特許第6882798号(P6882798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6882798電源供給装置及び負荷に電源を供給する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882798
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】電源供給装置及び負荷に電源を供給する方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20210524BHJP
【FI】
   H02M7/48 A
   H02M7/48 E
【請求項の数】18
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-555832(P2019-555832)
(86)(22)【出願日】2018年6月11日
(65)【公表番号】特表2020-517226(P2020-517226A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】KR2018006606
(87)【国際公開番号】WO2018236087
(87)【国際公開日】20181227
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0079847
(32)【優先日】2017年6月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517396331
【氏名又は名称】エンツーコア テクノロジー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨン−フン
(72)【発明者】
【氏名】パク,セ−ホン
(72)【発明者】
【氏名】オム,セ−フン
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−135159(JP,A)
【文献】 特開2008−306926(JP,A)
【文献】 特開平02−184267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源を交流電源に変換するインバータと、
前記交流電源を負荷に供給するインピーダンス整合回路と、及び、
前記インバータが前記交流電源を出力するパワーリング(powering)区間及び前記インバータが前記交流電源を出力しないフリーホイーリング(freewheeling)区間の配置を調整して、前記インバータが前記インピーダンス整合回路を通して前記負荷に供給する電力量を調整する制御器と、
を含む電源供給装置であって、
前記制御器は、前記フリーホイーリング区間の長さをしきい値以下に制限し、
前記しきい値は、前記インピーダンス整合回路及び前記負荷の品質因子(Quality factor)及び前記交流電源の周期によって決定される電源供給装置
【請求項2】
前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量より大きければ、前記制御器は前記フリーホイーリング区間が増加するように前記インバータを制御する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量より小さければ、前記制御器は前記フリーホイーリング区間が減少するように前記インバータを制御する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記制御器は、前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量と等しくなるまで、前記フリーホイーリング区間を段階的に増加又は減少させる請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記制御器は、前記インバータが供給する前記電力量と目標電力量の差を検出し、前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量と等しくなるように前記検出された差に従って前記フリーホイーリング区間を調整する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項6】
前記制御器は、前記インバータが供給する前記電力量と目標電力量の差をエラー値として計算し、現在のエラー値、以前のエラー値、そして比例−微分−積分(PID、Proptional Integral Derivation)係数を用いて前記フリーホイーリング区間を調整する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項7】
前記制御器は、少なくとも1つの半周期の間に前記交流電源を供給するパワーリングセル及び少なくとも1つの半周期の間に前記交流電源を供給しないフリーホイーリングセルを配置して、前記パワーリング区間及び前記フリーホイーリング区間の配置を調整する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項8】
前記制御器は、前記パワーリングセルと前記フリーホイーリングセルを交互に配置する請求項に記載の電源供給装置。
【請求項9】
前記制御器は、前記フリーホイーリングセルが連続的に配置される回数をしきい値以下に制限する請求項に記載の電源供給装置。
【請求項10】
前記制御器は、少なくとも1つの周期の間に前記交流電源を供給するパワーリングセル及び少なくとも1つの周期の間に前記交流電源を供給する区間と前記交流電源を供給しな
い区間を含むフリーホイーリングセルを配置して、前記パワーリング区間及び前記フリーホイーリング区間の配置を調整する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項11】
前記負荷は、誘導結合プラズマ(ICP、Inductively Coupled Plasma)である請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項12】
直流電源を交流電源に変換するインバータと、
前記交流電源を負荷に供給するインピーダンス整合回路と、及び、
前記インバータが前記交流電源を出力するパワーリング(powering)区間及び前記インバータが前記交流電源を出力しないフリーホイーリング(freewheeling)区間の配置を調整して、前記インバータが前記インピーダンス整合回路を通して前記負荷に供給する電力量を調整する制御器と、
を含む電源供給装置であって、
前記制御器は、第1半周期の間に正の電源を供給し、第2半周期の間に電源を供給しなく、第3半周期の間に負の電源を供給し、そして第4半周期の間に電源を供給しないように前記インバータを制御する電源供給装置。
【請求項13】
直流電源を交流電源に変換するインバータと、
前記交流電源を負荷に供給するインピーダンス整合回路と、及び、
前記インバータが前記交流電源を出力するパワーリング(powering)区間及び前記インバータが前記交流電源を出力しないフリーホイーリング(freewheeling)区間の配置を調整して、前記インバータが前記インピーダンス整合回路を通して前記負荷に供給する電力量を調整する制御器と、
を含む電源供給装置であって、
前記制御器は、第1半周期の間に正の電源を供給し、第2半周期の間に負の電源を供給し、第3及び第4半周期の間に電源を供給しなく、第5半周期の間に正の電源を供給し、第6及び第7半周期の間に電源を供給しなく、そして第8半周期の間に負の電源を供給するように前記インバータを制御する電源供給装置。
【請求項14】
前記インバータは、
電源ノードと第1出力ノードとの間に並列連結された第1トランジスタ及び第1ダイオードと、
前記第1出力ノードと接地ノードとの間に並列連結された第2トランジスタ及び第2ダイオードと、
前記接地ノードと第2出力ノードとの間に並列連結された第3トランジスタ及び第3ダイオードと、
前記電源ノードと前記第2出力ノードとの間に並列連結された第4トランジスタ及び第4ダイオードと、及び、
前記第1出力ノードと前記第2出力ノードとの間に連結されたインダクタと、
を含み、
前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードは、前記インピーダンス整合回路と連結され、
前記制御器は、前記第1ないし第4トランジスタのゲートの電圧をそれぞれ制御する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項15】
前記制御器は前記交流電源の電圧と電流の符号が一致するように、そして前記インダクタを通して流れる電流量のピーク値と負のピーク値が一致するように前記インバータを制御する請求項14に記載の電源供給装置。
【請求項16】
前記制御器は、前記パワーリング区間及び前記フリーホイーリング区間を交互に配置する請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項17】
負荷に交流電源を供給する方法において、
目標電力量を受信する段階と、
負荷に供給される電力量と前記目標電力量を比較する段階と、
比較結果によって前記目標電力量と前記電力量が等しくなるように、前記負荷に前記交流電源を供給するパワーリング(powering)区間及び前記負荷に前記交流電源を供給しないフリーホイーリング(freewheeling)区間を調整する段階と、
前記調整されたパワーリング区間及びフリーホイーリング区間によって前記負荷に電源を供給する段階と、及び、
前記フリーホイーリング区間の長さをしきい値以下に制限する段階であって、前記しきい値は、前記交流電源を前記負荷に供給するインピーダンス整合回路及び前記負荷の品質因子(Quality factor)及び前記交流電源の周期によって決定される段階と、
を含む方法。
【請求項18】
前記電力量が前記目標電力量と等しくなるまで、前記パワーリング区間と前記フリーホイーリング区間が調整される請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子又は電気装置に関するものとして、より詳細には、電源供給装置及び負荷に電源を供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活又は産業現場で使われる様々な電子又は電気装置は電源を必要とする。電子又は電気装置の目的、特性、又は使用環境に従って、電子又は電気装置は互いに異なる形態の電源を必要とする。電子又は電気装置の中で特に誘導結合型プラズマ(ICP、Inductively Coupled Plasma)装置は、高い電力及び高い周波数を有する交流電源を必要とする。
【0003】
誘導結合型プラズマ装置の動作を精密に制御するために、誘導結合型プラズマ装置に供給される電力量又は電流量が制御されなければならない。誘導結合型プラズマ装置に供給される電力量又は電流量を調整するための様々な方法が研究されてきた。しかし、大部分の方法は、電源供給装置の複雑度や体積又は価格を増加させる。又は、電源供給装置に高周波スイッチングノイズを誘発し、若しくはストレスを印加して、電源供給装置の誤作動を誘発して信頼度を下げ、寿命を大きく減少させる。したがって、複雑度を増さず、高周波スイッチングノイズ及びストレスを誘発しない電源供給装置及び電源を供給する方法に対する研究が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複雑度を増加せず、高周波スイッチングノイズ及びストレスを誘発しない向上した性能の電源供給装置及び電源を供給する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例による電源供給装置は、直流電源を交流電源に変換するインバータと、前記交流電源を負荷に供給するインピーダンス整合回路と、及び、前記インバータが前記交流電源を出力するパワーリング(powering)区間及び前記インバータが前記交流電源を出力しないフリーホイーリング(freewheeling)区間の配置を調整して、前記インバータが前記インピーダンス整合回路を通して前記負荷に供給する電力量を調整する制御器と、を含む。
【0006】
実施例において、前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量より大きければ、前記制御器は前記フリーホイーリング区間が増加するように前記インバータを制御する。
【0007】
実施例において、前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量より小さければ、前記制御器は前記フリーホイーリング区間が減少するように前記インバータを制御する。
【0008】
実施例において、前記制御器は、前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量と等しくなるまで、前記フリーホイーリング区間を段階的に増加又は減少させる。
【0009】
実施例において、前記制御器は、前記インバータが供給する前記電力量と目標電力量の差を検出し、前記インバータが供給する前記電力量が目標電力量と等しくなるように前記検出された差に従って前記フリーホイーリング区間を調整する。
【0010】
実施例において、前記制御器は、前記インバータが供給する前記電力量と目標電力量の差をエラー値として計算し、現在のエラー値、以前のエラー値、そして比例−微分−積分(PID、Proptional Integral Derivation)係数を用いて前記フリーホイーリング区間を調整する。
【0011】
実施例において、前記制御器は、前記フリーホイーリング区間の長さをしきい値以下に制限する。
【0012】
実施例において、前記しきい値は、前記インピーダンス整合回路及び前記負荷の品質因子(Quality factor)及び前記交流電源の周期によって決定される。
【0013】
実施例において、前記制御器は、少なくとも1つの半周期の間に前記交流電源を供給するパワーリングセル及び少なくとも1つの半周期の間に前記交流電源を供給しないフリーホイーリングセルを配置して、前記パワーリング区間及び前記フリーホイーリング区間の配置を調整する。
【0014】
実施例において、前記制御器は、前記パワーリングセルと前記フリーホイーリングセルを交互に配置する。
【0015】
実施例において、前記制御器は、前記フリーホイーリングセルが連続的に配置される回数をしきい値以下に制限する。
【0016】
実施例において、前記制御器は、少なくとも1つの周期の間に前記交流電源を供給するパワーリングセル及び少なくとも1つの周期の間に前記交流電源を供給する区間と前記交流電源を供給しない区間を含むフリーホイーリングセルを配置して、前記パワーリング区間及び前記フリーホイーリング区間の配置を調整する。
【0017】
実施例において、前記負荷は、誘導結合プラズマ(ICP、Inductively Coupled Plasma)である。
【0018】
実施例において、前記制御器は、第1半周期の間に正の電源を供給し、第2半周期の間に電源を供給しなく、第3半周期の間に負の電源を供給し、そして第4半周期の間に電源を供給しないように前記インバータを制御する。
【0019】
実施例において、前記制御器は、第1半周期の間に正の電源を供給し、第2半周期の間に負の電源を供給し、第3及び第4半周期の間に電源を供給しなく、第5半周期の間に正の電源を供給し、第6及び第7半周期の間に電源を供給しなく、そして第8半周期の間に負の電源を供給するように前記インバータを制御する。
【0020】
実施例において、前記インバータは、電源ノードと第1出力ノードとの間に並列連結された第1トランジスタ及び第1ダイオードと、前記第1出力ノードと接地ノードとの間に並列連結された第2トランジスタ及び第2ダイオードと、前記接地ノードと第2出力ノードとの間に並列連結された第3トランジスタ及び第3ダイオードと、前記電源ノードと前記第2出力ノードとの間に並列連結された第4トランジスタ及び第4ダイオードと、及び、前記第1出力ノードと前記第2出力ノードとの間に連結されたインダクタと、を含み、前記第1出力ノード及び前記第2出力ノードは、前記インピーダンス整合回路と連結され、前記制御器は、前記第1ないし第4トランジスタのゲートの電圧をそれぞれ制御する。
【0021】
実施例において、前記制御器は前記交流電源の電圧と電流の符号が一致するように、そして前記インダクタを通して流れる電流量のピーク値と負のピーク値が一致するように前記インバータを制御する。
【0022】
本発明の実施例による負荷に電源を供給する方法は、目標電力量を受信する段階と、負荷に供給される電力量と前記目標電力量を比較する段階と、比較結果によって前記目標電力量と前記電力量が等しくなるように、前記負荷に前記交流電源を供給するパワーリング(powering)区間及び前記負荷に前記交流電源を供給しないフリーホイーリング(freewheeling)区間を調整する段階と、及び、前記調整されたパワーリング区間及びフリーホイーリング区間によって前記負荷に電源を供給する段階と、を含む。
【0023】
実施例において、前記電力量が前記目標電力量と等しくなるまで、前記パワーリング区間と前記フリーホイーリング区間が調整される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、電源供給装置のインバータに供給されるスイッチング信号のパターンを調整することによって、負荷に供給される電力量又は電流量が調整される。したがって、複雑度を増加させず、高周波スイッチングノイズ及びストレスを誘発しない向上した性能の電源供給装置及び電源を供給する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例による電源供給システムを示すブロック図である。
図2】本発明の実施例によるインバータ、インピーダンス整合回路、そして負荷をさらに詳細に示す。
図3】制御器が第1ないし第4スイッチング信号を制御する例を示す。
図4】第1ないし第4スイッチング信号にデッドタイムが追加される例を示す。
図5】出力電圧の周波数と負荷の共振周波数が一致する時に時間の流れによる出力電圧及び出力電流の波形の例を示す。
図6】出力電圧の周波数が負荷の共振周波数より低い時に時間の流れによる出力電圧及び出力電流の波形の例を示す。
図7図6の波形に従って出力電圧がハイレベルからローレベルに遷移する時のインバータの動作状態を示す。
図8】出力電圧の周波数が負荷の共振周波数より高い時に時間の流れによる出力電圧及び出力電流の波形の例を示す。
図9図8の波形に従って出力電圧がハイレベルからローレベルに遷移する時のインバータの動作状態を示す。
図10】直流電圧変換に従って電力を制御する方法の例を示す。
図11】位相変換に従って電力を制御する方法の例を示す。
図12】パルス幅変調に従って第1ないし第4スイッチング信号、そして出力電圧が調整される例を示す。
図13】パルス幅変調によって電力に制御される方法の例を示す。
図14】本発明の実施例による電力供給方法を示す。
図15】本発明の実施例によって電力量を制御する方法の例を示す流れ図である。
図16】本発明の応用例による電力供給方法の例を示す。
図17】本発明の応用例による電力供給方法のもう一つの例を示す。
図18】品質要因に従って電力が消尽される例を示す。
図19】第1時間前後の第1及び第2線をさらに詳しく示す。
図20】フリーホイーリング区間を2つ以上に分けて配置する例を示す。
図21】パワーリングセル及びフリーホイーリングセルの例を示す。
図22】パワーリングセル及びフリーホイーリングセルのもう一つの例を示す。
図23】パワーリングセル及びフリーホイーリングセルによってリップルが発生する例を示す。
図24】出力電流でリップルが抑制される例を示す。
図25】本発明の応用例によるインバータ、インピーダンス整合回路、そして負荷を示す。
図26】時間の経過に伴う出力電流とインダクタ電流の変化を示す。
図27】出力電圧がフリーホイーリング区間を有する時にインダクタ電流の変化を示す。
図28】出力電圧がフリーホイーリング区間を有する時にインダクタ電流の変化のもう一つの例を示す。
図29】出力電圧がフリーホイーリング区間を有する時にインダクタ電流の変化のもう一つの例を示す。
図30】本発明の応用例によるインバータ、インピーダンス整合回路、そして負荷をさらに詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施し得る程度に詳細に説明するために、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施例による電源供給システム100を示すブロック図である。図1に示すように、電源供給システム100は交流電源110、電源供給装置120、そして負荷140を含む。交流電源110は通常の家庭又は産業現場で使用される60Hzの電源である。負荷140は家庭又は産業現場で使用される電気又は電子装置である。例えば、負荷140は誘導結合プラズマ(ICP、Inductively Coupled Plasma)装置である。
【0028】
電源供給装置120は第1交流電源を第2交流電源に変換して負荷140に供給する。例えば、第2交流電源は数百kHzないし数十MHzの周波数及び数kW以上の電力を有する。電源供給装置120は整流器121、キャパシタ122、インバータ123、インピーダンス整合回路130、そして制御器125を含む。
【0029】
整流器121は交流電源110の出力を直流電源に変換する。例えば、整流器121は直流電源を接地ノードGNDと電源ノードVPとの間に供給する。キャパシタ122は電源ノードVPと接地ノードGNDとの間に連結される。キャパシタ122は電源ノードVPに伝達される交流成分を接地ノードGNDに放電する。
【0030】
インバータ123は電源ノードVP及び接地ノードGNDから直流電源を受信する。インバータ123は制御器125からスイッチング信号SWを受信する。インバータ123はスイッチング信号SWに応答して直流電源を第2交流電源に変換する。第2交流電源はインピーダンス整合回路130を通して負荷140に供給される。インピーダンス整合回路130は負荷140のインピーダンスに対する整合を提供する。
【0031】
制御器125はインバータ123にスイッチング信号SWを伝達する。制御器125はインバータ123が直流電源を第2交流電源に変換するようにスイッチング信号SWを制御する。また、制御器125はインバータ123から負荷140に供給される電力量(例えば、電力量)を調整するようにスイッチング信号SWを制御する。例えば、制御器125は、本発明の実施例によってインバータ123がパワーリング(powering)区間及びフリーホイーリング(freewheeling)区間を通して電力を供給するようにスイッチング信号SWを制御する。パワーリング区間及びフリーホイーリング区間は、以下でより詳細に説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施例によるインバータ123、インピーダンス整合回路130、そして負荷140をさらに詳細に示す。図1及び図2に示すように、インバータ123は第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4、そして第1ないし第4ダイオードD1〜D4を含む。
【0033】
第1及び第2トランジスタTR1、TR2は電源ノードVPと接地ノードGNDとの間に直列連結される。第1ダイオードD1は第1トランジスタTR1と並列連結され、第2ダイオードD2は第2トランジスタTR2と並列連結される。第3及び第4トランジスタTR3、TR4は接地ノードGNDと電源ノードVPとの間に直列連結される。第3ダイオードD3は第3トランジスタTR3と並列連結され、第4ダイオードD4は第4トランジスタTR4と並列連結される。例示的に、第1ないし第4ダイオードD1〜D4はボディダイオード又はショットキダイオードである。
【0034】
第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4のゲートにそれぞれ第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4が伝達される。すなわち、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4はそれぞれ第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4に応答して動作する。第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4は、図1に図示されたスイッチング信号SWに対応する。
【0035】
第1及び第2トランジスタTR1、TR2の間のノードと第3及び第4トランジスタTR3、TR4の間のノードは、出力ノードである。出力ノードはインピーダンス整合回路130及び負荷140に出力電圧VOを伝達する。出力ノードはインピーダンス整合回路130及び負荷140に出力電流IOを伝達する。
【0036】
例示的に、インピーダンス整合回路130はキャパシタCを含む。しかし、インピーダンス整合回路130の内部構成は、キャパシタ1つに限定されない。例示的に、負荷140は誘導結合プラズマICP装置である。負荷140はインダクタLpla及び抵抗Rplaとしてモデリングされる。キャパシタC、インダクタLpla及び抵抗Rplaは、インバータ123の出力ノードの間に直列連結される。
【0037】
図3は、制御器125が第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4を制御する例を示す。図3で、横軸は時間Tを表し、縦軸は第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4及び出力電圧を表し、縦軸の単位は電圧Vである。図1ないし図3に示すように、第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3が1つの対で制御され、第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4が1つの対で制御される。
【0038】
第1スイッチング信号SW1がハイレベルを有する時、第3スイッチング信号SW3もハイレベルを有する。第1スイッチング信号SW1がローレベルを有する時、第3スイッチング信号SW3もローレベルを有する。同様に、第2スイッチング信号SW2がハイレベルを有する時、第4スイッチング信号SW4もハイレベルを有する。第2スイッチング信号SW2がローレベルを有する時、第4スイッチング信号SW4もローレベルを有する。
【0039】
第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3と第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4は、相補的に制御される。例えば、第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3がハイレベルを有する時、第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4はローレベルを有する。第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3がローレベルを有する時、第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4はハイレベルを有する。
【0040】
特定のスイッチング信号がハイレベルを有する時、特定のスイッチング信号が伝達されるトランジスタはターンオンされる。特定のスイッチング信号がローレベルを有する時、特定のスイッチング信号が伝達されるトランジスタはターンオフされる。
【0041】
第1及び第3トランジスタTR1、TR3がターンオンされ、第2及び第4トランジスタTR2、TR4がターンオフされる時、第1トランジスタTR1は電源ノードVPの電圧を伝達し、第3トランジスタTR3は接地ノードGNDの電圧を伝達する。したがって、出力電圧VOは正の値を有し、出力電流IOは正の値を有する。すなわち、出力電流は、図2に図示された方向に流れる。
【0042】
第1及び第3トランジスタTR1、TR3がターンオフされ、第2及び第4トランジスタTR2、TR4がターンオンされる時、第2トランジスタTR2は接地ノードGNDの電圧を伝達し、第4トランジスタTR4は電源ノードVPの電圧を伝達する。したがって、出力電圧VOは負の値を有し、出力電流IOは負の値を有する。すなわち、出力電流は、図2に図示された方向の逆方向に流れる。
【0043】
図4は、第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4にデッドタイムDTが追加される例を示す。図4で、横軸は時間Tを表し、縦軸は第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4及び出力電圧VOを表し、縦軸の単位は電圧Vである。
【0044】
図3と比較すると、第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3がハイレベルからローレベルに遷移する時点と第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4がローレベルからハイレベルに遷移する時点との間にデッドタイムDTが存在する。同様に、第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3がローレベルからハイレベルに遷移する時点と第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4がハイレベルからローレベルに遷移する時点との間にデッドタイムDTが存在する。
【0045】
デッドタイムDT中に第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4はいずれもローレベルを有する。すなわち、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4がターンオフされる。デッドタイムDTは電源ノードVPと接地ノードGNDがショートされることを防止する。デッドタイムDT中に、出力電圧VOはデッドタイムDT以前の電圧及び電流、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4の動作タイミングによって決められるレベルを有する。
【0046】
以下で、説明が複雑になることを回避するために、デッドタイムDTが本発明の技術的思想を説明するために必要な場合でなければ、デッドタイムDTを省略して第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4及び出力電圧VOが図示される。デッドタイムDTが明示的に図示又は言及されなくても、デッドタイムDTが存在しないことを意図するものとは解析されない。
【0047】
図5は、出力電圧VOの周波数fswと負荷140の共振周波数f0が一致する時に時間Tの流れによる出力電圧VO及び出力電流IOの波形の例を示す。図1図2及び図5に示すように、出力電圧VOの周波数fswと負荷140の周波数f0が一致する時、出力電圧VOと出力電流IOの位相が一致する。
【0048】
例示的に、負荷140の共振周波数f0は、負荷140のインダクタLpla及びインピーダンス整合回路130のキャパシタCによって決定される。負荷140の共振周波数f0は数式1によって決定される。
【0049】
[数式1]
【数1】
【0050】
図6は、出力電圧VOの周波数fswが負荷140の共振周波数f0より低い時に時間Tの流れによる出力電圧VO及び出力電流IOの波形の例を示す。図1図2及び図5に示すように、出力電圧VOの周波数fswが負荷140の共振周波数f0より低い時に、出力電圧VOの位相は出力電流IOの位相より遅れる。
【0051】
図7は、図6の波形によって出力電圧VOがハイレベルからローレベルに遷移する時のインバータ123の動作状態を示す。図4図6及び図7に示すように、出力電圧VOがハイレベルからローレベルに遷移する時、デッドタイムDTが存在する。デッドタイムDT中に、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4はターンオフされる。
【0052】
出力電流IOは、負荷140及びインピーダンス整合回路130からインバータ123に向けて流れる。出力電流IOの方向によって、第2及び第4ダイオードD2、D4は電流を通過させず、第1及び第3ダイオードD1、D3は電流を通過させる。すなわち、出力電圧VOの位相が出力電流IOの位相より遅れる時、デッドタイムDT中に負荷140及びインピーダンス整合回路130からインバータ123に向けて出力電流IOが流れる。
【0053】
出力電流IOが流れることによって、無駄な電力消費が発生する。また、出力電流IOが流れることによって、インバータ123の出力電圧VOは電源ノードVPと接地ノードGNDとの間の電圧差を維持する。出力電圧VOは、第2及び第4トランジスタTR2、TR4それぞれの両端に印加される。
【0054】
デッドタイムDTが終了される時、第2及び第4トランジスタTR2、TR4それぞれの両端に高電圧(例えば、出力電圧VO)が印加された状態で第2及び第4トランジスタTR2、TR4がターンオンされる。これは、第2及び第4トランジスタTR2、TR4に不要なストレスとして適用され、第2及び第4トランジスタTR2、TR4を劣化させる。
【0055】
インバータ123の第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4の対称的な配置によって、同一の現象が第1及び第3トランジスタTR1、TR3で発生する。例えば、出力電圧VOがローレベルからハイレベルに遷移する時のデッドタイムDT中に、無駄な電力消費が発生し、第1及び第3トランジスタTR1、TR3にストレスが発生する。
【0056】
図8は出力電圧VOの周波数fswが負荷140の共振周波数f0より高い時に時間Tの流れによる出力電圧VO及び出力電流IOの波形の例を示す。図1図2及び図8に示すように、出力電圧VOの周波数fswが負荷140の共振周波数f0より高い時、出力電圧VOの位相は出力電流IOの位相より進む。
【0057】
図9は、図8の波形に従って出力電圧VOがハイレベルからローレベルに遷移する時のインバータ123の動作状態を示す。図4図8及び図9に示すように、出力電圧VOがハイレベルからローレベルに遷移する時、デッドタイムDTが存在する。デッドタイムDT中に、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4はターンオフされる。
【0058】
出力電流IOは正の値を有するので、出力電流IOはインバータ123からインピーダンス整合回路130及び負荷140に向けて流れる。出力電流IOの方向によって、出力電流IOは第1ないし第4ダイオードD1〜D4を通して流れない。代わりに、出力電流IOは第1及び第3トランジスタTR1、TR3の寄生キャパシタ(図示せず)を通して流れる。
【0059】
出力電流IOが流れることによって、第1及び第3トランジスタTR1、TR3それぞれの両端電圧は、電源ノードVPと接地ノードGNDの電圧の差だけ増加する。出力電流IOが流れる時に、第1及び第3トランジスタTR1、TR3の寄生キャパシタ(図示せず)及び配線の寄生インダクタ(図示せず)によって共振(例えば、寄生共振)が発生する。寄生共振は、出力電流IOの大きさが大きいほど共に大きくなり、高周波スイッチングノイズの原因となる。
【0060】
また、第1及び第3トランジスタTR1、TR3を通して出力電流が流れているうちに、デッドタイムDTで第1及び第3トランジスタTR1、TR3がターンオフされる。これは第1及び第3トランジスタTR1、TR3にストレスとして作用する。第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4の対称的配置によって、出力電圧VOがローレベルからハイレベルに遷移する時に同一の高周波スイッチングノイズ及びストレスが第2及び第4トランジスタTR2、TR4で発生する。
【0061】
上述のように、出力電圧VOの周波数fswと負荷140の共振周波数f0が異なると、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4にストレスが印加され、又は無駄な電力消費が発生する。したがって、電力供給装置120の信頼性を改善し、性能を向上させるために、出力電圧VOの周波数fswが負荷140の共振周波数f0と類似して制御されなければならない。
【0062】
具体的に、出力電圧VOの周波数fswが負荷140の共振周波数f0より微小に高い(例えば、略0.1ないし10%)ものが好まれる。出力電圧VOの周波数fswが負荷140の共振周波数f0より微小に高ければ、図8のデッドタイムDT状態で出力電流IOの瞬間的な大きさが微小な正の値(例えば、最大値の0.1%〜10%)を有する。
【0063】
図8及び図9を参照して説明した状況で、第1及び第3トランジスタTR1、TR3は微小な電流が流れる状態でターンオフされるので、第1及び第3トランジスタTR1、TR3に印加されるストレスは無視される。デッドタイムDT中に、出力電流IOが流れることによって第1及び第3トランジスタTR1、TR3それぞれの両端電圧は、電源ノードVPと接地ノードGNDの電圧差に該当するほど上昇する。
【0064】
デッドタイムDT中に、出力電流IOが流れることによって第2及び第4トランジスタTR2、TR4それぞれの両端電圧は0V(又はそれに類似した低電圧)に減少する。すなわち、デッドタイムDTが終了され、第2及び第4トランジスタTR2、TR4がターンオンされる時、第2及び第4トランジスタTR2、TR4それぞれの両端電圧が0Vであるので、第2及び第4トランジスタTR2、TR4に印加されるストレスが無視される。
【0065】
このように、出力電圧VOの位相が出力電流IOの位相より微小に進むように(例えば、0.1%〜10%)制御すれば、トランジスタがZVZCS(Zero Voltage nearly Zero Current Switching)と呼ばれる好ましいスイッチング動作を行う。ZVZCSによると、インバータ123の第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4が安定的に制御される。本発明の実施例による制御器125は、ZVZCSに従って第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4を制御する。
【0066】
負荷140の動作を精密に制御するために、負荷140に供給される電力、例えば、電力量が制御される。負荷140に供給される電力を制御するために、多様な方法が使用される。図10は、直流電圧変換に従って電力を制御する方法の例を示す。図10に示すように、直流電圧変換に従って出力電圧VOの最大値が調整される。
【0067】
直流電圧変換を使用すると、出力電圧VOと出力電流IOの位相が変更せずに維持される。したがって、インバータ123の動作が安定されるという長所が提供される。一方、直流電圧変換を使用すると、電源ノードVPの直流電圧変換を行うための別途の直流−直流変換器が必要とする。また、直流−直流変換を行うための時間が必要であり、電力制御速度が遅いという短所がある。
【0068】
図11は、位相変換に従って電力を制御する方法の例を示す。図11に示すように、位相変換に従って出力電圧VOと出力電流IOの位相差が調整される。出力電圧VOと出力電流IOの位相差によって重複される領域の面積が減少すると、負荷140に供給される電力が減少する。したがって、出力電圧VOの周波数fswを調整して、負荷140に供給される電力が調整される。
【0069】
出力電圧VOの周波数fswを調整することによって電力が調整されるので、電力が相対的に迅速に調整される。しかし、図5ないし図9を参照して説明されたように、出力電圧VOと出力電流IOの位相が変わると、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4にストレスが印加される。したがって、インバータ123の安定性が低下される。
【0070】
図12は、パルス幅変調によって第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4、そして出力電圧VOが調整される例を示す。図2及び図12に示すように、第1及び第2スイッチング信号SW1、SW2は、図3を参照して説明されたものと同一の位相を有する。第3及び第4スイッチング信号SW3、SW4は、図3を参照して説明されたものより進んだ位相を有する。
【0071】
出力電圧VOは第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3が共にハイレベルを有する時にハイレベルを有する。第3スイッチング信号SW3の位相が第1スイッチング信号SW1の位相より進むと、第1及び第3スイッチング信号SW1、SW3が共にハイレベルを有する区間が減少する。したがって、出力電圧VOがハイレベルを有する区間が減少する。
【0072】
出力電圧VOは、第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4が共にハイレベルを有する時にローレベルを有する。第4スイッチング信号SW4の位相が第2スイッチング信号SW2の位相より進むと、第2及び第4スイッチング信号SW2、SW4が共にハイレベルを有する区間が減少する。したがって、出力電圧VOがローレベルを有する区間が減少する。
【0073】
図13は、パルス幅変調によって電力に制御される方法の例を示す。図13に示すように、パルス幅変調によって、出力電圧VOのパルス幅が調整される。出力電圧VOと出力電流IOが重複される領域が減少すると、負荷140に供給される電力が減少する。したがって、出力電圧VOのパルス幅を変調することによって、負荷140に供給される電力が調整される。
【0074】
しかし、出力電圧VOのパルス幅が減少すると、出力電流IOが正の値又は負の値を有する時に第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4の一部がスイッチングされる。したがって、第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4にストレスが印加され、インバータ123の安定性が減少される。
【0075】
図14は、本発明の実施例による電力供給方法を示す。図1図2及び図14に示すように、制御器125はフリーホイーリングの挿入を通して負荷に供給される電力(例えば、電力量)を調整する。例示的に、図14で出力電圧VOの6つの周期が図示されている。本発明の技術的思想を説明するために、6つの周期が単位時間であると仮定される。しかし、電力量を調整する単位時間は、出力電圧VOの6つの周期で限定されない。
【0076】
高電力モードHPMで、制御器125は第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4を図3又は図4を参照して説明された方法で制御する。出力電圧VOは絶えず遷移し、出力電流IOも絶えず遷移する。低電力モードLPMで、制御器125はパワーリング区間及びフリーホイーリング区間によって第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4を制御する。
【0077】
パワーリング区間は、第1及び第2パワーリング区間P1、P2を含む。第1及び第2パワーリング区間P1、P2で、制御器125は第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4を図3又は図4を参照して説明された方法で制御する。フリーホイーリング区間は、第1フリーホイーリング区間F1を含む。第1フリーホイーリング区間F1で、制御器125は出力電圧VOがハイレベルとローレベルを有しないように(例えば、接地レベルを有するように)第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4を制御する。
【0078】
例えば、第1フリーホイーリング区間F1で、制御器125は第1ないし第4スイッチング信号SW1〜SW4をローレベルに維持する。出力電圧VOが供給されないので、第1フリーホイーリング区間F1の出力電流IOの電流量は、第1及び第2パワーリング区間P1、P2の出力電流IOの電流量より少ない。インバータ123は第1及び第2パワーリング区間P1、P2で負荷140に電力を供給し、第1フリーホイーリング区間F1で負荷140に電力を供給しない。
【0079】
制御器125は、単位時間中にパワーリング区間の全長及びフリーホイーリング区間の全長を調整することによって、単位時間中に負荷140に供給される電力量を制御する。フリーホイーリング区間が長くなるほど、負荷140に供給される電力量は減少する。フリーホイーリング区間が短くなればなるほど、負荷140に供給される電力量は増加する。例示的に、電力量Pは数式2によって計算される。
【0080】
[数式2]
【数2】
【0081】
数式2で、VVPは電源ノードVPの電圧を表す。Nは単位時間に含まれる全体の周期の個数を表す。nは、単位時間に含まれるフリーホイーリング区間の数を表す。例示的に、フリーホイーリング区間が半周期の単位で調整されれば、N及びnは半周期の個数に変更される。数式2で示されるように、電力量Pはパワーリング区間の長さ、すなわちフリーホイーリング区間の長さによって調整される。
【0082】
例示的に、フリーホイーリング区間は少なくとも出力電圧VOの半周期以上の長さを有する点で、デッドタイムDT(図4参照)と区別される。デッドタイムDTは、出力電圧VOの半周期より短い。デッドタイムDTが出力電圧VOの半周期に該当する長さを有すると、出力電圧VOと出力電流IOの位相が毎周期ごとに変わる。したがって、電力供給装置120が正常に動作しない。
【0083】
図15は、本発明の実施例によって電力量を制御する方法の例を示す流れ図である。図1図2及び図15に示すように、S110段階で、制御器125は目標電力量(又は電流量)の情報を受信する。例えば、制御器125は、外部装置との通信を通して、又はユーザから情報を受信するユーザ端末を通して目標電力量(又は電流量)の情報を受信する。
【0084】
S120段階で、制御器125は目標電力量が現在電力量より少ないかを判断する。目標電力量が現在電力量より少なければ、S130段階で制御器125はフリーホイーリングセルを追加する。例えば、フリーホイーリングセルは、フリーホイーリング区間の長さを伸ばすことに使用され、少なくとも1つの半周期に該当するフリーホイーリング区間を含む。フリーホイーリングセルが追加されるだけ、単位時間中に対応する長さのパワーリング区間が減少する。その後、制御器125はS160段階を行う。
【0085】
目標電力量が現在電力量より少なくないと、S140段階で、制御器125は目標電力量が現在電力量より大きいかを判断する。目標電力量が現在電力量より大きければ、S150段階で制御器125はフリーホイーリングセルを減少する。例えば、制御器125は、単位時間中にフリーホイーリングセルを1つ減らし、対応する長さのパワーリング区間が増加される。その後、制御器125はS160段階を行う。
【0086】
S160段階で、制御器125は目標電力量が現在電力量と等しいかを判断する。目標電力量が現在電力量と等しくないと、制御器125はS120段階を行う。目標電力量が現在電力量と等しいと、制御器125は電力制御を終了する。例示的に、現在の電力量が環境変化によって変わる電力供給システム100である場合、制御器125は電力調整を終了する代わりに、S110段階へ戻って電力供給モニタリングを 持続する。
【0087】
図16は、本発明の応用例による電力供給方法の例を示す。図1図2及び図16に示すように、S210段階で、制御器125は目標電力量(又は目標電力量)の情報を受信する。S220段階で、制御器125は目標電力量と現在電力量の差を計算する。S230段階で、制御器125は計算された差によって、フリーホイーリングセルの数を調整する。
【0088】
例示的に、制御器125は、電力量の差によって増減しなければならないフリーホイーリングセルの数を表すルックアップテーブルを保存する。制御器125はルックアップテーブルを参照してフリーホイーリングセルの数を調整する。もう一つの例として、制御器125は、電力量の差によって増減しなければならないフリーホイーリングセルの数を計算する関数を演算する演算器を含む。制御器125は、演算器を用いてフリーホイーリングセルの数を調整する。
【0089】
図17は、本発明のもう一つの応用例による電力供給方法の例を示す。図1図2及び図17に示すように、S310段階で、制御器125は目標電力量(又は目標電力量)の情報を受信する。S320段階で、制御器125は目標電力量と現在電力量の差をエラー値として計算する。
【0090】
S330段階で、制御器125は現在エラー値(例えば、現在ループのS320段階で計算されたエラー値)、以前エラー値(例えば、1つ又はそれより多くの以前ループで計算されたエラー値)、そしてPID(Proportional−Integral−Derivation)利得係数を用いてフリーホイーリングセルの数を計算する。例示的に、フリーホイーリングセルの数は、数式3によって計算される。
【0091】
[数式3]
【数3】
【0092】
数式3で、n[k]は現在ループ、すなわち現在単位時間に含まれたパワーリング区間の周期の個数を表す。n[k−1]は、まさに以前ループ、すなわち、以前単位時間に含まれたパワーリング区間の周期の個数を表す。e[k]は、現在ループ、すなわち現在単位時間に計算されたエラー値を示す。e[k−1]は、1番目の以前ループ、すなわち、1番目の以前単位時間に計算されたエラー値を表す。e[k−2]は、2番目の以前ループ、すなわち2番目の以前単位時間に計算されたエラー値を表す。Kp、Ki及びKdは、PID利得係数を表す。
【0093】
S340段階で、制御器125は調整が終了されたかを判断する。例えば、制御器125は現在ループのエラー値が予め決められた範囲内に属するかを判断する。現在ループのエラー値が予め決められた範囲内に属すれば、制御器125は電力量の調整を終了する。現在ループのエラー値が予め決められた範囲内に属しなければ、制御器125は次のループを行う。例示的に、1つのループはS320段階及びS330段階を含む。
【0094】
上述のように、本発明の実施例によると、単位時間に含まれたフリーホイーリング区間(又はパワーリング区間)の長さを調整することによって、負荷140に供給される電力量が調整される。フリーホイーリングの挿入は、第1ないし第4スイッチSW1、SW2がハイレベルを有するタイミングを調整することによって行われるので、別途の複雑な装置が要求されず、出力電圧VOと出力電流IOの位相差を維持するとともに容易に行われる。
【0095】
再び図14に示すように、第1フリーホイーリング区間F1の間に負荷140に電力が供給されない。第1フリーホイーリング区間が過度に長くなると、負荷140に供給された電力がすべて消尽され、負荷140がターンオフされる。図18は、品質要因(Quality Factor)によって電力が消尽される例を示す。図18で、横軸は時間Tを表し、縦軸は出力電圧VO及び出力電流IOを表す。
【0096】
図1図2及び図18に示すように、第1線L1は品質要因Qが15である時の出力電流IOを表し、第2線L2は品質要因Qが5である時の出力電流IOを表す。品質要因Qはインピーダンス整合回路130のキャパシタC、そして負荷140の抵抗Rpla及びインダクタLplaによって決定される。品質要因Qは、数式4によって計算される。
【0097】
[数式4]
【数4】
【0098】
第1時間T1にインバータ123は制御器125の制御に従ってフリーホイーリング区間に進入する。インバータ125が出力する電力が遮断されたことによって、負荷140に供給される電流量が減少し始める。インピーダンス整合回路130及び負荷140に充電された電力がすべて消尽されれば、出力電流IOがこれ以上流れない。第1線L1と第2線L2によって表すように、品質要因Qが低ければ、出力電流IOはさらに迅速に遮断される。すなわち、充電された電力がより迅速に消尽される。
【0099】
図19は、第1時間T1前後の第1及び第2線L1、L2をさらに詳しく示す。図1図2及び図19に示すように、第1時間T1に出力電流IOは数式5に従って減少する。
【0100】
[数式5]
【数5】
【0101】
数式5で、ωは負荷140の共振周波数を表す。t は時間を表す。θは出力電流IOの位置を表す。Ipeakはパワーリング区間の出力電流IOのピーク値を表す。τは時定数を表し、数式6によって計算される。
【0102】
[数式6]
【数6】
【0103】
数式6で、Tは出力電圧VO又は出力電流IOの1つの周期を表す。数式5及び6、そして図19に示すように、出力電流IOは第1時間T1以降に時定数τに依存して指数的に(exponential)減少する包絡線(envelope)を有する。例示的に、出力電流IOの包絡線の大きさが最大値の10%に減少する時点は0.73QTである。
【0104】
動作状態で負荷140に供給される電力の下限を最大値の10%に設定すると、フリーホイーリング区間の長さは0.73QTを上限として有する。フリーホイーリング区間の上限は、品質要因Q及び出力電圧VO又は出力電流IOの周期によって決定される。例示的に、負荷140の品質要因Qが実時間で変化する場合、フリーホイーリング区間の上限もまた実時間で変化する。この場合、品質要因Qが最も低い時を基準にフリーホイーリング区間の上限が決定される。
【0105】
例えば、負荷140が動作する間、品質要因Qが実時間で変化し、品質要因Qの下限は5である。この場合、フリーホイーリング区間の上限は3.65Tである。フリーホイーリング区間の上限は、負荷140が如何なる状態にあるか、そして負荷140の品質要因Qが如何なる値を有するかに関わらず、3.65Tによって決定される。
【0106】
必要なフリーホイーリング区間の長さがフリーホイーリング区間の上限より長い場合、制御器125はフリーホイーリング区間を2つ以上に分けて配置する。図20は、フリーホイーリング区間を2つ以上に分けて配置する例を示す。図1図2及び図20に示すように、制御器125は第1及び第2パワーリング区間P1、P2の間に第1フリーホイーリング区間F1を配置する。制御器125は、第2及び第3パワーリング区間P2、P3の間に第2フリーホイーリング区間F2を配置する。
【0107】
第1及び第2フリーホイーリング区間F1、F2の間に第2パワーリング区間P2が配置されれば、第2パワーリング区間P2の間、負荷140に電力が供給される。したがって、第1フリーホイーリング区間F1又は第2フリーホイーリング区間F2によって負荷140がターンオフされることが防止される。
【0108】
例示的に、負荷140が完全に充電された時に負荷140に第1電力が存在する。フリーホイーリング区間によって負荷140に充電された電力が一部消尽された時に、負荷140に第2電力が存在する。フリーホイーリング区間後に負荷140に一つの周期の間に電力が充電されても(すなわち、パワーリング区間によって)、負荷140に充電された電力は第1電力より小さい。
【0109】
したがって、制御器140は第1フリーホイーリング区間F1の上限と第2フリーホイーリング区間F2の上限を異なるように設定する。例えば、制御器125は第2フリーホイーリング区間F2の上限を第1フリーホイーリング区間F1の上限より短く設定する。もう1つの例として、制御器125は、第1及び第2フリーホイーリング区間F1、F2の間の第2パワーリング区間P2に下限を設定する。例えば、制御器125は、第2パワーリング区間P2の間に負荷140の電力が第1電力に上昇するように、第2パワーリング区間P2の下限を設定する。
【0110】
図21は、パワーリングセルPC及びフリーホイーリングセルFC1〜FC3の例を示す。図1図2及び図21に示すように、パワーリングセルPCは出力電圧VOがフルスイングする1つの周期を含む。第1フリーホイーリングセルFC1は出力電圧VOが接地レベルである1つの周期を含む。
【0111】
第2フリーホイーリングセルFC3は、出力電圧VOが接地レベルである半周期及び出力電圧VOがローレベルである半周期を有する。第3フリーホイーリングセルFC3は、出力電圧VOがハイレベルである半周期及び出力電圧VOが接地レベルである半周期を含む。制御器125は、フリーホイーリングセルを第1ないし第3フリーホイーリングセルFC1〜FC3の中で選択することによって、負荷140に供給される電力量をより精密に調整する。
【0112】
例えば、パワーリングセルPCの間にインバータ123は1の電力量を供給する。第1フリーホイーリングセルFC1の間にインバータ123は0の電力量を供給する。第2フリーホイーリングセルFC2又は第3フリーホイーリングセルFC3の間に、インバータ123は0.5の電力量を供給する。制御器125はパワーリングセルPC及び第1ないし第3フリーホイーリングセルFC1〜FC3を組み合わせることによって、負荷140に供給される電力量を複数の段階で調整する。
【0113】
例示的に、第2及び第3フリーホイーリングセルFC2、FC3に示すように、フリーホイーリングセルは出力電圧VOがハイレベル又はローレベルである少なくとも1つの半周期を含む。少なくとも1つの半周期の間に、インバータ123は負荷140に電力を供給する。したがって、図18ないし図19を参照して説明されたように、フリーホイーリング区間の上限を決めなくても、フリーホイーリング区間によって負荷140がターンオフされることが防止される。
【0114】
図22は、パワーリングセルPC及びフリーホイーリングセルFC1〜FC5のもう1つの例を示す。 図1図2及び図22に示すように、パワーリングセルPC及びフリーホイーリングセルFC1〜FC5それぞれは、出力電圧VO又は出力電流IOの2つの周期を含む。フリーホイーリングセルFC1〜FC5は出力電圧VOがハイレベル又はローレベルを有する少なくとも1つの半周期、そして出力電圧VOが接地レベルを有する少なくとも1つの半周期を含む。
【0115】
図22に図示されたように、フリーホイーリングセルFC1〜FC5は、様々なパターンを有する。フリーホイーリングセルFC1〜FC5が有する出力電圧VOのパターンは限定されない。また、フリーホイーリングセルFC1〜FC5それぞれに含まれる出力電圧VO又は出力電流IOの周期の個数は限定されない。
【0116】
図23は、パワーリングセル及びフリーホイーリングセルによってリップルが発生する例を示す。図23で横軸は時間Tを表し、縦軸は出力電圧VO又は出力電流IOを表す。図23で赤線は出力電圧VOを表し、青線は出力電流IOを表す。
【0117】
図1図2及び図23に示すように、制御器125はフリーホイーリングセルFC5を連続して配置し、パワーリングセルPCを連続して配置する。フリーホイーリングセルFCが連続して配置される時、出力電圧VOの密度が減少し、出力電流IOの電流量が減少する。パワーリングセルドルPCが連続して配置される時、出力電圧VOの密度が増加し、出力電流IOの電流量が増加する。
【0118】
すなわち、フリーホイーリングセルFCを集中配置し、そしてパワーリングセルPCを集中配置すると、出力電流IOでリップルが発生する。出力電流IOでリップルが発生すると、現在の電力量を計算することが難しくなる。図24は出力電流IOでリップルが抑制された例を示す。図24で横軸は時間Tを表し、縦軸は出力電圧VO又は出力電流IOを表す。図25で赤線は出力電圧VOを表し、青線は出力電流IOを表す。
【0119】
図1図2及び図24に示すように、制御器125はパワーリングセルPCの次にフリーホイーリングセルFCを配置し、そしてフリーホイーリングセルFCの次にパワーリングセルPCを配置する。例えば、制御器125はフリーホイーリングセルFCに含まれたフリーホイーリング区間とパワーリングセルPCに含まれたパワーリング区間を交互に配置する。フリーホイーリングセルFCとパワーリングセルPCが交互に配置されれば、出力電流IOのリップルが抑制され、電力量が容易に計算される。
【0120】
図25は、本発明の応用例によるインバータ123’、インピーダンス整合回路130、そして負荷140を示す。図1及び図25に示すように、インバータ123’は第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4、第1ないし第4ダイオードD1〜D4、そしてインダクタLzvsを含む。
【0121】
図2のインバータ123と比較すると、インバータ123’はインダクタLzvsをさらに含む。インダクタLzvsは、出力電圧VOが出力される出力ノードの間に連結される。インダクタLzvsを通して流れる電流は、インダクタ電流Izvsである。第1ないし第4トランジスタTR1〜TR4、そして第1ないし第4ダイオードD1〜D4は、図2を参照して説明されたものと同一に連結され、同一に動作する。
【0122】
図26は、時間Tの流れによる出力電流IOとインダクタ電流Izvsの変化を示す。図1図25及び図26に示すように、出力電圧VOの位相は出力電流IOの位相と一致する。インダクタ電流Izvsは、出力電流IOの逆起電力として作用する。出力電流IOが上昇する時、インダクタ電流Izvsは負の値を有し、出力電流IOが減少する時、インダクタ電流Ivzsは正の値を有する。
【0123】
出力電圧VOと出力電流IOの位相が一致すると、出力電圧VOがハイレベルからローレベルに遷移するデッドタイムDT(図4参照)中に、出力電流IOは流れない。この時、インダクタ電流Izvsによって、インバータ123’内で正の電流が流れる。
【0124】
同様に、出力電圧VOと出力電流IOの位相が一致すると、出力電圧VOがローレベルからハイレベルに遷移するデッドタイム中に、出力電流IOは流れない。この時、インダクタ電流Izvsによって、インバータ123’内で負の電流が流れる。インダクタ電流Izvsによって、インバータ123’内でZVZCS(Zero Voltage nearly Zero Current Switching)が達成される。
【0125】
図27は、出力電圧VOがフリーホイーリング区間を有する時にインダクタ電流Izvsの変化を示す。図1図25及び図27に示すように、1周期のパワーリング区間と1周期のフリーホイーリング区間が交互に配置される。インダクタ電流Izvsは、数式7によって計算される。
【0126】
[数式7]
【数7】
【0127】
数式7で、Iiniは初期電流を表す。フリーホイーリング区間の間、インダクタ電流Izvsは負の値を維持する。インダクタ電流Izvsの総合(又は平均電流)は0にならなければならないので、インダクタ電流Izvsの正のピーク値の絶対値は、負のピーク値の絶対値より大きい。デッドタイムDT中に流れるインダクタ電流Izvsの量が変わると、インバータ123’が不均衡に動作する。したがって、デッドタイムDT中に流れるインダクタ電流Izvsの電流量が均一なものが好まれる。
【0128】
例示的に、図27で1つのフリーホイーリングセルは、出力電圧VOが接地レベルを有する1周期を含む。図27は、3つのパワーリングセル及びフリーホイーリングセルを示す。もう1つの例として、1つのフリーホイーリングセルは出力電圧VOがハイレベル及びローレベルを有する1周期と出力電圧VOが接地レベルを有する1周期を含む。図27は、3つのフリーホイーリングセルを示す。
【0129】
図28は、出力電圧VOがフリーホイーリング区間を有する時にインダクタ電流Izvsの変化のもう1つの例を示す。図1図25及び図28に示すように、半周期のパワーリング区間と半周期のフリーホイーリング区間が交互に配置される。図28でインダクタ電流Izvsの正のピーク値と負のピーク値は一致する。
【0130】
しかし、出力電圧VOが負の値を有する時に、出力電流IOは正の値を有する。出力電圧VOと出力電流IOの位相が反対であれば、電力が負荷140からインバータ123に供給される。これは無駄な電力消費を誘発し、負荷140のターンオフを誘発する。したがって、出力電圧VOと出力電流IOの位相が同一の符号を有することが好まれる。
【0131】
例示的に、図28でフリーホイーリングセルは、出力電圧VOがハイレベルを有する半周期、接地レベルを有する半周期、ローレベルを有する半周期、そして接地レベルを有する半周期を含む。例えば、図28は3つのフリーホイーリングセルを示す。
【0132】
図29は、出力電圧VOがフリーホイーリング区間を有する時にインダクタ電流Izvsの変化のもう一つの例を示す。図1図25及び図29に示すように、1つのフリーホイーリングセルは4つの周期を含む。図29に2つのフリーホイーリングセルが図示されている。
【0133】
フリーホイーリングセルは、出力電圧VOがハイレベル及びローレベルを有する1周期、出力電圧VOが接地レベルである1周期、出力電圧VOがハイレベル及び接地レベルである1周期、出力電圧VOが接地レベル及びローレベルである1周期を含む。インダクタ電流Izvsの正のピーク値と負のピーク値は一致する。また、出力電圧VOの符号と出力電流IOの符号は一致する。
【0134】
図29に図示したように、制御器125は出力電圧VOの周波数fswと負荷140の共振周波数f0が一致するように出力電圧VOの周波数fswを制御する。インダクタLzvsによってZVZCSが達成される。また、制御器125は、インダクタ電流Izvsの負のピーク値と正のピーク値が一致するようにフリーホイーリングセルを制御する。制御器125は、出力電圧VOの符号と出力電流IOの符号が一致するようにフリーホイーリングセルを制御する。
【0135】
図30は、本発明の応用例によるインバータ123’’、インピーダンス整合回路130、そして負荷140をさらに詳細に示す。図1及び図30に示すように、インバータ123’’は第1及び第2トランジスタTR1、TR2、第1及び第2ダイオードD1、D2、そして第1及び第2キャパシタC1、C2を含む。インピーダンス整合回路130はキャパシタCを含み、負荷140はインダクタLpla及び抵抗Rplaとしてモデリングされる。
【0136】
図2のインバータ123と比較すると、図30のインバータ123’’で第3トランジスタTR3及び第3トランジスタTR3及び第3ダイオードD3の代わりに第1キャパシタC1が配置され、第4トランジスタTR4及び第4ダイオードD4の代わりに第2キャパシタC2が配置される。第1及び第2キャパシタC1、C2それぞれは、実質的に直流の両端電圧を有するように十分に大きいキャパシタンスを有する。図30のインバータ123’’は、図2のインバータ123と比較して、半分の出力電圧範囲を有し、そして半分のスイッチ及びスイッチング信号を有するハーフブリッジタイプである。
【0137】
図14ないし図24を参照して説明された、パワーリング区間とフリーホイーリング区間を調整する本発明の技術的思想は、図30のインバータ123’’にも同一に適用される。また、図25を参照して説明されたように、インバータ123’’にもインバータ123’と同様にインダクタLzvsが適用される。また、図26ないし図29を参照して説明された電源制御(又は供給)方法は、図30のインバータ123’’にも同一に適用される。
【0138】
本発明の詳細な説明においては、具体的な実施例に対して説明したが、本発明の範囲と技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、上述の実施例に限られて決められてはならず、後述する特許請求範囲だけでなく、この発明の特許請求範囲と均等なものによって決められなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図22
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図26
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図28
図29
図30