特許第6883025号(P6883025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ キミカ メキシカーナ エセ・アー・デ・セ・ウベの特許一覧 ▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許6883025多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品
<>
  • 特許6883025-多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品 図000016
  • 特許6883025-多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品 図000017
  • 特許6883025-多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品 図000018
  • 特許6883025-多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品 図000019
  • 特許6883025-多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品 図000020
  • 特許6883025-多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883025
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】多層フィルム及び該多層フィルムから作製される物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20210524BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
   B29C65/08
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-512527(P2018-512527)
(86)(22)【出願日】2016年8月30日
(65)【公表番号】特表2018-532616(P2018-532616A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016049354
(87)【国際公開番号】WO2017044342
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年8月22日
(31)【優先権主張番号】62/216,619
(32)【優先日】2015年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515129386
【氏名又は名称】ダウ キミカ メキシカーナ エセ・アー・デ・セ・ウベ
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ・アルテガア・ラリオス
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーン・エイ・デグルート
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェック・カリハリ
【審査官】 石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−506059(JP,A)
【文献】 特表2003−501298(JP,A)
【文献】 特表2005−538867(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0110913(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 63/00−63/48、65/00−65/82
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
コア層と、2つのスキン層と、を備え、
前記コア層が、前記2つのスキン層の間に位置付けられ、
前記コア層が、0.930〜0.965g/ccの密度及び0.7〜10.0g/10分のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレン並びに0.915〜0.935g/ccの密度及び0.2〜15g/10分のメルトインデックスを有する低密度ポリエチレンを含むポリエチレン組成物を含み、当該ポリエチレン組成物は0.930〜0.960g/ccの全密度及び1.0〜8.0g/10分の全メルトインデックスを有し、
各スキン層が独立して、ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて、50重量%超のプロピレン系ポリマーと、5重量%〜30重量%の低密度ポリエチレンと、を含むポリプロピレン組成物を含む、多層フィルム。
【請求項2】
前記プロピレン系ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、プロピレン系エラストマーもしくはプラストマー、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記プロピレン系ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマーであり、前記ポリプロピレンホモポリマーが、アイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記プロピレン系ポリマーが、ポリプロピレンコポリマーであり、前記ポリプロピレンコポリマーが、ランダムもしくはブロックプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーまたはプロピレンインパクトコポリマーである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記ポリエチレン組成物が、前記ポリエチレン組成物の30重量%未満の前記低密度ポリエチレンを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記コア層が、全フィルム厚さの50%〜85%を構成する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記2つのスキン層が、等しい厚さを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記フィルムが、以下の特性、
140g超のスペンサーダーツ衝撃強度、
長さ方向で20,000psi超及び幅方向で20,000psi超の2%セカント係数、
幅方向で1,800psi超及び長さ方向で1,700psi超の破断応力、または
13ft・lb/in超の耐穿刺性のうちの少なくとも1つを示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムが、以下の特性、
長さ方向で16,000psi超の2%セカント係数を有する100%ポリエチレンフィルムと比較したときの15%未満の柔軟度値差異、または
1,000Hz〜5,000Hzの周波帯で0.5dB未満の雑音値のうちの少なくとも1つを示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記フィルムが、〜30gsmの坪量を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
超音波接合された積層体であって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の多層フィルムと、
前記多層フィルムに少なくとも部分的に超音波接合されて、積層体を形成する不織布基材と、を備える、超音波接合された積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、例えば、超音波接合された積層体などの物品を作製するための、多層フィルム及び多層フィルムの用途に関する。具体的には、本開示は、非通気性の多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟度などの良好な触覚を提供し、雑音が少ないが、それでも、流体を封じ込めるといったその主たる機能を果たすための十分なバリア特性を提供するために、例えば、おむつ、成人用失禁用製品、及び女性用衛生物品などの、衛生用吸収性製品において使用するための、布様のバックシートがますます望ましくなってきている。布様のバックシートは典型的に、不織布基材及び積層フィルムをともに含み、また、関与する積層技術に応じて、バックシートの触覚が変化し得る。フィルム及び不織布を接合するためのいくつかの異なる積層技術が存在し、該積層技術としては、例えば、押し出し加工被覆、ホットメルト接着剤、無溶媒接着剤、及び超音波接合を挙げることができる。各積層技法は、それ自体の特殊性を有する。近年、超音波接合は、バックシートを生成する際に使用するための新生の積層技術になってきているが、課題がないわけではない。観察される1つの主要な課題は、異なる種類の材料が不織布基材及びフィルムに使用されている(例えば、ポリエチレン系フィルムと、ポリプロピレンの不織布基材とを積層する)場合に超音波接合を使用すると、しばしば、接着剤が悪影響を受け、その結果、2つの材料間の接合が不十分になることである。加えて、ピンホールをもたらす可能性があり、これは、バックシートの液体バリア機能を損なう可能性がある。
【0003】
したがって、不織布ポリプロピレン基材に対する良好な接着性を提供することができる代替の多層フィルム、及び柔軟度などの良好な触覚を有し、雑音が少ないだけでなく、ピンホールを低減する多層フィルムを備える物品が所望されている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の実施形態において、多層フィルムが開示される。多層フィルムは、コア層及び2つのスキン層を備え、コア層は、2つのスキン層の間に位置付けられ、コア層は、0.930〜0.965g/ccの密度及び0.7〜10.0g/10分のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレンを含むポリエチレン組成物を含み、各スキン層は独立して、ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて、50重量%超のプロピレン系ポリマーを含むポリプロピレン組成物を含む。
【0005】
また、本明細書の実施形態では、超音波接合された積層体も開示される。超音波接合された積層体は、コア層及び2つのスキン層を備える多層フィルムを備え、コア層は、2つのスキン層の間に位置付けられ、コア層は、0.930〜0.965g/ccの密度及び0.7〜10.0g/10分のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレンを含むポリエチレン組成物を含み、各スキン層は独立して、ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて、50重量%超のプロピレン系ポリマーを含むポリプロピレン組成物を含み、不織布基材が多層フィルムに少なくとも部分的に超音波接合されて、積層体を形成する。
【0006】
実施形態の追加的な特徴及び利点は、発明を実施するための形態に記載され、その記述から、部分的に当業者に容易に明らかになるか、または発明を実施するための形態、特許請求の範囲、ならびに添付図面を含む、本明細書に記載される実施形態を実践することにより認識されるであろう。
【0007】
前述の及び以下の記述はどちらも、様々な実施形態を記載し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図するものであることを理解されたい。添付図面は、様々な実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、この明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載される様々な実施形態を例示するものであり、その記述と併せて、特許請求される主題の原理及び操作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】いくつかの比較フィルムと比較した、本明細書に示されるかまたは記載される1つ以上の実施形態による多層フィルムの2%セカント係数を視覚的に描写する。
図2】いくつかの比較フィルムと比較した、本明細書に示されるかまたは記載される1つ以上の実施形態による多層フィルムの破断荷重(すなわち、破断応力)を視覚的に描写する。
図3】いくつかの比較フィルムと比較した、本明細書に示されるかまたは記載される1つ以上の実施形態による多層フィルムのスペンサーダーツ衝撃を視覚的に描写する。
図4】いくつかの比較フィルムと比較した、本明細書に示されるかまたは記載される1つ以上の実施形態による多層フィルムの耐穿刺性を視覚的に描写する。
図5】いくつかの比較フィルムと比較した、本明細書に示されるかまたは記載される1つ以上の実施形態による多層フィルムの雑音強度を視覚的に描写する。
図6】いくつかの比較フィルムと比較した、本明細書に示されるかまたは記載される1つ以上の実施形態による多層フィルムの柔軟度を視覚的に描写する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、多層フィルム及び超音波接合された積層体の実施形態に対する参照を詳細に行い、その実施例は、添付図面においてさらに記載される。多層フィルム及び超音波接合された積層体は、布様のバックシートを生成するために使用することができる。しかしながら、これは、単に、本明細書に開示される実施形態の例証的な実現形態に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上で論じられる問題に類似する問題の影響を受け易い、他の技術に適用することができる。例えば、多層フィルム及び超音波接合された積層体は、布様のワイプ、フェースマスク、外科用ガウン、ティッシュ、包帯、及び創傷被覆材を生成するために使用することができ、それらの全ては、明確に本実施形態の範囲内にある。本明細書で使用するとき、「多層フィルム」は、少なくとも部分的に連続していて、好ましくは、しかし随意に、同一の領域を占める、2つ以上の層を有するフィルムを指す。
【0010】
本明細書の実施形態において、多層フィルムは、コア層及び2つのスキン層を備える。コア層は、2つのスキン層の間に位置付けられる。いくつかの実施形態において、多層フィルムは、コア層と各スキン層との間に位置付けられる、構造層、バリア層、またはタイ層などの、1つ以上の追加的な層を備え得る。これらの層には様々な材料を使用することができ、該材料としては、ポリプロピレン系プラストマーもしくはエラストマー、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、配向ポリプロピレン(OPP)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)コポリマー、ポリアクリル酸イミド、アクリル酸ブチル、ペルオキシド(ペルオキシポリマー、例えばペルオキシオレフィンなど)、シラン(例えば、エポキシシラン)、反応性ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、オレフィンブロックコポリマー、プロピレンコポリマー、プロピレンエチレンコポリマー、ULDPE、LLDPE、HDPE、MDPE、LMDPE、LDPE、アイオノマー、及びグラフト変性ポリマー(例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン)が挙げられる。
【0011】
両方のスキン層とコア層との厚さ比は、良好な超音波接合特性をフィルムに与えるのに適した比率であり得る。いくつかの実施形態において、両方のスキン層とコア層との厚さ比は、1:10〜1:1であり得る。他の実施形態において、両方のスキン層とコア層との厚さ比は、1:5〜1:1であり得る。さらなる実施形態において、両方のスキン層とコア層との厚さ比は、1:4〜1:2であり得る。両方のスキン層とコア層との厚さ比は、パーセンテージによっても表現され得る。例えば、いくつかの実施形態において、コア層は、全フィルム厚さの50%超〜85%を構成する。他の実施形態において、コア層は、全フィルム厚さの60%〜85%を構成する。さらなる実施形態において、コア層は、全フィルム厚さの65%〜80%を構成する。本明細書の実施形態において、2つのスキン層は、等しい厚さを有し得るか、または代替的に、等しくない厚さを有し得る。
【0012】
コア層
コア層は、ポリエチレン組成物を含む。本明細書で使用するとき、「ポリエチレン組成物」は、50重量%超のポリエチレンポリマーを含有する組成物を指す。「ポリエチレン」は、エチレンのホモポリマー、またはエチレンと、そのポリマー単位の大部分がエチレンに由来する1つ以上のコモノマーとのコポリマーを指す。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、ポリエチレン組成物の55重量%超、60重量%超、65重量%超、70重量%超、75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、95重量%超、99重量%超、99.5重量%超、または100重量%のポリエチレンポリマーを含む。
【0013】
本明細書の実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.930〜0.960g/ccの全密度を有し得る。0.930〜0.960g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.935〜0.960g/ccの全密度を有する。他の実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.938〜0.960g/ccの全密度を有する。さらなる実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.940〜0.955g/ccの全密度を有する。エチレン系ポリマーの密度は、ASTM D−792に従って決定される。
【0014】
ポリエチレン組成物は、約1.0〜8.0g/10分の全メルトインデックスを有し得る。1.0〜8.0g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、2.0〜8.0g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、ポリエチレン組成物は、3.0〜8.0g/10分のメルトインデックスを有する。さらなる実施形態において、ポリエチレン組成物は、4.0〜8.0g/10分のメルトインデックスを有する。エチレン系ポリマーのメルトインデックス、またはIは、190℃、2.16kgでASTM D1238に従って決定される。
【0015】
ポリエチレン組成物は、高密度ポリエチレンを含む。本明細書の実施形態において、ポリエチレン組成物は、ポリエチレン組成物の少なくとも40重量%の高密度ポリエチレンを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、ポリエチレン組成物の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85重量%の高密度ポリエチレンを含む。
【0016】
高密度ポリエチレンは、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセント超の重合エチレンモノマーを含有し、かつ随意に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。α−オレフィンコモノマーは典型的に、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子、または3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び4−メチル−1−ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンからなる群からか、または代替的に、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群から選択され得る。
【0017】
高密度ポリエチレンは、特にスラリー、溶液相、もしくは気相処理技術またはハイブリッド反応システム(例えば、スラリーと気相反応器との組み合わせ)を使用して、2つ以上の個々の反応器を直列または並列に備えるような、様々な市販の連続反応処理で生成され得る。例示的な処理は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,076,698号に見出すことができる。代替的に、高密度ポリエチレンは、2つ以上の異なるポリエチレン樹脂をオフラインでブレンドすることによっても生成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、従来の単峰性チーグラー−ナッタ高密度ポリエチレンは、多峰性チーグラー−ナッタ高密度ポリエチレンとブレンドされ得る。しかしながら、様々な高密度ポリエチレンポリマーは、メタロセン、ポストメタロセン、またはクロミウム系触媒などの代替の触媒システムにより生成され得ることがさらに企図される。例示的な高密度ポリエチレン樹脂としては、HDPE5962B、DMDA8007NT7、AGILITY(商標)6047G、及びDOWLEX(商標)2027Gの商標名で、The Dow Chemical Companyにより販売されている樹脂を挙げることができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、以下の手順に従って調製され得る。全ての原材料(モノマー及びコモノマー)及び処理溶媒(狭い沸点範囲高純度イソパラフィン溶媒)は、モレキュラシーブで精製された後に、反応環境に導入される。水素が、加圧されたシリンダー内に高純度で供給され得、さらに精製されることはない。反応器モノマー供給流は、機械的圧縮器により反応圧力を超えて加圧され得る。溶媒及びコモノマー供給物は、ポンプにより反応圧力を超えて加圧され得る。個々の触媒成分は、ポンプにより反応圧力を超えて圧力をかけられ得る。全ての反応供給流は、質量流量計で測定され得、コンピューター自動化バルブ制御システムまたは計量ポンプで独立して制御され得る。新鮮コモノマー供給物は、機械的に加圧され得、第1の反応器の供給流のみか、第2の反応器の供給流のみか、または共通流に入り、その後、溶媒が、2つの反応器に分かれることを含む、反応器構成に応じていくつかの可能性のある位置で処理に注入され得る。いくつかのコモノマー注入の組み合わせは、二重反応器構成を実行しているときにのみ可能である。
【0019】
反応器構成のオプションは、単一反応器操作、二重直列反応器操作、または二重並列反応器操作を含む。連続溶液重合反応器は、除熱しながらの連続攪拌槽反応器(CSTR)を模倣する液体充満、非断熱、等温、循環式、ループ反応器から構成され得る。全ての新鮮溶媒、モノマー、コモノマー、水素、及び触媒成分供給物の独立制御は可能であり得る。反応器への全新鮮供給流(溶媒、モノマー、コモノマー、及び水素)は、熱交換器に供給流を通過させることにより温度制御され得る。重合反応器への全新鮮供給物は、各注入位置間においてほぼ等しい反応器容積を有する2つの位置で反応器内に注入され得る。新鮮供給物は、その反応器への全エチレン供給物質量流の半分を受容する各供給物区域で制御され得る。触媒成分は、各成分に対して特別に考案された注入針を通して重合反応器内に注入され得る。主な触媒成分供給物は、コンピューター制御されて、反応器モノマー濃度が特定の標的で維持され得る。共触媒成分(複数可)は、算出された特定のモル比に基づいて、主な触媒成分に供給され得る。供給流は、各々の新鮮注入位置(供給物、触媒、または直列反応器構成の場合は上流反応器からの流出物のいずれか)の直後に、静的混合要素を用いて循環式重合反応器の内容物と混合され得る。反応器の内容物は、反応の熱の多くを除去することを担う熱交換器を通して、かつ等温反応環境を特定の温度で維持することを担う冷却側の温度の下、連続循環され得る。反応器ループ周囲の循環は、ポンプにより提供され得る。
【0020】
二重直列反応器構成において、第1の重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及びポリマーを含有する)は、第1の反応器ループから排出され、第2の反応器のより低い圧力新鮮供給注入の付近/下流にある第2の反応器ループに添加され得る。二重並列反応器構成において、第1及び第2の重合反応器からの流出物流は、任意の追加的な処理の前に組み合わせされ得る。全ての反応器構成において、最終の反応器流出物(二重直列の第2の反応器流出物、二重並列の組み合わされた流出物、または単一反応器流出物)は、それが好適な試薬(典型的に、水)の追加及びそれとの反応で非活性化される区域に入る。この同じ反応器の排出位置において、他の添加剤も添加され得る。
【0021】
触媒の非活性化及び添加剤の追加の後、反応器流出物は、ポリマーが非ポリマー流から除去されるデボライタイデーションシステムに入る。単離ポリマー溶融物は、ペレット化され、収集される。非ポリマー流は、システムから除去されるエチレンの多くを分離する様々な装置を通過する。多くの溶媒及び未反応コモノマーは、精製システムを通過した後に再循環されて反応器に戻ってくる場合がある。少量の溶媒及びコモノマーは、処理からパージされ得る。
【0022】
本明細書に記載される実施形態において、高密度ポリエチレンは、約0.930〜0.965g/ccの密度を有する。0.930〜0.965g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、0.940〜0.965g/ccの密度を有する。他の実施形態において、高密度ポリエチレンは、0.940〜0.960g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、高密度ポリエチレンは、0.945〜0.955g/ccの密度を有する。
【0023】
本明細書に記載される実施形態において、高密度ポリエチレンは、0.7〜10g/10分のメルトインデックスを有する。0.7〜10g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、2〜10g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、高密度ポリエチレンは、3〜8g/10分のメルトインデックスを有する。さらなる実施形態において、高密度ポリエチレンは、5〜7g/10分のメルトインデックスを有する。本明細書に記載される実施形態において、高密度ポリエチレンは、4〜9、4.5〜8.5、5〜8.5、5.5〜8、または6.0〜7.5のI10/I比を有し得る。
【0024】
本明細書に記載される実施形態において、高密度ポリエチレンは、従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、2.5〜4.5未満の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)を有し得る。2.5〜4.5未満の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、GPCにより測定される、2.5〜4.0、2.8〜4.0、2.8〜3.8、2.8〜3.5、または2.8〜3.3のMWDを有し得る。GPC試験方法は、以下で概説される。
【0025】
本明細書に記載される実施形態において、高密度ポリエチレンは、GPCにより測定される、15,000〜35,000g/molの数平均分子量を有し得る。15,000〜35,000g/molの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、GPCにより測定される、18,000〜30,000g/mol、20,000〜30,000g/mol、22,000〜30,000g/mol、22,000〜28,000g/mol、または22,000〜26,000g/molの数平均分子量を有し得る。
【0026】
本明細書に記載される実施形態において、高密度ポリエチレンは、GPCにより測定される、65,000〜95,000g/molの重量平均分子量を有し得る。65,000〜95,000g/molの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、GPCにより測定される、65,000〜90,000g/mol、65,000〜85,000g/mol、68,000〜85,000g/mol、70,000〜85,000g/mol、または72,000〜82,000g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0027】
本明細書に記載される実施形態において、高密度ポリエチレンは、GPCにより測定される、200,000〜275,000g/molのz平均分子量を有し得る。200,000〜275,000g/molの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、GPCにより測定される、200,000〜265,000g/mol、200,000〜255,000g/mol、200,000〜250,000g/mol、210,000〜255,000g/mol、210,000〜250,000g/mol、または220,000〜250,000g/molのz平均分子量を有し得る。
【0028】
本明細書に記載される実施形態において、ポリエチレン組成物は、低密度ポリエチレン(LDPE)をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、ポリエチレン組成物の0〜30重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)をさらに含み得る。0〜30%の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレン組成物の30重量%未満の低密度ポリエチレンをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレン組成物の5〜20重量%の低密度ポリエチレンをさらに含み得る。他の実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレン組成物の5〜15重量%の低密度ポリエチレンをさらに含み得る。さらなる実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレン組成物の10〜15重量%の低密度ポリエチレンをさらに含み得る。
【0029】
本明細書の実施形態において、ポリエチレン組成物中に存在するLDPEは、約0.915〜0.935g/ccの密度を有し得る。0.915〜0.935g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、0.915〜0.930g/ccの密度を有する。他の実施形態において、LDPEは、0.915〜0.925g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、LDPEは、0.915〜0.922g/ccの密度を有する。本明細書の実施形態において、ポリエチレン組成物中に存在するLDPEは、0.2〜15g/10分のメルトインデックスを有する。0.2〜15g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、0.2〜12g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、LDPEは、0.5〜10g/10分のメルトインデックスを有する。
【0030】
ポリエチレン組成物中に存在するLDPEは、5cN超の溶融強度を有し得る。5cN超の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、6〜15cNの溶融強度を有する。他の実施形態において、LDPEは、6〜14cNの溶融強度を有する。さらなる実施形態において、LDPEは、6〜12cNの溶融強度を有する。さらなる実施形態において、LDPEは、6〜10cNの溶融強度を有する。なおさらなる実施形態において、LDPEは、6〜18cNの溶融強度を有する。
【0031】
LDPEは、分岐インターポリマーを含み得、該分岐インターポリマーは、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)超の圧力で、オートクレーブまたは管状反応器内で部分的または全体的に単独重合または共重合される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照されたい)。好適なLDPEの例としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、一酸化炭素、またはそれらの組み合わせと相互重合したエチレンを含む、エチレンホモポリマー、及び高圧コポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。例示的なLDPE樹脂としては、The Dow Chemical Companyにより販売されている、LDPE722、LDPE5004、及びLDPE621iなどの樹脂を挙げることができる。他の例示的なLDPE樹脂は、参照により本明細書に組み込まれるWO2005/023912において記載されている。
【0032】
ポリエチレン組成物は、1つ以上のポリマー(例えば、MDPE、追加的なHDPE樹脂など)をさらに含み得、かつ/または随意に、1つ以上の添加剤を含み得る。かかる添加剤としては、酸化防止剤(例えば、Ciba Geigyにより供給されるIRGANOX(登録商標)1010またはIRGANOX(登録商標)1076などの、ヒンダードフェノール系)、亜リン酸塩(例えば、同じくCiba Geigyにより供給されるIRGAFOS(登録商標)168)、粘着添加剤(例えば、PIB(ポリイソブチレン))、Standostab PEPQ(商標)(Sandozにより供給される)、色素、着色剤、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、パーライト、珪藻土、ドロマイト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリマービーズ、セラミックビーズ、天然及び合成の二酸化ケイ素、三水酸化アルミニウム、三水酸化マグネシウム、ウォラストナイト、ウィスカー、木粉、リグニン、スターチ)、TiO、静電気防止添加剤、難燃剤、殺生物剤、抗菌剤、ならびに清澄剤/核形成促進剤(例えば、Milliken Chemicalから入手可能であるHYPERFORM(商標)HPN−20E、MILLAD(商標)3988、MILLAD(商標)NX8000)を挙げることができるが、これらに限定されない。1つ以上の添加剤は、それらの所望の目的を達成するために、当技術分野で典型的に使用されるレベルでポリエチレン組成物に含まれ得る。いくつかの例において、1つ以上の添加剤は、ポリエチレン組成物の0〜10重量%、ポリエチレン組成物の0〜5重量%、ポリエチレン組成物の0.001〜5重量%、ポリエチレン組成物の0.001〜3重量%、ポリエチレン組成物の0.05〜3重量%、またはポリエチレン組成物の0.05〜2重量%の範囲の量で含まれる。
【0033】
スキン層
各スキン層は独立して、ポリプロピレン組成物を含む。本明細書で使用するとき、「ポリプロピレン組成物」は、ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて、50重量%超のプロピレン系ポリマーを含有する組成物を指す。いくつかの実施形態において、各スキン層は独立して、ポリプロピレン組成物の少なくとも30重量%、ポリプロピレン組成物の少なくとも40重量%、ポリプロピレン組成物の少なくとも50重量%、ポリプロピレン組成物の少なくとも55重量%、ポリプロピレン組成物の少なくとも60重量%、ポリプロピレン組成物の少なくとも65重量%、ポリプロピレン組成物の少なくとも75重量%、ポリプロピレン組成物の少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、または100重量%を含み得る。
【0034】
上で述ベられるように、ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて、50重量%超のプロピレン系ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて、55重量%超、60重量%超、65重量%超、70重量%超、75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、95重量%超、99重量%、または100重量%のプロピレン系ポリマーを含む。
【0035】
プロピレン系ポリマーは、(重合性モノマーの総量に基づいて)過半重量パーセントの重合プロピレンモノマー、及び随意に1つ以上のコモノマーを含む。プロピレン系ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー(すなわち、ポリプロピレン)、ポリプロピレンコポリマー、プロピレン系エラストマーもしくはプラストマー、またはそれらの組み合わせであり得る。ポリプロピレンホモポリマーは、アイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックであり得る。いくつかの実施形態において、ポリプロピレンホモポリマーは、アイソタクチックである。ポリプロピレンコポリマーは、プロピレン/オレフィンコポリマー(ランダムまたはブロック)またはプロピレンインパクトコポリマーであり得る。インパクトプロピレンコポリマーはまた、ヘテロ相プロピレンコポリマーも含むことができ、ここで、ポリプロピレンは、連続相であり、エラストマー相がその中に均一に分散される。プロピレン/オレフィンコポリマーの場合、好適なオレフィンコモノマーの非限定的な例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、または1−ドデセンなどのC〜C20αオレフィン;1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、及びジシクロペンタジエンなどのC〜C20ジオレフィン;スチレン、o−、m−、及びp−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンなどのC〜C40ビニル芳香族化合物;ならびにクロロスチレン及びフルオロスチレンなどのハロゲン置換C〜C40ビニル芳香族化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、プロピレン/オレフィンコポリマーは、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクテン、またはプロピレン/エチレン/1−ブテンを含む。いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、ランダムまたはブロックプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーである。いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、プロピレンインパクトコポリマーである。
【0036】
プロピレン系プラストマーまたはエラストマーは、少なくとも約50重量パーセントのプロピレンに由来する単位、及び少なくとも約5重量パーセントのプロピレン以外、例えば、エチレン、C4〜20α−オレフィン、C4〜20ジエン、またはスチレン化合物のコモノマーに由来する単位を含む。プロピレン系エラストマーまたはプラストマー中のエチレン以外のコモノマーの量は、少なくとも部分的に、コモノマー及びコポリマーの所望される融合熱の関数である。好適なプロピレン系プラストマーまたはエラストマーは、WO2006/115839、WO03/040442、及びWO/2007/024447において教示されており、各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例示的なプロピレン系プラストマーまたはエラストマーとしては、VERSIFY(商標)3401相容化剤(The Dow Chemical Companyから)、またはVISTAMAXX(商標)6202相容化剤(Exxon Mobil Corporationから)を挙げることができる。
【0037】
好適なプロピレン系ポリマーは、当技術分野の範囲内の手段により、例えば、チーグラー−ナッタ触媒、シングルサイト触媒(メタロセンまたは拘束幾何)、または非メタロセン、金属中心、ヘテロアリールリガンド触媒を使用して形成される。例示的なプロピレン系ポリマー樹脂としては、Exxon Mobil Corporation(米国)から市販されているPP3155、LyondellBasell Industries(米国)から市販されているポリプロピレン6231、またはThe Dow Chemical Company(米国)から市販されているVERSIFY(商標)の商標名で販売されている樹脂、VISTAMAXX(商標)(ExxonMobil Chemical Companyから市販されている)、様々な商標名及び/もしくは商標でBraskemから市販されているプロピレンポリマー、PROFAX(登録商標)(Lyondell Basellから市販されている)、またはBorealis BORSOFT(商標)(デンマークのBorealisから市販されている)を挙げることができる。
【0038】
本明細書の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、0.1g/10分〜100g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。0.1g/10分〜100g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、ASTM D1238(230℃、2.16kg)に従って測定される、1g/10分〜75g/10分、2g/10分〜50g/10分、10g/10分〜45g/10分、または15g/10分〜40g/10分のメルトフローレートを有する。本明細書の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、0.890〜0.920g/ccの密度を有する。0.890〜0.920g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、0.900〜0.920g/ccまたは0.89〜0.915g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D−792に従って決定され得る。
【0039】
プロピレン系ポリマーは、15,000psi超の2%セカント係数を有し得る。2%セカント係数は、長さ方向(MD)及び幅方向(CD)のセカント係数の平均であり、以下のように算出することができる。
【0040】
【数1】
【0041】
15,000psi超の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、17,500psi超の2%セカント係数を有する。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、20,000psi超の2%セカント係数を有する。さらなる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、27,500psi超の2%セカント係数を有する。なおさらなる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、35,000psi超の2%セカント係数を有する。なおさらなる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、15,000psi〜50,000psiの2%セカント係数を有する。なおさらなる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、25,000psi〜45,000psiの2%セカント係数を有する。なおさらなる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、30,000psi〜45,000psiの2%セカント係数を有する。2%セカント係数は、ASTM 882に従って決定され得る。
【0042】
本明細書のいくつかの実施形態において、ポリプロピレン組成物は、低密度ポリエチレン(LDPE)をさらに含み得る。ポリプロピレン組成物は独立して、5重量%〜30重量%、10重量%〜30重量%、または15重量%〜25重量%のLDPEを含み得る。ポリプロピレン組成物中に存在するLDPEは、約0.915〜0.930g/ccの密度を有する。0.915〜0.930g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、0.915〜0.925g/ccの密度を有する。他の実施形態において、LDPEは、0.915〜0.920g/ccの密度を有する。本明細書の実施形態において、スキン層中に存在するLDPEは、1〜15g/10分のメルトインデックスを有する。1〜15g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、2〜12g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、LDPEは、5〜10g/10分のメルトインデックスを有する。
【0043】
ポリプロピレン組成物中に存在するLDPEは、5cN超の溶融強度を有し得る。5cN超の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、6〜15cNの溶融強度を有する。他の実施形態において、LDPEは、6〜14cNの溶融強度を有する。さらなる実施形態において、LDPEは、6〜12cNの溶融強度を有する。さらなる実施形態において、LDPEは、6〜10cNの溶融強度を有する。なおさらなる実施形態において、LDPEは、6〜18cNの溶融強度を有する。
【0044】
ポリプロピレン組成物中に存在するLDPEは、分岐ポリマーを含み得、該分岐ポリマーは、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)超の圧力で、オートクレーブまたは管状反応器内で部分的または全体的に単独重合または共重合される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照されたい)。ポリプロピレン組成物中に存在する好適なLDPEの例としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、一酸化炭素、またはそれらの組み合わせと相互重合したエチレンを含む、エチレンホモポリマー、及び高圧コポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。例示的なLDPE樹脂としては、The Dow Chemical Companyにより販売されている、LDPE722、LDPE5004、及びLDPE621iなどの樹脂を挙げることができる。他の例示的なLDPE樹脂は、参照により本明細書に組み込まれるWO2005/023912において記載されている。
【0045】
各スキン層は独立して、1つ以上の添加剤を含み得る。かかる添加剤としては、酸化防止剤(例えば、Ciba Geigyにより供給されるIRGANOX(登録商標)1010またはIRGANOX(登録商標)1076などの、ヒンダードフェノール系)、亜リン酸塩(例えば、同じくCiba Geigyにより供給されるIRGAFOS(登録商標)168)、粘着添加剤(例えば、PIB(ポリイソブチレン))、Standostab PEPQ(商標)(Sandozにより供給される)、色素、着色剤、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、カオリン、パーライト、珪藻土、ドロマイト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリマービーズ、セラミックビーズ、天然及び合成の二酸化ケイ素、三水酸化アルミニウム、三水酸化マグネシウム、ウォラストナイト、ウィスカー、木粉、リグニン、スターチ)、TiO、静電気防止添加剤、難燃剤、スリップ剤、粘着防止添加剤、殺生物剤、抗菌剤、ならびに清澄剤/核形成促進剤(例えば、Milliken Chemicalから入手可能であるHYPERFORM(商標)HPN−20E、MILLAD(商標)3988、MILLAD(商標)NX8000)を挙げることができるが、これらに限定されない。1つ以上の添加剤は、それらの所望の目的を達成するために、当技術分野で典型的に使用されるレベルでポリプロピレン組成物に含まれ得る。いくつかの例において、1つ以上の添加剤は、ポリプロピレン組成物の0〜10重量%、ポリプロピレン組成物の0〜5重量%、ポリプロピレン組成物の0.001〜5重量%、ポリプロピレン組成物の0.001〜3重量%、ポリプロピレン組成物の0.05〜3重量%、またはポリプロピレン組成物の0.05〜2重量%の範囲の量で含まれる。
【0046】
多層フィルム
本明細書に記載される多層フィルムは、同時押し出し成形フィルムであり得る。いくつかの実施形態において、多層フィルムは、同時押し出し成形フィルムであり、それにより、スキン層のうちの少なくとも1つがコア層に同時押し出される。他の実施形態において、多層フィルムは、同時押し出し成形フィルムであり、それにより、スキン層の1つ(すなわち、第1のスキン層)がコア層に同時に押し出し成形され、他方のスキン層(すなわち、第2のスキン層)がコア層に同時に押し出し成形され、コア層が2つのスキン層の間に位置付けられるように、2つの同時押し出し成形フィルムがともに積層される。さらなる実施形態において、多層フィルムは、同時押し出し成形フィルムであり、それにより、スキン層がコア層に同時押し出し成形される。
【0047】
本明細書の実施形態において、多層フィルムは、約8〜30gsmの坪量を有し得る。8〜30gsmの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、多層フィルムは、約10〜25gsmの坪量を有し得る。他の実施形態において、多層フィルムは、約10〜20gsmの坪量を有し得る。さらなる実施形態において、多層フィルムは、約12〜16gsmの坪量を有し得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される多層フィルムは、以下の特性:約140g超(または代替的に、145gまたは150g超)のスペンサーダーツ衝撃;MDで約20,000psi超(または代替的に、21,000psiまたは22,000psi超)及びCDで20,000psi超(または代替的に、22,000psi超)の2%セカント係数;幅方向に約1,800psi超(または代替的に、約1,850psiまたは1,900psi超)及び長さ方向に約1,700psi超(または代替的に、約1,750psi、1,850psi、または1,900psi超)の破断応力(破断荷重とも呼ばれる);または約13ft・lb/in超(または代替的に、14ft・lb/inまたは15ft・lb/in)の耐穿刺性、のうちの少なくとも1つを示し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される多層フィルムは、以下の特性:MDで約16,000psi超の2%セカント係数を有する100%ポリエチレンフィルムと比較したときの、15%未満の柔軟度値差異分、または1,000Hz〜5,000Hzの周波帯で0.5dB未満の雑音値、のうちの少なくとも1つを示し得る。柔軟度値差分(SVD)は、以下のように算出することができ、
【0049】
【数2】
【0050】
ここで、基準フィルムは、16,000psi超の2%セカント係数を有する、100%ポリエチレンのフィルムである。本明細書で使用するとき、「100%ポリエチレンのフィルム」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセント超の重合エチレンモノマーを含有し、及び随意に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る、1つ以上のポリマーからなるフィルムを指す。理論に束縛されるものではないが、特性のうちの1つ以上は、各材料の鍵となる属性が組み込まれるように、フィルム構造の各層における改善されたフィルム構造及び改善された成分量に起因すると考えられる。具体的には、特定量のポリプロピレンをスキン層に組み込むことは、接着を支援し得るが、コア層における特定のポリエチレンブレンドを選択することは、ポリプロピレン基材とポリエチレンフィルムとの間に形成し得るピンホールを回避し得、それでも、バックシートに必要とされる十分な強度及び係数を提供すると考えられる。また、コア層及びスキン層に組み込むための特定のポリエチレンポリマーを選択することにより、触覚特性、具体的には、雑音及び柔軟度を改善することができるとも考えられる。
【0051】
積層体
超音波接合した積層体も、本明細書に記載される。超音波接合された積層体は、本明細書に前述されるような多層フィルム、及び多層フィルムに少なくとも部分的に超音波接合される不織布基材を備える。本明細書で使用するとき、「不織布基材」は、不織布ウェブ、不織布、及び規則的または繰り返し様式ではないが、個々の繊維またはスレッドが間に挿入されている任意の不織布構造を含む。本明細書に記載される不織布基材は、例えば、エアレイング処理、メルトブロウイング処理、スパンボンディング処理、及びボンデッドカーデッドウェブ処理を含むカーディング処理などの、様々な処理により形成され得る。本明細書で使用するとき、「超音波接合」は、超音波溶接を含む。
【0052】
本明細書の実施形態において、不織布基材は、プロピレン系材料、100%ポリエチレン、またはポリエチレン/ポリプロピレン構造/ブレンドから作製される。好適なプロピレン系材料の例としては、(重合性モノマーの総量に基づいて)過半重量パーセントの重合プロピレンモノマー、及び随意に1つ以上のコモノマーを含む材料が挙げられる。これは、プロピレンホモポリマー(すなわち、ポリプロピレン)、プロピレンコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。プロピレンコポリマーは、プロピレン/オレフィンコポリマーであり得る。好適なオレフィンコモノマーの非限定的な例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、または1−ドデセンなどのC〜C20α−オレフィンが挙げられる。いくつかの実施形態において、プロピレン系材料は、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0053】
不織布基材は、1つ以上の層を備え得る。1つ以上の層は、スパンボンド不織布層(S)、メルトブロウン不織布層(M)、ウェットレイド不織布層、エアレイド不織布層、任意の不織布または溶融紡糸処理により生成されるウェブであり得る。いくつかの実施形態において、不織布基材は、少なくとも1つのスパンボンド層(S)及び少なくとも1つのメルトブロウン層(M)を備える。他の実施形態において、不織布基材は、少なくとも1つのスパンボンド層(複数可)及び少なくとも1つのメルトブロウン層(M)を備え、以下の構造:SSS、SM、SMS、SMMS、SSMMS、またはSSMMMSのうちの1つを有し得る。最外のスパンボンド層は、スパンボンドホモポリマーポリプロピレン(hPP)、スパンボンド不均一分岐ポリエチレン、カーデッドhPP、または様々な二成分ポリプロピレン構造からなる群から選択される材料を含み得る。
【0054】
最終用途
本明細書に記載されるフィルムまたは超音波接合された積層体は、様々な用途で使用することができる。いくつかの実施形態において、フィルムまたは積層体は、おむつ、トレーニングパンツ、及び成人用失禁用衛生物品などの衛生用途において、または他の類似する吸収性衣類の用途において使用することができる。他の実施形態において、フィルムまたは積層体は、医療用ドレープ、ガウン、及び外科用スーツなどの医療用用途において、または他の類似する布地(織布または不織布)の用途において使用することができる。フィルムまたは積層体は、非通気性であり得る。
【0055】
試験方法
別途指示がない限り、以下の試験方法が使用される。全ての試験方法は、この開示の出願日現在のものである。
【0056】
密度
密度は、ASTM D−792に従って測定され得る。
【0057】
メルトインデックス
メルトインデックス(I)は、ASTM D−1238、手順B(条件、190℃/2.16kg)に従って測定され得る。メルトインデックス(I10)は、ASTM D−1238、手順B(条件、190℃/10.0kg)に従って測定され得る。
【0058】
メルトフローレート
プロピレン系ポリマーのメルトフローレートまたはMFRは、230℃、2.16kgで、ASTM D1238に従って測定される。
【0059】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
クロマトグラフシステムは、内部IR5検出器を備え付けたPolymerChar GPC−IR(Valencia,Spain)の高温GPCクロマトグラフから構成されていた。オートサンプラーオーブン区域を摂氏160°に設定し、カラム区域を摂氏150°に設定した。使用したカラムは、3Agilent「Mixed B」の30cmの10ミクロン線状混合ベッドカラム及び10umの予備カラムであった。使用したクロマトグラフ溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有した。溶媒源を窒素スパージした。使用した注入体積は、200マイクロリットルであり、フローレートは、1.0ミリリットル/分であった。
【0060】
分子量が580〜8,400,000の範囲の、個々の分子量の間に少なくとも10の隔たりのある(a decade of separation)6つの「カクテル」混合物に配置された、21の狭い分子量分布ポリスチレン標準品を用いて、GPCカラムセットの較正を実施した。標準品を、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中0.025グラム、及び1,000,000未満の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準品を調製した。ポリスチレン標準品を、30分間穏やかに攪拌しながら摂氏80度で溶解した。ポリスチレン標準品のピーク分子量を、等式1を使用してポリエチレン分子量に変換し(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されるように)、
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン (等式1)
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0と等しい。
【0061】
それぞれのポリエチレン等量較正点を最適化するために、五次多項式を使用した。NIST標準品NBS1475が52,000Mwで取得されるように、カラムの精度及びバンド広がり効果を訂正するために、わずかな調整(およそ0.415〜0.44)を行った。
【0062】
GPCカラムセットの全てのプレートカウントを、エイコサンを用いて実施した(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに攪拌しながら20分間溶解した)。プレートカウント(等式2)及び対称性(等式3)を、以下の等式に従って200マイクロリットルの注入で測定し、
【0063】
【数3】
【0064】
式中、RVは、ミリリットルでの保持容量であり、ピーク幅は、ミリリットルであり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2の高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
【0065】
【数4】
【0066】
式中、RVは、ミリリットルでの保持容量であり、ピーク幅は、ミリリットルであり、ピーク最大値は、ピークの最大位置であり、10分の1の高さは、ピーク最大値の1/10の高さであり、レアピークは、ピーク最大値より後の保持容量でのピークテイルを指し、フロントピークは、ピーク最大値より前の保持容量でのピークフロントを指す。クロマトグラフシステムのプレートカウントは、24,000超でなければならず、対称性は、0.98〜1.22でなければならない。
【0067】
試料を、PolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて準自動様式で調製し、ここで、試料を2mg/mlで重量標的し、溶媒(200ppmのBHTを含有した)を、予備窒素でスパージしたセプタキャップしたバイアルにPolymerCharの高温オートサンプラーを介して添加した。試料を「低速」振動しながら摂氏160°で2時間溶解した。
【0068】
Mn、Mw、及びMzは、等式4〜6に従ってPolymerChar GPC−IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用したGPC結果、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用したGPC結果、各等しく離間されたデータ収集点ベースラインが減算されたIRクロマトグラムでのベースラインが減算されたIRクロマトグラム(i)、及び等式1からの点(i)の狭い標準品較正曲線から得たポリエチレン等分子量に基づいた。
【0069】
【数5】
【0070】
時間の経過における偏差を監視するために、フローレートマーカー(デカン)を、PolymerChar GPC−IRシステムで制御されたマイクロポンプにより各試料中に導入した。試料内のそれぞれのデカンピークを狭い標準品較正内のデカンピークのフローレートに合わせることにより、各試料のフローレートを線状に訂正するために、このフローレートマーカーを使用した。次いで、デカンマーカーピークの時間における一切の変化を、フローレート及びクロマトグラフスロープの両方における線状の動きに関して推測する。フローマーカーピークのRV測定を最も正確にするために、最小二乗法手順を使用して、フローマーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に最適化する。次いで、正のピーク位置を解くために二次方程式の第1の微係数を使用した。フローマーカーピークに基づくシステムの較正後、有効なフローレート(較正スロープの測定による)を等式7で算出する。フローマーカーピークの処理を、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアにより行った。
【0071】
【数6】
【0072】
溶融強度
溶融強度は、Goettfert Rheotens71.97(Goettfert Inc.、Rock Hill,SC)を使用して190℃で測定され得、溶融物は、30mmの長さ及び2.0mmの直径の平面エントランス角(180度)を備え付けたGoettfert Rheotester2000キャピラリーレオメーターで供給され得る。ペレット(20〜30グラムのペレット)を、バレル(長さ=300mm、直径=12mm)中に供給して圧縮し、10分間溶融させた後に、所定のダイ直径で38.2s−1の壁せん断速度に対応する0.265mm/sの一定のピストン速度で押し出し成形した。押し出し成形物は、ダイ排出口の100mm下に位置するRheotenの車輪を通過し、2.4mm/sの加速度で車輪により下方に引き出される。車輪上に用いられた力(incN)を、車輪の速度の関数として記録する(inmm/s)。溶融強度を、ストランドが破断する前のプラトー力(cN)として記録する。
【0073】
2%セカント係数/破断応力
2%歪み時のセカント係数及び破断応力を含む引張特性を、ASTM D882に従って長さ方向及び幅方向で決定する。
【0074】
スペンサーダーツ衝撃強度
スペンサーダーツ衝撃強度試験を、ASTM D3420、手順Bに従って決定する。
【0075】
耐穿刺性
穿刺を、ASTM D5748に従って引張試験機上で測定するが、正方形の試験体をシートから6インチ×6インチのサイズに切断すること、試験体を直径4インチの円形試験体ホルダーに挟持し、挟持したフィルムの中央に穿刺プローブを10インチ/分のクロスヘッド速度で押し付けること、プローブが0.25インチの支持ロッド上の直径0.5インチの研磨した鋼球であること、試験治具への損傷を防止するために7.7インチの最大移動長があること、ゲージ長がないこと、すなわち、試験の前にプローブができる限り近くにあるが試験体には接触していないこと、を除く。試験体の中央において1回の厚さ測定を行う。平均穿刺値を決定するために、合計で5つの試験体を試験する。
【0076】
雑音
雑音試験機装置は、音を取り込むために使用するマイクロホンMK 221及びNeutrix Cortex InstrumentsによるNC 10 Audio Acoustic Analyzerを含む、音響隔離ボックスを含む。マイクロホンは、20Hz〜20,000Hzの周波数(Hz)を有する信号を感知する。マイクロホンを音響ボックスの中央において、フィルム表面の10cm水平方向に合わせ、ボックス上部の25cm垂直方向に合わせる。音響隔離ボックスは、鉛で作製され、53cm×53cm×53cmの寸法を有する。フィルムを10cm×10cmの試験体サイズに切断する。試験体を、静止している第1のホルダー、及びフィルムの撓曲運動を提供するように移動可能である第2のホルダーである、2つのホルダーに固定する。各試験体により生成される雑音示度から減算する暗騒音示度を得るために、装置を真空中で動作させる。1/3オクターブでデータを収集する。フィルム1つあたり4つの異なる試験体を測定する。
【0077】
柔軟度
「柔軟度」または「ハンド」の品質は、繊維原料の表面摩擦、可撓性、及び圧縮性による抵抗の組み合わせであると考えられる。ハンドル−O−メーター試験機(Thwing−Albert Instrument Co.,(West Berlin,N.J.)により製造される)は、材料の試験体を平行な縁部のスロットに押し込むときにブレードが受ける抵抗を検出するために、線形可変差動変圧器(LVDT)を使用して上記の因子を測定する。試料を8インチ×8インチの正方形の試験体に切断する。ハンドル−O−メーターのスロット幅を20mmに設定する。計器の製造業者の試験マニュアルの必要に応じて、試験体1つあたり4つの位置の各々で測定を行い、4つの測定値を合計して、単一の試験体の合計ハンドをグラム−力で求める。次いで、平均したハンドを試験体の重量及び体積に正規化する。より低い抵抗値を有する試料は、より良好な柔軟度を有すると考えられる。
【実施例】
【0078】
本明細書に記載される実施形態は、以下の非限定的な実施例によりさらに例示され得る。
【0079】
下で概説されるように、3層フィルムを作製した。200m/分の最大ライン速度、260℃の溶融温度、260℃のダイ温度、0.8milのダイ間隙、及び9インチの空隙を有する、市販の3層キャストライン上でフィルムを生成した。多層フィルムは、14gsmの坪量を有する。コア層は、全フィルム厚さの70%を構成する。各スキン層は、全フィルム厚さの15%を構成する。
【0080】
本発明のフィルムの調製
発明実施例は以下の樹脂を使用した:低密度ポリエチレン(LDPE)は、0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する、オートクレーブ反応器内で作製された高圧力低密度ポリエチレンであり(LDPE722、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)、0.900g/ccの密度及び22g/10分の溶融フローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー(ポリプロピレン6231、LyondellBasell Industries,USAから入手可能である)、0.863g/ccの密度及び8g/10分の溶融フローレートを有するプロピレン系エラストマーまたはプラストマー(VERSIFY(商標)3401、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)、ならびに0.947g/ccの密度及び6.0g/10分のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレン(AGILITY(商標)6047G、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)。高密度ポリエチレンは、さらに、以下の表1及び2を特徴とした。
【0081】
[表]
【0082】
比較フィルムの調製
比較実施例1は、0.900g/ccの密度及び22g/10分の溶融フローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーである(ポリプロピレン6231、LyondellBasell Industries,USAから入手可能である)。
【0083】
[表]
【0084】
比較実施例2は、0.900g/ccの密度及び22g/10分の溶融フローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー(ポリプロピレン6231、LyondellBasell Industries,USAから入手可能である)、ならびに0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する、オートクレーブ反応器内で作製された高圧力低密度ポリエチレン(LDPE722、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)である。
【0085】
[表]
【0086】
比較実施例3は、0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する、オートクレーブ反応器内で作製された高圧力低密度ポリエチレン(LDPE722、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)、ならびに0.947g/ccの密度及び6.0g/10分のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレン(HDPE)(AGILITY(商標)6047G、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)である。
【0087】
[表]
【0088】
比較実施例4は、0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する、オートクレーブ反応器内で作製された高圧力低密度ポリエチレン(LDPE722、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)、0.916g/ccの密度及び4.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン−オクテンコポリマーであるエチレン系ポリマー(ELITE(商標)5230G、The Dow Chemical Company,USAから入手可能である)、ならびに0.947g/ccの密度及び6.0g/10分のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレン(HDPE)(AGILITY(商標)6047G、The Dow Chemical Company,USAからの)である。
【0089】
[表]
【0090】
積層体の調製
本発明のフィルム及び比較フィルムは、超音波接合を使用して、14gsmの坪量を有するスパンボンドポリプロピレン不織布に点接合される。領域の約9%が接合される。ライン速度は、200m/分であり、溶接力は、700〜1150Nであり、周波数は、90%であった。
【0091】
結果
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
2%セカント係数結果
発明実施例及び比較実施例のフィルムに関して、長さ方向(MD)及び幅方向(CD)で2%セカント係数(psi)を測定した。結果は、表3に示される。図1を参照すると、発明実施例の2%セカント係数は、大量のポリプロピレンを含む比較実施例1及び2の2%セカント係数未満である。比較実施例3及び4と比較すると、発明実施例の2%セカント係数は、発明実施例において2%セカント係数に対して著しい有害効果がないことを示す類似する値を有する。さらに、発明実施例の2%セカント係数は、16,000psiの所望されるレベルを超える値を有する好適なレベルを達成した。
【0096】
破断応力結果
発明実施例及び比較実施例のフィルムに関して、長さ方向(MD)及び幅方向(CD)で破断応力または破断荷重(psi)を測定した。結果は、表3に示される。図2を参照すると、発明実施例は、比較実施例と比較すると増加したフィルム強度を示し得るより高い破断応力を有する。
【0097】
スペンサーダーツ衝撃強度結果
発明実施例及び比較実施例のフィルムに関してスペンサーダーツ衝撃強度(g)を測定した。結果は、表3に示される。図3を参照すると、発明実施例は、比較実施例と比較すると増加した二軸フィルム強度を示し得るより高いダーツ衝撃強度を有する。
【0098】
耐穿刺性結果
発明実施例及び比較実施例のフィルムに関して耐穿刺性(ft・lb/in)を測定した。結果は、表3に示される。図4を参照すると、発明実施例は、同じく、比較実施例と比較すると増加した二軸フィルム強度を示し得るより高い耐穿刺性を有する。
【0099】
雑音結果
発明実施例及び比較実施例のフィルムに関して、20Hz〜20,000Hzの周波帯での雑音(dB)を測定した。20Hz〜20,000Hzの全周波帯にわたる結果は、表3に示される。図5を参照すると、発明実施例及び比較実施例に関して、ヒトの耳が雑音に最も敏感になる周波帯に対応する1,000〜5,000Hzの周波帯の雑音が示される。描写されるように、発明実施例は、比較フィルムより低い雑音値を有する。
【0100】
柔軟度結果
発明実施例及び比較実施例のフィルムに関して柔軟度(g)を測定した。結果は、表3に示される。図6を参照すると、発明実施例は、ポリプロピレンを使用する比較実施例1及び2より良好な柔軟度結果を示し得るより低い柔軟度値を有する。また、発明実施例は、比較フィルム3及び4と比較して示されるように好適なレベルの柔軟度を達成する。発明実施例において柔軟度に対する著しい有害効果はない。
【0101】
本明細書に開示される寸法及び値は、引用される正確な数値に厳密に限定されると理解されない。代わりに、別途特定されない限り、かかる各寸法は、引用値及びその値周囲の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」と開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0102】
本出願が対してその優先権または利益を主張する、任意の相互参照文献、または関連特許もしくは出願、及び任意の特許出願もしくは特許を含む本明細書に引用される全ての文献がある場合、明確に除外また別途限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、それが、本明細書に開示もしくは特許請求される任意の発明に対する従来技術であること、またはそれが、単独もしくは任意の他の参考文献(複数可)との任意の組み合わせで、任意のかかる発明を教示、提示、もしくは開示することを承認するものではない。さらに、本明細書の用語の任意の意味または定義が参考文献により組み込まれる文献の同じ用語の任意の意味または定義と対立する場合、本明細書の用語に割り当てられる意味または定義が適用される。
【0103】
本発明の特定の実施形態を例示し、記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の他の変更及び修正を行うことができることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるかかる全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含することが意図される。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
多層フィルムであって、
コア層と、2つのスキン層と、を備え、
前記コア層が、前記2つのスキン層の間に位置付けられ、
前記コア層が、0.930〜0.965g/ccの密度及び0.7〜10.0g/10分のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレンを含むポリエチレン組成物を含み、
各スキン層が独立して、前記ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて、50重量%超のプロピレン系ポリマーと、5重量%〜30重量%の低密度ポリエチレンと、を含むポリプロピレン組成物を含む、多層フィルム。
項2.
前記プロピレン系ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、プロピレン系エラストマーもしくはプラストマー、またはそれらの組み合わせである、項1に記載のフィルム。
項3.
前記プロピレン系ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマーであり、前記ポリプロピレンホモポリマーが、アイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックである、項1に記載のフィルム。
項4.
前記プロピレン系ポリマーが、ポリプロピレンコポリマーであり、前記ポリプロピレンコポリマーが、ランダムもしくはブロックプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーまたはプロピレンインパクトコポリマーである、項1に記載のフィルム。
項5.
前記ポリエチレン組成物が、約0.915〜0.935g/ccの密度及び約0.2〜15g/10分のメルトインデックスを有する低密度ポリエチレンをさらに含み、前記ポリエチレン組成物が、約0.930〜0.960g/ccの全密度及び約1.0〜8.0g/10分のメルトインデックスを有する、項1に記載のフィルム。
項6.
前記ポリエチレン組成物が、前記ポリエチレン組成物の30重量%未満の前記低密度ポリエチレンを含む、項5に記載のフィルム。
項7.
前記コア層が、全フィルム厚さの約50%〜約85%を構成する、項1に記載のフィルム。
項8.
前記2つのスキン層が、等しい厚さを有する、項1に記載のフィルム。
項9.
前記フィルムが、以下の特性、
140g超のスペンサーダーツ衝撃強度、
長さ方向で約20,000psi超及び幅方向で20,000psi超の2%セカント係数、
幅方向で約1,800psi超及び長さ方向で約1,700psi超の破断応力、または
約13ft・lb/in超の耐穿刺性のうちの少なくとも1つを示す、項1に記載のフィルム。
項10.
前記フィルムが、以下の特性、
長さ方向で約16,000psi超の2%セカント係数を有する100%ポリエチレンフィルムと比較したときの15%未満の柔軟度値差異、または
1,000Hz〜5,000Hzの周波帯で0.5dB未満の雑音値のうちの少なくとも1つを示す、項1に記載のフィルム。
項11.
前記フィルムが、約8〜30gsmの坪量を有する、項1に記載のフィルム。
項12.
超音波接合された積層体であって、
項1〜11のいずれか一項に記載の多層フィルムと、
前記多層フィルムに少なくとも部分的に超音波接合されて、積層体を形成する不織布基材と、を備える、超音波接合された積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6