(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2に記載のプラスチックアセンブリであって、前記熱可塑性要素が、フロントガラス、天窓、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、クォーターウィンドウ、リアクォーターウィンドウ、スポイラー、ボディパネル、または前述の少なくとも1種を含む組合せであることを特徴とするプラスチックアセンブリ。
請求項6に記載の方法であって、1対のガイドで構成された側壁を有する開口チャネルを前記熱可塑性要素の表面または前記構造要素の表面に形成するステップをさらに含み、
前記繊維を前記熱可塑性要素の表面または前記構造要素の表面に配置構成するステップにおいて前記1対のガイドを用いることにより、前記繊維の配向を画定することを特徴とする方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示される異方性結合要素を使用するプラスチックアセンブリは、熱可塑性要素の縁部(例えば、外周)に実質的に直交する方向での熱可塑性要素の熱膨張に対する結合要素の所与のコンプライアンス(例えば、柔軟性)に関し、車両の捩じり剛性に改善をもたらすことができ、または反対に、所与の捩じり剛性に関するコンプライアンスを改善することができる。言い換えれば、プラスチックアセンブリにおける異方性結合要素の使用は、捩じり剛性からコンプライアンスを効果的に切り離して、コンプライアンスの増大による捩じり剛性への悪影響なしにまたは捩じり剛性の増大によるコンプライアンスへの悪影響なしに、これらの属性によってそれぞれの機能を実質的に独立して発揮させることが可能になる。異方性結合要素は、第2の異なる方向に対して第1の方向においては異なる固有の機械的応答を有する(例えば、熱可塑性要素の外周に直交する方向と、熱可塑性要素の外周に平行な方向とで異なる。)。別の言い方をすれば、異方性結合要素は、第1および第2の方向における変形に関して異なる弾性係数値を有することができる。例えば、第1および第2の係数値は、20%以上、特に25%以上、より特別には35%以上、さらにより特別には50%以上、異ならせることができる(例えば、第2の係数は第1の係数より25%以上大きくすることができ、第1の係数は、熱可塑性要素の外周に直交する変形に関する。)。
【0015】
熱膨張コンプライアンスと捩じり剛性との間の対立に対処するために、異方性結合要素は、熱可塑性要素を構造要素(例えば、フレーム)に取り付けることができ、それと同時に、熱膨張の主要な方向(即ち、熱可塑性要素外周に直交)での比較的高いコンプライアンスと、例えば前車軸および後車軸の間の捩じりによる応力が結合要素内で生じる可能性のある方向(即ち、熱可塑性要素外周に平行)での比較的高い剛性とがもたらされる。異方性結合要素は、プラスチックアセンブリが温度変化に曝されたときの変形によって面外撓みを最小限に抑制するのを助けることができ、それによって、熱可塑性要素を必要に応じて膨張させ収縮させる。例えば、自動車の屋根の用途では、最大面外撓みは屋根のグレージングの最大側方寸法の3%未満、特に2%未満、より特別には1%未満のままであるべきである。
【0016】
異方性結合要素は、熱可塑性要素外周に平行な方向でプラスチックアセンブリの剛性(例えば、捩じり剛性)を高める能力を有し、それと同時に、熱可塑性要素を熱可塑性要素外周に直交する方向に曲げる能力を保持する。一実施形態では、異方性結合要素は、第1の配向方向での変形に関する第1の係数および第2の配向方向での変形に関する第2の係数を有する異方性材料を含み、この第2の係数は第1の係数よりも25%以上大きいものである。
【0017】
本明細書に開示される構成部品、プロセス、および装置のより完全な理解は、添付図面を参照することによって得ることができる。これらの図(本明細書では、「FIG.」とも呼ぶ。)は、本開示を実証する便宜上または容易さに基づいた単なる概略図であり、したがって、デバイスまたはその構成部品の相対的なサイズおよび寸法を示すものではなく、かつ/または例示的な実施形態の範囲を画定しもしくは限定しようとするものでもない。特定の用語が、明確にするために以下の記述で使用されるが、これらの用語は、図面に示すために選択された実施形態の特定の構造を単に指すものであり、本開示の範囲を画定しまたは限定しようとするものではない。図面および以下に続く記述において、同様の数値表示は同様の機能の構成部品を指すことを理解されたい。
【0018】
図1および2に示されるように、グレージング10(例えば、熱可塑性要素10)は一般に、基板12と、例えば紫外線から保護するために基板12の片面または両面に配置された耐候層14と、例えば引っ掻き傷または破片に関連した損傷から基板12を保護するために基板12の片面または両面に配置された耐摩耗層16(例えば、プラズマコーティング)とを含むことができる。耐候層14および耐摩耗層16が共に存在する場合、耐候層14は、基板12と耐摩耗層16との間に位置付けることができる。
【0019】
基板は、ポリカーボネート樹脂、アクリルポリマー、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリスルホン樹脂、ならびに前述の少なくとも1種を含む組合せなどのプラスチックを含むことができる。いくつかの実施形態では、基板は、5%から25%の可視光透過率を有する不透明なまたは濃く色付けられたプラスチック(例えば、天窓、車体パネルの用途、車両用窓など)を含むことができ、一方その他の実施形態では、基板は、70%以上の可視光透過率を有する透明プラスチック(例えば、フロントガラス、運転手側のサイドウィンドウなど)を含むことができる。可視光透過率は、米国材料試験協会(American Society for Testing Materials(ASTM))の規格D1003−11、Commission Intemationale de L’Eclairage(CIE)標準光源Cを使用したProcedure A(例えば、国際標準化機構(International Standards Organization(ISO))10526参照)に従い決定することができる。ポリカーボネート樹脂は、(1種以上の)2価フェノールと、ホスゲン、ハロホルメート、または炭酸エステルなどのカーボネート前駆体とを反応させることによって調製されてもよい、芳香族カーボネートポリマーとすることができる。使用することができるポリカーボネートの一例は、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販されているポリカーボネートLEXAN(商標)である。透明プラスチック基板は、ビスフェノール−Aポリカーボネートおよびその他の樹脂グレード(分枝または置換など)ならびにポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ−(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)、またはポリエチレンなどの、その他のポリマーと共重合されまたはブレンドされたものを含むことができる。
【0020】
アクリルポリマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリル酸シクロヘキシルなどのモノマー、ならびに前述の少なくとも1種を含む組合せから調製することができる。アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、およびn−ブチルアクリレートなどの置換アクリレートおよびメタクリレートを使用することもできる。
【0021】
ポリエステルは、例えば、有機ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、およびドデカンジオン酸など)またはそれらの無水物と、第1級または第2級ヒドロキシル基を含有する有機ポリオール(例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびシクロヘキサンジメタノール)とのポリエステル重縮合によって調製することができる。
【0022】
ポリウレタンは、基板を形成するのに使用することができる、別の種類の材料である。ポリウレタンは、ポリイソシアネートとポリオール、ポリアミン、または水との反応によって調製することができる。ポリイソシアネートの例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート、およびビウレットと、これらのジイソシアネートのチソシアヌレート(thisocyanurate)が含まれる。ポリオールの例には、低分子量脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および脂肪アルコールなどが含まれる。基板を形成することができるその他の材料の例には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、VALOX(商標)(SABIC’s Innovative Plastics businessから市販されているポリブチレンフタレート)、およびXENOY(商標)(SABIC’s Innovative Plastics businessから市販されているLEXAN(商標)とVALOX(商標)とのブレンド)などが含まれる。
【0023】
プラスチック基板は、(1種以上の)着色剤、(1種以上の)離型剤、(1種以上の)抗酸化剤、(1種以上の)界面活性剤、(1種以上の)可塑剤、(1種以上の)赤外線吸収剤、(1種以上の)帯電防止剤、(1種以上の)抗菌剤、(1種以上の)流動添加剤、(1種以上の)分散剤、(1種以上の)相溶剤、紫外線吸収剤、および前述の少なくとも1種を含む組合せなど、様々な添加剤をさらに含むことができる。
【0024】
基板は、射出成形、押出し、常温成形(cold forming)、真空成形、圧縮成形、トランスファー成形、および熱成形などにより、様々な手法で形成することができる。物品は、任意の形状であってもよく、完成した商品である必要はなく、即ち物品は、切断もしくはサイジングすることが可能でありまたは機械的に造形して完成品にすることが可能なシート材料またはフィルムであってもよい。
【0025】
耐候層(例えば、コーティング)は、例えば100マイクロメートル(μm)以下の厚さで、特に4μmから65μmの厚さで基板に付着させることができる。耐候層は、プラスチック基板を室温および大気圧でコーティング溶液に浸漬すること(即ち、浸漬コーティング)を含めた様々な手段によって、付着させることができる。耐候層は、流動コーティング、カーテンコーティング、およびスプレーコーティングを含むがこれに限定することのない、その他の方法によって付着させることもできる。耐候層は、シリコーン(例えば、シリコーン硬質コート)、ポリウレタン(例えば、ポリウレタンアクリレート)、アクリル、ポリアクリレート(例えば、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、エポキシ、および前述の少なくとも1種を含む組合せを含むことができる。耐候層14は、紫外線吸収分子(例えば、ヒドロキシフェニルタジン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシルフェニルベンゾタゾール、ヒドロキシフェニルトリアジン、ポリアロイルレソルシノール、およびシアノアクリレート、ならびに前述の少なくとも1種を含む組合せなど)を含むことができる。例えば耐候層は、シリコーン硬質コート層(Momentive Performance Materialsから販売されているAS4000またはAS4700)を含むことができる。
【0026】
耐候層は、耐候系をグレージングに与えるためにプライマー層およびコーティング(例えば、トップコート)を含むことができる。プライマー層は、基板への耐候系の接着を補助することができる。プライマー層は、アクリル、ポリエステル、エポキシ、および前述の少なくとも1種を含む組合せを含むことができるが、これらに限定するものではない。プライマー層は、耐候層のトップコートに加えてまたは代わりに、紫外線吸収剤を含むこともできる。例えばプライマー層は、アクリルプライマー(Momentive Performance Materialsから販売されているSHP401またはSHP470)を含むことができる。
【0027】
耐摩耗層(例えば、コーティングまたはプラズマコーティング)は、単層または多数の層を含むことができ、グレージングの耐摩耗性を改善することによって高められた機能性を付加することができる。一般に、耐摩耗層16は、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、水素化酸炭化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、ガラス、および前述の少なくとも1種を含む組合せなどであるがこれらに限定されない有機コーティングおよび/または無機コーティングを含むことができる。
【0028】
耐摩耗層は、真空補助下堆積プロセスおよび大気圧コーティングなどの様々な堆積技法によって付着させることができる。例えば、真空補助下堆積プロセスは、プラズマ増速化学気相成長(PECVD)、アークPECVD、膨張性熱プラズマPECVD、イオンアシストプラズマ成長、マグネトロンスパッタリング、電子ビーム蒸着、およびイオンビームスパッタリングを含むことができるがこれらに限定するものではなく、一方、大気圧コーティングプロセスは、カーテンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、浸漬コーティング、および流動コーティングを含むことができるがこれらに限定するものではない。
【0029】
(1種以上の)着色剤、(1種以上の)抗酸化剤、(1種以上の)界面活性剤、(1種以上の)可塑剤、(1種以上の)赤外線吸収剤、(1種以上の)帯電防止剤、(1種以上の)抗菌剤、(1種以上の)流動添加剤、(1種以上の)分散剤、(1種以上の)相溶剤、(1種以上の)硬化触媒、(1種以上の)紫外線吸収剤、および前述の少なくとも1種を含む組合せなど、様々な添加剤をプライマー層に添加することができる。様々な層に添加される任意の添加剤のタイプおよび量は、グレージングの所望の性能および最終用途に依存する。
【0030】
任意選択で、コーティング(例えば、耐候層および/または耐摩耗層)の1つ以上を、積層またはフィルムインサート成形などの方法によって基板に付着されるフィルムに換えることができる。フィルムは、生来または含有する添加剤によってまたはフィルムにより担持されるスペクトル選択的多層構造によって、分光特性を有し、これは一般には、各々が持つそれぞれの添加剤によって基板および/または(1つ以上の)任意のコーティングの分光特性を補完することができる。この場合、(1つ以上の)コーティングを、フィルムおよび/またはフィルムを有する面とは反対側の基板の面に付着させることが可能である。例えば、複数の層を含む、共押出しされたフィルム、押出しコーティングされ、ローラーコーティングされ、または押出し積層されたフィルムを、前述の硬質コート(例えば、シリコーン硬質コート)の代替として使用することができ、このフィルムは接着促進層として働くことができる。フィルムは、耐摩耗層への耐候性層(即ち、耐候性フィルム)の接着を促進させる添加剤またはコポリマーを含有することができ、かつ/またはそれ自体が、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル)などの耐候性材料を含むことができ、かつ/または下にある基板を保護するよう十分に、紫外線の透過を遮断することができ;かつ/または3次元形状パネルのフィルム射出成形(FIM)、金型内装飾(IMD)、押出し、または積層加工に適切なものにすることができる。
【0031】
ポリカーボネート副層は、担体副層として耐候性フィルムまたは別の機能性層と、共押出しすることができまたは押出し積層することができる。透明にすることができるこの副層は、耐候性層またはその他の機能性層の形成および構造を支持するのを補助することができ、それと共に任意選択で、フィルムインサート成形中の耐候性フィルムと基板との間の溶融結合を促進させることができる。担体副層は、基板と耐候フィルムとの間でのガラス転移温度(Tg)および熱膨張係数(CTE)のいかなる不整合にも順応することができる。担体副層として使用されるポリカーボネートは、プリントされたブラックアウト/フェードアウトまたは霜取りなど、および/またはグラフィックフィルムなど、追加の機能性を包含するのを支持することができる。
【0032】
等方性結合要素は、車両グレージングを車両フレームに取り付けることができる。しかし等方性結合要素には、適度な捩じり剛性をプラスチックアセンブリに与えること、および熱可塑性要素の面外撓みを適度に最小限に抑える(例えば、仕様の範囲内にとどまる)ことの間で選択が強いられるという、望ましくない傾向がある。一般に、等方性結合要素は変形して、熱可塑性要素とこれが取り付けられる構造要素(例えば、車両フレーム)との間で特異的膨張および収縮に順応するのを助ける。より大きな材料および/または幾何学的コンプライアンスを介して、等方性結合要素が側方に変形する(例えば、面外撓みが最小限に抑えられる)限り、車両の構造剛性(即ち、捩じり剛性)が低減するという望ましくない傾向がある可能性がある。さらに、等方性結合要素の断面寸法が熱可塑性要素および構造要素(例えば、フレーム)の開口部の周りで変わることができる限り、漸増的に大きくなる呼び間隙幅が必要になる。しかし、そのような増加は、認識される車両品質(即ち、適合性および仕上げ)に望ましくない影響を及ぼす可能性がある。このように、等方性結合要素を使用したときの熱可塑性要素の熱膨張に対して、捩じり剛性を与えることと、コンプライアンスを与えることとの間には、対立がある。
【0033】
標準ガラスグレージング接着剤の外殻と、ペースト状材料の核とからなる2相接着剤系であって、各相が良好な減衰特性を有する単一の連続要素である系は、ガラスグレージングと車両フレームとの間で剛性と音響減衰とのバランスをとるのに使用することができるが、ポリマーグレージング(例えば、プラスチックグレージング)と車両フレーム(例えば、金属、炭素繊維などのフレーム)との間でのより大きい特異的熱膨張に対処することができない。
【0034】
車両の用途では、プラスチックパネルの捩じり硬さを高めるのにスティフナー(stiffener)を使用することができるが、パネルおよびスティフナーの特異的膨張に順応するには追加の特徴が必要と考えられる。例えば、固定された車両の屋根一面にパネルが取り付けられない用途では、パネルの延長部分が目張りとスティフナーとの間に挟まれ、パネルが膨張しまたは収縮したときに挟持力に抗して動く。挟持力は、目張りに取り付けられ、かつ、この目張りとスティフナーとの間のパネルの延長部分に直立するガイドシリンダーに挿通されたナットに、スティフナーを接続するボルトの締結力によって、調節される。固定された車両の屋根の外周全体に取り付けられていないパネルにより、そのような構造では車両の捩じり剛性に対処できず、したがって、熱可塑性要素の熱膨張に対する捩じり剛性およびコンプライアンスをもたらすという問題を解決するための実用的な解決策を提供することができない。
【0035】
プラスチックアセンブリでの異方性結合要素の使用は、コンプライアンス(即ち、熱可塑性要素の外周に直交する変形に関する。)を捩じり剛性から効果的に切り離し、その結果、コンプライアンスの増大によって捩じり剛性に悪影響を及ぼすことなくまたはその逆もなく、これらの属性がそれぞれの機能を独立して機能させることができる。
図3に示されるように、プラスチックアセンブリ20は、異方性結合要素24を介して構造要素22(例えば、車両フレームまたは屋根フレーム)に取り付けることができる熱可塑性要素10(例えば、グレージング10)を含むことができる。構造要素22は、所望の構造完全性を構造に提供することになり、かつ、熱可塑性要素10の熱膨張係数に対してこの熱可塑性要素10の熱膨張係数の10%以上異なる熱膨張係数を有する、任意の材料を含むことができる。例えば、構造要素22は、金属(例えば、アルミニウムおよび鋼など)、プラスチック(例えば、熱可塑性(例えば、炭素繊維強化プラスチック)および熱硬化性など)、および前述の少なくとも1種を含む組合せを含むことができる。
【0036】
異方性結合要素を含む、本明細書に開示されるプラスチックアセンブリおよび車両用窓は、異方性弾性挙動を実証することができ、これは結合要素が、熱可塑性要素外周(即ち、縁部)に直交する変形に関して比較的順応性を有することができ(例えば、比較的低い係数を有し)、それと共に結合要素は、熱可塑性要素外周に平行な方向での変形に関して比較的剛性がある(例えば、比較的高い係数を有する)ことを意味する。
【0037】
異方性結合要素は、グレージングの縁部に実質的に直交する方向でのグレージングの熱膨張に関する異方性結合要素の所与のコンプライスに関して車両の捩じり剛性を改善することになる、または逆に言えば所与の捩じり剛性に関してコンプライアンスを改善することになる、任意の材料を含むことができる。例えば、異方性結合要素は、細長い部材(例えば、繊維)が内部に埋め込まれている母材を含んだ複合体材料を含むことができ、この細長い部材は、その大きなアスペクト比(例えば、10:1)、制御された配向、および母材の弾性係数とは異なる弾性係数によって、異方性を複合体材料に与えている。
【0038】
異方性結合要素は、使用される熱可塑性要素または構造要素に不可欠な特殊機構(special feature)を必要としないので、既存のグレージングおよび車両設計に適合させることができる。例えば異方性結合要素は、細長い部材を、それらが位置付けられている場所に隣接した熱可塑性要素の表面に対して平行にすることができるように、熱可塑性要素の縁部と構造要素との間に配置することができる(例えば、異方性結合要素は、構造要素第1表面と熱可塑性要素第2表面との間に位置付けることができる。)。細長い部材は、互いに実質的に平行にすることもでき、熱可塑性要素外周に実質的に平行にすることもできる。例えば
図4に示されるように、細長い部材42は、熱可塑性要素外周40の周辺に分布させることができ、かつ、熱可塑性要素第1表面50および/または熱可塑性要素第2表面52および/または構造要素第1表面54に実質的に平行に配向させることができ、それと共に、互いに実質的に平行に、かつ、熱可塑性要素外周40に実質的に平行にすることができ、それによって異方性結合要素が形成される。異方性結合要素は、熱可塑性要素をフレームに接着し、かつ/または、熱可塑性要素の熱膨張に対する所与のコンプライアンスに関して等方性結合要素に比べて高い捩じり剛性をプラスチックアセンブリに与え、かつ/または、所与の剛性に関して等方性結合要素に比べて高いコンプライアンスを与えるなど、いくつかの機能を発揮することができる。任意選択の接着剤を、熱可塑性要素と結合要素との間、および/または結合要素と構造要素との間(例えば、熱可塑性要素第2表面と結合要素第1表面との間、および/または結合要素第2表面と構造要素第1表面との間)でのさらなる接着のために使用することもできる。
【0039】
本明細書に記述されるように、細長い部材は一般に、10:1以上のアスペクト比(即ち、長さ対幅)を有することができ、互いに平行に配向することができ、熱可塑性要素外周に平行に配向することができ、熱可塑性要素表面(例えば、
図5における熱可塑性要素第1表面50および/または熱可塑性要素第2表面52)に平行に配向することができる。本明細書で言及する平行とは、一般に、細長い部材の75%以上が互いに±45°以内に配向されるように、かつ/または、特定の部材(
図4の細長い部材42参照)に隣接する熱可塑性要素の外周の一部分から±45°以内に配向されるように、細長い部材が実質的に平行になっていることを指すことを理解されたい。一実施形態では、異方性結合要素は、母材と、熱可塑性要素表面(例えば、
図5の熱可塑性要素第1表面50および/または
図5の熱可塑性要素第2表面52)に平行に配向した細長い部材とを含んだ複合体材料を含み、この細長い部材は母材に比べて剛性があり、細長い部材42は、互いに実質的に平行でもあり、かつ、熱可塑性要素外周40にも平行である。一実施形態では、細長い部材が母材よりも剛性である場合、細長い部材の75%以上、特に85%以上、より特別には95%以上を、それらが隣接する熱可塑性要素の外周の一部分に平行に(例えば、±45°以内、特に±30°以内で実質的に平行)配向することができる。しかし、細長い部材42は、
図4に示されるように、熱可塑性要素外周40の周辺に拡がることができることを理解されたい。
【0040】
様々な方法を、細長い部材を含む異方性結合要素を形成するのに利用することができる。一実施形態では、細長い部材を結合要素母材に埋め込むのに押出しを使用することができ、この細長い部材は、押出し機から出ると所望の方向に配向されて(即ち、押出し物の長さ(主軸)に平行)、異方性結合要素を形成する。例えば、結合要素母材(例えば、接着剤)および細長い部材を一緒に混合し、次いで所望の配向が繊維に与えられるようにデバイス(例えば、アパーチャまたはスクリーン)を使用して共通のリザーバから混合物として押し出すことができる。別の例として、結合要素母材および細長い部材は、別々のリザーバから別々に押し出す(例えば、形成する)ことができ、所望の方向に細長い部材を配向した後に、例えば、細長い部材および結合要素母材を構造要素に付着させるときに、合体させることができる。さらに、異方性結合要素は、例えば母材が熱可塑性要素または構造要素の表面上に押し出すときに、適正に配向された既存の細長い部材(例えば、繊維)を結合要素母材(例えば、接着剤に)中に導入する(例えば、合体する)ことによって形成することができ、したがって、複合体材料が形成される。
【0041】
別の実施形態では、細長い部材を表面で配向させ、次いで結合要素母材でオーバーコートすることができるが、これは任意選択で、最上部が開口し得るチャネルを形成する一時的な1対のガイド(例えば、2つのガイド)を用いて行われ、この内部には、配向した細長い部材、結合要素母材、およびこの結合要素母材の最上部でより配向した細長い部材を配置することができるものである。細長い部材がガイド間の間隔よりも長い場合、ガイドは、細長い部材の配向を画定するのを助け、かつ/または細長い部材および結合要素母材の合体を促進させるために、任意選択で使用することができる。
【0042】
別の実施形態では、細長い部材がプラスチックアセンブリ(例えば、熱可塑性要素または構造要素)のいずれかの表面に直接接触するのを回避するために、細長い部材を含まない結合要素母材の層と細長い部材を含む結合要素母材の層とを交互に配して、異方性結合要素が、熱可塑性要素および構造要素に接触することになるいずれかの表面に細長い部材を含まない結合要素母材層を含むようにすることができる。例えば異方性結合要素は、細長い部材を含まない結合要素母材の層と、その後に続く細長い部材を含む結合要素母材の層と、その後に続く細長い部材を含まない結合要素母材の層とを含むことができる(例えば、サンドイッチ複合体)。代替の構造では、異方性結合要素は、細長い部材を含まない結合要素母材の層と、その後に続く配向した細長い部材を含む層と、その後に続く細長い部材を含まない結合要素母材の層とを含むことができる(例えば、サンドイッチ複合体)。任意の数の層を使用してサンドイッチ複合体を形成することができ、本明細書に記述されるものに限定されないことを理解されたい。
【0043】
ガイドは、異方性結合要素を形成するため、かつ/または異方性結合要素を造形するため、例えば、熱可塑性要素外周を巡る異方性結合要素寸法の均一性を促すために、本明細書に記述される実施形態のいずれかで使用できることを理解されたい。任意選択のガイドは、異方性結合要素が固まる(例えば、硬化する)前に除去することができ、次いで異方性結合要素と、接合されるその他の表面とを接触させることができる。
【0044】
別の実施形態では、結合要素のコンプライアンスが増大したときに車両の捩じり剛性に対する悪影響を最小限に抑えるために、かつ/または結合要素断面寸法が十分に制御されていないときに大きくしなければならない可能性がある呼び間隙幅を最小限に抑えるために(例えば、最大熱膨張係数の下では、間隙幅は約1mmの最小間隙幅で維持される。)、異方性結合要素は、構造要素、フレーム、グレージング、熱可塑性要素などに取り付けるより前に固体複合体材料を含むものとすることができる。構造要素に取り付けるより前に、結合要素として固体複合体材料を使用することにより、全体として均一な結合、即ち外周の周辺に均一なコンプライアンスを得ることができ、それによって、構造要素に対する熱可塑性要素の外周を巡る間隙幅の均一な変化を促進させるが、それは固体複合体材料結合要素が、熱可塑性要素外周の周辺に均一な断面寸法を有することができるからである。例えば、固体複合体材料がテープを含む場合、テープを事前に測定し、断面寸法が全体を通して均一になるように所望のサイズに切断することができ、これは熱可塑性要素を構造要素に取り付けるために使用される場合に、全体として均一なコンプライアンスが存在することを意味する。別の実施形態では、固体複合体材料結合要素は、構造要素に取り付ける前に完全に硬化されまたは部分的に硬化される硬化性材料(例えば、液体室温加硫充填剤(RTV)(例えば、シリコーンRTV)、ゴム、または熱硬化性エラストマー(TSE)(例えば、シリコーンTSE)など)を含むことができる。結合要素は、1mmから10mmの厚さ、特に2mmから8mm、より特別には3mmから6mmの厚さを有することができる。
【0045】
均一な結合、即ち、異方性結合要素の断面寸法および熱可塑性要素の縁部に対するその配置は、断面を均一にして予備成形されておりそれによって縁部に直交する方向での均一なコンプライアンスが促進される結合要素によって、呼び間隙幅が最小限に抑えられることになり、即ち間隙幅を設計によって最小限に抑えることが可能になる。固体複合体材料としての異方性結合要素は、熱可塑性要素の外周に直交した方向に弾性特性を有することができ、その断面寸法と組み合わされることにより、熱可塑性要素と構造要素との間の特異的熱膨張に順応し、プラスチックアセンブリが曝される最高温度で仕様範囲内の面外撓みが維持されるようになる。固体複合体として、異方性結合要素は比較的均一な断面寸法で形成することができ、したがって熱可塑性要素と構造要素との間に配置された場合には、アセンブリが温度変化を受けて熱可塑性要素を膨張させまたは収縮させる可能性があるときに、異方性結合要素が熱可塑性要素外周の周辺に均一なコンプライアンスを提供して、均一な動きをすることができるようになる。さらに、熱可塑性要素または構造要素に取り付ける前に完全に硬化されても部分的に硬化されても、固体複合体材料結合要素は、熱可塑性要素または構造要素上に直接押し出された結合要素よりも制御可能に位置決めすることができ、その後、プラスチックアセンブリの形成中に加圧されることができる。
【0046】
別の言い方をすれば、異方性結合要素は、結合要素の断面寸法および配置の変動(熱可塑性要素および/または構造要素の縁部に対する。)を低減させるのを助ける固体材料を含むことができる。固体異方性結合要素は、熱可塑性要素が温度の変化と共に膨張および/または収縮するときに、熱可塑性要素外周および構造要素開口部の周りで比較的均一な間隙幅を維持するのに使用することもでき、したがって、熱可塑性要素の最大熱膨張の下で局所的な間隙閉鎖を回避しながら、設計によって間隙幅を最小限に抑えることが可能になる。この実施形態では、異方性結合要素は、異方性結合要素中に埋め込まれた細長い部材に関して既に述べたように、予備成形することができる。固体異方性結合要素は、熱可塑性要素および構造要素に取り付ける前に、完全にまたは部分的に硬化することができる。取り付け前に部分硬化する場合、結合要素は、熱可塑性要素および構造要素に取り付けられた後に、硬化を終わらせることができる。構造要素に熱可塑性要素を取り付けるのに備え、異方性結合要素を最初に構造要素または熱可塑性要素のいずれかに接着することができる。
【0047】
異方性結合要素と熱可塑性要素および/または構造要素との間のさらなる接着は、接着剤の任意選択の使用によって実現することができる(
図5の接着剤32参照)。接着剤は、プラスチックアセンブリのコンプライアンスに寄与することができる。異方性結合要素および/または接着剤は、車両音響性能の効率的な減衰にも寄与することができる。固体結合要素(例えば、完全に硬化した固体結合要素)に順応するために、接着剤は、1mm以下の厚さ、特に0.5mm以下の厚さを有することができる。接着剤は、0.1mmから0.9mmの厚さを有することもできる。一実施形態では、例えばグレージングでは、接着剤を、グレージングと異方性結合要素との間、および/または構造要素と異方性結合要素との間でグレージングの外周の周辺に延ばすことができ、その結果、騒音、水分などに対する障壁が得られる。接着剤は、例えば一実施形態において両面テープを含むことができる。
【0048】
細長い部材は、1000:1よりも大きく、特に100:1であり、より特別には10:1であるアスペクト比を有する材料を含むことができる。例えば細長い部材は、繊維、例えばケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および硫酸カルシウム半水和物の少なくとも1種を含むブレンドから誘導されたものなどの、加工された鉱物繊維;木粉、セルロース、木綿、サイザル、ジュート、デンブン、コルク粉、リグニン、落花生の殻、トウモロコシ、籾殻を含む天然繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート、およびその他のポリエステル繊維などのポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリイミド2080およびPBZ繊維(共にDow Chemical Companyの製品)などのポリイミド繊維、ポリ硫化フェニレン繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリーレート、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、芳香族ポリアミドを含む高い熱安定性を有する高強力繊維、Kevlar(Du Pontの製品)などのポリアラミド繊維、ポリベンズイミダゾール、ポリ硫化フェニレン、ポリベンズオキサゾール、および前述の少なくとも1種を含む組合せを含む、合成強化繊維;ホウ素繊維;炭化ケイ素などのセラミック繊維、アルミニウム、ホウ素、およびケイ素の混合酸化物からの繊維;炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、炭化ホウ素繊維、鉄繊維、ニッケル繊維、銅繊維を含む単結晶繊維または「ウィスカー」;E、A、C、ECR、R、S、D、およびNEガラス、および石英などの、織物用ガラス繊維を含むガラス繊維;玄武岩繊維;炭素繊維または気相成長炭素繊維;ならびに前述の少なくとも1種を含む組合せとすることができる。
【0049】
炭素繊維には、例えばチベッツらの米国特許第4,565,684号および第5,024,818号、アラカワの第4,572,813号;テンネントの第4,663,230号および第5,165,909号、コマツらの第4,816,289号、アラカワらの第4,876,078号、テンネントらの第5,589,152号、およびナハスらの第5,591,382号などに記載されるように、約3.5から約500ナノメートルの平均直径を有するものが含まれる。繊維状充填剤の非限定的な例には、無機繊維であって、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、および硫酸カルシウム半水和物の少なくとも1種を含んだブレンドから誘導されたものなどの加工された鉱物繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素などのセラミック繊維、アルミニウム、ホウ素、およびケイ素の混合酸化物からの繊維であって、3M Co.、St.Paul、MN、USAにより商標名NEXTEL
*の下で販売されているものを含めた、無機繊維が含まれる。また、木材を微粉化することによって得られた木粉、例えばセルロース、木綿、サイザル、ジュート、布、麻布、フェルトなどの繊維状生成物、および、例えばKraft紙、コットン紙、およびガラス繊維を含有する紙などの天然セルロース系織布、デンプン、コルク粉、リグニン、落花生の殻、トウモロコシ、籾殻、および前述の少なくとも1種を含む混合物を含めた、天然有機繊維も含まれる。
【0050】
一般に、約4.0から約35.0マイクロメートルの呼びフィラメント直径を有する商業的に製造されるガラス繊維、および、(例えば)約9.0から約30.0マイクロメートルの呼びフィラメント直径を有し、ソーダフリー(E−ガラス)繊維である、最も一般的に製造される石灰−ホウケイ酸アルミニウムガラスを、使用することができる。フィラメントは、水蒸気または空気ブロー、フレームブロー、機械的引張りなどのプロセスによって作製することができる。ガラス繊維は、サイジングしてもしなくてもよく、サイジングは、一般に、適切な組成物でガラス繊維をコーティングすることを指す。例えば、サイジングされるガラス繊維は、その表面の少なくとも一部分を、結合要素母材に適合性があるとして選択されたサイジング組成物でコーティングすることができる。サイジング組成物は、繊維ストランド上での母材材料のウェットアウトおよびウェットスルーを容易にし、結合要素材料に所望の物理的性質を獲得するのを補助する。より詳細には、サイジング組成物は、加工のためにガラス繊維を保護するのを助け、結合要素母材への適正な結合を確実にするのを助け、それによって、剪断荷重をガラス繊維から母材に移すことが可能になる。
【0051】
図5に示されるように、熱可塑性要素10は、異方性結合要素24で構造要素22に取り付けることができる。同様に
図5に示されるように、熱可塑性要素10は、熱可塑性要素第1表面50および熱可塑性要素第2表面52を有することができ;構造要素22は、構造要素第1表面54および構造要素第2表面56を有することができ;結合要素24は、結合要素第1表面58および結合要素第2表面60を有することができる。結合要素は、熱可塑性要素第2表面52と構造要素第1表面54との間に位置付けることができる。
図6は、熱可塑性要素10を構造要素22に取り付けるのを助けるために、任意選択のスティフナー26を使用することができる実施形態を示す。
図6に示されるように、任意選択のスティフナー26は、熱可塑性要素10と異方性要素24との間に位置付けることができる。
【0052】
存在する場合には、スティフナー26を、任意選択で、熱可塑性要素第2表面52と異方性結合要素第1表面58との間、および/または構造要素第1表面54と異方性結合要素第2表面60との間に配置することができる。スティフナー26は、追加の捩じり剛性を構造全体に提供することができる。一般に、スティフナー26は、系全体の弾性挙動に影響を及ぼす固有の機械的性質を有する、個別の要素とすることができる。スティフナー26は一般に、グレージングに比べてより大きな剛性を有する(例えば、より硬い。)。一実施形態では、スティフナー26は、金属などの材料を含むことができる。例えばスティフナー26は、金属板(例えば、鋼板)とすることができる。スティフナー26は、25ミリメートル(mm)から100mmの幅、特に30mmから75mm、より特別には35mmから70mm、さらにより特別には45mmから60mmの幅と、1.0mmから5.0mmの厚さ、特に1.5mmから4mm、より特別には2.0mmから3.5mmの厚さを有することができる。
【0053】
先に論じたように、かつ
図5に示されるように、間隙30を熱可塑性要素10と構造要素外部構成部品28との間に存在させて、熱可塑性要素10の面内変形に順応させることができる。間隙30は、熱可塑性要素10および構造要素外部構成部品28の特異的膨張に順応することができる。外周の周辺に均一な結合要素寸法を可能にする、任意選択の固体異方性結合要素があるために、異方性結合要素24を使用することで、間隙幅34を、車両の適合性および仕上げの外観を損なわないレベルで維持することが可能になる。異方性結合要素24の厚さ「t」も、
図5に示されている。
【0054】
本明細書に開示されるプラスチックアセンブリは、グレージング(例えば、フロントガラス、天窓、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、クォーターウィンドウ、リアクォーターウィンドウ、スポイラーなど)、ボディパネル、照明モジュール、建物、スタジアム、および窓(例えば、建物、住宅など)などを含むがこれらに限定することのない、特異的熱膨張を経験する任意の用途で物品を形成するのに使用することができる。
【0055】
以下に、プラスチックアセンブリと、それを含む物品と、プラスチックアセンブリを作製するための方法との、いくつかの実施形態を示す。
【0056】
実施形態1:熱可塑性要素第1表面および熱可塑性要素第2表面を有する熱可塑性要素と;構造要素第1表面および構造要素第2表面を有する構造要素であって、熱可塑性要素が開口部内にある構造要素と;熱可塑性要素第2表面と構造要素第1表面との間にある異方性結合要素とを含む、プラスチックアセンブリ。
【0057】
実施形態2:異方性結合要素が、第1の配向方向での変形に関する第1の弾性係数と、第2の配向方向での変形に関する第2の弾性係数とを有し、第2の弾性係数が第1の弾性係数よりも25%以上大きい、実施形態1のプラスチックアセンブリ。
【0058】
実施形態3:第1の弾性係数が、熱可塑性要素の外周に直交する変形に関するものである、実施形態2のプラスチックアセンブリ。
【0059】
実施形態4:熱可塑性要素が第1の熱膨張係数を有し;構造要素が第2の熱膨張係数を有し、但し第1の熱膨張係数および第2の熱膨張係数が10%以上異なるものであり;異方性結合要素が細長い部材を母材中に含む、実施形態1〜3のいずれかのプラスチックアセンブリ。
【0060】
実施形態5:異方性結合要素が、熱可塑性要素を構造要素に取り付けるより前に固体複合体材料を含むものである、実施形態1〜4のいずれかのプラスチックアセンブリ。
【0061】
実施形態6:熱可塑性要素第2表面と結合要素第1表面との間、および/または結合要素第2表面と構造要素第1表面との間に、接着剤をさらに含む、実施形態1〜5のいずれかのプラスチックアセンブリ。
【0062】
実施形態7:細長い部材が繊維を含む、実施形態1〜6のいずれかのプラスチックアセンブリ。
【0063】
実施形態8:熱可塑性要素がポリカーボネートを含む、実施形態1〜7のいずれかのプラスチックアセンブリ。
【0064】
実施形態9:熱可塑性要素が、フロントガラス、天窓、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、クォーターウィンドウ、リアクォーターウィンドウ、スポイラー、ボディパネル、または前述の少なくとも1種を含む組合せである、実施形態1〜8のいずれかのプラスチックアセンブリ。
【0065】
実施形態10:実施形態1〜9のいずれかのプラスチックアセンブリから作製された物品。
【0066】
実施形態11:アセンブリが、グレージング、照明モジュール、ボディパネル、天窓、建物、スタジアム、窓、または前述の少なくとも1種を含む組合せである。実施形態10の物品。
【0067】
実施形態12:異方性結合要素を形成するステップであって、異方性結合要素が結合要素母材および細長い部材を含み、細長い部材が、結合要素母材の弾性係数とは異なる弾性係数を有しているステップと;構造要素第1表面および構造要素第2表面を有する構造要素と、熱可塑性要素第1表面および熱可塑性要素第2表面を有する熱可塑性要素とを組み立てるステップであって、結合要素が構造要素第1表面と熱可塑性要素第2表面との間に位置付けられているステップと含む、プラスチックアセンブリを形成する方法。
【0068】
実施形態13:細長い部材の弾性係数が、結合要素母材の弾性係数よりも大きい、実施形態12の方法。
【0069】
実施形態14:細長い部材を熱可塑性要素の表面または構造要素の表面に配置構成するステップであって、構造要素が構造要素第1表面および構造要素第2表面を有し、熱可塑性要素が熱可塑性要素第1表面および熱可塑性要素第2表面を有しているステップと;細長い部材を結合要素母材でオーバーコートして、異方性結合要素を形成するステップと;プラスチックアセンブリを組み立てるステップであって、異方性結合要素が熱可塑性要素第2表面と構造要素第1表面との間に位置付けられているステップとを含む、プラスチックアセンブリを形成する方法。
【0070】
実施形態15:異方性結合要素が、熱可塑性要素を構造要素に取り付けるより前に固体複合体材料を含む、実施形態12〜14のいずれかの方法。
【0071】
実施形態16:異方性結合要素を形成するステップが、結合要素母材および細長い部材を混合して混合物を形成するステップと;混合物を共通のリザーバから押し出すステップとをさらに含む、実施形態12〜15のいずれかの方法。
【0072】
実施形態17:異方性結合要素を形成するステップが、結合要素母材を押し出し、細長い部材を別の供給源から得るステップと;細長い部材を配向させるステップと;結合要素母材および配向した細長い部材を、それらが構造要素および/または熱可塑性要素に組み立てられるときに合体させるステップとをさらに含む、実施形態12〜16のいずれかの方法。
【0073】
実施形態18:開口チャネルを1対のガイドで形成するステップをさらに含み、ガイドが細長い部材の配向を画定する、実施形態12〜17のいずれかの方法。
【0074】
実施形態19:細長い部材のない結合要素母材を含んだ第1の層、細長い部材を含んだ第2の層、および細長い部材のない結合要素母材を含んだ第3の層を含む、異方性結合要素を形成するステップと;異方性結合要素を構造要素および熱可塑性要素に取り付けるステップであって、異方性結合要素が熱可塑性要素第2表面と構造要素第1表面との間にあるステップとを含む、プラスチックアセンブリを形成する方法。
【0075】
実施形態20:第2の層が、細長い部材を含んだ結合要素母材をさらに含む、実施形態19の方法。
【0076】
実施形態21:1対のガイドで開口チャネルを形成するステップであって、ガイドが細長い部材の配向を画定し、かつ/または、層の位置合わせを行うステップをさらに含む、実施形態19〜20のいずれかの方法。
【0077】
実施形態22:請求項12〜21のいずれかの方法により作製されたプラスチックアセンブリ。
【0078】
実施形態23:実施形態22のプラスチックアセンブリから作製された物品。
【0079】
実施形態24:物品が、グレージング、照明モジュール、ボディパネル、天窓、建物、スタジアム、窓、および前述の少なくとも1種を含む組合せから選択される、実施形態23の物品。
【0080】
全ての引用された特許、特許出願、およびその他の参考文献は、その全体を本願に引用して援用する。しかし、本願における用語が、組み込まれた参考文献における用語に反しまたは矛盾している場合、本願からの用語が、組み込まれた参考文献からの矛盾する用語よりも優先する。
【0081】
特定の実施形態について記述してきたが、現在のところは予測し難いまたは予測し難い可能性のある代替形態、変更形態、変形形態、改善形態、および実質的な均等物が、出願人または当業者なら思い浮かべるであろう。したがって、出願された状態のおよび補正され得る状態の、添付される特許請求の範囲は、そのような代替形態、変更形態、変形形態、改善形態、および実質的な均等物の全てを包含するものとする。