(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目標周波数設定手段は、各振動系に設けた位相差設定器と、各振動系において検出した位相と前記駆動指令の位相との位相差を検出する位相差検出器と、前記各振動系毎の設定位相差と前記検出位相差との偏差を足し合わせる加算器とを備え、この加算器で加算した合成偏差に基づいて前記駆動指令を生成している請求項1に記載の振動系の制御装置。
前記各振動系において、前記位相差検出器は、前記駆動指令と前記振動検出器からの検出信号を乗算して直流分を取り出し、これを正規化することによって位相差を検出している請求項3に記載の振動系の制御装置。
ワークを載置した状態で搬送する搬送部と、位相の異なる定在波が合成されることにより前記搬送部をたわみ振動させるための進行波を発生させる進行波発生手段と、を備えており、前記進行波発生手段に請求項1乃至4の何れかに記載の振動系の制御装置が適用されていることを特徴とするワーク搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図12に示すように、各振動系の共振周波数は厳密には一致しておらず、ずれがある。また、温度変化等によって共振周波数が変化する場合、各振動系の共振周波数が同じように変化するとは限らず、ずれが大きくなることも考えられる。
【0008】
このため、従来の一つの振動系の共振周波数に基づいて駆動周波数を調整する制御では、共振周波数のずれの影響によって装置全体の効率は最大とはならない。また、各振動系の振動の応答倍率の差が大きくなり、一部の振動系で必要な振幅を出すために過大な加振力が必要となったり、一部の振動系で振幅が不足するなど、種々の問題が生じることが考えられる。
【0009】
本発明は、これらの課題を有効に解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明に係る振動系の制御装置は、複数の振動系を共通の駆動指令を通じて駆動する際に利用されるものであって、前記各振動系は各々共振周波数を有しており、これらの共振周波数の間に目標周波数を設定する目標周波数設定手段と、前記目標周波数設定手段が設定する目標周波数に前記駆動指令の周波数を追尾させる追尾手段とを具備し
、前記目標周波数設定手段は、前記各振動系の位相と前記駆動指令の位相との間が所定の位相関係となるように前記目標周波数を設定するものであり、前記追尾手段は、前記駆動指令の周波数を前記目標周波数とするフィードバック制御を行うものであることを特徴とする。
【0012】
このように構成すれば、一部の共振周波数に偏るようなことなく全体的にバランスの取れた周波数で各振動系を駆動することができる。そして、振動系の共振周波数が温度等によって変化する場合にも、これに追尾した周波数で振動系を駆動することが可能となる。
【0014】
このように、位相を通じて目標周波数を設定するようにすれば、共振周波数を探索する必要がないため、駆動を中断することなく制御を続行することができる。
【0015】
具体的には、前記目標周波数設定手段は、各振動系に設けた位相差設定器と、各振動系において検出した位相と前記駆動指令の位相との位相差を検出する位相差検出器と、前記各振動系毎の設定位相差と前記検出位相差との偏差を足し合わせる加算器とを備え、この加算器で加算した合成偏差に基づいて前記駆動指令を生成していることが望ましい。
【0016】
このように構成すれば、位相を用いて共振周波数を探索する必要がないので、制御装置の構成を簡易化することができる。
【0017】
さらに、前記各振動系において、前記位相差検出器は、前記駆動指令の信号と前記振動検出器からの検出信号を乗算して直流分を取り出し、これを正規化することによって位相差を検出していることが好適である。
【0018】
このように構成すれば、ゼロクロス検出等のように高い分解能でサンプリングを行う必要ないため、確実に位相関係を検出することが可能になる(∴直流分を取り出し正規化することの効果)。このように構成すれば、各振動系で振幅が異なる場合にも、それによる影響を除去して確実な位相差検出を行うことが可能になる。
【0019】
また、
本発明の別の態様に係る振動系の制御装置は、複数の振動系を共通の駆動指令を通じて駆動する際に利用されるものであって、前記各振動系は各々共振周波数を有しており、これらの共振周波数の間に目標周波数を設定する目標周波数設定手段と、前記目標周波数設定手段が設定する目標周波数に前記駆動指令の周波数を追尾させる追尾手段とを具備し、前記目標周波数設定手段は、前記各振動系の振動周波数を検出してその間に目標周波数を設定するものであり、前記追尾手段は、前記駆動指令の周波数を前記目標周波数とするフィードバック制御を行うものである
ことを特徴とする。
【0020】
このように構成すれば、一部の共振周波数に偏るようなことなく全体的にバランスの取れた周波数で各振動系を駆動することができる。そして、振動系の共振周波数が温度等によって変化する場合にも、これに追尾した周波数で振動系を駆動することが可能となる。
また、このように構成すれば、例えば位相検出が困難な対象物においても、位相によらず振動周波数を通じて比較的簡単に目標周波数を設定することができる。
【0021】
そして、以上の制御装置を、ワークを載置した状態で搬送する搬送部と、位相の異なる定在波が合成されることにより前記搬送部をたわみ振動させるための進行波を発生させる進行波発生手段とを備えたワーク搬送装置に適用し、このワーク搬送装置の進行波発生手段を上記制御装置によって制御するようにすれば、高効率で安定した搬送能力を発揮させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上、説明した本発明によれば、パーツフィーダや超音波モータ等の振動を利用した装置に適用した場合に、安定・高効率にこれらを駆動させることが可能となる、新規有用な振動系の制御装置およびワーク搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本実施形態に係る振動系の制御装置Cをブロック図で示したものである。この制御装置Cは、第一、第二振動系1、2を持ち、各振動系1、2の共振周波数f1、f2が近い値にあるような振動部(1x、2x)を有する。このような共振周波数f1、f2が近い値にあるような振動系としては、例えば空間的位相差のある複数箇所を複数の振動モードで加振することによって進行波を発生させるパーツフィーダ等の超音波振動系や、XYZ方向への振動を通じて楕円振動を発生させる平面搬送装置等のバネマスダンパ振動系などが挙げられる。
【0026】
具体的には、第一、第二振動系1,2は、それぞれ第一、第二加振器11、21によって加振される。
【0027】
第一、第二加振器11、21へは、発信器等の駆動指令生成部32aで生成される、周波数可変で正弦波や矩形波などの周期信号が第一、第二増幅器12、22で増幅されて入力される。第二か加振器21に関しては、第一振動系1を基準とした相対的な位相差を与えるべく、駆動指令生成部32からの周期信号を位相器23において位相をずらして第二増幅器22で増幅したものが入力される。
【0028】
すなわち、駆動指令生成部32からの周期信号は、第一増幅器12に入力されるとともに、位相器23によって位相をずらして第二増幅器22に入力される。
【0029】
ここで、通常の制御であれば、第一振動系1の振動波形を検出する位置に第一振動検出器14を設けるとともに、第一位相差検出器15を設けて駆動指令生成部32で生成する周期信号と第一振動検出器14で検出する信号とを入力し、ここでその位相差Δφ1が90°となるように目標周波数設定手段31で周波数を調整して、駆動指令生成部32を制御するように構成されるのが通例である。同時に、その駆動周波数を位相器23で位相を変えて第二振動系2を駆動するように構成される。
【0030】
しかしながら、前述したように第一振動系1の共振周波数f1で全体を駆動する制御は、第二振動系2においては共振周波数f2から外れた駆動となるため、第一振動系1との間で応答倍率の差が大きくなり、第二振動系2で必要な振幅を出すために第二増幅器22で過大な加振力が必要となったり、振幅が不足するなど、種々の問題が生じることが考えられる。これは、第二振動系2の共振周波数f2で全体を駆動するようにした場合にも事情は同様である。
【0031】
そこで本実施形態は、第二振動系2側においても、当該第二振動系2の振動波形を検出する位置に第二振動検出器24を設けるとともに、第二位相差検出器25を設けて駆動指令生成部32で生成され位相器23で位相調整された後の周期信号と第二駆動検出器24で検出する信号とを入力して位相差Δφ2を検出し、この位相差を前述した第一位相差検出器15の位相差とともに目標周波数設定手段31に入力している。
【0032】
目標周波数設定手段(周波数調整器)31は、第一、第二位相差検出器15、25の出力φ1、φ2から、第一振動系1と第二振動系2の共振周波数f1、f2の周波数を目標周波数fmとして駆動指令生成部32で生成される駆動指令の周波数fvを調節する。
【0033】
このように、駆動指令の周波数fvを調節するにあたり、目標周波数設定手段31は複数の振動系1,2それぞれの指令−応答間位相差を用いて周波数を設定している。そして、駆動指令生成部32を追尾手段として、その目標周波数fmに駆動周波数fvを追尾させている。
【0034】
目標周波数設定手段31と追尾手段32について、より具体的には
図2のような構成を採用する。
【0035】
目標周波数設定手段31は、第一、第二位相差設定器31A1、31B1を備え、減算器30a、30bでそれぞれ第一、第二位相差検出器15、25の出力信号との偏差を求める。それぞれの偏差に対しては、ゲイン調整部31A2、31B2を調整することで重みを調整することができる。
【0036】
そして、第一、第二偏差信号を加算器30cで足し合わせた信号(以下、合成偏差と呼ぶ)を駆動指令の基礎となるフィードバック信号として、このフィードバック信号が目標周波数設定手段31から出力される。
【0037】
本発明の追尾手段である駆動指令生成部32は、フィードバック信号を入力して駆動指令の駆動周波数fvを中間周波数fmに追尾させるべく、PI制御器32aによって発信器32b(VCO:Voltage controlled oscillator)の周波数を自動調節し、駆動指令を出力する。
【0038】
位相差検出器15、25については、
図3のような構成を採用する。
【0039】
すなわち、この位相差検出器15、25には第一、第二振動検出器14、24で検出された信号から振動振幅を検出するための振幅検出器15a、25aが設けられる。また、振動系1、2へ入力される周期信号と、振動検出器14、24で検出される信号とを乗算器15b、25bによって掛け合わせ、ローパスフィルタ15c、25cを通して高周波成分をカットする。その後に除算器15d、25dを設け、ローパスフィルタ15c、25cからの出力信号を振幅検出器15a、25aからの出力信号で除算して正規化する。
【0040】
このように構成し、例えばゲイン調節器31A2、32A2のゲインがそれぞれ1、第一位相差設定器15および第二位相差設定器25の設定がともに−90°であるとすると、第一偏差Δφ1または第二偏差Δφ2は一方が大きくなるときは他方が小さくなる関係にあるため、結果的に、第一偏差Δφ1が0になる周波数と、第二偏差Δφ2が0になる周波数の間の周波数に駆動指令の周波数は落ち着く。つまり、第一振動系1にとって最適な周波数fと、第二振動系2にとって最適な周波数fの間の周波数fm、すなわちバランスの取れた周波数で第一振動系1および第二振動系2を駆動することができる。
【0041】
このことを説明するために、以下では第一、第二振動系1、2が単純なバネマスダンパ系で表され、振動検出器14、24では振動変位を検出するような装置を例として、それぞれの共振周波数f1、f2の間の周波数で駆動することを考える。
【0042】
第一、第二位相差設定器31A1、31B1における設定値を−90°とする。つまり、それぞれ共振周波数において偏差が0となるように設定する。この場合、ある周波数における偏差Δφ1(=−90°−φ1)とΔφ2(=−90°−φ2)は
図4に示されるような値となる。この図より、Δφ1とΔφ2の大きさが等しく符号が逆となるような周波数fmが、2つの振動系1、2の共振周波数f1、f2の間に存在する。したがって、駆動指令の周波数fvを合成偏差Δφ1+Δφ2が0となるような周波数に調整すれば、2つの共振周波数f1、f2の間の周波数fmで駆動することができる(
図5参照)。このとき、
図4における駆動周波数fvは、第一振動系の共振周波数f1と第二振動系の共振周波数f2の中間周波数fmあたりに落ち着く。
【0043】
上述した目標周波数設定手段31はこのような周波数を自動設定し、追尾手段32によって駆動周波数fvがその目標周波数fmに追尾される。なお、2つの偏差に対するゲインをゲイン調節器31A2、32B2で調整すれば、2つの共振周波数f1、f2の間であるが一方の共振周波数f1(f2)により近い周波数で駆動するように按分した設定を行うことも可能である。
【0044】
ここで、位相差検出器15、25を
図3のような構成とした場合の作用について述べる。
【0045】
第一、第二駆動指令信号をそれぞれcosωt、cos(ωt−φe)とし、第一、第二振動検出器14,24より出力される変位の検出信号をv1cos(ωt+φ1)、v2cos(ωt−φe+φ2)とすると、駆動指令信号と検出信号を掛け合わせた信号は以下のようになる。
【数1】
…(1)
【数2】
…(2)
【0046】
ローパスフィルタ15c、25cに通して直流成分のみを取り出すと、それぞれ(1/2)v1cosφ1、(1/2)v2cosφ2となる。さらに除算器15d、25dで正規化することによって、v1、v2に依存せず、cosφ1、cosφ2に比例した信号が得られる。cosφ1、cosφ2はそれぞれ共振周波数f1、f2で0となり、共振周波数f、f2付近では1〜−1に単調に変化する。したがって、cosφA+cosφB=0となるように目標周波数fmを調整すれば、2つの振動系1、2の共振周波数f1、f2の間(中間あたり)の周波数で駆動することができる。
【0047】
逆に正規化を行わない場合、つまり、v1cosφ1+v2cosφ2が0となるように制御を行った場合について考える。2つの振動系の振動振幅v1、v2はそれぞれの共振周波数で最大値をとるため、v1cosφ1とv2cosφ2は単調な変化とならない。
図6はv1cosφ1、v2cosφ2、v1cosφ1+v2cosφ2をプロットしたグラフである。v1cosφ1+v2cosφ2は、共振周波数f、f2の中間の周波数fm以外にも0となる点が存在し、また値の変化の方向(グラフの傾き)が周波数によって異なっている。このため、共振周波数の中間値fmから外れた周波数で駆動されるか、制御が不安定(駆動周波数が目標値から外れて発散する)となりやすくなる。正規化を行うことでこのような問題が解決され、制御が容易になる。
【0048】
以上により、本実施形態に係る振動系の制御装置Cによれば、第一駆動系1と第二駆動系2との間で振動の応答倍率の差が小さくなり、一方の振動系f1(f2)で過大な加振力が必要になるといった問題や、一方の振動系f1(f2)の振幅が不足するといった問題が生じ難くなる。
【0049】
また、一方の共振周波数f1(f2)で全体を駆動するような場合と比べ、必要な電力は全体的に小さくなる利点や、周波数が自動調整されるため、第一、第二振動系1、2の共振周波数f1、f2を探索するような手間がなくなる利点が得られる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0051】
例えば、振動系が3つ以上あるような場合でも、それぞれの系について出力される偏差信号を足し合わせた信号を用いて制御することで、一部の共振周波数に偏るようなことなく全体的にバランスの取れた周波数で駆動することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、第一、第二位相差検出器15、25の出力それぞれについて第一、第2位相差設定器31A1、31B1において設定値との偏差をとったが、
図7に示すように、第一、第二位相差検出器15、25の出力を足し合わせた信号に対して位相差設定131aにおいて設定値との偏差をとってもよい。この場合、位相差設定器は1つで済む。
【0053】
また、上記実施形態ではPI制御を用いたが、これに限らず合成偏差を0にするような様々な制御手法を採用することができる。
【0054】
また、振動検出器によって検出するのは、振動変位、振動速度、振動加速度、のいずれであってもよい。
【0055】
また、共振周波数ではなく、そこから所定量ずれた周波数で駆動するように制御してもよい。このためには、位相差設定機31A1、31A2の設定位相差を調整すればよい。
【0056】
また、位相差検出器15、25に入力される駆動指令は、位相差が同じ信号であればどの段の信号であってもよい。例えば、
図2等では、第一位相差検出器15に、発信器32からの出力信号を入力しているが、第一増幅器12からの出力信号を入力してもよい。
【0057】
また、本発明では、駆動周波数の制御方法のみ述べたが、各振動系の振幅を設定した大きさに保持する定振幅制御等と併用することも考えられる。この場合、振幅を一定に保つことでより安定した駆動が可能になる。また、
図3のような構成の場合、正規化を用いた振幅検出器の出力信号を定振幅制御にも用いることができる。
【0058】
また、共振周波数での最大振幅が略等しいとして扱うことのできる振動系において、図
8に示すように、各振動系の
共振周波数を周波数検出器215、225で検出してこれを
目標周波数設定手段231に入力し、周波数差設定器231aを通じて目標周波数fmを
設定するように構成し、追尾手段232が駆動指令の周波数fvを目標周波数fmとする
フィードバック制御を行うように構成してもよい。
【0059】
このように、最大振幅が略等しいことを前提にできる場合には、位相によらずとも振動周波数を通じて比較的簡単に目標周波数を設定することができる。
【0060】
以上のような制御装置Cを用い、空間的位相差のある複数箇所に配置され互いに位相差をもって加振される複数の振動系を共通の駆動指令を通じて駆動することでトラック上に進行波を発生させるようにワーク搬送装置を構成すれば、進行波比の低下を防止して、高い効率で装置を稼働させることが可能になる。
【0061】
すなわち、進行波を用いてワークを搬送する場合、他の装置と比べても特に駆動周波数が共振周波数に近い値となるように設計・調整することが求められる。しかし、進行波を用いた搬送における周波数帯域は高周波(例:超音波)であるため、従来の制御方法では応答が間に合わなかった。つまり、効率良い制御を実現するのは困難であった。
【0062】
また、この進行波を用いた搬送装置の駆動源として圧電体が用いられることが多いが、圧電体に印加する電圧の影響により、圧電体自身が熱源となり、温度変化等を招来する可能性があった。よって、この温度変化等による共振周波数の変化によるずれが大きくなり、装置全体の効率を最大限に高めることはできない。そこで、本発明を適用することによって、高効率で安定した搬送能力を発揮させることができる。
【0063】
図9は、ワーク搬送装置の一例であるパーツフィーダPFを示している。このパーツフィーダPFは、投入されるワークを螺旋搬送部T1に沿って登坂させるボウルフィーダBfと、このボウルフィーダBfから排出されるワークに対し整列搬送部t1で整列や方向判別等を行って適正姿勢のワークのみを通過させるとともに不適切なワークをリターン搬送部t2を通じてボウルフィーダBfにリターンさせるリニアフィーダLfとから構成される。
【0064】
このうちボウルフィーダBfは、
図10に示すように、フィーダ本体底面の円環状の振動領域のうち、第一領域にあって0°モードで振動する第一振動系1の振動部1x、および第二領域にあって90°モードで振動する第二振動系の振動部2xに対して、圧電素子を用いた第一加振器11および第二加振器12を通じて加振することで、位相の異なる定在波が合成されることにより前記搬送部T1をたわみ振動させるための進行波を発生させる進行波発生手段BZが構成されている。そして、このボウルフィーダBfに上記制御装置Cを適用する場合、進行波発生手段BZの第一・第二加振器11、21に
図1等にも示した第一・第二増幅器12、22で増幅された周期信号が入力され、第一・第二振動系1(1x)、2(2x)の振動が第一・第二振動検出器14、24を通じて取り出されるように構成すればよい。
図10において制御装置C(
図1参照)の他の部分は省略してあり、制御方法は上記実施形態と同様である。この場合も、制御装置Cは
図1の構成に代えて
図6や
図7の構成を採用することができる。
【0065】
このようなパーツフィーダPFを駆動する場合、各加振部1x、2xでの共振周波数はぼほ同じとみて駆動するのが通例であり、振動部1x、2xの底面に圧電素子を貼り付けると圧電素子の発熱によって複数の加振点での共振周波数が数%変化し、定在波比が低下して搬送効率が著しく損なわれる可能性があったが、制御装置Cを通じた制御によって、かかる課題を有効に解決することが可能となる。
【0066】
一方、
図9のリニアフィーダLfは、
図11に示すように、フィーダ本体底面の長円状の振動領域のうち、第一領域にあって0°モードで振動する第一振動系1の振動部1x、および第二領域にあって90°モードで振動する第二振動系の振動部2xに対して、圧電素子を用いた第一加振器11および第二加振器12を通じて加振することで、位相の異なる定在波が合成されることにより前記搬送部t1、t2をたわみ振動させるための進行波を発生させる進行波発生手段LZが構成されている。そして、このリニアフィーダLfに上記制御装置Cを適用する場合も、進行波発生手段LZに第一・第二加振器11、21に
図1等にも示した第一・第二増幅器12、22で増幅された周期信号が入力され、第一・第二振動系1(1x)、2(2x)の振動が第一・第二振動検出器14、24を通じて取り出されるように構成すればよい。
図11において制御装置C(
図1参照)の他の部分は省略してあり、制御方法は上記実施形態と同様である。この場合も、制御装置Cは
図1の構成に代えて
図6や
図7の構成を採用することができる。
【0067】
このようにしても、上記と同様の作用効果が奏される。
【0068】
また、以上のような制御装置を用い、XYZ方向に動作する複数の振動系を共通の駆動指令の下で所要の位相差をもって駆動することで平面状の搬送部上のワークをXY平面内で搬送させるワーク搬送装置を構成しても、高効率で安定した搬送能力を発揮させることが可能になる。
【0069】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。