(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6882968
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】放熱フィン複合体
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20210524BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 D
H05K7/20 F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-192393(P2017-192393)
(22)【出願日】2017年10月2日
(65)【公開番号】特開2019-67936(P2019-67936A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】中田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】古屋 利次
【審査官】
井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−054689(JP,A)
【文献】
特開2012−049407(JP,A)
【文献】
特表2006−513390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性フィラーを分散して成るジグザク状の放熱シートと、
前記放熱シートの折曲突部としての放熱フィンの先端側と反対の部位を固定するベースシートと、
を備え、
前記ベースシートは、樹脂若しくはゴム状弾性体と、放熱部材と、を含み、
前記放熱フィンの内側において、前記放熱フィンの前記先端側から前記ベースシート側に向かう中間フィンを、さらに備える放熱フィン複合体。
【請求項2】
前記ベースシートは、シリコーン樹脂若しくはシリコーンゴムに、前記放熱部材を分散して成る請求項1に記載の放熱フィン複合体。
【請求項3】
前記放熱部材は、シリコーン樹脂若しくはシリコーンゴムのシートの内部又は表面に備えられている請求項1に記載の放熱フィン複合体。
【請求項4】
前記ベースシートは、前記放熱フィンの前記反対の部位を挿入可能な凹部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の放熱フィン複合体。
【請求項5】
前記凹部は、前記ベースシートの前記放熱フィンの前記反対の部位を挿入する表側の面と、その裏側の面との両面に形成されている請求項4に記載の放熱フィン複合体。
【請求項6】
前記凹部は、前記ベースシートの前記放熱フィンの前記反対の部位を挿入する表側の面および前記表側の面の裏側の面の内の少なくともいずれか一方の面に格子状に形成されている請求項4または5に記載の放熱フィン複合体。
【請求項7】
前記熱伝導性フィラーがグラファイトのフィラーである請求項1から6のいずれか1項に記載の放熱フィン複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱フィン複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の電子機器の小型化に伴う集積回路の高密度化は、発熱量の増大を招き、電子機器の正常かつ長期の使用には、効率の良い放熱が重要である。また、脱化石燃料が地球規模で叫ばれている現状において、先進諸国を中心として、自然エネルギーの利用や電気自動車の普及が急ピッチで進められ、そのカギを握る高性能バッテリーの開発競争が激化している。バッテリーの分野においても放熱を如何にして効率良く行うことができるかが重要である。
【0003】
従来から周知の放熱体は、熱伝導性に優れるアルミニウムに代表される金属をフィン状若しくは針状に成形したヒートシンクである。このようなヒートシンクは、例えば、アルミビレットの押出成形によって製造される。かかるヒートシンクは、金属の中でも比較的軽量のアルミニウムから構成されていてもなお重く、かつ厚いという欠点を有する。
【0004】
また、グラファイト単体から成るシート形状の放熱体も知られている。グラファイトは、熱伝導特性に異方性がある材料であり、面方向が厚み方向の10倍以上の熱伝導率を有する。この熱伝導率は銅のそれよりも高い。しかし、かかる放熱体は、柔軟性に乏しく、割れやすいという欠点を有する。
【0005】
さらに、樹脂に、窒化アルミニウムなどの高熱伝導性セラミックスのフィラーを分散させた複合体も放熱部材として知られている。しかし、かかる複合部材は、十分な熱伝導率を実現できておらず、かつ高コストであるという欠点を有する。
【0006】
このような従来から知られている放熱体の欠点を解消する新たな放熱体も知られている(特許文献1を参照)。かかる放熱体は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の高熱伝導フィラーを添加した湿式抄紙の紙シートを多数並べた構造を有しており、軽量で、加工性にも優れ、安価に製造できるという長所を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−049407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に開示される放熱体に対しては、発熱体への密着性および放熱フィンの形状保持をさらに高めることが要求されている。
【0009】
本発明は、上記要望に鑑みて、軽量、易加工性および安価という利点をもちながらも、放熱フィンの形状保持と発熱体への密着性を高めることのできる放熱フィン複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱フィン複合体は、熱伝導性フィラーを分散して成るジグザク状の放熱シートと、放熱シートの折曲突部としての放熱フィンの先端側と反対の部位を固定するベースシートとを備え、ベースシートは樹脂若しくはゴム状弾性体と放熱部材とを含む。
【0011】
別の実施形態に係る放熱フィン複合体は、放熱フィンの内側において、放熱フィンの先端側からベースシート側に向かう中間フィンを、さらに備えるのが好ましい。
【0012】
別の実施形態に係る放熱フィン複合体では、また、ベースシートは、シリコーン樹脂若しくはシリコーンゴムに、放熱部材を分散して成るのが好ましい。
【0013】
別の実施形態に係る放熱フィン複合体では、また、放熱部材は、シリコーン樹脂若しくはシリコーンゴムのシートの内部又は表面に備えられているのが好ましい。
【0014】
別の実施形態に係る放熱フィン複合体では、また、ベースシートは、放熱フィンの反対の部位を挿入可能な凹部を備えるのが好ましい。
【0015】
別の実施形態に係る放熱フィン複合体では、さらに、凹部は、ベースシートの放熱フィンの反対の部位を挿入する表側の面と、その裏側の面との両面に形成されているのが好ましい。
【0016】
別の実施形態に係る放熱フィン複合体では、また、凹部は、ベースシートの放熱フィンの反対の部位を挿入する表側の面および当該表側の面の裏側の面の内の少なくともいずれか一方の面に格子状に形成されているのが好ましい。
【0017】
別の実施形態に係る放熱フィン複合体では、また、熱伝導性フィラーがグラファイトのフィラーであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、軽量、易加工性および安価という利点をもちながらも、放熱フィンの形状保持と発熱体への密着性を高めることのできる放熱フィン複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る放熱フィン複合体の平面図及びその一部の拡大図(1A)と、該(1A)のA−A線断面図(1B)とをそれぞれ示す。
【
図2】
図2は、
図1(1B)中の領域Aの一例の拡大断面図(2A)と、該領域Aの別の例の拡大断面図(2B)とをそれぞれ示す。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る放熱フィン複合体の
図1(1B)と同視の断面図を示す。
【
図4】
図4は、第3実施形態に係る放熱フィン複合体の組立状況を
図1(1B)と同視で示す組立断面図及びその一部の拡大図(4A)と、該複合体の完成後の状態を
図1(1B)と同視で示す断面図及びその一部の拡大図(4B)とをそれぞれ示す。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係る放熱フィン複合体の組立状況を平面視にて示す。
【
図6】
図6は、第4実施形態に係る放熱フィン複合体の
図1(1B)と同視の断面図(6A)と、第4実施形態に係る放熱フィン複合体のベースシートの裏側から見た底面図(6B)とをそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の放熱フィン複合体の各実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。各実施形態においては、基本的な構成および特徴が同じ構成要素については、他の実施形態においても同じ符号を使用し、説明を省略する場合がある。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る放熱フィン複合体の平面図及びその一部の拡大図(1A)と、該(1A)のA−A線断面図(1B)とをそれぞれ示す。
図2は、
図1(1B)中の領域Aの一例の拡大断面図(2A)と、該領域Aの別の例の拡大断面図(2B)とをそれぞれ示す。
【0022】
本発明の第1実施形態に係る放熱フィン複合体1は、ベースシート10と、該ベースシート10の片面(表側の面)に固定された放熱シート20と、を備える。
【0023】
(1)放熱シート
放熱シート20は、熱伝導性フィラー22を分散して成るジグザク状のシートである。放熱フィン複合体1に備えられるジグザグ状の放熱シート20の熱伝導率(より詳細には、面方向(X−Y方向)の熱伝導率)は、20W/m・k以上である。熱伝導性フィラー22は、熱伝導性フィラー22を互いに固定する結着部材あるいは熱伝導性フィラー22を分散している母材よりも熱伝導性の高い材料から成る。この実施形態では、上記結着部材21若しくは上記母材21を、セルロース等に代表される炭化水素; ポリエステル、ポリアミド、アクリル等に代表される樹脂; から構成している。結着部材21若しくは母材21は、繊維の形態であるのが好ましいが、熱伝導性フィラー22の隙間を埋めることのできる形態であれば特に制約されない。熱伝導性フィラー22は、例えば、グラファイト、アモルファスカーボン、窒化アルミニウム、アルミニウム、窒化ホウ素、アルミニウム、銅、銀および亜鉛の1以上の粒状、繊維状、針状または板状の部材である。熱伝導性フィラー22としては、特にグラファイトが好ましい。放熱シート20は、好ましくは、紙や樹脂のシートのように折り曲げ自在である。
【0024】
本願において、「ジグザグ状のシート」は、山折りと谷折りを交互に繰り返した形態を持つシートを意味し、山の高さ、谷の深さ、山や谷の各幅については特に制約を有していない。この実施形態では、放熱シート20は、1枚のシートをジグザグ状に折り曲げた形態を有しているが、これに替えて、2枚以上のシートを用いて、ジグザグ状の部位と、ベースシート10に固定する面状の部位とを備えても良い。放熱シート20は、複数個の折曲突部23を備える。折曲突部23は、放熱フィンとして機能する。当該放熱フィンの先端側と反対の部位24は、ベースシート10に固定されている。ベースシート10への放熱シート20の固定方法は、接着剤、嵌め込み、挿入等の如何なる方法でも良い。
【0025】
(2)ベースシート
ベースシート10は、樹脂11若しくはゴム状弾性体11と、放熱部材12と、を含む。放熱部材12の熱伝導率は、好ましくは、樹脂11若しくはゴム状弾性体11の熱伝導率よりも高い。この実施形態では、樹脂11若しくはゴム状弾性体11と、放熱部材12とから構成される層を、シート本体15と称する。ベースシート10は、シート本体15の片面であって放熱シート20を固定する側の面に、接着層13を有する。この実施形態では、放熱シート20は、接着層13を介してシート本体15に固定されている。一方、シート本体15は、上記片面と反対側の面に、未硬化状態の接着剤層14を有する。接着剤層14は、コンピュータ内部に搭載される回路基板、バッテリーやそれに接する部材といった熱源に固定するための層である。接着剤層14のさらに外側に、接着剤層14を空気から遮断するための剥離シートを備えても良い。放熱フィン複合体1は、ベースシート10を熱源に密着若しくは密着に近い状態にて固定して用いられる。なお、シート本体15を、熱源に密着可能な場合には、接着剤層14を備えなくても良い。
【0026】
シート本体15は、
図2(2A)に示すように、接着剤層14から接着層13に向かって順に、樹脂(若しくはゴム状弾性体)11、放熱部材12を積層した構造を有する。樹脂11は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等の如何なる種類の樹脂でも良い。また、ゴム状弾性体11は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)若しくはスチレンブタジエンゴム(SBR)といった如何なる種類のゴム; さらにはウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系若しくはフッ素系のエラストマーといった如何なる種類のエラストマーでも良い。上記例示の樹脂(若しくはゴム状弾性体)11の中でも、シリコーン樹脂若しくはシリコーンゴム、特に放熱性に優れたものが好ましい。
【0027】
放熱材料12は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銀、亜鉛、グラファイト、アモルファスカーボンおよび窒化アルミニウム、窒化ホウ素の1以上から成る薄膜である。ベースシート10を熱源の形状に合わせて湾曲あるいは折曲等の変形自在にするには、放熱部材12を金属にて構成する方が好ましく、具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銀あるいは亜鉛にて構成するのが好ましい。なお、薄膜状の放熱材料12は、シート本体15の片面ではなく、その内部に存在していても良い。
【0028】
また、シート本体15は、
図2(2B)に示すように、樹脂(若しくはゴム状弾性体)11の内部に放熱部材12を分散した構造を有するものであっても良い。放熱部材12は、
図2(2A)に基づく前記説明と同様の材料にて好適に構成される。ただし、放熱部材12は、薄膜の形態ではなく、好ましくは、粒状、繊維状、針状または板状の部材である。放熱部材12を放熱フィラーと称することもできる。放熱部材12は、樹脂(若しくはゴム状弾性体)11の内部に分散されていることから、金属以外の材料、例えば、グラファイト、アモルファスカーボンおよび窒化アルミニウム、窒化ホウ素から成るものでも良い。
【0029】
シート本体15の厚さは、熱源からの熱を速やかに放熱シート20側に伝える必要から小さいほど好ましいが、不本意な破損を抑制するためにはある程度の大きさを要する。一例としての当該厚さは、0.1〜10mm、好ましくは0.2〜5mm、より好ましくは0.3〜3mmである。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る放熱フィン複合体について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材については同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0031】
図3は、第2実施形態に係る放熱フィン複合体の
図1(1B)と同視の断面図を示す。
【0032】
第2実施形態に係る放熱フィン複合体1aは、放熱フィン(すなわち、折曲突部23)の内側において、放熱フィンの先端側からベースシート10側に向かう中間フィン25を、さらに備える。中間フィン25を備える以外の構成については、第1実施形態と共通する。
【0033】
中間フィン25は、折曲突部23の裏側および/またはベースシート10と固定されている。このため、熱源からベースシート10に伝わった熱は、ジグザグ状の放熱シート20に加え、中間フィン25にも伝わる。中間フィン25を放熱フィン複合体1aに備えることによって、放熱効果をより高めることが可能である。
【0034】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る放熱フィン複合体について説明する。第3実施形態において、第1実施形態と同様の部材については同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0035】
図4は、第3実施形態に係る放熱フィン複合体の組立状況を
図1(1B)と同視で示す組立断面図及びその一部の拡大図(4A)と、該複合体の完成後の状態を
図1(1B)と同視で示す断面図及びその一部の拡大図(4B)とをそれぞれ示す。
図5は、第3実施形態に係る放熱フィン複合体の組立状況を平面視にて示す。
【0036】
第3実施形態に係る放熱フィン複合体1bにおいて、ベースシート10bは、放熱フィンとしての折曲突部23の反対の部位24を挿入可能な凹部の一例としての溝部18を備える。この実施形態では、反対の部位24を峰形状としているため、ベースシート10bに溝部18を備え、峰形状の反対の部位24を溝部18に挿入できるようにしている。ただし、反対の部位24が峰形状以外の形状の場合には、溝部18以外の形態の凹部をベースシート10bの表面に備えるようにしても良い。
【0037】
反対の部位24を溝部18に代表される凹部に挿入して固定する場合には、接着剤を当該凹部に入れても良く、あるいは当該凹部の周囲に存在せしめても良い。ベースシート10bにおける放熱シート20側の面に、接着層13を必ずしも備えなくても良く、溝部18の内部若しくは溝部18に挿入された反対の部位24の外周囲に接着剤を存在せしめても良い。このような溝部18に代表される凹部に放熱シート20の反対の部位24を挿入することにより、放熱シート20のジグザグ形状を保持しやすくなる。
【0038】
ベースシート10bは、熱源との接着側から厚さ方向内方に向かって切れ目19を備えることも可能である。切れ目19は、溝部18に対して小さな幅、大きな幅若しくはと同じ幅で形成可能であるが、好ましくは狭い幅で形成される。当該切れ目19の存在によって、ベースシート10bの変形がより容易になる。
【0039】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る放熱フィン複合体について説明する。第4実施形態において、先の各実施形態と同様の部材については同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0040】
図6は、第4実施形態に係る放熱フィン複合体の
図1(1B)と同視の断面図(6A)と、第4実施形態に係る放熱フィン複合体のベースシートの裏側から見た底面図(6B)とをそれぞれ示す。
【0041】
第4実施形態に係る放熱フィン複合体1cは、ベースシート10cに、第3実施形態におけるベースシート10bと同様の凹部としての溝部18を備える。溝部18は、放熱シート20の反対の部位24を挿入可能に、ほぼ一定の幅で、ほぼ平行に複数本備えられている。また、ベースシート10cは、その裏側の面(すなわち、放熱シート20を固定する面の反対側の面)に、格子状の溝部18(凹部の一例)を備える。すなわち、溝部18は、その形態こそ異なるものの、ベースシート10cの放熱フィンの反対の部位24を挿入する表側の面と、その裏側の面との両面に形成されている。このため、放熱シート20をベースシート10cの両面のいずれの面に対しても反対の部位24を挿入して固定できる。したがって、放熱フィン複合体1cの組み立てに際して、ベースシート10cの表裏を気にしなくても良い。
【0042】
また、ベースシート10cは、その裏側の面(熱源に近い側の面)に格子状の溝部18を備えているので、ベースシート10cの長さ方向のみならず、幅方向にも容易に変形させることができ、熱源の凹凸に追従させて密着可能となる。なお、変形例として、ベースシート10cの表側の面にも、格子状の溝部18を備えても良い。このように、溝部18を、ベースシート10cの放熱フィンの反対の部位24を挿入する表側の面および裏側の面の両面に格子状に形成されていると、放熱フィン複合体1cの組み立てに際して、ベースシート10cの表裏を気にしなくても良い。
【0043】
(その他実施形態)
以上、本発明の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0044】
また、上記各実施形態に係る放熱フィン複合体1,1a,1b,1cを構成する各構成要素は、組み合わせ不可能な場合を除き、任意に組み合わせ可能である。例えば、第2実施形態における中間フィン25は、第3実施形態あるいは第4実施形態に備えても良い。中間フィン25をベースシート10b,10c上に固定する場合には、ベースシート10b,10cに、中間フィン25の端部を挿入可能な凹部を備えることもできる。また、溝部18に代表される凹部の数は、反対の部位24の数と同数でも良く、あるいは該数より少なくても良い。例えば、放熱シート20の長さ方向両端に位置する反対の部位24のみを凹部に挿入できるようにしても良い。また、ベースシート10b,10cの凹部は、同シートの厚さ方向に貫通する孔を含んでいても良い。また、第4実施形態において、ベースシート10cの裏側の面に、溝部18に代えて、切れ目19を形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、放熱を要する部分において利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1,1a,1b,1c・・・放熱フィン複合体、10,10b,10c・・・ベースシート、11・・・樹脂(若しくはゴム状弾性体)、12・・・放熱部材、18・・・溝部(凹部)、20・・・放熱シート、22・・・熱伝導性フィラー、23・・・折曲突部(放熱フィン)、24・・・反対の部位、25・・・中間フィン。