(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定通信機器は、前記サーバに接続可能な携帯通信装置から送信されたデータを前記設定データとして前記サーバ経由で受信可能である請求項1〜3のいずれかに記載の農業機械。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態による作業支援システムを説明する。[第1実施形態]
本発明の作業支援システムは、農業機械や建設機械などの作業機と、作業に関する様々なデータを管理するサーバとを通信によって繋げて互いにデータ通信等を行うことにより、作業の支援を行うものである。作業機として農業機械を例にとり説明する。また、作業に関するデータとして、農業に関するデータを一例にとり説明する。
【0017】
図1は、作業支援システムの全体図を示したものである。
図1に示すように、作業支援システム1は、作業支援システム1は、サーバ3と、農業機械2に搭載された固定通信機器4と、農作業者U1が所持する携帯通信機器5とを備えている。
サーバ3は、例えば、農業機械2を製造する製造会社や農業機械2を管理する管理センタ等に設置されたもので、農業機械2の様々な管理を行う。例えば、サーバ3は、複数の農業機械2から送信された稼働データを一括管理したり、農業機械2のメンテナンスの時期やメンテナンス状況を一括管理したり、農業機械2で発生した故障等を一括管理したり、農作業の作業計画や作業日誌(作業報告)等を一括管理する。なお、サーバ3には、携帯通信機器5とは別に、管理コンピュータ(ノード)7が接続可能となっており、この管理コンピュータ7側でもサーバ3を介して様々な管理を行うことができる。また、サーバ3の役割は上述したものに限定されない。
【0018】
固定通信機器4は、農業機械2とサーバ3とを携帯電話通信網によって接続するための通信機器である。具体的には、固定通信機器4は第3世代通信システム、即ち、3G回線によって、農業機械2とサーバ3とを接続する通信機器である。なお、固定通信機器4は携帯電話通信網によってサーバ3と接続するものであればよく、上述した通信システムに限定されない。
【0019】
携帯通信機器5は、固定通信機器4と異なり携帯することができると共に、携帯電話通信網又はインターネット(例えば、無線LAN)を介してサーバ3に接続可能な通信機器である。言い換えれば、携帯通信機器5は、携帯電話通信網又はデータ通信網を介してサーバ3に接続可能な通信機器である。このような作業支援システム1では、固定通信機器4によって農業機械2とサーバ3とは互いに通信を行うことができ、携帯通信機器5によって農業機械2とサーバ3とも互いに通信を行うことができる。
【0020】
以下、農業機械2の1つであるトラクタを例にとり、作業支援システム1について詳しく説明する。なお、農業機械2は、トラクタの他、コンバイン、田植機であってもよい。また、作業機として、建設機械を採用する場合はバックホー等である。
まず、トラクタの構成について説明する。
図8に示すように、トラクタ2は、前後に車輪が取り付けられた走行車両(走行車体)10に、エンジン11、変速装置12等を搭載して構成されている。エンジン11の後方には、独立搭載型のキャビン13が設けられており、キャビン13内には運転席16が設けられている。運転席16の周囲にはトラクタ2の様々な情報を表示する表示装置18が
設けられている。また、走行車両2の後部には、様々なインプルメント等を装着することができるようになっている。詳しくは、走行車両2の後部には、3点リンク機構15が昇降可能に設けられると共に、エンジン11からの動力を伝達するPTO軸が設けられている。3点リンク機構15には、肥料散布装置、耕耘装置、農薬散布装置、播種散布装置、収穫装置などの作業装置14が着脱自在となっている。なお、
図8は、肥料散布装置を3点リンク機構15に取り付けた例を示している。
【0021】
図2に示すように、トラクタ2には、固定通信機器4の他に制御装置6が搭載されている。制御装置6は、トラクタ2の走行系制御や作業系制御等を行うものであって、走行系制御として、エンジンの動作を制御したり、作業系制御として、運転席の周囲に設けられた操作レバーや操作スイッチなどの操作具からの入力を受けると、入力値に従って3点リンク機構15の昇降、PTO軸の出力(回転数)などの動作を制御する。トラクタ2の走行系制御や作業系制御を行うときの制御信号や制御を行うための各種検出信号(例えば、センサが検出した信号)は、トラクタ2の各部に伝達される。なお、制御装置6による走行系制御や作業系制御は、上述したものに限定されない。
【0022】
固定通信機器4は、入出力部20と、記憶部21と、第1通信部23とを備えている。入出力部20には、トラクタ2に設けられたCAN、LIN、FlexRayなどの車両用通信ネットワークNが接続されて、当該車両用通信ネットワークNに流れるデータが入力される。
また、入出力部20には、第1通信部23及び記憶部21が接続されていて、第1通信部23が受信したデータや記憶部21に保存されたデータを入出力部20を介して車両用通信ネットワークNに出力する。記憶部21は、不揮発性メモリ等から構成されていて、例えば、入出力部20に入力された車両用通信ネットワークNのデータや第1通信部23が受信したデータを記憶する。また、記憶部21は、固定通信機器4を識別するための識別情報が記憶されており、これにより、固定通信機器4を特定することができるようになっている。
【0023】
例えば、トラクタ2の後部に作業装置14として耕耘装置が連結されてトラクタ2が動作したときは、ロータリーの回転数、ロータリーの負荷、エンジン回転数、車速、耕深などのデータが車両用通信ネットワークNに出力される。入出力部20には、ロータリーの回転数、ロータリーの負荷、エンジン回転数、車速、耕深などのトラクタ2が稼動したときのデータが入力され、これらのデータは記憶部21に記憶される。
【0024】
また、作業装置14が肥料散布装置、農薬散布装置、播種散布装置である場合は、車速、エンジン回転数、散布量(肥料散布量、農薬散布量、播種散布量)などのデータが車両用通信ネットワークN上に出力される。入出力部20には、車速、エンジン回転数、肥料散布量、農薬散布量、播種散布量などのトラクタ2が稼動したときのデータが入力され、これらのデータは記憶部21に記憶される。或いは、作業装置14が収穫装置である場合は、車速、エンジン回転数、収穫量などのデータが車両用通信ネットワークN上に出力される。入出力部20には、車速、エンジン回転数、収穫量などのトラクタ2が稼動したときのデータが入力され、これらのデータは記憶部21に記憶される。さらに、トラクタ2が稼動した時間である稼動累積時間(アワメータ)やトラクタ2に搭載された機器の状態(例えば、異常の有無)も車両用通信ネットワークN上に出力される。入出力部20には、稼動累積時間、機器の状態などのトラクタ2が稼動したときのデータが入力され、これらのデータは記憶部21に記憶される。なお、トラクタ2が稼動したときのデータ(稼動データ)は上述したものに限定されない。
【0025】
第1通信部23は、トラクタ2の稼動データを農業に関するデータとして携帯電話通信網を介してサーバ3に送信する。具体的には、トラクタ2が稼働すると、第1通信部23
は、稼動データを記憶部21を介して取得して当該稼動データをサーバ3に送信する。なお、この実施形態では、稼動データを一旦、記憶部21に記憶して当該記憶部21内の稼動データを第1通信部23を介してサーバ3に送信していたが、これに代え、第1通信部23は、入出力部20に入力された稼動データを記憶部21を介さずに直接取得してサーバ3に送信してもよい。
【0026】
固定通信機器4によれば、トラクタ2の様々な稼動データをサーバ3に送信することができ、サーバ3側では稼動データを整理することにより、作業日誌の作成の支援、メンテナンスの管理、異常発生の有無などを把握することができる。なお、
図1及び
図2に示すように、携帯通信機器5とは別に、様々な場所に設置したコンピュータ(管理コンピュータ)7は、サーバ3にアクセスすることができ、例えば、管理コンピュータ7を用いて作業日誌の作成、メンテナンスの管理、異常発生の有無などをサーバ3を介して行うことができる。
【0027】
図2に示すように、サーバ3は、第2通信部25を備えている。この第2通信部25は、携帯電話通信網を介して農業に関するデータを固定通信機器4に送信する。第2通信部25は、例えば、固定通信機器4を起動する信号(起動信号)、トラクタ2を設定する設定データ等を農業に関するデータとして固定通信機器4に送信する。設定データとは、作業装置14を稼動させるときの設定値などである。例えば、作業装置14が肥料散布装置、農薬散布装置、播種散布装置である場合は、単位時間当たりの散布量又は単位面積当たりの散布量が設定データとなる。設定データは、上述したものに限定されない。また、サーバ3には、固定通信機器4や農業機械2を識別するための情報(例えば、作業者名、メールアドレス、製造番号、機械情報、固定通信機器の識別情報)が予め登録されており、これらの情報を用いて固定通信機器4を特定することが可能となっている。
【0028】
固定通信機器4は、起動信号を受信すると起動してサーバ3との通信を開始する。また、固定通信機器4は、作業装置14の設定データ(設定値)を受信すると、これら設定値を車両用通信ネットワークN上に出力して、当該作業装置14は設定値に基づいて稼動する。
携帯通信機器5は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等の携帯端末である。
図1に示すように、携帯通信機器5は、農作業時に農作業者U1が所持することとされていて、当該携帯通信機器5は各農作業者U1に割り当てられている。以降、説明の便宜上、農作業者のことを「作業者」といい説明を進めることがある。
【0029】
携帯通信機器5は、第3通信部26と、記憶部27と、制御部28と、表示部29とを備えている。第3通信部26は、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、或いは、第3世代通信システムなどによりサーバ3と通信を行う。制御部28は、CPU等で構成されていて、第3通信部26、記憶部27及び表示部29の制御を行う。表示部29は、タッチパネル等で構成されている。
【0030】
制御部28は、トラクタ2に対する設定データを作成する設定作成部28aを備えている。この設定作成部28aは、制御部28に格納されたプログラム等で構成されている。
農作業者等が表示部29を操作することによって設定データを作成するアプリケーションソフトウェアを起動すると、設定作成部28aは、
図3に示すように、設定データを作成する設定画面Q1を表示する。この設定作成部28aは、設定対象となる機械情報(例えば、トラクタ、インプルメント)を入力するための機械入力部30を設定画面Q1に表示する。機械入力部30には、機械情報として、例えば、農業機械の機種や型式、インプルメント(作業装置)の種類や型式などを入力することができる。設定作成部28aは、
設定データを送信する送信先を入力する送信先入力部31を設定画面Q1に表示する。送信先入力部31には、送信先を示す送信用識別情報(例えば、作業者名、メールアドレス、製造番号、機械情報)を入力することができる。
【0031】
設定作成部28aは、設定値を入力するための設定入力部32を設定画面Q1に表示する。設定入力部32には、機械入力部30に入力された機械情報に基づく設定値を入力することができる。例えば、機械入力部30に、肥料散布装置に対応する機械情報が入力された場合は、設定入力部32には肥料散布量が設定値として入力でき、機械入力部30に、農薬散布装置に対応する機械情報が入力された場合は、設定入力部32には農薬散布量が設定値として入力できる。また、例えば、機械入力部30に、コンバインに対応する機械情報が入力された場合には、予め用意された刈り方が設定値として入力できる。設定入力部32の設定値は、上述したものに限定されない。
【0032】
設定画面Q1において、設定データ(機械情報、送信用識別情報、設定値)が入力され、当該設定画面Q1に表示された「登録」が選択されると、設定作成部28aは、設定画面Q1に入力された設定データ(機械情報、送信用識別情報、設定値)を記憶部27に記憶する。
設定画面Q1において設定データの作成後は、第3通信部26による設定データの送信が可能となる。設定作成部28aによる設定データの作成が完了すると、表示部29に表示された「送信ボタン」の入力を制御部28は受け付け、送信ボタンが押されると、第3通信部26による設定値の送信処理に進む。送信処理では、第3通信部26は、記憶部27に記憶に記憶された機械情報、送信用識別情報、設定値を読み出し、これらの設定データ(機械情報、送信用識別情報、設定値)を、無線通信又は携帯電話通信にてサーバ3に送信する。
【0033】
なお、設定画面Q1において、機械情報、送信用識別情報、設定値を記憶部27に記憶しなくてもよい。この場合、設定画面Q1に「送信ボタン」を表示し、この送信ボタンが押されたときに、第3通信部26は設定画面Q1に入力された機械情報、送信用識別情報及び設定値をサーバ3に送信してもよい。
サーバ3は、設定データの受信後、送信用識別情報(送信先)から固定通信機器4を割り出して、当該サーバ3の第2通信部25は、設定データを携帯電話通信網を介して固定通信機器4に送信する。
【0034】
第1実施形態における設定データを流れをまとめると、設定作成部28aによる設定データの作成終了後、携帯通信機器5の第3通信部26はサーバ3に設定データを送信する(S1)。サーバ3が携帯通信機器5からの設定データを受信後、第2通信部25は設定データを携帯電話通信網を介して固定通信機器4に送信する(S2)。固定通信機器4は、設定データをトラクタ2の車両用通信ネットワークNに出力する(S3)。トラクタ2及びトラクタ2に装着された作業装置14は、設定データに基づき設定を行う。
【0035】
さて、従来のシステムは、農業機械から携帯電話通信網を介してサーバにデータを送信するというシステムであった。即ち、農業機械のデータを携帯電話通信網を介してサーバに向けてアップロードするシステムであった。そのため、例えば、サーバから農業機械に対して当該農業機械を設定するための設定データなどを任意に送信したり、農業機械側からサーバに向けて必要なデータの要求を任意に行うことが困難であった。
【0036】
一方、本発明の作業支援システムは、第1通信部23を備えた固定通信機器4と、第2通信部25を備えたサーバ3と、第3通信部26を備えた携帯通信機器5とを備えている。そのため、第1通信部23から携帯電話通信網を介して農業に関するデータ(農業機械2に関する様々なデータ)をサーバ3に送信することができると共に、第2通信部25か
ら携帯電話通信網を介して農業機械2に農業に関するデータを送信することができる。加えて、第3通信部26からインターネット又は携帯電話通信網を介して農業に関するデータを送信することができる。つまり、農業機械2とサーバ3とのデータの送受信を任意に実行することができるのに加えて、携帯通信機器5のデータをサーバ3を介して農業機械2にも送信することができ、農業機械2に関する様々な設定を携帯通信機器5を用いて行うことが可能となる。
【0037】
言い換えれば、第1通信部23、第2通信部25及び第3通信部26によって、農業機械2と、サーバ3と、携帯通信機器5との連携が可能となる。そのため、例えば、農業機械2から農業機械が稼働したときのデータ(稼働データ)を農業に関するデータとしてサーバ3に送信することができ、農業機械2によって農作業したときの稼働データをサーバ3に保存したり、サーバ3側で稼働データを整理することにより、農業機械の稼働時間がどうであったか、走行距離はどうであったか、或いは、施肥量や散布量はどうであったか等、農作業を様々な角度から分析することができる。
【0038】
また、農業機械2を設定する設定データを農業に関するデータとしてサーバ3に送信後、その設定データをサーバ3から農業機械2に送信することにより携帯通信機器5を用いて農業機械2の設定を行うことができる。例えば、様々な現場にて農作業を行っているときやメンテナンスを行っている時に農業機械2に対して設定等を行いたい場合、上述した従来のシステムでは農業機械側では何も行うことができなかったが、本発明では、上述したように、農作業者が携帯通信機器5を操作して設定データをサーバ3に送信するだけで、農業機械2の設定を現場で行うことができる。
[第2実施形態]
第2実施形態では、設定データをサーバ3側から農業機械2(固定通信機器4)に送信するようにしたものである。なお、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0039】
図4は、第2実施形態における作業支援システムのブロック図である。
図4に示すように、作業支援システムは、サーバ3と、固定通信機器4と、携帯通信機器5とを備えている。
サーバ3の第2通信部25は、農業機械2(固定通信機器4)に設定データを送信することが必要となったとき、まず、設定データを固定通信機器4に送信する前に、携帯通信機器5に設定データの確認通知を送信する。説明の便宜上、サーバ3が農業機械2(固定通信機器4)に送信する前の設定データのことを、送信予定データという。
【0040】
確認通知とは、送信予定データの内容を携帯通信機器5側で確認するための通知である。携帯通信機器5の第3通信部26がサーバ3からの確認通知を受信すると、例えば、
図5(a)に示すように、表示部29に確認通知を示す確認通知画面Q2が表示される。確認通知画面Q2には、例えば、送信予定データの内容として、機械情報、送信先情報(送信用識別情報)、設定情報(設定値)が表示される。また、確認通知画面Q2には、確認通知を確認したことをサーバ3に伝えるための確認ボタン35(例えば、「OK」)が表示される。この確認ボタン35が選択されると、携帯通信機器5の第3通信部26は、設定データを農業機械2(固定通信機器4)に送信することを了承(許可)した信号(許可信号)をサーバ3に送信する。サーバ3は、携帯通信機器5から送信された許可信号を受信すると、設定データを農業機械2(固定通信機器4)に送信する。
【0041】
なお、上述した実施形態では、確認通知として、送信予定データの内容を携帯通信機器5に送信していたが、送信予定データの内容の他に、送信予定データの送信予定時刻等を表示してもよく、確認通知は上述したものに限定されない。
また、
図5(a)に示すように、確認通知画面Q2に、送信予定データの内容を変更す
るための変更ボタン36(例えば、「変更」)を表示してもよい。この場合、確認通知画面Q2の変更ボタン36が選択されると、携帯通信機器5は、
図5(b)に示すように、表示部29に設定データを変更するための設定変更画面Q3を表示する。
【0042】
この設定変更画面Q3は、設定データを変更する点を除き、実質的に第1実施形態で示した設定画面Q1と同様であり、設定変更画面Q3の表示や設定の処理は設定作成部28aにより実行される。設定作成部28aは、機械情報を入力するための機械入力部30を設定変更画面Q3に表示する。設定作成部28aは、設定データを送信する送信先(送信用識別情報)を入力する送信先入力部31を設定変更画面Q3に表示する。設定作成部28aは、設定値を入力するための設定入力部32を設定変更画面Q3に表示する。
【0043】
設定変更画面Q3において、変更後の設定データが入力され、当該設定変更画面Q3に表示された「登録」が選択されると、第3通信部26は、変更後の設定データと、設定データの送信を許可しなかったことを示す信号(不許可信号)をサーバ3に送信する。サーバ3は、携帯通信機器5から送信された変更後の設定データ及び不許可信号を受信すると、携帯通信機器5で変更された設定データを農業機械2(固定通信機器4)に送信する。なお、設定変更画面Q3において、送信予定データの送信予定時刻を変更できるようにしてもよい。
【0044】
第2実施形態における設定データを流れをまとめると、
図4に示すように、サーバ3から設定データを農業機械2に送信する際、当該設定データを送信する前に携帯通信機器5に送信予定データを送信する(S10)。携帯通信機器5は、送信予定データを確認通知画面Q2に表示し、第3通信部26は、送信予定データの変更がなければ許可信号をサーバ3に送信し、送信予定データの変更があれば携帯通信機器5で変更した設定データ及び不許可信号をサーバ3に送信する(S11)。サーバ3の第2通信部25は、許可信号を受信すると送信予定データと同じ設定データを固定通信機器4に送信し、不許可信号を受信すると不許可信号と共に送信された変更後の設定データを固定通信機器4に送信する(S12)。固定通信機器4は、設定データを農業機械2の車両用通信ネットワークNに出力する(S13)。農業機械2等は、設定データに基づき設定を行う。
【0045】
第2実施形態によれば、例えば、様々な現場にて農作業を行っているときやメンテナンスを行っている時に農業機械2に対して設定等を行いたい場合、サーバ3から一旦携帯通信機器5に設定データ(送信予定データ)を送信して、その送信予定データを携帯通信機器5で確認してから、最終的に、送信予定データをサーバ3から農業機械2に送信するか否かを決定することができる。即ち、農業機械2の状態などを確認してから、設定データを送信することができる。
【0046】
ここで、サーバ3から農業機械2に向けて送信する設定データを変更したい場合、携帯通信機器5側で設定データの変更を行うことができ、現場にて様々な状況に応じた対策を実行することができる。例えば、設定データがメンテナンスのための設定データである場合、作業者が現場で農業機械2の状態を確認してから設定データの変更をすることができる。或いは、設定データが農業機械2の農作業に関する設定データである場合、作業者が現場での農作業状況を確認してから設定データの変更をすることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態では、農作業の農作業内容をサーバ3で作成できるようにし、この農作業内容に基づいてトラクタの設定を行えるようにしている。第1実施形態や第2実施形態と異なる構成について説明する。
【0047】
図6に示すように、サーバ3は、農作業内容を作成する作業内容作成部33と、農作業内容を記憶する農作業内容記憶部(農作業内容データベース)34とを備えている。作業
内容作成部33は、サーバ3に格納されたプログラム等から構成されている。農作業内容記憶部34は、データを所定の規則に応じて記憶(記録)した農作業内容データベース34の他に、データを単に記憶したものであってもよい。
【0048】
作業内容作成部33は、主に、どの圃場で、どの農作業を何時、誰が行うかという作業の内容を作成するもので、この実施形態では、少なくとも、圃場で行う農作業、農作業を行う圃場、農作業を行う農作業者を含む農作業内容を作成する。この作業内容作成部33は、農作業内容を作成するための作業作成画面Q4(例えば、
図7に示した作業作成画面Q4)を、サーバ3にアクセスした携帯通信機器5や管理コンピュータ7に表示し、これにより、作業作成画面Q4上で農作業者が作業する内容を作成できるようにしたものである。なお、管理コンピュータ7とは、農作業者が持ち運びをする携帯通信機器5とは異なっていて、農家や農業を管理する管理センター等に設置された固定型のコンピュータであり、主に、農作業者を管理する管理者U2が操作する端末である。
【0049】
詳しくは、作業内容作成部33は、
図7に示すような作業作成画面Q4を、例えば、管理コンピュータ7に表示する。
図7を用いて、農作業内容の作成、作業作成画面Q4及び作業内容作成部33について説明する。
作業内容作成部33は、農作業を行う日付を設定するための日付設定部40を作業作成画面Q4に表示する。この日付設定部40には、管理コンピュータ7によってサーバ3に入力された日付が表示され、入力された日付が農作業の実施日となる。
【0050】
作業内容作成部33は、圃場を選択するための圃場選択部41を作業作成画面Q4に表示する。この圃場選択部41には、サーバ3が取得した圃場マップ上の圃場が示されており、圃場マップ上の圃場が任意に選択可能である。例えば、圃場選択部41に示された複数の圃場のうち、「圃場A」を示す部分が選択されると、選択された「圃場A」が農作業を行う圃場となる。
【0051】
作業内容作成部33は、農作業を選択するための作業選択部42を作業作成画面Q4に表示する。この作業選択部42には、作物を栽培するのに必要な複数の農作業が示され、複数の農作業の中から所定の農作業が選択可能である。例えば、作業選択部42に示された複数の農作業(作業項目)のうち、「耕耘」が選択されると、選択された「耕耘」が実施する農作業となる。
【0052】
作業内容作成部33は、農作業者を選択するための作業者選択部43を作業作成画面Q4に表示する。この作業者選択部43には、予めサーバ3に登録された作業者が示されている。例えば、作業者選択部43に示された複数の作業者のうち、「作業者B、作業者C」が選択されると、選択された「作業者B、作業者C」が実施する作業者(実施作業者)となる。
【0053】
作業内容作成部33は、作業時間を設定するための時間設定部44を作業作成画面Q4に表示する。この時間設定部44には、管理コンピュータ7によってサーバ3に入力された時間(例えば、時刻)が表示され、入力された時間が作業を実施する時間となる。
また、作業内容作成部33は、農業機械2を選択するための機械選択部45と、肥料(肥料名)を選択する肥料選択部46、散布する肥料量を設定する散布量設定部47とを作業作成画面Q4に表示する。
【0054】
機械選択部45には、農作業において使用する使用機械を設定する部分である。この機械選択部45では、例えば、予めサーバ3に登録された農業機械2の種類や型式、農業機械2に連結可能なインプルメント(作業装置14)の種類や型式等が表示され、表示された機械等が選択可能となっている。
図7では、機械選択部45において、型式が「NW4
511」であるインプルメントが使用機械として設定されていることを示している。
【0055】
肥料選択部46には、予めサーバ3に登録された複数の肥料名が表示され、選択された肥料名が農作業で使用するものとなる。散布量設定部47には、管理コンピュータ7によってサーバ3に入力された数値が表示され、入力された数値が散布量となる。
作業作成画面Q4において、圃場、農作業(作業項目)、作業者(農作業者)、作業時刻、肥料、散布量が入力され、「登録」が選択されると、作業内容作成部33は、作業作成画面Q4に入力された項目(圃場、農作業、作業者、作業時刻、肥料、散布量)を農作業内容とし、この農作業内容を作付け計画と関連付けて農作業内容データベース34に記憶する。なお、作業内容作成部33によって作成する農作業内容は、上述したものに限定されず、例えば、圃場で使用する農薬や農薬の散布量を設定できるようにしてもよいし、その他の農作業を設定できるようにしてもよい。
【0056】
さて、サーバ3の第2通信部25は、農作業者に割り当てられた携帯通信機器5に農作業内容を送信する。第2通信部25は、農作業内容の日付設定部40で示された日付になると、作業指示の対象となる農作業者(対象農作業者という)の携帯通信機器5に農作業内容を送信する。即ち、第2通信部25は、農作業内容において実施作業者として設定された農作業者を対象農作業者とし、当該対象農作業者に対して農作業内容を送信する。
【0057】
図4に示すように、携帯通信機器5は、抽出部48を備えている。抽出部48は、携帯通信機器5に格納されたプログラム等から構成されている。この抽出部48は、農作業内容に示された農作業が農業機械2で行う作業である場合に、当該農業機械2の設定値(設定データ)を農作業内容から抽出する。
携帯通信機器5が受信した農作業内容には、農業機械の設定に用いられる設定データが含まれている。例えば、農作業内容のうち、使用機械(農業機械の種類や型式、インプルメントの種類や型式等)及び散布量は、農業機械の設定に用いられる設定データとされる。機械選択部45に、例えば、インプルメントの型式を示す「NW4511」が使用機械として農作業内容に設定されている場合は、抽出部48は、農作業が農業機械で行われると判断する。そして、抽出部48は、農作業が農業機械で行われると判断した場合、設定データを農作業内容から抽出してサーバ3に送信する。例えば、抽出部48は、農作業内容において、使用機械(農業機械の種類や型式、インプルメントの種類や型式等)を機械情報として抽出し、散布量(1a当たり20kg)を設定値として抽出する。携帯通信機
器5の第3通信部26は、抽出した散布量及び機械情報を設定データとしてサーバ3に送信する。また、第3通信部26は、農業機械自体や固定通信機器4を割り出すための送信用識別情報(例えば、作業者名、メールアドレス、製造番号など)もサーバ3に送信する。なお、農作業内容に示された機械情報を送信用識別情報として用いてもよい。
【0058】
サーバ3は、送信用識別情報(送信先)から固定通信機器4を割り出して、当該サーバ3の第2通信部25は、設定データを携帯電話通信網を介して固定通信機器4に送信する。なお、固定通信機器4の識別情報の抽出方法は、上述したものに限定されない。
第3実施形態における設定データを流れをまとめると、作業内容作成部33によって農作業内容の作成終了後、第2通信部25は対象農作業者の携帯通信機器5に農作業内容を送信する(S20)。携帯通信機器5が農作業内容を受信後、当該携帯通信機器5の表示部29に農作業内容が表示可能となる。一方、携帯通信機器5の抽出部48は農作業内容から設定データを抽出し、第3通信部26は抽出した設定データをサーバ3に送信する(S21)。サーバ3が携帯通信機器5からの設定データを受信後、第2通信部25は設定データを携帯電話通信網を介して固定通信機器4に送信する(S22)。固定通信機器4は、設定データをトラクタ2の車両用通信ネットワークNに出力する(S23)。トラクタ2及びトラクタ2に装着された作業装置14は、設定データに基づき設定を行う。
【0059】
以上、サーバ3は、農作業内容を作成する作業内容作成部33を備え、第2通信部25は、農作業内容を携帯通信機器5に送信するため、農作業者は携帯通信機器5に表示された農作業内容を見るだけで指示された農作業を簡単に把握することができる。そして、農作業者は、農作業内容を見た後に農業機械2に対して必要な設定を行うことができる。例えば、圃場などで農業機械2を用いて農作業を行うにあたって、圃場周辺で携帯通信機器5に表示された農作業内容を見ながら当該携帯通信機器5を操作するだけで農業機械2の設定を行うことができる。
【0060】
また、携帯通信機器5は抽出部48を備えているため、農業機械2を設定する設定データを農作業内容から簡単に抽出することが可能である。この場合は、第3通信部26は抽出部48で抽出した設定データを農業に関するデータとしてサーバ3に送信し、サーバ3が設定データを農業機械2(固定通信機器4)に送信するため、簡単に農業機械2の設定を行うことができる。
【0061】
農作業者が農業機械2(例えば、施肥装置)の設定(例えば、施肥量の設定)が分からない場合、農作業自体を行うことが難しいが、本発明では、農作業内容に基づいて自動的に農業機械2の設定を行うことができるため、農作業を実施することができる。また、農業機械2の設定が行える農作業者であっても、農業機械2の設定を間違って行うことがあるが、このような誤設定の防止をすることもできる。
【0062】
また、サーバ3から携帯通信機器5に送信された農作業内容は管理者U2が作成したものであるが、農作業内容を携帯通信機器5を所持する作業者側で変更できるようにしてもよい。具体的には、作業作成画面Q4と同様の画面を携帯通信機器5に表示して、携帯通信機器5の操作によって農作業内容を変更する。農作業内容を変更した場合は、変更後の農作業内容を携帯通信機器5からサーバ3に送信することによって、農作業内容の変更や農作業内容に示された設定値(設定データ)の変更を行うことができる。
【0063】
なお、上述した実施形態では、農作業内容をサーバ3の第2通信部25から携帯通信機器5に送信していたが、第2通信部25は、農作業内容を農業に関するデータとして固定通信機器4に送信してもよい。この場合、固定通信装置4が農作業内容を車両用通信ネットワークNを介して表示装置18に送信することにより表示装置18に農作業内容を表示することができる。また、携帯通信機器5と同じように、固定通信機器4、制御装置6、表示装置18のいずれかに農業機械2を設定する設定データを農作業内容から抽出する抽出部48を設けると共に、抽出部48を備えられた固定通信機器4、制御装置6、表示装置18が抽出した設定データを車両用ネットワークに出力することにより農業機械2の設定を行うことができる。
【0064】
また、固定通信機器4及び携帯通信機器5に、両者をケーブルで接続するための接続部、即ち、接続端子を設けて、固定通信機器4と携帯通信機器5とをケーブルを介して接続することにより、データの送受信を行ってもよい。このようにすれば、例えば、携帯通信機器5で作成した設定データをケーブル、即ち、有線にて農業機械2に送信することが可能である。
【0065】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。なお、固定通信機器4は、測位衛星(例えば、GPS衛星)24から送信された信号(GPS衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて自分の位置(例えば、緯度、経度)を検出する位置検出部を有していてもよい。位置検出部を設けた場合は、農業機械の位置を検出することができる。この農業機械の位置は、稼働
データとしてサーバ3に送信することが望ましい。このようにすれば、サーバ3側で農作業時の農業機械の位置を把握することができる。