特許第6882466号(P6882466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882466
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ポリマー組成物、材料および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/12 20060101AFI20210524BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20210524BHJP
   C08J 3/21 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C08L27/12
   C08L83/04
   C08J3/21CEW
   C08J3/21CFH
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-521122(P2019-521122)
(86)(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公表番号】特表2019-537644(P2019-537644A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(86)【国際出願番号】US2017057890
(87)【国際公開番号】WO2018081006
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2019年4月19日
(31)【優先権主張番号】62/411,800
(32)【優先日】2016年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ガシェック
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エイチ・ピート
(72)【発明者】
【氏名】フローレンス・ピィ
【審査官】 工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−292673(JP,A)
【文献】 特開2006−117900(JP,A)
【文献】 特開2000−053834(JP,A)
【文献】 特開平06−211981(JP,A)
【文献】 特開昭61−034032(JP,A)
【文献】 特開平08−120211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L27/00−27/24
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマー成分を含む分散液と、
シリコーン成分を含むエマルジョンと、を含む組成物であって、
前記フルオロポリマー成分が、平均粒径Dを有する複数のフルオロポリマー粒子を含み、
前記組成物から形成された単一パスフィルムが、少なくとも1.25×10−5×D2.5(前記式中のDは平均粒径の数値である)の限界亀裂厚みCCTを有し、CCTはミクロン単位、Dはナノメートル単位である、組成物。
【請求項2】
Dが最大400nm、かつ少なくとも150nmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
CCTが少なくとも25ミクロン、かつ最大100ミクロンである、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記シリコーン成分がシロキサンを含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シロキサンがポリジメチルシロキサンを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリコーン成分が、架橋に適した1つ以上の官能末端基を有するシリコーンポリマーを含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記1つ以上の官能末端基が、ヒドロキシル、アルキルシロキサン、ビニル、アミノ、メトキシ、メタクリル、ポリエーテル、シラノール、カルボン酸無水物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリコーン成分が、ポリマー骨格中にメチル基以外の基を有するシリコーンポリマーを含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記メチル基以外の基が、フェニル、メトキシ、エトキシ、メルカプト、カルボキシル、アクリレート、イソシアネート、酸無水物、ポリエーテル、アラルキル、フルオロアルキル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記単一パスフィルムの前記シリコーン成分が、前記単一パスフィルムの総重量を基にして少なくとも6重量%である、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記フルオロポリマー成分が、フルオロポリマーまたはさらにはペルフルオロポリマーを含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー(MFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンを
含むターポリマー(THV)、またはそれらの任意の配合物もしくはそれらの任意の合金を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
フルオロポリマー成分を含む分散液と、
反応性シリコーン成分を含むエマルジョンと、を含む組成物であって、
前記フルオロポリマー成分が、平均粒径Dを有する複数のフルオロポリマー粒子を含み、
前記組成物から形成された単一パスフィルムが、少なくとも1.25×10−5×D2.5(前記式中のDは平均粒径の数値である)の限界亀裂厚みCCTを有し、CCTはミクロン単位、Dはナノメートル単位である、組成物。
【請求項14】
前記組成物が、塗膜密着性試験に従って測定されたときに、少なくとも約1.5ポンドの平均塗膜密着性を含む、請求項1および13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマー材料を製造する方法であって、
フッ素化成分を含む分散液を提供することと、
反応性シリコーン成分を含むエマルジョンを提供することと、
組成物を形成するために前記分散液と前記エマルジョンとを混合することと、
前記ポリマー材料を形成するために前記組成物を乾燥することと、を含み、
前記フッ素化成分が、平均粒径Dを有する複数のフルオロポリマー粒子を含み、
前記ポリマー材料が、少なくとも1.25×10−5×D2.5(前記式中のDは平均粒径の数値である)の限界亀裂厚みCCTを有し、CCTはミクロン単位、Dはナノメートル単位である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマーシートおよび被覆布に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーシートおよび被覆布は、様々な産業で使用されている。ポリマーシートおよび被覆布は、少なくともコロイド状混合物のパス上から製造することができる。製造プロセスは、例えば、乾燥工程または焼成工程を含むことができる。ポリマーシートおよび被覆布は、乾燥工程または焼成工程中に望ましくない亀裂が現れる限界亀裂厚み(「CCT」)を有し得る。CCTが低いと、処理工程数の増加をもたらす可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
実施形態は、例示のために示されるものであり、添付の図面に限定されない。
【0004】
図1】ポリテトラフルオロエチレンの予想限界亀裂厚みを示すグラフである。
図2】本明細書に記載の特定の実施形態による単層物品の図解である。
図3】本明細書に記載の特定の実施形態による多層物品の図解である。
図4】本明細書に記載の特定の実施形態による多層物品の図解である。
図5】本明細書に記載の特定の実施形態による被覆布の図解である。
図6】本明細書に記載の特定の実施形態による被覆布の図解である。
図7】実施例の節におけるサンプル1〜3の質量減少試験の結果のプロットである。
図8】実施例の節におけるサンプル1〜3の質量減少試験の結果のプロットである。
図9】実施例の節で使用された試験装置の図解である。
図10】実施例の節におけるサンプル10の摩耗率試験の結果のプロットである。
図11】実施例の節におけるサンプル11の摩耗率試験の結果のプロットである。
図12】実施例の節におけるサンプル12の摩耗率試験の結果のプロットである。
図13】実施例の節におけるサンプル13、14および15の塗膜密着性試験の結果のプロットである。
【0005】
当業者であれば、図中の要素は、単純性および明瞭性のために例示されるものであり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解している。例えば、図中の要素のうちのいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解の向上に役立つように他の要素に対して誇張される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、図と組み合わせて、本明細書において開示される教示の理解を助けるために提供される。以下の考察は、教示の特定の実装形態および実施形態に焦点を合わせる。この焦点は、教示の説明を助けるために提供され、教示の範囲または適用性を限定するものとして解釈されるべきではない。しかしながら、本出願において開示される教示に基づいて他の実施形態が使用されてもよい。
【0007】
本明細書で使用されるとき、用語「分散体」は、流体マトリックス中に懸濁された固体物質をいい、用語「エマルジョン」は、流体マトリックス中に懸濁された液体物質をいう。
【0008】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図される。例えば、特長の列挙を含む方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特長のみに限定されるわけではないが、明確には列挙されていないか、またはかかる方法、物品、もしくは装置に固有である他の特長を含んでもよい。さらに、そうではないと明確に記載されない限り、「または(or)」は、包含的なまたは(inclusive−or)を指し、排他的なまたは(exclusive−or)を指すものではない。例えば、条件AまたはBは、以下のうちのいずれか1つよって満たされる:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)かつBが真である(または存在する)、およびAとBの両方が真である(または存在する)。
【0009】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書において説明される要素および構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜性のために、また本発明の範囲の一般的な意味を付与するために行われる。この説明は、それがそうではないように意味されることが明白でない限り、1つ、少なくとも1つ、または複数形もまた含むような単数形を含むように読まれるべきであり、逆も同様である。例えば、単一の項目が本明細書に説明される場合、複数の項目が単数の項目の代わりに使用されてもよい。同様に、複数の項目が本明細書に説明される場合、単数の項目がその複数の項目に置き換えられてもよい。
【0010】
別段に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、および実施例は、単に例証的なものであり、限定的であることを意図されない。本明細書に記載されていない限り、特定の材料および処理行為に関する多くの詳細は、従来のものであり、ポリマー、シート材料、および布の技術における教科書および他の情報源に見出され得る。
【0011】
本明細書に記載されているのは、フッ素化成分を含むポリマー材料である。このポリマー材料は、従来のフルオロポリマー材料よりも改善された性能を示すことができる。例えば、従来のフルオロポリマー材料は、フルオロポリマー粒子間に大きな空隙を含むことがある。理論に束縛されるものではないが、これらの大きな空隙は、例えば、低い限界亀裂厚み(「CCT」)、単一パスのポリマー材料に亀裂が現れ始める厚み、を示すことによって、フルオロポリマー材料の性能を低下させる可能性があると考えられる。
【0012】
しかしながら、本明細書に記載のポリマー材料は、フルオロポリマー粒子間のそのような空隙に浸透して適合することができる、反応性シリコーンに由来するシリコーン成分を含むことができる。従来のポリマー材料、さらには予備硬化シリコーンに由来するシリコーン成分を含む組成物から形成されたフルオロポリマー材料も、本明細書に記載のポリマー材料によって示されるレベルの、フルオロポリマー粒子間のそのような空隙に対する浸透性および適合性を示さない。概念は、以下で説明される実施形態を考慮してよく理解されるが、これらの実施形態は、例示するものであって、本明細書の範囲を限定するものではない。
【0013】
本明細書に記載のポリマー材料のフルオロポリマー成分は、フルオロポリマーまたはさらにはペルフルオロポリマーを含むことができる。例えば、フルオロポリマー成分は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー(MFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンを含むターポリマー(THV)、またはそれらの任意の配合物もしくは任意の合金を含むことができる。
【0014】
本明細書に記載のポリマー材料のシリコーン成分は、シリコーンポリマーを含み得る。例えば、シリコーンポリマーは、アルキルシロキサンまたはさらにはポリジメチルシロキサンのようなシロキサンを含むことができる。
【0015】
特定の実施形態では、シリコーン成分は、反応性シリコーンに由来するものであってもよい。本明細書で使用されるとき、用語「反応性シリコーン」は、架橋に適した1つ以上の官能末端基を有するシリコーンポリマーを指す。一実施形態では、官能末端基は、ヒドロキシル、アルキルシロキサン、ビニル、アミノ、メトキシ、メタクリル、ポリエーテル、シラノール、カルボン酸無水物、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。シリコーンポリマーは、ポリマー骨格に追加の基を有することができる。追加の基は、有機官能基、フェニル、メトキシ、エトキシ、メルカプト、カルボキシル、アクリレート、イソシアネート、酸無水物、ポリエーテル、アラルキル、フルオロアルキル、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに、本明細書で使用されるとき、用語「反応性シリコーンに由来する」は、フルオロポリマー分散液およびシリコーンエマルジョンを含む組成物から生じるシリコーン成分をいい、シリコーンエマルジョン中のシリコーンは反応性シリコーンを含む。これは、フルオロポリマー分散液およびシリコーン分散液を含む組成物から生じるシリコーン成分を指す、予備硬化シリコーンに由来するシリコーン成分とは対象的で、シリコーン分散液中のシリコーンは予備硬化シリコーン粒子を含む。
【0016】
ポリマー材料中のフッ素化成分の量は、ポリマー材料中のシリコーン成分の量以上であり得る。一実施形態では、フルオロポリマーは、ポリマー材料の総重量基準で少なくとも55重量%、または少なくとも65重量%、または少なくとも75重量%の量でポリマー材料中に存在することができる。一実施形態では、フルオロポリマーは、ポリマー材料の総重量基準で、最大94重量%、または最大91重量%、または最大87.5重量%、または最大84重量%、または最大80重量%の量でポリマー材料中に存在することができる。さらに、フルオロポリマーは、ポリマー材料の総重量基準で、55〜94重量%または65〜80重量%など、上記の値のいずれかの範囲の量でポリマー材料中に存在することができる。
【0017】
シリコーン成分は、ポリマー材料の総重量基準で、少なくとも6重量%、または少なくとも9重量%、または少なくとも12.5重量%、または少なくとも16重量%、または少なくとも20重量%の量でポリマー材料中に存在することができる。シリコーン成分は、ポリマー材料の総重量基準で、最大45重量%、または最大35重量%、または最大30重量%の量でポリマー材料中に存在することができる。さらに、シリコーン成分は、ポリマー材料の総重量基準で、6〜45重量%または9〜30重量%など、上記の値のいずれかを含む範囲の量でポリマー材料中に存在することができる。
【0018】
フッ素化成分およびシリコーン成分に加えて、ポリマー材料は、剛体粒子をさらに含むことができる。剛体粒子は、シリコーン成分の粒子よりも堅くてもよい。例えば、剛体粒子は、シリコーン成分の粒子よりも大きいヤング率を有することができる。一実施形態では、剛体粒子は、少なくとも0.01GPa、または少なくとも0.05GPa、または少なくとも0.1GPaのヤング率を有することができる。一実施形態では、剛体粒子は、最大1,000GPa、または最大900GPa、または最大800GPaのヤング率を有することができる。一実施形態では、剛体粒子は、0.01〜1,000GPa、または0.05〜900GPa、または0.1〜800GPaなど、上記の値のいずれかの範囲のヤング率を有することができる。剛体粒子はナノ粒子を含むことができる。例えば、剛体粒子は、5〜5,000nmまたは10〜150nmの範囲の直径を有することができる。剛体粒子は、シリカ、フルオロポリマー、アルミナ、ナノ粒子状シリコーン、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。存在する場合、剛体粒子は、ポリマー材料の総重量基準で、0.1〜33重量%、0.5〜25重量%、または1〜10重量%の範囲で存在することができる。
【0019】
ポリマー材料は、フッ素化成分およびシリコーン成分に加えて、上記の剛体粒子以外の充填剤をさらに含むことができる。一実施形態では、充填剤は、顔料、界面活性剤、消泡剤、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。一実施形態では、存在する場合、充填剤は、少なくとも0.1重量%、または少なくとも1重量%、または少なくとも3重量%、または少なくとも5重量%の量でポリマー材料中に存在することができる。一実施形態では、存在する場合、充填剤は、最大40重量%、または最大30重量%、または最大20重量%、または最大10重量%の量で存在することができる。一実施形態では、存在する場合、充填剤は、0.1〜40重量%、またはさらには5〜10重量%など、上記の値のいずれかの範囲で存在することができる。
【0020】
ポリマー材料は、改善された熱安定性を示すことができる。熱安定性は、ポリマー材料のサンプルまたはポリマー材料を含む物品が毎分20℃の速度で所与の温度に加熱され、ヒートサイクル全体を通じて熱重量分析(TGA)装置でサンプルを連続的に秤量する質量減少試験に従って測定することができる。質量減少試験の結果は、380℃でのサンプルの重量と所与の温度に加熱した後のサンプルの重量との百分率差として報告される。百分率は、所定の温度に加熱した後のサンプルの重量を380℃でのサンプルの重量で除算して100%を掛けて計算される。一実施形態では、ポリマー材料は、質量減少試験に従って測定したときに、450℃で0重量%から最大8重量%、または最大6重量%、または最大5重量%まで、もしくは500℃で0重量%から最大16重量%、または最大14重量%、または最大12.5重量%まで、もしくは550℃で0重量%から最大34重量%、または最大32重量%、または最大30重量%までの質量減少を有する。
【0021】
ポリマー材料を製造する方法は、フッ素化成分に対する前駆体を含む分散液と、シリコーン成分に対する前駆体を含むエマルジョンとを提供することと、分散液とエマルジョンとを混合して組成物を形成することと、組成物を乾燥してポリマー材料を形成することと、を含み得る。この方法は、乾燥前に組成物を担体層上に被覆することを含むことができる。
【0022】
方法は、ポリマー材料を焼結して焼結ポリマー材料を形成することを含むことができる。一実施形態では、焼結温度は、少なくとも350℃、または少なくとも360℃、または少なくとも370℃、または少なくとも380℃であり得る。一実施形態では、焼結ポリマー材料は、シリコーン成分を含む。層間またはパス間の密着性を改善するために、1つ以上の層またはパスを部分的に焼結して半硬化層を形成し、別の層またはパスを、最終物品の焼結前に半硬化層に塗布することができる。
【0023】
上述のように、シリコーン成分に対する前駆体を含むエマルジョンは、反応性シリコーンを含むことができる。一実施形態では、シリコーン成分に対する前駆体は、予備硬化シリコーンポリマーまたは予備硬化シリコーンエラストマーではない。従来のフルオロポリマーシート材料には、予備硬化シリコーンポリマーまたはエラストマーが使用されてきた。しかしながら、本発明者らは、予備硬化シリコーンを使用すると法外なプロセス上の問題を引き起こす可能性があり、結果得られる製品の強度が低下する可能性があることを発見した。本発明者らは、シリコーン成分に対する前駆体として予備硬化シリコーンを使用することに伴う欠点なしに、強度および性能の予想外の改善をもたらす、シリコーン成分に対する前駆体として反応性シリコーンを使用する組成物を開発した。
【0024】
特に、コロイド塗膜は、フィルムの強度を超える応力の蓄積のために、乾燥中に特定のCCTでひび割れることが知られている。本発明者らは、フッ素化成分の空隙中に浸透して適合する充填剤を添加することによって、亀裂の特定の原因が防止できることを発見した。これらの充填剤が空隙に浸透して適合することができる限りにおいて、充填剤は、空隙を画定するフルオロポリマー粒子間の機械的強度を増大させる、またはメニスカス生成を減少させることができる。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の組成物の反応性シリコーン成分は、一部には、反応性シリコーン成分が、例えば予備硬化シリコーン粒子よりも、フッ素化成分中の空隙によりよく適合し得るため、CCTの増加などの改善された特性をもたらすと考えられる。
【0025】
ポリマー材料の増加したCCTは、組成物から形成されたポリマー材料の単一パスフィルムによって例示され得る。さらに、ポリマー材料のCCTは、ポリマー材料のフルオロポリマー粒子のサイズに基づく可能性がある。例えば、粒子のサイズが大きくなるにつれて、ポリマー材料のCCTが増加する。
【0026】
この調合により、フィルムの限界亀裂厚みを、PTFEの分散液について予想されるCCTよりも>25%(または50%)大きくすることが可能になる。図1に示したようなHαa2.5の近似関係を使用して理論により予測されるように、市販のPTFE分散液は、一次粒径が大きくなるにつれて、亀裂なしにより厚く被覆されることが観察されている。一実施形態では、単一パスのポリマー材料は、少なくとも1.25×10−5×D2.5、または少なくとも1.5×10−5×D2.5、または少なくとも2.0×10−5×D2.5、または少なくとも3.0×10−5×D2.5のCCTを有することができ、ここで、Dは、フルオロポリマーの平均粒径(ナノメートル単位)である。CCTは、フィルムが組成物から形成されて亀裂について評価される、限界亀裂厚み試験に従って測定される。フィルムは、フィルムを乾燥させるために60℃に設定した加熱プレートを提供し、幅約12.7cm、厚み約25ミクロンのポリイミドフィルムを提供し、ERICHSENプレート上にポリイミド基板を載置し、調整可能なナイフを使用してポリイミドフィルムに組成物を所定の厚みで、または厚みの勾配で塗布し、60℃の温度で乾燥し、OLYMPUS SZX16顕微鏡を使用して乾燥フィルムを亀裂について評価することによって形成される。フィルムが最初に亀裂を示す厚みが限界亀裂厚みである。異なる厚みの一連のフィルム、または厚み勾配を有する単一のフィルムを使用して、亀裂が現れ始める厚みを決定することができる。さらに、組成物が所与の厚みでCCTを有するかどうかを評価するために、問題の厚みのフィルムを形成し、評価して亀裂が現れるかどうかを判定することができる。亀裂が観察された場合、組成物は、所与の厚み以下のCCTを有する。亀裂が観察されない場合、組成物は、所与の厚みより大きいCCTを有する。
【0027】
一実施形態では、フッ素化成分のフルオロポリマー粒子は、最大400nm、または最大380nm、または最大360nm、または最大300nmの平均粒径Dを有することができる。フルオロポリマー粒子の平均粒径が減少するにつれて、CCTが増大する傾向がある。したがって、360nmにおけるCCTは、300nmのCCTよりも大きいと予想される。さらなる実施形態では、フルオロポリマー粒子は、少なくとも150nm、または少なくとも200nm、または少なくとも240nmの平均粒径Dを有することができる。さらに、フルオロポリマー粒子は、220〜400nmまたは240〜360nmなどの上記の値のいずれかの範囲の平均粒径Dを有することができる。
【0028】
上記範囲内の平均粒径Dについて、単一パスフィルムは、少なくとも25ミクロン、または少なくとも30ミクロン、または少なくとも40ミクロン、または少なくとも50ミクロンのCCTを有することができる。さらなる実施形態では、CCTは、最大100ミクロン、または最大90ミクロン、または最大80ミクロンであり得るが、一実施形態は、より大きなCCTを有し得る。
【0029】
ポリマー材料は、物品の全部または一部を形成することができる。物品は、単層物品または多層物品を含むことができる。
【0030】
図2は、単層物品100を含む一実施形態の図解である。一実施形態では、単層物品100は、ポリマー材料を含む層102のみを含むことができる。例えば、単層物品100は、パスのいずれもポリマー材料以外の材料を含まないように、ポリマー材料の複数のパスを含むことができる。図2に示すように、単層物品100は、補強層がなくてもよい。単層物品100は、完成物品、または例えば多層物品の1つの層として後で使用される中間物品であり得る。
【0031】
多層物品は、対向する主表面を有するコア層と、コア層の上に重なった外層とを含むことができる。多層物品200は、図3に示すように、コア層202と単一の外層204とを含むことができる。多層300物品は、図4に示すように、コア層302と複数の外層304および306とを含むことができる。外層はコア層に関して対称的であるように示されているが、外層は非対称の形態で塗布することもでき、1つ以上の外層が、両側のうちの一方の側に存在しなくてもよく、または1つ以上の外層が、異なる側で異なる厚みで塗布されてもよい。さらに、コア層、外層、またはコア層と外層の両方が、追加のポリマー層を含むことができる。追加のポリマー層は、本明細書に記載のポリマー材料を含む層の上に重なっていても、下にあってもよい。特定の実施形態では、追加のポリマー層は、補強層とポリマー材料との間に配設することができる。さらなる特定の実施形態では、ポリマー材料は、補強層と追加のポリマー層との間に配設することができる。追加のポリマー層は、フルオロポリマーを含むことができる。追加のポリマー層は、シリコーンを含まなくてもよい。
【0032】
一実施形態では、コア層は、ポリマー材料を含むことができる。さらなる実施形態では、外層は、ポリマー材料を含むことができる。特定の実施形態では、コア層または外層は、補強層を含むことができる。特定の実施形態では、ポリマー材料は、補強層と直接接触することができる。
【0033】
一実施形態では、補強層は、織繊維強化材または不織繊維強化材などの繊維強化材を含むことができる。例えば、繊維強化材は、織繊維ストランド、またはランダム繊維ストランドのかみ合いを含むことができる。一実施形態では、繊維ストランドは、アラミド、フッ素化ポリマー、ガラス繊維、グラファイト、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリケトン、ポリエステル、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、繊維ストランドは、ポリマー塗膜で被覆することができ、あるいは熱で清浄化もしくは前処理することができる。特定の実施形態では、繊維ストランドは、例えばPTFEなどのフルオロポリマー塗膜などのポリマー塗膜で個々に被覆することができる。
【0034】
さらなる実施形態では、補強層は、メッシュを含むことができる。メッシュは、セラミック材料、プラスチック材料、金属材料、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0035】
さらなる実施形態では、補強層は、支持基板、典型的にはシートを含むことができる。支持基板は、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、またはポリエーテルイミドなどの熱可塑性物質、ポリイミドなどの熱硬化性プラスチック、プラスチック被覆または積層織物、プラスチック被覆または積層金属箔、金属化プラスチックフィルム、繊維ガラス、グラファイト、ポリアラミド、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0036】
図5および6は、被覆布を含む物品400、500の実施形態の図解である。被覆布400、500は、補強層402およびポリマー材料404を含むことができる。ポリマー材料404は、本明細書に記載のポリマー材料を含み、補強層402は、上述の補強層を含むことができる。図5に示すように、ポリマー材料は、補強層を貫通する。ポリマー材料はまた、補強層の上に重なる外層406を形成することができる。特定の実施形態では、補強層402は、繊維強化材を含み、ポリマー材料404は、繊維強化材を貫通する。図6に示すように、被覆布は、補強層402、ポリマー材料404、外層406、および層406の上に重なる外層508を含むことができる。
【0037】
被覆布は、従来の被覆布と比較して、改善された絶縁耐力を有することができる。このような結果は、少なくとも、シリコーンはフルオロポリマーよりもはるかに低い絶縁耐力を有するという理由で、直感に反し、予想外であるが、ポリマー材料への反応性シリコーンの添加が、この特性を改善する。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、予想外の結果は、フルオロポリマー粒子間の空隙の充填に起因する可能性があると考えている。反応性シリコーンは、予備硬化シリコーンと比較して、変形してフルオロポリマー粒子間の空隙を充填することができるので、組成物中に反応性シリコーンを組み込むことによって、改善された結果が達成される可能性がある。
【0038】
一実施形態では、被覆布は、被覆布の厚みに基づいて、改善された絶縁耐力を示すことができる。本明細書で使用される場合、絶縁耐力は、Beckman絶縁耐力試験機およびタイプ3電極を使用して、ASTM D149の方法Cに従って測定することができる。一実施形態では、被覆布は、最大7ミル(0.18mm)、または最大5ミル(0.13mm)、または最大3ミル(0.08mm)の厚み、および少なくとも200kV/cm(約508V/ミル)、または少なくとも225kV/cm(約572V/ミル)、または少なくとも250kV/cm(約635V/ミル))の絶縁耐力を有することができる。さらなる実施形態では、被覆布は、最大7ミル(0.18mm)、または最大5ミル(0.13mm)、または最大3ミル(0.08mm)の厚み、および最大550kV/cm(約1,400V/ミル)、または最大475kV/cm(約1,200V/ミル)、または最大400kV/cm(約1,000V/ミル)の絶縁耐力を有することができる。さらに、被覆布は、最大7ミル(0.18mm)、または最大5ミル(0.13mm)、または最大3ミル(0.08mm)の厚み、および155kV/cm〜550kV/cmまたは250kV/cm〜400kV/cmなど、上記の値のいずれかの範囲内の絶縁耐力を有することができる。
【0039】
一実施形態では、ポリマー材料または被覆布は、改善された引裂強度を有することができる。例えば、反応性シリコーンを含む、本明細書に開示された組成物から形成されるポリマー材料または被覆布は、反応性シリコーンの代わりに予備硬化シリコーンを用いることを除いて同じ組成物から形成される類似のポリマー材料または被覆布よりも、少なくとも15%、または少なくとも30%、または少なくとも45%大きい、機械方向または機械に直交する方向の引裂強度を有することができる。改善は、最大100%以上であり得る。引裂強度は、ASTM D751に従って測定される。
【0040】
別の実施形態では、本明細書に記載の実施形態によるポリマー材料は、塗膜として塗布されると、塗膜密着性試験を用いて測定したときに、本明細書に記載の実施形態に従って形成されないポリマー材料と比べて、際立って改善された塗膜密着力を有することができる。例えば、シリコーンまたは反応性シリコーンを含む、本明細書に開示された組成物から形成されるポリマー材料は、反応性シリコーンの代わりに予備硬化シリコーンを用いることを除いて同じ組成物から形成される類似のポリマー材料よりも、少なくとも15%、または少なくとも30%、または少なくとも45%大きい塗膜密着力を有し得る。改善は、最大200%以上であり得る。塗膜密着性試験は、別の層に対するポリマー材料の5ピーク平均塗膜密着力を測定し、インストロン試験法「adhesion for CF under 20 mil.im_ptf」、クロスヘッドスピード2インチ/分、ゲージ長1インチを用いて行われる。塗膜密着性試験では、サンプルの12個の1インチ×6インチ切片が縦方向に切断され、次いで2,000ポンドのインストロンロードセルを用いて試験される。別の実施形態では、本明細書に記載の実施形態によるポリマー材料は、塗膜として塗布されると、塗膜密着性試験を用いて測定されたときに、際立った塗膜密着力を有することができる。例えば、本明細書に開示された組成物から形成されたポリマー材料は、少なくとも約1.5ポンド、例えば、少なくとも約1.6ポンド、または少なくとも約1.7ポンド、または少なくとも約1.8ポンド、または少なくとも約1.9ポンド、または少なくとも約2.0ポンド、または少なくとも約2.1ポンドの塗膜密着力を有することができる。塗膜密着性試験は、ポリマー材料の別の層の5ピーク平均塗膜密着力を測定し、インストロン試験法「adhesion for CF under 20 mil.im_ptf」、クロスヘッドスピード2インチ/分、ゲージ長1インチを用いて行われる。塗膜密着性試験では、サンプルの12個の1インチ×6インチ切片が縦方向に切断され、次いで2,000ポンドのインストロンロードセルを用いて試験される。
【0041】
以下の実施例は、本明細書に記載されている一般的な原理を実証するために提示されている。本明細書は、提示された特定の実施例に限定されると考えるべきではない。実施例中の全ての部および%は、特に断りのない限り重量による。
【実施例】
【0042】
実施例1
質量減少試験は、3つのサンプルキャストフィルムについて実施された。サンプル1(X−51 30p)は、液体配合物の74重量%の量のポリテトラフルオロエチレン分散液(DuPont製PTFE DISP 30)(乾燥フィルム中に80重量%のPTFEを構成する)と、液体配合物の26重量%の量の反応性シリコーン(Shin Etsu製X−51−1318)(乾燥フィルム中に20重量%のシリコーンを構成する)とを含む組成物から製造された。サンプル2(Polon−MF−56−30p)は、液体配合物の72重量%の量のポリテトラフルオロエチレン(DuPont製PTFE DISP 30)(乾燥フィルム中に80重量%のPTFEを構成する)と、液体配合物の28重量%の量の反応性シリコーン(Shin Etsu製Polon MF−56)(乾燥フィルム中に20重量%のシリコーンを構成する)とを含む組成物から製造された。サンプル3は、液体配合物の82重量%の量のポリテトラフルオロエチレン(DuPont製PTFE DISP 30)(乾燥フィルム中に80重量%のPTFEを構成する)と、液体配合物の18重量%の量の予備硬化シリコーン(Wacker製Finish CT 27E)(乾燥フィルム中に20重量%のシリコーンを構成する)とを含む組成物から製造された比較サンプルである。
【0043】
各サンプルを毎分約20℃の速度で少なくとも600℃の温度に加熱した。結果を、TG%をy軸および温度(℃)をx軸としてプロットした図7および8、ならび下記の表1および2に示す。図7では、質量減少は、380℃での質量から450℃での質量を減算し、その差を380℃での質量で除算することによって計算された。図8では、質量減少は、380℃での質量から500℃での質量を減算し、その差を380℃での質量で除算することによって計算された。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
質量減少試験によって示されるように、本明細書に記載されたポリマー材料は、予想外に高い熱安定性(より低い質量減少に対応する)を有することができる。
【0047】
さらに、シリコーンが物品の最上層に存在する場合、表面のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)データは、さらに低い温度で予備硬化シリコーン生成物のより多くの劣化を示す。
【0048】
実施例2
6つのサンプルを、絶縁耐力、引張強度、および引裂強度について試験した。サンプル4では、3パスのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がスタイル1080のガラス布上に被覆され、シリコーンは使用されなかった。サンプル5〜9では、各サンプルは、スタイル1080のガラス布上に被覆された、30容量%の反応性シリコーンおよび70容量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む組成物を用いて形成された。絶縁耐力は、Beckman絶縁耐力試験機およびタイプ3電極を用いて、ASTM D149の方法Cに従って測定された。引張強度は、ASTM D309に従って、機械方向(MD)および機械に直交する方向(CD)で測定された。引裂強度は、ASTM D751に従って、機械方向(MD)および機械に直交する方向(CD)で測定された。結果を下記の表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
SEM−630は、カナダ、オンタリオ州のSILCHEM INC.から入手可能な反応性シリコーンエマルジョンである。
【0051】
X−51−1318、Polon MF−56、およびPolon MF−33Aは、米国オハイオ州アクロンのShin−Etsu Silicones of America,Inc.から入手可能な反応性シリコーンエマルジョンである。
【0052】
COATOSIL DRIは、米国ニューヨーク州ウォーターフォードのMOMENTIVEから入手可能な反応性シリコーンエマルジョンである。
【0053】
実施例3
3つのサンプルが、摩擦係数および摩耗率について評価された。サンプル10は、スタイル1080のガラス布上に被覆された3パスのPTFEから形成された。サンプル11は、スタイル1080のガラス布上の、30容量%のシリコーンおよび70容量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む2パスの組成物から形成された。サンプル12は、スタイル1080のガラス布上の、第1のパスのPTFE、および30容量%のシリコーンおよび70容量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む第2のパスの組成物から形成された。摩擦係数および摩耗率は、NANOVEA摩擦計、および円形軌道上を回転しているサンプルに荷重を加えるボールベアリングを用いて試験された。摩擦計のベースは、水平位置にレベル出しされ、ボールは、荷重アーム内に保持されて、垂直荷重が確実に垂直に加えられるように、サンプル上に載っているときに摩擦計のアームが水平にレベル出しされることが可能な高さに配置された。次に、アームとボールホルダーが当初、サンプル表面に力を加えないことが確実になるように、アームをカウンターウェイトと釣り合わせた。試験に必要な荷重に対応する重りが、アームのボールホルダー上に載せられた。次いで、ソフトウェアを介して、下記の表3および4の試験パラメータおよび環境条件の下で試験が開始および実施されて、摩擦力が経時的に記録される。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
各サンプルを移動ステージ上に装着し、荷重がサンプル表面上のボールによって加えられている間、ステージが、サンプルを回転運動で移動させた(図9参照、接触点にボールを使用)。アーム上のひずみゲージセンサを使用して、ボールとサンプルとの間に生じた摩擦力が測定された。摩擦係数(COF)がその場で記録され、減少した材料の体積が測定されて、サンプルの摩耗率が計算された。
【0057】
評価結果を表6および図10〜12に示す。サンプル10では、図10に示されるように、ボールベアリングが、PTFE層を通ってガラス布まで急速に磨耗させた。サンプル11では、図11に示されるように、摩擦係数は、PTFEに対するものより若干高いところから始まったが、そのうち貫通してガラス布まで磨耗させて次第にわずかに上昇するまで、時間とともに低下し、サンプル10よりも改善された磨耗率を示した。サンプル12では、図12に示されるように、摩擦係数は、サンプル10とほぼ同じところから始まり、貫通してPTFE−シリコーン混合物まで摩耗させるときに若干増加し、次いで、ボールベアリングが貫通してガラス布まで摩耗させると次第に上昇し、同様にサンプル10よりも改善された摩耗率を示した。
【0058】
【表6】
【0059】
実施例4
3つのサンプルが、塗膜密着強度について評価された。サンプル13は、1パスのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材の水分散液をガラス布上に被覆することによって形成された。サンプル14は、20容量%の反応性シリコーンと80容量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材とを含む、1パスの組成物をガラス布上に被覆することによって形成された。サンプル15は、20容量%の予備硬化シリコーンと80容量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材とを含む、1パスの組成物をガラス布上に被覆することによって形成された。3つのサンプル全てについて、塗膜密着力を、インストロン試験法「adhesion for CF under 20 mil.im_ptf」、クロスヘッドスピード2インチ/分、ゲージ長さ1インチを用いて試験した。サンプル13、14、および15の各々の12個の1インチ×6インチ切片が縦方向に切断され、次いで2,000ポンドのインストロンロードセルを使用して試験された。評価結果を表7および図13に示す。
【0060】
【表7】
【0061】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかを以下に記載する。本明細書を読了後、当業者は、それらの態様および実施形態が単に例証的なものであり、本発明の範囲を限定しないことを理解する。実施形態は、以下に列挙される項目のうちのいずれか1つ以上に合致し得る。
【0062】
実施形態1.フルオロポリマー成分を含む分散液と、反応性シリコーン成分を含むエマルジョンとを含む組成物であって、フルオロポリマー成分が、平均粒径Dを有する複数のフルオロポリマー粒子を含み、この組成物から形成された単一パスフィルムが、少なくとも1.25×10−5×D2.5の限界亀裂厚みCCT(ただし、CCTはミクロン単位、Dはナノメートル単位)を有する、組成物。
【0063】
実施形態2.Dが最大400nm、または最大380nm、または最大360nm、または最大300nmである、実施形態1に記載の組成物。
【0064】
実施形態3.Dが少なくとも150nm、または少なくとも200nm、または少なくとも240nmである、実施形態1または2に記載の組成物。
【0065】
実施形態4.Dが150〜400nmの範囲内、または180〜300nmの範囲内である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【0066】
実施形態5.CCTが少なくとも25ミクロン、または少なくとも30ミクロン、または少なくとも40ミクロン、または少なくとも50ミクロンである、実施形態2〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【0067】
実施形態6.CCTが最大100ミクロン、または最大90ミクロン、または最大80ミクロンである、実施形態2〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【0068】
実施形態7.反応性シリコーン成分がシロキサンを含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の組成物。
【0069】
実施形態8.シロキサンがポリジメチルシロキサンを含む、実施形態7に記載の組成物。
【0070】
実施形態9.反応性シリコーン成分が、架橋に適した1つ以上の官能末端基を有するシリコーンポリマーを含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の組成物。
【0071】
実施形態10.1つ以上の官能末端基が、ヒドロキシル、アルキルシロキサン、ビニル、アミノ、メトキシ、メタクリル、ポリエーテル、シラノール、カルボン酸無水物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態9に記載の組成物。
【0072】
実施形態11.反応性シリコーン成分が、ポリマー骨格中にメチル基以外の基を有するシリコーンポリマーを含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の組成物。
【0073】
実施形態12.メチル基以外の基が、フェニル、メトキシ、エトキシ、メルカプト、カルボキシル、アクリレート、イソシアネート、酸無水物、ポリエーテル、アラルキル、フルオロアルキル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態11に記載の組成物。
【0074】
実施形態13.単一パスフィルムの反応性シリコーン成分が、単一パスフィルムの総重量基準で少なくとも6重量%、または少なくとも9重量%、または少なくとも12.5重量%、または少なくとも16重量%、または少なくとも20重量%である、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の組成物。
【0075】
実施形態14.フッ素化成分が、フルオロポリマーまたはさらにはペルフルオロポリマーを含む、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の組成物。
【0076】
実施形態15.フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー(MFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンを含むターポリマー(THV)、またはそれらの任意の配合物もしくは任意の合金を含む、実施形態14に記載の組成物。
【0077】
実施形態16.フッ素化成分が、単一パスフィルム中に、単一パスフィルムの総重量基準で最大94重量%、または最大91重量%、または最大87.5重量%、または最大84重量%、または最大80重量%の量で存在する、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の組成物。
【0078】
実施形態17.顔料、界面活性剤、または消泡剤からなる群から選択される充填剤をさらに含む、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の組成物。
【0079】
実施形態18.充填剤が、最大40重量%、または最大30重量%、または最大20重量%、または最大10重量%の量で存在する、実施形態17に記載の組成物。
【0080】
実施形態19.充填剤が少なくとも0.1重量%、または少なくとも1重量%、または少なくとも3重量%、または少なくとも5量%の量で存在する、実施形態17および18のいずれか1つに記載の組成物。
【0081】
実施形態20.実施形態1〜19のいずれか1つに記載の組成物から形成されたポリマー材料。
【0082】
実施形態21.フッ素化成分とシリコーン成分とを含むポリマー材料であって、質量減少試験に従って測定されたときに、450℃で最大5重量%、または500℃で最大12.5重量%、または550℃で最大30重量%の質量減少を有する、ポリマー材料。
【0083】
実施形態22.シリコーン成分が、ポリマー材料中に、ポリマー材料の総重量基準で少なくとも6重量%、または少なくとも9重量%、または少なくとも12.5重量%、または少なくとも16重量%、または少なくとも20重量%の量で存在する、実施形態20および21のいずれか1つに記載のポリマー材料。
【0084】
実施形態23.フッ素化成分が、ポリマー材料の総重量基準で最大94重量%、または最大91重量%、または最大87.5重量%、または最大84重量%、または最大80重量%の量で存在する、実施形態20〜22のいずれか1つに記載のポリマー材料。
【0085】
実施形態24.単層を含む物品であって、単層が実施形態20〜23のいずれか1つに記載のポリマー材料を含む、物品。
【0086】
実施形態25.複数の層を含む物品であって、少なくとも1つの層が、実施形態20〜23のいずれか1つに記載のポリマー材料を含む、物品。
【0087】
実施形態26.補強層を含まない、実施形態24および25のいずれか1つに記載の物品。
【0088】
実施形態27.層のうちの少なくとも1つが補強層を含む、実施形態25に記載の物品。
【0089】
実施形態28.ポリマー材料を含む層が補強層と直接接触する、実施形態27に記載の物品。
【0090】
実施形態29.補強層が複数の繊維を含む布を含む、実施形態27および28のいずれか1つに記載の物品。
【0091】
実施形態30.複数の繊維が、ガラス繊維またはアラミド繊維のうちの少なくとも1つを含む、実施形態29に記載の物品。
【0092】
実施形態31.ポリマー材料が複数の繊維に含浸している、実施形態29および30のいずれか1つに記載の物品。
【0093】
実施形態32.ポリマー材料を含む層の上に重なる第2のポリマー層を含む、実施形態25〜31のいずれか1つに記載の物品。
【0094】
実施形態33.第2のポリマー層が、補強層と、ポリマー材料を含む層との間に配設されている、実施形態32に記載の物品。
【0095】
実施形態34.ポリマー材料を含む層が、補強層と第2のポリマー層との間に配設されている、実施形態32の物品。
【0096】
実施形態35.第2のポリマー層がフルオロポリマーを含む、実施形態32〜34のいずれか1つに記載の物品。
【0097】
実施形態36.第2のポリマー層がシリコーンを含まない、実施形態32〜35のいずれか1つに記載の物品。
【0098】
実施形態37.ポリマー材料を製造する方法であって、
フッ素化成分を含む分散液を提供することと、
反応性シリコーン成分を含むエマルジョンを提供することと、
分散液とエマルジョンとを混合して組成物を形成することと、
組成物を乾燥してポリマー材料を形成することと、を含む、方法。
【0099】
実施形態38.組成物を担体層上に被覆して層を形成することをさらに含む、実施形態37に記載の方法。
【0100】
実施形態39.組成物が、実施形態1〜19のいずれか1つに記載の組成物を含む、実施形態37および38のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態40.少なくとも1パスを部分的に焼結して半溶融層を提供することをさらに含む、実施形態37〜39のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態41.ポリマー材料を焼結して焼結ポリマー材料を形成することをさらに含む、実施形態37〜40のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態42.焼結温度が少なくとも320℃、または少なくとも350℃、または少なくとも360℃、または少なくとも370℃、または少なくとも380℃である、実施形態41に記載の方法。
【0104】
実施形態43.焼結ポリマー材料が、反応性シリコーン成分に由来するシリコーン成分を含む、実施形態42に記載の方法。
【0105】
実施形態44.組成物またはポリマー材料が、ナノ粒子状シリコーン、アルミナ、またはシリカをさらに含む、実施形態1〜43のいずれか1つに記載の組成物、物品、または方法。
【0106】
実施形態45.フルオロポリマー成分を含む分散液と、シリコーン成分を含むエマルジョンとを含む組成物であって、フルオロポリマー成分が、平均粒径Dを有する複数のフルオロポリマー粒子を含み、この組成物から形成された単一パスフィルムが、少なくとも1.25×10−5×D2.5の限界亀裂厚みCCT(ただし、CCTはミクロン単位、Dはナノメートル単位)を有する、組成物。
【0107】
実施形態46.Dが最大400nm、または最大380nm、または最大360nm、または最大300nmである、実施形態45に記載の組成物。
【0108】
実施形態47.Dが少なくとも150nm、または少なくとも200nm、または少なくとも240nmである、実施形態45または46に記載の組成物。
【0109】
実施形態48.Dが150〜400nmの範囲内、または180〜300nmの範囲内である、実施形態45〜47のいずれか1つに記載の組成物。
【0110】
実施形態49.CCTが少なくとも25ミクロン、または少なくとも30ミクロン、または少なくとも40ミクロン、または少なくとも50ミクロンである、実施形態45〜48のいずれか1つに記載の組成物。
【0111】
実施形態50.CCTが最大100ミクロン、または最大90ミクロン、または最大80ミクロンである、実施形態45〜48のいずれか1つに記載の組成物。
【0112】
実施形態51.反応性シリコーン成分がシロキサンを含む、実施形態45〜50のいずれか1つに記載の組成物。
【0113】
実施形態52.シロキサンがポリジメチルシロキサンを含む、実施形態51に記載の組成物。
【0114】
実施形態53.反応性シリコーン成分が、架橋に適した1つ以上の官能末端基を有するシリコーンポリマーを含む、実施形態45〜52のいずれか1つに記載の組成物。
【0115】
実施形態54.1つ以上の官能末端基が、ヒドロキシル、アルキルシロキサン、ビニル、アミノ、メトキシ、メタクリル、ポリエーテル、シラノール、カルボン酸無水物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態53に記載の組成物。
【0116】
実施形態55.反応性シリコーン成分が、ポリマー骨格中にメチル基以外の基を有するシリコーンポリマーを含む、実施形態45〜54のいずれか1つに記載の組成物。
【0117】
実施形態56.メチル基以外の基が、フェニル、メトキシ、エトキシ、メルカプト、カルボキシル、アクリレート、イソシアネート、酸無水物、ポリエーテル、アラルキル、フルオロアルキル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態55に記載の組成物。
【0118】
実施形態57.単一パスフィルムの反応性シリコーン成分が、単一パスフィルムの総重量基準で少なくとも6重量%、または少なくとも9重量%、または少なくとも12.5重量%、または少なくとも16重量%、または少なくとも20重量%である、実施形態45〜56のいずれか1つに記載の組成物。
【0119】
実施形態58.フッ素化成分が、フルオロポリマーまたはさらにはペルフルオロポリマーを含む、実施形態45〜57のいずれか1つに記載の組成物。
【0120】
実施形態59.フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー(MFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンを含むターポリマー(THV)、またはそれらの任意の配合物もしくは任意の合金を含む、実施形態58に記載の組成物。
【0121】
実施形態60.フッ素化成分が、単一パスフィルム中に、単一パスフィルムの総重量基準で最大94重量%、または最大91重量%、または最大87.5重量%、または最大84重量%、または最大80重量%の量で存在する、実施形態45〜59のいずれか1つに記載の組成物。
【0122】
実施形態61.顔料、界面活性剤、または消泡剤からなる群から選択される充填剤をさらに含む、実施形態1〜60のいずれか1つに記載の組成物。
【0123】
実施形態62.充填剤が、最大40重量%、または最大30重量%、または最大20重量%、または最大10重量%の量で存在する、実施形態61に記載の組成物。
【0124】
実施形態63.充填剤が少なくとも0.1重量%、または少なくとも1重量%、または少なくとも3重量%、または少なくとも5重量%の量で存在する、実施形態17または18に記載の組成物。
【0125】
実施形態64.実施形態1〜63のいずれか1つに記載の組成物から形成されたポリマー材料。
【0126】
実施形態65.フッ素化成分とシリコーン成分とを含むポリマー材料であって、質量減少試験に従って測定されたときに、450℃で最大5重量%、または500℃で最大12.5重量%、または550℃で最大30重量%の質量減少を有する、ポリマー材料。
【0127】
実施形態66.シリコーン成分が、ポリマー材料中に、ポリマー材料の総重量基準で少なくとも6重量%、または少なくとも9重量%、または少なくとも12.5重量%、または少なくとも16重量%、または少なくとも20重量%の量で存在する、実施形態64または65に記載のポリマー材料。
【0128】
実施形態67.フッ素化成分が、ポリマー材料の総重量基準で最大94重量%、または最大91重量%、または最大87.5重量%、または最大84重量%、または最大80重量%の量で存在する、実施形態64または65に記載のポリマー材料。
【0129】
実施形態68.単層を含む物品であって、単層が実施形態64〜67のいずれか1つに記載のポリマー材料を含む、物品。
【0130】
実施形態69.複数の層を含む物品であって、少なくとも1つの層が、実施形態64〜67のいずれか1つに記載のポリマー材料を含む、物品。
【0131】
実施形態70.補強層を含まない、実施形態68または69に記載の物品。
【0132】
実施形態71.層のうちの少なくとも1つが補強層を含む、実施形態69に記載の物品。
【0133】
実施形態72.ポリマー材料を含む層が補強層と直接接触する、実施形態71に記載の物品。
【0134】
実施形態73.補強層が複数の繊維を含む布を含む、実施形態71または72に記載の物品。
【0135】
実施形態74.複数の繊維が、ガラス繊維またはアラミド繊維のうちの少なくとも1つを含む、実施形態73に記載の物品。
【0136】
実施形態75.ポリマー材料が複数の繊維に含浸している、実施形態73または74に記載の物品。
【0137】
実施形態76.ポリマー材料を含む層の上に重なる第2のポリマー層を含む、実施形態68〜75のいずれか1つに記載の物品。
【0138】
実施形態77.第2のポリマー層が、補強層と、ポリマー材料を含む層との間に配設されている、実施形態76に記載の物品。
【0139】
実施形態78.ポリマー材料を含む層が、補強層と第2のポリマー層との間に配設されている、実施形態76に記載の物品。
【0140】
実施形態79.第2のポリマー層がフルオロポリマーを含む、実施形態76〜78のいずれか1つに記載の物品。
【0141】
実施形態80.第2のポリマー層がシリコーンを含まない、実施形態76〜79のいずれか1つに記載の物品。
【0142】
実施形態81.ポリマー材料を製造する方法であって、フッ素化成分を含む分散液を提供することと、シリコーン成分を含むエマルジョンを提供することと、分散液とエマルジョンとを混合して組成物を形成することと、組成物を乾燥してポリマー材料を形成することと、を含む、方法。
【0143】
実施形態82.組成物を担体層上に被覆して層を形成することをさらに含む、実施形態81に記載の方法。
【0144】
実施形態83.組成物が、実施形態45〜63のいずれか1つに記載の組成物を含む、実施形態81および82のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態84.少なくとも1パスを部分的に焼結して半溶融層を提供することをさらに含む、実施形態81〜83のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態85.ポリマー材料を焼結して焼結ポリマー材料を形成することをさらに含む、実施形態81〜84のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態86.焼結温度が少なくとも320℃、または少なくとも350℃、または少なくとも360℃、または少なくとも370℃、または少なくとも380℃である、実施形態85に記載の方法。
【0148】
実施形態87.焼結ポリマー材料が、反応性シリコーン成分に由来するシリコーン成分を含む、実施形態86に記載の方法。
【0149】
実施形態88.組成物またはポリマー材料が、ナノ粒子状シリコーン、アルミナ、またはシリカをさらに含む、実施形態1〜87のいずれか1つに記載の組成物、物品、または方法。
【0150】
実施形態89.フルオロポリマー成分を含む分散液と、シリコーン成分を含むエマルジョンとを含む組成物であって、フルオロポリマー成分が、平均粒径Dを有する複数のフルオロポリマー粒子を含み、この組成物から形成された単一パスフィルムが限界亀裂厚みを有し、塗膜密着性試験に従って測定されたときに、少なくとも約1.5ポンドの平均塗膜密着力を含む、組成物。
【0151】
実施形態90.フルオロポリマー成分を含む分散液と、反応性シリコーン成分を含むエマルジョンとを含む組成物であって、フルオロポリマー成分が、平均粒径Dを有する複数のフルオロポリマー粒子を含み、この組成物から形成された単一パスフィルムが限界亀裂厚みを有し、塗膜密着性試験に従って測定されたときに、少なくとも約1.5ポンドの平均塗膜密着力を含む、組成物。
【0152】
概要または実施例にて上述の行為の全てが必要とされるわけではないこと、特定の行為のうちの一部分は必要とされない場合があること、また1つ以上のさらなる行為が記載のものに加えて実施される場合があることに留意されたい。またさらに、行為が列挙される順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0153】
利益、他の利点、および問題の解決策が、特定の実施形態に関して上記に説明されてきた。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、および任意の利益、利点、もしくは解決策を生じさせるか、またはより明白にさせることができる任意の特徴(複数可)は、特許請求の範囲内のうちのいずれかまたは全ての決定的な、必須の、または本質的な特徴と解釈されるべきではない。
【0154】
本明細書に記載の実施形態の明細書および例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理解をもたらすことが意図される。明細書および例示は、本明細書に記載の構造または方法を使用する装置およびシステムの要素および特徴の全ての徹底的および包括的説明として機能することを意図しない。別個の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈に記載の様々な特徴もまた、別個にまたは任意の下位組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲内に記載の値への言及は、その範囲内の各値および全ての値を含む。多数の他の実施形態は、本明細書を単に読んだ後にのみ当業者に明らかとなり得る。構造的置換、論理的置換、または別の変更が本開示の範囲から逸脱することなくなされることができるように、他の実施形態が使用されかつそれから派生してもよい。したがって、本開示は、制限的であるよりもむしろ例証的であるとみなされるべきである。
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