特許第6882421号(P6882421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882421
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】注入器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   A61M5/20 570
   A61M5/20 510
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-195935(P2019-195935)
(22)【出願日】2019年10月29日
(62)【分割の表示】特願2016-518480(P2016-518480)の分割
【原出願日】2014年6月11日
(65)【公開番号】特開2020-72900(P2020-72900A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年10月29日
(31)【優先権主張番号】1310389.0
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ビタール・アフマド
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス・ダグラス・アイバン
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−534206(JP,A)
【文献】 特表2009−514605(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0229308(US,A1)
【文献】 特表2012−504009(JP,A)
【文献】 特表2009−533124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射剤を送達するための注入器具であって、
長手方向軸と、近位端と、遠位端と、を有するハウジングであって、前記注射剤が前記遠位端から送達されるように配置されている、ハウジングと、
障害部を含む解除機構であって、前記注射剤の送達を妨害するように前記障害部が妨害位置にある第1位置と、前記注射剤の送達を妨害しないように前記障害部が非妨害位置にある第2位置と、の間を移動可能である、解除機構と、を備え、前記解除機構が前記第1位置から前記第2位置まで移動されたときに前記注入器具が可聴信号を生成
前記可聴信号は、前記解除機構が第2位置に到達し、前記障害部が非妨害位置にあるときに生成される、注入器具。
【請求項2】
前記解除機構を前記第1位置から前記第2位置まで移動させるのに必要な力が、前記解除機構が移動する距離と共に変化し、距離に伴う、必要とされる前記力の変化が、非線形である力プロファイルによって表される、請求項1に記載の注入器具。
【請求項3】
前記解除機構が、前記第1位置に向かって弾性的に付勢されている、請求項1は2に記載の注入器具。
【請求項4】
注入を開始させるための作動手段を更に備え、前記障害部は、前記作動手段を妨害することによって前記注射剤の送達を妨害するように、前記障害部が前記妨害位置にあるときに前記作動手段の構成要素と相互作用している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項5】
前記作動手段の前記構成要素がトリガであって、前記トリガは、前記注射剤を送達させるために、前記障害部が非妨害位置にあるときに作動位置に移動可能であるように構成されている、請求項4に記載の注入器具。
【請求項6】
前記作動手段が、前記注射剤の送達に必要とされる力をもたらす駆動部を備える、請求項4は5に記載の注入器具。
【請求項7】
前記解除機構が可動式スリーブを備え、前記スリーブは、前記ハウジングの前記遠位端から突出しており、前記解除機構が前記第1位置から前記第2位置まで移動すると前記ハウジングの前記長手方向軸に沿って近位に移動する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項8】
前記可動式スリーブは、前記第1位置にあるときに前記遠位端から突出し、前記第2位置にあるときに前記ハウジングと同一平面にある、請求項7に記載の注入器具。
【請求項9】
前記可動式スリーブが、弾性アームを備え、前記ハウジングが、前記ハウジングの内側にカム面を更に備え、前記可動式スリーブが前記第1位置から前記第2位置に移動するとき、前記弾性アームが、前記カム面に沿って進むように構成されている、請求項7は8に記載の注入器具。
【請求項10】
前記カム面は、前記スリーブが前記第1位置から前記第2位置まで移動するときに、前記弾性アームの変形が増加して、前記第1位置に向かって弾性的付勢をもたらすように構成されている、請求項9に記載の注入器具。
【請求項11】
前記カム面が、前記ハウジングの前記長手方向軸に向かって全体的に傾いている、請求項10に記載の注入器具。
【請求項12】
前記カム面が、前記ハウジングの内側表面に沿って全体的に周方向に傾いている、請求項10に記載の注入器具。
【請求項13】
前記カム面が膨らみ部はへこみ部の形状の起伏を有し、前記起伏は前記可聴信号をもたらす、請求項9に記載の注入器具。
【請求項14】
前記可聴信号は、前記注入器具の構成要素が互いに接触することにより生じる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項15】
前記注入器具の前記構成要素が互いに接触することによって可聴信号を生成する機械的な機構を起動する、請求項14に記載の注入器具。
【請求項16】
前記注入器具の前記構成要素が互いに接触することによって可聴信号の電子的発生につながる、電気回路を閉じることになる、請求項14に記載の注入器具。
【請求項17】
前記注入器具が、注射器を収容するように構成されている、請求項1〜16のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項18】
請求項17に記載の注入器具と、
注射器と、を備える、注入キット。
【請求項19】
関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質を含有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の注入器具又は請求項18に記載の注入キット。
【請求項20】
注入器具を用いて、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、注入器具であって、
請求項1〜17のいずれか一項に記載の注入器具又は請求項18に記載の注入キットである、注入器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射剤を送達するための注入器具、並びに、注入キット及び注入器具の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注入器具の一部は、注入器具からの注射剤の送達を選択的に妨害する、つまり妨げるために、何らかの形態の障害部を組み込む。かかる器具では、ユーザーがその障害部を妨害位置から動かしたときのみ、注入を行うことができる。これによって、障害部がその妨害位置にあるときは注射剤をいかに送達しようとしてもできないため、注入器具から注射剤を不注意に送達する可能性が低下する。換言すれば、注入器具はロックされた状態に置かれ得る。注射剤を正しく送達するために、ユーザーは、障害部を移動させ、注入器具をロックされた状態ではないようにする操作を行い、その後続けて、注射剤送達に必要な操作を行わなければならない。
【0003】
かかる注入器具は、国際公開第2006/106294号に記載されている。この注入器具は、突起状の障害部を有し、それが妨害位置にあるとき、注射剤送達を開始するために必要とされるトリガの動きを制限する。摺動スリーブを注入器具のハウジング内に移動させることにより、トリガの動きを制限しない位置まで障害部を動かすことができる。
【0004】
国際公開第2006/106294号に記載されるものなどの注入器具のユーザーは、いつ障害部が十分に移動してその器具が作動可能になったのかを認識することに苦労していることがわかっている。障害部が妨害位置に留まっていることに気づかないと、注射器を作動しようとしても何回も失敗することがあるため、このことは、ユーザーを非常にいらだたせる場合がある。更に、いらいらしたユーザーが注入器具に力をかけ、すなわち、トリガに過剰な圧力を加え、注入機構を破損する恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、注入器具がロックされた状態から注入を行える状態まで進んだことを示す直感的なフィードバックをユーザーに与える、注入器具を提供する必要がある。本発明はかかる問題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、長手方向軸と、近位端と、遠位端と、を含むハウジングであって、注射剤が遠位端から送達されるように配置されているハウジングと、障害部を含む解除機構であって、注射剤の送達を妨害するように障害部が妨害位置にある第1位置と、注射剤の送達を妨害しないように障害部が非妨害位置にある第2位置と、の間を移動可能である、解除機構と、を備える、注射剤を送達するための注入器具であって、解除機構を第1位置から第2位置まで移動させるのに必要な力が、解除機構が移動する距離と共に変化し、距離に伴う、必要とされる力の変化が、非線形である力プロファイルによって表される、注入器具を提供する。
【0007】
第2の態様では、本発明は、長手方向軸と、近位端と、遠位端と、を含むハウジングであって、注射剤が遠位端から送達されるように配置されているハウジングと、障害部を含む解除機構であって、注射剤の送達を妨害するように障害部が妨害位置にある第1位置と、注射剤の送達を妨害しないように障害部が非妨害位置にある第2位置と、の間を移動可能である、解除機構と、を備える、注射剤を送達するための注入器具であって、解除機構が第1位置から第2位置まで移動するときに注入器具が可聴信号を生成する、注入器具を提供する。
【0008】
したがって、注入器具を、障害部が注入器具からの注射剤の送達を妨害する、つまり妨げる、ロックされた状態に選択的に配置し、それによって、注射剤を不注意に送達するリスクを減らすことができる。また、注入器具を、障害部が注入器具からの注射剤の送達を妨害していない、つまり妨げていない、ロックされていない状態に選択的に配置し、注射剤を投与可能にすることもできる。
【0009】
注入器具は、好ましくはオートインジェクターである。オートインジェクターは、多くの注入工程が自動化されているため、ユーザーによる注入の容易さが高まる。
【0010】
本発明の注入器具は、注射剤を投与するための針を使用してよい。このような場合、針は、注入器具がロックされた状態にあるとき、注射剤の投与前に注入器具内に覆われたままであることが望ましい。これによって、針刺し事故の可能性が低下する。解除機構を第1位置から第2位置に移動させることによって注入器具をロックされていない状態にするとき、その後、注入プロセスの一環として、針を覆われていない位置に動かすことが可能である。
【0011】
ハウジングは、注入器具の機構と共に、注入される液体を含むことができる。ハウジングは、ハウジングの長さに沿って伸びる長手方向軸を有する。更に、ハウジングは、近位端と、遠位端と、を有する。
【0012】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書で、注射剤を投与している人に対して用いる。例えば、ユーザーが患者に注射剤を投与しているとき、近位端は、ユーザーに最も近い末端部であり、一方、遠位端は、ユーザーから最も遠いが、注射される患者に最も近い末端部である。対応して、ハウジングは、注射剤がその遠位端から送達されるように配置される。用語「近位」及び「遠位」の使用によって、注入器具が注射剤の自己投与に使用できないことを意味するのではないことに留意されたい。このような場合では、遠位端は、注射剤の送達直前に、標的注入部位に最も近い注入器具の末端部とも定義され得る。
【0013】
障害部は、注入器具から注入をもたらすのに必要な操作を停止できる。例えば、注入器具がオートインジェクターである場合、障害部は、注入サイクルを作動するトリガの動きを制限できる。あるいは、障害部は、注入器具のハウジングの遠位端からの注射剤の送達に対する障壁に相当し得、すなわち、障害部は、注射針がハウジングの外へ移動するのを制限し、それによって注入サイクルが行われるのを防ぐことができる。
【0014】
障害部は、注入器具から注射剤を投与するのに必要な動きの1つを邪魔することによって、注射剤の送達を妨害する突起状であってよい。かかる動きとして、オートインジェクターを作動するためのトリガの移動、注射剤を投与される者の皮膚を貫通させるための注入器具から外への針の移動、オートインジェクターの駆動部の移動、注入器具内の注射器の移動、及び、注射器を注入器具内に動かす、注射器支持部などの構成要素の移動が挙げられる。
【0015】
解除機構は、スイッチ、例えばロッカースイッチ又はスライドスイッチの形態であってよく、スイッチの移動により、障害部が妨害位置から非妨害位置まで移動し、好ましくは逆もまた同様である。
【0016】
あるいは、解除機構は可動式スリーブを含んでよく、このスリーブは、少なくとも部分的にハウジング内にあり、かつ、ハウジングの遠位端から突出する。解除機構が第1位置から第2位置に移動すると、可動式スリーブは、ハウジングの長手方向軸に沿って近位に移動する。スリーブは、円筒形要素の形態であってよい。更に、円筒形スリーブは、ハウジングの長手方向軸と平行に並んだ長手方向軸を有してよく、又は更には、ハウジングの長手方向軸と一致する長手方向軸を有してよい。可動式スリーブのかかる形態により、中空の中央部を通り、円筒の長手方向軸に沿った注射剤の送達を妨害せずに、スリーブの移動に必要とされる力が、広範囲、すなわち、可動式スリーブの突出端の周囲全体に確実に分散される。
【0017】
ハウジングの遠位端から突出する可動式スリーブの形態の解除機構を、注射剤を投与される対象者の皮膚に対して突出したスリーブを押し付けることによって移動させることができる。これにより、可動式スリーブの必要な動きによって、注入器具をロックされていない状態にすることができる。これは、注入手順の一環として解除機構を第1位置から第2位置に移動させるための直接的方法である。
【0018】
更に好ましいのは、第1位置にあるときに可動式スリーブが遠位端から突出し、第2位置にあるときにハウジングの遠位端と同一平面にあることである。これによって、ある突出距離において可動式スリーブの可動範囲が最大化し、注射剤の送達を試みる前に解除機構が完全に第2位置に移動したかどうかについての、更なる視覚的指標を与える。
【0019】
解除機構を第1位置から第2位置に移動させるためには、そこに加えられる力が必要である。この力は、解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて変化し得る。この解除機構の移動に必要とされる力の変化は、力プロファイルによって表すことができ、これは、解除機構が移動する距離に伴う力の変化である。解除機構の移動方向は、通常は注入器具内方向である(すなわち近位)。本発明では、この力プロファイルは非線形であってよい。換言すれば、解除機構の移動に必要とされる力は、解除機構が移動する距離に比例しない。これは、線形弾性挙動をベースとする先行技術の注入器具とは対照的である。
【0020】
非線形変化を利用することで触覚フィードバックが生じ、これにより、解除機構が第1位置から第2位置に進んだことをユーザーが直感的に評価することが可能になる。したがって、ユーザーは、解除機構の第1位置から第2位置への移動に関連する力プロファイルの感触を知ることができる。続いて、ユーザーは、このフィードバックに関する知識を生かし、解除機構がうまく第1位置から第2位置に移動したかどうかを評価し、そして、注入器具が注射剤投与の準備ができているかどうかを評価することができる。これにより、注入器具がまだロックされた状態にあるときに、ユーザーが注入を試みる可能性が減る。
【0021】
別の方法として又はこれに加えて、解除機構が第1位置から第2位置に移動するとき、注入器具は可聴信号の形態の聴覚フィードバックを生じさせてもよい。そのときユーザーは、この聴覚フィードバックを用いて、注入器具が注射剤投与の準備ができた時を評価することができるであろう。具体的には、解除機構が第2位置に到達し、障害部が非妨害位置にあるときに、可聴信号を鳴らすことができる。力プロファイルの非線形変化を使用し、ユーザーが、解除機構が第1位置から第2位置に進んだことの評価に利用できる聴覚フィードバックを生じさせてもよい。これについて、以下で更に説明する。別の方法として又はこれに加えて、可聴信号を別の手段で生じさせてもよく、例えば、可聴信号は、注入器具の構成要素同志が接触して、可聴信号の発生につながることによって生じることができる。これらの構成要素の接触により、電子音又はブザー音などの可聴信号の電子的発生につながる、電気回路を閉じることができる。これらの構成要素の接触により、ベルにハンマーを当てるなど可聴信号を生成する、機械的機構を起動させることができる。
【0022】
非線形力プロファイルは、カム面に沿って進む弾性部材を有する解除機構によってもたらすことができ、ここで、弾性部材及びカム面の組み合わせは、所望の力プロファイルを生じるように構成される。例えば、カム面は、膨らみ部又はへこみ部の形状の1つ又は2つ以上の起伏を有して構成でき、弾性部材がこの特徴を持つカム面に沿って進む際、力プロファイルの特有の変化の原因となる。カム面上の膨らみ部及びへこみ部も、カム面に沿った弾性部材の進行を示す可聴信号を生成できる。カム面は、1ヶ所の膨らみ部/へこみ部、又は2ヶ所の膨らみ部/へこみ部、又は3ヶ所の膨らみ部/へこみ部、又は4ヶ所以上の膨らみ部/へこみ部を有してよい。カム面は、膨らみ部及びへこみ部の組み合わせを有してよい。カム面は、非線形力プロファイルをもたらし得る曲線であってよい。
【0023】
別の方法として又はこれに加えて、非線形力プロファイルは、カム面に沿って進む際に様々な量の摩擦力に直面する弾性部材によってもたらされてもよい。例えば、弾性部材は、解除機構が第1位置から第2位置に移動するとき、力プロファイルの力の増加及び/又は力の減少に寄与する、摩擦力量の増加及び/又は摩擦力量の減少に直面し得る。摩擦力の変化は、弾性部材が沿って進むカム面部の粗さの変化、及び/又は、弾性部材が沿って進むカム面部の材料の変化によって達成できる。
【0024】
摩擦力の変化は、そのまま非線形力プロファイルの原因となり得、又は、上述の起伏の存在など、力プロファイルを変化させる別の方法と組み合わせて使用できる。
【0025】
注入器具は、2組以上の弾性部材及びカム面を有してよく、すなわち、2つの弾性部材とそれぞれのカム面、又は、3つ若しくは4つの弾性部材とそれぞれのカム面があってよい。2組以上の弾性部材及びカム面があるとき、各組は独立して、上記任意の特徴を有してよい。
【0026】
力プロファイルの考えられる形態の詳細を、以下に示す。力プロファイルを変化させる別の方法は、本発明の範囲内である。
【0027】
解除機構は、第1位置に向かって弾性的に付勢され得る。このようにして、解除機構に連結する障害部は、妨害位置に向かって付勢される。これにより、本発明の注入器具から注射剤を投与可能にするため、積極的に操作を行わなければならず、誤って注射剤を投与する可能性を更に確実に低下させる。
【0028】
第1位置に向かう弾性的付勢は、第1位置から第2位置に移動する際に変形が増加する、解除機構の弾性部材によってもたらされ得る。換言すれば、解除機構の弾性部材の変形は、スリーブが第1位置から第2位置に移動すると増加し得る。その後、この変形を解放することによって、弾性的付勢を駆動する。この弾性部材は、本明細書に詳述される非線形力プロファイルをもたらすために使用されるものと同じであることが好ましい。
【0029】
本発明の注入器具に関連する力プロファイルは、解除機構が第1位置から第2位置に移動すると、力の増加を示し得る。2種類のかかる力プロファイルの例を図1に示す。別の方法として又はこれに加えて、力プロファイルは、解除機構が第1位置から第2位置に移動すると、力の減少を示し得る。力は、解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて、連続的に増加又は連続的に減少し得る。力は、解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて、連続的に変化し得る。具体的には、力は、解除機構をその全可動範囲で、すなわち、完全に第1位置にある場所から完全に第2位置にある場所まで移動させると、連続的に変化し得る。解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて、力の増加及び力の減少の両方を示す力プロファイルの例を図2に示す。
【0030】
図2に示すような力の増加及び減少の組み合わせを有する力プロファイルを利用すると、解除機構の移動に必要とされる力が周期的に変わるため、ユーザーに、特に異なる触覚及び聴覚フィードバックをもたらすことができる。ユーザーは、必要とされる力の様々な増加及び減少を容易に認識することができるため、経験と共に、いつ解除機構が十分に移動して第2位置にあるのかを知る、触覚的及び聴覚的手がかりを用いることができるであろう。
【0031】
最も単純な形態では、かかる力プロファイルは、解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて、最初に増加し、次に減少する力を有する。したがって、熟練した担当者は、必要な動きが完了したことを感じることにより、注入器具がロックされていない状態になったことを知ることができるであろう。
【0032】
図2に示す力プロファイルに関して、かかる力プロファイルを有する注入器具のユーザーは、この周期を3回経た後に、注入器具がロックされていない状態にあり、注射剤を送達できると身に付けることができる。
【0033】
常に増加する(又は減少する)が、距離に伴う力の増加率の変化(すなわち、力プロファイルの勾配の変化)を示す、力プロファイルを用いることによって、同様の効果を得ることができる。かかるプロファイルは図3に示しており、ここでは、距離に伴って力の増加率が周期的に変化している。まず増加し、次に減少して、その後、増減が更に3回繰り返される。この変化は、第2位置かつロックされていない状態に向かって解除機構が進んでいるのをユーザーに知らせる、触覚及び聴覚フィードバックを提供できる。
【0034】
最も単純な形態では、かかる力プロファイルは、解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて、最初に増加し、次に減少する力プロファイル勾配を有する。1回の増減を感じた後、ユーザーは、解除機構が第2位置まで十分な距離を移動しており、注射剤が投与できることを知るであろう。
【0035】
図3に示す力プロファイルに関して、ユーザーは、この周期を4回経た後に、注入器具がロックされていない状態にあり、注射剤を送達できると身に付けることができる。
【0036】
解除機構の移動距離に伴う増加から、解除機構の移動距離に伴う減少まで(又は逆もまた同様)変化する力、及び、解除機構の移動距離に伴う増加から、解除機構の移動距離に伴う減少まで(又は逆もまた同様)変化する力勾配は、両方とも、本発明で使用できる力プロファイルの周期的変化を形成する。
【0037】
力プロファイルは、任意の回数の周期的変化を有してよい。上述のように、最も単純な形態では、1回の増加と1回の減少のみであろう。あるいは、2回の増減、又は3回の増減(図2に示す)、又は4回以上の増減(図3に示す)であってよい。
【0038】
複数回の周期的変化を使用すると、距離に応じて力が変化するにつれてラチェット型効果を起こし、触覚及び/又は聴覚フィードバックを繰り返す特性が得られる。これは、ユーザーが、解除機構が第1位置から第2位置に進むのを評価するのに役立つ。
【0039】
本明細書に記載される全ての力プロファイルによって、解除機構が第1位置から第2位置に進むのをユーザーが感じ取ることができる。したがって、ユーザーは、この感覚を身に付け、その後、解除機構を第1位置から第2位置に確実に移動させた後に、注射剤の投与を試みることができる。
【0040】
注入器具は、注入を開始させるための作動手段を更に備えてよく、障害部が妨害位置にあって作動手段を妨害することによって注射剤の送達を妨害しているとき、作動手段の構成要素と相互作用する。
【0041】
作動手段はトリガを備えてよく、トリガは、注入器具から注射剤を送達させるため、作動位置に移動可能であるように構成される。トリガは、ロッカースイッチ若しくはスライドスイッチの形態、又は任意の同等の形態であってよい。
【0042】
作動手段は、注射剤の送達に必要な力をもたらし得る、駆動部を備えてよい。駆動部は、バネの形態であってよい。バネは、注射剤の送達前に、圧縮状態に保持されてよい。注射剤の送達中、バネが広がり、注入器具から注射剤を送達させる力をかけることが可能である。
【0043】
上記のとおり、注射剤の送達を妨害するため、本発明の注入器具の障害部は、作動手段の構成要素と相互作用してよい。例えば、障害部は、トリガと相互作用してよい。このように、妨害位置にあるとき、障害部は、トリガが作動位置に移動するのを停止させることができる。障害部が非妨害位置に移動すると、続いてトリガは作動位置に移動し、注入を開始させることができる。
【0044】
あるいは、障害部は、注射剤の送達に必要とされる力をもたらす駆動部と相互作用してよい。例えば、障害部は、バネの形態の駆動部が広がるのを止めることによって、注射剤が送達されるのを止めることができる。
【0045】
上記のとおり、解除機構は、弾性部材と、解除機構が第1位置から第2位置に移動すると、その上部で弾性部材が沿って進むように構成されるカム面と、を備えてよい。このようにして、カム面上で弾性部材が進行により力プロファイルを生じさせ、カム面及び弾性部材が任意の所望の力プロファイルをもたらすように構成されてよい。例えば、弾性部材がカム面に沿って進むにつれて変化する変形を経て、それによって、力プロファイルによって生じる動きに耐える変化する量の力が生じるように、カム面を調節できる。カム面上の考えられる形体は、少なくとも1つの膨らみ部及び/又は少なくとも1つのへこみ部である。
【0046】
弾性部材は、解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて、カム面に沿って連続的に進まなくてよい。例えば、弾性部材は、解除機構が完全に第1位置にある場所から最初に移動するときにカム面に沿って進むのではなく、完全に第2位置に移動するとカム面に沿って係合して進み、第1位置と第2位置との間のどこかでカム面を初めて係合する。このカム面上での弾性部材の非連続的進行は、力プロファイルの非線形特性に寄与する。あるいは、解除機構が第1位置から第2位置に移動するにつれて、弾性部材は最初はカム面と係合するが、係合解除されてもよい。
【0047】
弾性部材は、その自由端がカム面に沿って進むカンチレバーとして働く、弾性アームの形態であってよい。したがって、カム面上の様々な特徴部がカンチレバーに様々な屈曲度をもたらし、それにより、変形が変わって特定の力プロファイルが得られる。弾性部材/アームは、解除機構の一部であり、解除機構が移動すると移動する。弾性部材/アームは、解除機構と一体成形されてよい。これによって、注入器具の製造工程を簡略化する。
【0048】
カム面及び弾性アームは、弾性アームが二次元平面内で変形するように構成されてよい。具体的には、解除機構が、注入器具の近位方向及び遠位方向に移動するとき、弾性アームは、カム面に沿って注入器具のそれぞれ近位方向及び遠位方向に進むように構成されてよい。かかる構成の例は、ハウジングの内部にカム面を有し、ハウジングの長手方向軸の方に全体的に傾いており、その傾きは、ハウジングの長手方向に沿って増加している。弾性アームがカム面に沿って進むと、全体的な傾きにより、弾性部材を、長手方向中心軸に向けて半径方向に変形させる。
【0049】
あるいは、カム面を、ハウジングの内側表面上に、好ましくは、ハウジングの長手方向軸の周りで、全体的に周方向に傾くように配置してよい。続いて、解除機構が注入器具の近位及び遠位方向に移動するとき、弾性アームは、全体的に周方向に傾いたカム面に沿って、概ね周方向に進む。解除機構の回転運動が拘束される場合、全体的に周方向の弾性アームの変形が最大化される。弾性アームが、ハウジングの中央部に向かって屈曲する必要はなく、ハウジングの内側表面の周囲を進むため、この全体的に周方向の構成により、カム面/弾性アーム機構の必要な直径方向空間が少なくなる。
【0050】
上記カム面の形状は、起伏を有し、又は、カム面に沿って弾性アームを移動すると観察される力プロファイルに影響を及ぼす、様々な摩擦量を呈してもよい。
【0051】
上記カム面が起伏を有し、又は、カム面に沿って様々な摩擦量を呈する場合でも、表面の全体的傾きは、解除機構が第1位置にあるときと比べて第2位置にあるときに、弾性部材がより変形することを意味する。換言すれば、解除機構が第1位置から第2位置に移動すると、弾性部材の変形が全体的に増加する傾向がある。
【0052】
注入器具は、注射器を収容するように構成されてよい。具体的には、注入器具は、皮下用注射器を収容するように構成されてよい。この目的のため、注入器具は、注入器具内に注射器を保持し、注射剤の送達中に注射器を支えることができる、注射器支持部を更に備えてよい。
【0053】
注入器具が注射器を収容するように構成される場合、障害部は、障害部が妨害位置にあるとき、注射剤の送達を妨害するために注射器に対して作用できる。注入器具が注射器支持部を備える場合、障害部は、障害部が妨害位置にあるとき、注入を妨害するために注射器支持部に対して作用できる。
【0054】
本発明の第3の態様は、本発明の注入器具と、注射器と、を備える、注入キットを提供する。具体的には、注射器は皮下用注射器であってよい。注入キット内の注入器具は、注入キット内に存在する注射器を収容するように構成される。注入キットの一部を形成する注入器具は、上述の任意の特徴部を有してよい。
【0055】
本発明の第4の態様は、解除機構を第1位置から第2位置に向けて移動させる工程と、可聴信号を検知した後に注射剤を送達する工程と、を含む、本発明の注入器具を操作する方法を提供する。この方法で利用される注入器具は、上述の任意の特徴部を有してよい。
【0056】
本発明の第5の態様は、解除機構を第1位置から第2位置に向けて移動させる工程と、力プロファイルの非線形特性を検出した後に注射剤を送達する工程と、を含む、本発明の注入器具を操作する方法を提供する。この方法で利用される注入器具は、上述の任意の特徴部を有してよい。
【0057】
本発明の方法は、解除機構が第1位置から第2位置に完全に移動し、注射剤がうまく送達できることを示す、力プロファイルの非線形特性に起因する触覚及び/又は聴覚フィードバックを、ユーザーが経験によって身に付けることを可能にする。したがって、ユーザーは、解除機構が完全に第2位置に移動したことを確実にして、先行技術の器具に伴う問題を避けることができる。
【0058】
上記実施形態のうち任意の注入器具又は注入キットは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される、物質を含有してよい。
【0059】
「注入器具又は注入キットは、物質を含有してよい」とは、物質が、注入器具内のバイアル若しくは注射器、又は注入キットの注射器などの好適な薬剤用容器に含有され得ることを意味する。かかる薬剤用容器は、更なる活性成分又は非活性成分などの別の物質を含んでよい。
【0060】
本発明の更なる態様では、上記実施形態のいずれか1つに記載の注入器具又は注入キットを用いて、物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質である、かかる物質が提供される。
【0061】
本発明の更に別の態様では、注入器具が上記実施形態のいずれか1つに記載の注入器具又は注入キットであるとき、その注入器具を用いて、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、注入器具が提供される。
【0062】
「物質の送達」とは、注入器具を用いて、かかる物質をヒト被験者に、例えば皮下、皮内、又は筋肉内注射により注入することを意味する。かかる物質は、更なる活性成分又は非活性成分などの別の物質と組み合わせて投与してよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
ここで、添付の図面を参照し、例として本発明を説明する。
図1】2種類の様式、1つは増加勾配、1つは減少勾配である力プロファイルの例を示す。
図2】力の増加の後に力が減少し、その後力の増減が更に2回ある、力プロファイルを示す。
図3】力の増加率が最初に増加して次に減少し、その後、増減が更に3回ある、力プロファイルを示す。
図4】ハウジング内の機構を示している、本発明の注入器具を示す。
図5】本発明の注入器具の平面図を示す。
図6】本発明の注入器具の解除機構の詳細を示す。
図7】本発明の注入器具の解除機構の一部の詳細図を示す。
図8】本発明の注入器具のカム面上の膨らみ部の詳細を示す。
図9図8に示す弾性アーム及びカム面の組み合わせによって得られる力プロファイルを示す。
図10】本発明の注入器具のカム面上の複数の膨らみ部の詳細を示す。
図11図10に示す弾性アーム及びカム面の組み合わせによって得られる力プロファイルを示す。
図12】本発明の注入器具の湾曲カム面の詳細を示す。
図13図12に示す弾性アーム及びカム面の組み合わせによって得られる力プロファイルを示す。
図14】カム面及び弾性アームの考えられる別の構成を示す。
図15図14の構成によって得られる力プロファイルを示す。
図16】カム面によって与えられる摩擦力が長さに沿って変化する場合の、カム面及び弾性アームの考えられる構成を示す。
図17図16の構成によって得られる力プロファイルを示す。
図18a】注入器具の長手方向軸に向かって傾いたカム面に対する、弾性アームの動きを示す。
図18b】注入器具の長手方向軸に向かって傾いたカム面に対する、弾性アームの動きを示す。
図18c】注入器具の長手方向軸に向かって傾いたカム面に対する、弾性アームの動きを示す。
図19a】周方向に傾く様式で配置されたカム面に対する、弾性アームの動きを示す。
図19b】周方向に傾く様式で配置されたカム面に対する、弾性アームの動きを示す。
図19c】周方向に傾く様式で配置されたカム面に対する、弾性アームの動きを示す。
図20】本発明の注入器具のバネ構成の詳細を示す。
図21図16のバネ構成によって得られる力プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明による注入器具110を図4及び5に示す。注入器具110は、注入器具ハウジング112及び長手方向軸101を有する。図4及び5は、ハウジング112の下半分のみを示す。ハウジング112の内部機構がはっきりとわかるように、上側部分を欠いている。
【0065】
注射器(図示せず)は、ハウジング112内に含まれる。注入器具110は、作動手段の一部としてトリガ114を備える。トリガ114は、静止位置(図4に示される)から作動位置まで、旋回軸115の周りを回転可能である。トリガ114の近位端114bは、駆動バネ120によって作用される駆動連結具121と連結する。駆動連結具121は、注射器と連通している。駆動連結具121及び駆動バネ120は全て、注射器に作用することによって注射剤の送達を可能にする、作動手段の一部を形成する。
【0066】
注入器具110は、注入器具110の遠位端から突出する、円筒形スリーブの形態の解除機構126を備える。
【0067】
注射剤を送達させるため、トリガ114を、旋回軸115の周りを方向Rに回転させる(すなわち、第1端部114aにおいてハウジング112内下方に)。これによって、トリガ114の第2端部114bを駆動連結具121から係合解除させ、それによって、駆動バネ120が、長手方向軸101に沿って、ハウジング112の開口部118のから外へ注射器を(駆動連結具121を介して)駆動させる。
【0068】
しかしながら、解除機構126が妨害位置にあるとき、これは、解除機構がハウジング112の遠位端から突出することに相当するが、突起154(図6に示す)の形態の障害部は、トリガ114の部分150の底面に接するように配置される。このようにして、突起154はトリガの回転を妨害し、それによって注射剤の送達を妨害する。注入を行うため、解除機構を第2位置に移動させるが、これは、解除機構126が、長手方向軸101の方向に沿ってハウジング112内に移動することに相当する。解除機構が第2位置にあるとき、突起154は、トリガ114の切り欠き部152と揃う。突起154を切り欠き部152内に収容でき、それにより、トリガが旋回軸115の周りを回転でき、注射剤の送達をなすことができる。
【0069】
図6及び7に見られるように、解除機構126は、カンチレバー状の、1組の一体成形された弾性アーム201を有して提供される。弾性アーム201は、ハウジング112に向かう方向及び離れる方向に弾性的に屈曲するように構成される。
【0070】
ハウジング112は、解除機構126が第1位置(突起154がトリガ114の部分150に接している)から第2位置(突起154がトリガ114の切り欠き部分152に収容できる)に移動するとき、弾性アーム201が沿って進む、1対のカム面210を備える。図7に見られるように、解除機構126が第1位置から第2位置に移動すると、すなわち、解除機構126が注入器具110の長手方向軸101に沿ってハウジング112内に移動すると、弾性アーム201の変形は増す。これによって、解除機構126に第1位置に向かう弾性的付勢が提供される。
【0071】
カム面の考えられる形態の詳細を図8に示す。ここでは、カム面210が膨らみ部212を備えることがわかる。これらの膨らみ部212は、解除機構126によって移動する距離に伴う、力の非線形変化を誘発する。具体的には、図9に示されるように、膨らみ部212によって、最初に増加し、次に減少する力の増加率を有する力プロファイルが得られるであろう。この非線形力プロファイルにより、解除機構126が第1位置から第2位置に完全に移動し、注入サイクルの作動が起こり得ることを示す、触覚フィードバックをユーザーにもたらす。
【0072】
カム面の別の形態を図10に示す。ここでは、各カム面210が、3つの膨らみ部212を備えることがわかる。図11に示されるように、これら3つの膨らみ部212により、力の増加率が最初に増加し、次に減少し、続いて更に2回増減する、周期的なラチェット型特性を有する力プロファイルが得られる。
【0073】
カム面の更に考えられる形態を図12に示す。この例では、カム面は膨らみ部を全く有さないが、代わりに、解除機構126が第1位置から第2位置に移動するにつれて、弾性アーム201の変形が増す、連続的に湾曲した表面を有する。これによって、距離に応じて力が連続的に増加し、力の増加率も同じく距離に応じて連続的に増加する、図13に示される力プロファイルが得られる。他の力プロファイルと同様に、これは、ユーザーが第1位置から第2位置への解除機構126の進行を評価するのに役立つ、触覚フィードバックを提供する。
【0074】
カム面及び弾性アームの考えられる更に別の構成は、図14に示される。この例では、解除機構126が完全に第1位置にあるとき、弾性アーム201はカム面210に接触しない(図14に示される)。したがって、力プロファイルの初期部分は、解除機構126の移動に伴う摩擦力に起因する、比較的一定の力である。力プロファイルは、その後、解除機構126が第2位置に向かって更に移動し、弾性アーム201がカム面210と係合してそれに沿って進むと、力の増加を示す。得られた力プロファイルを図15に示す。
【0075】
カム面及び弾性アームの考えられる更なる構成は、図16に示される。ここでは、弾性アーム(201)は常にカム面(210)と接しているが、弾性アームが進む経路に沿って、弾性アーム(201)とカム面(210)との間に段階的な摩擦力の変化がある。これによって、図17に示すように、得られる力プロファイルに段階的変化が生じる。
【0076】
図18aに示されるように、注入器具は、注入器具のハウジングの長手方向軸に向かって傾くカム面201を有してよい。傾きは、ハウジングの長手方向に沿って増加する。これによって、図18bに示されるように、アームがカム面201に沿って近位方向に移動するとき、弾性アーム210が、二次元平面内でハウジングの長手方向軸に向かって湾曲している結果となる。ハウジングの長手方向軸に垂直であるハウジングの断面図は、弾性アーム210が移動する半径方向を示す。
【0077】
カム面の別の形態を図19aに示す。このカム面201aは、ハウジングの長手方向軸の周りを周方向に傾くように配置され、ハウジング内側表面から内向きに延在する。したがって、弾性アームがハウジング内に移動すると、カム面201aは、弾性アーム210が周方向のカム面201aに沿って進むように傾いている。図19bに示されるように、これにより、カム面に沿って移動すると、周方向に変形する弾性アーム210が得られる。ハウジングの長手方向軸に垂直であるハウジングの断面図(図19c)は、弾性アーム210が移動する周方向を示す。
【0078】
上記のとおり、弾性アーム201及びカム面210の様々な構成によって、様々な力プロファイルを具現化できる。更に、力プロファイルは、バネの配列などの別の手段によっても具現化できる。
【0079】
かかるバネの配列の例を図20に示す。解除機構126は、第1の対のバネ214と、第2の対のバネ216と、を有する。解除機構126が第1位置にあるとき、第1の対のバネ214のみが両端で拘束されることによって、解除機構126の第1位置から第2位置への動きに対して、力を及ぼすことができる。しかしながら、解除機構126が第1位置から第2位置に移動すると、第2の対のバネ216が係合し、解除機構126が第2位置に向かって進行し続けるにつれて、力の増加率が急に増加する結果となる。これにより、図21に示される非線形力プロファイルが得られる。
【0080】
使用中、上記のような注入器具は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンなどの物質の送達に使用され得る。これらの物質に加え、注入器具内に含まれる任意の薬剤は、当業者が理解し得るような他の物質、例えば非活性成分も含んでよい。
【0081】
当然のことながら、当業者は、当該技術分野において周知であるように、特定の物質が、特定の疾患の治療又は予防での使用に有効であることを理解するであろう。例えば、抗アレルギー薬は、アレルギーの治療又は予防での使用に有効であり、抗ヒスタミン薬は、花粉症の治療又は予防での使用に有効であり、抗炎症薬は、炎症の治療又は予防での使用に有効であるなどが知られている。また、これらの物質が有効であると知られている1つ又は2つ以上の疾患の治療又は予防に使用するため、本明細書又は特許請求の範囲に挙げられる1つ又は2つ以上の物質の任意の選択が想定される。
【0082】
しかしながら、特定例において、ゴリムマブは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎若しくは潰瘍性大腸炎、又は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及び潰瘍性大腸炎の任意の組み合わせ、又は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及び潰瘍性大腸炎の全てのうち、1つ又は2つ以上の治療又は予防での使用に有効であることが知られている。
【0083】
ゴリムマブは、所望により、1つ又は2つ以上の非活性成分、例えば、L−ヒスチジン、L−ヒスチジン一塩酸塩一水和物、ソルビトール、ポリソルベート80、及び水のうち、任意又は全てと組み合わせて使用できる。ゴリムマブは、ゴリムマブが唯一の活性成分である組成物中で存在してよい。例えば、ゴリムマブは、SIMPONI(登録商標)として投与されてよい。
【0084】
本発明は、単に例として上述され、その細部の修正は、本発明の範囲内で実施できることが、当然理解されよう。
【0085】
〔実施の態様〕
(1) 注射剤を送達するための注入器具であって、
長手方向軸と、近位端と、遠位端と、を有するハウジングであって、前記注射剤が前記遠位端から送達されるように配置されている、ハウジングと、
障害部を含む解除機構であって、前記注射剤の送達を妨害するように前記障害部が妨害位置にある第1位置と、前記注射剤の送達を妨害しないように前記障害部が非妨害位置にある第2位置と、の間を移動可能である、解除機構と、を備え、前記解除機構を前記第1位置から前記第2位置まで移動させるのに必要な力が、前記解除機構が移動する距離と共に変化し、距離に伴う、必要とされる前記力の変化が、非線形である力プロファイルによって表される、注入器具。
(2) 注射剤を送達するための注入器具であって、
長手方向軸と、近位端と、遠位端と、を有するハウジングであって、前記注射剤が前記遠位端から送達されるように配置されている、ハウジングと、
障害部を含む解除機構であって、前記注射剤の送達を妨害するように前記障害部が妨害位置にある第1位置と、前記注射剤の送達を妨害しないように前記障害部が非妨害位置にある第2位置と、の間を移動可能である、解除機構と、を備え、前記解除機構が前記第1位置から前記第2位置まで移動するときに前記注入器具が可聴信号を生成する、注入器具。
(3) 前記解除機構を前記第1位置から前記第2位置まで移動させるのに必要な前記力が、前記解除機構が移動する距離と共に変化し、距離に伴う、必要とされる前記力の変化が、非線形である力プロファイルによって表される、実施態様2に記載の注入器具。
(4) 前記解除機構が、前記第1位置に向かって弾性的に付勢されている、実施態様1又は3に記載の注入器具。
(5) 前記解除機構が前記第1位置から前記第2位置まで移動するとき、前記力プロファイルが力の増加を示す、実施態様1、3、又は4のいずれかに記載の注入器具。
【0086】
(6) 前記解除機構が前記第1位置から前記第2位置まで移動するとき、前記力の増加率が最初に増加し、次に減少する、実施態様5に記載の注入器具。
(7) 注入を開始させるための作動手段を更に備え、前記障害部は、前記作動手段を妨害することによって前記注射剤の送達を妨害するように、前記障害部が前記妨害位置にあるときに前記作動手段の構成要素と相互作用している、実施態様1〜6のいずれかに記載の注入器具。
(8) 前記作動手段の前記構成要素がトリガであって、前記トリガは、前記注射剤を送達させるために、前記障害部が非妨害位置にあるときに作動位置に移動可能であるように構成されている、実施態様7に記載の注入器具。
(9) 前記作動手段が、前記注射剤の送達に必要とされる前記力をもたらす駆動部を備える、実施態様7又は実施態様8に記載の注入器具。
(10) 前記解除機構が可動式スリーブを備え、前記スリーブは、前記ハウジングの前記遠位端から突出しており、前記解除機構が前記第1位置から前記第2位置まで移動すると前記ハウジングの前記長手方向軸に沿って近位に移動する、実施態様4〜9のいずれかに記載の注入器具。
【0087】
(11) 前記可動式スリーブは、前記第1位置にあるときに前記遠位端から突出し、前記第2位置にあるときに前記ハウジングと同一平面にある、実施態様10に記載の注入器具。
(12) 前記可動式スリーブが、弾性アームを備え、前記ハウジングが、前記ハウジングの内側にカム面を更に備え、前記可動式スリーブが前記第1位置から前記第2位置に移動するとき、前記弾性アームが、前記カム面に沿って進むように構成されており、前記カム面は、前記スリーブが前記第1位置から前記第2位置まで移動するときに、前記弾性アームの変形が増加して、前記第1位置に向かって弾性的付勢をもたらすように構成されている、実施態様10又は実施態様11に記載の注入器具。
(13) 前記カム面が、前記ハウジングの前記長手方向軸に向かって全体的に傾いている、実施態様12に記載の注入器具。
(14) 前記カム面が、前記ハウジングの内側表面に沿って全体的に周方向に傾いている、実施態様12に記載の注入器具。
(15) 前記カム面が起伏を有し、前記非線形力プロファイルをもたらす、実施態様12、13、又は14に記載の注入器具。
【0088】
(16) 前記注入器具が、注射器を収容するように構成されている、実施態様1〜15のいずれかに記載の注入器具。
(17) 添付の図面を参照して本明細書に実質的に記載されている、注入器具。
(18) 実施態様16に記載の注入器具と、
注射器と、を備える、注入キット。
(19) 実施態様2又は3に記載の注入器具を操作する方法であって、
前記解除機構を前記第1位置から前記第2位置に向かって移動させる工程と、
前記可聴信号を検出した後に、前記注射剤を送達する工程と、を含む、方法。
(20) 実施態様1又は3〜16のいずれかに記載の注入器具を操作する方法であって、
前記解除機構を前記第1位置から前記第2位置に向かって移動させる工程と、
前記力プロファイルの前記非線形特性を検出した後に、前記注射剤を送達する工程と、を含む、方法。
【0089】
(21) 関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒(toxicity)、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質を含有する、実施態様1〜17のいずれかに記載の注入器具又は実施態様18に記載の注入キット。
(22) 物質であって、
実施態様1〜17のいずれかに記載の注入器具又は実施態様18に記載の注入キットを用いて、前記物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される、物質。
(23) 注入器具を用いて、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、注入器具であって、
実施態様1〜17のいずれかに記載の注入器具又は実施態様18に記載の注入キットである、注入器具。
図1
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