗性などの耐久性に優れた反射防止コーティング液組成物の開発が求められる。
【0010】
上述のように、太陽電池モジュールの効率向上のために低屈折率、耐摩耗性などの耐久性を向上させるための反射防止コーティング液組成物に関する技術としては、韓国登録特許公報第1021659号の「太陽電池モジュール用ガラスに使用するために光透過率を増大させるコーティング液を製造する方法、及びこれにより製造されたコーティング液組成物」には、brij−56(ポリ(オキシエチレン)非イオン界面活性剤)0.05g、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)を添加して製造された反応性の急激なアルミニウムアルコキシド(Aluminum Alkoxide)に、ゾル−ゲル反応を起こすようにする凝集誘導剤を投入し、ゾル−ゲル反応による凝集を誘導して粒径100nm乃至500nmの粒子を生成する第1段階を含むことにより、太陽電池モジュールガラスに使用するために光透過率を増大させるコーティング液を製造する方法が開示されている。また、韓国登録特許公報第0737131号の「反射防止フィルム用低屈折層コーティング液及びこれを採用した反射防止フィルム」には、従来のフッ素系アクリル系及びメタアクリル系樹脂の架橋能を有する部分にフッ素を置換して、コーティン後の硬化物のフッ素含有量を増加させることができる含フッ素化合物を含むことにより、屈折率が低いだけでなく、可視光線透過率などの優れた物性を有する反射防止フィルムに関する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、屈折率が低くて透過率を向上させるうえ、耐摩耗性を高めて長期にわたって反射防止効果を維持させることができる反射防止コーティング液組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記反射防止コーティング液組成物を用いた反射防止コーティング膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表される化合物;水溶性有機溶媒;及び水を含むことを特徴とする、反射防止コーティング液組成物を提供する。
【化1】
【0014】
式中、Xは、15乃至25の中から選ばれる整数であり、Rは、CH、C、C、C及びC10よりなる群から選択され、Rは、H、CH、C、C、C、C11、OCH、OC、OC、OC及びOC11よりなる群から選択され、Rは、H、CH、C、C、C、C11、OCH、OC、OC、OC及びOC11よりなる群から選択され、Rは、 H、CH、C、C、C及びC11よりなる群から選択される。
【0015】
本発明の好適な一実施様態において、前記反射防止コーティング液組成物は、酸触媒及び非イオン界面活性剤をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の好適な一実施形態において、前記水溶性有機溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、イソプロピルアルコール、ペンチルアルコール、ブチルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ノニルアルコール、ウンデシルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0017】
本発明の好適な一実施形態において、前記酸触媒は、硫酸、塩酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸、酢酸、クロム酸カリウム、亜硝酸、過塩素酸、リン酸、及び酢酸よりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明の好適な一実施形態において、非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、オキシプロピレン−オキシエチレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0019】
本発明の好適な一実施形態において、前記反射防止コーティング液組成物は、組成物の総重量に対して、前記化学式1で表される化合物5乃至30重量%、及び水溶性有機溶媒54乃至86重量%を含有し、残部が水からなることを特徴とする。
【0020】
本発明の好適な一実施形態において、前記反射防止コーティング液組成物は、組成物の総重量に対して、酸触媒0乃至1重量%及び非イオン界面活性剤0乃至4重量%をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の好適な一実施形態において、前記反射防止コーティング液組成物は太陽電池モジュールガラス用であることを特徴とする。
【0022】
本発明は、他の実施形態において、前記反射防止コーティング液組成物を太陽電池モジュールガラスの少なくとも一面にコーティングした後、硬化させてなる反射防止コーティング膜を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る反射防止コーティング液組成物は、屈折率が低くて透過率を向上させるうえ、耐摩耗性を高めて長期間反射防止効果を維持させることにより、従来の反射防止膜に比べて長期にわたって高い効率を実現することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
特に他に定義しない限り、本明細書で使用された全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって通常理解されるのと同じ意味を持つ。一般に、本発明で使用された命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
【0025】
本明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0026】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表される化合物;水溶性有機溶媒;及び水を含むことを特徴とする、反射防止コーティング液組成物を提供する。
【化1】
【0027】
式中、Xは、15乃至25の中から選ばれる整数であり、Rは、CH、C、C、C及びC10よりなる群から選択され、Rは、H、CH、C、C、C、C11、OCH、OC、OC、OC及びOC11よりなる群から選択され、Rは、H、CH、C、C、C、C11、OCH、OC、OC、OC及びOC11よりなる群から選択され、Rは、 H、CH、C、C、C及びC11よりなる群から選択される。
【0028】
前記化学式1で表される化合物は、メチルトリメトキシシランポリマーであって、化学式1で表される化合物を水溶性有機溶媒に分散させると、ゾル状態で形成されて反射防止コーティング膜の屈折率及び耐摩耗性を調節することができる。
【0029】
前記化学式1で表される化合物は、熱によって硬化した後に形成されたコーティング膜内で粒径数十乃至数百ナノメートルのシリカ粒子を形成し、粒子同士の間には空隙が形成される。形成された空隙は、空気に満ちているので、光が透過される場合、屈折率の異なるシリカ層と空気層を経て屈折率が調節される。
【0030】
前記化学式1で表される化合物は、重合度によって耐摩耗性が異なり得る。一定重合以上の化学式1で表される化合物を使用する場合、耐摩耗性を向上させることができるが、空隙の形成が難しくて屈折率を減少させることが難しく、一定重合以下の化学式1で表される化合物を使用する場合、耐摩耗性は不良であるが、空隙の形成が容易であって屈折率を減少させ易い。
【0031】
この際に、前記化学式1で表される化合物において、Xは、15乃至25の中から選ばれる整数であることが好ましい。もし、前記化学式1で表される化合物において、Xが15未満である場合には反射防止コーティング膜の耐摩耗性が不良であるおそれが大きく、Xが25を超える場合には反射防止膜の屈折率が高いため透過率が低下するおそれがあるため好ましくない。
【0032】
前述のように反射防止コーティング膜の耐摩耗性が不良である場合には、耐久性が不良であって反射防止コーティングの効果を長期にわたって維持することができず、反射防止コーティング膜の屈折率が高くなる場合、透過率の上昇が十分でないため、反射防止効果を得ることができない。よって、透過率を向上させるためには、反射防止膜の屈折率が低い状態で耐久性が持続されなければならないことが重要である。
【0033】
本発明の好適な態様によれば、前記反射防止コーティング液組成物は、酸触媒及び非イオン界面活性剤をさらに含むことができる。
【0034】
前記反射防止コーティング液組成物は、組成物の総重量に対して、前記化学式1で表される化合物5乃至30重量%及び水溶性有機溶媒54乃至86重量%を含有し、残部が水からなることができる。
【0035】
前記化学式1で表される化合物は、組成物の総重量に対して、前記化学式1で表される化合物を1乃至50重量%含むことが好ましく、5乃至30重量%含むことがさらに好ましい。もし、前記化学式1で表される化合物を1重量%未満で添加する場合には、適切な反射防止コーティングの厚さを確保することに困難さがあるので好ましくなく、50重量%を超えて添加する場合には、コーティングの厚さが厚くて適切な透過率を得ることが難しく、追加希釈が必要なので好ましくない。
【0036】
前記反射防止コーティングの厚さは、反射防止コーティングの屈折率に応じて調節できるが、本発明の反射防止コーティング膜の場合には、100乃至120ナノメートルの厚さが適切である。もし、反射防止コーティング膜が100ナノメートル未満である場合には、耐摩耗性の不良があるおそれがあり、反射防止コーティング膜が120ナノメートルを超える場合には、光の透過率が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0037】
前記水溶性有機溶媒は、組成物の総重量に対して、54乃至95重量%を含むことが好ましい。もし、前記水溶性有機溶媒を54重量%未満で使用する場合には、全体組成物を基準に固形分が高くなって適切な反射防止コーティング膜の厚さを得ることが難しく、95重量%を超えて使用する場合には、全体組成物を基準に固形分が低くなって適切な反射防止コーティング膜の厚さを得ることができないので好ましくない。
【0038】
前記水溶性有機溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ペンチルアルコール、イソブチルアルコール、ブチルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ノニルアルコール、ウンデシルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートよりなる群から選ばれる1種以上であるおそれがある。
【0039】
前記反射防止コーティング液組成物は、組成物の総重量に対して、酸触媒0乃至1重量%及び非イオン界面活性剤0乃至4重量%をさらに含むことができる。
【0040】
前記酸触媒は、組成物の総重量に対して、0乃至1重量%を含むことが好ましい。もし前記酸触媒を1重量%超過で使用する場合には、前記化学式1で表される化合物間の結合が増加して耐摩耗性を向上させることができるが、屈折率が減少するので好ましくない。
【0041】
前記酸触媒は、硫酸、塩酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸、酢酸、クロム酸カリウム、亜硝酸、過塩素酸、リン酸、及び酢酸よりなる群から選ばれる1種以上であり得る。
【0042】
前記非イオン界面活性剤は、組成物の総重量に対して、0乃至4重量%を含むことが好ましい。もし、前記非イオン界面活性剤を4重量%超過で使用する場合には、コーティング膜の耐摩耗性が不良になるので好ましくない。
【0043】
前記非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、オキシプロピレン−オキシエチレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルよりなる群から選ばれる1種以上であり得る。
【0044】
前記反射防止コーティング液組成物は、太陽電池モジュールガラス用に有用に適用することができる。
【0045】
前述したように、本発明から提供される反射防止コーティング液組成物は、化学式1で表される化合物を含んでなることにより、屈折率が低くて透過率を向上させるだけでなく、耐摩耗性を高めて長期間反射防止効果を維持させることにより、従来の反射防止膜に比べて長期にわたって高い効率を実現することができるという効果がある。
【0046】
本発明の別の一実施形態には、前記反射防止コーティング液組成物が太陽電池モジュールガラスの少なくとも一面にコーティングされた後、硬化して製造された反射防止コーティング膜を提供する。
【0047】
前記反射防止コーティング液組成物から太陽電池モジュールの効率向上のための反射防止コーティング膜を形成して太陽電池モジュールガラス用だけでなく、様々な分野のガラスに有用に適用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎない。本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0049】
実施例1
下記化学式1で表される化合物(X=5、R= CH、R=OCH、R=CH、R= CH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g及び硝酸0.5gに水5gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【化1】
【0050】
実施例2
前記化学式1で表される化合物(X=15、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g及び硝酸0.5gに水5gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0051】
実施例3
前記化学式1で表される化合物(X=25、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g及び硝酸0.5gに水5gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0052】
実施例4
前記化学式1で表される化合物(X=50、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g及び硝酸0.5gに水5gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0053】
実施例5
前記化学式1で表される化合物(X=100、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g及び硝酸0.5gに水5gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0054】
実施例6
前記化学式1で表される化合物(X=15、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g、硝酸0.5g及びオキシプロピレン−オキシエチレンブロックコポリマー1.0gに水4gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0055】
実施例7
前記化学式1で表される化合物(X=15、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g、硝酸0.5g及びオキシプロピレン−オキシエチレンブロックコポリマー2.0gに水3gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0056】
実施例8
前記化学式1で表される化合物(X=15、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g、硝酸0.5g及びオキシプロピレ−オキシエチレンブロックコポリマー3.0gに水2gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0057】
実施例9
前記化学式1で表される化合物(X=15、R=CH、R=OCH、R=CH、RCH)25.0g、イソプロピルアルコール69.5g、硝酸0.5g及びオキシプロピレン−オキシエチレンブロックコポリマー5.0gを混合して反射防止コーティング液組成物を製造した。
【0058】
屈折率及び耐摩耗性の測定
前記実施例1乃至9から製造された反射防止コーティング液組成物に対する屈折率及び耐摩耗性を測定した。
【0059】
反射防止コーティング液組成物を太陽電池ガラスに十分塗布し、730℃の熱で2分30秒間硬化させて反射防止コーティング膜を製造した。
【0060】
屈折率は、Ellipsometer(WOLLAM社製、モデル名M2000D)を用いて確認し、耐摩耗性は、キムテックサイエンスワイパー中型41117を用いて擦った後、肉眼で評価した。
【表1】
【0061】
前記表1から明らかなように、実施例1乃至5のうち、実施例1は、化学式1においてX=5のものであって、屈折率は減少したが、耐摩耗性は不良であって適切ではなく、実施例4及び5は、化学式1においてそれぞれX=50、100のものであって、耐摩耗性は良好であったが、屈折率は高いことを確認した。
【0062】
したがって、実施例2及び3のように化学式1においてX=15乃至25の場合、耐摩耗性に優れるうえ、屈折率を減少させることができることを確認した。
【0063】
また、実施例2のように化学式1においてX=15の場合と比較したとき、実施例6乃至9のように化学式1においてX=15でありながら、非イオン界面活性剤をさらに添加した場合、実施例2に比べ、非イオン界面活性剤を添加した実施例6乃至9の屈折率が著しく減少したことを確認した。しかし、非イオン界面活性剤を過量添加すると、むしろ耐摩耗性が低下する傾向を示したため、非イオン界面活性剤を組成物の総重量に対して4重量%以内に添加する場合、耐摩耗性が維持されながら屈折率が著しく減少することを確認した。
【0064】
本発明の単純な変形または変更はいずれも、当該分野における通常の知識を有する者によって容易に実施でき、それらの変形または変更も全て本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。