(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空洞部と前記空気流発生部との間に、空気流の方向に対して直交する方向にわたって延在し、該空洞部を区分する何らの部材も介在していない請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明は、繊維形成性ポリマーを含む液状組成物を対象物の表面に直接施して、繊維を含む堆積物からなる被膜を該表面に形成するための装置に関する。被膜の形成方法として、本発明では静電スプレー法を採用している。静電スプレー法は、液状組成物に正又は負の高電圧を印加して該組成物を帯電させ、帯電した該組成物を対象物に向けて噴出させる方法である。噴出した液状組成物はクーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、その過程で、又は対象物に付着した後に、揮発性物質である溶媒が乾燥することで、対象物の表面に、繊維を含む堆積物からなる被膜を形成する。したがって、本発明の装置で行われる、液状組成物の噴出による静電スプレー法は、電界紡糸法でもある。
【0011】
静電スプレー法による被膜形成の対象物に特に制限はない。例えばヒトの肌、あるいは、壁、食器、枝や葉等の植物表面等の凹凸のある対象物の表面に密着させて被膜を形成することができる。ここで前記凹凸は、目視で確認できる凹凸から、皮膚の皮溝のように視認しにくいものまで含む。なお、被膜が多孔性でヒトの角層に近い適度な水分蒸散性を有する観点からヒトの肌を対象物とすることが好ましく、ボディを対象物とすることが好ましい。
【0012】
図1には、本発明に係る被膜の製造装置の一実施形態が示されている。同図に示す装置1は筐体10を備えた電界紡糸装置としての静電スプレー部P1から構成されている。筐体10内には低電圧電源11が備えられている。低電圧電源11は、数Vから十数Vの電圧を発生させ得るものである。装置1の可搬性を高める目的で、低電圧電源11は1個又は2個以上の電池からなることが好ましい。また、低電圧電源11として電池を用いることで、必要に応じ取り替えを容易に行えるという利点もある。電池に代えて、ACアダプタ等を低電圧電源11として用いることもできる。
【0013】
装置1の筐体10内には高電圧電源12も備えられている。高電圧電源12は、低電圧電源11と電気的に接続されており、低電圧電源11で発生した電圧を高電圧に昇圧する電気回路(図示せず)を備えている。昇圧電気回路は一般にトランス、キャパシタ及び半導体素子等から構成されている。
【0014】
装置1の筐体10内には、補助的電気回路13も更に備えられている。補助的電気回路13は、上述した低電圧電源11と高電圧電源12との間に介在し、低電圧電源11の電圧を調整して高電圧電源12を安定的に動作させる機能を有する。更に補助的電気回路13は、後述するマイクロギヤポンプ14に備えられているモータの回転数を制御する機能を有する。モータの回転数を制御することで、後述する液状組成物の収容部15からマイクロギヤポンプ14への液状組成物の供給量が制御される。補助的電気回路13と低電圧電源11との間にはスイッチSWが取り付けられており、スイッチSWの入り切りによって、装置1を運転/停止できるようになっている。
【0015】
装置1の筐体10内には、ノズル16も更に備えられている。ノズル16は、プラスチック、ゴム、セラミックなどの非導電体からなり、その先端から液状組成物の吐出が可能な形状をしている。ノズル16内には液状組成物が流通する微小空間が、該ノズル16の長手方向に沿って形成されている。この微小空間の横断面の大きさは、直径で表して100μm以上1000μm以下であることが好ましい。ノズル16は、管路17を介してマイクロギヤポンプ14と連通している。管路17は一般に非導電体の材料から構成されている。管路17は、マイクロギヤポンプ14を介して、液状組成物の収容部15とノズル16とを連通させている。
【0016】
ノズル16に設けられている液状組成物の流通空間内には電極20が設置されている。電極20は、ノズル16内を通過する液状組成物に電圧を印加して、該液状組成物を帯電させるためのものである。電極20は、液状組成物の流通方向に沿って延びる線状体からなる。電極20は、ワイヤ状又は針状の形状を有することができる。電極20の太さは、液状組成物がノズル16内を流通することを妨げない程度になっている。ノズル16に設けられている液状組成物の流通空間の横断面積をS1とし、電極の横断面積をS2とした場合、S2は、S1の0.05%以上2%以下であることが好ましい。電極20の長さは本発明において臨界的でなく、ノズル16内を流通する液状組成物に十分な電荷を付与できる長さであれば足りる。
【0017】
電極20は金属等の導電体から構成されている。電極20は、高電圧電源12と電気的に接続されている。これによって、電極20に高電圧を印加することが可能になっている。この場合、電極20に人体が直接触れた場合に過大な電流が流れることを防止するために、電極20と高電圧電源12とは、電流制限抵抗19を介して電気的に接続されている。
【0018】
管路17を介してノズル16と連通しているマイクロギヤポンプ14は、収容部15中に収容されている液状組成物をノズル16に供給する供給装置として機能する。マイクロギヤポンプ14は、低電圧電源11から電源の供給を受けて動作する。また、マイクロギヤポンプ14は、補助的電気回路13による制御を受けて所定量の液状組成物をノズル16に供給するように構成されている。
【0019】
マイクロギヤポンプ14には、管路18を介して収容部15が接続されている。収容部15中には液状組成物が収容されている。収容部15は、カートリッジ式の交換可能な形態をしていることが好ましい。
【0020】
装置1の筐体10内には、空気流発生部21も備えられている。空気流発生部21は、液状組成物の吐出方向(
図1中、符号Xで示す方向)に関して、ノズル16よりも後方に位置している。空気流発生部21は、外気を筐体10内に取り込み、液状組成物の吐出方向Xに沿う空気流を発生させるものである。この目的のために、空気流発生部21は、例えばファンやブロアーから構成されている。空気流発生部21は、低電圧電源11から電気の供給を受けて動作する。
【0021】
ノズル16と空気流発生部21との間には空洞部22が位置している。空洞部22は、空気流発生部21に隣接している。また空洞部22はノズル16とも隣接している。つまり、空洞部22と空気流発生部21との間には、空気流の方向に対して直交する方向にわたって延在し、空洞部22を区分する何らの部材も介在していないことが好ましい。同様に、空洞部22とノズル16との間にも同様に空洞部22を区分する何らの部材も介在していないことが好ましい。空洞部22は両端が開口した筒状体25からなる単一の空間であることが好ましい。筒状体25の開口した一端には、上述の空気流発生部21が位置している。一方、筒状体25の開口した他端には空気噴出部23が位置している。空洞部22は、空気流発生部21で生じた空気流の一時的蓄積作用を有する。この目的のために、空洞部22は、空気流発生部21で生じた空気流の流量に対して十分に大きな容積を有していることが望ましい。筒状体25の内部は完全に空間となっていることが、空洞部22による空気流の一時的蓄積作用を高める点から理想ではあるが、当該作用を損なわない範囲において、何らかの部材が空洞部22に存在していてもよい。
図1に示す実施形態においては、ノズル16の一部、管路17の一部、及び電極20に電圧を印加する回路の一部が空洞部22に存在している。
【0022】
図1に示す実施形態では、装置1は単一の空洞部22を有している。空洞部22が単一であることに代えて、仕切り部材(図示せず)によって仕切られた複数の空間が、液状組成物の吐出方向Xに並列に配置されてなる複数の空洞部を採用することもできる。空洞部22が空気流の一時的蓄積作用を有するという機能を考慮すると、空洞部22は単一であることが当該機能を確実に発揮し得る点から有利である。仕切り部材(図示せず)によって仕切られた複数の空間が、液状組成物の吐出方向Xに沿って直列に配置されてなる複数の空洞部を採用することもできる。上述の仕切り部材(図示せず)を設ける場合は、空気流を整流化することで圧力損失を低減する観点、及び風量を増加させる観点より、該仕切り部材は空気流に平行に設けられていることが好ましい。
【0023】
筒状体25の開口した端部に位置する空気噴出部23は、空洞部22内を通過してきた空気流を、液状組成物の吐出方向Xに向けて噴出させる部位である。空気噴出部23は、空気流の方向に沿って延びる1個又は2個以上の貫通孔からなる短流路23aを備えている。空気流は、短流路23aの開口端である空気噴出口24を通じて噴出する。空気噴出部23を構成する短流路23aはその断面積が一定である。空気噴出口24は、該空気噴出口24から噴射される空気流の方向が、ノズル16から吐出される液状組成物の吐出方向を向くように構成されている。空気噴出口24はノズル16の周囲に位置している。空気噴出部23に複数の空気噴出口24が設けられている場合には、各貫通孔は、ノズル16の周囲に均等配置されることが、安定した空気流の噴出の点から好ましい。
図1に示すとおり、空気噴出部23(短流路23a)と空洞部22とは互いに隣接しており、両者の間には何らの部材も介在していない。例えば、空洞部22と空気噴出部23(短流路23a)とを連通する管路は両者間に介在していない。
【0024】
装置1は、オリフィスの原理によって空洞部22内を流通する空気流の流速が増すような形状を有していることが有利である。この目的のために、空洞部22を画成する筒状体25の端部に位置する空気噴出口24は、その開口面積が、空洞部22の横断面積よりも小さくなっていることが有利である。この領域は、空気流の「絞り部」と呼ぶことができる。
【0025】
装置1を構成する筐体10はヒトが手で把持可能に構成されている。詳細には、筐体10は、ヒトが片手で把持可能な寸法及び/又は形状を有するものであることが、操作性を良好にする観点から好ましい。筐体10が「片手で把持可能な寸法」であるためには、例えば装置1の質量が2kg以下であるか、液状組成物の吐出方向Xに沿う筐体10の最大長が40cm以下であるか、又は筐体10の体積が3000cm
3以下であることが好ましい。筐体10が「片手で把持可能な形状」であるためには、例えば
図1に示すとおり、該筐体10が、ヒトが片手で把持可能なハンドル26を有していることが好ましい。特に、ハンドル26に、装置1を動作させるためのスイッチSWが設けられていると、操作性が一層向上するので有利である。
【0026】
装置1を動作させるときには、使用者が該装置1を手で把持し、ノズル16の先端16aを、静電スプレーを行う適用部位に向ける。この状態下に、装置1のスイッチをオンにして静電スプレー法を行う。装置1に電源が入ることで、電極20と適用部位との間に電界が生じる。例えば電極に正電圧を印加した場合には、適用部位が負極となる。電極20と適用部位との間に電界が生じると、ノズル16の先端16aから吐出された液滴状の液状組成物は、電界に沿い、適用部位に向かって空間を飛翔する。帯電した状態で空間を飛翔する液状組成物から揮発性溶媒(これについては後述する)が蒸発していくと、液状組成物表面の電荷密度が過剰となり、クーロン反発力によって繊維形成性ポリマーが微細化を繰り返しながら空間に広がり、適用部位に到達する。この場合、液状組成物の粘度を適切に調整することで、噴出した該組成物を液滴の状態で適用部位に到達させることができる。あるいは、空間に吐出されている間に、溶媒である揮発性物質を液滴から揮発させ、溶質である繊維形成性ポリマーを固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成し、その繊維を適用部位に堆積させることもできる。例えば、液状組成物の粘度を高めると、該組成物を繊維の形態で適用部位に堆積させやすい。これによって、繊維の堆積物からなる多孔性被膜が適用部位の表面に形成される。繊維の堆積物からなる多孔性被膜は、ノズル16と適用部位との間の距離や、ノズル16に印加する電圧を調整することでも形成することが可能である。
【0027】
本実施形態の装置1においては、ノズル16から液状組成物を吐出させるときに、空気流発生部21において空気流を生じさせ、該空気流によって液状組成物を搬送させる。こうすることで、被膜の形成時に、装置1を使用する周囲環境の影響を受けづらくなり、周囲環境によらず均質な被膜を形成することが可能となる。特に、湿度の変化によらず均質な被膜を形成することが可能となる。
【0028】
静電スプレー法において、吐出物を空気流に搬送する従来の技術としては、先に述べた特許文献1に記載のものが知られている。しかし、同文献に記載の技術では、ノズルの先端よりも前方に空洞部及び電極が設置されているので、ノズルから吐出された吐出物が空洞部を画成する内壁や電極に付着しやすく、そのことに起因して目的とする品質の被膜を首尾よく形成することが容易でなかった。このこととは対照的に、本実施形態の装置1によれば、ノズル16の先端16aよりも後方に電極20及び空洞部22が位置しているので、換言すれば静電スプレー部P1を、液状組成物の吐出方向Xに沿って見たときに、ノズル16の先端16aが、静電スプレー部P1の最端部に位置しているので、該先端16aから吐出した液状組成物の飛翔を妨げる部材は一切存在しない。その結果、本実施形態の装置1によれば、液状組成物を空気流に搬送させて飛翔させた場合であっても、目的とする被膜を首尾よく形成することができる。
【0029】
上述した本実施形態の装置1の利点を一層顕著なものとする観点から、空洞部22は、空気流発生部21で生じた空気流の一時的蓄積作用が十分なものであることが望ましい。この観点から、空洞部22は、空気流発生部21で生じる空気流の流量F(cm
3/min)に対する容積V(cm
3)の比であるV/F(min)の値が0.001min以上であることが好ましく、0.002min以上であることが更に好ましく、0.005min以上であることが一層好ましい。またV/F(min)の値が0.5min以下であることが好ましく、0.2min以下であることが更に好ましく、0.1min以下であることが一層好ましい。特にV/F(min)の値は0.001min以上0.5min以下であることが好ましく、0.002min以上0.2min以下であることが更に好ましく、0.005min以上0.1min以下であることが一層好ましい。
【0030】
V/F(min)の値の好ましい範囲は上述のとおりであるところ、空洞部22の容積Vそのものの値は10cm
3以上1000cm
3以下であることが好ましく、20cm
3以上500cm
3以下であることが更に好ましく、30cm
3以上100cm
3以下であることが一層好ましい。一方、空気流の流量Fそのものの値は100cm
3/min以上50000cm
3/min以下であることが好ましく、250cm
3/min以上30000cm
3/min以下であることが更に好ましく、500cm
3/min以上20000cm
3/min以下であることが一層好ましい。空洞部22の容積Vは、該空洞部22に他の部材が存在しない場合には、該空洞部22を画成する筒状体25の内部空間の容積に等しく、空洞部22に他の部材が存在している場合には、筒状体25の内部空間の容積から当該部材の容積を差し引いた値である。
【0031】
本実施形態の装置1においては、液状組成物が電極20を経てノズル16の先端16aに至る液状組成物流路をノズル16内に有している。そして、装置1の一部をなす筐体10は、この液状組成物流路を含む管路17を有している。管路17は、
図1に示すとおり空洞部22に配置されている。ところで、空洞部22による空気流の一時的蓄積作用を十分なものにするために、該空洞部22を画成する筒状体25の内部空間には可能な限り他の部材が存在していないことが望ましい。この観点から、管路17の外周が空洞部22の空間に包囲されているとともに、管路17よりも後方にも空洞部22が位置していることが有利である。管路17がこのように空洞部22に配置されていることで、空洞部22での空気流の流通が円滑になり、空気噴出口24からの空気流の噴出が均一なものとなる。
【0032】
空洞部22による空気流の一時的蓄積作用を十分なものにするための別の観点から、空気流発生部21で生じた空気流の方向(この方向は、液状組成物の吐出方向Xと同方向である。)と直交する方向での空洞部22の外縁の横断面積、換言すれば筒状体25の内壁の横断面積を、吐出方向Xに沿う任意の異なる位置において比較した場合、当該横断面積の差が小さいことが好ましい。空気流発生部21に隣接する位置での空洞部22の外縁の横断面の面積(Q1)に対する、当該位置以外の位置での横断面の面積の平均(Q2)との割合であるQ2/Q1の値が70%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、85%以上であることが一層好ましい。また、当該割合が120%以下であることが好ましく、110%以下であることが更に好ましく、105%以下であることが一層好ましい。空洞部22の外縁とは、空洞部22を形成している空間の外縁を意味し、外縁の横断面の面積は、例えば一部にチューブや電源のコード等の接続部が設けられている場合はこれらを除外した空洞部の外縁の横断面により算出する。なお、空気流発生部21は、例えばファンが設けられた領域であり、空気流発生部21に隣接する位置での空洞部22の位置は、ファンが設けられた領域に隣接する筒状部のファン側端部とする。
【0033】
空気流発生部21で生じた空気流を、空洞部22に一時的に蓄積する観点から、空気流発生部21で生じた空気流の方向(この方向は、液状組成物の吐出方向Xと同方向である。)と直交する方向での空気流発生部21の横断面積の平均値(Q3)は、内部にファンなどを含むことから、空気流発生部21に隣接する位置での空洞部22の外縁の横断面の面積(Q1)よりやや大きい程度か、あるいは同程度であることが好ましく、例えば横断面積の割合Q3/Q1の値が80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましく、170%以下であることが好ましく、150%以下であることがより好ましい。
【0034】
上述した割合と関連して、上述のQ1、Q2及びQ3はそれぞれ独立して、5cm
2以上30cm
2以下であることが好ましく、7cm
2以上25cm
2以下であることが更に好ましく、7cm
2以上20cm
2以下であることが一層好ましい。
【0035】
先に述べたとおり、筒状体25によって画成される空洞部22は、空気噴出口24と隣接していることが好ましい。これによって、空洞部22を通過してきた空気流が空気噴出口24から円滑に噴出される。この利点を一層顕著なものとする観点から、空気流の方向に沿う空気噴出口24の長さは10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることが更に好ましく、6mm以下であることが一層好ましい。当該長さの下限値に特に制限はないが、例えば好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上とすることもできる。また、2mm程度に短ければ、空気流を空気噴出口24から十分に円滑に噴出させることが可能となる。
【0036】
上述したオリフィスの原理によって空気流を空気噴出口24から高速で噴出させる観点から、上述した、空気流発生部21に隣接する位置での空洞部22の外縁の横断面の面積(Q1)に対する、空気噴出口24の面積の総和の比率(以下、この割合を「噴出口面積率」ともいう。)は、1.5%以上であることが好ましく、3%以上であることが更に好ましく、5%以上であることが一層好ましい。また噴出口面積率は、70%以下であることが好ましく、50%以下であることが更に好ましく、30%以下であることが一層好ましい。具体的には、噴出口面積率は、1.5%以上70%以下であることが好ましく、3%以上50%以下であることが更に好ましく、5%以上30%以下であることが一層好ましい。
【0037】
装置1は、空気噴出口24からの空気流の噴出量が、好ましくは100cm
3/min以上、更に好ましくは250cm
3/min以上、一層好ましくは500cm
3/min以上に調整されるように構成されている。また装置1は、空気流の噴出量が好ましくは50000cm
3/min以下、更に好ましくは30000cm
3/min以下、一層好ましくは20000cm
3/min以下に調整されるように調整されている。特に装置1は、空気噴出口24からの空気流の噴出量が、好ましくは100cm
3/min以上50000cm
3/min以下、更に好ましくは250cm
3/min以上30000cm
3/min以下、一層好ましくは500cm
3/min以上20000cm
3/min以下に調整されるように構成されている。この値は、空気噴出口24が1個のみ設けられている場合には、当該空気噴出口24から噴出する空気流の噴出量のことであり、複数の空気噴出口24が設けられている場合には、すべての空気噴出口24から噴出する空気流の合計の噴出量のことである。
【0038】
空気噴出口24から噴出する空気流の噴出量が上述の範囲である場合、目的とする被膜を首尾よく形成する観点から、装置1は、ノズル16から吐出される液状組成物の吐出量が、好ましくは0.01g/min以上、更に好ましくは0.05g/min以上、一層好ましくは0.1g/min以上に調整されるように構成されている。また装置1は、液状組成物の吐出量が、好ましくは2g/min以下、更に好ましくは1.5g/min以下、一層好ましくは1.0g/min以下、より一層好ましくは0.8g/min以下に調整されるように構成されている。特に装置1は、液状組成物の吐出量が、好ましくは0.01g/min以上2g/min以下、更に好ましくは0.05g/min以上1.5g/min以下、一層好ましくは0.1g/min以上1.0g/min以下、より一層好ましくは0.1g/min以上0.8g/min以下に調整されるように構成されている。
【0039】
目的とする被膜を首尾よく形成する観点から、装置1は、ノズル16から液状組成物を吐出させるときに該液状組成物に印加する電圧が、好ましくは1kV以上、更に好ましくは5kV以上、一層好ましくは10kV以上に調整されるように構成されている。また装置1は、電圧が、好ましくは40kV以下、更に好ましくは30kV以下、一層好ましくは25kV以下、より一層好ましくは20kV以下に調整されるように構成されている。特に装置1は、液状組成物に印加する電圧が、好ましくは1kV以上40kV以下、更に好ましくは5kV以上30kV以下、一層好ましくは10kV以上25kV以下、より一層好ましくは10kV以上20kV以下に調整されるように構成されている。
【0040】
図2には本発明の被膜の製造装置の別実施形態が示されている。本実施形態に関し特に説明しない点については、先に述べた
図1に示す実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また
図2において
図1と同じ部材には同じ符号を付してある。
図2に示す実施形態の装置1は、静電スプレー部P1と据置型収納部P2とに大別される。両者は別体になっている。先に述べた
図1に示す実施形態では、静電スプレー部P1が装置1そのものであったが、本実施形態においては、
図1に示す実施形態の静電スプレー部P1を構成する部材のうち、電極20に電圧を印加する低電圧電源11と、液状組成物の収容が可能な収容部15と、液状組成物をノズル16に供給する送液部であるポンプ14とが、据置型収納部P2内に収納されている。そして、静電スプレー部P1と据置型収納部P2とは、液状組成物を送液する管路18、及び電極20と低電圧電源11とを電気的に接続する電線27によって結ばれている。静電スプレー部P1は、ヒトが片手で把持可能な寸法及び/又は形状を有している。本実施形態によれば、静電スプレー部P1の取り扱いの容易さを損なわずに、液状組成物を長時間にわたり吐出することができ、大面積の被膜を容易に形成することができる。
【0041】
図2に示す実施形態においては、静電スプレー部P1と据置型収納部P2とを接続する管路18及び電線27はそれぞれ独立しているが、静電スプレー部P1の取り扱い性を考慮して、管路18及び電線27を1本のケーブルに束ねてもよい。
【0042】
上述した各実施形態の被膜の製造装置を用いることで、本発明によれば、空気噴出口から空気流を噴出させながら、繊維形成性ポリマーを含む液状組成物を対象物の表面に直接に静電スプレーして、繊維を含む堆積物からなる被膜を該表面に形成することができる。
【0043】
上述した各実施形態に用いられる液状組成物は繊維形成性を有するポリマーを含んでいる。また、液状組成物は、水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質を含んでいることが好ましい。
【0044】
揮発性物質は、液体の状態において揮発性を有する物質である。液状組成物において揮発性物質は、電界内に置かれた液状組成物を十分に帯電させた後、ノズル16の先端16aから皮膚に向かって吐出され、揮発性物質が蒸発していくと、液状組成物の電荷密度が過剰となり、クーロン反発によってポリマーが微細化しながら揮発性物質が更に蒸発していき、最終的に繊維を形成させる目的で配合される。この目的のために、揮発性物質はその蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることが更に好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがより一層好ましい。
【0045】
揮発性物質のうち、アルコールとしては例えば一価の炭素数1〜6の鎖式脂肪族アルコールや、一価の炭素数3〜6の環式脂肪族アルコールや、一価の芳香族アルコールが好適に用いられる。それらの具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、プロパノール、ペンタノールなどが挙げられる。これらのアルコールは、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0046】
揮発性物質のうち、ケトンとしては例えば炭素数3〜6の鎖式脂肪族ケトンや、炭素数3〜6の環式脂肪族ケトンや、炭素数8〜10の芳香族ケトンが好適に用いられる。それらの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどが挙げられる。これらのケトンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
揮発性物質のうち、水としてはイオン交換水、精製水又は蒸留水が好適に用いられる。液状組成物に水が含まれていることによって、水の電離に起因して液状組成物の導電率を高めることができる。液状組成物の導電率が高いことによって、静電スプレーを実施した場合に、皮膚等の適用部位の表面上に繊維状の被膜を安定して形成することができる。また、水は静電スプレーにより形成される被膜の皮膚等への密着性の向上に寄与する。
【0048】
揮発性物質は、より好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、及び水から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは水、エタノール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは水及びエタノールである。
【0049】
揮発性物質は、該揮発性物質とともに用いられる繊維形成性ポリマーの分散性の観点、及び電荷付与の観点から、(a)エタノール、イソプロピルアルコール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上と、(b)水との混合液が好ましい。(a)と(b)との質量比である(b)/(a)の値は、繊維の形成性及び被膜の密着性の観点から0.0025以上1以下であることが好ましく、0.0025以上0.85以下であること
が好ましい。なお、繊維形成性ポリマーが水不溶性ポリマーを50質量%以上含む場合、成分(a)と成分(b)との質量比である(b)/(a)の値は、繊維の形成性及び被膜の密着性の観点から0.0025以上0.3以下であることが好ましく、0.0025以上0.2以下であることがより好ましい。
【0050】
液状組成物中における水の含有量は、繊維形成性及び被膜の密着性をより向上させる観点から0.2質量%以上45質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。なお、繊維形成性ポリマーが水不溶性ポリマーを含む場合、液状組成物中における水の含有量は、0.2質量%以上25質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.35質量%以上19質量%以下が更に好ましく、0.4質量%以上18質量%以下がより更に好ましい。
【0051】
揮発性物質とともに用いられる繊維形成性ポリマーは、一般に、揮発性物質に溶解することが可能な物質である。ここで、溶解するとは20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態であることをいう。
【0052】
繊維形成性ポリマーとしては、揮発性物質の性質に応じて適切なものが用いられる。具体的には、繊維形成性ポリマーは水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとに大別される。本明細書において「水溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1gを秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が水に溶解する性質を有するものをいう。一方、本明細書において「水不溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1g秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g超が溶解しない性質を有するものをいう。
【0053】
水溶性である繊維形成性ポリマーとしては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリ
ゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、キトサン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム、水溶性ナイロン等の水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性ポリマーから選ばれる単独で1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性ポリマーのうち、被膜の製造が容易である観点から、プルラン、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、キトサン、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイドを用いる場合、その数平均分子量は、5万以上300万以下であることが好ましく、10万以上250万以下であることが一層好ましい。
【0054】
一方、水不溶性である繊維形成性ポリマーとしては、例えば繊維形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで繊維形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。本発明においては、これらの水不溶性ポリマーから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水不溶性ポリマーのうち、繊維形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで繊維形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸、ツエイン等を用いることが好ましい。
【0055】
液状組成物における揮発性物質の含有量は、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、55質量%以上94質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上93質量%以下であることが更に好ましく、65質量%以上92質量%以下であることがより一層好ましい。この割合で液状組成物中に揮発性を配合することで、静電スプレー法を行うときに液状組成物を十分に揮発させることができる。
【0056】
一方、液状組成物における繊維形成性ポリマーの含有量は、2質量%以上35質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上25質量%以下であることが一層好ましい。この割合で液状組成物中に繊維形成性ポリマーを配合することで、目的とする被膜を首尾よく形成することができる。
【0057】
本実施形態の装置1によって繊維の堆積物を形成する場合、該繊維の太さは、円相当直径で表した場合、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。また3000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることが更に好ましい。繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
【0058】
前記の繊維は、製造の原理上は無限長の連続繊維となるが、少なくとも繊維の太さの100倍以上の長さを有することが好ましい。本明細書においては、繊維の太さの100倍以上の長さを有する繊維のことを「連続繊維」と定義する。そして、本実施形態の装置1によって製造される被膜は、連続繊維の堆積物からなる多孔性の不連続被膜であることが好ましい。このような形態の被膜は、集合体として1枚のシートとして扱えるだけでなく、非常に柔らかい特性をもっており、それに剪断力が加わってもばらばらになりにくい。
【0059】
本実施形態の装置1を用いて被膜を形成する場合、ノズル16と適用部位との間の距離は、ノズル16に印加する電圧にも依存するが、被膜を首尾よく形成する観点から、10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましく、40mm以上であることが更に好ましく、60mm以上であることが一層好ましい。またノズル16と適用部位との間の距離は、300mm以下であることが好ましく、250mm以下であることがより好ましく、200mm以下であることが更に好ましく、150mm以下であることがより一層好ましい。より具体的には、ノズル16と適用部位との間の距離は、10mm以上300mm以下であることが好ましく、20mm以上250mm以下であることがより好ましく、40mm以上200mm以下であることが更に好ましく、60mm以上150mm以下であることが更に好ましい。ノズルと適用部位との間の距離は、一般的に用いられる非接触式センサ等で測定することができる。
【0060】
本実施形態の装置1によって形成された被膜が多孔性のものであるか否かを問わず、被膜の坪量は皮膚1m
2当たりに換算して、0.05g/m
2以上であることが好ましく、0.1g/m
2以上であることがより好ましく、1g/m
2以上であることが更に好ましい。また50g/m
2以下であることが好ましく、40g/m
2以下であることがより好ましく、30g/m
2以下であることが更に好ましく、25g/m
2以下であることが一層好ましく、20g/m
2以下であることがより一層好ましい。例えば被膜の坪量は皮膚1m
2当たりに換算して、0.05g/m
2以上50g/m
2以下であることが好ましく、0.1g/m
2以上40g/m
2以下であることがより好ましく、0.1g/m
2以上30g/m
2以下であることが更に好ましく、0.1g/m
2以上25g/m
2以下であることが更に好ましく、1g/m
2以上20g/m
2以下であることが一層好ましい。被膜の坪量をこのように設定することで、被膜が過度に厚くなることに起因する該被膜の剥離を効果的に防止することができる。
【0061】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態においては、静電スプレー部P1がハンディタイプのものであったが、これに代えて静電スプレー部P1を大型の据置タイプのものとしてもよい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0063】
〔実施例1〕
(1)液状組成物の準備
99.5%エタノール(水0.5%)を88%、ポリビニルブチラールを12%含む液状組成物を準備した。ポリビニルブチラールとしては、積水化学工業株式会社のS−LEC B BM−1(商品名)を用いた。
(2)被膜の製造装置の準備
図1に示す構成の装置を準備した。空洞部22の容積は72cm
3(管路17の容積を差し引いた値)であり、空気流発生部21で生じる空気流の流量は750cm
3/minとした。空洞部22を構成する筒状体25は円筒状のものであり、その直径は32mmであり横断面積Q1は8.04cm
2であった。また上述した横断面積Q2は7.1cm
2(平均直径30mm)であり、Q3は11.3cm
2であった。円形の空気噴出口24を8個設け、空気流の方向に沿う23aの長さはいずれも6mmに設定した。上述した噴出口面積率は6.2%であった。
(3)繊維の堆積物からなる被膜の形成
ノズル16からの液状組成物の吐出量を0.12g/minに設定し、空気噴出口24からの空気の噴出量を750cm
3/minに設定し、電極20に印加する電圧を10kVに設定した。この条件下に電界紡糸法によってポリオキシメチレンからなる捕集板の一面に、繊維の堆積物からなる被膜を形成した、ノズル16の先端16aと捕集板との距離は100mmに設定した。電界紡糸法を実施するときの周囲環境は30℃、70%RHとした。
【0064】
〔実施例2ないし4並びに比較例1及び2〕
空気噴出口24からの空気の噴出量及び周囲環境を、以下の表1に示す値とした。これら以外は実施例1と同様にして、繊維の堆積物からなる被膜を形成した。
【0065】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた被膜について、その状態を目視観察し、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
【0066】
<被膜の評価基準>
A:肌への密着性が高く且つ良好な被膜が形成された。
B:被膜の形成が不安定であり、肌への被膜の付着がムラになった。
C:製造装置への繊維戻りが生じ、且つ肌へ未乾燥のまま堆積し、液滴が生じた。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた被膜は捕集板への密着性が良好であり、またムラの少ないものであることが判る。これに対して比較例で得られた被膜は、周囲環境の影響を受けて、密着性が劣り、またムラが多いことが判る。