特許第6882491号(P6882491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6882491-静電気放電ポリイミドラベル 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882491
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】静電気放電ポリイミドラベル
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20210524BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20210524BHJP
   B32B 27/42 20060101ALI20210524BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210524BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20210524BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20210524BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20210524BHJP
   H05K 1/02 20060101ALN20210524BHJP
【FI】
   B32B27/18 J
   B32B27/36
   B32B27/42 102
   B32B27/00 L
   B32B7/06
   B32B27/00 M
   G09F3/00 Q
   G09F3/02 C
   G09F3/02 F
   !H05K1/02 R
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-539252(P2019-539252)
(86)(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公表番号】特表2020-505253(P2020-505253A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】CN2017071919
(87)【国際公開番号】WO2018133031
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】514100751
【氏名又は名称】アベリー・デニソン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェ,シュフイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,シンホェイ
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ユアンホア
(72)【発明者】
【氏名】コン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ユルン
【審査官】 鶴 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0179089(US,A1)
【文献】 特表2006−514890(JP,A)
【文献】 特開平11−166170(JP,A)
【文献】 特開2007−087438(JP,A)
【文献】 特表2009−545010(JP,A)
【文献】 特開2003−308016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 − 43/00
G09F 1/00 − 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1〜50重量%の導電性粒子及びポリエステル−アミノ樹脂を含むトップコートであって、前記アミノ樹脂はメラミンであるトップコートと、
(ii)ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド(PE1)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むフィルムと、
(iii)1〜90重量%の導電性粒子およびポリエステル−アミノ樹脂を含むプライマー層と、
(iv)接着剤層とを含む、ラベル。
【請求項2】
前記ラベルが(v)剥離可能なライナーをさらに含む、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記トップコートが20〜70重量%のポリエステル−アミノ樹脂を含む、請求項1または請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
前記トップコートが10〜30重量%の導電性粒子を含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項5】
前記トップコートが、金属粒子、金属被覆粒子、導電性シェルを有する無機酸化物粒子、炭素粒子、グラファイト粒子、導電性ポリマー粒子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される導電性粒子を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項6】
前記トップコート、プライマー層及び接着剤層は導電性粒子を含み、前記接着剤層中の導電性粒子は前記トップコート及び/又はプライマー層中の導電性粒子とは異なる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項7】
前記トップコート及びプライマー層は導電性二酸化チタン粒子を含み、前記接着剤層は導電性ニッケル粒子を含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項8】
記フィルムが少なくとも1つのポリイミドを含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項9】
前記接着剤層が感圧接着剤を含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項10】
前記接着剤層が導電性粒子を含む、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項11】
前記接着層が導電性ニッケル粒子を含む、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のラベ
ル。
【請求項12】
前記接着剤層が、前記接着剤層の総重量を基準として1〜20重量%の導電性粒子を含む、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項13】
前記トップコートが1〜50ミクロンの厚さを有する、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項14】
記フィルムが1〜400ミクロンの厚さを有する、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項15】
前記プライマー層が0.01〜50ミクロンの厚さを有する、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項16】
前記接着剤層が1〜200ミクロンの厚さを有する、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項17】
前記ラベルが50V未満の剥離電圧を有する、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項18】
前記トップコートが1011オーム未満の表面抵抗を有する、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項19】
前記プライマー層が10オーム未満の表面抵抗を有する、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項20】
前記接着剤層が10オーム未満の表面抵抗を有する、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項21】
プリント回路基板の少なくとも1つの表面に貼着された、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のラベルを含むプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、静電気放電ポリイミドラベルに関する。前記ラベルは、前記ラベルのトップコート層中のポリエステル−アミノ樹脂及び導電性粒子のみならず、プライマー層及び接着剤層中の導電性粒子を含み得る。
【背景技術】
【0002】
静電気放電(ESD)は、プラスチック等の絶縁体の表面上に電荷が蓄積して発生する。これらの電荷は、接地経路がないため、移動できない。したがって、前記電荷は静電荷と呼ばれる。絶縁体上の静電荷は、回路基板上の金属リード線や人の比較的導電性の皮膚等の導体を介して放電することがある。ESDの電圧は、例えば50Vと非常に低く、スパークを生じない場合もあるが、これらのESDは、例えば、集積チップ内のゲート酸化物層を破壊し、役に立たないようにし得る。低電圧放電でさえ、最新の集積回路を破壊する可能性がある。
【0003】
集積チップ回路等の電子部品は、ラベルを含む場合がある。これらのラベルは、電子部品に適用される前にライナーから剥がすと、数十万ボルトを超える静電荷を発生させる可能性がある。また、ラベルの再配置は静電荷を発生させる場合がある。
【0004】
静電荷の蓄積に対する従来の解決策の1つに、導電性粒子を統合してラベルの絶縁性接着剤に導電性を付与することがある。CN203319919Uは、剥離紙層と基材とを含む帯電防止ポリイミド感圧接着剤を開示している。粘着剤層は、剥離紙層と基材層との間に配置され、帯電防止コーティングは、基材層の外側表面上に配置され、静電気が騰写及び印刷段階において帯電防止コーティングを介して効果的に放出するようにする。したがって、静電気による精密機器への影響又は損傷が軽減する。
【0005】
CN205313454Uは、変形したカプトンフィルム粘着テープを開示している。裏面シートの上部には、シリコーン感圧フィルム帯電防止層と薄膜とが設けられている。ポリイミドフィルムの上部には、垂直に配列された等距離のリン光ストリップを備える保護層が設けられている。底部シートの下部には、スケール層が設けられ、前記スケール層の両側には目盛りが設けられている。
【0006】
CN204265680Uは、ベース層、綿布層、有機シリコン感圧接着層、帯電防止薄膜層、及びポリイミドフィルム層を含むポリイミドテープを開示している。前記層は最下部から最上部まで順に積み重ねられ、有機シリコン感圧接着層の下側面には複数の非貫通接着層の凹部が設けられている。
【0007】
米国特許第5,958,573号は、感圧接着剤層に積層される導電性プライマー層に積層されたポリエステル又はポリイミドバッキングフィルムを含む静電気散逸ラベルを開示している。プライマー層及び接着剤層は、例えば金属等の導電性粒子を含み、接着剤層における導電性粒子は、それらが前記層の厚さにまたがるように配置される。
【0008】
米国特許公開第2005/0019519号は、フェースシート、接着剤層、及び剥離ライナーによって特定された非支持形キャストフェースシート層、接着剤層、及び剥離ライナーを含む耐熱性ラベルストックを開示している。前記ラベルストックは、通常、取り外しによってラベルを破壊又は損傷されるので跡が残る。特定の実施形態において、前記ラベルストックは静電気散逸性である。
【0009】
しかし、前記の参考文献のいずれも、効果的な静電気散逸性を備えた費用対効果の高いラベルを提供していない。前述の欠点の観点から、低表面抵抗及び剥離電圧を有する費用効果の高いラベルへの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態において、本発明は、(i)ポリエステル−アミノ樹脂を含むトップコートと、(ii)ポリオレフィンフィルムと、(iii)プライマー層と、(iv)接着剤層とを含むラベルに関する。前記ラベルは、(v)ライナーをさらに含み得る。前記トップコートは、20〜70重量%のポリエステル−アミノ樹脂を含み得る。前記トップコートは、10〜30重量%の導電性粒子をさらに含み得る。前記トップコートは、金属粒子、金属被覆粒子、導電性シェルを有する無機酸化物粒子、炭素粒子、グラファイト粒子、導電性ポリマー粒子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される導電性粒子をさらに含み得る。前記トップコートは、導電性二酸化チタン粒子をさらに含み得る。前記プライマー層は、ポリエステル−アミノ樹脂を含み得る。前記プライマー層は、導電性二酸化チタン粒子等の導電性粒子を含み得る。一部の態様において、前記トップコート、プライマー層及び接着剤層は、導電性粒子を含んでもよく、前記接着剤層中の導電性粒子は、トップコート及び/又はプライマー層中の導電性粒子と異なってもよい。さらなる態様において、前記トップコート及びプライマー層は導電性二酸化チタン粒子を含み、前記接着剤層は導電性ニッケル粒子を含む。前記ポリオレフィンフィルムは、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み得る。一部の態様において、前記ポリオレフィンフィルムは、少なくとも1つのポリイミドを含む。前記接着剤層は、感圧接着剤を含み得る。前記接着剤層は、導電性ニッケル粒子等の導電性粒子を含み得る。前記接着剤層は、接着剤層の総重量を基準として1〜20重量%の導電性粒子を含み得る。前記トップコートは、1〜50ミクロンの厚さを有し得る。前記ポリオレフィンフィルムは、1〜400ミクロンの厚さを有し得る。前記プライマー層は、0.01〜50ミクロンの厚さを有し得る。前記接着剤層は、前記1〜200ミクロンの厚さを有し得る。前記ラベルは、50V未満の剥離電圧を有し得る。前記トップコートは、1011オーム未満の表面抵抗を有し得る。前記プライマー層は、10オーム未満の表面抵抗を有し得る。前記接着剤層は、10オーム未満の表面抵抗を有し得る。
【0011】
さらなる実施形態において、本発明は、プリント回路基板の少なくとも1つの表面に貼り付けられた前述のようなラベルを含むプリント回路基板に関する。
【0012】
本発明は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の態様によるラベルの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ラベルは、ラベル付け又は保護のために回路基板用にしばしば使用される。静電気散逸特性を備えたラベルは、ラベルの適用及び取り外しの際に静電気放電から電子部品を保護するのに役立ち得る。現在、特殊なラベル層における特定の導電性粒子の使用により、得られたラベルの予期しない性能特性が得られることが発見されている。例えば、プライマー層におけるポリエステル−アミノ樹脂及び導電性粒子を含む静電気散逸トップコートの使用は、静電気散逸性を改善することがわかっている。前記得られたラベルは、ゼロに近い剥離電圧を有し、ラベル表面上でのESD機能性が改善されて有利である。
【0015】
通常、ラベルは、選択的に機能性粒子を含む接着剤層を含む。また、ポリエステル−アミノ樹脂及び導電性粒子が、プライマー層のみならずトップコートに含まれていると、接着剤層に必要な導電性粒子の量又は割合を有益に減らすことができることが発見された。接着剤層における導電性粒子のこのような減少は、ラベルに対する低い表面抵抗及び剥離電圧を維持しながら、改善された接着特性を引き起こす。
【0016】
例示的な実施形態、例えば、図1の実施形態に示すように、本発明はさらなる層を含み得るが、ESDラベル1は、複数の、例えば5つの基層を含む。前記層は、最上部から最下部の順に、トップコート2、ポリオレフィンフィルム3(「フェイスストック」)、プライマー層4、感圧接着剤5、及びライナー6を含む。各層については、以下でさらに詳しく説明する。
【0017】
トップコート
一実施形態において、基板に向かって下向きに見た観点から、トップコート層は、名前が示すように、ラベルの最上部層であり、周囲環境に直接さらされる。前記トップコート層は、ポリオレフィンフィルムの上面に直接隣接して構成され、例えば、前記トップコート層はポリオレフィンフィルムの上に位置する。前記トップコートは、バーコードや英数字等の情報を表す表面として機能することができ、熱転写印刷可能である。さらに、前記トップコートは、残りの層を保護し、例えば、前記トップコートは、極限の温度、溶剤、及び/又は摩耗に耐えるように設計/選択されている。一実施形態において、前記トップコートは、例えば、1011オーム未満、1010オーム未満、又は10オーム未満の低い表面抵抗を有する。範囲に関して、前記表面抵抗は、10〜1011オーム、例えば、10〜1010オーム又は10〜10オームの範囲内である。前記表面抵抗が低いと、製造工程時の剥離電圧が減少するばかりでなく、蓄積された静電気エネルギーに対する放出速度もさらに速くなる。前記製造工程は、ダイカット工程及び巻き戻し工程を含み得る。
【0018】
トップコートの厚さは非常に多様であり得る。トップコートは、1〜50ミクロン、例えば、5〜25ミクロン、又は10〜20ミクロンの範囲内の厚さを有し得る。下限に関して、トップコートは少なくとも1ミクロン、例えば、少なくとも5ミクロン、又は少なくとも10ミクロンの厚さを有し得る。上限に関して、トップコートは50ミクロン未満、例えば、25ミクロン未満、又は20ミクロン未満の厚さを有し得る。トップコートの厚さは、トップコートの所望の不透明度のみならず、トップコートの所望の剛性に基づいて選択することもできる。
【0019】
トップコートは、ポリエステル−アミノ樹脂を含む。好ましい実施形態において、前記トップコートは、トップコートの総重量を基準として20〜70重量%、例えば、25〜60重量%又は30〜50重量%のポリエステル−アミノ樹脂を含む。上限に関して、前記トップコートは、最大70重量%、例えば最大60重量%又は最大50重量%のポリエステル−アミノ樹脂を含む。下限に関して、前記トップコートは、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%のポリエステル−アミノ樹脂を含む。また、トップコートの厚さと同様に、樹脂の量もトップコートの所望の不透明度のみならず、トップコートの所望の剛性に基づいて選択することもできる。場合によっては、樹脂中のポリエステルとアミノの比は、2:1〜1:2の範囲、例えば、2:1〜1:1の範囲、又は1.5:1〜1:1の範囲内であり得る。本発明者らは、ポリエステルとアミノの比をこれらの範囲内に保つことにより、トップコートが低い表面抵抗及び良好な熱転写印刷性能の特徴の有益な組み合わせを有することを発見した。一般に、導電性材料をトップコートに導入することは、熱印刷の性能に有害な影響を及ぼす。この有害な影響は、ポリエステル−アミノ樹脂の使用により少なくとも部分的に改善される。
【0020】
ポリエステルは非常に多様であり得る。例えば、任意の適切なヒドロキシル化ポリエステルをポリエステル−アミノ樹脂に使用してもよい。一部の態様において、前記ポリエステルは、ヒドロキシル基末端線状又は分岐状ポリマーを含むヒドロキシル化ポリエステルである。例えば、適切なヒドロキシル化ポリエステルには、VYLON 103、VYLON 200、VYLON 220、VYLON 240、VYLON 270、VYLON 300、VYLON 500、VYLON 226、VYLON 670、及びVYLON 550(すべて、東洋紡社製)等の重合コポリエステル樹脂を含み得る。さらなる例示的なヒドロキシル化ポリエステルは、所定の範囲の高分子量及び中分子量のコポリエステル(例えば、約2,000g/モル〜約20,000g/モルの範囲内の分子量)を含み得る。例示的な市販品としては、DYNAPOL L912、DYNAPOL L952、DYNAPOL L206、DYNAPOL L205、DYNAPOL L208、DYNAPOL L210、DYNAPOL L411、DYNAPOL L850、DYNAPOL L658、DYNAPOL LH815、DYNAPOL LH830、DYNAPOL LH828、及びDYNAPOL LH744(すべて、エボニックデグサ社製)を含む。
【0021】
ポリエステルは、アミノ樹脂と反応して、ポリエステル−アミノ樹脂を形成することができる。アミノ樹脂の一部の非限定的な例には、メラミンが含まれる。しかしながら、他のアミノ樹脂が考えられる。一部の実施形態において、前記アミノはエーテル化メラミンである。任意のエーテル化メラミンが適切であり得るが、一部の実施形態において、前記エーテル化メラミンは、ヒドロキシメチル及び/又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物を含み得る。そのような化合物は、様々な置換ヒドロキシメチル基、及び/又はアルコキシメチル基を有する様々な供給源から入手可能である。例えば、適切なエーテル化メラミン化合物の例としては、CYMEL 300、CYMEL 303、CYMEL 325、及びCYMEL 725(すべて、日本サイテックインダストリーズから入手可能)、NI ALAC MW−30M、NIKALAC MW−30、NIKALAC MW−30HM、NIKALAC MW−390、及びNIKALAC MW−100LM(すべて、サンワケミカル社から入手可能)が含まれる。前述の製品のそれぞれは、メトキシメチル化メラミン化合物を含む。例として、本発明の特定の実施形態に適したさらなるエーテル化メラミン化合物には、CYMEL 370及びCYMEL 701(すべて、日本サイテックインダストリーズから入手可能)等のメチル化メトキシメチル化メラミン化合物;CYMEL 266、CYMEL 285、及びCYMEL 212(すべて、日本サイテックインダストリーズから入手可能)等のメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン化合物;及びCYMEL 272及びCYMEL 202(すべて、日本サイテックインダストリーズから入手可能)等のメチル化メトキシメチル化メラミン化合物を含む。さらに、 日本サイテックインダストリーズから入手可能CYMEL 238等のメトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン化合物、及び日本サイテックインダストリーズから入手可能MY COAT 506等のブトキシメチル化メラミン化合物を使用してもよい。
【0022】
トップコートは、さらに、導電性粒子を含み得る。前記導電性粒子は、トップコートの総重量を基準として1〜50重量%、例えば、5〜40重量%、又は10〜30重量%で存在し得る。上限に関して、トップコートは、トップコートの総重量を基準として50重量%以下、例えば、40重量%以下、又は30重量%以下の導電性粒子を含む。下限に関して、トップコートは、トップコートの総重量を基準として少なくとも1重量%、例えば、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の導電性粒子を含む。前記導電性粒子は、一般的に、高速分散機でトップコート全体に分散され、その後フィルターバッグを通ってろ過される。前記導電性粒子は、金属粒子、金属被覆粒子、導電性シェルを有する無機酸化物粒子、炭素粒子、グラファイト粒子、及び導電性ポリマー粒子の少なくとも1つを含み得る。一部の態様において、導電性二酸化チタン粒子を使用してもよく、具体的には、針状の導電性二酸化チタンを使用してもよい。導電性粒子の添加は、低い表面抵抗及び減少した剥離電圧という驚くべき利点に貢献する。
【0023】
金属粒子が使用される実施形態において、前記金属粒子は、銀、金、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、及び鋼鉄の粒子を含み得る。金属被覆粒子が採用される場合、前記金属被覆粒子は、一つ以上のこれらの金属又は他の金属が、炭素、グラファイト、ポリマー若しくはガラス球、又は別の金属等のコア材料に被覆された粒子を含み得る。トップコートに使用するための導電性粒子は、多くの要因、例えば、負荷要求量、トップコートに与える粒子の表面抵抗率の量、及びコストに基づいて選択される。
【0024】
一部の態様において、導電性粒子は、非導電性コア(通常、酸化物又は鉱物粒子)が導電性材料の薄い外部シェルを担持するコアシェル粒子である。例には、コアが二酸化チタン粒子又は雲母フレークのいずれかであり、導電性外部シェルがアンチモンドープ酸化スズである、E.I.Du Pont de Nemours,Co.製の導電性顔料であるZelec商標を含む。Zelec ECP 3410T(二酸化チタンのコアを有する)は、例示的な導電性粒子である。モンサント社から入手可能なポリアニリンは、粒子又は可溶性形態の導電性ポリマーの代表例である。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、トップコートは、スプレー、ロール、ブラシ、又は他の方法等の当技術分野における任意の既知の方法によってポリオレフィンフィルム(フェイスストック)上に適用することができる。一部の実施形態において、前記トップコート層は、溶剤に基づく系としてコーティングされてもよい。前記トップコート組成物におけるキャリア及び/又は溶剤の量は、所望のコーティング粘度に応じて変わり得る。特定の実施形態によれば、溶剤はポリエステル及びメラミン樹脂系の任意の従来の溶剤を含み得る。例えば、そのような溶剤は、炭素数3〜15個のケトン(例えば、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン)、炭素数3〜20個のアルキレングリコール及び/又はアルキレングリコールアルキルエーテル、アセテート及びそれらの誘導体、エチレン炭酸塩、及びその他の適切な溶剤を含み得る。適切なアルコール溶剤には、メチル、エチル、プロピル、ブチルアルコール等のモノアルコールのみならず、シクロヘキサノール等の環状アルコールが含まれる。特定の実施形態において、n−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、及び他のアセテート型溶剤等の、大半のアセテート型溶剤を使用してもよい。特定の実施形態によれば、溶剤系の一部は、水を含むことが非常に望ましい。しかしながら、他の実施形態において、溶剤系は水を含まなくてもよい。
【0026】
ポリオレフィンフィルム
前記のように、ラベルは、トップコートに直接隣接する少なくとも1つのポリオレフィンフィルムを含み得る。前記ポリオレフィンフィルムには上面と底面がある。基板に向かって下向きに見た観点から、ポリオレフィンフィルムはトップコートの下に構成されてもよく、例えば、ポリオレフィンフィルムの上面はトップコートに隣接する。
【0027】
ポリオレフィンフィルムは、非常に多様であり得る。一部の実施形態において、ポリオレフィンフィルムは、優れた機械的強度及び耐熱性を示す任意のポリオレフィン材料を含み得る。例示的なポリオレフィンフィルムは、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、又はそれらの組み合わせであってもよい。特定の実施形態において、特に高温で使用される場合、ポリオレフィンフィルムは少なくとも1つのポリイミドを含む。
【0028】
ポリイミド製の例示的なポリオレフィンフィルムには、デュポンから入手可能なカプトン(登録商標)、及びKaneka Texas Corporationから入手可能な商標名アピカルが含まれ、ポリエステル製の例示的なポリオレフィンフィルムには、デュポンから入手可能な商標名マイラー及びAmerican Hoechstから入手可能な2600ポリエチレンテレフタレートフィルムが含まれる。他の市販のポリオレフィンフィルムには、Westlake Plastics Companyから入手可能なTempaluxTM(PEI)、三菱樹脂社から入手可能なSuperio−UTTM(PEI)、どちらもデュポンから入手可能なKaladexTM(PEN)及びテオネックス(PEN)が含まれる。
【0029】
本発明の特定の実施形態に係るポリオレフィンフィルムは、1〜400ミクロン、例えば、10〜300ミクロン、25〜200ミクロン、又は50〜150ミクロンの範囲、及び前述の量における他の範囲内の厚さを含み得る。下限に関して、ポリオレフィンフィルムは、少なくとも1ミクロン、例えば、少なくとも10ミクロン、少なくとも25ミクロン、又は少なくとも50ミクロンの厚さを有し得る。上限に関して、ポリオレフィンフィルムは、400ミクロン未満、例えば、300ミクロン未満、200ミクロン未満、又は150ミクロン未満の厚さを有し得る。
【0030】
プライマー層
プライマー層は、ポリオレフィンフィルムに直接隣接してトップコートとは反対側の表面のポリオレフィンフィルム上にあってもよく、例えば、ポリオレフィンフィルムはトップコートとプライマー層との間に設けられてもよい。プライマー層は、ポリエステル−アミノ樹脂及び導電性粒子を含んでもよい。プライマー層に採用されるポリエステル−アミノ樹脂及び導電性粒子は、トップコートについて前述したとおりであってもよいが、プライマー層及びトップコートの最終組成物は異なっていてもよい。また、トップコートについて説明した任意の添加剤をプライマー層に利用してもよい。一部の実施形態において、トップコートの組成物は、プライマー層の組成物とは異なる。例えば、プライマー層は、トップコートと同じポリエステル−アミノ樹脂、同じ導電性粒子を含むが、本明細書に記載のものと異なる添加剤を含んでもよい。場合によっては、トップコートの組成物はプライマー層の組成物と同じであってもよい。他の場合において、プライマー層上に熱転写印刷がないため、プライマー層はトップコートよりも高い割合の導電性粒子を含み得る。例えば、導電性粒子は、トップコートの総重量を基準として1〜90重量%、例えば、5〜80重量%、又は10〜70重量%で存在し得る。上限に関して、トップコートは、トップコートの総重量を基準として90重量%以下、例えば、80重量%以下、又は70重量%以下の導電性粒子を含む。下限に関して、トップコートは、トップコートの総重量を基準として少なくとも1重量%、例えば、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%の導電性粒子を含む。
【0031】
好ましい実施形態において、プライマー層中の導電性粒子は、少なくとも一つの金属粒子、金属被覆粒子、導電性シェルを有する無機酸化物粒子、炭素粒子、グラファイト粒子、及び導電性ポリマー粒子の少なくとも1つを含む。一部の態様において、導電性二酸化チタン粒子を使用してもよく、具体的には、針状の導電性二酸化チタンをトップコートとプライマー層の両方で使用してもよい。プライマー層は、10オーム未満、例えば、10オーム未満、又は10オーム未満の表面抵抗を有し得る。理論に縛られることなく、プライマー層中に導電性粒子を含めることにより、剥離電圧に対するESD性能は驚くほど改善されるが、ラベルの接着力は損なわれない。ラベルは、50V未満、例えば、40V未満、30V未満、又は25V未満の剥離電圧を与え得る。
【0032】
プライマー層は、グラビアによりポリオレフィンフィルム上にコーティングされ得る。約150〜180℃の温度で硬化した後、プライマーを前記フィルムに貼り付ける。また、プライマー層中に架橋剤が含まれる場合、ポリオレフィンフィルム上のヒドロキシル基は架橋剤と反応して、ポリオレフィンフィルムにプライマー層が化学的に結合される。
【0033】
プライマー層の厚さは、0.01〜50ミクロン、例えば、0.1〜25ミクロン、又は0.5〜10ミクロンの範囲であり得る。下限に関して、プライマー層は少なくとも0.01ミクロン、例えば、少なくとも0.1ミクロン、又は少なくとも0.5ミクロンの厚さを有し得る。上限に関して、プライマー層は50ミクロン未満、例えば、25ミクロン未満、又は10ミクロン未満の厚さを有し得る。
【0034】
接着剤層
本発明の所定の実施形態に係る接着剤層は、ラベルを貼り付けることができる基材の外側表面にラベルを結合するのに効果的な任意の接着剤を含み得る。
【0035】
前記のように、接着剤層はまた、トップコートについて説明したような導電性粒子を含み得る。接着剤層における導電性粒子は、トップコート及び/又はプライマー層においてと同じであっても、又は異なっていてもよい。例えば、トップコート及びプライマーは、同じ導電性粒子、例えば導電性二酸化チタンを含むことができるが、接着剤層は異なる導電性粒子、例えばニッケル粒子を含んでもよい。さらなる実施形態において、接着剤層は、トップコート及びプライマー層と同じ導電性粒子を含む。さらに別の実施形態において、接着剤層はトップコートと同じ導電性粒子を含み、プライマーは異なる導電性粒子を含むか、又は接着剤層はプライマー層と同じ導電性粒子を含み、トップコートは異なる導電性粒子を有する。好ましくは、接着剤層の導電性粒子は、金属粒子、金属被覆粒子、導電性シェルを有する無機酸化物粒子、炭素粒子、グラファイト粒子、及び導電性ポリマー粒子の少なくとも1つを含む。一部の態様において、導電性ニッケル粒子が使用される。トップコート及びプライマー層中に導電性粒子を含めることにより、接着剤層中の導電性粒子の量を減らすことができる。得られたラベルは、有利な性能特性、例えば、向上した接着力、ESD機能性及び/又は剥離電圧を有利に立証する。
【0036】
接着剤中の導電性粒子は、接着剤層の総重量を基準として1〜20重量%、例えば、2〜15重量%、又は2〜10重量%で存在し得る。下限に関して、接着剤層は、接着剤層の総重量を基準として少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、又は少なくとも5重量%の導電性粒子を含む。上限に関して、接着剤層は、接着剤層の総重量を基準として20重量%以下、例えば、15重量%以下、又は10重量%以下の導電性粒子を含む。本明細書で説明するように、従来のラベルに比べて接着剤層中の導電性粒子の重量%を減らすことにより、ラベルは向上した耐熱性及び剥離強度を有する。接着剤層は、従来のラベルにおける導電性粒子の重量%の75%未満、例えば、50%未満、25%未満、又は10%未満を含み得る。
【0037】
一部の実施形態において、接着剤は、良好な耐熱性及び剥離強度を示し、例えば、スチールパネルに対する剥離強度が少なくとも9N/インチ、例えば、少なくとも9.5N/インチ、又は少なくとも10N/インチである。一部の態様において、接着剤は感圧接着剤である。重要なことは、前述のトップコート及び/又はプライマー層組成物を採用すると、接着剤層中の導電性粒子の量を減らすことができ、ラベルの低い表面抵抗及び剥離電圧を維持しつつ接着性を向上することができる。したがって、接着剤層は、導電性粒子の含有量が低いにも関わらず、適切な性能を提供する。
【0038】
接着剤層は、1〜200ミクロン、例えば、5〜100ミクロン、又は10〜50ミクロンの厚さを有し得る。下限に関して、接着剤層は、少なくとも1ミクロン、例えば、少なくとも5ミクロン、又は少なくとも10ミクロンの厚さを有し得る。上限に関して、プライマー層は、200ミクロン未満、例えば、100ミクロン未満、又は50ミクロン未満の厚さを有し得る。
【0039】
一部の実施形態において、接着剤は、200℃、225℃、250℃、260℃、又は270℃の温度で耐熱性を示し得る。一部の実施形態において、接着剤はまた、凝集強度及び高い剪断抵抗を示し得る。接着剤層は、10オーム未満、例えば、1×10オーム未満、又は5×10オーム未満の表面抵抗を有し得る。
【0040】
National Starch and Chemical Co.から入手可能なDuro−Tak(登録商標)80−115A、又は Ashland Specialty Chemical Companyから入手可能なArosetTM 1860−Z−45等の高強度又はゴム変性アクリル系感圧接着剤のうちの一つのような、攻撃的な感圧接着剤を使用してもよい。適切な感圧接着剤は、例えば、炭素原子4〜12個の直鎖を有するアルキルアクリレート及びアクリル酸のような、より少ない割合の高極性共重合性モノマーのコポリマーを含み得る。これらの接着剤は、米国特許Re.24,906及び米国特許第2,973,286号にさらに詳しく記載されており、それぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。代替の感圧接着剤は、National Starch and Chemical Co.から入手可能な Duro−Tak 4000等の紫外線硬化型感圧接着剤を含む。
【0041】
また、接着剤層は、酸化防止剤及び架橋剤を含んでいる、本明細書に記載の添加剤を接着剤層の総重量を基準として5重量%未満、例えば、4重量%未満、又は3重量%未満の量で含み得る。
【0042】
ライナー
本発明の所定の実施形態によれば、ラベルは、剥離可能なライナーを含み得る。剥離可能なライナーは、接着剤層に直接隣接してプライマー層とは反対側の接着剤層上に位置してもよい。これに関して、剥離可能なライナーは、ラベルを製造、印刷、輸送、保管、及びその他の時間の間に物体やフェイスストックに適用する(又は適用しようとする)前に、接着剤層を保護することができる。剥離可能なライナーに適した任意の材料を使用してもよい。本発明の実施形態に好適な代表的な市販の剥離可能なライナーは、1011、22533及び11404のような製品、CPフィルム及びAkrosilTMを含む、ロパレックスから入手可能なもの等のシリコーン処理された剥離紙又はフィルムを含むことができる。
【0043】
添加剤
トップコート、プライマー、及び/又は接着剤層は、1つ以上の充填剤及び/又は添加剤を任意に含み得る。そのような充填剤及び/又は添加剤は、例えば、従来の機器及び技術を利用して、従来の量でトップコート層に組み込まれてもよい。例えば、代表的な充填剤には、タルク、炭酸カルシウム、有機粘土、ガラス繊維、マーブルダスト、セメントダスト、長石、シリカ又はガラス、ヒュームドシリカ、ケイ酸塩、アルミナ、各種のリン化合物、臭化アンモニウム、二酸化チタン、三酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫酸バリウム、シリコーン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ガラス微小球、チョーク、マイカ、粘土、ウォラストナイト、オクタモリブデン酸アンモニウム、膨張性化合物及びこれらの材料の2つ以上の混合物を含むことができる。充填剤はまた、シラン、脂肪酸等の様々な表面コーティング剤又は処理剤を担持又は含有してもよい。さらに他の充填剤は、ハロゲン化有機化合物等の難燃剤を含むことができる。所定の実施形態において、トップコート層は、エーテル化メラミン、ヒドロキシル化ポリエステル、ポリエステル−メラミン、及び他の適切なエラストマー等、前記層の他の構成成分と互換性のある1つ以上の熱可塑性エラストマーを含み得る。
【0044】
また、トップコート、プライマー、及び/又は接着剤層は、Elementis Specialtiesから入手可能なNuosperse(登録商標) 657等の顔料分散剤を含むことができる。所定の実施形態によれば、トップコート層は、カーボンブラック、アイボリーブラック等のカーボン顔料、及び/又は銅顔料(例えば、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン染料)、カドミウム顔料(例えば、カドミウムイエロー)、クロム顔料(例えば、クロムイエロー)、コバルト顔料(例えば、コバルトブルー)、酸化鉄顔料(例えば、酸化物レッド)、及び任意の他の適切な顔料のような様々なその他の顔料の一つ以上を含み得る。任意の着色剤、顔料、及び顔料分散剤は、所望の負荷及び/又はトップコートの物理的若しくは機械的特性を損傷しない程度の量が適当である。
【0045】
所定の実施形態によれば、トップコート、プライマー、及び/又は接着剤層はまた、任意の表面欠陥(例えば、ピンホールの生成、クレーターリング、剥離、キズ、ブリスタリング、気泡等)の発生を軽減させるために一つ以上のフロー剤及び/又はレベリング剤を含むことができる。適切に使用されるフロー剤及び/又はレベリング剤は、所望の負荷及び/又はトップコートの物理的若しくは機械的特性を損なわないものである。所定の実施形態において、例えば、BYK Additives & Instruments製のBYK−392(ポリアクリレートの溶液)、BYK Additives & Instruments製のBYK−310(ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの溶液)、BASF製のEFKA 3277(フルオロカルボン変性ポリアクリレート)、及び/又はBASF製のEFKA 3740(ポリアクリレート)を含むいくつかの市販のフロー剤及び/又はレベリング剤を利用してもよい。
【0046】
トップコート、プライマー、及び/又は接着剤層はまた、1つ以上の消泡剤を含み得る。消泡剤は、一般に、蒸着又は通常の取扱いや、ある場所から別の場所への移動時のトップコート層における発泡の発生を低減又は緩和する。一般に、一部の実施形態において、所望の負荷及び/又はトップコート層の物理的若しくは機械的特性を損なうことのない任意の消泡剤が使用されてもよい。例えば、消泡剤は鉱物系、シリコーン系、又は非シリコーン系であり得る。
【0047】
所定の実施形態によれば、トップコート、プライマー、及び/又は接着層はまた、1つ以上の酸化防止剤を含み得る。特定の実施形態に適した任意の酸化防止剤が使用できる。一部の実施形態において、良好な耐熱性を示し、且つ、ポリマー系物品/コーティングの変色を緩和する酸化防止剤が選択されてもよい。本発明の所定の実施形態による使用に適した例示的な酸化防止剤には、Double Bond Chemical Ind., Co., Ltd.から入手可能なCHINOX 626、CHINOX 62S(有機リン酸塩酸化防止剤)、CHINOX 245(立体ヒンダードフェノール性酸化防止剤)、及びCHINOX 30N(ヒンダードフェノール性酸化防止剤の混合物)が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
トップコート、プライマー、及び/又は接着剤層はまた、平滑層の形成を容易にすることができる1つ以上の艶消し剤を含み得る。特定の実施形態に適した任意の艶消し剤が利用され得る。一部の実施形態において、艶消し剤は小さな粒径を有し得る。例えば、一部の実施形態において、艶消し剤は変性又は表面処理されたシリカ等の平均10ミクロン未満又は平均5ミクロン未満の粒径を有し得る。シリカは、トップコート層に採用される特定の樹脂系によって処理された様々な有機ポリマーであってもよい。所定の実施形態において、艶消し剤は未処理の二酸化ケイ素を含み得る。
【0049】
本発明の所定の実施形態によれば、適切な触媒もまた使用できる。例えば、トップコートの構成成分は、パラ−トルエンスルホン酸(PTSA)又はメチルスルホン酸(MSA)等の1つ以上の酸触媒を含み得る。有用な酸触媒は、例として、ホウ酸、リン酸、硫酸、次亜塩素酸塩、シュウ酸及びそのアンモニウム塩、ナトリウム又は硫酸バリウムエチル、スルホン酸、及び類似の酸触媒が含まれ得る。所定の実施形態に係るその他の有用な触媒には、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、アミンブロック化アルカンスルホン酸(MCAT 12195)、アミンブロック化ドデシルパラ−トルエンスルホン酸(BYK 460)、及びアミンブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸(Nacure 5543)が含まれ得る。
【0050】
以下の実施形態が考えられる。特徴と実施形態のすべての組み合わせが考えられる。
実施形態1:(i)ポリエステル−アミノ樹脂を含むトップコートと、(ii)ポリオレフィンフィルムと、(iii)プライマー層と、(iv)接着剤層とを含むラベル。
【0051】
実施形態2:実施形態1において、前記ラベルが(v)剥離可能なライナーをさらに含む、実施形態。
【0052】
実施形態3:実施形態1又は2において、前記トップコートが20〜70重量%のポリエステル−アミノ樹脂を含む、実施形態。
【0053】
実施形態4:実施形態1〜3のいずれか1つの実施形態において、前記トップコートが10〜30重量%の導電性粒子をさらに含む、実施形態。
【0054】
実施形態5:実施形態1〜4のいずれか1つの実施形態において、前記トップコートが、金属粒子、金属被覆粒子、導電性シェルを有する無機酸化物粒子、炭素粒子、グラファイト粒子、導電性ポリマー粒子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される導電性粒子をさらに含む、実施形態。
【0055】
実施形態6:実施形態1〜5のいずれか1つの実施形態において、前記トップコートが導電性二酸化チタン粒子をさらに含む、実施形態。
【0056】
実施形態7:実施形態1〜6のいずれか1つの実施形態において、前記プライマー層がポリエステル−アミノ樹脂を含む、実施形態。
【0057】
実施形態8:実施形態1〜7のいずれか1つの実施形態において、前記プライマー層が導電性粒子を含む、実施形態。
【0058】
実施形態9:実施形態1〜8のいずれか1つの実施形態において、前記プライマー層が1〜90重量%の導電性粒子を含む、実施形態。
【0059】
実施形態10:実施形態1〜9のいずれか1つの実施形態において、前記プライマー層が導電性二酸化チタン粒子をさらに含む、実施形態。
【0060】
実施形態11:実施形態1〜10のいずれか1つの実施形態において、前記トップコート、プライマー層及び接着剤層は導電性粒子を含み、前記接着剤層中の導電性粒子は前記トップコート及び/又はプライマー層中の導電性粒子とは異なる、実施形態。
【0061】
実施形態12:実施形態1〜11のいずれか1つの実施形態において、前記トップコート及びプライマー層は導電性二酸化チタン粒子を含み、前記接着剤層は導電性ニッケル粒子を含む、実施形態。
【0062】
実施形態13:実施形態1〜12のいずれか1つの実施形態において、前記ポリオレフィンフィルムは、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド(PE1)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、実施形態。
【0063】
実施形態14:実施形態1〜13のいずれか1つの実施形態において、前記ポリオレフィンフィルムが少なくとも1つのポリイミドを含む、実施形態。
【0064】
実施形態15:実施形態1〜14のいずれか1つの実施形態において、前記接着剤層が感圧接着剤を含む、実施形態。
【0065】
実施形態16:実施形態1〜15のいずれか1つの実施形態において、前記接着剤層が導電性粒子を含む、実施形態。
【0066】
実施形態17:実施形態1〜16のいずれか1つの実施形態において、前記接着剤層が導電性ニッケル粒子を含む、実施形態。
【0067】
実施形態18:実施形態1〜17のいずれか1つの実施形態において、前記接着剤層が、前記接着剤層の総重量を基準として1〜20重量%の導電性粒子を含む、実施形態。
【0068】
実施形態19:実施形態1〜18のいずれか1つの実施形態において、前記トップコートが1〜50ミクロンの厚さを有する、実施形態。
【0069】
実施形態20:実施形態1〜19のいずれか1つの実施形態において、前記ポリオレフィンフィルムが1〜400ミクロンの厚さを有する、実施形態。
【0070】
実施形態21:実施形態1〜20のいずれか1つの実施形態において、前記プライマー層が0.01〜50ミクロンの厚さを有する、実施形態。
【0071】
実施形態22:実施形態1〜21のいずれか1つの実施形態において、前記接着剤層が1〜200ミクロンの厚さを有する、実施形態。
【0072】
実施形態23:実施形態1〜22のいずれか1つの実施形態において、前記ラベルが50V未満の剥離電圧を有する、実施形態。
【0073】
実施形態24:実施形態1〜23のいずれか1つの実施形態において、前記トップコートが1011オーム未満の表面抵抗を有する、実施形態。
【0074】
実施形態25:実施形態1〜24のいずれか1つの実施形態において、前記プライマー層が10オーム未満の表面抵抗を有する、実施形態。
【0075】
実施形態26:実施形態1〜25のいずれか1つの実施形態において、前記接着剤層が10オーム未満の表面抵抗を有する、実施形態。
【0076】
実施形態27:プリント回路基板の少なくとも1つの表面に貼着された、実施形態1〜26のいずれか1つの実施形態によるラベルを含む、プリント回路基板。
【0077】
本発明は、以下の非限定的な実施例を考慮してさらに良く理解されるであろう。
【実施例1】
【0078】
実施例1
本発明に係るラベルは、以下のように製造した。ラベルには、最上部から最下部の順に、トップコート、ポリイミドフィルム、プライマー層、接着剤層、及びライナーを含んでいた。トップコートは、ポリエステル−メラミン樹脂から形成され、10ミクロンの厚さを有し、20重量%の導電性TiOを含んでいた。トップコートの表面抵抗は10〜10オームであった。また、プライマー層はポリエステル−メラミン樹脂から形成され、1〜2ミクロンの厚さを有し、70重量%の導電性TiOを含んでいた。プライマー層の表面抵抗は10〜10オームであった。接着剤層は感圧接着剤を含み、27ミクロンの厚さを有し、2重量%のニッケルを含んでいた。接着剤層の表面抵抗は10〜10オームであった。接着剤層の剥離強度は、スチールパネルからの剥離によって測定した時、9N/インチよりも大きかった。
【0079】
実施例2
プライマー層が20重量%の導電性TiOを含有することを除いては、実施例1と同様にラベルを製造した。プライマー層の表面抵抗は10〜1010オームであった。接着剤層は27ミクロンの厚さを有し、2重量%のニッケルを含んでいた。接着剤層の表面抵抗は10〜1010オームであった。接着剤層の剥離強度は、スチールパネルからの剥離によって測定した時、9N/インチよりも大きかった。
【0080】
比較例A
プライマー層を省略し、接着剤層が約60重量%の導電性ニッケル粉末を含有するように調整したことを除いては、前記と同様にラベルを製造した。接着剤層の表面抵抗は1012オームを超えており、接着剤性能は実施例1と比較した時、ほぼゼロまで低下した。
【0081】
比較例B
トップコートが70重量%の導電性TiOを含有することを除いては、実施例1と同様にラベルを製造した。トップコートの表面抵抗は10〜10オームであったが、TT−印刷性能は非常に劣っていた。
【0082】
比較例C
接着剤層が20重量%のニッケルを含有することを除いては、実施例1と同様にラベルを調製した。接着剤層の表面抵抗は10〜10オームであった。接着剤層の剥離強度は、スチールパネルからの剥離によって測定した時、5N/インチ未満であった。
【0083】
本発明を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲内での変形は、当業者には容易に明らかであろう。本発明の態様及び様々な実施形態の部分と、本明細書及び/又は添付の特許請求の範囲で引用された様々な特徴は、全体的又は部分的に結合されたり交換されることが理解されるべきである。様々な実施形態の前述の説明において、別の実施形態を参照するそれらの実施形態は、当業者によって理解されるように、他の実施形態と適切に組み合わせることができる。さらに、当業者は、前述の説明が単なる例示であり、本発明を限定しようとするものではないことを理解するであろう。
図1