特許第6883112号(P6883112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883112
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】テンションコネクタおよび固定装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 13/06 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   F16B13/06 A
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-540637(P2019-540637)
(86)(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公表番号】特表2020-509303(P2020-509303A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2017065949
(87)【国際公開番号】WO2018162090
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】202017101263.8
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518333443
【氏名又は名称】ハーフェレ ベルリン ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ニッチマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト サバスキ
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102007039595(DE,A1)
【文献】 米国特許第05531551(US,A)
【文献】 実開平04−049207(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/00−13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの構成要素を接続するための3つの部分により構成されるテンションコネクタ(1)であって、
ボルトシャフト(3)、および前記ボルトシャフト(3)に面するそのボルト側において部分球体または部分円筒体として形成されるボルトヘッド(4)を有するボルト(2)と、ポット開口部(7)を持ち、部分球体または部分円筒体として形成されかつ旋回軸受として形成されるポット内部(8)を持つ軸受ポット(6)およびレバーアーム(15)を有する偏心レバー(5)とを備え、それによって前記偏心レバー(5)が、開始位置と緊張位置との間で旋回軸線(17)の周りで旋回可能であるように前記ボルトヘッド(4)上に取り付けられるかまたはこれに取り付けられることができ、前記軸受ポット(6)が、前記ポット開口部(7)から緊張方向(10)に対して延びる前記ボルトシャフト(3)のためのスロット(11)を有し、前記旋回軸線(17)に対して偏心している前記スロット(11)に沿って前記2つの構成要素のうち1つの構成要素を転がり進む偏心外側輪郭(12)を有し、
前記ボルトヘッド(4)から遠い方の前記ボルト(2)の端部が、少なくとも1つの拡散コーン(31)を有し、その上に拡開スリーブ(32)が取り付けられ、前記スロット(11)が、前記ポット開口部(7)と前記ボルト(2)の前記開始位置との間で弾性的に拡幅可能な狭窄部(16)を有し、その狭窄部のスロット幅が、前記ボルトシャフト(3)の直径よりも僅かに小さく、それによって、前記偏心レバー(5)が、押し嵌められ、前記ボルトヘッド(4)に係止され得ることを特徴とする、テンションコネクタ(1)。
【請求項2】
前記開始位置にある前記偏心レバー(5)の前記レバーアーム(15)が、前記ボルト(2)と平行に方向づけられることを特徴とする、請求項1に記載のテンションコネクタ。
【請求項3】
前記緊張方向(10)に対する前記旋回軸線(17)からの前記偏心外側輪郭(12)の距離が、ポット底部(14)まで連続的に増加し、縁部を介して前記ポット底部(14)に移行することを特徴とする、請求項1または2に記載のテンションコネクタ。
【請求項4】
前記偏心レバー(5)の前記レバーアーム(15)が、前記ポット底部(14)に作用することを特徴とする、請求項に記載のテンションコネクタ。
【請求項5】
前記ポット開口部(7)が、カラー(9)によって囲まれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のテンションコネクタ。
【請求項6】
前記軸受ポット(6)が、前記スロット(11)の側面に平坦な接触面(13)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のテンションコネクタ。
【請求項7】
前記偏心レバー(5)が、さらなる構成要素(50)の押込み嵌め接続のためのキャリア部分として構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のテンションコネクタ。
【請求項8】
前記偏心レバー(5)が、前記テンションコネクタ(1)の前記緊張位置において、前記ボルト(2)のボルト軸線を横切る方向に開いているレセプタクルを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のテンションコネクタ。
【請求項9】
前記偏心レバー(5)が、前記緊張方向(10)に向いているその背面側に突出するピン(55)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のテンションコネクタ。
【請求項10】
前記偏心レバー(5)が、プラスチックまたは亜鉛ダイカストで作られる一体型構成要素であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のテンションコネクタ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのテンションコネクタ(1)で構成要素を固定するための固定装置。
【請求項12】
2つの構成要素(20、21;33、34)が互いに対接する状態で、前記テンションコネクタ(1)の前記ボルト(2)が、一方の構成要素(20;34)に取り付けられ、そのボルトヘッド(4)が、他方の構成要素(21;33)から突出し、前記緊張位置において、前記テンションコネクタ(1)の前記偏心レバー(5)が、前記2つの構成要素(20、21;33、34)を一緒にしっかりと締め付けることを特徴とする、請求項11に記載の固定装置。
【請求項13】
前記緊張位置において、前記偏心レバー(5)が、当該偏心レバー(5)のレバーアーム(15)で前記一方の構成要素(21、33)を圧迫することを特徴とする、請求項12に記載の固定装置。
【請求項14】
前記緊張位置において、前記偏心レバー(5)が、当該偏心レバー(5)のレバーアーム(15)で前記一方の構成要素(33)に係止されることを特徴とする、請求項12または13に記載の固定装置。
【請求項15】
さらなる構成要素(39)が、前記偏心レバー(5)に取り付けられることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項16】
その間でさらなる構成要素(50;54)がテンションコネクタ(1)によって取り付けられる2つの側壁(51)の場合は、前記ボルト(2)が、前記2つの側壁(51)に固定される固定装置であって、前記ボルトヘッド(4)に取り付けられる前記偏心レバー(5)が、前記側壁(51)にしっかりと締め付けられ、前記さらなる構成要素(50、54)が、前記偏心レバー(5)から吊り下げ保持されることを特徴とする、請求項11に記載の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトシャフトおよびボルトヘッドを有するボルトと、ボルトヘッドに旋回可能に取り付けられ、その緊張位置に2つの構成要素を一緒にしっかりと締め付ける偏心レバーとを備える、2つの構成要素を接続するためのテンションコネクタに関し、かつ、この種のテンションコネクタを持つ固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0878630(A2)号明細書は、偏心レバーを持つテンションコネクタを開示しており、これは、開始位置と緊張位置との間でピンを中心として旋回可能であるように拡散部にしっかりと取り付けられる。ピンは、旋回軸線を規定し、偏心レバーに押し込まれる。従って、テンションコネクタは、3つの部分、すなわち偏心レバー、拡散部、および、ピンから成る。拡散部に配置されるダウエルは、第1の構成要素のボアにテンションコネクタを挿入するのに使用される。偏心レバーがその緊張位置に旋回させられると、拡散部は、ダウエルに対して引き寄せられ、これは、それによって広がり、ボアに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0878630(A2)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、本発明の目的は、簡単な汎用テンションコネクタ、およびこの種のテンションコネクタを持つ固定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、ボルトシャフトおよびボルトヘッドを有するボルトと、旋回軸受として形成されるポット内部を持つ軸受ポットを有する偏心レバーとを備え、それによって偏心レバーが、開始位置と緊張位置との間で旋回軸線の周りで旋回可能であるようにボルトヘッドに取り付けられる、2つの構成要素を接続するためのテンションコネクタであって、軸受ポットが、ポット開口部から旋回方向に延びるボルトシャフトのためのスロットを有し、スロットに沿って旋回軸線に対して偏心している外側輪郭を有する、テンションコネクタによって本発明により達成される。
【0006】
本発明によれば、締め付けは、固定されるべき構成要素のためのクランプ手段または保持手段を同時に形成する別個の偏心レバーによって工具なしで行われ、したがって、接続の生成または解除のための追加の工具は必要とされず、接続されるべき部品に恒久的に取り付けられる追加の装着部は必要ない。したがって、本発明によるテンションコネクタは、2つの部品のみ、すなわちボルトおよび偏心レバーから成る。
【0007】
偏心レバーの旋回軸線はボルトシャフトを貫通するスロットによって既に確立されているので、ボルトシャフトに面するその側面のボルトヘッドおよびポット内部は、部分球体または部分円筒体として形成され得る。
【0008】
プラスチックで作られる偏心レバーの場合は、ボルトおよび偏心レバーを拘束的に一緒に接続するために、有利なことに、スロットは、ポット開口部とボルトの開始位置との間に弾性的に拡幅可能な狭窄部を有し、そのスロット幅は、ボルトシャフトの直径より僅かに小さい。ボルトは、狭窄部を拡幅することによって偏心レバーにクリックされ、または係止される。金属材料、例えば亜鉛ダイカストで作られる偏心レバーの場合は、タブ(リベットウェブ)が、スロットの両側に設けられ、スロット幅を減少させるようにスロットの中に曲げられ得る。スロットの中に挿入後、ボルトは、タブを曲げる(リベットで留める)ことによって偏心レバーに固定される。
【0009】
特に好ましくは、旋回軸線からの緊張方向に対する偏心外側輪郭の距離は、ポット底部まで連続的に増加し、偏心レバーを緊張位置において固定するために縁部を介してポット底部に移行する。それに加えてまたはその代わりに、偏心レバーは、緊張位置の直前で過張力によって自動ロックすることができる。過張力のために、張力経路は、ポット底部の直前までしか生じず、次いで、自動ロックが、張力の軽減によって生じる。
【0010】
さらなる構成要素が、偏心レバーの軸受ポットに取り付けられ、ポット開口部を囲むカラーによって偏心レバーに固定され得る。
【0011】
有利なことに、ボルトヘッドから遠い方のボルトの端部は、プラスチック射出成形におけるインサートとして固定され、または例えばその上にクリップ留めされる拡開スリーブと協働するねじ山もしくは少なくとも1つの拡散コーンを有することができる。
【0012】
有利なことに、偏心レバーは、特にさらなる構成要素の押込み嵌め接続のためのキャリア部分として構成され、または、テンションコネクタの緊張位置においてさらなる構成要素をその中に吊り下げるためにボルトのボルト軸線を横切る方向に開いているレセプタクルを有することができる。
【0013】
好ましくは、偏心レバーは、構成要素に偏心レバーをさらに支持するために、緊張方向に向いているその背面側に突出するピンを有する。
【0014】
好ましくは、偏心レバーは、特にプラスチックまたは亜鉛ダイカストで作られる一体型構成要素であり、ボルトは、鋼製部品、特に鋼製押出し成形品である。
【0015】
本発明はまた、上述のように少なくとも1つのテンションコネクタを持つ構成要素を固定するための固定装置に関する。
【0016】
固定装置の好ましい改良は、互いに対接する2つの構成要素を備え、テンションコネクタのボルトは、一方の構成要素に取り付けられ、他方の構成要素からそのボルトヘッドに関して突出し、テンションコネクタの偏心レバーは、緊張位置において2つの構成要素を一緒にしっかりと締め付ける。好ましくは、緊張位置において、偏心レバーは、そのレバーアームで第2の構成要素を圧迫し、それによって第2の構成要素に係止される。有利なことに、さらなる構成要素が、特に鍵穴によって偏心レバーに取り付けられ得る。
【0017】
固定装置のもう1つの好ましい改良は、2つの側壁を備え、その間にさらなる構成要素、例えば棚または衣服レールが、テンションコネクタによって取り付けられ、そのテンションボルトは、2つの側壁に固定され、ボルトヘッドに取り付けられるその偏心レバーは、側壁にしっかりと締め付けられ、さらなる構成要素が、偏心レバーから吊り下げ保持される。
【0018】
本発明のさらなる利点は、説明、特許請求の範囲、および図面から生じる。また、前述の特徴および以下に提示される特徴は、個々に、または任意の組み合わせのグループで使用され得る。示され説明された実施形態は、完全なリストと見なされるべきではなく、むしろ本発明を提示するための例示的な特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ボルトおよび偏心レバーがまだ取り付けられていない状態の本発明によるテンションコネクタを示す図である。
図2a図1のテンションコネクタを取り付けるための個々の取り付けステップを示す図である。
図2b図1のテンションコネクタを取り付けるための個々の取り付けステップを示す図である。
図2c図1のテンションコネクタを取り付けるための開始位置における取り付けられたテンションコネクタを示す図である。
図2d図1のテンションコネクタを取り付けるための緊張位置における取り付けられたテンションコネクタを示す図である。
図3a】そのボルトがインサートとしてハンドルに固定される、本発明による2つのテンションコネクタを持つプラスチックハンドルを示す図である。
図3b】そのボルトがインサートとしてハンドルに固定される、家具壁体に取り付けられるハンドルを示す図である。
図4】そのボルトがハンドルにねじ込まれる、本発明による2つのテンションコネクタを持つ変更ハンドルを示す図である。
図5a】その上にクリップ留めされた、拡張ボルトおよび拡開スリーブを持つ本発明によるテンションコネクタを示す図である。
図5b】2つの構成要素の締め付け中の、拡張ボルトおよび拡開スリーブを持つ本発明によるテンションコネクタを示す図である。
図6図5のテンションコネクタに吊り下げられるさらなる構成要素を示す図である。
図7】2つのテンションコネクタによって一緒に締め付けられる2つの構成要素を各々の場合について示す図である。
図8】2つのテンションコネクタによって一緒に締め付けられる2つの構成要素を各々の場合について示す図である。
図9a】2つのテンションコネクタによって棚を2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図9b】2つのテンションコネクタによって棚を2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図9c】2つのテンションコネクタによって棚を2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図9d】2つのテンションコネクタによって棚を2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図9e】2つのテンションコネクタによって棚を2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図10a】2つのテンションコネクタによって衣服レールを2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図10b】2つのテンションコネクタによって衣服レールを2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図10c】2つのテンションコネクタによって衣服レールを2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図10d】2つのテンションコネクタによって衣服レールを2つの側壁に固定するための個々の取り付けステップを示す図である。
図11】テンションコネクタによって引出しガイドを家具本体に固定するためのアダプタプレートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面の次の説明においては、同一の参照符号が、同一の構成要素または同様な機能を持つ構成要素に使用される。
【0021】
2つの構成要素を接続するための図1および図2に示されるテンションコネクタ1は、ボルトシャフト3およびボルトヘッド4を持つボルト2と、ポット開口部7を持ち、1/4球状から半球状の形のピボット軸受として構成されるポット内部8を持つ軸受ポット6を備える偏心レバー5とを備える。ボルトシャフト3に面するそのボルト側において、ボルトヘッド4は、半球状であるように構成される。好ましくは、ボルト2は、鋼で作られる回転部品であり、偏心レバー5は、一体のプラスチック部品または亜鉛ダイカストである。部分球体として形成される代わりに、ボルトヘッド4およびポット内部8は、代替的に部分円筒体として形成され得る。
【0022】
ポット開口部7は、選択的に、ポット壁を越えて半径方向外向きに突出するカラー9によって囲まれ得る。軸受ポット6は、ポット開口部7から偏心レバー5の緊張方向10に対して延びるスロット11と、旋回軸線8に対して偏心しているスロット11の両側上の外側輪郭12とを有する。カラー9は、リングセグメントとして構成され、その2つの端面は、スロット11の両側に平坦な接触面13を一緒に画定する。ポット内部8からの外側輪郭12の距離は、平坦な接触面13から平坦なポット底部14まで緊張方向10に連続的に増加し、偏心外側輪郭12は、縁部を介してポット底部14に移行する。偏心レバー5の平坦なレバーアーム15は、スロット11と対向する軸受ポット6の側面でポット底部14をつかみ、カラー9とほぼ平行に延びる。プラスチックで作られる偏心レバー5の場合は、スロット11は、特にカラー9の高さにおいてポット開口部7に近接した弾性的に拡幅可能な狭窄部16を有し、その狭窄部のスロット幅は、ボルトシャフト3の直径よりも僅かに小さい。
【0023】
テンションコネクタ1を取り付けると、そのポット開口部7を持つ偏心レバー5は、ボルト軸線に対して直角にボルトヘッド4に押し付けられ、同時にボルトシャフト3は、スロット11に導入される(図2a)。狭窄部16は、それを越えて押し付けられているボルトシャフト3の後ろに係止するまでボルトシャフト3の直径まで弾性的に拡幅され、それによってボルト2および偏心レバー5は、拘束的に一緒に保持される(図2b)。亜鉛ダイカストとして作られる偏心レバー5の場合は、リベットウェブ(図示せず)が、スロット11の両側に設けられ、ボルト2を偏心レバー5に固定するために、ボルトシャフト4がスロット11に置かれた後に曲げられまたはリベット留めされる。
【0024】
その半球状のポット内部8によって、偏心レバー5は、ボルトシャフト3を貫通するスロット11によって規定される旋回軸線17を中心として90°を通して、開始位置(図2c)と緊張位置(図2d)との間で旋回可能であるように半球状ボルトヘッド4に取り付けられる。開始位置においては、レバーアーム15は、ボルト2と平行に方向づけられ、ボルトシャフト3に対してその狭窄部16と共に置かれている。緊張位置においては、レバーアーム15は、ボルト2に対して直角に方向づけられる。
【0025】
図3a、図3bにおいては、プラスチックハンドル20が、2つのテンションコネクタ1によって家具壁体21に取り付けられ、そのボルト2は、ハンドル20に導入部として固定される。ボルト2は、それらのボルトヘッド4が家具壁体21の裏側のボア22から突出するまで、家具壁体21のボア22を通してそれぞれ押し込まれる。次いで、偏心レバー5は、上述のように、ボルトヘッド4に押し嵌められ、係止される。この開始位置から、偏心レバー5は、緊張位置において、ハンドル20が家具壁体21の裏側を転がり進む偏心レバー5の偏心外側輪郭12によって家具壁体21にしっかりと締め付けられるまで、緊張方向10に90°を通してそれぞれ旋回される。緊張位置においては、各偏心レバー5は、その平坦なポット底部14と共に家具壁体21の裏側に置かれており、偏心外側輪郭12とポット底部14との間に存在する縁部が、偏心レバー5を緊張位置に固定する。代替的にまたは追加的に、偏心レバー5の自動ロックは、緊張位置の直前で過張力によって行われ得る。緊張位置においては、レバーアーム15は、家具壁体21と平行に、およびこれから間隔を置いて延びており、したがって、ハンドル20を取り外すために、偏心レバー5は、元の開始位置に手動で簡単に旋回され得る。
【0026】
図4に示されるハンドル20は、ここで2つのボルト2がねじ山23を介してハンドル20にそれぞれねじ込まれるという点においてのみ、図3に示されるハンドルと異なる。
【0027】
図5a、5bにおいては、テンションコネクタ1のボルト2は、2つの拡散コーン31を持つ拡張ボルトとして形成され、その上に長手方向にスロット付きプラスチック拡開スリーブ32がクリップ留めされる。あるいは、拡張ボルト2はまた、プラスチック成形品のインサートであることもできる。2つの隣接する構成要素(例えば家具用パネル)33、34を一緒に接続するために、拡開スリーブ32が第1の取り付けステップとしてボルト2にクリップ留めされ、次いでこの拡張ボルトは、ボルトヘッド4が第1の構成要素33のボア35を通して押されて固定されるべき第1の構成要素33に予め取り付けられ、次いで上述のように偏心レバー5がボルトヘッド4に押し嵌められ、係止される。テンションコネクタ1は、まず第1に拡開スリーブ32の縁カラー36によって、および第2に偏心レバー5によってボア35から抜け出すことのないように固定され、第1の構成要素33に予め取り付けられる。最終顧客は、第1の構成要素33を手に取り、2つの構成要素33、34が互いに対接し、拡開スリーブ32の縁カラー36が第2の構成要素34の段付きボア37に受け入れられるまで、他の第2の構成要素34のボア37の中に、予め取り付けられたテンションコネクタ1の拡開スリーブ32でこれを挿入することができる。次いで偏心レバー5は、締め付け方向10に90°を通して旋回される。第1の構成要素33を転がり進む偏心外側輪郭12により、ここでまず第1に、拡張ボルト2が拡開スリーブ32から僅かに引き寄せられ(第2の構成要素34によって静止状態に保たれ)、拡開スリーブ32が拡散コーン31により外側に広げられ、次に、2つの構成要素33、34が一緒に引き寄せられ、その結果互いに対してしっかりと締め付けられることになる。さらに、拡開スリーブ32は、拡開スリーブ32が拡張すると第2の構成要素34のボア壁に食い込み、したがって拡開スリーブ32をボア37にしっかりと固定するいくつかの周辺リブ38を備える。緊張位置においては、その平らなポット底部14およびそのレバーアーム15を持つ偏心レバー5は、第1の構成要素33を圧迫し、偏心外側輪郭12とポット底部14との間に存在する縁部が、偏心レバー5を緊張位置に固定する。さらに、偏心レバー5は、緊張位置の直前で過張力によって自動ロックされ得る。テンションコネクタ1は第1の構成要素33に予め取り付けられるので、最終顧客は、個々の固定要素を有さず、最終顧客のための取り付けステップは、簡単で直感的で迅速である。当然、原則として、他の取り付けシーケンスが可能である。
【0028】
図6は、テンションコネクタ1上、すなわち半径方向外側に突出するカラー9と第1の構成要素33との間の軸受ポット6上に上向きにテーパ付きの鍵穴40を持つさらなる構成要素39を示している。下部鍵穴半分の直径はカラー9の外径よりも大きく、上部鍵穴半分の直径は軸受ポット6の外径に対応する。
【0029】
図7は、2つのテンションコネクタ1によって第2の構成要素34に取り付けられる第1の構成要素33を示しており、そのレバーアーム15は、それぞれ、緊張位置で第1の構成要素33の矩形状の凹部41の基部に位置する。凹部41の深さは、少なくともテンションコネクタ1の高さに対応し、このテンションコネクタ1は、それによって凹部41の中に完全に沈められる。
【0030】
図8においては、第1の構成要素33は、第2の構成要素34に固定された2つの締め付けピン2のボルトヘッド4が突出する2つの開口部(図示せず)を持つ板金部品である。開口部は、左側の垂直タブ42によって、および右側の互いに上方にそれぞれ配置される2つの水平タブ43によってそれぞれ隣接され、その各々は、板金部品から前方に曲げられる。図8の左側のテンションコネクタ1の偏心レバー5は、その開始位置に示されており、右側のテンションコネクタ1の偏心レバー5は、その緊張位置に示されており、その場合、レバーアーム15は、第1の構成要素33に対して平行に位置する。この緊張位置において、偏心レバー5は、まず第1にその接触面13が垂直タブ42に対して平らに位置しており、第2にレバーアーム15が水平タブ43の間に受け入れられ、係止されるので固定される。
【0031】
図9aから図9eは、2つのテンションコネクタ1によって2つの側壁51の間に棚50を固定するための取り付けステップを示している。まず第1に、テンションボルト2が、例えば拡開スリーブ32によって側壁51に固定され(図9a)、次いで、偏心レバー5が、下方からボルトヘッド4に押し嵌められ、上述のように係止される(図9b)。この水平の開始位置から、偏心レバー5は、垂直の緊張位置において偏心レバー5が側壁51を転がり進むその偏心外側輪郭12によって側壁51にしっかりと締め付けられ、これを圧迫するまで、緊張方向10に90°だけ下方に旋回される(図9c)。その横方向に開いた底側盲ボア52を持つ棚50は、それが偏心レバー5の床突出部53上に位置するまで(図9e)、円筒形のキャリア部分として形成される2つの偏心レバー5上に上方から押し嵌められる(図9d)。2つの偏心レバー5は、その上に載っている棚50によってそれらの緊張位置に固定される。 図10aから図10dは、2つのテンションコネクタ1によって2つの側壁51の間に衣服レール54を固定するための個々の取り付けステップを示している。まず第1に、テンションボルト2が、例えば拡開スリーブ32によって側壁51に固定され(図10a)、次いで、偏心レバー5が、下方からボルトヘッド4に押し嵌められ、上述のように係止される()。この水平の開始位置から、偏心レバー5は、垂直の緊張位置において偏心レバー5が側壁51転がり進むその偏心外側輪郭12によって側壁51にしっかりと締め付けられ、これを圧迫するまで、緊張方向10に90°だけ下方に旋回される(図10c)。また、偏心レバー5は、その接触側にピン55を有し、このピン55は、垂直の緊張位置において、側壁51の穴56にしっかりと嵌合する。衣服レール54は、テンションコネクタ1の緊張位置においてボルト2のボルト軸線を横切る方向に開いている、偏心レバー5の、頂部で開いているレセプタクル57に上方から配置される(図10d)。2つの偏心レバー5は、吊り下げ衣服レール54によってそれらの緊張位置に固定される。他の構成要素を固定するために、偏心レバー5への構成要素の挿入または吊り下げのために設けられるレセプタクル57は、構成要素に従って異なって構成されなければならないであろう。
【0032】
上述の簡単で直感的で迅速な取り付けのために、ボルト2および偏心レバー5が現場でテンションコネクタ1の最終顧客によってのみ組み立てられる図9および図10に示される取り付けと対照的に、拡張ボルト、すなわちボルト2、および拡開スリーブ32および偏心レバー5は、ラッチングまたはリベット留めによって既に予め取り付けられており、すなわち最終顧客は、予め取り付けられたテンションコネクタ1の拡開スリーブ32を側壁51のボアに単に挿入し、偏心レバー5を旋回させるだけで足りる。
【0033】
図11は、テンションコネクタ1によって家具本体の側壁62に、ここに単に抜粋で示される引出しガイド61を固定するためのプラスチックアダプタプレート60を示している。成型されたテンションボルト2を持つ拡開スリーブ63、および押込み嵌めピン64が、アダプタプレート60の一方のプレート側に成形され、係止ピン65が、他方のプレート側に成形される。拡開スリーブ63と押込み嵌めピン64との間の距離は、側壁における一連の穴の穴間隔に、すなわちこの場合は側壁62の2つのボア66の間の距離に対応する。ロックピン65は、拡開スリーブ63と押込み嵌めピン64との間の中間にある。そのボルトヘッド4付きのアダプタプレート60は、引出しガイドの固定プレート67の穴を介して押し付けられ、係止ピン65によって固定プレート67に係止される。そして、偏心レバー5は、ボルトヘッド4に押し嵌められ、係止される。このように予め取り付けられた固定プレート67は、拡開スリーブ63および押込み嵌めピン64で側壁62の2つのボア66に挿入され、最後に、偏心レバー5が旋回され、それによってアダプタプレート60、およびしたがって固定プレート67がまた、側壁62に取り付けられる。このように、アダプタプレート60は、拡開スリーブの機能を引き受け、また正しい間隔(締め付け寸法)を画定し、両側に配置される2つの押込み嵌めおよび係止ピン64、65を介して引出しガイド61への力伝達を改善し、それによって、横方向の力および剪断力が、拡張コネクタだけを介するよりも実質的により良好に吸収され得る。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図10a
図10b
図10c
図10d
図11