(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882470
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】色切換システム
(51)【国際特許分類】
B05B 12/14 20060101AFI20210524BHJP
F16K 31/122 20060101ALI20210524BHJP
B05B 15/50 20180101ALI20210524BHJP
【FI】
B05B12/14
F16K31/122
B05B15/50
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-524506(P2019-524506)
(86)(22)【出願日】2017年7月21日
(65)【公表番号】特表2019-528175(P2019-528175A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】DE2017100610
(87)【国際公開番号】WO2018014915
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年2月18日
(31)【優先権主張番号】102016113505.4
(32)【優先日】2016年7月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519019942
【氏名又は名称】アプソン ラキーアテヒニーク ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】APSON Lackiertechnik GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ゾンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ−ディーター ゾンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ヴァイラー
【審査官】
塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−053760(JP,A)
【文献】
特公昭47−002819(JP,B1)
【文献】
国際公開第2016/015866(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0255810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B12/00−16/80
B05C 7/00−21/00
B05D 1/00−7/26
F16K31/12−31/165
31/36−31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色切換システムであって、
フロント側を有するステータ(1)を備え、該ステータ(1)は、多数の媒体弁(3)を有し、該媒体弁(3)の流入部が、各1つの媒体供給部(4)に接続されており、前記媒体弁(3)の流出部(5)が、前記ステータ(1)の前記フロント側に開口しており、前記媒体弁(3)の各々は、前記ステータ(1)に形成された弁室の内部に弁閉鎖体(24)を有し、該弁閉鎖体(24)は、前記弁室内に向けられた弁開口(25)上へ移動可能であり、前記弁閉鎖体(24)は、流体圧によって加圧可能でかつ前記ステータの内部に配置された作動ピストンに結合されており、該作動ピストンは、制御圧室に隣接しており、さらに、前記ステータ(1)の前記フロント側に対面して配置されたセレクトヘッド(2)を備え、該セレクトヘッド(2)は、ステータフロント側に対して直角に延びる軸線を中心にして回転可能であり、かつ/またはステータフロント側に対して平行に移動可能であり、前記セレクトヘッド(2)の、ステータフロント側に面したバック側が、媒体流入部(8)を有し、該媒体流入部(8)は、前記セレクトヘッド(2)を回転させ、かつ/または平行移動させることによって媒体弁流出部(5)と整合させられ、前記セレクトヘッド(2)は、媒体管路(7)を有し、該媒体管路(7)は、前記媒体流入部(8)を前記色切換システムの媒体取出し部に接続している、色切換システムにおいて、
前記色切換システムは、流体接続部(16)を有し、該流体接続部(16)を起点として複数の制御通路(18)が延びており、該制御通路(18)は、前記媒体弁(3)の前記制御圧室に通じており、前記制御通路の各々に、機械式に操作可能な各1つの切換弁が設けられており、機械的に作用する手段がさらに設けられており、該手段は、前記ステータ(1)に対する前記セレクトヘッド(2)の相対的な位置に応じて、選択的にその都度1つの切換弁しか操作されないように構成されており、
前記切換弁は、該切換弁が、操作されていない状態では、当該切替弁に対応する制御圧管路を遮断し、操作された状態では、当該切替弁に対応する制御圧管路を開放するように構成されている、
ことを特徴とする、色切換システム。
【請求項2】
前記ステータ(1)は、前記流体接続部(16)を有し、該流体接続部(16)は、前記媒体弁(3)を切り換えるために、各1つの制御通路(18)を介して前記媒体弁(3)の前記制御圧室に接続されており、前記制御通路(18)の各々の内部で、突起によって機械式に操作可能な各1つの切換弁(19)が前記ステータ(1)に設けられており、前記セレクトヘッド(2)のバック側に突起(22)が設けられており、該突起(22)は、前記セレクトヘッド(2)のバック側が前記ステータのフロント側に連結されているときに前記切換弁(19)を開放し、これによって、前記制御通路(18)のうち、前記ステータに位置する前記媒体弁流出部(5)が前記セレクトヘッド(2)に位置する前記媒体流入部(8)に接続されている状態にある前記媒体弁(3)に通じた制御通路(18)を開放することを特徴とする、請求項1記載の色切換システム。
【請求項3】
前記セレクトヘッド(2)は、ステータフロント側に対して直角に可動であり、前記突起(22)は、前記セレクトヘッド(2)のバック側に形成されていて、該バック側から垂直に突出しており、前記切換弁(19)は、前記ステータのフロント側に開口した孔(23)内に収納されており、前記突起(22)は、前記孔(23)内に進入するように構成されており、前記孔(23)は、それぞれ、前記媒体流入部(8)に対する前記突起(22)の位置決めと同じになるように前記媒体弁流出部(5)に対して位置決めされていることを特徴とする、請求項2記載の色切換システム。
【請求項4】
前記ステータ(1)は、流体接続部(16)を有し、該流体接続部(16)は、前記媒体弁(3)を切り換えるために、各1つの制御通路(18)を介して前記媒体弁(3)の前記制御圧室に接続されており、前記制御通路(18)の各々は、それぞれ供給管路(61)を有し、該供給管路(61)は、前記ステータ(1)のロータ側に設けられた所属の開口(62)に通じており、該開口(62)を起点として引き続き継続管路(63)が延びており、該継続管路(63)は、前記媒体弁(3)の各々に通じており、前記セレクトヘッド(2)のステータ側に複数の栓体(64)が設けられており、該栓体(64)は、前記ステータ(1)に前記セレクトヘッド(2)が当て付けられた状態で、前記供給管路(61)のうちの1つを除いたすべての前記供給管路(61)が前記栓体(64)によって閉じられて、該供給管路(61)の、前記継続管路(63)に対する接続が遮断されるように前記開口(62)に対して位置決めされており、前記媒体流入部(8)に並んで1つの栓体の代わりに1つの閉鎖部(66)が設けられており、該閉鎖部(66)は、前記継続管路(63)に対する前記供給管路(61)の接続を遮断することなく、所属の前記開口(62)をカバーすることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の色切換システム。
【請求項5】
前記ステータ(1)内に、前記流体接続部(16)に接続されている管路(17)が延びており、該管路(17)を起点として前記供給管路(61)が延びており、該供給管路(61)は、前記ステータ(1)のセレクトヘッド側に開口していて、該セレクトヘッド側に各1つの開口(62)を形成しており、該開口(62)を起点として、引き続きそれぞれ1つの継続管路(63)が延びており、該継続管路(63)は、前記媒体弁(3)の各々に通じていることを特徴とする、請求項4記載の色切換システム。
【請求項6】
その都度アクティブになった前記媒体弁(3)の前記開口(62)を閉鎖するために、前記セレクトヘッド(2)に閉鎖部(66)が設けられていることを特徴とする、請求項5記載の色切換システム。
【請求項7】
前記閉鎖部(66)は、前記セレクトヘッド(2)の端面に設けられた閉鎖領域により形成されており、該閉鎖領域は、環状シール部材(67)によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項6記載の色切換システム。
【請求項8】
前記栓体(64)は、前記セレクトヘッド(2)の端面から突出した円筒体であり、該円筒体の直径が、前記供給管路(61)の直径よりも少しだけ小さく形成されていることを特徴とする、請求項4記載の色切換システム。
【請求項9】
前記円筒体の外周面に各1つのシールリング(65)が設けられており、該シールリング(65)は、前記供給管路(61)の内周面に対して前記円筒体の外周面をシールしていることを特徴とする、請求項8記載の色切換システム。
【請求項10】
前記栓体(64)のうちの少なくとも1つは、貫通孔(68)を有していることを特徴する、請求項4記載の色切換システム。
【請求項11】
前記媒体弁(3)のうちの少なくとも1つに、前記ステータ(1)に設けられた循環弁(40)が対応しており、該循環弁(40)の流出部が、前記媒体弁(3)の流入部に対する接続を有しており、前記媒体弁(3)は、該媒体弁(3)の前記制御圧室に圧力が付与されると開弁されるように構成されており、前記循環弁(40)の弁閉鎖体が、流体圧によって加圧可能でかつ前記ステータ(1)の内部に配置された作動ピストンに結合されており、該作動ピストンは、制御圧室に隣接しており、前記循環弁(40)は、該循環弁(40)の前記制御圧室に圧力が付与されると閉弁されるように構成されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の色切換システム。
【請求項12】
前記循環弁(40)の前記制御圧室は、切換可能な付加制御通路(42)を介して前記流体接続部(16)に接続されていることを特徴とする、請求項11記載の色切換システム。
【請求項13】
前記付加制御通路(42)に付加切換弁(41)が設けられていることを特徴する、請求項12記載の色切換システム。
【請求項14】
前記付加制御通路(42)内の前記付加切換弁(41)は、突起(45)によって機械式に操作可能であり、前記セレクトヘッド(2)のバック側に付加突起(45)が設けられており、前記セレクトヘッド(2)のバック側が前記ステータ(1)のフロント側に当て付けられると、前記付加突起(45)は、前記循環弁(40)に所属している前記付加切換弁(41)を開弁するようになっていることを特徴する、請求項13記載の色切換システム。
【請求項15】
前記媒体管路(7)に少なくとも1つのフラッシュ管路(11)が開口しており、該フラッシュ管路(11)内に、前記媒体管路(7)に向かって開く少なくとも1つのフラッシュ逆止弁(12)が設けられており、前記媒体流入部(8)に、前記セレクトヘッド(2)のバック側に直接続くように遮断逆止弁(10)が配置されており、該遮断逆止弁(10)は、前記セレクトヘッド(2)のバック側に向かって遮断し、内部に配置された前記フラッシュ逆止弁(12)を備えた前記フラッシュ管路(11)は、前記遮断逆止弁(10)の下流側で前記媒体管路(7)に開口していることを特徴する、請求項1から14までのいずれか1項記載の色切換システム。
【請求項16】
前記媒体管路(7)に少なくとも1つのフラッシュ管路(11)が開口しており、該フラッシュ管路(11)内に、前記媒体管路(7)に向かって開く少なくとも1つのフラッシュ逆止弁(12)が設けられており、前記媒体管路内に、少なくとも該媒体管路(7)への前記フラッシュ管路(11)の開口部と、前記媒体流入部(8)との間の領域で、弁が存在していないことを特徴する、請求項1から14までのいずれか1項記載の色切換システム。
【請求項17】
前記弁閉鎖体(24)は、弁ステムの端部に設けられており、該弁ステムは、中空通路(50)を有し、該中空通路(50)は、前記弁閉鎖体(24)の手前で終わっていて、側方の出口(51)を有することを特徴する、請求項1から16までのいずれか1項記載の色切換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の色切換システムに関する。
【0002】
独国特許出願公開第102015102332号明細書に基づき公知の色切換システムでは、流体圧制御式の媒体弁がステータ内に配置されている。この場合、セレクトヘッドに配置された媒体流入部が、媒体弁の媒体弁流出部の正面に位置するように回転させられていると、媒体弁が開弁されるやいなや、この媒体流入部に着色媒体(塗料)が供給される。さらに、洗浄用のフラッシュ管路が設けられており、このフラッシュ管路は、媒体流入部に続いた媒体管路に側方で開口しているか、または中央でも開口している。このような配置形式は、セレクトヘッドがステータに接触している場合にしか媒体管路のフラッシングを可能にしない。したがって、フラッシングによる洗浄中は、ステータに対してセレクトヘッドを回転させることができず、ひいては色切換えを行うこともできない。
【0003】
独国実用新案第20122759号明細書に記載の構成では、媒体弁が、ステータに設けられた弁閉鎖体と弁座と、セレクトヘッドに設けられた流体作動式のプランジャとから成っている。フラッシングによる洗浄のためには、このプランジャが引き戻されるので、媒体弁が閉弁する。引き続き、媒体管路の洗浄のために、フラッシュ弁が開弁される。この場合、媒体流入部を閉鎖された状態に保持するために、セレクトヘッドはステータに接触している。
【0004】
欧州特許出願公開第2075073号明細書に記載の構成では、媒体弁が、セレクトヘッドに固定配置されたプランジャによって操作される。この場合にも、媒体管路が洗浄される際に、媒体流入部を閉鎖された状態に保持するために、セレクトヘッドはステータに接触している。
【0005】
欧州特許出願公開第2987558号明細書の
図1につき説明されている色切換システムでは、制御圧室が、それぞれ1つのブロー孔を備えており、この場合、これらのブロー孔のうち、その制御圧室が、セレクトヘッド内の媒体管路に接続された流出部を備えている媒体弁に所属しているブロー孔だけが、セレクトヘッドに設けられた栓体によって閉じられる。その他のブロー孔は開いたままとなるので、所属の制御圧室が空気圧源に接続されても、これらの制御圧室には、所属の媒体弁を開弁させる圧力は形成され得ない。
【0006】
本発明は、媒体弁の制御を容易にし、かつ一層確実にするという課題に基づいている。特に、セレクトヘッドがまだステータに接触していない場合に、媒体弁が開弁されてしまうことが阻止されることが望まれる。
【0007】
この問題を解決するために、本発明の構成では、色切換システムが、流体接続部を有し、該流体接続部を起点として複数の制御通路が延びており、該制御通路が、前記媒体弁の前記制御圧室に通じており、前記各制御通路に、機械式に操作可能な各1つの切換弁が設けられており、該切換弁が、操作されていない状態では制御圧管路を遮断し、操作された状態では制御圧管路を開放し、さらに、機械的に作用する手段が設けられており、該手段は、前記ステータに対する前記セレクトヘッドの相対的な位置に応じて、選択的にその都度1つの切換弁しか操作されないように構成されている。
【0008】
「選択的に」とは、ステータとセレクトヘッドとが互いに連結されている場合に、ステータに設けられた媒体流入部と位置が整合している媒体弁だけがその都度開弁され得ることを意味する。その他のすべての媒体弁は、流体接続部に圧力が加えられても閉じられたままとなる。なぜならば、これらの媒体弁の制御通路がこの状況では閉じられているからである。
【0009】
媒体弁は、好ましくは座弁として形成されており、この場合、弁開口は弁シール座により形成される。しかし、媒体弁はスプール弁であってもよい。
【0010】
好ましくは、切換弁は、操作されていない状態では各制御圧管路を遮断し、操作された状態では各制御圧管路を開放するように構成されている。
【0011】
このことを確実に達成するために、本発明の別の構成では、ステータが、流体接続部を有し、この流体接続部が、媒体弁を切り換えるために、各1つの制御通路を介して媒体弁の制御圧室に接続されており、各制御通路内で、突起によって機械式に操作可能な各1つの切換弁がステータに設けられており、セレクトヘッドのバック側(後側)に突起が設けられており、この突起は、セレクトヘッドのバック側がステータのフロント側に連結されているときに切換弁を開放し、これによって、前記制御通路のうち、ステータに位置する媒体弁流出部がセレクトヘッドに位置する媒体流入部に接続されている状態にある媒体弁に通じた制御通路を開放する。
【0012】
こうして、まず、ステータとセレクトヘッドとが互いに連結されている場合にしか各媒体弁が操作され得ないことが達成される。すなわち、ステータとセレクトヘッドとが互いに連結されている場合にのみ、突起は切換弁の開弁によって制御通路を開放するので、媒体弁は、流体接続部に加えられた流体圧もしくは制御通路内の流体圧(制御圧)によって操作され得る。
【0013】
このような操作は、最も簡単には、セレクトヘッドが、ステータフロント側に対して直角に可動であり、突起が、セレクトヘッドのバック側に形成されていて、このバック側から垂直に突出しており、切換弁が、ステータのフロント側に開口した孔内に収納されており、突起が、この孔内に進入するように構成されており、この孔が、それぞれ、媒体流入部に対する突起の位置決めと同じになるように媒体弁流出部に対して位置決めされていることにより実現され得る。
【0014】
別の構成では、同じ目的が達成される。本発明のこの構成では、媒体弁が、流体制御されており、ステータが、各媒体弁のためにステータフロント側に設けられた流体接続部を有し、この流体接続部が、制御通路を介して、それぞれ所属する媒体弁を切り換えるために、この媒体弁の制御圧室に接続されており、各制御通路内に、流体接続部に向かって遮断する逆止弁が設けられており、セレクトヘッド内に集合制御通路が延びており、この集合制御通路が、セレクトヘッドのバック側に開口しており、この集合制御通路の開口部は、媒体弁流出部が媒体流入部と整合している媒体弁に通じた制御通路を有する流体接続部と整合している。
【0015】
さらに別の構成では、本発明の択一的な別の解決手段として、ステータが、流体接続部を有し、この流体接続部が、媒体弁を切り換えるために、各1つの制御通路を介して媒体弁の制御圧室に接続されており、各制御通路が、それぞれ供給管路を有し、この供給管路が、ステータのセレクトヘッド側に設けられた所属の開口に通じており、この開口を起点として引き続き継続管路が延びており、この継続管路が、各媒体弁に通じており、セレクトヘッドのステータ側に複数の栓体が設けられており、これらの栓体は、ステータにセレクトヘッドが当て付けられた状態で、前記供給管路のうちの1つを除いたすべての供給管路が栓体によって閉じられて、これらの供給管路の、継続管路に対する接続が遮断されるように前記開口に対して位置決めされており、媒体管路に並んで1つの栓体の代わりに1つの閉鎖部が設けられており、この閉鎖部が、継続管路に対する供給管路の接続を遮断することなく、前記開口をカバーする。
【0016】
こうして、媒体流入部と位置が整合している媒体弁だけが制御管路を介して操作され得ることが達成される。
【0017】
このためには、流体接続部に通じた供給管路に、または供給管路内に、すべての制御通路にとって共通の1つの接続弁が設けられている。この接続弁が開弁されると、供給管路内に操作流体(たとえば圧縮空気)が形成される。しかし、媒体弁とは整合していない、媒体弁に通じるすべての供給管路は閉じられているので、形成された操作圧は、これらの媒体弁には伝播されない。
【0018】
開口が単にカバーされているに過ぎない供給管路だけは、引き続き、継続管路に対する接続を有するので、この継続管路に接続された、媒体流入部と整合している媒体弁を操作することができる。これにより、塗料はこの媒体弁を介して媒体管路へ到達することができる。
【0019】
好ましくは、ステータ内に、流体接続部に接続されている管路(環状管路または分岐管路)が設けられている。この管路を起点として複数の供給管路が延びており、これらの供給管路は、ステータのセレクトヘッド側に開口していて、このセレクトヘッド側に各1つの開口を形成している。これらの開口を起点として、引き続きそれぞれ1つの継続管路が延びており、この継続管路が、各媒体弁に通じている。
【0020】
その都度アクティブになった媒体弁の開口を閉鎖するために、セレクトヘッドには閉鎖部が設けられている。この閉鎖部は、セレクトヘッドの平坦な領域であってもよい。セレクトヘッド全体がディスクとして形成されていて、既に最初から平坦な端面を有している場合には、この端面の部分領域が閉鎖部を形成する。
【0021】
開口のシールを改善するためには、セレクトヘッドの端面に設けられた閉鎖領域に対してこの閉鎖領域を取り囲むように環状シール部材が設けられている。
【0022】
栓体は、セレクトヘッドの端面から突出した円筒体であり、この円筒体の直径は、供給管路の直径よりも少しだけ小さく形成されている。円筒体の外周面には、シールリングが設けられており、このシールリングが、供給管路の内周面に対して円筒体の外周面をシールしている。
【0023】
前記栓体のうちの少なくとも1つは貫通孔を有する。これにより、供給管路内で有効である圧力は、場合によっては別の切換役目を引き受けるために、引き続き通路を介して案内され得る。
【0024】
この栓体の場合にも、媒体弁の制御圧室に通じた継続管路に対する供給管路の接続は遮断されたままとなる。
【0025】
媒体弁の、前で説明した固有の両制御形式は、ロータまたはリニアキャリッジとして形成されているセレクトヘッドを用いて使用され得る。
【0026】
一般に、各媒体弁流入部には、それぞれ唯一種の色もしくは塗料しか供給されないので、実際には、セレクトヘッド内の媒体管路をフラッシュ洗浄することしか必要とならない。
【0027】
しかし、滅多に使用されない数種の塗料については、唯一つの媒体弁を介してのみ、これら数種の塗料が導入される。この媒体弁の媒体供給部は、個々に切換可能な複数の管路を介して複数の塗料容器に接続されている。したがって、色替えの際には、この媒体弁もクリーニングされなければならない。
【0028】
しかし、複数種の塗料のために唯一つの媒体弁を使用することには、次のような利点がある。すなわち、あまり使用されない塗料が一連の複数の媒体弁を占有してしまい、頻繁に使用される塗料のために媒体弁がもはや提供されていないという事態は生じない。このような事態が生じると、より大きな個数の媒体弁が提供されなければならず、このことは色切換システムを拡大し、しかもより長い色替え時間を招いてしまう。なぜならば、セレクトヘッドが、各媒体弁の間の、より大きな区間を移動しなければならないからである。
【0029】
したがって、本発明は、複数種の塗料が接続されている少なくとも1つの多色用もしくは多塗料用の媒体弁を備えた色切換システムを改良して、この媒体弁を色替え後にクリーニングすることが可能になり、かつ別の媒体弁へのセレクトヘッドの移動調節によって色替えを時間的に妨げることがないように色切換システムを調整する、という課題に基づいている。
【0030】
この課題を解決するために、本発明の構成では、媒体弁のうちの少なくとも1つに、ステータに設けられた循環弁が対応しており、この循環弁の流出部が、媒体弁の流入部に対する接続を有しており、媒体弁は、この媒体弁の制御圧室に圧力が付与されると開弁されるように構成されており、循環弁の弁閉鎖体が、流体圧によって加圧可能でかつ前記ステータの内部に配置された作動ピストンに結合されており、この作動ピストンが、制御圧室に隣接しており、循環弁は、この循環弁の制御圧室に圧力が付与されると閉弁されるように構成されている。
【0031】
塗装のためには、両制御圧室に制御圧が加えられ、これにより媒体弁は開弁し、循環弁は閉弁する。媒体弁の媒体供給部に溜まっている塗料は、開いた媒体弁を通じて媒体管路に流入して消費器へ導かれる。
【0032】
この媒体弁をフラッシングにより洗浄するためには、制御圧室から制御圧が取り出されるので、媒体弁は閉弁し、循環弁は開弁する。その結果、押出し媒体によって、まず目下の塗料が媒体弁から切換弁を介して容器内へ戻し案内され得るようになり、そして引き続き、フラッシュエアおよび/または溶剤によって媒体弁がクリーニングされる。
【0033】
このときに媒体弁の媒体流出部は閉じられているので、セレクトヘッドは連結されている必要はない。それどころか、セレクトヘッドは所定位置において別の媒体弁へもたらされ得るので、この媒体弁に供給された塗料を用いて作業することができる。
【0034】
このような配置形式は、媒体弁のフラッシングによる洗浄を可能にするので、この媒体弁は、多色用もしくは多塗料用の媒体弁として使用され得る。
【0035】
択一的な別の態様では、付加制御通路に、好ましくは突起により機械式に操作可能な付加切換弁を設けることができる。セレクトヘッドのバック側には付加突起が設けられており、セレクトヘッドのバック側がステータのフロント側に当て付けられると、付加突起が、付加切換弁を開弁するようになっている。
【0036】
媒体弁の、上で説明した固有の制御は、好ましくは、媒体管路に少なくとも1つのフラッシュ管路が開口しており、このフラッシュ管路内に、媒体管路に向かって開く少なくとも1つのフラッシュ逆止弁が設けられているような色切換システムにおいて使用され得る。この場合、媒体流入部には、セレクトヘッドのバック側に直接続くように、遮断逆止弁が配置されており、この遮断逆止弁は、セレクトヘッドのバック側に向かって遮断するようになっている。管路内部にフラッシュ逆止弁が配置されているフラッシュ管路は、遮断逆止弁の下流側で媒体管路に開口している。
【0037】
媒体流入部に遮断逆止弁が設けられているので、媒体管路のフラッシングによる洗浄は、セレクトヘッドがステータから分離されている間に行われ得る。遮断逆止弁を介して媒体管路に流入したフラッシュ剤は、遮断逆止弁を遮断する。
【0038】
したがって、こうして比較的迅速に色替えを行うことができる。セレクトヘッドが次の位置へ移動する間、セレクトヘッド内の媒体管路のフラッシング洗浄が行われるので、次の媒体弁を介して供給される塗料は、媒体管路内の残分とは混ざらない。本発明によれば、媒体管路のフラッシュ洗浄のために、組換え時間が利用されるので、2種の塗料間での色替えは一層迅速に行われ得る。
【0039】
しかし、このことは、本発明を拡張するための選択的な可能性であるに過ぎない。基本的には、媒体流入部は開いたままであってもよく、すなわち遮断逆止弁を備えていなくともよい。その場合には、媒体管路に少なくとも1つのフラッシュ管路が開口しており、このフラッシュ管路内には、媒体管路に向かって開く少なくとも1つのフラッシュ逆止弁が設けられている。しかし、この場合、媒体管路内には、少なくともこの媒体管路へのフラッシュ管路の開口部と、媒体流入部との間の領域で、弁が存在していない。本発明のこのような構成では、フラッシングは、セレクトヘッドがステータに連結されていて、かつ媒体弁が閉じられている場合に行われなければならない。したがって、フラッシングは、弁が閉じられた後か、またはセレクトヘッドが送られる前に、あるいはセレクトヘッドが別の媒体弁へ送られた後で、しかも媒体弁が開かれる前に、行われる。フラッシュ剤は、媒体管路をクリーニングし、かつ部分的になお媒体弁流出部にも流入して、媒体弁の遮断エレメントにまで流れる。
【0040】
媒体弁の弁閉鎖体と弁シール座とをフラッシュ剤によって慎重にクリーニングできるようにするためには、好ましくは弁ステムの端部に、媒体弁の弁閉鎖体が設けられており、この場合、この弁ステムは中空通路を有し、この中空通路は、弁閉鎖体の手前で終わっていて、側方の複数の出口を有する。
【0041】
以下に、本発明を実施形態につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】色切換システムの第1の構成を、ステータとセレクトヘッドとが互いに連結されていて、これにより切換弁が開弁されて、制御通路をアクティブな媒体弁に対して開放している状況で示す図である。
【
図2】
図1と同様の状況であって、流体接続部を介して制御流体が、開いた制御通路を経由して媒体弁に供給され、これによりこの媒体弁が開弁している状態を示す図である。
【
図3】
図1と同様の状況であって、媒体弁が閉弁された状態で少なくとも1つのフラッシュ管路を介してフラッシュ剤がセレクトヘッド内の媒体管路に供給される状態を示す図である。
【
図4】ステータとセレクトヘッドとが互いに分離されていて、さらにフラッシュ管路を介して媒体管路にフラッシュ剤が供給される状況を示す図である。
【
図5】色切換システムの第2の構成を、ステータとセレクトヘッドとが互いに連結されている状態で示す部分的な拡大図である。
【
図6】第2の構成を、ステータとセレクトヘッドとが互いに分離されていて、さらにフラッシュ管路を介して媒体管路にフラッシュ剤が供給される状況を示す図である。
【
図7】1つの媒体弁と1つの循環弁とを備えたステータを、セレクトヘッドがステータに連結されていて、ただし流体接続部に制御圧が加えられていないので、媒体弁と循環弁とがその基本位置に位置している状態で示す図である。
【
図8】
図7と同様の状況であって、ただし制御圧が加えられていて、媒体弁と循環弁とが切り換えられている状況を示す図である。
【
図9】1つの媒体弁と1つの循環弁とを備えたステータを、セレクトヘッドがステータから引き離されていて、切換弁が閉弁されている状態で示す図である。
【
図10】1つの媒体弁と1つの循環弁との弁閉鎖体と弁座とを示す拡大図である。
【
図11】別の色切換システムを、セレクトヘッドがステータに連結されていて、媒体流入部と整合した媒体弁が開弁されている状況で示す横断面図である。
【
図12】1つの媒体管路と、弁なしの1つの媒体流入部8とを備えたセレクトヘッドの一部を示す図である。
【
図13】フラッシュ逆止弁の第1の変化形を示す図である。
【
図14】外部の制御部を備えたフラッシュ弁の形のフラッシュ逆止弁の第2の変化形を示す図である。
【
図15】第1のフラッシュ管路と第2のフラッシュ管路とが開口している1つの媒体管路を備えた色切換システムを示す図である。
【0043】
図1につき、システムの個々の部位を説明する。後続の図面にも同一の部位が現れるが、しかしこの場合、それぞれ互いに異なる切換状況が示されている。
【0044】
色切換システムは、ステータ1とセレクトヘッド2とから成り、セレクトヘッド2は、たとえばロータまたはリニアキャリッジとして構成されている。
【0045】
ステータ1には、多数の媒体弁3が設けられている。これらの媒体弁3は、それぞれ1つの媒体供給部4に接続されており、媒体弁3の媒体弁流出部5はステータ1のフロント側6に位置している。これらの媒体弁3は、たとえば1つの円に沿って位置しているので、セレクトヘッド2を回転させることによって、セレクトヘッド2のバック側9に設けられた媒体流入部8に開口している、セレクトヘッド2に設けられた媒体管路7を、媒体弁の媒体弁流出部5のうちの1つと整合させることができる。
【0046】
図1には、これらの媒体弁3のうちの1つだけが図示されている。媒体流入部8のすぐ背後には、遮断逆止弁10が設けられており、この遮断逆止弁10は媒体管路7の方向に開く。媒体管路7の下流側には、少なくとも1つのフラッシュ管路11が開口している。このフラッシュ管路11内には、媒体管路7の方向に開く別のフラッシュ逆止弁12が設けられている。
【0047】
媒体弁3は圧縮空気制御される(原理的にはハイドロリック式の制御または電気式の制御も可能である)。このためには、弁閉鎖体が、流体圧によって加圧可能でかつステータ内部に配置された作動ピストンに結合されており、この作動ピストンは制御圧室に隣接している。作動ピストンは図面には図示されていない。しかし、独国特許出願公開第102015102332号明細書には、作動体を備えた媒体弁の適当な構成が記載されており、この記載によれば、弁閉鎖体は、ステータ内に形成された弁室の内部に設けられていて、この弁室内へ向けられた弁シール座に向かって移動可能である。
【0048】
各媒体弁3はカートリッジ内に埋め込まれている。このカートリッジは、ステータ1のバック側に設けられた凹設部内に取り付けられている。カートリッジの内部には、中空の弁ステムが設けられており、この弁ステムのヘッドには、円錐状に形成された弁閉鎖体が取り付けられている。この弁閉鎖体は、同じく円錐状に形成された弁座と協働する。この弁座はカートリッジのヘッドに形成されている。弁ステムの中空の構成は、流れに好都合な媒体案内を生ぜしめる。
【0049】
ステータ1のバック側は、環状管路または分岐管路17に対する流体接続部16もしくは圧縮空気接続部16を有する。環状管路または分岐管路17は、それぞれ1つの制御通路18を介して媒体弁3の操作部に接続されている。これらの制御通路18のそれぞれには、1つの切換弁19が設けられている。この切換弁19は、たとえばダンベル形の閉鎖体20を有し、この場合、この閉鎖体20の一方のヘッドはシールリング21に当付け可能であるので、制御通路18は閉じられる。
【0050】
閉鎖体20の操作は、突起22を用いて行われる。この突起22はセレクトヘッド2のバック側9に設けられている。突起22は、切換弁19が配置されている孔23内に進入する。
【0051】
図1には、ステータ1とセレクトヘッド2とが、互いに当て付けられており、つまり互いに連結されており、これにより突起22が孔23内に進入して、切換弁19を開弁させており、つまり切換弁19の通過部を解放しているので、制御通路18が開放されていることが示されている。しかし、まだ圧縮空気接続部16に圧力が加えられていないので、媒体弁3はまだ閉じられており、すなわち媒体弁3の弁閉鎖体24はまだ弁シール座25に接触している。遮断逆止弁10は軽度に開弁されている。なぜならば、遮断逆止弁10の弁ボールが、媒体弁3の弁閉鎖体24に当て付けられているからである。
【0052】
図2には、圧縮空気が圧縮空気接続部16に加えられた状態が示されている。これにより、媒体弁3は開弁し、これにより弁閉鎖体24は弁シール座25から離れる。流入した塗料は、遮断逆止弁10の弁ボールを前方へ押しのけて、媒体流入部8をさらに開く。フラッシュ管路11はフラッシュ逆止弁12によって遮断される。
【0053】
色替えのためには、まず、
図3に図示したように、再び圧縮空気が遮断されるので、媒体弁3は閉じ、遮断逆止弁10も、十分に閉じられた位置へ移動する。次いで、フラッシュ管路11を介して洗浄剤もしくはフラッシュ剤が導入されると、フラッシュ逆止弁12が開き、フラッシュ剤は媒体管路7に流入する。媒体流入部8を介した流出は阻止される。なぜならば、媒体流入部8はシールリング26によって外部に対してシールされているからである。
【0054】
次いで、セレクトヘッド2が引き戻されて(
図4参照)、セレクトヘッド2を回転させるか、もしくはセレクトヘッド2を平行に移動させることにより、媒体流入部8が別の媒体弁3の正面に向けられると、まず切換弁19は閉じられる。なぜならば、突起22が孔23から引き戻されたからである。さらに、遮断逆止弁10が完全に閉じるので、媒体流入部8は閉じられており、セレクトヘッド2が次の媒体弁3に向かって運動させられる間、引き続き、洗浄フラッシュを継続させることができる。これによって、著しい時間節約が得られる。
【0055】
図5および
図6には、本発明の別の実施形態が図示されている。前で説明した実施形態とは異なり、突起作動式の切換弁は設けられておらず、それどころか、各媒体弁3はステータ1のフロント側6に設けられた固有の流体接続部32に続いた固有の制御通路31に接続されている。各流体接続部32には、フロント側6に向かって閉じる逆止弁33が設けられている。セレクトヘッド2には、唯一つの集合制御通路34が設けられており、この集合制御通路34は、図示されていない流体源(圧縮空気接続部)に接続されている。集合制御通路34の開口部はその都度、媒体弁流出部5がセレクトヘッド2内の媒体流入部8と整合している媒体弁3に通じている制御通路31を有する流体接続部32(圧縮空気接続部)と整合する。圧縮空気を用いた操作により、この媒体弁3は開弁されるので、この媒体弁3を介して、図示されていないスプレイヘッドに通じた媒体管路7内へ塗料が導入される。
【0056】
図7には、多色用もしくは多塗料用の媒体弁として使用されることが望ましい媒体弁3と、循環弁40との組合せが図示されている。媒体弁3の接続部は、
図1〜
図4に図示したような接続部に相当している。この接続部に並んで循環弁40が配置されており、この循環弁40は原理的には媒体弁と同じ構造を有する。しかし、図示されていない作動ピストンは、付加制御通路42を経由する圧力付与が、媒体弁の場合のように弁の開弁をもたらすのではなく、弁の閉弁をもたらすように、配置されている。
【0057】
図示されている、媒体弁3と循環弁40との配置は、機能形式を明らかにするために用いられる。一般には、ステータ1に2つの円に沿って配置されるほど多数の媒体弁3が必要とされる。その場合、媒体弁3と循環弁40とが、互いに異なる円に沿って、互いに対してずらされて配置されていることが好ましい。このことは、一般に、2つの平行な切換弁(19,41)、すなわち図示されているように媒体弁3のための切換弁19と、循環弁40のための付加切換弁41とを設けることをも必要とする。しかし、機能的には、両制御通路18,42を開閉する1つの切換弁しか必要とならない。
【0058】
図9から判るように、循環弁40の媒体弁流出部は、ステータ1のフロント側6に通じた貫通孔を有しておらず、それどころか、ステータ1内部の接続通路44を介して媒体弁3の弁室に接続されている。
【0059】
図7に示した、ステータ1とセレクトヘッド2との位置では、付加切換弁41が、セレクトヘッド2に設けられた付加的な突起45によって操作されているので、この付加切換弁41は開弁されている。しかし、流体接続部16に圧力は加えられていない。その結果、媒体弁3は閉弁されており、循環弁40は開弁されている。これによって、接続通路44を通じて、媒体弁3と循環弁40との間に一貫した接続が形成されている。この循環弁40は、さらに下で説明するように、色替えおよびフラッシング洗浄のために使用され得る。
【0060】
基本的には、循環弁40に通じた付加制御通路42は、媒体弁3の切換弁19によってもコントロールされ得るので、循環弁40用の図示の付加的な切換弁41を不要にすることができる。
【0061】
図8には、
図7と同一の状況が示されている。しかしこの場合には、流体接続部16に制御圧が加えられており、この制御圧により、媒体弁3は開弁され、循環弁40は閉弁される。
【0062】
媒体弁3の媒体供給部4に溜められていた媒体は、
図1〜
図4につき説明したように、開いた媒体弁3を介して媒体管路7内に流入し、引き続き消費器(スプレイピストル)へ到達することができる。循環弁40を経由する媒体の戻りは与えられていない。なぜならば、この循環弁40は閉弁されているからである。
【0063】
図9には、色替え時の状況が示されている。セレクトヘッド2はステータ1から引き離されており、したがって、セレクトヘッド2を新しい位置へ回転させることができるので、セレクトヘッド2の媒体流入部8を、別の媒体弁の媒体弁流出部へ移動させることができる。
【0064】
突起22,45も切換弁19,41から引き離されているので、これらの切換弁19,41は閉弁されている。これにより、別の媒体弁を開くために場合によっては流体接続部16における圧力付与が必要となったとしても、流体接続部16における圧力付与とは無関係に、いかなる場合でも、図示の媒体弁3は閉弁されており、循環弁40は開弁されている。
【0065】
このことは、色替えおよび引き続き行われる両弁のフラッシングを可能にする。このためには、まず媒体弁の媒体供給部4において、いわゆる押出し媒体が装入され、この押出し媒体は目下の塗料を媒体弁3と循環弁40とから押し出し、その後に交互にフラッシュ剤と空気とが後供給され、これにより媒体弁と接続通路44と循環弁とから塗料残分が除去される。その後に、媒体弁3の媒体供給部4を介して新しい塗料を装入することが可能になる。また、循環弁40を介して各媒体弁3に新しい塗料またはフラッシュ剤を供給することも可能である。
【0066】
このフラッシング洗浄過程は、このシステムが全体的に引き続き作動し、かつ場合によっては別の媒体弁において塗料が搬出される間、行われる。
【0067】
特に媒体弁3の、弁閉鎖体24と弁シール座25とを取り囲む領域を慎重にクリーニングするためには、
図10に示したように、弁ステムが中空通路50を有している。この中空通路50は弁閉鎖体24の手前で終わっていて、側方の複数の出口51を有している。
【0068】
ヘッドはスリーブ52内に進入しており、このスリーブ52内には、媒体弁3の弁シール座25が形成されている。スリーブ52の外側の周面には、環状の溝が延びている。この周面はステータ1に設けられた媒体弁収容孔の壁に接触しているので、環状通路53が形成されている。この環状通路53は、スリーブ52に設けられた横方向孔54を介して中空通路50に接続されている。
【0069】
横方向孔54は、弁閉鎖体24が閉鎖位置に位置している場合に、弁閉鎖体24の側方の出口51の高さに位置している。
【0070】
接続通路44は、横方向孔54に対向して位置するように、環状通路53に開口している。
【0071】
したがって、側方の出口51から流出した空気もしくはフラッシュ剤は、強制的に、外側で弁閉鎖体24の周囲を巡るように流され、次いで横方向孔54を介して環状通路53に流入し、さらにこの環状通路53から接続通路44へ向かって流れることができる。接続通路44と横方向孔54とをこのように互いに反対の側に位置するように配置することにより、弁閉鎖体24が前後左右のあらゆる側でクリーニングされることが確保される。
【0072】
図11につき、さらに別の実施形態を説明する。
【0073】
この色切換システムは、既に前で述べたように、ステータ1とセレクトヘッド2とから成り、セレクトヘッド2は、たとえばロータとして形成されている。
【0074】
ステータ1には、多数の媒体弁3が設けられている。これらの媒体弁3は、それぞれ1つの媒体供給部4に接続されている。媒体弁3の媒体弁流出部5は、ステータ1のフロント側6に位置している。媒体弁3は、たとえば1つまたは複数の同心的な円に沿って位置しているので、セレクトヘッド2を回転させることにより、セレクトヘッド2のバック側9に設けられた媒体流入部8に開口している媒体管路7を、媒体弁流出部5のうちの1つと整合させることができる。
図11には、図面を簡単にするという理由からのみ、媒体弁が相並んで図示されているが、実際にはすべての媒体弁はセレクトヘッド2の回転軸線に対して等間隔を有している。
【0075】
媒体流入部8のすぐ背後には、少なくとも1つの遮断逆止弁10が配置されている。この遮断逆止弁10は媒体管路7に向かって開く。媒体管路7の下流側には、フラッシュ管路11が開口しており、このフラッシュ管路11には、媒体管路7に向かって開く別のフラッシュ逆止弁12が設けられている。
【0076】
媒体弁3は圧縮空気制御される(原理的にはハイドロリック式の制御または電気式の制御も可能である)。このためには、媒体弁の弁閉鎖体が、流体圧によって加圧可能でかつステータ内部に配置された作動ピストンに結合されており、この作動ピストンは制御圧室に隣接している。作動ピストンは図面には図示されていない。しかし、独国特許出願公開第102015102332号明細書には、作動体を備えた媒体弁の適当な構成が記載されており、この記載によれば、弁閉鎖体は、ステータ1内に形成された弁室の内部に設けられていて、この弁室内へ向けられた弁シール座に向かって移動可能である。
【0077】
各媒体弁3はカートリッジ内に埋め込まれている。このカートリッジは、ステータ1のバック側に設けられた凹設部内に取り付けられている。カートリッジの内部には、中空の弁ステムが設けられており、この弁ステムのヘッドには、たとえば円錐状に形成された弁閉鎖体が取り付けられている。この弁閉鎖体は、同じく円錐状に形成された弁座と協働する。この弁座はカートリッジのヘッドに形成されている。弁ステムの中空の構成は、流れに好都合な媒体案内を生ぜしめる。
【0078】
ステータ1のバック側は、環状管路17に対する流体接続部もしくは圧縮空気接続部16を有する。環状管路17は、それぞれ1つの制御通路18を介して媒体弁3の操作部に接続されている。
【0079】
環状管路17を起点として複数の供給管路61が延びており、これらの供給管路61はステータ1のセレクトヘッド側において開口62に開口していて、この開口62に対して直角に延びている。
【0080】
開口62は、供給管路61自体よりも大きな横断面を有するので、開口の底部からは、引き続き、斜めに延びる継続管路63が各媒体弁3にまで延びている。これらの開口62は、すべて、各媒体弁3に対して同一の位置決めを有している。
【0081】
セレクトヘッド2のステータ側には、多数の栓体64が設けられている。この場合、栓体64の数は、媒体弁3の数もしくはそれぞれ所属の開口62の数よりも1つだけ少ない。
【0082】
セレクトヘッド2における栓体64の分配は、ステータ1における開口62の分配に相当しているので、セレクトヘッド2がステータ1に連結されると、ステータ1に対するセレクトヘッド2の回転角度位置調整とは無関係に、すべての栓体64が、それぞれ1つの開口62を見つける。
【0083】
栓体64は、供給管路61内に進入する短い円筒体である。この場合、円筒体の外縁部にはシールリング65が設けられている。このシールリング65は、栓体64が、
図11に示したように、供給管路61内に進入している場合に、供給管路61の周壁面に当て付けられている。
【0084】
媒体流入部8に並んで、栓体64ではなく、閉鎖部66が設けられているので、媒体流入部8に向かい合って位置している媒体弁3に通じた供給管路61は、栓体64とは対応せず、これによってこの供給管路61は遮断されることもない。閉鎖部66は開口62をカバーしているに過ぎない。このことは、この場合に流体接続部16の制御流体が流出し得ることを阻止するが、しかし継続管路63への進入路を遮断するものではない。
【0085】
この実施形態では、セレクトヘッド2が、ステータに面した平らな端面を有するディスクにより形成されているので、閉鎖部66はこの端面の、各開口62を完全にカバーする部分領域によって形成される。開口62に対するこの部分領域のシール性は、この部分領域のところで、開口62を取り囲むシールリング67がこの端面に嵌め込まれていることにより、改善され得る。
【0086】
図11には、ステータ1とセレクトヘッド2とが互いに当て付けられている、つまり互いに連結されているので、1つの供給管路61を除いたすべての供給管路61が閉じられていることが示されている。流体接続部16にまだ圧力が加えられていない限り、アクティブな媒体弁3はまだ閉弁されている。すなわち、媒体弁3の弁閉鎖体24は、まだ弁シール座25に接触している。遮断逆止弁10は軽度に開弁されている。なぜならば、遮断逆止弁10の弁ボールが媒体弁3の弁閉鎖体24に当て付けられているからである。
【0087】
流体接続部16に圧縮空気が加えられるやいなや、媒体弁3は開弁される。これにより、弁閉鎖体24は弁シール座25から引き離される。流入した塗料は遮断逆止弁10の弁ボールを前方に押しのけて、媒体流入部8をさらに大きく開放する。フラッシュ管路11はフラッシュ逆止弁12によって遮断される。
【0088】
色替えのためには、まず再び圧縮空気が遮断されるので、媒体弁3は閉弁し、遮断逆止弁10も、十分に閉じられた位置へ移動する。次いでフラッシュ管路11を介してフラッシュ剤が導入されると、フラッシュ逆止弁12が開弁し、フラッシュ剤が媒体管路7内に流入する。媒体流入部8を介した流出は阻止される。なぜならば、媒体流入部8は遮断逆止弁10のシール部材によって外部に対してシールされているからである。
【0089】
これまで説明したすべての実施形態にとって共通しているのは、遮断逆止弁10が設けられていることである。しかし、媒体弁3のそれぞれ提案された制御は、媒体流入部8における遮断逆止弁10の配置とは無関係にも使用され得る。遮断逆止弁10が設けられていれば、セレクトヘッド2がステータ1から分離されている場合でも、すなわち1つの媒体弁3から別の媒体弁3へセレクトヘッド2が送られている場合でも、フラッシングを実施することが可能になる。セレクトヘッド2の位置を変える間のフラッシングを不要にしたい場合には、遮断逆止弁は必要にならない。なぜならば、セレクトヘッド2が連結されているが媒体弁3が閉弁されている場合にも、媒体管路のフラッシングを行うことができるからである。
【0090】
図12には、遮断逆止弁を有しない、媒体管路7と媒体流入部8とを備えたセレクトヘッド2の一部が図示されている。さらに、媒体管路7には、フラッシュ逆止弁12を備えたフラッシュ管路11が開口している。消費器の方向への塗料の送出をコントロールし得るようにするために、フラッシュ管路11の開口部の下流側で媒体管路7内に別の弁が設けられていてもよい。
【0091】
図13には、フラッシュ逆止弁12の、デッドスペースなしの択一的な別の構成が示されている。フラッシュ管路11内には、媒体管路へのフラッシュ管路11の開口のすぐ手前で閉鎖プレート70が設けられており、この閉鎖プレート70はフラッシュ管路11の周壁面に対してシールされている。閉鎖プレート70のバック側には、ステム71が設けられており、ステム71には、このステム71に設けられた段部と、フラッシュ管路11に設けられた段部との間に緊定された弁ばね72が支持されている。フラッシュ逆止弁12は、フラッシュ管路11内の圧力によって開弁される。フラッシュ逆止弁12が開弁された状態では、閉鎖プレート70がフラッシュ管路11から離れて、媒体管路7を遮断することなくこの媒体管路7内に位置している。
【0092】
図14には、フラッシュ逆止弁12のさらに別の構成が断面図で示されている。この構成では、フラッシュ逆止弁12が外部の制御媒体によって意図的に開弁される。このためには、制御室73内に作動ピストン74が配置されており、この作動ピストン74はステム76を介して、フラッシュ逆止弁12の閉鎖体75に結合されている。
【0093】
図15には、ステータ1とセレクトヘッド2とを備えた、
図11に示した構成に相当する色切換システムが示されている。ただし、
図11の構成とは異なり、媒体管路7は開いている。つまり、この媒体管路7には遮断逆止弁が設けられていない。媒体管路7には、第1のフラッシュ管路80と第2のフラッシュ管路81とが開口しており、この場合、第1のフラッシュ管路80にはフラッシュ逆止弁82が配置されており、このフラッシュ逆止弁82は、
図12もしくは
図13に示した構成に相応して構成されている。第2のフラッシュ管路81には、外部の制御媒体によって操作可能な弁83が配置されており、この弁83の構造は、
図14に示した弁に等しい。この第2のフラッシュ管路81は、特に媒体管路7内に押出し媒体を供給するために用いられる。
【0094】
弁83の操作は、流体式、特にニューマチック式に行われる。このためには、弁83に設けられた操作室85に流体通路84が通じている。この操作室85に圧力が加えられると、弁83は開弁するので、こうして開いた第2のフラッシュ管路81を介して、たとえば押出し媒体が媒体管路7内に流入する。
【符号の説明】
【0095】
1 ステータ
2 セレクトヘッド
3 媒体弁
4 媒体供給部
5 媒体弁流出部
6 フロント側
7 媒体管路
8 媒体流入部
9 バック側
10 遮断逆止弁
11 フラッシュ管路
12 フラッシュ逆止弁
16 流体接続部
17 環状管路または分岐管路
18 制御通路
19 切換弁
20 閉鎖体
21 シールリング
22 突起
23 孔
24 弁閉鎖体
25 弁シール座
26 シールリング
31 制御通路
32 流体接続部
33 逆止弁
34 集合制御通路
40 循環弁
41 付加切換弁
42 付加制御通路
44 接続通路
45 突起
50 中空通路
51 出口
52 スリーブ
53 環状通路
54 横方向孔
61 供給管路
62 開口
63 継続管路
64 栓体
65 シールリング
66 閉鎖部
67 シールリング
68 貫通孔
70 閉鎖プレート
71 ステム
72 弁ばね
73 制御室
74 作動ピストン
75 閉鎖体
76 ステム
80 第1のフラッシュ管路
81 第2のフラッシュ管路
82 フラッシュ逆止弁
83 弁
84 流体通路
85 操作室