特許第6882754号(P6882754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882754
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20210524BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20210524BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20210524BHJP
   C08K 7/16 20060101ALI20210524BHJP
   C08G 63/90 20060101ALI20210524BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20210524BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20210524BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210524BHJP
   B29C 33/68 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C08J5/18CFD
   B32B27/36
   C08L67/00
   C08K7/16
   C08G63/90
   C09J7/22
   C09J201/00
   B32B27/00 L
   B29C33/68
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-194009(P2016-194009)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-179334(P2017-179334A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-61224(P2016-61224)
(32)【優先日】2016年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 澄人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴史
(72)【発明者】
【氏名】山本 真史
【審査官】 福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−140498(JP,A)
【文献】 特開2015−086317(JP,A)
【文献】 特開2013−209618(JP,A)
【文献】 特開2004−211102(JP,A)
【文献】 特開2007−039515(JP,A)
【文献】 特開2011−097039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00−5/02
C08J 5/12−5/22
B32B 1/00−43/00
C08G 63/90
C08K 7/16
C08L 67/00
C09J 7/22
C09J 201/00
B29C 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面がポリエステルフィルム層Aで構成され、
ポリエステルフィルム層Aは、表面の光沢度(60度)が5以上、60以下であり、
180℃、20分加熱後のポリエステルフィルム層Aの表面から析出するオリゴマー量が0.5mg/m以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
【請求項2】
ポリエステルフィルム層Aは、粒子径が1〜15μmの粒子を含有することを特徴とする請求項1記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】
ポリエステルフィルム層Aは、粒子を0.1〜15質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載のポリエステルフィルム。
【請求項4】
ヘーズが6%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】
ポリエステルフィルム層Aは、金型汚れ評価の金型の光沢度変化率が20%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
【請求項6】
一方の面がポリエステルフィルム層Aで構成された請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムの他方の面に、粘着層が積層されていることを特徴とする積層フィルム。
【請求項7】
請求項6記載の積層フィルムを使用したモールド用離型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット調外観を有するポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは、優れた機械特性や耐熱性、耐薬品性を有することから、産業分野および工業分野に広く使用されている。
近年、ポリエステルフィルムの用途の多様化により、フィルムを高温で加工したり、高温で使用することが増加し、それに伴って、ポリエステルフィルムからオリゴマーが析出するという問題がある。そして、ポリエステルフィルムから析出したオリゴマーは、冷却ロールやプレス金型等の工程装置に付着して蓄積した後に、工程装置から剥離、飛散してポリエステルフィルムに付着すると、ポリエステルフィルムに異物欠陥等が発生するという問題がある。
【0003】
前記のような問題に対して、ポリエステルに固相重合処理を行ってオリゴマー量を減少させる方法(特許文献1)や、水溶性樹脂混合物の積層膜をポリエステルフィルムに積層してオリゴマーを封止する方法(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−141570号公報
【特許文献2】特開2004−195775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリエステルフィルムは、用途によって表面に様々な処理がなされ、例えば、モールド用離型フィルムなどのキャリアフィルムとして用いる場合、離型性や耐ブロッキング性を向上させるために、表面にマット化処理がなされることがある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された、固相重合処理によりオリゴマー析出を抑制したポリエステルを使用したフィルムであっても、表面がマット化されていると、熱処理によってフィルム表面にオリゴマーが析出するという問題があり、特に、表面がマット化されたポリエステルフィルムにおいては、加熱された金型でプレス処理した際に、金型が汚れるという問題があった。
また、特許文献2に開示された、積層膜を積層してオリゴマー析出を抑制する方法は、工程が増えるため煩雑であり、マット化した後に積層膜を積層すると、マット化フィルムの表面凹凸形状を均してしまい、所定の光沢度を得ることが難しく、得られたフィルムは、耐ブロッキング性に劣ったり、プレス処理した際には金型との離型性に劣る傾向にあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決し、熱処理によってフィルム表面に析出するオリゴマー量を低減し、さらに熱プレスした後でも金型を汚さないマット調ポリエステルフィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)少なくとも一方の面がポリエステルフィルム層Aで構成され、
ポリエステルフィルム層Aは、表面の光沢度(60度)が5以上、60以下であり、
180℃、20分加熱後のポリエステルフィルム層Aの表面から析出するオリゴマー量が0.5mg/m以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
(2)ポリエステルフィルム層Aは、粒子径が1〜15μmの粒子を含有することを特徴とする(1)記載のポリエステルフィルム。
(3)ポリエステルフィルム層Aは、粒子を0.1〜15質量%含有することを特徴とする(1)または(2)記載のポリエステルフィルム。
(4)ヘーズが6%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(5)ポリエステルフィルム層Aは、金型汚れ評価の金型の光沢度変化率が20%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(6)一方の面がポリエステルフィルム層Aで構成された(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの他方の面に、粘着層が積層されていることを特徴とする積層フィルム。
(7)上記(6)記載の積層フィルムを使用したモールド用離型フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来のオリゴマー析出抑制手法では達成できなかった、マット化したポリエステルフィルム表面の熱処理時のオリゴマー析出を抑制するだけでなく、熱プレス後の金型の汚れを低減したマット調のポリエステルフィルムを提供することができる。本発明のポリエステルフィルムは、加熱された金型によるプレス工程後の金型表面の汚染を低減でき、金型との離型性とフィルムの耐ブロッキング性に優れているため、モールド用離型フィルムとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方の面がポリエステルフィルム層Aで構成され、ポリエステルフィルム層Aは光沢度が低くマット調を有し、加熱時にポリエステルフィルム層Aの表面から析出するオリゴマー量が低減されたものである。
ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム層Aのみで全体が構成されてもよいが、フィルム延伸工程での破断を防ぎ、フィルム強度を向上させる観点から、ポリエステルフィルム層A以外の層が積層されてもよい(以下、ポリエステルフィルム層A以外のポリエステルフィルム層をポリエステルフィルム層Bということがある)。
【0011】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートは、耐熱性、機械特性のバランスに優れ、延伸性に優れることから、好適に使用することができる。
【0012】
前記ポリエステルには、他の成分を共重合してもよい。他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。
また、他の共重合成分としてのグリコール成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムは、180℃で20分間加熱した後のポリエステルフィルム層A表面から析出するオリゴマー量が0.5mg/m以下であることが必要であり、0.2mg/m以下であることが好ましく、0.1mg/mであることがさらに好ましい。析出するオリゴマー量が0.5mg/m以下であると、乾燥などの加熱工程後の工程汚染や、モールド成型時の金型汚れを大幅に軽減することができる。一方、析出するオリゴマー量の下限は特に設けなく、少ない方が好ましいが、析出するオリゴマー量が0.01mg/m未満では、析出オリゴマーによる汚染の度合いに変化が見られない。
【0014】
表面をマット化したマット調ポリエステルフィルムにおいては、従来から知られているオリゴマー析出抑制法で処理しても、オリゴマーの析出を抑制することができないため、本発明においては、下記の方法で製造したポリエステルを使用してポリエステルフィルム層Aを構成することが好ましい。
【0015】
本発明において、ポリエステルフィルム層Aを構成するポリエステルは、固相重合工程までは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応またはジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応せしめ、次いで反応生成物を重縮合せしめる方法で製造することができる。
上記の重合においては、公知の触媒を用いることができ、溶融重合でのエステル交換触媒としては、マンガン、カルシウム、マグネシウム、チタンの酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が好ましく、特に、酢酸塩、すなわち、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸チタンが好ましく挙げられる。
また、重合触媒としては、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物を挙げることができる。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン等が好ましく挙げられる。また、前記チタン化合物としては、有機チタン化合物が好ましく挙げられ、例えば特開平5−298670号に記載されているものを挙げることができる。さらに説明すると、チタンのアルコラートや有機酸塩、テトラアルキルチタネートと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応物等を例示でき、好ましい具体例として、チタンテトラブトキシド、チタンイソプロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等を挙げることができる。ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、生成するポリエチレンテレフタレートの色相および透明性が優れることから、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
上記の方法(溶融重合)により得られたポリエステルは、固相重合により、さらに重合度を高くすることができ、よりオリゴマーの析出を抑えられることから、本発明においては、固相重合することが好ましい。固相重合は、ポリエステルを乾燥、結晶化させた後、通常、減圧または不活性ガス流通下で、ポリエステルの融点以下、通常、200〜240℃の温度で3〜50時間、反応容器内にてポリエステルを反応させることにより行われる。
【0016】
本発明におけるポリエステルフィルム層Aは、マット化したフィルム表面から析出するオリゴマー量を低減し、特に熱プレス後の金型汚れを低減するため、上記した従来の固相重合後に、さらに水処理などの手法による公知の重合触媒の失活処理工程を行ったポリエステルで構成されることが好ましい。
前記水処理方法は、連続方式、バッチ方式のいずれでもよい。バッチ方式では、ポリエステルチップをサイロへ受け入れ、あるいは回転筒型の処理槽に受け入れ、回転させながら水処理を行なうことができる。連続方式では、塔型の処理槽に、連続あるいは断続的にポリエステルチップを上部より受け入れ、並流または向流で水を連続供給して水処理を行なうことができる。連続方式であってもバッチ方式であっても、水処理工程において、処理に用いられる水は、温度が60〜120℃であることが好ましく、処理時間は0.5〜30時間であることが好ましい。
【0017】
ポリエステルフィルム層Aを構成するポリエステルは、固有粘度が0.60〜0.90dl/gであることが好ましく、0.70〜0.75dl/gであることがより好ましい。固有粘度が0.60dl/g未満のポリエステルは、オリゴマーの含有量が多いため、得られるポリエステルフィルム層Aは、表面から析出するオリゴマー量を低減することができないことがある、一方、固有粘度が0.90dl/gを超えるポリエステルは、ポリエステルフィルム層Aを形成するためのシート押出成型が困難になることがある。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルム層Aは、光沢度(60度)は、60以下であることが必要であり、40以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。
光沢度(60度)が60を超えるポリエステルフィルム層Aで構成されたポリエステルフィルムは、表面の凹凸が少なくマット調でないため、金型からの離型性に劣り、また、積層した際にブロッキングしやすく、また、巻取り時にエアーを抱き込んでしまうことがある。また、マット調を得るための転写フィルムとして使用した際には、充分なマット調外観を転写することができないことがある。
一方、ポリエステルフィルム層Aの光沢度(60度)の下限は特に設けないが、5未満であると、ポリエステルフィルム層Aは、表面は荒れすぎていて、フィルム表面の強度が落ちてしまい、金型を汚染しやすくなることがある。
【0019】
フィルムの光沢度を調整する方法としては、例えば、特開2012−194514号公報に記載のサンドマット法や、粒子練り込み法などの方法が挙げられる。サンドマット法は、残渣や樹脂削れカスが金型を汚染することがあり、金型汚染の原因となることがあるため、本発明の光沢度を調整する方法としては粒子練り込み法が好ましい。
【0020】
本発明において、ポリエステルフィルム層Aを構成するポリエステルに練り込む粒子としては、無機粒子、有機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ゼオライト、カオリン、クレー、タルク、マイカ等が挙げられ、粒径分布が狭く、安価なことから、酸化ケイ素が好適である。
有機粒子としては、例えば、メラミン樹脂、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体等の粒子が挙げられる。有機粒子の成分は、単成分でもよく、また2成分以上でもよく、2成分以上を同時に用いた例としては、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、架橋メラミンなどの粒子が挙げられる。
本発明においては、ポリエステルフィルム製造時のフィルターへの目詰まりが少なく、ポリエステルフィルムの連続生産性に優れることから、有機粒子を使用することが好ましい。
【0021】
本発明において、有機粒子は、熱分解温度が300℃以上であることが好ましく、335℃以上であることがより好ましく、340℃以上であることがさらに好ましい。熱分解温度が300℃未満の有機粒子を含有するポリエステルフィルム層Aでは、熱劣化物の発生によりフィルムの透過光が黄色味を帯びて外観品質の低下が起こる場合がある。なお、本発明における熱分解温度は、窒素雰囲気下の熱分析(TG/DTA)において、重量5%減少時の温度である。
【0022】
練り込む粒子の平均粒径は、1〜15μmであることが好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。粒子の平均粒径が1μm未満であると、ポリエステルフィルム層Aは、表面の凹凸が低くなりすぎて光沢度(60度)が60を超える場合があり、耐ブロッキング性に劣る傾向にある。一方、平均粒径が15μmを超えると、粒子はポリエステルフィルム層Aから脱落したり、フィルムの切断を引き起こすことがある。
【0023】
ポリエステルフィルム層A中の粒子の含有量は、表面の光沢度(60度)が60以下となり、マット調となる量であれば制限はないが、具体的には、0.1〜15質量%であることが好ましく、1〜6質量%であることがより好ましい。粒子の含有量が0.1質量%未満では、フィルム表面の突起が少なすぎるため、ブロッキング防止機能を発揮することができないことがある。一方、粒子の含有量が15質量%を超えると、粒子をフィルム内に保持することが難しくなり、粒子が脱落したり、フィルムが破断することがある。
【0024】
ポリエステルフィルム層Aは、金型汚れ評価において、金型の光沢度変化率が20%以下であることが好ましい。金型汚れ評価は、ステレンレス板の鏡面研磨した面に、ポリエステルフィルムのポリエステルフィルム層A面が向き合うように被い、温度180℃、圧力1.5MPa、プレス時間10分間の条件で熱プレス処理した後のステンレス板の汚れ(金型汚れ)を、ステンレス板の光沢度の変化率で評価したものであり、光沢度変化率は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
【0025】
ポリエステルフィルム層Aの厚みは、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましく、15μm以上であることが特に好ましい。ポリエステルフィルム層Aの厚みが1μm未満であると、析出するオリゴマー量が多くなり、含有している粒子が脱落することがある。ポリエステルフィルム層Aの厚みが15μm以上であれば、表面から析出するオリゴマー量を十分低減することができる。
【0026】
前述のように、本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム層Aのみで全体が構成されてもよいが、フィルム延伸工程での破れ防止やフィルム強度の観点から、ポリエステルフィルム層A以外の層が積層されてもよい。
ポリエステルフィルム層A以外の層を構成する樹脂としては、通常のポリエステルが挙げられ、このポリエステルから構成されたポリエステルフィルム層Bは、ブロッキング防止のため、無機粒子または有機粒子を含有していることが好ましく、視認性が必要な用途では、無機粒子として酸化チタンを含有することが好ましい。
ポリエステルフィルム層A以外の層が積層されたポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されないが、5〜500μmであることが好ましい。ポリエステルフィルム層Bを構成するポリエステルとして、ポリエステルフィルム層Aを構成するポリエステルを使用する場合、ポリエステルフィルム層Aの厚みは薄くてもよい。
【0027】
本発明のポリエステルフィルムは、ヘーズが6%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。特に、保護フィルム等に使用された場合に、貼り合せた相手材と区別することができることから、ヘーズは30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0028】
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法の一例について説明する。
本発明のポリエステルフィルムは光沢度の調整のしやすさの観点から、少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。粒子を含有したポリエステルフィルム層Aは延伸されることではじめて粒子が表面に隆起し、マット調の外観を有するフィルムとなるため、延伸倍率によって好適な光沢度を調整することもできる。
【0029】
本発明のポリエステルフィルムが、ポリエステルフィルム層Aとそれ以外の層とが積層された積層フィルムである場合は、全ての層が口金から共溶融押出しされる共押出法によって押出したのち、二軸方向に延伸、熱固定することによって製造することが好ましい。
詳しくは、ポリエステルフィルム層Aを構成する樹脂と、層A以外の層を構成する樹脂を、各々別の溶融押出装置に供給し、それぞれの樹脂の融点〜(融点+40℃)の温度で溶融し、それぞれフィルターを介して、フィードブロックタイプまたはマルチマニホールドタイプのTダイにより、シート状に共押出しする。
そして、押出した積層シート状体を、静電印可キャスト法、エアーナイフ法等の公知の方法により、30℃以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させ、ガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化させて、所望厚みの未延伸シートを得る。
【0030】
次いで、得られた未延伸シートを、一軸延伸または二軸延伸することにより、マット調を有する光沢度、機械特性および寸法安定性に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。
一軸延伸法では、未延伸フィルムを横方向または縦方向にそれぞれ2〜6倍程度の延伸倍率となるように延伸する。
また、二軸延伸法としては、テンター式同時二軸機により縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法や、ロール式延伸機で縦方向に延伸した後にテンター式横延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸法等が挙げられる。延伸倍率は、ポリエステルフィルムの面積倍率で、3倍以上が好ましく、より好ましくは4〜20倍、さらに好ましくは6〜15倍である。延伸倍率が20倍を超えると、ボイドが大きくなりすぎるため、フィルムのヘーズ値が高くなり、またフィルムの破断頻度が高くなることがある。
延伸温度は、ポリエステルの(ガラス転移温度+5℃)〜(ガラス転移温度+60℃)の範囲が好ましく、(ガラス転移温度+15℃)〜(ガラス転移温度+55℃)の範囲がより好ましい。ガラス転移温度付近で延伸するとボイドが大きくなりやすく、フィルムのヘーズ値が高くなりやすい。
【0031】
延伸後のフィルムは、縦方向および横方向の弛緩率を0〜10%としてテンター内で150℃〜(ポリエステルの融点−5℃)の温度で数秒間熱処理した後、室温まで冷却し、20〜200m/分の速度で巻き取る。
上述した延伸後の熱処理は、ポリエステルフィルムの熱収縮率を小さくするために必要な工程である。熱処理方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等が挙げられ、中でも、均一に精度良く加熱することができるため、熱風を吹き付ける方法が好ましい。
【0032】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルム層Aは、熱処理時のオリゴマー析出抑制に優れており、耐ブロッキング性、金型からの離型性を有していることから、ポリエステルフィルム層A面の反対面に、粘着層を積層した積層フィルムは、熱処理工程を有する樹脂モールド工程等の離型フィルムとして好適に用いることができ、半導体チップ等のキャリアフィルムとして特に好適に用いることができる。
【0033】
粘着層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂またはシリコーン樹脂が挙げられる。アクリル樹脂は、耐熱性を有するアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの重合体またはこれらの共重合体が好ましい。アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、アクリロニトリル、アクリル酸ヒドロキシエチル等の重合物またはこれらの2種類以上の共重合物が挙げられる。シリコーン樹脂としては、付加タイプ、縮合タイプのいずれも使用することができ、具体的には、例えば、ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンを有機錫等の触媒を用いて硬化させるシリコーン樹脂が挙げられる。
【実施例】
【0034】
1.測定方法
(1)ポリエステルの固有粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき、ポリエステルの固有粘度を測定した。
【0035】
(2)粒子の平均粒子径
斜め切削装置(ダイプラ・ウィンテス社製DN−20S型)を用いて、ポリエステルフィルム層Aのみを削りだし、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒に、ポリエステルフィルム層Aを回折・散乱光強度が40〜60%になるように溶解して試料を調製し、レーザー回折散乱式粒子径測定機(島津製作所社製SALD−7100型)により測定し、体積平均粒子径を粒子の平均粒子径とした。
【0036】
(3)光沢度
JIS−Z−8741に規定された方法に従って、グロスメーター(日本電色製VG7000)を用いて、ポリエステルフィルムのポリエステルフィルム層A面について60度鏡面光沢度を測定した。
【0037】
(4)表面粗さ Ra、Rz
表面粗さ測定機(ミツトヨ社製SJ−310)を用いてポリエステルフィルムのポリエステルフィルム層A面の表面粗さを測定した。
【0038】
(5)表面析出オリゴマー量
A4サイズのケント紙の上にポリエステルフィルム層A面が外側になるようにポリエステルフィルムを重ね合わせ、四隅をクリップして、ケント紙とポリエステルフィルムを止めた。この状態でサンプルを窒素雰囲気下の180℃のオーブンに入れ、20分間静置した後取り出した。
次いで、ポリエステルフィルム層A面を内向きとして底面が(12.5cm×20cm)となるように4辺を折って箱を作成し、この箱に約10mlのアセトニトリルを入れ3分間浸した後、アセトニトリルに溶解したオリゴマー量を定量し求めた。定量に際しては、最終的に10mlとした溶液中のオリゴマー量を、液体ロマトグラフィー(Waters社製Alliance)を用いて標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したポリエチレンテレフタレートの環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したアセトニトリルに溶解して作成した。
ポリエステルフィルム層A表面の析出オリゴマー量(mg/m)は、溶液中のオリゴマー量をポリエステルフィルム層Aの面積で除することにより算出した。
液体クロマトグラフの測定条件は次のとおりとした。移動相A:アセトニトリル、移動相B:アセトニトリル/水混合(=7/3)、カラム:Waters社製マイクロボンダスフェア、カラム温度:25℃、流速:1ml/分、検出波長:254nm
【0039】
(6)ポリエステルフィルムのヘーズ
日本電色工業社製分球式濁度計(NDH−300A)により、ポリエステルフィルムの拡散透過率と全光線透過率を測定し、ヘーズを算出した。
【0040】
(7)金型汚れ評価
10cm角、厚み2mmのステレンレス板の鏡面研磨した面について、上記(3)に記載された方法で光沢度(60度)を測定し、次いで、この面に、12cm角のポリエステルフィルムのポリエステルフィルム層A面が向き合うように被い、エアー式プレス機を用いて、金型温度180℃、圧力1.5MPa、プレス時間10分間の条件で、熱プレス処理した。
熱プレス処理後のステンレス板の表面の光沢度(60度)と、熱プレス処理前のステンレス板の表面の光沢度(60度)から、次式により光沢度変化率を算出し、金型汚れを下記の基準で評価した。
光沢度変化率(%)=(熱プレス処理前のステンレス板表面光沢度−熱プレス処理後のステンレス板表面光沢度)/(熱プレス処理前のステンレス板表面光沢度)×100
◎◎:2%以下
◎:2%超え、5%以下
○:5%超え、10%以下
△:10%超え、20%以下
×:20%超え、30%以下
××:30%超え
【0041】
(8)耐ブロッキング性
アクリル樹脂層が積層されたポリエステルフィルムのポリエステルフィルムA層面に、別のアクリル樹脂層が積層されたポリエステルフィルムのアクリル樹脂層面を重ねた状態で、500Paの荷重をかけ、80℃の雰囲気下で24時間放置後、20℃まで冷却した。
重ねた状態のポリエステルフィルムを手で剥離し、耐ブロッキング性を下記の基準で評価した。○または△が実用的に問題のない耐ブロッキング性である。
○:容易に剥離することができ、融着跡が全く認められない。
△:少し剥離音はするが、剥離する際に抵抗はなく、融着跡はほとんど認められない。
×:剥離する際にかなりの抵抗があり、融着跡が認められる。
【0042】
ポリエステルフィルム層Aを構成するポリエステルは、以下の方法で製造した。
ポリエステル(P−1)
エステル化反応器にて、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応を行い、エステル化生成物を得た。得られたエステル化生成物を重縮合反応器に移送し、触媒として二酸化ゲルマニウムを添加して重縮合反応を行ったのち、チップ化した。得られたポリエステルチップをさらに窒素雰囲気下170℃、2時間乾燥すると共に結晶化を行った。その後バッチ式固相重合装置で、窒素気流にて230℃で6時間、固相重合を行った。
固相重合したポリエステルを95℃の熱湯に4時間浸漬し、水処理を行った後、脱水し、120℃で2時間、窒素気流下で乾燥した。得られたポリエステル(P−1)チップは、固有粘度が0.65dl/gであり、Ge含有量が50ppmであった。
【0043】
ポリエステル(P−2)
固有粘度が0.75dl/gになるように反応条件を調整した以外は、ポリエステル(P−1)と同様の方法にてポリエステル(P−2)の製造をおこなった。得られたポリエステル(P−2)は、Ge含有量が49ppmであった。
【0044】
ポリエステル(P−3)
固有粘度が0.75dl/gになるように反応条件を調整し、また水処理工程を省いた以外は、ポリエステル(P−1)と同様の方法にてポリエステル(P−3)の製造をおこなった。得られたポリエステル(P−3)は、Ge含有量が51ppmであった。
【0045】
ポリエステル(P−4)
重縮合反応触媒を三酸化アンチモンに変更し、固有粘度が0.65dl/gになるように重縮合反応条件を調整し、また固相重合反応と水処理工程を省いた以外は、ポリエステル(P−1)と同様の方法にてポリエステル(P−4)の製造をおこなった。得られたポリエステル(P−4)は、Sb含有量が190ppmであった。
【0046】
実施例1
架橋アクリル粒子(平均粒径4.9μm、熱分解温度341℃)の含有量が4.0質量%となるように、ポリエステル(P−1)と架橋アクリル粒子とを二軸混練機にて溶融ブレンドし、常法により払い出してペレット化して、常法により乾燥して、ポリエステルフィルム層A形成用の樹脂組成物Aを調製した。
シリカ粒子(平均粒径2.3μm)を含有量が0.05質量%となるように、ポリエチレンテレフタレートペレット(固有粘度0.69dl/g)にブレンドした後、常法により乾燥し、サブ押出機にて溶融して、ポリエステルフィルム層B形成用の樹脂組成物Bを調製した。
溶融樹脂組成物Aと溶融樹脂組成物Bとを、フィードブロックにて合流させたのち、Tダイより、層Aと層Bの厚み比が8/30になるように押出し、表面温度を20℃に温調した冷却ドラム上に静電印加法で密着させて急冷して、厚み650μmの未延伸フィルムを得た。
続いて未延伸フィルムを、90℃に温調した予熱ロール群で予熱した後、90℃に温調した延伸ロール間で周速を変化させて3.5倍に縦延伸し、厚み180μmの縦延伸フィルムを得た。続いて縦延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、予熱温度90℃、延伸温度120℃で5倍に横延伸し、続いて245℃で熱処理を行い、200℃で横方向に3%の弛緩処理を行った。
テンターから出たフィルムは、層B側をコロナ処理した後、フィルム速度90m/minで巻き取り、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムの層B面側に、粘着層としてアクリル樹脂層を積層して積層フィルムを得た。
【0047】
実施例2〜14、比較例1〜3
ポリエステルフィルム層Aや層Bを構成するポリエステルの種類、また粒子の種類、平均粒子径、熱分解温度、含有量、またポリエステルフィルム層Aや層Bの厚みを表1、2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム、積層フィルムを得た。なお、二酸化チタン粒子は平均粒径0.2μmのものを使用した。
【0048】
実施例15、比較例4
実施例15においては、ポリエステルフィルム層Aにおける粒子をシリカ粒子に、またその含有量を0.05質量%に変更した以外は、実施例2と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。比較例4においては、さらにポリエステルの種類をP−3に変更して、ポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムにおけるポリエステルフィルム層A面に、ショット材として7号硅砂を5m/分の速度でフィルムを搬送しながら、20kg/mの硅砂をショットした後、水で3分間水洗し、80℃で2分間乾燥する条件でサンドマット処理を施した。
得られたポリエステルフィルムの層B面側に、粘着層としてアクリル樹脂層を積層して積層フィルムを得た。
【0049】
比較例5
比較例4の、サンドマット処理する前のポリエステルフィルムを用い、ポリエステルフィルム層A面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用い、また塗工液としてメチルエチルケトンで希釈したマツモトファインケミカル社製オルガチックスPC−605を使用し、これを乾燥後の塗工量が1.0g/mとなるように塗布し、80℃で乾燥し、ポリエステルフィルム層A面にオリゴマー封止層を積層した。
その後、ポリエステルフィルム層A面上のオリゴマー封止層積層面に、ショット材として7号硅砂を5m/分の速度でフィルムを搬送しながら、20kg/mの硅砂をショットした後、水で3分間水洗し、80℃で2分間乾燥する条件でサンドマット処理を施した。
得られたポリエステルフィルムの層B面側に、粘着層としてアクリル樹脂層を積層して積層フィルムを得た。
【0050】
比較例6
比較例4の、ポリエステルフィルム層A面にサンドマット処理がなされたポリエステルフィルムを用い、サンドマット処理面に、比較例5と同様に、卓上型コーティング装置、塗工液を使用して、サンドマット処理面にオリゴマー封止層を積層した。
得られたポリエステルフィルムの層B面側に、粘着層としてアクリル樹脂層を積層して積層フィルムを得た。
【0051】
実施例、比較例のポリエステルフィルムの構成と特性を表1、2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
実施例1〜15のポリエステルフィルムは、マット調の光沢度を有するとともに、フィルム表面の析出オリゴマー量が少なく、熱プレス処理後に金型を汚染することがないものであった。特に実施例1〜14においては、粒子練り込み法でマット化したフィルムであるため、熱プレス処理後の金型の汚染抑制に優れていた。
【0055】
一方、比較例1のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム層Aを構成するポリエステルが固相重合後に水処理による重合触媒の失活がなされていないため、実施例1と比較してもポリエステルフィルムから析出するオリゴマー量が多いものであり、特に熱プレス後の金型が汚れていた。
比較例1と同じポリエステルをポリエステルフィルム層Aに用い、フィルム表面をマット化していない比較例2のポリエステルフィルムは、析出オリゴマー量はマット化した比較例1のフィルムよりも少し低減し、熱プレス後の金型汚れについては抑制されていたが、本発明で規定した光沢度を超えていたため、耐ブロッキング性に劣っていた。
比較例3のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム層Aを構成するポリエステルが、水処理による触媒の失活がなされていない上に、固相重合がなされていないため、固相重合したポリエステルを使用した比較例1のフィルムと比較しても、表面析出オリゴマー量はさらに多いものであり、また、熱プレス後の金型汚れ評価についても劣っていた。
比較例2のポリエステルフィルムをサンドマット処理でマット化した比較例4のポリエステルフィルムは、耐ブロッキング性は向上したものの、表面析出オリゴマー量が多く、また金型汚れ評価で劣っていた。
比較例5のポリエステルフィルムは、オリゴマー封止層を積層した後にサンドマット処理でマット化したため、フィルム表面のオリゴマー析出抑制は不十分であり、サンドマット処理によってオリゴマー封止層が削れ、削れた破片で金型が汚れていた。
比較例6のポリエステルフィルムは、サンドマット処理でマット化したポリエステルフィルムにオリゴマー封止層を積層したため、表面の凹凸が均されてしまい、本発明で規定した光沢度を超え、耐ブロッキング性に劣っていた。