【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的は、式(III)の置換2−エチルアミノピリジン誘導体およびその対応する塩
【化2】
(式中、pは1、2、3または4に等しい整数であり;
各置換基Xは、他と独立に、ハロゲン、C
1〜C
4アルキルまたはC
1〜C
4ハロアルキルとして選択される)
を調製する方法(A)による本発明であって、
ステップ(A1)で、式(II)
【化3】
(式中、pは1、2、3または4に等しい整数であり;
各置換基Xは、他と独立に、ハロゲン、C
1〜C
4アルキルまたはC
1〜C
4ハロアルキルとして選択される)
による置換2−メチルシアノピリジル誘導体を、金属触媒、触媒修飾剤(catalystmodifier)および酸の存在下で水素化することを特徴とする、
本発明により達成された。
【0021】
方法(A)が、式(III)による2−エチルアミノピリジン誘導体を含む反応溶液の溶媒を除去する、ステップ(A1)の後の追加のステップ(A2)を含んでもよい。
【0022】
方法(A)が、塩基をステップ(A2)の残りの残渣に添加する、ステップ(A1)および(A2)の後の追加のステップ(A3)を含んでもよい。
【0023】
方法(A)が、有機相(非水溶性)を水相から分離する、ステップ(A1)、(A2)および(A3)の後の追加のステップ(A4)を含んでもよい。
【0024】
方法(A)が、式(III)による沈殿した生成物を式(III)による2−エチルアミノピリジン誘導体を含む反応懸濁液から単離する、ステップ(A1)、(A2)、(A3)および(A4)の後の追加のステップ(A5)を含んでもよい。
【0025】
方法(A)が、式(III)による単離生成物を式(IV)
【化4】
(式中、
Halはフッ素、塩素または臭素であり;
qは1、2、3または4に等しい整数であり;
各置換基Yは、他と独立に、ハロゲン、C
1〜C
4アルキルまたはC
1〜C
4ハロアルキルとして選択される)
によるハロゲン化ベンゾイルと反応させて、式(I)
【化5】
(式中、pおよびXは上に定義されており;
qは1、2、3または4に等しい整数であり;
各置換基Yは、他と独立に、ハロゲン、C
1〜C
4アルキルまたはC
1〜C
4ハロアルキルとして選択される)
による化合物にする、ステップ(A1)、(A2)、(A3)、(A4)および(A5)の後の追加のステップ(A6)を含んでもよい。
【0026】
場合により、ステップ(A1)および(A3)で、溶媒を添加してもよい。
【0027】
場合により、ステップ(A4)で、酸を有機相に添加してもよい。
【0028】
場合により、ステップ(A4)で、残りの水を除去してもよい。
【0029】
場合により、ステップ(A5)で、反応懸濁液をさらなる量の溶媒で溶解する。
【0030】
pが好ましくは1または2である。
【0031】
pが極めて好ましくは2である。
【0032】
各場合で、Xが、好ましくは他と独立に、フッ素、塩素、臭素、C
1〜C
2アルキルまたは互いに独立にフッ素、塩素から選択される1〜5個のハロゲン原子を有するC
1〜C
2ハロアルキルである。
【0033】
各場合で、Xが、より好ましくは他と独立に、フッ素、塩素、メチル、エチルまたは互いに独立にフッ素、塩素から選択される1〜5個のハロゲン原子を有するC
1〜C
2ハロアルキルである。
【0034】
各場合で、Xが、特に好ましくは他と独立に、フッ素、塩素、またはジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチルである。
【0035】
各場合で、Xが、極めて特に好ましくは他と独立に、塩素またはトリフルオロメチルである。
【0036】
2−ピリジル部分がXによって置換されている位置に関して、2−ピリジル部分は、好ましくは3位および/または5位でXによって置換されている。好ましくは、2−ピリジル部分が、3位および5位でXによって置換されている。
【0037】
qが好ましくは1または2である。
【0038】
qが極めて好ましくは1である。
【0039】
Yが、好ましくは他と独立に、フッ素、塩素、臭素、C
1〜C
2アルキルまたは互いに独立にフッ素、塩素から選択される1〜5個のハロゲン原子を有するC
1〜C
2ハロアルキルである。
【0040】
Yが、より好ましくは他と独立に、フッ素、塩素、メチル、エチルまたは互いに独立にフッ素、塩素から選択される1〜5個のハロゲン原子を有するC
1〜C
2ハロアルキルである。
【0041】
Yが、特に好ましくは他と独立に、フッ素、塩素、またはジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチルである。
【0042】
Yが、極めて特に好ましくは、トリフルオロメチルである。
【0043】
Yが、極めて特に好ましくは、塩素である。
【0044】
フェニル部分がYによって置換されている位置に関して、フェニル部分は、好ましくは2位および/または6位でYによって置換されている。好ましくは、フェニル部分が、2位でYによって置換されている。
【0045】
極めて特に好ましくは、式(II)による化合物が3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]アセトニトリルであり、式(III)による化合物が2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エタンアミンである。極めて好ましくは、式(IV)による化合物が2−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロリドである。
【0046】
極めて好ましくは、式(I)による化合物が式(Ia)に定義されるフルオピラムである。
【0047】
式(I)による化合物の対応する塩が、好ましくは硫酸水素塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、ギ酸塩または酢酸塩である。
【0048】
好ましくは、ステップ(A6)が塩基の存在下で行われる。
【0049】
本発明による方法、例えば、特にステップ(A3)および/または(A6)で使用され得る有用な塩基は、無機または有機塩基、例えば、Na
2CO
3、NaHCO
3、K
2CO
3、KHCO
3、NaOH、KOH、Ca(OH)
2、Mg(OH)
2、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンである。
【0050】
以下の塩基が、ステップ(A3)にとって特に好ましい:Na
2CO
3、NaHCO
3、K
2CO
3、KHCO
3、NaOH、KOH、Ca(OH)
2。より好ましいのはNaOH、KOH、Ca(OH)
2である。最も好ましいのはNaOH、KOHである。好ましくは、ステップ(A3)で、反応溶液のpH値のpH4〜14、好ましくはpH6〜13までの調整が達成されるまで、本明細書に定義される塩基を添加する。
【0051】
以下の塩基が、ステップ(A6)にとって特に好ましい:Na
2CO
3、NaHCO
3、K
2CO
3、KHCO
3、NaOH、KOH、Ca(OH)
2。より好ましいのはNaOH、KOH、Ca(OH)
2である。最も好ましいのはNaOH、KOHである。好ましくは、ステップ(A6)で、反応溶液のpH値のpH4〜14、好ましくはpH6〜13までの調整が達成されるまで、本明細書に定義される塩基を添加する。
【0052】
式(III)による化合物の対応する塩が、好ましくは硫酸水素塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩または酢酸塩である。
【0053】
金属触媒は、パラジウム、白金、ルテニウムおよびロジウム触媒の群から選択される任意の水素化触媒である。一実施形態では、金属触媒が、パラジウム、白金およびルテニウム触媒の群から選択される任意の水素化触媒である。
【0054】
一実施形態では、金属触媒が、パラジウム、白金およびロジウム触媒の群から選択される任意の水素化触媒である。触媒としてのパラジウム(Pd)、白金(Pt)またはこれらの組み合わせが、好ましい触媒活性金属触媒である。パラジウム(Pd)、白金(Pt)もしくはこれらの組み合わせまたはロジウム触媒が、好ましい触媒活性金属触媒である。特に好ましいのはパラジウム触媒である。さらにより好ましいのは、元素パラジウムおよび本発明の方法で適用される水素化条件で水素または任意の他の還元剤(例えば、ギ酸ナトリウム、ヒドラジン)によって元素パラジウムに還元可能なパラジウム化合物、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるパラジウム触媒である。
【0055】
金属触媒は、キレートとしての錯化剤と一緒に、任意の化学形態で、例えば、元素、コロイド、塩または水酸化物、酸化物形態で存在し得る。金属触媒は、担持された形態で、すなわち、担体、好ましくは有機または無機担体に適用されて存在してもよい。適当な担体の例には、炭素(炭または活性炭素)、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよびゼオライトがある。好ましい担体は炭素、例えば、炭および活性炭素である。
【0056】
このような担体への金属担持量は、0.01%〜100%の間、より好ましくは0.5%〜50%の範囲、さらにより好ましくは0.5%〜25%の範囲、最も好ましくは1%〜20%の範囲および5%〜20%の間である。さらに好ましい範囲には、0.5%〜10%の間、0.5%〜20%の間、1%〜10%の間、1%〜5%の間、1%〜3%の間、3%〜10%の間、3%〜20%の間および5%〜10%の間のこのような担体への金属担持量がさらに含まれる。
【0057】
担持された形態の好ましい触媒は、パラジウムおよび白金触媒から選択され、担持された形態のパラジウム触媒が特に好ましい。
【0058】
そこから、担持された形態で存在する好ましい触媒は、Pd/C、Pd(OH)
2/C、酸化パラジウム/C、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、酸化パラジウム/Al
2O
3、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、酸化パラジウム/SiO
2、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、Pd/CaCO
3、Pd/C−ジフェニルスルフィド、Pd/Al
2O
3、Pd/SiO
2、Pd/BaSO
4、酢酸Pd(II)−ポリメチルヒドロシロキサン、Pd(Fe)/C、Pd/C 5%硫黄、Pt/C、Pt/C−5%硫黄、Pt/Al
2O
3である。
【0059】
さらに適した触媒は、Pd/V触媒、例えば、5%Pd/0.5%V、Pd/Pt触媒、例えば、4%Pd/1%Ptである。
【0060】
担持された形態で存在する特に好ましい触媒は、Pd/C、Pd/Al
2O
3、Pd(OH)
2/C、酸化パラジウム/C、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、酸化パラジウム/Al
2O
3、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、酸化パラジウム/SiO
2、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、Pd/SiO
2である。
【0061】
極めて特に好ましい触媒は、0.5%〜25%の範囲、好ましくは0.5%〜25%の範囲、より好ましくは1%〜20%の範囲、さらにより好ましくは3〜20%の範囲、最も好ましくは5〜20%の範囲の金属担持量を有するPd/C、Pd/Al
2O
3、Pd(OH)
2/C、酸化パラジウム/C、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、酸化パラジウム/Al
2O
3、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、酸化パラジウム/SiO
2、混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、Pd/SiO
2である。
【0062】
極めて特に好ましい触媒は、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%のPd/C、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%のPd/Al
2O
3、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%のPd(OH)
2/C、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%の酸化パラジウム/C、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%の混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%の酸化パラジウム/Al
2O
3、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%の混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%酸化パラジウム/SiO
2、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%の混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、1%〜25%、好ましくは2%〜20%、好ましくは3%〜20%、好ましくは5%〜20%のPd/SiO
2である。
【0063】
極めて特に好ましい触媒は、1%Pd/C、1%Pd/Al
2O
3、1%Pd(OH)
2/C、1%酸化パラジウム/C、1%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、1%酸化パラジウム/Al
2O
3、1%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、1%酸化パラジウム/SiO
2、1%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、1%Pd/SiO
2である。
【0064】
極めて特に好ましい触媒は、2%Pd/C、2%Pd/Al
2O
3、2%Pd(OH)
2/C、2%酸化パラジウム/C、2%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、2%酸化パラジウム/Al
2O
3、2%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、2%酸化パラジウム/SiO
2、2%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、2%Pd/SiO
2である。
【0065】
極めて特に好ましい触媒は、3%Pd/C、3%Pd/Al
2O
3、3%Pd(OH)
2/C、3%酸化パラジウム/C、3%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、3%酸化パラジウム/Al
2O
3、3%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、3%酸化パラジウム/SiO
2、3%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、3%Pd/SiO
2である。
【0066】
極めて特に好ましい触媒は、4%Pd/C、4%Pd/Al
2O
3、4%Pd(OH)
2/C、4%酸化パラジウム/C、4%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、4%酸化パラジウム/Al
2O
3、4%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、4%酸化パラジウム/SiO
2、4%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、4%Pd/SiO
2である。
【0067】
極めて特に好ましい触媒は、5%Pd/C、5%Pd/Al
2O
3、5%Pd(OH)
2/C、5%酸化パラジウム/C、5%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、5%酸化パラジウム/Al
2O
3、5%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、5%酸化パラジウム/SiO
2、5%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、5%Pd/SiO
2である。
【0068】
極めて特に好ましい触媒は、7%Pd/C、7%Pd/Al
2O
3、7%Pd(OH)
2/C、7%酸化パラジウム/C、7%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、7%酸化パラジウム/Al
2O
3、7%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、7%酸化パラジウム/SiO
2、7%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、7%Pd/SiO
2である。
【0069】
極めて特に好ましい触媒は、10%Pd/C、10%Pd/Al
2O
3、10%Pd(OH)
2/C、10%酸化パラジウム/C、10%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、10%酸化パラジウム/Al
2O
3、10%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、10%酸化パラジウム/SiO
2、10%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、10%Pd/SiO
2である。
【0070】
極めて特に好ましい触媒は、15%Pd/C、15%Pd/Al
2O
3、15%Pd(OH)
2/C、15%酸化パラジウム/C、15%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、15%酸化パラジウム/Al
2O
3、15%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、15%酸化パラジウム/SiO
2、15%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、15%Pd/SiO
2である。
【0071】
極めて特に好ましい触媒は、20%Pd/C、20%Pd/Al
2O
3、20%Pd(OH)
2/C、20%酸化パラジウム/C、20%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、20%酸化パラジウム/Al
2O
3、20%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、20%酸化パラジウム/SiO
2、20%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、20%Pd/SiO
2である。
【0072】
極めて特に好ましい触媒は、25%Pd/C、25%Pd/Al
2O
3、25%Pd(OH)
2/C、25%酸化パラジウム/C、25%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/C、25%酸化パラジウム/Al
2O
3、25%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/Al
2O
3、25%酸化パラジウム/SiO
2、25%混合型酸化パラジウム−水酸化パラジウム/SiO
2、25%Pd/SiO
2である。
【0073】
触媒は、企業BASF、Acros、Evonikなどの商業的供給源から入手可能である。
【0074】
触媒を任意の形態、例えば、乾燥または湿潤(水湿潤)で使用することができる。好ましくは、触媒を数回使用する。より好ましくは、触媒を3回以上使用する。最も好ましくは、触媒を2回〜10回の間使用する。触媒を回分式、半回分式または固定床式水素化反応ならびに連続水素化反応工程で使用することができる。より好ましくは、触媒を回分式または固定床式水素化反応で使用することができる。
【0075】
本発明による方法では、触媒を、式(II)によるシアノピリジル誘導体の量に関して約0.01mol%〜約50mol%触媒の濃度で使用する。触媒を好ましくは約0.1〜約50mol%の濃度で使用し、より好ましくは、触媒を約0.5mol%〜約3mol%の濃度で使用する。
【0076】
触媒修飾剤は、脱ハロゲン化された、特に脱塩素化された、上に定義される式(II’)の対応する化合物を形成することによって、ハロゲン置換された、特に塩素置換された、上に定義される式(II)および(II’)による2−メチルシアノピリジル誘導体の脱ハロゲン化、特に脱塩素化が、触媒修飾剤を用いない反応と比べて減少するように触媒の活性を修飾することができる化合物である。理論によって拘束されないが、本発明の方法では、修飾剤が金属触媒、特にパラジウム触媒の活性に影響を及ぼす、特に活性を弱め、したがって、不要な脱ハロゲン、特に脱塩素副産物の形成を減少させる。一方では、これにより毒性が減少し、他方では所望の反応生成物の収率が増強される。
【0077】
本発明の方法で触媒修飾剤を使用することによって、脱ハロゲン、特に脱塩素副産物の減少が達成され、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下、特により好ましくは10%以下、さらに特により好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下、最も特に好ましくは1%以下への減少が達成され得る。脱ハロゲン、特に脱塩素副産物の量を、修飾剤を用いないそれぞれの反応と比べて、少なくとも6分の1、好ましくは少なくとも10分の1、より好ましくは少なくとも30分の1に減少させることが特に可能である。
【0078】
適当な触媒修飾剤は、有機または無機硫黄含有化合物(例えば、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、2−メルカプトエタノール、システイン、3,6−ジチア1,8オクタジオール、2,2’−チオビスエタノール、ジフェニルスルフィド、チオフェノール、チオアニソール、スルホラン、チオ尿素、Na
2S
2O
3−xH
2O、Na
2S)、アミン(例えば、アルキルアミン、ベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ポリアミン、アミジン(例えば、キノリン));リンを含む無機または有機化合物(例えば、PPh
3);モリブデン含有化合物(例えば、Mo(CO)
6)、酸化バナジウムまたは硫化バナジウム(例えば、酸化V(V)、酸化V(IV)、硫化V(III)、NH
4VO
3);ルイス酸(例えば、ZnBr
2、ZnCl
2、MgBr
2、MgO、Feを含む塩、例えば、FeCl
2、FeCl
3、Fe(OAc)
2);テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、ヨウ化物、臭化物および塩化物)(例えば、n−テトラメチルアンモニウムヨージド、n−テトラエチルアンモニウムヨージド、n−テトラブチルアンモニウムヨージド、n−テトラメチルアンモニウムブロミド(TMAB)、n−テトラエチルアンモニウムブロミド、n−テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、n−テトラメチルアンモニウムクロリド、n−テトラエチルアンモニウムクロリド、n−テトラブチルアンモニウムクロリド);無機塩(例えば、ハロゲン化物(例えば、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、LiBr)またはMgBr
2、AlCl
3、CeCl
3、CuCl、CuBr、CuI、CuBr
2)である。
【0079】
適当な触媒修飾剤は、有機または無機硫黄含有化合物(例えば、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、2−メルカプトエタノール、システイン、3,6−ジチア1,8オクタジオール、2,2’−チオビスエタノール、ジフェニルスルフィド、チオフェノール、チオアニソール、スルホラン、チオ尿素、Na
2S
2O
3−xH
2O、Na
2S)、アミン(例えば、キノリン);リンを含む無機または有機化合物(例えば、PPh
3);モリブデン含有化合物(例えば、Mo(CO)
6)、酸化バナジウムまたは硫化バナジウム(例えば、酸化V(V)、酸化V(IV)、硫化V(III)、NH
4VO
3);ルイス酸(例えば、ZnBr
2、ZnCl
2、MgBr
2、MgO、Feを含む塩、例えば、FeCl
2、FeCl
3、Fe(OAc)
2);テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、ヨウ化物、臭化物および塩化物)(例えば、n−テトラメチルアンモニウムヨージド、n−テトラエチルアンモニウムヨージド、n−テトラブチルアンモニウムヨージド、n−テトラメチルアンモニウムブロミド(TMAB)、n−テトラエチルアンモニウムブロミド、n−テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、n−テトラメチルアンモニウムクロリド、n−テトラエチルアンモニウムクロリド、n−テトラブチルアンモニウムクロリド);無機塩(例えば、ハロゲン化物(例えば、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、LiBr)またはMgBr
2、AlCl
3、CeCl
3、CuCl、CuBr、CuI、CuBr
2)である。
【0080】
有機硫黄含有化合物である適当な触媒修飾剤は、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、2−メルカプトフェノール、システイン、3,6−ジチア1,8オクタジオール、2,2’−チオビスエタノール、ジフェニルスルフィド、チオフェノール、チオアニソール、スルホラン、チオ尿素、Na
2S
2O
3−xH
2O、Na
2Sからなる群から選択される。
【0081】
有機硫黄含有化合物である好ましい適当な触媒修飾剤は、テトラヒドロチオフェン、2−メルカプトフェノール、システイン、3,6−ジチア1,8オクタジオール、チオ尿素からなる群から選択される。
【0082】
リンを含む無機または有機化合物である好ましい適当な触媒修飾剤は、PPh
3からなる群から選択される。
【0083】
モリブデン含有化合物である好ましい触媒修飾剤は、Mo(CO)
6からなる群から選択される。
【0084】
酸化バナジウムまたは硫化バナジウムである好ましい適当な触媒修飾剤は、酸化V(V)、酸化V(IV)、硫化V(III)、NH
4VO
3からなる群から選択される。
【0085】
ルイス酸である適当な触媒修飾剤は、ZnBr
2、ZnCl
2、MgBr
2、MgO、Fe、FeCl
2、FeCl
3、Fe(OAc)
2からなる群から選択される。
【0086】
ルイス酸である好ましい適当な触媒修飾剤は、ZnBr
2、FeCl
3、Fe(OAc)
2からなる群から選択される。
【0087】
テトラアルキルアンモニウム塩である適当な触媒修飾剤は、テトラメチルアンモニウムヨージド、n−テトラエチルアンモニウムヨージド、n−テトラブチルアンモニウムヨージド、n−テトラメチルアンモニウムブロミド(TMAB)、n−テトラエチルアンモニウムブロミド、n−テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、n−テトラメチルアンモニウムクロリド、n−テトラエチルアンモニウムクロリド、n−テトラブチルアンモニウムクロリドからなる群から選択される。
【0088】
テトラアルキルアンモニウム塩である好ましい適当な触媒修飾剤は、n−テトラメチルアンモニウムブロミド(TMAB)、n−テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)からなる群から選択される。
【0089】
無機塩である適当な触媒修飾剤は、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、LiBr、MgBr
2、AlCl
3、CeCl
3、CuCl、CuBr、CuI、CuBr
2からなる群から選択される。
【0090】
無機塩である好ましい適当な触媒修飾剤は、NaBr、NaI、KBr、KI、CuIからなる群から選択される。
【0091】
アミンである適当な触媒修飾剤は、アルキルアミン、ベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ポリアミン、アミジン(例えば、キノリン)である。
【0092】
アミンである好ましい適当な触媒修飾剤はキノリンである。
【0093】
より好ましい触媒修飾剤は、
a)チオフェン、テトラヒドロチオフェン、2−メルカプトフェノール、システイン、3,6−ジチア1,8オクタジオール、2,2’−チオビスエタノール、ジフェニルスルフィド、チオフェノール、チオアニソール、スルホラン、チオ尿素、Na
2S
2O
3−xH
2O、Na
2Sからなる群から選択される有機硫黄含有化合物である;
b)酸化V(V)、酸化V(IV)、硫化V(III)、NH
4VO
3からなる群から選択される酸化バナジウムまたは硫化バナジウムである;
c)PPh
3からなる群から選択されるリンを含む無機または有機化合物である;
d)ZnBr
2、ZnCl
2、MgBr
2、MgO、FeCl
2、FeCl
3、Fe(OAc)
2からなる群から選択されるルイス酸である;
e)テトラメチルアンモニウムヨージド、n−テトラエチルアンモニウムヨージド、n−テトラブチルアンモニウムヨージド、n−テトラメチルアンモニウムブロミド(TMAB)、n−テトラエチルアンモニウムブロミド、n−テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、n−テトラメチルアンモニウムクロリド、n−テトラエチルアンモニウムクロリド、n−テトラブチルアンモニウムクロリドからなる群から選択されるテトラアルキルアンモニウム塩である;
f)NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、LiBr、MgBr
2、AlCl
3、CeCl
3、CuCl、CuBr、CuI、CuBr
2からなる群から選択される無機塩である;
g)Mo(CO)
6からなる群から選択されるモリブデン含有化合物である;
h)キノリンからなる群から選択されるアミンである
から選択される。
【0094】
さらにより好ましい触媒修飾剤は、
a)テトラヒドロチオフェン、2−メルカプトフェノール、システイン、3,6−ジチア1,8オクタジオール、チオ尿素、Na
2S
2O
3−xH
2O、Na
2Sからなる群から選択される有機硫黄含有化合物である;
b)酸化V(V)、酸化V(IV)、硫化V(III)、NH
4VO
3からなる群から選択される酸化バナジウムまたは硫化バナジウムである;
c)PPh
3からなる群から選択されるリンを含む無機または有機化合物である;
d)ZnBr
2、MgO、FeCl
3、Fe(OAc)
2からなる群から選択されるルイス酸である;
e)n−テトラメチルアンモニウムブロミド(TMAB)、n−テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)からなる群から選択されるテトラアルキルアンモニウム塩である;
f)NaBr、NaI、KBr、KI、CuIからなる群から選択される無機塩である;
g)Mo(CO)
6からなる群から選択されるモリブデン含有化合物である;
h)キノリンからなる群から選択されるアミンである
から選択される。
【0095】
好ましい触媒修飾剤は、硫黄含有化合物、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、アルカリハロゲン化物および他の金属ハロゲン化物である。さらに好ましい触媒修飾剤は、ハロゲン化物含有化合物、特に例えば、上に定義されるハロゲン化物含有触媒修飾剤化合物から選択されるものである。触媒修飾剤が非プロトン性化合物の群、すなわち、水素を供与することができない本明細書に列挙される化合物から選択されることがさらに好ましい。
【0096】
より好ましい触媒修飾剤は、3,6−ジチア−1,8−オクタジオール、CuI、FeBr
3、FeCl
3、Fe(OAc)
2、KI、KBr、MgBr
2、MgO、NaBr、NaI、NH
4VO
3、キノリン、n−テトラメチルアンモニウムヨージド、n−テトラエチルアンモニウムヨージド、n−テトラブチルアンモニウムヨージド、n−テトラメチルアンモニウムブロミド(TMAB)、n−テトラエチルアンモニウムブロミド、n−テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、n−テトラメチルアンモニウムクロリド、n−テトラエチルアンモニウムクロリド、n−テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラヒドロチオフェン、チオエタノール、チオ尿素、酸化V(V)、酸化V(IV)、硫化V(III)、ZnBr
2である。
【0097】
さらに好ましい触媒修飾剤は、3,6−ジチア−1,8−オクタジオール、CuI、FeBr
3、FeCl
3、Fe(OAc)
2、KI、KBr、MgBr
2、MgO、NaBr、NaI、NH
4VO
3、キノリン、n−テトラメチルアンモニウムブロミド、n−テトラエチルアンモニウムブロミド、n−テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラヒドロチオフェン、チオエタノール、チオ尿素、酸化V(V)、酸化V(IV)、硫化V(III)、ZnBr
2である。さらに好ましい修飾剤は、3,6−ジチア−1,8−オクタジオール、FeBr
3、FeCl
3、Fe(OAc)
2、KBr、MgBr
2、MgO、NaBr、NH
4VO
3、キノリン、n−テトラメチルアンモニウムブロミド、n−テトラエチルアンモニウムブロミド、n−テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラヒドロチオフェン、チオエタノール、酸化V(V)、酸化V(IV)、ZnBr
2である。