特許第6882883号(P6882883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882883
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】磁気治療用扁平モーター
(51)【国際特許分類】
   H02K 23/54 20060101AFI20210524BHJP
   H02K 5/02 20060101ALI20210524BHJP
   A61N 2/12 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H02K23/54
   H02K5/02
   A61N2/12
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-242950(P2016-242950)
(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公開番号】特開2018-98956(P2018-98956A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】301000398
【氏名又は名称】平塚 靖宣
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】平塚 靖宣
【審査官】 末續 礼子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−129744(JP,A)
【文献】 実開昭51−090693(JP,U)
【文献】 特開2002−165891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 23/54
A61N 2/12
H02K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の磁性体ケースと、
この磁性体ケースに絶縁薄板を介在して一体に設けた静磁束が発生するマグネットからなるステーターと、
このステーターの中心位置となるように前記磁性体ケースに立設した軸体と、
この軸体の外周に回転自在に設けられ、前記磁性体ケースの上の前記絶縁薄板の導電パターンに設けたブラシと接離する整流子を有する回転筒部と、
この回転筒部に、前記ステーターと上下に対向して隙間をもって設けられ、電機子コイルからなり回転により交番磁界の動磁束が発生するローターと、
これらステーターとローターとを被覆して全体をコイン型とするように前記磁性体ケースに取り付けられ、磁束密度の変化でうず電流が生じる非磁性金属からなる非磁性体ケースと、
前記電機子コイルに前記ブラシと前記整流子を介して接続される直流電源と、
からなり、
前記ステーターを構成する前記マグネットは、所定の円周角度毎に上下交互にN極とS極に磁化されて組み合わされた内周に前記ブラシを逃げる孔を有する扁平なドーナツ型からなり、
前記ステーターの磁束の作用により回転する前記電機子コイルに発生した動磁束と、この動磁束と前記うず電流とに影響されて前記マグネットの静磁束から変化した動磁束とを前記非磁性体ケースを透過して患部に放射するようにした
ことを特徴とする磁気治療用扁平モーター。
【請求項2】
前記磁性体ケースは、外周縁の一部に突出してリード線引出し部を一体に設け、このリード線引出し部を設けた前記ステータ側の面に、前記絶縁薄板を嵌め込む嵌め込み溝が前記リード線引出し部から中心部に形成され、前記嵌め込み溝に位置決め突起を形成し、前記絶縁薄板に軸逃げ孔と位置決め孔を形成し、前記嵌め込み溝に前記絶縁薄板を嵌合して前記軸逃げ孔に前記軸体を嵌合するとともに、前記位置決め孔に前記位置決め突起を嵌合したとき、前記導電パターンを前記磁性体ケースと同一面としたことを特徴とする請求項1記載の磁気治療用扁平モーター。
【請求項3】
前記非磁性体ケースを形成する非磁性金属は、アルミニウムからなることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気治療用扁平モーター。
【請求項4】
前記ローターに、マッサージ器としての振動発生用の偏心ウェイトを連結してなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の磁気治療用扁平モーター。
【請求項5】
磁気治療用扁平モーターと略同形の前記直流電源としてのコイン型電池を横方向又は縦方向に具備したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の磁気治療用扁平モーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流モーターからの漏洩磁気を利用したコイン型の磁気治療用扁平モーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コインタイプ振動モーターが知られている(特許文献1)。
図7に示すように、ブラケット46の上部中央にシャフト42が立設され、前記ブラケット46の上面に、シャフト42と離隔され、前記シャフト42の外側周を囲むドーナッツ状のマグネット45が設置される。前記マグネット45間の空間には、曲げ部を備えたブラシ48が、上側の整流子基板49と接触する。
また、前記整流子基板49は、回転子41の背面に備えられ、前記回転子41は、マグネット45の上側に位置し、軸受43に支持され、シャフト42を中心として回転し、前記整流子基板49が位置する回転子41の上面には巻線コイル44が分離形成され、これらの間で偏心力を作用させるための重量体50が設置される。
【0003】
また、一般的に、コインタイプ振動モーターのブラケット46の上面に形成された下部の印刷回路基板47と電源を連結するため、リードワイヤを用いる。
最後に、前記ブラケット46の上部は、ケース40と結合され、相互の間に空間部を形成する。
【0004】
上記コインタイプ振動モーターの動作について説明する。
振動モーターに外部電源が加えられれば、前記ブラシ48と整流子基板49を介して、偏心された回転子41内に配置された巻線コイル44に電流が流れることになり、マグネット45とケース40とでなされた界磁との相互作用により、前記重量体50により偏心された回転子41が、軸受43を挟み前記シャフト42の周囲を回転することにより、振動が誘発される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−285009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコインタイプ振動モーターは、移動端末機等のサイレントモーターとして使用されている。このモーターは、小型で、磁気を発生するものであるから、本発明者は、この種の扁平なコイン型のモーターを磁気治療器として有効利用することに思い至った。
しかし、このコインタイプ振動モーターは、振動を発生する重量体を効率的に回転させるために、前記ケースは、磁性体からなり、マグネットの全周囲を包囲し、磁束を集中させるためのヨークとして機能しているので、大気中に漏洩する磁束は、極めて少ない。
したがって、このコインタイプ振動モーターは、磁気治療器としては、そのまま転用することができないという問題があった。
本発明は、静磁場として機能するマグネットと、動磁場として機能する電機子コイルを有するコインタイプのモーターを磁気治療器として利用することができる磁気治療用扁平モーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の磁気治療用扁平モーターは、
円板状の磁性体ケース18と、
この磁性体ケース18に絶縁薄板22を介在して一体に設けた静磁束が発生するマグネット10aからなるステーター10と、
このステーター10の中心位置となるように前記磁性体ケース18に立設した軸体13と、
この軸体13の外周に回転自在に設けられ、前記磁性体ケース18の上の前記絶縁薄板22の導電パターン19に設けたブラシ16と接離する整流子15を有する回転筒部14と、
この回転筒部14に、前記ステーター10と上下に対向して隙間をもって設けられ、電機子コイル11a、11b、11cからなり回転により動磁束が発生するローター11と、
これらステーター10とローター11とを被覆して全体をコイン型とするように前記磁性体ケース18に取り付けられ、磁束密度の変化でうず電流が生じる非磁性金属からなる非磁性体ケース12と、
前記電機子コイル11a、11b、11cに前記ブラシ16と前記整流子15を介して接続される直流電源29と、
からなり、
前記ステーター10を構成する前記マグネット10aは、所定の円周角度毎に上下交互にN極とS極に磁化されて組み合わされた内周に前記ブラシ16を逃げる孔を有する扁平なドーナツ型からなり、
前記ステーター10の磁束の作用により回転する前記電機子コイル11a、11b、11cに発生した動磁束と、この動磁束と前記うず電流とに影響されて前記マグネット10aの静磁束から変化した動磁束とを前記非磁性体ケース12を透過して患部に放射するようにした
ことを特徴とする.。
【0008】
前記磁性体ケース18は、外周縁の一部に突出してリード線引出し部23を一体に設け、このリード線引出し部23を設けた前記ステータ側の面に、前記絶縁薄板22を嵌め込む嵌め込み溝25が前記リード線引出し部23から中心部に形成され、前記嵌め込み溝25に位置決め突起30を形成し、前記絶縁薄板22に軸逃げ孔32と位置決め孔31を形成し、前記嵌め込み溝25に前記絶縁薄板22を嵌合して前記軸逃げ孔32に前記軸体13を嵌合するとともに、前記位置決め孔31に前記位置決め突起30を嵌合したとき、前記導電パターン19を前記磁性体ケース18と同一面とした
ことを特徴とする。
【0009】
前記非磁性体ケース12を形成する非磁性性金属は、アルミニウムからなることを特徴とする。
【0010】
前記ローター11に、マッサージ器としての振動発生用の偏心ウェイトを連結してなることを特徴とする。
【0011】
磁気治療用扁平モーター9と略同形の前記直流電源としてのコイン型電池29を横方向又は縦方向に具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、
円板状の磁性体ケースと、
この磁性体ケースに絶縁薄板を介在して一体に設けた静磁束が発生するマグネットからなるステーターと、
このステーターの中心位置となるように前記磁性体ケースに立設した軸体と、
この軸体の外周に回転自在に設けられ、前記磁性体ケースの上の前記絶縁薄板の導電パターンに設けたブラシと接離する整流子を有する回転筒部と、
この回転筒部に、前記ステーターと上下に対向して隙間をもって設けられ、電機子コイルからなり回転により交番磁界の動磁束が発生するローターと、
これらステーターとローターとを被覆して全体をコイン型とするように前記磁性体ケースに取り付けられ、磁束密度の変化でうず電流が生じる非磁性金属からなる非磁性体ケースと、
前記電機子コイルに前記ブラシと前記整流子を介して接続される直流電源と、
からなり、
前記ステーターを構成する前記マグネットは、所定の円周角度毎に上下交互にN極とS極に磁化されて組み合わされた内周に前記ブラシを逃げる孔を有する扁平なドーナツ型からなり、
前記ステーターの磁束の作用により回転する前記電機子コイルに発生した動磁束と、この動磁束と前記うず電流とに影響されて前記マグネットの静磁束から変化した動磁束とを前記非磁性体ケースを透過して患部に放射するようにしたので、次の効果を有する。
(1)外形がコイン型で扁平であり、どのような患部にも貼着が容易で、磁気治療器として有効である。
(2)電機子コイルで発生する交番磁界がマグネットによる前記静磁束に影響して静磁束が強められたり、弱めたりする時間的に変化する動磁束となって大気に放出される。したがって、この動磁束が、血液中のイオンの流れを活発にして血液の流れをよくする。さらに、重量のあるマグネットを固定し、軽量の電機子コイルを回転するので、電池の消費量が少なく、長時間の使用が可能となる。
(3)本発明による磁気治療用扁平モーターは、マグネットがステーターとなる磁石固定型であり、モーターの近くに磁性体があってマグネットで磁性体を引き付けてモーターとしての機能が損なわれることがあっても磁気治療器として十分な効果が得られる。
(4)前記非磁性体ケースは、非磁性の導電性金属からなるので、うず電流が生じて、磁束の変化をより複雑にすることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、
前記磁性体ケースは、外周縁の一部に突出してリード線引出し部を一体に設け、このリード線引出し部を設けた前記ステータ側の面に、前記絶縁薄板を嵌め込む嵌め込み溝が前記リード線引出し部から中心部に形成され、前記嵌め込み溝に位置決め突起を形成し、前記絶縁薄板に軸逃げ孔と位置決め孔を形成し、前記嵌め込み溝に前記絶縁薄板を嵌合して前記軸逃げ孔に前記軸体を嵌合するとともに、前記位置決め孔に前記位置決め突起を嵌合したとき、前記導電パターンを前記磁性体ケースと同一面とした扱いやすく、患部に複数個を貼り付けることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、
前記非磁性体ケースを形成する非磁性金属は、アルミニウムからなるので、大気に放出される磁束量が多くなり、磁気治療用として好適である。また、非磁性の導電性金属からなるときは、うず電流が生じて、磁束の変化をより複雑にすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、
前記ローターに、マッサージ器としての振動発生用の偏心ウェイトを連結してなるので、血液中のイオンの流れを活発にして血液の流れをよくするだけでなく、打撃によるマッサージ効果を付加することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、
磁気治療用扁平モーターと略同形の前記直流電源としてのコイン型電池を横方向又は縦方向に具備したので、磁気治療用扁平モーターに略同形のコイン型電池を組み合わせても小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の磁気治療用扁平モーターの実施例1を示す図2のA−A線断面図である。
図2】本発明の磁気治療用扁平モーターを構成するローターの平面図である。
図3】本発明の磁気治療用扁平モーターを構成するステーター(マグネット)と、表面に導電パターンを形成した絶縁薄板と、磁性体ケース(ヨーク)の分解斜視図である。
図4】本発明の磁気治療用扁平モーターに電池を横方向に一体に並べて配置した例を示す平面図である。
図5図4に示した本発明の磁気治療用扁平モーターを患部に貼着した断面図である。
図6】本発明の磁気治療用扁平モーターに電池を縦方向に一体に重ねて配置し、患部に貼着した例を示す平面図である。
図7】従来のコインタイプ振動モーターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による磁気治療用扁平モーターは、磁性体ケース18に設けたドーナツ状で扁平なマグネットからなるステーター10と、このステーター10の中心位置となるように前記磁性体ケース18に立設した軸体13と、この軸体13の外周に回転自在に設けられ、前記磁性体ケース18の上の絶縁薄板22の導電パターンに設けたブラシ16と接離する整流子15を有する回転筒部14と、この回転筒部14に、前記ステーター10と隙間をもって設けられた電機子コイルからなるローター11と、これらステーター10とローター11とを被覆して全体をコイン型とするように前記磁性体ケース18に取り付けられた非磁性体ケース12とで構成される。
【0019】
前記磁性体ケース18に非磁性体ケース12を被せた全体の形状が直径5〜30mm、高さ1.5〜15mm、より好ましくは、直径8〜20mm、高さ2〜8mmの範囲のコイン型とする。
前記非磁性体ケースは、プラスチック又は非磁性の導電性金属で構成する。
前記磁性体ケース18には、絶縁薄板22に導電パターン19とブラシ19を設ける。
【0020】
前記ローター11に、マッサージ器としての振動発生用の偏心ウェイトを連結してもよい。
磁気治療用扁平モーター9と略同形のコイン型電池29を横方向又は縦方向に具備せしめることができる。
【実施例1】
【0021】
本発明による磁気治療用扁平モーターの実施例1を図1図3に基づき説明する。
10は、ステーターで、このステーター10は、図3に示すように、ドーナツ型のマグネット10aが磁性体ケース(ヨーク)18の上に絶縁薄板(フレキシブル板)22を介在して一体に設けられている。
前記磁性体ケース18は、直径約12.0mm、厚さ約0.25mmで、外周縁の一部に突出してリード線引出し部23を一体に設け、また、表面には、深さ0.1mm程度の浅い嵌め込み溝25が前記リード線引出し部23から中心部に形成されている。前記嵌め込み溝25の中心部には、軸受17により軸体13が設けられている。この軸体13は、回転してもしなくてもよい。
前記絶縁薄板22は、厚さ約0.1mmの薄くて、かつフレキシブルな円形の絶縁板からなり、表面の両縁部に沿って2個のリード線20と導電パターン19が形成され、前記2個のリード線20は、導線引出し部33から外部に引き出される。この2個の導電パターン19には、それぞれ導電性のブラシ16が図3に示すように、90度の位相角をもって設けられている。この絶縁薄板22を前記嵌め込み溝25に嵌め込むと、位置決め孔31に、前記磁性体ケース18の位置決め突起30が嵌合し、軸逃げ孔32に、前記軸受17が遊嵌し、導電パターン19は、前記磁性体ケース18と同一面となる。
前記マグネット10aは、厚さ約0.9mm×外周直径約10.6mmで、内周に前記ブラシ16を逃げるだけの孔を有するドーナツ型で、一側面がN極、他側面がS極であり、かつN極とS極が円周方向に90度ずつ交互に組み合わされている。90度に限らず、180度ずつであってもよい。
【0022】
11は、ローターで、このローター11は、図1及び図2に示すように、位相角120度の間隔で3個の電機子コイル11a、11b、11cを非磁性体のコイル支持部材21にて樹脂モールドにより、厚さ約0.9mm×直径約11.2mmに形成したものである。前記コイル支持部材21の中央部下面には、円形凹部34を設け、さらにこの円形凹部34の中心部には、前記軸体13に嵌合する回転筒部14が設けられている。この回転筒部14は、軸体13の外周で回転するものであってもよいが、軸体13と一体に回転するものであってもよい。
この回転筒部14の外周には、軸方向に6つに分割された整流子15が設けられ、この整流子15の上端部には、配線板28を介して前記3個の電機子コイル11a、11b、11cに接続され、また、整流子15の下端部では、前記2個のブラシ16に摺動自在に接触している。
【0023】
12は、厚さが約0.25mmのプラスチック、アルミニウムその他の非磁性体ケースで、この非磁性体ケース12は、上面が閉じ、下面が開口した直径が約12.0mmの円形筒状をなしている。
【0024】
前記磁性体ケース18の上の軸体13にローター11の回転筒部14を嵌合すると、軸受17と回転筒部14の下端が密着し、ステーター10とローター11との隙間が約0.25mmとなる。さらに軸体13にワッシャ35を介して非磁性体ケース12を被せると、ローター11と非磁性体ケース12の下面との隙間が約0.25mmとなり、磁気治療用扁平モーター9の全体の高さが約2.8mmで、直径が約12.0mmとなる。
【0025】
以上のように構成された磁気治療用扁平モーター9は、図4に示すように、この扁平モーター9と略同一形状のコイン型の電池29を横方向に並べてリード線20で接続し、全体を非磁性体の薄いカバー38で被覆することで、縦×横×高さ=15×30×4mm程度の磁気治療器が得られる。
また、図6に示すように、この扁平モーター9と略同一形状のコイン型の電池29を縦方向に重ねてリード線20で接続し、全体を非磁性体の薄いカバー38で被覆することで、縦×横×高さ=15×15×10mm程度の磁気治療器が得られる。
【0026】
この磁気治療用扁平モーターを患部24に接触して貼着する。貼着するには、両面粘着シート36を使用したり、磁気治療用扁平モーターの上から絆創膏などの片面粘着テープ37で止めたりすることができる。
これらの磁気治療用扁平モーター9を患部24に貼り付けてもまだリード線20から電源を供給していない状態では、電機子コイル14に電流が流れないので、マグネットからなるステーター10からの静磁束のみが発生し、患部24のこり部分に磁気を与えて、血行を促進し、こりをやわらげる。
ここで、スイッチを閉じ、電機子コイル11a、11b、11cからなるローター11に電流を流すと、ステーター10とローター11は、位相角が異なるので、ローター11が回転する。
【0027】
ここで、ローター11は、振動モーターと異なり、偏心ウェイトなどの重量体を回転する必要がないので、小さなトルクでローター11は回転する。ローター11に電流が流れることで、ローター11の電機子コイル11a、11b、11cに動磁束が発生する。この電機子コイル11a、11b、11cの電流は、ローター11の回転により正逆反転して交番電流となるので、動磁束の方向も交番磁界となる。このローター11で発生する交番磁界が前記静磁束に影響して静磁束が強められたり、弱めたりする時間的に変化する磁束となって大気に放出される。ちなみに、家庭用磁気治療器としては、120〜150ミリテスラ程度の磁場であることが望ましい。
したがって、この磁束が、血液中のイオンの流れを活発にして血液の流れをよくする。また、本発明のコインタイプ振動モーターは、コイン型で扁平であるから、患部24に両面粘着シート36や片面粘着テープ37等で患部24に密着することにより、磁気治療用扁平モーターの磁気を有効に利用できる。また、必要に応じて複数個所に密着して使用することもできる。
【0028】
前記実施例では、電機子コイルの数を3個としたが、これに限られるものではなく、1個、2個、4個、それ以上であってもよい。
前記実施例では、全体の形状を直径が約12.0mmで、高さが約2.8mmとしたが、これに限られるものではなく、直径が約8〜30mmで、高さが約2〜5mmの範囲か、それ以外でもよく、適宜設定できる。
【0029】
前記実施例では、非磁性体ケース12は、プラスチック又はアルミニウムからなるものとしたが、磁束が通過する非磁性体であれば、銅、ニッケル、ステンレススチール、セラミックスなどの非磁性金属であってもよい。この中で非磁性金属とすることにより、うず電流が生じて、磁束の変化をより複雑にすることができる。
【0030】
前記実施例では、磁性体ケース18がヨークとして機能するが、非磁性体ケース12は、ヨークとしての機能を持たせないので、モーターとしてのトルクが減少することになるが、ローター11が回転し、磁場を変化させる機能を有するものであればよい。
前記実施例では、ローター11に偏心ウェイトなどの重量体を有しない構造としたが、非磁性体ケース12には、モーターとしてのトルクが減少することになるとしても、ローター11に設けた軽い偏心ウェイトを設けて振動を発生する程度の機能を有する構成とすることにより、磁気治療に加えて振動によるこりを和らげるマッサージ器としての効果を付加することができる。
【0031】
本発明による磁気治療用扁平モーター9は、マグネットがステーターとなる磁石固定型であり、モーターの近くに磁性体があってマグネットで磁性体を引き付けてモーターとしての機能が損なわれることがあっても磁気治療器として十分な効果が得られる。
【符号の説明】
【0032】
10…ステーター、11…ローター、12…非磁性体ケース、13…軸体、14…回転筒部、15…整流子、16…ブラシ、17…軸受、18…ヨーク、19…導電パターン、20…リード線、21…コイル支持部材、22…絶縁薄板、23…リード線引出し部、24…患部、25…嵌め込み溝、29…電池、30…位置決め突起、31…位置決め孔、32…軸逃げ孔、33…導線引出し部、34…円形凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7