(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について製造例や実施例等を例示して詳細に説明するが、本発明は例示される製造例や実施例等に限定されるものではなく、本発明の内容を大きく逸脱しない範囲であれば任意の方法に変更して行なうこともできる。
本発明の2段硬化性積層板は、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)(以下、「基材層」と呼ぶことがある)の少なくとも1方の面に、高硬度樹脂(B)を含む層(以下、「高硬度層」と呼ぶことがある)および被覆層が設けられている。前記基材層は、ポリカーボネート樹脂(a1)からなる層であってもよい。また、前記高硬度層は、高硬度樹脂(B)からなる層であってもよい。積層の順番としては、高硬度層は基材層と被覆層の間に存在している。ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)の他方の面は特に指定はないが、高硬度樹脂層および被覆層の両方、あるいはいずれか1つの層を設けてもよい。この場合、高硬度樹脂層としては、高硬度樹脂(B)から選択される樹脂を用いることが望ましく、また、両面で同一の高硬度樹脂(B)を用いることが反りを少なくするためにもより望ましい。
【0023】
以下に、本発明による2段硬化性積層板の各構成部材について説明する。
(ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A))
本発明におけるポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)とは、主としてポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層である。樹脂層(A)中のポリカーボネート樹脂(a1)の含有量としては75質量%以上であるが、含有量を増やすことで耐衝撃性が向上することから、望ましくは90質量%以上であり、より望ましくは100質量%である。
ポリカーボネート樹脂(a1)としては、分子主鎖中に炭酸エステル結合、即ち、−[O−R−OCO]−単位(Rが脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基の双方を含むもの、さらに直鎖構造あるいは分岐構造を有するもの)を含むものであれば特に限定されるものではないが、特に下記式(4a)の構造単位を含むポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。このようなポリカーボネート樹脂を使用することで、耐衝撃性に優れた樹脂積層板を得ることができる。
【0024】
【化4】
具体的には、ポリカーボネート樹脂(a1)として、芳香族ポリカーボネート樹脂(例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−2000、ユーピロンS−1000、ユーピロンE−2000)等が使用可能である。
【0025】
近年、前面板にも曲げ加工を行うような要望が増えていることから、ポリカーボネート樹脂(a1)として、下記一般式(4)で表わされる1価フェノールを末端停止剤とすることが好ましい。
【化5】
(式中、R
1は、炭素数8〜36のアルキル基、又は炭素数8〜36のアルケニル基を表し、R
2〜R
5はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、又は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数6〜12のアリール基を表し、前記置換基は、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基である。)
より好ましくは、一般式(4)で表わされる1価フェノールは、下記一般式(5)で表わされる。
【0026】
【化6】
(式中、R
1は、炭素数8〜36のアルキル基、又は、炭素数8〜36のアルケニル基を表す。)
【0027】
一般式(4)又は一般式(5)におけるR
1の炭素数は、特定の数値範囲内であることがより好ましい。
具体的には、R
1の炭素数の上限値として36が好ましく、22がより好ましく、18が特に好ましい。また、R
1の炭素数の下限値として、8が好ましく、12がより好ましい。
【0028】
一般式(4)又は一般式(5)で示される1価フェノール(末端停止剤)の中でも、パラヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、パラヒドロキシ安息香酸2−ヘキシルデシルエステルのいずれかもしくは両方を末端停止剤として使用することが特に好ましい。
【0029】
R
1として、例えば、炭素数16のアルキル基である1価フェノール(末端停止剤)を使用した場合、ガラス転移温度、溶融流動性、成形性、耐ドローダウン性、ポリカーボネート樹脂製造時の1価フェノールの溶剤溶解性が優れており、本発明におけるポリカーボネート樹脂に使用する末端停止剤として、特に好ましい。
【0030】
一方、一般式(4)又は一般式(5)におけるR
1の炭素数が増加しすぎると、1価フェノール(末端停止剤)の有機溶剤溶解性が低下する傾向があり、ポリカーボネート樹脂製造時の生産性が低下することがある。
一例として、R
1の炭素数が36以下であれば、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたって生産性が高く、経済性も良い。R
1の炭素数が22以下であれば、1価フェノールは、特に有機溶剤溶解性に優れており、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたって生産性を非常に高くすることができ、経済性も向上する。
一般式(4)又は一般式(5)におけるR
1の炭素数が小さすぎると、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が十分に低い値とはならず、熱成形性が低下することがある。
【0031】
本発明において、ポリカーボネート樹脂(a1)の重量平均分子量は、2段硬化性積層板の耐衝撃性および成形条件に影響する。つまり、重量平均分子量が小さすぎる場合は、2段硬化性積層板の耐衝撃性が低下するので好ましくない。重量平均分子量が高すぎる場合は、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)を積層させる時に過剰な熱源を必要とする場合があり、好ましくない。また、成形法によっては高い温度が必要になるので、ポリカーボネート樹脂(a1)が高温にさらされることになり、その熱安定性に悪影響を及ぼすことがある。ポリカーボネート樹脂(a1)の重量平均分子量は、15,000〜75,000が好ましく、20,000〜70,000がより好ましい。さらに好ましくは25,000〜65,000である。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0032】
(高硬度樹脂(B)を含む層)
本発明に使用される高硬度樹脂(B)としては、樹脂(B1)、樹脂(B2)、樹脂(B3)、樹脂(B4)、および樹脂(B5)の少なくとも1つから選択される。
【0033】
<樹脂(B1)>
本発明に使用される樹脂(B1)とは、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と、下記一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)とを含む共重合樹脂であって、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)との合計割合が前記共重合樹脂の全構成単位の90〜100モル%であり、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)の割合が、前記共重合樹脂の全構成単位の65〜80モル%である共重合樹脂である。
【0034】
【化7】
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基である。)
【化8】
(式中、R3は水素原子又はメチル基であり、R4は炭素数1〜4の炭化水素基を有してもよいシクロヘキシル基である。)
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)において、R2は炭素数1〜18のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基などが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)のうち、好ましいのはR2がメチル基又はエチル基である(メタ)アクリル酸エステル構成単位であり、更に好ましいのはR1がメチル基であり、R2がメチル基であるメタクリル酸メチル構成単位である。
【0035】
前記一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位(b)としては、例えば、R3が水素原子又はメチル基で、R4がシクロヘキシル基又は炭素数1〜4の炭化水素基を有するシクロヘキシル基であるものが好ましく挙げられる。
前記脂肪族ビニル構成単位(b)のうち、より好ましいのはR3が水素原子であり、R4がシクロヘキシル基である脂肪族ビニル構成単位である。
【0036】
樹脂(B1)は、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)を1種又は2種以上含有していてもよく、前記脂肪族ビニル構成単位(b)を1種又は2種以上含有していてもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)と前記脂肪族ビニル構成単位(b)との合計割合は、前記共重合樹脂の全構成単位の合計に対して90〜100モル%であり、好ましくは95〜100モル%であり、より好ましくは98〜100モル%である。
すなわち、前記樹脂(B1)は、前記共重合樹脂の全構成単位の合計に対して10モル%以下の範囲で、前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)及び前記脂肪族ビニル構成単位(b)以外の構成単位を含有していてもよい。
【0037】
前記(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)及び前記脂肪族ビニル構成単位(b)以外の構成単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合した後に該芳香族ビニルモノマー由来の芳香族二重結合を水素化して得られた樹脂(B1)における、水素化されていない芳香族二重結合を含む芳香族ビニルモノマー由来の構成単位などが挙げられる。
また、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)の割合は、前記樹脂(B1)中の全構成単位の合計に対して65〜80モル%であり、好ましくは70〜80モル%である。樹脂(B1)中の全構成単位の合計に対する(メタ)アクリル酸エステル構成単位(a)の割合が65モル%未満であると、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)との密着性や表面硬度が低下し、実用的でない場合がある。また、80モル%を超えると、2段硬化性積層板の吸水による反りが発生し、実用的でない場合がある。
【0038】
樹脂(B1)の製造方法は、特に限定されないが、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと少なくとも1種の芳香族ビニルモノマーとを重合した後、該芳香族ビニルモノマー由来の芳香族二重結合を水素化して得られたものが好適である。なお、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を示す。
この際に使用される芳香族ビニルモノマーとしては、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、アルコキシスチレン、クロロスチレン、及びそれらの誘導体などが挙げられる。これらの中で好ましいのはスチレンである。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーの重合には、公知の方法を用いることができるが、例えば、塊状重合法や溶液重合法などにより製造することができる。
塊状重合法は、上記モノマー、重合開始剤を含むモノマー組成物を完全混合槽に連続的に供給し、100〜180℃で連続重合する方法などにより行われる。上記モノマー組成物は、必要に応じて連鎖移動剤を含んでもよい。
【0040】
重合開始剤は特に限定されないが、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過酸化ベンゾイル、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルプロポキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
連鎖移動剤は必要に応じて使用し、例えば、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
【0042】
溶液重合法に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
【0043】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーを重合した後の水素化反応に用いられる溶媒は、前記の重合溶媒と同じであっても異なっていてもよい。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
【0044】
上記のようにして(メタ)アクリル酸エステルモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合した後、該芳香族ビニルモノマー由来の芳香族二重結合を水素化することにより、本発明に用いられる樹脂(B1)が得られる。
水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、水素圧力3〜30MPa、反応温度60〜250℃でバッチ式あるいは連続流通式で行うことができる。温度を60℃以上とすることにより反応時間がかかり過ぎることがなく、また250℃以下とすることにより分子鎖の切断やエステル部位の水素化を起こすことが少ない。
【0045】
水素化反応に用いられる触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウムなどの金属又はそれら金属の酸化物あるいは塩あるいは錯体化合物を、カーボン、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、珪藻土などの多孔性担体に担持した固体触媒などが挙げられる。
【0046】
前記樹脂(B1)は、芳香族ビニルモノマー由来の芳香族二重結合の70%以上が水素化されたものであることが好ましい。即ち、芳香族ビニルモノマー由来の構成単位中の芳香族二重結合の未水素化部位の割合は30%以下であることが好ましい。30%を超える範囲であると樹脂(B1)の透明性が低下する場合がある。未水素化部位の割合は、より好ましくは10%未満の範囲であり、さらに好ましくは5%未満の範囲である。
【0047】
前記樹脂(B1)の重量平均分子量は、特に制限はないが、強度及び成型性の観点から、50,000〜400,000であることが好ましく、70,000〜300,000であることがより好ましい。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0048】
前記樹脂(B1)には、透明性を損なわない範囲で他の樹脂をブレンドすることができる。例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン(コ)ポリマー樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、各種エラストマーなどが挙げられる。
【0049】
前記樹脂(B1)のガラス転移温度は、110〜140℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度が110℃以上であることにより本発明で提供される2段硬化性積層板が熱環境あるいは湿熱環境において変形や割れを生じることが少なく、また、140℃以下であることにより鏡面ロールや賦形ロールによる連続式熱賦形、あるいは鏡面金型や賦形金型によるバッチ式熱賦形などの加工性に優れる。なお、本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量測定装置を用い、試料10mg、昇温速度10℃/分で測定し中点法で算出したときの温度である。
【0050】
<樹脂(B2)>
本発明に使用される樹脂(B2)とは、(メタ)アクリル酸エステル構成単位を6〜77質量%、スチレン構成単位を15〜71質量%、および不飽和ジカルボン酸構成単位を8〜23質量%含む樹脂共重合体(D)または樹脂共重合体(D)どおしのアロイである樹脂である。
【0051】
(メタ)アクリル酸エステル構成単位とは、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル等が挙げられ、特に単量体単位として、メタクリル酸メチルが好ましい。また、前記単量体単位を2種類以上含んだ共重合体でも良い。
スチレン構成単位とは、特に限定せず、任意の公知のスチレン系単量体を用いることが出来るが、入手の容易性の観点からスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、相溶性の観点からスチレンが特に好ましい。これらのスチレン系単量体は2種以上を混合しても良い。
【0052】
不飽和ジカルボン酸構成単位としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の酸無水物が挙げられ、ビニル系単量体との相溶性の観点から無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和ジカルボン酸無水物単量体は2種以上を混合しても良い。
【0053】
<樹脂(B3)>
本発明に使用される樹脂(B3)とは、ポリカーボネート樹脂(E)を95〜45質量%、および(メタ)アクリレート共重合体(F)を5〜55質量%含む樹脂であって、前記(メタ)アクリレート共重合体(F)が、芳香族(メタ)アクリレート単位(f1)とメタクリル酸エステル単量体単位(f2)とを質量比(f1/f2)で10〜50/40〜90含み、かつ、前記ポリカーボネート樹脂(E)の重量平均分子量が37,000〜71,000であり、前記(メタ)アクリレート共重合体(F)の重量平均分子量が5,000〜30,000である樹脂である。
ポリカーボネート樹脂(E)は、分子主鎖中に炭酸エステル結合を含む、−[O−R−OCO]−単位(Rが脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基の双方を含むもの、さらに直鎖構造あるいは分岐構造を持つもの)を含むものであれば特に限定されるものではない。
【0054】
本発明で使用される(メタ)アクリレート共重合体(F)は、芳香族(メタ)アクリレート単位(f1)とメタクリル酸エステル単量体単位(f2)からなる。なお、本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレートもしくはメタクリレートの事を指す。
【0055】
芳香族(メタ)アクリレート単位(f1)を構成する芳香族(メタ)アクリレートとは、エステル部分に芳香族基を有する(メタ)アクリレートのことを言う。芳香族(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。芳香族(メタ)アクリレート単位(f1)を有することで、芳香族ポリカーボネート樹脂と混合した成形体の透明性を向上させることができる。
【0056】
メタクリル酸エステル単量体単位(f2)を構成する単量体は、メチルメタクリレートである。メタクリル酸エステル単量体単位(f2)は、ポリカーボネート系樹脂と良分散する効果を有し、成形体表面へ移行するため成形体の表面硬度を向上させることができる。
【0057】
(メタ)アクリレート共重合体(F)は、芳香族(メタ)アクリレート単位(f1)10〜50質量%(好ましくは、20〜40質量%)、及びメタクリル酸エステル単量体単位(f2)40〜90質量%(好ましくは、60〜80質量%)を含有する(但し、(f1)と(f2)の合計は100質量%である)。(メタ)アクリレート共重合体(F)中の芳香族(メタ)アクリレート単位(f1)の含有率が10質量%以上であれば、(メタ)アクリレート共重合体(F)の高添加領域において透明性が維持され、50質量%以下であれば、ポリカーボネートとの相容性が高過ぎず、成形体表面への移行性が低下しないため、表面硬度が低下しない。
【0058】
(メタ)アクリレート共重合体(F)の重量平均分子量は、5,000〜30,000であり、10,000〜25,000が好ましい。重量平均分子量が5,000〜30,000であると、ポリカーボネートとの相溶性が良好であり、表面硬度の向上効果に優れる。
【0059】
本発明において、(メタ)アクリレート共重合体(F)とポリカーボネート樹脂(E)との組成比は、(F)成分が5〜55質量%に対して(E)成分が95〜45質量%である。好ましくは(F)成分が20〜50質量%に対して(E)成分が80〜50質量%である。更に好ましくは(F)成分が30〜50質量%に対して(E)成分が70〜50質量%である。この組成比内にすることにより、透明性を維持しつつ、表面硬度と耐衝撃性や吸水率といった諸物性のバランスがとれた高硬度樹脂(B)となる。
【0060】
本発明において、ポリカーボネート樹脂(E)の重量平均分子量は、(メタ)アクリレート共重合体(F)との混合(分散)のしやすさで決定される。つまり、ポリカーボネート樹脂(E)の重量平均分子量が大きすぎると、(E)成分と(F)成分との溶融粘度差が大きくなりすぎる為に、両者の混合(分散)が悪くなって透明性が悪化する、あるいは安定した溶融混練が継続できないといった不具合が起こる。逆に、ポリカーボネート樹脂(E)の重量平均分子量が小さすぎると、高硬度樹脂(B)を含む層の強度が低下するので、2段硬化性積層板の耐衝撃性が低下するといった問題が発生する。
ポリカーボネート樹脂(E)の重量平均分子量は、37,000〜71,000の範囲であり、好ましくは42,000〜68,000の範囲であり、より好ましくは48,000〜64,000の範囲である。なお、ポリカーボネート樹脂(E)および(メタ)アクリレート共重合体(F)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0061】
<樹脂(B4)>
本発明に使用される樹脂(B4)とは、全構成単位中の下記一般式(1)で表される構成単位の割合が91質量%以上である(メタ)アクリル酸エステル樹脂である。好ましくは、全構成単位中の下記一般式(1)で表される構成単位の割合が94〜100質量%である(メタ)アクリル酸エステル樹脂である。
【化9】
式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基である。R2は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。
【0062】
樹脂(B4)の重合には、公知の方法を用いることができるが、例えば、塊状重合法や溶液重合法などにより製造することができる。
塊状重合法は、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと重合開始剤を含むモノマー組成物を完全混合槽に連続的に供給し、100〜180℃で連続重合する方法などにより行われる。上記モノマー組成物は、必要に応じて連鎖移動剤を含んでもよい。
【0063】
重合開始剤は特に限定されないが、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過酸化ベンゾイル、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルプロポキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
連鎖移動剤は必要に応じて使用し、例えば、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
【0065】
溶液重合法に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、イソ酪酸メチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
【0066】
樹脂(B4)の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜500,000であり、より好ましくは50,000〜300,000である。
【0067】
<樹脂(B5)>
本発明に使用される樹脂(B5)とは、スチレン構成単位を5〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル構成単位を70〜90質量%、およびN−置換型マレイミド単量体を5〜20質量%含む樹脂共重合体(G)、または樹脂共重合体(G)と上記樹脂共重合体(D)とのアロイである樹脂である。
【0068】
樹脂共重合体(G)におけるN−置換型マレイミド単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−トリブロモフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド等が挙げられ、アクリル樹脂との相溶性の観点からN−フェニルマレイミドが好ましい。これらのN−置換型マレイミド単量体は2種以上を混合してもよい。
また、樹脂(B5)は、樹脂共重合体(G)と樹脂共重合体(D)とのアロイでも良い。
【0069】
スチレン構成単位とは、特に限定せず、任意の公知のスチレン系単量体を用いることが出来るが、入手の容易性の観点からスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、相溶性の観点からスチレンが特に好ましい。これらのスチレン系単量体は2種以上を混合しても良い。
【0070】
(メタ)アクリル酸エステル構成単位とは、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル等が挙げられ、特に単量体単位として、メタクリル酸メチルが好ましい。また、前記単量体単位を2種類以上含んだ共重合体でも良い。
【0071】
(樹脂積層板)
本発明において、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)の少なくとも1方の面に高硬度樹脂(B)を含む層を有する樹脂積層板の製造方法としては、特に限定されない。例えば、個別に形成した高硬度樹脂(B)を含む層と、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)とを積層して両者を加熱圧着する方法、個別に形成した高硬度樹脂(B)を含む層と、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)とを積層して、両者を接着剤によって接着する方法、高硬度樹脂(B)を含む層と、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)とを共押出成形する方法、予め形成しておいた高硬度樹脂(B)を含む層に、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)をインモールド成形して一体化する方法、などの各種方法があるが、製造コストや生産性の観点からは、共押出成形する方法が好ましい。
共押出の方法は特に限定されず、例えば、フィードブロック方式では、フィードブロックでポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)の片面に高硬度樹脂(B)を含む層を積層し、Tダイでシート状に押し出した後、成形ロールを通過させながら冷却し所望の樹脂積層板を形成する。また、マルチマニホールド方式では、マルチマニホールドダイ内でポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)の片面に高硬度樹脂(B)を含む層を積層し、シート状に押し出した後、成形ロールを通過させながら冷却し所望の樹脂積層板を形成する。
【0072】
また、本発明におけるポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)、及び高硬度樹脂(B)を含む層には、透明性を損なわない範囲で各種添加剤を混合して使用することができる。添加剤としては、例えば、抗酸化剤や抗着色剤、抗帯電剤、離型剤、滑剤、染料、顔料などが挙げられる。混合の方法は特に限定されず、全量コンパウンドする方法、マスターバッチをドライブレンドする方法、全量ドライブレンドする方法などを用いることができる。
高硬度樹脂(B)を含む層の厚さは、2段硬化性積層板の表面硬度や耐衝撃性に影響する。つまり、厚さが薄すぎると表面硬度が低くなり、好ましくない。厚さが大きすぎると耐衝撃性が悪くなり好ましくない。高硬度樹脂(B)を含む層の厚みは10〜250μmであり、30〜200μmが好ましく、60〜150μmがより好ましい。
【0073】
本発明において、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)と高硬度樹脂(B)を含む層との合計厚みは、2段硬化性積層板の高温高湿環境下に放置した後の反りに影響する。つまり、合計厚みが薄すぎると高温高湿環境下に放置した後の反りが大きくなり、合計厚みが厚すぎる時には高温高湿環境下に放置した後の反りが小さくなる。したがって、ポリカーボネート樹脂(a1)を含む樹脂層(A)と高硬度樹脂(B)を含む層との合計厚みは、100〜3,000μmであり、好ましくは120〜2,500μmであり、より好ましくは150〜2,000μmである。
【0074】
以下、本発明における被覆層(Z)を構成する各成分および熱・光重合方法について説明する。
【0075】
(被覆層(Z))
本発明における2段硬化性積層板の被覆層は、(メタ)アクリル系モノマー2〜98質量%、(メタ)アクリル系オリゴマー2〜98質量%および表面改質剤0〜15質量%を含み、更に、(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系オリゴマーと表面改質剤との総和100質量部に対して、0.001〜2.5質量部の光重合開始剤および0.001〜5質量部の熱重合開始剤を含む。
前記被覆層は、好ましくは、(メタ)アクリル系モノマーを5〜50質量%、(メタ)アクリル系オリゴマーを50〜95質量%および表面改質剤を1〜10質量%含み、より好ましくは、(メタ)アクリル系モノマーを20〜40質量%、(メタ)アクリル系オリゴマーを60〜80質量%および表面改質剤を2〜5質量%含む。
更に、前記被覆層は、前記(メタ)アクリル系モノマーと前記(メタ)アクリル系オリゴマーと前記表面改質剤との総和100質量部に対して、好ましくは、0.01〜2 質量部の光重合開始剤および0.01〜3質量部の熱重合開始剤を含み、より好ましくは、0.1〜1.5質量部の光重合開始剤および0.05〜2質量部の熱重合開始剤を含む。
【0076】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、分子内に(メタ)アクリロイル基が官能基として存在すればよく、1官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマーでも良い。
【0077】
1官能モノマーとしては(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが例示でき、2官能及び/又は3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物の具体例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ) アクリレート、トリプロピレングルコールジ(メタ) アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド付加物トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキシド付加物トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が例示できる。
【0078】
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、2官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー〔以下、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーという〕、2官能以上の多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー〔以下、多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーという〕、2官能以上の多官能エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー〔以下、多官能エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーという〕などが挙げられる。オリゴマーは1種または2種以上使用できる。
【0079】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応生成物等が挙げられる。多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオール類をポリイソシアネートと反応させて得られるイソシアネート化合物と1分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応生成物が挙げられる。
ウレタン化反応に用いられる1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0080】
ウレタン化反応に用いられるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのうち芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(例えば水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネートなどのジまたはトリのポリイソシアネート、あるいはジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネートが挙げられる。
ウレタン化反応に用いられるポリオール類としては、一般的に芳香族、脂肪族および脂環式のポリオールのほか、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が使用される。通常、脂肪族および脂環式のポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブチリオン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0081】
ポリエステルポリオールとしては、前記のポリオール類と多塩基性カルボン酸(無水物)との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸の具体的な化合物としては、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)トリメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとしてはポリアルキレングリコールのほか、前記ポリオールまたはフェノール類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオールが挙げられる。
【0082】
また、多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸(無水物)およびポリオールの脱水縮合反応により得られる。脱水縮合反応に用いられる多塩基性カルボン酸(無水物)としては(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、脱水縮合反応に用いられるポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブチリオン酸、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0083】
多官能エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる。ポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0084】
<表面改質剤>
本発明で使用される表面改質剤とは、レべリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、撥水撥油剤、無機粒子、有機粒子など被覆層(Z)の表面性能を変えるものである。
レべリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリアルキルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリアルキルシロキサン、アルキル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、変性ポリエーテル、シリコン変性アクリルなどが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステルモノグリセライド、グリセリン脂肪酸エステル有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤などが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、シリコン粒子銀粒子、ガラス粒子などが挙げられる。
有機粒子としては、例えば、アクリル粒子、シリコーン粒子などが挙げられる。
界面活性剤、撥水撥油剤としては、例えば、含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマーなどのフッ素を含有した界面活性剤が挙げられる。
【0085】
<重合開始剤>
本発明では、熱曲げ加工性と高鉛筆硬度の両立をポリカーボネート樹脂と高硬度樹脂の多層板の上に被覆層(Z)を設けることで達成した。被覆層(Z)に含有される重合開始剤として光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用し、重合反応工程で光照射工程と加熱工程とを併用する2段硬化を用いる。本発明で言う光重合開始剤は光ラジカル発生剤を指し、熱重合開始剤は熱ラジカル発生剤を指す。さらに、1段目として光硬化を行い、半硬化状態の被覆層を有する積層板に熱曲げ加工を行い、熱曲げ工程を加熱工程として用いることにより、均一な硬化が可能となる。つまり、積層板が平坦な形状で光照射をすることで、面内で均一な光硬化が行うことができ、さらに、形状変化中や変形後の硬化は熱で行うことにより均一な硬化が可能となる。これは、成形後に光照射して硬化する場合では成形品の影の影響で均一な光照射・硬化が出来にくいが、熱で硬化する場合は成形品の影の影響が出ないからである。
【0086】
<光重合開始剤>
本発明で使用することができる単官能光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン[ダロキュアー2959:メルク社製];α−ヒドロキシ−α,α' −ジメチルアセトフェノン[ダロキュアー1173:メルク社製];メトキシアセトフェノン、2,2' −ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン[イルガキュア−651]、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン系開始剤;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤;その他、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナートなどを例示することができる。
UV光(254nm)の照射出力が20mW/cm
2のメタルハライドランプを用いて紫外線照射後の被覆層(Z)の鉛筆硬度がF以上2H以下であることが好ましい。鉛筆硬度がF未満であると取扱いや熱曲げ時に傷等が入り、歩留まりが悪くなる等の不具合がある。一方で、鉛筆硬度が2H以上になると、熱曲げ加工時にクラックが入りやすくなる。
【0087】
<熱重合開始剤>
本発明で使用することができる熱重合開始剤には、アゾ化合物系の開始剤および有機過酸化物系の開始剤が挙げられる。
【0088】
アゾ化合物系の開始剤としては、例えば、2,2’−アゾイソブチロニトリル65℃(温度は、10時間半減温度を指す、以下同様)、1,1' −アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)88℃、2,2' −アゾビス{2−メチルブチロニトリル}67℃、1-[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムイミド、2,2' −アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2、2' −アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒロキシエチル)プロピオンアミド]、2、2' −アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、2,2' −アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)51℃、2,2' −アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)30℃、2,2' −アゾビスイソ酪酸ジメチル66℃、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]61℃、2,2' −アゾビス{2−メチル−N−[1、1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)110℃などを例示することができる。これらのうち10時間半減温度が80〜130℃であるものが好ましく、1,1' −アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、1-[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムイミドが好ましい。
【0089】
有機過酸化物系の開始剤としては例えば、ベンゾイルパーオキサイド74℃(温度は、10時間半減温度を指す、以下同様)、イソブチリルパーオキサイド、クミルペルオキシオクトエート65℃、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド116℃、ジ−t−ブチルパーオキサイド124℃、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド153℃、t−ブチルクミルパーオキサイド120℃などを例示することができる。これらのうち10時間半減温度が80〜130℃であるものが好ましく、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド116℃、t−ブチルクミルパーオキサイド120℃が好ましい。
【0090】
被覆層の膜厚としては、1μm以上40μm以下が望ましく、2μm以上10μm以下がより望ましい。膜厚が1μm未満であると、硬化後の鉛筆硬度が低くなり、膜厚が40μmを超えると、曲げ加工時にクラックが入りやすくなってしまう。なお、被覆層の膜厚は、断面を顕微鏡等で観察し、塗膜界面から表面までを実測することにより測定可能である。
【0091】
被覆層の密着性を向上させる目的で、塗布面の前処理を行うことがある。処理例として、サンドブラスト法、溶剤処理法、コロナ放電処理法、クロム酸処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン処理法、紫外線処理法、樹脂組成物によるプライマー処理法などの公知の方法が挙げられる。
【0092】
本発明における被覆層(重合性組成物)を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、メニスカスコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビートコート法、捌け法などが挙げられる。
【0093】
次に、本発明の2段硬化性積層板を用いて、曲げ形状を有する成形品を製造する方法について説明する。本発明の2段硬化性積層板は、1段目として光硬化を行い、半硬化状態の被覆層を有する積層板に熱曲げ加工を行い、熱曲げ工程を加熱工程として用いることにより、均一な硬化が可能となる。1段目として加熱による熱硬化を行い、曲げ加工後に光硬化を行うことも可能であるが、曲げ加工後に光硬化を行った場合、均一な光照射が困難で硬化ムラが生じやすいので好ましくない。以下に各工程について説明する。
【0094】
(光重合)
光照射に用いられるランプとしては、光波長420nm以下に発光分布を有するものが用いられ、その例としては低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられる。この中でも高圧水銀灯またはメタルハライドランプは開始剤の活性波長領域の光を効率よく発光し、得られる高分子の粘弾性的性質を架橋により低下させるような短波長の光や、反応組成物を加熱蒸発させるような長波長の光を多く発光しないために好ましい。
【0095】
上記ランプによる反応性組成物への照射強度は、得られるポリマーの重合度を左右する因子であり、目的製品の性能毎に適宜制御される。通常のアセトフェノン基を有する開裂型の開始剤を配合した場合、照度は0.1〜300mW/cm
2の範囲が好ましい。特に、メタルハライドランプを用いて照度を20mW/cm
2とすることが好ましい。
【0096】
本発明における光重合は、空気中の酸素または反応性組成物中に溶解する酸素により阻害される。そのため、光照射は酸素の反応阻害を消去し得る手法を用いて実施されねばならない。その手法の1つとして、反応性組成物をポリエチレンテレフタレートやテフロン製のフィルムによって覆い酸素との接触を断ち、光はこのフィルムを通して該組成物へ照射する方法がある。また、窒素ガスや炭酸ガスのような不活性なガスにより酸素を置換した雰囲気において、光透過性の窓を通して組成物に光を照射してもよい。
【0097】
光照射をイナートゾーンにおいて行なう場合、その雰囲気酸素濃度を低レベルに保つために、このゾーンに常に一定量の不活性ガスが導入される。この導入ガスにより、反応性組成物表面には気流が発生しモノマー蒸発が起こる。この蒸発レベルを低く抑制するのに必要な気流速度は、このゾーン内を基材と共に移動される該組成物との相対速度が1m/sec 以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1m/sec 以下である。気流速度を0.1m/sec 程度にするならば気流による蒸発は実質的に抑えられる。
【0098】
(加熱硬化)
本発明で加熱硬化とは、本発明の2段硬化性積層板の被覆層(Z)における未反応のアクリロイル基を加熱により重合する事(熱重合)を言う。光重合にて重合反応しきらなかったアクリロイル基を熱ラジカル重合開始剤により更に重合を進める。
2段硬化性積層板への熱の与え方は、熱成形プロセスにおける加熱でも良く、それに加えで加熱処理を行ってもよい。
熱成形プロセスでは、例えば熱プレス成形であると、100℃〜130℃の温度で、成形時間は板の厚さにもよるが3分〜20分で行うのが好ましい。
圧空成形や真空成形であれば、板を170〜190℃に加熱した後で10秒〜3分の範囲で成形を行うのが好ましい。
また、熱成形プロセスの後の加熱処理は、90〜110℃にて30分〜3時間ほど行うのが好ましい。
【実施例】
【0099】
実施例1
<樹脂積層板(Y1)を有する2段硬化性積層板の作製方法>
軸径35mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて樹脂積層板を成形した。具体的には、軸径35mmの単軸押出機に高硬度樹脂(B1)として、一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル構成単位はR1およびR2が共にメチル基のもの、一般式(2)で表される脂肪族ビニル構成単位はR3が水素原子で、R4がシクロヘキシル基のもの((メタ)アクリル酸エステル構成単位は75モル%、脂肪ビニル構成単位は25モル%であり、重量平均分子量は120,000)を用いた。
樹脂(B1)を連続的に導入し、シリンダ温度240℃、吐出速度2.6kg/hの条件で押し出した。また、軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)を連続的に導入し、シリンダ温度280℃、吐出速度50.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度270℃として高硬度樹脂とポリカーボネート樹脂を導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度120℃、130℃、190℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、高硬度樹脂を含む層とポリカーボネート樹脂を含む層との樹脂積層板(Y1)を得た。得られた樹脂積層板(Y1)の厚みは1.2mm、高硬度樹脂(B1)を含む層の厚みは中央付近で60μmであった。
【0100】
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製〔化合物名:2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)〕10時間半減温度110℃)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて上記で得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて光重合した2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。得られた光重合した2段硬化性積層板に対して以下の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0101】
<虹目不良現象の評価>
フナテック(株)製干渉縞検査ランプ(FNA−35)にて上記光重合した2段硬化性積層板の干渉縞の強度を評価した。目視にて干渉縞が見ない場合を○、見える場合を×とした。
【0102】
<成形後クラックの評価>
天面Rが10mm、角Rが10mm、高さ4mmの熱プレス用金型にて上記光重合した2段硬化性積層板を成形後、目視にてクラックの有無を確認した。
【0103】
<保管安定性の評価>
上記光重合した2段硬化性積層板を50℃の乾燥機で300時間放置した後、天面R10mm、角R10mm、高さ4mmの金型を用いて熱プレス機にて加熱成形し、熱重合した2段硬化性積層板にクラックが入っているかどうかを確認した。クラックが入っていなければ○、クラックが入っていれば×とした。熱プレス成形温度は125℃で、プレス時間は3分とした。
【0104】
<加熱処理(熱重合)前後での鉛筆硬度>
上記光重合した2段硬化性積層板を加熱処理(実施例3、4、比較例3、4では熱プレス成形のみ、実施例1、2、5〜11、比較例1、2、5では熱プレス成形に加えて加熱アニーリング処理)の前後でJIS K 5600−5−4に準拠した鉛筆ひっかき硬度試験にて評価した。被覆層(Z)の表面に対して角度45度、荷重750gで次第に硬度を増して鉛筆を押し付け、きず跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度として評価した。加熱処理後の硬度が3H以上を合格とした。熱プレス成形温度は125℃でプレス時間は3分とした。アニーリング処理は熱プレス成形した2段硬化積層板を110℃のオーブンにて1時間行った。
【0105】
実施例2
実施例1と同様に、樹脂積層板(Y1)を作製した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA: 官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕)を2質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0106】
実施例3
実施例1と同様に、樹脂積層板(Y1)を作製した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA: 官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9 −ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕)を0.5質量部、
・熱重合開始剤:1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(和光純薬(株)製、10時間半減温度88℃)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、窒素雰囲気化でメタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0107】
実施例4
実施例1と同様に、樹脂積層板(Y1)を作製した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA: 官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9 −ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(和光純薬(株)製、10時間半減温度88℃)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0108】
実施例5
実施例1と同様に、樹脂積層板(Y1)を作製した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕を1質量部、
・熱重合開始剤:t−ブチルクミルパーオキサイド(日油(株)製、10時間半減温度120℃)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0109】
実施例6
<樹脂積層板(Y1−2)を有する2段硬化性積層板の作製方法>
実施例1で使用した高硬度樹脂(B1)の吐出速度を4.8kg/hとし、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)の吐出速度を35kg/hとした以外は、実施例1と同様にして高硬度樹脂(B1)を含む層とポリカーボネート樹脂を含む層との樹脂積層板(Y1-2)を得た。
得られた樹脂積層板(Y1-2)の厚みは0.5mm、高硬度樹脂(B1)を含む層の厚みは中央付近で60μmであった。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1−2)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0110】
実施例7
<樹脂積層板(Y2)を有する2段硬化性積層板の作製方法>
軸径35mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて樹脂積層板を成形した。具体的には、軸径35mmの単軸押出機に高硬度樹脂(B2)としてメタクリル酸メチル77質量%、スチレン15質量%、無水マレイン酸8質量%の共重合体からなる樹脂(ダイセルエボニック製PLEXIGLAS hw55)を連続的に導入し、シリンダ温度230℃、吐出速度2.6kg/hの条件で押し出した。また、軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)を連続的に導入し、シリンダ温度280℃、吐出速度50.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度270℃として高硬度樹脂とポリカーボネート樹脂を導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度120℃、130℃、190℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、高硬度樹脂を含む層とポリカーボネート樹脂を含む層との樹脂積層板(Y2)を得た。得られた樹脂積層板(Y2)の厚みは1.2mm、高硬度樹脂(B2)を含む層の厚みは中央付近で60μmであった。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y2)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0111】
実施例8
<樹脂積層板(Y3)を有する2段硬化性積層板の作製方法>
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、商品名:ユーピロンE−2000、重量平均分子量=28,000)(E)58.95質量%、(メタ)アクリレート共重合体(三菱レイヨン社製、商品名:メタブレンH−880、重量平均分子量=14,000、芳香族(メタ)アクリレート単位(f1)とメタクリル酸エステル単量体単位(f2)とを質量比(f1/f2)=34/66)(F)40質量%、リケマールH−100(理研ビタミン)0.2質量%、Irganox1010(BASF社製)0.1質量%、PEP36(ADEKA)製0.05質量%、およびTinuvin1600(BASF社製)0.7質量%をスクリュー径26mmの押し出し機(東芝機械製、TEM−26SS、L/D≒40)で240℃で溶融混練して高硬度樹脂(B3)を得た。
軸径35mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて樹脂積層板を成形した。具体的には、軸径35mmの単軸押出機に高硬度樹脂(B3)を連続的に導入し、シリンダ温度230℃、吐出速度2.6kg/hの条件で押し出した。また、軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)を連続的に導入し、シリンダ温度280℃、吐出速度50.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度270℃として高硬度樹脂とポリカーボネート樹脂を導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度120℃、130℃、190℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、高硬度樹脂を含む層とポリカーボネート樹脂を含む層との樹脂積層板(Y3)を得た。得られた樹脂積層板(Y3)の厚みは1.2mm、高硬度樹脂(B3)を含む層の厚みは中央付近で60μmであった。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y3)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は、8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0112】
実施例9
<樹脂積層板(Y4)を有する2段硬化性積層板の作製方法>
軸径32mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて樹脂積層板を成形した。具体的には、軸径32mmの単軸押出機に高硬度樹脂(B4)としてアクリル樹脂(クラレ(株)製、商品名:パラペットHR−1000L、一般式(1)のR1が水素またはメチル基、R2がメチル基)を連続的に導入し、シリンダ温度250℃、吐出速度2.6kg/hの条件で押し出した。また、軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)を連続的に導入し、シリンダ温度270℃、吐出速度32.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度270℃として高硬度樹脂とポリカーボネート樹脂を導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度110℃、140℃、185℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、高硬度樹脂を含む層とポリカーボネート樹脂を含む層との樹脂積層板(Y4)を得た。得られた樹脂積層板(Y4)の厚みは0.8mm、高硬度樹脂(B4)を含む層の厚みは中央付近で60μmであった。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y4)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0113】
実施例10
<樹脂積層板(Y4−2)を有する2段硬化性積層板の作製方法>
軸径50mmの単軸押出機と、軸径100mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて樹脂積層板を成形した。具体的には、軸径50mmの単軸押出機に高硬度樹脂(B4)としてアクリル樹脂(クラレ(株)製、商品名:パラペットHR−1000L)を連続的に導入し、シリンダ温度250℃、吐出速度57kg/hの条件で押し出した。また、軸径100mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)を連続的に導入し、シリンダ温度280℃、吐出速度147kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度320℃として高硬度樹脂とポリカーボネート樹脂を導入し積層した。その先に連結された温度320℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度125℃、95℃、1110℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、高硬度樹脂を含む層とポリカーボネート樹脂を含む層との樹脂積層板(Y4−2)を得た。得られた樹脂積層板(Y4−2)の厚みは0.125mm、高硬度樹脂(B4)を含む層の厚みは中央付近で40μmであった。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料30質量部を溶剤メチルエチルケトン70質量部に溶解し、バーコーターにて得られた樹脂積層板(Y4−2)に塗布した後、80℃に設定した乾燥器に1分間投入し溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下でメタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は4μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0114】
実施例11
<樹脂積層板(Y5)を有する2段硬化性積層板の作製方法>
軸径35mmの単軸押出機と、軸径65mmの単軸押出機と、全押出機に連結されたフィードブロックと、フィードブロックに連結されたTダイとを有する多層押出装置を用いて樹脂積層板を成形した。具体的には、軸径35mmの単軸押出機に高硬度樹脂(B5)として、スチレン7質量%、メタクリル酸メチル86質量%、およびN−フェニルマレイミド7質量%の共重合体からなる樹脂(旭化成ケミカル製、商品名:デルペット PM120N)を連続的に導入し、シリンダ温度230℃、吐出速度2.6kg/hの条件で押し出した。また、軸径65mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)を連続的に導入し、シリンダ温度280℃、吐出速度62.0kg/hで押し出した。全押出機に連結されたフィードブロックは2種2層の分配ピンを備え、温度270℃として高硬度樹脂とポリカーボネート樹脂を導入し積層した。その先に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度120℃、130℃、190℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、高硬度樹脂を含む層とポリカーボネート樹脂を含む層との樹脂積層板(Y5)を得た。得られた樹脂積層板(Y5)の厚みは1.5mm、高硬度樹脂(B5)を含む層の厚みは中央付近で60μmであった。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・CN968:6官能アクリレートオリゴマー(サートマー(株)製)55質量%、
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(共栄社化学(株)製)15質量%、
・ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製)25質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y5)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は6μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0115】
比較例1
<単層樹脂板の作製方法>
軸径65mmの単軸押出機に連結されたTダイを有する押出成形機を用いて樹脂板を成形した。具体的には、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000)を上記押し出し機に連続的に導入し、シリンダ温度270℃、吐出速度32.0kg/hで押し出した。押出機に連結された温度270℃のTダイでシート状に押し出し、上流側から温度110℃、140℃、185℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、ポリカーボネート樹脂の単層板を得た。得られた積層板の厚みは0.8mmであった。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた単層板に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0116】
比較例2
<単層樹脂フィルム>
厚さ0.1mmのポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:コスモシャインPET A4300)を使用した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・フッ素系レべリング剤5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株)製〔化合物名:1−ヒドロキシ− シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:VAm−110(和光純薬(株)製)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料30質量部を溶剤メチルエチルケトン70質量部に溶解し、バーコーターにて上記ポリエステルフィルムに塗布した後、80℃に設定した乾燥器に1分間投入し溶剤を乾燥させた。その後、窒素雰囲気下でメタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は4μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0117】
比較例3
実施例1と同様に、樹脂積層板(Y1)を作製した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA: 官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9 −ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株) 製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:2,2’−アゾイソブチロニトリル(和光純薬(株)製、10時間半減温度65℃)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0118】
比較例4
実施例1と同様に、樹脂積層板(Y1)を作製した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA: 官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9 −ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株) 製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:ベンゾイルパーオキサイド(日油(株)製、10時間半減温度74℃)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0119】
比較例5
実施例1と同様に、樹脂積層板(Y1)を作製した。
被覆層(Z)を形成する材料として、
・U6HA: 官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業(株)製)60質量%、
・#260:1,9 −ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)35質量%、および
・RS−90:含フッ素基・親水性基・親油性基・UV反応性基含有オリゴマー(DIC(株)製)5質量%の混合物100質量部に対して、
・光重合開始剤:I−184(BASF(株) 製〔化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕)を1質量部、
・熱重合開始剤:ブチルハイドロパーオキサイド(日油(株)製、10時間半減温度153℃)を2質量部添加して撹拌し、被覆層形成材料を作製した。
この被覆層形成材料をバーコーターにて得られた樹脂積層板(Y1)に塗布し、メタルハライドランプ(20mW/cm
2)に5秒間当てて硬化させて2段硬化性積層板を作製した。被覆層(Z)の膜厚は8μmであった。
実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0120】
【表1】