【実施例1】
【0021】
本発明による磁気治療用扁平モーターの実施例1を
図1〜
図3に基づき説明する。
10は、ステーターで、このステーター10は、
図3に示すように、ドーナツ型のマグネット10aが磁性体ケース(ヨーク)18の上に絶縁薄板(フレキシブル板)22を介在して一体に設けられている。
前記磁性体ケース18は、直径約12.0mm、厚さ約0.25mmで、外周縁の一部に突出してリード線引出し部23を一体に設け、また、表面には、深さ0.1mm程度の浅い嵌め込み溝25が前記リード線引出し部23から中心部に形成されている。前記嵌め込み溝25の中心部には、軸受17により軸体13が設けられている。この軸体13は、回転してもしなくてもよい。
前記絶縁薄板22は、厚さ約0.1mmの薄くて、かつフレキシブルな円形の絶縁板からなり、表面の両縁部に沿って2個のリード線20と導電パターン19が形成され、前記2個のリード線20は、導線引出し部33から外部に引き出される。この2個の導電パターン19には、それぞれ導電性のブラシ16が
図3に示すように、90度の位相角をもって設けられている。この絶縁薄板22を前記嵌め込み溝25に嵌め込むと、位置決め孔31に、前記磁性体ケース18の位置決め突起30が嵌合し、軸逃げ孔32に、前記軸受17が遊嵌し、導電パターン19は、前記磁性体ケース18と同一面となる。
前記マグネット10aは、厚さ約0.9mm×外周直径約10.6mmで、内周に前記ブラシ16を逃げるだけの孔を有するドーナツ型で、一側面がN極、他側面がS極であり、かつN極とS極が円周方向に90度ずつ交互に組み合わされている。90度に限らず、180度ずつであってもよい。
【0022】
11は、ローターで、このローター11は、
図1及び
図2に示すように、位相角120度の間隔で3個の電機子コイル11a、11b、11cを非磁性体のコイル支持部材21にて樹脂モールドにより、厚さ約0.9mm×直径約11.2mmに形成したものである。前記コイル支持部材21の中央部下面には、円形凹部34を設け、さらにこの円形凹部34の中心部には、前記軸体13に嵌合する回転筒部14が設けられている。この回転筒部14は、軸体13の外周で回転するものであってもよいが、軸体13と一体に回転するものであってもよい。
この回転筒部14の外周には、軸方向に6つに分割された整流子15が設けられ、この整流子15の上端部には、配線板28を介して前記3個の電機子コイル11a、11b、11cに接続され、また、整流子15の下端部では、前記2個のブラシ16に摺動自在に接触している。
【0023】
12は、厚さが約0.25mmのプラスチック、アルミニウムその他の非磁性体ケースで、この非磁性体ケース12は、上面が閉じ、下面が開口した直径が約12.0mmの円形筒状をなしている。
【0024】
前記磁性体ケース18の上の軸体13にローター11の回転筒部14を嵌合すると、軸受17と回転筒部14の下端が密着し、ステーター10とローター11との隙間が約0.25mmとなる。さらに軸体13にワッシャ35を介して非磁性体ケース12を被せると、ローター11と非磁性体ケース12の下面との隙間が約0.25mmとなり、磁気治療用扁平モーター9の全体の高さが約2.8mmで、直径が約12.0mmとなる。
【0025】
以上のように構成された磁気治療用扁平モーター9は、
図4に示すように、この扁平モーター9と略同一形状のコイン型の電池29を横方向に並べてリード線20で接続し、全体を非磁性体の薄いカバー38で被覆することで、縦×横×高さ=15×30×4mm程度の磁気治療器が得られる。
また、
図6に示すように、この扁平モーター9と略同一形状のコイン型の電池29を縦方向に重ねてリード線20で接続し、全体を非磁性体の薄いカバー38で被覆することで、縦×横×高さ=15×15×10mm程度の磁気治療器が得られる。
【0026】
この磁気治療用扁平モーターを患部24に接触して貼着する。貼着するには、両面粘着シート36を使用したり、磁気治療用扁平モーターの上から絆創膏などの片面粘着テープ37で止めたりすることができる。
これらの磁気治療用扁平モーター9を患部24に貼り付けてもまだリード線20から電源を供給していない状態では、電機子コイル14に電流が流れないので、マグネットからなるステーター10からの静磁束のみが発生し、患部24のこり部分に磁気を与えて、血行を促進し、こりをやわらげる。
ここで、スイッチを閉じ、電機子コイル11a、11b、11cからなるローター11に電流を流すと、ステーター10とローター11は、位相角が異なるので、ローター11が回転する。
【0027】
ここで、ローター11は、振動モーターと異なり、偏心ウェイトなどの重量体を回転する必要がないので、小さなトルクでローター11は回転する。ローター11に電流が流れることで、ローター11の電機子コイル11a、11b、11cに動磁束が発生する。この電機子コイル11a、11b、11cの電流は、ローター11の回転により正逆反転して交番電流となるので、動磁束の方向も交番磁界となる。このローター11で発生する交番磁界が前記静磁束に影響して静磁束が強められたり、弱めたりする時間的に変化する磁束となって大気に放出される。ちなみに、家庭用磁気治療器としては、120〜150ミリテスラ程度の磁場であることが望ましい。
したがって、この磁束が、血液中のイオンの流れを活発にして血液の流れをよくする。また、本発明のコインタイプ振動モーターは、コイン型で扁平であるから、患部24に両面粘着シート36や片面粘着テープ37等で患部24に密着することにより、磁気治療用扁平モーターの磁気を有効に利用できる。また、必要に応じて複数個所に密着して使用することもできる。
【0028】
前記実施例では、電機子コイルの数を3個としたが、これに限られるものではなく、1個、2個、4個、それ以上であってもよい。
前記実施例では、全体の形状を直径が約12.0mmで、高さが約2.8mmとしたが、これに限られるものではなく、直径が約8〜30mmで、高さが約2〜5mmの範囲か、それ以外でもよく、適宜設定できる。
【0029】
前記実施例では、非磁性体ケース12は、プラスチック又はアルミニウムからなるものとしたが、磁束が通過する非磁性体であれば、銅、ニッケル、ステンレススチール、セラミックスなどの非磁性金属であってもよい。この中で非磁性金属とすることにより、うず電流が生じて、磁束の変化をより複雑にすることができる。
【0030】
前記実施例では、磁性体ケース18がヨークとして機能するが、非磁性体ケース12は、ヨークとしての機能を持たせないので、モーターとしてのトルクが減少することになるが、ローター11が回転し、磁場を変化させる機能を有するものであればよい。
前記実施例では、ローター11に偏心ウェイトなどの重量体を有しない構造としたが、非磁性体ケース12には、モーターとしてのトルクが減少することになるとしても、ローター11に設けた軽い偏心ウェイトを設けて振動を発生する程度の機能を有する構成とすることにより、磁気治療に加えて振動によるこりを和らげるマッサージ器としての効果を付加することができる。
【0031】
本発明による磁気治療用扁平モーター9は、マグネットがステーターとなる磁石固定型であり、モーターの近くに磁性体があってマグネットで磁性体を引き付けてモーターとしての機能が損なわれることがあっても磁気治療器として十分な効果が得られる。