特許第6883009号(P6883009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6883009価格決定装置、価格決定方法及び価格決定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883009
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】価格決定装置、価格決定方法及び価格決定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20210524BHJP
【FI】
   G06Q40/04
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-176604(P2018-176604)
(22)【出願日】2018年9月20日
(65)【公開番号】特開2020-47122(P2020-47122A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2018年10月18日
【審判番号】不服2019-14327(P2019-14327/J1)
【審判請求日】2019年10月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 顕義
【合議体】
【審判長】 佐藤 聡史
【審判官】 岡 裕之
【審判官】 中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−196480(JP,A)
【文献】 特開2017−059164(JP,A)
【文献】 信用取引入門 改訂版、パンローリング相場読本シリーズ17 基礎知識から投資戦略まで、パンローリング株式会社、2003年11月11日、pp.194−201
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想通貨の取引所で受け付けられた注文に基づく、各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された板情報に基づいて、大引けのタイミングにおける売り注文と買い注文との価格が交錯しない場合には、ストップ配分方式に基づいて約定価格を決定し、当該ストップ配分後の成行残数量を失効させる決定部と、
前記決定部によって決定された約定価格を先物取引の清算価格として受け付ける、前記取引所で仮想通貨の取引を管理するサーバへ送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする価格決定装置。
【請求項2】
前記取得部は、
仮想通貨の取引所が定める所定のタイミングにおける前記板情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の価格決定装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記取得部によって取得された板情報が所定の条件を満たす場合には、板寄せ方式により前記価格を決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の価格決定装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記板情報の売り注文の価格と買い注文の価格とが交錯する場合には、前記価格を決定する
ことを特徴とする請求項に記載の価格決定装置。
【請求項5】
前記取得部は、
寄りのタイミングにおける前記板情報を取得し、
前記決定部は、
前記寄りのタイミングにおける板情報が前記所定の条件を満たさない場合には、当該所定の条件を満たすタイミングまで前記価格の決定を待機する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の価格決定装置。
【請求項6】
前記取得部は、
引けのタイミングにおける前記板情報を取得し、
前記決定部は、
前記引けのタイミングにおける板情報が前記所定の条件を満たさない場合には、後場の注文受付に移行する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の価格決定装置。
【請求項7】
前記取得部は、
大引けのタイミングにおける前記板情報を取得し、
前記決定部は、
前記大引けのタイミングにおける板情報が前記所定の条件を満たさない場合には、ストップ配分方式に基づいて前記価格を決定する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の価格決定装置。
【請求項8】
前記取得部は、
サーキットブレーカー解除時における前記板情報を取得し、
前記決定部は、
前記サーキットブレーカー解除時における板情報が前記所定の条件を満たさない場合には、時間優先の原則に基づいて前記価格を決定する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の価格決定装置。
【請求項9】
前記決定部は、
前記板寄せ方式として、同時呼値ルールに基づく配分方式に基づいて前記価格を決定する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の価格決定装置。
【請求項10】
前記決定部は、
前記板寄せ方式として、時間優先の原則に基づく配分方式に基づいて前記価格を決定する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の価格決定装置。
【請求項11】
前記決定部は、
前記取引の参加者ごとに前記数量を1単位ずつ配分する配分方式に基づいて前記価格を決定する
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の価格決定装置。
【請求項12】
コンピュータにより実行される価格決定方法であって、
仮想通貨の取引所で受け付けられた注文に基づく、各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された板情報に基づいて、大引けのタイミングにおける売り注文と買い注文との価格が交錯しない場合には、ストップ配分方式に基づいて約定価格を決定し、当該ストップ配分後の成行残数量を失効させる決定工程と、
前記決定工程によって決定された約定価格を先物取引の清算価格として受け付ける、前記取引所で仮想通貨の取引を管理するサーバへ送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする価格決定方法。
【請求項13】
仮想通貨の取引所で受け付けられた注文に基づく、各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報を取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得された板情報に基づいて、大引けのタイミングにおける売り注文と買い注文との価格が交錯しない場合には、ストップ配分方式に基づいて約定価格を決定し、当該ストップ配分後の成行残数量を失効させる決定手順と、
前記決定手順によって決定された約定価格を先物取引の清算価格として受け付ける、前記取引所で仮想通貨の取引を管理するサーバへ送信する送信手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする価格決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、価格決定装置、価格決定方法及び価格決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、株式市場などの証券市場において、板寄せ方式により約定値段を決定する技術が開示されている。また、多くの値段の売気配の数量および買気配の数量に変化があるタイミングにおいても、遅延なく利用者に売気配および買気配の情報を送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−130020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、株式市場などの証券市場において売買契約を成立させる技術に過ぎず、公平性又は公正性の高い仮想通貨の取引を実現させることができるとは限らなかった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、公平性又は公正性の高い仮想通貨の取引を実現させることができる価格決定装置、価格決定方法及び価格決定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る価格決定装置は、仮想通貨の取引において、各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された板情報が所定の条件を満たす場合には、板寄せ方式により約定する価格を決定する決定部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、公平性又は公正性の高い仮想通貨の取引を実現させることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る価格決定処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る価格決定システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る仮想通貨管理サーバの構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る価格決定装置の構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る板寄せ情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る価格決定処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、価格決定装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る価格決定装置、価格決定方法及び価格決定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る価格決定装置、価格決定方法及び価格決定プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔1.価格決定処理の一例〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る価格決定処理の一例について説明する。図1は、実施形態に係る価格決定処理の一例を示す図である。図1では、実施形態に係る価格決定処理が価格決定装置100により実行される例を示す。下記実施形態では、仮想通貨の取引所が定める所定のタイミングで板寄せを行う場合を示す。なお、下記実施形態では、板寄せを行う一日の所定のタイミングが6:50AMと、7:00AMと、15:50PMと、16:00PMとである場合を示しているが、これらの所定のタイミングに限定されることなく、どのタイミングで板寄せを行ってもよいものとする。例えば、下記実施形態では、サーキットブレーカー解除時など不特定のタイミングで板寄せを行ってもよいものとする。また、下記実施形態では、板寄せを行う一日の回数に制限はないものとする。なお、下記実施形態では、15:50PMおよび16:00PMは、それぞれ午後3:50および午後4:00を示すものとする。
【0011】
なお、下記実施形態では、7:00AMを前場(以下、適宜「デイセッション」とよぶ)の寄りのタイミング、15:50PMを前場の引けのタイミング、16:00PMを後場(以下、適宜「ナイトセッション」とよぶ)の寄りのタイミング、翌日の6:50AMを大引けのタイミングとする。また、下記実施形態では、一例として取引の日付の区切りが7:00AMとする。例えば、下記実施形態では、D1日の仮想通貨の取引は、D1日の7:00AMからD2日の6:50AMまでとする。なお、下記実施形態では、売り注文と買い注文の価格が交錯する(又は、オーバーラップする)場合を、以下適宜「板寄せ可能な場合」とよぶ。また、下記実施形態では、売り注文と買い注文の価格が交錯しない場合を、以下適宜「板寄せ不可能な場合」とよぶ。そして、下記実施形態では、板寄せ可能な場合であるが売り注文と買い注文との間で約定する価格を決定できない場合を、以下適宜「板寄せ不成立な場合」とよぶ。また、下記実施形態では、板寄せ可能な場合であって約定する価格を決定できる場合を、以下適宜「板寄せ成立の場合」とよぶ。そして、下記実施形態では、板寄せ不可能な場合と、板寄せ不成立な場合とを総合して「板寄せできない場合」とよぶ。なお、下記実施形態では、売り注文と買い注文とに基づいて約定する価格を、以下適宜「約定価格」とよぶ。また、下記実施形態では、注文は、証券市場の取引において一般的に使われる方法(例えば、指値、成行、逆指値など)により行われるものとする。なお、下記実施形態では、売り注文と買い注文の価格が交錯する場合には、成行注文も含まれるものとする。
【0012】
図1では、価格決定装置100は、所定のタイミングである6:50AMと、7:00AMと、15:50PMと、16:00PMにおいて板寄せを行う例を示す。また、価格決定装置100は、仮想通貨の各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報に基づいて約定価格を決定する例を示す。図1では、具体例として、板寄せ可能な場合であって板寄せ成立の場合と、板寄せ不可能な場合とを示す。図1では、板寄せ成立の場合には、板寄せに基づいて約定価格を決定する例を示す。また、図1では、価格決定装置100は、板寄せ不可能な場合には、寄りのタイミング、引けのタイミング、または大引けのタイミングの各々に対応する所定のルールに基づいて約定価格を決定する例を示す。なお、図1に示されていないが、価格決定装置100は、板寄せ不成立な場合においても同様に、寄りのタイミング、引けのタイミング、または大引けのタイミングの各々に対応する所定のルールに基づいて約定価格を決定してもよいものとする。
【0013】
〔価格決定システムの構成〕
図1の説明に先立って、図2を用いて価格決定システム1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る価格決定システムの構成例を示す図である。図2に示すように、価格決定システム1では、価格決定装置100と、仮想通貨管理サーバ200とが含まれる。価格決定装置100と、仮想通貨管理サーバ200とは所定のネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、図2に示した価格決定システム1には、複数台の価格決定装置100や、複数台の仮想通貨管理サーバ200が含まれてもよい。
【0014】
価格決定装置100は、仮想通貨の売り注文と買い注文とに基づいて約定価格を決定する情報処理装置である。具体的には、価格決定装置100は、仮想通貨の各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報に基づいて約定価格を決定する。例えば、価格決定装置100は、板寄せに基づいて約定価格を決定する。
【0015】
仮想通貨管理サーバ200は、仮想通貨の取引所で、仮想通貨の取引を管理する情報処理装置である。例えば、仮想通貨管理サーバ200は、仮想通貨の注文を受け付ける。例えば、仮想通貨管理サーバ200は、仮想通貨の売り注文または買い注文を受け付ける。例えば、仮想通貨管理サーバ200は、990円で10単位売りたいといった売り注文を受け付ける。また、仮想通貨管理サーバ200は、価格決定装置100により決定された約定価格を先物取引の清算価格として受け付ける。
【0016】
なお、図2では、価格決定装置100と仮想通貨管理サーバ200とは、別装置である場合を示したが、価格決定装置100と仮想通貨管理サーバ200とが一体であってもよい。また、価格決定装置100と仮想通貨管理サーバ200は、それぞれ同一とみなされる管理者によって管理されていてもよい。
【0017】
図1の説明に戻る。図1の例では、価格決定装置100が、8月29日の仮想通貨の取引における板寄せを行う場合を示す。具体的には、価格決定装置100は、8月29日の6:50AMと、7:00AMと、15:50PMと、16:00PMの所定のタイミングで板寄せを行う場合を示す。図1では、7:00AMから15:50PMをセッション1として、デイセッションの期間を示す。また、図1では、16:00PMから翌日8月30日の6:50AMをセッション2として、ナイトセッションの期間を示す。また、図1では、セッション1とセッション2との間を取引停止の期間として示す。
【0018】
図1に示すチャートX1は、所定のタイミングにおける板寄せ成立の場合の板情報を示す。例えば、図1に示すチャートX1は、1030円で150単位の売数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、1020円で10単位の売数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、1000円で130単位の売数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、990円で30単位の売数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、最も安い売りの価格である990円が売最良気配BQS1であることを示す。
【0019】
また、図1に示すチャートX1は、1010円で40単位の買数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、1000円で70単位の買数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、990円で20単位の買数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、980円で50単位の買数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、960円で100単位の買数量があることを示す。図1に示すチャートX1は、最も高い買いの価格である1010円が買最良気配BQO1であることを示す。そして、図1に示すチャートX1は、990円から1010円の価格において売り注文と買い注文の価格が交錯することを示す。つまり、図1に示すチャートX1は、990円から1010円の価格において板寄せが可能であることを示す。なお、図1に示すチャートX1では、板寄せを行うと、1000円の価格で50単位の売数量が残ることから、約定価格は1000円であることを示す。
【0020】
図1に示すチャートX2は、所定のタイミングにおける板寄せ不可能な場合の板情報を示す。例えば、図1に示すチャートX2は、1030円で150単位の売数量があることを示す。また、図1に示すチャートX2は、1020円で10単位の売数量があることを示す。また、図1に示すチャートX2は、最も安い売りの価格である1020円が売最良気配BQS2であることを示す。
【0021】
また、図1に示すチャートX2は、990円で20単位の買数量があることを示す。また、図1に示すチャートX2は、980円で50単位の買数量があることを示す。また、図1に示すチャートX1は、960円で100単位の買数量があることを示す。図1に示すチャートX1は、最も高い買いの価格である990円が買最良気配BQO2であることを示す。
【0022】
図1に示すルールR1は、寄りのタイミングにおいて板寄せができない場合(板寄せ不可能または板寄せ不成立の場合)のルールを示す。図1に示すルールR1は、板寄せができるタイミングまで待機することを示す。図1に示すルールR1は、例えば7:00AMの寄りのタイミングで板寄せができない場合には、板寄せができるタイミングTX1まで待機することを示す。
【0023】
図1に示すルールR2は、引けのタイミングにおいて板寄せができない場合のルールを示す。図1に示すルールR2は、後場の取引に移行することを示す。図1に示すルールR2は、例えば15:50PMの引けのタイミングで板寄せができない場合には、16:00PMからの後場の取引に移行することを示す。なお、図1に示すルールR2は、16:00PMの寄りのタイミングにおける板寄せを行わないことを示す。
【0024】
図1に示すルールR3は、大引けのタイミングにおいて板寄せができない場合のルールを示す。図1に示すルールR3は、ストップ配分を行うことを示す。図1に示すルールR3は、例えば6:50AMの大引けのタイミングで板寄せができない場合には、ストップ配分に基づいて約定価格を決定することを示す。また、図1に示すルールR3は、ストップ配分後の成行残数量を失効させることを示す。例えば、図1に示すルールR3は、ストップ配分後に成行注文の売り数量が残った場合には、売り数量の成行残数量を失効させることを示す。
【0025】
以下、図1を用いて、価格決定処理の一例を説明する。価格決定装置100は、板寄せする所定のタイミングにおける板情報を取得する。例えば、価格決定装置100は、7:00AMの寄りのタイミングにおける板情報を取得する。価格決定装置100は、取得した板情報に基づいて板寄せが可能か否かを判定する。価格決定装置100は、板寄せが可能な場合であって板寄せが成立する場合には、板寄せに基づいて約定価格を決定する。図1に示す例では、価格決定装置100は、約定価格を1000円とする。また、価格決定装置100は、寄りのタイミングにおいて板寄せができない場合には、板寄せができるタイミングまで待機する。そして、価格決定装置100は、板寄せができるタイミングでの板寄せに基づいて約定価格を決定する。また、価格決定装置100は、引けのタイミングにおいて板寄せができない場合には、約定価格を決定しない。この場合には、価格決定装置100は、約定価格を決定しないで後場の取引に移行する。また、価格決定装置100は、大引けのタイミングにおいて板寄せができない場合には、ストップ配分に基づいて約定価格を決定する。この場合には、価格決定装置100は、ストップ配分後の成行残数量を失効させる。
【0026】
〔2.仮想通貨管理サーバの構成〕
次に、図3を用いて、実施形態に係る仮想通貨管理サーバ200の構成について説明する。図3は、実施形態に係る仮想通貨管理サーバ200の構成例を示す図である。図3に示すように、仮想通貨管理サーバ200は、通信部210と、注文情報記憶部220と、制御部230とを有する。なお、仮想通貨管理サーバ200は、仮想通貨管理サーバ200の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0027】
(通信部210)
通信部210は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部210は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、価格決定装置100との間で情報の送受信を行う。
【0028】
(注文情報記憶部220)
注文情報記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。注文情報記憶部220は、仮想通貨の売り注文および買い注文に関する情報を記憶する。例えば、注文情報記憶部220は、各価格の売り数量と買い数量とを記憶する。例えば、注文情報記憶部220は、成行の売り数量と買い数量とを記憶する。また、注文情報記憶部220は、記憶された売り注文および買い注文に関する情報をリアルタイムで更新する。
【0029】
(制御部230)
制御部230は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、仮想通貨管理サーバ200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0030】
図3に示すように、制御部230は、送信部231と、受信部232と、配分部233と、更新部234とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。
【0031】
(送信部231)
送信部231は、取引所が定める所定のタイミングになると、仮想通貨の売り注文および買い注文に関する情報を価格決定装置100に送信する。例えば、送信部231は、注文情報記憶部220に記憶された売り注文および買い注文に関する情報を価格決定装置100に送信する。具体的な例を挙げると、送信部231は、売り数量と買い数量とからなる板情報を価格決定装置100に送信する。図1に示す例では、送信部231は、チャートX1やチャートX2に示される情報を価格決定装置100に送信する。
【0032】
(受信部232)
受信部232は、価格決定装置100により決定された情報を受信する。例えば、受信部232は、約定価格に関する情報を価格決定装置100から受信する。具体的には、受信部232は、板情報に基づいて決定された約定価格に関する情報を受信する。例えば、受信部232は、板寄せに基づいて決定された約定価格に関する情報を受信する。例えば、受信部232は、ストップ配分に基づいて決定された約定価格に関する情報を受信する。また、受信部232は、板寄せができない旨の情報を受信してもよい。また、受信部232は、約定価格を決定しない旨の情報を受信してもよい。
【0033】
(配分部233)
配分部233は、受信部232により受信された情報に基づいて配分を行う。例えば、配分部233は、価格決定装置100により決定された情報に基づいて売り注文および買い注文の数量の配分を行う。
【0034】
(更新部234)
更新部234は、売り注文および買い注文に関する情報をリアルタイムで更新する。例えば、注文情報記憶部220に記憶された売り注文および買い注文に関する情報をリアルタイムで更新する。
【0035】
〔3.価格決定装置の構成〕
次に、図4を用いて、実施形態に係る価格決定装置100の構成について説明する。図4は、実施形態に係る価格決定装置100の構成例を示す図である。図4に示すように、価格決定装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、価格決定装置100は、価格決定装置100の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0036】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、仮想通貨管理サーバ200との間で情報の送受信を行う。
【0037】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図4に示すように、記憶部120は、板情報記憶部121と、板寄せ情報記憶部122とを有する。
【0038】
板情報記憶部121は、板情報に関する情報を記憶する。例えば、板情報記憶部121は、仮想通貨管理サーバ200により送信された板情報に関する情報を記憶する。例えば、板情報記憶部121は、各価格の売り数量および買い数量に関する情報を記憶する。例えば、板情報記憶部121は、価格1の売り数量および買い数量に関する情報を記憶する。例えば、板情報記憶部121は、ストップ高およびストップ安に関する情報を記憶する。例えば、板情報記憶部121は、成行注文に関する情報を記憶する。このように、板情報記憶部121は、「板ID」、「ストップ高」、「成行買い」、「価格1売り」、「価格1買い」、「価格2売り」、「価格2買い」、・・・、「成行売り」、「ストップ安」といった項目を有してもよい。この場合には、「板ID」は、板情報を識別するための識別情報を示す。「ストップ高」は、ストップ高の価格を示す。「成行買い」は、成行注文の買い数量を示す。「価格1売り」は、価格1の売り数量を示す。「価格1買い」は、価格1の買い数量を示す。「価格2売り」は、価格2の売り数量を示す。「価格2買い」は、価格2の買い数量を示す。「成行売り」は、成行注文の売り数量を示す。「ストップ安」は、ストップ安の価格を示す。
【0039】
板寄せ情報記憶部122は、板寄せの結果に関する情報を記憶する。例えば、板寄せ情報記憶部122は、板情報に基づいて決定された約定価格に関する情報を記憶する。ここで、図5に、実施形態に係る板寄せ情報記憶部122の一例を示す。図5に示すように、板寄せ情報記憶部122は、「板寄せID」、「板ID」、「板情報」、「板寄せ結果」、「約定価格」、「日付」、「タイミング」といった項目を有する。
【0040】
「板寄せID」は、板寄せ結果を識別するための識別情報を示す。「板ID」は、板情報を識別するための識別情報を示す。「板情報」は、「板ID」に対応する板情報を示す。「板情報」は、各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報を示す。図5の例では、「板情報」に「A1」や「A2」といった概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、各価格の売り数量と買い数量とからなるデータが記憶される。「板寄せ結果」は、板寄せ可能/板寄せ成立であるか、板寄せ可能/板寄せ不成立であるか、板寄せ不可能であるかを示す。「約定価格」は、板寄せ結果に基づいて約定する価格を示す。「タイミング」は、板寄せのタイミングを示す。「日付」は、取引の日付を示す。
【0041】
(制御部130)
図4の説明に戻って、制御部130は、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、価格決定装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0042】
図4に示すように、制御部130は、要求部131と、取得部132と、判定部133と、決定部134と、失効部135と、配分部136と、送信部137とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0043】
(要求部131)
要求部131は、仮想通貨管理サーバ200に対して、仮想通貨の売り注文および買い注文に関する情報を送信するよう要求する。要求部131は、取引所が定める所定のタイミングで板情報を送信するよう要求する。図1に示す例では、例えば8月29日7:00AMの寄りのタイミングで板情報を送信するよう要求する。
【0044】
(取得部132)
取得部132は、仮想通貨管理サーバ200から送信された仮想通貨の売り注文および買い注文に関する情報を取得する。取得部132は、仮想通貨の取引において、各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報を取得する。また、取得部132は、仮想通貨の取引所が定める所定のタイミングにおける板情報を取得する。例えば、取得部132は、寄りのタイミングにおける板情報を取得する。例えば、取得部132は、引けのタイミングにおける板情報を取得する。例えば、取得部132は、大引けのタイミングにおける板情報を取得する。例えば、取得部132は、サーキットブレーカー解除時における板情報を取得する。図1に示す例では、取得部132は、チャートX1またはチャートX2に示される情報を取得する。
【0045】
取得部132は、前日の終値または最終気配値などの基準値を取得してもよい。例えば、取得部132は、DCB(Dynamic Circuit Breaker)時には、直前の基準となるDCB基準値を取得してもよい。また、取得部132は、売り注文または買い注文が全くない場合には、その日の基準値を翌日の基準値として取得してもよい。また、取得部132は、売り気配のみの場合には、その日の売最良気配値と基準値のうち低い方を、翌日の基準値として取得してもよい。また、取得部132は、買い気配のみの場合には、その日の買最良気配値と基準値のうち高い方を、翌日の基準値として取得してもよい。また、取得部132は、売り注文と買い注文との両方に指値による注文があり指値の価格が交錯しない場合には、売最良気配値と買最良気配値との中間の価格を示す仲値を、翌日の基準値として取得してもよい。
【0046】
(判定部133)
判定部133は、取得部132によって取得された板情報が所定の条件を満たすか否かを判定する。例えば、判定部133は、取得部132によって取得された板情報が板寄せ可能か否かを判定する。例えば、判定部133は、板情報の売最良気配値が買最良気配値以下となるか否かを判定する。また、判定部133は、板情報の売最良気配値が買最良気配値以下とならない場合には、板寄せ不可能であると判定する。この場合には、判定部133は、寄りのタイミング、引けのタイミング、または大引けのタイミングの各々に対応する所定のルールに基づいて約定価格を決定すると判定する。また、判定部133は、板寄せ不可能な場合には、ザラ場に移行すると判定してもよい。例えば、判定部133は、寄りのタイミング、引けのタイミング、または大引けのタイミングの各々に対応する所定のルールに基づいても約定価格を決定できない場合には、ザラ場に移行すると判定してもよい。
【0047】
判定部133は、板寄せが成立するか不成立であるかを判定する。判定部133は、成行の売り注文と成行の買い注文の全てが約定するか否かを判定する。つまり、判定部133は、成行の売り注文または成行の買い注文に残りがでるか否かを判定する。ここで、判定部133は、成行注文が残る場合には特別気配を判定してもよい。また、判定部133は、約定価格より高い買い注文と、約定価格より低い売り注文の全てが約定するか否かを判定する。図1のチャートX1に示す例では、判定部133は、約定値段である1000円より高い注文である1010円の40単位と、約定価格より低い注文である990円の30単位の全てが約定するか否かを判定する。この例では、判定部133は、1010円の買い注文の40単位が990円の売り注文の30単位と1000円の売り注文の10単位で全て約定すると判定する。
【0048】
また、判定部133は、約定価格において、売り注文または買い注文のいずれか一方の全てが約定するか否かを判定する。図1のチャートX1に示す例では、判定部133は、1010円の買い注文の40単位と、1000円の買い注文の70単位とが、1000円の売り注文の110単位で全て約定すると判定する。また、判定部133は、板寄せが成立する場合の約定価格の候補が複数ある場合には、直近約定価格に近い価格を約定価格と判定してもよい。例えば、判定部133は、前場の終値または直近で約定がない場合には基準価格を直近約定価格として約定価格を判定してもよい。図1のチャートX2に示す例では、判定部133は、例えば1000円を直近約定価格と判定してもよい。また、判定部133は、板寄せが不成立である場合には、ザラ場に移行せずに注文の受付を継続すると判定してもよい。例えば、判定部133は、寄りのタイミングまたはサーキットブレーカー解除時において板寄せが不成立である場合には、板寄せができるまで待機すると判定してもよい。
【0049】
(決定部134)
決定部134は、判定部133による判定結果に基づいて約定価格を決定する。例えば、決定部134は、判定部133により板寄せが可能と判定された場合には、板寄せにより約定価格を決定する。つまり、決定部134は、取得部132によって取得された板情報が所定の条件を満たす場合には、板寄せにより約定価格を決定する。また、決定部134は、板情報の売り注文の価格と買い注文の価格とが交錯する場合に約定価格を決定する。なお、決定部134は、売り注文と買い注文の価格が交錯する場合には、成行注文を含めてもよい。例えば、決定部134は、指値による売り注文と買い注文の価格が交錯しなくても、売り注文または買い注文に成行注文がある場合には、約定価格を決定する。
【0050】
決定部134は、板情報の売最良気配値が買最良気配値以下となる場合には、板寄せにより約定価格を決定する。例えば、決定部134は、売り注文と買い注文の価格が交錯しない場合には、寄りのタイミング、引けのタイミング、または大引けのタイミングの各々に対応する所定のルールに基づいて約定価格を決定する。また、決定部134は、売り注文と買い注文の価格が交錯しない場合には、ザラ場に移行すると決定してもよい。例えば、決定部134は、売り注文または買い注文が全くない場合にも、ザラ場に移行すると決定してもよい。また、決定部134は、判定部133によって板寄せができないと判定された場合には、板寄せができるまで待機して、板寄せ可能なタイミングで約定価格を決定してもよい。また、決定部134は、成行の売り注文または買い注文に残りがでる場合には、特別気配を決定してもよい。この場合には、決定部134は、特別気配を示す称号を板情報に付与することを決定してもよい。
【0051】
決定部134は、判定部133による判定結果として、寄りのタイミングにおける板情報が所定の条件を満たさない場合には、所定の条件を満たすタイミングまで約定価格の決定を待機する。例えば、決定部134は、寄りのタイミングにおける板情報が、板寄せできないと判定された場合には、板寄せ可能なタイミングまで約定価格の決定を待機する。決定部134は、判定部133による判定結果として、引けのタイミングにおける板情報が所定の条件を満たさない場合には、後場の注文受付に移行する。
【0052】
決定部134は、同時呼値配分方式に基づいて約定価格を決定する。例えば、決定部134は、同時呼値配分方式に基づく板寄せに基づいて約定価格を決定する。決定部134は、時間優先の原則に基づいて約定価格を決定する。例えば、決定部134は、時間優先の原則が適用された板寄せに基づいて約定価格を決定する。また、例えば、決定部134は、時間優先の原則が適用された同時呼値配分方式に基づく板寄せに基づいて約定価格を決定する。決定部134は、前場の寄りのタイミング、前場の引けのタイミング、及び、後場の寄りのタイミングでの板寄せは、同時呼値配分方式に基づいて約定価格を決定する。
【0053】
決定部134は、後場の大引けのタイミングでの板寄せは、同時呼値配分方式に基づいて約定価格を決定する。決定部134は、同時呼値配分後に、成行注文が残る場合には、ストップ配分方式に基づいて約定価格を決定する。つまり、決定部134は、判定部133による判定結果として、大引けのタイミングにおける板情報が所定の条件を満たさない場合には、ストップ配分方式に基づいて約定価格を決定する。また、決定部134は、ストップ配分方式に基づいて約定価格を決定する場合には、ストップ配分後の成行残数量を失効させる。
【0054】
決定部134は、寄りのタイミングまたは大引けのタイミングにおける板情報が所定の条件を満たさない場合には、板寄せに関する所定の条件を緩和して約定価格を決定してもよい。例えば、決定部134は、配分に関する条件を緩和して約定価格を決定してもよい。また、決定部134は、所定の条件を緩和しても約定価格を決定できない場合には、約定処理はしないものの、ザラ場に移行すると決定してもよい。また、この場合には、決定部134は、売り注文と買い注文との中値を始値乃至終値と決定してもよい。
【0055】
決定部134は、判定部133による判定結果として、サーキットブレーカー解除時における板情報が所定の条件を満たさない場合には、時間優先の原則に基づいて約定価格を決定する。決定部134は、サーキットブレーカー解除時の板寄せは、同時呼値配分方式を適用しない。
【0056】
決定部134は、取引の参加者ごとの配分方式に基づいて約定価格を決定する。例えば、決定部134は、取引の参加者ごとに数量を1単位ずつ配分する配分方式に基づいて約定価格を決定する。例えば、決定部134は、所定の参加者から10単位の買い注文を受け付けた場合には、受け付けられた10単位を1単位の注文として数量の1単位を配分すると決定する。また、決定部134は、取引の参加者の人数が所定の人数を満たした場合には、所定の人数を満たしたタイミングにおける参加者の注文に基づいて数量の配分を決定する。そして、決定部134は、配分された数量以外の配分の注文を受け付けた場合には、時間優先の原則に基づいて約定価格を決定する。
【0057】
(失効部135)
失効部135は、売り注文または買い注文の残数量を失効させる。例えば、失効部135は、ストップ配分後の成行残数量を失効させる。具体的には、失効部135は、大引けのタイミングでの板寄せにおける同時呼値配分後に成行注文が残る場合には、ストップ配分を行い、ストップ配分後に成行注文が残る場合には、ストップ配分後の成行残数量を失効させてもよい。
【0058】
(配分部136)
配分部136は、取引の参加者の人数が所定の人数を満たした場合には、所定の人数を満たしたタイミングにおける参加者の注文に基づいて数量を配分する。例えば、配分部136は、所定の参加者の人数からの注文が入ったタイミングで売数量または買数量の配分を開始する。
【0059】
(送信部137)
送信部137は、決定部134によって決定された情報を仮想通貨管理サーバ200に送信する。例えば、送信部137は、決定部134によって決定された約定価格に関する情報を仮想通貨管理サーバ200に送信する。例えば、送信部137は、後場の注文受付に移行する旨の情報を仮想通貨管理サーバ200に送信してもよい。例えば、送信部137は、判定部133によって判定された判定結果を仮想通貨管理サーバ200に送信してもよい。
【0060】
〔4.価格決定処理のフロー〕
次に、図6を用いて、実施形態に係る価格決定システム1による価格決定処理の手順について説明する。図6は、実施形態に係る価格決定システム1による価格決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
図6に示すように、価格決定装置100は、所定のタイミングにおける板情報を取得する(ステップS101)。具体的には、価格決定装置100は、寄りのタイミング、引けのタイミング、または、大引けのタイミングにおける板情報を取得する。続いて、価格決定装置100は、取得した板情報に基づいて板寄せ可能か否かを判定する(ステップS102)。例えば、価格決定装置100は、取得した板情報に基づいて、売り注文と買い注文の価格が交錯するか否かを判定する。
【0062】
続いて、価格決定装置100は、板寄せが可能であると判定された場合(ステップS102;Yes)、約定価格が決定するか否かを判定する(ステップS103)。例えば、価格決定装置100は、成行の売り注文と買い注文の全てが約定するか否かを判定する。ここで、価格決定装置100は、板寄せが不成立であると判定された場合(ステップS103;No)、所定のタイミングに対応する各々のルールに基づいて約定価格を決定する(ステップS105)。例えば、価格決定装置100は、寄りのタイミングにおいて成行が残る場合には、板寄せができるまで注文受付を継続する。続いて、価格決定装置100は、板寄せが成立すると判定された場合(ステップS103;Yes)、板寄せに基づいて約定価格を決定する(ステップS104)。
【0063】
なお、価格決定装置100は、板寄せが不可能であると判定された場合(ステップS102;No)、板寄せが不成立であると判定された場合と同様の処理手順を行ってもよい。つまり、価格決定装置100は、板寄せが不可能であると判定された場合、所定のタイミングに対応する各々のルールに基づいて約定価格を決定してもよい。
【0064】
〔5.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る価格決定装置100は、取得部132と、決定部134を有する。取得部132は、仮想通貨の取引において、各価格の売り数量と買い数量とからなる板情報を取得する。決定部134は、取得部132によって取得された板情報が所定の条件を満たす場合には、板寄せ方式により約定する価格を決定する。
【0065】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、仮想通貨の取引において板寄せの仕組みを導入することで、より公平性又は公正性の高い仮想通貨の取引を実現させることができる。また、実施形態に係る価格決定装置100は、仮想通貨の取引において板寄せの仕組みを導入することで、価格操作がしにくい仮想通貨の取引を実現させることができる。
【0066】
また、決定部134は、板情報の売り注文の価格と買い注文の価格とが交錯する場合には、価格を決定する。
【0067】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、売りと買いとの価格が乖離して約定しない状態が続くのを回避することができる。
【0068】
また、決定部134は、板寄せ方式として、同時呼値ルールに基づく配分方式に基づいて価格を決定する。
【0069】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、より公平性又は公正性の高い仮想通貨の取引を実現させることができる。
【0070】
また、決定部134は、板寄せ方式として、時間優先の原則に基づく配分方式に基づいて価格を決定する。
【0071】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、約定させる処理スピードを向上させることができる。
【0072】
また、取得部132は、仮想通貨の取引所が定める所定のタイミングにおける板情報を取得する。
【0073】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、所定のタイミングにおける板寄せを行うことができる。
【0074】
また、取得部132は、寄りのタイミングにおける板情報を取得する。決定部134は、寄りのタイミングにおける板情報が所定の条件を満たさない場合には、所定の条件を満たすタイミングまで価格の決定を待機する。
【0075】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、寄りのタイミングにおける約定価格決定の処理を効率的に行うことができる。
【0076】
また、取得部132は、引けのタイミングにおける板情報を取得する。決定部134は、引けのタイミングにおける板情報が所定の条件を満たさない場合には、後場の注文受付に移行する。
【0077】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、引けのタイミングにおける約定価格決定の処理を効率的に行うことができる。
【0078】
また、取得部132は、大引けのタイミングにおける板情報を取得する。決定部134は、大引けのタイミングにおける板情報が所定の条件を満たさない場合には、ストップ配分方式に基づいて価格を決定する。
【0079】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、大引けのタイミングにおける約定価格決定の処理を効率的に行うことができる。
【0080】
また、決定部134は、ストップ配分方式に基づいて価格を決定する場合には、ストップ配分後の成行残数量を失効させる。
【0081】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、大引けのタイミングにおける約定価格決定の処理をより効率的に行うことができる。
【0082】
また、取得部132は、サーキットブレーカー解除時における板情報を取得する。決定部134は、サーキットブレーカー解除時における板情報が所定の条件を満たさない場合には、時間優先の原則に基づいて価格を決定する。
【0083】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、サーキットブレーカー解除時における約定価格決定の処理を効率的に行うことができる。
【0084】
また、決定部134は、取引の参加者ごとに数量を1単位ずつ配分する配分方式に基づいて価格を決定する。
【0085】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、取引参加者単位で注文を合計することができる。
【0086】
また、実施形態に係る価格決定装置100は、取引の参加者の人数が所定の人数を満たした場合には、所定の人数を満たしたタイミングにおける参加者の注文に基づいて数量を配分する配分部136を有する。また、決定部134は、配分部136によって配分された数量以外の配分の注文を受け付けた場合には、時間優先の原則に基づいて価格を決定する。
【0087】
これにより、実施形態に係る価格決定装置100は、約定させる処理スピードを向上させることができる。
【0088】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る価格決定装置100および仮想通貨管理サーバ200は、例えば、図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図8は、価格決定装置100および仮想通貨管理サーバ200の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0089】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0090】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0091】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0092】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0093】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る価格決定装置100および仮想通貨管理サーバ200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130および230の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0094】
〔7.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0095】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0096】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0097】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0098】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 価格決定システム
100 価格決定装置
110 通信部
120 記憶部
121 板情報記憶部
122 板寄せ情報記憶部
130 制御部
131 要求部
132 取得部
133 判定部
134 決定部
135 失効部
136 配分部
137 送信部
200 仮想通貨管理サーバ
210 通信部
220 注文情報記憶部
230 制御部
231 送信部
232 受信部
233 配分部
234 更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7