特許第6882506号(P6882506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882506自転車用靴ベースおよびクリート位置決め装置、システム、および使用のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882506
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】自転車用靴ベースおよびクリート位置決め装置、システム、および使用のための方法
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/08 20060101AFI20210524BHJP
   A47G 25/84 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A47F7/08
   A47G25/84
【請求項の数】25
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-549392(P2019-549392)
(86)(22)【出願日】2018年2月28日
(65)【公表番号】特表2020-508820(P2020-508820A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】US2018020208
(87)【国際公開番号】WO2018164910
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】62/600,810
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/600,828
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/600,848
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519323067
【氏名又は名称】ジョセフ・ケヴィン・ルセロ・デゴドイ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ケヴィン・ルセロ・デゴドイ
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−247978(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/025974(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0333124(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0177083(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0309847(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0318805(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 7/08
A47G25/84
A43D 1/08
A43B 5/14
A43C15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用靴クリートの位置を決定する際に使用するための自転車用靴クリート位置決め装置であって、
前記自転車用靴クリート位置決め装置は、
上ベース面を有するベース部分と、
上部および下部を有する保持部分であって、前記下部は前記ベース部分に固定的に連結される、保持部分と、
使用中であるときに前記保持部分の前記上部に連結するように構成される結合器と、
上側および下側を有するクリート連結器であって、前記上側は使用中であるときに自転車用靴クリートを受け入れて前記自転車用靴クリートに固定されるように構成され、前記下側は連結部材に連結される、クリート連結器と、
自転車用靴クリートの位置を決定するためのクリート位置決め組立体と、
を備え、
前記クリート位置決め組立体は、
前記クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナであって、前記第1のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は前記連結部材に連結される、第1のポジショナと、
前記クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナであって、前記第2のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第1のポジショナが前記第1の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第1のポジショナと移動可能に係合される、第2のポジショナと、
前記クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナであって、前記第3のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第2のポジショナが前記第2の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第2のポジショナと移動可能に係合され、前記下部分は、前記第3のポジショナが前記第3の軸に対して移動できるのみとなるように、前記上ベース面と移動可能に係合される、第3のポジショナと、
を備える、自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項2】
前記第1のポジショナ、前記第2のポジショナ、および前記第3のポジショナは、それぞれの軸に対してポジショナの移動を防止および許容するために、選択的および個別に固定可能である、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項3】
前記第1の軸、前記第2の軸、および前記第3の軸は互いに対して垂直である、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項4】
前記第1の軸は、前記第1の位置が前記第1の軸の周りで定められる角度回転となるように前記第2の軸および前記第3の軸に対して垂直に定められる回転軸である、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項5】
前記第2の軸は、前記第2の位置が前記第2の軸に沿って定められる線形位置となるように線形軸である、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項6】
前記第3の軸は、前記第3の位置が前記第3の軸に沿って定められる線形位置となるように線形軸である、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項7】
ポジショナの位置を規定する座標のセットにおいて、前記座標のセットは、自転車用靴が前記装置に固定されるとき、靴の踵部分における基準点に対する自転車用靴クリートの位置を反映する、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項8】
前記保持部分および前記結合器はスナップフィット連結部と連結する、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項9】
前記結合器は自転車用靴のアウトソールと一体である、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項10】
前記結合器は、自転車用靴のアウトソールと連結される結合器アダプタと一体である、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項11】
前記第1のポジショナは、前記クリート連結器の前記第1の位置に対応し、それによって、使用中であるときに前記第1の軸に対する前記自転車用靴クリートの第1の位置に対応する、外周に沿う第1の目盛りをさらに備える、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項12】
前記第2のポジショナは、前記クリート連結器の前記第2の位置に対応し、それによって、使用中であるときに前記第2の軸に対する前記自転車用靴クリートの第2の位置に対応する、外周に沿う第2の目盛りをさらに備える、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項13】
前記第3のポジショナは、前記クリート連結器の前記第3の位置に対応し、それによって、使用中であるときに前記第3の軸に対する前記自転車用靴クリートの第3の位置に対応する、外周に沿う第3の目盛りをさらに備える、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項14】
前記第1のポジショナは第1の環状の形をさらに備え、前記第2のポジショナは第2の環状の形をさらに備え、前記第3のポジショナは第3の環状の形をさらに備える、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項15】
前記クリート連結器は、前記クリート連結器が様々な自転車用靴クリートの種類を受け入れてそれに固定するために置き換え可能となるように、前記クリート位置決め組立体に取り外し可能に連結される、請求項1に記載の自転車用靴クリート位置決め装置。
【請求項16】
クリートの位置を決定する際およびクリートを調節する際に使用するための靴ベースおよびクリート位置決めシステムであって、
前記靴ベースおよびクリート位置決めシステムは、
踵部分および爪先部分、ならびに、前記踵部分から下向きに延びる結合器を有する靴ベースと、
クリート位置決め装置と、
を備え、
前記クリート位置決め装置は、
上面を有するベース部分と、
前記ベース部分に固定される保持部分であって、使用中に前記靴ベースの前記結合器に取り外し可能に固定するために上端において結合部分を備える保持部分と、
使用中であるときにクリートを受け入れて前記クリートに結合するように構成される作用側、および、連結部材に動作可能に連結するポジショナ側を有するクリート連結器と、 使用中であるときに前記クリートの位置を決定するためのクリート位置決め組立体と、
を備え、
前記クリート位置決め組立体は、
前記クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナであって、前記第1のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は前記連結部材に連結される、第1のポジショナと、
前記クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナであって、前記第2のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第1のポジショナが前記第1の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第1のポジショナと移動可能に係合される、第2のポジショナと、
前記クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナであって、前記第3のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第2のポジショナが前記第2の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第2のポジショナと移動可能に係合され、前記下部分は、前記第3のポジショナが前記第3の軸に対して移動できるのみとなるように、上ベース面と移動可能に係合される、第3のポジショナと、
を備える、靴ベースおよびクリート位置決めシステム。
【請求項17】
前記第1のポジショナ、前記第2のポジショナ、および前記第3のポジショナは選択的に固定可能であることで、それによってそれぞれの軸に沿ってのポジショナの移動を選択的に防止および許容する、請求項16に記載の靴ベースおよびクリート位置決めシステム。
【請求項18】
電子機器アレイを備える筐体を有する技術測定ペダルをさらに備え、前記電子機器アレイは、前記クリートの最適なクリート位置を前記システムの前記靴ベースに沿って決定するように構成される複数のセンサを備える、請求項16に記載の靴ベースおよびクリート位置決めシステム。
【請求項19】
前記技術測定ペダルは、前記最適なクリート位置を、携帯機器の動作環境において動作するモバイルアプリケーションに無線通信するように構成される、請求項18に記載の靴ベースおよびクリート位置決めシステム。
【請求項20】
前記技術測定ペダルは、前記最適なクリート位置を前記靴ベースに通信するように構成される、請求項18に記載の靴ベースおよびクリート位置決めシステム。
【請求項21】
前記靴ベースは、前記技術測定ペダルによって通信された前記最適なクリート位置を保存するように構成される保存媒体をさらに備える、請求項20に記載の靴ベースおよびクリート位置決めシステム。
【請求項22】
前記クリート位置決め装置は、前記靴ベースから前記クリート位置決め装置への前記最適なクリート位置の通信によって、前記第1のポジショナ、前記第2のポジショナ、および前記第3のポジショナを前記最適なクリート位置へと自動的に調節するように構成される1つまたは複数の電気アクチュエータをさらに備える、請求項21に記載の靴ベースおよびクリート位置決めシステム。
【請求項23】
自転車用靴クリートの位置を測定および調節する際に使用するための自転車用靴クリート位置決めシステムであって、
前記自転車用靴クリート位置決めシステムは、
クリート部分および踵部分を備えるアウトソールを有する自転車用靴であって、自転車用靴クリートが前記クリート部分に取り付けられる、自転車用靴と、
上ベース面を有するベース部分と、
上部および下部を有する保持部分であって、前記下部は前記ベース部分に固定的に連結される、保持部分と、
使用中であるときに前記保持部分の前記上部に連結するように構成される結合器と、
上側および下側を有するクリート連結器であって、前記上側は使用中であるときに自転車用靴クリートを受け入れて前記自転車用靴クリートに固定されるように構成され、前記下側は連結部材に連結される、クリート連結器と、
自転車用靴クリートの前記位置を決定するためのクリート位置決め組立体と、
を備え、
前記クリート位置決め組立体は、
前記クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナであって、前記第1のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は前記連結部材に連結される、第1のポジショナと、
前記クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナであって、前記第2のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第1のポジショナが前記第1の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第1のポジショナと移動可能に係合される、第2のポジショナと、
前記クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナであって、前記第3のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第2のポジショナが前記第2の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第2のポジショナと移動可能に係合され、前記下部分は、前記第3のポジショナが前記第3の軸に対して移動できるのみとなるように、前記上ベース面と移動可能に係合される、第3のポジショナと、
を備え、
前記第1の軸は、前記第2の軸および前記第3の軸に対して垂直に定められる回転軸であり、
ポジショナの位置を規定する座標のセットにおいて前記座標のセットは、前記自転車用靴クリートが前記クリート連結器に固定されるとき、前記自転車用靴の踵部分における基準点に対する前記自転車用靴クリートの前記位置を反映する、自転車用靴クリート位置決めシステム。
【請求項24】
自転車用クリートの位置を決定する方法であって、前記方法は、
自転車用靴クリート位置決め装置を提供するステップであって、前記自転車用靴クリート位置決め装置は、
クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナであって、前記第1のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は連結部材に連結される、第1のポジショナ、
前記クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナであって、前記第2のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第1のポジショナが前記第1の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第1のポジショナと移動可能に係合される、第2のポジショナ、ならびに、
前記クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナであって、軸同士は互いに対して垂直であり、前記第3のポジショナは上部分および下部分を有し、前記上部分は、前記第2のポジショナが前記第2の軸に対して移動できるのみとなるように、前記第2のポジショナと移動可能に係合され、前記下部分は、前記第3のポジショナが前記第3の軸に対して移動できるのみとなるように、ベース部分と移動可能に係合される、第3のポジショナ
を備える、ステップと、
自転車用靴のアウトソールのクリート部分に取り付けられるクリートを有する自転車用靴を提供するステップと、
前記クリートを前記クリート連結器に連結するステップと、
前記第3の位置に対応するために前記第3のポジショナの位置を調節し、前記第3のポジショナを所定位置において留め付けるステップと、
前記第2の位置に対応するために前記第2のポジショナの位置を調節し、前記第2のポジショナを所定位置において留め付けるステップと、
前記第1の位置に対応するために前記第1のポジショナの位置を調節し、前記第1のポジショナを所定位置において留め付けるステップであって、前記第1のポジショナの調節された位置は、前記クリートの前記位置を反映する座標のセットに規定される、ステップと、
前記座標のセットを基準点と比較し、それによって前記基準点に対する前記クリートの前記位置を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項25】
自転車用靴クリートの位置を調節する方法であって、
ベース部分に連結され、上部を有する保持部分、
使用中であるときに自転車用靴クリートを受け入れて前記自転車用靴クリートに固定されるように構成され、連結部材に連結されるクリート連結器、および、
クリート位置決め組立体であって、前記組立体は、第1の軸に対する前記クリート連結器の位置を決定するように構成される第1のポジショナと、第2の軸に対する前記クリート連結器の位置を決定するように構成される第2のポジショナと、第3の軸に対する前記クリート連結器の位置を決定するように構成される第3のポジショナとを備え、前記第1のポジショナは、前記第2のポジショナと移動可能に係合され、前記第1の軸に対して移動可能なだけとすることができ、前記第2のポジショナは、前記第3のポジショナと移動可能に係合され、前記第2の軸に対して移動可能なだけとすることができ、前記第3のポジショナは、前記ベース部分と移動可能に係合され、前記第3の軸に対して移動可能なだけとすることができる、クリート位置決め組立体
を備える自転車用靴クリート位置決め装置を提供するステップと、
自転車用靴クリートを提供するステップと、
前記自転車用靴クリートを前記クリート連結器に連結するステップと、
前記保持部分の前記上部に連結するように構成される結合器を含む自転車用靴を提供するステップと、
前記結合器を前記保持部分に連結するステップと、
ポジショナを、前記第1の軸の周りでならびに前記第2の軸および前記第3の軸に沿う位置から成る既知の開始位置へと調節し、それによって前記自転車用靴クリートを前記既知の開始位置へと移動させるステップと、
前記ポジショナのうちの1つまたは複数を異なる場所へと調節するステップと、
前記自転車用靴における基準点に対する前記ポジショナの最終的なクリート位置を記録し、それによって、前記記録された最終的なクリート位置における前記自転車用靴への前記自転車用靴クリートの続いての取り付けを可能にするステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は自転車用靴の分野に向けられている。詳細には、本開示は、自転車用靴クリートと結合するように構成される自転車用靴ベースと、関連する自転車用靴クリートポジショナおよび自転車ペダルの使用のための装置、システム、および方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ロード自転車乗車のために意図されている自転車用靴は、典型的には、ベースと、各々の自転車用靴ベースに取り外し可能で再位置決め可能な自転車用クリートとを備える。乗り手の漕ぐ動力が、自転車ペダルを駆動し、関連する自転車クランクを駆動するために、乗り手の足から、自転車用靴ベースと自転車用クリートとを通じて、自転車ペダルへと伝達される。自転車ペダルは、乗り手の漕ぐ動力を、自転車クランクを通じて自転車駆動系へと伝達する。したがって、自転車用靴ベース、自転車用クリート、および自転車ペダルは各々、自転車駆動系への動力の伝達にとって重要である。
【0003】
様々なスタイルのペダルが、異なる種類の自転車および異なる種類の自転車乗車に適応するために利用可能である。例えば、クリップレスペダル(例えば、ステップインペダル)が、ロード用自転車など、より長い乗車および/またはより効率的な乗車のために設計されている自転車でしばしば使用される。クリップレスの自転車ペダルは、各々の自転車用靴ベースに備え付けられた自転車用クリートと解除可能に連結する。自転車用靴ベースが自転車用クリートを介して自転車ペダルに連結されるとき、乗り手の足はペダルに対する位置で固定される。この方法では、自転車用靴ベースに対する自転車用クリートの位置は、ペダルにおける自転車用靴の位置を決定付け、その延長で、ペダルに対する乗り手の膝の位置を決定付ける。不適切な膝位置で漕ぐことが、最適ではない能力、ストレス、および/または、周囲の筋肉、靭帯、および、乗り手の膝における関連する解剖学的構造への一時的もしくは永久的な損傷をもたらすため、適切な膝位置は必須である。
【0004】
従来の方法は、自転車用クリートを自転車用靴ベースにおける特定の位置において備え付けるために存在していた。これらの方法は、自転車用クリートが使用で摩耗もしくは破壊するとき、または、そうでない場合自転車用クリートもしくは靴が交換もしくは機能向上されるときに用いられる。クリートの各々の交換は、乗り手のために適切なクリート位置を達成するために、クリートを自転車用靴ベースに対して調節することを必要とする。自転車用クリートを靴ベースに沿って所望の位置に備え付ける従来の方法における第1のステップは、自転車用靴ベースにおける既存のクリートの位置の輪郭を描くことである(例えば、ペン、テープ、または同様の印を付ける器具を用いる)。この従来の方法における第2のステップは、交換されるクリートの輪郭内において、靴ベースに自転車用クリートを手作業で備え付けるよう試みることである。適切なクリート位置を得ることは、自転車用靴が交換されるとき、輪郭を描くための以前のクリート位置が靴ベースにないため、なおもさらに難しくなる。したがって、新たな自転車用靴が安全に使用され得る前、乗り手は、受け入れ可能であるが必ずしも適切でないクリート位置が最終的に得られるまで、クリートの再位置決めおよび試験の反復の過程に従事しなければならない。
【0005】
自転車用クリートを自転車用靴ベースにおいて位置決めするための先の方法は、既存の自転車用クリート位置決め装置の使用を典型的には伴う。既存の自転車用クリート位置決め装置は、靴ベースの基準点に対して新たな自転車用クリートを位置決めすることを支援することが意図されている。このような装置は支持構造とクリート調節部分とを典型的に含む。使用中、自転車用靴ベースの踵部分は支持構造の上に圧し掛かる。新たなクリートが、靴ベースにおける基準位置に対して自転車用クリートの位置を調節するために使用されるクリート係合部分と関連付けられる。
【0006】
従来の自転車用靴ベースおよびクリート位置決め装置とは、いくつかの理由のため不適切である。例えば、既存の靴ベースおよびクリート位置決め装置は、靴ベースの踵部分を自転車用クリート位置決め装置に適切に固定し損ねる。既存の靴ベースおよびクリート位置決め装置間の固定連結の不足は、靴ベースをクリートに対して移動させる、または、位置ずれさせる。これらの既存の靴ベースおよび位置決め装置によって許容される相対移動または位置ずれは、クリートを位置決めするために、または、基準の方向付けに対してクリート位置を調節するために、使用者が装置を使用するとき、不正確なクリート配置およびクリート位置ずれをもたらす。追加で、以前のクリート位置決め装置は、クリートを靴ベースに対して位置において保持せず、代わりに、クリートをその位置が調節されるときに靴ベースに圧し掛からせるだけである。クリートをクリート位置決め装置に固定し損ねると、クリートを靴ベースに対して移動させてしまい、それによって、クリートの配置または測定において追加的な不正確性を引き起こしてします。さらに、既存のクリート位置決め装置は、典型的には、ある製造者の靴ベースおよび/またはあるスタイルのクリートと界接するように構成されているだけである。
【0007】
既存の自転車乗車のクリート位置決め技術は、いくつかの理由のため不適切でもある。クリート配置の従来のトレースする方法は、既存のクリートの位置の輪郭を完璧に描き、新たなクリートを自転車用靴ベースにおけるトレースされた領域内に位置決めする作業者の能力に依存するため、不正確である。交換のクリートは、異なる製造者から来る可能性があり、または、既存のクリートとは若干異なる構成を有する可能性があり、そのため、交換のクリートは、既存のクリートのトレースされた領域で正確に位置決めできない。さらに、靴の交換は、クリートの位置決め、乗り手によるテスト、および再位置決めの反復の過程を必要とし、これは非効率的であり、リソースを無駄にし、乗り手はクリート位置を古い自転車用靴から新たな自転車用靴へと厳密または確実に再現できない。加えて、このようなクリート位置決め方法は、新たなクリートを以前のクリートの位置において交換しようとするとき、実行される作業者の判断を各々必要とするため、不正確である。そのため、これらの従来のクリート位置決め技術の結果は作業者の忍耐と技術とに依存し、それによって一貫性のないクリート位置決めの結果をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、クリートの自転車用ショーに対する、より正確な測定、位置決め、および固定を可能にする一方で、あらゆる製造者の靴ベースの構成またはクリートのスタイルと相互利用可能である向上した自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステムを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書において記載されたシステム、方法、および装置は革新的な態様を有し、それらのうちのどれ1つも、必須であることはない、または、それらの望ましい属性にもっぱら責任があるわけではない。ここでは、特許請求の範囲を制限することなく、有利な特徴のうちの一部がまとめられている。
【0010】
本明細書で開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによれば、自転車用靴クリートの位置を決定する際に使用するための自転車用靴クリート位置決め装置が提供される。自転車用靴クリート位置決め装置は、上ベース面を有するベース部分と、上部および下部を有する保持部分であって、下部はベース部分に固定的に連結される、保持部分と、使用中であるときに保持部分の上部に連結するように構成される結合器と、上側および下側を有するクリート連結器と、連結部材と、自転車用靴クリートの位置を決定するためのクリート位置決め組立体とを備える。クリート連結器の上側は、使用中であるときに自転車用靴クリートを受け入れて自転車用靴クリートに固定されるように構成される。クリート連結器の下側は連結部材に連結される。クリート位置決め組立体は、クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナと、クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナと、クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナとを備える。第1のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は連結部材に連結される。第2のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第1のポジショナが第1の軸に対して移動できるのみとなるように、第1のポジショナと移動可能に係合される。第3のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第2のポジショナが第2の軸に対して移動できるのみとなるように、第2のポジショナと移動可能に係合され、下部分は、第3のポジショナが第3の軸に対して移動できるのみとなるように、上ベース面と移動可能に係合される。
【0011】
さらなる態様によれば、第1のポジショナ、第2のポジショナ、および第3のポジショナは、それぞれの軸に対してポジショナの移動を防止および許容するために、選択的および個別に固定可能である。
【0012】
さらなる態様によれば、第1の軸、第2の軸、および第3の軸は互いに対して垂直である。
【0013】
さらなる態様によれば、第1の軸は、第1の位置が第1の軸の周りで定められる角度回転となるように第2の軸および第3の軸に対して垂直に定められる回転軸である。
【0014】
さらなる態様によれば、第2の軸は、第2の位置が第2の軸に沿って定められる線形位置となるように線形軸である。
【0015】
さらなる態様によれば、第3の軸は、第3の位置が第3の軸に沿って定められる線形位置となるように線形軸である。
【0016】
さらなる態様によれば、ポジショナの位置は座標のセットを定め、座標のセットは、自転車用靴が装置に固定されるとき、靴の踵部分における基準点に対する自転車用靴クリートの位置を反映する。
【0017】
さらなる態様によれば、保持部分および結合器はスナップフィット連結部と連結する。
【0018】
さらなる態様によれば、結合器は自転車用靴のアウトソールと一体である。
【0019】
さらなる態様によれば、結合器は、自転車用靴のアウトソールと連結される結合器アダプタと一体である。
【0020】
さらなる態様によれば、第1のポジショナは、クリート連結器の第1の位置に対応し、それによって、使用中であるときに第1の軸に対するクリートの第1の位置に対応する、外周に沿う第1の目盛りをさらに備える。
【0021】
さらなる態様によれば、第2のポジショナは、クリート連結器の第2の位置に対応し、それによって、使用中であるときに第2の軸に対するクリートの第2の位置に対応する、外周に沿う第2の目盛りをさらに備える。
【0022】
さらなる態様によれば、第3のポジショナは、クリート連結器の第3の位置に対応し、それによって、使用中であるときに第3の軸に対するクリートの第3の位置に対応する、外周に沿う第3の目盛りをさらに備える。
【0023】
さらなる態様によれば、第1のポジショナは第1の環状の形をさらに備え、第2のポジショナは第2の環状の形をさらに備え、第3のポジショナは第3の環状の形をさらに備える。
【0024】
さらなる態様によれば、クリート連結器は、クリート連結器が様々な自転車用靴クリートの種類を受け入れてそれに固定するために置き換え可能となるように、クリート位置決め組立体に取り外し可能に連結される。
【0025】
本明細書で開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによれば、クリートの位置を決定するとき、および、クリートを調節する際に使用するための靴ベースおよびクリート位置決めシステムが提供される。靴ベースおよびクリート位置決めシステムは靴ベースおよびクリート位置決め装置とを備える。靴ベースは、踵部分および爪先部分、ならびに、踵部分から下向きに延びる結合器を有する。クリート位置決め装置は、上面を有するベース部分と、ベース部分に固定される保持部分であって、使用中に靴ベースの結合器に取り外し可能に固定するために上端において結合部分を備える保持部分と、使用中であるときにクリートを受け入れてクリートに結合するように構成される作用側、および、連結部材に動作可能に連結するポジショナ側を有するクリート連結器と、使用中であるときにクリートの位置を決定するためのクリート位置決め組立体とを備える。クリート位置決め組立体は、クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナと、クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナと、クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナとを備える。第1のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は連結部材に連結される。第2のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第1のポジショナが第1の軸に対して移動できるのみとなるように、第1のポジショナと移動可能に係合される。第3のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第2のポジショナが第2の軸に対して移動できるのみとなるように、第2のポジショナと移動可能に係合され、下部分は、第3のポジショナが第3の軸に対して移動できるのみとなるように、上ベース面と移動可能に係合される。
【0026】
さらなる態様によれば、第1のポジショナ、第2のポジショナ、および第3のポジショナは選択的に固定可能であることで、それによってそれぞれの軸に沿ってのポジショナの移動を選択的に防止および許容する。
【0027】
さらなる態様によれば、靴ベースおよびクリート位置決めシステムは技術測定ペダルをさらに備える。技術測定ペダルは筐体を備える。筐体は電子機器アレイを備える。電子機器アレイは、クリートの最適なクリート位置をシステムの靴ベースに沿って決定するように構成される複数のセンサを備える。
【0028】
さらなる態様によれば、技術測定ペダルは、最適なクリート位置を、携帯機器の動作環境において動作するモバイルアプリケーションに無線通信するように構成される。
【0029】
さらなる態様によれば、技術測定ペダルは、最適なクリート位置を靴ベースに通信するように構成される。
【0030】
さらなる態様によれば、靴ベースは、技術測定ペダルによって通信された最適なクリート位置を保存するように構成される保存媒体をさらに備える。
【0031】
さらなる態様によれば、クリート位置決め装置は、靴ベースからクリート位置決め装置への最適なクリート位置の通信によって、第1のポジショナ、第2のポジショナ、および第3のポジショナを最適なクリート位置へと自動的に調節するように構成される1つまたは複数の電気アクチュエータをさらに備える。
【0032】
本明細書で開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによれば、自転車用靴クリートの位置を測定および調節する際に使用するための自転車用靴クリート位置決めシステムが提供される。自転車用靴クリート位置決めシステムは、クリート部分および踵部分を備えるアウトソールと、クリート部分に取り付けられる自転車用靴クリートとを有する自転車用靴と、上ベース面を有するベース部分と、上部および下部を有する保持部分であって、下部はベース部分に固定的に連結される、保持部分と、使用中であるときに保持部分の上部に連結するように構成される結合器と、上側および下側を有するクリート連結器であって、上側は使用中であるときに自転車用靴クリートを受け入れて自転車用靴クリートに固定されるように構成され、下側は連結部材に連結される、クリート連結器と、自転車用靴クリートの位置を決定するためのクリート位置決め組立体とを備える。クリート位置決め組立体は、クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナと、クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナと、クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナとを備える。第1のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は連結部材に連結される。第2のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第1のポジショナが第1の軸に対して移動できるのみとなるように、第1のポジショナと移動可能に係合される。第3のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第2のポジショナが第2の軸に対して移動できるのみとなるように、第2のポジショナと移動可能に係合され、下部分は、第3のポジショナが第3の軸に対して移動できるのみとなるように、上ベース面と移動可能に係合される。第1の軸は、第2の軸および第3の軸に対して垂直に定められる回転軸である。ポジショナの位置は、自転車用靴クリートがクリート連結器に固定されるとき、自転車用靴の踵部分における基準点に対する自転車用靴クリートの位置を反映する座標のセットを定める。
【0033】
本明細書で開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによれば、自転車用クリートの位置を決定する方法が提供される。方法は、自転車用靴クリート位置決め装置を提供するステップを含む。自転車用靴クリート位置決め装置は、クリート連結器の第1の位置を第1の軸の周りで決定するように構成される第1のポジショナと、クリート連結器の第2の位置を第2の軸に沿って決定するように構成される第2のポジショナと、クリート連結器の第3の位置を第3の軸に沿って決定するように構成される第3のポジショナとを備える。第1のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は連結部材に連結される。第2のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第1のポジショナが第1の軸に対して移動できるのみとなるように、第1のポジショナと移動可能に係合される。軸同士は互いに足して垂直であり、第3のポジショナは上部分および下部分を有し、上部分は、第2のポジショナが第2の軸に対して移動できるのみとなるように、第2のポジショナと移動可能に係合され、下部分は、第3のポジショナが第3の軸に対して移動できるのみとなるように、ベース部分と移動可能に係合される。方法は、自転車用靴のアウトソールのクリート部分に取り付けられるクリートを有する自転車用靴を提供するステップと、クリートをクリート連結器に連結するステップと、第3の位置に対応するために第3のポジショナの位置を調節し、第3のポジショナを位置において留め付けるステップと、第2の位置に対応するために第2のポジショナの位置を調節し、第2のポジショナを位置において留め付けるステップと、第1の位置に対応するために第1のポジショナの位置を調節し、第1のポジショナを位置において留め付けるステップであって、ポジショナの調節された位置は、クリートの位置を反映する座標のセットを定める、ステップと、座標のセットを基準点と比較し、それによって基準点に対するクリートの位置を決定するステップとをさらに含む。
【0034】
本明細書で開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによれば、自転車用靴クリートの位置を調節する方法が提供される。方法は、自転車用靴クリート位置決め装置を提供するステップを含む。自転車用靴クリート位置決め装置は、ベース部分に連結され、上部を有する保持部分と、使用中であるときに自転車用靴クリートを受け入れて自転車用靴クリートに固定されるように構成され、連結部材に連結されるクリート連結器と、クリート位置決め組立体とを備える。クリート位置決め組立体は、第1の軸に対するクリート連結器の位置を決定するように構成される第1のポジショナと、第2の軸に対するクリート連結器の位置を決定するように構成される第2のポジショナと、第3の軸に対するクリート連結器の位置を決定するように構成される第3のポジショナとを備える。第1のポジショナは、第2のポジショナと移動可能に係合され、第1の軸に対して移動可能なだけとすることができ、第2のポジショナは、第3のポジショナと移動可能に係合され、第2の軸に対して移動可能なだけとすることができ、第3のポジショナは、ベース部分と移動可能に係合され、第3の軸に対して移動可能なだけとすることができる。方法は、自転車用靴クリートを提供するステップと、自転車用靴クリートをクリート連結器に連結するステップと、保持部分の上部に連結するように構成される結合器を含む自転車用靴を提供するステップと、結合器を保持部分に連結するステップと、ポジショナを、第1の軸の周りでならびに第2の軸および第3の軸に沿う位置から成る既知の開始位置へと調節し、それによってクリートを既知の開始位置へと移動させるステップと、ポジショナのうちの1つまたは複数を異なる場所へと調節するステップと、自転車用靴における基準点に対するポジショナの最終的なクリート位置を記録し、それによって、記録された最終的なクリート位置における自転車用靴への自転車用靴クリートの続いての取り付けを可能にするステップとをさらに含む。
【0035】
ここで、本発明の実施形態が、添付の図面を参照しつつ、例だけを用いて記載される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステムの左側の側面図である。
図2図1の自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステムの自転車用クリート位置決め装置の左側の側面図である。
図3図2の自転車用靴クリート位置決め装置の平面図である。
図4図2図3の自転車用クリート位置決め装置との使用のために構成された自転車用靴ベースの左側の側面図である。
図5図4の自転車用靴ベースとの使用のために構成された技術測定ペダルの左側の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1図5は、自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステム10の実施形態を描写している。図1は、自転車用クリート位置決め装置100と自転車用靴ベース200とを備える自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステム10を示している。自転車用靴ベース200は、新たなクリート190を靴ベース200において正確および厳密に位置決めするために、既存のクリート190を再位置決めするために、または、既存のクリート190の正しい位置を決定するために、クリート位置決め装置100と取り外し可能に界接できる。図2図4は、自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステムの追加の図、または、その態様を提供している。図5は、自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステム10に任意選択で含まれ得る技術測定ペダル300を描写している。任意選択の技術測定ペダル300は、クリート190の最適な位置を靴ベース200に沿って決定するために、電子機器アレイ330を組み込んでいる。靴ベース200をクリート位置決め装置100に固定することで、技術測定ペダル300を使用するときに決定される最適なクリート位置は、容易に達成できる。
【0038】
クリート位置決め装置および靴ベース
図1図4は、クリート位置決め装置100と靴ベース200とを備える自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステム10の図を描写している。クリート位置決め装置100は、上面103と、作業台または同様の平坦な表面に安定して圧し掛かるための下面104とを有するベース部分101を備える。図1図3は、ベース部分101が1つまたは複数の脚部102を有し得るか、または、ベース部分の下面104が使用中に作業台または他の作用面に接触するように脚部を有し得ないことを示している。1つまたは複数の脚部は、使用中であるときに、ベース部分101に作用面を掴ませ、ベース部分101を作用面に対して移動させないように、ポリマ材料または他の弾性材料から形成され得るかまたはそのような材料を含み得る。
【0039】
ここで図1を参照すると、ベース部分101の上面103が保持部分105と係合している。保持部分105は、使用中であるときに靴ベース200を支持するために、ベース部分101に対して上向きに延びる踵支持体105Aを備える。保持部分105は、図1に示したベース部分101の上面103に直接的に連結されてもよい。任意選択で、ベース挿入体105Bが、踵支持体105Aのベースとベース部分101の上面103との間で固定されてもよい。結局のところ、保持部分105は、クリート位置が測定されことになる基準点を定めるのを支援する。したがって、保持部分105は、踵支持体105Aがベース部分101に対して実質的に偏向または移動しないベース部分101と十分にしっかりとした連結を形成している。したがって、ベース部分101および保持部分105は、ベース部分101との保持部分105の相対的な移動を防止するだけの剛性を伴う金属、金属合金、木材、またはポリマ材料から形成されている。
【0040】
保持部分105は、結合部分110を伴う上端において途切れる。図1に示しているように、結合部分110は、結合器211に取り外し可能に固定されるように構成される。一部の構成では、クリート位置決め装置100が使用中であるとき、結合部分110が靴ベース200の踵部分210において結合器211に取り外し可能に固定される。他の構成では、使用中であるとき、結合部分110は、靴ベース200の中心部分など、靴ベース200の別の部分において結合器211に取り外し可能に固定される。例えば、保持部分105の結合部分110は、結合器211とのスナップフィット連結部のオス端を備え得る。結合器211は、靴ベース200に沿って位置付けられてもよく、結合部分110で形成されたスナップフィット連結部のメス部分を備える。したがって、結合部分110は、クリート位置決め装置100が使用中であるときに結合器211と係合するために上向きに延びる1つまたは複数の突起を備えてもよい。同様に、結合器211は、スナップフィットで結合部分110によって係合され得る1つまたは複数の窪みを備えてもよい。任意選択で、結合部分110は、クリート位置決め装置100に対する靴ベース200の位置を維持することができる機械的な連動、摩擦嵌め、実継ぎ、または他の適切な取り外し可能な連結機構を通じて、靴ベース200の結合器211と取り外し可能にしっかりと係合してもよい。一部の実施形態では、結合部分110は、靴ベース200の下部における結合器211と係合する代わりに、靴ベース200の1つまたは複数の側面と係合してもよい。
【0041】
図4は、クリート位置決め装置100と共に使用されるように構成される靴ベース200を描写している。靴ベース200は、靴アッパ201を、踵部分210または中心部分に沿って結合器211を介して、および、爪先部分230に沿ってクリート190を介して、クリート位置決め装置100に取り外し可能に固定させる。靴ベース200は、図1に示されているように、自転車用靴などの靴アッパ201に対して、取り外し可能または永久的のいずれかで固定され得る。一部の実施形態では、靴ベース200は、任意の製造者の靴をクリート位置決め装置100と適合させるアダプタであり得る。アダプタとして使用されるとき、靴ベース200は、靴201の既存のソールに取り外し可能に固定されてもよい。任意の靴201をクリート位置決め装置100と適合させるためのアダプタとして靴ベース200を使用する能力は、靴ベースおよびクリート位置決めシステム10を、靴201およびクリート190のすべての型およびモデルと容易に適合する万能なシステムとさせる。例えば、靴ベース200のアダプタ構成は、クリート位置決め装置100と適合する靴ベース200を伴う靴201のソールと効果的に置き換えるために、靴201のソールを包囲できる。任意選択で、アダプタは、靴201の踵と係合できるだけであり、靴201を結合部分110に取り外し可能に固定させることができ、それによってクリート位置決め装置100と使用可能にできるように、結合器211を提供してもよい。材料に関して、靴ベース200は、大きな剛性および耐久性を有するが重量が非常に軽いポリマ材料または複合材料(例えば、炭素繊維複合材)から形成され得る。
【0042】
図1を再び参照すると、靴ベース200の踵部分210は、靴ベース200を保持部分105の結合部分110に取り外し可能に固定する結合器211を備える。結合器211は、図4にも示されているように、クリート位置決め装置100の結合部分110に取り外し可能に固定されるために靴アッパ201から下向きに延び得る。結合器211は、結合部分110とのスナップフィット連結部のメス端を備えてもよく、結合部分110は連結部のオス端を形成してもよい。前述されているように、靴ベース200を結合部分110に固定するために、他の適切な取り外し可能な連結が可能である。結合部分110との連結を通じて、結合器211は、靴ベース200をクリート位置決め装置に対する移動または位置ずれに抗して固定させることができる。結合器211は、靴ベース200と、その延長で靴アッパ201とが、同一の位置において同一の方向付けでクリート位置決め装置100といつも結合することを確保する。したがって、結合部分110との結合器211の連結は、靴ベース200の下部において基準点202を定める。基準点202は、図1に示されているように、結合器211と結合部分110との間の連結の中間点に位置付けられ得る。この基準点は、保持部分105または靴ベース200の側面において指示されてもよい。靴ベース200の結合器211を基準点202においてクリート位置決め装置100にいつもしっかりと結合することで、クリート190の位置は、クリート位置決め装置100の残りの態様を用いて、基準点202に対して正確に測定および/または調節され得る。
【0043】
クリート位置決め装置100の残りの態様はクリート連結器150とクリート位置決め組立体155とを備える。クリート連結器150は、靴ベース200に設けられたクリート190に取り外し可能に結合するように構成されている。クリート連結器150は、上方を向く作用側151と、クリート位置決め装置のベース部分101の方を向くポジショナ側152とを有する。クリート連結器150は、自転車用クリートなど、任意のスタイルまたは型のクリートを受け入れることができる。各々のクリート連結器150は、具体的な種類またはスタイルのクリート190に固定されるだけの連結特徴部を含むその作用面151に沿って窪んだ部分を含んでもよい。
【0044】
任意のクリートを受け入れることができるように、クリート連結器150は、クリート位置決め装置100の置き換え可能な態様であり得る。クリート連結器150は、所与のクリート190を受けて結合するように構成される実質的に円板状の部材を定め得る。一部の実施形態では、連結部材153が、クリート連結器150のポジショナ側152から下向きに延びる。図1に示されている非限定的な実施形態では、連結部材153はクリート連結器150と一体である。他の実施形態では、連結部材153は、クリート連結器150と取り外し可能に連結され得る。したがって、連結部材153は、クリート連結器150が、所与の靴ベース200に設置されたクリート190と適合する別のクリート連結器150で交換されるとき、クリート位置決め装置100から取り外しされてもよいし、または、取り外しされなくてもよい。
【0045】
クリート連結器150および連結部材153は、連結部材153の下端において、クリート位置決め組立体155に動作可能に連結されている。連結部材153は、スナップフィット、機械的な連動、ネジ係合、摩擦嵌め、または適切な取り外し可能な連結機構を介してクリート位置決め組立体に取り外し可能に取り付けできる。クリート190の位置(例えば、基準点202と比べてのX軸、Y軸、およびZ軸に沿っての位置)を測定するとき、靴ベース200のクリート190はクリート連結器150に固定される。したがって、クリート連結器150は、結合器211が結合部分110と位置合わせし、結合部分110と結合され得るまで、必要に応じて移動(例えば、並進、回転)させられる。結合器211を結合部分110と固定させるために必要とされる靴ベース200の移動(例えば、X軸、Y軸、およびZ軸に沿って)は、以下に記載されているように、ポジショナ組立体155によって測定される。したがって、クリート連結器150および連結部材153は、クリート位置決め装置100が使用中であるとき、クリート190の位置を位置決め組立体へと中継する、または、位置決め組立体の位置をクリート190へと中継する(例えば、クリート190を靴ベース200に配置するとき)。
【0046】
ここで図1図2を参照すると、連結部材153はクリート連結器150を位置決め組立体155と相互連結している。クリート位置決め組立体155は、クリート190の位置を測定または調節するように構成されている1つまたは複数のクリートポジショナを備える。図1に示されている非限定的な実施形態では、例えば、クリート位置決め組立体155は、第1のポジショナ160と、第2のポジショナ170と、第3のポジショナ180とを備える。一部の構成では、1つだけのクリートポジショナ160が存在する。他の実施形態では、2つのポジショナ160、170が位置決め組立体155に含まれる。さらなる実施形態では、4つ以上のポジショナが位置決め組立体155に含まれる。図2の実施形態など、他の実施形態では、連結部材153は第1のポジショナ160を定め得る。連結部材153は、位置決め組立体155に含まれるポジショナのうちのいずれかに取り外し可能に連結できる。図2に示されている実施形態では、連結部材153は、第1のポジショナ160を定め、第3のポジショナ180に取り外し可能に動作可能に連結される。連結部材153は、図1に示されているように、第1のポジショナ160と取り外し可能に動作可能に連結できる。
【0047】
再び図1を参照すると、ポジショナは、概して円筒または環状の形を有することができ、第1のポジショナ160から第3のポジショナ180へと幅が徐々に増加してもよい。第1のポジショナ160は第1のポジショナ上部161と第1のポジショナ下部162とを有し得る。第2のポジショナ170は第2のポジショナ上部171と第2のポジショナ下部172とを有し得る。第3のポジショナ180は第3のポジショナ上部181と第3のポジショナ下部182とを有し得る。第1のポジショナ上部161は、連結部材153に取り外し可能または永久的に連結できる。第1のポジショナは第2のポジショナ170に対して回転可能とすることができ、そのため第1のポジショナ下部162はZ軸の周りに回転可能とすることができる。そうでない場合、第1のポジショナ160は、第2のポジショナ170に対して、X軸方向およびY軸方向における移動から抑止されてもよい。第2のポジショナ170は、前述されているように、第1のポジショナ160と回転可能に係合され得る。第2のポジショナ170は第3のポジショナ180に対して並進可能とすることができ、そのため第2のポジショナ下部172はY軸に沿って並進可能とすることができる。そうでない場合、第2のポジショナ170は、Z軸の周りでの回転から、または、第1のポジショナ160および第3のポジショナ180に対するX軸に沿う移動から、抑止されてもよい。第3のポジショナ180は、第2のポジショナ170とクリート位置決め装置100のベース部分101の上面103との間に位置付けられ得る。第3のポジショナ180はベース部分101に対して並進可能とすることができ、そのため第3のポジショナ下部182はX軸に沿って並進可能とすることができる。そうでない場合、第3のポジショナ180は、Z軸の周りでの回転から、または、第1のポジショナ160および第2のポジショナ170に対するY軸の周りの移動から、抑止されてもよい。第1のポジショナ160は、クリート連結器150および連結部材153をZ軸の周りで回転させることができ、第2のポジショナ170は、クリート連結器150および連結部材153をY軸に沿って並進させることができ、第3のポジショナ180は、クリート連結器150および連結部材153をX軸に沿って並進させることができる。一部の実施形態では、ポジショナは、異なる軸に対する移動に制限されてもよい。例えば、基準点202に対して、第3のポジショナ180がZ軸の回転に制限される一方で、第1のポジショナ160はX軸の並進に制限されてもよい。各々のポジショナによって測定される軸に拘わらず、ポジショナの各々は、基準点202に対して、1つだけの軸に対してクリート190の位置を指示できる。したがって、3つのポジショナ160、170、および180は、基準点202に対する靴ベース200に沿ってのクリート190のX軸での並進、Y軸での並進、およびZ軸での回転を含む座標を定めている。
【0048】
各々のポジショナは、基準点202に対するクリート連結器150の正確な中心に対応する、その外周の周りでの目盛り、または、その上面に沿っての目盛りを含み得る。したがって、第1のポジショナ160は、クリート連結器150が基準点202に対して回転させられる角度の正確な数値を指示する回転の目盛りを有し得る。並進だけを測定するポジショナについては、目盛りは、クリート連結器が基準点に対して移動させられる具体的な線形軸(例えば、X軸またはY軸)に沿うミリメートルの数値を指示し得る。各々のポジショナにおける目盛りを調べることで、使用者は、基準点に対するクリート連結器150および連結されたクリート190のX軸の並進、Y軸の並進、およびZ軸の回転を決定できる。一部の構成では、各々のポジショナにおける目盛りはデジタルであり、各々のポジショナの移動は、クリート位置決め装置100と一体であるかまたはクリート位置決め装置100に連結される表示装置に表示される。ポジショナは、表示装置のユーザーインターフェースを使用して使用者によって入力される位置に従って、X軸、Y軸、およびZ軸に対してポジショナを移動させるように構成される電気的もしくは機械的なアクチュエータまたはモータに動作可能に連結されてもよい。
【0049】
3つのポジショナ160、170、180の各々は、移動から別々に係止されてもよく、または、移動を許容するために係止解除されてもよい。例えば、第1のポジショナ上部161における止めネジがアーレンキーを使用して締め付けでき、それによって、使用中に第1のポジショナ160をZ軸の周りでの回転から選択的に係止する。このような構成では、第2のポジショナ170および第3のポジショナ180は、第1のポジショナ160のように抑止されない場合、使用中にそれぞれの軸に沿って自由に移動することになる。ポジショナを別々に選択的に係止する能力は、クリート190を靴ベース200において配置するためにクリート位置決め装置100を使用して配置するとき、増加した精度をもたらす。例えば、第1のポジショナ160が基準点202に対して最適なZ軸の回転位置に回転させられると、第1のポジショナ160は、クリート連結器150と、取り付けられたクリート190とがさらに回転するのを防止するために係止され得る。次に、第2のポジショナ170が最適なY軸の位置へと調節されて係止でき、その後、第3のポジショナ180を最適なX軸の位置に最終的に調節し、ポジショナ180を所定位置で係止する。ポジショナをそれらの最適な位置で係止することは、新たなクリート190が靴ベース200に固定される間、全体として適切なクリート位置を所定位置で係止させることができる。この係止可能なポジショナの構成は、クリート190がクリートの設置手順の間に移動しないこと、または、位置ずれされないことを確保する。
【0050】
前述されているように、靴ベース200は、靴ベースに備え付けられた既存のクリート190の位置を測定するために、クリート位置決め装置10で使用され得る。ここで、この技術が図1を参照して記載されている。靴ベース200における既存のクリート190の位置を測定するために、適切なクリート連結器150(例えば、既存のクリート190を受け入れてそのクリート190と結合できるクリート連結器150)が提供され、クリート位置決め装置100に固定される。ポジショナは、それらのそれぞれのゼロ位置(例えば、基準点202に対するクリート連結器150およびクリート190のゼロのX軸およびY軸の並進とゼロのZ軸の回転)に調節され、所定位置で係止される。次に、クリート190はクリート連結器150と結合される。クリート190がクリート連結器150に固定されると、ポジショナは係合解除される。次に、靴ベース200は、必要があると、使用者が靴ベース200の結合器211をクリート位置決め装置の結合部分110に連結することができるまで、X軸およびY軸に沿って並進させられ、Z軸の周りで回転させられる。次に、ポジショナは所定位置で固定され得る。使用中、結合器211を結合部分110に固定させるために必要とされる靴ベース200の移動および回転は、連結部材153によってクリート連結器150からポジショナへと中継される。ポジショナ組立体155のポジショナ160、170、180は、結合器211および結合部分110を連結させるために必要とされる靴ベース200の移動を測定する。したがって、結合器211と結合部分110とが一体に固定されると、ポジショナの目盛りの値は、基準点202に対する既存のクリート190の中心位置を表す。
【0051】
同じく前述されているように、クリート位置決め装置100は、新たなクリート190を靴ベース200に沿って最適な所望の位置において配置するために、靴ベース200と使用され得る。ここで、この技術が図1を参照して記載されている。新たなクリート190を靴ベースにおける適切な位置に配置するために、最適なクリート位置が最初に決定される。後に記載されているように、最適なクリート位置は、技術測定ペダル300を用いて決定できる。最適なクリート位置が提供された後、適切なクリート連結器150(例えば、新たなクリート190を受け入れてそのクリート190と結合できるクリート連結器150)が提供され、クリート位置決め装置100に固定される。次に、靴ベース200の結合器211はクリート位置決め装置100の結合部分110に固定される。結合器211と結合部分110との間の固定連結は、クリート連結器150の作用面151に圧し掛かる靴ベースの爪先部分230をもたらす。先に提供された最適なクリート位置を使用する場合、ポジショナ組立体155のポジショナ160、170、180は、各々が結合器211および結合部分110の連結において定められた基準点202に対してである最適なX軸の並進、Y軸の並進、およびZ軸の回転の値へと調節される。各々のポジショナは、その最適な位置へと移動された後に係止される。ポジショナが調節されて係止されると、クリート連結器150と結合されたクリート190は、基準点202に対して、靴ベース200に沿う最適な位置にある。この構成では、クリート190は靴ベース200に隣接し、すでに適切な位置にあり、単に靴ベース200に固定されなければならない。したがって、新たなクリート190が、クリート連結器150のポジショナ側152から作用面151へと延びる1つまたは複数のアクセス開口154を通じて、靴ベース200に固定され得る。
【0052】
技術測定ペダル
ここで図5を参照すると、自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステム10は技術測定ペダル300も備え得る。前述されているように、技術測定ペダル300は、基準点202に対する最適なクリート位置を決定するために、自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステム10と共に使用され得る。技術測定ペダル300は、ペダル筐体330を備える自転車ペダルである。ペダル筐体330は、技術測定ペダル300を自転車クランクアーム301に動作可能に取り付けるためのスピンドル331を備え、それによってペダル300に動力を自転車駆動系へと伝達させることができる。
【0053】
靴ベース200は、クリート190を介してペダル筐体330の上面と取り外し可能に結合できる。ペダル筐体330のクリート連結部分は、所与のスタイルのクリート190と取り外し可能に結合するように構成される窪んだ領域を含む。技術測定ペダル300のクリート連結部分は、すべての種類およびスタイルのクリート190を受け入れてそのクリート190に固定するように、置き換え可能であり得る。
【0054】
ペダル筐体内で包囲されるのは、測定保存装置および無線通信機器に加えて、1つまたは複数の圧力センサ、位置センサ、およびGPSセンサ、を含み得る電子機器アレイ330である。技術測定ペダル300を使用するとき、乗り手の足からの圧力は、靴ベース200の爪先部分230を通じてクリート190へと配分され、最終的にペダル300へ至る。電子機器アレイ内の圧力センサは、クリート190によってペダルへと付与される圧力配分を測定するように構成されている。位置センサは、ペダル300が自転車のクランクの周りを循環するとき、ペダル300の場所およびケイデンスを測定する。したがって、圧力センサと位置センサとの組み合わせは、自転車のペダルのすべての段階を通じて、クリート190に置かれる圧力配分を測定する。これらの圧力測定および場所測定から、最適なクリート位置が、技術測定ペダル300を使用している靴ベース200の結合器211における基準点202に対して計算および決定できる。例えば、電子機器アレイ330は、靴ベース200によってクリート190へと付与される最大圧力の領域を決定できる。最大圧力領域の座標が技術測定ペダルによって計算でき、次にそれらの座標は、既存のクリート190の位置を最適な位置へと調節するためか、または、靴ベース200に沿う最適な位置において新たなクリート190を配置するためのいずれかで使用できる。
【0055】
圧力センサおよび位置センサによって得られた測定は、フラッシュ記憶ドライブ、固体ハードドライブ、またはマイクロSD装置など、保存装置に保存されてもよい。圧力および位置のセンサ測定は、技術測定ペダル300の電子機器アレイ330内に位置付けられるRFID、ブルートゥース(登録商標)、または他の適切な無線送信ハードウェアを介して送信されてもよい。測定は、携帯機器の動作環境内で動作する同伴のモバイルアプリケーションへと送信され得る。一部の構成では、電子機器アレイ330のセンサからの測定は、リモートサーバの場所へとアップロードされてもよく、モバイルまたはデスクトップのウェブサイトまたはアプリケーションを介して、使用者による検索のため位利用可能とされてもよい。
【0056】
使用中、電子機器アレイ330におけるセンサからの測定は、無線で、または、技術測定ペダル300からのハードウェア接続を介して、連結された靴ベース200のデータ処理および保存ユニット295へと送信されてもよい。例えば、技術測定ペダル300との靴ベース200の連結はUSB接続を伴ってもよい。一部の実施形態では、使用中であるとき、技術測定ペダル300からの測定が、フラッシュドライブまたはマイクロSDカードなどのハードドライブにおいて結果および最適なクリート位置を保存する靴ベース200へと通信される。
【0057】
最適なクリート位置を決定するために靴ベース200を技術測定ペダルと使用した後、靴ベース200は、最適なクリート位置を達成するために、クリート位置決め装置100と使用され得る。一部の実施形態では、クリート位置決め装置100は、技術測定ペダル300によって靴ベース200に保存されている最適なクリート位置を得るために、靴ベース200と通信している(例えば、靴ベース200からデータを読み込む)。このような実施形態では、クリート位置決め装置100は、基準点202に対して、新たなクリートを靴ベース200に沿って最適な位置へと調節するために、最適なクリート位置の情報に従ってポジショナを調節する電子アクチュエータまたはモータで構成され得る。したがって、技術測定ペダル300は、靴ベース200の基準点に対して最適なクリート位置を決定するために使用でき、クリート位置決め装置は、靴ベース200に沿って最適な位置にクリート190の正確で精密な位置決めまたは配置を可能にする。
【0058】
本発明の特定の実施形態が記載されているが、これらの実施形態は、例だけを用いて提示されており、本開示の範囲を限定するように意図されていない。実際、本明細書に記載されている新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。本明細書に記載されているシステムおよび方法における様々な省略、代用、および変化は、本開示の趣旨から逸脱することなく行われ得る。添付の請求項およびそれらの均等物は、このような形態または変形を、本開示の範囲内および趣旨内にあるとして網羅するように意図されている。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項を参照することだけによって定められる。
【0059】
具体的な態様、実施形態、または例と併せて記載されている特徴、材料、特性、または群は、本節において、または、本明細書の他の部分において記載されている任意の他の態様、実施形態、または例に、それらと両立しないことがない場合、適用可能であるとして理解されるものである。本明細書(任意の添付の請求項、要約書、および図面を含む)において開示されている特徴のすべて、および/または、そのように開示されている任意の方法または過程のステップのすべてが、このような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。保護は、任意の前述の実施形態の詳細に制限されない。保護は、本明細書(任意の添付の請求項、要約書、および図面を含む)に開示されている特徴の任意の新規のものまたは任意の新規の組み合わせまで及ぶか、または、そのように開示されている任意の方法または過程のステップの任意の新規のものまたは任意の新規の組み合わせまで及ぶ。
【0060】
さらに、別の実施の文脈において本開示で記載されている特定の特徴は、1つだけの実施における組み合わせで実施されてもよい。反対に、1つだけの実施の文脈において記載されている様々な特徴は、別々に、または、任意の適切な部分組み合わせで、複数の実施において実施されてもよい。さらに、特徴が特定の組み合わせにおいて作用するとして先に記載され得るが、特許請求された組み合わせからの1つまたは複数の特徴が、一部の場合では、組み合わせから削除されてもよく、組み合わせは、部分組み合わせとして、または、部分組み合わせの変化として特許請求されてもよい。
【0061】
さらに、動作が、具合的な順番で、図面に描写され得る、または、明細書に記載され得るが、このような動作は、示した具体的な順番もしくは連続した順番で実施される必要がない、または、望ましい結果を達成するためにそのすべての動作が実施される必要はない。描写または記載されていない他の動作が、例の方法および過程に組み込まれる可能性がある。例えば、1つまたは複数の追加の動作が、記載されている動作のいずれかの前、後、同時、または動作同士の間に実施できる。さらに、動作は、他の実施において再構成または再順番付けされてもよい。当業者は、一部の実施形態において、図示および/または記載された過程において取られる実際のステップが図に示されたものと異なってもよいことを理解するものである。実施形態に依存して、前述したステップのいくらかが取り除かれてもよいし、他のステップが加えられてもよい。さらに、先に開示されている特定の実施形態の特徴および属性は、追加の実施形態を形成するために異なる方法で組み合わされてもよく、それらのすべてが本開示の範囲内にある。また、先に記載されている実施における様々なシステムの構成要素の区別は、すべての実施においてこのような区別を必要とするとして理解されるべきではなく、記載されている構成要素およびシステムが、概して、単一の製品で一体化され得る、または、複数の製品へと纏められ得ることは、理解されるべきである。
【0062】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載されている。このような利点のすべてが任意の具体的な実施形態により達成され得るとは限らない。したがって、例えば、当業者は、本開示が、本明細書で教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されている1つの利点または利点の群を達成する手法で具現化または実行され得ることを認識するものである。
【0063】
「〜できる」、「〜の可能性がある」、「〜であり得る」、または「〜であってもよい」などの条件語句は、明示的に他に述べられていない場合、または、用いられる文脈内で他に理解されない場合、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、および/またはステップを、他の実施形態は含まないが、含むことを伝えるように概して意図されている。したがって、このような条件語句は、特徴、要素、および/もしくはステップが1つもしくは複数の実施形態に必要とされる任意の方法にあること、または、1つもしくは複数の実施形態が、使用者の入力もしくは催促の有りまたは無しで、これらの特徴、要素、および/もしくはステップが、任意の具体的な実施形態において含まれるかまたは実施されるかを決定するための論理を必ず含むことを暗示するようには概して意図されていない。
【0064】
「X、Y、およびZの少なくとも1つ」の文言などの接続語句は、他の形で明示的に述べられておらず、品目、用語などを伝えるために概して使用される文脈で他の形で理解されるのでない限り、X、Y、またはZのいずれかであり得る。したがって、このような接続語句は、特定の実施形態がXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つの存在を必要とすることを暗示するように概して意図されていない。
【0065】
本明細書で使用されている「おおよそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」といった用語など、本明細書で使用されている度合いの語句は、なおも所望の機能を実施するかまたは所望結果を達成する、述べられた値、量、または特性に近い値、量、または特性を表している。例えば、「おおよそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」といった用語は、述べられた量の10%未満内、5%未満内、1%未満内、0.1%未満内、および0.01%未満内である量を言うことができる。別の例として、特定の実施形態では、「概して平行」および「実質的に平行」といった用語は、15度、10度、5度、3度、1度、または0.1度以下で正確な平行から逸脱する値、量、または特性を言っている。
【0066】
本開示の範囲は、本節または本明細書における他の部分における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されるように意図されておらず、本節または本明細書における他の部分において提示されているような請求項、または、将来において提示されるような請求項によって定められ得る。請求項の語句は、請求項において用いられ、本明細書において、または、本出願の出願中に記載されている例に限定されない語句に基づいて幅広く解釈されるものであり、それらの例は非排他的として解釈されるべきである。
【0067】
当然ながら、前述の記載は、様々な変化および変形が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る本発明の特定の特徴、態様、および利点のものである。さらに、本明細書に記載されている装置は、先に詳述されている目的、利点、特徴、および態様のすべてを特徴付ける必要はない。したがって、例えば、当業者は、本発明が、本明細書で教示または示唆され得る他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されている1つの利点または利点の群を達成または最適化する手法で具現化または実行され得ることを認識するものである。加えて、本発明の多くの変化が詳細に図示および記載されているが、本発明の範囲内にある他の変形および使用の方法が、本開示に基づいて当業者には容易に明らかとなる。実施形態のこれらの特定の特徴および態様の様々な組み合わせまたは部分組み合わせが行われてもよく、本発明の範囲内になおもあることは、企図されている。したがって、開示されている実施形態の様々な特徴および態様は、詳述されている装置の様々な様態を形成するために、互いと組み合わせされ得る、または、互いに置き換えられ得ることは、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0068】
10 自転車用靴ベースおよびクリート位置決めシステム
100 自転車用クリート位置決め装置
101 ベース部分
102 脚部
103 上面
104 下面
105 保持部分
105A 踵支持体
105B ベース挿入体
110 結合部分
150 クリート連結器
151 作用側、作用面
152 ポジショナ側
153 連結部材
154 アクセス開口
155 クリート位置決め組立体、ポジショナ組立体
160 第1のポジショナ
161 第1のポジショナ上部
162 第1のポジショナ下部
170 第2のポジショナ
171 第2のポジショナ上部
172 第2のポジショナ下部
180 第3のポジショナ
181 第3のポジショナ上部
182 第3のポジショナ下部
190 クリート
200 自転車用靴ベース
201 靴アッパ、靴
202 基準点
210 踵部分
211 結合器
230 爪先部分
295 データ処理および保存ユニット
300 技術測定ペダル
301 自転車クランクアーム
330 電子機器アレイ、ペダル筐体
331 スピンドル
図1
図2
図3
図4
図5