(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶対値が前記第2閾値よりも大きいと判定された場合に、前記実行部は、前記予め定められた処理として、前記第1処理と異なる第2処理を実行する、請求項7又は請求項8に記載の基板処理装置。
前記第1振動信号は、予め定められた第1ベースレベルに対して第1方向の振動成分と、前記第1ベースレベルに対して前記第1方向と反対の第2方向の振動成分とを含み、
前記第2振動信号は、予め定められた第2ベースレベルに対して第3方向の振動成分と、前記第2ベースレベルに対して前記第3方向と反対の第4方向の振動成分とを含み、
前記第1振動信号の前記振動成分のレベルと比較するための第3閾値と、前記第2振動信号の前記振動成分のレベルと比較するための第4閾値とを記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記第1振動信号の前記振動成分のレベルの絶対値が前記第3閾値よりも大きいか否かを判定するとともに、前記第2振動信号の前記振動成分のレベルの絶対値が前記第4閾値よりも大きいか否かを判定し、
前記絶対値が前記第3閾値よりも大きいと判定され、かつ、前記絶対値が前記第4閾値以下と判定された場合に、前記実行部は、前記判定後に実行する前記処理として、第3処理を実行し、
前記絶対値が前記第3閾値よりも大きいと判定され、かつ、前記絶対値が前記第4閾値よりも大きいと判定された場合に、前記実行部は、前記判定後に実行する前記処理として、第4処理を実行し、
前記絶対値が前記第3閾値以下と判定され、かつ、前記絶対値が前記第4閾値よりも大きいと判定された場合に、前記実行部は、前記判定後に実行する前記処理として、第5処理を実行する、請求項12に記載の基板処理装置。
前記第3処理と前記第4処理と前記第5処理との各々は、警報を発報する処理、及び/又は、前記駆動部を制御して前記回転部の回転を停止する処理を含む、請求項13に記載の基板処理装置。
前記第4処理は、前記絶対値が前記第3閾値よりも大きいと判定されるとともに、前記絶対値が前記第4閾値よりも大きいと判定されたことに応答して、前記回転部の回転を即時停止する処理を含み、
前記第5処理は、前記絶対値が前記第3閾値以下と判定され、かつ、前記絶対値が前記第4閾値よりも大きいと判定されたことに応答して、前記回転部の回転を即時停止する処理を含む、請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の基板処理装置。
前記第1振動信号は、予め定められた第1ベースレベルに対して第1方向の振動成分と、前記第1ベースレベルに対して前記第1方向と反対の第2方向の振動成分とを含み、
前記第3振動信号は、予め定められた第3ベースレベルに対して第5方向の振動成分と、前記第3ベースレベルに対して前記第5方向と反対の第6方向の振動成分とを含み、
前記第1振動信号の前記振動成分のレベルと比較するための第5閾値と、前記第3振動信号の前記振動成分のレベルと比較するための第6閾値とを記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記第1振動信号の前記振動成分のレベルの絶対値が前記第5閾値よりも大きいか否かを判定するとともに、前記第3振動信号の前記振動成分のレベルの絶対値が前記第6閾値よりも大きいか否かを判定し、
前記絶対値が前記第5閾値よりも大きいと判定され、かつ、前記絶対値が前記第6閾値以下と判定された場合に、前記実行部は、前記判定後に実行する前記処理として、第6処理を実行し、
前記絶対値が前記第5閾値よりも大きいと判定され、かつ、前記絶対値が前記第6閾値よりも大きいと判定された場合に、前記実行部は、前記判定後に実行する前記処理として、第7処理を実行し、
前記絶対値が前記第5閾値以下と判定され、かつ、前記絶対値が前記第6閾値よりも大きいと判定された場合に、前記実行部は、前記判定後に実行する前記処理として、第8処理を実行する、請求項18に記載の基板処理装置。
前記第6処理と前記第7処理と前記第8処理との各々は、警報を発報する処理、及び/又は、前記駆動部を制御して前記回転部の回転を停止する処理を含む、請求項19に記載の基板処理装置。
前記第7処理は、前記絶対値が前記第5閾値よりも大きいと判定され、かつ、前記絶対値が前記第6閾値よりも大きいと判定されたことに応答して、前記回転部の回転を即時停止する処理を含み、
前記第8処理は、前記絶対値が前記第5閾値以下と判定され、かつ、前記絶対値が前記第6閾値よりも大きいと判定されたことに応答して、前記回転部の回転を即時停止する処理を含む、請求項19から請求項21のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面において、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とを含む三次元直交座標系を用いて説明する。X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0041】
(実施形態1)
図1〜
図8を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理システム100について説明する。
図1は、基板処理システム100を示す平面図である。
図1に示すように、基板処理システム100は、インデクサーユニットU1と、処理ユニットU2と、コンピューターユニットU3とを備える。コンピューターユニットU3は、インデクサーユニットU1及び処理ユニットU2を制御する。インデクサーユニットU1は、複数の基板収容器Cと、インデクサーロボットIRとを含む。処理ユニットU2は、複数の処理装置1と、搬送ロボットCRと、受渡部PSとを含む。
【0042】
基板収容器Cの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。基板Wは、実施形態1では、略円板状である。インデクサーロボットIRは、複数の基板収容器Cのうちのいずれかの基板収容器Cから1枚の未処理の基板Wを取り出して、基板Wを受渡部PSに渡す。受渡部PSは、基板Wを受け取って、搬送ロボットCRに渡す。搬送ロボットCRは、基板Wを受け取って、複数の処理装置1のうちのいずれかの処理装置1に基板Wを搬入する。
【0043】
そして、処理装置1は、未処理の基板Wを処理する。処理装置1は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型を採用している。例えば、処理装置1は、処理液又は処理ガスを用いて基板Wを処理する。例えば、処理装置1は、ブラシ等の接触部材及び水等の液体を用いて基板Wを処理する。例えば、処理装置1は、紫外線等の電磁波を用いて基板Wを処理する。以下、実施形態1では、処理装置1は、処理液を用いて基板Wを処理する。
【0044】
処理装置1による処理後に、搬送ロボットCRは、処理済みの基板Wを処理装置1から取り出して、基板Wを受渡部PSに渡す。受渡部PSは、基板Wを受け取って、インデクサーロボットIRに渡す。インデクサーロボットIRは、基板Wを受け取って、複数の基板収容器Cのうちのいずれかの基板収容器Cに基板Wを収容する。
【0045】
次に、
図1及び
図2を参照して、複数の処理装置1の配置について説明する。
図2は、基板処理システム100を示す側面図である。
図1及び
図2に示すように、処理ユニットU2は、複数のグループGP(実施形態1では4つのグループGP)を含む。グループGPの各々は、所定数の処理装置1(実施形態1では3つの処理装置1)によって構成される。グループGPの各々において、所定数の処理装置1は、鉛直方向に沿って一直線上に積層される。また、複数のグループは、互いに対向するように配置される。
【0046】
次に、
図3を参照して、処理装置1の詳細について説明する。
図3は、処理装置1を示す側面断面図である。
図3に示すように、処理装置1とコンピューターユニットU3とは、基板処理装置SPを構成する。基板処理装置SPは基板Wを処理する。
【0047】
処理装置1は、検出部SN(第1検出部)と、チャンバー3(収容部)と、スピンユニット5と、第1ノズル9aと、第2ノズル9bと、第3ノズル9cと、第1ノズルアーム10aと、第2ノズルアーム10bと、第3ノズルアーム10cと、第1ノズルアーム駆動部11aと、第2ノズルアーム駆動部11bと、第3ノズルアーム駆動部11cと、第1ガード13aと、第2ガード13bと、第3ガード13cと、第1ガード駆動部15aと、第2ガード駆動部15bと、第3ガード駆動部15cと、複数のボルト23とを含む。
【0048】
チャンバー3は、略箱状であり、スピンユニット5、第1ノズル9a〜第3ノズル9c、第1ノズルアーム10a〜第3ノズルアーム10c、第1ノズルアーム駆動部11a〜第3ノズルアーム駆動部11c、第1ガード13a〜第3ガード13c、及び第1ガード駆動部15a〜第3ガード駆動部15cを収容する。チャンバー3が、各要素5、9a〜9c、10a〜10c、11a〜11c、13a〜13c、15a〜15cを収容することによって、
図2に示すように、処理装置1の積層が容易になったり、処理装置1ごとの交換及び修理が容易になったりする。
【0049】
具体的には、チャンバー3は、ベース部3aと、側壁部3b(壁部)と、天壁部3c(壁部)とを含む。ベース部3aは、略板状であり、水平方向に略平行である。側壁部3bは、略角筒状であり、鉛直方向に略平行である。天壁部3cは、略板状であり、水平方向に略平行である。
【0050】
スピンユニット5は、基板Wを保持して基板Wを回転させる。具体的には、スピンユニット5は、第1駆動部5a(駆動部)と、シャフト5bと、スピンチャック5c(回転部)と、第2駆動部5dと、カバー部材5eとを含む。第1駆動部5aは、モーター本体17aと、モーター本体17aを収容するケース17bとを含む。従って、第1駆動部5aはモーターである。スピンチャック5cは、略円板状のスピンベース19と、複数の保持部材21とを含む。
【0051】
第1駆動部5aは、スピンチャック5cと検出部SNとの間に配置される。そして、第1駆動部5aはベース部3aに設置される。具体的には、第1駆動部5aは、複数のボルト23によって、ベース部3aに取り付けられる。また、第1駆動部5aがベース部3aに支持されているため、第1駆動部5aの設置状態が安定している。従って、スピンチャック5cを安定して回転させることができる。
【0052】
第1駆動部5aは、スピンチャック5cを駆動して、第1駆動部5aの回転軸線AXの回りに、スピンチャック5cを回転させる。具体的には、モーター本体17aが、シャフト5bを回転させて、シャフト5bに連結されるスピンベース19を回転させる。
【0053】
スピンチャック5cは、基板Wを保持することが可能である。具体的には、複数の保持部材21(少なくとも3つ以上の保持部材21)が、回転軸線AXを囲むように、スピンベース19の上面に配置される。そして、複数の保持部材21が基板Wを保持する。スピンベース19は水平方向に略平行であるため、基板Wは、略水平姿勢を有しつつ保持される。
【0054】
複数の保持部材21が基板Wを保持する際には、複数の保持部材21のうち、全部の保持部材21又は一部の保持部材21が、第2駆動部5dによって駆動され、基板Wの周縁部に当接するまで回動する。その結果、全部の保持部材21によって、基板Wが保持される。例えば、第2駆動部5dは、モーター又はエアシリンダー等の駆動源と、運動変換機構とを有する。そして、第2駆動部5dは、駆動源によって運動変換機構を駆動して、昇降運動を保持部材21の回動運動に変換する。
【0055】
スピンチャック5cは、第1駆動部5aによって駆動されて、基板Wを保持した状態で回転軸線AXの回りに回転する。その結果、基板Wは、スピンチャック5cとともに回転する。一方、スピンチャック5cは、第1駆動部5aによって駆動されて、スピンチャック5cに基板Wが存在しない状態で回転軸線AXの回りに回転することもできる。
【0056】
カバー部材5eは、略筒状であり、第1駆動部5aを包囲している。カバー部材5eは、第1駆動部5aに処理液が付着することを抑制する。なお、
図3では、図面の簡略化のため、カバー部材5eを2点鎖線で示している。
【0057】
検出部SNは、第1駆動部5aを介して振動vbを検出する。具体的には、検出部SNは、スピンチャック5cが回転している期間に振動vbを検出して、振動vbを表す振動信号Svを出力する。振動vbは、スピンチャック5cの振動svと、第1駆動部5a自身の回転動作に直接起因する振動dvとを含む。
【0058】
実施形態1では、振動vbは加速度として検出される。従って、振動信号Svは、振動vbを表す加速度信号である。加速度信号は、例えば、標準重力を基準とした単位「ジー(G)」で表され、又は、加速度に比例する電圧値「ボルト(V)」で表される。例えば、検出部SNは加速度センサーを含む。
【0059】
加速度センサーは、例えば、静電容量型の接触式の加速度センサー、又はピエゾ抵抗型の接触式の加速度センサーである。また、加速度センサーは、例えば、光学的方式を採用した非接触方式の加速度センサーである。さらに、加速度センサーは、例えば、機械的変位測定方式、振動を利用する方式、又は半導体方式を採用することができる。
【0060】
また、検出部SNは、チャンバー3の外部に配置され、第1駆動部5aに対向する。チャンバー3の外部は、チャンバー3の内部でないことを示し、例えば、チャンバー3の外面を含む。具体的には、検出部SNは、チャンバー3を介して第1駆動部5aと対向するようにチャンバー3(具体的にはベース部3a)の外面に取り付けられる。検出部SNは、回転軸線AX上で第1駆動部5aに対向していることが好ましい。なお、検出部SNの一部が第1駆動部5aに対向していてもよい。
【0061】
以上、
図3を参照して説明したように、実施形態1によれば、スピンチャック5cが回転している期間に、検出部SNは、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。そして、スピンチャック5cの振動svは、スピンチャック5cによる基板Wの保持状態に依存して変化する。従って、振動svを含む振動vb(具体的には、振動信号Sv)を解析することで、スピンチャック5cによる基板Wの保持状態を検知できる。本明細書において、基板Wの保持状態の検知は、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていること又はスピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていないことを検知することを示す。
【0062】
振動vbの解析によって基板Wの保持状態を検知できる理由は次の通りである。
【0063】
すなわち、保持部材21が劣化していたり、基板Wが反っていたりすると、保持部材21が基板Wを適正に保持できず、基板Wの重心が回転軸線AXに対して偏心していることがあり得る。
【0064】
そして、基板Wの重心が回転軸線AXに対して偏心している場合、偏心がない場合と比較して、回転中のスピンチャック5cの振動svが大きくなる。振動svが大きくなると、振動vbが大きくなる。つまり、異常振動が起こる。そこで、振動vbを解析することで、基板Wの重心が偏心していることを検知できる。基板Wの重心が偏心している場合、基板Wが適正に保持されていない可能性が高いため、基板Wの重心の偏心を検知したことは、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていないことを示す。
【0065】
また、スピンベース19とシャフト5bとの連結部が緩んでいたり、ベース部3aのボルト23が緩んで第1駆動部5aの取り付けが不十分だったりして、スピンチャック5cの設置が良好でないと、スピンチャック5cが、スピンチャック規定位置と異なる位置に位置することがあり得る。スピンチャック規定位置は、スピンチャック5cをベース部3aに設置する際の特定位置を示し、チャンバー3に対して定められている。スピンチャック5cがスピンチャック規定位置と異なる位置に位置していると、基板Wが基板規定位置でスピンチャック5cに載置された場合でも、保持部材21が基板Wを適正に保持できないことがあり得る。基板規定位置は、基板Wをスピンチャック5cに載置する際の特定位置を示し、チャンバー3に対して定められている。
【0066】
そして、スピンチャック5cの設置状態が良好でない場合、設置状態が良好な場合と比較して、回転中のスピンチャック5cの振動svが大きくなる。振動svが大きくなると、振動vbが大きくなる。つまり、異常振動が起こる。そこで、振動vbを解析することで、スピンチャック5cの設置状態が良好でないことを検知できる。スピンチャック5cの設置状態が良好でない場合、基板Wが適正に保持されていない可能性が高いため、スピンチャック5cの設置状態が良好でないことを検知したことは、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていないことを示す。
【0067】
特に、実施形態1では、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを解析することで、基板Wの保持状態を検知できるため、保持部材21の位置に基づいて基板Wの保持状態を検知する場合と比較して、基板Wが適正に保持されていること又は適正に保持されていないことを検知する際に誤検知を低減できる。
【0068】
また、実施形態1によれば、第1駆動部5aがスピンチャック5cと検出部SNとの間に配置されるとともに、検出部SNが第1駆動部5aに対向している。従って、検出部SNは、第1駆動部5a以外の駆動部(第1ノズルアーム駆動部11a〜第3ノズルアーム駆動部11c及び第1ガード駆動部15a〜第3ガード駆動部15c)と対向していない。その結果、振動vbを表す振動信号Svに、第1駆動部5a以外の駆動部11a〜11c、15a〜15cの振動がノイズとして重畳することを抑制できる。ノイズの重畳を抑制できると、振動信号Svの解析精度が向上するため、基板Wの保持状態を検知する際に、検知の信頼性を向上できる。
【0069】
さらに、実施形態1によれば、基板Wが存在する状態でスピンチャックを回転させる前に、スピンチャック5cに基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させて、振動vbを解析することができる。その結果、振動vbが異常振動になった原因を、複数の原因のうちから絞り込むことができる。
【0070】
すなわち、振動vbが異常振動になる原因は、スピンチャック5cが良好に設置されていないこと、あるいは、基板Wが偏心していることのいずれかである可能性が高い。従って、基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させた場合に、振動vbが異常振動を起こす原因は、スピンチャック5cが良好に設置されていないことの可能性が高い。そこで、基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させて、スピンチャック5cの設置状態を検知することで、事前にスピンチャック5cの設置を良好にできる。
【0071】
従って、スピンチャック5cの設置を良好にした後に、基板Wが存在する状態でスピンチャック5cを回転させた場合に、振動vbが異常振動を起こす原因は、基板Wの偏心である可能性が高い。特に、基板Wの偏心は、保持部材21の劣化又は基板Wの反りに起因する可能性が高いため、振動vbが異常振動を起こす原因を、保持部材21の劣化又は基板Wの反りに絞り込むことができる。そこで、例えば、保持部材21を、整備、修理、又は交換したり、基板Wを交換したりできる。
【0072】
また、実施形態1によれば、振動vbが異常振動になった原因を、複数の原因のうちから絞り込むことができるため、処理装置1のうち、異常振動を引き起こしている部分の整備、修理、又は交換を迅速に実行できる。
【0073】
引き続き
図3を参照して、処理装置1の詳細について説明する。第1ノズル9aは、回転中の基板Wに向けて第1処理液(例えば、硫酸含有液)を吐出する。具体的には、第1ノズル9aは、第1ノズルアーム10aの先端部に取り付けられる。第1ノズルアーム駆動部11aは、第1ノズルアーム10aを駆動して、略鉛直方向に沿って延びる軸線の回りに第1ノズルアーム10aを回動させる。例えば、第1ノズルアーム駆動部11aは、モーター等の駆動源及び回動機構を有しており、駆動源によって回動機構を駆動して、第1ノズルアーム10aを回動させる。第1ノズルアーム駆動部11aは、ベース部3aに取り付けられる。
【0074】
第2ノズル9bは、回転中の基板Wに向けて第2処理液(例えば、リンス液)を吐出する。第3ノズル9cは、回転中の基板Wに向けて第3処理液(例えば、有機溶剤)を吐出する。第2ノズルアーム10b及び第3ノズルアーム10cは、第1ノズルアーム10aと同様の構成及び機能を有する。第2ノズルアーム駆動部11b及び第3ノズルアーム駆動部11cは、第1ノズルアーム駆動部11aと同様の構成及び機能を有し、ベース部3aに取り付けられる。
【0075】
第1ガード13aは、基板Wから飛散した第1処理液を受け止める。具体的には、第1ガード13aは、略筒状であり、回転軸線AXの周りに、スピンチャック5cを囲んでいる。
図3では、第1ガード13aは、待機位置に位置している。待機位置は、第1ガード13aの上端が保持部材21よりも下方に位置するときの第1ガード13aの位置を示す。
【0076】
第1ガード13aは、第1ガード駆動部15aに連結される。第1ガード駆動部15aはベース部3aに取り付けられる。第1ガード駆動部15aは、第1ガード13aを駆動して、昇降方向UDに沿って第1ガード13aを上昇又は下降させる。昇降方向UDは、鉛直方向に略平行である。
【0077】
具体的には、第1処理液による基板Wの処理前に、第1ガード駆動部15aは、第1ガード13aを待機位置からガード位置まで上昇させる。ガード位置は、第1ガード13aの上端が保持部材21よりも上方に位置するときの第1ガード13aの位置を示す。そして、基板Wの全処理が完了した後に、第1ガード駆動部15aは、第1ガード13aをガード位置から待機位置まで下降させる。
【0078】
例えば、第1ガード駆動部15aは、モーター等の駆動源及び昇降機構を有しており、駆動源によって昇降機構を駆動して、第1ガード13aを上昇又は下降させる。
【0079】
第2ガード13bは、基板Wから飛散した第2処理液を受け止める。第3ガード13cは、基板Wから飛散した第3処理液を受け止める。その他、第2ガード13b及び第3ガード13cは、第1ガード13aと同様の構成及び機能を有する。第2ガード駆動部15b及び第3ガード駆動部15cは、第1ガード駆動部15aと同様の構成及び機能を有し、ベース部3aに取り付けられる。
【0080】
次に、
図4を参照して、第1駆動部5a以外の駆動部11a〜11c、15a〜15cと関連して、検出部SNの配置について説明する。
図4は、処理装置1を示す底面図である。
図4に示すように、ベース部3aの底面3Aは、第1領域3aaと第2領域3abとを有する。底面3Aは、ベース部3aの内面と外面とのうちの外面である。第1領域3aaは、底面3Aのうち、第1駆動部5aに対向する領域を示す。第2領域3abは、底面3Aのうち、第1領域3aaを除く領域を示す。第2領域3abは、第1ノズルアーム駆動部11a〜第3ノズルアーム駆動部11c及び第1ガード駆動部15a〜第3ガード駆動部15cに対向している。
【0081】
検出部SNは、ベース部3aの第1領域3aaに取り付けられる。複数のボルト23は、第1領域3aa上で検出部SNを囲んでいる。
【0082】
以下、検出部SNが配置される位置を「所定位置SP1」と記載する場合がある。そして、第1駆動部5aは、スピンチャック5cと所定位置SP1との間に配置されている。さらに、所定位置SP1は、チャンバー3の外部において、第1駆動部5aに対向する位置を示す。具体的には、所定位置SP1は、第1領域3aa上の位置を示す。
【0083】
以上、
図4を参照して説明したように、実施形態1によれば、検出部SNが取り付けられる第1領域3aaは、第1駆動部5a以外の駆動部11a〜11c、15a〜15cに対向する第2領域3abと異なる。従って、第1駆動部5a以外の駆動部11a〜11c、15a〜15cの振動は、第1領域3aaに到達するまでに減衰する可能性がある。その結果、検出部SNが、第1駆動部5a以外の駆動部11a〜11c、15a〜15cの振動をノイズとして検出することを抑制できる。
【0084】
また、実施形態1によれば、検出部SNは、チャンバー3の外面(具体的には、第1領域3aa)に取り付けられる。従って、チャンバー3の内部で吐出される処理液(第1処理液〜第3処理液)が、検出部SNに、はねかかることを抑制できる。その結果、検出部SNの劣化を抑制できるとともに、検出部SNの信頼性を維持できる。
【0085】
次に、
図3を参照して、コンピューターユニットU3について説明する。コンピューターユニットU3は、制御部51と、記憶部53と、出力部55とを含む。制御部51は、記憶部53に記憶されたコンピュータープログラムを実行して、スピンユニット5、第1ノズルアーム駆動部11a〜第3ノズルアーム駆動部11c、及び第1ガード駆動部15a〜第3ガード駆動部15cを制御する。制御部51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。
【0086】
記憶部53は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶部53は、例えば、半導体メモリー等のメモリーを含み、ハードディスクドライブを含んでいてもよい。また、記憶部53は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。出力部55は、制御部51が生成した画像データに基づいて画像を表示し、及び/又は、制御部51が生成した音声データに基づいて音声を出力する。例えば、出力部55は、ディスプレイ及び/又はスピーカーを含む。
【0087】
次に、
図3及び
図5を参照して、コンピューターユニットU3による振動vbの解析について説明する。
図3に示すように、制御部51は、判定部51aと、実行部51bとを含む。具体的には、制御部51のプロセッサーは、記憶部53の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、判定部51a及び実行部51bとして機能する。
【0088】
判定部51aは、スピンチャック5cの回転期間中に、振動vbを表す振動信号Svを検出部SNから受信して、振動信号Svを解析する。具体的には、判定部51aは、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたか否かを判定して、基板Wの保持状態を検知する。以下、振動信号Svの解析について具体例を挙げて説明する。
【0089】
図5(a)は、振動信号Svが所定振動範囲RG内で振動しているときの振動信号Svの波形を示す。
図5(b)は、振動信号Svが所定振動範囲RGを超えて振動しているときの振動信号Svの波形を示す。
図5(a)及び
図5(b)では、横軸は時間を示し、縦軸は振動信号Svのレベル(G又はV)を示す。
【0090】
図5(a)に示すように、期間T1では、スピンチャック5cが停止している。期間T2では、スピンチャック5cが加速している。期間T3では、スピンチャック5cが一定回転速度で回転している。スピンチャック5cの回転速度は、単位時間当たりのスピンチャック5cの回転数によって表される。期間T4では、スピンチャック5cが減速している。期間T5では、スピンチャック5cが停止している。以下、本明細書において、期間T1〜T5が同様に定義される。
【0091】
判定部51aは、期間T3に受信した振動信号Svを解析する。振動信号Svは、予め定められたベースレベルBL(例えばゼロレベル)に対して第1方向D1(例えばプラス方向)の振動成分と、ベースレベルBLに対して第1方向D1と反対の第2方向D2(例えばマイナス方向)の振動成分とを含む。ただし、ベースレベルBLは、スピンチャック5cの回転前に許容可能な振動レベルであってもよい。以下、第1方向D1の振動成分と第2方向の振動成分とを総称して、「振動成分Sc」と記載する場合がある。
【0092】
記憶部53は、所定振動範囲RGの一方端の値を示す第1所定値A1と、所定振動範囲RGの他方端の値を示す第2所定値A2とを記憶している。第1所定値A1は、第1方向D1の振動成分に対応して定められる。第2所定値A2は、第2方向D2の振動成分に対応して定められる。実施形態1では、第1所定値A1の絶対値と第2所定値A2の絶対値とは同一である。具体的には、第1所定値A1は、振動成分Scのレベルと比較するための第1閾値TH1を示しており、記憶部53は、第1閾値TH1を記憶している。なお、所定振動範囲RGは、処理装置1の設置環境を考慮しつつ、実験的及び/又は経験的に定められる。
【0093】
所定振動範囲RGは、スピンチャック5cの回転速度に依存することなく、一定である。ただし、所定振動範囲RGは、スピンチャック5cの回転速度に応じて異なっていてもよい。つまり、第1所定値A1、第2所定値A2、及び第1閾値TH1は、スピンチャック5cの回転速度に応じて異なっていてもよい。例えば、スピンチャック5cの回転速度が大きい程、所定振動範囲RG(例えば、第1閾値TH1)を大きく設定する。振動vbの大きさは、スピンチャック5cの回転速度に応じて異なるため、所定振動範囲RGをスピンチャック5cの回転速度ごとに設定することで、基板Wの保持状態の検知精度を向上できる。
【0094】
判定部51aは、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたか否かを判定する。
図5(a)に示す振動信号Svに対しては、判定部51aは、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RG内であると判定する。振動信号Svのレベルが所定振動範囲RG内であると判定したことは、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていることを検知したことに相当する。
【0095】
一方、
図5(b)に示す振動信号Svに対しては、判定部51aは、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えていると判定する。振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えていると判定したことは、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていないことを検知したことに相当する。振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えている場合、基板Wが偏心していたり、スピンチャック5cの設置状態が良好でなかったりして、基板Wが適正に保持されていない可能性が高いからである。
【0096】
そこで、実行部51bは、判定部51aによる肯定判定に従って、予め定められた処理を実行する。肯定判定は、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えていることを示す。予め定められた処理は、出力部55を制御して警報を発報する処理、及び/又は、第1駆動部5aを制御してスピンチャック5cの回転を停止する処理を含む。出力部55は、画像又は音声によって警報を発報する。警報は、例えば、基板Wがスピンチャック5cによって適正に保持されていない旨の通知を含む。警報は、例えば、スピンチャック5cの回転を停止する旨の通知を含む。
【0097】
そして、ユーザーは、基板Wが適正に保持されていないことを警報によって認識でき、処理装置1に対して的確な措置をとることができる。また、スピンチャック5cの回転を停止することによって、基板Wが適正に保持されていないために基板Wがスピンチャック5cから脱落することを抑制できる。
【0098】
以上、
図3及び
図5を参照して説明したように、実施形態1によれば、判定部51aは、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたか否かを判定して、基板Wの保持状態を検知する。従って、保持部材21の位置に基づいて基板Wの保持状態を検知する場合と比較して、基板Wの保持状態の誤検知を低減できる。その結果、実行部51bが予め定められた処理(例えば、警報又は回転停止)を誤って実行することを抑制できるため、基板Wを処理するための一連の工程を円滑に実行できる。
【0099】
また、実施形態1によれば、所定振動範囲RGは、第1方向D1に対応する第1所定値A1から第2方向D2に対応する第2所定値までの範囲である。従って、第1方向D1の振動成分と第2方向D2の振動成分とのうちのいずれかが、所定振動範囲RGを超えると、基板Wが適正に保持されていないことが検知される。その結果、基板Wが適正に保持されていないことの検知漏れを低減できる。
【0100】
次に、
図6を参照して、スピンチャック5cの一例について説明する。
図6(a)、
図6(c)、及び
図6(e)は、スピンチャック5cを示す平面図である。
図6(a)に示すように、複数の保持部材21(実施形態1では、4つの保持部材21)は、スピンベース19の上面の所定円周上に、一定間隔をおいて配置される。所定円周は基板Wの周縁に対応する。保持部材21の各々は、例えば、略円柱状の当接部Pを含む。
【0101】
複数の保持部材21のうち、保持部材FCは、スピンベース19に固定され、回動不可能である。複数の保持部材21のうち、保持部材MCは、スピンベース19に回動自在に支持される。保持部材MCは、第2駆動部5d(
図3)によって駆動され、回転軸線AXに略平行な軸線の回りに回動する。
【0102】
図6(a)に示すように、保持部材MCは閉位置に位置している。閉位置は、当接部Pが回転軸線AXに最も近づいたときの保持部材MCの位置を示す。
図6(c)に示すように、保持部材MCは開位置に位置している。開位置は、当接部Pが回転軸線AXから最も離れたときの保持部材MCの位置を示し、保持部材MCの待機位置である。
【0103】
図6(e)に示すように、保持部材MCは保持位置に位置している。保持位置は、基板規定位置に位置する基板Wの周縁部に当接部Pが当接するときの保持部材MCの位置を示す。保持位置に位置する保持部材MCの当接部Pと、保持部材FCの当接部Pとが、基板Wの周縁部に当接して、基板Wが保持される。
【0104】
また、
図6(a)に示すように、スピンチャック5cは、複数の保持部材MCにそれぞれ対応して複数の位置検出部PSNを含む。位置検出部PSNは、保持部材MCの位置を検出する。
【0105】
図6(b)、
図6(d)、及び
図6(f)は、位置検出部PSNを示す平面図である。
図6(b)に示すように、位置検出部PSNは、樹脂製のアーム31と、金属製の被検出部材33と、第1磁気センサー35と、第2磁気センサー37と、第3磁気センサー39とを含む。
【0106】
アーム31は、保持部材MCとともに回動する。アーム31は、スピンベース19の上面よりも下方に位置する。被検出部材33は、アーム31の先端部に取り付けられる。第1磁気センサー35、第2磁気センサー37、及び第3磁気センサー39は、アーム31及び被検出部材33に対して間隔をあけて、アーム31及び被検出部材33よりも下方に位置する。
【0107】
図6(b)に示すように、保持部材MCが閉位置に位置するときは、第1磁気センサー35が、被検出部材33を検出し、検出信号を出力する。
図6(d)に示すように、保持部材MCが開位置に位置するときは、第3磁気センサー39が、被検出部材33を検出し、検出信号を出力する。
図6(f)に示すように、保持部材MCが保持位置に位置するときは、第2磁気センサー37が、被検出部材33を検出し、検出信号を出力する。
【0108】
全ての第2磁気センサー37の各々が被検出部材33を検出したことは、基板Wが適正に保持されていることを示す。一方、少なくとも1つの第1磁気センサー35が被検出部材33を検出したことは、基板Wが適正に保持されていないことを示す。基板Wが適正に保持されることなく基板Wが偏心していると、保持部材MCが閉位置に位置し、第1磁気センサー35が被検出部材33を検出するからである。
【0109】
以上、
図6を参照して説明したように、実施形態1によれば、振動信号Svに基づく基板Wの保持状態の検知に加えて、保持部材MCの位置に基づいて基板Wの保持状態を検知している。従って、基板Wが適正に保持されていること又は適正に保持されていないことを検知する際に誤検知を更に低減できる。
【0110】
次に、
図3、
図7、及び
図8を参照して、基板処理装置SPが実行する実施形態1に係る振動検出方法について説明する。
図7は、実施形態1に係る振動検出方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、振動検出方法は、工程S1〜工程S15を含み、基板処理装置SPの振動を検出する。工程S1〜工程S15はメインルーチンを構成する。
【0111】
図3及び
図7に示すように、工程S1において、制御部51は、基板Wをスピンチャック5cに載置するように、搬送ロボットCRを制御する。
【0112】
工程S3において、制御部51は、保持部材MCが開位置から保持位置に回動するように、第2駆動部5dを制御する。
【0113】
工程S5において、制御部51は、位置検出部PSN(
図6)によって検出された保持部材MCの位置に基づいて、基板Wの保持状態を検知する。
【0114】
具体的には、制御部51が、少なくとも1つの第1磁気センサー35から、被検出部材33を検知したことを示す検出信号を受信した場合(工程S5でNo)、基板Wが適正に保持されていないため、処理は工程S7に進む。
【0115】
一方、制御部51が、全ての第2磁気センサー37の各々から、被検出部材33を検出したことを示す検出信号を受信した場合(工程S5でYes)、基板Wが適正に保持されていることが暫定的に示されるため、処理は工程S9に進む。
【0116】
工程S7において、制御部51は、特定処理を実行して、処理を終了する。実施形態1では、特定処理は、警報の発報である。従って、制御部51は、警報を発報するように、出力部55を制御する。
【0117】
一方、工程S9(回転工程)において、制御部51は、スピンチャック5cが回転を開始するように、第1駆動部5aを制御する。つまり、スピンチャック5cを回転させる。
【0118】
工程S11において、制御部51は振動解析処理を実行する。具体的には、制御部51は、振動信号Svを解析して、基板Wの保持状態を検知し、検知結果に基づいて、予め定められた処理を実行する。
【0119】
工程S13において、制御部51は、全ての処理工程が完了したか否かを判定する。全ての処理工程は、実施形態1では、第1処理工程と、第2処理工程と、第3処理工程と、第4処理工程とを含む。
【0120】
第1処理工程では、第1ノズル9aから第1処理液を吐出して、回転する基板Wを処理する。第2処理工程では、第2ノズル9bから第2処理液を吐出して、回転する基板Wを処理する。第3処理工程では、第3ノズル9cから第3処理液を吐出して、回転する基板Wを処理する。第1処理工程〜第3処理工程のスピンチャックの回転速度は同一である。第4処理工程では、スピンチャック5cの回転速度を、第3処理工程でのスピンチャック5cの回転速度よりも大きくして、基板Wを乾燥させる。
【0121】
制御部51は、振動解析処理(工程S11)を、第1処理工程〜第4処理工程の実行中に並行して実行する。
【0122】
そこで、制御部51による否定判定(工程S13でNo)に従って、処理は工程S11に進む。その結果、制御部51が肯定判定(工程S13でYes)をするまで、振動解析処理(工程S11)が繰り返される。
【0123】
一方、制御部51による肯定判定(工程S13でYes)に従って、処理は工程S15に進む。
【0124】
工程S15において、制御部51は、スピンチャック5cが回転を停止するように、第1駆動部5aを制御する。その結果、スピンチャック5cが停止する。そして、処理が終了する。
【0125】
図8は、
図7の工程S11で実行される振動解析処理を示すフローチャートである。振動解析処理では、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたか否かを判定するために、第1閾値TH1を利用する。
【0126】
図8に示すように、振動解析処理は、工程S20〜工程S27を含む。工程S20(検出工程)において、検出部SNは、第1駆動部5aを介して、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。工程S20では、検出部SNは、スピンチャック5cが回転している期間に、所定位置SP1で振動を検出する。
【0127】
工程S21において、判定部51aは、検出部SNから、振動成分Scを含む振動信号Svを受信する。
【0128】
工程S23において、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第1閾値TH1よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0129】
否定判定(工程S23でNo)に従って、処理はメインルーチンに戻る。否定判定は、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RG内であることを示し、基板Wが適切に保持されていることを検知したことに相当する。
【0130】
一方、肯定判定(工程S23でYes)に従って、処理は工程S25に進む。肯定判定は、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたことを示し、基板Wが適切に保持されていないことを検知したことに相当する。
【0131】
工程S25において、実行部51bは、警報を発報するように、出力部55を制御する。
【0132】
工程S27において、実行部51bは、スピンチャック5cの回転を停止するように、第1駆動部5aを制御する。そして、処理は終了する。
【0133】
以上、
図3、
図7、及び
図8を参照して説明したように、実施形態1によれば、スピンチャック5cを回転させる前に、基板Wの保持状態を検知する(工程S5)。従って、基板Wが適正に保持されていないことを、基板Wを処理するための一連の工程の早い段階で検知できる(工程S5でNo)。その結果、処理の無駄が生じることを低減できる。
【0134】
また、実施形態1によれば、第1閾値TH1を利用することによって、基板Wの保持状態を簡易に検知できる(工程S23)。
【0135】
なお、第4処理工程と並行して実行される振動解析処理での第1閾値TH1(所定振動範囲RG)を、第1処理工程〜第3処理工程と並行して実行される振動解析処理での第1閾値TH1(所定振動範囲RG)よりも大きく設定することが好ましい。第4処理工程でのスピンチャック5cの回転速度は、第1処理工程〜第3処理工程でのスピンチャック5cの回転速度よりも大きく、第4処理工程では、正常振動が大きくなるためである。
【0136】
次に、
図3、
図7、及び
図9〜
図14を参照して、本発明の実施形態1の第1変形例〜第5変形例について説明する。特に、制御部51、判定部51a、実行部51b、記憶部53、及び出力部55を説明する際には、
図3を参照する。
【0137】
(第1変形例)
図3及び
図9を参照して、実施形態1の第1変形例に係る基板処理装置SPについて説明する。第1変形例では、異常振動が、所定時間以上、継続して検出されたことが、基板Wが適正に保持されていないことに相当する点で、
図1〜
図8を参照して説明した実施形態1と異なる。その他の点に関し、
図3に示すように、第1変形例に係る基板処理装置SPの構成は、実施形態1に係る基板処理装置SPの構成と同様である。以下、第1変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0138】
図9は、検出部SNが出力した振動信号Svの波形を示す。横軸は時間を示し、縦軸は振動信号Svのレベル(G又はV)を示す。
【0139】
図9に示すように、期間T3において、判定部51aは、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたか否かを判定する。そして、時刻t0において、判定部51aが、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたと判定すると、タイマーをスタートする。そして、タイマーは、所定時間Tcの計測を開始する。所定時間Tcは時刻t0から時刻t1までの時間を示す。
【0140】
さらに、判定部51aは、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたと判定した回数Naが、タイマーのスタート時を起点として、所定時間Tc内に所定数Nb以上であるか否かを判定する。回数Naは異常振動を検出した回数を示す。所定数Nbは、複数(例えば、2以上の整数)を示す。回数Naが所定時間Tc内に所定数Nb以上であると判定されたことは、異常振動が継続して発生していることを示す。なお、所定時間Tc及び所定数Nbは、処理装置1の設置環境を考慮しつつ、実験的及び/又は経験的に定められる。
【0141】
例えば、判定部51aは、振動信号Svを一定間隔で受信するたびに、振動信号Svのレベルが、所定振動範囲RGを超えたか否かを判定する。又は、例えば、判定部51aは、振動信号Svの極値EVが、所定振動範囲RGを超えたか否かを判定する。回数Naは、極値EVが所定振動範囲RGを超えたと判定した回数を示す。極値EVとは、振動信号Svの局所的な最大値又は最小値のことである。
【0142】
判定部51aによる肯定判定に従って、実行部51bは、予め定められた処理(例えば、警報の発報又は回転停止)を実行する。肯定判定は、回数Naが所定時間Tc内に所定数Nb以上であることを示し、基板Wが適切に保持されていないことを検知したことに相当する。
【0143】
一方、判定部51aは、否定判定として、回数Naが所定時間Tc内に所定数Nb未満であると判定した場合には、タイマーをリセットする。否定判定は、基板Wが適切に保持されていることを検知したことに相当する。
【0144】
以上、
図9を参照して説明したように、第1変形例によれば、異常振動を検出した回数Naが所定時間Tc内に所定数Nb以上であるか否かを判定して、基板Wの保持状態を検知する。従って、突発的な異常振動又はノイズに基づく誤検知を低減でき、基板Wの保持状態を検知する際に、検知の信頼性を更に向上できる。
【0145】
また、第1変形例によれば、第1閾値TH1を利用して、基板Wの保持状態を簡易に検知することもできる。
【0146】
すなわち、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第1閾値TH1よりも大きいか否かを判定する。そして、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第1閾値TH1よりも大きいと判定した回数Naが、所定時間Tc内に所定数Nb以上であるか否かを判定して、基板Wの保持状態を検知する。
【0147】
(第2変形例)
図3、
図7、
図10、及び
図11を参照して、実施形態1の第2変形例に係る基板処理装置SPについて説明する。第2変形例では、基板Wの保持状態を検知するために、第1所定振動範囲RG1と第2所定振動範囲RG2とが定められる点で、
図1〜
図8を参照して説明した実施形態1と異なる。その他の点に関し、
図3に示すように、第2変形例に係る基板処理装置SPの構成は、実施形態1に係る基板処理装置SPの構成と同様である。以下、第2変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0148】
図10(a)及び
図10(b)は、第2変形例に係る第1所定振動範囲RG1と第2所定振動範囲RG2とを示す。横軸は時間を示し、縦軸は振動信号Svのレベル(G又はV)を示す。
【0149】
図10(a)に示すように、第1所定振動範囲RG1と第2所定振動範囲RG2とが定められている。記憶部53は、第1所定振動範囲RG1の一方端の値を示す第1所定値A1と、第1所定振動範囲RG1の他方端の値を示す第2所定値A2と、第2所定振動範囲RG2の一方端の値を示す第3所定値A3と、第2所定振動範囲RG2の他方端の値を示す第4所定値A4とを記憶している。
【0150】
第1所定値A1及び第3所定値A3は、第1方向D1の振動成分に対応して定められる。第2所定値A2及び第4所定値A4は、第2方向D2の振動成分に対応して定められる。第2変形例では、第1所定値A1の絶対値と第2所定値A2の絶対値とは同一であり、第3所定値A3の絶対値と第4所定値A4の絶対値とは同一である。第3所定値A3の絶対値は、第1所定値A1の絶対値よりも大きい。従って、第2所定振動範囲RG2は第1所定振動範囲RG1よりも大きい。
【0151】
具体的には、第1所定値A1は、振動成分Scのレベルと比較するための第1閾値TH1を示しており、第3所定値A3は、振動成分Scのレベルと比較するための第2閾値TH2を示している。そして、記憶部53は第1閾値TH1及び第2閾値TH2を記憶している。第2閾値TH2は、第1閾値TH1よりも大きい。なお、第1所定振動範囲RG1及び第2所定振動範囲RG2は、処理装置1の設置環境を考慮しつつ、実験的及び/又は経験的に定められる。
【0152】
引き続き、
図10を参照して、判定部51a及び実行部51bについて説明する。判定部51aは、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1を超えたか否かを判定するとともに、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2を超えたか否かを判定する。
【0153】
判定部51aが、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1内であることを判定したことは、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていることを検知したことに相当する。
【0154】
一方、
図10(a)に示す振動信号Svに対して、判定部51aは、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1を超えており、かつ、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2内であると判定する。このような判定を「第1判定」と記載する。判定部51aが第1判定をしたことは、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていないことを検知したことに相当する。第1判定をした場合、基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的小さく、緊急度も比較的低い。振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2内であり、異常振動が比較的小さいからである。
【0155】
実行部51bは、第1判定に従って、予め定められた処理として、第1処理を実行する。第1処理は、例えば、第1警報を発報する処理を含む。第1警報は、例えば、比較的低い緊急度に応じた内容の通知を含む。
【0156】
第1処理は、例えば、基板Wに対して実行中の処理の完了後に、スピンチャック5cの回転を停止する処理を含む。基板Wの不適切な保持の程度が比較的小さいため、実行中の処理を完了することが可能だからである。また、実行中の処理の再実行による処理時間の延長を抑制するためである。実行中の処理は、例えば、第1処理工程〜第4処理工程のうちのいずれかの工程である。
【0157】
第1処理は、例えば、新たな基板Wを処理装置1に搬入しないように搬送ロボットCRを制御する処理を含む。搬入作業を禁止して、基板Wの不適切な保持の原因となった部分の整備、修理、又は交換のための作業時間を確保するためである。
【0158】
また、
図10(b)に示す振動信号Svに対して、判定部51aは、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2を超えていると判定する。このような判定を「第2判定」と記載する。判定部51aが第2判定をしたことは、スピンチャック5cに基板Wが適正に保持されていないことを検知したことに相当する。第2判定をした場合、基板Wの不適切な保持状態の程度は比較的大きく、緊急度も比較的高い。振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2を超えており、異常振動が比較的大きいからである。
【0159】
実行部51bは、第2判定に従って、予め定められた処理として、第1処理と異なる第2処理を実行する。第2処理は、例えば、第2警報を発報する処理を含む。第2警報は、例えば、比較的高い緊急度に応じた内容の通知を含む。
【0160】
第2処理は、例えば、第2判定に応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止する処理を含む。基板Wの不適切な保持の程度が比較的大きく、緊急度が高いからである。
【0161】
第2処理は、例えば、第1ガード13a〜第3ガード13cのうちの少なくとも1つがガード位置から下降しないように、第1ガード駆動部15a〜第3ガード駆動部15cのうちの少なくとも1つを制御する処理を含む。基板Wが脱落した場合に、第1ガード13a〜第3ガード13cのうちの少なくとも1つによって、基板Wがチャンバー3内の各構成に衝突することを回避するためである。
【0162】
以上、
図10を参照して説明したように、第2変形例によれば、基板Wの保持状態を検知するために、第1所定振動範囲RG1及び第2所定振動範囲RG2を設けている。従って、基板Wの不適正な保持状態の程度に応じて、的確な措置(第1処理又は第2処理)をとることができる。
【0163】
次に、
図7及び
図11を参照して、第2変形例に係る振動検出方法について説明する。第2変形例に係る振動検出方法は、
図7に示すように、工程S1〜工程S15を含む。ただし、第2変形例に係る基板処理装置SPは、工程S11の振動解析処理において、
図11に示す振動解析処理を実行する。また、第2変形例に係る振動解析処理では、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1又は第2所定振動範囲RG2を超えたか否かを判定するために、第1閾値TH1と第2閾値TH2とを利用する。
【0164】
図11は、第2変形例に係る振動解析処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、振動解析処理は、工程S40〜工程S53を含む。工程S40及び工程S41は、それぞれ、
図8に示す工程S20及び工程S21と同様である。
【0165】
図11に示すように、工程S43において、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第1閾値TH1よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0166】
否定判定(工程S43でNo)に従って、処理はメインルーチンに戻る。否定判定は、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1内であることを示し、基板Wが適切に保持されていることを検知したことに相当する。
【0167】
一方、肯定判定(工程S43でYes)に従って、処理は工程S45に進む。肯定判定は、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1を超えたことを示し、基板Wが適切に保持されていないことを検知したことに相当する。
【0168】
工程S45において、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第2閾値TH2よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0169】
否定判定(工程S45でNo)に従って、処理は工程S47に進む。否定判定は、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2内であることを示し、基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的小さいことを検知したことに相当する。
【0170】
工程S47において、実行部51bは、第1警報を発報するように、出力部55を制御する。
【0171】
工程S49において、実行部51bは、基板Wに対して実行中の処理の完了後に、スピンチャック5cの回転を停止するように、第1駆動部5aを制御する。そして、処理は終了する。
【0172】
一方、肯定判定(工程S45でYes)に従って、処理は工程S51に進む。肯定判定は、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2を超えたことを示し、基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的大きいことを検知したことに相当する。
【0173】
工程S51において、実行部51bは、第2警報を発報するように、出力部55を制御する。
【0174】
工程S53において、実行部51bは、肯定判定(工程S45でYes)に応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止するように、第1駆動部5aを制御する。
【0175】
以上、
図11を参照して説明したように、第2変形例によれば、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第1閾値TH1よりも大きいと判定され、かつ、絶対値が第2閾値TH2以下と判定された場合に、実行部51bは、予め定められた処理として、第1処理を実行する(工程S47、工程S49)。従って、基板Wの不適正な保持状態の程度が比較的小さい場合に、程度に応じた的確な措置をとることができる。
【0176】
また、第2変形例によれば、振動成分Scのレベルの絶対値が第2閾値TH2よりも大きいと判定された場合に、実行部51bは、予め定められた処理として、第2処理を実行する(工程S51、工程S53)。従って、基板Wの不適正な保持状態の程度が比較的大きい場合に、程度に応じた的確な措置をとることができる。
【0177】
(第3変形例)
図3、
図7、
図10、
図12を参照して、実施形態1の第3変形例に係る基板処理装置SPについて説明する。第3変形例では、第1変形例と第2変形例とを組み合わせている点で、
図1〜
図8を参照して説明した実施形態1と異なる。その他の点に関し、
図3に示すように、第3変形例に係る基板処理装置SPの構成は、実施形態1に係る基板処理装置SPの構成と同様である。以下、第3変形例が、実施形態1、第1変形例、及び第2変形例と異なる点を主に説明する。
【0178】
図10に示すように、判定部51aは、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1を超えたか否かを判定するとともに、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2を超えたか否かを判定する。
【0179】
そして、判定部51aは、振動信号Svのレベルが、第2所定振動範囲RG2内で、第1所定振動範囲RG1を超えたと判定した回数Naが、所定時間Tc内に所定数Nb以上であるか否かを判定する。所定数Nbは、複数(例えば、2以上の整数)を示す。
【0180】
具体的には、基板処理装置SPが第3変形例に係る振動検出方法を実行する際に、判定部51aは、第1閾値TH1及び第2閾値TH2を利用して、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1又は第2所定振動範囲RG2を超えたか否かを判定する。
【0181】
次に、
図7及び
図12を参照して、第3変形例に係る振動検出方法について説明する。第3変形例に係る振動検出方法は、
図7に示すように、工程S1〜工程S15を含む。ただし、第3変形例に係る基板処理装置SPは、工程S11の振動解析処理において、
図12に示す振動解析処理を実行する。
【0182】
図12は、第3変形例に係る振動解析処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、振動解析処理は、工程S60〜工程S75を含む。工程S60及び工程S61は、それぞれ、
図8に示す工程S20及び工程S21と同様である。工程S69〜工程S75は、それぞれ、
図11に示す工程S47〜工程S53と同様である。
【0183】
図12に示すように、工程S63において、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第1閾値TH1よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0184】
否定判定(工程S63でNo)に従って、処理はメインルーチンに戻る。否定判定は、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1内であることを示し、基板Wが適切に保持されていることを検知したことに相当する。
【0185】
一方、肯定判定(工程S63でYes)に従って、処理は工程S65に進む。肯定判定は、振動信号Svのレベルが第1所定振動範囲RG1を超えたことを示す。
【0186】
工程S65において、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第2閾値TH2よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0187】
否定判定(工程S65でNo)に従って、処理は工程S67に進む。否定判定は、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2内であることを示す。
【0188】
工程S67において、判定部51aは、所定時間Tc内に所定数Nb以上の肯定判定(工程S63でYes)をしたか否かを判定する。
【0189】
否定判定(工程S67でNo)に従って、処理はメインルーチンに戻る。否定判定は、基板Wが適切に保持されていることを検知したことに相当する。
【0190】
一方、肯定判定(工程S67でYes)に従って、処理は工程S69に進む。肯定判定は、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2内で、回数Naが所定時間Tc内に所定数Nb以上であることを示し、第1所定振動範囲RG1を超える比較的小さな異常振動が継続して発生していることを検知したことに相当する。つまり、肯定判定は、基板Wが適切に保持されていないことを検知したことに相当する。基板Wの不適切な保持状態の程度は比較的小さい。
【0191】
第3変形例によれば、比較的小さな異常振動が継続することを条件として(工程S67でYes)、基板Wが適切に保持されていないことを検知する。従って、比較的小さな異常振動が単発で発生した場合に、基板Wの保持状態の誤検知を抑制できる。
【0192】
また、肯定判定(工程S65でYes)に従って、処理は工程S73に進む。肯定判定は、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2を超えたことを示し、基板Wが適切に保持されていないことを検知したことに相当する。基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的大きい。
【0193】
第3変形例によれば、振動信号Svのレベルが第2所定振動範囲RG2を1度でも超えると、処理が工程S73及び工程S75に進み、第2変形例と同様の第2処理が実行される。従って、基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的大きい場合に、第2処理を迅速に実行できる。
【0194】
(第4変形例)
図3、
図8、及び
図13を参照して、実施形態1の第4変形例に係る基板処理装置SPについて説明する。第4変形例では、スピンチャック5cに基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させる点で、
図1〜
図8を参照して説明した実施形態1と異なる。その他の点に関し、
図3に示すように、第4変形例に係る基板処理装置SPの構成は、実施形態1に係る基板処理装置SPの構成と同様である。以下、第4変形例が、実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0195】
図3に示す第1駆動部5aは、基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを駆動して、基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させる。そして、検出部SNは、スピンチャック5cが回転している期間に、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。一方、基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させた場合に、振動vbが異常振動を起こす原因は、スピンチャック5cが良好に設置されていないことの可能性が高い。
【0196】
従って、第4変形例によれば、スピンチャック5cに基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させて、振動vbを解析することで、スピンチャック5cの設置状態を検知できる。スピンチャック5cの設置状態の検知は、スピンチャック5cが良好に設置されていること又はスピンチャック5cが良好に設置されていないことを検知することを示す。
【0197】
特に、第4変形例は、基板処理システム100、基板処理装置SP、又は処理装置1の出荷前の検査に有効である。例えば、処理装置1の出荷前の検査の1つとして、基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させて、スピンチャック5cの設置状態を検知する。そして、スピンチャック5cが良好に設置されていないことが検知された場合は、スピンチャック5cを良好に設置した後に、処理装置1を出荷することができる。例えば、ボルト23を締め付けて、スピンチャック5cと連結される第1駆動部5aの設置を良好にする。例えば、スピンベース19とシャフト5bとの連結部を整備する。
【0198】
次に、
図13を参照して、第4変形例に係る基板処理装置SPが実行する振動検出方法について説明する。
図13は、第4変形例に係る振動検出方法を示すフローチャートである。
図13に示すように、振動検出方法は、工程S141〜工程S147を含み、基板処理装置SPの振動を検出する。
【0199】
図13に示すように、工程S141(回転工程)において、制御部51は、スピンチャック5cに基板Wが存在しない状態で、スピンチャック5cが回転を開始するように、第1駆動部5aを制御する。
【0200】
工程S143において、制御部51は、前処理としての振動解析処理を実行する。具体的には、判定部51aが、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RG(
図5(a))を超えたか否かを判定して、スピンチャック5cの設置状態を検知し、検知結果に基づいて、予め定められた処理を実行する。
【0201】
工程S143の振動解析処理は、
図8に示す振動解析処理と同様である。ただし、第4変形例では、
図8に示すように、工程S23において、判定部51aは、振動成分Scのレベルの絶対値が第1閾値TH1よりも大きいか否かを判定し、スピンチャック5cの設置状態を検知する。そして、否定判定(工程S23でNo)は、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RG内であることを示し、スピンチャック5cが良好に設置されていることを検知したことに相当する。一方、肯定判定(工程S23でYes)は、振動信号Svのレベルが所定振動範囲RGを超えたことを示し、スピンチャック5cが良好に設置されていないことを検知したことに相当する。
【0202】
図13に戻って、工程S145において、制御部51は、前処理としての振動解析処理が完了したか否かを判定する。
【0203】
否定判定(工程S145でNo)に従って、制御部51は、処理を工程S143に進める。
【0204】
一方、肯定判定(工程S145でYes)に従って、制御部51は、処理を工程S147に進める。
【0205】
工程S147において、制御部51は、スピンチャック5cが回転を停止するように、第1駆動部5aを制御する。その結果、スピンチャック5cが停止する。そして、処理が終了する。
【0206】
以上、
図13を参照して説明したように、第4変形例に係る振動解析方法によれば、基板Wが存在しない状態でスピンチャック5cを回転させる(工程S141)。その結果、スピンチャック5cの設置状態を検知できる。
【0207】
なお、第4変形例では、検出部SNが、スピンチャック5cの振動sv又は振動svを含む振動を検出できる限り、検出部SNの位置は特に限定されない。例えば、検出部SNは、所定位置SP1に位置していなくてもよい。
【0208】
(第5変形例)
図3及び
図14を参照して、実施形態1の第5変形例に係る基板処理装置SPについて説明する。第5変形例では、検出部SNが第1駆動部5aに取り付けられる点で、
図1〜
図8を参照して説明した実施形態1と異なる。その他の点に関し、
図3に示すように、第5変形例に係る基板処理装置SPの構成は、実施形態1に係る基板処理装置SPの構成と同様である。以下、第5変形例が、実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0209】
図14(a)は、第5変形例に係る処理装置1の一部を示す側面断面図である。
図14(b)は、第5変形例に係る処理装置1を示す底面図である。
【0210】
図14(a)に示すように、検出部SNは、チャンバー3の外部に配置され、第1駆動部5aに対向する。第1駆動部5aは、スピンチャック5cと検出部SNとの間に配置される。
【0211】
具体的には、検出部SNは、第1駆動部5aのうちチャンバー3から露出する部分41(以下、「露出部41」と記載する。)に取り付けられる。更に具体的には、検出部SNは、露出部41の底面41aに取り付けられる。また、
図14(a)及び
図14(b)に示すように、露出部41は、第1領域3aaから突出している。検出部SNは、回転軸線AX上で露出部41に取り付けられることが好ましい。
【0212】
以下、第5変形例では、検出部SNが配置される位置を「所定位置SP2」と記載する場合がある。所定位置SP2は、
図4を参照して説明した所定位置SP1と同様である。ただし、所定位置SP2は、露出部41上の位置(具体的には、底面41a上の位置)を示す。
【0213】
以上、
図14を参照して説明したように、第5変形例によれば、検出部SNが第1駆動部5aに対向しているため、
図3及び
図4を参照して説明した実施形態1と同様に、振動vbを表す振動信号Svに、第1駆動部5a以外の駆動部の振動がノイズとして重畳することを抑制できる。
【0214】
特に、第5変形例によれば、検出部SNは、第1駆動部5aの露出部41に取り付けられる。従って、検出部SNは、振動vbを直接検出できる。その結果、振動vbの検出精度を向上できるため、基板Wの保持状態を検知する際に、検知の信頼性を更に向上できる。さらに、露出部41は、ベース部3aから突出している。従って、第1駆動部5a以外の駆動部の振動が、ベース部3aを介して検出部SNに伝達されることを抑制できる。その結果、検出部SNが、第1駆動部5a以外の駆動部の振動をノイズとして検出することを更に抑制できる。
【0215】
また、第5変形例によれば、検出部SNは、露出部41に取り付けられる。従って、チャンバー3の内部で吐出される処理液(第1処理液〜第3処理液)が、検出部SNに、はねかかることを抑制できる。その結果、検出部SNの劣化を抑制できるとともに、検出部SNの信頼性を維持できる。
【0216】
(実施形態2)
図1、
図2、
図7、及び
図15〜
図17を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理システム100について説明する。実施形態2に係る基板処理システム100は、高感度の第1検出部SN1と低感度の第2検出部SN2とを有する点で、実施形態1に係る基板処理システム100と異なる。その他の点に関し、
図1及び
図2に示すように、実施形態2に係る基板処理システム100の構成は、実施形態1に係る基板処理システム100の構成と同様である。そして、実施形態2に係る処理装置1を「処理装置1A」と記載する。従って、実施形態2に係る基板処理システム100は、実施形態1に係る処理装置1に代えて、処理装置1Aを備える。以下、実施形態2が、実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0217】
図15(a)は、実施形態2に係る基板処理システム100の処理装置1Aの一部を示す側面断面図である。
図15(a)に示すように、処理装置1Aは、
図3に示す処理装置1の検出部SNに代えて、第1検出部SN1と、第2検出部SN2とを含む。処理装置1Aのその他の構成は、
図3に示す処理装置1の構成と同様である。処理装置1Aと、コンピューターユニットU3とは、基板処理装置SPを構成する。
【0218】
第1検出部SN1の検出感度は、第2検出部SN2の検出感度よりも高い。第1検出部SN1の検出感度は、第1検出部SN1の分解能(以下、「第1分解能」と記載する。)により表される。第2検出部SN2の検出感度は、第2検出部SN2の分解能(以下、「第2分解能」と記載する。)により表される。第1検出部SN1の検出感度が、第2検出部SN2の検出感度よりも高いため、第1分解能は、第2分解能よりも高い。
【0219】
第1検出部SN1及び第2検出部SN2の各々は、第1駆動部5aを介してスピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。具体的には、第1検出部SN1は、スピンチャック5cが回転している期間に振動vbを検出して、振動vbを表す第1振動信号Sv1を出力する。第2検出部SN2は、スピンチャック5cが回転している期間に振動vbを検出して、振動vbを表す第2振動信号Sv2を出力する。
【0220】
実施形態2では、振動vbは、加速度として検出される。従って、第1振動信号Sv1及び第2振動信号Sv2の各々は、振動vbを表す加速度信号である。例えば、第1検出部SN1及び第2検出部SN2の各々は、加速度センサーを含む。
【0221】
第1振動信号Sv1は、予め定められた第1ベースレベルBL1(例えば、ゼロレベル)に対して第1方向D1(例えば、プラス方向)の振動成分と、第1ベースレベルBL1に対して第1方向D1と反対の第2方向D2(例えば、マイナス方向)の振動成分とを含む。以下、第1方向D1の振動成分と第2方向D2の振動成分とを総称して、「振動成分Sc1」と記載する場合がある。
【0222】
第2振動信号Sv2は、予め定められた第2ベースレベルBL2(例えば、ゼロレベル)に対して第3方向D3(例えば、プラス方向)の振動成分と、第2ベースレベルBL2に対して第3方向D3と反対の第4方向D4(例えば、マイナス方向)の振動成分とを含む。以下、第3方向D3の振動成分と第4方向D4の振動成分とを総称して、「振動成分Sc2」と記載する場合がある。
【0223】
なお、第1ベースレベルBL1及び第2ベースレベルBL2は、ゼロレベルに限定されず、スピンチャック5cの回転前に許容可能な振動レベルであってもよい。
【0224】
第1検出部SN1及び第2検出部SN2の各々は、チャンバー3の外部に配置され、第1駆動部5aに対向する。そして、第1駆動部5aは、スピンチャック5cと第1検出部SN1との間に配置され、スピンチャック5cと第2検出部SN2との間に配置される。
【0225】
具体的には、第1検出部SN1及び第2検出部SN2は、チャンバー3を介して第1駆動部5aと対向するようにチャンバー3(具体的にはベース部3a)の外面に取り付けられる。第1検出部SN1と第2検出部SN2とが、第1駆動部5aに対向しつつ、回転軸線AXに対して対称に配置されることが好ましい。第1検出部SN1と第2検出部SN2とは近接している。なお、第1検出部SN1の一部、及び/又は、第2検出部SN2の一部が、第1駆動部5aに対向していてもよい。
【0226】
図15(b)は、処理装置1Aを示す底面図である。
図15(b)に示すように、第1検出部SN1及び第2検出部SN2は、ベース部3aの第1領域3aaに取り付けられる。複数のボルト23は、第1領域3aa上で第1検出部SN1及び第2検出部SN2を囲んでいる。
【0227】
以下、第1検出部SN1が配置される位置を「第1所定位置FPS」と記載し、第2検出部SN2が配置される位置を「第2所定位置SPS」と記載する場合がある。第1駆動部5aは、スピンチャック5cと第1所定位置FPSとの間に配置され、スピンチャック5cと第2所定位置SPSとの間に配置されている。さらに、第1所定位置FPS及び第2所定位置SPSの各々は、チャンバー3の外部において、第1駆動部5aに対向する位置を示す。具体的には、第1所定位置FPS及び第2所定位置SPSの各々は、第1領域3aa上の位置を示す。
【0228】
以上、
図15を参照して説明したように、実施形態2によれば、第1検出部SN1及び第2検出部SN2の各々が、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。そして、スピンチャック5cの振動svは、基板Wの保持状態に依存して変化する。従って、第1振動信号Sv1及び第2振動信号Sv2を解析することによって、実施形態1と同様に、基板Wの保持状態を検知できる。また、実施形態2では、保持部材21の位置に基づいて基板Wの保持状態を検知する場合と比較して、実施形態1と同様に、基板Wの保持状態を検知する際に、誤検知を低減できる。その他、実施形態2では、第1検出部SN1及び第2検出部SN2が、実施形態1の検出部SNと同様に第1駆動部5aに対向して配置されているため、実施形態1と同様の効果を有する。
【0229】
また、実施形態2によれば、検出感度の高い第1検出部SN1によって、振動vbに含まれる比較的小さな異常振動を検出し、検出感度の低い第2検出部SN2によって、振動vbに含まれる比較的大きな異常振動を検出できる。つまり、第1検出部SN1及び第2検出部SN2の特性を効果的に活用できる。
【0230】
さらに、実施形態2によれば、検出感度の低い第2検出部SN2を設けることによって、検出感度の高い第1検出部SN1を2つ設ける場合と比較して、処理装置1Aのコストを低減できる。検出感度の低い第2検出部SN2は、検出感度の高い第1検出部SN1よりも、安価であることが多いためである。
【0231】
さらに、実施形態2によれば、第1検出部SN1と第2検出部SN2とのうちのいずれかの検出部が正常に機能しなくなった場合に、正常に機能している検出部からの振動信号を分析することによって、基板Wの保持状態を検知できる。従って、基板Wの保持状態を、全く検知できない事態を回避できる。
【0232】
次に、
図15(a)を参照して、コンピューターユニットU3による振動vbの解析について説明する。判定部51aは、第1振動信号Sv1のレベルが第1振動範囲R1を超えたか否かを判定して、基板Wの保持状態を検知する。また、判定部51aは、第2振動信号Sv2のレベルが第2振動範囲R2を超えたか否かを判定して、基板Wの保持状態を検知する。
【0233】
そして、実行部51bは、第1振動信号Sv1に対する判定結果と、第2振動信号Sv2に対する判定結果との組み合わせに基づいて、判定後に実行する処理を決定し、決定した処理を実行する。
【0234】
具体的には、判定部51aによる判定後に実行する処理として、第3処理と第4処理と第5処理とのうちのいずれかの処理が決定される。第3処理と第4処理と第5処理との各々は、出力部55を制御して警報を発報する処理、及び/又は、第1駆動部5aを制御してスピンチャック5cの回転を停止する処理を含む。第3処理と第4処理と第5処理とのうち、全部の処理が異なっていてもよいし、一部の処理が異なっていてもよいし、全部の処理が同じでもよい。例えば、第3処理は、実施形態1の第2変形例に係る第1処理と同様であり、第4処理及び第5処理の各々は、実施形態1の第2変形例に係る第2処理と同様である。
【0235】
以上、
図15(a)を参照して説明したように、実施形態2によれば、第1振動信号Sv1に対する判定結果と、第2振動信号Sv2に対する判定結果との組み合わせに基づいて、判定後に実行する処理が決定される。従って、2つの検出部(第1検出部SN1、第2検出部SN2)に基づく基板Wの保持状態の検知結果と、2つの検出部の状態(正常/異常)とを反映した的確な措置(第3処理、第4処理、又は第5処理)をとることができる。
【0236】
次に、
図16を参照して、第1検出部SN1及び第2検出部SN2の分解能と関連して、第1振動範囲R1及び第2振動範囲R2について説明する。以下、一例として、第1分解能が「m(G又はV)」であり、第2分解能が「2m(G又はV)」である場合について説明する。
【0237】
図16(a)は、第1振動範囲R1を示す。横軸は時間を示し、縦軸は第1振動信号Sv1のレベル(G又はV)を示す。なお、第1分解能の説明の便宜のため、第1振動信号Sv1を省略し、第1検出部SN1による検出対象の振動vbを記載している。また、縦軸には、第1分解能に対応した目盛を付している。
【0238】
図16(b)は、第2振動範囲R2を示す。横軸は時間を示し、縦軸は第2振動信号Sv2のレベル(G又はV)を示す。なお、第2分解能の説明の便宜のため、第2振動信号Sv2を省略し、第2検出部SN2による検出対象の振動vbを記載している。また、縦軸には、第2分解能に対応した目盛を付している。
【0239】
図16(a)及び
図16(b)に示すように、第1検出部SN1に入力される振動vbの波形は、第2検出部SN2に入力される振動vbの波形と同様である。第1検出部SN1と第2検出部SN2との双方が第1領域3aa(
図15(b))に取り付けられているからである。
【0240】
従って、第1分解能及び第2分解能を考慮して、第1振動範囲R1及び第2振動範囲R2を定めることによって、高分解能の第1検出部SN1と低分解能の第2検出部SN2とを効果的に活用できる。
【0241】
具体的には、
図16(a)に示すように、第1振動信号Sv1に対して、第1振動範囲R1が定められている。記憶部53は、第1振動範囲R1の一方端の値を示す第1特定値B1と、第1振動範囲R1の他方端の値を示す第2特定値B2とを記憶している。第1特定値B1は、第1振動信号Sv1のうちの第1方向D1の振動成分に対応して定められる。第2特定値B2は、第1振動信号Sv1のうちの第2方向D2の振動成分に対応して定められる。実施形態2では、第1特定値B1の絶対値と第2特定値B2の絶対値とは同一である。具体的には、第1特定値B1は、第1振動信号Sv1の振動成分Sc1のレベルと比較するための第3閾値TH3を示しており、記憶部53は第3閾値TH3を記憶している。
【0242】
そして、第3閾値TH3は、第1分解能「m(G)」以上の値に設定される。第1分解能が、第1検出部SN1によって出力可能な信号レベルの最低値だからである。
【0243】
一方、
図16(b)に示すように、第2振動信号Sv2に対して、第2振動範囲R2が定められている。記憶部53は、第2振動範囲R2の一方端の値を示す第3特定値B3と、第2振動範囲R2の他方端の値を示す第4特定値B4とを記憶している。第3特定値B3は、第2振動信号Sv2のうちの第3方向D3の振動成分に対応して定められる。第4特定値B4は、第2振動信号Sv2のうちの第4方向D4の振動成分に対応して定められる。実施形態2では、第3特定値B3の絶対値と第4特定値B4の絶対値とは同一である。具体的には、第3特定値B3は、第2振動信号Sv2の振動成分Sc2のレベルと比較するための第4閾値TH4を示しており、記憶部53は第4閾値TH4を記憶している。
【0244】
そして、第4閾値TH4は、第2分解能「2m(G)」以上の値に設定される。第2分解能が、第2検出部SN2によって出力可能な信号レベルの最低値だからである。
【0245】
なお、第1振動範囲R1及び第2振動範囲R2は、処理装置1Aの設置環境を考慮しつつ、実験的及び/又は経験的に定められる。
【0246】
また、
図16(a)及び
図16(b)に示すように、第1検出部SN1に対する第3閾値TH3は、第2検出部SN2に対する第4閾値TH4よりも小さい。第1検出部SN1の第1分解能が、第2検出部SN2の第2分解能よりも高いため、第3閾値TH3を第4閾値TH4よりも小さくすることによって、高分解能の第1検出部SN1を効果的に活用するためである。
【0247】
さらに、第1検出部SN1に対する第3閾値TH3は、第2検出部SN2の第2分解能「2m(G)」よりも小さいことが好ましい。低分解能の第2検出部SN2が検出できず、かつ、高分解能の第1検出部SN1が検出できる振動vbのレベルに対応するように、第3閾値TH3を設定することによって、高分解能の第1検出部SN1を更に効果的に活用するためである。
【0248】
一方、第2検出部SN2に対する第4閾値TH4は、第2検出部SN2の第2分解能「2m(G)」と同一値にすることが好ましい。第2検出部SN2が出力可能な最低値「2m(G)」に第4閾値TH4を設定することによって、低分解能の第2検出部SN2を効果的に活用するためである。
【0249】
次に、
図7及び
図17を参照して、基板処理装置SPが実行する振動検出方法について説明する。実施形態2に係る振動検出方法は、
図7に示すように、工程S1〜工程S15を含む。ただし、実施形態2に係る基板処理装置SPは、工程S11の振動解析処理において、
図17に示す振動解析処理を実行する。また、実施形態2に係る振動解析処理では、第1振動信号Sv1のレベルが第1振動範囲R1を超えたか否かを判定するために、第3閾値TH3を利用する。さらに、第2振動信号Sv2のレベルが第2振動範囲R2を超えたか否かを判定するために、第4閾値TH4を利用する。
【0250】
図17は、実施形態2に係る振動解析処理を示すフローチャートである。
図17に示すように、振動解析処理は、工程S80〜工程S101を含む。
【0251】
工程S80(検出工程)において、第1検出部SN1は、第1駆動部5aを介して、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。工程S80では、第1検出部SN1は、スピンチャック5cが回転している期間に、第1所定位置FPS(所定位置)で振動を検出する。
【0252】
工程S81において、判定部51aは、第1検出部SN1から、振動成分Sc1を含む第1振動信号Sv1を受信する。
【0253】
工程S82(検出工程)において、第2検出部SN2は、第1駆動部5aを介して、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。工程S82では、第2検出部SN2は、スピンチャック5cが回転している期間に、第2所定位置SPS(所定位置)で振動を検出する。
【0254】
工程S83において、判定部51aは、第2検出部SN2から、振動成分Sc2を含む第2振動信号Sv2を受信する。
【0255】
工程S85において、判定部51aは、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0256】
肯定判定(工程S85でYes)に従って、処理は工程S87に進む。肯定判定は、第1振動信号Sv1が第1振動範囲R1を超えたことを示し、基板Wが適正に保持されていないことを検知したことに相当する。
【0257】
工程S87において、判定部51aは、振動成分Sc2のレベルの絶対値が第4閾値TH4よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0258】
否定判定(工程S87でNo)に従って、処理は工程S89に進む。否定判定は、第2振動信号Sv2が第2振動範囲R2内であることを示し、基板Wの保持状態の程度が比較的小さいことが検知されたことに相当する。
【0259】
工程S89において、実行部51bは、第3警報を発報するように、出力部55を制御する(第3処理に相当)。第3警報は、実施形態1の第2変形例に係る第1警報と同様である。
【0260】
工程S91において、実行部51bは、基板Wに対して実行中の処理の完了後に、スピンチャック5cの回転を停止するように、第1駆動部5aを制御する(第3処理に相当)。従って、実行中の処理の再実行による処理時間の延長を抑制しつつ、基板Wの脱落を抑制できる。
【0261】
一方、肯定判定(工程S87でYes)に従って、処理は工程S93に進む。肯定判定は、第2振動信号Sv2が第2振動範囲R2を超えたことを示し、基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的大きいことを検知したことに相当する。
【0262】
工程S93において、実行部51bは、第4警報を発報するように、出力部55を制御する(第4処理に相当)。第4警報は、実施形態1の第2変形例に係る第2警報と同様である。
【0263】
工程S95において、実行部51bは、肯定判定(工程S87でYes)に応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止するように、第1駆動部5aを制御する(第4処理に相当)。基板Wの不適切な保持の程度が比較的大きく、緊急度が高いからである。
【0264】
また、否定判定(工程S85でNo)に従って、処理は工程S97に進む。否定判定は、第1振動信号Sv1が第1振動範囲R1内であることを示し、基板Wが適正に保持されていることを検知したことに相当する。
【0265】
工程S97において、判定部51aは、振動成分Sc2のレベルの絶対値が第4閾値TH4よりも大きいか否かを判定する。
【0266】
否定判定(工程S97でNo)に従って、処理はメインルーチンに戻る。
【0267】
一方、肯定判定(工程S97でYes)に従って、処理は工程S99に進む。肯定判定は、第1検出部SN1及び/又は第2検出部SN2が正常に機能していないことが検知されたことに相当する。第4閾値TH4が第3閾値TH3よりも大きいため、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3以下であり(工程S85でNo)、かつ、振動成分Sc2のレベルの絶対値が第4閾値よりも大きいことは(工程S97でYes)、論理的にあり得ないからである。
【0268】
工程S99において、実行部51bは、第5警報を発報するように、出力部55を制御する(第5処理に相当)。第5警報は、例えば、第1検出部SN1及び/又は第2検出部SN2が正常に機能していないことの通知を含む。
【0269】
工程S101において、実行部51bは、肯定判定(工程S97でYes)に応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止するように、第1駆動部5aを制御する(第5処理に相当)。第1検出部SN1及び/又は第2検出部SN2が正常に機能しておらず、緊急度が高いからである。
【0270】
以上、
図17を参照して説明したように、実施形態2によれば、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3よりも大きいと判定され、かつ、振動成分Sc2のレベルの絶対値が第4閾値TH4以下と判定された場合に、実行部51bは、判定後に実行する処理として、第3処理を実行する(工程S89、工程S91)。従って、スピンチャック5cによる基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的小さい場合に、程度に応じた的確な措置をとることができる。
【0271】
また、実施形態2によれば、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3よりも大きいと判定され、かつ、振動成分Sc2のレベルの絶対値が第4閾値TH4よりも大きいと判定された場合に、実行部51bは、判定後に実行する処理として、第4処理を実行する(工程S93、工程S95)。従って、スピンチャック5cによる基板Wの不適切な保持状態の程度が比較的大きい場合に、程度に応じた的確な措置をとることができる。
【0272】
さらに、実施形態2によれば、第4処理は、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3よりも大きいと判定されるとともに、振動成分Sc2のレベルの絶対値が第4閾値TH4よりも大きいと判定されたことに応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止する処理を含む(工程S95)。従って、基板Wが脱落することを即時に回避できる。
【0273】
さらに、実施形態2によれば、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3以下と判定され、かつ、振動成分Sc2のレベルの絶対値が第4閾値TH4よりも大きいと判定された場合に、実行部51bは、判定後に実行する処理として、第5処理を実行する(工程S99、工程S101)。従って、第1検出部SN1及び/又は第2検出部SN2が正常に機能していない場合に、的確な措置をとることができる。
【0274】
さらに、実施形態2によれば、第5処理は、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3以下と判定され、かつ、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第4閾値TH4よりも大きいと判定されたことに応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止する処理を含む。従って、第1検出部SN1及び/又は第2検出部SN2が正常に機能していない場合に、緊急停止して、第1検出部SN1及び/又は第2検出部SN2を検査、修理、又は交換することができる。
【0275】
(実施形態3)
図1、
図2、
図7、及び
図18〜
図20を参照して、本発明の実施形態3に係る基板処理システム100について説明する。実施形態3に係る基板処理システム100は、チャンバー3の側壁部3bに位置する第3検出部SN3を有する点で、実施形態1に係る基板処理システム100と異なる。その他の点に関し、
図1及び
図2に示すように、実施形態3に係る基板処理システム100の構成は、実施形態1に係る基板処理システム100の構成と同様である。そして、実施形態3に係る処理装置1を「処理装置1B」と記載する。従って、実施形態3に係る基板処理システム100は、実施形態1に係る処理装置1に代えて、処理装置1Bを備える。以下、実施形態3が、実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0276】
図18は、実施形態3に係る基板処理システム100の処理装置1Bを示す側面断面図である。
図18に示すように、処理装置1Bは、
図3に示す処理装置1の構成に加えて、第3検出部SN3をさらに含む。処理装置1Bのその他の構成は、
図3に示す処理装置1の構成と同様である。処理装置1BとコンピューターユニットU3とは、基板処理装置SPを構成する。
【0277】
第3検出部SN3は、スピンチャック5cが回転している期間に、チャンバーの振動cvを検出して、振動cvを表す第3振動信号Sv3を出力する。第3検出部SN3は、チャンバー3の側壁部3b(壁部)に取り付けられる。例えば、第3検出部SN3は、側壁部3bの鉛直方向の略中央部に取り付けられ、又は、側壁部3bの鉛直方向の略中央部によりも上方に取り付けられることが好ましい。略中央部又は略中央部よりも上方の位置では、略中央部よりも下方の位置と比較して、チャンバー3の振動cvが大きく、振動cvを検出し易いいからである。なお、第3検出部SN3は、チャンバー3の天壁部(壁部)に取り付けられてもよい。
【0278】
実施形態3によれば、第3検出部SN3によってチャンバー3の振動cvを検出できる。従って、振動cvを解析することによって、チャンバー3の振動cvの程度に応じた的確な措置をとることができる。例えば、チャンバー3の振動cvが大きくなる状況では、処理装置1Bの全体が大きく振動している可能性が高い。そこで、チャンバー3の振動cvが大きいことを検出した場合には、例えば、処理装置1Bを緊急停止させることができる。
【0279】
実施形態3では、振動cvは、加速度として検出される。従って、第3振動信号Sv3は、振動cvを表す加速度信号である。例えば、第3検出部SN3は、加速度センサーを含む。
【0280】
第1検出部SN1の配置、構成、及び動作は、実施形態1に係る検出部SNの配置、構成、及び動作と同じである。ただし、実施形態1に係る検出部SNの説明において、「振動信号Sv」を「第1振動信号Sv1」に読み替える。つまり、第1検出部SN1は、スピンチャック5cが回転している期間に振動vbを検出して、振動vbを表す第1振動信号Sv1を出力する。第1振動信号Sv1は、実施形態1の振動信号Svと同様に解析されて、基板Wの保持状態が検知される。
【0281】
また、実施形態1の「振動信号Sv」の説明において、「ベースレベルBL」を「第1ベースレベルBL1」に読み替え、「振動成分Sc」を「振動成分Sc1」に読み替える。つまり、第1振動信号Sv1は、予め定められた第1ベースレベルBL1に対して第1方向D1の振動成分と、第1ベースレベルBL1に対して第1方向D1と反対の第2方向D2の振動成分とを含む。また、第1方向D1の振動成分と第2方向の振動成分とを総称して、「振動成分Sc1」と記載する場合がある。
【0282】
実施形態3によれば、処理装置1Bは、実施形態1に係る検出部SNと同じ第1検出部SN1を含むため、実施形態1と同様に、第1振動信号Sv1を解析することによって、基板Wの保持状態を検知できる。また、実施形態3では、保持部材21の位置に基づいて基板Wの保持状態を検知する場合と比較して、実施形態1と同様に、基板Wの保持状態を検知する際に、誤検知を低減できる。その他、実施形態3では、実施形態1の検出部SNと同様の第1検出部SN1に起因して、実施形態1と同様の効果を有する。
【0283】
次に、
図18を参照して、コンピューターユニットU3による振動vb及び振動cvの解析について説明する。判定部51aは、第1振動信号Sv1のレベルが第3振動範囲R3を超えたか否かを判定して、基板Wの保持状態を検知する。また、判定部51aは、第3振動信号Sv3のレベルが第4振動範囲R4を超えたか否かを判定して、チャンバー3の振動状態を検知する。チャンバー3の振動状態の検知は、チャンバー3の振動が異常であること又はチャンバー3の振動が正常であることを検知することを示す。
【0284】
そして、実行部51bは、第1振動信号Sv1に対する判定結果と、第3振動信号Sv3に対する判定結果との組み合わせに基づいて、判定後に実行する処理を決定し、決定した処理を実行する。
【0285】
具体的には、判定部51aによる判定後に実行する処理として、第6処理と第7処理と第8処理とのうちのいずれかの処理が決定される。第6処理と第7処理と第8処理との各々は、出力部55を制御して警報を発報する処理、及び/又は、第1駆動部5aを制御してスピンチャック5cの回転を停止する処理を含む。第6処理と第7処理と第8処理とのうち、全部の処理が異なっていてもよいし、一部の処理が異なっていてもよいし、全部の処理が同じでもよい。例えば、第6処理は、実施形態1の第2変形例に係る第1処理と同様であり、第7処理及び第8処理の各々は、実施形態1の第2変形例に係る第2処理と同様である。
【0286】
以上、
図18を参照して説明したように、実施形態3によれば、第1振動信号Sv1に対する判定結果と、第3振動信号Sv3に対する判定結果との組み合わせに基づいて、判定後に実行する処理が決定される。従って、第1検出部SN1に基づく基板Wの保持状態の検知結果と、第3検出部SN3に基づくチャンバー3の振動状態の検知結果とに応じて、的確な措置をとることができる。
【0287】
次に、
図19を参照して、第3振動範囲R3及び第4振動範囲R4について説明する。
図19(a)は、第3振動範囲R3を示す。横軸は時間を示し、縦軸は第1振動信号Sv1のレベル(G又はV)を示す。
【0288】
図19(a)に示すように、第1振動信号Sv1に対して、第3振動範囲R3が定められている。記憶部53は、第3振動範囲R3の一方端の値を示す第5特定値B5と、第3振動範囲R3の他方端の値を示す第6特定値B6とを記憶している。第5特定値B5は、第1振動信号Sv1のうちの第1方向D1の振動成分に対応して定められる。第6特定値B6は、第1振動信号Sv1のうちの第2方向D2の振動成分に対応して定められる。実施形態3では、第5特定値B5の絶対値と第6特定値B6の絶対値とは同一である。具体的には、第5特定値B5は、第1振動信号Sv1の振動成分Sc1のレベルと比較するための第5閾値TH5を示しており、記憶部53は第5閾値TH5を記憶している。
【0289】
図19(b)は、第4振動範囲R4を示す。横軸は時間を示し、縦軸は第3振動信号Sv3のレベル(G又はV)を示す。
図19(b)に示すように、第3振動信号Sv3に対して、第4振動範囲R4が定められている。第3振動信号Sv3は、予め定められた第3ベースレベルBL3(例えば、ゼロレベル)に対して第5方向D5(例えば、プラス方向)の振動成分と、第3ベースレベルBL3に対して第5方向D5と反対の第6方向D6(例えば、マイナス方向)の振動成分とを含む。第3ベースレベルBL3は、ゼロレベルに限定されず、スピンチャック5cの回転前に許容可能な振動レベルであってもよい。以下、第5方向D5の振動成分と第6方向D6の振動成分とを総称して、「振動成分Sc3」と記載する場合がある。
【0290】
記憶部53が、第4振動範囲R4の一方端の値を示す第7特定値B7と、第4振動範囲R4の他方端の値を示す第8特定値B8とを記憶している。第7特定値B7は、第3振動信号Sv3のうちの第5方向D5の振動成分に対応して定められる。第8特定値B8は、第3振動信号Sv3のうちの第6方向D6の振動成分に対応して定められる。実施形態3では、第7特定値B7の絶対値と第8特定値B8の絶対値とは同一である。具体的には、第7特定値B7は、第3振動信号Sv3の振動成分Sc3のレベルと比較するための第6閾値TH6を示しており、記憶部53は第6閾値TH6を記憶している。
【0291】
なお、第3振動範囲R3及び第4振動範囲R4は、処理装置1Bの設置環境を考慮しつつ、実験的及び/又は経験的に定められる。
【0292】
次に、
図7、
図18、及び
図20を参照して、基板処理装置SPが実行する振動検出方法について説明する。実施形態3に係る振動検出方法は、
図7に示すように、工程S1〜工程S15を含む。ただし、実施形態3に係る基板処理装置SPは、工程S11の振動解析処理において、
図20に示す振動解析処理を実行する。また、実施形態3に係る振動解析処理では、第1振動信号Sv1のレベルが第3振動範囲R3を超えたか否かを判定するために、第5閾値TH5を利用する。また、第3振動信号Sv3のレベルが第4振動範囲R4を超えたか否かを判定するために、第6閾値TH6を利用する。
【0293】
図20は、実施形態3に係る振動解析処理を示すフローチャートである。
図20に示すように、振動解析処理は、工程S110〜工程S131を含む。
【0294】
工程S110(検出工程)において、第1検出部SN1は、第1駆動部5aを介して、スピンチャック5cの振動svを含む振動vbを検出する。工程S110では、第1検出部SN1は、スピンチャック5cが回転している期間に、所定位置SP1で振動を検出する。
【0295】
工程S111において、判定部51aは、第1検出部SN1から、振動成分Sc1を含む第1振動信号Sv1を受信する。
【0296】
工程S112において、第3検出部SN3は、チャンバー3の振動cvを検出する。工程S112では、第3検出部SN3は、スピンチャック5cが回転している期間に、特定位置で振動を検出する。特定位置は、側壁部3b上又は天壁部3c上の位置を示す。
【0297】
工程S113において、判定部51aは、第3検出部SN3から、振動成分Sc3を含む第3振動信号Sv3を受信する。
【0298】
工程S115において、判定部51aは、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第5閾値TH5よりも大きいか否かを判定し、基板Wの保持状態を検知する。
【0299】
肯定判定(工程S115でYes)に従って、処理は工程S117に進む。肯定判定は、第1振動信号Sv1が第3振動範囲R3を超えたことを示し、基板Wが適正に保持されていないことを検知したことに相当する。
【0300】
工程S117において、判定部51aは、振動成分Sc3のレベルの絶対値が第6閾値TH6よりも大きいか否かを判定し、チャンバー3の振動状態を検知する。
【0301】
否定判定(工程S117でNo)に従って、処理は工程S119に進む。否定判定は、第3振動信号Sv3が第4振動範囲R4内であることを示し、チャンバー3の振動cvが正常であることが検知されたことに相当する。
【0302】
工程S119において、実行部51bは、第6警報を発報するように、出力部55を制御する(第6処理に相当)。第6警報は、実施形態1の第2変形例に係る第1警報と同様である。
【0303】
工程S121において、実行部51bは、基板Wに対して実行中の処理の完了後に、スピンチャック5cの回転を停止するように、第1駆動部5aを制御する(第6処理に相当)。従って、実行中の処理の再実行による処理時間の延長を抑制しつつ、基板Wの脱落を抑制できる。
【0304】
一方、肯定判定(工程S117でYes)に従って、処理は工程S123に進む。肯定判定は、第3振動信号Sv3が第4振動範囲R4を超えたことを示し、チャンバー3の振動cvが異常であることを検知したことに相当する。チャンバー3の振動cvが異常であることは、チャンバー3の振動が大きいことに相当し、処理装置1B全体の振動が大きいことを示す。
【0305】
工程S123において、実行部51bは、第7警報を発報するように、出力部55を制御する(第7処理に相当)。第7警報は、例えば、チャンバー3が大きく振動している旨の通知を含む。
【0306】
工程S125において、実行部51bは、肯定判定(工程S117でYes)に応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止するように、第1駆動部5aを制御する(第7処理に相当)。処理装置1B全体の振動が大きく、緊急度が高いからである。
【0307】
また、否定判定(工程S115でNo)に従って、処理は工程S127に進む。否定判定は、第1振動信号Sv1が第3振動範囲R3内であることを示し、基板Wが適正に保持されていることを検知したことに相当する。
【0308】
工程S127において、判定部51aは、振動成分Sc3のレベルの絶対値が第6閾値TH6よりも大きいか否かを判定する。
【0309】
否定判定(工程S127でNo)に従って、処理はメインルーチンに戻る。
【0310】
一方、肯定判定(工程S127でYes)に従って、処理は工程S129に進む。肯定判定は、第3振動信号Sv3が第4振動範囲R4を超えたことを示し、チャンバー3の振動cvが異常であることを検知したことに相当する。
【0311】
工程S129において、実行部51bは、第8警報を発報するように、出力部55を制御する(第8処理に相当)。第8警報は、例えば、第7警報と同様である。
【0312】
工程S131において、実行部51bは、肯定判定(工程S127でYes)に応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止するように、第1駆動部5aを制御する(第8処理に相当)。処理装置1B全体の振動が大きく、緊急度が高いからである。
【0313】
以上、
図20を参照して説明したように、実施形態3によれば、判定部51aは、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第5閾値TH5よりも大きいと判定され、かつ、振動成分Sc3のレベルの絶対値が第6閾値TH6以下と判定された場合に、実行部51bは、判定後に実行する処理として、第6処理を実行する(工程S119、工程S121)。つまり、基板Wが適切に保持されていない場合に、的確な措置をとることができる。その結果、基板Wの脱落を未然に回避できる。
【0314】
また、実施形態3によれば、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第5閾値TH5よりも大きいと判定され、かつ、振動成分Sc3のレベルの絶対値が第6閾値TH6よりも大きいと判定された場合に、実行部51bは、判定後に実行する処理として、第7処理を実行する(工程S123、工程S125)。つまり、基板Wが適切に保持されておらず、かつ、チャンバー3の振動cvが異常である場合に、的確な措置をとることができる。その結果、基板Wの脱落を未然に回避できるとともに、処理装置1Bの可動部分の損傷を抑制できる。
【0315】
さらに、実施形態3によれば、第7処理は、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第5閾値TH5よりも大きいと判定されるとともに、振動成分Sc3のレベルの絶対値が第6閾値TH6よりも大きいと判定されたことに応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止する処理を含む(工程S125)。従って、基板Wが脱落することを即時に回避できる。
【0316】
さらに、実施形態3によれば、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第5閾値TH5以下と判定され、かつ、振動成分Sc3のレベルの絶対値が第6閾値TH6よりも大きいと判定された場合に、実行部51bは、判定後に実行する処理として、第8処理を実行する(工程S129、工程S131)。つまり、チャンバー3の振動cvが異常である場合に、的確な措置をとることができる。その結果、基板Wの脱落を未然に回避できるとともに、処理装置1Bの可動部分の損傷を抑制できる。
【0317】
さらに、実施形態3によれば、第8処理は、振動成分Sc1のレベルの絶対値が第3閾値TH3以下と判定され、かつ、振動成分Sc3のレベルの絶対値が第6閾値TH6よりも大きいと判定されたことに応答して、スピンチャック5cの回転を即時停止する処理を含む。従って、基板Wが脱落することを即時に回避できる。
【0318】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)〜(4))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる3実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0319】
(1)実施形態1(変形例を含む。)〜実施形態3に係る検出部SN、SN1、SN2、SN3の各々は、速度センサーを含み、振動vbを速度として検出してもよい。従って、振動信号Sv、Sv1、Sv2、Sv3は、振動を表す速度信号である。速度センサーは、例えば、渦電流の原理を利用した非接触式のセンサーである。
【0320】
また、検出部SN、SN1、SN2、SN3の各々は、変位センサーを含み、振動vbを変位として検出してもよい。従って、振動信号Sv、Sv1、Sv2、Sv3は、振動を表す変位信号である。変位センサーは、例えば、渦電流の原理を利用した非接触式のセンサーである。変位センサーは、例えば、レーザー光、超音波、又は赤外線を利用した非接触式のセンサーである。
【0321】
さらに、検出部SN、SN1、SN2の各々は、第1駆動部5aに対向している限り、ベース部3a又は第1駆動部5aに対して離間していてもよく、チャンバー3の内部に位置していてもよい。検出部SN3は、チャンバー3に対して離間していてもよく、チャンバー3の内部に位置していてもよい。
【0322】
(2)実施形態1の第1変形例〜第5変形例、実施形態2、及び実施形態3において、所定振動範囲RG(第1閾値TH1)、第1所定振動範囲RG1(第1閾値TH1)、第2所定振動範囲RG2(第2閾値TH2)、第1振動範囲R1(第3閾値TH3)、第2振動範囲R2(第4閾値TH4)、第3振動範囲R3(第5閾値TH5)、及び第4振動範囲R4(第6閾値TH6)は、実施形態1と同様に、スピンチャック5cの回転速度に応じて異なっていてもよい。また、値A1の絶対値と値A2の絶対値とが異なっていてもよく、値A3の絶対値と値A4の絶対値とが異なっていてもよく、値B1の絶対値と値B2の絶対値とが異なっていてもよく、値B3の絶対値と値B4の絶対値とが異なっていてもよく、値B5の絶対値と値B6の絶対値とが異なっていてもよく、値B7の絶対値と値B8の絶対値とが異なっていてもよい(
図5、
図10、
図16、
図19)。
【0323】
(3)実施形態1(変形例を含む。)〜実施形態3に係る判定部51aは、加速度信号を1回積分して算出される速度信号に基づいて、振動vbを解析してもよいし、加速度信号を2回積分して算出される変位信号に基づいて、振動vbを解析してもよい。
【0324】
(4)実施形態1に係る第1変形例〜第3変形例は、実施形態2に係る第1検出部SN1及び第2検出部SN2の各々に適用でき、実施形態3に係る第1検出部SN1及び第3検出部SN3の各々に適用できる。実施形態1に係る第5変形例は、実施形態2に係る第1検出部SN1及び第2検出部SN2の各々に適用でき、実施形態3に係る第1検出部SN1に適用できる。実施形態3に係る第3検出部SN3を実施形態2に係る処理装置1Aに設けてもよい。
【0325】
実施形態1に係る第4変形例において、
図13の工程S143に対して、実施形態1に係る第1変形例〜第3変形例を適用できる。また、
図13の工程S141〜工程S147を、
図7の工程S1の前に実行することができる。そして、工程S143と工程S11とで、異なる振動解析処理を実行してもよい。また、基板Wの保持状態の検知のための振動範囲として、工程S143と工程S11とで、異なる振動範囲を定めてもよいし、振動成分のレベルと比較するための閾値として、工程S143と工程S11とで、異なる閾値を定めてもよい。