特許第6882419号(P6882419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882419
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】p−置換非対称尿素及びその医薬的使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/14 20060101AFI20210524BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 5/50 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20210524BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 211/58 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/451 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20210524BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20210524BHJP
   C07D 241/12 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C07D207/14
   A61P43/00 111
   C07D401/12CSP
   A61K31/497
   A61P3/04
   A61P3/10
   A61P3/00
   A61P35/00
   A61P9/04
   A61P31/18
   A61P1/16
   A61P11/00
   A61P1/00
   A61P1/04
   A61P25/30
   A61P5/50
   A61P3/06
   A61P9/10 101
   A61P9/00
   A61P9/12
   A61P25/32
   A61P25/36
   A61P25/16
   A61P29/00
   A61P25/04
   A61P1/08
   C07D211/58
   A61K31/451
   C07D417/12
   A61K31/454
   C07D403/12
   A61K31/4439
   C07D401/14
   C07D417/14
   C07D409/14
   A61K31/506
   C07D239/26
   C07D405/12
   A61K31/498
   A61K31/501
   A61K31/53
   C07D409/12
   A61K31/4025
   C07D413/12
   C07D405/14
   C07D471/04 106C
   C07D471/04 104Z
   A61K31/437
   C07D241/12
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】142
(21)【出願番号】特願2019-193024(P2019-193024)
(22)【出願日】2019年10月23日
(62)【分割の表示】特願2016-545894(P2016-545894)の分割
【原出願日】2015年3月6日
(65)【公開番号】特開2020-11996(P2020-11996A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2019年10月29日
(31)【優先権主張番号】61/949,664
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505180070
【氏名又は名称】ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ ジュリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】シルビーナ ガーシア ルビオ
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ダナ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ グアイナッツィ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ ピエトラ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/116176(WO,A1)
【文献】 特表2017−507116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【表1-1】
【表1-2】
からなる群より選ばれる化合物。
【請求項2】
治療有効量の請求項1記載の化合物及び1種以上の医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
有効量の請求項1記載の化合物を含む、ヒト対象におけるグレリン受容体活性を調節するための医薬組成物。
【請求項4】
有効量の請求項1記載の化合物を含む、ヒト対象におけるグレリン受容体の発現又は活性に関連する疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項5】
前記疾患は肥満、過体重、摂食障害、糖尿病、代謝症候群、癌からもたらされる悪液質、鬱血性心不全、加齢又はAIDSによる消耗、慢性肝不全、慢性閉塞性肺疾患、消化管疾患、胃障害又は物質乱用である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記代謝疾患は糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、不十分な耐糖能、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、加齢、症候群X、アテローム性動脈硬化症、心疾患、脳卒中、高血圧症及び末梢血管疾患からなる群より選ばれる、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記胃障害は術後イレウス(POI)、糖尿病性胃不全まひ及びオピオイド誘発性腸機能障害からなる群より選ばれる、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記消化管疾患は過敏性腸症候群、胃炎、酸逆流性疾患、胃不全まひ及び機能性消化不良からなる群より選ばれる、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記物質乱用はアルコール又は薬物乱用である、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記薬物はアンフェタミン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、コカイン、メタカロン及びオピオイドからなる群より選ばれる、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記疾患はプラダー・ウィリー症候群、むちゃ食い障害、パーキンソン誘発性便秘及び胃運動障害、化学療法誘発性悪心及び嘔吐、炎症、疼痛及び乗り物酔いからなる群より選ばれる、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記疾患はむちゃ食い障害である、請求項4記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2014年3月7日に出願された米国特許仮出願第61/949,664号の優先権を請求し、該出願は参照によってその全内容が本明細書に取り込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は新規の非対称尿素化合物、その医学的使用、特にグレリン受容体によって調節される医学的状態の治療におけるその医学的使用に関する。
【背景技術】
【0003】
成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS−R)は、成長ホルモン(GH)放出、代謝及び食欲を含めた多くの生理学的プロセスを調節する。胃中の内分泌細胞によって主に産生される循環ホルモンであるグレリンはその内因性リガンドである。グレリンは生物学的活性を要求するアシル側鎖を有する28個のアミノ酸ペプチドである(Kojimaら,Nature,402,656〜660、1999)。グレリンは、中枢及び末梢の両方に投与した場合に、成長ホルモン(GH)放出を刺激し、そして食物摂取を増加させることが示されている(Wrenら,Endocrinology,141,4325〜4328,2000)。
【0004】
内因性グレリンレベルは、ヒトでは絶食で上昇し、そして再摂食時に低下する(Cummingsら,Diabetes,50,1714〜1719,2001)。またグレリンは、長期間のエネルギーバランス及び食欲調整を維持する役割を果たすと思われる。グレリンの齧歯類への慢性投与は、成長ホルモン分泌に非依存性である過食症及び体重増加を導く(Tschopら,Nature,407,908〜913,2000)。循環グレリンレベルは慢性的な過剰摂食に応答して減少し、そして食欲不振又は運動に関連する慢性的な負のエネルギーバランスに応答して増加する。肥満の人々は、一般に、カロリー摂取が減少している体の生理学的反応によって、低い血漿グレリンレベルを有する(Tschopら.,Diabetes,50,707〜709,2001)。静脈内グレリンは、ヒトの食物摂取を刺激するのに有効である。近年の研究では、生理食塩水対照物と比較して、グレリン注入によって、バイキング式食事から28%の食物摂取の増加が示された(Wrenら.,J Clin Endocrinology and Metabolism,86,5992,2001)。
【0005】
上記の実験的証拠を考慮して、グレリン受容体生理機能に関連する障害を予防及び/又は治療するためのグレリン受容体活性を調節する化合物は提案されてきた。例えば、グレリン受容体でのアンタゴニストは、いつか、循環成長ホルモンレベルに影響を与えず、又はそれを減少させずに、食欲を減退させ、食物摂取を低減させ、体重減量を導きそして肥満を治療するように開発されるであろう。一方、グレリン受容体でのアゴニストはまた、食物摂取を刺激し、摂食障害、例えば、神経性無食欲を治療するのに、又は、癌、AIDSもしくは慢性閉塞性肺疾患(COPD)によって生じる悪液質を治療するのに有用であるように開発されるであろう。グレリンアゴニストはまた、小腸での収縮の頻度を増やし、又は、収縮をより強くするが、リズムを崩さずに、胃腸運動を向上し得る胃運動促進剤としても有用であることができる。胃運動促進剤は、腹部不快感、膨満、便秘、胸焼け、吐き気及び嘔吐などの胃腸症状を和らげるために使用され、また、限定するわけではないが、過敏性腸症候群、胃炎、酸逆流性疾患、胃不全まひ及び機能性消化不良を含めた多くの胃腸障害を治療するために使用される。さらにグレリン受容体活性を調節する化合物はまた、依存性であると見なされない物質の使用の不適応パターンと呼ばれる物質乱用、例えば、アルコール又は薬物(例えば、アンフェタミン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、コカイン、メタカロン及びオピオイド)乱用に関連する疾患を予防又は治療するためにも使用されうる。
【0006】
グレリン受容体に作用する多くの化合物は文献において報告されている。YIL−781は、例えば、Bayerの小分子グレリン受容体アンタゴニストであり、耐糖能を改善し、食欲を抑え、そして体重減少を促進することが報告されており(Eslerら,Endocrinology 148(11):5175〜5185)、LY444711は、Lillyの経口活性グレリン受容体アゴニストであり、食物消費を刺激しそして脂肪利用率を抑えることによって脂肪症を誘導することが報告されており(Bioorg.&Med.Chem.Lett.,2004,14,5873〜5876)、アナモレリンは、Helsinn Therapeuticsの経口投与可能なグレリン受容体小分子アゴニストであり、癌患者における食欲不振及び悪液質の治療のための臨床試験中である。非対称尿素をベースとするグレリン受容体アゴニスト及びアンタゴニストは米国特許出願公開第2012/0220629号明細書に開示されており、その全体が参照により本明細書中に取り込まれる。他の小分子グレリン受容体モジュレーターは国際公開第2008/092681号、米国特許出願公開第2009/0253673号、国際公開第2008/148853号、国際公開第2008/148856号、米国特許出願公開第2007/0270473号及び米国特許出願公開第2009/0186870号明細書中に見ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記を考慮して、グレリン受容体活性を調節する新規の化合物を見い出すことが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約
本発明は式I:
【化1】
【0009】
(上式中、X, Z, R1〜R8, r, s及びnは本明細書中に規定されるとおりである)の化合物及びその医薬上許容される塩を提供する。
【0010】
本明細書中で非対称尿素とも呼ばれる式Iの化合物は、対象においてグレリン受容体に病態生理学的に関連する疾患を予防及び/又は治療するのに特に有用である。したがって、別の実施形態において、本発明はグレリン受容体により媒介される疾患の治療方法であって、対象に対して治療有効量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0011】
対象においてグレリン受容体に病態生理学的に関連する疾患を予防及び/又は治療するための医薬組成物であって、治療有効量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩及び1種以上のを医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
図1図1は高美味食(HPF)への初期アクセスの後の異なる時間でのラットのHPFの摂取量を示している。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。対照(非制限+非ストレス付加;NR+NS)からの統計的な差異:** P<0.01。
図2図2はむちゃ食いのラットモデルにおけるトピラメート(60 mg/kg)又はビヒクルの効果を示す。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。R+S(制限+ストレス付加)ビヒクルとR+S処理済みラットとの間の差異: *P <0.05; ** P <0.01。
図3図3はむちゃ食いのラットモデルにおける化合物H0816 (3及び30 mg/kg)又はビヒクルの効果を示す。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。R+SビヒクルとR+S処理済みラットとの間の差異:*P<0.05。
図4図4はむちゃ食いのラットモデルにおける化合物H0860 (3及び30 mg/kg)又はビヒクルの効果を示す。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。ビヒクル−処理済みラットからの統計的な差異は統計的に有意でなかった。
図5図5はむちゃ食いのラットモデルにおける化合物H0847 (3及び30 mg/kg)又はビヒクルの効果を示す。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。R+SビヒクルとR+S処理済みラットとの間の差異:** P <0.01; * P <0.05。
図6図6はむちゃ食いのラットモデルにおける化合物H0900 (3及び30 mg/kg)又はビヒクルの効果を示す。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。R+SビヒクルとR+S処理済みラットとの間の差異:** P <0.01; * P <0.05。
図7図7はむちゃ食い試験の間又は後の2時間(A)及び24時間(B)固形飼料食物摂取に対するトピラメート、化合物H0816、H0860、H0847、H0900及びビヒクルの効果を示す。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。R+SビヒクルとR+S処理済みラットとの間の差異: * P <0.05、** P <0.01。
図8図8はむちゃ食いのラットモデルにおけるH0816 (3、10及び30 mg/kg)又はビヒクルの効果を示す。表示された値はHPF摂取の平均±S.E.M.である。R+SビヒクルとR+S処理済みラットとの間の差異:*P <0.05;**P <0.05。
図9図9はmsPラットのアルコール自己投与に対する化合物H0847の効果を示す。
図10図10はmsPラットのアルコール自己投与に対する化合物H0860の効果を示す。
図11図11はmsPラットのアルコール自己投与に対する化合物H0816の効果を示す。
図12図12はmsPラットのアルコール自己投与に対する化合物H0900の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法が開示されそして記載される前に、特段の指定がないかぎり、それは特定の合成方法又は特定の処置方法に限定されず、又は、特段の指定がないかぎり、特性の試薬に限定されず、このように、もちろん、変更可能であることが理解されるべきである。本明細書中に使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけであり、そして限定することを意図しないことも理解されるべきである。
【0014】
第一の主要な実施形態において、本発明は式I:
【化2】
【0015】
(上式中、破線は場合により存在しうる結合を示し、
XはCH又はNであり、
ZはNR9, CR10R11又はOであり、
R1 はH, C1-6 アルキル、ベンジル、OH又はC1-6アルコキシであり、ここで、前記C1-6 アルキル、ベンジル又はC1-6 アルコキシは、ハロ、OH, C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ヒドロキシアルキル、CO(C1-6 アルキル)、CHO, CO2H, CO2(C1-6 アルキル)及びC1-6 ハロアルキルから選ばれる1〜3個の置換基によって場合により置換されていてよく、
R2 はH又はC1-6 アルキルであり、
R3 及びR4 は互いに独立して、H, CN, ハロ、CHO又はCO2Hであり、又は、場合により置換されていてよいC1-6 アルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、C1-6 アルキルシクロアルキル、C1-6 ハロアルキル、C1-6 アルコキシ、CO(C1-6 アルキル)、CO2(C1-6 アルキル)又はCONR12R13であり、
又は、R3 及びR4 はそれらが結合しているC原子とともに一緒になって、3〜6-員環を形成し、
R5 はハロ、CN, CHO, CO2H, CO(C1-6 アルキル)、CO2(C1-6 アルキル)、NR14R15, NHCONR14R15, CONR14R15, C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記CO(C1-6 アルキル)、CO2(C1-6 アルキル)、NR14R15, NHCONR14R15, CONR14R15, C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、ハロ、CN, OH, NO2, Si(CH3)4, CHO及びCO2Hから選ばれ、又は、場合により置換されていてよいCO(C1-6 アルキル)、CO2(C1-6 アルキル)、NR14R15, NHCONR14R15, CONR14R15, CH=NOH, C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルから選ばれる1〜3個の置換基によって場合により置換されていてよく;
R6 は存在しないか又はHであり、
R7 はH, CN又はハロであり、
又は、2つのR7 はそれらが結合している原子とともに一緒になって、5〜6-員環を形成することができ、
又は、R5 及びR7 はそれらが結合している原子とともに一緒になって、場合により置換されていてよい5〜6-員環を形成し、
R8 はH又はC1-6 アルキルであり、
R9 はH、C1-6 アルキル、CO(C1-6 アルキル)、CHO, CO2H又はCO2(C1-6 アルキル)であり、
R10 及びR11 は各々独立して、H, C1-6 アルキル又はハロであり、
R12 及びR13 は各々独立して、H又はC1-6 アルキルであり、
R14 及びR15 は各々独立して、H, C1-6 アルキル、CO(C1-6 アルキル)、CO(ヘテロアリール)、ヘテロアリール又はシクロアルキルであり、
r は1又は2であり、
s は0〜4であり、そして
n は0〜3である)の化合物又はその医薬上許容される塩を提供する。
【0016】
第一の主要な実施形態、ならびに、下記に議論される第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、XはCHである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、XはNである。
【0017】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、ZはNR9である。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、ZはN(C1-6 アルキル)である。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、ZはNCH3である。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、ZはCR10R11である。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、ZはCF2である。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、ZはOである。
【0018】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R1 はC1-6 アルキルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R1 はCH3である。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R1 はベンジルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記ベンジルはCO2(C1-6 アルキル)又はC1-6 ヒドロキシアルキルによって場合により置換されていてよい。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R1 はOHである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R1 はC1-6 アルコキシである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C1-6 アルコキシはメトキシ、エトキシ又はプロポキシである。
【0019】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R2 はHである。
【0020】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R3 及びR4 は各々独立して、C1-6 アルキル、CN, C1-6 アルキルシクロアルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、CO2(C1-6 アルキル)、C1-6 ハロアルキル及びCONH2から選ばれる。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C1-6 アルキルはメチル又はエチルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C1-6 アルキルシクロアルキルはC1 アルキルシクロプロピルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C1-6 ヒドロキシアルキルは置換もしくは非置換ベンジル基によって場合により置換されていてよいC1 ヒドロキシアルキルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記CO2(C1-6 アルキル)はCO2CH3である。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C1-6 ハロアルキルはCF3である。
【0021】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R3 及びR4 はそれらが結合しているC原子とともに一緒になって、3〜6-員環を形成する。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R3 及びR4 はそれらが結合しているC-原子とともに一緒になって、シクロプロピル環を形成する。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R3 及びR4 はそれらが結合しているC-原子とともに一緒になって、テトラヒドロピラニル環を形成する。
【0022】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はハロ、CN, CHO, CO2H, CO(C1-6 アルキル)、CO2(C1-6 アルキル)、NR14R15, NHCONR14R15, CONR14R15, C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記CO(C1-6 アルキル)、CO2(C1-6 アルキル)、NR14R15, NHCONR14R15, CONR14R15, C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルはハロ、CN, OH, NO2, Si(CH3)4, CHO及びCO2Hから選ばれ、又は、場合により置換されていてよいCO(C1-6 アルキル)、CO2(C1-6 アルキル)、NR14R15, NHCONR14R15, CONR14R15, CH=NOH, C1-6 アルキル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルキル、C1-6 ヒドロキシアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルから選ばれる1〜3個の置換基によって場合により置換されていてよく、
幾つかの実施形態において、R5 はHでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はアルコキシでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はメトキシでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はOHでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はハロでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はフルオロでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はクロロでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はSO2Meでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はアミノでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はNHAcでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はN(Me)2でなく、
幾つかの実施形態において、R5はアルキルでなく、
幾つかの実施形態において、R5 はメチルでない。
【0023】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はハロであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はCNであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はCHOであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はCO2Hであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はCO(C1-6 アルキル)であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はCO2(C1-6 アルキル)であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はNR14R15であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はNHCONR14R15であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はCONR14R15であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はC1-6 アルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はC1-6 アルコキシであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はC1-6 ハロアルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はC1-6 ヒドロキシアルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はC2-6 アルケニルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はC2-6 アルキニルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はアリールであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はシクロアルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はヘテロアリールであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はヘテロシクロアルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 はC1-6 ハロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロ、C1-6 アルコキシ、CO2(C1-6 アルキル)、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記シクロアルキルはシクロプロピル、シクロヘキサニル又はシクロヘキセニルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C1-6 ハロアルキルはCHF2であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記ヘテロアリールはピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル又はフラニルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記アリールはフェニルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記ハロはCl又はIである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C1-6 アルコキシはメトキシである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記CO2(C1-6 アルキル)はCO2Meである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C2-6 アルキニルはC2 アルキニルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記C2-6 アルケニルはC2 アルケニルである。
【0024】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R6 は存在しない。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R6 はHである。
【0025】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R7はハロである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、前記ハロはCl又はFである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、2つのR7 は一緒になってフェニル基を形成する。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R5 及びR7 は一緒になって5-員複素環を形成する。
【0026】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R8 はHである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R8 はC1-6 アルキルである。
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R8 はメチルである。
【0027】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R10 はHであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R10 はC1-6 アルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R10 はハロであり、
【0028】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R11 はHであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R11 はC1-6 アルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R11 はハロであり、
【0029】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R12 はHであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R12 はC1-6 アルキルであり、
【0030】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R13 はHであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R13 はC1-6 アルキルであり、
【0031】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R14 はHであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R14 はC1-6 アルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R14 はCO(C1-6 アルキル)であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R14 はCO(ヘテロアリール)であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R14 はヘテロアリールであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R14 はシクロアルキルであり、
【0032】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R15 はHであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R15 はC1-6 アルキルであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R15 はCO(C1-6 アルキル)であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R15 はCO(ヘテロアリール)であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R15 はヘテロアリールであり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、R15 はシクロアルキルであり、
【0033】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、rは1であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、rは2であり、
【0034】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、sは0であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、sは1であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、sは2であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、sは3であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、sは4であり、
【0035】
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、nは0であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、nは1であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、nは2であり、
第一、第二及び第三の主要な実施形態において、1つの副次実施形態では、nは3である。
【0036】
第二の主要な実施形態において、化合物は構造が式II:
【化3】
【0037】
又は医薬上許容される塩である。
【0038】
第三の主要な実施形態において、化合物は構造が式III:
【化4】
【0039】
又は医薬上許容される塩である。
【0040】
第四及び第五の主要な実施形態において、化合物は構造が式IIIa又はIIIb:
【化5】
【0041】
又は医薬上許容される塩であり、ここで、
R16 はH、シクロプロピル又はチアゾリルであり、そして
R17 はH又はハロである。
【0042】
幾つかの形態において、現在開示されるとおりの化合物は式I又はその医薬上許容される塩であり、ここで式Iの化合物は下記からなる群より選ばれる。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】
【表12】
【0055】
【表13】
【0056】
【表14】
【0057】
【表15】
【0058】
【表16】
【0059】
【表17】
【0060】
【表18】
【0061】
【表19】
【0062】
【表20】
【0063】
【表21】
【0064】
【表22】
【0065】
【表23】
【0066】
【表24】
【0067】
【表25】
【0068】
【表26】
【0069】
【表27】
【0070】
【表28】
【0071】
【表29】
【0072】
【表30】
【0073】
【表31】
【0074】
【表32】
【0075】
【表33】
【0076】
【表34】
【0077】
【表35】
【0078】
【表36】
【0079】
【表37】
【0080】
【表38】
【0081】
【表39】
【0082】
【表40】
【0083】
【表41】
【0084】
【表42】
【0085】
本明細書の様々な箇所で、本発明の化合物の置換基は群又は範囲で開示されている。特に、本発明はかかる群及び範囲の構成員のすべての個々の副次組み合わせを含むことが意図される。例えば、用語「C1-6 アルキル」は、具体的に個々に、メチル、エチル、C3 アルキル、C4 アルキル、C5 アルキル及びC6 アルキルを開示することが意図される。
【0086】
変項が1を超える本発明の化合物において、各変項は該変項を規定するマーカッシュ群から選ばれる異なる部分であることができる。例えば、同化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造を記載する場合に、2つのR基はRについて規定されるマーカッシュ群から選ばれる異なる部分を表すことができる。
【0087】
明確さのために別個の実施形態の関係で記載される本発明の特定の特徴は単一の実施形態において組み合わせで提供されることもできることはさらに理解される。逆に、単純化のために単一の実施形態の関係で記載される本発明の種々の特徴は別個に又は任意の適切な副次組み合わせで提供されることができる。
【0088】
本明細書中に使用されるときに、用語「アルキル」は直鎖又は枝分かれである飽和炭化水素基を指すことが意図される。例示のアルキル基としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)、ペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが挙げられる。アルキル基は1〜約20、2〜約20、1〜約10、1〜約8、1〜約6、1〜約4又は1〜約3個の炭素原子を含む。
【0089】
本明細書中に使用されるときに、「アルケニル」は1個以上の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基を指す。例示のアルケニル基としては、エテニル、プロぺニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。
【0090】
本明細書中に使用されるときに、「アルキニル」は1個以上の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基を指す。例示のアルキニル基としてはエチニル、プロピニルなどが挙げられる。
【0091】
本明細書中に使用されるときに、「ハロアルキル」は1個以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。例示のハロアルキル基としては、CF3, C2F5, CHF2, CCl3, CHCI2, C2CI5などが挙げられる。
【0092】
本明細書中に使用されるときに、「ヒドロキシルアルキル」は1個以上のOH置換基を有するアルキル基を指す。例示のヒドロキシアルキル基としては、CH2OH, C2CH4OH, C3H6OHなどが挙げられる。
【0093】
本明細書中に使用されるときに、「アリール」は単環もしくは多環(例えば、2, 3又は4個の縮合環)の芳香族炭化水素を指し、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどが挙げられる。幾つかの実施形態において、アリール基は6〜約20個の炭素原子を有する。
【0094】
本明細書中に使用されるときに、「シクロアルキル」は非芳香族炭素環を指し、環化アルキル、アルケニル及びアルキニル基が挙げられる。シクロアルキル基としては単環もしくは多環(例えば、2, 3又は4個の縮合環)環系ならびにスピロ環系を挙げることができる。例示のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチルなどが挙げられる。シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に縮合した(すなわち、それと共通の結合を有する)1個以上の芳香環を有する部分が包含され、例えば、ペンタン、ペンテン、ヘキサンなどのベンゾ誘導体が包含される。幾つかの実施形態において、シクロアルキル基は約3〜約10、又は、約3〜約7個の環形成炭素原子を有することができる。
【0095】
本明細書中に使用されるときに、「ヘテロサイクリル」又は「ヘテロサイクル」は環式炭化水素の1個以上の環形成炭素原子がO, S又はNなどのヘテロ原子により置換されている飽和もしくは不飽和環式炭化水素を指す。ヘテロサイクリル基は芳香族(例えば、「ヘテロアリール」)又は非芳香族(例えば、「ヘテロシクロアルキル」)であることができる。ヘテロサイクリル基は水素化及び部分水素化ヘテロアリール基に対応することもできる。ヘテロサイクリル基は、単環もしくは多環(例えば、2, 3又は4個の縮合環)環系を含むことができる。ヘテロサイクリル基は3〜14又は3〜7個の環形成原子を有することを特徴とすることができる。幾つかの実施形態において、ヘテロサイクリル基は少なくとも1個のヘテロ原子に加えて、約1〜約13、約2〜約10又は約2〜約7個の炭素原子を含むことができ、そして炭素原子又はヘテロ原子を介して結合されていることができる。さらなる実施形態において、ヘテロ原子は酸化されていることができ(例えば、オキソ置換基を有する)、又は、窒素原子は第四級化されていることができる。ヘテロサイクリル基の例としては、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾ-l,4-ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニルなど、ならびに、「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」に関して下記に示す任意の群が挙げられる。さらなる例示のヘテロサイクルとしては、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、3,6-ジヒドロピリジル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル、1,2,5,6-テトラヒドロピリジル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラアゾリル、6H-l,2,5-チア-ジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、キサンテニル、オクタヒドロ-イソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾ-チオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジン、デカヒドロ-キノリニル、2H,6H-1,5,2ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル及びイソオキサゾリルが挙げられる。ヘテロサイクルのさらなる例としては、アゼチジン-1-イル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-l-イル、ピペリジニル(piperindinlyl)、ピペラジン-1-イル、ピロリジン-1-イル、イソキノール-2-イル、ピリジン-1-イル、3,6-ジヒドロピリジン-l-イル、2,3-ジヒドロインドール-1-イル、1,3,4,9-テトラヒドロカルボリン-2-イル、チエノ[2,3-c]ピリジン-6-イル、3,4,10,10a-テトラヒドロ-1H-ピラジノ[l,2-a]インドール-2-イル、l,2,4,4a,5,6-ヘキサヒドロ-ピラジノ[l,2-a]キノリン-3-イル、ピラジノ[l,2-a]キノリン-3-イル、ジアゼパン-1-イル、1,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[f]イソキノリン-3-イル、1,4,4a,5,6, 10b-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[f]イソキノリン-3-イル、3,3a,8,8a-テトラヒドロ-1H-2-アザ-シクロペンタ [a]インデン-2-イル及び2,3,4,7-テトラヒドロ-1H-アゼピン-1-イル、アゼパン-1-イルが挙げられる。
【0096】
本明細書中に使用されるときに、「ヘテロアリール」基は硫黄、酸素又は窒素などの少なくとも1つのヘテロ環原子要素を有する芳香族複素環を指す。ヘテロアリール基としては、単環もしくは多環(例えば、2, 3又は4個の縮合環)系が挙げられる。ヘテロアリール基の例としては、限定するわけではないが、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル(フラニル)、キノリニル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニルなどが挙げられる。幾つかの実施形態において、ヘテロアリール基は1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態において、約3〜約20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態において、ヘテロアリール基は3〜約14、3〜約7又は5〜6員-形成原子を含む。幾つかの実施形態において、ヘテロアリール基は1〜約4、1〜約3又は1〜2個のヘテロ原子を有する。
【0097】
本明細書中に使用されるときに、「ヘテロシクロアルキル」は環化アルキル、アルケニル及びアルキニル基を含む非芳香族複素環を指し、ここで、1個以上の環形成炭素原子はO, N又はS原子などのヘテロ原子により置換されている。例示の「ヘテロシクロアルキル」基としては、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾ-1,4-ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニルなどが挙げられる。1つ以上の芳香環が非芳香族複素環に縮合された(すなわち、共通の結合を有する)ものを有する部分もヘテロシクロアルキルの定義に含まれ、例えば、フタルイミジル、ナフタルイミジル及びヘテロサイクルのベンゾ誘導体、例えば、インドレン及びイソインドレン基である。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態において、約3〜約20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は3〜約14、3〜約7又は5〜6個の環形成原子を含む。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は1〜約4、1〜約3又は1〜2個のヘテロ原子を有する。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は0〜3個の二重結合を含む。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は0〜2個の三重結合を含む。
【0098】
本明細書中に使用されるときに、「ハロ」又は「ハロゲン」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードが挙げられる。
【0099】
本明細書中に使用されるときに、「アルコキシ」は-O-アルキル基を指す。例示のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシ及びイソプロポキシ)、t-ブトキシなどが挙げられる。
【0100】
本明細書中に使用されるときに、「チオアルコキシ」は-S-アルキル基を指す。
【0101】
本明細書中に使用されるときに、「ハロアルコキシ」は-O-ハロアルキル基を指す。例示のハロアルコキシ基はOCFである。
【0102】
本明細書中に使用されるときに、「シクロアルキルオキシ」は-O-シクロアルキルを指す。
【0103】
本明細書中に使用されるときに、「アラルキル」はアリール基により置換されたアルキル基を指す。
【0104】
本明細書中に使用されるときに、「シクロアルキルアルキル」はシクロアルキル基により置換されたアルキル基を指す。
【0105】
本明細書中に使用されるときに、「ヘテロサイクルアルキル」はヘテロカルボサイクリル基により置換されたアルキル部分を指す。例示のヘテロサイクルアルキル基としては、「ヘテロアリールアルキル」(ヘテロアリールにより置換されたアルキル)及び「ヘテロシクロアルキルアルキル」(ヘテロシクロアルキルにより置換されたアルキル)が挙げられる。幾つかの実施形態において、ヘテロサイクリルアルキル基は少なくとも1つの環形成ヘテロ原子に加えて、3〜24個の炭素原子を有する。
【0106】
本明細書中に使用されるときに、「オキソ」は=Oを指す。
【0107】
本明細書中に記載の化合物は非対称であることができる(例えば、1つ以上の立体中心を有する)。立体化学を特定しない化合物の記載は立体異性体の混合物、ならびに、その属に包含される個々の立体異性体の各々を捕捉することが意図される。
【0108】
本発明の化合物は、また、中間体又は最終化合物に生じうるすべての同位体を含むことができる。同位体は同一の原子数を有するが、異なる質量数を有する原子を包含する。例えば、水素の同位体としては三重水素及び重水素が挙げられる。
【0109】
用語「医薬上許容される」は過度の毒性、刺激、アレルギー応答又は他の問題又は合併症を起こすことなく、合理的な利益/危険比で釣り合って、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適する、健全な医療的な判断の範囲内にある化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指す。
【0110】
本発明はまた、本明細書中に記載される化合物の医薬上許容される塩を包含する。本明細書中に使用されるときに、「医薬上許容される塩」は親化合物が存在する酸又は塩基部分をその塩形態に転化させることにより修飾されている開示の化合物の誘導体を指す。医薬上許容される塩の例としては、限定するわけではないが、アミンなどの塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩、カルボン酸などの酸残基のアルカリ又は有機塩などが挙げられる。本発明の医薬上許容される塩としては、例えば、無毒性無機又は有機酸から形成される、親化合物の従来からの無毒性塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。本発明の医薬上許容される塩は従来の化学法により塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成されうる。一般に、このような塩は、水もしくは有機溶媒又はこれら2つの混合物中で、化学両論量の適切な塩基又は酸とこれらの化合物の遊離酸もしくは塩基形態とを反応させることにより調製されることができ、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルなどの無水媒体は好ましい。適切な塩のリストはRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418及びJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)に見られ、その各々はその全体が参照により本明細書中に取り込まれる。
【0111】
合成
塩を含めた本発明の化合物は既知の有機合成技術を用いて調製することができ、そして種々の任意の可能な合成経路により合成されうる。
【0112】
本発明の化合物を調製するための反応は有機合成の当業者により容易に選択されうる適切な溶媒中で行うことができる。適切な溶媒は反応を行う温度で出発材料(反応体)、中間体又は生成物と実質的に非反応性であることができ、その温度は、例えば、溶媒の凝固点温度から溶媒の沸点温度の範囲であることができる。所与の反応は1種の溶媒又は1種を超える溶媒の混合物で行うことができる。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程のための適切な溶媒を選択することができる。
【0113】
本発明の化合物の調製は種々の化学基の保護又は脱保護を伴うことができる。保護及び脱保護の必要性ならびに適切な保護基の選択は当業者によって容易に決定できる。保護基の化学技術は、例えば、T.W. Green and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd. Ed., Wiley & Sons, Inc., New York (1999)に見ることができ、該文献の全体が参照により、本明細書中に取り込まれる。
【0114】
反応は当該技術分野で公知の任意の適切な方法によりモニターすることができる。例えば、生成物の生成は分光手段、例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、H又は13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV-可視光)、又は、質量分析法、又は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は薄層クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによりモニターすることができる。
【0115】
医薬組成物
対象を予防及び/又は治療するための医薬組成物であって、治療有効量の式Iの化合物、又はその医薬上許容される塩及び1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物はさらに提供される。
【0116】
「医薬上許容される」賦形剤は生物学的又は別の形で所望されないものでない賦形剤であり、すなわち、所望されない生物学的効果を引き起こさずに、又は、材料が含まれる医薬組成物の任意の他の成分と有害な形で相互作用せずに材料を対象に投与することができうる。キャリアは当業者に周知であるような活性成分の任意の分解を最小限にし、かつ対象における任意の有害な副作用を最小限にするように選択されうる。キャリアは、固体、液体又はその両方であることができる。
【0117】
本開示化合物は任意の適切な経路によって、好ましくは、かかる経路に適合した医薬組成物の形態で、そして意図される治療又は予防に有効な用量で投与されうる。例えば活性化合物及び組成物は、経口的に、経直腸的に、非経口的に、眼に、吸入的に又は局所的に投与されうる。特に投与は、経皮、吸入、注腸、結膜、点眼、点耳、肺胞(alveolar)、経鼻、鼻腔内、膣、膣内、経膣、眼、眼内、経眼、腸内、口腔、口腔内、経口、腸内、直腸、直腸内、経直腸、注射、注入、静脈内、動脈内、筋肉内、脳内、心室内、脳室内、心臓内、皮下、骨内、皮内、髄腔内、腹腔内、膀胱内、陰茎海綿体内、髄内、眼内、頭蓋内、経皮、経粘膜、経鼻、吸入、嚢内、硬膜外(epidural、peridural)、硝子体内などであることができる。
【0118】
適切なキャリア及びそれらの製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A.R. Gennaro, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1995において記載されている。固体投与形態の経口投与は、例えば、それぞれ予め決められた量の少なくとも1つの開示化合物又は組成物を含むハード又はソフトカプセル、丸薬、薬包(cachet)、トローチ剤又は錠剤などの個別の単位において提示されうる。幾つかの形態では、経口投与は粉末状又は顆粒状の形態でありうる。幾つかの形態では、経口投与形態は、例えばトローチ剤などの舌下である。かかる固体投与形態において、式Iの化合物は、通常は1つ以上のアジュバントと組み合わされる。かかるカプセル又は錠剤は徐放製剤を含むことができる。カプセル、錠剤及び丸薬の場合には、投与形態はまた、緩衝剤を含むか、又は、腸溶コーティングを伴って調製されることができる。
【0119】
幾つかの形態では、経口投与は液体投与形態であることができる。経口投与のための液体投与形態は、例えば、当該技術分野において一般に使用されている不活性希釈剤(例えば水)を含む医薬上許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを含む。かかる組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、香味剤(例えば甘味剤)及び/又は香料などのアジュバントも含むことができる。
【0120】
幾つかの形態では、本開示組成物は非経口投与形態を含むことができる。「非経口投与」としては、例えば皮下注射、静脈内注射、腹腔内、筋肉内注射、胸骨内注射及び注入が挙げられる。注射可能な調製剤(例えば、無菌の注射可能な水性又は油性懸濁液)は公知技術に従い、適切な分散剤、湿潤剤及び/又は懸濁剤を用いて製剤化できる。典型的に、適量の医薬上許容されるキャリアは製剤等張の状態にするために製剤中で使用される。医薬上許容されるキャリアの例としては、限定するわけではないが、生理食塩水、リンガー溶液及びデキストロース溶液が挙げられる。他の許容される賦形剤としては、限定するわけではないが、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤などが挙げられる。
【0121】
幾つかの形態では、本開示組成物は局所投与形態を含むことができる。「局所投与」としては、例えば経皮パッチ又はイオントフォレーシスデバイスなどを介す経皮投与、眼内投与又は鼻腔内もしくは吸入投与が挙げられる。局所投与のための組成物としては、例えば局所ゲル、スプレー、軟膏及びクリームを挙げることができる。局所製剤は、皮膚又は他の患部を介して活性成分の吸収又は浸透を向上させる化合物を含むことができる。化合物及び組成物が経皮デバイスによって投与されるときには、投与はリザーバ及び多孔膜タイプ又は固体マトリックス型のいずれかのパッチを用いて行われるであろう。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウエハ、インプラント、スポンジ、繊維、バンデージ及びマイクロエマルションが挙げられる。リポソームも使用されうる。典型的なキャリアとしては、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールが挙げられる。浸透促進剤は取り込まれることができる−例えば、Finnin及びMorgan(1999年10月)によるJ Pharm Sci,88(10),955-958を参照されたい。
【0122】
眼への局所投与に適する製剤としては、例えば点眼が挙げられ、ここで本開示化合物又は組成物は適切なキャリア中で溶解又は懸濁されている。眼又は耳への投与に適する典型的な製剤は等張性のpH調整された無菌生理食塩水中で微細化された懸濁液又は溶液の点眼剤の形態であることができる。眼又は耳への投与に適する他の製剤としては、軟膏、生分解性(例えば、吸収性のゲルスポンジ、コラーゲン)及び非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、ウエハ、レンズ及びニオソーム又はリポソームなどの微粒子又は小嚢システムが挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はメチルセルロース、或いはヘテロ多糖ポリマー、例えばゲランガムなどのポリマーは、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と一緒に取り込まれることができる。かかる製剤はまた、イオントフォレーシスによっても送達されうる。
【0123】
医薬業界において公知の他のキャリア材料及び投与様式も使用されうる。本開示医薬組成物は有効製剤及び投与手順などの調剤学の任意の周知技術によって調製されうる。有効製剤及び投与手順に関する上記考察は、当該技術分野において周知であり、そして標準的な教科書に記載されている。薬物の製剤は、例えば、Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1975; Libermanら, Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及びKibbeら, Eds., Handbook of Pharmaceutical Excipients (3.sup.rd Ed.), American Pharmaceutical Association, Washington, 1999において議論されている。
【0124】
本開示化合物は、多様な症状又は疾患状態の治療又は予防において、単独、又は他の治療剤との組み合わせで使用されうる。「組み合わせ」での2つ以上の化合物の投与とは、一方の存在が他方の生物学的効果を変化させる時間、2つの化合物を十分に密にして投与することを意味する。2つ以上の化合物は、同時に、共に又は順次に投与されうる。
【0125】
有効量の本発明の化合物又はその医薬上許容される塩及び医薬上許容されるキャリア又は賦形剤を含む医薬組成物は開示される。これらの組成物は、さらに追加の薬剤を含むことができる。これらの組成物はグレリン受容体の活性を調節するのに有用であり、そのため、肥満及び/又は代謝障害などのグレリン受容体関連ヒト疾患の予防及び治療を改善する。
【0126】
方法
本発明の全ての方法は本発明の化合物を単独で、又は、他の薬剤との組み合わせで実施されうる。
【0127】
上記の化合物及び組成物は病態生理学的にグレリン受容体によって調節される疾患の阻止、減弱、予防及び/又は治療に有用である。したがって、幾つかの形態では、治療的に有効量の上記に開示されるような式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を対象に投与することを含む、グレリン受容体によって病態生理学的に調節される疾患を予防及び/又は治療するための方法が開示される。
【0128】
適切な対象としては哺乳動物の対象を挙げることができる。哺乳動物としては、限定するわけではないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、齧歯類、ウサギ、霊長類などが挙げられ、そして子宮内の哺乳動物をも包含される。幾つかの形態では、ヒトが対象である。ヒト対象はいずれの性別であってもよく、また、任意の発達段階であってよい。
【0129】
グレリン受容体によって調節され、そして、本明細書中に開示される方法によって潜在的に治療可能である疾患としては、肥満、過体重、摂食障害、糖尿病、代謝症候群、癌からもたらされる悪液質、鬱血性心不全、加齢又はAIDSによる消耗、慢性肝不全、慢性閉塞性肺疾患、消化管疾患、胃障害又は物質乱用が挙げられる。本発明の方法によって潜在的に治療可能な代謝障害としては、糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、不十分な耐糖能、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、加齢、症候群X、アテローム性動脈硬化症、心疾患、脳卒中、高血圧症及び末梢血管疾患が挙げられる。本発明の方法によって潜在的に治療可能な胃障害としては、術後イレウス(POI)、糖尿病性胃不全まひ及びオピオイド誘発性腸機能障害が挙げられる。本発明の方法によって潜在的に治療可能な胃腸疾患としては、過敏性腸症候群、胃炎、酸逆流性疾患、胃不全まひ及び機能性消化不良が挙げられる。本発明の方法によって潜在的に治療可能な物質乱用としては、アルコール及び薬物乱用が挙げられ、そして前記薬物としては、アンフェタミン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、コカイン、メタカロン及びオピオイドが挙げられる。
【0130】
本発明の幾つかの実施形態では、式Iの化合物は染色体15に通常関与する遺伝性疾患であるプラダー・ウィリー症候群の治療に有用である。プラダー・ウィリーは、肥満症、低血圧又は筋緊張低下、及び、この疾患に罹患している子どもの有意な発達遅延を特徴とする。
【0131】
本発明の幾つかの実施形態では、式Iの化合物は過剰摂食障害の治療に有用である。過剰摂食障害は摂食に対する複雑な衝動である。摂食は過剰な(強制過食)であることができ、そして排出事象で中断される通常の摂食を含むことができ、又は、爆食と排出とのサイクルを含むことができる。最も一般的な過剰摂食障害は過食症である。別の広く急速に広がっている過剰摂食障害は強制過食であり、むちゃ食い障害(BED)とも呼ばれている。幾つかの実施形態では、式Iの化合物はBEDの治療に使用される。
【0132】
幾つかの実施形態では、式Iの化合物はパーキンソン誘発性便秘及び胃の運動障害の治療に有用である。幾つかの実施形態では、式Iの化合物は化学療法誘発性悪心及び嘔吐(CINV)の治療に有用である。
【0133】
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は炎症、急性及び慢性疼痛ならびに乗り物酔いの治療に有用である。
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は薬物及びアルコールの乱用の治療に有用である。幾つかの実施形態では、式Iの化合物はグレリン受容体モジュレーターである。幾つかの他の方法では、式Iの化合物はグレリン受容体アゴニストである。幾つかの方法では、式Iの化合物はグレリン受容体アンタゴニストである。幾つかの方法では、式Iの化合物又はその医薬上許容される塩は、直腸、頬側、舌下、静脈内、皮下、皮内、経皮、腹腔内、経口、点眼、非経口及び局所投与からなる群より選ばれる1つ以上の経路で投与される。幾つかの他の方法では、投与は、式Iの化合物又はその医薬上許容される塩の経口剤形を投与することによって行われる。
【0134】
治療有効量は疾患の重篤度、対象の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効力及び他の要因に依存して広く変化しうる。式Iの化合物の治療有効量は約0.01マイクログラム/Kg(μg/Kg)体重/日〜約100mg/Kg体重/日、又は、約0.1μg/Kg/日〜約10mg/Kg/日、又は、約1μg/Kg/日〜約5mg/Kg/日、又は、約10μg/Kg/日〜約5mg/Kg/日、又は、約100μg/Kg/日〜約5mg/Kg/日、又は,約500μg/Kg/日〜約5mg/Kg/日の範囲であることができる。
【0135】
用語の定義
本出願全体を通して、多様な刊行物が参照される。これらの刊行物のそれら全体における開示は当該技術の現状水準をより十分に説明するために、本出願での参照によって本明細書中に取り込まれる。開示される文献はその参照がある文中で議論されるものの中に含まれる材料についても、参照により、個別かつ具体的に本明細書中に取り込まれる。
【0136】
1.A、an、the
本明細書及び添付の特許請求の範囲の中で使用されるときに、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が他の意味を明確に示していない限り、複数形の指示対象を包含する。したがって、例えば、「医薬キャリア(a pharmaceutical carrier)」の言及は2つ以上のかかるキャリアの混合物などを包含する。
【0137】
2.略語
当業者に周知の略語(例えば、時間については「h」又は「hr」、グラムについては「g」又は「gm」、ミリリットルについては「mL」、そして室温については「rt」、ナノメートルについては「nm」、モル濃度については「M」などの略語)は使用されうる。
【0138】
3.約
用語「約」は本開示の実施形態を記載するときに使用される組成物中の成分の量、濃度、体積、工程温度、工程時間、収率、流速、圧力などの数値ならびにそれらの範囲を修飾するために使用されるときに、例えば、化合物、組成物、濃縮物又は使用製剤を製造するために使用される典型的な測定及び取扱い手順、本方法を実施するために使用される出発原料又は成分の製造、源又は純度の差異などの考察点により生じうる数量の変動を指す。用語「約」は、特定の初期濃度又は混合物を有する組成物又は製剤の経時変化により異なる量、及び、特定の初期濃度又は混合物を有する組成物又は製剤を混合又は処理することにより異なる量も包含する。用語「約」によって修飾されるかどうかにかかわらず、本明細書に添付される特許請求の範囲はこれらの量と等価の量を包含する。
【0139】
4.含む(comprise)
本明細書の記載及び特許請求の範囲全体を通して、用語「含む(comprise)」及び該単語の変化形「含む(comprising)及び(comprises)など)は、「限定しないで含む」ことを意味し、そして、例えば、他の添加剤、化学成分、整数又は工程を排除することを意図しない。
【0140】
5.グレリン受容体アゴニスト
グレリン受容体アゴニストは、細胞中のグレリン受容体に結合しそしてグレリン受容体を活性化する任意の分子である。
【0141】
6.グレリン受容体アンタゴニスト
グレリン受容体アンタゴニストは、グレリン受容体に結合しそしてグレリン受容体の活性を阻害する任意の分子である。
【0142】
7.グレリン受容体により病態生理学的に媒介される
グレリン受容体が、疾患又は傷害に関連し又は疾患又は傷害の結果として生じる身体における機能的変化に関与するならば、「グレリン受容体により病態生理学的に媒介される」ということである。
【0143】
8.肥満
肥満は健康に有害な影響を有し、短縮された平均寿命及び/又は増加した健康問題をもたらす程度まで過剰な体脂肪が蓄積された医学的状態である。肥満治療としては体重減量の誘導、体重の減量、食物摂取の減少、食欲減退、代謝率の増加、脂肪摂取の減少、炭水化物渇望の減少又は満腹の誘導が挙げられる。本明細書における肥満関連障害は、肥満に関連し、肥満によって引き起こされ、又は肥満から生じる。肥満関連障害の例としては、過食、多食及び食欲亢進、高血圧症、糖尿病、上昇した血漿中インスリン濃度及びインスリン抵抗性、脂質異常症、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌及び大腸癌、変形性関節症、閉塞性睡眠時無呼吸症、胆石症、胆石、心疾患、異常心拍及び不整脈、心筋梗塞、鬱血性心不全、冠動脈性心疾患、突然死、脳卒中、多嚢胞性卵巣疾患、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠損対象、正常変異型低身長症、ターナー症候群、及び、代謝活性低下又は安静時エネルギー消費量の低下を総除脂肪量のパーセントとして示す他の病的状態、例えば、急性リンパ芽球性白血病の子供が挙げられる。肥満関連障害のさらなる例は、代謝症候群、インスリン抵抗性症候群、性的及び生殖機能障害(例えば、不妊、男性における性腺機能低下症及び女性における多毛症)、胃腸運動障害(例えば、肥満関連胃食道逆流)、呼吸器障害(例えば、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)など)、心血管障害、炎症(例えば、脈管構造の全身性炎症)、動脈硬化症、高コレステロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆のう疾患、痛風及び腎臓癌、ニコチン中毒、物質中毒及びアルコール依存症である。本発明の組成物は、左室肥大のリスクを低減するなどの肥満の二次転帰のリスクを低減するためにも有用でもある。
【0144】
9.代謝障害
代謝障害は、糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、不十分な耐糖能、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、加齢、症候群X、アテローム性動脈硬化症、心疾患、脳卒中、高血圧症及び末梢血管疾患などの代謝の障害である。
【0145】
10.鬱血性心不全
鬱血性心不全(CHF)とは、酸素に富む血液を体に送達するためのポンプとしての心機能が体の要求を満たすには不十分である状態である。鬱血性心不全は、心筋が弱まった疾患、又は、心筋の硬化を引き起こす疾患、又は、心臓の送達能を超えて体内組織による酸素要求を増加する疾患によって引き起こされることができる。多くの疾患は心室のポンプ作用を損なうことがある。例えば、心室の筋肉は、心臓発作又は感染症(心筋炎)によって弱められることがある。筋肉の衰えによる心室の減少したポンプ能は収縮機能障害と呼ばれる。それぞれの心室収縮(心収縮)の後に、心室筋は心房からの血液で心室を満たすために弛緩する必要がある。この心室の弛緩は心臓拡張期と呼ばれる。ヘモクロマトーシス又はアミロイドーシスなどの疾患は心筋の硬化を引き起こし、そして心室の弛緩及び充填能を損なわせることがある。これは拡張機能障害と呼ばれる。これの最も一般的な原因は肥厚した(肥大した)心臓をもたらす長期に及ぶ高血圧である。さらに、ある患者では、心臓のポンプ作用及び充填能は正常であることができるけれども、身体の組織による異常に高い酸素要求(例えば、甲状腺機能亢進症による)は、心臓が十分な血流を供給するのを困難にすることがある(高拍出量性心不全と呼ばれる)。ある患者では、1つ以上のこれらの要因が存在して、鬱血性心不全を引き起こすことがある。鬱血性心不全は身体の多くの臓器に影響を及ぼしうる。例えば、弱くなった心筋は、十分な血液を腎臓に供給し得ず、それは、その後に塩(ナトリウム)及び水を排出するそれらの正常な能力を失い始める。この減少した腎機能は身体により多くの体液を留める原因になり得る。肺は体液で充満され始める可能性があり(肺水腫)、そしてその人の運動能力は低下する。同様に体液は肝臓に蓄積し、それにより身体から毒物を取り除きそして必須タンパク質を産生する能力を損なうことがある。腸は栄養及び薬の吸収における効率が悪くなり始めることがある。時間とともに、未治療で、悪化している鬱血性心不全は、事実上、身体中の全ての臓器に影響を及ぼすであろう。
【0146】
11.アゴニズム作用
アゴニズム作用は受容体の活性化を導き、このようにして、公知の受容体のアゴニストへの細胞応答に類似する細胞応答を引き起こす、分子の受容体への結合を指す。
【0147】
12.アンタゴニズム作用
アンタゴニズム作用は、受容体の阻害を導く、分子の受容体への結合を指す。
【0148】
13.調節
調節すること(modulate)又はその変形は細胞標的を介して媒介される細胞活性を増加させ、減少させ又は維持させることのいずれかを意味する。これらの用語の1つがどこで使用されていても、対照物から1%、5%、10%、20%、50%、100%、500%又は1000%増加され、又は、対照物から1%、5%、10%、20%、50%又は100%減少されうることも開示されていることが理解される。
【0149】
14.場合による(任意)
「場合による」又は「場合により」は、その後に記載される事象又は状況が起こっても、又は、起こらなくてもよいことを意味し、そしてその記載は前記事象又は状況が起こる場合の事例及びそうでない場合の事例を包含する。
【0150】
15.又は
用語「又は」などは、本明細書において使用されるときに、特定のリストの任意の1つの構成員を意味し、そしてそのリストの構成員の任意の組み合せも包含する。
【0151】
16.刊行物
本出願全体を通して、多様な刊行物が参照される。これらの刊行物のそれら全体における開示は当該技術の現状水準をより十分に説明するために、本出願での参照によって本明細書中に取り込まれる。開示される文献はその参照がある文中で議論されるものの中に含まれる材料についても、参照により、個別かつ具体的に本明細書中に取り込まれる。
【0152】
17.対象
全体を通して使用されるときに、「対象」は個体を意味する。したがって、「対象」としては、例えば、ネコ、イヌなどの飼いならされた動物、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)、哺乳動物、非ヒト哺乳動物、霊長類、非ヒト霊長類、齧歯類、鳥類、は虫類、両生類、魚及び任意の他の動物を挙げることができる。対象は霊長類又はヒトなどの哺乳動物であることができる。対象は非ヒトでもありうる。
【0153】
18.処置(治療)
「処置(治療)すること(treating)」又は「処置(治療)(treatmet)」は疾患、病状障害を治癒させ、改善し、安定させ又は予防することを目的とする患者の医学的管理を意味する。これらの用語は、積極的治療、すなわち、疾患、病状又は障害の改善に具体的に向けられる治療を包含し、また、原因治療、すなわち、関連する疾患、病状又は障害の原因の除去に向けられる治療も包含する。これらの用語は、基礎疾患の徴候が減少すること、及び/又は徴候を引き起こす1つ以上の根本にある細胞的、生理学的又は生化学的原因又はメカニズムが減少することを意味することができる。この関係で使用されるときに、減少するとは、疾患の生理学的状態だけではなく、疾患の分子状態を含めた疾患の状態に対する意味と理解される。特定の状況では、治療は意図せずに悪影響を及ぼすことがある。さらに、これらの用語は、一時的に和らげる治療、すなわち、疾患、病状又は障害の治癒でなく、むしろ徴候の軽減のために設計された治療、予防的治療、すなわち、関連する疾患、病状又は障害の進行を最小化し、又は部分的もしくは完全に抑制することに向けられた治療、及び、補助的治療、すなわち、関連する疾患、病状又は障害の改善に向けられた他の特定の療法を補うために使用される治療を包含する。これらの用語は、治癒目的又は軽減目的を有する治療、及び、予防目的を有する治療の両方を意味する。治療は急性又は慢性のいずれでもなしうる。治療は、対照物と比較して、1つ以上の徴候又は特徴の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%、99.99%、100%までの減少を意味することができることが理解される。これらの用語の関係では、予防は、本明細書において特定された疾患を有すると診断された患者、又は、かかる疾患の進行の危険がある患者において、その疾患を予防する化合物又は組成物(例えば、本開示化合物及び組成物)の能力を指す。本関係では、予防するとは、対照物と比較して、疾患の発症を遅らせることを含める。これらの用語は、実際に治療が任意の意図された結果を生むほど有効であることを要求しない。
【0154】
19.治療に有効
用語「治療に有効」は使用される組成物の量が、本明細書において規定されるとおりに対象を治療するのに十分な量であることを意味する。
【0155】
20.毒性
毒性は、物質、分子が、その物質又は分子に曝されると細胞、組織、器官又は全生物などの何かを損傷することができる程度である。例えば、肝臓、又は、肝臓中の細胞、肝細胞は特定の物質によって損傷されうる。本発明の方法は、好適には非毒性である。
【実施例】
【0156】
本発明は特定の実施例によりさらに詳細に説明されるであろう。以下の実施例は例示の目的で提供され、いかなる方法においても本発明を限定するものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るように変更又は修飾することができる様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【0157】

例1
中間体1kの合成
【化6】
【0158】
工程1:
1a (100 g, 0.62 mol)のDMF (1.2 L)中の溶液にN-ブロモスクシンイミド(110 g, 0.62 mol)を0℃にて添加した。混合物を室温にて4時間撹拌し、その後、水(800 mL)を添加し、そして得られた混合物をEtOAc (3 × 500 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水 Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物を石油エーテルで研和し、1b (133.7 g, 89%収率)を褐色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ= 7.30 (d, 1 H), 6.59 (d, 1 H), 4.22 (br, 2 H)。 LC-MS: 241 [M+1]+
【0159】
工程2:
1b (133.7 g, 0.55 mol)の乾燥CH2Cl2 (1.5 L)中の溶液に、無水酢酸(110 g, 0.62 mol)を滴下して、20分の時間にわたって室温にて添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後、CH2Cl2 (300 mL)で希釈し、そして水(150 mL)及びブライン(200 mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物を石油エーテル(300 mL)で研和し、化合物1c (143.0 g, 91%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.26 (d, 1 H), 7.63 (br, 1 H), 7.54 (d, 1 H), 2.26 (s, 3 H)。 LC-MS: 280 [M-1]-
【0160】
工程3:
化合物1c (50.0 g, 0.18 mol)、ブチルビニルエーテル(1d, 89.0 g, 0.89 mol)、ビス (1,3-ジフェニルホスフィノ)プロパン (DPPP, 22.0 g, 0.053 mol)、TEA (100 mL, 0.71 mol)及びPd(OAc)2 (6.4 g, 0.027 mol)のDMSO (1.2 L)中の混合物を130℃でN2 下に一晩加熱した。反応が完了した後に、混合物を0℃に冷却し、そして2N HCl (480 mL)を滴下して30分の時間にわたって添加した。その後、混合物をEtOAc (3 × 100 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc: PE=1:10)により精製し、1e (19.5 g, 45% 収率)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.46 (d, 1 H), 7.82 (br, 1 H), 7.51 (d, 1 H), 2.63 (s, 3 H), 2.29 (s, 3 H)。 LC-MS: 244 [M-1]-
【0161】
工程4:
1e (21.9 g, 89.4 mmol)のMeOH (350 mL)中の溶液に、2N NaOH溶液(350 mL)を室温にて添加した。混合物を50℃で一晩加熱し、その後、冷却し、そして減圧下に濃縮した。得られた固形分を水(100 mL)で30分間研和し、そしてろ過し、1f (18.0 g, 98%収率)を褐色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.48 (d, 1 H), 6.68 (d, 1 H), 4.56 (br, 2 H), 2.62 (s, 3 H)。 LC-MS: 202[M-1]-
【0162】
工程5:
化合物1f (18.0 g, 89.2 mmol)及び氷(360 g)の濃HCl (180 mL)中の混合物に、NaNO2 (9.2 g, 133.7 mmol)の水(20 mL)中の溶液を滴下して、 30分の時間にわたって添加し、そして得られた混合物をアイスバス中で30分間撹拌した。KI (74.0 g, 446 mmol)の水(360 mL)中の溶液を滴下して45分にわたって0℃で添加した。混合物を30分間撹拌し、その後、EtOAc (3 × 100 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc: PE=1:40)により精製し、1g (23.9 g, 86%収率)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.6 (d, 1 H), 7.06 (d, 1 H), 2.62 (s, 3 H)。
【0163】
工程6:
1g (23.9 g, 76.1 mmol)のMeOH (100 mL)/THF (100 mL)中の溶液に、NaBH4 (2.9 g, 76.1 mmol)を0℃にてゆっくりと添加した。混合物を室温にて5分間撹拌し、その後、水(100 mL)でクエンチした。混合物をEtOAc (3 × 100 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc: PE=1:10)により精製し、1h (22.4 g, 93%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.81 (d, 1 H), 7.26 (d, 1 H), 5.23 (q, 1 H), 2.17 (br, 1 H), 1.47 (d, 3 H)。
【0164】
工程7:
1h (22.4 g, 70.9 mmol)、フタルイミド(12.5 g, 85.0 mmol)及びPPh3 (22.3 g, 85.0 mmol)の乾燥THF (450 mL)中の混合物に、DIAD (21.5 g, 106.3 mmol)を室温にてN2 保護下に添加した。混合物を室温にて一晩撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc: PE=1:15)により精製し、1i (18.5 g, 58% 収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.78-7.84 (m, 3 H), 7.70-7.73 (m, 2 H), 7.41-7.43 (d, 1 H), 5.76-5.81 (q, 1 H), 1.84 (d, 3 H)。
【0165】
工程8:
1i (7.2 g, 16.2 mmol)及びヒドラジン水和物(98%, 4.0 g, 80.9 mmol)のMeOH (150 mL)中の溶液を還流下に2時間加熱し、その後、冷却しそして減圧下に濃縮した。残留物を水(100 mL)で希釈し、そしてCH2Cl2 (3 × 100 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮し、1j (3.8 g, 75%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.81 (d, 1 H), 7.25 (d, 1 H), 4.55 (q, 1 H), 1.36-1.38 (d, 3 H)。 LC-MS: 316 [M+1]+
【0166】
工程9:
1j (41.0g, 0.13 mol)のメチルtert-ブチルエーテル(750 mL)中の溶液に、D-マンデル酸(7.8 g, 0.052 mol)のメチルtert-ブチルエーテル(110 mL)中の溶液をゆっくりと、45℃にて添加した。混合物をこの温度で30分間撹拌し、その後、冷却しそしてろ過した。得られた白色固形分を5% NaOH 溶液(300 mL)と、メチルtert-ブチルエーテル(300 mL)との間で分割した。二相を分離し、そして水性相をメチルtert-ブチルエーテル(300 mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して、中間体1k(12 g, 58.5%収率)を白色固形分として提供した。(ee%=98.0%, Chiralpak AD-H, 5 μm, 4.6*250mm, 移動相: Hex: EtOH : DEA=80 : 20 : 0.2), 保持時間= 6.408 min)。
【0167】
例2
化合物2bの合成
【化7】
【0168】
N-メチル-4-ピぺリドン 2a (13.3 g, 58.6 mmol)、NH2Me (30%、MeOH中、 100 mL)及びPd/C (0.66 g)のMeOH (200 mL)中の懸濁液を60℃でH2 雰囲気下(50 psi)に一晩加熱し、その後、冷却しそしてろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、そして残留物をジオキサン中のHCl (3N, 100 mL)に溶解し、そして30分間撹拌した。沈殿物をろ過し、そしてEtOAc (50 mL)で洗浄し、2b (7.7g, 54%収率)を白色粉末として提供した。1H-NMR (DMSO, 400 MHz): δ= 9.50 (br, 2 H), 3.48 (d, 2 H), 3.15-3.16 (m, 1 H), 2.96-3.01 (m, 2 H), 2.70 (s, 3 H), 2.51 (s, 3 H), 2.22-2.28 (m, 2 H), 1.94-2.02 (m, 2 H), LC-MS: 129 [M+1]+
【0169】
例3
化合物H0603の合成
【化8】
【0170】
工程1:
1k (1.83 g, 5.8 mmol)のCH2Cl2 (70 mL)中の溶液に、TEA (5.6 mL, 40.6 mmol)及びトリホスゲン(1.29 g, 4.4 mmol)を0℃にて添加した。混合物を20分間撹拌し、その後、2b (1.14 g, 6.97 mmol)を添加した。アイスバスを取り外し、混合物を30分間撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物をCH2Cl2 (50 mL)と飽和NaHCO3 溶液(50 mL)との間で分割した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物を、EtOAc (1 mL)及び石油エーテル(20 mL)の混合物で研和し、化合物3a (2.31 g, 85%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.74 (d, 1 H), 6.94 (d, 1 H), 5.19-5.21 (m, 1 H), 4.95 (d, 1 H), 4.48-4.51 (m, 1 H), 3.54-3.57 (m, 2 H), 2.72-2.84 (m, 8 H), 2.20-2.27 (m, 2 H), 1.70-1.77 (m, 2 H), 1.45 (d, 3 H)。LC-MS: 470 [M+1]+
【0171】
工程2:
3a (3 g, 6.38 mmol)、トリメチルシリルアセチレン(3.1 g, 31.9 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (210 mg, 0.3 mmol)及びCuI (85 mg, 0.45 mmol)のTEA (60 mL)中の混合物を80℃にてN2 下に一晩加熱し、その後、冷却し、CH2Cl2 (40 mL)で希釈しそしてろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、そして残留物をEtOAc (40 mL)及び水(40 mL)の間で分割した。有機相を分離し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン1:30, 1% NH4OH)により精製し、2.4 gの淡黄色固形分を提供し、それをK2CO3 (0.75 g, 5.45 mmol)のMeOH (40 mL)中の懸濁液中に溶解し、そして室温にて30分間撹拌した。混合物をろ過し、減圧下に濃縮し、そして残留物をEtOAc (40 mL)と水(40 mL)との間で分割した。有機相を分離し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして減圧下に濃縮し、H0603 (1.9 g, 82%収率)を白色粉末として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.43 (d, 1 H), 7.21 (d, 1 H), 5.27-5.31 (m, 1 H), 4.81 (d, 1 H), 4.09-4.17 (m, 1 H), 3.38 (s, 1 H), 2.86-2.91 (m, 2 H), 2.80 (s, 3 H), 2.27 (s, 3 H), 1.98-2.09 (m, 2 H), 1.61-1.65 (m, 2 H), 1.48-1.52 (m, 2 H), 1.46 (d, 3 H)。LC-MS: 368 [M+1]+
【0172】
例4
化合物H0700の合成
【化9】
【0173】
3a (3.0 g, 6.38 mmol)、3b (3.54 g, 9.57 mmol)、CuI (243 mg, 1.27 mmol)及びPd(PPh3)4 (1.47 g, 1.27 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(60 mL)中の混合物を100℃にてN2 下に一晩加熱し、その後、CH2Cl2 (100 mL)で希釈しそしてろ過した。ろ液をブライン(100 mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、MeOH: CH2Cl2 1:30, 1% NH4OH)により精製し、H0700 (1.3 g, 48%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.90 (d, 1 H), 8.66-8.67 (m, 1 H), 8.58 (d, 1 H), 7.45 (d, 1 H), 7.38 (d, 1 H), 5.35-5.39 (m, 1 H), 4.87 (d, 1 H), 4.13-4.14 (m, 1 H), 2.85-2.90 (m, 2 H), 2.81 (s, 3 H), 2.26 (s, 3 H), 1.98-2.05 (m, 2 H), 1.69-1.77 (m, 2 H), 1.54-1.64 (m, 2 H), 1.51 (d, 3 H)。LC-MS: 422 [M+1]+
【0174】
例5
化合物H0722の合成
【化10】
【0175】
化合物4a (1.39 g, 4.08 mmol)、2b (1.0 g, 6.1 mmol)、DPPA (1.23 g, 4.5 mmol)及びTEA (3 mL)の乾燥トルエン(100 mL)中の混合物を還流下に一晩加熱し、その後、冷却しそして減圧下に濃縮した。残留物をEtOAc (50 mL)と飽和Na2CO3 溶液(50 mL)との間で分割した。有機相を分離し、ブライン(50 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン1:40, 1% NH4OH)により精製し、H0722 (1.03 g, 55%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.89 (d, 1 H), 8.66-8.67 (m, 1 H), 8.58 (d, 1 H), 7.43 (d, 1 H), 7.37 (d, 1 H), 5.35-5.38 (m, 1 H), 5.21 (d, 1 H), 4.15-4.17 (m, 1 H), 2.85-2.90 (m, 2 H), 2.83 (s, 3 H), 2.26 (s, 3 H), 1.97-2.05 (m, 2 H), 1.66-1.80 (m, 6 H), 0.68-0.70 (m, 1 H), 0.50-0.54 (m, 2 H), 0.14-0.15 (m, 2 H) LC-MS: 462 [M+1]+
【0176】
例6
化合物H0751の合成
【化11】
【0177】
工程1:
5a (5 g, 30.5 mmol)、トリメチルシリルアセチレン(3.6 g, 36.6 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (210 mg, 0.3 mmol)及びCuI (85 mg, 0.45 mmol)のTEA (150 mL)中の混合物を80℃にて3時間、N2下に加熱し、その後、冷却し、Et2O (100 mL)で希釈し、そしてブライン(100 mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc/石油エーテル1:15)で精製し、5b (4.3 g, 79%収率)を黄色オイルとして提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.74 (d, 1H), 7.53 (d, 1H), 0.26 (s, 9H)。
【0178】
工程2:
化合物5b (4.1g, 22.5 mmol)のTBME (100 mL)中の溶液に、室温にてBu4NF (THF中1 M) (22.5 ml, 22.5 mmol)を添加した。混合物を室温にて30分間撹拌し、その後、水(100 mL)でクエンチした。有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そしてろ過して、粗製化合物7c をTBME (80 mL)中で提供し、それを更なる精製なしに次の工程において直接使用した。
【0179】
工程3:
粗製化合物5cのTBME中の溶液を、3a (3 g, 6.3 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (660 mg, 0.95 mmol)、CuI (180 mg, 0.95 mmol)のDMF (50 ml)及びTEA(10 mL)中の混合物に添加した。混合物を110℃にてN2 下に一晩、シールされたチューブ中で加熱し、その後、冷却し、CH2Cl2 (100 mL)で希釈しそしてろ過した。ろ液をブライン(100 mL)で洗浄し、そして有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン1:30, 1% NH4OH)により精製し、H0751 (1.18 g, 40% 収率)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.76 (d, 1 H), 7.59 (d, 1 H), 7.42 (d, 1 H), 7.16 (d, 1 H), 5.22-5.26 (m, 1 H), 4.73-4.74 (d, 1 H), 4.03-4.09 (m, 1 H), 2.81 (br, 2 H), 2.73 (s, 3 H), 2.19 (s, 3 H), 1.91-1.99 (m, 2 H), 1.63-1.69 (m, 2 H), 1.52-1.62 (m, 2 H), 1.41 (d, 3 H)。 LC-MS: 451 [M+1]+
【0180】
例7
化合物H0754の合成
【化12】
【0181】
H0603 (2.2 g, 6 mmol)、6a (2.97 g, 18 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2 (0.66 g, 0.9 mmol)及びCuI (264 mg, 1.38 mmol)のTEA (50 mL)中の混合物を65℃にてN2 下に一晩加熱し、その後、冷却し、CH2Cl2 (100 mL)で希釈しそしてろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、そして残留物をEtOAc (50 mL)と水(50 mL)との間で分割した。有機相を分離し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン、1:30, 1% NH4OH)により精製し、H0754 (990 mg, 37%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ= 7.91 (d, 1 H), 7.54 (d, 1 H), 7.46 (d, 1 H), 7.22 (d, 1 H), 5.32-5.26 (m, 1 H), 4.99 (d, 1 H), 4.47-4.60 (m, 1 H), 3.40-3.62 (m, 2 H) , 2.88 (s, 3 H), 2.76-2.91 (m, 2 H), 2.82 (s, 3 H), 1.70-1.90 (m, 4 H), 1.51 (d, 3 H)。 LC-MS: 451 [M+1]+
【0182】
例8
化合物H0761の合成
【化13】
【0183】
化合物4a (2.3 g, 6.78 mmol)、DPPA (1.86 g, 6.78 mmol)及びTEA (10.2 mL)の乾燥トルエン(200 mL)中の混合物を110℃で2時間撹拌し、その後、室温に冷却し、そして化合物7a (1.75 g, 13.56 mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物をEtOAc (100 mL)と飽和Na2CO3 溶液(100 mL)との間で分割した。有機相を分離し、ブライン(100 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン、1:30, 1% NH4OH)により精製し、H0761 (1.4 g, 48.3%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 10.11 (s, 1 H), 8.91 (d, 1 H), 8.66 (m, 1 H), 8.57 (d, 1 H), 7.46 (d, 1 H), 7.36 (d, 1 H), 6.84 (d, 1 H), 5.35 (m, 1 H), 3.97-4.04 (m, 1 H), 2.86-2.93 (m, 2 H), 2.25 (s, 3 H), 1.93-2.13 (m, 4 H), 1.79-1.86 (m, 1 H), 1.64-1.72 (m, 2 H), 1.55-1.58 (d, 1 H), 0.65-0.70 (m, 1 H), 0.46-0.50 (m, 2 H), 0.11-0.14 (m, 2 H)。 LC-MS: 464 [M+1]+
【0184】
例9
化合物H0764の合成
【化14】
【0185】
3a (2.0 g, 4.26 mmol)及び8b (1.4 g, 21.2 mmol)の乾燥THF (10 mL)及びTEA (1.8 g, 17 mmol)中の溶液に、Pd(PPh3)2Cl2(597 mg, 0.85 mmol)及びCuI (220 mg, 1.16 mmol)を室温にてN2下に添加した。混合物を80℃にてシールされたチューブ中で一晩加熱し、その後に冷却し、CH2Cl2 (50 mL)で希釈しそしてろ過した。ろ液をブライン(50 mL)で洗浄し、そして有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン、1:30, 1% NH4OH)により精製し、H0764 (990 mg, 37%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.27 (d, 1 H), 7.12 (d, 1 H), 5.24-5.29 (m, 1 H), 4.78 (d, 1 H), 4.07-4.14 (m, 1 H), 2.74-2.88 (m, 2 H), 2.76 (s, 3 H), 2.24 (s, 3 H), 1.96-2.04 (m, 2 H), 1.40-1.73 (m, 5 H), 1.38 (d, 3 H), 0.70-0.90 (m, 4 H)。 LC-MS: 408 [M+1]+
【0186】
例10:
化合物H0795の合成
【化15】
【0187】
工程1:
-78℃にN2 保護下に冷却した、n-ブチルリチウム(40 mL, 0.1 mol)の無水THF (250 mL)中の2.5Mの溶液に、 TMP (2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、15 g, 0.106 mol)を滴下して20分にわたって添加した。乾燥ドライアイス/アセトンバスをアイスバスで置き換えることにより、混合物を0℃に温め、そして1.5時間撹拌した。混合物を冷却して-78℃に戻し、そして9a (3 g, 0.03 mol)及びトリブチルスズクロリド(10 g, 0.03 mol)の50 mLの乾燥THF中の溶液を10分間にわたって添加した。混合物を-78℃にて6時間撹拌し、その後、ドライアイス/アセトンバスをドライアイス/アセトニトリルバスで置き換えることにより-40℃に温めた。35% HCl、エタノール及びTHF (1:4:5)の溶液を添加した。混合物を室温に温め、そして飽和NaHCO3 溶液(100 mL)で洗浄し、そしてEtOAc (3 × 100 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水 Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc: 石油エーテル=1:15)により精製し、9b (3.4 g, 29%収率)を淡黄色オイルとして提供した。1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ= 8.41 (d, 1 H), 8.17 (d, 1 H), 1.8-0.53 (m, 27 H)。
【0188】
工程2:
3a (2.0 g, 4.4 mmol)及び9b (3.4 g, 9.35 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(200 mL)中の溶液に、Pd(PPh3)4 (800 mg, 0.69 mmol)及びCuI (40 mg, 0.21 mmol)を室温にてN2下に添加した。その後、混合物を90℃にて一晩加熱し、その後、冷却し、CH2Cl2 (100 mL)で希釈しそしてろ過した。ろ液をブライン(100 mL)で洗浄し、そして有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、MeOH:CH2Cl2, 1:30, 1% NH4OH)により精製し、化合物H0795 (1.0 g, 51% 収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.83 (d, 1 H), 8.44 (d, 1 H), 7.46 (d, 1 H), 7.22 (d, 1 H), 5.26-5.30 (m, 1 H), 4.99 (d, 1 H), 4.47-4.60 (m, 1 H), 2.90-2.95 (m, 2 H), 2.83 (s, 3 H), 2.32 (s, 3 H), 2.10-2.17 (m, 2 H), 1.78-1.83 (m, 2 H), 1.59-1.64 (m, 2 H), 1.51 (d, 3 H)。 LC-MS: 440 [M+1]+
【0189】
例11
H0816の合成
【化16】
【0190】
工程1:
1k (12.0 g, 38.1 mmol)、飽和NaHCO3 溶液(120 mL)のTHF (480 mL)中の溶液に、(Boc)2O (16.6g, 76.2 mmol)を室温にて添加した。その後、混合物を室温にて一晩撹拌した。酢酸エチル(500 mL)及び水(500 mL)を混合物に添加した。有機層を分離し、ブライン(500 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EA:PE=1:5)により精製し、10b (15.4 g, 97.5%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.76 (d, 1H), 6.99 (d, 1H), 5.05 (s, 1H), 4.97 (s, 1H), 1.27 (s, 12H)。
【0191】
工程2:
10b (5.0 g, 12.0 mmol)及び3b (5.3 g, 14.4 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(150 mL)中の溶液に、Pd(PPh3)4 (1.39 g, 2.4 mmol)、CuI (228 mg, 2.4 mmol)及びLiCl (50.4 mg, 2.1 mmol)を室温にてN2下に添加した。混合物を、その後、105℃にて一晩加熱し、その後、冷却し、そして減圧下に濃縮した。酢酸エチル(200 mL)及び水(200 mL)を上記混合物に添加し、その後、それをろ過した。有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EA: PE=1:10)により精製し、化合物10c (3.47 g, 78.5%収率)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ= 8.93 (d, 1H), 8.69-8.70 (m, 1H), 8.60 (d, 1H), 7.48-7.51 (m, 1H), 7.42-7.45 (m, 1H), 5.19-5.23 (m, 1H), 5.06 (s, 1H), 1.45 (s,12 H)。
【0192】
工程3:
0℃に冷却した、10c (3.47g, 9.5 mmol)のDCM (100 mL)中の溶液に、TFA (35 mL)を滴下して添加した。混合物を室温にて1時間撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。DCM (100 mL)を上記残留物に添加し、そして0℃に冷却した。飽和Na2CO3 溶液を滴下してpH=8となるまで上記混合物に0℃にて添加した。有機層を分離し、ブライン(200 mL)で洗浄し、その後、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、MeOH : DCM =1:100)により精製し、10d (1.7 g, 68.0%収率)を黄色固形分として提供した。LC-MS: 268 [M+1]+
【0193】
工程4:
10d (1.7 g, 6.4 mmol)及びTEA (17 mL)のDCM (340 mL)中の溶液に、トリホスゲン (1.42 g, 4.8 mmol)を小分けして0℃で添加した。その後、溶液を室温に温め、そして0.5時間撹拌した。2b (1.57 g, 9.6 mmol)を上記混合物に室温にて添加した。その後、混合物をさらに0.5時間撹拌し、そして最終的に減圧下に蒸発させた。EtOAc (150 mL)を 残留物に添加し、そして水(100 mL)及びブライン(100 mL)で洗浄した。分離された有機相を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、MeOH: DCM =1:10)により精製し、H0816 (2.04 g, 75.8%収率)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.82 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.51 (d, 1H), 7.36-7.38 (m, 1H), 7.29-7.31 (m, 1H),5.28-5.31 (m, 1H), 4.79 (d, 1H), 4.04-4.10 (m, 1H), 2.78-2.83 (m, 1H), 2.74 (s, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.91-1.99 (m, 2H), 1.61-1.70 (m, 2H), 1.47-1.57 (m, 2H), 1.44 (d, 3H)。 LC-MS: 422 [M+1]+
【0194】
例12
H0824の合成
【化17】
【0195】
工程1:
1j (2 g, 6.36 mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(2.75 g, 12.72 mmol)のTHF (30 mL)中の溶液に、飽和Na2CO3 水溶液(5 mL)を0℃にて添加した。混合物を、その後、室温にて1時間撹拌し、最終的に酢酸エチル (40 mL)で希釈した。得られた混合物をブライン(10 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物を石油エーテル(40 mL)で研和し、11b (1.86 g, 70%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=7.76 (d, 1 H), 7.00 (d, 1 H), 4.96-5.06 (m, 2 H), 1.41-1.43 (m, 12 H)。LC-MS: 416 [M+1]+
【0196】
工程2:
1b (1.8 g, 4.5 mmol)及び3b (2.4 g, 6.5 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(160 mL) 中の溶液に、Pd(PPh3)4 (780 mg, 0.67 mmol)及びCuI (90 mg, 0.45 mmol)を室温にてN2の保護下に添加した。その後、混合物を90℃に加熱し、この温度で一晩撹拌した。次いで、冷却し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル: 石油エーテル1:10)により精製し、11c (1.2 g, 73%収率)を白色固形分として提供した。LC-MS: 368 [M+1]+
【0197】
工程3:
11c (600 mg, 1.63 mmol)のジクロロメタン(15 mL)中の溶液に、トリフルオロ酢酸(5 mL)を0℃にて添加した。添加後に、混合物を室温にて2時間撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物を飽和NaHCO3 水溶液(15 mL)とジクロロメタン(20 mL)との間で分割した。有機層を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮し、11d (350 mg, 80%収率)を無色オイルとして提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.92 (d, 1 H), 8.69 (dd, 1 H), 8.59 (d, 1 H), 7.69 (d, 1 H), 7.49 (d, 1 H), 4.67-4.69 (m, 1 H), 1.43 (d, 3 H)。LC-MS: 268 [M+1]+
【0198】
工程4:
化合物11d (60 mg, 0.225 mmol)及びTEA (0.5 mL)のジクロロメタン(10 mL)中の溶液に、トリホスゲン (46 mg, 0.158 mmol)を0℃にて添加した。その後、混合物を室温にて15分間撹拌し、その後、11e (53 mg, 0.337 mmol)を添加した。その後、さらに30分撹拌し、ジクロロメタン(10 mL)で希釈し、ブライン(10 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン、1:40, 1% NH4OH)により精製し、H0824 (60 mg, 57%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.84 (dd, 1 H), 8.61 (d, 1 H), 8.51 (d, 1 H), 7.37 (dd, 1 H), 7.30 (dd, 1 H), 5.23-5.27 (m, 1 H), 4.82 (dd, 1 H), 4.02 (d, 1 H), 2.86 (d, 2 H), 2.80 (s, 3 H), 2.23 (d, 3 H), 1.90-2.01 (m, 2 H), 1.76 (d, 1 H), 1.45 (d, 3 H), 1.40 (d, 1 H), 1.05 (s, 3 H), 0.70 (s, 3 H)。 LC-MS: 450 [M+1]+
【0199】
例13
H0890 (H0824のエナンチオマー)の合成
【化18】
【0200】
工程1〜4:
化合物H0890 をH0824 と同様に合成した(1kから全体収率31%)。 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.91 (dd, 1 H), 8.68 (d, 1 H), 8.58 (d, 1 H), 7.46 (dd, 1 H), 7.40 (dd, 1 H), 5.30-5.34 (m, 1 H), 4.86 (d, 1 H), 4.09 (d, 1 H), 2.95 (d, 2 H), 2.87 (s, 3 H), 2.40 (d, 3 H), 2.46-2.51 (m, 2 H), 2.22 (s, 3 H), 2.01-2.09 (m, 2 H), 1.84 (d, 1 H), 1.51 (d, 3 H), 1.47 (d, 1 H), 1.08 (s, 3 H), 0.76 (s, 3 H)。 LC-MS: 450 [M+1]。
【0201】
例14
H0826の合成
【化19】
【0202】
工程1:
13a (3g, 26.5 mmol)、EtNH2.HCl (11.2 g, 132.7 mmol)、 TEA (5 ml)及びPd/C (300 mg)のMeOH (50 mL)中の混合物を60℃にてH2 (50 psi)下に一晩加熱し、その後、冷却しそしてろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、そして残留物をHCl/ジオキサン(4 N, 100 mL)中に溶解し、そして30分間撹拌した。沈殿物をろ過し、そして酢酸エチル (50 mL)で洗浄し、13b (4.1 g, 87%収率)を白色粉末として提供した。1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ= 9.12 (br, 2 H), 3.72 (d, 2 H), 3.25-3.29 (m, 1 H), 3.04 (q, 2 H), 2.84-2.90 (m, 2 H), 2.70 (s, 3 H), 2.22-2.28 (m, 2 H), 1.94-2.02 (m, 2 H), 1.26 (t, 3 H), LC-MS: 129 [M+1]+
【0203】
工程2:
11d (60 mg, 0.225 mmol)及びTEA (0.5 mL)のジクロロメタン(5 mL)中の溶液に、トリホスゲン (46 mg, 0.158 mmol)を0℃にて添加した。添加後に、混合物を室温にて15 分間撹拌し、その後、13b (60 mg, 0.337 mmol)を添加した。得られた混合物をさらに30分間室温にて撹拌し、その後、ジクロロメタン(10 mL)で希釈し、ブライン(10 mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン、1:40, 1% NH4OH)により精製し、H0826 (44 mg, 45%収率)を提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=8.89 (d, 1 H), 8.66 (dd, 1 H), 8.57 (d, 1 H), 7.45 (d, 1 H), 7.36 (d, 1 H), 5.36-5.39 (m, 1 H), 4.85 (d, 1 H), 4.13-4.18 (m, 1 H), 3.22 (q, 2 H), 2.84-2.88 (m, 2 H), 2.25 (s, 3 H), 1.95-2.03 (m, 2 H), 1.55-1.73 (m, 4 H), 1.53 (d, 3 H), 1.24 (t, 3 H)。 LC-MS: 436 [M+1]+
【0204】
例15
H0889 (H0826のエナンチオマー)の合成
【化20】
【0205】
H0889 (49 mg. 30%収率)の合成をH0826 の合成と同様に行った。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.90 (d, 1 H), 8.67 (dd, 1 H), 8.57 (d, 1 H), 7.45 (d, 1 H), 7.37 (d, 1 H), 5.35-5.39 (m, 1 H), 4.85 (d, 1 H), 4.11-4.17 (m, 1 H), 3.22 (q, 2 H), 2.85-2.88 (m, 2 H), 2.25 (s, 3 H), 1.97-2.04 (m, 2 H), 1.54-1.73 (m, 4 H), 1.52 (d, 3 H), 1.23 (t, 3 H)。 LC-MS: 436 [M+1]+
【0206】
例16
H0830の合成
【化21】
【0207】
工程1:
14a (3.1 g, 7.88 mol)のジクロロメタン(60 mL)中の溶液に、デスマーチンペルヨージナン(5.0 g, 11.83 mmol)を室温にて添加した。混合物を室温にて2時間撹拌し、その後、真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル: 石油エーテル=1:15)により精製し、14b (3.05 g, 99% 収率)を淡黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 10.40 (s, 1 H), 7.97 (d, 1 H), 7.52 (d, 1 H)。
【0208】
工程2:
14b (1.5 g, 3.8 mmol)及び3b (2.12 g, 5.7 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(40 mL)中の溶液に、Pd(PPh3)4 (887 mg, 0.76 mmol)及びCuI (147 mg, 0.76 mmol)を室温にてN2の保護下に添加した。混合物を90℃にて一晩撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル: 石油エーテル=1:10)により精製し、14c (826 mg, 86%収率)を淡黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 10.55 (s, 1 H), 8.97 (d, 1 H), 8.74 (dd, 1 H), 8.66 (d, 1 H), 7.98 (d, 1 H), 7.64 (d, 1 H)。LC-MS: 253 [M+1]+
【0209】
工程3:
14c (980 mg, 3.5 mmol)及び(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(1.1 g, 7.8 mmol)のTHF (20 mL)中の溶液に、ゆっくりとTBAF (THF中1 M溶液、5.8 mL, 5.8 mmol,)を0℃にて添加した。混合物を室温にて一晩加熱した後に、水(30 mL)を添加した。得られた混合物を酢酸エチル (30 mL x 3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル: 石油エーテル=1:5)により精製し、14d (640 mg, 52 %収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.92 (s, 1 H), 8.72 (s, 1 H), 8.66 (s, 1 H), 7.75 (d, 1 H), 7.53 (d, 1 H), 5.70 (q, 1 H), 3.68(br, 1 H)。 LC-MS: 323 [M+1]+
【0210】
工程4:
14d (750 mg, 2.33 mmol)及びTEA (709 mg, 7.02 mmol)のジクロロメタン (20 mL)中の溶液に、メタンスルホニルクロリド(320 mg, 2.8 mmol)を0℃にて添加した。添加の終了後に、混合物を室温にて20分間撹拌し、その後、ジクロロメタン (50 mL)で希釈した。混合物を飽和NaHCO3 水溶液(40 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして真空下に濃縮し、粗製14e (910 mg, 97% 収率)を無色オイルとして提供し、更なる精製なしに次の工程で使用した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.96 (d, 1 H), 8.73 (dd, 1 H), 8.67 (d, 1 H), 7.74 (d, 1 H), 7.64 (d, 1 H), 6.54 (q, 1 H), 3.15(s, 3 H)。
【0211】
工程5:
化合物14e (910 mg, 2.27 mmol)のDMSO (20 mL)中の溶液に、NaN3 (296 mg, 4.55 mmol)を室温にて添加した。混合物を100℃にて一晩撹拌し、その後、冷却し、そして水添加した(100 mL)。得られた混合物を酢酸エチル(50 mL x 3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル: 石油エーテル=1:5, v:v)により精製し、14f (340 mg, 44%収率)を黄色オイルとして提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.89 (d, 1 H), 8.78 (dd, 1 H), 8.62 (d, 1 H), 7.74 (d, 1 H), 7.60 (d, 1 H), 6.02 (q, 1 H)。 LC-MS: 348 [M+1]+
【0212】
工程6:
14f (34.7 mg, 0.1 mmol)、HCOOH (46 mg, 1.0 mmol)及びN2H4.H2O (50 mg, 1.0 mmol)のEtOH (10 mL)中の溶液に、ラネー-Ni (50 mg)を添加した。混合物を室温にて1時間撹拌し、その後、ろ過しそして真空下に濃縮した。残留物をジクロロメタン (20 mL)で希釈し、水(15 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして真空下に濃縮し、14g (30 mg, 93%収率)を無色オイルとして提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.92 (d, 1 H), 8.67 (dd, 1 H), 8.61 (d, 1 H), 7.67 (d, 1 H), 7.55 (d, 1 H), 5.17 (q, 1 H), 1.86 (br, 2 H)。LC-MS: 322 [M+1]+
【0213】
工程7:
14g (24 mg, 0.07 mmol)、2b (14.7 mg, 0.09 mmol)及びTEA (0.5 mL)のジクロロメタン (10 mL)中の溶液に、トリホスゲン (46 mg, 0.158 mmol)を室温にて添加した。得られた混合物を35℃でN2 の保護下に2時間撹拌し、その後、ジクロロメタン (10 mL)で希釈した。混合物を飽和Na2CO3 水溶液(10 mL)及びブライン(10 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして真空下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン 1:40, 1% NH4OH)により精製し、H0830 (10 mg, 28%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.85 (d, 1H), 8.62 (dd, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.40 (d, 1H), 6.22-6.26 (m, 1H), 5.21 (d, 1H), 4.38-4.45 (m, 1H), 3.30-3.12 (m, 2H), 2.84 (s, 3H), 2.59-2.71 (m, 5H), 1.61-1.66 (m, 2H), 1.01-1.05 (m, 2H)。 LC-MS: 476 [M+1]+
【0214】
例17
H0847の合成
【化22】
【0215】
工程1:
12b (10.4 g, 25 mmol)及び9b (19.4 g, 50 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(1.2 L)中の溶液に、Pd(PPh3)4 (4.54 g, 3.92 mmol)及びCuI (227 mg, 1.19 mmol)を室温にてN2下に添加した。混合物を90℃にて一晩加熱し、 その後、冷却し、CH2Cl2 (800 mL)で希釈しそしてろ過した。ろ液をブライン(600 mL)で洗浄し、そして有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc: 石油, 1:3)により精製し、粗製化合物15a (10.3 g, 約100%収率)を黄色固形分として提供した。LC-MS: 386 [M+1]+
【0216】
工程2:
0℃に冷却した、15a (10.3 g, 26 mmol)のDCM (500 mL)中の溶液に、TFA (100 mL)を滴下して加えた。添加が完了した後に、混合物を3時間撹拌し、その後、飽和Na2CO3 溶液(400 mL)で塩基性化し、そしてDCM (3×100 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、MeOH : CH2Cl2 : NH4OH, 1:20:0.01)により精製し、15b (4.1 g, 57%収率)を赤色固形分として提供した。LC-MS: 440 [M+1]+1
【0217】
工程3:
15b (2.0 g, 7.1 mmol)及びTEA (80 mL)のCH2Cl2 (220 mL)中の溶液に、トリホスゲン (1.52 g, 5.1 mmol)を小分けして0℃にて添加した。添加が完了した後に、溶液を45分間撹拌した。2b (2.7 g, 7.1 mmol)を、その後、上記混合物に添加した。得られた溶液を2時間撹拌し、その後、CH2Cl2 (100 mL)で希釈し、そしてNa2CO3 水溶液(100 mL)及びブライン(100 mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ: CH2Cl2 : CH3OH=10/1)により精製し、H0847 (2.0 g, 65%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.77 (d, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.31 (d, 1H), 5.26-5.30 (m, 1H), 4.78 (d, 1H), 4.10-4.00 (m, 1H), 2.79-2.84 (m, 2H), 2.75 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 1.94-2.05 (m, 2H), 1.57-1.69 (m, 2H), 1.47-1.64 (m, 2H), 1.41 (d, 3H)。 LC-MS: 440 [M+1]+。 ee%=98.5% (Chiralpak, 5 μm, 4.6*250mm, 相: Hex: EtOH: DEA = 90: 10: 0.2), 保持時間=12.829 min)。
【0218】
例18
H0829及びH0860の合成
【化23】
【0219】
工程1:
16a (100 g, 0.54 mol)のDMF (1400 mL)中の溶液に、N-クロロスクシンイミド(73 g, 0.54 mol)をゆっくりと0℃にて添加した。得られた混合物を40℃で12時間加熱し、その後、水(1600 mL)中に注いだ。沈殿物をろ過により回収し、酢酸エチル(1000 mL)中に溶解し、そしてブライン(1000 mL)で洗浄した。溶媒の蒸発により、残留物を提供し、それをエタノール中で再結晶化し、粗製物 16b (80 g)を提供し、そしてそれを次の工程で直接的に使用した。
【0220】
工程2:
16b (80 g, 0.365 mol)の乾燥THF (4 L)中のよく撹拌された溶液に、LiAlH4 (27.6 g, 0.73 mol)をゆっくりと0℃で添加した。混合物を0℃で2時間撹拌した。その後、氷水 (600 mL)をゆっくりと0℃で添加し、そして混合物をろ過した。ろ液を濃縮し、そして残留物を酢酸エチル/石油エーテル (1:2)中の再結晶化により精製し、16c (39 g, 2つの工程で56%の全体収率)を淡黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.15 (d, 1H), 6.68 (d, 1H), 4.68 (d, 2H), 4.12 (br, 2H), 2.03 (br, 1H) LC-MS: 192 [M+1]+
【0221】
工程3:
16c (39 g, 0.2 mol)及び氷(450 g)の濃HCl (200 mL)中の混合物に、NaNO2 (21.2 g, 0.3 mol)の水(30 mL)中の溶液を滴下して0℃で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、その後、KI (169.4 g, 1.02 mol)の水(400 mL)中の溶液を滴下して0℃で添加した。混合物を0℃で40分間撹拌し、その後、酢酸エチル(1000 mL)を添加し、そして有機相を水(500 mL)、NaHSO3 溶液(500 mL)及びブライン(500 mL)で順次に洗浄した。有機相を分離し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EA: PE=1:15)により精製し、16d (50 g, 収率:81%)を提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.81 (d, 1H), 7.17 (d, 1H), 4.75 (d, 2H), 2.02 (br, 1H)。
【0222】
工程4:
16d (50 g, 166 mmol)及びTEA (50 g, 497.0 mmol)の乾燥CH2Cl2 (900 mL)中の混合物に、メタンスルホニルクロリド(22.8 g, 199.0 mmol)を滴下して0℃で添加した。混合物を0℃でさらに90分間撹拌し、その後、酢酸エチル (800 mL)で希釈し、そしてブライン(600 mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮して、粗製物16e (59 g)を提供し、それを更なる精製なしに次の工程で直接的に使用した。
【0223】
工程5:
粗製物16e (59 g, 160 mmol)のEtOH (1200 mL)中の溶液に、NaCN (11.4 g, 230.0 mmol)のH2O (250 mL)中の溶液を添加した。得られた混合物を還流下に一晩加熱し、その後、冷却し、そして濃縮した。残留物を酢酸エチル(500 mL)と水(500 mL)の間で分割した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮し、粗製物16f (40 g)を褐色固形分として提供し、それを更なる精製なしに次の工程で直接的に使用した。
【0224】
工程6:
16f (40 g, 129 mmol)のMeOH (360 mL)中の溶液に、濃H2SO4 (114 mL)を滴下して0℃にて添加した。その後、混合物を還流下に一晩加熱し、その後、冷却しそして濃縮した。Na2CO3 水溶液(50 mL)を残留物に0℃にて添加し、そして混合物をNa2CO3 粉末の添加によりpH=9〜10に調節した。混合物を酢酸エチル(3 x 300 mL)で抽出し、そして合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EA: PE =1:20)により精製し、16g (22 g, 収率:70.5%)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 7.75 (d, 1H), 6.93 (d, 1H), 3.78 (s, 2H), 3.72 (s, 3H)。
【0225】
工程7:
16g (22 g, 32 mmol)のDMF (150 mL)中の溶液に、ゆっくりと、NaH (60%, 2.8 g, 2.2 mmol)を0℃にて添加した。混合物を室温にて30分間撹拌し、その後、EtI (10 g, 64 mmol)を添加した。混合物を室温にてさらに1.5時間撹拌し、その後、氷水(600 mL)中に注いだ。得られた混合物を酢酸エチル (3 x 400 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル: 石油エーテル=1:50)により精製し、16h (20 g, 84%収率)を提供した。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=7.76 (d, 1H), 7.00 (d, 1H), 4.06 (t, 1H), 3.67 (s, 3H), 2.05-2.12 (m, 1H), 1.75-1.82 (m, 1H), 0.91 (t, 3H)。
【0226】
工程8:
16h (22 g, 53.7 mmol)及び3b (25.9 g, 69.9 mmol)の1,2-ジメトキシエタン(660 mL)中の溶液に、Pd(PPh3)4 (15.5 g, 13.4 mmol)、LiCl (0.46 g, 13.4 mmol)及びCuI (2.06 g, 10.8 mmol)を室温にてN2 の保護下に添加した。混合物を、その後、105℃で一晩加熱し、冷却しそして真空下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル: 石油エーテル=1:8)により精製し、16i (12 mg, 69 %収率)を黄色固形分として提供した。
【0227】
工程9:
16i (12 g, 37.0 mmol)及びLiOH.H2O (9.3 g, 22.2 mmol)のMeOH (480 mL)及びH2O (120 mL)中の混合物を室温にて一晩撹拌し、その後、真空下に濃縮した。残留物を1N HClによりpH=2に酸性化し、それをジクロロメタン (3 x 200 mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮し、16j (10.8 g, 94%収率)を白色固形分として提供した。LC-MS: 310 [M-1]-
【0228】
工程10:
16j (10.8 g, 34.8 mmol)、2b (8.6 g, 52 mmol)、DPPA (11.5 mg, 41.8 mmol)及びTEA (48 mL)のトルエン(400 mL)中の混合物を125℃にて一晩撹拌し、その後、冷却しそして真空下に濃縮した。残留物を飽和Na2CO3 水溶液(150 mL)とジクロロメタン (300 mL)との間で分割した。有機相を分離し、ブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして真空下に濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、MeOH: ジクロロメタン 1:50, 1% NH4OH)により精製し、H0829 (6 g, 41%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.91 (d, 1H), 8.68 (d, 1H), 8.59 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.34 (d, 1H), 5.17-5.22 (m, 1H), 4.93 (d, 1H), 4.11-4.17 (m, 1H), 2.85-2.92 (m, 2H), 2.82 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 1.58-2.05 (m, 8 H), 1.00 (t, 3H)。 LC-MS: 436 [M+1]+。
【0229】
工程11:
H0860 (2.0, 66.7%)をH0829 のキラル分離(Chiralpak, 5μm, 4.6* 250 mm, Hex:EtOH:DEA=80:20:0.2, 保持時間: 10.76 min)により得た。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.89 (d, 1H), 8.66 (d, 1H), 8.57 (d, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.32 (d, 1H), 5.16-5.21 (m, 1H), 4.92 (d, 1H), 4.11-4.17 (m, 1H), 2.87-2.90 (m, 2H), 2.81 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 1.48-2.01 (m, 8 H), 0.97 (t, 3H)。 LC-MS: 436 [M+1]+。
【0230】
例19
H0837及びH0862の合成
【化24】
【0231】
工程1:
17a (5g, 27.0 mmol)、30%のメチルアミン(メタノール中)(50 mL)及び5% Pd/C (500 mg)(メタノール中)(50 mL)の混合物を60℃にてH2 (50 psi)下に一晩加熱し、冷却し、そしてろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、そして残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン =1:40)により精製し、17b (2.8 g, 52 %収率)を提供した。 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 9.99 (s, 1 H), 3.79 -3.83 (m, 1 H), 3.61-3.72 (m, 3 H), 3.40 (d, 1 H), 2.71 (s, 3 H), 2.33-2.36 (m, 2 H), 1.75 (s, 9 H), LC-MS: 201 [M+1]+
【0232】
工程2:
12c (300 mg, 1.12 mmol)及びTEA (3.6 g, 40.3 mmol)のジクロロメタン (20 mL)中の溶液に、トリホスゲン (283 mg, 0.95 mmol)を0℃にて添加した。添加が完了した後に、混合物を室温にて30分間撹拌し、その後、17b (270 mg, 1.35 mmol)を添加した。得られた混合物を室温にて1時間撹拌し、その後、真空下に濃縮した。残留物をジクロロメタン (50 mL)と飽和NaHCO3 溶液(50 mL)との間で分割した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、無水 Na2SO4 で乾燥し、そして真空下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン 1:40, 1% NH4OH)により精製し、17c (330 mg, 60%収率)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.82 (s, 1 H), 8.63 (d, 1 H), 8.51 (dd, 1 H), 7.38 (d, 1 H), 7.33 (d, 1 H), 5.23-5.26 (m, 1 H), 4.99 (d, 1 H), 4.80-4.83 (m, 1 H), 3.31-3.32 (m, 2 H), 3.03-3.23 (m, 2 H), 2.80 (s, 3 H), 1.97-2.03 (m, 1 H), 1.76 -1.84 (m, 1 H), 1.64 (s, 9 H), 1.45 (d, 3 H)。 LC-MS: 494 [M+1]+
【0233】
工程3:
17c (330 mg, 0.67 mmol)のジクロロメタン (15 mL)中の溶液に、トリフルオロ酢酸(5 mL)を滴下して0℃で添加した。混合物を室温にて1時間撹拌し、その後、真空下に濃縮した。残留物をNaHCO3 水溶液とジクロロメタンとの間で分割した。有機層を無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮して、17d (252 mg, 96%収率)を黄色固形分として提供した。LC-MS: 394 [M+1]+
【0234】
工程4:
17d (252 mg, 0.64 mmol)及び37% HCHO 水溶液(250 mg, 3.1 mmol)のMeOH (15 mL)中の溶液に、NaOAc (600 mg, 7.3 mmol)、AcOH (1 mL, 50 mmol)及びNaBH3CN (121 mg, 1.9 mmol)を室温にて添加した。混合物を室温にて一晩撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物をジクロロメタン (50 mL)と飽和NaHCO3 溶液(50 mL)との間で分割した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4 で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール: ジクロロメタン 1:50、1% NH4OH)により精製し、H0837 (200 mg, 77%収率)を白色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.82 (d, 1 H), 8.60 (dd, 1 H), 8.50 (d, 1 H), 7.97 (br, 1 H), 7.38 (d, 1 H), 7.28-7.31 (m, 1 H), 5.26-5.31 (m, 1 H), 4.08-4.10 (m, 1 H), 3.03-3.06 (m, 1 H), 2.95-2.99 (m, 2 H), 2.90 (s, 3H), 2.19-2.35 (m, 5 H), 1.94-1.98 (m, 2H), 1.37-1.40 (m, 3 H)。 LC-MS: 408 [M+1]+
【0235】
工程5:
H0862 をH0837 のキラル分離(Chiralcel OJ-H, 5μm, 4.6 x 250 mm, Hex:EtOH:DEA=90:10:0.3, 保持時間: 11.34 min)により得た。 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.82 (d, 1 H), 8.60 (dd, 1 H), 8.51 (d, 1 H), 7.98 (br, 1 H), 7.37 (d, 1 H), 7.30 (d, 1 H), 5.28-5.31 (m, 1 H), 4.07-4.10 (m, 1 H), 3.06-3.10 (m, 1 H), 2.99-3.06 (m, 1 H), 2.90 (s, 3H), 2.20-2.35 (m, 5 H), 1.96-2.05 (m, 2H), 1.38 (d, 3 H)。 LC-MS: 408 [M+1]+
【0236】
例20
H0900の合成
【化25】
【0237】
工程1:
16d (32 g, 120 mmol)の乾燥CH2Cl2 (800 mL)中の混合物に、デスマーチンペルオキシド試薬(76 g, 180 mmol)を小分けして0℃で添加した。混合物を室温にて1時間撹拌し、その後、DCM (800 mL)で希釈し、NaHCO3 水溶液(300 mL)及びブライン(300 mL)で洗浄した。有機相を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮し、粗製18a (31.4 g)を提供し、それを更なる精製なしに次の工程で直接的に使用した。
【0238】
工程2:
18a (12 g, 40 mmol)及び3b (22.2 g, 60 mmol)のDME (560 mL)中の溶液に、Pd(PPh3)4 (9.25 g, 8 mmol)及びCuI (1.52 g, 8 mmol)を室温にて添加した。混合物を90℃で一晩撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、EA : PE = 1:5)により精製し、18b (8.0 g, 79.3%)を白色固形分として提供した。LC-MS: 253 [M+1]+
【0239】
工程3:
18b (7 g, 27.7 mmol)及び (S)-tert-ブチルスルフィンアミド(7.27 g, 30.56 mmol)の乾燥THF (200 mL)中の溶液に、Ti(i-OPr)4 (15.7 g, 55.4 mmol)を滴下して室温にて添加した。混合物を80℃で一晩撹拌し、その後、冷却した。酢酸エチル (40 mL)を添加し、得られた混合物をろ過しそしてろ液を減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、EA:PE =1:5)により精製し、18c (6.8 g, 69%)を黄色固形分として提供した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 9.10 (s, 1H), 8.97 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.64 (d, 1H),8.12 (d, 1H), 7.59 (d, 1H), 1.30 (s, 9H)。LC-MS: 356 [M+1]+
【0240】
工程4:
18c (6.8 g, 19 mmol)及びテトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリケート(15.8 g, 29 mmol)の乾燥THF (250 mL)中の撹拌されている溶液に、TMSCF3 (11 g, 77 mmol)の無水THF (50 mL)中の溶液を-65℃で添加した。その後、混合物を-65℃で2時間撹拌し、そしてその時点で、NH4Cl水溶液(250 mL)を添加した。混合物を酢酸エチル (250 mL)で希釈し、ブライン(250 mL)で洗浄し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、EA : PE=1:2)により精製し、18d (4.3 g, 52%)を黄色固形分として提供した。LC-MS: 426 [M+1]+
【0241】
工程5:
18d (4.3 g, 10.1 mmol)のMeOH (40 mL)中の撹拌されている溶液に、HCl/MeOH (4N, 40 mL)の溶液を室温にて添加した。混合物を1時間撹拌し、その後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル (40 mL)で研和し、粗製18e (4.3g)を提供し、それを更なる精製なしに次の工程で直接的に使用した。LC-MS: 322 [M+1]+
【0242】
工程6:
18e (2.7 g, 7.1 mmol)、2b (3.4 g, 21.3 mmol)及びTEA (80 mL)のDCM (220 mL)中の溶液に、DCM (40 mL)中のトリホスゲン(3.15 g, 10.6 mmol)を滴下して0℃にて添加した。溶液を周囲温度に温め、そして1時間撹拌し、その後、DCM (100 mL)で希釈し、そしてNa2CO3 水溶液(100 mL)及びブライン(100 mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4 上で乾燥し、そして濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM : CH3OH=10 : 1)により精製し、粗製 H0900 (2.13 g, ee%=92.5%)を提供し、それをキラル分離によりさらに精製し、H0900 (1.6 g, 49%収率)を白色固形分として提供した(ee%=98.5%, Chiralpak IC 5um, 4.6*250mm, 相: Hex: EtOH: DEA=90:10:0.2)。保持時間=12.829分。 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.86 (d, 1H), 8.63 (dd, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.47 (d, 1H), 7.40 (d, 1H), 6.28 (m, 1H), 5.18 (d, 1H), 4.12 (m, 1H), 2.88 (t, 2H), 2.77 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.05 (m, 2H), 2.48 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.73-1.49 (m, 4H)。 LC-MS: 476 [M+1]+
【0243】
例A
カルシウムFLIPRアッセイ
384ウェルフォーマットFLIPR(商標)(Molecular Device)HEK293/GHSR1a細胞株において細胞内カルシウムアッセイを実施した。実験の24時間前に、ウェルごとに最適な密度で細胞を播種した。選定カルシウム染色によるプレインキュベーションを、30〜60分間、室温又は37℃で持続させた。DMSO中に溶解させた試験化合物を適切な時刻で添加し、そして15分間インキュベートし、次いで、Flexstation又はFLIPRとともにグレリンを添加した。FLIPR(商標)モレキュラーデバイスにより相対蛍光をモニターした。GraphPad Prismソフトウェアを用いてEC50及びIC50値を用量応答データから評価した。GHSR-1aアゴニズムをチェックするために化合物をt=20秒で添加し、そしてカルシウム応答を2分間追跡した。GHSR-1aアンタゴニズムをチェックするために化合物及びグレリン(10nM)をt=20秒で細胞に添加し、そしてカルシウム応答を2分間測定した。グレリン応答を減少させる能力によってアンタゴニストの効力を算出した。関連のアンタゴニストの用量応答曲線を作成した。
【0244】
例B
マウスの食物摂取試験におけるGHSR1aアンタゴニストの評価
18〜22gの体重の雄C57BL/6Jマウスを、一晩絶食させ(化合物投与前16時間)、そして規則的な明暗サイクル(6:00〜18:00 明/18:00〜6:00暗)に置いた。1週間の順化後に、体重に基づいて動物を2群に分けた(各々n=6、ケージごとに2匹)。群1の動物をビヒクルで処理し、そして群2の動物を試験試薬で処理した(各群でn=6)。累積食物摂取量を薬剤又はビヒクル処理後1、2、4、8及び24時間で評価した。当初の事前測定した食物から未摂取食物を減算することによって食物摂取量を測定した。
【0245】
結果
以下の表はインビトロでのグレリンアンタゴニスト/アゴニスト活性を含む生物学的データ(例A)及びマウス食物摂取結果(例B)と共に代表的な式Iの化合物を示す。データは、式Iの化合物がグレリン受容体モジュレーターであり、そしてグレリン受容体に関連する疾患、例えば肥満を予防及び/又は治療するのに有用であることを明確に実証している。
【0246】
【表43】
【0247】
【表44】
【0248】
【表45】
【0249】
【表46】
【0250】
【表47】
【0251】
【表48】
【0252】
【表49】
【0253】
【表50】
【0254】
【表51】
【0255】
【表52】
【0256】
【表53】
【0257】
【表54】
【0258】
【表55】
【0259】
【表56】
【0260】
【表57】
【0261】
【表58】
【0262】
【表59】
【0263】
【表60】
【0264】
【表61】
【0265】
【表62】
【0266】
【表63】
【0267】
【表64】
【0268】
【表65】
【0269】
【表66】
【0270】
【表67】
【0271】
【表68】
【0272】
【表69】
【0273】
【表70】
【0274】
【表71】
【0275】
【表72】
【0276】
【表73】
【0277】
【表74】
【0278】
【表75】
【0279】
【表76】
【0280】
【表77】
【0281】
【表78】
【0282】
【表79】
【0283】
【表80】
【0284】
【表81】
【0285】
【表82】
【0286】
【表83】
【0287】
【表84】
【0288】
【表85】
【0289】
【表86】
【0290】
例C
非発情雌ラットのむちゃ食いに対する式Iのグレリンアンタゴニストの効果
本例において、化合物の治療潜在力を、むちゃ食いを阻害するその能力について試験した。使用した動物モデルは食物制限とストレスの組み合わせを調査するために開発されたものであった。下記に開示の結果は、食物制限すること、及び、高美味食(HPF)へ試験日までアクセスせずにHPFへ15分間暴露させることのサイクルに供された雌ラットは顕著でかつ統計的に有意なHPF摂取の増加を示したことを示している。このモデルの信頼性及び健全性を考慮して、本発明の化合物を試験するためにそれを採用した。参照化合物として使用されるトピラメート(Topiramate)はこの手順でのその阻害効果を確認した。さらに、結果は、急性投与後に、H0900, H0816及びH0847はむちゃ食い事象の減少をR + S群で示した。想定される用量でのH0860は同手順に暴露された動物においてHPF摂取を有意に低減しなかった。
【0291】
動物及びハウジング
合計でN = 117である、52日齢の雌のSprague-Dawley系ラット(175〜200 g)を使用した。ラットを金属壁;金属グリッドから作られたフロア及びフロント壁を有する個々のケージに順応化させた。ケージフロアの寸法は30 cm×30 cmであり、ケージは30 cm高さである。金属グリッドから作られたフロントドア(30 cm×20 cm)はケージの前方壁に配置されており、ケージの内側へのアクセスがなされ、フロント壁の残りの部分は飲料ビュレットを備えていた。
【0292】
ラットを、12-h明/暗サイクル(08:00 amに照明を付ける)下に、一定の温度(20〜22℃)及び湿度(45〜55%)で室内に維持し、自由に固形飼料及び水を取らせた。すべての手順を実験動物の管理と使用に関する欧州共同体指令(European Community Directive for Care and Use of Laboratory Animals)に従って行った。
【0293】
食事:ラットに食物ペレット4RF18, Mucedola, Settimo Milanese, Italy (2.6 kcal/g)を与えた。
【0294】
高美味食(HPF):
a) Nutella Ferreroチョコレートクリーム(5.33 kcal/g; 炭水化物、脂肪及びタンパク質をそれぞれ56%, 31%及び7%): 52 %
b)細砕食物ペレット4RF18, Mucedola, Settimo Milanese, Italy: 33 %
c)水: 15 %
を混合することにより調製した。
【0295】
実験設計:
ラットを2つの群のうちの1つに体重適合させて、それらの群の間に平均体重の有意な差異がないようにした。
群 1: 制限せず、ストレスにさらしていない(NR + NS): N = 9
群2:制限し、ストレスにさらした(R + S): N = 108。
【0296】
これらの群のうちの1つに割り当てられると、ラットはその研究全体でその群に属したままとした。ストレスにさらされたラットはストレスにさらされていない群とは異なる部屋で順応化された。
【0297】
ラットを3つの連続した8日サイクルにさらし、次いで、最終試験を第25日に行った。
a) 対照群(NR + NS)は、4日間自由に固形飼料をとり、第5〜6は日に、固形飼料+HPFを2時間受け、第7〜8日に、自由に固形飼料をとり、第25日に、ストレスを受けなかった。
b) 第二の群(R + S)は、4日間、通常摂食量の66%への固形飼料制限を受け、第5〜6日に、固形飼料及びHPF (2 h)を受け、第7〜8日に、固形飼料のみを受け、第25日、ストレスを受けなかった。
【0298】
8日のサイクルを3回繰り返したが、三回目のサイクルでは、動物はHPFにアクセスしなかった。
【0299】
再フィーディングの最後の日まで、制限されたラットの体重及び食物摂取量は制限されていないラットのものとは統計的に異ならず、そのため、空腹又はエネルギー欠乏の潜在的複合効果はなかった。
【0300】
体重及び食物摂取量を毎日記録した。食物摂取量は平均キロカロリー/kg摂取± SEMで表現した。
【0301】
試験の日(第25日)には、動物を、表2に示す通りの以下の群に分割した。
【0302】
【表87】
【0303】
卵巣周期の非発情相では、雌ラットは採用したモデルでBEを示さず、一方、卵巣周期の他の3つの相では、強さに有意な差異なしにBEを示すことが、出願人(Micioni Di Bら、2010)により報告されている。それゆえ、第25日の試験直後に、膣スミアを回収し、顕微鏡下に分析し、卵巣周期を評価し、発情相のラットのデータは統計的な分析に含めなかった。膣スミアは処理条件を知らされていない経験のある実験者により分析された。
【0304】
ストレス手順:
15分間、HPFを含む容器(磁器コーヒーカップ)をケージの外側に置き、容器ハンドルを、食物ペレットが通常に与えられる中空部分にあるケージの上部ワイヤ壁に引っ掛ける。これらの条件において、動物は最初の2サイクルの第5、6、13及び14日に、HPFを受け入れたカップを見ることができ、HPF自体を部分的に見ることができ、そしてその匂いをかぐことができる。この15分の時間に、ラットはHPFを得ようとして、前足、頭及び胴体を繰り返し動かすが、それに到達できない。ラットは10.00〜12.00 amにストレス手順を経験する。15分後に、ストレス群(R + S)のラットのケージの内側にカップを置き、それにより、HPFはラットにアクセス可能になった。
【0305】
化合物調製
100 mgの各化合物(HO816, H0860, H0847及びH0900)を正確に計量し、そして13.33 ml の0.5% カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC, Sigma-Aldrich Cat. C4888, lot 120M0216V)溶液中に懸濁させた。低用量溶液を0.5% CMC溶液での30 mg/ml懸濁液の希釈により調製した。懸濁液は試験の日に新鮮に調製した。ビヒクルは0.5% カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の溶液により構成され、1 gのCMCを200 mlの蒸留水中に溶解させることにより調製した。180 mgのトピラメート(Topiramate)を正確に計量し、そして12 mlの0.5% CMC溶液中に懸濁させた。化合物(ビヒクル及び有効成分)を、HPFへのアクセスの1時間前に4 ml/kg体重で経管栄養法により投与した。
【0306】
データ分析:
すべてのデータは平均± s.e.m.として表現し、各値はレジェンドに記載のとおりの平均動物数/群を反映している。データ評価では、分散分析(ANOVA)を使用し、次いで、適切なときに、ポストホック(ボンフェローニ)試験を使用した。統計的有意性はP < 0.05で設定した。グラフ用に使用されるソフトウエアはOrigin 7.0であった。統計分析用ソフトウエアはSYSTAT 13.0であった。
【0307】
むちゃ食いモデル:
ANOVAはビヒクル投与後の2つのラット群における2−hHPF摂取量に非常に有意な差異を示した[F(1,12) = 18.9; P < 0.01]。図1に示すように、R + S群のビヒクル投与後のHPF摂取量は対照(NR + NS)群のものよりも顕著に高かった。R + S ラットのHPF摂取量はHPFへのアクセスの最初の15分で非常に顕著であった。これらの動物は決して競争的振る舞いをしないが、HPFを含むカップ上に継続的に残り、そして摂取に注意を集中した。R + S群の累積的なHPF摂取量はHPSにアクセスした120分後までは対照より有意に高かった。
【0308】
むちゃ食いに対するトピラメート(Topiramate)の効果:
ANOVAは60 mg/kgの用量でトピラメートにより処理されたR + Sラットにおける2−hHPF摂取量に有意な差異を示した [F(1,11) = 16.2; P < 0.01]。図2に示すように、ポストホック比較はトピラメートの効果がBEを示した全期間の全時点で統計的に有意であることを示した。
【0309】
むちゃ食いに対するH0816の効果:
ANOVAは3及び30 mg/kgの用量でH0816により処理したR + Sラットにおける2−hHPF摂取量に有意な差異を示した [F(2,19) = 3.9; P < 0.05]。図3に示されるように、ポストホック比較は、15分時点で、H0816 (30 mg/kg)の効果が統計的に有意であることを示した(P < 0.05)。H0816処理(両方の用量)は2−h試験の間に動物の全体挙動に影響を及ぼさなかった。
【0310】
むちゃ食いに対するH0860の効果:
図4に示されるように、3及び30 mg/kgの用量でのH0860はR + S群におけるHPF摂取量に影響を及ぼさなかった[F(2,19) = 0.6; P > 0.05]。
【0311】
むちゃ食いに対するH0847の効果:
ANOVAは3及び30 mg/kgの用量でH0847により処理したR + Sラットにおける2−hHPF摂取量に有意な差異を示した[F(2,19) = 8.7; P < 0.01]。図5に示されるように、ポストホック比較は、HPFアクセス後の15、30及び60分時点で、H0847 (3 mg/kg)の効果が統計的に有意であることを示した。30 mg/kgの用量で、H0847はBEを示した全期間のすべての時点でHPF摂取量を有意に低減させた(P < 0.01)。H0847 (3 mg/kg)で処理した2つの動物は及び30 mg/kgの用量で処理した1つの動物は2−h試験の間に緩やかな鎮静作用を示した。
【0312】
むちゃ食いに対するH0900の効果:
ANOVAは3及び30 mg/kgの用量でH0900により処理したR + Sラットにおける2−hHPF摂取量に有意な差異を示した[F(2,18) = 12.2; P < 0.01]。図6に示されるように、ポストホック比較はH0900 (30 mg/kg)の効果がBEを示した全期間のすべての時点で統計的に有意であることを示した(P < 0.01)。H0900処理(両方の用量)は2−h試験の間に動物の全体挙動に影響を及ぼさなかった。
【0313】
めちゃ食い試験の間のトピラメート(Topiramate)、H0816、H0860、H0847、H0900及びビヒクルの2-h 固形飼料摂取量に対する効果:
統計分析は、トピラメート[F(1,11) = 0.9; P > 0.05]又はH0816 [F(2,19) = 0.3; P > 0.05]又はH0900 [F(2,18) = 2.2; P > 0.05]の急性投与が2−h固形飼料摂取量を変化させないことを示した。図7Aに示されるように、H0860 [F(2,19) = 22.9; P < 0.01]及びH0847 [F(2,19) = 3.9; P < 0.05]の急性投与は2−h固形飼料摂取量を有意に増加した。
統計分析は、トピラメート [F(1,11) = 0.00; P > 0.05]又はH0816 [F(2,19) = 1.2; P > 0.05]又はH0900 [F(2,18) = 2.7; P > 0.05]の急性投与が24−h固形飼料摂取量を変化させないことを示した。
図7に示されるように、H0860 [F(2,19) = 14.2; P < 0.01]及びH0847 [F(2,19) = 24.3; P < 0.01]の急性投与は24−h固形飼料摂取量を有意に増加した。
【0314】
むちゃ食いに対するH0816の効果(第二の試験):
BEに対するH0816の効果を確認するために、第二の試験を10日後に行った。この研究で使用した117匹の動物のうち、53匹(8匹の同一のラットNR+NS及び45匹のラットR+S)を第二の試験に用いた。第一の試験の終了の1日後に、ラットのこれらの群は追加の8日サイクルを受け、NR +NS群は8日の固形飼料自由摂取を行い、一方、R + S群は通常摂食の66%に制限した4日の固形飼料摂取、次いで、4日の固形飼料自由摂取を行った。この追加のサイクルでは、すべての群はHPFにアクセスしなかった。次の日に、R + S群はストレスにさらされ、一方、NR +NS群はさらされなかった。この日に、H0816 (3, 10及び30 mg/kg)及びトピラメート(60 mg/kg)又はビヒクルを、HPFへのアクセスの1−h前に経管栄養法で投与した。ANOVAはビヒクル投与の後のラットの2つの群に非常に有意な差異を示した[F(1,12) = 28.1; P < 0.01]。R + S 群における累積的なHPF 摂取はHPFへのアクセス後の120分まで対照物よりも有意に高かった(データを示していない)。統計的な分析は60 mg/kgの用量でトピラメートにより処理したR + S ラットにおける2−hHPF摂取に有意な差異を示した[F(1,12) = 47.1; P < 0.01]。ポストホック比較は、トピラメートの効果が、BEを示したすべての時点、すなわち、全期間で統計的に有意であることを示した。
【0315】
ANOVAは3、10及び30 mg/kgの用量でH0816により処理されたR + Sラットにおける2−hHPF摂取量の有意な差異を示した[F(3,25) = 3.3; P < 0.05]。図8に示されるように、ポストホック比較は、H0816 (10 mg/kg)の効果が、15分時点で統計的に有意であり(P < 0.05) 、そして30 mg/kgの用量が15分でBE事象を完全にブロックした(P < 0.01)。H0816処理(両方の用量)は2−h試験の間に動物の全体挙動に影響を及ぼさなかった。統計分析はトピラメート[F(1,12) = 2.3; P > 0.05]又はH0816 [F(3,25) = 0.2; P > 0.05] の急性投与が2−h及び24−h([F(1,12) = 0.03; P > 0.05]; [F(3,25) = 0.5; P > 0.05])固形飼料摂取量を変化させないことを示した(データを示さず)。
【0316】
ポジティブコントロールとして実験設計に含まれたトピラメートは60 mg/kg の用量でBE事象を完全になくした。同実験で、H0900, H0816及びH0847は急性投与後のR + S群におけるBE挙動を有意に低減し、むちゃ食い障害患者における選択的なGHS−R1a アンタゴニズムの治療的可能性を確認した。
【0317】
2つの実験において、H0816は生理学的食物供与に対して効果なしに、BEに対して選択的阻害効果を用量依存的に確認した。驚くべきことに、H0847及びH0860は同一の動物における2−h及び24−h固形飼料摂取量を有意に増加した。そのことはGHS−R1aアンタゴニストとしてクリーンプロファイルを示さない。
【0318】
例D
マーチジアンサルジニアンアルコール嗜好(Marchigian Sardinian alcohol-preferring (msP))ラットにおけるオペラントエタノール自己投与に対する式(I)の化合物の効果の特徴化
この実験では、msP-ラット(N=24)を、各応答が0.1mLの流体のデリバリーをもたらす強化の固定比率1スケジュール下に30分の一日セッションにおいて10% (v/v)エタノール溶液を自己投与するように訓練した。アルコール応答の安定なベースラインが得られるまで訓練を継続した。この時点で、処理の開始前に、ラットが薬物ビヒクルを受ける間に3日連続で(事前処理段階)の経管栄養法投与手順にラットを訓練した。この時点で、10% (v/v) エタノール自己投与に対するグレリンアンタゴニストの効果に関して動物を試験した。対象内ラテン方格法(within-subject Latin square design)を用いて、msP ラットの第一群(N=12)を、H0847 (0.0, 1.0及び3.0 mg/kg)の効果に関して試験し、一方、第二の群(N=12)をH0816 (0.0, 3.0及び10.0 mg/kg)で処理した。
【0319】
一旦、実験が完了すると、薬物を洗い流すために動物を数日間ホームケージに残しておいた。その後、同ラットを用いて残りのアンタゴニスト化合物H0900 (0.0, 3.0及び30.0 mg/kg)及びH0860 (0.0, 3.0及び30.0 mg/kg)を試験した。一旦、安定した自己投与ベースラインに達したら、試験された以前の薬物について説明したのと同一の実験手順により処理を開始した。
すべての薬物(又はビヒクル)を、オペラントセッションを開始する1時間前に経口的に投与した。レバーでの応答はデリバリー機構を活性化したが、アルコールのデリバリーをもたらさなかった。
【0320】
動物及びハウジング:
雄の遺伝的に選択されたアルコール嗜好マーチジアンサルジニアン(msP)ラットを用いた(N=24)。実験時に、それらの体重は350〜400gの範囲であった。室内で4匹/ケージで入れて、逆12:12h 明/暗サイクル(9:30 a.m.に消灯)、温度20〜22℃及び湿度45〜55%とした。ラットは水道水及び食物ペレット(4RF18, Mucedola, Settimo Milanese, Italy)に自由にアクセスが与えられた。すべての手順を、実験動物の管理と使用に関する欧州共同体理事会指令(European Community Council Directive for Care and Use of Laboratory Animals)及び実験動物の管理と使用に関する健康ガイドの国立研究所(the National Institutes of Health Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に従って行った。
【0321】
化合物調製:
75 mgの各H0900及びH0860を正確に計量し、10 mlの0.5% カルボキシメチルセルロースナトリウム塩溶液(CMC, Sigma-Aldrich Cat. C4888, lot 120M0216V)中に懸濁させた。低用量溶液を30 mg/ml懸濁液を0.5% CMC溶液を用いて希釈することにより調製した。
37.5 mgのH0816を正確に計量し、15 mlの0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩溶液(CMC, Sigma-Aldrich Cat. C4888, lot 120M0216V)中に懸濁させた。低用量溶液をmg/ml懸濁液を0.5% CMC溶液を用いて希釈することにより調製した。
11.25 mgのH0847を正確に計量し、15 mlの0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩溶液(CMC, Sigma-Aldrich Cat. C4888, lot 120M0216V)中に懸濁させた。低用量溶液をmg/ml懸濁液を0.5% CMC溶液を用いて希釈することにより調製した。
懸濁液を試験の日に新鮮に調製した。ビヒクルは0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の溶液から構成され、1gのCMCを200mlの蒸留水中に溶解することにより調製した。ビヒクル及び薬物を10%アルコール溶液へのアクセスの1時間前に、4 ml/kg体重の体積で経管栄養法により投与した。10% (v/v)エタノール溶液は一日置きに、95% (v/v)エタノール溶液(F.L. CARSETTI s.n.c - CAMERINO)を飲料水中に希釈することにより調製した。
【0322】
装置:
自己投与ステーションは音減衰性換気環境キュービクル中に包囲されたオペラントコンディショニングチャンバー(Med Associate, Inc)からなった。各チャンバーは、チャンバーのフロントパネルの中央でグリッドフロアの上方4cmにある飲料リザーバ(体積容量:0.2)、飲料容器の3cmのところにある2つのリトラクタブルレバー(一方が右、他方が左)、及び、レバーの上方6cmにある白色きっかけ表示灯を備えていた。輸液ポンプは右の、すなわち、活性レバーに応答して作動し、一方、左の、すなわち、不活性レバーに対する応答は記録したが、ポンプの作動をもたらさなかった。ポンプの作動により、0.1mlの流体のデリバリーをもたらした。もし小休止がプログラムされている場合には、この間のレバー押しは計数されたが、更なる輸液をもたらさなかった。IBM-コンパチブルコンピュータは流体のデリバリー(シリンジポンプの作動)、視覚刺激の表示及び挙動データの記録を制御した。
【0323】
実験手順:
オペラント自己投与チャンバー(Med Associates)を用いて、msPラットは応答の安定なベースラインが得られるまで10%アルコール(v/v)のためにレバー押しする訓練をされた。16回の自己投与訓練セッションを行って、動物を訓練した。オペラントセッションを30分間続け、そして明暗サイクルの暗段階の間に一日一回行った。活性及び不活性(対照)レバー応答をモニターした。
【0324】
アルコール自己投与の安定なベースラインが確立した後に、msPラットにビヒクル又は本発明の化合物を2つの異なる用量で対象内法を用いて投与した。活性及び不活性レバー応答をモニターした: 指示に従って、自己投与セッションの開始前に薬物を注入した。
強化プログラムはFR1-LITO (固定比率-1 ライトタイムアウト)であった。5秒間の小休止の間に(強化RRに従う)、ハウスライトのスイッチを入れた。試験を対象内法により行い、ここで、薬物処理(投与)は繰り返し要因として処理した。活性及び不活性レバー応答の合計数を統計的評価に付した。薬物試験を4日毎に行った。各薬物試験前の2日間は、ラットをアルコール自己投与セッションに受けさせなかった。
【0325】
統計分析:
繰り返し測定の1ファクター(処理)ANOVAの手段によりデータを分析した。分散分析に次いで、適切な場合にはニューマン-コイルス(Newman-Keuls)試験を行った。統計有意性はp<0.05に設定した。
図9に示すように、H0847はアルコールのオペラント応答に効果がなかった[F(2,11) = 0.53; p>0.05]。不活性対照レバーでの応答は変化されなかった[F(2,11) = 0.53; p>0.05]。
図10に示すように、H0860はアルコールのオペラント応答を有意に低減した[F(2,11) = 4.19; p<0.05]。ポストホック分析は高用量(30 mg/kg)での処理後にアルコール自己投与の有意な低減を示した (*p<0.05)。不活性対照レバーでの応答は変化されなかった[F(2,11) = 0.15; p>0.05]。
図11に示すように、H0816はアルコールのオペラント応答に効果がなかった[F(2,11) = 0.75; p>0.05]。不活性対照レバーでの応答は変化されなかった[F(2,11) = 0.30; p>0.05]。
図12に示すように、H0900はアルコールのオペラント応答を有意に低減した[F(2,11) = 8.62; p<0.01]。ポストホック分析は3 mg/kg (*p<0.05)及び30 mg/kg(**p<0.01)での処理後にアルコール自己投与の有意な低減を示した。不活性対照レバーでの応答は変化されなかった[F(2,11) = 1.03; p>0.05]。
【0326】
要約すると、データは、msPラットでは、H0900及びH0860の両方の急性経口投与がエタノール自己投与の統計的に有意な低減を誘発したことを示す。H0900では、効果は試験した両方の用量(3 及び30 mg/kg)で見られた。H0860では、高用量(30 mg/kg)のみがエタノール自己投与を低減した。逆に、同一の実験条件で、H0847 (1又は3 mg/kg)及びH0816 (3又は10 mg/kg)はエタノール応答に対して 効果がなかった。
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