特許第6882821号(P6882821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882821
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】メタルパース
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/00 20060101AFI20210524BHJP
   A45C 1/02 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A45C11/00 E
   A45C1/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-566867(P2016-566867)
(86)(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公表番号】特表2017-503631(P2017-503631A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】US2015012889
(87)【国際公開番号】WO2015112973
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2018年1月26日
(31)【優先権主張番号】61/931,607
(32)【優先日】2014年1月25日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516223230
【氏名又は名称】ジェフリー・レビンソン
【氏名又は名称原語表記】Jeffrey LEVINSON
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・レビンソン
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0073873(US,A1)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2012−0006443(KR,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0306206(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1084548(KR,B1)
【文献】 特開平08−182529(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0060224(US,A1)
【文献】 特表2012−513861(JP,A)
【文献】 特開2004−188215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00
A45C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジにより相互に連結されて、開放と閉鎖との位置の間で前記ヒンジの周りを互いに回転し、収納キャビティを定める2つのメタルシェル、を備え、
各メタルシェルは、対となる周縁部をさらに備える、パースであって、
少なくとも片側の前記メタルシェルの周縁部に一つ以上のスペーサーが設けられており、
前記閉鎖位置において、前記2つのメタルシェルが、前記一つ以上のスペーサーにより互いに離れるように維持されることによって、実質的に前記周縁部の全体に沿って、前記2つのメタルシェルの間に所望のギャップ間隔を有するようにギャップを形成し、閉じたとき、前記ギャップ間隔が前記パースの内外に携帯電話またはワイヤレスの信号の通過を可能とするのに充分である、パース。
【請求項2】
前記所望のギャップ間隔は、閉じたとき、前記パース内で少なくとも−110dBmの信号強度を生じるのに充分である、請求項1に記載のパース。
【請求項3】
前記ギャップ間隔は、少なくとも−106dBmから−90dBの信号強度を提供するのに充分である、請求項1に記載のパース。
【請求項4】
前記ギャップ間隔は、0.254mmから2.286mmの範囲内である、請求項1に記載のパース。
【請求項5】
前記パースは、二枚貝構造を有する、請求項1に記載のパース。
【請求項6】
前記パースは、信号強度に関する前記ギャップの効果を高めるために、1つのスロット、又は複数のパーフォレイションを更に定める、請求項1に記載のパース。
【請求項7】
前記メタルシェルに取り付けられた少なくとも1つの外側装飾シェルを更に備える、請求項1に記載のパース。
【請求項8】
前記外側装飾シェルは、プラスチック又はポリカーボネートを含む、請求項7に記載のパース。
【請求項9】
前記外側装飾シェルは、前記メタルシェルに取り外されないように取り付けられる、請求項7に記載のパース。
【請求項10】
前記外側装飾シェルは、前記メタルシェルに脱着可能に取り付けられる、請求項7に記載のパース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年1月25日に出願された米国仮特許出願番号第61/931,607号の明細書に基づいて優先権を主張するものであり、その全体の内容が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、服飾の技術分野に関し、具体的には、パース又はクラッチスタイルのハンドバッグに関する。より具体的には、ここに開示されたものは、メタルのパース又はクラッチバッグである。また、携帯電話が受信可能に設計されたメタルのパース又はクラッチバッグを開示する。
【背景技術】
【0003】
最新のファッション業界の世界は、要求が厳しく、絶えず変化しており、過去の流行を今なお見直し、改良している。シンプルで、スタイリッシュで、且つ機能的なアイテムが常に要求されている。パース又はクラッチバッグは、お気に入りアイテム、例えば化粧品、財布、そして近年では携帯電話又は他のワイヤレス機器などを保持するのに十分なサイズを有することが必要である。パース及びクラッチバッグは、コットン、革、シルク、そして金属までも含む多様な素材より作製されることが知られている。メタルパースは、金属が携帯電話及び他のワイヤレス機器の信号と干渉するという点で現代生活に対するユニークな挑戦となっている。パース又はクラッチバッグの中に携帯電話又はワイヤレス機器を収納するとき、場合によっては、機器がワイヤレス事業者又は他のネットワークとの接続状態を維持することが望ましい場合がある。従って、メタルパース又はクラッチバッグの改良されたデザインの必要性だけではなく、閉じた状態のパース又はクラッチバッグでさえ、スタイルを維持したまま、携帯電話又はワイヤレス信号を受信する要求に対処することも求められている。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態において、ヒンジにより相互に連結されて、開放と閉鎖との位置の間でヒンジの周りを互いに回転し、収納キャビティを定める2つのメタルシェル、を備え、
各メタルシェルは、対となる周縁部をさらに備える、パースであって、
閉鎖位置において、2つのメタルシェルがそれらの間に所望のギャップ間隔のギャップを有し、閉じたとき、ギャップ間隔がパースの内外に携帯電話またはワイヤレスの信号の通過を可能とするのに充分である、パースを提供する。
【0005】
また、いくつかの実施形態において、所望のギャップ間隔は、閉じたとき、パース内で少なくとも−110dBmの信号強度を生じるのに充分である。
【0006】
更に、いくつかの実施形態において、ギャップ間隔は、少なくとも−106dBm、少なくとも−105dBm、少なくとも−103dBm、少なくとも−102dBm、少なくとも−101dBm、少なくとも−100dBm、少なくとも−97dBm、少なくとも−95dBm、少なくとも−93dBm、少なくとも−90dBM、若しくは任意の値、又は端点を含むそれらの間の値の範囲内の信号強度を提供するのに充分である。
【0007】
また、いくつかの実施形態において、ギャップ間隔は、約0.010インチ、約0.015インチ、約0.020インチ、約0.025インチ、約0.027インチ、約0.030インチ、約0.035インチ、約0.040インチ、約0.041インチ、約0.045インチ、約0.050インチ、約0.055インチ、約0.060インチ、約0.070インチ、約0.080インチ、約0.090インチ、約0.010インチ、若しくは任意の値、又は端点を含むそれらの任意の値の間の値の範囲内である。
【0008】
なお、いくつかの実施形態において、パースは、二枚貝構造を有する。
【0009】
また、いくつかの実施形態において、パースは、信号強度に関するギャップの効果を高めるために、1つのスロット、又は複数のパーフォレイションを更に定める。
【0010】
また、いくつかの実施形態において、メタルパースは、メタルシェルに取り付けられた少なくとも1つの外側装飾シェルを更に備える。
【0011】
なお、いくつかの実施形態において、外側装飾シェルは、プラスチック又はポリカーボネートを含む。
【0012】
また、いくつかの実施形態において、外側装飾シェルは、メタルシェルに取り外されないように取り付けられる。
【0013】
また、いくつかの実施形態において、外側装飾シェルは、メタルシェルに脱着可能に取り付けられる。
【0014】
他の実施形態は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなしに、本明細書より明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】いくつかの実施形態に係るパース及びラッチの斜視図である。
図2】いくつかの実施形態に係るパース及びラッチの正面図である。
図3】いくつかの実施形態に係るパース及びラッチの側面図である。
図4A】いくつかの実施形態に係るパース及びラッチの閉じた状態を示す側面図である。
図4B】いくつかの実施形態に係る、ラッチが部分的外されたパース及びラッチの側面図である。
図4C】いくつかの実施形態に係る、ラッチが外されたパース及びラッチの側面図である。
図5】いくつかの実施形態に係るパース及びラッチの底面図である。
図6】いくつかの実施形態に係る開放位置のパース及びラッチの斜視図である。
図7A】いくつかの実施形態に係るパーフォレイションを示す斜視図である。
図7B】いくつかの実施形態に係るスロットを示す斜視図である。
図7C】いくつかの実施形態に係るギャップを示す斜視図である。
図8】二枚貝構造のパースの全開状態を示す上面図である。
図9】初期の構想図の一連である。
図10A】いくつかの実施形態に係る外側プラスチックシェルの図である。
図10B】いくつかの実施形態に係る外側プラスチックシェルの図である。
図10C】いくつかの実施形態に係る外側プラスチックシェルの図である。
図10D】いくつかの実施形態に係る外側プラスチックシェルの図である。
図11】ここに述べるパースの一実施形態の側面図である。
図12】いくつかの実施形態のギャップを示す図11の実施形態の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全体的に、ここに開示されたメタルパースの種々の実施形態において、メタルパースは、クラッチバッグの形でもよい。以下は簡単に、パース又はクラッチバッグを総称してパースと称する。製造上一般的に、パースは、外側部分と裏地とより構成されている。本開示では、外側部分は、実際にメタルシェルである。メタルシェルは、一般に二枚貝構造であり、ヒンジによって二枚貝の2つの片割れが相互に連結され、ヒンジの周りを互いに回転することによってパースが開かれる。いくつかの実施形態において、装飾及び/又は保護のために、メタルシェルの外面にペンキが塗装されたり、又はコーティングされたりしてもよい。いくつかの実施形態において、装飾のためにも、少なくとも二枚貝の片方の片割れに、ほとんどの場合は両方の片割れに、外側シェルが取り付けられている。外側シェルは、任意の適切な素材で作製されてもよく、特に、プラスチック及びポリカーボネートが適材である。
【0017】
メタルシェルは、任意の外形又は外観、及び任意の構造であってもよい。具体的には、二枚貝構造は、一つ以上のヒンジを通じて2つの片割れが連結されることで美観性及び機能性のバランスを実現させる。メタルシェルは、任意の適切なメタル又は合金で作製されてもよい。限定するものではないが、メタルシェルは、スティール、ステンレススティール、アルミニウム、銅、ブロンズ、金及び銀などの貴金属、又はこれらの混合物であってもよい。各メタルシェルは、実質的に固体であり、また、以下に説明するように、いくつかの実施形態において、パーフォレイション、及び/又は一つ以上のスロットが設けられる。
【0018】
裏地は、任意の素材であってもよく、通常は布又は革である。裏地は、パースの基本的な機能には必要ではないため、いくつかの実施形態においては省略されてもよい。裏地が付けられている場合は、装飾の価値及びパースの内容物を保護する機能を有し、更に当該裏地は、ポケット又は他の細部を備え、パースの内容物の動くことによって音の発生を抑えるように機能してもよい。
【0019】
また、パースは、ヒンジの過剰回転を防ぐため、留め具を備えるように構成されてもよく、すなわち、予め決められた角度、例えば、90度又は110度まで回転を制限するように構成されてもよい。不注意によるパースが全開し、中身の飛び出しを防ぐことが望ましい場合がある。
【0020】
また、パースは、所望のときにパースを閉じるため、ラッチを備えるように構成されてもよい。或いは、パースは、ばね仕掛けのヒンジ又は似たような構造を有し、閉じた状態にバイアスをかけることによってパースの中身を保護してもよい。当業者により理解できるように、パースは、ばね仕掛けのヒンジにより再び開放状態を維持するように構成されてもよい、或いは、サポートアームなどの類似構造を採用してもよい。いくつかの実施例において、装飾ラッチがこれらの方法と併用されてもよい。
【0021】
図1−5は、いくつかの実施形態に係るパースを示す。図1には、メタルシェル10Aと10Bとを有する二枚貝構造のパース100が示されている。装飾ラッチ500も図1に示され、当該パースは、全体的に丸みを帯びた楕円形である。パースは任意の好みの形状及びサイズであってもよい。添付図面に示されたメタルシェルは、なめらかで円形である。本開示の範囲及び精神を逸脱しない限り、他の形状、例えば正方形、長方形、又はその他の形状であってもよい。
【0022】
図6は、開放位置のパースの斜視図を示す。当該位置では、メタルシェル及び二枚貝メタルシェルの2つの片割れを連結するヒンジによって定義されるパースの内部が示される。ヒンジは、互いに回転する2つの片割れの本体を連結するために使用される、ピアノ用のヒンジ又は類似物のような任意の従来のヒンジであってもよい。また、サイズ及び構造によって単一又は複数のヒンジを用いてもよい。いくつかの実施形態において、メタルシェルは、ヒンジが収容される凹みを有する。本明細書及び図面は二枚貝構造に焦点をあてているが、他の構造でも可能である。
【0023】
いくつかの実施形態において、メタルシェルの外面は、ペンキ、粉体塗装、又は他の表面処理法によって覆われてもよい。いくつかの実施形態において、メタルシェルは、外側装飾シェルで覆われてもよい。外側シェルは、任意の適切な素材で作成されてもよく、通常は、プラスチック又はポリカーボネートが使われる。いくつかの実施形態において、外側シェルは、メタルシェルの外面に取り付けられる硬質プラスチック又はポリカーボネートである。外側シェルは、フリクション、粘着、又は他の適切な方法を用いてメタルシェルに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、外側シェルは、取り外されないようにメタルシェルに取り付けられ、すなわち、エンドユーザに取り外されないように構成される。他のいくつかの実施形態において、外側シェルは、脱着可能に設計され、1つ以上の外側シェルデザインを入れ替えたり、或いはユーザが下地のメタルシェル(完成又は未完成)の外面を露出させたりすることが可能である。各外側シェルは、所望の設計要素又は色で装飾される。また、外側シェルは、任意の形状であってもよい。ただ、典型的には下地のメタルシェルに補足的な形状であって、基本的にメタルシェルの装飾層になる。いくつかの実施形態において、外側シェルは、テクスチャード加工によって他のデザイン要素を提供してもよい。
【0024】
モデム社会において、携帯電話やタブレットなどのワイヤレス機器が収容されていないパースはほぼ見つからないであろう。完全に閉じたメタルパースは、ワイヤレス信号の通過を事実上阻止する。このため、劇場の中又は食事中にワイヤレス通信を停止したい場合、効果的な解決方法かもしれない。しかしながら、多くの人々は、ワイヤレス通信が遮断されるのには抵抗がある。従って、モデムメタルパースは、この要素を考慮すべきであり、損失のないワイヤレス通信が生じるように、パースから及びパースへのワイヤレス信号の通過を可能とすべきである。しかしながら、ファッションに対する影響を可能の限り最小に抑えたうえで上記のことを実現させることが求められている。
【0025】
従って、いくつかの実施形態において、パース内でより高い信号強度を許すために開口が設けられている。開口は、メタルシェルに複数のパーフォレイション、又は1つ以上のスロット、又はメタルシェルの2つの片割れの間にギャップを設ける、或いは前記の方法を組み合わせるなど、任意の多数の方法によって実現できる。使用されているメタルの種類は、信号の強度に影響を与えるが、その影響は、適切な開口を設けることによって解消できる。
【0026】
ステンレススティール及びアルミニウムのパースは、複数のパーフォレイション、又は1つのスロット、又は1つのギャップのそれぞれが準備されている。3つの方法全てで信号の強度が改善されたが、メタルシェルの片割れの間のギャップで最も高い改善効果が得られることが分かった。以下の表にいくつかの例を示す。信号強度が0に近いほど強い信号を表す。ステンレススティール及びアルミニウムのパースにおいて、ギャップ無しの場合は、開いたシェルの片割れに電話を置いた場合の−82及び−86に対して、約−130dBmの弱い信号を有する。以下に示すように、わずか0.027インチのギャップをステンレススティールパースに設けると信号強度が大幅に改善される。表には更にスロットと、又はパーフォレイションと、ギャップとの組み合わせで得られた同様な改善効果を示している。また、これらの実験において、約−110dBmより低い信号でiPhone 4(登録商標)を鳴らすことができないことに着目すべきである。従って、閉じたパース内の−130dBmの信号は受信に足りず、ギャップを設けることによって−102又は−101dBmの信号強度に達すると電話受信が可能とするのに充分であった。
【0027】
【表1】
【0028】
従って、いくつかの実施形態において、ギャップは、閉じたときにパースの中で、少なくとも−110dBmの信号強度を生じるのに充分であるように設けられている。いくつかの実施形態において、ギャップは、少なくとも−106dBm、少なくとも−105dBm、少なくとも−103dBm、少なくとも−102dBm、少なくとも−101dBm、少なくとも−100dBm、少なくとも−97dBm、少なくとも−95dBm、少なくとも−93dBm、少なくとも−90dBm、若しくは任意の値、又は端点を含むそれらの間の値の範囲内の信号強度を提供するのに充分である。
【0029】
いくつかの実施形態において、約0.010インチ〜約0.010インチのギャップが、概ね周縁部の周りに設けられている。多くの場合、ギャップは、閉鎖位置のメタルシェルの部分が互いに当接する位置にある。パースは、完全に閉じられるのではなく、所望の間隔のギャップがもたらされ、閉じたときに間隔が維持される。ギャップは、約0.010インチ、約0.015インチ、約0.020インチ、約0.025インチ、約0.027インチ、約0.030インチ、約0.035インチ、約0.040インチ、約0.041インチ、約0.045インチ、約0.050インチ、約0.055インチ、約0.060インチ、約0.070インチ、約0.080インチ、約0.090インチ、約0.010インチ、若しくは任意の値、又は端点を含むそれらの任意の値の間の値の範囲内であってもよい。所望の間隔は、任意の適切な方法でもたらされ、維持されてもよい。特に、所望のギャップ間隔を維持するために、メタルシェルの片側又は両側の縁部に沿って1つ以上のスペーサーを利用することができる。スペーサーは、メタルシェルと一体的に形成されてもよく、或いは、別に、金属、プラスチック、布、ゴム、又は他の素材をメタルシェルの片側又は両側の縁部に取り付けて設けられてもよい。或いは、又は追加に、メタルシェルをロックするためのラッチ機構を用いて、閉じたときに所望のギャップ間隔を維持してもよい。図7Cは、実験用スペーサーを示している。当業者に明らかであるように、パースに用いられるスペーサーは、できる限り目立たないように、比較的に離散的であり、サイズがメタルシェルの厚みにより制限される。ギャップが比較的に小さく、ほぼ気づかれないように設けられるが、ときにはパースを完全に閉じて意図的に受信を遮断する場合も考えられる。従って、本開示に係るいくつかの実施形態において、スペ−ザーは、取り外せる、或いはギャップの形成又は維持しない位置への移動が可能である。この効果は、フローティングヒンジの利用によって高めることができる。具体的には、スペーサーが引き出されたときに、ヒンジは、浮き上がって、又は拡張することによって概ね周縁部全体における均一なギャップの形成に対応する。スペーサーが取り外された又は引っ込まされたとき、ヒンジは、引っ込めて完全に閉じた閉鎖状態となる。
【0030】
図11及び図12に本開示の一実施形態に係るパースを示し、パースの2つの片割れの間のギャップが明確に示されている。本実施形態において、ギャップが概ね周縁部の全体において概ね均一に設けられている。また、いくつかの構成要素、例えば、ヒンジ、バンドコネクター、及び他の要素は、ギャップの機能に明らかに影響を与えることなしに、ギャップの一部を占有してもよいことを注目すべきである。
【0031】
本開示は、引用された特定のシステム、デバイス、及び方法により限定されるものではなく、システム、デバイス、及び方法の変更は可能である。また、本明細書に使われる技術用語は、本開示の個別の解釈又は実施形態を説明するためのみのものであり、本開示の範囲を限定する意図ではない。
【0032】
本明細書に使われている単数形、「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」などの記述は、本文中に別の明確な説明がない限り、複数の対象を含む。また、他に定義しない限り、本明細書に使われている技術及び専門用語は、当業者における一般的に理解されている意味としている。本開示のいずれも、本開示に述べられた実施形態が、先行発明によってそのような開示に先行する権利を与えられないことを認めると解釈されるべきではない。本明細書に使われる「有する」は、限定するものではなく、「含む」を意味するものである。
【0033】
本出願の目的のために、以下の用語は、以下に示す意味を有する。
【0034】
「選択の」又は「選択的に」とは、その後述べられる事項又は状況が、発生する又は発生しない可能性があることを指す。また、当該記述は、事項が発生する場合と発生しない場合とを含む。
【0035】
本明細書において、どの複数形及び/又は単数形の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は適用に応じて、複数形から単数形へ、及び/又は単数形から複数形への変更が可能である。明瞭にするために、ここに各種の単数/複数の置換を明白に述べておく。
【0036】
当業者が理解できるように、任意の及び全ての目的において、例えば明細書に関して、ここで開示された全ての範囲は、任意の及び全ての可能なサブレンジ及びこれらサブレンジの組み合わせも含むものである。任意のリストされた範囲が、充分に記述されたとともに同様な範囲が少なくとも同等の半分、3、4、5、10などに分解できることは容易に認識できるであろう。限度のない例示として、ここで議論された各範囲は、下側の3領域、中央の3領域、及び上側の3領域などに容易に分解できる。なお、当業者が理解できるように、「までに」、「少なくとも」、及び他の類似的な表現の全ては、列挙された数値と、前述のようなサブレンジに更に分解できる範囲とを含む。最後に、当業者が理解できるように、範囲は、各単一の値を含む。
【0037】
ここで開示された様々な態様、他の特徴、及び機能、又はこれらから選択されたものは、様々な他の異なるシステム又は応用に結合されてもよい。様々な現在予期できない、又は予想できない代替、改善、変更、又は改良は、当業者により引き続きなされるであろうし、これらの全てが開示された実施形態に含まれる。
【0038】
本発明についていくつかの望ましい実施形態に参照しながら詳細に説明したが、他のバージョンも可能である。従って、添付の請求項の精神及び範囲は、本開示及び本明細書に含まれる説明及び好ましいバージョンに限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12