【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、使用者の換気を調節又は補助する呼吸補助装置に接続して、ガス源から送気される気体に微粒子又は水蒸気の形で水分を加える加湿器であって、少なくとも水を含む液体を収容する液体容器と、前記液体の微粒子である霧滴を発生する霧滴発生手段と、前記霧滴の少なくとも一部を保持する保水部材と、を有する加湿器を提供する。
【0009】
霧滴、すなわち直径が数ミクロンから数十ミクロンの微粒子になった液体は、単位体積あたりの表面積が大きくなり、気化しやすくなる。上記(1)に記載する発明によれば、液体に含まれる水の微粒子(微小液滴)である霧滴を発生させて水蒸気への気化を促すとともに、保水部材に保持された水が蒸発することで、ガス源から送気される気体の加湿を効率よくおこなう加湿器を実現できる。
【0010】
(2)本発明は、前記保水部材が、前記呼吸補助装置が備える呼吸回路の吸気管内側の長手方向に沿って設けられ、前記保水部材の長さが50cm以上であることを特徴とする上記(1)に記載の加湿器を提供する。
【0011】
上記(2)に記載する発明によれば、保水部材が極めて広い表面積を持つことになるため、保水部材に保持された水分が気化し易いという極めて顕著な効果を奏する。また水分を含んだ保水部材が吸気管内壁に沿って存在すると、呼吸回路の吸気管に結露防止用のヒーターを取り付けて温めた場合、その熱の大部分が保水部材からの水分の蒸発に使われるため、吸気管の温度が上がりにくいという優れた効果も奏する。
【0012】
(3)本発明は、前記保水部材が、通気性を有すると共に、前記使用者側の一端が閉じられ且つ前記ガス源側の他端が開口される筒構造となっており、前記気体が前記開口を介して前記保水部材の内部に進入し、該保水部材を通過して外部に放出されることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の加湿器を提供する。
【0013】
上記(3)に記載する発明によれば、保水部材の使用者側端部を閉じた構造になっているので、保水部材は水蒸気を含む医用ガスを通過させて、液体の水を通過させない。したがって加湿をおこなう保水部材自体が気体を濾過できる。すなわち保水部材が、いわゆるバクテリアフィルタとしての優れた効果を奏する。
【0014】
(4)本発明は、前記霧滴、又は、前記保水部材に保持された水分、の少なくとも一方を加熱して、前記水蒸気へと気化させる液滴加熱手段を備えることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0015】
上記(4)に記載する発明によれば、通常の沸騰による気化よりも小さなエネルギー量で水蒸気を発生させて、送気される気体を加湿できる。また貯留された水全体を沸騰させずに、多量の水蒸気を発生させることができるので、気体の温度を過度に上昇させることなく、加温湿度のコントロールができるという優れた効果を奏する。
【0016】
(5)本発明は、前記液滴加熱手段が、前記呼吸補助装置が備える呼吸回路の吸気管に内接又は外接して設けられることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0017】
上記(5)に記載する発明によれば、霧滴を加熱して水蒸気にするためのヒーターなどの液滴加熱手段を、呼吸回路の吸気管に設けることで、吸気管内に生じ易い結露を防ぐと同時に、霧滴蒸発による加湿も可能になるという優れた効果を奏する。
【0018】
(6)本発明は、前記液滴加熱手段が、前記保水部材に内接又は外接して設けられることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0019】
上記(6)に記載する発明によれば、霧滴を加熱して水蒸気にするためのヒーターなどの液滴加熱手段を、呼吸回路の吸気管内に配設された保水部材に内接又は外接して設けることで、保水部材に保持された水分の蒸発による加湿を可能にするという優れた効果を奏する。また、保水部材の内側に、該加熱手段を設けた場合には、柔らかい保水部材の形態維持にも役立ち、蒸発のための表面積確保という効果も奏する。
【0020】
(7)本発明は、前記保水部材に保持された水分によって、前記気体の水蒸気圧を増大させることを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0021】
上記(7)に記載する発明によれば、水の微小液滴である霧滴が気化することで得られる水蒸気だけで無く、保水部材に付着した水分が気体中に蒸発して水蒸気になることで、さらなる加湿が可能になるという優れた効果を奏する。
【0022】
(8)本発明は、前記保水部材が、交換可能であることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0023】
水分があるところには細菌が繁殖しやすい。上記(8)に記載する発明によれば、保水部材が交換可能なので、呼吸補助装置において極めて大切な清潔を保つという課題を容易に解決できるという優れた効果を奏する。
【0024】
(9)本発明は、前記保水部材が、吸水性を持つことを特徴とする上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0025】
保水部材が吸水性を持たないとすると、保水部材の表面を結露した水が覆ってしまうことで、保水部材の水蒸気透過性が著しく落ちてしまう。上記(9)に記載する発明によれば、保水部材が吸水性を持つので、結露した水は保水部材に吸収され、水蒸気が透過する微細な孔は開口のまま保たれ、水蒸気の透過性が落ちにくいという優れた効果を奏する。
【0026】
(10)本発明は、前記保水部材が、不織布であることを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0027】
上記(10)に記載する発明によれば、不織布は強度や伸びに方向性を持たず、安価であり、厚みや空隙の大きさを調整しやすいので、霧滴は通過さず、水蒸気を通過させる吸水性のある保水部材を提供することができる。
【0028】
(11)本発明は、前記気体の一部が、前記保水部材の内部を通過し、前記気体の残余が、前記保水部材の内部を通過しないことを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0029】
上記(11)に記載する発明によれば、乾燥した気体の一部が水蒸気の発生する空間(保水部材の加湿器側空間)を通過するときに水蒸気圧を増大し易いので、加湿が容易であるという優れた効果を奏する。また送気される気体の一部が、保水部材の内側を通過しないことで、呼吸の際の抵抗を下げる効果を奏する。
【0030】
(12)本発明は、前記保水部材の、前記ガス源側に開口された一端は、前記加湿器の内周面に接合され、該保水部材によって前記気体の流れる流路が閉鎖されていることを特徴とする上記(11)に記載の加湿器を提供する。
【0031】
上記(12)に記載する発明によれば、保水部材の両端が吸気管に対して閉じるため、加湿器内部が呼吸回路から隔離された構造になる。したがって保水部材は水蒸気を含む医用ガスを通過させて、液体の水を通過させない。すなわち加湿をおこなう保水部材自体が気体を濾過することができる。したがって保水部材が、いわゆるバクテリアフィルタとしての優れた効果を奏する。
【0032】
(13)本発明は、前記加湿器が、前記気体の流れる流路を有し、該流路は、前記保水部材によって閉鎖され、前記ガス源側であって前記液体容器及び前記霧滴発生手段が配設される上流側と、前記使用者側となる下流側に、前記保水部材によって隔離されていることを特徴とする上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0033】
液体微粒子である霧滴は、直径が数ミクロンから数十ミクロンあり、大きさがオングストローム単位の水蒸気(水分子)よりもはるかに大きいため、細菌やウイルスを含み易い。上記(13)に記載する発明によれば、霧滴が発生する部分を、霧滴を通過させない保水部材で隔離することで、霧滴に乗った細菌やウイルスなどが、液体容器や霧滴発生手段から使用者に運ばれることを防ぐことができる。すなわち保水部材自体が気体を濾過することで、いわゆるバクテリアフィルタとしての優れた効果を奏する。
【0034】
(14)本発明は、前記霧滴発生手段が、前記液体を加熱して前記液体に含まれる前記水を蒸発させる液体加熱手段を有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0035】
上記(14)に記載する発明によれば、液体容器に貯留された水を加熱殺菌しつつ加湿することが可能なので、衛生面で加湿器を良い状態を保つことが容易であるという優れた効果を奏する。
【0036】
(15)本発明は、前記霧滴発生手段が、前記液体を加熱して前記液体に含まれる前記水を蒸発させる液体加熱手段を有し、且つ、前記液体加熱手段が、前記液滴加熱手段と一体であることを特徴とする上記(4)乃至(13)のいずれかに記載の加湿器。
【0037】
上記(15)に記載する発明によれば、液体を加熱する液体加熱手段と、霧滴を加熱する液滴加熱手段が一体化されるため、温度制御が簡単になるという優れた効果を奏する。
【0038】
(16)本発明は、前記霧滴発生手段が、前記液体を加振することで前記霧滴を発生させる超音波発生手段を有することを特徴とする上記(1)乃至(15)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0039】
上記(16)に記載する発明によれば、液体容器に貯留する液体表面において、水の微小液滴である霧滴を容易に発生させることができるので、少ないエネルギー量で加湿が可能になるというという効果を奏する。また超音波振動子の振動の振幅を変えることで霧滴の生成量を容易に変えられ、湿度を制御しやすいという優れた効果を奏する。
【0040】
(17)本発明は、前記霧滴発生手段が、振動発生手段と、多数の微細孔を持つメッシュとを備えることを特徴とする上記(1)乃至(16)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0041】
上記(17)に記載する発明によれば、霧滴発生手段の小型化が容易なので可搬性に優れた加湿器を提供できるという優れた効果を奏する。
【0042】
(18)本発明は、前記霧滴発生手段が、圧縮空気を利用したジェット式霧滴発生手段を有することを特徴とする上記(1)乃至(17)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0043】
上記(18)に記載する発明によれば、構造が簡単でメンテナンスがし易いため清潔を保ちやすいという優れた効果を有する。
【0044】
(19)本発明は、前記保水部材が、さらに使用者の鼻腔に前記気体を送る鼻プロング近傍に配設されることを特徴とする上記(1)乃至(18)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0045】
鼻プロング近傍で結露した場合、液滴が送気される医用ガスによって気道内に侵入することがありうる。液体の水は細菌が発生しやすく、液滴が気道に入り込むと肺炎などの原因になる可能性がある。保水部材を鼻プロング近傍に配設することで、結露した液滴を吸水し、液滴が気道内に入り込むことを防ぐ顕著な効果を奏する。
【0046】
(20)本発明は、前記鼻プロングを支持するハウジングが、結露排水用の排水孔を少なくとも一つ備えることを特徴とする上記(19)に記載の加湿器を提供する。
【0047】
鼻プロングを支持するハウジングは、鼻腔から近接しており、一般に体温より低い温度
であるため、呼気中の水蒸気が結露して液滴が滞留し易い。液滴をそのまま放置すると、細菌繁殖の温床になりやすい。上記(20)に記載する発明によれば、鼻プロングを支持するハウジングが、結露排水用の排水孔を備えるので、適宜、排水孔から液滴を排水でき、清潔を保つことができるという効果を奏する。
【0048】
(21)本発明は、前記保水部材が、少なくとも2つに分離して配設されることを特徴とする上記(1)乃至(20)のいずれかに記載の加湿器を提供する。
【0049】
加湿器側の保水部材には、常時、加湿器から霧滴が供給されて原則として湿った状態になっている。これに対して鼻プロング近傍に配置する保水部材は、吸水することが目的なので乾いていることが望ましい。したがって上記(21)に記載する発明のように、保水部材を少なくとも2つに分離することで、一方を加湿用とし、他方を吸水用とするように、役割分担をさせることができる。
【0050】
(22)本発明は、使用者の換気を調節又は補助する呼吸補助装置に接続する加湿器であって、少なくとも水を含む液体を霧滴とし、該霧滴を保水部材に一旦保持させ、送気される気体を該保水部材に接触させることで該気体を加湿し、加湿された該気体を使用者に供給することを特徴とする加湿器を提供する。
【0051】
上記(22)に記載する発明によれば、液体容器に貯留した水を霧滴、すなわち微小液滴にして気化し易くした上で加熱して水蒸気にするため、加湿が容易である。また貯留された水全体を加熱せずに、多量の水蒸気を発生させることができるので、温度と独立に湿度をコントロールしやすい。また加湿された気体は、不織布で濾過されるので、不織布にバクテリアフィルタの役割も担わすことができるという優れた効果も奏しうる。
【0052】
(23)本発明は、上記(1)乃至(22)に記載する特徴を備える加湿器を有することを特徴とする、使用者の換気を調節又は補助する呼吸補助装置を提供する。
【0053】
上記(23)に記載する発明によれば、大きな流量時にも、小さな流量時にも、温度と湿度を独立に調整し易い加湿器を備えた呼吸補助装置を提供することができるという優れた効果を奏する。