(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する障害物検出装置および障害物検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(1.障害物検出装置の概要)
図1Aおよび
図1Bを用いて、実施形態に係る障害物検出システム1の概要について説明する。
図1Aおよび
図1Bは、実施形態に係る障害物検出システム1の概要を説明する図である。障害物検出システム1は、車両に搭載され、車両周辺の障害物を検出してユーザ(運転者)に報知する。
【0011】
障害物検出システム1は、車両の周辺を撮像した基準フレーム画像と、基準フレーム画像より過去に撮像した過去フレーム画像との差分画像に基づき、車両周辺に存在する障害物を検出する。
【0012】
このとき、障害物検出システム1は、基準フレーム画像および過去フレーム画像を平面に射影変換し、射影変換後の基準フレーム画像および過去フレーム画像の差分画像を生成する。これにより、車両の移動による基準および過去フレーム画像の位置ずれや、フレーム画像の歪みを補正することができるため、障害物の誤検出を抑制することができ、障害物の検出精度を向上させることができる。
【0013】
障害物検出システム1は、撮像装置20と、障害物検出装置10と、表示制御装置30と、表示装置40と、を備える。
【0014】
撮像装置20は、例えば車両の後方に搭載され、車両の後方周辺を一定の周期で順次撮像する。撮像装置20は、撮像したフレーム画像を障害物検出装置10および表示制御装置30に出力する。
【0015】
障害物検出装置10は、撮像装置20が撮像したフレーム画像に基づいて車両の周辺に存在する障害物を検出する。障害物検出装置10は、取得部110と、変換部140と、差分画像生成部150と、検出部180と、記憶部190と、を備える。
【0016】
取得部110は、撮像装置20から順次フレーム画像を取得する。取得部110は、例えば現時刻を基準時刻とし、現時刻に撮像装置20から取得した現フレーム画像を基準フレーム画像として変換部140に出力する。
【0017】
また、取得部110は、取得した現フレーム画像を記憶部190に記憶する。
【0018】
変換部140は、取得部110から取得したフレーム画像を平面に射影変換する。変換部140は、例えば
図1Bに示す現フレーム画像P1に対して座標変換処理を行って、車両から後方を見た平面画像P2を生成する。このとき、変換部140は、車両の移動量に基づいて座標変換を行うことで、過去フレーム画像を撮像した時刻に車両が存在していた位置から車両後方を見た平面画像P2(以下、基準平面画像P2とも記載する)を生成する。
【0019】
また、変換部140は、記憶部190に記憶されている過去フレーム画像(図示せず)に対して座標変換処理を行って、車両から後方を見た平面画像(以下、過去平面画像と記載する)を生成する。変換部140は、生成した基準平面画像P2および過去平面画像を差分画像生成部150に出力する。
【0020】
差分画像生成部150は、基準平面画像P2と過去平面画像との差分を算出し、差分画像P3を生成する。
【0021】
上述したように、基準平面画像P2および過去平面画像は、変換部140によって異なる時刻に同じ位置から同じ方向(ここでは車両後方)を見た画像に変換されている。そのため、差分画像生成部150が基準平面画像P2と過去平面画像との差分を算出すると、路面上の白線などの背景が除去された差分画像P3(
図1B参照)が得られる。
【0022】
差分画像生成部150は、得られた差分画像P3を検出部180に出力する。
【0023】
検出部180は、差分画像P3に基づいて障害物を検出する。差分画像P3は、背景を除去し障害物が残った画像である。検出部180は、例えば差分画像P3の特徴点を抽出することで差分画像P3から
図1Bの検出結果P4に示す特徴点を障害物として検出する。検出部180は、検出した障害物を表示制御装置30に出力する。
【0024】
表示制御装置30は、例えばディスプレイである表示装置40に表示画像を出力し、表示装置40の表示を制御する。表示制御装置30は、例えば撮像装置20が撮像したフレーム画像を表示装置40に表示させることで、運転者に車両の後方画像を提示する。
【0025】
また、表示制御装置30は、検出部180から障害物の検出結果P4が入力されると、検出結果P4と現フレーム画像P1とを重ねた画像P5を表示装置40に表示させることで、運転者に車両後方の障害物を報知する。
【0026】
このように、実施形態に係る障害物検出装置10は、撮像装置20が撮像したフレーム画像を平面に射影変換することで、フレーム画像の歪みや位置ずれを補正することができ、背景差分による障害物の誤検出を低減することができる。これにより、障害物検出装置10の障害物検出精度を向上させることができ、障害物検出システム1は運転者に対してより的確に障害物を報知することができる。
【0027】
(2.障害物検出システム1の詳細)
次に、
図2〜
図16を参照して、実施形態に係る障害物検出システム1の詳細について説明する。
図2は、実施形態に係る障害物検出システム1の構成を示すブロック図である。なお、
図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素を機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0028】
換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0029】
図2に示すように、障害物検出システム1は、撮像装置20、障害物検出装置10、表示制御装置30および表示装置40を備える。
【0030】
(2.1.撮像装置)
撮像装置20は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備えた車載カメラである。撮像装置20は、一定間隔の時刻ごと(例えば、1/30秒ごと)に繰り返しフレーム画像を撮像する。
【0031】
撮像装置20は、例えば
図3に示すように車両Cの後部の背面ドアC1に設けられる。撮像装置20の光軸21は、車両Cの前後方向に沿って後方に向けられる。したがって、撮像装置20は、車両Cの後方を撮像する。なお、
図3は、実施形態に係る撮像装置20の配置例を示す図である。
【0032】
また、撮像装置20は、例えば魚眼レンズ等の広角レンズを備えており、180度以上の画角θを有している。そのため、撮像装置20は、車両Cの後方に広がる180度以上の領域を撮像することができる。なお、
図3に示す撮像装置20の配置は一例であり、これに限定されない。例えば撮像装置20を車両Cの前方や側方に配置してもよい。また、撮像装置20が備える撮像素子は1つに限定されず、複数であってもよい。
【0033】
(2.2.障害物検出装置10)
図2に示す障害物検出装置10は、撮像装置20が撮像したフレーム画像に基づいて背景差分法を用いて車両Cの後方に存在する障害物を検出する。なお、障害物検出装置10が検出する障害物は立体物であり、移動物および静止物の少なくとも一方が含まれる。
【0034】
(障害物検出の概要)
ここで、まず
図4A〜
図4Cを用いて、車両Cが移動している場合に、背景差分法を用いて障害物を検出する仕組みについて簡単に説明する。
図4A〜
図4Cは、実施形態に係る障害物検出装置10による障害物の検出を説明する図である。
【0035】
背景差分法は、例えば現在と過去の異なる時間に同一位置で撮像した2枚のフレーム画像の差分を求めることで、過去に撮像したフレーム画像には存在しない物体を抽出する方法である。かかる背景差分法は、一般的に、位置が固定された撮像装置20が撮像したフレーム画像を用いて移動物を検出する場合に用いられる。
【0036】
実施形態に係る障害物検出装置10では、車両Cが所定距離移動した前後の撮像画像を平面に射影変換してから背景差分法を用いることで、静止物S1を含む障害物の検出を行う。以下、例えば車両Cが後方に移動している間に静止物S1を検出する場合について説明する。なお、ここでは、車両Cの後方に静止物S1と路面Rに標示された白線W1が存在するものとする。また、
図4A〜
図4Cでは、白線W1を見やすくするために、所定の高さを有する白線W1を図示しているが、実際には、白線W1はほぼ高さがゼロであり、以下では白線W1の高さがゼロであるものとして説明する。
【0037】
図4Aに示すように、時刻t1において撮像装置20が撮像した過去フレーム画像を、障害物検出装置10が平面Fに射影変換して過去平面画像PF1を生成する。この場合、障害物検出装置10は、過去フレーム画像が路面Rを撮像したものとして射影変換を行う。そのため、障害物検出装置10は、路面Rの位置R1から位置R2の間に白線W1が存在し、位置R2から位置R3の間に静止物S1があるものとして過去平面画像PF1を生成する。
【0038】
なお、障害物検出装置10は、時刻t1に撮像された過去フレーム画像を、時刻t1において射影変換してもよく、次の時刻t2において、時刻t2に撮像された基準フレーム画像P1と同時に射影変換してもよい。
【0039】
次に、
図4Bの矢印に示すように車両Cが後退し、時刻t2において撮像装置20が車両C後方を撮像したとする。この場合、障害物検出装置10は、
図4Cに示すように、時刻t2において撮像装置20が撮像した基準フレーム画像P1を、平面Fに射影変換して基準平面画像P2を生成する。
【0040】
すなわち、障害物検出装置10は、車両Cの移動量(
図4Bの矢印参照)に応じて、
図4Cの矢印に示すように撮像装置20の位置を移動させた仮想視点から車両C後方を見た基準平面画像P2を生成する。これにより、異なる時刻t1、t2において同一位置から撮像した過去平面画像PF1および基準平面画像P2を生成することができる。
【0041】
このとき、障害物検出装置10は、基準フレーム画像P1が路面Rを撮像したものとして射影変換を行う。すなわち、障害物検出装置10は、
図4Bおよび
図4Cに示すように、路面Rの位置R1から位置R2の間に白線W1が存在し、位置R2から位置R4の間に静止物S1があるものとして基準平面画像P2を生成する。
【0042】
図4Cに示すように、位置R2から位置R3までの距離DP1は、位置R2から位置R4までの距離DP2よりも長い。そのため、過去平面画像PF1に描画される静止物S1の大きさは、基準平面画像P2に描画される静止物S1の大きさよりも大きくなる。
【0043】
一方、白線W1は路面R上に標示されており、時刻t1、t2において、いずれも位置R1から位置R2の間に存在する。そのため、白線W1は、過去平面画像PF1および基準平面画像P2の同じ位置に同じ大きさで描画される。
【0044】
このように、異なる時刻t1、t2に撮像した過去フレーム画像および基準フレーム画像P1を平面Fに射影変換した過去平面画像PF1および基準平面画像P2において、路面Rや白線W1など路面Rと同じ高さの標示物は、同じ位置に同じ大きさで描画される。
【0045】
一方、静止物S1のように高さのある立体物は、過去平面画像PF1および基準平面画像P2において異なる大きさに描画される。そのため、過去平面画像PF1および基準平面画像P2の差分を算出することで、静止物S1を抽出することができる。
【0046】
ここで、上述したように、撮像装置20の画角θは180度以上である(
図3参照)ため撮像装置20が撮像したフレーム画像は歪んでいる。かかるフレーム画像の歪みは、車両Cの遠方、すなわちフレーム画像の周辺の方が大きくなる。
【0047】
変換部140がフレーム画像を平面Fに射影変換することで、かかるフレーム画像の歪みを補正することができるが、フレーム画像の周辺の歪みが大きいため、補正後の画像である平面画像は、画像周辺ほど元のフレーム画像と異なる画像となる。
【0048】
したがって、フレーム画像を射影変換し、フレーム画像の歪みを補正した平面画像では、遠方に存在する障害物ほど、フレームごとの差分が大きくなる。そのため、障害物検出装置10が平面Fに射影変換を行って障害物を検出することで、射影変換を行わない場合に比べて遠方に存在する障害物の検出精度を向上させることができる。
【0049】
なお、障害物検出装置10が平面Fに射影変換を行うとしたが、例えば俯瞰画像に変換しても同様に障害物を検出することができる。ただし、光軸21と垂直な平面Fに射影変換を行う場合の方が、俯瞰画像に変換する場合に比べて遠方に存在する障害物の検出精度を向上させることができる。
【0050】
これは、フレーム画像を俯瞰画像に変換すると、遠方ほど拡大されて変換されるためである。すなわち、フレーム画像を俯瞰画像に変換すると、遠方ほど拡大され解像度が劣化するため遠方の障害物の検出精度が低下してしまう。
【0051】
フレーム画像を光軸21(
図3参照)と垂直な平面Fに射影変換することで、平面画像の解像度の劣化を抑制することができる。そのため、遠方の障害物の検出精度の低下を抑制することができる。
【0052】
なお、ここでは、車両Cが移動した場合に静止物を障害物として検出する方法について説明したが、車両Cの移動量が小さくほぼ停止している場合は、移動物を検出することができる。この場合、フレーム画像を平面Fに射影変換することで、車両Cが移動している場合と同様に、遠方に存在する移動物の検出精度を向上させることができる。
【0053】
図2に戻り、障害物検出装置10の詳細について説明する。障害物検出装置10は、CPU(Central Processing Unit)および記憶部190などを備えたマイクロコンピュータである。障害物検出装置10は、例えばECU(Electric Control Unit)に実装される。
【0054】
障害物検出装置10のCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、取得部110、移動量検出部120、決定部130および障害物検出部100として機能する。
【0055】
また、取得部110、移動量検出部120、決定部130および障害物検出部100の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0056】
(2.2.1.取得部)
取得部110は、撮像装置20が撮像したフレーム画像を順次取得する。取得部110は、現時刻で取得した現フレーム画像を基準フレーム画像P1として差分画像生成部150に出力する。また、取得部110は、取得したフレーム画像を第1フレーム画像情報FP1として記憶部190に記憶する。
【0057】
取得部110は、決定部130が決定したタイミングで、取得したフレーム画像を第2フレーム画像情報FP2として記憶部190に記憶する。第1フレーム画像情報FP1および第2フレーム画像情報FP2は、障害物検出部100で算出される差分画像の過去フレーム画像として用いられる。なお、当該タイミングについては、
図6を用いて後述する。
【0058】
(2.2.2.移動量検出部)
移動量検出部120は、撮像装置20が撮像したフレーム画像に基づいて車両Cの移動量を検出する。なお、移動量検出部120が検出する移動量には、車両Cの並進量と回転量(回転角度)が含まれる。移動量検出部120は、移動ベクトル算出部121と、移動量算出部122とを備える。
【0059】
(2.2.2.1.移動ベクトル算出部)
移動ベクトル算出部121は、フレーム画像からオプティカルフローを抽出する。移動ベクトル算出部121は、抽出したオプティカルフローを路面座標に投影したフローベクトルに基づいて車両Cの移動ベクトルを算出する。
【0060】
例えば、移動ベクトル算出部121が複数のオプティカルフローを抽出した場合、移動ベクトル算出部121はそれぞれのオプティカルフローを路面座標に投影し、各オプティカルフローに対応する複数のフローベクトルを算出する。移動ベクトル算出部121は算出した複数のフローベクトルの度数分布に基づいて車両Cの移動ベクトルを決定する。
【0061】
具体的には、例えば移動ベクトル算出部121は、複数のフローベクトルに基づいて車両Cの旋回中心の候補をそれぞれ算出する。例えば移動ベクトル算出部121は、各フローベクトルの法線の延長線と車両Cの後輪車軸の延長線とが交差する点を旋回中心の候補とする。移動ベクトル算出部121は算出した旋回中心の候補のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムのピークに該当する旋回中心を車両Cの移動ベクトルの旋回中心Xに決定する。なお、決定した旋回中心Xが所定の範囲内にない場合、移動ベクトル算出部121は車両Cが「直進」していると判定する。
【0062】
移動ベクトル算出部121は、複数のフローベクトルの旋回角度を旋回中心Xに基づいてそれぞれ算出し、算出した旋回角度のヒストグラムを生成する。移動ベクトル算出部121は、ヒストグラムのピークに該当する旋回角度を車両Cの移動ベクトルの旋回角度Vθに決定する。
【0063】
移動ベクトル算出部121は、車両Cの旋回角度Vθに基づいて複数のフローベクトルの並進量を算出し、算出した並進量のヒストグラムを生成する。移動ベクトル算出部121は、ヒストグラムのピークに該当する並進量を車両Cの並進量Vmに決定する。
【0064】
ここで、例えば移動前の車両Cの進行方向をY軸、左右方向をX軸とし、車両Cの中心を原点とした座標系(以下、移動前の座標系と記載する)において、X軸における車両Cの並進量VmxおよびY軸における車両Cの並進量Vmyをそれぞれ算出するとする。
【0065】
この場合、移動ベクトル算出部121は、移動後の特徴点(移動ベクトルの終点)を旋回角度Vθに基づいて移動前の座標系に座標変換してから並進量Vmx、Vmyをそれぞれ算出する。
【0066】
移動ベクトル算出部121は、算出した旋回角度Vθおよび並進量Vmx、Vmyを移動ベクトルとして移動量算出部122に出力する。
【0067】
(2.2.2.2.移動量算出部)
移動量算出部122は、移動ベクトル算出部121が算出した移動ベクトルを加算することで、車両Cの移動量を算出する。例えば
図5に示すように、移動ベクトル算出部121が時刻t1および時刻t2間の移動ベクトルVaと時刻t2および時刻t3間の移動ベクトルVbとを算出したものとする。この場合、移動量算出部122は、移動ベクトル算出部121が算出した移動ベクトルVa、Vbを加算して、時刻t1および時刻t3間の移動ベクトルVcを算出する。なお、
図5は、実施形態に係る移動量算出部122が算出する移動量を説明する図である。
【0068】
ここで、例えば移動ベクトルVa、Vbがそれぞれ移動前の座標系、すなわち移動ベクトルVa、Vbの始点を原点とし進行方向(車両後方)をY軸とする座標系における並進量Vax、Vay、Vbx、Vbyとして算出されている場合について説明する。この場合、移動量算出部122は、例えば移動ベクトルVbを旋回角度に基づいて移動ベクトルVaの始点を原点とする座標系に座標変換してから、並進量Vax、Vay、Vbx、Vbyを座標軸ごとに加算して移動ベクトルVc=(Vcx、Vcy)を算出する。
【0069】
移動量算出部122は、移動ベクトルVcを算出した移動量として決定部130に出力する。
【0070】
(2.2.3.決定部)
決定部130は、障害物検出部100が検出する障害物の種別(移動物または静止物)を決定する。決定部130は、各時刻で取得した基準フレーム画像P1を用いて移動物および静止物のどちらを検出するかを決定する。決定部130は、車両Cの移動量に基づき、基準フレーム画像P1を撮像した時刻ごとに、移動物を検出するか静止物を検出するかを決定する。
【0071】
また、決定部130は、取得部110がフレーム画像を第2フレーム画像情報FP2として記憶部190に記憶するタイミングを決定する。例えば、決定部130は、静止物を検出するタイミングでフレーム画像を第2フレーム画像情報FP2として記憶部190に記憶するようにする。
【0072】
ここで、
図6を用いて、決定部130が車両Cの移動量に応じて障害物の種別およびタイミングを決定する方法の一例について説明する。
図6は、実施形態に係る決定部130が行う処理の一例を説明する図である。
図6では、説明を簡略化するために、車両Cが直進する場合、すなわち車両Cの移動量Yが並進量である場合について説明する。
【0073】
なお、例えば車両Cが旋回する場合は、移動ベクトルVcの長さ(
図5参照)を移動量Yとする。また、
図6では時刻t0から順次所定の間隔ごとに各時刻で取得部110がフレーム画像を取得するものとする。
【0074】
移動量検出部120は、
図6(a)に示すように、時刻t0〜t10ごとに1フレーム間の移動量Yを算出する。また、移動量検出部120は、
図6(b)に示すように、1フレーム間の移動量Yを加算することで、各時刻t0〜t10において移動量Yの総和を算出する。
【0075】
決定部130は、移動量Yの総和に応じて障害物検出部100が検出する障害物の種別および第2フレーム画像を記憶部190に記憶するタイミングを決定する。決定部130は、移動量Yの総和が閾値Th1(
図6の例では、Th1=75mm)を超えたか否かを判定する。移動量Yの総和が閾値Th1以下の場合は
図6(c)に示す移動量フラグを「0」とし、閾値Th1を超えた場合は「1」にする。
【0076】
また、例えば時刻t4で移動量フラグが「1」になった場合、移動量検出部120は移動量Yの総和をゼロにリセットし、時刻t5から再度移動量Yの総和を算出する。したがって、時刻t5では移動量フラグは「1」から「0」に切り替わる。なお、移動量フラグの初期値、すなわち時刻t0の場合の移動量フラグの値は「1」であるとする。
【0077】
決定部130は、移動量フラグが「0」の場合に、障害物検出部100が移動物を検出すると決定する。また、決定部130は、移動量フラグが「1」の場合に、障害物検出部100が静止物を検出すると決定し、移動量フラグが「1」である時刻を、第2フレーム画像情報FP2を記憶するタイミングに決定する。
【0078】
図6(d)の例では、決定部130は、移動量フラグが「1」である時刻t0、t4、t7を、第2フレーム画像情報FP2を記憶するタイミングに決定する。これにより、取得部110は、
図6(d)に示すように時刻t0、t4、t7で取得したフレーム画像を第2フレーム画像情報FP2として記憶部190に記憶する。なお、
図6(d)に示すように、取得部110は、各時刻で取得したフレーム画像を第1フレーム画像情報FP1として記憶部190に記憶する。
【0079】
また、
図6(e)に示すように移動量フラグが「0」である時刻t1〜t3、t5、t6、t8〜t10で、障害物検出部100が移動物を検出すると決定する。この場合、障害物検出部100は、第1フレーム画像情報FP1として記憶部190に記憶されているフレーム画像を過去フレーム画像として算出した差分画像(以下、第1差分画像と記載する)に基づいて移動物を検出する。
【0080】
図6(d)に示すように、取得部110は、各時刻t0〜t10で取得したフレーム画像を第1フレーム画像情報FP1として記憶部190に記憶する。そのため、障害物検出部100が移動物を検出する場合に用いる過去フレーム画像は、基準フレーム画像P1の1つ前の時刻に第1フレーム画像情報FP1として記憶したフレーム画像になる。
【0081】
具体的に、例えば時刻t1で障害物検出部100が移動物を検出する場合、障害物検出部100は、時刻t1で取得部110が取得したフレーム画像と、時刻t0で取得したフレーム画像との第1差分画像を算出する。このとき、第1差分画像の算出に用いる過去フレーム画像と基準フレーム画像P1との第1間隔T1は、1フレーム間隔となる。
【0082】
一方、決定部130は、
図6(e)に示すように移動量フラグが「1」である時刻t4、t7で障害物検出部100が静止物を検出すると決定する。この場合、障害物検出部100は、第2フレーム画像情報FP2として記憶部190に記憶されているフレーム画像を過去フレーム画像として算出した差分画像(以下、第2差分画像と記載する)に基づいて静止物を検出する。
【0083】
図6(d)に示すように、取得部110は、各時刻t0、t4、t7で取得したフレーム画像を第2フレーム画像情報FP2として記憶部190に記憶する。そのため、障害物検出部100が静止物を検出する場合に用いる過去フレーム画像は、基準フレーム画像P1の1つ前のタイミングで第2フレーム画像情報FP2として記憶したフレーム画像になる。
【0084】
具体的に、例えば時刻t4で障害物検出部100が静止物を検出する場合、障害物検出部100は、時刻t4で取得部110が取得したフレーム画像と、時刻t0で取得したフレーム画像との第2差分画像を算出する。このとき、第2差分画像の算出に用いる過去フレーム画像と基準フレーム画像P1との第2間隔T2は、4フレーム間隔となり、第1差分画像の算出に用いるフレーム画像の間隔(第1間隔T1)より長くなる。以下、当該第1、第2間隔T1、T2について説明する。
【0085】
上述したように、静止物は車両Cが移動している場合に検出することができ、移動物は車両Cが移動していない場合でも検出することができる。そこで、決定部130は、基準フレーム画像P1と過去フレーム画像との間の間隔(第1間隔T1)が短く車両Cがほぼ移動していない場合に、第1差分画像から移動物を検出すると決定する。一方、障害物検出部100は、基準フレーム画像P1と過去フレーム画像との間の間隔(第2間隔T2)が長く車両Cが閾値Th1以上移動した場合に、第2差分画像から静止物を検出すると決定する。
【0086】
このように、決定部130は、車両Cの移動量に応じて、検出する障害物の種別およびフレーム画像を記憶するタイミングを決定することで、基準フレーム画像P1と過去フレーム画像との間の間隔を決定する。
【0087】
なお、
図6に示すように、時刻t0と時刻t4との間は4フレーム間隔であり、時刻t4と時刻t7との間は3フレーム間隔である。このように、第2間隔T2は、車両Cの移動速度に応じて変化する。そのため、例えば1フレーム間で車両Cが閾値Th1以上移動した場合など、第2間隔T2が第1間隔T1と同じ長さになる場合もある。
【0088】
(2.2.4.検出制御部)
図2に戻る。障害物検出部100は、決定部130の決定にしたがって、各時刻において第1差分画像または第2差分画像を算出し、移動物または静止物を検出する。第1差分画像および第2差分画像は、過去フレーム画像が第1フレーム画像情報FP1であるか第2フレーム画像情報FP2であるかを除き、同じ処理手順で算出される。そのため、以下、説明を簡略化するために、障害物検出部100が第2差分画像に基づいて静止物を検出する場合を例にとって説明する。
【0089】
障害物検出部100は、移動量フラグが「1」である時刻において、取得部110が取得したフレーム画像、および、当該時刻の1つ前のタイミングで第2フレーム画像情報FP2として記憶されたフレーム画像をそれぞれ平面Fに射影変換する。
【0090】
障害物検出部100は、射影変換後のフレーム画像の差分から第2差分画像を算出する。障害物検出部100は、算出した第2差分画像に対して補正処理と、強調処理等の前処理と、を行って、第2差分画像に含まれるノイズ成分を除去するとともに、障害物成分を強調する。障害物検出部100は、処理後の第2差分画像から静止物を検出する。
【0091】
障害物検出部100は、変換部140、差分画像生成部(生成部)150、補正部160、前処理部170および検出部180を備える。
【0092】
(2.2.4.1.変換部)
変換部140は、取得部110が取得したフレーム画像を平面Fに射影変換して平面画像を生成する(
図4A〜
図4C参照)。
【0093】
例えば
図7に示すように、変換部140は、時刻t7(
図6参照)に取得した基準フレーム画像P1を平面Fに射影変換して平面画像P2を生成する。このとき、変換部140は、移動量検出部120が検出した車両Cの移動量に基づいて平面画像P2の視点を移動させる。
【0094】
また、変換部140は、時刻t7の1つ前のタイミングである時刻t4に第2フレーム画像情報FP2として記憶された過去フレーム画像を平面Fに射影変換して平面画像P21を生成する。
【0095】
変換部140は、車両Cの移動量に基づいて、基準フレーム画像P1および過去フレーム画像を同一平面Fに射影変換することで、基準フレーム画像P1および過去フレーム画像の位置合わせを行うことができる。
【0096】
(2.2.4.2.差分画像生成部)
差分画像生成部150は、
図7に示すように変換部140が生成した平面画像P2、P21の差分を算出し第2差分画像P3を生成する。差分画像生成部150は、平面画像P2、P21の画素ごとに輝度情報を比較する。例えば差分画像生成部150は、平面画像P2、P21の画素ごとに輝度値の差分を算出する。
【0097】
例えば、上述したように、路面Rに標示される白線W1(
図4A〜
図4C参照)等の立体物でない部分は、平面画像P2、P21で変化しないため、輝度値の差分がゼロになる。輝度値の差分がゼロの画素は、
図7の第2差分画像P3上では黒色で描画される。一方、立体物である静止物は、平面画像P2、P21で変化するため、輝度値の差分がゼロにならない。したがって、静止物に対応する画素は、
図7で示すように黒色にならない。なお、
図7は、実施形態に係る変換部140および差分画像生成部150が行う処理の一例を説明する図である。
【0098】
(2.2.4.3.補正部)
図2に戻る。補正部160は、差分画像生成部150が生成した第2差分画像P3に対して補正処理を施し、補正画像を生成する。これにより、第2差分画像P3に含まれる立体物でない部分(ノイズ成分)の輝度情報を低減することができる。
【0099】
補正部160は、例えばフレーム積分に基づいた補正やエッジ検出に基づいた補正を行う。補正部160は、積分処理部161、減算処理部162、エッジ検出部163およびエッジ減算処理部164を備える。
【0100】
(フレーム積分に基づいた補正)
図8を用いて、補正部160の積分処理部161および減算処理部162が行うフレーム積分に基づいた補正について説明する。
図8は、実施形態に係る補正部160の積分処理部161および減算処理部162が行う補正処理の一例を説明する図である。
【0101】
図8に示すように、差分画像生成部150が生成した第2差分画像P3には、例えば領域D1に車両Cの影等が差分として残っている。
【0102】
そこで、積分処理部161は、1つ前のタイミング(
図6の時刻t4)で生成した第2積分画像情報PI2に第2差分画像P3を加算して、フレーム積分を行い、積分結果P13を生成する。積分処理部161は、生成した積分結果P13を減算処理部162に出力する。また積分処理部161は、生成した積分結果P13を第2積分画像情報PI2として記憶部190に記憶する。なお、積分処理部161は、第1差分画像のフレーム積分を行った積分結果を第1積分画像情報PI1(
図2参照)として記憶部190に記憶する。
【0103】
減算処理部162は、
図8に示すように、第2差分画像P3から積分結果P13を減算して第1補正画像PC1を生成する。車両Cの影は、フレーム間での変化量が小さく、第2差分画像P3のほぼ同じ領域に差分として現れる。そのため、第2差分画像P3のフレーム積分を行うと、積分結果P13の領域D1に車両Cの影が差分として残る。
【0104】
したがって、第2差分画像P3から積分結果P13を減算することで、第1補正画像PC1の領域D1に示すように、第2差分画像P3に残っていた車両Cの影(ノイズ成分)を小さくすることができる。
【0105】
(エッジ検出に基づいた補正)
図9を用いて、補正部160のエッジ検出部163およびエッジ減算処理部164が行うエッジ検出に基づいた補正について説明する。
図9は、実施形態に係る補正部160のエッジ検出部163およびエッジ減算処理部164が行う補正の一例を説明する図である。
【0106】
差分画像生成部150が生成した第2差分画像P3には、上述した車両Cの影による誤差成分に加え、例えばマンホールや路面R上の凹凸など、僅かに高さのある立体物によるノイズ成分が含まれる。
【0107】
また、移動量検出部120で検出した移動量に誤差が含まれる場合、変換部140による平面画像P2、P21の位置合わせでずれが発生し、かかる位置ずれの影響で第2差分画像P3にノイズ成分が含まれてしまう可能性がある。特に、路面R上の白線など、輪郭成分が強い模様は、位置合わせが僅かにずれても大きなノイズ成分として第2差分画像P3にあらわれる。
【0108】
そこで、上述したノイズ成分が平面画像P2、P21のエッジとして検出することができる点に着目することで、当該ノイズ成分を第2差分画像P3から低減する。
【0109】
まずエッジ検出部163は平面画像P2、P21の少なくとも一方からエッジを検出する。次にエッジ減算処理部164はエッジ検出部163が検出したエッジを第1補正画像PC1から減算する。これにより、第2差分画像P3に含まれるノイズ成分を低減することができる。
【0110】
具体的には、
図9に示すように、エッジ減算処理部164は、例えばエッジ検出部163が平面画像P2、P21から検出したエッジのうち、車両Cに近い領域(
図9では下方領域)のエッジを含むエッジ画像PE1、PE2を足しあわせてエッジ画像PE3を生成する。エッジ減算処理部164は、第1補正画像PC1からエッジ画像PE3を減算することで、第1補正画像PC1の下方領域からエッジを減算し、第2補正画像PC2を生成する。
【0111】
上述したように、位置合わせ時の僅かなずれによって、路面R上の白線など、輪郭成分が強い模様がノイズ成分として第2差分画像P3にあらわれる。路面Rは、第2差分画像P3のうち、車両Cに近い領域に描画されることが多い。
【0112】
そこで、エッジ減算処理部164は、補正後の第2差分画像(第1補正画像PC1)を複数に分割した領域のうち、車両Cに近い領域(エッジ画像PE3の下方領域)から、エッジ検出部163で検出したエッジを減算する。これにより、第2差分画像P3にノイズ成分としてあらわれる路面上の白線など、輪郭成分が強い模様を低減することができる。
【0113】
例えば
図9では、第1補正画像PC1の領域D2に残るノイズ成分が、第2補正画像PC2の領域D2では低減されていることがわかる。このように、車両Cに近い領域のエッジを第1補正画像PC1から減算することで、障害物成分を低減することなく、ノイズ成分のみを低減することができる。
【0114】
(2.2.4.4.前処理部)
図2に戻る。前処理部170は、補正部160が生成した第2補正画像PC2に対して強調処理等の前処理を施す。これにより、第2補正画像PC2に含まれる立体物を強調することができる。前処理部170は、強調処理部171、二値化処理部172、フィルタ部173およびエリア分割処理部174を備える。以下、
図10を用いて前処理部170が行う前処理の一例について説明する。
図10は、実施形態に係る前処理部170が行う前処理の一例を説明する図である。
【0115】
(強調処理部)
強調処理部171は、第2補正画像PC2に含まれる所定方向のエッジを強調する強調処理を行う。差分画像に含まれる立体物(黒色以外の画素)は、車両Cから遠ざかる方向に連なる傾向がある。すなわち、差分画像に含まれる立体物は、画像周辺では対角線方向に、画像中央では縦方向に連なる傾向がある。
【0116】
そこで、強調処理部171は、
図10に示すように、例えば横方向(車両Cの左右方向)のSobelフィルタを用いて第2補正画像PC2に含まれる縦方向のエッジを強調する処理を行って第1強調画像PC3を生成する。あるいは、第2補正画像PC2の画像周辺領域では対角線方向のエッジを強調し、画像中央領域では縦方向のエッジを強調する処理を行ってもよい。強調処理部171は、生成した第1強調画像PC3を二値化処理部172に出力する。
【0117】
(二値化処理部)
二値化処理部172は、第1強調画像PC3の各画素の輝度情報と閾値Th2との比較に基づいて各画素が閾値Th2よりも高い値であるか低い値であるかの二値に分類する二値化を行い、二値化画像PC4を生成する。二値化画像PC4は、
図10に示すように、白と黒の二階調の画像となる。
【0118】
二値化処理部172が二値化処理を行うことで、平面画像P2、P21の輝度値の差が小さい、すなわち立体物情報が少ない画素を削除(マスク)することができる。
【0119】
(フィルタ部)
フィルタ部173は、二値化画像PC4をフィルタ処理することで、二値化画像PC4に含まれるノイズを除去する。例えば、フィルタ部173は、メディアンフィルタ処理を行うことで、二値化画像PC4の各画素の輝度値を平滑化してノイズを除去し、平滑化画像PC5を生成する。
【0120】
(エリア分割処理部)
エリア分割処理部174は、平滑化画像PC5を、各画素よりも大きな領域(エリア)に分割し、各エリアに立体物が含まれるか否かに応じてエリアの階調を二値に分類する。すなわち、エリア分割処理部174は、平滑化画像PC5の解像度を低くする解像度変換処理を行い、エリア画像PC6を生成する。
【0121】
具体的に、エリア分割処理部174は、平滑化画像PC5を画素よりも大きな複数のエリアに分割する。エリア分割処理部174は、分割したエリアに含まれる画素のうち、輝度情報が閾値Th2以上の画素の数が閾値Th3以上である場合、当該エリアの階調を白に分類する。
【0122】
また、エリア分割処理部174は、輝度情報が閾値Th2以上の画素の数が閾値Th3未満である場合、当該エリアの階調を黒に分類する。これにより、エリア分割処理部174は、
図10に示すように、低解像度の二値化画像であるエリア画像PC6を生成する。
【0123】
(2.2.4.5.検出部180)
図2に戻る。検出部180は、前処理部170で前処理を施した第2差分画像から静止物を検出する。検出部180は、連続する第2差分画像で同一の静止物を検出した場合、当該静止物を車両Cの周辺に存在する静止物に決定する。
【0124】
検出部180は、連続するタイミング(例えば
図6の時刻t4、t7参照)で算出した第2差分画像に含まれる静止物が同一であるか否かに応じて静止物を検出する。これにより、静止物を精度よく検出することができる。
【0125】
検出部180は、抽出部181、判定部182および障害物決定部183を備える。
図11〜
図14を用いて、検出部180の各部が行う処理について説明する。
図11〜
図14は、実施形態に係る検出部180の各部が行う処理の一例を説明する図である。
【0126】
(抽出部)
抽出部181は、第2差分画像に含まれる特徴点を抽出する。具体的には、まず抽出部181は、
図11に示すように、二値化処理部172が生成した二値化画像PC4から特徴点候補を抽出する。
図11では、抽出した特徴点候補を特徴点画像PC7の四角で表している。
【0127】
抽出部181は、抽出した特徴点候補とエリア画像PC6とを乗算し、立体物が存在するエリアに含まれる特徴点候補を抽出する。抽出部181は、抽出した特徴点候補を静止物の特徴点であると判定する。
【0128】
具体的に、抽出部181は、エリア画像PC6のうち階調が白であるエリア内に存在する特徴点候補を障害物の特徴点であると判定する。
図11では、判定した特徴点を判定画像PC8の四角で表している。
【0129】
(判定部)
判定部182は、抽出部181が抽出した静止物の特徴点が連続する第2差分画像において同一の特徴点であるか否かを判定する。
【0130】
ここで、
図12を用いて、判定部182が連続する第2差分画像に含まれる静止物の特徴点SP1、SP2が同一の特徴点であるか否かを判定する場合について説明する。ここでは、判定部182は、所定時刻(例えば
図6の時刻t7)で抽出した特徴点SP1が、1つ前のタイミング(
図6の時刻t4)で抽出した特徴点SP2と同一の静止物に含まれる特徴点であるか否かを判定する。
【0131】
まず、判定部182は、時刻t7で抽出した特徴点SP1の位置を、車両Cの移動量に応じた位置に変換することで、1つ前のタイミング(時刻t4)で抽出した特徴点SP2と位置合わせを行う。
【0132】
判定部182は、
図12に示すように特徴点SP2と位置合わせ後の特徴点SP1との距離が第2距離Th4以下である場合に、特徴点SP1と特徴点SP2とが同一であると判定する。
【0133】
なお、判定部182は、移動物の特徴点MP1、MP2(図示せず)が同一の特徴点であるか否かを判定する場合、特徴点MP2と位置合わせ後の特徴点MP1との距離が第2距離Th4よりも長い第1距離Th5(Th4<Th5)以下である場合に、特徴点MP1と特徴点MP2が同一であると判定する。
【0134】
これは、静止物はフレーム画像間で大きく移動しないのに対し、移動物はフレーム画像間で大きく移動する可能性があるためである。そのため、移動物の特徴点が同一であるか否かを判定する閾値(第1距離Th5)を静止物の判定に用いる閾値(第2距離Th4)よりも長くすることで、移動物が大きく移動した場合にも、当該移動に追従して移動物を検出することができる。
【0135】
判定部182は、例えば
図12において、特徴点SP1と特徴点SP2とが同一であると判定した場合、所定時刻t7(
図6参照)で抽出した特徴点SP1を、1つ前のタイミング(時刻t4)で抽出した特徴点SP2に更新し、新たな特徴点SP3を生成する。特徴点SP3には、判定部182が同一であると判定した回数に関する情報も含まれるものとする。例えば、判定部182が同一であると判定した場合、特徴点SP3の輝度値に一定の値を加算する。これにより、判定回数に関する情報を輝度情報として特徴点SP3に含めることができる。
【0136】
判定部182は、判定回数に関する情報を輝度情報として有する静止物の特徴点SP3を含む画像を生成し、静止物特徴点情報SPとして記憶部190(
図2参照)に記憶する。
【0137】
例えば
図13に判定部182が連続性を判定した静止物の特徴点を含む静止物特徴点情報SPを示す。
図13に示すように、判定部182が同一であると判定した回数が多い特徴点は輝度値が高くより白い画素として描画される。
【0138】
なお、判定部182は移動物の特徴点についても静止物と同様に更新を行い、移動物の特徴点を含む画像を生成し、移動物特徴点情報MPとして記憶部190(
図2参照)に記憶する。
【0139】
例えば
図14に判定部182が連続性を判定した移動物の特徴点を含む移動物特徴点情報MPを示す。
図14に示すように、判定部182が同一であると判定した回数が多い特徴点は輝度値が高くより白い画素として描画される。
【0140】
(障害物決定部)
障害物決定部183は、判定部182が所定回数以上同一であると判定した静止物の特徴点SP3を車両Cの周辺に存在する静止物の特徴点に決定する。例えば、障害物決定部183は、輝度値が閾値Th6以上である特徴点を静止物の特徴点に決定する。障害物決定部183は、同様に移動物の特徴点を決定する。
【0141】
(2.2.5.記憶部)
図2に戻る。記憶部190は、例えば複数のフレームメモリを有し、各フレームメモリに第1、第2フレーム画像情報FP1、FP2や第1、第2積分画像情報PI1、PI2等を記憶する。記憶部190は、例えば所定時刻でフレームメモリに記憶している情報を障害物検出部100に出力し、その後取得部110の取得結果や障害物検出部100の処理結果に応じてフレームメモリに記憶する各情報を更新する。
【0142】
なお、記憶部190は、上述したフレームメモリ以外にも例えばRAMやHDDを備えていてもよい。RAMやHDDは、例えば障害物検出装置10の各部が実行する処理に応じた各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、障害物検出装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して各種プログラムの情報等を取得するようにしてもよい。
【0143】
(2.3.表示装置)
表示装置40は、例えば車両Cに搭載されるディスプレイである。表示装置40は、表示制御装置30が生成する表示画像を表示する。例えば車両Cにナビゲーション装置(図示せず)が搭載される場合、表示装置40は当該ナビゲーション装置が備えるディスプレイであってもよい。
【0144】
(2.4.表示制御装置)
表示制御装置30は、表示装置40に表示する表示画像を生成することで、表示装置40を制御する。表示制御装置30は、撮像装置20が撮像したフレーム画像を表示画像として表示装置40に表示させる。
【0145】
また、表示制御装置30は、障害物検出装置10が障害物を検出した場合、検出した障害物をフレーム画像に重畳して表示画像を生成する。例えば障害物検出装置10が障害物の特徴点を複数検出する場合、表示制御装置30は、例えば
図15に示すように所定数以上の特徴点を含む領域を四角の枠で囲って表示画像P6上に表示させることで、障害物を強調して表示するようにしてもよい。なお、
図15は、実施形態に係る表示制御装置30が生成する表示画像P6の一例を示す図である。
【0146】
(3.検出処理)
次に、
図16を用いて、実施形態に係る障害物検出装置10が実行する検出処理の処理手順について説明する。
図16は、実施形態に係る障害物検出装置10が実行する検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0147】
障害物検出装置10は、例えば車両Cのシフトレバーの位置情報がバック(後進)を示す「R」である場合に、
図16に示す検出処理を実行する。障害物検出装置10は、例えばフレーム画像ごと、すなわち撮像装置20がフレーム画像を撮像する所定の間隔ごとに検出処理を実行する。なお、障害物検出装置10が検出処理を実行する間隔は、所定の間隔に限定されない。障害物検出装置10は、例えば複数のフレーム画像ごと、すなわち所定の間隔より長い周期で検出処理を実行してもよい。
【0148】
図16に示すように、障害物検出装置10は、まず、フレーム画像に基づいて車両Cの移動量を算出する(ステップS101)。障害物検出装置10は、算出した移動量に基づいて後進した移動量フラグが「1」であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0149】
障害物検出装置10は、移動量フラグが「0」である場合(ステップS102のNo)、移動物を検出するとし、基準フレーム画像P1および第1フレーム画像情報FP1を平面Fに射影変換する(ステップS103)。
【0150】
障害物検出装置10は、射影変換した基準フレーム画像P1および第1フレーム画像情報FP1の差分に基づいて第1差分画像を生成する(ステップS104)。
【0151】
次に、障害物検出装置10は、第1差分画像に対してフレーム積分に基づいた補正やエッジ検出に基づいた補正を行う(ステップS105)。障害物検出装置10は、補正後の第1差分画像に対して強調処理やフィルタ処理等の前処理を行う(ステップS106)。
【0152】
障害物検出装置10は、前処理後の第1差分画像から移動物を検出する(ステップS107)。
【0153】
一方、障害物検出装置10は、移動量フラグが「1」である場合(ステップS102のYes)、静止物を検出するとし、基準フレーム画像P1および第2フレーム画像情報FP2を平面Fに射影変換する(ステップS108)。
【0154】
障害物検出装置10は、射影変換した基準フレーム画像P1および第2フレーム画像情報FP2の差分に基づいて第2差分画像を生成する(ステップS109)。
【0155】
次に、障害物検出装置10は、第2差分画像に対してフレーム積分に基づいた補正やエッジ検出に基づいた補正を行う(ステップS110)。障害物検出装置10は、補正後の第2差分画像に対して強調処理やフィルタ処理等の前処理を行う(ステップS111)。
【0156】
障害物検出装置10は、前処理後の第2差分画像から静止物を検出する(ステップS112)。
【0157】
以上のように、実施形態に係る障害物検出装置10は、フレーム画像を平面Fに射影変換して差分画像を生成することで、移動物および静止物を含む障害物を検出する精度を向上させることができる。
【0158】
(4.変形例)
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施形態および以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0159】
上記実施形態では、変換部140が基準フレーム画像P1の視点位置を過去フレーム画像の視点位置に移動させることで位置合わせを行うとしたが、これに限定されない。射影変換後の平面画像PF1、PF2の視点位置が同じ位置であればよく、例えば過去フレーム画像の視点位置を移動させてもよい。あるいは、基準フレーム画像P1および過去フレーム画像の両方の視点を移動させてもよい。
【0160】
また、上記実施形態では、取得部110が現時点で取得した現フレーム画像を基準フレーム画像P1としたが、これに限定されない。例えば所定期間前に取得部110が取得したフレーム画像を基準フレーム画像P1としてもよい。
【0161】
また、上記実施形態では、移動量検出部120が車両Cの移動量を検出するとしたが、これに限定されない。例えば車両Cの速度、車輪の回転数やステアリング角度等に基づいて車両Cの移動量を検出するようにしてもよい。あるいはGPSセンサなど撮像装置20以外のセンサを用いて検出するようにしてもよい。
【0162】
また、上記実施形態では、移動量検出部120の移動ベクトル算出部121が移動ベクトルを算出するとしたが、これに限定されない。例えば表示制御装置30が表示装置40に表示する表示画像の視点を変換するために移動ベクトルを算出する場合など、他の装置が移動ベクトルを算出する場合は、移動量算出部122は、他の装置が算出した移動ベクトルを用いて移動量を算出するようにしてもよい。
【0163】
例えば他の装置が複数フレームごとに移動ベクトルを算出している場合、移動ベクトル算出部121は、他の装置が算出した移動ベクトルを用いて1フレーム間隔の移動ベクトルを算出するようにしてもよい。
【0164】
(5.効果)
上記実施形態に係る障害物検出装置10は、取得部110と、変換部140と、差分画像生成部150と、検出部180とを備える。取得部110は、撮像装置20が車両Cの周辺を撮像したフレーム画像を順次取得する。変換部140は、取得部110が基準時刻に取得した基準フレーム画像および基準時刻より過去に取得した過去フレーム画像を平面Fに射影変換する。差分画像生成部150は、変換部140が射影変換した基準フレーム画像と過去フレーム画像との差分画像を生成する。検出部180は、差分画像生成部150が生成した差分画像に基づいて車両Cの周辺に存在する障害物を検出する。
【0165】
これにより、障害物検出装置10は、障害物の検出精度を向上させることができる。
【0166】
上記実施形態に係る障害物検出装置10の変換部140は、車両Cの移動量に基づいて基準フレーム画像および過去フレーム画像の位置合わせを行う。
【0167】
これにより、障害物検出装置10は、ノイズ成分の少ない差分画像を生成することができ、障害物の検出精度を向上させることができる。
【0168】
上記実施形態に係る障害物検出装置10は、車両Cの移動量に基づいて基準フレーム画像と過去フレーム画像との間の間隔を決定する決定部130をさらに備える。
【0169】
車両Cの移動量に基づいて当該間隔を決定することで、静止物を含む障害物の検出精度を向上させることができる。
【0170】
上記実施形態に係る障害物検出装置10は、フレーム画像に基づいて算出した車両Cの移動ベクトルを加算し、車両Cの移動量を算出する移動量算出部122をさらに備える。
【0171】
移動ベクトルを加算して車両Cの移動量を算出することで、車両Cの移動量をより正確に算出することができる。また、例えば表示制御装置30がフレーム画像の視点変換を行い、仮想視点から車両C周囲を見た表示画像を生成する場合、移動量算出部122が算出した移動量を用いることで、表示制御装置30が別途移動量を算出する必要がなくなる。
【0172】
このように、障害物検出装置10がフレーム画像に基づいて算出した移動量を用いることで、他装置の処理に用いる移動量を別途算出する必要がなくなるため、処理負荷を低減することができる。
【0173】
上記実施形態に係る障害物検出装置10の検出部180は、基準フレーム画像と過去フレーム画像との間隔が第1間隔T1である第1差分画像に基づいて移動物を検出し、基準フレーム画像と過去フレーム画像との間隔が第1間隔T1以上の第2間隔T2である第2差分画像に基づいて静止物を検出する。
【0174】
これにより、障害物検出装置10は、移動物と静止物とをそれぞれ切り分けて検出することができる。
【0175】
上記実施形態に係る障害物検出装置10の検出部180は、抽出部181と、判定部182と、障害物決定部183と、を備える。抽出部181は、第2差分画像に含まれる静止物を抽出する。判定部182は、抽出部181が連続する第2差分画像から抽出した静止物が同一の静止物であるか否かを判定する。障害物決定部183は、判定部182が同一の静止物と判定した静止物を車両Cの周辺に存在する静止物に決定する。
【0176】
車両Cが移動している場合、静止物は、車両Cの移動に応じてフレーム画像上を連続的に移動する傾向がある。そのため、連続する複数の第2差分画像で抽出した同一の静止物を車両Cの周辺に存在する静止物として検出することで、静止物の検出精度を向上させることができる。
【0177】
上記実施形態に係る障害物検出装置10の抽出部181は、第1差分画像および第2差分画像に含まれる特徴点をそれぞれ抽出する。判定部182は、連続する第1差分画像に含まれる特徴点が第1距離Th5以下である場合、当該特徴点は同一であると判定し、連続する第2差分画像に含まれる特徴点が第1距離Th5よりも短い第2距離Th4以下である場合、当該特徴点は同一であると判定する。障害物決定部183は、連続する第1差分画像に含まれる特徴点が同一であると判定部182が判定した場合に、当該特徴点を移動物の特徴点に決定し、連続する第2差分画像に含まれる特徴点が同一であると判定部182が判定した場合に、当該特徴点を静止物の特徴点に決定する。
【0178】
これにより、障害物検出装置10は、移動物と静止物とをそれぞれより正確に検出することができる。
【0179】
上記実施形態に係る障害物検出装置10は、積分処理部161と、減算処理部162とをさらに備える。積分処理部161は、差分画像を順次加算することでフレーム積分を行う。減算処理部162は、積分処理部161が行ったフレーム積分の結果を差分画像から減算する。
【0180】
これにより、障害物検出装置10は、差分画像に含まれるノイズ成分を低減することができる。
【0181】
上記実施形態に係る障害物検出装置10は、エッジ検出部163と、エッジ減算処理部164と、をさらに備える。エッジ検出部163は、基準フレーム画像および過去フレーム画像の少なくとも一方からエッジを検出する。エッジ減算処理部164は、エッジ検出部163が検出したエッジを差分画像から減算する。
【0182】
これにより、障害物検出装置10は、差分画像に含まれるノイズ成分を低減することができる。
【0183】
上記実施形態に係る障害物検出装置10のエッジ減算処理部164は、差分画像を複数に分割した領域のうち、車両Cに近い領域からエッジを減算する。
【0184】
これにより、障害物検出装置10は、差分画像のうちノイズ成分が多く含まれる領域から当該ノイズ成分を低減することができる。
【0185】
上記実施形態に係る障害物検出装置10は、差分画像に対して所定方向のエッジを強調する強調処理部171をさらに備える。
【0186】
これにより、差分画像に含まれる障害物成分を強調することができ、障害物検出装置10はより正確に障害物を検出することができる。
【0187】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。