特許第6883011号(P6883011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883011
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】自動車用内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20210524BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20210524BHJP
   B60T 17/02 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   F02F7/00 N
   B60T17/00 C
   B60T17/02
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-190813(P2018-190813)
(22)【出願日】2018年10月9日
(65)【公開番号】特開2020-60116(P2020-60116A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2020年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】前田 和秀
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第204226034(CN,U)
【文献】 特開2003−074368(JP,A)
【文献】 実開平05−050048(JP,U)
【文献】 特開平08−326922(JP,A)
【文献】 特開2001−303968(JP,A)
【文献】 特開2005−069140(JP,A)
【文献】 特開2013−137093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 7/00
B60T 17/00〜17/02
F02B 67/00〜67/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部に設けたエンジンルームに配置されており、シリンダブロック及びシリンダヘッドの前面に、タイミングチェーンを覆うフロントカバーが重ね固定されている構成であって、
前記フロントカバーに、前記シリンダブロック又はシリンダヘッドとの重合部からはみ出た上下の補助ボス部を設け、前記上下の補助ボス部に、略上下方向に往復動するピストンを有するバキュームポンプが固定されている、
自動車用内燃機関。
【請求項2】
前記上下の補助ボス部において前記シリンダブロック又はシリンダヘッドと重なった側の後面に、ブレーキブースタを補助する前記バキュームポンプが固定されている、
請求項1に記載した自動車用内燃機関。
【請求項3】
前記フロントカバーにおける補助ボス部の後面のうち前記バキュームポンプとの重合面よりも前記シリンダブロック又はシリンダヘッドに寄った部位に、前記フロントカバーとシリンダブロック又はシリンダヘッドとの重合面に塗布したシール剤が流れ込み得る凹溝を形成している、
請求項2に記載した自動車用内燃機関。
【請求項4】
前記補助ボス部を挟んだ上下両側に、前記フロントカバーをシリンダブロック又はシリンダヘッドに固定するためのメインボス部が配置されており、前記補助ボス部とメインボス部とがリブで接続されている、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した自動車用内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車に搭載される内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフットブレーキは、吸気負圧を利用したブレーキブースタによって踏み込み力が増力されているが、近年、過給機の普及などによって吸気負圧のみではブレーキブースタの負圧を賄えない状態が生じることがあり、そこで、ブレーキブースタの補助真空源として、電動式のバキュームポンプを設けることが行われている。その例として、特許文献1には、バキュームポンプを車体フレームに取り付けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−227153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バキュームポンプは内燃機関の必須の構成要素ではないので、その配置場所は任意に設定することができるが、特許文献1の構成では、バキュームポンプを駆動したとき、その振動が車体フレームを介して車内に伝わって、乗員に不快感を与えるおそれが懸念される。
【0005】
特に、ピストンが往復動するタイプのバキュームポンプは振動も大きいため、車内への振動の波及が強く懸念される。また、軽自動車のような小型の自動車では、車内のスペースをできるだけ広く確保するために防振材を多用し難い事情があるため、バキュームポンプの駆動による振動の問題が強く現れやすいといえる。
【0006】
更に、特許文献1では、特別のブラケットを製造したり、車体フレームにタップ穴を加工したりせねばならないため、取付けのためのコストが嵩むおそれもある。
【0007】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は、
「車体前部に設けたエンジンルームに配置されており、シリンダブロック及びシリンダヘッドの前面に、タイミングチェーンを覆うフロントカバーが重ね固定されている構成であって
前記フロントカバーに、前記シリンダブロック又はシリンダヘッドとの重合部からはみ出た上下の補助ボス部を設け、前記上下の補助ボス部に、略上下方向に往復動するピストンを有するバキュームポンプが固定されている」
という構成になっている。
なお、請求項1で特定している「上下」は、上下2箇所のみを意味するものではなく、上下複数箇所という意味である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、
「前記上下の補助ボス部において前記シリンダブロック又はシリンダヘッドと重なった側の後面に、ブレーキブースタを補助する前記バキュームポンプが固定されている」
という構成になっている。
請求項の発明は請求項を具体化したものであり、
「前記フロントカバーにおける補助ボス部の後面のうち前記バキュームポンプとの重合面よりも前記シリンダブロック又はシリンダヘッドに寄った部位に、前記フロントカバーとシリンダブロック又はシリンダヘッドとの重合面に塗布したシール剤が流れ込み得る凹溝を形成している」
という構成になっている。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずかにおいて、
「前記補助ボス部を挟んだ上下両側に、前記フロントカバーをシリンダブロック又はシリンダヘッドに固定するためのメインボス部が配置されており、前記補助ボス部とメインボス部とがリブで接続されている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0012】
自動車用の内燃機関は、防振ゴムを介して車体フレームで支持されているため、バキュームポンプの駆動によって振動が発生しても、バキュームポンプの固有の振動が車内に伝わることはない。また、バキュームポンプの駆動によって振動が発生しても、内燃機関自体がバキュームポンプよりも大きく振動しているのが通常であるため、バキュームポンプの振動は内燃機関の振動に吸収されてしまう。また、フロントカバーは頑丈な構造であることから、バキュームポンプを強固に固定することができるため、振動の発生自体も抑制できる。
【0013】
これらにより、バキュームポンプの駆動に起因した振動が車内に伝わることは無くて、乗員に違和感を与えることを防止できる。
【0014】
更に、フロントカバーの周辺部に存在するデッドスペースを有効利用できる利点もある。特に、請求項のように、バキュームポンプをフロントカバーの後面に取り付けると、バキュームポンプは補機駆動ベルトと干渉しない位置に配置できるため、スペースの有効利用の面で特に有益である。
【0015】
さて、特許文献1では、バキュームポンプを車体のサイドフレームに固定しているが、これでは、自動車の重心縦長中心線から左右外側に僅かながらずらすことになって、旋回時の安定性を僅かながら低下させるおそれがある。
【0016】
これに対して、請求項2のように、バキュームポンプをフロントカバーの後面に固定すると、内燃機関が横置きであっても縦置きであっても、バキュームポンプ自動車の縦長中心線に寄せることができるため、旋回時の安定性低下を防止できる。内燃機関が横置きタイプである場合は、バキュームポンプをフロントカバーの後面に固定すると、バキュームポンプが自動車の縦長中心線に寄るため、特に有益である。
【0017】
フロントカバーとシリンダブロック及びシリンダヘッドとの重合面に液状のシール剤を塗布することが行われているが、固定後に、シール剤が重合面の外側にはみ出ることがある。そして、バキュームポンプは、フロントカバーをシリンダブロック及びシリンダヘッドに固定してから後付けされるが、補助ボス部にシール剤が伝い流れていると、バキュームポンプの取付け不良をもたらすおそれがある。
【0018】
これに対して、請求項の構成を採用すると、シール剤が重合面の外側にはみ出ても、はみ出たシール剤を凹溝に流れ込ませて補助ボス部に至ることを防止できるため、バキュームポンプを、傾きのない正確な姿勢に固定することができる。また、凹溝の箇所ではフロントカバーが薄くなっているため、バキュームポンプの駆動による振動を凹溝の箇所で吸収することも可能になる。
【0019】
請求項の発明では、バキュームポンプはピストンが略上下方向に往復動することによって上下方向の振動が発生するが、補助ボス部は上下に配置されているため、バキュームポンプを、触れ動きを極力抑制した状態に強固に固定することができる。従って、振動の抑制にも大きく貢献できる。
【0020】
フロントカバーは、その側部が多数のボルトでシリンダブロック及びシリンダヘッドに固定されている。従って、フロントカバーの側部には、シリンダブロック及びシリンダヘッドに固定するためのメインボス部が多数形成されている。
【0021】
そして、メインボス部はボルトで強く押圧されるため頑丈な構造なっているが、請求項4のように、補助ボス部とメインボス部とをリブで繋ぐと、バキュームポンプの振動が波及する部位の剛性が格段に高くなるため、バキュームポンプの取付けを更に強固にすることができる。
【0022】
また、請求項4では、リブはシリンダブロック及びシリンダヘッドの外側に位置しているため、補助ボス部の上下に広がる部位の面積が増大し、バキュームポンプの振動を大幅に吸収できる。その結果、フロントカバーとシリンダブロック又はシリンダヘッドとの重合部に振動が波及することを抑制して、フロントカバーとシリンダブロック又はシリンダヘッドとのシール面のひずみを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態を吸気側面の側から見た側面図である。
図2】フロントカバーを図3のII-II 視方向から見た背面図である。
図3】フロントカバーとバキュームポンプとを吸気側面の側から見た分離側面図である。
図4】吸気側面の側から見た斜視図である。
図5】前面側から見た斜視図である。
図6】バキュームポンプを省略した状態で前面側から見た斜視図である。
図7】バキュームポンプを省略した状態で吸気側面の側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。内燃機関は自動車の前部に設けたエンジンルームに配置されているが、本実施形態では、内燃機関は、クランク軸が車体の左右方向に長い姿勢となるようにして配置されている横置き方式である。また、吸気と排気との関係は、自動車の前進方向を基準にすると、排気側面を進行方向の前方側に位置させた前排気・後ろ吸気になっている。
【0025】
他方、内燃機関では、方向を特定するためにクランク軸線方向を前後方向として、タイミングチェーンを配置した側を前、ミッションを配置した側を後ろと呼ぶたことが一般化されており、このため、タイミングチェーンを覆うカバーがフロントカバーと呼ばれている。
【0026】
本実施形態でも、内燃機関の方向についてはこの一般的な用法を使用するが、上記のとおり、実施形態の内燃機関は横置きであるため、自動車の前後方向と内燃機関の前後方向とは90°相違している。図1等に、前後の方向を明示している。左右方向は、クランク軸線及びシリンダボア軸線と直交した方向である。
【0027】
(1).概要
本実施形態の内燃機関は、基本態様は従前と同じであり、図1に示すように、シリンダブロック1とその上面に固定されたシリンダヘッド2、及び、シリンダブロック1とシリンダヘッド2の前面に固定されたフロントカバー3とを備えている。シリンダブロック1の下面にはオイルパン4が固定されている一方、シリンダヘッド2の上面にはヘッドカバー(図示ぜず)が固定されている。フロントカバー3の下部は、オイルパン4の前面にも固定されている。シリンダブロック1、シリンダヘッド2、フロントカバー3、ヘッドカバーによって、機関本体の主要部が構成されている。
【0028】
本実施形態のシリンダヘッド2は、上部材2aと下部材2bとの積層方式になっており、下部材2bの吸気側面に吸気マニホールド5が固定されている。シリンダヘッド2の上面を符号6で示し、シリンダヘッド2を構成する上下部材2a,2bの境界線を符号7で示し、シリンダブロック1とシリンダヘッド2との境界線を符号8で示している。
【0029】
吸気マニホールド5の形態から理解できるように、本実施形態の内燃機関は4気筒である。なお、図1の右上部に符号9で示している部材は、EGRバルブを支持するブラケットであり、図1の右下部に符号10で示している部材は、オイルフィルターである。
【0030】
図2に示すように、フロントカバー3の上部のうち吸気側面に寄った部位には、吸気バルブ用VVB装置を取り付けるための窓穴11が空いている。敢えて説明するもでもないが、フロントカバー3は、シリンダブロック1及びシリンダヘッド2に向けて開口した浅いシェル状の形態であり、従って、フロントカバー3の左右長手側部には、シリンダブロック1及びシリンダヘッド2と重なる前後の側壁12a,12b形成されており、この側壁12a,12bに、当該側壁12a,12bをボルトで固定するためのメインボス部13が形成されている。
【0031】
(2).バキュームポンプ
次に、他の図も参照してバキュームポンプ15の取付け構造を説明する。図1のとおり、バキュームポンプ15は、シリンダブロック1の後ろ側でかつ前部側に配置されている。図4,5から容易に理解できるように、バキュームポンプ15は、略水平姿勢のドラム部16と、ドラム部16から略上向きに突出したシリンダ部17とを有しており、ドラム部16に、電動モータとクランク機構部とが内蔵されている一方、シリンダ部17に、クランク機構で往復動するピストンが内蔵されている。図示は省略しているが、シリンダ部17とブレーキブースタとは、ホース(管路)で接続されている。
【0032】
図1に明示するように、ドラム部16は、その軸線をクランク軸線方向と同じ前後方向に長く延びる姿勢であり、シリンダブロック1とフロントカバー3との両方に跨がる状態に配置されている。
【0033】
そして、例えば図2に一点鎖線で示すように、ドラム部16のうちシリンダ部17に寄った部位に上下のブラケット部18を突設している一方、図2,6,7に明示するように、フロントカバー3における前側壁12aのうちシリンダブロック1に重なる部位に、上下の補助ボス部19を前向きに突設し、補助ボス部19の後面にブラケット部18を重ねて、両者を、補助ボス部19に挿通したボルト20で締結している。従って、ブラケット部18には、ボルト20が螺合するタップ穴を空けている。
【0034】
図2,6,7に明示するように、補助ボス部19の上下両側にはメインボス部13が配置されており、補助ボス部19とその上下のメインボス部13とが、略三角形状のリブ21を介して一体に繋がっている。従って、フロントカバー3には、補助ボス部19を頂点にした正面視三角形状(或いは山形)の上下2つの張り出し部22が、シリンダブロック1の外側に突設されている。
【0035】
そして、図2図7に明示するように、張り出し部22のうちシリンダブロック1と補助ボス部19との間の部位に、補助ボス部19と前側壁12aとを分断するように、上下長手の凹溝23を形成している。凹溝23の深さは数mmである。
【0036】
(3).まとめ
以上の構成において、バキュームポンプ15は、機関本体を構成するフロントカバー3に取付けられているため、バキュームポンプ15の駆動によって振動が発生しても、その振動が車体フレームを介して自動車の内部に波及することはない。従って、バキュームポンプ15の駆動に起因した振動によって乗員に違和感を与えるようなことはない(そもそも、バキュームポンプ15の振動よりも内燃機関の振動の方が大きいため、バキュームポンプ15の振動は内燃機関の振動に吸収されて、独立した振動として自動車内部に波及することはないといえる。)。
【0037】
また、吸気マニホールド5の手前側は一種のデッドスペースになっているため、デッドスペースを有効利用してバキュームポンプ15を配置できる。従って、エンジンルームのスペースの有効利用にも貢献できる。フロントカバー3の前面部には補機駆動ベルトが配置されるが、補機駆動ベルトとフロントカバー3の前面との間にはある程度の間隔が空いているため、本実施形態のように、バキュームポンプ15の一部が背面視でフロントカバー3に跨がるように配置すると、バキュームポンプ15を、吸気マニホールド4及び補機駆動ベルトと干渉させることなく、スペースを有効利用できる利点がある。
【0038】
内燃機関を組み立てに当たっては、フロントカバー3の側壁12a,12bとシリンダブロック1及びシリンダヘッド2との重合面に液状のシール剤を塗布しており、フロントカバー3をメインボルト24でシリンダブロック1及びシリンダヘッド2に締結すると、塗布したシールの一部が外側にはみ出ることがある。従って、はみ出たシール剤が補助ボス部19に至ると、バキュームポンプ15のブラケット部18と補助ボス部19との密着性が阻害されて、取付け不良になってしまうことが懸念される。
【0039】
これに対して、本実施形態のように、前側壁12aと補助ボス部19との間に上下長手の凹溝23を形成すると、シール剤が前側壁12aの外側にはみ出ても、はみ出たシール剤は凹溝23で止められて補助ボス部19に至ることはないため、バキュームポンプ15正確に取り付けることができる。
【0040】
なお、はみ出たシール剤を止める方法として堰板を突設することも可能であるが、フロントカバー3の端面はフライス加工によって仕上げられるため、堰板を設けることは現実的ではない。また、凹溝23を形成すると、フロントカバー3の重量増大を抑制できるため、燃費の面でも有利である。
【0041】
図2に示すように、バキュームポンプ15は、シリンダ部17が略上下方向に長い姿勢になっている。従って、内蔵されたピストンは略上下方向に往復動する。すると、バキュームポンプ15に、これを上下方向に揺動させようとする往復荷重が作用し、この荷重は、補助ボス部19を中心にしてバキュームポンプ15を上下方向に回動させようとするモーメントになる。従って、仮に、バキュームポンプ15を固定する補助ボス部19が左右に並んでいると、取付け部に対して大きなモーメントが作用して、使用しているうちに取付け強度が低下することが懸念される。
【0042】
これに対して本実施形態では、2つの補助ボス部19が上下方向に並んでいることから、補助ボス部19及びブラケット部18に対して大きなモーメントが作用することはないため、ボルト20やブラケット部18に大きな負荷がかかることはない。従って、強度低下の問題は生じない。
【0043】
更に、本実施形態は、補助ボス部19とメインボス部13とをリブ21で繋いだことにより、補助ボス部19を頂点すると三角形状(山形)の張り出し部22が形成されるため、バキュームポンプ15が固定される部位の剛性は格段に高くなる。この面でも、バキュームポンプ15の取付け強度を向上できる。
【0044】
また、バキュームポンプ15が振動しても、振動による応力は張り出し部22に分散するため、張り出し部22に発生する応力を著しく低減できる。従って、フロントカバー3の前側壁12a とシリンダブロック1とのシール面ひずみが発生することも防止できる。なお、リブ21は、補助ボス部19の上だけ又は下だけに設けることも可能であるが、本実施形態のように上下に設けると、張り出し部22の剛性は格段に高くなるため、好適である。
【0045】
本実施形態のように、バキュームポンプ15を機関本体の吸気側に配置すると、熱による悪影響を防止して、安全性確保に貢献できる。また、バキュームポンプ15は吸気マニホールド5の前面よりも後ろに位置しているため、衝突事故があった場合、吸気マニホールド5がカバーの役割を果たして、バキュームポンプ15に衝撃が及ぶことを防止できる。この面でも、安全性を確保できる。
【0046】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、図示の形態の他にも様々に具体化できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明は、自動車用内燃機関に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
3 フロントカバー
5 吸気マニホールド
12a,12b フロントカバーの側壁
13 メインボス部
15 バキュームポンプ
16 ドラム部
17 シリンダ部
18 ブラケット部
19 補助ボス部
20 バキュームポンプを締結するボルト
21 リブ
22 張り出し部
23 凹溝
24 メインボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7