(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、相変化材料スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。例示的な物理蒸着装置10の一部の線図を、
図1に示す。物理蒸着(「PVD」)装置10は、エポキシ結合、インジウム結合、又は他のタイプのはんだ結合などの、スパッタリングターゲット14が接合されたバッキングプレート12を備える。半導体材料ウエハ18は、装置10内にあり、ターゲット14から離間して設けられる。スパッタリングターゲット14の表面16は、スパッタリング面である。動作中、スパッタリングされた材料22は、スパッタリングターゲット14のスパッタリング面16から離れ、ウエハ18の上方にコーティング(又は薄膜)20を形成する。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、バッキングプレート12を有しないPVD装置10で使用されてもよい。この構成は、モノリシック構成と称される。
【0010】
いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、一次合金材料と、少なくとも1つの追加の相とを含む、合金化合物から形成された相変化スパッタリングターゲットである。一次合金は、周期律表のVI族からの少なくとも1つの元素(すなわち、カルコゲナイド)と、周期律表のIV族又はV族からの1つ以上の元素とを含む。VI族からの好適な元素としては、イオウ(S)、セレニウム(Se)、テルリウム(Te)、及びポロニウム(Po)が挙げられる。IV族及びV族からの好適な元素としては、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、スズ(Sn)、及びアンチモン(Sb)が挙げられる。一次合金材料は、いくつかの実施形態では、ガラス転移挙動を呈し得る。
【0011】
スパッタリングターゲット14は、少なくとも1つの追加の相を含む。追加の相は、化合物又は元素材料であってもよい。好適な追加の相は、GeSeなどの化合物又はシリコン(Si)などの元素とすることができる。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、追加の相及び追加の元素材料を含むことができる。例えば、スパッタリングターゲット14は、Si及びGeSeを含むことができる。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、セレニウム、ゲルマニウム、ヒ素、及びシリコンからなるか、又は本質的になってもよく、あるいはゲルマニウム、ヒ素、テルリウム、及びシリコンからなるか、又は本質的になってもよく、このような列挙は、元素の経験的比を示すものではない。微量の不純物が存在してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、VI族元素(複数可)は、合金化合物の主要成分において存在してもよい。例えば、VI族元素(複数可)は、合金化合物の約45重量%〜約80重量%の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、IV族又はV族からの各元素は、合金化合物の約5重量%〜約50重量%の量で存在することができる。合金化合物は、二元〜五元化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、合金化合物は、5つを超える構成成分を含有してもよい(すなわち、四元化合物よりも高次元のものであってもよい)。スパッタリングターゲット14についての合金化合物の例示的な組成範囲を、表1に提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、合金化合物は、単相又はほぼ単相の合金であり得るバルク又は一次マトリックスから構成され得る。バルクマトリックスは、1つ以上の均質な又は実質的に均質に分布した追加の相を含有することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、追加の相(複数可)の均質な特性は、均質な又は実質的に均質な元素組成によって示される。例えば、いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14のスパッタリング面にわたって取られるFEI測定値は、原子元素組成における1%未満の変動を示す。例えば、ターゲットブランクの中心、中間半径、及び縁部からの試料は、原子元素組成における1%未満の変動を示す。いくつかの実施形態では、追加の相の実質的に均質な分布を有するスパッタリングターゲットは、試料にわたって相サイズ及びカウントを収集することによって特徴付けられる。相の和は、10%未満の中心−縁部間相対偏差の範囲内で均一であり、個々の相は、10%未満の中心−縁部間相対偏差の範囲内で均一である。いくつかの実施形態では、相の平均サイズは、5%未満の中心−縁部間相対偏差の範囲内で均一である。実質的に均質に分布された追加の相を有する例示的なスパッタリングターゲットを、表2に提供する。
【表2】
【0016】
いくつかの実施形態では、追加の相のうちの1つ以上は、約200ミクロン〜10ミクロン未満、例えば約1ミクロンまでの平均直径又はサイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、追加の相のうちの1つ以上は、約40ミクロン未満、例えば、約40ミクロン〜約1ミクロンの平均サイズを有してもよい。
【0017】
元素材料の形態の追加の相の平均等価直径は、バルクマトリックス内への組み込みの前に、破砕、粉砕、ボールミル、及びジェットミルを含む通常の縮小法を使用して調整されてもよい。粒子は、所望の平均直径又はサイズ分布を得るために、標準タイラー篩又は別の手段を通して篩い分けられてもよい。いくつかの実施形態では、シリコンの第2の相は、およそ40ミクロン〜10ミクロン未満の平均直径又はサイズを有してもよい。超微粉製造された粉末の使用は、任意の二次相の非常に微細な分散体を得ることができる。
【0018】
スパッタリングターゲット14は、低酸素含有量を有し得る。酸素含有量を判定するための1つの好適な方法は、ガスクロマトグラフィによるものである。いくつかの実施形態では、酸素含有量は、2000百万分率(ppm)未満、1000ppm未満、300ppm未満、又は100ppm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、酸素含有量は、約2000ppm〜約5ppm、又は約1000ppm〜約5pm、又は約300ppm〜約5ppm、又は約5ppm〜約100ppmであってもよい。
【0019】
スパッタリングターゲット14は、高純度を有し得る。純度を判定するために好適な方法としては、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−OES)及びグロー放電質量分析法(GDMS)が挙げられる。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、4N純度又は99.99%純度を満たすことができる。更なる実施形態では、スパッタリングターゲット14は、4N5純度又は99.995%純度を満たすことができる。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、少なくとも99.999%の純度を有することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、理論密度の少なくとも90%、又は理論密度の少なくとも95%の密度を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、理論密度の98%以上の密度を有することができる。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、完全に緻密であってもよい。すなわち、スパッタリングターゲット14は、細孔、空間、及び空隙を含まない可能性がある。多孔率の総表示は、アルキメデス密度測定中の泡の観察であってもよい。多孔率を判定する別の方法は、カルコゲナイド合金材料の断面サンプリングを伴う。完全に緻密な材料は、空隙を含まないであろう。カルコゲナイド合金材料は、公開された密度値を有してはいない。混合物法は、概算を供給するが、複数の合金又は元素相の存在、並びに変化する固体状態は、密度の概算を困難にさせる。また、追加の相(すなわち、シリコン)などの角度のついた表面を伴う硬質相成分の周りの区域は、これらの複合材料において充填するのが困難である。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲット14は、空隙又は空間を含まなくてもよく、例えば、バルクマトリックスと追加の相(複数可)との間に空隙又は空間を含まない。SEM撮像を使用して、バルクマトリックスと追加の相(複数可)との間の空隙又は空間を検出することができる。開発されたプロセス方法論は、これらの間隙を完全に充填する。
【0021】
スパッタリングターゲット14は、スパッタリング面にわたって実質的に一貫した又は均質な元素分布を有することができる。例えば、スパッタリング面の縁部、中間半径及び中心で取り込まれた試料は、実質的に同一の元素分布を有することができる。元素分布を判定するのに好適な方法としては、断面のエネルギー分散型X線(EDS)を利用するFEIマッピングが挙げられる。いくつかの実施形態では、FEIマッピングは、目標のスパッタリングターゲット14の中心から中間半径、そこから縁部に至る原子元素組成における1%未満の変動を示すことができる。別の好適な方法は、ICP−OESを使用して一連の試料を分析し、様々な場所で主要構成要素を追跡することを伴う。
図8は、四元合金のターゲットブランクの半径にわたるEDSマッピングを示す。元素は、各試料の全体にわたって、かつブランクにわたって均等に分散されている。
【0022】
スパッタリングターゲット14は、一次合金を合成して、これを粉末状にして、少なくとも1つの第2の合金粉末又は元素粉末とブレンドして、粉末混合物を形成することによって形成することができる。この粉末混合物を、真空熱間プレスして緻密化し、スパッタリングターゲットを形成する。
【0023】
一次合金は、坩堝内で、良好な二元又は三元相を有する成分を融解することによって、形成することができる。いくつかの実施形態では、一次合金は、周期律表のVI族(酸素を除外する)から選択される第1の成分と、周期律表のIV族又はV族から選択される第2の成分とを有する二元合金である。多くのカルコゲナイドは、セレニウム又はヒ素のいずれか、相対的に低い融点及び高い蒸気圧を有する元素を含有する。収量損失を最小化し、かつ公称組成を維持する組成を選択するように注意を払う必要がある。合金は、酸化を低減するために不活性雰囲気において形成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、一次合金は、溶融二元合金に第三成分を添加することによって形成される三元合金であってもよい。いくつかの実施形態では、溶融二元合金が維持される温度は、第3の成分が添加される前に低下され、第3の成分の損失を最小限にしてもよい。いくつかの実施形態では、第三成分及び1つ以上の追加の成分は、溶融二元合金に添加される。溶融二元合金が維持される温度は、成分の添加の前に低下させてもよい。
【0025】
溶融一次合金は、成形型に注入してもよい。いくつかの実施形態では、一次合金は急速に凝固して、均質な又は少なくとも実質的に均質な非晶質のガラス状ビレットを形成する。
【0026】
第2の合金粉末は、一次合金粉末と同様のプロセスを使用して形成されてもよい。第2の合金は、一次合金と同様なガラスに似た特性を呈することができるか、又は圧密化中に一次合金によって封入されることになるより硬質の材料であってよい。第2の合金粉末は、一次合金粉末とブレンドする前に粉末状にされる。追加の合金粉末もまた、同様のプロセスで形成されてもよい。
【0027】
1つ以上の元素粉末もまた、粉末混合物に添加されてもよい。例えば、シリコンショットを、粉末混合物に添加してもよい。いくつかの実施形態では、このショットは、元素粉末を粉末混合物に添加する前に、平均粒子サイズを低減することができる。
【0028】
一次合金と、少なくとも1つの追加の合金粉末(第2の合金粉末など)又は元素粉末とがブレンドされて、所望の化学量論を達成する。すなわち、粉体混合物は、一次合金粉末と、もう1つの追加合金粉末及び/又は元素粉末とを含む。いくつかの実施形態では、元素粉末は、所望の粒径を得るためにバルク材料から物理的に生成されてもよく、又は所定の粒径の粉末として購入されてもよい。いくつかの実施形態では、混合粉末は、粉末状の三元合金をシリコン粉末と混合することによって形成される。元素粉末は、低融点成分が気化する温度まで液相を上昇させる高融点材料となる傾向がある。
【0029】
この混合粉末を、スパッタリングターゲットブランクの圧密化及び形成のために、真空熱間プレス内に装填する。いくつかの実施形態では、シリコンは、粉末混合物中にこれがブレンドされる直前に、形状因子が低減されてもよい。例えば、ショットの形状のシリコンを粉末状にしてもよい。いくつかの実施形態では、初期シリコンショットは、5mmの平均直径を有することができ、少なくとも−140Mのタイラー等価メッシュサイズを有するシリコン粉末にされてもよい。シリコン形状因子を、それが粉末混合物とブレンドされる直前に低減させることが、スパッタリングターゲットの酸素含有量を低下させることを見出した。
【0030】
粉末ブレンドは、一次合金のガラス転移温度で熱間プレスされてもよい。ガラス転移温度は、材料が、固体又は硬質状態から流動可能又は粘性状態まで転移する温度範囲である。熱間プレスの温度が低すぎる場合、スパッタリングターゲットは、より低密度となるであろう。熱間プレスの温度が高すぎる場合、材料は、金型セットから絞り出される場合がある。温度と圧力との正確なバランスにより、高密度のカルコゲナイドターゲットブランクが生成される。
【0031】
ガラス転移温度で真空熱間プレスされると、一次合金が、より硬質の成分の周りを流れ、緻密なスパッタリングターゲットブランクを形成する。追加の成分は、軟化する別のカルコゲナイドガラスであってもよく、又は硬質合金であってもよい。残りの追加物は、所望の組成を完成するための元素(すなわち、シリコン)であってもよい。本明細書に記載するように、スパッタリングターゲットは、理論密度の少なくとも95%の密度を有してもよく、いくつかの実施形態では、観察可能な多孔性を有さずに完全に緻密化されていてもよい。
【0032】
スパッタリングターゲットブランクは、真空熱間プレス後に追加の表面処理及び/又は機械加工にかけられてもよい。例えば、スパッタリングターゲットブランクの表面を洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、スパッタリングターゲットブランクは、バッキングプレートに接合され得るスパッタリングターゲットを形成するように処理される。例えば、スパッタリングターゲットは、エポキシ、インジウム結合、又は他の型のはんだ接合によって、バッキングプレートに接合されてもよい。
【0033】
実施例1−SeAsGeSiスパッタリングターゲット
スパッタリングターゲットブランクを、セレニウム、ゲルマニウム、ヒ素、及びシリコンから形成した。二元合金を、不活性雰囲気中で、ヒ素及びセレニウムを坩堝内で合わせて、加熱することによって生成した。溶融一次合金を、鋳造して冷却した。
【0034】
第2の二元合金を、不活性雰囲気中で、セレニウム及びゲルマニウムを坩堝内で組み合わせて、加熱することによって生成した。溶融第2の二次合金を、鋳造して冷却した。
【0035】
一次及び二次合金は、ガラスである。熱分析を使用して、ガラス転移温度を判定した。一次及び二次合金では、形状因子が低減した。シリコンショットは、低減した形状因子の一次及び二次合金と組み合わせるのに好適な粒径まで、形状因子を低減させた。混合物を、
図2に描写した条件において真空熱間プレスした。
【0036】
試験1では、SeAsGeSi材料を、点Aの温度で真空熱間プレスした。得られたスパッタリングターゲットは、約74%の緻密さで、解砕した。得られたスパッタリングターゲットは、好適ではなかった。
【0037】
試験2では、SeAsGeSi材料を、点Bの温度で真空熱間プレスした。熱間プレス中に無視できるほどの絞り出しが観察された。得られたスパッタリングは、99%超の緻密さであった。
【0038】
試験3では、SeAsGeSi材料を、点Cの温度で真空熱圧プレスした。熱間プレス中に、無視できるほどの絞り出しが観察された。得られたスパッタリングターゲットは、100%の密度を有した。
【0039】
図3及び
図4は、圧密化SeAsGeSi化合物の走査電子顕微鏡画像である。3つの領域が
図4では明らかである。より具体的には、
図4において、元素相(すなわち、シリコン)は、「E」で示される暗領域であり、バルク相(すなわち、SeAs))は「B」相で示される一次のより明るい領域であり、追加の相(すなわち、GeSe)は、「S」で示される二次のより暗い領域である。
図3の試料は、実質的に、散在するGeSeとシリコンとの均質な混合物を有するSeAsである。空隙の証拠はない。
【0040】
シリコンは、1410℃の融点を有し、この融点は、セレニウム及びヒ素の沸点よりも高い。特に、シリコンを溶解するために必要な高い温度は、高度に毒性の蒸気としてセレニウム及びヒ素を追い出すことができる。実施例1では、第1及び第2の二元合金の生成が、セレニウム及びヒ素のより少ない蒸発をもたらす。低融点カルゴゲナイド合金の組み合わせの生成は、緻密化を可能にしながら、セレニウム及びヒ素含有量の一体化を防止する。
【0041】
実施例2及び3−GeAsTeSiスパッタリングターゲット
スパッタリングターゲットを、ゲルマニウム、ヒ素、テルリウム、及びシリコンから形成した。三元合金を、不活性雰囲気中で、ゲルマニウム、テルリウム、及びヒ素を坩堝内で合わせて、加熱することによって生成した。原材料の形状因子を、最も良好な鋳造条件を提供するように調整する。
【0042】
ヒ素の蒸発を抑制するために、坩堝の温度を、この特定の合金の固相と液相との間の領域において維持した。溶融合金を、黒鉛鋳型に注入する。急速凝固は、三元合金系内の潜在的な相の隔離を最小化する。
【0043】
この三元合金をシリコンと組み合わせて、粉末混合物を真空熱間プレスした。三元合金を、組み合わせの直前に、−100Mのタイラー等価メッシュサイズに形状因子を低減させた。実施例2では、シリコンを、組み合わせの直前に、−140Mのタイラー等価メッシュサイズに形状因子を(約40μmの平均サイズ)低減させた。実施例3では、微細シリコン粉末(約8μmの平均サイズ)を使用した。表3は、いくつかの試験についてのシリコン粒径分布を示し、この中で平均粒径(「Avg])、粒径の標準偏差(「StdDev」)、中央粒径(「Median」)、最小粒径(「Min」)、最大粒径(「Max」)、及び粒径範囲による粒子カウント(「粒子カウント」)が提供されている。粒子カウントは、粒径範囲内に入る粒子の数であり、この中で、Grp 1は、1.00〜3.10μmのサイズを有し、Grp 2は、3.10〜9.61μmのサイズを有し、Grp 3は、9.61〜29.79μmのサイズを有し、Grp 4は、29.79〜92.35μmのサイズを有する。
【0045】
図5及び
図6は、それぞれ、実施例2及び実施例3の得られたスパッタリングターゲットブランクの走査電子顕微鏡からの画像である。図示するように、GeAsTe合金は、ほぼ単相であった。シリコンの第2の相は、それぞれ38マイクロメートル及び8ミクロンの平均直径を有して、実質的に均質に分散している。多孔性の証拠は存在しない。
【0046】
FEIを使用して、実施例2のシリコンサイズ分布を測定し、
図7に分布プロットを提供する。分析された粒子の総数は、730個であった。粒子は、31ミクロンの平均サイズ及び27.5の標準偏差で、2ミクロン〜174ミクロンの平均サイズ範囲を有した。粒子の大部分は、100ミクロン未満の平均サイズを有する。
【0047】
実施例2のFEIマップを、
図8に提供する。試料を、ターゲットブランクの縁部、中間半径、及び中心に対応する領域から断面作製した。各位置における各成分の分布は、実質的に均質である。
【0048】
酸化は、周囲環境、材料の反応性、時間、及び個々の成分の表面積によって影響を受ける。一実施形態では、IGAは、圧密化の前に、シリコン粒径が140Mから−325Mまで低減されるときの、それぞれ、34ppmから82ppmまでの酸素レベルの増加を明らかにした。
【0049】
実施例4−GeAsSeTeスパッタリングターゲット
スパッタリングターゲットを、ゲルマニウム、ヒ素、セレニウム、及びテルリウムから形成した。二元合金を、不活性雰囲気中で、ゲルマニウム及びテルリウム、並びに別個にセレニウム及びヒ素を坩堝内で合わせて、加熱することによって生成した。原材料の形状因子を、最も良好な鋳造条件を提供するように調整する。
【0050】
蒸発を抑制するために、坩堝の温度を、SeAs合金の固相と液相との間の領域において維持した。溶融合金を、黒鉛鋳型に注入する。急速凝固は、二元合金系内の潜在的な相の隔離を最小化する。
【0051】
蒸発を抑制するために、坩堝の温度を、GeTe合金の固相と液相との間の領域において維持した。溶融合金を、黒鉛鋳型から取り外す。
【0052】
2つの二元合金を粉体状にして、所望の最終化学量論を得るような比で混合する。この粉末混合物を、真空熱間プレスした。一次合金(SeAs)及び二次合金(GeTe)を、組み合わせの直前に、−140Mのタイラー等価メッシュサイズに形状因子を低減させた。
【0053】
図9は、実施例4の得られたスパッタリングターゲットブランクの走査電子顕微鏡からの画像である。バルクマトリックスは、一次相SeAsから構成されていた。図示するように、SeAs合金は、ほぼ単相であった。第2の相は、より明るい領域であり、GeTe化合物である。GeTeの第2の相は、試料の全体にわたって実質的に均質に分散されている。いくらかの元素ゲルマニウムが存在しており、暗い領域である。多孔性の証拠は存在しない。
【0054】
酸化は、周囲環境、材料の反応性、時間、及び個々の成分の表面積によって影響を受ける。この実施形態では、IGAは、190ppmの酸素レベルを明らかにした。
【0055】
本発明の範囲から逸脱することなく、記載した例示的な実施形態に対して様々な修正及び付加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は、特定の特徴に言及するものであるが、本発明の範囲はまた、異なる特徴の組み合わせを有する実施形態及び上述の特徴のすべてを含むわけではない実施形態を含む。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
相変化材料スパッタリングターゲットを含む物理蒸着装置であって、前記相変化材料スパッタリングターゲットが、
酸素を除外する周期律表のVI族からの少なくとも1つの元素と、周期律表のIV族又はV族からの1つ以上の元素とを含む、一次マトリックスと、
前記一次マトリックス内に実質的に均一に分散された少なくとも1つの追加の相と、を含む、物理蒸着装置。
[2]
前記相変化材料スパッタリングターゲットが、前記一次マトリックスと前記追加の相との間に空隙を含まない、[1]に記載の物理蒸着装置。
[3]
各追加の相が、化合物又は元素材料である、[1]に記載の物理蒸着装置。
[4]
前記スパッタリングターゲットが、理論の少なくとも95%の密度を有する、[1]に記載の物理蒸着装置。
[5]
前記スパッタリングターゲットが、スパッタリング面にわたって原子元素組成における1%未満の変動を有する、[1]に記載の物理蒸着装置。
[6]
相変化材料スパッタリングターゲットを形成する方法であって、
酸素を除外する周期律表のVI族からの少なくとも1つの元素と、周期律表のIV族又はV族からの少なくとも1つの元素とを含む、一次合金を形成することと、
前記一次合金を粉末状にして、合金粉末を形成することと、
前記合金粉末を追加の粉末成分とブレンドすることによって、粉末混合物を形成することと、
前記粉末混合物を熱間プレスして、スパッタリングターゲットを形成することと、を含む、方法。
[7]
前記粉末混合物が、前記一次合金のガラス転移温度で熱間プレスされる、[6]に記載の方法。
[8]
前記追加の粉末が、合金粉末又は元素粉末である、[6]に記載の方法。
[9]
酸素を除外する周期律表のVI族からの少なくとも1つの元素と、周期律表のIV族又はV族からの少なくとも1つの元素とを含む、第2の合金を形成することと、
前記第2の合金を粉末状にして、第2の合金粉末を形成することを更に含み、前記粉末混合物が、前記一次合金粉末、前記第2の合金粉末、及び任意に1つ以上の追加の粉末成分をブレンドすることによって形成される、[6]に記載の方法。
[10]
前記第2の合金が、前記一次合金よりも高い硬度を有する、[9]に記載の方法。