特許第6883008号(P6883008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883008
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】電動弁用ステータ及び電動弁
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/14 20060101AFI20210524BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20210524BHJP
   H02K 37/14 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H02K7/14 Z
   F16K31/04 A
   H02K37/14 535B
   H02K37/14 535X
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-175972(P2018-175972)
(22)【出願日】2018年9月20日
(65)【公開番号】特開2019-115250(P2019-115250A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】特願2017-243832(P2017-243832)
(32)【優先日】2017年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】笠井 宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 毅敏
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−239428(JP,A)
【文献】 特開昭60−011794(JP,A)
【文献】 特開2014−052037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00− 7/20
F16K 31/00− 31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部の駆動により作動する弁本体を嵌挿孔に嵌め込んで該弁本体側のマグネットロータと共に前記モータ部を構成するステータ本体と、前記ステータ本体と前記弁本体とを固定する固定部材とを備えた電動弁用ステータであって、
前記固定部材は、前記ステータ本体の底部に配置されるとともに前記弁本体を挿通する開口部を有する環状のブラケット板と、一端が前記ブラケット板の外周に連結されるとともに他端が前記ステータ本体の天部に係合される少なくとも一対の側部フレームとで構成され
前記側部フレームは、前記ブラケット板側の端部に前記嵌挿孔の中心である軸線側に折り曲げられた鍔部を有し、前記ブラケット板の前記ステータ本体と接する面と反対側の面に前記鍔部が当接されて、該鍔部と前記ステータ本体の天部に係合される部分とで前記ブラケット板及び前記ステータ本体を挟持して、前記固定部材が前記ステータ本体に取り付けられ、
前記鍔部と前記ブラケット板とが、一方の凸部を他方の凹部に係合されることで、該鍔部と該ブラケット板との前記軸線と交差する方向のずれ及び軸線回りの回転方向のずれを防止する構造とされていることを特徴とする電動弁用ステータ。
【請求項2】
前記ブラケット板は、前記開口部内の前記弁本体の外周端部にて前記嵌挿孔の軸線方向に逆止係合する逆止係合爪を有し、前記側部フレームは前記ステータ本体の天部側の他端において前記弁本体の頂部を押さえつける押さえ付け部を有することを特徴とする請求項に記載の電動弁用ステータ。
【請求項3】
前記ブラケット板は、前記開口部内の前記弁本体の外周端部にて前記嵌挿孔の軸線方向に逆止係合する逆止係合爪を含む逆止係合片と、前記弁本体の外周端部に弾力的に当接する複数のがた付き防止片とを有することを特徴とする請求項に記載の電動弁用ステータ。
【請求項4】
前記ブラケット板は、前記開口部内の前記弁本体の外周端部にて前記嵌挿孔の軸線方向に逆止係合する内側に凸状の逆止係合ディンプルを含む逆止係合片と、前記弁本体の外周端部に弾力的に当接する複数のがた付き防止片とを有することを特徴とする請求項に記載の電動弁用ステータ。
【請求項5】
前記ブラケット板の外周に、前記ステータ本体の外周面に弾力的に当接する挟持片を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電動弁用ステータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動弁用ステータを前記弁本体に備えてなることを特徴とする電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルシステムなどに使用する電動弁用ステータ及びそれを備えた電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動弁として、ステッピングモータ等のモータ部のマグネットロータの回転により弁本体を作動させるものがある。このような電動弁では流体の流路を密閉する必要があり、弁本体と共に密閉構造をなす円筒形状のケース内に、モータ部のマグネットロータを収容している。そして、モータ部のステータはケースの外周に配置する構造となっている。例えば特開2006−20480号公報(特許文献1)及び特開2004−332818号公報(特許文献2)に同様な電動弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−20480号公報
【特許文献2】特開2004−332818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものでは、ステータを固定するためのブラケットがステータの上側に設けられ、このブラケットとケースがステータから上に飛び出す構造となっている。このため、省スペースという点で改良の余地がある。
【0005】
これに対して特許文献2のものは、弁本体に組み付けたケース(ケース)に対して、ステータを取り付けるための環状のブラケット板を用いており、このブラケット板をステータの外函の下底面に取り付けるようにしている。しかしながら、この特許文献2のものでは、ブラケット板を取り付けるために、ステータの外函の底面に、一対の抜き差しガイド部とストッパ係合部等を形成する必要があり、ステータ本体に加工を施す必要があるという点で改良の余地がある。
【0006】
本発明は、マグネットロータを収容するケースを有する弁本体にステータを取り付けるようにした電動弁において、簡単な構成でステータ本体を弁本体に対して固定できるようにした電動弁用ステータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の電動弁用ステータは、モータ部の駆動により作動する弁本体を嵌挿孔に嵌め込んで該弁本体側のマグネットロータと共に前記モータ部を構成するステータ本体と、前記ステータ本体と前記弁本体とを固定する固定部材とを備えた電動弁用ステータであって、前記固定部材は、前記ステータ本体の底部に配置されるとともに前記弁本体を挿通する開口部を有する環状のブラケット板と、一端が前記ブラケット板の外周に連結されるとともに他端が前記ステータ本体の天部に係合される少なくとも一対の側部フレームとで構成され、前記側部フレームは、前記ブラケット板側の端部に前記嵌挿孔の中心である軸線側に折り曲げられた鍔部を有し、前記ブラケット板の前記ステータ本体と接する面と反対側の面に前記鍔部が当接されて、該鍔部と前記ステータ本体の天部に係合される部分とで前記ブラケット板及び前記ステータ本体を挟持して、前記固定部材が前記ステータ本体に取り付けられ、前記鍔部と前記ブラケット板とが、一方の凸部を他方の凹部に係合されることで、該鍔部と該ブラケット板との前記軸線と交差する方向のずれ及び軸線回りの回転方向のずれを防止する構造とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項の電動弁用ステータは、請求項に記載の電動弁用ステータであって、前記ブラケット板は、前記開口部内の前記弁本体の外周端部にて前記嵌挿孔の軸線方向に逆止係合する逆止係合爪を有し、前記側部フレームは前記ステータ本体の天部側の他端において前記弁本体の頂部を押さえつける押さえ付け部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項の電動弁用ステータは、請求項に記載の電動弁用ステータであって、前記ブラケット板は、前記開口部内の前記弁本体の外周端部にて前記嵌挿孔の軸線方向に逆止係合する逆止係合爪を含む逆止係合片と、前記弁本体の外周端部に弾力的に当接する複数のがた付き防止片とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項の電動弁用ステータは、請求項に記載の電動弁用ステータであって、前記ブラケット板は、前記開口部内の前記弁本体の外周端部にて前記嵌挿孔の軸線方向に逆止係合する内側に凸状の逆止係合ディンプルを含む逆止係合片と、前記弁本体の外周端部に弾力的に当接する複数のがた付き防止片とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項の電動弁用ステータは、請求項1または2に記載の電動弁用ステータであって、前記ブラケット板の外周に、前記ステータ本体の外周面に弾力的に当接する挟持片を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項の電動弁は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動弁用ステータを前記弁本体に備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜5の電動弁用ステータによれば、ブラケット板をステータ本体の底部に当接させた状態で側部フレームによりブラケット板をステータ本体に固定するだけでよいので、ブラケット板と側部フレームとからなる簡単な構造でステータ本体を弁本体に取り付けることができる。また、弁本体をステータ本体の嵌挿孔に嵌め込むとともにブラケット板の開口部に挿通し、ステータ本体を弁本体に装着した状態で、ブラケット板の逆止係合爪が弁本体の外周端部にて軸線方向に逆止係合するとともに、側部フレームの端部で弁本体の頂部を押さえつけること、あるいは弁本体の外周端部をブラケットのがた付き防止片にて弾力的に当接することで、当該電動弁用ステータを弁本体に確実に固定することができる。さらに、 弁本体のケース等がステータ本体から上に飛び出すことがなく、省スペースとすることができる。
【0016】
請求項の電動弁によれば、請求項1〜5と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態の電動弁用ステータの縦断面図である。
図2】第1実施形態の電動弁用ステータの外観側面図である。
図3】第1実施形態の電動弁の一部断面側面図である。
図4】第1実施形態の電動弁用ステータにおける固定部材の分解斜視図である。
図5】第1実施形態の電動弁用ステータと弁本体の取り付け前の斜視図及び一部断面斜視図である。
図6】第1実施形態の電動弁用ステータにおける組み付け状態での固定部材の外観斜視図である。
図7】第1実施形態の電動弁用ステータにおけるステータ本体の外観斜視図である。
図8】第1及び第2実施形態におけるステータ本体と弁本体との組み付け時の底面図である。
図9】本発明の第2実施形態の電動弁用ステータの縦断面図である。
図10】第2実施形態の電動弁用ステータの外観側面図である。
図11】第2実施形態の電動弁の一部断面側面図である。
図12】第2実施形態の電動弁用ステータにおける固定部材の分解斜視図である。
図13】第2実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の電動弁用ステータ及び電動弁の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態の電動弁用ステータの縦断面図、図2は第1実施形態の電動弁用ステータの外観側面図、図3は第1実施形態の電動弁の一部断面側面図、図4は第1実施形態の電動弁用ステータにおける固定部材の分解斜視図、図5は第1実施形態の電動弁用ステータと弁本体の取り付け前の外観斜視図及び一部断面斜視図、図6は第1実施形態の電動弁用ステータにおける組み付け状態での固定部材の外観斜視図、図7は第1実施形態の電動弁用ステータにおけるステータ本体の外観斜視図である。図1図2及び図3のA−A断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1乃至図3の図面における上下に対応する。
【0019】
図3に示すように、第1実施形態の電動弁は、ステータ本体1と、固定部材2と、弁本体3と、「モータ部」としてのステッピングモータ40と、を備えている。ステッピングモータ40は、弁本体3のケース31の外周に取り付けられた後述説明するステータ本体1と、ケース31の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ32とで構成されている。なお、マグネットロータ32の外周面とケース31の内周面との間には所定の隙間が設けられている。
【0020】
まず、弁本体3について説明する。図5に示すように、この弁本体3は三方切換弁であり、深絞りによる有底円筒形状のケース31と、円盤板状の蓋部材33とで外装ケースを構成している。蓋部材33は、ステンレス板材をプレス成形及び打ち抜きしたものであり、上面部はケース31の開口端に嵌合し、溶接等によって気密接合され、下面部にはフランジ部33bを有している。これにより、ケース31内に、密閉構造の弁室とロータ室とを画定している。また、蓋部材33には図示しないポートを介して継手管34,35,36がろう付け等によって固定されている。そして、ロータ室内のマグネットロータ32(図3参照)の回動により、弁室内の図示しない弁体が回動し、継手34,35,36を通る流路の切り換えが行われる。蓋部材33の外周の一箇所には、突起部33cが打ち抜きプレス成形によって一体形成されている。突起部33cは瓢箪形をなしており、根元側に後述の固定部材2の二股状ガイド片21aに係合する括れ部33dを有している。
【0021】
ステータ本体1は、図1及び図3に示すように、樹脂製のボビン11にコイル12,12を巻装することで、軸線L方向に一対のコイル部を積層して構成されている。また、ボビン11には、磁極歯13aを持つ継鉄(ヨーク)13がモールド成形により一体に組み付けられている。また、ステータ本体1は、中央に軸線Lを中心とする円柱形状の嵌挿孔1Hを有しており、この嵌挿孔1Hの内周面の一部に継鉄13の磁極歯13aが配置されている。そして、この嵌挿孔1H内に弁本体3のケース31が嵌め込まれ、固定部材2によりステータ本体1が弁本体3に固定される。なお、磁極歯13aはケース31の外周面に対向する。
【0022】
また、ステータ本体1は、ボビン11、コイル12及び継鉄13の組み付け体を樹脂14で封止するとともにその樹脂14の外側を外装ケース15で覆うことにより一体成形品として構成されている。そして、この外装ケース15の下端が円環状の底部1Bとなり、外装ケース15の上端が天部1Uとなっている。そして、嵌挿孔1Hは天部1Uまで貫通している。また、図7に示すように、ステータ本体1の天部1Uにおいて、軸線L回りの180°離間した位置に嵌挿孔1Hから外側に窪んだ切り欠き部15a,15aが形成されるとともに、この切り欠き部15a,15aからさらに外側に連通された溝部15b,15bが形成されている。そして、図1及び図5の断面斜視図に示すように、溝部15b,15bの位置において、継鉄13には突起13bが形成されており、この突起13bは溝部15b及び切り欠き部15a内に露出されている。
【0023】
ステータ本体1の底部1B(樹脂ケース15の下端部)と側部及び天部1Uには固定部材2が取り付けられている。図4に示すように、固定部材2は、ブラケット板21と、一対の側部フレーム22,22とで構成されている。
【0024】
ブラケット板21は、プレス成形品であり、外周形状が略円形の環状基部21Aとこの環状基部21Aの片側端部に一体に連結されて折り曲げられた矩形のベース部21Bとで構成されている。環状基部21Aは弁本体3の蓋部材33が嵌め込まれる開口部21A1を有し、この環状基部21Aには、開口部21A1内において環状基部21Aから下方に折曲形成された二股状ガイド片21aと、逆止係合片21bと、が一体形成されている。また、環状基部21Aには、外周縁においてベース部21Bの中央とこのベース部21Bとは反対側において、上方に折曲形成された3つの挟持片21cが一体形成されている。また、環状基部21Aには、開口部21A1の周囲4箇所に凹部としての嵌合孔21dが形成されている。さらに、 環状基部21Aの外周の180度対向した2箇所に凹部21eが形成されている。
【0025】
側部フレーム22は、プレス成形品であり、軸線Lと略平行に配置されてステータ本体1の高さと略同じ長さを有する長尺のフレーム本体22Aと、このフレーム本体22Aの下端部で軸線L側に折り曲げられた弧状長円形の鍔部22Bと、フレーム本体22Aの上端部で軸線L側に折り曲げられた係合部22Cとを一体に有している。鍔部22Bには、環状基部21Aの片側の一対の嵌合孔21d,21dに係合する一対の凸部22e,22eが形成されている。係合部22Cには、その一部を折り曲げることにより一対の押圧部22f,22fが形成されるとともに、この押圧部22f,22fの内側をフレーム本体22A側に折り曲げることにより端子片22gが形成されている。
【0026】
以上の構成により、固定部材2は以下のようにしてステータ本体1に取り付ける。ブラケット板21の3つの挟持片21cをステータ本体1の側面下部に係合させるとともに、ブラケット板21の環状基部21Aを底部1Bに当接させる。次に、側部フレーム22の上端部の係合部22Cの押圧部22f,22fを、ステータ本体1の天部1Uの切り欠き部15aに係合させる。このとき、係合部22Cの端子片22gを溝部15b内に挿入し、この端子片22gの先端を継鉄13の突起13bに当接させる。そして、その状態で、側部フレーム22のフレーム本体22Aをブラケット板21の環状基部21Aの外周の凹部21eに嵌め込むと同時に、側部フレーム22の鍔部22Bをブラケット板21の環状基部21Aの裏面に嵌め込み、一対の凸部22e,22eを環状基部21Aの一対の嵌合孔21d,21dに係合させる。これにより、図5及び図6に示すように、固定部材2がステータ本体1の外周部に組み付けられ、第1実施形態の電動弁用ステータが構成される。
【0027】
上記のように固定することで、固定部材2とステータ本体1の軸線Lと交差する方向のずれ及び軸線L回りの回転方向のずれを防止することができる。
【0028】
次に、第1実施形態の電動弁用ステータを弁本体3に組み付ける。図5に矢印で示すように、弁本体3のケース31を固定部材2のブラケット板21側から、このブラケット板21の開口部21A1を介してステータ本体1の嵌挿孔1H内に挿通する。
【0029】
ここで、図8は実施形態におけるステータ本体1と弁本体3との組み付け時の底面図である。なお、固定部材2は図示を省略してある。図8(A)は弁本体3の底面図であり、前記のように、弁本体3の蓋部材33の外周の一箇所には突起部33cと括れ部33dとが形成されている。また、図8(B)はステータ本体1の底面図であり、ステータ本体1のボビン11の底部には、その内周一箇所に切り欠き部11aが形成されている。図8(C)は弁本体3にステータ本体1を組み付けた状態の底面図であり、弁本体3の突起部33cがステータ本体1の切り欠き部11aに嵌め込まれる。これにより、弁本体3に対するステータ本体1の軸線L回りの位置が規定される。なお、このように、切り欠き部11aに突起部33cを嵌め込むとき、実際には固定部材2が取り付けてあり、この固定部材2の二股状ガイド片21aに括れ部33dが係合することにより、軸線L方向に案内されて、切り欠き部11aに突起部33cが嵌めこまれる。なお、図1 は、図2のA−A矢視断面図であり、二股ガイド片21aは、紙面手前に位置するため、想像線として二点鎖線にて記載している。
【0030】
以上のように、第1実施形態の電動弁用ステータ(固定部材2を組み付けたステータ本体1)を、弁本体3に取り付けるとき、弁本体3の蓋部材33の外周に固定部材2の逆止係合片21bが当接する。そして、弁本体3を嵌挿孔1Hに対してさらに軸線L方向に挿入することで、逆止係合片21bが外側に撓み、蓋部材33がこの逆止係合片21bの端部を乗り越えると、逆止係合片21bがその弾性力により軸線L側に戻り、逆止係合片21bの端部が蓋部材33の外周裏面に係合し、図1乃至図3の状態となる。また、このとき、固定部材2の側部フレーム22の係合部22Cにおいて弁本体3のケース31の頂部が押圧部22fに当接し、逆にこの押圧部22fがその弾性力により,ケース31の頂部を押圧する。したがって、当該電動弁用ステータを弁本体に確実に固定することができる。
【0031】
このように、第1実施形態の電動弁用ステータによれば、ステータ本体1に固定部材2が組み付けられているので、弁本体3に対して簡単に取り付けることができる。また、固定部材2の側部フレーム22の弾性力により、弁本体3に対して確実に堅牢に固定することができる。
【0032】
また、図3及び図5に示すように、固定部材2の側部フレーム22の22Cにおいて、外装ケース15の溝部15b及び切り欠き部15a内で端子片22gが継鉄13の突起13bに当接されているので、継鉄13と固定部材2が電気的に接地されている。また、固定部材2の環状基部21Aは弁本体3の蓋部材33と電気的に接地されている。これにより、継鉄13とケース31との間の電気的な高周波ノイズの発生を防止することができる。
【0033】
図9は本発明の第2実施形態の電動弁用ステータの縦断面図、図10は第2実施形態の電動弁用ステータの外観側面図、図11は第2実施形態の電動弁の一部断面側面図、図12は第2実施形態の電動弁用ステータにおける固定部材の分解斜視図である。図9図10及び図11のA−A断面図である。
【0034】
この第2実施形態で第1実施形態と異なるところは、第2実施形態では、ステータ本体1に対する弁本体3の取り付け位置を、第1実施形態に比して軸線L方向に僅かに下方に取り付けるようにした点である。また、これにともなって、第2実施形態における固定部材2′はその一部の構成が第1実施形態における固定部材2と異なる点である。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0035】
図12に示すように、第2実施形態における固定部材2′は、ブラケット板21′と、一対の側部フレーム22′,22′とで構成されている。ブラケット板21′は、プレス成形品であり、外周形状が略円形の環状基部21A′とこの環状基部21A′の片側端部に一体に連結されて折り曲げられた矩形のベース部21B′とで構成されている。環状基部21A′は弁本体3の蓋部材33が嵌め込まれる開口部21A1′を有し、この環状基部21A′には、開口部21A1′内において環状基部21A′から下方に折曲形成された二股状ガイド片21a′と、逆止係合片21b′と、が一体形成されている。また、環状基部21A′には、開口部21A1′内の2箇所において環状基部21A′から折曲形成された突起部21c′が一体形成されている。また、環状基部21A′には、開口部21A1′の周囲4箇所に凸部21d′が形成されている。凸部21d′はプレス加工により環状基部21A′の下側に切り出されて形成されている。逆止係合片21b′には開口部21A1′側に突出する爪21b1′が切り出されて形成されている。
【0036】
側部フレーム22′は、プレス成形品であり、軸線Lと略平行に配置されてステータ本体1の高さと略同じ長さを有する長尺のフレーム本体22A′と、このフレーム本体22A′の下端部で軸線L側に折り曲げられた弧状長円形の鍔部22B′と、フレーム本体22A′の上端部で軸線L側に折り曲げられた係合部22C′とを一体に有している。鍔部22B′には、環状基部21A′の片側の一対の凸部21d′,21d′に係合する一対の嵌合孔22e′,22e′が形成されている。係合部22C′には、その一部をフレーム本体22A′側に折り曲げることにより端子片22g′が形成されている。
【0037】
以上の構成により、固定部材2′は以下のようにしてステータ本体1に取り付ける。図9に示すように、ステータ本体1は嵌挿孔1Hの内周端部を拡径した拡径孔1H1を有しており、ブラケット板21′の3つの突起部21c′をこの拡径孔1H1内に係合させて嵌め込むとともに、ブラケット板21′の環状基部21A′を底部1Bに当接させる。これにより、環状基部21A′がステータ本体1の底部に仮止めされる。次に、側部フレーム22′の上端部の係合部22C′を、ステータ本体1の天部1Uの切り欠き部15aに係合させる。このとき、係合部22C′の端子片22g′を溝部15b内に挿入し、この端子片22g′の先端を継鉄13の上面に当接させる。そして、その状態で、側部フレーム22′の鍔部22B′をブラケット板21′の環状基部21A′の裏面に嵌め込み、一対の嵌合孔22e′,22e′に環状基部21Aの一対の凸部21d′,21d′を係合させる。これにより、固定部材2′がステータ本体1の外周部に組み付けられ、実施形態2の電動弁用ステータが構成される。
【0038】
上記のように固定することで、固定部材2′とステータ本体1の軸線Lと交差する方向のずれ及び軸線L回りの回転方向のずれを防止することができる。
【0039】
次に、第2実施形態の電動弁用ステータを弁本体3に組み付ける。弁本体3のケース31を固定部材2′のブラケット板21′側から、このブラケット板21′の開口部21A1′を介してステータ本体1の嵌挿孔1H内に挿通する。このとき、第1実施形態と同様に、前記弁本体3の突起部33cがステータ本体1の切り欠き部11aに嵌め込まれ、弁本体3に対するステータ本体1の軸線L回りの位置が規定される。また、固定部材2′の二股状ガイド片21a′に前記突起部33cの括れ部33dが係合することにより、軸線L方向に案内されて、切り欠き部11aに突起部33cが嵌めこまれる。
【0040】
以上のように、第2実施形態の電動弁用ステータ(固定部材2′を組み付けたステータ本体1)を、弁本体3に取り付けるとき、弁本体3の蓋部材33の外周に固定部材2′の逆止係合片21b′の爪21b1′が当接する。そして、弁本体3を嵌挿孔1Hに対してさらに軸線L方向に挿入することで、逆止係合片21b′及び爪21b1′が外側に撓み、蓋部材33がこの爪21b1′の端部を乗り越えると、逆止係合片21b′がその弾性力により軸線L側に戻り、爪21b′の端部が蓋部材33の外周裏面に係合し、図9乃至図11の状態となる。また、このとき、図9の拡大図に示すように、固定部材2′の突起部21c′は環状基部21A′をステータ本体1の底部に仮止めする役割をしているが、弁本体3のケース31の33が突起部21c′に当接し、固定部材2′(ステータ本体1)に対する弁本体3の上方への移動を規制している。したがって、当該電動弁用ステータを弁本体に確実に固定することができる。
【0041】
このように、第2実施形態の電動弁用ステータによれば、ステータ本体1に固定部材2′が組み付けられているので、弁本体3に対して簡単に取り付けることができる。また、固定部材2′の側部フレーム22′の弾性力により、弁本体3に対して確実に堅牢に固定することができる。
【0042】
また、図9に示すように、固定部材2′の側部フレーム22′の係合部22C′において、外装ケース15の溝部15b及び切り欠き部15a内で端子片22g′が継鉄13の上面に当接されているので、継鉄13と固定部材2′が電気的に接地されている。また、固定部材2′の環状基部21A′は弁本体3の蓋部材33と電気的に接地されている。これにより、継鉄13とケース31との間の電気的な高周波ノイズの発生を防止することができる。
【0043】
図13は第2実施形態の変形例を示す図である。第2実施形態では、固定部材2′の逆止係合片21b′は爪21b1′を有しており、この爪21b1′を弁本体3の蓋部材33の外周に当接て、弁本体3を固定するようにしているが、図13のように、逆止係合片21b′に軸線L側に向けて凸としたディンプル21b2′を形成するようにしてもよい。そして、ディンプル21b2′を弁本体3の蓋部材33の外周に当接て、弁本体3を固定する。
【0044】
上記の各実施形態では、固定部材は、ブラケット板と側部フレームとを別体として説明したが、このブラケット板と側部フレームとは一体で構成されていてもよい。
【0045】
また、各実施形態の弁本体は三方切換弁の例であるが、流量を制御する流量制御弁などの電動弁にも適用できる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 ステータ本体
1H 嵌挿孔
11 ボビン
12 コイル
13 継鉄
20 ステッピングモータ(モータ部)
2 固定部材
21 ブラケット板
21A 環状基部
21A1 開口部
22 側部フレーム
22A フレーム本体
22B 鍔部
22C 係合部
L 軸線
3 弁本体
31 ケース
32 マグネットロータ
33 蓋部材
2′ 固定部材
21′ ブラケット板
21A′ 環状基部
21B′ 矩形のベース部
21A1′ 開口部
21a′ 二股状ガイド片
21b′ 逆止係合片
21b1′ 爪
21b2′ ディンプル
21c′ 突起部
21d′ 凸部
22′ フレーム
22A′ フレーム本体
22B′ 鍔部
22C′ 係合部
22e′ 嵌合孔
22g′ 端子片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13