(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883012
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ハブ装置および関連システム
(51)【国際特許分類】
B62M 7/12 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
B62M7/12
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-224711(P2018-224711)
(22)【出願日】2018年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-99147(P2019-99147A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2018年11月30日
(31)【優先権主張番号】62/593,854
(32)【優先日】2017年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/650,895
(32)【優先日】2018年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514022545
【氏名又は名称】ゴゴロ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】林 士源
(72)【発明者】
【氏名】蘇 新文
(72)【発明者】
【氏名】陸 學森
(72)【発明者】
【氏名】徐 振欣
【審査官】
結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0169154(US,A1)
【文献】
仏国特許発明第1083341(FR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0207448(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0068223(US,A1)
【文献】
特開2011−201398(JP,A)
【文献】
特開2016−155549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 7/12, 6/65,
B60B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動するためのハブ装置であって、
外側半径を有するハウジングアセンブリであり、前記ハウジングアセンブリは、
第1のハウジング構成要素と、
前記第1のハウジング構成要素と密接に嵌合するように構成された第2のハウジング構成要素と
を備える、ハウジングアセンブリと、
前記ハウジングアセンブリの少なくとも1つの側面に周方向に設けられている取り付け部分であり、前記取り付け部分は、前記ハブ装置を車輪リムに結合するように構成される複数の結合構造とともに形成されており、前記取り付け部分は、前記外側半径よりも小さい第1の半径を規定する、取り付け部分と
を備え、
前記結合構造は、前記取り付け部分の周りに周方向に形成された開口を含み、
前記開口は、前記取り付け部分を半径方向に貫通しており、
前記開口の各々は、前記取り付け部分の内周に形成されるとともに、球状ワッシャを受け入れるように構成された内部球面を含む、ハブ装置。
【請求項2】
前記ハウジングアセンブリは、前記ハブ装置の中心にあるシャフト開口とともに形成され、前記シャフト開口は、前記ハブ装置のシャフトを受け入れるように構成され、前記ハウジングアセンブリは、前記ハブ装置の前記シャフトに回転可能に結合するように構成されている、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項3】
前記取り付け部分は、前記ハウジングアセンブリと同心である、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項4】
前記取り付け部分は、前記ハウジングアセンブリと一体的に形成されたハブフランジを備える、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項5】
前記開口は前記取り付け部分の周囲に配置されており、すべての隣接する2つの前記開口の間隔は等しい、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項6】
前記外側半径に対する前記第1の半径の比が70%より小さい、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項7】
前記取り付け部分は、第1の取り付け部分であり、前記少なくとも1つの側面は第1の表面であり、前記ハブ装置は、前記第1の表面に対向する第2の表面に設けられた第2の取り付け部分をさらに備え、前記第2の取り付け部分は、前記第1の半径と実質的に同じ第2の半径を有する、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項8】
前記取り付け部分は、第1の取り付け部分であり、前記少なくとも1つの側面は第1の表面であり、前記ハブ装置は、前記第1の表面に対向する第2の表面に設けられた第2の取り付け部分をさらに備え、前記第2の取り付け部分は、前記外側半径よりも小さく、前記第1の半径と異なる第2の半径を有する、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項9】
前記取り付け部分は、前記第1のハウジング構成要素に取り付けられた環状体構造を含む、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項10】
前記第1のハウジング構成要素は、側壁と外側リムとを備え、前記外側リムは、前記側壁の外縁の周りに周方向に配置され、前記第2のハウジング構成要素は、前記外側リムに密接に嵌合するように構成されている挿入フランジを有する蓋を備える、請求項1に記載のハブ装置。
【請求項11】
車輪であって、
タイヤと、
前記タイヤを支持するように構成されたリムと、
外側半径を有するハウジングアセンブリであり、前記ハウジングアセンブリは、
第1のハウジング構成要素と、
前記第1のハウジング構成要素と密接に嵌合するように構成された第2のハウジング構成要素と
を備える、ハウジングアセンブリと、
前記ハウジングアセンブリの少なくとも1つの側面に周方向に設けられている取り付け部分であり、前記取り付け部分は、前記ハウジングアセンブリを車両に結合するように構成される複数の結合構造とともに形成されており、前記結合構造は、前記取り付け部分の周りに周方向に形成された開口を含み、前記開口は、前記取り付け部分を半径方向に貫通しており、前記取り付け部分は、前記外側半径よりも小さい第1の半径を規定する、取り付け部分と、
前記リムに前記取り付け部分を結合するように構成された複数のモジュール化コネクタであって、前記モジュール化コネクタの各々は、前記結合構造の対応する1つと協働するように配置され、前記モジュール化コネクタの各々は、外端および内端を有し、前記外端は前記リムに結合され、前記内端は、前記取り付け部分の内面に着座するように構成されている、複数のモジュール化コネクタと
を備え、
前記複数のモジュール化コネクタの各々は、
スポークと、
前記スポーク上に嵌め込まれた球状ワッシャとを備え、
前記開口の各々は、前記取り付け部分の内周に形成されるとともに、球状ワッシャを受け入れるように構成された内部球面を含む、車輪。
【請求項12】
前記複数のモジュール化コネクタの各々は、前記スポークは、前記内端の停止部分とともに形成される、請求項11に記載の車輪。
【請求項13】
前記複数のモジュール化コネクタの各々は、前記球状ワッシャは、前記スポークの前記停止部分および前記取り付け部分の前記内面に当接するように構成されている、請求項12に記載の車輪。
【請求項14】
前記複数のモジュール化コネクタの各々の前記内端は、張り出し端部を備える、請求項11に記載の車輪。
【請求項15】
前記複数のモジュール化コネクタの各々の前記内端は、球状停止部分を含み、前記内部球面は、前記球状停止部分を受け入れるように構成されている、請求項11に記載の車輪。
【請求項16】
車輪であって、
タイヤと、
前記タイヤを支持するように構成されたリムと、
外側半径を有するハウジングアセンブリであり、前記ハウジングアセンブリは、
第1のハウジング構成要素と、
前記第1のハウジング構成要素と密接に嵌合するように構成された第2のハウジング構成要素と
を備える、ハウジングアセンブリと、
前記ハウジングアセンブリの第1の表面に周方向に設けられている第1の取り付け部分であり、前記第1の取り付け部分は、前記ハウジングアセンブリを車両に結合するように構成される複数の第1の開口とともに形成されており、前記第1の開口は、前記第1の取り付け部分を半径方向に貫通しており、前記第1の取り付け部分は、前記外側半径よりも小さい第1の半径を規定する、第1の取り付け部分と、
前記第1の表面に対向する、前記ハウジングアセンブリの第2の表面に周方向に設けられている第2の取り付け部分であり、前記第2の取り付け部分は、前記ハウジングアセンブリを前記車両に結合するように構成される複数の第2の開口とともに形成されており、前記第2の開口は、前記第2の取り付け部分を半径方向に貫通しており、前記第2の取り付け部分は、前記外側半径よりも小さい第2の半径を規定する、第2の取り付け部分と、
前記リムに前記第1の取り付け部分および前記第2の取り付け部分を結合するように構成された複数のモジュール化コネクタであって、前記モジュール化コネクタの各々は、前記第1の開口および前記第2の開口のうちの対応する1つと協働するように配置され、前記モジュール化コネクタの各々は、外端および内端を有し、前記外端は前記リムに結合され、前記内端は、前記第1の取り付け部分および前記第2の取り付け部分の内面に着座するように構成されている、複数のモジュール化コネクタと
を備え、
前記複数のモジュール化コネクタの各々は、
スポークと、
前記スポーク上に嵌め込まれた球状ワッシャとを備え、
前記第1の開口の各々は、前記第1の取り付け部分の内周に形成されるとともに、球状ワッシャを受け入れるように構成された内部球面を含む、車輪。
【請求項17】
前記外側半径に対する前記第1の半径の比が70%より小さく、前記第2の半径が前記第1の半径と実質的に同じである、請求項16に記載の車輪。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国仮出願第62/593,854号(2017年12月1日出願)および同第62/650,895号(2018年3月30日出願)の利益および優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本技術は、ハブ装置および関連システムに関する。より詳細には、本技術は、車輪に含まれ、車輪を駆動するように構成されたハブ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の都市では、個人用車両に依存している輸送は、交通量および汚染を大幅に増加させる可能性がある。この問題に対する1つの解決策は、コンパクトな設計の車両、例えば、ハブ装置によって駆動される車輪を有するコンパクトな車両を人々に使用させることである。いくつかの従来のハブ装置は複雑な設計を有し、制限された種類の車輪のみをサポートする。いくつかの従来のハブ装置には、耐久性および構造剛性の問題がある。したがって、改善されたハブ装置および関連システムが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本技術の実施形態によるハブ装置を示す図である。
【0005】
【
図2a】本技術の実施形態によるハブ装置を示す部分分解図である。
【
図2b】本技術の実施形態によるハブ装置を示す部分分解図である。
【0006】
【
図3a】本技術の実施形態によるスポークおよびワッシャ/ブッシングを示す図である。
【
図3b】本技術の実施形態によるスポークおよびワッシャ/ブッシングを示す図である。
【0007】
【
図4】本技術の実施形態によるハブ装置を有する車輪を示す図である。
【0008】
図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図面の要素のいくつかの寸法は、様々な実施形態の理解を向上させるのを助けるために拡大または縮小されている場合がある。同様に、いくつかの実施形態の論述の目的のために、いくつかの構成要素および/または動作を異なるブロックに分離してもよく、または単一のブロックに組み合わせてもよい。さらに、特定の実施形態が図面に例として示され、以下に詳細に説明されているが、当業者は、修正、均等物、および代替物が添付の特許請求の範囲内に入ることを認識するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術は、車両を駆動するように構成された、車輪に含まれるハブ装置に関する。ハブ装置は、例えば、外側半径を有するハウジングアセンブリと、ハウジングアセンブリの少なくとも1つの側面に周方向に設けられた取り付け部分とを含む。取り付け部分は、ハブ装置を車輪リムに(例えば、スポークを介して)結合するように構成された、その周囲に複数の結合構造(例えば、開口)を有する外向きに延伸するフランジとして形成される。例えば、スポークの一端は取り付け部分に結合され、一方で、スポークの他端は車輪リムに結合される。取り付け部分は、ハウジングアセンブリの外側半径よりも小さい半径を有する。いくつかの実施形態では、(ハウジングアセンブリの)外側半径に対する取り付け部分の半径の比は、30%、40%、50%、60%、70%、80%〜90%であってもよく、または、その間の任意の適切なパーセンテージであってもよい。スポークをハウジングアセンブリの外縁ではなく取り付け部分に接続することにより、スポークの、取り付け部分に接触する端部をハウジングアセンブリの中心に近い位置に配置することができ、構造剛性および耐久性を高めることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、本技術は、タイヤ、車輪リム、およびハブ装置を有する車輪に関する。車輪は、車両(例えば、自転車、三輪車、スクータ、電動車椅子、カートなど)を駆動するように、ハブ装置によって回転させることができる。車輪は、ハブ装置を車輪リムに結合するように構成された接続構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、接続構造は、(1)複数のモジュール化コネクタ(例えば、スポークおよびワッシャ/ブッシング)および(2)ハブ装置の表面から外向きに延伸する取り付け部分(例えば、ハブフランジ、リング構造、環状体または「ドーナツ形状」構造など)を含む。いくつかの実施形態では、ハウジングアセンブリは、互いに係合している2つのハウジング構成要素を含むことができる。2つのハウジング構成要素が接続されている位置に過剰な外力が加えられると、ハウジング構成要素が係合解除され、または損傷を受ける可能性さえある。接続構造によって、スポークは、ハブ装置のハウジングアセンブリの外縁に直接結合されず、したがって、スポークからの力/張力は、ハウジングアセンブリに大きくは影響しない。その結果、ハブ装置の構造剛性が向上し、そのため、ハブ装置の動作中の安定性が向上する。
【0011】
いくつかの実施形態では、ハブ装置は、ロータアセンブリと、シャフトと、ステータアセンブリとを含む。ステータアセンブリはシャフトに固定的に結合され、シャフトはロータアセンブリを通って延伸する。ロータアセンブリは、ステータアセンブリおよびシャフトに対して回転することができる。いくつかの実施形態では、ハブ装置は電気モータと考えることができる。ハブ装置のロータアセンブリは車両の車輪/リムに結合され、シャフトは車両(例えば、フレームなどの車両構造)に固定的に結合される。ハブ装置は、人力の有無にかかわらず車輪を回転させて車両を動かす(または少なくとも動くように促す)ように構成されている。
【0012】
本技術の利点は、例えば、(1)ハブ装置の剛性および全体の構造強度を強化すること、(2)車輪からの力を取り付け部分に均等に分配することができる(例えば、取り付け部分とスポークとの間の接触表面積を増加させるように、取り付け部分の球状内面に対して球状ワッシャを配置することができる)こと、(3)ハブ装置をリム/車輪に効果的に結合するための接続構造を提供すること、および、(4)接続構造が、様々なタイプのハブ装置およびリム/車輪を結合するのに適した異なるサイズ/形状/寸法のモジュール化構成要素を含む。いくつかの実施形態では、開示されている技術は、ユーザが、ハブ装置を操作するための位置/ルート(例えば、都市または山、舗装道路または砂利道など)、ハブ装置を動作させるときの環境条件(例えば、温度、湿度、大気汚染物質など)などの1つまたは複数の要因に基づいて接続構造をカスタマイズすることを可能にする。これは、接続構造の寿命および信頼性にとって有益である。
【0013】
本技術の別の態様は、(1)タイヤと、(2)タイヤを支持するように構成されたリムと、(3)外側半径を有するハウジングアセンブリと、(4)ハウジングアセンブリの少なくとも1つの側面に周方向に設けられた取り付け部分と、(5)取り付け部分をリムに結合するように構成された複数のモジュール化コネクタとを含む。取り付け部分は、ハウジングアセンブリをリムに結合するように構成される、その周囲の複数の結合構造(例えば、開口)とともに形成される。取り付け部分は、ハウジングアセンブリの外側半径よりも小さい第1の半径を規定する。各モジュール化コネクタは、複数の開口のうちの対応する1つと協働するように配置される。各モジュール化コネクタは、外端と内端とを有する。外端はリムに結合され、内端は取り付け部分の内面に着座するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数のモジュール化コネクタの各々は、スポークおよびワッシャ/ブッシングを有し、スポークは、端部に停止部分(例えば、スポークの直径が増加する張り出し端部)を備えて形成される。ワッシャは、複数のモジュール化コネクタのうちの1つの上に嵌め込まれ、ワッシャは、複数のモジュール化コネクタのうちの1つの内端に当接する。いくつかの実施形態では、複数のモジュール化コネクタの各々は、複数の結合構造のうちの対応する1つの内部球面内に配置されるように構成されている、その内端にある(例えば、ハブ装置の中心に近い)球状停止部を有することができる。いくつかの実施形態では、結合構造は、接続構造の特徴に基づいて異なる形態とすることができる。例えば、ハブ装置は、ねじ/ボルト/ナットまたは任意の他の適切な接続構造によって車輪に結合することができる。
【0015】
本技術のさらに別の態様は、(1)タイヤと、(2)タイヤを支持するように構成されたリムと、(3)外側半径を有するハウジングアセンブリと、(4)ハウジングアセンブリの第1の表面上に周方向に設けられた第1の取り付け部分と、(5)ハウジングアセンブリの第1の表面に対向する第2の表面上に周方向に設けられた第2の取り付け部分と、(6)第1の取り付け部分および第2の取り付け部分をリムに結合するように構成された複数のモジュール化コネクタとを有する車輪を含む。第1の取り付け部分は、ハウジングアセンブリをリムに結合するように構成される複数の第1の開口とともに形成されている。第1の取り付け部分は、外側半径より小さい第1の半径を規定する。第2の取り付け部分は、ハウジングアセンブリを車両に結合するように構成される複数の第2の開口とともに形成されている。第2の取り付け部分は、外側半径より小さい第2の半径を規定する。いくつかの実施形態では、第2の半径は、概して、第1の半径と同じである。いくつかの実施形態では、第2の半径は第1の半径とは異なる。いくつかの実施形態では、外側半径に対する第1の半径の比は70%より小さい。いくつかの実施形態では、この比は30%〜90%の範囲であり得る。
【0016】
図1は、本技術の実施形態によるハブ装置/アセンブリ100の等角図である。
図1に示すように、ハブ装置100は、ハウジング(または外側ハウジング)と、複数のモジュール化コネクタまたはスポーク105(例えば、スポーク105の他端は、二輪車の前輪/後輪に結合することができる)を収容するように構成されている取り付け部分103とを含む。ハウジングは、第1のハウジング構成要素101および第2のハウジング構成要素201(
図2a)を含む。いくつかの実施形態では、取り付け部分103は、ハブフランジ(例えば、円形の平坦な側壁を有する構造)またはリング構造(例えば、円形の湾曲した側壁を有する構造)であり得る。いくつかの実施形態では、取り付け部分103は環状体構造とすることができる。いくつかの実施形態では、取り付け部分103は、第1のハウジング構成要素101の側壁と一体的に形成することができる。いくつかの実施形態では、取り付け部分103は、第1のハウジング構成要素101の側壁に固定されるか、または固定的に取り付けられ得る。
【0017】
図1に示すように、第1のハウジング構成要素101は、外側半径ORを規定する。外側半径は、第1のハウジング構成要素101の中心から外縁102まで延伸する。取り付け部分103は、外側半径ORより小さい半径RRを有する。第1のハウジング構成要素101は、(例えば、シャフトが通過する)側部開口とともに形成されている。側部開口は内縁104を画定する。図示のように、取り付け部分103は中央開口の外側に位置する。
【0018】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、複数のハウジング構成要素から組み立てることができる。第1のハウジング構成要素101と第2のハウジング構成要素201とは、互いに結合され、ともに、ハブ装置100の要素を収容するための内側/内方/内部空間を形成する。いくつかの実施形態では、例えば、第1のハウジング構成要素101は、側壁101aと、側壁101aの外周の周りに延伸する外側リム101bとを含むことができる。外側リム101bは、ハウジング内の内方空間を画定する高さを有する。図示するように、外側リム101bは、側壁101aの外縁の周りに周方向に配置されている。
【0019】
図1に示すように、第1のハウジング構成要素101は、中央における、シャフト(例えば、
図2aのシャフト209)が通過することを可能にする側部開口とともに形成される。側部開口は、サイドカバー404(
図4参照)を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、サイドカバー404はシャフトに固定的に結合され、したがってハウジングとともに回転しない。いくつかの実施形態では、サイドカバーとハウジングとの間にベアリングを配置することができ、これは、ハウジングがサイドカバー404(またはシャフト209)に対して回転することを可能にする。いくつかの実施形態では、ハウジングとサイドカバーとの間にオイルシールを配置することができる。
【0020】
図1に示すように、取り付け部分103は、側壁101aに結合されるか、または一体的に形成される。取り付け部分103は、第1のハウジング構成要素101の中心点から半径方向外側の位置において、側壁101aの表面から外向きに延伸する。第2のハウジング構成要素201(例えば、蓋またはキャップ、
図2a)は、第1のハウジング構成要素101の開放端を、第1のハウジング構成要素101の外側リム101bの下に適合する構造によって封止する。いくつかの実施形態では、第2のハウジング構成要素201は、その上に形成された挿入フランジ2011を含むことができる。挿入フランジ(またはリップ)2011は、第2のハウジング構成要素201を第1のハウジング構成要素101に結合するように(例えば、
図2bを参照して以下に説明する間隙に挿入されるように)構成される。いくつかの実施形態では、挿入フランジ2011は、外側リム101bと密接に嵌合するように構成される。いくつかの実施形態では、第2のハウジング構成要素201とシャフト209との間にベアリングまたはオイルシール214(
図2a)を配置することができる。ベアリング214は、第2のハウジング構成要素201とシャフト209との間の相対回転を容易にするように構成される。
【0021】
図2aに最もよく示されているように、ハウジングの内方空間には、ハブアセンブリ100の中心を通る車軸またはシャフト209に直接的または間接的に固定されている主回路基板203、バッテリアセンブリ205、およびステータアセンブリ207が嵌め込まれている。そのような実施形態では、第1のハウジング構成要素101と、第1のハウジング構成要素101の内方の複数の磁石208(
図1には見えない、
図2b参照)がともにロータアセンブリ222を形成する。いくつかの実施形態では、主回路基板203およびバッテリアセンブリ205は、ステータアセンブリ207の一部と考えることができる。
【0022】
図2bに最もよく示されるように、ステータアセンブリ207は、その外周の周りに配置された複数のコイルを有する支持車輪/シャーシ/構造を含む。支持車輪は中空であり、それによって、バッテリアセンブリ205およびハブ装置200の他の電子構成要素が支持車輪の内方空間に嵌合することができる。バッテリアセンブリ205のバッテリパックによって供給される電流がステータアセンブリ207のコイル(またはコイルアセンブリ)を通過すると、磁場が生成され、したがってロータアセンブリの磁石を動かして、ロータアセンブリ222を軸R(またはシャフト209)を中心として回転させる。いくつかの実施形態では、追加のバッテリパックが、バックアップの補助電源として、ハブ装置100の外部に配置されてもよい。その結果、ハウジング、および、スポーク105を介してハウジングに取り付けられた車輪も回転して、スクータ、自転車、または車両が動く。
【0023】
図示の実施形態では、取り付け部分103および側壁101aは、同心円状に配置されている。取り付け部分103は、側壁101aの中心点の周りに配置されている。他の実施形態では、取り付け部分103は、第1のハウジング構成要素101の外縁により近い、または中心点により近い半径を有することができる)。図示のように、取り付け部分103は、それぞれ複数のスポーク105のうちの対応する1つの端部を受け入れるように各々が構成された開口107のような複数の結合構造を含む。いくつかの実施形態では、開口107は、円形、長円形、楕円形などのような様々な形状にすることができる。いくつかの実施形態では、結合構造は、ハブ装置100を車輪に接続するのに適した任意の構造とすることができる。いくつかの実施形態では、例えば、モジュール化コネクタはねじを含むことができ、結合構造はねじ穴を含むことができる。
【0024】
各スポーク105は、車輪/リム構造(
図1には示されていない)に結合するように構成された外端と、取り付け部分103の内周に形成された対応する形状の凹部に着座する張り出し(または球状)内端109を有する。一実施形態では、球状ワッシャ/ブッシング108がスポーク105の上に嵌め込まれ、スポーク105の張り出し端部に当接する。いくつかの実施形態では、ワッシャ/ブッシング108は、スポーク105の配置された端部のプロファイルに適合する円錐形凹部を内部に有することができる。対応して整形された球形凹部が、取り付け部分103内に形成されて、球状ワッシャ108を受け入れ、張力下でスポーク105を固定する。 いくつかの実施形態では、開口107の各々は、球状ワッシャ108を受け入れるように構成された内部球面を含む。いくつかの実施形態では、開口107は、隣接する2つの開口107の間に等しい間隔で取り付け部分103の周りに配置される。いくつかの実施形態では、開口107の間隔は、スポーク105の所望のレーシングパターンに応じて、均一ではない。
【0025】
また、球状ワッシャ108は、スポーク105が取り付け部分103に種々の角度で接触することを可能にするため、本発明の構造は、(1)製造の自由度を改善し(例えば、嵌合が容易で誤差許容度が高い)、(2)少なくともスポーク105が端部においてハブフランジ103に剛直に固定されていないため、ハブ装置100を操作するときに付加的な耐久性を提供する。また、特に、すべてのスポーク105が異なる方向/角度で接続されている場合、(単一の接触点ではなく)球状接触面に起因して、力/張力を均等に分散させることができる。
【0026】
図2aは、本技術の実施形態によるハブ装置200を示す分解図である。ハブ装置200は、(側壁101aおよび外側リム101bを有する)第1のハウジング構成要素101と、第2のハウジング構成要素201とを含む。その外面に、第1のハウジング構成要素101は、複数のスポークを介して第1のハウジング構成要素101を車輪/リム構造に結合するように構成された取り付け部分103を含む。第2のハウジング構成要素201は、その内面上に、(例えば、ロックデバイス(例えば、第1のハウジング構成要素101に向かって可動なストッパ)と協働することによって)第1のハウジング構成要素101とステータアセンブリ207との間の相対回転を停止させるように構成された複数の突起または止めバンプ213を含む。複数の突起または止めバンプ213は、「係合部分」と名付けることができる。 第1のハウジング構成要素101および第2のハウジング構成要素201はともにハウジングアセンブリを形成する。
【0027】
いくつかの実施形態では、係合部分は、(例えば、ロックデバイスを受け入れるように構成された)凹部、(例えば、ロックデバイスを係合するように構成された)フック、および他の適切な構成要素として実装することができる。いくつかの実施形態では、係合部分は、第1のハウジング構成要素101の側壁101aの内面および/または第2のハウジング構成要素201の内面上に位置する。
【0028】
図示された実施形態では、複数の磁石208(例えば、
図2b参照)が外側リム101bの内面上に周方向に配置され、したがって、第1のハウジング構成要素101、第2のハウジング構成要素201、および磁石は、ともに、この実施形態において「ロータアセンブリ」またはロータとして作用する。
【0029】
主回路基板203は、電流をコイルに印加するために、またはハウジングを回転させるのに必要な1つまたは複数のコントローラ、制御回路、ロジック、センサ、配線、および/または他の適切な構成要素を担持するように構成される。いくつかの実施形態では、主回路基板203は、車両のエンジン/電気制御ユニット(ECU)を担持することができる。いくつかの実施形態では、主回路基板203は、ハブ装置200の出力を制御するように構成された動力伝達(PT)構成要素(図示せず)を担持することができる。出力は、ロータアセンブリ(内部またはその内面上に磁石208が配置されたハウジング)とステータアセンブリ207との間の回転トルク力の形態で、またはモータによって消費されるワットによって測定することができる。いくつかの実施形態では、主回路基板203は、(例えば、三相交流を供給するために)バッテリアセンブリ205からの電力を管理するように構成された駆動回路を担持することができる。いくつかの実施形態では、動力伝達構成要素は、駆動回路の一部であってもよい。
【0030】
バッテリアセンブリ205は、複数のバッテリパックを含むことができる。図示の実施形態では、バッテリアセンブリ205は、主回路基板203に隣接して横方向に配置された3つのバッテリパックを含む。他の実施形態では、バッテリアセンブリ205は、様々な方法で配置された異なる数のバッテリパックを有することができる。いくつかの実施形態では、バッテリアセンブリ205は、シャフト209に対して概ね垂直な基準面内に(例えば、このような実施形態では、バッテリパックの長手方向は基準面内にある)多角形(例えば、三角形、長方形、五角形、六角形など)を形成するように配置された複数のバッテリパックを含むことができる。いくつかの実施形態では、バッテリパックは、シャフト209の周りに等角度で配置することができる。いくつかの実施形態では、バッテリパックは、バッテリパックのサイズ/形状に基づいて配置され得る。例えば、バッテリパックは、
図2aに示したものとは異なる向きを有することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、バッテリアセンブリ205は、バッテリ管理システム(BMS)によって制御または管理することができる。BMSは、バッテリの状態を監視するように構成された1つまたは複数のセンサを含むことができる。いくつかの実施形態では、BMSを主回路基板203上に配置することができる。いくつかの実施形態では、様々なニーズまたは実際の設計に応じて、バッテリパック(およびその中のバッテリセル)を直列または並列に接続することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、バッテリアセンブリ205は、主回路基板203上に配置された1つまたは複数のバッテリメモリに結合され、バッテリ関連情報(例えば、バッテリ使用情報、バッテリ動作命令(例えば、バッテリによって異なる場合がある充電/放電レートまたは他の命令)、バッテリファームウェア、バッテリ状態など)を記憶するように構成することができる。いくつかの実施形態では、バッテリメモリは、車両情報(例えば、ハブ装置200内の動作温度、メンテナンス情報、モデル番号、シリアル番号など)またはユーザ情報(例えば、運転/乗車履歴、習慣など)を記憶するように構成することもできる。いくつかの実施形態では、バッテリメモリは、バッテリアセンブリ205のバッテリハウジング内に配置することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ハブ装置200がコンパクトな設計になることができるように、バッテリアセンブリ205をステータアセンブリ207(の支持車輪)の内側に配置することができる。バッテリアセンブリ205をステータアセンブリ207内に配置する利点は、例えば、(1)ステータアセンブリ207が、例えば外部からの衝撃からバッテリアセンブリ205を保護することができること、および(2)この構成が、バッテリアセンブリ205がロータアセンブリの磁石208および/またはステータアセンブリ207のコイルによって生成される磁界の干渉/影響を受けるのを少なくとも部分的に防止することができることを含む。
【0034】
車軸またはシャフト209は、主回路基板203、バッテリアセンブリ205、およびステータアセンブリ207に固定的に結合される。シャフト209は、車体(例えば、フレーム、シャーシ、構造部品など)に結合され、これらを支持することができる。作動中、ハウジングおよび(ハブフランジに結合されたスポークを介して)それに取り付けられた車輪は、シャフト209に対して回転して車体を動かすことができる。いくつかの実施形態では、シャフト209は、前輪構成要素(例えば、前輪フォーク)または後輪構成要素(例えば、後輪フレーム)に結合することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ハブ装置200は、ハブ装置200を防水にするように構成された1つまたは複数の防水構成要素(例えば、Oリング)を含むことができる。いくつかの実施形態では、防水構成要素は、シャフト209に隣接する位置、ハブ装置200の構成要素(例えば、トルクセンサ)に隣接する位置などのような、1つまたは複数の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、防水構成要素は、ハブ装置200全体の防水性を向上させるために、第1のハウジング構成要素101と第2のハウジング構成要素201との間、シャフト209の一方または両方の端部、サイドカバー404と第1のハウジング構成要素101および第2のハウジング構成要素201との間などに配置することもできる。いくつかの実施形態では、シャフト209は、トルクセンサを保護し、かつ/またはトルクセンサの取り付けを容易にするように構成されたトルクセンサジャケットに結合することができる。
【0036】
図2bは、ステータアセンブリ207が第1のハウジング構成要素101内にどのように嵌合されるかを示す。図示されているように、ステータアセンブリ207はシャフト209に結合され、シャフト209は(示されているようにX方向において)第1のハウジング構成要素101の中心開口210を通過する。示されているように、複数の永久磁石208が、第1のハウジング構成要素101の内部または内面に配置される。動作中、複数の永久磁石208および第1のハウジング構成要素101は、ステータアセンブリ207に対して(第2のハウジング構成要素201とともに、ロータアセンブリとして)回転することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、磁石208は、接続構造(例えば、金属リング)を介して第1のハウジング構成要素101に結合することができる。いくつかの実施形態では、磁石208は、第1のハウジング構成要素101の側壁101aに結合するか、または、埋め込むことができる。いくつかの実施形態では、磁石208は、第1のハウジング構成要素101の外側リム101bに結合することができる。
【0038】
図2aに示すように、間隙212が、磁石208の縁と第1のハウジング構成要素101との間に形成される。間隙212は、第2のハウジング構成要素201と第1のハウジング構成要素101とが固定的に結合されるように、第2のハウジング構成要素201の挿入フランジ2011(
図2b)を受け入れるように構成される。
【0039】
図3aおよび3bは、スポーク105の一実施形態の等角図である。
図3aおよび
図3bに示すように、スポーク105は、細長い中央部分111と、スポーク105の張り出し端部109に位置する停止部分113と、中空の部分球状ワッシャ115とを含む。部分球状ワッシャ115は、スポーク105の細長い中央部分111が通過することを可能にする貫通孔117を含む。
【0040】
部分球状ワッシャ115は、貫通孔117の一方の端部にある第1の切頭開口(またはスポーク105の張り出し端部の少なくとも一部と嵌合するように寸法決めされたテーパ状のカウンターボア)119と、貫通孔117の他端にある第2の切頭開口(またはカウンターボア)121とを含む。図示のように、第1の切頭開口119の直径は、第2の切頭開口121の直径よりも大きい。また、図示されているように、第1の切頭開口119の直径は、スポーク105の張り出し端部109の直径よりも小さい。したがって、張り出し端部109は、スポーク105が車輪内に固定されたときに、部分球状ワッシャ115に部分的に嵌合する。
【0041】
いくつかの実施形態では、張り出し端部109および部分球状ワッシャ115が堅固に嵌合して結合され得るように、張り出し端部109の形状は、部分球状ワッシャ115の形状(例えば、第2の切頭カウンターボア121の形状)に対応する。張り出し端部109および部分球状ワッシャ115の対応する形状は、それらの間に十分な接触面を提供する。
【0042】
図4は、本技術の実施形態によるハブ装置200を支持する車両フレーム401および充電ヘッド402の等角図である。図示のように、ハブ装置200のシャフト209は、車両フレーム401に固定的に結合されている。サイドカバー404はシャフト209に固定的に結合され、したがってハブ装置200とともに回転しない。 ハブ装置200は、スポーク105および取り付け部分103を介して車輪403に結合される。車輪403は、ハブ装置200によって回転して車両フレーム401を動かすことができる。車輪403が回転していないとき、充電ヘッド402をハブ装置200に結合して、ハブ装置200内のバッテリアセンブリ205を充電することができる。いくつかの実施形態では、充電ヘッド402は、磁力によってハブ装置200に結合することができる。図示のように、充電ヘッド402は、ワイヤ405を介して電源に接続することができる。
【0043】
本技術は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されているが、本技術は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の主旨および範囲内で修正および改変されて実施され得ることが認識されよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味において考えられるべきである。