(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の期間が、第1の長さを有し、前記第2の期間が、第2の長さを有し、前記第1の長さと前記第2の長さとの比率が、1:1〜1:100である、請求項1に記載の方法。
前記合成ワックスエマルション及び前記アミン誘導体が、アミン誘導体1部につき約2〜約20部の合成ワックスエマルションの比率で存在する、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、全般的には、潤滑剤組成物並びに潤滑剤組成物を製造及び使用する方法に関する。本開示は、改善された水硬度に対する耐性及び安定性を有する潤滑剤組成物に更に関する。
【0010】
本開示は、広い温度範囲(例えば、4℃未満及び50℃超)にわたる改善された温度安定性、凍結融解安定性及び製造の容易さを有する潤滑剤組成物に関する。潤滑剤組成物はまた、水硬度イオンとの改善された相溶性を提供することができる。従来技術の湿式潤滑剤と比較して、本開示の潤滑剤組成物は、65%の節水及び44%の全体的なコスト節約をユーザに提供しながら、コンベア操作の衛生性を著しく改善することができる。
【0011】
「約(about)」という用語は、本明細書では、当業者によって予期される測定値の通常の変動を含むように数値と併せて使用され、「およそ(approximately)」と同じ意味を有し、表示値の±5%など、典型的な誤差範囲を網羅するように理解される。
【0012】
本明細書で使用される場合、「重量パーセント」、「重量%」、「重量によるパーセント」、「重量による%」及びそれらの変化形は、組成物の総重量に関する物質の重量としての、その物質の濃度を指す。本明細書で使用されるとき、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であるように意図されることが理解される。
【0013】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という単数形は、文脈による別段の指示が明確にない限り、複数形の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「1つの化合物(a compound)」を含有する組成物への言及は、2つ以上の化合物を有する組成物を含む。また、「又は(or)」という用語は概して、文脈による別段の指示が明確にない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で用いられることにも留意されたい。
【0014】
特許請求の範囲で使用される「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲を、関連技術分野の当業者が列挙された成分に通常関連付けるであろう、ほんの微量の不純物又は不活性な作用剤を含む特定の物質に限定する。
【0015】
いくつかの既存のエマルション潤滑剤は、ステンレス鋼チェーンに対して優れた潤滑性能を提供するが、エマルションの安定性に関連する欠点を抱えている。例えば、エマルションは、温度感受性であり得、ミセルが高温及び低温で分解し、エマルションの分離及び組成物の粘度の増加をもたらす。エマルションはまた、分配システムの目詰まりを引き起こすおそれがあるフロック及び沈殿の生成のため、水で希釈することが困難な場合がある。
【0016】
本開示は、先行技術の潤滑剤の性能を維持するが、改善された安定性及び希釈特性を示す潤滑剤エマルションを提供する。潤滑剤組成物は、4℃未満及び50℃超の温度で安定であり、1:1000までの比で水で希釈することができるエマルションを含む。
【0017】
本開示の潤滑剤組成物は、温度安定性エマルションである。例えば、潤滑剤組成物は、約−40℃〜約60℃又は約−20℃〜約55℃の範囲の温度で安定し得る。潤滑剤組成物エマルションはまた、1回以上の凍結融解サイクルにより安定し得る。例えば、潤滑剤組成物エマルションは、エマルションの目視できる分離が起こることなく、1〜10回の凍結融解サイクルにわたって、又は少なくとも3回の凍結融解サイクルにわたって安定し得る。
【0018】
潤滑剤組成物は、1種以上の潤滑剤と、乳化剤と、金属イオン封鎖剤と、を含んでもよい。成分は、好ましくは、その成分が改善された水硬度に対する耐性及び安定性を有する組成物をその成分が与えるように選択される。
【0019】
様々な水混和性潤滑剤は、潤滑剤組成物に使用することができ、合成ワックスエマルション、脂肪族アミン、エーテルアミン及びアミン塩などのアミン及びそれらの誘導体、脂肪酸、並びにリン酸エステルが挙げられる。
【0020】
好適な合成ワックスとしては、ポリ(エチレンオキシド)、ポリエチレン、ポリ(プロピレンオキシド)及びポリプロピレンなどのポリエチレン系及びポリプロピレン系ポリマー、並びにエチレン−マレイン酸コポリマー(例えば、ポリエチレン−グラフト−無水マレイン酸)などのエチレンとプロピレンとのコポリマー、並びにプロピレン−マレイン酸コポリマー(例えば、ポリプロピレン−グラフト−無水マレイン酸)などが挙げられる。合成ワックスは、エマルションとして提供することができる。一実施形態では、合成ワックスは、酸化ポリエチレンワックスエマルションを含む。いくつかの潤滑性ワックスはまた、200以上、例えば、約200〜約100,000、約1,000〜約80,000、約5,000〜約60,000又は約10,000〜約40,000の分子量を有するワックスなどの、増粘剤として機能することができる。例示的な一実施形態では、潤滑剤は、20,000以上の分子量を有するポリ(エチレンオキシド)を含み、潤滑剤及び増粘剤として使用される。合成ワックスエマルションはまた、コンベアを腐食から保護するように作用することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、天然ワックスを含まないか又は実質的に含まない。天然ワックスとしては、例えば、カルナバワックス、キャンデリラワックス、綿実ロウ、ベイベリーワックス、マートルワックス、パーム核ワックス及びモクロウなどの植物系ワックス、並びにミツロウ、イボタロウ、ラノリン、獣脂系ワックス(例えば、ステアリン)などの動物及び昆虫ワックスなどが挙げられる。
【0022】
好適なアミン又はアミン誘導体潤滑剤としては、オレイルジアミノプロパン、アルキルC
12〜C
14オキシプロピルジアミン又はココジアミノプロパン、ラウリルプロピルジアミン、ジメチルラウリルアミン及びPEGココアミンなどの、脂肪族アミン、エーテルアミン及びアミン塩が挙げられる。このようなアミン誘導体潤滑剤は、例えば、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCから商品名DUOMEEN(登録商標)で、Air Products and Chemicals,Inc.(ペンシルべニア州アレンタウン)から商品名TOMAMINE(登録商標)で入手可能である。例示的な一実施形態では、アミン誘導体は、式R−NH−(CH
2)
3−NH
2を有する脂肪族アミンを含み、Rは、C6〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル/アルケニルである。別の例示的な実施形態では、アミン誘導体は、式R
1−O−R
2−NH−(CH2)
3−NH
2のエーテルアミンを含み、R
1は、C6〜C18の直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルケニルであり、R
2は、直鎖又は分岐鎖のC1〜C8アルキルである。
【0023】
潤滑剤に加えて、アミン及びアミン誘導体は、抗菌剤として作用することができ、これは、コンベアシステムに特に有用である。
【0024】
一態様では、潤滑剤組成物は、2種以上の潤滑剤の組み合わせを含む。例えば、潤滑剤組成物は、合成ワックスエマルションとアミン又はアミン誘導体との組み合わせを含んでもよい。例示的な一実施形態では、潤滑剤組成物は、ポリエチレンワックスエマルションと、アルキルジアミノプロパンと、を含む。
【0025】
潤滑剤組成物は、コンベアライン上の容器の通過を潤滑させるために有効量の潤滑剤を含むように配合される。潤滑剤組成物は、使用前(又は塗布時)に水若しくは他の水性希釈剤で希釈される濃縮物として、又は更に希釈することなく塗布されるより希釈された配合物として、調製することができる。
【0026】
潤滑剤組成物は、約0.2〜約90%、又は約1〜約75%、約2〜約50%、又は約5〜約30%の潤滑剤を含んでもよい。潤滑剤組成物が、合成ワックスエマルションである第1の潤滑剤と、アミン又はアミン誘導体である第2の潤滑剤と、を含む例では、第1の潤滑剤は、約1〜約60%で存在してもよく、第2の潤滑剤は、約0.1〜約10%で存在してもよい。第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤は、第2の潤滑剤1部につき、約1〜約30部、約2〜約20部又は約3〜約10部の第1の潤滑剤の比率で存在することができる。一例では、潤滑剤組成物は、第2の潤滑剤1部につき約7〜約8部の第1の潤滑剤を含む。
【0027】
潤滑剤組成物は、1つ以上の抗菌剤を含んでもよい。炭酸飲料及びビールなどの飲料がコンベア上にこぼれたことが原因で、細菌、酵母及びカビが増殖することが多く、スライム及び/又は汚れが生じることがある。抗菌剤は、コンベアシステム及びそれらの周辺領域でのスライム形成を低減するために有用である。好適な抗菌剤の例としては、脂肪族アミン又はエーテルアミン及びアミン塩などのアミン及びアミン誘導体、アミン酢酸塩、第四級アンモニウム化合物、グアニジン、イソチアゾリノンなどが挙げられる。
【0028】
潤滑剤組成物は、約0.1〜約20%、0.2〜約15%、0.5〜約10%又は1〜約5%の抗菌剤を含んでもよい。
【0029】
潤滑剤組成物は、組成物を広い温度範囲下で均質に保つのを助けるために、1つ以上の乳化剤、安定剤及びカップリング剤を含んでも良い。様々な異なる種類の化合物を、乳化剤又は安定剤として使用することができる。好適な安定剤の例としては、イソプロピルアルコール又はエタノールなどのアルコール、エトキシル化アルコール、尿素、エステル、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)などが挙げられる。好適な乳化剤としては、カチオン性、アニオン性又は非イオン性界面活性剤などの様々な界面活性剤が挙げられる。いくつかの態様では、同じ成分が、乳化剤及び安定剤の両方として作用することができる。乳化剤及び安定剤の両方として作用することができる例示的な界面活性剤としては、アルキルスルフェート、アルコールエトキシラート及びアルキルエトキシカルボキシラートが挙げられる。
【0030】
潤滑剤組成物は、約0.1〜約20、0.2〜約15、0.5〜約10又は1〜約5%の乳化剤又は安定剤を含んでもよい。一態様では、潤滑剤組成物は、潤滑剤5〜40部につき又は10〜25部につき、約1部の乳化剤又は安定剤を含む。
【0031】
好適なカチオン性界面活性剤の例としては、アルキルアミン及びアミドアミンなどのアミンが挙げられる。アミン基としては、例えば、アルキルアミン及びそれらの塩、アルキルイミダゾリン、エトキシル化アミン並びに第四級アンモニウム化合物及びそれらの塩が挙げられる。他のカチオン性界面活性剤としては、アミン化合物に類似した硫黄(スルホニウム)系化合物及びリン(ホスホニウム)系化合物が挙げられる。
【0032】
カチオン性界面活性剤は、一般に、少なくとも1つの長炭素鎖疎水性基と少なくとも1つの正荷電窒素とを含有する化合物を指す。長炭素鎖基は、単純な置換によって窒素原子に直接結合されてもよい、又はいわゆる中断アルキルアミン及びアミドアミン内の架橋官能基によって間接的に結合されてもよい。そのような官能基は、分子を、より親水性若しくはより水分散性にし、共界面活性剤混合物によって水により溶解し易くする、又は水溶性にすることができる。水溶性を増大させるために、追加の第一級、第二級若しくは第三級アミノ基を導入すること、又はアミノ窒素を低分子量アルキル基により四級化することが可能である。更に、窒素は、多様な不飽和度の分岐鎖部分若しくは直鎖部分の一部、又は飽和若しくは不飽和ヘテロ環式環の一部であり得る。それに加えて、カチオン性界面活性剤は、2個以上のカチオン性窒素原子を有する複雑な結合を含有してもよい。
【0033】
アミンオキシド、両性物質及び双性イオンとして分類される界面活性剤化合物は、それ自体が一般的には中性近くから酸性pHの溶液中でカチオン性であり、界面活性剤の分類と重複する可能性がある。ポリオキシエチル化カチオン性界面活性剤は、概して、アルカリ性溶液中で非イオン性界面活性剤のように挙動し、酸性溶液中でカチオン性界面活性剤のように挙動する。
【0034】
最も単純なカチオン性アミン、アミン塩及び第四級アンモニウム化合物は、下記のように概略的に描くことができる。
【化1】
【0035】
式中、Rは、長アルキル鎖を表し、R’、R’’及びR’’’は、長アルキル鎖又はより小さいアルキル基又はアリール基又は水素のいずれかであってもよく、Xは、アニオンを表す。
【0036】
大規模な量の商業用のカチオン性界面活性剤の大部分は、当業者に既知であり、「Surfactant Encyclopedia」,Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)86−96(1989)に記載されている、4つの主要なクラス及び追加の下位群に細分することができる。第1のクラスは、アルキルアミン及びそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、ヘテロ環アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などの第四級化合物を含む。カチオン性界面活性剤は、中性pH以下の組成物中での洗浄力、抗微生物性有効性、他の薬剤と連携した増粘化又はゲル化などを含む多様な特性を有することが知られている。
【0037】
例示的なカチオン性界面活性剤としては、式R
1mR
2xY
LZを有するものを含み、それぞれのR
1は、最大3個のフェニル基又はヒドロキシ基で任意選択に置換され、かつ以下の構造、
【化2】
又はそれらの構造の異性体若しくは混合物が任意選択に挟まれた、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を含有する有機基であり、8〜22個の炭素原子を含有する。R
1基は、追加で最大12個のエトキシ基を含有することができ、mは、1〜3の数である。好ましくは、分子中の1個のR
1基のみが、mが2であるときに16個以上の炭素原子を有するか、又はmが3であるときに13個以上の炭素原子を有する。それぞれのR
2は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はベンジル基であり、分子中の1個のR
2のみが、ベンジルであり、xは、0〜11、好ましくは0〜6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素によって占められる。
【0038】
Yは、以下のうちの1つの基など、
【化3】
又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、Lは、1又は2であり、Y基は、Lが2であるとき、1〜22個の炭素原子及び2個の遊離炭素単結合を有するR
1及びR
2類似体(好ましくは、アルキレン又はアルケニレン)から選択される部分によって分離されている。Zは、硫酸アニオン、メチル硫酸アニオン、水酸化物アニオン又は硝酸アニオンなどの水溶性アニオンであり、特に、カチオン性成分の電気的中性を付与する数の硫酸アニオン又はメチル硫酸アニオンが好ましい。
【0039】
組成物は、1つ以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、洗剤界面活性剤として有用であるが、ゲル化剤として又はゲル化若しくは増粘システムの一部として、可溶化剤として、またヒドロトロピック効果及び曇り点制御にも有用である。潤滑剤組成物に好適なアニオン性界面活性剤としては、アルカン酸及びアルカノエート、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシナート)、エーテルカルボン酸などのカルボン酸及びそれらの塩、リン酸エステル及びそれらの塩、イセチオナート、アルキルアリールスルホナート、アルキルスルホナート、スルホスクシナートなどのスルホン酸及びそれらの塩、並びにアルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェートなどの硫酸エステル及びそれらの塩が挙げられる。
【0040】
大規模な量の商業用のアニオン性界面活性剤の大部分は、当業者に既知であり、「Surfactant Encyclopedia」,Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)71−86(1989)に記載されている、5つの主要な化学的クラス及び追加の下位群に細分することができる。第1のクラスは、アシルグルタマート、アシルペプチド、サルコシナート(例えば、N−アシルサルコシナート)、タウラート(例えば、N−アシルタウラート及びメチルタウリドの脂肪酸アミド)などのアシルアミノ酸(及び塩)を含む。第2のクラスは、アルカン酸(及びアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシナート)、エーテルカルボン酸などのカルボン酸(及び塩)を含む。第3のクラスは、リン酸エステル及びそれらの塩を含む。第4のクラスは、イセチオナート(例えば、アシルイセチオナート)、アルキルアリールスルホナート、アルキルスルホナート、スルホスクシナート(例えば、スルホスクシナートのモノエステル及びジエステル)などのスルホン酸(及び塩)を含む。第5のクラスは、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェートなどの硫酸エステル(及び塩)を含む。例示的なアニオン性界面活性剤としては、以下が挙げられる。
【0041】
直鎖及び分岐鎖の第一級及び第二級アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪族オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C5〜C17アシル−N−(C1〜C4アルキル)及び−N−(C1〜C2ヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、並びにアルキルポリグルコシドのスルフェートなどのアルキルポリサッカリドのスルフェート。
【0042】
アンモニウム及び置換アンモニウム(モノ、ジ及びトリエタノールアミンなど)、並びに、直鎖又は分岐鎖でアルキル基中に5〜18個の炭素原子を含有するアルキルベンゼンスルホナートなどのアルキル単核芳香族スルホナートの(ナトリウム、リチウム及びカリウムなどの)アルカリ金属塩、例えば、アルキルベンゼンスルホナートの塩、又はアルキルトルエン、キシレン、クメン及びフェノールのスルホナートの塩、アルキルナフタレンスルホナート、ジアミルナフタレンスルホナート、及びジノニルナフタレンスルホナート並びにアルコキシル化誘導体。
【0043】
アルキルエトキシカルボキシラートなどのアニオン性カルボキシラート界面活性剤、アルキルポリエトキシポリカルボキシラート界面活性剤及びセッケン(例えば、アルキルカルボキシル)。第二級セッケン界面活性剤(例えば、アルキルカルボキシル界面活性剤)としては、第二級炭素に結合したカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第二級炭素は、例えば、p−オクチル安息香酸にあるように、又はアルキル置換シクロヘキシルカルボキシラートにあるように、環構造内に存在してもよい。第二級セッケン界面活性剤は、一般的には、エーテル結合、エステル結合及びヒドロキシル基を含有しない。更に、第二級セッケン界面活性剤は、一般的には、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な第二級セッケン界面活性剤は、一般的には、合計で11〜13個の炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個まで)が存在してもよい。
【0044】
他のアニオン性界面活性剤としては、長鎖アルケンスルホナート、長鎖ヒドロキシアルカンスルホナート又はアルケンスルホナートとヒドロキシアルカンスルホナートとの混合物などのオレフィンスルホナートが挙げられる。また、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、及び、スルフェート又はエチレンオキシドとノニルフェノールとの縮合生成物(通常1分子当たり1〜6個のオキシエチレン基を有する)などの芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェートも挙げられる。ロジン、水素化ロジン、並びに獣脂油中に存在する又は獣脂油から誘導される樹脂酸及び水素化樹脂酸などの樹脂酸及び水素化樹脂酸もまた好適である。
【0045】
一態様では、潤滑剤組成物は、オレフィンスルホナート又はその塩を含む。例えば、潤滑剤組成物は、C14〜C16オレフィンスルホナート又はその塩などの長鎖アルケンスルホナート又は長鎖ヒドロキシアルカンスルホナートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、約0.1〜約20%、0.2〜約15%、0.5〜約10%又は1〜約5%のC14〜C16オレフィンスルホナートを含む。
【0046】
一態様では、潤滑剤組成物は、アルキルエトキシカルボキシラート又はその塩を含む。例えば、潤滑剤組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸(例えば、オレス−10カルボン酸)又はその塩を含んでもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、約0.1〜約20%、0.2〜約15%、0.5〜約10%又は1〜約5%のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸を含む。
【0047】
一態様では、潤滑剤組成物は、リン酸エステル及びそれらの塩を含む。例えば、潤滑剤組成物は、C8〜10アルコールエトキシル化ホスフェート又はその塩を含んでもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、約0.1〜約20%、0.2〜約15%、0.5〜約10%又は1〜約5%のC8〜10アルコールエトキシル化ホスフェートを含む。
【0048】
好適な非イオン性界面活性剤の例としては、BASF Corp.(ニュージャージー州フローハムパーク)製の市販品PLURONIC(登録商標)及びTETRONIC(登録商標)を含むブロックポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリマー化合物、Rhone−Poulenc製の市販品IGEPAL(登録商標)及びUnion Carbide製のTRITON(登録商標)を含むアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、アルキルポリグリコシド)、Shell Chemical Co.製の市販品NEODOL(登録商標)及びVista Chemical Co.製のALFONIC(登録商標)を含むエチレンオキシドと6〜24個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコールとの縮合生成物、Henkel Corporation製の市販品NOPALCOL(登録商標)及びLipo Chemicals,Inc.製のLIPOPEG(登録商標)を含むエチレンオキシドと直鎖又は分岐鎖カルボン酸との縮合生成物、並びにグリセリド、グリセリン及び多価アルコールとの反応により形成されるアルカン酸エステルが挙げられる。
【0049】
非発泡性、低発泡性又は消泡性の非イオン性界面活性剤の例としては、商標名PLURONIC(登録商標)R及びTETRONIC(登録商標)Rとして販売され、「リバース」Pluronics又はTeTronicsと呼ばれる場合がある、分子の外側(端部)に疎水性ブロックを有するブロックポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリマー化合物、及び、疎水性小分子との反応によって又は末端ヒドロキシル基を塩化物基に変換することによって末端ヒドロキシル基を「キャップする」又は「端部ブロッキングする」ことで修飾された非イオン性界面活性剤が挙げられる。非発泡性の非イオン性界面活性剤の他の例としては、アルキルフェノキシポリエトキシアルカノール、ポリアルキレングリコール縮合物、一般式Z[(OR)
nOH]
zを有する消泡性の非イオン性界面活性剤(式中、Zは、アルコキシル化可能な物質であり、Rは、置換基であり、nは、10〜2,000であり、zは、反応性のオキシアルキル化可能な基の数によって決定される)、複合ポリオキシアルキレン化合物、及び複合ポリオキシアルキレン化合物が挙げられる。
【0050】
一態様では、潤滑剤組成物は、アルコールエトキシラートを含む。例えば、潤滑剤組成物は、C12〜15エトキシル化アルコールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、約0.1〜約20%、0.2〜約15%、0.5〜約10%又は1〜約5%のエトキシル化アルコールを含む。
【0051】
一態様では、潤滑剤組成物は、アルキルポリグルコシドを含む。例えば、潤滑剤組成物は、デシルオクチルD−グルコースを含んでもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、約0.1〜約20%、0.2〜約15%、0.5〜約10%又は1〜約5%のアルキルポリグルコシドを含む。
【0052】
潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の硬水相溶性を改善するために1つ以上の金属イオン封鎖剤を含んでもよい。好適な金属イオン封鎖剤の例としては、ホスホン酸及びホスホン酸塩、リン酸塩、アミノカルボン酸塩及びそれらの誘導体、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、エチレンジアミン誘導体及びエチレントリアミン誘導体、ヒドロキシ酸、並びにモノ、ジ及びトリカルボン酸塩及びそれらの対応する酸が挙げられる。他の金属イオン封鎖剤としては、アルミノシリケート、ニトロロアセタート(nitroloacetate)及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物が挙げられる。更に他の金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)及びジエチレントリアイニン五酢酸(diethylenetriaininepentaacetic acid)の塩を含む、アミノカルボン酸塩が挙げられる。一態様では、金属イオン封鎖剤としては、EDTA(テトラナトリウムEDTAを含む)、TSPP(ピロリン酸四ナトリウム)、TKPP(リン酸三カリウム)、PAA(ポリアクリル酸)及びその塩、ホスホノブタンカルボン酸、並びにグルコン酸ナトリウムが挙げられる。例示的な一実施形態では、金属イオン封鎖剤は、ピロリン酸四ナトリウムを含む。
【0053】
潤滑剤組成物は、約0.005〜約1重量%、約0.01〜約0.5重量%、約0.02〜約0.4重量%、約0.03〜約0.3重量%又は約0.04〜約0.1重量%の金属イオン封鎖剤を含んでもよい。
【0054】
潤滑剤組成物は、所望する場合には追加の機能性成分を含有することができる。例えば、組成物は、追加の水混和性潤滑剤、親水性希釈剤、抗菌剤、安定剤/カップリング剤、洗剤及び分散剤、耐摩耗剤、粘度調整剤、腐食防止剤、フィルム形成材料、酸化防止剤、帯電防止剤又はそれらの組み合わせを含有することができる。そのような追加成分の量及び種類は、当業者には明らかであろう。機能性成分は、機能性成分がプラスチック(例えば、PET)容器において環境応力亀裂を促進しないように選択することができる。
【0055】
潤滑剤組成物の例示的配合物を以下の表1に示す。
【表1】
【0056】
コンベア用潤滑剤の実用的な分配では、摩擦係数(「COF」)、滑り力、滑り値、摩擦抵抗又は同様の用語として表されるように、パッケージとコンベア表面との間の最適潤滑性の綿密な制御及び維持を必要とする。概して、先行技術の特許及び公開された記録における潤滑剤組成物の配合及び分配の目的は、搬送されるパッケージとコンベア表面との間で可能な限り低い摩擦係数を生み出すことである。実際には、これは効果的な搬送をもたらさない。コンベア潤滑プログラムの実用的な実施において、必ずしも最小可能値ではない適切な摩擦係数値を維持することが好ましいのは、潤滑剤組成物の過剰塗布及びパッケージとコンベア表面との間の容認できないほどの低い摩擦係数により、傾いて落下した容器(例えば、ボトル)が原因でシステム効率が低下するおそれがあるからである。同じコンベアライン内では、軌道上の異なる位置で最適な摩擦係数が異なる可能性があり、潤滑剤分配システムが同じコンベアライン上の異なる位置で、異なる濃度の潤滑剤を必要とせずに異なる摩擦係数値を提供できることが所望され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示は、様々な容器材料及びコンベア材料と共に使用することができる「汎用」潤滑剤を対象とする。
【0058】
潤滑剤組成物はまた、飲料容器、食品容器、家庭用又は商業用洗浄製品容器、及び油、不凍剤又は他の工業用流体用の容器を含む、様々な容器を搬送するために使用することができる。容器は、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、PET及びポリエチレンナフタラート(PEN)などのポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、並びにそれらの混合物又はコポリマー)、金属(例えば、アルミニウム、スズ又はスチール)、紙(例えば、未加工紙、表面加工紙、ワックス加工紙又は他のコーティングされた紙)、セラミック、及びそれらの材料の2つ以上のラミネート加工品又は複合材(例えば、PET、PEN又はそれらの混合物と別のプラスチック材料とのラミネート加工品)を含む様々な材料で製造することができる。容器は、カートン(例えば、ワックス加工カートン又はTETRAPACK(商標)ボックス)、缶、ボトルなどを含む、様々なサイズ及び形態を有することができる。潤滑剤組成物は、好ましくは、コンベア又は他の容器と接触することとなる容器の部分のみと接触する。
【0059】
様々な種類のコンベア及びコンベア部品を、潤滑剤組成物でコーティングすることができる。容器を支持する、誘導する、又は移動させる、それ故に好ましくは潤滑剤組成物でコーティングされる、コンベアの部品としては、布地、金属、プラスチック、複合材又はそれらの材料の組み合わせで製造された表面を有する、ベルト、チェーン、ゲート、シュート、センサ及び傾斜路が挙げられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、コンベア上のガラス容器(例えば、ガラス瓶又は缶)の通過を潤滑させるために使用される。例えば、潤滑剤組成物は、ステンレス鋼又はプラスチック製のコンベアライン上のガラス容器の通過を潤滑させるために使用してもよい。特定の一例では、潤滑剤組成物は、ステンレス鋼コンベア上でガラス瓶又は缶を搬送するために使用されるコンベアを潤滑させるために使用される。別の例示的な実施形態では、潤滑剤組成物は、コンベア上のプラスチック容器(例えば、PETボトル)の通過を潤滑させるために使用される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、潤滑剤組成物は、コンベアの運転時間およびコンベア上で容器を搬送する時間を通して、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下又は0.13以下のCOFを維持することが可能である。例えば、潤滑剤組成物は、約0.08〜約0.25、約0.09〜約0.2、約0.1〜約0.18又は約0.1〜約0.15のCOFを維持することが可能であってもよい。潤滑剤組成物は、運転時間中及び搬送時間中に連続的又は断続的に塗布されてもよく、潤滑剤組成物は、運転及び搬送の時間を通して0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下又は0.13以下のCOFを維持することができる。
【0062】
潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の成分として約50%〜約98%の水又は親水性希釈剤を含有してもよい。潤滑剤組成物は、水又は相当量の水での希釈を必要としない濃度及び粘稠度で提供することができる。他方、潤滑剤組成物は、潤滑剤1部に対し希釈剤約1〜500部の希釈剤対潤滑剤比、又は1:1、5:1、30:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、400:1、500:1、1000:1の比率、若しくはそれらの間の任意の比で、水又は水性希釈剤で希釈することができる。潤滑剤組成物は、塗布前に又は塗布時に希釈してもよい。
【0063】
水性希釈剤は、使用場所で入手可能な水であってもよく、未処理で(例えば、そのまま軟水化せずに)使用してもよい。いくつかの態様では、潤滑剤組成物は、水硬度に対して相溶性である。例えば、潤滑剤組成物は、300ppm以上、400ppm以上又は500ppm以上の水硬度に対する耐性を有してもよい。例えば、潤滑剤組成物は、約250ppm〜約550ppmの水硬度に対する耐性を有してもよい。水硬度のレベルは、CaCO
3として測定される。
【0064】
少なくともいくつかの実施形態によれば、潤滑剤組成物は、湿式潤滑剤と同様の粘度を有する。これは、湿式潤滑剤を塗布するために使用される標準的な装置(例えば、非通電ノズル)を使用して潤滑剤組成物を塗布することができるという利点を提供する。典型的な乾式潤滑剤は、相当の費用を追加する可能性がある特殊な装置(例えば、特殊な投与ポンプ及び/又はノズル)を必要とする。本発明の潤滑剤組成物は、5psi〜80psi、好ましくは20psi〜60psi、好ましくは30psi〜50psiである低圧から中程度圧力で微細な潤滑剤噴霧を発生させる、湿式潤滑剤用に一般的に使用される投与ポンプ非通電ノズルを含む、潤滑剤を塗布又は分配するために使用さる任意の好適な塗布システムで塗布することができる。塗布システムは、0.1ガロン/時〜10ガロン/時(0.38〜38L/時)、好ましくは0.25ガロン/時〜7.5ガロン/時(0.95〜28L/時)、より好ましくは0.5〜5.0ガロン/時(1.9〜19L/時)で送達するように構成されてもよい。
【0065】
潤滑剤組成物の粘度は、約0〜約400cP、約10〜約300cP、又は約20〜約200cPである。
【0066】
潤滑剤組成物は、持続的に又は断続的に塗布することができる。潤滑剤コーティングを断続的な様式で塗布することによって、塗布される潤滑剤組成物の量を最小限に抑えることができる。本発明の潤滑剤組成物は、コンベアの運転時間および容器をコンベア上で搬送する時間を通して、最適で十分に低い摩擦係数を維持しながら、断続的に塗布することができることが見出された。具体的には、潤滑剤組成物を、第1の期間(「塗布時間」)に塗布し、その後少なくとも1分、2分、5分、10分、15分又は少なくとも30分以上の第2の期間(「未塗布時間」)に塗布しなくてもよい。第1の期間は、組成物をコンベアベルト上に広げるのに十分な長さであってもよい(例えば、コンベアベルトの1回転の時間)。第1の期間中、実際の塗布は、連続的であってもよく、すなわち潤滑剤組成物がコンベア全体に塗布されるか、又は断続的であってもよく、すなわち潤滑剤組成物が帯状に塗布され、容器が潤滑剤組成物を周りに広げる。潤滑剤組成物の1回の塗布サイクルは、潤滑剤組成物が分配される第1の期間と、潤滑剤組成物が分配されない第2の期間と、を含む。潤滑剤組成物を、コンベアに直接塗布する、又は搬送中にコンベアと接触する領域の容器に塗布することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、約1〜約120秒又は約5〜約60秒の第1の期間に塗布され、約10〜約500秒又は約20〜約360秒の第2の期間では塗布されない。未塗布時間の塗布時間に対する比は、塗布時間の1単位につき約1〜約100単位の未塗布時間、又は塗布時間の1単位につき約2〜約50単位、約3〜約30単位若しくは約5〜約15単位の未塗布時間であってもよい。
【0068】
潤滑剤組成物は、良好な抗菌効果を示す。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、緑膿菌を少なくとも5log、少なくとも6log、又は少なくとも7log減少させることができる。例えば、潤滑剤組成物は、緑膿菌を約6〜約8log減少させることができるかもしれない。潤滑剤組成物はまた、出芽酵母を少なくとも3log、少なくとも4log、又は少なくとも5log減少させることができる。例えば、潤滑剤組成物は、出芽酵母を約4〜約6log減少させることができるかもしれない。
【0069】
本開示の潤滑剤組成物は、広い温度範囲(例えば、4℃未満及び50℃超)にわたって改善された温度安定性、凍結融解安定性、水硬度イオンに対する改善された相溶性、優れた潤滑性能及び抗菌効果を示す。潤滑剤組成物は、約−40℃〜約60℃、又は約−20℃〜約55℃の範囲の温度で安定し得、1回以上(例えば、1〜10回又は少なくとも3回)の凍結融解サイクルにわたって安定し得る。潤滑剤組成物は、合成ワックスエマルション及び/又はアミン及びそれらの誘導体を含む1種以上の潤滑剤を含む。好適な合成ワックスエマルションとしては、ポリエチレン系、ポリ(エチレンオキシド)系、ポリプロピレン系及びポリ(プロピレンオキシド)系のエマルションが挙げられる。一実施形態では、合成ワックスエマルションは、ポリ(エチレンオキシド)ワックスエマルションを含む。好適なアミン又はアミン誘導体潤滑剤としては、アルキルC
12〜C
14オキシプロピルジアミン又はココジアミノプロパン、ラウリルプロピルジアミン、ジメチルラウリルアミン及びPEGココアミンなどのオレイルジアミノアルカン(例えば、オレイルジアミノプロパン)が挙げられる。一態様では、潤滑剤組成物は、合成ワックスエマルションとアミン又はアミン誘導体との組み合わせなどの、2つ以上の潤滑剤の組み合わせを含む。例示的な一実施形態では、潤滑剤組成物は、ポリ(エチレンオキシド)ワックスエマルション及びオレイルジアミノプロパンを含む。潤滑剤組成物は、約0.2〜約90%、又は約1〜約75%、約2〜約50%又は約5〜約30%の潤滑剤を含んでもよい。潤滑剤組成物が、合成ワックスエマルションである第1の潤滑剤と、オレイルジアミノプロパンである第2の潤滑剤と、を含む例では、第1の潤滑剤は、約1〜約60%で存在し、第2の潤滑剤は、約0.1〜約10%で存在する。第1の潤滑剤及び第2の潤滑剤は、第2の潤滑剤1部につき約1〜約30部、約2〜約20部又は約3〜約10部の第1の潤滑剤の比率で存在することができる。一例では、潤滑剤組成物は、第2の潤滑剤1部につき約7〜約8部の第1の潤滑剤を含む。潤滑剤組成物は、組成物を広い温度範囲下で均質に保つのを助けるために、1つ以上の乳化剤、安定剤又はカップリング剤を含んでもよい。様々な異なる種類の化合物を、乳化剤又は安定剤として使用することができる。好適な安定剤の例としては、イソプロピルアルコール、エタノール、尿素などが挙げられる。好適な乳化剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤などの様々な界面活性剤が挙げられる。一態様では、潤滑剤組成物は、オレフィンスルホナート又はその塩を含む。例えば、潤滑剤組成物は、C14〜C16オレフィンスルホナート又はそれらの塩などの長鎖アルケンスルホナート又は長鎖ヒドロキシアルカンスルホナートを含んでもよい。潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の硬水相溶性を改善するために、1種以上の金属イオン封鎖剤を更に含んでもよい。好適な金属イオン封鎖剤の例としては、ホスホン酸及びホスホナート、ホスフェート、アミノカルボキシラート及びそれらの誘導体、ピロホスフェート、ポリホスフェート、エチレンジアミン誘導体及びエチレントリアミン誘導体、ヒドロキシ酸、並びにモノ、ジ及びトリカルボキシラート及びそれらの対応する酸が挙げられる。潤滑剤組成物は、約0.005〜約1重量%、約0.01〜約0.5重量%、約0.02〜約0.4重量%、約0.03〜約0.3重量%、又は約0.04〜約0.1重量%の金属イオン封鎖剤を含んでもよい。潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の成分として約50%〜約98%の水又は親水性希釈剤を含有してもよい。潤滑剤組成物は、相当量の水により任意の水での希釈を必要としない濃度及び粘稠度で提供することができる。あるいは、潤滑剤組成物は、潤滑剤1部に対し希釈剤約1〜500部の希釈剤対潤滑剤比、又は1:1、5:1、30:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、400:1、500:1の比率、若しくはそれらの間の任意の比率で、水又は水性希釈剤で希釈することができる。潤滑剤組成物は、非通電ノズルによって分配することができる。潤滑剤組成物は、運転及び搬送の時間中に連続的又は断続的に塗布されてもよい。潤滑剤組成物は、第1の期間(「塗布時間」)に塗布され、その後少なくとも15分、少なくとも30分又は少なくとも120分以上の第2の期間(「未塗布時間」)に塗布されなくてもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、約1〜約120秒又は約5〜約60秒の第1の期間に塗布され、約10〜約500秒又は約20〜約360秒の第2の期間では塗布されない。未塗布時間の塗布時間に対する比率は、塗布時間の1単位につき約1〜約100単位の未塗布時間、又は塗布時間の1単位につき約2〜約50単位、約3〜約30単位若しくは約5〜約15単位の未塗布時間であってもよい。いくつかの実施形態によれば、潤滑剤組成物は、コンベアの運転時間およびコンベア上で容器を搬送する時間を通して、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下又は0.13以下のCOFを維持することができる。例えば、潤滑剤組成物は、約0.08〜約0.25、約0.09〜約0.2、約0.1〜約0.18又は約0.1〜約0.15のCOFを維持することが可能である。潤滑剤組成物は、緑膿菌細菌を少なくとも5log、少なくとも6log又は少なくとも7log、出芽酵母を少なくとも3log、少なくとも4log、又は少なくとも5log減少させることができる。
【実施例】
【0070】
実施例1
2つの潤滑剤配合物(配合1及び配合2)を表2に従って調製し、それらの性能を市販の半乾式潤滑剤組成物に対して試験した。潤滑剤組成物の安定性もまた様々な温度で試験した。
【表2】
【0071】
潤滑剤配合物の粘度を4℃、周囲温度、40℃及び50℃で30日間モニターした。結果を
図1に示す。30日の期間中に粘度の有意な変化が起こらず、潤滑剤配合物は、低温と高温の両方において周囲温度と同様の粘度を有することが観察された。
【0072】
粘度及び相分離(目視検査に基づく)もまた、数回の凍結融解(「FT」)サイクルを通してモニターした。それぞれの凍結融解サイクルでは、試料を−18℃で24時間凍結し、次いで周囲温度(約18〜20℃)に24時間置き、したがって、それぞれのサイクルは、48時間であった。FTサイクルの後、試料を周囲温度貯蔵条件下で2週間貯蔵し、次いで2週間の貯蔵後に相分離について目視検査を行なった。結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0073】
潤滑剤配合物は、凍結融解サイクル後の粘度の変化が最小であり、貯蔵後に視覚的に知覚できるほどの相分離がなく、良好に機能することが観察された。
【0074】
潤滑剤配合物の潤滑性能を、2つの市販の配合物、比較配合1(Ecolab Inc.から入手可能な脂肪族アミン系潤滑剤)及び比較配合2(Ecolab Inc.から入手可能な界面活性剤潤滑剤)に対して試験した。配合物を長さ3m及びコンベア速度25m/分のステンレス鋼試験コンベアで試験した。試験アセンブリは、コンベア上に配置され、瓶とコンベアとの間の摩擦係数(COF)を測定するために張力計に取り付けられたガラス瓶を備えていた。それぞれの配合物を5時間試験し、最後の30分のデータを集めて統計的に分析した。試験配合物を0.4%及び0.6%の濃度で塗布した。比較配合1を0.4%で塗布し、比較配合2を0.6%で塗布した。それぞれの潤滑剤は、塗布サイクルが、塗布時間10秒、未塗布時間120秒である半乾式モードで試験された。
【0075】
潤滑試験の結果を表4及び
図2に示す。
【表4】
【0076】
試験配合物は、市販の配合物と比較して同等に良好に機能し、非常に類似したCOF値を達成することが観察された。
【0077】
緑膿菌及び出芽酵母に対する潤滑剤配合物の抗菌効果を比較配合1と比較した。それぞれの配合物を0.5%の濃度で塗布した。配合物を接種材料に塗布し、次いでその接種材料を48時間インキュベートした。生菌数(CFU/mL)及び対数減少値を含む結果を下記の表5に示す。
【表5】
【0078】
試験配合物は、市販の配合物と比較して同等に良好に機能することが観察された。
【0079】
水硬度イオンに対する潤滑剤配合物の相溶性を比較配合1に対して試験した。潤滑剤の試料を、(CaCO
3として測定した)100ppm〜400ppmの範囲の硬度レベルを有する水と0.5%の濃度で混合した。試料のそれぞれを3個の容器に分け、1個を蓋で密封し、2個を試験期間中開いたままにした。試料容器を40℃で7日間貯蔵した後、試料を沈殿の形成について観察した。結果を以下の表6に示す。
【表6】
【0080】
試験配合物は、市販の配合物と比較して、水硬度イオンに対して改良された相溶性を有することが観察された。
【0081】
実施例2
潤滑剤配合物(配合3)を表7に従って調製し、実施例1に由来する配合2と併せて市販の半乾式潤滑剤組成物に対して試験した。潤滑剤組成物の安定性も様々な温度で試験した。
【表7】
【0082】
配合3の粘度は、4℃、周囲温度、40℃及び50℃で30日間モニターした。結果を表8に示す。30日の期間中に4℃、周囲温度及び40℃で粘度の有意な変化が起こらず、50℃での粘度は、許容範囲で15日間維持されたことが観察された。
【表8】
【0083】
粘度及び相分離(目視検査に基づく)もまた、数回の凍結融解(「FT」)サイクルを通してモニターされた。それぞれの凍結融解サイクルでは、試料を−18℃で24時間凍結し、次いで周囲温度(約18〜20℃)に24時間置き、したがって、それぞれのサイクルは、48時間であった。FTサイクルの後、試料を周囲温度貯蔵条件下で2週間貯蔵し、次いで2週間の貯蔵後に相分離について目視検査を行なった。結果を以下の表9に示す。
【表9】
【0084】
潤滑剤配合物は、凍結融解サイクル後の粘度の変化が最小であり、貯蔵後に視覚的に知覚できるほどの相分離がなく、良好に機能することが観察された。
【0085】
潤滑剤配合物の潤滑性能を、比較配合1(Ecolab Inc.から入手可能な脂肪族アミン系潤滑剤)に対して試験した。配合物を長さ3m及びコンベア速度25m/分のステンレス鋼試験コンベアで試験した。試験アセンブリは、コンベア上に配置され、瓶とコンベアとの間の摩擦係数(COF)を測定するために張力計に取り付けられたガラス瓶を備えた。それぞれの配合物を5時間試験し、最後の30分のデータを集めて統計的に分析した。試験配合物を0.4%及び0.6%の濃度で塗布した。比較配合1を0.4%で塗布した。それぞれの潤滑剤は、塗布サイクルが、塗布時間10秒、未塗布時間120秒である半乾式モードで試験された。
【0086】
潤滑試験の結果を表10に示す。
【表10】
【0087】
試験配合物は、市販の配合物と比較して同等に良好に機能し、非常に類似したCOF値を達成することが観察された。
【0088】
緑膿菌及び出芽酵母に対する潤滑剤配合物の抗菌効果を比較配合1と比較した。それぞれの製剤を0.2%の濃度で塗布した。製剤を接種材料に塗布し、次いでその接種材料を48時間インキュベートした。生菌数(CFU/mL)及び対数減少値を含む結果を以下の表11に示す。
【表11】
【0089】
試験配合物は、市販の配合物と比較して同等に良好に機能することが観察された。
【0090】
水硬度イオンに対する潤滑剤配合物の相溶性を比較配合1に対して試験した。潤滑剤の試料を、(CaCO
3として測定した)100ppm〜400ppmの範囲の硬度レベルを有する水と0.2%の濃度で混合した。試料のそれぞれを3個の容器に分け、1個を蓋で密封し、2個を試験期間中開いたままにした。試料容器を40℃で7日間貯蔵した後、試料を沈殿の形成について観察した。結果を以下の表12に示す。
【表12】
【0091】
試験配合物は、市販の配合物と比較して水硬度イオンに対して改良された相溶性を有することが観察された。
【0092】
配合物の安定性は、外気にさらして試験した。それぞれの配合物の外観を2日目、7日目及び3週目に記録した。結果を以下の表13に示す。
【表13】
【0093】
配合1及び2の分離は、2日間空気にさらした後に観察された。配合1及び2配合3の粘度は1週間後に増加し、配合は、3週間後に濃厚なヨーグルト様の外観を有した。配合3は、より安定しており、1週間後にわずかな分離しか示さず、3週目に分離及び粘度のわずかな増加を示した。
実施例3
【0094】
実験配合物E1、E2及びE3を表14に従って調製した。配合物の安定性は、分離及び粘度をモニターすることによって評価した。
【表14】
【0095】
配合E1の粘度は、3日以内に50℃で許容できないほど高くなることが見出された。配合E2は、50℃で分離し始め、配合物の粘度は、凍結融解サイクルの間に増加した。配合E3は、40℃及び50℃で3日以内に固化を示した。
【0096】
本発明のある特定の実施形態が説明されてきたが、他の実施形態が存在してもよい。本明細書は詳細な説明を含むが、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示される。上記の特定の特徴及び行為は、本発明の例示的な態様及び実施形態として開示される。様々な他の態様、実施形態、修正及びそれらの等価物は、本明細書の説明の読後、本発明の趣旨又は特許請求される主題の範囲から逸脱することなく当業者には連想されてもよい。
本発明の実施形態の例を、以下の項目[1]〜[32]に列記する。
[1]
合成ワックスエマルションと、
アミン誘導体と、
乳化剤と、
金属イオン封鎖剤と、を含む、潤滑剤組成物。
[2]
前記合成ワックスエマルションが、ポリ(エチレンオキシド)系又はポリ(プロピレンオキシド)系のワックスエマルションを含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[3]
前記合成ワックスエマルションが、ポリ(エチレンオキシド)ワックスエマルションである、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[4]
前記アミン誘導体が、脂肪族アミン又はその塩を含み、前記脂肪族アミンが、式R−NH−(CH2)3−NH2を有し、Rが、C6〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニルである、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[5]
前記アミン誘導体が、エーテルアミン又はその塩を含み、前記エーテルアミンが、式R1−O−R2−NH−(CH2)3−NH2を有し、R1が、C6〜C18の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニルであり、R2が、直鎖又は分岐鎖のC1〜C8アルキルである、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[6]
前記アミン誘導体が、アルキルC12〜C14オキシプロピルジアミンを含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[7]
前記組成物が、0.1〜20%の第四級アンモニウム化合物を含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[8]
前記乳化剤が、アニオン性界面活性剤を含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[9]
前記乳化剤が、約0.1〜約10%で存在する、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[10]
前記金属イオン封鎖剤が、ホスフェート、ポリアクリル酸若しくはその塩、グルコン酸ナトリウム、EDTA又はそれらの組み合わせを含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[11]
前記金属イオン封鎖剤が、約0.01〜約5%で存在する、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[12]
前記潤滑剤組成物が、
約5〜約90%の前記合成ワックスエマルションと、
約0.5〜約20%の前記アミン誘導体と、を含む、濃縮物である、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[13]
前記潤滑剤組成物が、約10〜約40%の前記合成ワックスエマルションを含む、項目12に記載の潤滑剤組成物。
[14]
前記潤滑剤組成物が、約1〜約8%の前記アミン誘導体を含む、項目12に記載の潤滑剤組成物。
[15]
前記合成ワックスエマルションおよび前記アミン誘導体が、アミン誘導体1部につき約2〜約20部の前記合成ワックスエマルションの比率で存在する、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[16]
前記潤滑剤組成物が、
約0.02〜約1%の前記合成ワックスエマルションと、
約0.01〜約1%の前記アミン誘導体と、
約95〜約98%の水と、を含む、使用溶液である、項目1に記載の潤滑剤組成物。
[17]
コンベアに沿った容器の通過を潤滑させる方法であって、前記方法が、
適用サイクルにおいて、前記容器又は前記コンベアの少なくとも一部に潤滑剤組成物を適用することと、
前記適用サイクルを繰り返すことと、を含み、
前記潤滑剤組成物が、
合成ワックスエマルションと、
アミン誘導体と、
乳化剤と、
金属イオン封鎖剤と、を含み、
前記適用サイクルが、前記潤滑剤組成物を分配する第1の期間と、前記潤滑剤組成物を分配しない第2の期間と、を含む、方法。
[18]
前記潤滑剤組成物が、非通電ノズルによって適用される、項目17に記載の方法。
[19]
前記第1の期間が、前記第2の期間よりも短い、項目17に記載の方法。
[20]
前記第1の期間が、第1の長さを有し、前記第2の期間が、第2の長さを有し、前記第1の長さと前記第2の長さとの比率が、1:1〜1:100である、項目17に記載の方法。
[21]
前記第1の期間が、約1〜約60秒であり、前記第2の期間が、約10〜約3600秒である、項目17に記載の方法。
[22]
前記合成ワックスエマルションが、エチレン系又はプロピレン系のワックスエマルションを含む、項目17に記載の方法。
[23]
前記合成ワックスエマルションが、ポリエチレンワックスエマルションである、項目17に記載の方法。
[24]
前記アミン誘導体が、オレイルジアミノアルカンを含む、項目17に記載の方法。
[25]
前記アミン誘導体が、アルキルC12〜C14オキシプロピルジアミンを含む、項目17に記載の方法。
[26]
前記乳化剤が、アニオン性界面活性剤を含む、項目17に記載の方法。
[27]
前記乳化剤が、約0.1〜約10%で存在する、項目17に記載の方法。
[28]
前記金属イオン封鎖剤が、ホスフェートを含む、項目17に記載の方法。
[29]
前記金属イオン封鎖剤が、約0.01〜約1%で存在する、項目17に記載の方法。
[30]
前記潤滑剤組成物が、
約5〜約90%の前記合成ワックスエマルションと、
約0.5〜約20%の前記アミン誘導体と、を含む、濃縮物であり、
前記方法が、前記潤滑剤組成物を水で希釈することを更に含む、項目17に記載の方法。
[31]
前記合成ワックスエマルション及び前記アミン誘導体が、アミン誘導体1部につき約2〜約20部の合成ワックスエマルションの比率で存在する、項目17に記載の方法。
[32]
前記方法は、複数の適用サイクルを通して約0.08〜約0.2の摩擦係数を維持することが可能である、項目17に記載の方法。