【実施例】
【0014】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
このモータユニットAは、ケース10内に、ロータ軸21の前側に駆動歯車22を設けたモータ20と、ロータ軸21と略平行に設けられ前側に対する後側に従動歯車33を有する出力軸30と、駆動歯車22から従動歯車33へ回転力を伝達する複数の平歯車41,42,43,44とを具備している。
なお、本明細書中、「前側」とは、ロータ軸21の軸方向において駆動歯車22を有する側を意味するものとする。
【0016】
ケース10は、前端面を開口した中空矩形箱状のケース本体11と、このケース本体11の開口部を閉鎖するようにして着脱可能に装着される蓋部材12とから構成される。ケース本体11及び蓋部材12は、それぞれ合成樹脂材料によって一体成形されている。
【0017】
モータ20は、円筒状のケーシング22と、このケーシング22の内周面に固定されたステータ及びコイル(図示せず)と、ステータ内で回転するように支持されたロータ(図示せず)と、このロータの中心部に固定されるとともに前端側を前方へ突出させたロータ軸21とを具備し、ブラシレスDCモータを構成している。
そして、このモータ20のロータ軸21の前端側には、同軸状に駆動歯車22が固定される。この駆動歯車22は平歯車であり、後述する平歯車41の大歯車Lに噛み合っている。
【0018】
出力軸30は、ケース10内において、モータ20のロータ軸21に対し、直交方向へ間隔を置いて略平行に配置され、ケース10の内壁面によって回転自在に支持されている。
この出力軸30の外周部には、前側から順に、出力歯車31、前側軸受部材32、従動歯車33、後側軸受部材34、磁性回転体35が、環状に固定されている。
【0019】
出力歯車31は、図示例によれば平歯車であり、ケース10の前端面から前方へ突出し露出している。この出力歯車31は、図示例によれば、出力軸30と一体の部材として構成される。なお、他例としては、それぞれ別体の出力軸30と出力歯車31を連結するようにしてもよい。
また、この出力歯車31は、モータユニットAによる駆動対象物(図示せず)の態様に応じて、例えば、ウォームギヤやはすば歯車等、他の種類の歯車に置換することが可能である。
【0020】
前側軸受部材32及び後側軸受部材34は、ボールベアリングやすべり軸受け等の周知の軸受部材である。前側軸受部材32は、軸受ブラケット等を介してケース10内面に固定され、その内周部により、出力軸30における従動歯車33よりも前側の部分を回転自在に支持している。略同様に、後側軸受部材34は、軸受ブラケット等を介してケース10内面に固定され、その内周部により出力軸30における従動歯車33よりも後側の部分を回転自在に支持している。
【0021】
従動歯車33は、出力軸30の外周部に支持された略円筒状の平歯車である。この従動歯車33は、後述する平歯車44の小歯車Sに噛み合っており、この小歯車Sから回転力を受ける。
なお、図中符号60は、出力軸30に過剰な回転負荷が作用した際に、従動歯車33と出力軸30との回転力の伝達経路を切断するクラッチ装置である。このクラッチ装置60は、回転負荷により切断される入力ディスク及び出力ディスク等を従動歯車33内に配置している。
【0022】
磁性回転体35は、径方向の片半部側をN極とし、他半部側をS極とした略円盤状の2極(換言すれば極対数が1)の永久磁石である。この磁性回転体35の他例としては、極対数が複数の態様とすることも可能である。
【0023】
そして、上記構成の磁性回転体35よりも後側には、ケース本体11の底部に、制御基板50が固定されている。この制御基板50は、モータ20の駆動電力を制御する駆動回路や、磁性回転体35を検知するための複数の磁気検出部36等を一体的に具備している。
磁気検出部36は、検出される磁束に応じた電圧信号を出力するホール素子である。この磁気検出部36は、磁性回転体35の後端面に対向するように、制御基板50上に2つ設けられる。これら2つの磁気検出部36は、周方向に角度90°間隔を置いて配置され、磁性回転体35の磁極位置に応じた正弦波信号を出力する。
【0024】
また、平歯車41,42,43,44の各々は、前側の大歯車Lと、後側の小歯車Sとを同軸一体状に連結してなる。各平歯車における大歯車Lと小歯車Sの外径は、ロータ軸21と出力軸30の間の減速比に応じて適宜に設定される。
これら平歯車41,42,43,44は、水平方向に隣接する大歯車Lと小歯車Sとを噛み合わせるようにして、ロータ軸21の前側から出力軸30の後側へ向かう階段状に配置される。
【0025】
さらに、これら平歯車41,42,43,44は、
図4に示すように、ロータ軸21の軸方向の一方側から平面視した際に、駆動歯車22と従動歯車33の間における回転力の伝達経路がS字状にカーブするように配置される。そして、これら平歯車41,42,43,44は、それぞれ、ケース10の内面又はモータ20のケーシング等に対し、回転軸等を介して回転自在に支持される。
【0026】
これら平歯車41,42,43,44の配置について詳細に説明すれば、最もロータ軸21側の平歯車41は、ロータ軸21と出力歯車31とを結ぶ仮想平面に対し、交差方向の一方側(
図4における上側)に位置し、その前部側の大歯車Lを駆動歯車22に噛み合わせている。
次の平歯車42は、平歯車41よりも更に一方側に位置し(
図4参照)、その前側の大歯車Lを平歯車41の小歯車Sに噛み合わせている(
図3参照)。
次の平歯車43は、平歯車42よりも一方側に対する他方側(
図4における下側)に位置し、その前側の大歯車Lを平歯車42の小歯車Sに噛み合わせている(
図3参照)
最も出力歯車31側の平歯車41は、上記仮想平面に対し、一方側に対する他方側(
図4における下側)に位置し、その前部側の大歯車Lを平歯車43の小歯車Sに噛み合わせるとともに、その後部側の小歯車Sを従動歯車33に噛み合わせている(
図3参照)。
【0027】
上記構成のモータユニットAによれば、上述したように複数の平歯車41,42,43,44を階段状且つ略S字状に配置して、これら複数の平歯車を密集させるとともに、これら平歯車群の後方側に、磁性回転体35や、磁気検出部36を有する制御基板50等を配置するようにしたため、ロータ軸21と出力軸30との間のスペースや、ケース10内における平歯車群の後方側のスペース等を有効活用することができる。
しかも、大歯車Lと小歯車Sを同方向へ向けて複数の平歯車41,42,43,44を噛み合わせるようにしたため、製造時には、後側から順番に、平歯車44、平歯車43、平歯車42、平歯車41を組付ければよく、生産性が良好である。
また、出力軸30と一体の磁性回転体35を、磁気検出部36によって非接触で感知するようにしているため、例えばポテンショメータを用いた従来技術等に比較し、軸方向の突出寸法を減らせる上、回転抵抗も小さくすることができる。
さらに、上述した従動歯車33及び磁性回転体35等の配置により、出力軸30を安定的に支持することができる。
【0028】
なお、上記実施例によれば、モータ20としてブラシレスDCモータを構成したが、他例としては、モータ20をブラシモータ等の他の種類のモータとすることも可能である。
【0029】
また、上記実施例によれば、4つの平歯車41,42,43,44を設けたが、他例としては平歯車の数を、6以上や5以下に設定することも可能である。
【0030】
また、上記実施例によれば、磁気検出部36としてホール素子を用いたが、磁気検出部36の他例としては、磁気式エンコーダや、その他のセンサーを用いることも可能である。
【0031】
また、上記実施例によれば、磁気検出部36の数を二つとしたが、磁性回転体35の回転位置検知方法等に応じて、磁気検出部36の数を、単数や三以上とすることも可能である。