特許第6882455号(P6882455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882455
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】車両用電気系統
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/88 20060101AFI20210524BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20210524BHJP
   B60T 15/04 20060101ALI20210524BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20210524BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B60T8/88
   B60T17/00 B
   B60T15/04 B
   B60T8/17 B
   B60T8/171 Z
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-512995(P2019-512995)
(86)(22)【出願日】2017年8月14日
(65)【公表番号】特表2019-529216(P2019-529216A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017070592
(87)【国際公開番号】WO2018046247
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2019年4月8日
(31)【優先権主張番号】16187848.3
(32)【優先日】2016年9月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーバ ネーメト
(72)【発明者】
【氏名】レヴェンテ バログ
(72)【発明者】
【氏名】チャバ ホルヴァート
(72)【発明者】
【氏名】ファルク ヘッカー
【審査官】 的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102014006613(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0292903(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/1769
8/32−8/96
15/00−17/22
B60W 10/00−10/30
30/00−50/16
G01M 17/00−17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御ブレーキシステムEBSを含む車両(200)の電気系統(10)であって、
・ステアリングホイールの舵角を測定する舵角センサユニット(109)と、
・少なくとも1つの制御モジュール(20)と、
・少なくとも1つの第1慣性センサ(110(111,112,113,114,115,116))と、
・前記電子制御ブレーキシステムEBSの電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU(101)と、
を含み、
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)は、前記舵角センサユニット(109)に対する外部にあり、かつ、
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)は、前記電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU(101)に対する外部にある、
電気系統(10)において、
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)の少なくとも1つの内側、内部または表面に、前記少なくとも1つの第1慣性センサ(110(111,112,113,114,115,116))のいずれかが取り付けられており
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)は、
・少なくとも空気乾燥器およびマルチサーキットプロテクションバルブを組み込んだ電子空気処理ユニット(100)、
・フットブレーキ作動部材の作動に応じてニューマチック制御信号を形成するフットブレーキ制御弁を備えた少なくとも1つのニューマチックチャネルと、電気制御信号の形成のために前記フットブレーキ作動部材の作動位置または作動角を測定する少なくとも1つの電気位置センサまたは電気角度センサを備えた電気チャネルとを組み込んだフットブレーキモジュール(102)、並びに、
・操舵装置モジュール(108)
のうちの少なくとも1つを含み、
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)が前記電子空気処理ユニット(100)を含む場合、前記少なくとも1つの第1慣性センサ(111)が、前記電子空気処理ユニット(100)の内側、内部または表面に取り付けられており
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)が前記フットブレーキモジュール(102)を含む場合、前記少なくとも1つの第1慣性センサ(112)が、前記フットブレーキモジュール(102)の内側、内部または表面に取り付けられており
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)が前記操舵装置モジュール(108)を含む場合、前記少なくとも1つの第1慣性センサ(116)が、前記操舵装置モジュール(108)の内側、内部または表面に取り付けられている、
ことを特徴とする電気系統(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)は、制御ループ内の少なくとも1つのニューマチックサービスブレーキアクチュエータのためのサービスブレーキ圧力を制御するサービスブレーキ圧力制御モジュール(103,104)をさらに含み、
前記少なくとも1つの第1慣性センサ(113)が、前記サービスブレーキ圧力制御モジュール(103,104)の内側、内部または表面に取り付けられている、
請求項1記載の電気系統。
【請求項3】
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)は、制御ループ内のトレーラのためのサービスブレーキ圧力を制御するトレーラ制御モジュール(105)をさらに含み、
前記少なくとも1つの第1慣性センサ(114)が、前記トレーラ制御モジュール(105)の内側、内部または表面に取り付けられている、
請求項1または2記載の電気系統。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1慣性センサ(110(111,112,113,114,115,116))のいずれかが内側、表面もしくは内部に取り付けられている前記少なくとも1つの制御モジュール(20)は、前記電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU(101)に通信可能に接続されるように構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の電気系統。
【請求項5】
前記少なくとも1つの制御モジュール(20)は、パーキングブレーキ弁(106)、パーキングブレーキモジュール(106)および/またはパーキングブレーキリレー弁(107)をさらに含み、
前記少なくとも1つの第1慣性センサ(115)が、前記パーキングブレーキ弁(106)、前記パーキングブレーキモジュール(106)および/または前記パーキングブレーキリレー弁(107)の内側、内部または表面に取り付けられている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の電気系統。
【請求項6】
第2慣性センサ(120)が、前記少なくとも1つの制御モジュール(20)に対する外部に配置されており、
第1電源(130)が、前記少なくとも1つの第1慣性センサ(110(111,112,113,114,115,116))に電力を供給するように構成されており、第2電源(140)が、前記第2慣性センサ(120)に電力を供給するように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の電気系統。
【請求項7】
前記第2慣性センサ(120)は、前記電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU(101)の内側、内部または表面に取り付けられている、
請求項6記載の電気系統。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1慣性センサ(110(111,112,113,114,115,116))および前記第2慣性センサ(120)のいずれかもしくは全ては、いずれかの軸に関する回転センサである、または、いずれかの軸に関する並進運動センサもしくは直線運動センサである、
請求項6または7記載の電気系統。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の電気系統を含む車両(200)。
【請求項10】
前記車両は、トレーラの牽引に適したトラクタ車両である、
請求項9記載の車両。
【請求項11】
電子空気処理ユニット(100)、フットブレーキモジュール(102)、トレーラ制御モジュール(105)、パーキングブレーキ弁(106)、パーキングブレーキモジュール(106)および/またはパーキングブレーキリレー弁(107)、サービスブレーキ圧力制御モジュール(103,104)、操舵装置モジュール(108)、舵角センサユニット(109)および電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU(101)が前記トラクタ車両に取り付けられている、
請求項10記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電気系統および電気系統を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送車両の自律操作は、新たな発明分野である。より洗練された機能のために、種々のタイプのセンサおよび認識技術を含むハイエンドのハードウェア(HW)インフラストラクチャが要求されている。SAE自動化レベル2のシステムは、運転者の存在および注意を要求している。レベル3のシステムは、運転者の連続した注意なしに自律運転を管理しなければならない。SAE自動化レベルに関する情報は、http://www.sae.org/misc/pdfs/automated_driving.pdfにおいて見ることができる。
【0003】
独国特許出願公開第10065724号明細書(DE10065724A1)は、市販の車両の運動を安定化させるブレーキ調整システムに関連している。当該システムは、シャシに組み込まれたスタンドアローンのヨーレートセンサおよび横方向加速度センサを使用している。
【0004】
独国特許出願公開第102009013895号明細書(DE102009013895A1)は、市販の自動車の運転動特性を調整する装置に関連している。舵角センサおよびヨーレートセンサが、加速度の検出のための3軸センサである加速度センサとともに、共通の構造ユニットに統合されている。各センサは舵角センサユニット内に組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10065724号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102009013895号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
したがって、本発明の課題は、車両の自動運転状況において使用される動的制御の実行に利用可能なセンサ情報を提供する、改善された電気系統を構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、独立請求項の特徴部分によって解決され、さらに、各実施形態は、各従属請求項に組み込まれている。以下に説明する本発明の各態様は、電子制御ブレーキシステムに対しても、電子制御ブレーキシステムを備えた車両に対しても当てはまることに注意されたい。
【0008】
第1態様においては、電子制御ブレーキシステムEBSを含む車両用の電気系統が提案される。当該電気系統は、
・舵角センサユニットと、
・少なくとも1つの制御モジュールと、
・少なくとも1つの第1慣性センサと、
・電子制御ブレーキシステムEBSの電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUと、
を含む。少なくとも1つの制御モジュールは、舵角センサユニットに対する外部にあり、かつ、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUに対しても外部にある。少なくとも1つの制御モジュールの少なくとも1つの内部または表面に、少なくとも1つの第1慣性センサのいずれかが取り付けられている。
【0009】
以下においては、制御モジュールとは、そのエレメントもしくはその要素の全てに対して共通の1つのハウジングを備えた構造ユニットまたはエンティティ、または、そのエレメントもしくはその要素を分散配置して相互に直接に結合された複数のハウジングを備えた構造ユニットまたはエンティティであると理解することができる。つまり、少なくとも1つの第1慣性センサのそれぞれは、少なくとも1つの制御モジュールの、1つのハウジングの内部もしくは直接表面に、または、相互に結合された複数のハウジングのうち1つのハウジングの内部もしくは直接表面に、取り付け可能である。少なくとも1つの第1慣性センサが少なくとも1つの制御モジュールに取り付けられる場合、これは、当該センサが少なくとも1つの制御モジュールの部材またはエレメントを形成することを意味する。逆に言えば、当該センサが少なくとも1つの制御モジュールに対する外部に配置されていないことを意味する。
【0010】
言い換えれば、車両の電子システムは、舵角センサユニットおよび電子制御ブレーキシステムEBSの電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUを含む、複数の種々のユニットおよびモジュールと、複数の制御モジュールであってよい少なくとも1つの制御モジュールとを有している。1つの慣性センサは1つの制御モジュールの内側、内部または表面に取り付け可能であり、または2つ以上の制御モジュールはその内側、内部または表面に慣性センサを取り付けて有することができる。1つの慣性センサは、例えばヨーレート、加速度、減速度などの情報を提供することも、回転数についての情報を提供することもできる。1つもしくは複数の制御モジュールの内側、内部または表面に取り付けられた1つもしくは複数の慣性センサからのこうした情報は、車両の安定化のために利用可能であり、また、運転者の連続した注意なしでの自動運転を可能にしかつ改善するためにも利用可能である。
【0011】
このように、動的制御手段を可能にする慣性情報が提供される。電気系統の1つもしくは複数の制御モジュールの内側、内部または表面に配置される慣性センサを設けることにより、慣性センサを内側、内部または表面に配置した制御モジュールの機能性に関連する慣性情報が、正確に捕捉され、供給される。これにより車両全体の動的制御が改善される。
【0012】
一例においては、1つの第1慣性センサが、電子空気処理ユニットの内側、内部または表面に取り付けられる。
【0013】
電子空気処理ユニットには、通常、少なくとも1つの空気乾燥器およびマルチサーキットプロテクションバルブが組み込まれている。さらに、圧力センサおよび電磁弁も含まれうる。任意の手段として、クラッチおよび電気駆動式圧縮器も電子空気処理ユニット内部に含まれうる。電子空気処理ユニットは、電子制御ブレーキシステムEBSの一部を形成することができ、これに乾燥および浄化された処理空気を供給する。
【0014】
電子空気処理ユニットは、通常、特に種々の空気回路において、少なくとも1つのニューマチック消費部、例えば少なくとも1つのサービスブレーキ圧力制御モジュール、少なくとも1つのトレーラブレーキモジュールおよび/または少なくとも1つのパーキングブレーキ弁または電子制御ブレーキシステムのモジュールに、乾燥された空気を供給する。
【0015】
電子空気処理ユニットは、一般に車両シャシに固定されており、一般に車両の重心からあまり遠くない位置に配置されている。したがって、慣性センサを電子空気処理ユニットの内側、内部または表面に配置することにより、車両の重心に関する慣性情報が供給され、これにより重要な基準情報が得られる。
【0016】
一例においては、1つの第1慣性センサが、フットブレーキモジュールの内側、内部または表面に取り付けられる。
【0017】
フットブレーキモジュールには、通常、フットブレーキ作動部材の作動に応じて第1電気制御信号を形成する電気チャネルと、フットブレーキ作動部材の作動に応じてニューマチック制御信号を形成する少なくとも1つのニューマチックチャネルとが組み込まれている。電気チャネルには、第1電気制御信号を形成するために、フットブレーキ作動部材の作動位置または作動角度を測定する電気位置センサまたは電気角度センサが組み込まれる。少なくとも1つのニューマチックチャネルには、フットブレーキ作動部材の作動に応じてニューマチック制御信号を形成する少なくとも1つのフットブレーキ制御弁が組み込まれる。
【0018】
通常、フットブレーキモジュールの電気チャネルによって形成される第1電気制御信号は、電子制御ブレーキシステムEBSの電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUに送信される。当該第1電気制御信号に基づき、少なくとも1つのサービスブレーキ圧力制御モジュールを電子制御するための、また、トレーラ制御モジュールが電子ブレーキシステム内に存在している場合にこれを電子制御するための、第2電気制御信号が形成される。
【0019】
このように、フットブレーキモジュールはサービスブレーキの入力信号発生器であるので、フットブレーキモジュール内部の慣性センサから供給される慣性情報を、サービスブレーキの改善された効率的な動作の保証のために利用することができる。
【0020】
一例においては、1つの第1慣性センサは、制御ループにおいてサービスブレーキ圧力を制御するサービスブレーキ圧力制御モジュールの内側、内部または表面に取り付けられる。
【0021】
サービスブレーキ圧力制御モジュールには、通常、少なくとも1つの電磁弁装置、少なくとも1つのリレー弁、少なくとも1つのバックアップ弁、少なくとも1つの圧力センサおよび少なくとも1つのローカル電子制御ユニットが組み込まれている。少なくとも1つのローカル電子制御ユニットは、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUが形成した第2電気信号を受信し、少なくとも電磁弁装置を制御する。少なくとも1つのローカル電子制御ユニットには、閉ループ方式でサービスブレーキ圧力を制御する制御ルーチンが供給される。サービスブレーキ圧力は、少なくとも1つのニューマチックブレーキアクチュエータ、例えばニューマチックブレーキシリンダ用のリレー弁によって形成される。当該リレー弁は、少なくとも1つのローカル電子制御ユニットが電気制御する少なくとも1つの電磁弁装置が形成した制御圧力によってニューマチックに制御される。制御圧力に基づいてリレー弁が形成したサービスブレーキ圧力は、圧力センサによって測定され、サービスブレーキ圧力の閉ループ制御を実現するために、電気信号によりローカル電子制御ユニットへ報知される。他方、少なくとも1つのバックアップ弁には、フットブレーキモジュールのニューマチックチャネルで形成されたニューマチック制御信号が供給される。通常動作中、少なくとも1つのバックアップ弁は閉鎖位置にあり、このため制御圧力としてのニューマチック制御信号はリレー弁へ送出されえない。しかし、電気制御または電子制御に故障が生じた場合、少なくとも1つのバックアップ弁がその開放位置に自動的に切り替えられ、これにより、ニューマチック制御信号を制御圧力としてリレー弁へ送出することができる。
【0022】
こうしたサービスブレーキ圧力制御モジュールは、種々の複数のチャネルを提供することができ、各チャネル内部で、1つもしくは複数のニューマチックブレーキアクチュエータのサービスブレーキ圧力が別個にループ制御される。
【0023】
サービスブレーキ圧力制御モジュールは、一般に車両シャシに固定されている。したがって、慣性センサをサービスブレーキ圧力制御モジュールの内側、内部または表面に配置することにより、車両シャシの運動に関する慣性情報が供給され、これにより重要な基準情報が得られる。
【0024】
一例においては、1つの第1慣性センサは、制御ループ内のトレーラ用のサービスブレーキ圧力を制御するトレーラ制御モジュールの内側、内部または表面に取り付けられる。
【0025】
トレーラブレーキ圧力モジュールには、通常、少なくとも1つの電磁弁装置、少なくとも1つのリレー弁、少なくとも1つのバックアップ弁、少なくとも1つの圧力センサおよび少なくとも1つのローカル電子制御ユニットが組み込まれている。少なくとも1つのローカル電子制御ユニットは、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUが形成した第2電気信号を受信し、少なくとも1つの電磁弁装置を制御する。少なくとも1つのローカル電子制御ユニットには、閉ループ方式で、トレーラ用のサービスブレーキ圧力を制御する制御ルーチンが供給される。トレーラ用のサービスブレーキ圧力は、トレーラの少なくとも1つのニューマチックブレーキアクチュエータ、例えばニューマチックブレーキシリンダ用のリレー弁によって形成される。当該リレー弁は、少なくとも1つのローカル電子制御ユニットが電気制御する少なくとも1つの電磁弁装置が形成した制御圧力によってニューマチックに制御される。当該制御圧力に基づいてリレー弁が形成した、トレーラ用のサービスブレーキ圧力は、圧力センサによって測定され、トレーラ用のサービスブレーキ圧力の閉ループ制御を実現するために、電気信号によりローカル電子制御ユニットへ報知される。他方、少なくとも1つのバックアップ弁には、フットブレーキモジュールの少なくとも1つのニューマチックチャネルで形成されたニューマチック制御信号が供給される。通常動作中、少なくとも1つのバックアップ弁はその閉鎖位置にあり、このため制御圧力としてのニューマチック制御信号はリレー弁へ送出されえない。しかし、電気制御または電子制御に故障が生じた場合、少なくとも1つのバックアップ弁がその開放位置に自動的に切り替えられ、これにより、ニューマチック制御信号を制御圧力としてリレー弁へ送出することができる。つまり、トレーラ制御モジュールの機能は、サービスブレーキ圧力制御モジュールの機能に類似している。
【0026】
トレーラ制御モジュールは、一般に車両シャシに固定されている。したがって、慣性センサをトレーラ制御モジュール内部に配置することにより、車両シャシの運動に関する慣性情報が供給され、これにより重要な基準情報が得られる。
【0027】
一例においては、少なくとも1つの制御モジュールの内側、内部または表面に取り付けられた少なくとも1つの第1慣性センサのそれぞれは、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUに直接通信可能に接続されるように構成される。
【0028】
このように、1つもしくは複数の制御モジュールであってよい電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUとの直接通信により、慣性センサが供給する慣性情報を、電子制御ブレーキシステムEBSの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUによって直接に利用することができる。
【0029】
一例においては、1つの第1慣性センサは、パーキングブレーキモジュール、パーキングブレーキ弁および/またはパーキングブレーキリレー弁の内側、内部または表面に取り付けられる。パーキングブレーキモジュール、パーキングブレーキ弁および/またはパーキングブレーキリレー弁は、これらのユニットの作動に電気的に作用することの多い、車両の電気系統の一部を形成しているとみなすことができる。
【0030】
パーキングブレーキモジュールは、通常、パーキングブレーキ作動部材を含むかまたはこれに電気的に接続され、パーキングブレーキモジュールのローカル電子制御ユニットに供給される第3電気制御信号を形成するために、パーキングブレーキ作動部材の作動位置または作動角度を測定する電気位置センサまたは電気角度センサと協働する。さらに、パーキングブレーキモジュールには、第3電気信号に応じてローカル電子制御ユニットが形成した第4電気信号に応じて、少なくとも1つのニューマチックパーキングブレーキアクチュエータ、例えばニューマチックスプリングブレーキシリンダに対するパーキングブレーキ圧力を形成する電磁弁装置が組み込まれている。
【0031】
このように、パーキングブレーキがパーキングブレーキモジュールまたはパーキングブレーキ弁によって制御され、パーキングブレーキリレー弁により圧力を任意に実行可能であるので、パーキングブレーキの動作を改善することができる。ここでは、パーキングブレーキモジュールまたはパーキングブレーキ弁もしくはパーキングリレー弁に関する慣性情報が、動的制御をより効率的に提供可能とするために、供給される。
【0032】
一例においては、1つの第1慣性センサは、操舵装置モジュールの内側、内部または表面に取り付けられる。
【0033】
操舵装置モジュールには操舵装置が組み込まれ、さらに、「ステアバイワイヤシステム」を実現するために舵角センサユニットに電気的に接続されたローカル電子制御ユニットを設けることができる。ここで、舵角センサユニットは、ステアリングコラムに機械的に結合され、ステアリングコラムに取り付けられたステアリングホイールの作動に応じた第5電気信号を形成して、これを操舵装置モジュールのローカル電子制御ユニットへ供給する。ここで、ローカル電子制御ユニットは、電気ステアリングアクチュエータを制御するために、第5電気信号に基づいて第6電気信号を形成する。さらに、操舵装置モジュールのローカル電子制御ユニットは、車両の駆動安定性を制御する横滑り防止装置ESPから、形成された制御信号を自動的に受信可能である。
【0034】
舵角センサユニットおよび操舵装置モジュールは、電子制御ブレーキシステムEBSと協働することができる。なぜなら、横滑り防止装置ESPは、運転者の操舵マヌーバに起因する車両の動的不安定性が生じる場合にサービスブレーキを自動的に作動させるEBS内に組み込まれていることが多いからである。
【0035】
操舵装置モジュールは一般に車両シャシに固定されている。したがって、慣性センサを操舵装置モジュール内部に配置することにより、車両シャシの運動に関する慣性情報が供給され、これにより重要な基準情報が得られる。
【0036】
一例においては、第2慣性センサが少なくとも1つの制御モジュールに対する外部に配置され、第1電源が少なくとも1つの第1慣性センサに電力を供給するために構成され、第2電源が第2慣性センサに電力を供給するために構成される。
【0037】
このように、第1慣性センサまたは第2慣性センサの一方は他方の慣性センサからの慣性情報の供給の可能化に失敗する可能性があり、または、第2慣性センサが別個の電源によることから第1慣性センサへの電力供給に失敗する可能性があるため、安全冗長性情報が提供され、慣性情報の供給の続行が提供される。このようにすれば、電子制御ブレーキシステムEBSの要素または電源に故障が生じたとしても、動的制御手段を提供する連続的な自動運転が可能となる。
【0038】
一例においては、第2慣性センサが、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUの内側、内部または表面に取り付けられる。
【0039】
このように、異なる位置に取り付けられた少なくとも2つの慣性センサが慣性情報を提供するので、改善された動的制御が提供され、このことにより、同時に安全バックアップが提供される。なぜなら、慣性センサおよび/または第1電源には故障が生じることがあるが、慣性情報を連続して供給することができるからである。また、第2慣性センサを電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUの内側、内部または表面に設けることにより、第2慣性センサが供給する慣性情報を、電子制御ブレーキシステムの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUによって直接に利用することができ、さらに、第2慣性センサが電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUの内側、内部または表面に取り付けられるので、配線が低減される。
【0040】
一例においては、少なくとも1つの第1慣性センサおよび第2慣性センサのいずれかまたは全てが、いずれかの軸に関する回転センサであり、または、いずれかの軸に関する並進運動センサもしくは直線運動センサである。
【0041】
第2態様においては、第1態様による電気系統を含む車両が提案される。
【0042】
上述した各態様および各例は、以下に説明する各実施形態を参照することで明瞭かつ明確となるであろう。
【0043】
以下に、例示的な実施形態を、添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】車両用電気系統の一例を示す概略図である。
図2】車両用電気系統の一例を示す概略図である。
図3】車両用電気系統の詳細なアーキテクチャの一例を示す概略図である。
図4】こうした電気系統を備えた車両の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施形態の詳細な説明
図1および図2には、電子制御ブレーキシステムEBSを含む車両200の電気系統10の一例が示されており、図3には、車両200用の電気系統10の詳細なアーキテクチャの一例が示されている。電気系統10は、舵角センサユニット109と、少なくとも1つの制御モジュール20と、少なくとも1つの第1慣性センサ110と、電子制御ブレーキシステムEBSの電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101と、を含む。少なくとも1つの制御モジュール20は舵角センサユニット109に対する外部にある。また、少なくとも1つの制御モジュール20は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に対しても外部にある。少なくとも1つの制御モジュール20の少なくとも1つの内側、内部または表面に、少なくとも1つの第1慣性センサ110のいずれかが取り付けられている。
【0046】
図2から最良に見取ることができるように、一例によれば、少なくとも1つの制御モジュール20は、電子空気処理ユニット100を含む。少なくとも1つの第1慣性センサ110の1つの第1慣性センサ111は、電子空気処理ユニット100の内側、内部または表面に取り付けられている。
【0047】
一例においては、電子空気処理ユニット100は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に電気的もしくは電子的に接続されている。したがって、車両の重心に関する慣性情報を供給可能な、電子空気処理ユニット100内部の第1慣性センサ111が供給した情報が、車両の動的安定性制御を含む電子制御ブレーキシステムEBSの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によって利用可能となる。
【0048】
一例によれば、少なくとも1つの制御モジュール20は、フットブレーキモジュール102を含む。少なくとも1つの第1慣性センサ110の1つの第1慣性センサ112は、フットブレーキモジュール102の内側、内部または表面に取り付けられている。
【0049】
一例においては、フットブレーキモジュール102は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に電気的もしくは電子的に接続されている。したがって、フットブレーキモジュール102内部の第1慣性センサ112が供給した情報が、電子制御ブレーキシステムEBSの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によって利用可能となる。
【0050】
一例によれば、少なくとも1つの制御モジュール20は、サービスブレーキ圧力制御モジュール103,104を含む。少なくとも1つの第1慣性センサ110の1つの第1慣性センサ113は、サービスブレーキ圧力制御モジュール103,104の内側、内部または表面に取り付けられている。
【0051】
一例においては、サービスブレーキ圧力制御モジュール103,104は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に電気的もしくは電子的に接続されている。したがって、車両シャシに関する慣性情報を供給可能なサービスブレーキ圧力制御モジュール103,104内部の第1慣性センサ113が供給した情報が、電子制御ブレーキシステムEBSの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によって利用可能となる。
【0052】
一例によれば、少なくとも1つの制御モジュール20は、トレーラ制御モジュール105を含む。少なくとも1つの第1慣性センサ110の1つの第1慣性センサ114は、トレーラ制御モジュール105の内側、内部または表面に取り付けられている。
【0053】
一例においては、トレーラ制御モジュール105は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に電気的もしくは電子的に接続されている。したがって、車両シャシに関する慣性情報を供給可能な、トレーラ制御モジュール105内部の第1慣性センサ114が供給した情報が、電子制御ブレーキシステムEBSの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によって利用可能となる。
【0054】
一例によれば、第1慣性センサ110が内側、内部または表面に取り付けられた制御モジュール20のいずれかもしくは1つは、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に通信可能に接続されている。当該接続は、有線通信または無線通信を介して行うことができる。
【0055】
一例によれば、少なくとも1つの制御モジュール20は、パーキングブレーキモジュール106、パーキングブレーキ弁106および/またはパーキングブレーキリレー弁107を含む。少なくとも1つの第1慣性センサ110の1つの第1慣性センサ115は、パーキングブレーキモジュール106、パーキングブレーキ弁106および/またはパーキングブレーキリレー弁107の内側、内部または表面に取り付けられている。
【0056】
一例においては、パーキングブレーキモジュール106、パーキングブレーキ弁106およびパーキングブレーキリレー弁107は統合され、これに電子制御ユニットが設けられる。
【0057】
図3には示されていないが、一例によれば、1つの第1慣性センサ115が内側、内部または表面に取り付けられたパーキングブレーキモジュール106は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に通信可能に接続される。したがって、車両シャシに関する慣性情報を供給可能な、パーキングブレーキモジュール106の内側、内部または表面の第1慣性センサ115が供給した情報が、電子制御ブレーキシステムEBSの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によって利用可能となる。
【0058】
一例によれば、少なくとも1つの制御モジュール20は、操舵装置モジュール108を含む。少なくとも1つの第1慣性センサ110の1つの第1慣性センサ116は、操舵装置モジュール108内部に取り付けられている。
【0059】
一例においては、操舵装置モジュール108は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に電子的に接続されている。したがって、車両シャシに関する慣性情報を供給可能な、操舵装置モジュール108内部の第1慣性センサ116が供給した情報が、電子制御ブレーキシステムEBSの全体機能性を改善するために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によって利用可能となる。
【0060】
図1の例によれば、第2慣性センサ120が、少なくとも1つの制御モジュール20に対する外部に配置されている。第1電源130は、少なくとも1つの第1慣性センサ110に電力を供給するように構成されており、第2電源140は、第2慣性センサ120に電力を供給するように構成されている。
【0061】
一例においては、第1電源130はバッテリである。一例においては、第2電源140はバッテリである。一例においては、第1電源130はジェネレータであってよい。一例においては、第2電源140はジェネレータであってよい。一例においては、第1電源130はバッテリおよびジェネレータから形成される。当該例においては、第1バッテリは、内燃機関が動作していないときの電力供給に使用することができる。ただし、内燃機関が動作しているときには、機関からパワーを受け取る第1ジェネレータを電力供給に使用することができるので、バッテリから電力を取り出す必要はない。同様に、第2電源140は、第2バッテリおよび第2ジェネレータから形成可能である。
【0062】
一例によれば、第2慣性センサ120は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101の内側、内部または表面に取り付けられている。
【0063】
一例によれば、少なくとも1つの第1慣性センサ110および第2慣性センサ120のいずれかもしくは全ては、いずれかの軸に関する回転センサであり、または、いずれかの軸に関する並進運動センサもしくは直線運動センサである。
【0064】
言い換えれば、慣性センサ110は、電子空気処理ユニット100、フットブレーキモジュール102、サービスブレーキ圧力制御モジュール103,104、トレーラ制御モジュール105、パーキングブレーキモジュール106、パーキングブレーキ弁106および/またはパーキングブレーキリレー弁107またはパーキングブレーキ弁106および/またはパーキングブレーキリレー弁107の統合ユニットハウジング、または操舵装置モジュール108のうち1つもしくは全てを含む複数内もしくはその表面に設けることができる。
【0065】
さらに、当該制御モジュール20のいずれかにおける第1慣性センサ110には、第1電源130によって電力を供給可能である。この場合、第2慣性センサ120は、他のモジュール、例えば電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101の内側、内部または表面に取り付け可能であり、または、シャシに取り付け可能であり、または、舵角センサユニット109内部に取り付け可能である。
【0066】
第2慣性センサ120には、別個の電源140から電力が供給される。したがって、第1慣性センサ110または第1電源130に故障が生じた場合にも、慣性データは連続して取得され、電気系統10内部、特に電子制御ブレーキシステムEBS内部で利用される。同様に、1つもしくは複数の第2慣性センサ120または第2電源140に故障が生じた場合にも、慣性データは連続して取得され、電気系統10内部、特に電子制御ブレーキシステムEBS内部で利用される。
【0067】
図4には、車両200が示されている。当該車両は、図1図2図3のいずれかもしくは全てに即して説明した電気系統10を上述したように備えている。
【0068】
一例においては、第2慣性センサ120は車両200のシャシ210に取り付けられている。
【0069】
図3に再び戻ると、ここには電気系統10の詳細なアーキテクチャが示されており、ここでの電子制御ブレーキシステムEBSはエレクトロニューマチックブレーキシステムとも称することができる。エレクトロニューマチックブレーキシステムは、次の主な要素から形成されている。すなわち、電子空気処理ユニットまたは電子空気処理モジュール100によって圧縮空気が処理および制御され、圧縮、乾燥および浄化された空気が複数の独立回路へ供給される。サービスブレーキはフットブレーキモジュールFBM102から命令を受け、その信号は、好ましくは運転室内に配置された電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によって処理される。ただし、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101は他の場所に配置されていてもよい。電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101は、前軸エレクトロニューマチック圧力変調器もしくは前軸エレクトロニューマチック圧力変調モジュール103および後軸エレクトロニューマチック圧力変調器もしくは後軸エレクトロニューマチック圧力変調モジュール104に命令して、要求されているブレーキ圧力を、車輪側アクチュエータ、例えばニューマチックサービスブレーキシリンダへ供給させる。トレーラのブレーキはトレーラ制御モジュールTCM105によって制御される。パーキングブレーキはパーキングブレーキ弁もしくはパーキングブレーキモジュールPBM106によって制御され、そこで形成される圧力は、任意手段であるパーキングブレーキリレー弁107によって実行可能である。エレクトロニューマチックパーキングブレーキ(EPB)を備えた所定のシステムにおいては、当該2つの要素106,107は統合可能であり、これに電子制御ユニットまたはパーキングブレーキモジュール106を設けることができる。また、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101は、ステアリングコラムに配置された舵角センサ109の信号も読み出す。ステアリングコラムは操舵装置モジュール108に結合されている。上記のモジュール100,102,103,104,105,106,107,108のいずれかを、上述した制御モジュール20とみなすことができる。
【0070】
最終的に、慣性センサユニット110は、安定性制御機能のために、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101によっても読み込まれる。明瞭化のためのみであるが、慣性センサユニット110は制御モジュール20に対して別個に示されており、図2には、特定の慣性センサ110それぞれの可能な位置が示されている。また、それぞれの慣性センサ110の可能な特定の位置は上述した通りである。慣性センサユニット110は、自動車シャシの重心近傍に組み込まれたスタンドアローンのユニットであってよく、この場合、図3には示されていない慣性センサ120となる。第2慣性センサ120は、電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECUがシャシに組み込まれている場合、この電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU101に組み込むこともでき、このようにすれば2つの要素間の配線を省略することができる。また、第2慣性センサ120は、図3に示されてはいないが、舵角センサ109に組み込むこともできる。慣性センサユニット110,120は、複数の軸に関する回転ヨーレートおよび直線加速度の双方を測定する複数のセンサを含むことができる。
【0071】
本発明の実施形態を種々の主題に即して説明したことに注意されたい。特に、幾つかの実施形態を方法タイプの請求項に即して説明し、他の実施形態を装置タイプの請求項に即して説明した。しかし、当該分野の技術者であれば、上述および下述の記載から、別の注記がないかぎり、一方のタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴の任意の組み合わせも本願に開示されているとみなしうることを理解するであろう。なお、全ての特徴は、これらの特徴の単純な集積を上回る相互作用を発揮するように組み合わせ可能である。
【0072】
本発明を図面および上述の説明において詳細に図示および説明したが、こうした図示および説明は例示的なものであって限定的でないと理解されたい。本発明は開示した実施形態に限定されない。当該分野の技術者は、特許請求の範囲の発明の実施に際して、図面、明細書および添付の特許請求の範囲の研究から、開示した実施形態に対する他のバリエーションを理解しかつ実現することができる。
【0073】
特許請求の範囲において、「含む、備える(comprising)」なる語は他のエレメントもしくはステップを排除するものでなく、不定冠詞「1つの(a, an)」は複数性を排除するものでない。単独のプロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲に言及されている複数の項目の機能を実現することができる。所定の措置が相互に異なる従属請求項において言及されていることのみをもって、これらの措置の組み合わせを有利に使用することができないことが示されるものではない。特許請求の範囲におけるいずれの参照記号も、発明範囲を限定するものと理解されるべきでない。
【符号の説明】
【0074】
10 電気系統
20 少なくとも1つの制御モジュール
101 電子ブレーキシステム中央制御ユニットEBSECU
109 舵角センサユニット
100 電子空気処理ユニット
102 フットブレーキモジュール
103,104 サービスブレーキ圧力制御モジュール
105 トレーラ制御モジュール
106 パーキングブレーキ弁/パーキングブレーキモジュール
107 パーキングブレーキリレー弁
108 操舵装置モジュール
110 少なくとも1つの第1慣性センサ
111 電子空気処理ユニット内部に取り付けられた第1慣性センサ
112 フットブレーキモジュール内部に取り付けられた第1慣性センサ
113 サービスブレーキ圧力制御モジュール内部に取り付けられた第1慣性センサ
114 トレーラ制御モジュール内部に取り付けられた第1慣性センサ
115 パーキングブレーキ弁および/またはパーキングブレーキリレー弁内部に取り付けられた第1慣性センサ
116 操舵装置モジュール内部に取り付けられた第1慣性センサ
120 第2慣性センサ
130 第1電源
140 第2電源
200 車両
210 車両シャシ
図1
図2
図3
図4