特許第6882852号(P6882852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882852
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   E04H6/06 V
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-83540(P2016-83540)
(22)【出願日】2016年4月19日
(65)【公開番号】特開2017-193845(P2017-193845A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】392018078
【氏名又は名称】日栄インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】久保田 伸裕
(72)【発明者】
【氏名】豊田 剛史
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−119985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18
E04H 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車を駐車するための機械式駐車装置であって、
地下ピットを含む構造体と、
乗降領域の外側に設けられたゲートと、
前記構造体に昇降可能に設けられて、前記自動車が載置されるパレットと、
前記パレットの幅方向両側、及び、前記パレットにおける前記自動車の入出庫側において、前記構造体の一部分を用いて構成された通路部と、を備え、
前記パレットには、前記入出庫側における、前記パレットの幅方向両側の角が三角形状に切り欠かれたすみ切りが設けられ、
前記通路部は、前記すみ切りとほぼ同じ形状で、かつ、切り欠かれた前記すみ切りの部分に張り出して設けられた張出部を有し、
前記張出部の上面全体が水平であることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記パレットの上面、前記通路部の前記入出庫側の部分の上面、および、前記張出部の上面全体が連なり同じ高さである、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記ゲートは、ゲート本体と、前記ゲート本体の前記幅方向両側に立設されて前記ゲート本体を支持する柱と、を有して構成され、
前記柱が前記通路部に隣接して設けられ、
前記張出部が、直角三角形状であり、前記張出部の直角部分が前記柱側に位置し、前記張出部の斜辺が前記パレット側に位置するように設けられ、
前記柱と前記斜辺との距離が前記自動車の乗員が通行可能な程度に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を駐車するための機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車を駐車するために、自動車を所定の格納位置まで搬送して自動車を格納する機械式駐車装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の機械式駐車装置は、自動車の通行路と同じ高さの入出庫位置にパレットを搬送して、パレットに自動車を載置したのち、地下に設けられたピットと地上の間でパレットを昇降させて自動車を搬送し、自動車を格納する。このような機械式駐車装置においては、運転者がパレット上に自動車を移動させて載置した後、あるいは自動車を搬出する際に、乗員(運転者)が機械式駐車装置の外部に出入りするための通路が設けられている。通路は、乗降領域において、パレットの両側、及び、パレットよりも自動車が入出庫する側に設けられることから、機械式駐車装置の前方にゲートを設ける場合、ゲートは入出庫側に設けられた通路の外側に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−008116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ゲートを通路の外側に設ける必要があることから、従来の機械式駐車装置は、装置全体の大きさが大きくなり、設置場所によっては設置できないという問題があった。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題点に着目し、装置全体の大きさをより小さくすることができる機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の機械式駐車装置は、自動車を駐車するための機械式駐車装置であって、地下ピットを含む構造体と、乗降領域の外側に設けられたゲートと、前記構造体に昇降可能に設けられて、前記自動車が載置されるパレットと、前記パレットの幅方向両側、及び、前記パレットにおける前記自動車の入出庫側において、前記構造体の一部分を用いて構成された通路部と、を備え、前記パレットには、前記入出庫側における、前記パレットの幅方向両側の角が三角形状に切り欠かれたすみ切りが設けられ、前記通路部は、前記すみ切りとほぼ同じ形状で、かつ、切り欠かれた前記すみ切りの部分に張り出して設けられた張出部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の機械式駐車装置によれば、パレットには、入出庫側における、前記パレットの幅方向両側の角が三角形状に切り欠かれたすみ切りが設けられ、前記すみ切りとほぼ同じ形状で、かつ、切り欠かれた前記すみ切りの部分に張り出して設けられた張出部が通路部として設けられていることから、パレットにおける自動車の入出庫側における通路部の寸法を小さくすることができる。これにより、自動車の入出庫方向における、機械式駐車装置全体の大きさを小さくすることができる。
【0008】
また、本発明の機械式駐車装置において、前記ゲートは、ゲート本体と、前記ゲート本体の前記幅方向両側に立設されて前記ゲート本体を支持する柱と、を有して構成され、前記柱が前記通路部に隣接して設けられ、前記張出部が、直角三角形状であり、前記張出部の直角部分が前記柱側に位置し、前記張出部の斜辺が前記パレット側に位置するように設けられ、前記柱と前記斜辺との距離が前記自動車の乗員が通行可能な程度に設定されていることが好ましい。これにより、張出部において、通路として有効な幅寸法が確保できる。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明の機械式駐車装置によれば、パレットに設けられたすみ切り部分に張り出して設けられた張出部が通路部として設けられて、自動車の入出庫側における通路部の寸法(自動車の入出庫方向の寸法)を小さくして、機械式駐車装置全体の大きさを小さくすることができることから、限られた駐車スペースにおいても機械式駐車装置を設置しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる機械式駐車装置を模式的に示す断面図である。
図2図1に示された機械式駐車装置を示す平面図である。
図3図2に示された機械式駐車装置の要部を示す図である。
図4】従来の機械式駐車装置の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる機械式駐車装置を図1図3を参照して説明する。
【0012】
本実施形態の機械式駐車装置1は、自動車V等の車両を駐車するために用いられるものである。機械式駐車装置1は、図1図2に示すように、自動車Vの幅方向に並んで2台、かつ、地上に1段、地下に設けられた地下ピットPに1段、合わせて上下2段の合計4台の自動車Vを格納可能な昇降式の駐車装置であり、車両の通行路と同じ高さに設けられた入出庫口から自動車Vを乗降領域Sに入庫させて、自動車Vを乗降領域Sから所定位置に搬送して格納するように構成されている。
【0013】
図1図2に示すように、機械式駐車装置1は、地下ピットPを含み、装置全体を支持する構造体2と、乗降領域Sの外側に設けられたゲート3と、自動車Vが載置されるパレット4と、を備える。また、機械式駐車装置1は、構造体2の一部分を用いて構成されるとともに、自動車Vの乗員(運転者)が自動車Vに乗降する際に通行するための通路部5をさらに備える。本実施形態において、幅方向とはパレット4の幅方向と同じ方向であり、図2における紙面左右方向(矢印Xで示す)、長手方向とはパレット4の長手方向と同じ方向であり、図2における紙面上下方向(矢印Yで示す)を示すものとする。また、入出庫側とは、長手方向Yにおいて、ゲート3が設けられており自動車Vが入出庫する側を指すものとする。
【0014】
構造体2は、機械式駐車装置1の外郭である平面視矩形状の枠体21と、パレット4の幅方向X両側に設けられ、長手方向Yに延びる縦桁22と、それぞれの縦桁22の長手方向Yの2箇所において地下ピットPの底面から地上面(車両の通行路と同じ高さ)に亘って立設されて縦桁22を支える支柱23と、パレット4を昇降させる昇降装置24と、を有して構成されている。また、枠体21は、入出庫側において幅方向Xに延びる横行部21aを有している。なお、縦桁22の上面は、横行部21aの上面よりも150mm上方に位置している。
【0015】
ゲート3は、乗降領域Sの外側に設けられており、自動車V、及び乗員が出入りする際に用いられる。ゲート3は、ゲート本体31と、ゲート本体31の幅方向Xの両側に立設されてゲート本体31を支持する柱32と、を有して構成されている。図2に示すように、ゲート3は、通路部5の後述する入出庫側部分52よりも外方に設けられている。また、柱32は、枠体21の横行部21aに固定されており、通路部5に隣接して設けられている。
【0016】
パレット4は、昇降装置24により垂直方向に昇降可能に構成されている。また、図2図3に示すように、パレット4には、長手方向Yの入出庫側における幅方向両側の角が三角形状に切り欠かれたすみ切り41が設けられている。すみ切り41は、斜辺以外の、直角をはさんだ二辺がそれぞれ450mmの直角二等辺三角形状である。なお、すみ切り41の寸法は、例えば後述する柱32と張出部53の斜辺との距離(図2図3に示すL1)等に合わせて適宜変更してもよい。
【0017】
通路部5は、パレット4の幅方向Xの両側、及び、パレット4における入出庫側において、構造体2の一部分を用いて構成されている。通路部5は、長手方向Yに延びる幅方向両側部分51と、幅方向Xに延びる入出庫側部分52と、を有する。すなわち、図2図3に示すように、縦桁22の上面が幅方向両側部分51として、枠体21の横行部21aの上面が入出庫側部分52として用いられている。また、通路部5は、平板状の直角二等辺三角形状に形成され、すみ切り41の切り欠かれた部分に張り出して設けられた張出部53をさらに有している。
【0018】
張出部53は、直角二等辺三角形状の面が水平となり、さらに、横行部21aの上面、パレット4の床面(上面)、及び張出部53の上面が連なり同じ高さになるように、直角を挟んだ二辺がそれぞれ枠体21の横行部21aと縦桁22とに固定されている。これにより、張出部53の直角二等辺三角形状の水平面を乗員が通行することができる。また、図2図3に示すように、張出部53の直角部分がゲート3の柱32側に位置し、張出部53の斜辺がパレット4側に位置するように設けられている。
【0019】
通路部5は、幅方向両側部分51と、入出庫側部分52と、張出部53と、から構成され、図3に示す斜線部分のように形成されている。また、ゲート3の柱32と張出部53の斜辺との間の距離(図2図3に示すL1)が、450mmになるように形成されている。なお、本発明の機械式駐車装置において、ゲート3の柱32と張出部53の斜辺との間の距離が、自動車Vの乗員が通行可能な程度に設定されていることが好ましい。これにより、張出部53において、通路として有効な幅寸法が確保できる。なお、この場合、ゲート3の柱32と張出部53の斜辺との間の距離は、乗員が通行可能な程度であればよく、適宜変更することができる。
【0020】
以下に、機械式駐車装置1に自動車Vを格納する手順を説明する。以下の説明において、格納位置とは、格納が完了した状態における自動車V及びパレット4の位置(図1参照)、入出庫位置とは、乗降領域Sにあり、自動車Vを入出庫する際の自動車V及びパレット4の位置を指すものとする。すなわち、上段のパレット4においては、格納位置と入出庫位置が同じであり、下段のパレット4においては、格納位置が地下ピットPの底部にある。機械式駐車装置1に自動車Vを格納する場合、自動車Vを載置するパレット4を格納位置から入出庫位置に移動させる。続いて、ゲート本体31を上昇させて、ゲート3側から自動車Vを入庫させ、パレット4に載置する。自動車Vをパレット4に載置した後、乗員は通路部5を通行してゲート3から機械式駐車装置1の外部に出て、ゲート本体31を下降させて閉じる。最後に、入庫した自動車Vを地下ピットP内に格納する場合には、パレット4を下降させて格納位置に移動させ、自動車Vの格納が完了する。
【0021】
ここで、従来の機械式駐車装置における通路部について説明する。図4は、従来の機械式駐車装置100の要部を示す図である。機械式駐車装置100は、構造体200と、ゲート300と、自動車Vが載置されるパレット400と、自動車Vの乗員が自動車Vに乗降する際に通行するための通路部500と、を備える。パレット400は、図4に示すように、すみ切りが設けられず、矩形状に形成されている。また、通路部500は、幅方向両側部分510と、入出庫側部分520と、から構成される。すなわち、機械式駐車装置100における通路部500は、図4の斜線で示す部分である。
【0022】
機械式駐車装置100のように、パレット400にすみ切りが設けられず、通路部500が張出部を有しない場合、通路部500の入出庫側部分520の長手方向Yにおける寸法(図4に示すL3)は、乗員が通行することができるように、本実施形態の機械式駐車装置1の通路部5の入出庫側部分52の長手方向Yにおける寸法(図3に示すL2)よりも大きくする必要がある。このことから、本実施形態の機械式駐車装置1よりも、装置全体の寸法が大きくなる。
【0023】
本実施形態によれば、パレット4には、入出庫側における、パレット4の幅方向Xの両側の角が三角形状に切り欠かれたすみ切り41が設けられ、すみ切り41部分には、すみ切り41とほぼ同じ形状で、かつ、すみ切り41の部分に張り出して設けられた張出部53が通路部5として設けられている。このことから、パレット4の入出庫側の端からゲート3までの距離を短くすることができる。以上により、長手方向Y(自動車Vの入出庫方向)における、機械式駐車装置1全体の大きさを小さくすることができるので、限られた駐車スペースにおいても機械式駐車装置1を設置しやすくすることができる。
【0024】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0025】
例えば、本発明の機械式駐車装置は、上下方向の段数は2段に限定されずに、さらに多くの段数から構成されていてもよい。また、パレットが横行し、水平方向にも自動車Vを搬送可能に構成されていてもよい。
【0026】
また、本実施形態において、張出部53は直角二等辺三角形状に形成されていたが、不等辺三角形状に形成されていてもよい。また、本発明の張出部は、パレットのすみ切りとほぼ同じ形状であればよく、適宜なRを有して形成されていてもよい。この場合、通路として有効な幅寸法を確保するために、張出部において、Rを有する辺の接線と構造体との間の距離が、前記自動車Vの乗員が通行可能な程度に設定されていることが好ましい。
【0027】
また、本実施形態において、張出部53は枠体21及び縦桁22に連なって設けられていたが、本発明の張出部53は地下ピットPのコンクリートから張り出して設けられていてもよい。
【0028】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0029】
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 機械式駐車装置
2 構造体
3 ゲート
4 パレット
5 通路部
31 ゲート本体
32 柱
41 すみ切り
53 張出部
V 自動車
P 地下ピット
図1
図2
図3
図4