特許第6883074号(P6883074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6883074電池、具体的にはボタン電池、およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883074
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】電池、具体的にはボタン電池、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/183 20210101AFI20210531BHJP
【FI】
   H01M2/08 W
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-156294(P2019-156294)
(22)【出願日】2019年8月29日
(65)【公開番号】特開2020-43063(P2020-43063A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年8月29日
(31)【優先権主張番号】18193252.6
(32)【優先日】2018年9月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】オルガ・ライナウアー
【審査官】 原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−137214(JP,A)
【文献】 特開昭60−182656(JP,A)
【文献】 特開昭58−080264(JP,A)
【文献】 特開昭54−071332(JP,A)
【文献】 スイス国特許出願公開第00713316(CH,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10−50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池、具体的にはボタン電池(1)を製造する方法であって、前記ボタン電池(1)は、
−容器(4)とキャップ(3)とを備えるケース(2)と、
−ポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなる重合体ガスケット(5)であって、前記容器と前記キャップとの間で圧縮され、前記ケースに結合されて、前記ケースを密封し、前記容器を前記キャップからガルバニック絶縁する重合体ガスケットと、
を備え、
前記方法は、
−前記ケースと結合することを意図する前記重合体ガスケット(5)の表面のすべてまたはその一部を摩擦化学サンドブラスティングすることによって、シリカで被覆されたアルミナ粒子を埋め込み、前記重合体ガスケットの表面のすべてまたは一部上にシリカ被覆層(7)を形成するステップと、
−接着層(6)を、前記シリカ被覆層(7)を備える前記重合体ガスケット(5)の表面に、および/または前記容器(4)の表面のすべてまたは一部に、および/または前記重合体ガスケットに結合されることを意図する前記キャップ(3)の表面に追加するステップと、
−前記ケース(2)を前記重合体ガスケット(5)と組み立てるステップであって、前記重合体ガスケット(5)は圧縮によって前記容器(4)と前記キャップ(3)との間に配置され、前記ケースに前記接着層(6)によって結合されるステップと、
を連続して含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、シリカ被覆層(7)を埋め込む前記ステップと、接着層(6)を追加する前記ステップとの間に、前記シリカ被覆層(7)と化学結合するシラン基を備える接着促進剤(8)の層を蒸着するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の製造方法であって、前記接着層(6)は前記追加ステップ中に液体であることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の製造方法であって、前記接着層(6)はエポキシ、アクリレートまたはポリウレタン接着剤で形成されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の製造方法であって、前記接着層(6)はアクリレート接着剤で形成され、前記接着促進剤(8)は前記接着層(6)に1または複数の結合剤によって結合することを意図する官能基を含み、具体的には前記基は、イオンまたは共有型の相互作用を備える基、およびファンデルワールス力または水素結合などの弱い分子間相互作用を備える基から選択され、前記接着促進剤(8)はアクリレート官能基を備え、前記アクリレート接着剤と組み合わせて用いられることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の製造方法であって、前記接着層(6)はエポキシ接着剤で形成され、前記接着促進剤(8)は前記接着層(6)に1または複数の結合剤によって結合することを意図する官能基を含み、具体的には前記基は、イオンまたは共有型の相互作用を備える基、およびファンデルワールス力または水素結合などの弱い分子間相互作用を備える基から選択され、前記接着促進剤(8)はアミン官能基を備え、前記エポキシ接着剤と組み合わせて用いられることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の製造方法であって、シリカ被覆層(7)を埋め込む前記ステップは、シリカで被覆されたアルミナ粒子を用いて摩擦化学サンドブラスティングによって実施され、前記アルミナ粒子は10μmから100μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の製造方法であって、シリカ被覆層(7)を埋め込む前記ステップは、シリカで被覆されたアルミナ粒子を用いて摩擦化学サンドブラスティングによって実施され、前記アルミナ粒子は20μmから40μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれかに記載の製造方法であって、前記容器(4)の表面のすべてまたは一部および前記ガスケット(5)に結合されることを意図する前記キャップ(3)の表面のすべてまたは一部もまた、前記接着層(6)を追加するステップの前に、シリカで被覆されたアルミナ粒子を用いて摩擦化学サンドブラスティングを受けることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項2、5、または6に記載の製造方法、または請求項2に従属する請求項3、4、7、8またはに記載の製造方法であって、前記容器(4)の表面のすべてまたは一部および前記ガスケット(5)に結合されることを意図する前記キャップ(3)の表面のすべてまたは一部もまた、前記接着層(6)を追加するステップの前に、接着促進剤(8)の層を蒸着するステップを受けることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の製造方法であって、前記重合体ガスケット(5)はポリプロピレン、ポリエチレンからなり、またはポリプロピレンとポリエチレン共重合体からなることを特徴とする、方法。
【請求項12】
電池、具体的にはボタン電池(1)であって、
−容器(4)とキャップ(3)とを備えるケース(2)と、
−ポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなる重合体ガスケット(5)であって、前記容器と前記キャップとの間で圧縮され、接着層(6)によって前記ケースに結合されて、前記ケースを密封し、前記容器を前記キャップからガルバニック絶縁する重合体ガスケットと、
を備え、
前記電池は、前記重合体ガスケット(5)がその表面のすべてまたは一部に埋め込まれたシリカ被覆層(7)を備えることを特徴とし、前記シリカ被覆層は、前記重合体ガスケット(5)と前記接着層との接着を改善するために、少なくとも部分的に前記接着層(6)の下部に配置される、電池。
【請求項13】
請求項12に記載の電池であって、接着促進剤(8)の層は前記シリカ被覆層(7)と前記接着層(6)との間に挿入されて、前記シリカ被覆層(7)と前記接着層とを化学結合することを特徴とする、電池。
【請求項14】
請求項12または13に記載の電池であって、前記シリカ被覆層(7)はシリカで被覆されたアルミナ粒子の層から形成され、前記アルミナ粒子の層は前記重合体ガスケット(5)の表面のすべてまたは一部に、50μm未満、または実質的に50μmに等しい平均的な厚さで埋め込まれることを特徴とする、電池。
【請求項15】
請求項14に記載の電池であって、前記シリカ被覆層(7)は非連続性であることを特徴とする、電池。
【請求項16】
請求項12から請求項15のいずれかに記載の電池であって、前記重合体ガスケット(5)はポリプロピレン、ポリエチレンからなり、またはポリプロピレンとポリエチレン共重合体からなることを特徴とする、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池、具体的にはボタン電池を製造する方法に関する。本発明はさらに、前述の製造方法によって得られる電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電池は一般に、容器およびキャップを備えるケースを含む。容器およびキャップはそれぞれ電池の正極および負極を形成する。従来、ボタン電池は容器とキャップとの間に圧縮によって配置される重合体ガスケットによって密封される。この重合体ガスケットによって、正極と負極の間にガルバニック絶縁が実現し、電池に含有される電解液とおよび外部環境との間に障壁が形成される。ただし、この障壁は完全には不浸透性ではない。一定の条件下、たとえば過剰な湿度がある場合は、蒸気はガスケットとケースとの間の接合面を介して電池内に侵入可能である。その結果として、電池が早期に劣化し、したがって電池の寿命が短くなる。
【0003】
電池のケースに対するガスケットの接着を改良するための解決法が存在する。ある解決法はガスケットを接着剤で被覆することからなり、それによってガスケットが押圧される容器およびキャップのそれぞれの表面に対してガスケットは結合する。ただし、ガスケットと接着剤との接着は、電池の内部と外部との間で流体が循環することを防ぐには十分でないことが多い。本発明の範囲内では、主要な問題は、当業者が推測的に考慮していたようにケースを形成する金属への接着剤の接着が悪いことから生じるのではなく、むしろ、接着剤とガスケットとの接合面での接着が悪いことから生じることが分かった。より具体的には、電池と一体化されるガスケットに広く用いられているポリプロピレンなどの一定の重合体の表面エネルギーが低いため、接着剤がガスケットに適切に接着することができない。
【0004】
一般に、プラズマまたはコロナ処理によってこれらの重合体の表面エネルギーが増加し、したがって濡れ性が増加することが提案されてきた。ただし、これらの処理は一定の欠点を有する。コロナ処理は耐久性が相対的に低いという欠点がある。より具体的には、処理された表面は約24時間という時間尺で改善された接着特性を失う。したがって重合体を処理し、その後すぐに結合することが必要であり、さもなければ接着剤の重合体への接着が十分ではなくなる。プラズマ処理には、特別な環境(真空、アルゴンまたは酸素)で高額な機器が必要となる。さらに、排気の際に、処理された表面はその特徴の一部も失う。
【0005】
このように、今までの研究の努力にもかかわらず、簡潔かつ安価な様式で電池を密封する問題を克服可能な完全に満足が行く解決法は見つかっていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、電池、より具体的には、結合された高分子ガスケットを含むボタン電池の密封を改善可能な、電池の新しい製造方法に関する。
【0007】
そのために、本発明による製造方法は接着層を追加するステップの前に、シリカ被覆層を摩擦化学サンドブラスティングによって、電池のケースに接着層によって結合されることを意図するガスケットの表面の少なくとも一部分上に埋め込むことからなるステップを含む。このシリカ被覆処理によって、ガスケットの表面エネルギーが増加し、したがって、ガスケットに対する接着剤の濡れ性が増加する。これによって、ガスケットに対する接着剤の接着が良くなり、電池の密封が改善された最終製品が製造される。コロナまたはプラズマ処理と比較すると、摩擦化学サンドブラスティングは、処理された表面に持続性のある強化された濡れ性をもたらし、1か月の経時後にも濡れ性の顕著な変化は観測されない。さらに、摩擦化学サンドブラスティングは、高額な機器を用いずに空気中で使用可能であるという別の有利点も有する。
【0008】
本発明はしたがって、請求項1で定義する、電池、具体的にはボタン電池を製造する方法に関する。
【0009】
本発明による方法の有利な実施形態によると、本製造方法はさらに、シリカ被覆層を埋め込むステップと、接着層を蒸着するステップとの間に、接着促進剤を蒸着するステップを含む。具体的には、接着促進剤は、シリカ被覆層と化学結合を形成するシランと、蒸着された接着剤と特に反応するように、接着剤に応じて選択される別の化学的機能を備える。このように、持続性のある化学結合は、ケースの複数の組み立て面と、それらの組み立て面の間に配置される接着剤との間に生成され、電池に対して強力な結合と密封を形成する。
【0010】
本発明のその他の特徴および有利点は、添付図を参照して、非限定的な例として提供される好ましい実施形態の以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の製造方法によって処理され、結合された重合体ガスケットを用いて密封されたキャップおよび容器を有するケースを備えるボタン電池を半分に切断した断面図を示す。
図2】本発明による方法によって重合体ガスケットの表面に埋め込まれた、または蒸着された異なる層を図式的に例示する。
図3】ポリプロピレンプレートの表面エネルギーを示すグラフであり、それぞれ表面処理のない場合(参照)、本発明による摩擦化学サンドブラスティング後に官能基化処理を行う場合(シリカ被覆処理(Silic.)+促進剤(Promo.))または行わない場合(シリカ被覆処理)、従来のサンドブラスティング後に官能基化処理を行う場合(サンドブラスティング(SB)+促進剤)または行わない場合(サンドブラスティング)を示す。
図4】放電中の電池の内部抵抗を示すグラフであり、それぞれ40℃、残留湿度90%未満で18週間の経時処理後と、−10℃と+60℃との間で変動する温度サイクルで18週間の経時処理後の場合を示す。結果は、本発明によってシリカで被覆され、官能基化されたガスケット(シリカ被覆処理+促進剤)を備える電池および標準ガスケットを備える電池(参照)に対して示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は電池を製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、電池のケースの容器とキャップとの間が密封されたアセンブリを得るために実装されるステップに関する。本発明はさらに電池に関し、具体的には本製造方法によって製造されるボタン電池に関する。
【0013】
図1に示すボタン電池1は、キャップ3と容器4から形成されるケース2を含む。キャップ3と容器4はそれぞれ、電池の負極および正極を形成する。従来、ケース2は、キャップ3と容器4との間に圧縮されることによって配置される重合体ガスケット5を含む。この重合体ガスケットは、好ましくはポリプロピレンからなるが、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体からなってもよく、またはその他のポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなってもよい。重合体ガスケットはキャップ3および容器4に接着層6によって結合される。接着層6は、好ましくはガスケット5の全表面にわたって延在する。
【0014】
本発明によれば、製造方法の間に、ガスケットの表面の一部または好ましくはすべてが、結合前に摩擦化学サンドブラスティングによって処理され、状況に応じて官能基化されて、ガスケットと接着層との間の接着を改善し、したがって、電池ケースの密封を改善する。図1の代替的な実施形態によれば、ガスケット5の全表面はシリカ被覆処理を受け、状況に応じて官能基化される。別の代替的な実施形態によれば、容器と結合されることを意図するガスケットの面、およびケースの底部(すなわちケースが閉鎖される位置)のキャップのみを処理することも考えられる。別の電池構成では、この閉鎖区域はケースの上部に配置されてもよい。この場合には、処理されることが好ましいのはケースの上部の区域となる。
【0015】
図2に示すように、ガスケット5の表面はまず、摩擦化学サンドブラスティングを受ける。これは、シリカ被覆とも呼ばれ、シリカとも呼ばれる二酸化ケイ素で被覆されたアルミナ粒子を表面に吹きかけて磨くことからなる。一般に、平均的な粒子の粒径は、10μmから100μmの範囲であり、好ましくは20μmから40μmの範囲である。摩擦化学サンドブラスティングによって、表面粗さが増加し、シリカ被覆層7が蒸着可能となる。シリカ被覆層7は緻密層の形で存在し、ガスケットの表面上に一定の厚さでガスケットに埋め込まれる粒子を含む。この層は相対的に非連続的であり、処理されたガスケット5の表面にしっかりと固定される個々の粒子から形成される。粒子はガスケットの表面に侵入し、その平均的な厚さは一般に50μm未満か、または実質的に50μmに等しい。
【0016】
以下一例として示すように、シリカ被覆処理によって、重合体ガスケットの表面エネルギーは顕著に増加し、したがって、ガスケットの接着剤の濡れ性も顕著に増加する。このシリカ被覆処理は、利用可能なサンドブラスティング機器に応じて当業者が容易に決定可能である圧力下および時間条件下で実施される。
【0017】
状況に応じて、摩擦化学サンドブラスティング後に、接着促進剤8は化学結合剤および官能基化剤として機能可能である。接着促進剤8はガスケット5の表面に固定されたシリカ被覆層7に蒸着される。有利には、接着促進剤はシランを備える。シランのアルコキシル官能基は、シリカ被覆層との化学結合を形成することを意図する。接着促進剤はさらに、別の有機官能基、たとえば、アクリレート、アミン、エポキシ、アルキル、アセトキシ、アリール、グリコール、メルカプト、メタクリル、ビニルなどを備える。これらの有機官能基は、イオンまたは共有結合の型の強力結合およびファンデルワールス相互作用タイプ、水素結合などの低相互作用から選択された1または複数の結合によって接着剤と結合することを意図する。官能性は、選択された接着剤に適合するように選択されなければならない。したがって、たとえば、接着剤がアクリレート接着剤のとき、アクリレート基を備える接着促進剤が優先される。ただし、接着剤がエポキシ接着剤であるとき、アミン基を備える接着促進剤が優先される。接着促進剤および接着剤はまた、電池の内部および外部に用いられる素材との化学的適合性に応じて選択される。
【0018】
最後に、接着層6が従前に処理されたガスケット5の表面上に、および/またはガスケットに結合されることを意図するケースの表面上に蒸着される。アクリレートまたはエポキシ接着剤についてすでに述べたが、別の接着剤、1つあげるとすると、具体的にはポリウレタン接着剤を用いることも可能である。好ましくは、これらの接着剤は液体接着剤であり、ガスケットを浸した後に乾燥することによって被覆することができる。
【0019】
最後に、摩擦化学サンドブラスティングによって処理され、場合によっては官能基化された表面上の接着剤の濡れ性が改善される。ガスケットと接着剤との接着も、したがって改善される。接着促進剤がある場合には、ガスケットのシリカ被覆層の固定は、一方ではシリカ被覆層と接着促進剤との化学結合と組み合わせて、他方では、接着促進剤と接着剤との相互作用と組み合わせて、接着剤とガスケットとの間で強力かつ持続性のある結合を生成する。
【0020】
さらに、本発明は、ガスケットに結合することを意図するケース表面の追加処理を除外しないことは明白である。ケース表面はシリカ被覆および官能基化処理を受けることもあり、またはシリカ被覆または官能基化処理のいずれかのみを受けることもある。
【0021】
本発明による方法の有利点を、以下の非限定的な実施例によって例示する。
【0022】
実施例
ポリプロピレンガスケットの表面エネルギーに対するシリカ被覆の影響を、接触角測定を用いて判断した。電池部品の劣化に対するシリカ被覆および官能基化の影響も判断した。
【0023】
重合体の表面エネルギーに対するシリカ被覆の影響(図3
シグマアルドリッチ社が販売する市販のポリプロピレン(PP)の表面エネルギーの計算は、PP上の2つの液体(水およびジヨードメタン)の接触角測定に基づいてOwens−Wendt−Rabel−Kaelble(OWRK)法によって求めた。5つの試料を調整した。
−PPからなる参照試料、図3に参照と示す。
−2つの比較試料。1つはPPからなり、標準サンドブラスティングを受けた試料であり、サンドブラスティングと示す。もう1つはPPからなり、同一のサンドブラスティングを受けた後、接着促進剤で官能基化された試料であり、サンドブラスティング+接着促進剤と示す。
−本発明による2つの試料。1つはPPからなり、シリカ被覆を受けた試料である(シリカ被覆と示す)。もう1つはPPからなり、シリカ被覆の後に比較試料と同一の接着促進剤で官能基化された試料である(シリカ被覆+接着促進剤と示す)。
【0024】
摩擦化学サンドブラスティングは、3MTM ESPETMによるCoJet PrepTMマイクロブラスターで30μmの平均的な粒径を有するコジェットサンドTMを用いて5バールの圧力下で実施された。比較実験で用いた従来のサンドブラスティングは、つまり、表面荒さを生成することを意図するがシリカ被覆層の埋め込みを伴わないサンドブラスティングであり、類似した平均的な粒径36.5μmを有する砂(F280の砂)を用いて実施された。試験に用いた接着促進剤は、シランおよびアミン基(スウォッチグループR&D、高分子部門によるAsusil)を含む。
【0025】
図3の結果から、シリカ被覆は単独で、または接着促進剤と組み合わせて、参照試料と比較して3倍の値まで顕著に表面エネルギーを増加することが分かる。図3の結果から、シリカ被覆層を埋め込まず、その後に接着促進剤を蒸着させない場合は、標準サンドブラスティングによる表面粗さの増加は表面エネルギーに何の効果もないことがさらに分かる。これらの結果から、摩擦化学サンドブラスティングによるシリカ被覆層の埋め込みによって、ポリプロピレン表面の濡れ性が増強され、その結果として接着剤のガスケット上への分布が改善され、最終的には結合によって組み立てられるケースの部分間の密封が改善されると結論することができる。さらに、ポリプロピレン表面の摩擦化学サンドブラスティングから1カ月後に実施された接触角測定から、摩擦化学サンドブラスティングによって表面の濡れ性の持続性が強化されることが示された。
【0026】
電池の経時に対するシリカ被覆および官能基化の影響(図4
経時試験をPPからなるガスケットを用いて組み立てられたCR2450N型の一次リチウム電池の2つのバッチで実施した。1つのバッチはガスケットの全表面にシリカ被覆処理を行った後、接着促進剤をガスケットおよびケースに施したガスケットを含有する。シリカ被覆条件および接着促進剤は表面エネルギー試験で用いたのと同じである。もう1つのバッチはPPからなり、シリカで被覆されていない標準ガスケットを含有する。2つのバッチにおいて、液体エポキシ接着剤を用いてガスケットをスチールケースに結合した。電池はバッチごとに6から13であり、人工気候室に18週間にわたって配置された。各気候室に各バッチから複数の電池を配置した。試験は人工気候室において温度40℃、残留湿度90%で実施された。その他の試験は人工気候室において−10から+60℃の間で変化する温度サイクル、周囲湿度で実施された。電池部品の劣化を示す内部抵抗を、経時試験の最後に放電中に測定した。バッチごとの平均的な測定を図4に示す。結果から、ガスケットをシリカ被覆および官能基化処理(シリカ被覆+接着促進剤)すると、標準ガスケット(参照)を備える電池と比較して、エージング後の電池の内部抵抗が約25%低減することが分かる。ここから、本処理によって電池の密封が改善され、電池の寿命が延長されることが推定される。
【符号の説明】
【0027】
(1)ボタン電池
(2)ケース
(3)キャップ
(4)容器
(5)重合体ガスケット
(6)接着層
(7)シリカ被覆層
(8)接着促進剤層
Ref 参照
SB 従来のサンドブラスティング
Silic. シリカ被覆
Promo. 促進剤
図1
図2
図3
図4