特許第6882764号(P6882764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882764
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20210524BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20210524BHJP
   F21V 21/26 20060101ALI20210524BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20210524BHJP
   F21V 21/104 20060101ALI20210524BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20210524BHJP
   G03B 15/05 20210101ALN20210524BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20210524BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210524BHJP
【FI】
   F21S2/00 622
   G03B15/02 G
   F21V21/26 100
   F21V21/30
   F21V21/104 100
   F21V21/34 100
   !G03B15/05
   F21Y113:13
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-49452(P2017-49452)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-152308(P2018-152308A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】517091388
【氏名又は名称】有限会社ヴィンセンス
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】石倉 孝男
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−018182(JP,A)
【文献】 特開平08−148005(JP,A)
【文献】 特開平11−258689(JP,A)
【文献】 特表2010−509731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 21/104
F21V 21/26
F21V 21/30
F21V 21/34
G03B 15/02
G03B 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に立設された複数の支柱とその上部に設けられた上部フレームと前記上部フレームから吊設された複数の吊持部材とを有する支持フレームと、
球状の光源と前記光源の一部分を覆う笠体とを有し前記吊持部材に取り付けられた複数の光源ユニットと、を備え、
前記光源ユニットは、前記笠体が前記上部フレーム下方の照射対象に向かって開口するようドーム状に配設されており、
少なくとも1つの前記吊持部材には、複数の前記光源ユニットが配設され、その最下部の前記光源ユニットは、前記照射対象に対して斜め下方から光を照射することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光源ユニットは、それぞれの前記光源から前記照射対象までの距離が等しくなるように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記吊持部材は、前記上部フレームに対して回動または直動自在に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記上部フレームに取り付けられて前記光源と前記照射対象との間に展開される展開収納自在な透光性のスクリーンを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記笠体に取り付けられて前記笠体の開口部の一部分を塞ぐ光拡散体を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、美容室等における美容の施術やその他の作業及びそれらの撮影に好適な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人物を写真撮影するための照明装置として、例えば、特許文献1に開示された半身像撮影装置が知られている。同文献の半身像撮影装置は、キャスタにより移動自在な方形の前枠と、この前枠の少なくとも上下左右にそれぞれ設けられた複数のライトと、これら複数のライトのうち下部のライトの上面を覆う散光板と、を有する。前記ライトは、円筒状をなし、拡散板の内部にストロボ用キセノン管及びモデリングランプを備えている。
【0003】
同文献の半身像撮影装置によれば、複数のライトを所定の位置に備えた前枠を自由に移動させて人物の半身像を容易に撮影することができ、高水準のライティングを行うことができる。また、下部のライトからの光線が散光板を通って拡散されて軟らかな光線となって顎の下に生じる影を和らげるので、光が充分に回った半身像を撮影することができる。
【0004】
また、他の従来技術の例として、特許文献2には、回動可能に取り付けられた前側の第1フレーム及び後側の第2フレームと、第1または第2フレームに取り付けられた光源と、第1及び第2フレームにまたがって張設された光拡散性のカバーと、を備える撮影補助装置が開示されている。本装置では、第1及び第2フレームが、前後方向に所定角度を保って互いに固定された状態において、第1及び第2フレームとカバーとにより、前面が開放した撮影空間が形成される。そして、光源から発せられる光は、カバーを通して撮影空間内へ照射される。
【0005】
また、特許文献3には、右側発光壁、左側発光壁及び天井発光壁を有し、各内側壁面を発光照射面とする照明ブースを備えた写真撮影用照明装置が開示されている。同装置の右側発光壁、左側発光壁及び天井発光壁は、発光壁ユニットを門形に配置することにより構成されている。各発光壁ユニット内には、自然光に近似した色温度の光を放射する棒状ランプが配設され、発光壁ユニットの前面に乳白色で透光性を有する乳白色透光板が装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3060896号公報
【特許文献2】特開2011−138014号公報
【特許文献3】特開2005−31511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1ないし特許文献3に開示された従来技術の照明装置は、何れも写真撮影用の装置であり、美容室等における美容の施術やその他の作業及びそれらの撮影に適したものではなかった。そのため、従来技術の照明装置を美容室等で利用するためには、改善すべき点があった。
【0008】
具体的には、上記した従来技術の照明装置では、照明環境下において、例えば美容術を施す美容師等の作業者が作業をするための空間が考慮されていない。例えば、特許文献1に開示された半身像撮影装置では、前枠に一体に固設されたデスク部が美容師等による作業の妨げになる。また、特許文献2に開示された撮影補助装置では、第1及び第2フレームとカバーとにより形成された撮影空間の内部に美容師等が入るための空間を確保することが難しい。また、特許文献3に開示された写真撮影用照明装置では、右側及び左側が発光壁によって塞がれているので、照明空間内に出入りする美容師やカート等の移動が妨げられる。
【0009】
また、特許文献1ないし特許文献3に開示された照明装置は、何れも前方のみから撮影することを想定して構成されたものであり、被写体の背面側に対して好適に光を照射することができない。即ち、従来技術の照明装置は、美容室等において美容術が施される際に、美容の対象である利用者の頭部に対して全方向から好適に光を照射することができなかった。特に、利用者の後頭部の下部等においては、美容された髪の毛の状態を鮮明に照らすことができなかったので、従来技術の照明装置は、美容の施術等に適したものではなかった。
【0010】
また、特許文献1に開示された従来技術や一般的な写真撮影用の照明装置のようにストロボ装置による閃光を利用する装置は、照射対象を連続的に照らすことができない。よって、閃光を利用する従来技術の照明装置は、美容の施術やその他作業用の照明として不適である。また、閃光を発する照明装置は、美容術が施される状況等を連続的に動画撮影する際の照明としても相応しくない。
【0011】
なお、特許文献3には、定常光を利用することが開示されている。しかしながら、同文献の写真撮影用照明装置は、棒状ランプを使用しており、そのランプは、略平板上の発光壁ユニット内に配設されている。そのため、例えば照明空間内に着座している利用者の頭部等の照射対象からランプまでの距離は、照射対象に対する方向によって相違することになる。よって、この種の照明装置は、照射対象に全方向から均一的に光を照射することが難しく、方向によって明るさにムラが生じ易いという問題点がある。そのため、上記のような写真撮影用照明装置は、施術の対象である頭部の全方向について髪の毛の流れや重なりを鮮明に表すことが求められる美容術用の照明装置としては不十分であった。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、照射対象を好適な明るさ及び色調で全方向から均一的に照らすことができ、美容室等における美容の施術やその他の作業及びそれらの撮影に適した照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の照明装置は、設置面に立設された複数の支柱とその上部に設けられた上部フレームと前記上部フレームから吊設された複数の吊持部材とを有する支持フレームと、球状の光源と前記光源の一部分を覆う笠体とを有し前記吊持部材に取り付けられた複数の光源ユニットと、を備え、前記光源ユニットは、前記笠体が前記上部フレーム下方の照射対象に向かって開口するようドーム状に配設されおり、少なくとも1つの前記吊持部材には、複数の前記光源ユニットが配設され、その最下部の前記光源ユニットは、前記照射対象に対して斜め下方から光を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の照明装置によれば、設置面に立設された支柱とその上部に設けられた上部フレームと上部フレームから吊設された複数の吊持部材とを有する支持フレームを有し、光源ユニットは、支持フレームの上部フレームから吊持部材を介して吊り下げられている。これにより、上部フレームの下方に美容師等の作業者が作業をするために好適な広さの照明空間を形成することができる。また、照明空間の周囲が壁等によって塞がれることなく、設置面には支柱が立設されるのみで他に障害となるものがないので、美容師やカート等の移動が妨げられることがなく、照明空間への出入りが容易である。
【0015】
また、上部フレームから吊持部材によって吊持された複数の光源ユニットは、光源を覆う笠体が照射対象に向かって開口するようドーム状に配設されている。光源の一部分を覆う笠体を有し、笠体の開口部が照射対象に向けられることにより、光源から発せられた光の一部は、笠体によって反射、拡散されて上部フレーム下方の照射対象に対して好適に照射される。そして、光源ユニットがドーム状に配設されることにより、照射対象を取り囲むように配設された複数の光源ユニットから照射対象に対して均一的に光を照射することができる。例えば、照射対象であり美容術の対象である利用者の頭部等を、前部のみならず側部や後部等の全方向について略均一な明るさで且つ影を少なく鮮明に照らすことができる。また、複数の光源ユニットがドーム状に配設される構成により、美容術に適した十分な照度が得られると共に、利用者や美容師等が感じる眩しさを軽減することができるという利点もある。
【0016】
また、本発明の照明装置によれば、光源ユニットは、それぞれの光源から照射対象までの距離が等しくなるように配設されても良い。これにより、照射対象の前後左右等の略全周囲に対して均一的に光を照射することができる。
【0017】
また、本発明の照明装置によれば、吊持部材は、上部フレームに対して回動または直動自在に支持されていても良い。これにより、上部フレームから吊り下げられている吊持部材の下部を上方に持ち上げるように回動させて、または、吊持部材を略水平方向にスライドさせて、光源ユニットを移動することができる。このような構成により、必要に応じて光源ユニットの位置を変えて、美容師等による作業や、美容師やカート等の照明空間への出入りを容易にすることができる。
【0018】
また、本発明の照明装置によれば、上部フレームに取り付けられて光源と照射対象との間に展開される展開収納自在な透光性のスクリーンを備えていても良い。これにより、状況に応じてスクリーンを展開または収納して、照射対象への光の照射を好適に調整することができる。例えば、照射対象の作業や撮影の対象になっている面の反対側にあるスクリーンを下げて、作業や撮影に不要な逆光を適度に抑制することができる。
【0019】
また、本発明の照明装置によれば、笠体に取り付けられて笠体の開口部の一部分を塞ぐ光拡散体を備えていても良い。これにより、光拡散体によって光源からの直達光を遮って拡散させることができ、照射対象の部分的な明るさを好適に調整することができる。例えば、光源から利用者の顔面、特に目の付近、に直接または鏡等に反射されて向かう光の経路を遮るように光拡散体が設けられることにより、防眩効果が得られ、利用者が感じる眩しさを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る照明装置の光源ユニットを示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る照明装置の光源ユニットの配置を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る照明装置の光源ユニットの移動を示す図であり、(A)は、吊持部材が回動自在に構成された例、(B)は、吊持部材がスライド自在に構成された例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る照明装置の(A)スクリーン装置の配置を示す平面図、(B)スクリーンが展開された状態を示す正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る照明装置の光源ユニットに光拡散体が設けられた例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る照明装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る照明装置1の概略構成を示す正面図である。照明装置1は、例えば、美容室等に設置され、美容術が施される利用者等に対して光を照射する装置である。図1に示すように、照明装置1は、複数の光源ユニット20と、それら光源ユニット20を支える支持フレーム10と、を有する。
【0022】
支持フレーム10は、設置面39に立設された支柱11と、その上部に設けられた上部フレーム12と、上部フレーム12から吊設された複数の吊持部材13と、を有する。光源ユニット20は、吊持部材13に対して位置調整自在に取り付けられて、吊持部材13を介して支持フレーム10の上部フレーム12から吊り下げられている。
【0023】
なお、図示を省略するが、上部フレーム12は、平面視略矩形状に構成され、上部フレーム12を支える支柱11は、上部フレーム12の少なくとも4隅の角部近傍に設けられている。
【0024】
上部フレーム12の下方の設置面39には、照射対象であり美容術の対象である利用者P1が着座するための椅子35が設けられ、上部フレーム12の下方に形成される空間は、照明装置1によって好適な光が照射される照明空間となる。
【0025】
支持フレーム10の支柱11、上部フレーム12及び吊持部材13は、例えば、鋼やアルミニウム合金等からなる管材、棒材、その他形材等から構成されている。支柱11、上部フレーム12及び吊持部材13を構成する部材は、それらを位置調整可能に組み立てられるように、それぞれ複数箇所に締結用若しくは嵌合用の取り付け孔等が形成されていても良い。これにより、光源ユニット20の配置や向きを好適に調整することができる。
【0026】
図2は、照明装置1の光源ユニット20を示す斜視図である。光源ユニット20は、略球状の光源21と、光源21の一部分を覆う略円錐台筒状若しくは略ドーム状の笠体22と、を有する。
【0027】
光源21は、例えば、LED光源等である。光源21は、発光するLED素子及び基板等を有し、LED素子及び基板等は、ガラス球等の略球状の透光性を有する保護カバーによって覆われている。保護カバーは、例えば、乳白色等であり、光を散乱させる光拡散性を有することが好ましく、これにより、LED素子からの光を散乱させて光源21から広範囲に均一的な光を照射することができると共に防眩効果が得られる。
【0028】
なお、照射対象である利用者P1(図1参照)の近傍において、照明による光の色温度は、4900Kから5100Kが望ましく、照度は、5000lx以上が望ましい。光源21としては、昼光色、昼白色または電球色等、色調の異なる光を発するものが組み合わされて用いられても良く、これにより、美容の施術に適した色温度が得られる。
【0029】
笠体22は、遮光性を有し、光源21から発せられる光の一部を反射、拡散させるものである。即ち、光源21から発せられる光は、一部は直接的に、一部は笠体22によって反射、拡散されて、笠体22の開口部22a側から照射対象に向かって照射されることになる。なお、笠体22の大きさとしては、開口部22aの内径が25cmから35cm、開口部22aから光源21方向への深さが20cmから30cmが好ましい。
【0030】
笠体22の素材としては、例えば、アルミニウム合金等が好適であり、笠体22は、プレス加工や、へら絞り加工等によって成形されている。光の反射面となる笠体22の内表面には、陽極酸化被膜が形成されている。アルミニウム合金の種類や陽極酸化被膜を形成する際の電解液の種類や電解条件等を好適に選定して陽極酸化被膜による発色及び着色を調整することにより、美容の施術に特に適した色調の均一的で眩しさの少ない散乱光が得られる。また、陽極酸化被膜の形成条件を調整することにより、美容術以外の作業用として、それぞれの作業に適した色調や明るさに調整することもできる。
【0031】
図3は、照明装置1の概略構成を示す側面図であり、図4は、照明装置1の光源ユニット20の配置を示す平面図である。
図3及び図4に示すように、照明装置1の前方、即ち利用者P1が着座する椅子35の前方には、利用者P1の姿を写す鏡30が設置されている。鏡30の近傍には、利用者P1に対して前方から光を照射する複数の前部光源31が設けられている。前部光源31は、例えば、拡散光を発する略球状のLED光源等である。なお、椅子35の前方には、鏡30に加えて若しくは代えて、美容術が施されている利用者P1の状況を映すためのディスプレイ等が設けられても良い。
【0032】
ここで、鏡30は、支持フレーム10とは別の独立した図示しない支持構造体によって支持されていても良いし、支持フレーム10に固定されて支持フレーム10よって支持されるよう配設されても良い。鏡30が支持フレーム10に固定されることにより、鏡30を支持するための支持構造体の部品数を減らすことができる。
【0033】
図1図3及び図4に示すように、光源ユニット20は、笠体22の開口部22aが上部フレーム12下方の照射対象である利用者P1側に向けられて、全体として略ドーム状になるよう配設されている。
【0034】
笠体22の開口部22aが照射対象に向けられることにより、光源21(図2参照)から発せられた光の一部は、笠体22によって反射、拡散されて上部フレーム12下方の照射対象である利用者P1に対して好適に照射される。
【0035】
そして、光源ユニット20がドーム状に配設されることにより、利用者P1を取り囲むように配設された複数の光源ユニット20から利用者P1に対して均一的に光を照射することができる。例えば、照射対象であり美容術の対象である利用者P1の頭部等を、前部のみならず側部や後部等の全方向について略均一な明るさで且つ影を少なく鮮明に照らすことができる。なお、複数の光源ユニット20がドーム状に配設される構成により、美容術に適した十分な照度が得られると共に、利用者P1や美容師P2等が感じる眩しさを軽減することができるという利点もある。
【0036】
更に望ましくは、光源ユニット20は、それぞれの光源21から照射対象である利用者P1の頭部近傍までの距離Rが等しくなるように配設されても良い。即ち、光源ユニット20は、利用者P1の頭部近傍を中心として略半球状に配置されても良い。これにより、照射対象である利用者P1の頭部の前後左右等の略全周囲に対して均一的に光を照射することができる。
【0037】
ここで、それぞれの光源21から照射対象までの距離Rは、70cmから120cmが好ましく、更に望ましくは、80cmから100cmが良い。これにより、美容される髪の毛の状態を鮮明に表すことが可能な照度が得られると共に、後述するように、美容師P2が作業をするための空間が確保される。
【0038】
また、照明装置1は、各光源ユニット20の光源21をそれぞれ独立して点灯、消灯及び調光制御可能な図示しない制御装置を備えている。これにより、作業や撮影等の状況に応じて好適な明るさ及び色調の照明が得られる。
【0039】
図1及び図3に示すように、照明装置1では、光源ユニット20は、設置面39に立設された支柱によって支えられる支持フレーム10の上部フレーム12から吊り下げられている。これにより、上部フレーム12の下方に、美容師P2(図4参照)等の作業者が作業をするための好適な広さの照明空間を形成することができる。
【0040】
また、照明空間の周囲が壁等によって塞がれることなく、設置面39には支柱11が立設されるのみで他に障害となるものがないので、美容師P2や図示しないカート等の移動が妨げられることがなく、照明空間への出入りが容易である。
【0041】
ここで、図1に示すように、利用者P1の側方等においては、設置面39から最下部の光源ユニット20までの高さH1は、95cmから105cmが好ましい。これにより、利用者P1の頭部近傍の左右側面に好適に光を照射することができると共に、光源ユニット20の下方に、図示しないカート等を移動させるための空間を確保することができる。
【0042】
また、図3に示すように、利用者P1の後方側最下部に配設される光源ユニット20は、設置面39からの高さH2が70cmから80cm若しくはそれ以下になるように設けられることが望ましい。換言すれば、利用者P1の後方側には、利用者P1の頭部近傍よりも下方に光源ユニット20が配設されている。これにより、利用者P1の後頭部に向けて斜め下方から光を照射することが可能となり、後頭部から下方において美容される髪の毛の状態を鮮明に視認することができるようになる。
【0043】
図5(A)及び(B)は、照明装置1の光源ユニット20の移動を模式的に示す図であり、図5(A)は、吊持部材13が回動自在に構成された例を示し、図5(B)は、吊持部材13がスライド自在に構成された例を示す。
【0044】
図5(A)に示すように、吊持部材13は、上部フレーム12に対して回動自在に支持されていても良い。これにより、上部フレーム12から吊り下げられている吊持部材13の下部を斜め上方に持ち上げるように回動させて光源ユニット20を移動することができる。
【0045】
なお、吊持部材13は、複数設けられており、それぞれ独立して移動自在に構成されている。これにより、作業や撮影等の状況に応じて、所望の光源ユニット20のみを移動させることができる。
【0046】
図5(B)に示すように、吊持部材13は、上部フレーム12に対して略水平方向に直動自在に支持されていても良い。具体的には、上部フレーム12に設けられる図示しない支持レール等に対して吊持部材13が摺動自在若しくは転がり軸受等を介して移動自在に支持されても良い。これにより、吊持部材13を略水平方向にスライドさせて、光源ユニット20を移動することができる。
【0047】
図5(A)または(B)に示す構成により、必要に応じて光源ユニット20の位置を変えて、美容師P2(図4参照)等による作業や、美容師P2や図示しないカート等の照明空間への出入りを容易にすることができる。
【0048】
図6(A)は、スクリーン装置15の配置を示す平面図であり、図6(B)は、照明装置1のスクリーン16が展開された状態を示す正面図である。
図6(A)及び(B)に示すように、照明装置1は、光源ユニット20の光源21(図2参照)と照射対象である利用者P1との間に展開される展開収納自在なスクリーン16を有するスクリーン装置15を備えている。
【0049】
スクリーン装置15は、スクリーン16と、スクリーン16を巻き上げて収納する収納部17と、を有し、利用者P1が着座する椅子35の前方、後方及び左右方向に配設され、上部フレーム12に吊持されている。スクリーン16は、光を拡散して透過させる透光性及び光拡散性を有する、例えば、白色のシート材等である。
【0050】
スクリーン装置15が設けられることにより、状況に応じてスクリーン16を展開または収納して、照射対象への光の照射を好適に調整することができる。例えば、照射対象である利用者P1の作業や撮影の対象になっている面の反対側にあるスクリーン16を下げて、作業や撮影に不要な逆光を適度に抑制することができる。
【0051】
図7は、照明装置1の光源ユニット20に光拡散体23が設けられた例を示す平面図である。
図7に示すように、照明装置1は、笠体22に取り付けられて笠体22の開口部22aの一部分を塞ぐ光拡散体23を備えていても良い。光拡散体23は、透光性及び光拡散性を有する略シート状の部材であり、例えば、目の粗い白色の布帛等である。
【0052】
光拡散体23が好適な位置に取り付けられることにより、光拡散体23によって光源21からの直達光を遮って拡散させることができ、照射対象の部分的な明るさを好適に調整することができる。
【0053】
例えば、光拡散体23は、光源21から利用者P1の顔面、特に目の近傍に直接的に照射される光の経路を遮るように取り付けられても良い。また例えば、光拡散体23は、光源21から鏡30に反射されて利用者P1の顔面に照射される光の経路L1、L2を遮るように取り付けられても良い。
【0054】
このように光源21から利用者の顔面に直接または鏡等に反射されて向かう光の経路を遮るように光拡散体23が設けられることにより、防眩効果が得られ、利用者P1が感じる眩しさを軽減することができる。
【0055】
以上説明の如く、本実施形態に係る照明装置1によれば、照射対象を好適な明るさ及び色調で全方向から均一的に照らすことができる。また、照明装置1では、全方向からの均一的且つ定常的な光の照射に加え、作業のための空間も十分に確保され、照明空間への出入りも容易である。このように、照明装置1は、美容室等における美容の施術やその他の作業及びそれらの撮影等に好適である。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 照明装置
10 支持フレーム
11 支柱
12 上部フレーム
13 吊持部材
20 光源ユニット
21 光源
22 笠体
22a 開口部
23 光拡散体
30 鏡
31 前部光源
35 椅子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7